JP2023041516A - ポリプロピレン系包装材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温下における耐落下衝撃性、耐ブロッキング性、滑り性、フレーバー性の全てを備えた包装材料を提供することである。【解決手段】ポリプロピレンを主成分とする樹脂がマトリックスであり、紡錘形状のポリプロピレン系エラストマーがドメインとなる相分散構造を有するエチレン-プロピレンブロック共重合体であることを特徴とするポリプロピレン系包装材料。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系包装材料に関するものであり、より詳細には、耐落下衝撃性、耐ブロッキング性、滑り性、及びフレーバー性を備え、食品包装に好適に使用可能なポリプロピレン系包装材料に関する。
プロピレン系重合体から成る包装材料は、ヒートシール性を発現可能であると共に、耐熱性や、衛生性、さらにはフレーバー性にも優れていることから、各種食品を収容する包装材料として広く利用されている。近年、軽量化や経済性の観点から、包装容器の薄肉化が進んでいることや、或いは寒冷地等での使用にも対応し得るために低温下での耐落下衝撃性(耐衝撃性)も必要とされ、より高い耐落下衝撃性が求められている。このような高い耐落下衝撃性を有するポリプロピレンとして、インパクトポリプロピレンとも呼ばれるプロピレンブロック共重合体を包装材料に使用することも行われている。
また包装材料に要求される他の性能として、耐ブロッキング性がある。すなわち、フィルム同士が重ね合わされたときにブロッキングが生じにくいことが必要であるが、上記プロピレンブロック共重合体から成るフィルムは、軟質なゴム成分が配合されていることから耐ブロッキング性に乏しく、更に改質されることが望まれている。
このような耐落下衝撃性及び耐ブロッキング性等の特性を改善するため、例えば下記特許文献1には、プロピレンブロック共重合体にエチレン・α-オレフィン共重合体を配合して成るプロピレン系樹脂組成物が提案されている。
また下記特許文献2には、ポリプロピレンブロック共重合体を使用し、略球状のエラストマー粒子が分散して成る表層を有する多層フィルムが提案されている。
特開2006-161033号公報 特開2006-198977号公報
トレイやカップ等の容器においては、容器成形、内容物の充填・密封、梱包等が、搬送ラインで搬送されながら連続的に行われるため、ライン上で容器詰まりを生じない搬送性、すなわち滑り性を有することも要求されており、ポリプロピレン系包装材料においても優れた滑り性を有することも必要である。また食品用途においては特に、内容物のフレーバーを損なわないことも重要である。
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載されたプロピレンブロック共重合体を用いた包装材料においては、低温条件下における耐落下衝撃性、耐ブロッキング性及び滑り性の全てを充分満足し得ることは困難であった。またこれらの性能と共に、外観特性やフレーバー性をも兼ね備えた包装材料を提供することは困難であった。
従って本発明の目的は、低温条件下における耐落下衝撃性、耐ブロッキング性、滑り性、フレーバー性の全てを兼ね備えたポリプロピレン系包装材料を提供することである。
本発明によれば、ポリプロピレンを主成分とする樹脂がマトリックスであり、紡錘形状のポリプロピレン系エラストマーがドメインとなる相分散構造を有するエチレン-プロピレンブロック共重合体であることを特徴とするポリプロピレン系包装材料が提供される。
本発明の包装材料においては、
1.前記ドメインのアスペクト比が、1.2~9.0の範囲であること、
2.前記ドメインの短径が0.2~4.0μm、長径が0.5~5.0μmの範囲にあること、
3.前記ポリプロピレンを主成分とする樹脂100質量部に対して、前記ポリプロピレン系エラストマーを1~30質量部含有すること、
4.前記ポリプロピレン系エラストマーの重量平均分子量(Mw)が50万~100万であり、数平均分子量(Mn)が1万~30万であること、
5.前記ポリプロピレンを主成分とする樹脂の重量平均分子量(Mw)が30万~80万であり、数平均分子量(Mn)が1万~30万であること、
6.前記エチレン-プロピレンブロック共重合体100質量部に対して、ホモポリプロピレンを1~30質量部含有すること、
7.面粗さ(Sa)が、0.15~1.0μmであること、
8.シート、フィルム、トレイ、カップの何れかであること、
が好適である。
本発明の包装材料は、ポリプロピレンを主成分とする樹脂をマトリックスとし、紡錘形状のポリプロピレン系エラストマーがドメインとなる分散構造を有し、且つこの紡錘形状のドメインの形状及び大きさが制御されていることにより、優れた耐落下衝撃性と滑り性及び耐ブロッキング性の両立が可能になる。
また特定のポリプロピレン系エラストマーを用いることにより、優れたフレーバー性を発現可能である。
本発明の包装材料におけるドメイン形状を説明するための図である。
(ポリプロピレン系包装材料)
本発明の包装材料は、上述した通り、ポリプロピレンを主成分とする樹脂をマトリックスとし、紡錘形状のポリプロピレン系エラストマーがドメインとなる相分散構造を有することが重要な特徴である。
本発明においては、ポリプロピレン系エラストマーから成る紡錘形状のドメインがポリプロピレンを主成分とする樹脂から成るマトリックス中に分散していることにより、耐落下衝撃性が更に向上されていると共に、このゴム成分から成るドメインの分散粒径が制御されていることにより、耐落下衝撃性のみならず、滑り性及び耐ブロッキング性の両立を図ることが可能となる。
すなわち、プロピレンブロック共重合体を用いた包装材料において、低温下でも優れた耐落下衝撃性を発現させるためには、ゴム成分(ポリプロピレン系エラストマー)の含有量が多く、且つこのゴム成分から成るドメイン(分散粒子)は耐落下衝撃性のみならず外観特性の点からも微分散していることが好適である。その一方、耐ブロッキング性や滑り性を向上させるためには、ゴム成分の含有量は少なく、且つこのゴム成分から成る分散粒子は表面に凹凸を形成できるように大きいことが好適である。
本発明においてはこのような観点から、ポリプロピレンを主成分とする樹脂から成るマトリックス中にポリプロピレン系エラストマーから成る紡錘形状のドメインが形成された分散構造を有することによって、優れた耐落下衝撃性と耐ブロッキング性及び滑り性を両立できることを見出した。
本発明においては、ポリプロピレン系エラストマーから成るドメインによる優れた耐落下衝撃性を発現するために、上記紡錘形状のドメインのアスペクト比が1.2~9.0、1.2~8.0、1.9~8.0、特に1.9~5.0の範囲にある紡錘形状であることが好ましい。アスペクト比が大きいと耐落下衝撃性は良いが滑り性に劣る傾向がある。またかかるドメインは、短径が0.2~4.0μm、特に0.2~2.0μm、長径が0.5~5.0μm、特に0.5~3.0μmの範囲にあることが好適である。尚、ドメインの短径及び長径の測定方法については後述する。
また、円相当のドメインサイズは、0.5μm~5.0μm、特に0.5μm~1.0μmの範囲にあることが好ましい。ドメインサイズは小さすぎると表面の凹凸が形成されず滑り性に劣り、大きすぎると凹凸が形成され滑り性は良いが耐落下衝撃性に劣る傾向がある。
前述したドメイン形状及びサイズの制御は、マトリックスであるポリプロピレンを主成分とする樹脂及びポリプロピレン系エラストマーの分子量や組成、混練等の樹脂製造方法により決定される。
本発明の包装材料において、ポリプロピレン系エラストマーは、ポリプロピレンを主成分とする樹脂100質量部に対して、1~30質量部、特に5.0~25質量部の量で含有されていることが好ましい。上記範囲よりもポリプロピレン系エラストマーの量が少ないと、上記範囲にある場合に比して耐落下衝撃性を充分に向上することができないおそれがあり、その一方上記範囲よりもポリプロピレン系エラストマーの量が多いと、上記範囲にある場合に比して、耐ブロッキング性及び滑り性が低下するだけでなく、フレーバー性が低下すると共に、表面凹凸も大きくなり外観特性に劣るようになる。
[ポリプロピレンを主成分とする樹脂]
本発明の包装材料において、マトリックスとなるポリプロピレンを主成分とする樹脂は、プロピレンを主体とする単量体が重合されてなるホモ或いはランダムポリプロピレンである。
ポリプロピレンを主成分とする樹脂は、重量平均分子量(Mw)が30万~80万、特に30万~60万の範囲にあり、数平均分子量(Mn)が1万~30万、特に5万~20万の範囲にあることが好適である。ポリプロピレンを主成分とする樹脂の分子量が上記範囲よりも小さい場合には、上記範囲にある場合に比して耐落下衝撃性の低下や衛生性が損なわれるおそれがあり、一方上記範囲よりも大きい場合には、上記範囲にある場合に比して樹脂圧異常により成形性が低下するおそれがある。
またポリプロピレンを主成分とする樹脂は、耐熱性や成形性の観点から、立体規則性の指標であるメソペンタッド分率([mmmm])が95~99の範囲にあることが好適である。
[ポリプロピレン系エラストマー]
本発明の包装材料において、紡錘形状のドメインを構成するポリプロピレン系エラストマーとしては、例えばプロピレン-エチレン系エラストマーが挙げられる。プロピレン-エチレン系エラストマーとしては、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体であって、エチレン単位とプロピレン単位の質量比が、15:85~50:50の範囲にある共重合体が好ましい。また、必要に応じて、相溶性や耐落下衝撃性向上のためα-オレフィン等を共重合したエラストマーを使用してもよい。
ポリプロピレン系エラストマーは、重量平均分子量(Mw)が50万~100万、好適には65万~100万、より好適には70万~100万、特に好適には70万~90万の範囲にあり、数平均分子量(Mn)が1万~30万、好適には2万~20万、特に好適には10万~20万の範囲にあることが望ましい。上記範囲よりも分子量が小さい場合には、上記範囲にある場合に比してドメイン形状が筋状となり粒径が小さく微分散となり容器の表面凹凸が平滑となり耐ブロッキング性や滑り性を満足出来ないおそれがあり、一方上記範囲よりも分子量が大きい場合には、ドメイン形状が略球状となり粒径が大きく疎分散となるため耐落下衝撃性に劣るおそれがある。さらには、フレーバー性が低下する傾向がある。
よって、ポリプロピレン系エラストマーのエチレン単位とプロピレン単位の質量比や分子量、ポリプロピレンを主成分とする樹脂の分子量を制御することにより、ポリプロピレン系エラストマーのドメインを上述したアスペクト比を有する紡錘形状に伸長することができると共に、両者の相溶性が向上し、上述した大きさに微分散することが可能となり、耐落下衝撃性と、耐ブロッキング性及び滑り性の両立が可能となる。
本発明のポリプロピレン系エラストマーが紡錘形状になる点について、以下のとおり推察する。製膜したフィルムやシートまたはカップやトレイ等の二次加工した容器においては、押出(成形)する方向に樹脂が引き延ばされる。そのため、樹脂中のドメイン形状も追従し、押出方向の先端が先細りになり図1に示すような紡錘形状となる。しかし、マトリックスとドメインの分子量の違いやドメイン自体の分子量、マトリックスとドメインの相溶性によりドメイン形状が異なることが考えられる。例えば、ドメインの分子量が低くマトリックスと相溶性が高い場合には筋状となり、面粗さが低く平滑であるため滑り性が悪いと推測する。一方、ドメインの分子量が高くマトリックスとの相溶性が低い場合は略球状となり、耐落下衝撃性に劣ると推測する。なお、相溶性はポリプロピレン系エラストマーの組成やエチレン-αオレフィン共重合体等の添加により影響する。
[エチレン-プロピレンブロック共重合体]
ポリプロピレンを主成分とする樹脂がマトリックスであり、紡錘形状のポリプロピレン系エラストマーがドメインとなる相分散構造を有するエチレン-プロピレンブロック共重合体のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、0.1~10g/10分、特に0.2~5g/10分の範囲にあることが成形面で好適である。
また、ポリプロピレンを主成分とする樹脂やポリプロピレン系エラストマーの原料もしくは原料の一部が石油由来のみならず廃棄プラスチックからガス化や油化等のモノマー化技術よりケミカルリサイクルされた材料もしくは植物由来等のバイオマス材料から製造されたエチレン-プロピレンブロック共重合体であってもよい。バイオマス度は放射性炭素濃度測定等により測定できる。 さらに、ポリプロピレンを主成分とする樹脂やポリプロピレン系エラストマーを製造する際、原料からの重合段階において、環境負荷低減の観点からフタル酸エステル化合物等のSVHC物質(欧州のRegistration,Evaluation,Authorization and Restriction of Chemicals(REACH)規制におけるubstance of ery igh oncern)を使用しない触媒系で製造することが望ましい。
[他の成分]
本発明の包装材料においては、上述したエチレン-プロピレンブロック共重合体以外に、粘度調整剤としてホモポリプロピレンを配合することが好適である。
すなわち、ポリプロピレンを主成分とする樹脂及びポリプロピレン系エラストマーから成る樹脂組成物は、耐落下衝撃性と滑り性を両立するためポリプロピレン系エラストマーの分子量が高い傾向であり粘度が高く、成形性に劣る場合があることから、ホモポリプロピレンを配合することにより粘度を調整し、溶融樹脂の押出性を改良することができ、包装材料の耐落下衝撃性を損なうことなく成形性(作業性)を改良することができる。
ホモポリプロピレンのMFR(230℃、2.16kg荷重)は、粘度調整という観点から、0.5~20g/10分の範囲にあることが好ましい。
ホモポリプロピレンは、エチレン-プロピレンブロック共重合体100質量部に対して、1~40質量部、特に1~30質量部の量で添加することが好適である。
また本発明の包装材料においては、更なる耐落下衝撃性向上のため高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のエチレン-α-オレフィン共重合体、エラストマーやプラストマー等のゴム成分を添加してもよい。さらに、滑り性向上のためステアリン酸カルシウム等の滑剤やシリカ粒子等のアンチブロッキング剤の添加、上述したゴム成分との併用も可能である。公知の添加剤、例えば、酸化防止剤などを少量配合することも必要に応じてできる。
近年の環境問題の高まりより脱プラの一環として、廃棄プラスチックからガス化や油化等のモノマー化技術よりケミカルリサイクルされた材料もしくは植物由来等のバイオマス材料を配合することも重要である。
(ポリプロピレン系包装材料の調製)
本発明の包装材料は、溶融押出する方法や、或いはこれらのペレットを混練機で溶融混練する方法等、公知の方法により調製することができる。
本発明において、ポリプロピレン系エラストマーのドメインが前述した大きさ及びアスペクト比の紡錘形状である分散状態となるように、溶融混練することが必要であり、用いる樹脂の粘度等に応じて適宜混練条件を調整することが必要である。
溶融混練における温度条件は特に制限はないが、170~270℃の範囲で行うことが好ましい。上記範囲よりも低い温度では、効率よく混練することができないおそれがあり、上記範囲よりも高い温度では樹脂の劣化を招くおそれがある。
本発明の包装材料は、溶融混練された樹脂を押出成形又は射出成形等公知の製造方法により、フィルム、シート、チューブ等所望の形状に成形することができ、或いは得られたシートから熱成形によりカップ、トレイ等の形状に成形することができる。
本発明の包装材料は、面粗さ(Sa)が、0.15~1.0μmの範囲にあることが好適である。これにより、外観特性を損なうことなく、優れた耐ブロッキング性及び滑り性を発現できる。尚、面粗さ(Sa)は、線の算術平均高さ:Raを面に拡張したパラメーターであり、ISO25178で規定されている、表面の平均面に対して、各点の高さの差の絶対値の平均である。
また本発明の包装材料は、上述したエチレン-プロピレンブロック共重合体から成る樹脂組成物の単層構成の成形体であってもよいが、他の層を備えた多層構造を有していてもよい。このような多層構造にする場合には、上述したエチレン-プロピレンブロック共重合体から成る樹脂組成物の層は、優れた耐ブロッキング性及び滑り性を有することから表層(最外層又は最内層)であることが好適であり、特に最外層であることが望ましい。
他の層としては、これに限定されるものではないが、ガスバリア性層、酸素吸収性層、リグラインド層、易剥離層、接着層等、従来ポリプロピレン系多層包装材料に使用されていた公知の層を例示することができる。
尚、多層構造を有する場合には、他の層を構成する樹脂又は樹脂組成物が、エチレン-プロピレンブロック共重合体と近似する熱収縮率を有することが望ましく、これにより積層シートの収縮率の差に起因する巻ずれを抑制することができ、成形不良の発生を抑制することが可能になる。
本発明を実験例により更に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(実験例1~5)
6種7層の多層シート成形機を使用し、各樹脂を単軸押出機にて溶融混練し、Tダイ温度230℃でTダイからシート状に押出し、冷却ロールに接触させて固化させて巻き取ることにより、厚み500μmの多層シートを成形した。層構成は、外側より最外PP層/リグラインド層/接着層/バリア層/接着層/酸素スカベンジャー層/内PP層/易接着層である。
最外PP層、内PP層には、表1に示した組成及び分子量を有するポリプロピレンを主成分とする樹脂及びポリプロピレン系エラストマーから成るエチレン-プロピレンブロック共重合体のペレットと白着色用樹脂を使用した。リグラインド層には、本試験時に発生した多層シートの一部やトリム部、シートスケルトンを破砕したスクラップ100質量部に対して、表1に示したエチレン-プロピレンブロック共重合体を44質量部配合し、相溶化剤及び白着色用樹脂を添加したものを使用した。接着層には無水マレイン酸変性ポリプロピレン、酸素スカベンジャー層には鉄系酸素吸収材(還元鉄粉100質量部及び塩化ナトリウム2質量部及び水酸化カルシウム1質量部の混合物)29質量部をMFR0.6g/10分のランダムポリプロピレン71質量部で混練した樹脂組成物を使用した。易接着層にはポリプロピレンやポリエチレンをドライブレンドした樹脂である。
また得られた多層シートを145℃に加熱して、プラグアシストして真空圧空成形することによりフランジ付き多層トレイを成形した。尚、容器寸法はフランジ外径 長軸:155mm×短軸:120mm、口径 長軸:135mm×短軸:100mm、底部外径 長軸:115mm×短軸:90mm、高さ35mmであった。
(実験例6)
最外PP層、内PP層の樹脂100質量部にMFR2.0g/10分(230℃、2.16kg荷重)のホモポリプロピレンを17.7質量部ドライブレンドした樹脂を使用した以外は、実験例1と同様に多層トレイを成形した。
各種測定方法は以下のとおりである。
<エチレン-プロピレンブロック共重合体の構造解析>
実験例1~5に使用したエチレン-プロピレンブロック共重合体において、ポリプロピレンを主成分とする樹脂(PP成分)及びポリプロピレン系エラストマー(ゴム成分)の配合比、分子量を13C-NMR測定(日本電子製)、GPC測定(Agilent製)により求めた。測定サンプルの前処理として、樹脂をキシレン還流溶解し放冷後個液分離した。キシレン可溶部をメタノールで再沈殿し、沈殿物を濾過し乾燥後、質量測定しゴム成分量とした。キシレン不溶部は、再溶解及びメタノール再沈殿後、濾過し乾燥した樹脂をPP成分とした。実験例6は、ホモポリプロピレンをドライブレンドしているため計算値とした。
(1)分散状態(ドメイン形状及び大きさ)
得られた多層トレイの底部において、シート製造時の引き取り方向に平行に切断した断面を透過型電子顕微鏡:TEM(日立製作所製)により観察した。前処理として、多層トレイより切り取ったサンプルをクライオ支持台へ接着し、クライオシステム(ライカ製)によりダイヤモンドナイフ装着のウルトラミクロトーム(ライカ製)で面出しをし、金属酸化物による蒸気染色を施し、超薄切片を作製した。
得られたTEM写真(20μm×20μm四方)から、画像解析式粒度分布ソフト(マウンテック社製Mac-View)により、多層トレイの最外PP層のポリプロピレン系エラストマーのドメインを全て計測し、各々の短径及び長径の測定及びアスペクト比、円相当のドメインサイズを算出した。全ドメイン数の計測結果より平均値を求めた。
(2)面粗さSa(単位μm)
得られた多層トレイの底部から10mm×10mmのサンプル片を切り出した。非接触表面形状測定機(zygo社製)を用いて、容器外表面の形状測定を行った。測定ならびに画像解析には、アプリケーションとして、MetroPro(Ver.9.1.4 64-bit)を用いた。282μm×212μmの範囲を測定し、得られた生データから、ノイズ除去のため波長1.326μm以下をカットし測定データとした。N数=5より平均値を求めた。
(3)滑り性(単位N)
得られた多層トレイの滑り性は、摩擦測定機(東洋精機製)を用いて、測定時のロードセルにかかかる荷重を動摩擦力として引き摺り抵抗値を求めた。23℃50%RHの環境下で、SUS板上に多層トレイを乗せ600gの重りを負荷した状態で100mm/minの速度で測定を行った。N数=5より平均値を求めた。評価基準は以下の通りである。
○:2.5N未満
△:2.5N以上3.0N未満
×:3.0N以上
(4)耐落下衝撃性
得られた多層トレイに蒸留水を200g入れ、蓋材でヒートシールし、95℃30分ボイル殺菌後に5℃で24時間保管した。保管後、5℃環境下で150cmの高さより落下させ、多層トレイの耐落下強度を判断した。N数は20個である。評価規準は以下のとおりである。
〇:割れが3個以下であったもの
△:割れが10個未満であったもの
×:10個以上割れたもの
(5)フレーバー性
得られた多層トレイに蒸留水を200g入れ、蓋材でヒートシールし、95℃30分ボイル殺菌後に室温で24時間保管した。保管後、10人のパネラーにより4点法による官能評価を実施し、平均点を求めた。評価基準は以下のとおりである。0が無味、4が非常に味を感じるレベルである。
〇:2.5未満
△:2.5以上3.5未満
×:3.5以上
得られた結果より、実験例1及び6は、ポリプロピレン系エラストマーの形状が紡錘状であり滑り性と耐落下衝撃性を両立でき良好な結果が得られ、特に実験例6は樹脂粘度も低く製膜性に優れていた。実験例2は、耐落下衝撃性がやや低かったが、ポリプロピレン系エラストマーが少ないことが影響していると考えられる。実験例3及び5は、耐落下衝撃性がやや低かったが、ポリプロピレン系エラストマーの形状または粒径が影響していると考えられる。また、フレーバー性は劣る結果であり、ポリプロピレン系エラストマーの分子量が影響していると推測する。実験例4は、耐落下衝撃性は良好だが滑り性が悪い結果であった。これはポリプロピレン系エラストマーの形状が筋状でありアスペクト比が高いため、表面凹凸が平滑となり接触面積が大きいためと考察する。
Figure 2023041516000001
本発明の包装材料は、耐落下衝撃性、耐ブロッキング性及びフレーバー性に優れていると共に、優れた滑り性を備えていることから生産ラインにおける搬送性に優れている。このため、大量生産される食品用の包装材料、特にフレーバー性が重視される米飯等を収納する容器に好適に使用できる。また耐熱性に優れたプロピレン系重合体から成るため、レトルト殺菌等に付されるパウチ等の包装材料としても好適に利用できる。

Claims (9)

  1. ポリプロピレンを主成分とする樹脂がマトリックスであり、紡錘形状のポリプロピレン系エラストマーがドメインとなる相分散構造を有するエチレン-プロピレンブロック共重合体であることを特徴とするポリプロピレン系包装材料。
  2. 前記ドメインのアスペクト比が、1.2~9.0の範囲である請求項1記載のポリプロピレン系包装材料。
  3. 前記ドメインの短径が0.2~4.0μm、長径が0.5~5.0μmの範囲にある請求項1又は2記載のポリプロピレン系包装材料。
  4. 前記ポリプロピレンを主成分とする樹脂100質量部に対して、前記ポリプロピレン系エラストマーを1~30質量部含有する請求項1~3の何れかに記載のポリプロピレン系包装材料。
  5. 前記ポリプロピレン系エラストマーの重量平均分子量(Mw)が50万~100万であり、数平均分子量(Mn)が1万~30万である請求項1~4の何れかに記載のポリプロピレン系包装材料。
  6. 前記ポリプロピレンを主成分とする樹脂の重量平均分子量(Mw)が30万~80万であり、数平均分子量(Mn)が1万~30万である請求項1~5の何れかに記載のポリプロピレン系包装材料。
  7. 前記エチレン-プロピレンブロック共重合体100質量部に対して、ホモポリプロピレンを1~30質量部含有する請求項1~6の何れかに記載のポリプロピレン系包装材料。
  8. 面粗さ(Sa)が、0.15~1.0μmである請求項1~7の何れかに記載のポリプロピレン系包装材料。
  9. シート、フィルム、トレイ、カップの何れかである請求項1~7の何れかに記載のポリプロピレン系包装材料。
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