JP2023040689A - 基板および半導体モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱時に熱反りを生じ難く、基板を構成する各層の厚さの自由度が高い基板、および、これを備えた半導体モジュールを提供する。【解決手段】基板10は、セラミックスで形成された絶縁層1の両面に金属層(2,3)が形成された基板であって、金属層(2,3)は、絶縁層1に対する両側で体積が互いに異なり、体積が小さい側の金属層(2,3)の降伏応力が、体積が大きい側の金属層(2,3)の降伏応力よりも大きい。また、半導体モジュールは、このような基板を回路基板として備える。【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックス板の両面に金属板が接合された回路基板等として用いられる基板、および、これを備えた半導体モジュールに関する。
近年、自動車、鉄道、船舶等の動力の電動化や、太陽光、風力、地熱等を利用する再生可能エネルギ発電の整備が進められている。また、各種の産業機器の電子制御が発展してきている。これらの分野では、AC/DC変換、DC/AC変換、周波数変換等の電力変換を行うデバイスとして、パワーモジュールの重要性が高まっている。
パワーモジュールは、パワー半導体素子を搭載した半導体モジュールであり、モータ、蓄電池等の主機に対して補機として独立的に備えられている。半導体モジュールには、配線板として機能する回路基板が内蔵されている。回路基板には、半導体素子等の電子部品が電気的に接続されている。回路基板のコア材としては、電気絶縁性が高いセラミックス板や合成樹脂板が用いられている。
一般に、セラミックス板をコア材とした回路基板は、セラミックス板の両面に金属板を接合した構造に設けられている。回路基板上に実装される電子部品は作動時に発熱するため、効率的な放熱が必要であり、熱伝導性に優れた回路基板が求められている。セラミックス板の材料としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の他に、高熱伝導率と高強度・高靭性を兼ね備えた窒化ケイ素も用いられている。
セラミックス板の一主面に接合される金属板は、配線として機能する回路層を形成する。回路層を形成する金属板は、厚さ方向に貫通する溝がエッチングによってパターニングされている。セラミックス板に接合した金属板が所定のパターンの溝で区画されることによって、大幅で低抵抗な配線が形成されている。半導体素子等の電子部品は、パターニングされた金属板に電気的に接続されている。
電子部品を回路層上に実装する方法としては、挿入実装法(Insertion Mount Technology:IMT)や、表面実装法(Surface Mount Technology:SMT)が用いられている。SMT工程では、回路層上にスクリーン印刷等でクリーム半田が塗布され、半導体素子等の電子部品が半田上にマウントされた後、280℃前後まで加熱されて半田付けされている。
セラミックス板の他主面に接合される金属板は、放熱経路として機能する放熱層を形成する。放熱層を形成する金属板は、ヒートシンク、水冷装置等の冷却機構と熱的に接続される。回路層上に実装された電子部品の熱は、回路層から、コア材や放熱層を経て、冷却機構に伝熱した後に、半導体モジュールの外部に放熱されている。
一般に、回路層や放熱層を形成する金属板としては、電気伝導率や熱伝導率が高い銅板が用いられている。銅板は、セラミックス板に対して、直接接合法(Direct Bond Copper:DBC法)や、活性金属法で接合されている。直接接合法では、酸素を含む銅の接合部が1000℃程度まで加熱されている。活性金属法では、活性金属を含むろう材が900℃前後まで加熱されている。
特許文献1は、加熱時に生じる絶縁基板の割れの問題について開示している。絶縁基板の割れは、板同士を接合する際の加熱後の冷却過程や、電子装置の動作に起因する発熱による温度変化で起こるとされている。特許文献1では、絶縁基板の割れを防ぐために、放熱板の厚みを金属回路板の厚みの3.75倍以上としており、放熱側の厚みを回路側の厚みよりも大きくしている。また、金属粒子の粒径に基づいて、放熱側の降伏応力を回路側の降伏応力よりも大きくしている。
現在、モータの高出力化、蓄電池の高容量化等に伴い、駆動用のインバータや、電源用のコンバータや、周波数変換器等として用いられる半導体モジュールについても、大電流・高電圧への対応が求められている。回路基板には、数百Vから数千Vの高電圧に耐える電気絶縁性や、発熱した電子部品を効率的に放熱させる優れた放熱性が要求されている。
回路基板の放熱性は、材料の熱伝導率だけでなく、回路基板の構造にも依存する。電子部品が実装される回路層の平面積が大きいほど、また、回路層が厚いほど、電子部品の熱が回路層を通じてコア材や放熱層に向けて広く拡散できる。そのため、回路層が大面積で厚肉であるほど、放熱性に優れた回路基板が得られる。
近年では、セラミックス板に窒化ケイ素を採用することによって、回路基板の高靭性化が進んでいる。セラミックス板は、金属板との接合面に大きな熱応力を生じる場合であっても、割れを生じ難くなっている。そのため、セラミックス板に接合する金属板について、厚肉化が可能になってきている。回路層を厚肉化して放熱性を向上させるために、厚さが0.5mmを超える厚肉金属板の採用も検討されている。
特許第6276424号公報
セラミックス板の両面に金属板を接合した回路基板は、セラミックス板に金属板を接合する製造時や、回路基板に電子部品を実装する半田時に、熱反りを生じることが確認されている。回路基板が反りを生じると、金属板の剥離や、セラミック板の割れ等を生じるため、電気絶縁性の低下、放熱性の低下や、製品不良に繋がるという問題がある。
特許文献1では、絶縁基板の割れを防ぐために、放熱側の厚みを回路側の厚みよりも大きくすると共に、放熱側の降伏応力を回路側の降伏応力よりも大きくしている。しかし、厚さの関係を調整する方法では、金属板の厚さを独立・自由に選定できない問題がある。回路側を厚くして放熱性を向上させたい場合、放熱側も厚くする必要があるため、回路基板の小型化や軽量化が妨げられる。また、厚さが異なる金属板が必要になり、回路基板の製造性が悪くなる。
また、近年では、セラミックス板に接合させる金属板として、厚さが0.5mmを超える厚肉金属板の採用も検討されている。金属板が厚い場合には、熱反りがセラミックス板よりも金属板の特性に左右され易くなる。厚さが0.5mmを超えるような場合、熱反り変形量に対する塑性変形の寄与が大きくなることが確認されている。弾性で吸収できない変形を生じる場合があるため、セラミックス板と金属板との厚さの関係に依らず熱反りを抑制可能な手段が求められている。
そこで、本発明は、加熱時に熱反りを生じ難く、基板を構成する各層の厚さの自由度が高い基板、および、これを備えた半導体モジュールを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明に係る基板は、セラミックスで形成された絶縁層の両面に金属層が形成された基板であって、前記金属層は、前記絶縁層に対する両側で体積が互いに異なり、体積が小さい側の前記金属層の降伏応力が、体積が大きい側の前記金属層の降伏応力よりも大きい。また、本発明に係る半導体モジュールは、前記の基板を回路基板として備える。
本発明によれば、加熱時に熱反りを生じ難く、基板を構成する各層の厚さの自由度が高い基板、および、これを備えた半導体モジュールを提供することができる。
本発明の実施形態に係る基板の一例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る半導体モジュールの一例を示す断面図である。 熱反りの解析に用いた立体モデルの平面図である。 熱反りの解析に用いた立体モデルの斜視図である。 数値解析に用いた立体モデルのメッシュを示す図である。 熱反りの解析に用いた立体モデルの断面図である。 立体モデルに生じた熱反りを示す図である。 熱反り変形量の測定位置を示す図である。 回路部の厚さが0.8mm・放熱部の厚さが0.8mmである場合の熱反りの解析結果を示す図である。 回路部の厚さが0.8mm・放熱部の厚さがパラメータである場合の熱反りの解析結果を示す図である。 回路部の降伏応力をパラメータとし、放熱部の降伏応力が40MPaである場合の熱反りの解析結果を示す図である。 回路部の降伏応力が40MPa・放熱部の降伏応力がパラメータである場合の熱反りの解析結果を示す図である。 半導体素子が実装された基板における放熱経路を示す断面図である。 立体モデルの熱伝導解析の結果を示す図である。 放熱側の金属板の厚さと基板の熱抵抗との関係を示す図である。 回路部の降伏応力をパラメータとし、放熱部の降伏応力が40MPaである場合の熱反りの解析結果を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る基板、および、これを備えた半導体モジュールについて、図を参照しながら説明する。なお、以下の各図において共通する構成については同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る基板の一例を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る基板10は、セラミックスで形成された絶縁層1の両面に金属層(2,3)が形成された構造を有している。絶縁層1は、上面および下面として側面よりも面積が大きい主面を有している。金属層(2,3)は、金属板で形成されており、絶縁層1の両主面にろう材層4を介して接合されている。
金属層(2,3)は、絶縁層1に対する両側で体積が互いに異なっている。図1では、上側の金属層2の体積が相対的に小さく設けられており、下側の金属層3の体積が相対的に大きく設けられている。図1では、体積の相違が、上側の金属層2に形成された溝101によって生じている。
本実施形態に係る基板10は、体積が小さい側の金属層の降伏応力が、体積が大きい側の金属層の降伏応力よりも大きく設けられるものである。金属層(2,3)は、降伏応力の関係を調整するために、絶縁層1に対する両側で化学組成、加工度および熱処理条件のうちの一以上が互いに異なるように設けられる。
金属層(2,3)同士は、体積が互いに異なる。また、絶縁層1と金属層(2,3)とは、線膨張係数が互いに異なる。そのため、基板10が加熱されると、絶縁層1と金属層(2,3)との接合面付近に熱応力を生じて、加熱過程や、その後の冷却過程において、熱応力による熱反りを生じる虞がある。
熱反りは、絶縁層1と金属層(2,3)との厚さの関係や、剛性の関係や、線膨張係数等の熱特性の関係や、形状の関係に応じて、上下のいずれかが凸となる向きに生じる。しかし、金属層(2,3)同士の降伏応力の関係を調整すると、熱応力による反りを生じ難くすることができる。金属層(2,3)の厚さを独立・自由に選定しても、熱反り変形量を低減できるため、基板を構成する各層の厚さの自由度が高くなる。
降伏応力は、応力-歪み曲線上で材料が上降伏点に達するときの応力を意味する。金属層(2,3)の降伏応力は、材料が降伏点を示さない場合、0.2%耐力に基づいて調整するものとする。金属層(2,3)同士の体積が等しい構造は、降伏応力の関係を調整する対象に含まれないものとする。
降伏応力は、ビッカース硬さ試験機やナノインデンタを用いて、10~35℃で測定できる。ナノインデンタは、所定の押し込み荷重を与えて圧子を材料に押し込み、圧子による接触深さを測定して接触投影面積を求め、押し込み荷重と接触投影面積との関係から材料の機械的特性を計測する装置である。降伏応力Yは、ビッカース硬さHvを用いて、Y≒3Hvとして近似的に求めることができる。
本実施形態に係る基板10は、熱反りの抑制が要求される用途、例えば、配線板として機能する回路基板や、電力制御用素子、圧電素子等の素子部品等に適用することができる。回路基板は、パワーモジュール等の半導体モジュール、電力制御用のパワーデバイス等に搭載することができる。半導体モジュールとしては、AC/DC変換、DC/AC変換、周波数変換等の電力変換を行うモジュールが挙げられる。
次に、本実施形態に係る基板10を搭載した半導体モジュールについて、図を参照しながら具体的に説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る半導体モジュールの一例を示す断面図である。
図2に示すように、本実施形態に係る半導体モジュール200は、基板10と、放熱ベース20と、半導体素子30と、スペーサ40と、リードフレーム50と、モールド樹脂60と、を備えている。
半導体モジュール200において、基板10は、放熱ベース20上に支持されている。基板10上には、半導体素子30が固定されている。半導体素子30の上面には、スペーサ40が接合されている。スペーサ40上には、リードフレーム50が接合されている。基板10と放熱ベース20、基板10と半導体素子30、半導体素子30とスペーサ40は、半田等による接合層5を介して互いに接合されている。
基板10は、セラミックスで形成された絶縁層1の両主面に金属層(2,3)が形成された構造を有している。絶縁層1の一主面には、金属層である回路層2が形成されている。絶縁層1の他主面には、金属層である放熱層3が形成されている。回路層2および放熱層3は、金属板で形成されており、絶縁層1の両主面にろう材層4を介して接合されている。
放熱ベース20は、熱伝導率が高い材料で形成される。放熱ベース20は、基板10よりも大きい平面積や大きい熱容量に設けられる。放熱ベース20は、基板10と、ヒートシンク、水冷装置等の不図示の冷却機構との間を熱的に接続し、基板10上に実装された半導体素子30等の電子部品が作動時に生じた熱を冷却機構に向けて放熱させる。
放熱ベース20の材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を用いることができる。放熱ベース20は、圧延材等の金属条や、クラッド材等で形成できる。放熱ベース20は、ヒートシンク、水冷装置等の冷却機構に対して熱的に接続される構造であってもよいが、放熱フィン等の冷却機構と一体化された構造であってもよい。
半導体素子30は、半導体モジュール200の電気回路を形成する構成要素であり、スイッチング素子等で構成される。半導体素子30としては、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等が挙げられる。半導体としては、GaN、Si、SiC等を用いることができる。
半導体素子30は、半導体モジュール200の内部に同様の積層構造で複数個を備えることができる。半導体素子30としては、単一のチップを配置してもよいし、積層された複数のチップを配置してもよい。半導体素子30は、回路層2に対して、ワイヤボンディングで電気的に接続できる。或いは、フリップチップボンディングで接続してもよい。フリップチップボンディングの場合、モールド樹脂60が省略されてもよい。
スペーサ40は、電気伝導率が高い材料で形成される。スペーサ40は、半導体素子30とリードフレーム50との間を電気的に接続している。スペーサ40は、半導体素子30の上面とリードフレーム50の下面との間に配置されており、半導体素子30とリードフレーム50とを互いに連結・固定している。
リードフレーム50は、電気伝導率が高い材料で形成される。リードフレーム50は、スペーサ40と不図示の外部端子との間を電気的に接続している。リードフレーム50は、半導体素子30の上方からモジュールの側方の筐体に向けて架橋状に設けられている。リードフレーム50は、スペーサ40を挟んで半導体素子30を上方から支持・固定している。
スペーサ40やリードフレーム50の材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄合金等を用いることができる。スペーサ40は、圧延材等の金属条や、クラッド材等で形成できる。リードフレーム50は、圧延材等の金属条や、厚肉部と薄肉部が形成された異形金属条や、銅とインバー等とのクラッド材等で形成できる。
モールド樹脂60は、電気抵抗率、耐熱性、耐湿性等が高い樹脂で形成される。モールド樹脂60は、モジュールの内部の空間に充填されており、基板10、半導体素子30、スペーサ40、リードフレーム50等を覆っている。モールド樹脂60は、これらを電気的に絶縁すると共に、これらを封止して、絶縁破壊や材料劣化の要因となる水分、塵埃等から保護している。
モールド樹脂60の材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゲル等の熱硬化性樹脂や反応硬化型樹脂を用いることができる。モールド樹脂60は、強度、密着性、耐熱性、熱膨張率、流動性等を調整するためのシリカ等のフィラや、難燃剤等の添加剤が添加されてもよい。モールド樹脂60の線膨張係数は、基板10の回路層2等の線膨張係数に近似していることが好ましい。
ろう材層4は、凝固したろう材によって形成されている。金属層(2,3)は、セラミックスで形成された絶縁層1に対して、ろう付けで接合できる。セラミックス板にスクリーン印刷等でろう材を塗布し、塗布面に金属板を密着させてろう材の溶融温度以上に加熱した後に、冷却してろう材を凝固させると、絶縁層1と金属層(2,3)がろう材層4を介して互いに接合される。
ろう材としては、セラミックスに対して銅を接合する場合、Ti、Zr、Hf等の活性金属を含むAg-Cu系ろう材、Ag-Cu-In系ろう材、Ag-Cu-Sn系ろう材等を用いることができる。また、セラミックスに対してアルミニウムを接合する場合、Al-Si系ろう材、Al-Si-Mg系ろう材、Al-Si-Ge系ろう材等を用いることができる。
ろう材層4の厚さは、通常、数十μm程度である。ろう材層4は、薄い層であり、熱伝導率が高い材料で形成されるため、基板10の放熱性に影響する熱抵抗は小さくなる。また、絶縁層1と金属層(2,3)との機械的特性の関係や熱特性の関係に対して影響が小さくなる。
接合層5は、構成要素同士を接合する層であり、電気伝導率や熱伝導率が高い材料で形成される。接合層5の材料としては、半田、焼結体、樹脂成形されたフィラーシート等が挙げられる。接合層5の材料は、基板10と放熱ベース20との間、基板10と半導体素子30との間、半導体素子30とスペーサ40との間で、互いに異なっていてもよい。
半田としては、Pb-Sn系半田、Sn-Ag系無鉛半田、Sn-Ag-Cu系無鉛半田、Sn-Bi系無鉛半田等を用いることができる。半田の方式は、リフロー方式およびフロー方式のいずれであってもよい。半田付けの加熱は、接合する材料や半田の種類に応じて、接合箇所毎に複数回を行ってもよいし、全接合箇所に対して一回を行ってもよい。
半導体モジュール200は、例えば、AC/DC変換、DC/AC変換、周波数変換等の電力変換用途に用いることができる。具体的な用途としては、自動車、鉄道、船舶等の駆動用のインバータや、太陽光、風力、地熱等を利用する再生可能エネルギ発電設備や無停電電源装置のパワーコンディショナや、各種の産業機器の電力制御器等が挙げられる。
なお、図2において、半導体モジュール200は、ケース型とされているが、モールド型、片面放熱式ヒートシンク一体型、両面放熱式ヒートシンク一体型、水冷装置一体型等の適宜の型式に設けることができる。基板10以外の構成要素は、モジュールの種類に応じて置換ないし省略してもよい。封止樹脂60は、モジュールの種類に応じて、ポッティング成形、トランスファーモールド成形等で形成できる。
半導体モジュール200において、基板10は、配線板として機能する回路基板として搭載されている。金属層である回路層2および放熱層3は、絶縁層1に対する両側で互いに体積が異なり、体積が小さい側の金属層の降伏応力が、体積が大きい側の金属層の降伏応力よりも大きくなるように、互いの降伏応力の関係が調整される。
次に、本実施形態に係る基板10の詳細について説明する。絶縁層1は、電気絶縁率や熱伝導率が高いセラミックスで形成される。絶縁層1は、半導体素子30等の電子部品や、配線として機能する回路層2を、周囲の導電体から電気的に絶縁する。また、絶縁層1は、半導体素子30等の電子部品が実装される回路層2と放熱層3との間を熱的に接続する。
絶縁層1の厚さは、基板10の仕様にもよるが、例えば、0.1mm以上5mm以下、好ましくは0.2mm以上1mm以下、0.3mm以上0.4mm以下等とすることができる。絶縁層1の厚さが大きいほど、高い電気絶縁性や剛性が得られる。一方、絶縁層1の厚さが小さいほど、金属層(2,3)を厚肉化した場合に、基板10を小型ないし軽量に設けることができる。
絶縁層1の材料としては、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミナ、アルミナジルコニア等が挙げられる。絶縁層1の材料としては、強度や、靭性、耐衝撃性が高く、半導体として用いられるSi、SiC等に近い線膨張係数を示す点等からは、窒化ケイ素が好ましい。また、高い熱伝導率を示す点等からは、窒化アルミニウムが好ましい。
絶縁層1は、セラミックスの原料粉末を焼結させる方法で作製できる。原料粉末とバインダを、必要に応じて焼結助剤を加え、溶媒中で湿式混合して原料スラリを調製する。原料スラリをキャリアフィルム等の基材上に塗布してシート状に成形し、溶媒を乾燥させてグリーンシートとする。グリーンシートを熱処理して脱脂および焼成した後に、断裁、打ち抜き、面取り、研削等を行うと、絶縁層1となるセラミックス板が得られる。
原料粉末の混合には、ボールミル等を用いることができる。焼結助剤としては、酸化イットリウム、酸化マグネシウム等を用いることができる。シートを成形する方法としては、ドクターブレード法、ロールコート法、押出成形法、射出成形法、冷間等方圧加圧(Cold Isostatic Pressing:CIP)法等を用いることができる。グリーンシートを焼成する方法としては、雰囲気焼結法、ホットプレス焼結法、熱間等方圧加圧(Hot Isostatic Pressing:HIP)法等を用いることができる。
回路層2は、電気伝導率や熱伝導率が高く、半田の接合性が良好な材料で形成される。回路層2は、半導体素子30等の電子部品を電気的に接続させる配線として機能し、電子部品と共に所定の電気回路を形成する。回路層2は、半導体素子30等の電子部品と絶縁層1や放熱層3との間を熱的に接続する。
回路層2の厚さは、基板10の仕様にもよるが、例えば、0.01mm以上3mm以下、好ましくは0.25mm以上1.5mm以下、より好ましくは0.30mm以上1mm以下とすることができる。回路層2の厚さが大きいほど、半導体素子30から放熱ベース20への放熱性を向上させることができる。一方、回路層2の厚さが小さいほど、基板10を小型ないし軽量に設けることができる。また、基板10の熱抵抗を小さくすることができる。
回路層2は、回路層2を上下に貫通する溝101が形成されてパターニングされる。パターンの形状は、特に限定されるものではない。パターンは、電子部品の配置や配線回路の設計に応じて、適宜の形状に設けることができる。回路層2は、溝101によって複数の領域に区画されて、幅が大きく低抵抗な配線として機能する。
放熱層3は、熱伝導率が高い材料で形成される。放熱層3は、セラミックスで形成された絶縁層1と放熱ベース20や外部に設けられる冷却機構との間を熱的に接続し、回路層2上に実装された半導体素子30等の電子部品の熱を冷却機構に向けて放熱させる。
放熱層3の厚さは、基板10の仕様にもよるが、例えば、0.01mm以上3mm以下、好ましくは0.25mm以上1.5mm以下、より好ましくは0.30mm以上1mm以下とすることができる。放熱層3の厚さが大きいほど、放熱ベース20との接合性が確保され易くなる。一方、放熱層3の厚さが小さいほど、基板10を小型ないし軽量に設けることができる。また、基板10の熱抵抗を小さくすることができる。
回路層2は、ウェットエッチングによってパターニングすることができる。セラミックスで形成された絶縁層1の一主面に金属板を接合し、金属板の表面に配線パターンに応じたレジストをフォトリソグラフィ等で形成する。そして、レジストでマスクされた金属板にエッチング液を作用させて、レジストで保護されていない金属とろう材を除去する。エッチングは、エッチング液への浸漬、エッチング液の噴霧等の適宜の方法で行うことができる。エッチング後にレジストを除去すると、パターニングされた回路層2が得られる。
エッチング液としては、銅、アルミニウム等に対して、塩化第二鉄溶液、塩化第二銅溶液等を用いることができる。また、合金のエッチングが不十分である場合、ジルコニウム等に対して、フッ硝酸、過塩素酸等を用いることができる。また、ろう材に対して、過酸化水素等の金属溶解成分、pH調整剤、キレート剤を含有する溶液や、金属溶解成分、pH調整剤、フッ化アンモニウム等の酸化物溶解成分を含む溶液等を用いることができる。
回路層2は、ウェットエッチングによってパターニングすることができるが、一枚の金属板をパターニングする方法に代えて、複数枚の金属板を組み合わせてパターンを形成してもよい。また、放熱層3は、一枚の金属板で形成されてもよいし、放熱ベース20の形状に合わせて、回路層2と同様にパターニングされてもよい。
回路層2および放熱層3は、電子部品の実装時に用いる半田の濡れ性や金属板の防食性を確保するために、表面にめっき処理または防錆処理を施されてもよい。めっき処理としては、ニッケルめっき、ニッケル-リン無電解めっき、ニッケル-ボロン無電解めっき、銀めっき、金めっき等が挙げられる。防錆処理としては、ベンゾトリアゾール等の防錆剤の塗布処理が挙げられる。
金属層である回路層2および放熱層3は、絶縁層1に対する両側で互いに体積が異なり、体積が小さい側の金属層の降伏応力が、体積が大きい側の金属層の降伏応力よりも大きく設けられる。体積が小さい側の金属層の降伏応力は、体積が大きい側の金属層の降伏応力に対し、好ましくは1.25~2.5倍に設けられる。回路基板として用いられる基板10において、体積が小さい側の金属層は、回路層2であってもよいし、放熱層3であってもよい。
一般に、回路基板の製造時には、セラミックス板に金属板を接合するときに、セラミックス板と金属板が加熱されている。直接接合法の場合には、接合部が1000℃程度まで加熱されている。活性金属法の場合には、ろう材が700~900℃程度まで加熱されている。これらの加熱は、板同士を拘束した状態で行うこともできる。しかし、セラミックスと金属は、通常、弾性率や線膨張係数等が互いに異なっている。
また、回路基板に電子部品を実装する半田時には、セラミックス板と金属板が加熱されている。Pb-Sn系半田を用いる場合には、半田が溶融する230℃程度まで加熱されている。無鉛半田を用いる場合には、280~310℃程度まで加熱されている。特に、表面実装(SMT)工程のリフロー半田時には、リフロー炉内に投入された回路基板の全体が加熱されている。
回路基板を形成するセラミックス板と金属板が加熱されると、セラミックス板と金属板との接合面付近に、引張方向の熱応力と圧縮方向の熱応力を生じる。そのため、加熱過程や、その後の冷却過程において、回路基板に熱反りを生じる。熱反りは、セラミックス板と金属板との剛性の関係や、線膨張係数等の熱特性の関係等に応じて、回路側および放熱側のいずれかが凸となる向きに生じる。
特に、回路基板の場合には、回路側の金属板がパターニングされるため、回路側と放熱側が非対称な形状になる。パターンを形成する溝に交差する方向の材料長さや材料体積が互いに異なる。このような場合、熱反り変形量がいずれかの向きに拡大したり、複雑な熱反りが面内で生じたりする。
例えば、回路側に一本の直線的な溝が形成されている場合、溝を頂点とする熱反りを生じる。一方、回路側に複雑なパターンが形成されている場合、種々の方向の熱応力が組み合わさり、回路側への変位と放熱側への変位が、重畳したり相殺されたりして、複雑な変形を生じる。
回路基板が反りを生じると、製品が変形するだけでなく、金属板がセラミックス板から剥離したり、セラミックス板が割れたりする。剥離や割れが生じると、電気絶縁性や放熱性を低下させるボイドの発生や、構成要素同士の接合性の低下が起こり、製品不良に繋がるという問題がある。
従来、熱反りを抑制する方法としては、回路側と放熱側とで、金属板の厚さの関係を調整する方法が知られている。一方の金属板の厚さを大きくして、金属板の剛性を高める一方で、他方の金属板の厚さを小さくして、金属板の変形追従性を高めることが行われている。しかし、厚さの関係を調整する方法では、金属板の厚さを独立・自由に選定できない問題がある。
放熱側の厚みを回路側の厚みよりも大きくする方法では、回路側を厚くして放熱性を向上させたい場合に、放熱側も厚くする必要があるため、全体が厚くなり、回路基板の小型化や軽量化が妨げられる。また、回路側と放熱側を同じ厚さに設けることができず、厚さが異なる金属板が必要になるため、工数が増加して回路基板の製造性が悪くなる。
これに対し、基板10では、体積が小さい側の金属層の降伏応力を、体積が大きい側の金属層の降伏応力よりも大きくするため、塑性変形を抑制して、熱応力による反りを生じ難くすることができる。金属層(2,3)の厚さを独立・自由に選定しても、熱反り変形量を低減できるため、基板を構成する各層の厚さの自由度が高くなる。金属層(2,3)の縦弾性係数等の弾性や線膨張係数等の熱特性を絶縁層1に対して調整する場合、および、これらを調整しない場合のいずれにおいても、熱反りに対する塑性変形の寄与を抑制して、熱反り変形量を低減できる。
回路層2および放熱層3は、平面積が互いに同じであってもよいし、平面積が互いに異なっていてもよい。また、回路層2や放熱層3の平面積は、絶縁層1の平面積と同等であってもよいし、絶縁層1の平面積よりも小さくてもよい。回路層2の平面積が絶縁層1の平面積よりも小さいと、回路層2の沿層方向の外側において、電気絶縁のための沿面距離の確保が容易になる。
回路層2の厚さは、0.5mmを超える厚肉であってもよいし、0.5mm以下の薄肉であってもよい。また、回路層2の厚さは、絶縁層1の厚さ以下であってもよいし、絶縁層1の厚さを超えてもよい。回路層2の厚さは、絶縁層1の厚さの2倍以上10倍以下や、3倍以上5倍以下等であってもよい。
同様に、放熱層3の厚さは、0.5mmを超える厚肉であってもよいし、0.5mm以下の薄肉であってもよい。また、放熱層3の厚さは、絶縁層1の厚さ以下であってもよいし、絶縁層1の厚さを超えてもよい。放熱層3の厚さは、絶縁層1の厚さの2倍以上10倍以下や、3倍以上5倍以下等であってもよい。
回路層2および放熱層3は、厚さが同等であってもよいし、厚さが互いに異なっていてもよい。厚さが大きい側の金属層は、回路層2であってもよいし、放熱層3であってもよい。なお、本明細書において、厚さが同等であるとは、厚さの差が±5%以内であることを意味する。
回路層2および放熱層3の厚さが同等であると、厚さが異なる金属板が不要になるため、基板10の製造性を向上させることができる。回路層2が相対的に厚いと、半導体素子30から放熱ベース20への放熱性を向上させることができる。一方、放熱層3が相対的に厚いと、放熱ベース20との接合が容易になり、放熱層3と冷却フィン等の冷却機構との一体化が可能になる。
金属層(2,3)は、絶縁層1に接合されるため、絶縁層1に対する両側で平面積が大きく相違しない。そのため、金属層(2,3)同士の体積の大小関係は、主として、金属層(2,3)の厚さや、パターンを形成する溝101の体積に依存する。体積が小さい側の金属層は、厚さが小さいか、または、溝101が形成されているため、体積が大きい側の金属層と比較して剛性が低い層となる。そのため、体積が小さい側の金属層の降伏応力を相対的に大きくすると、熱反り変形量を低減できる。
基板10の熱反り変形量は、金属層(2,3)の厚さが大きいほど、絶縁層1よりも金属層(2,3)の特性に左右され易くなる。金属層(2,3)の厚さが絶縁層1に対して厚い構造では、回路層2と放熱層3との体積の相違に応じて、熱反り変形量が増大し易くなる。金属層(2,3)の厚さが大きい場合、溝101に交差する方向だけでなく、溝101と平行な方向においても、熱反り変形量が増大することが確認されている。
特に、セラミックス板に接合される金属板が0.5mmを超える厚肉である場合には、熱反り変形量が大きくなることが確認されている。熱反り変形量が加熱時の温度変化に対して非線形的な挙動を示すデータが得られている。金属板の厚さが大きい場合、加熱時の温度変化が大きいほど、熱反り変形量が大きくなる。しかし、加熱時の温度変化が小さい範囲においても、温度変化から予測されるより大きな熱反り変形量が観測される。
このような熱反り変形量の温度変化に対する非線形的な挙動は、塑性変形の寄与によると考えられる。加熱時の温度変化が小さい範囲であっても、或る程度の温度変化があると、閾値を超える熱応力によって塑性変形を生じる。そのため、熱反り変形量は、加熱時の温度変化に対して線形的な関係を示さなくなる。熱反り変形量と加熱時の温度変化との関係を示す線図上において、加熱時の温度変化が小さい範囲では、塑性変形の寄与があるため、熱反り変形量が温度変化に対して大きく拡大する。一方、加熱時の温度変化が大きい範囲では、熱反り変形量が温度変化に対して線形的に緩やかに拡大する。
そのため、金属層(2,3)の厚さが大きいほど、金属層(2,3)同士の降伏応力の関係を調整したとき、熱反りを抑制する大きな効果が得られる。金属層(2,3)の材料として厚さが0.5mmを超えるような厚肉金属板を用いる場合や、加熱時の温度変化が大きい場合であっても、熱反りに対する塑性変形の寄与が効果的に抑制されるため、絶縁層1と金属層(2,3)との厚さの関係や、形状の関係や、熱特性の関係だけでは得られない、熱反り変形量を低減する大きな効果が得られる。
金属層である回路層2および放熱層3の材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を用いることができる。銅としては、無酸素銅や、タフピッチ銅が挙げられる。合金としては、析出硬化型および非析出硬化型のいずれを用いることもできる。銅合金としては、電気伝導率や熱伝導率が高い点で、96質量%以上の銅を含む高銅合金が好ましい。
析出硬化型の高銅合金としては、ジルコニウム銅合金、クロム銅合金、クロムジルコニウム銅合金、鉄入り銅合金、マグネシウム銅合金、チタン銅合金、ベリリウム銅合金、コバルトベリリウム銅合金、コルソン合金等が挙げられる。非析出硬化型の高銅合金としては、銀入り銅合金、テルル銅合金、マンガン銅合金、ケイ素銅合金等が挙げられる。
ジルコニウム銅合金としては、0.01~0.25質量%、好ましくは0.05~0.20質量%のジルコニウムが添加された銅合金が挙げられる。クロム銅合金としては、0.1~1.5質量%のクロムが添加された銅合金が挙げられる。クロムジルコニウム銅合金としては、0.1~1.5質量%のクロムと0.02~0.25質量%のジルコニウムが添加された銅合金が挙げられる。鉄入り銅合金としては、2.1~2.6質量%の鉄と0.05~0.2質量%の亜鉛が添加された銅合金が挙げられる。
マグネシウム銅合金としては、0.1~2.0質量%のマグネシウムが添加された銅合金が挙げられる。チタン銅合金としては、1.5~3.5質量%のチタンが添加された銅合金が挙げられる。ベリリウム銅合金としては、1.8~2.1質量%のベリリウムが添加された銅合金が挙げられる。コバルトベリリウム銅合金としては、2.0~2.8質量%のコバルトと0.4~0.7質量%のベリリウムが添加された銅合金が挙げられる。コルソン合金としては、1.8~3.0質量%のニッケルと0.4~0.8質量%のケイ素が添加された銅合金が挙げられる。
銀入り銅合金としては、0.03~7.0質量%の銀が添加された銅合金が挙げられる。テルル銅合金としては、0.3~0.7質量%のテルルが添加された銅合金が挙げられる。マンガン銅合金としては、0.1~2.0質量%のマンガンが添加された銅合金が挙げられる。ケイ素銅合金としては、0.05~4.0質量%のケイ素と、0.1~1.0質量%の鉄、0.2~2.5質量%の亜鉛、0.1~1.5質量%のマンガン等が添加された銅合金が挙げられる。
金属層である回路層2および放熱層3の降伏応力は、金属層(2,3)の化学組成、加工度および熱処理条件のうちの一以上を調節することによって調整できる。降伏応力の調整は、体積が小さい側の金属層に行ってもよいし、体積が大きい側の金属層に行ってもよいし、これらの両方に行ってもよい。
金属層(2,3)の化学組成は、主成分の金属元素の種類や、主成分に添加する添加元素の種類や添加量によって調節することができる。化学組成を変えて固溶強化や分散強化を行うと、金属層(2,3)の降伏応力を大きくすることができる。金属層(2,3)の化学組成は、高周波誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分光分析等で確認することができる。
金属層(2,3)の加工度は、セラミックス板に接合する金属板の圧延率や、金属板に施す加工の加工率によって調節することができる。加工度を変えて転位や塑性歪みを導入すると、金属層(2,3)の降伏応力を大きくすることができる。加工方法としては、冷間圧延、冷間板鍛造、機械的ピーニング、ショットピーニング、レーザピーニング等の適宜の方法を用いることができる。金属層(2,3)の加工度は、加工法、組織観察、物性等に基づいて確認することができる。
金属層(2,3)の熱処理条件は、セラミックス板に接合する金属板に施す焼鈍処理の温度や時間や、時効硬化処理の温度や時間によって調節することができる。焼鈍条件を高温・長時間に変えて転位密度や残留応力を低減すると、金属層の降伏応力を小さくすることができる。また、時効硬化条件を変えて析出硬化を行うと、金属層の降伏応力を大きくすることができる。金属層(2,3)の熱処理条件は、熱処理方法、組織観察、物性等に基づいて確認することができる。
金属層である回路層2および放熱層3の材料としては、互いに同じ種類を用いてもよいし、互いに異なる種類を用いてもよい。但し、基板10の製造性や、金属層(2,3)同士の特性を調整する観点からは、互いに同種の金属元素を主成分とする材料が好ましく、互いに同種の元素で組成される材料がより好ましい。
例えば、回路層2を銅で形成し、放熱層3をアルミニウムで形成する場合、銅とアルミニウムとでは、接合に用いるろう材の溶融温度や、金属板の縦弾性係数等の弾性や線膨張係数等の熱特性が異なる。そのため、ろう付け時に複数回の加熱が必要になったり、金属板の接合性が低下したりする。これに対し、互いに同種の材料を用いると、加熱の工数を削減できる。また、金属層(2,3)同士の弾性や熱特性を絶縁層1に対して同等の範囲内に揃えることができる。
金属層である回路層2および放熱層3は、体積が小さい側の金属層の縦弾性係数等の弾性や線膨張係数等の熱特性が、体積が大きい側の金属層の縦弾性係数等の弾性や線膨張係数等の熱特性と異なっていてもよいが、体積が大きい側の金属層の縦弾性係数等の弾性や線膨張係数等の熱特性と同等であることが好ましい。なお、本明細書において、弾性や熱特性が同等であるとは、物性値の差が±5%以内であることを意味する。
合金の降伏応力は、化学組成、加工度、熱処理条件によって左右されるが、合金の縦弾性係数、線膨張係数は、加工度、熱処理条件によって左右され難い。回路層2および放熱層3の材料として互いに同種の材料を用いると、金属層(2,3)同士の弾性や熱特性を絶縁層1に対して同等の範囲内に揃えることができるため、基板10の構造設計や熱設計が容易になる。また、異種の材料を用意する必要がないため、基板10の製造性を向上させることができる。
金属層である回路層2および放熱層3の材料としては、ジルコニウム銅合金、クロムジルコニウム銅合金、銀入り銅合金、または、テルル銅合金が好ましく、ジルコニウムが添加されたジルコニウム銅合金が特に好ましい。このような材料を用いると、材料自体の熱伝導率が高いため、基板10の放熱性を高くすることができる。
金属層である回路層2および放熱層3の材料として、ジルコニウム銅合金、クロムジルコニウム銅合金等の析出硬化型の材料を用いる場合、体積が小さい側の金属層のジルコニウム、クロム等の溶質元素の含有率(質量%)は、体積が大きい側の金属層の溶質元素の含有率よりも大きいことが好ましい。このような含有率であると、金属層(2,3)同士の弾性や熱特性を絶縁層1に対して同等の範囲内に揃えつつ、金属層(2,3)同士の降伏応力の関係を固溶強化や分散強化によって調整することができる。
なお、回路基板として用いられる基板10において、体積が小さい側の金属層は、回路層2であってもよいし、放熱層3であってもよいが、放熱層3であることが好ましい。このような構造によると、基板10の全体としての厚さを抑制しつつ、回路層2の厚さを大きく設けることができる。そのため、基板10の放熱性を向上させると共に、基板10を小型ないし軽量に設けることができる。
また、図1および図2において、回路層2および放熱層3は、絶縁層1に対してろう材層4を介して接合されているが、酸化物共晶を介してセラミックスと金属を直接的に接合する直接接合法(DBC法)や、セラミックスの表面にメタライズ層をめっきした後に金属をろう付けする間接接合法等で接合されてもよい。
直接接合法や間接接合法を用いる場合、基板10は、単層のろう材層4に代えて、メタライズ層とろう材層との組み合わせや、酸化物共晶で形成された接合層を備える。基板10は、金属層(2,3)同士の降伏応力の関係が調整されるため、セラミックス板に接合される金属板の剛性を高めるために、剛性が高い追加的な層や部材を備えなくてもよい。
次に、基板の熱反りを有限要素法で数値解析した結果について、図を参照しながら説明する。
図3は、熱反りの解析に用いた立体モデルを示す図である。図3Aは、立体モデルの平面図である。図3Bは、立体モデルの斜視図である。図3Cは、数値解析に用いた立体モデルのメッシュを示す図である。図3Dは、立体モデルの断面図である。
図3に示すように、パターンが形成された回路基板を模した立体モデル100について、有限要素法による数値解析(finite element analysis:FEA解析)を行い、各層の厚さと熱反り変形量との関係や、各層の機械的特性と熱反り変形量との関係を調べた。
立体モデル100は、セラミックスで形成された板状のコア部110の両面に板状の金属部(120,130)が形成された構造とした。コア部110の一主面には、金属部として回路部120を形成した。コア部110の他主面には、金属部として放熱部130を形成した。回路部120には、簡易的なパターンを形成した。
コア部110、回路部120および放熱部130は、図3に示すmm単位の寸法に設けた。回路部120および放熱部130は、コア部110よりも小さく設けて、コア部110の全周に幅1mmの縁部を残した。回路部120および放熱部130は、外寸を互いに同等とした。回路部120のパターンは、回路部120を上下に貫通する溝として、立体モデル100の平面視で矩形U字状に設けた。
コア部110の材質は、窒化ケイ素とした。回路部120および放熱部130の材質は、純銅とした。純銅の降伏応力は、完全焼鈍された無酸素高伝導銅(Oxygen Free High conductivity Copper:OFHC)の0.2%耐力である40MPaとした。コア部110の厚さは、0.32mmとした。回路部120および放熱部130の厚さは、パラメータとした。
FEA解析では、立体モデル100に対して、リフロー方式による半田時の加熱を想定した温度変化を与えた。熱反り変形量は、立体モデル100を280℃から25℃に冷却したとき、立体モデル100の厚さ方向に生じた変位として求めた。
図4Aは、立体モデルに生じた熱反りを示す図である。図4Bは、熱反り変形量の測定位置を示す図である。
図4Aには、回路部120の厚さが0.8mm、放熱部130の厚さが0.8mmである場合に、立体モデル100に生じた熱反りを示している。図4Aに示すように、立体モデル100に温度変化を与えたとき、この厚さ条件やパターン形状では、パターンが形成された回路部120の側が凸となる熱反りを生じた。なお、図4Aでは、熱反りの変形量の倍率を拡大して図示している。
以降の熱反りのFEA解析では、図4Bに矢印で示すように、立体モデル100の長手方向の中心線に沿って熱反り変形量を求めた。熱反り変形量は、立体モデル100の長手方向の中心線の両端をゼロ変位として、厚さ方向に生じた変位として求めた。回路部120の側が凸となる変位を正数値、放熱部130の側が凸となる変位を負数値で表した。
回路基板の熱反り変形量は、金属板の剛性が極端に低い場合、セラミックス板の剛性に左右されるため、全体として小さくなる。また、金属板の剛性が極端に高い場合、金属体の剛性に左右されるため、全体として小さくなる。熱反り変形量が大きくなるのは、セラミックス板の剛性と金属板の剛性とが或る程度釣り合っている場合であると考えられる。材料の剛性は、材料自体の縦弾性係数等の変形し難さや、厚さ等の形状に依存する。
金属板が薄い場合には、セラミックス板の剛性と釣り合う金属板の変形し難さが、弾性変形時の金属板の変形し難さに近似していると考えられる。このような場合、金属板が熱応力で塑性変形を生じても、熱反り変形量がそれほど大きくならないことが確認されている。
一方、金属板が厚い場合には、セラミックス板の剛性と釣り合う金属板の変形し難さが、弾性変形時の金属板の変形し難さよりも小さくなると考えられる。金属板が厚い場合であれば、金属板の剛性に対して厚さの寄与が大きく、変形し易い材料でも釣り合うためである。このような場合、金属板が熱応力で塑性変形を生じると、熱反り変形量が大きくなることが確認されている。
そのため、回路部120および放熱部130が厚い立体モデル100では、熱反りに対する塑性変形の寄与が大きいと考えられる。立体モデル100では、回路部120の側が凸となる熱反りを生じたが、回路部120のパターンの形状や、回路部120と放熱部130との厚さの関係、体積の関係等に応じて、塑性歪みが影響した複雑な熱反りを生じる可能性がある。
図5は、回路部の厚さが0.8mm・放熱部の厚さが0.8mmである場合の熱反りの解析結果を示す図である。
図5において、回路部120は、厚さが0.8mmであり、降伏応力が40MPaである。放熱部130は、厚さが0.8mmであり、降伏応力が40MPaである。図5に示すように、立体モデル100の長手方向の中心線上では、熱反り変形量がパターンを形成する溝の場所で最大となった。
図6は、回路部の厚さが0.8mm・放熱部の厚さがパラメータである場合の熱反りの解析結果を示す図である。
図6において、回路部120は、厚さが0.8mmであり、降伏応力が40MPaである。放熱部130は、厚さが0.8mm、0.7mm、0.6mmのいずれかであり、降伏応力が40MPaである。
●のプロットは、放熱部130の厚さが0.8mmの結果である。■のプロットは、放熱部130の厚さが0.7mmの結果である。◆のプロットは、放熱部130の厚さが0.6mmの結果である。
図6に示すように、放熱部130の厚さが0.7mmの場合には、放熱部130の厚さが0.8mmの場合と比較して、熱反り変形量が低減した。放熱部130の厚さが0.6mmの場合には、厚さ方向の変位の向きが反転した。
回路部120の厚さが0.8mm、回路部120の降伏応力が40MPa、放熱部130の降伏応力が40MPaの場合、熱反りの変形量は、放熱部130の厚さが、0.6mm程度で得られた。回路側の金属板と放熱側の金属板との降伏応力の関係が調整されていない場合、金属板同士の体積差が小さいほど、熱反り変形量が低減する傾向が示された。
図7は、回路部の降伏応力をパラメータとし、放熱部の降伏応力が40MPaである場合の熱反りの解析結果を示す図である。
図7において、回路部120は、厚さが0.8mmであり、降伏応力が40MPa、50MPa、60MPa、70MPaのいずれかである。放熱部130は、厚さが0.8mmであり、降伏応力が40MPaである。
●のプロットは、回路部120の降伏応力が40MPaの結果である。■のプロットは、回路部120の降伏応力が50MPaの結果である。◆のプロットは、回路部120の降伏応力が60MPaの結果である。▲のプロットは、回路部120の降伏応力が70MPaの結果である。
図7に示すように、回路部120の降伏応力が50MPaの場合には、回路部120の降伏応力が40MPaの場合と比較して、熱反り変形量が低減した。回路部120の降伏応力が60MPaの場合には、厚さ方向の変位の向きが反転した。回路部120の降伏応力が70MPaの場合には、回路部120の降伏応力が60MPaの場合と比較して、熱反り変形量が拡大した。
回路部120の厚さが0.8mm、放熱部130の厚さが0.8mm、放熱部130の降伏応力が40MPaの場合、熱反りの変形量の最小値は、回路部120の降伏応力が50~60MPaで得られると考えられる。図6と比較すると、回路部120の降伏応力を10MPaだけ大きくした作用は、放熱部130の厚さを0.1mmだけ薄くした作用に相当している。体積が小さい側の降伏応力を大きくすることが、熱反り変形量の低減に有効といえる。
図8は、回路部の降伏応力が40MPa・放熱部の降伏応力がパラメータである場合の熱反りの解析結果を示す図である。
図8において、回路部120は、厚さが0.8mmであり、降伏応力が40MPaである。放熱部130は、厚さが0.4mmであり、降伏応力が40MPa、50MPa、60MPa、70MPa、80MPa、90MPa、100MPaのいずれかである。
●のプロットは、放熱部130の降伏応力が40MPaの結果である。■のプロットは、放熱部130の降伏応力が50MPaの結果である。◆のプロットは、放熱部130の降伏応力が60MPaの結果である。▲のプロットは、放熱部130の降伏応力が70MPaの結果である。〇のプロットは、放熱部130の降伏応力が80MPaの結果である。□のプロットは、放熱部130の降伏応力が90MPaの結果である。◇のプロットは、放熱部130の降伏応力が100MPaの結果である。
図8に示すように、放熱部130の降伏応力が50MPaの場合には、放熱部130の降伏応力が40MPaの場合と比較して、熱反り変形量が低減した。放熱部130の降伏応力が70MPaまで、降伏応力が大きくなるほど、熱反り変形量が低減した。放熱部130の降伏応力が80MPaの場合には、厚さ方向の変位の向きが反転した。放熱部130の降伏応力が80MPaを超えると、降伏応力が大きくなるほど、熱反り変形量が拡大した。
回路部120の厚さが0.8mm、放熱部130の厚さが0.4mm、回路部120の降伏応力が40MPaの場合、熱反りの変形量の最小値は、放熱部130の降伏応力が80MPa前後で得られると考えられる。金属板同士の剛性に極端な差異がない範囲であれば、厚さ方向の変位の向きが反転することはなく、体積が小さい側の降伏応力を大きくすることが、熱反り変形量の低減に有効といえる。具体的には、体積が大きい側の前記金属層の降伏応力に対し、体積が小さい側の前記金属層の降伏応力が、1.25~2.5倍程度であることが好ましい。
図9は、半導体素子が実装された基板における放熱経路を示す断面図である。
図9に示すように、セラミックスで形成された絶縁層1の両面に金属層(2,3)が形成された基板10では、回路層2上に実装された半導体素子30の熱が、回路層2、絶縁層1、放熱層3の順に伝熱して外部に放熱される。回路層2の平面積が大きいほど、また、回路層2の厚さが大きいほど、回路層2の沿層方向に広く熱拡散するため、基板10の放熱性を向上させることができる。
図10は、立体モデルの熱伝導解析の結果を示す図である。図11は、放熱側の金属板の厚さと基板の熱抵抗との関係を示す図である。
図10には、熱源を配置した立体モデル100について、有限要素法による数値解析(FEA解析)を行い、熱源からの熱伝導による熱分布を解析した結果を示す。熱源としては、半導体素子を模擬した熱源を回路部120の中央の表面に設定した。図11には、金属板の厚さをパラメータとした基板の熱抵抗として、立体モデル100の熱抵抗を計算した結果を示す。立体モデル100の熱抵抗は、表1に示すように、全体の厚さを一定として回路部120と放熱部130の厚さの関係を調整して、熱源を通る立体モデル100の法線上の貫通部分について求めた。
Figure 2023040689000002
図10に示すように、半導体素子の熱は、パターンを形成する溝で妨げられない限り、回路側の金属板の沿層方向に広く拡散しながら、裏面の放熱側の金属板に向けて伝熱できる。表1および図11に示すように、回路側の厚さに対して放熱側の厚さを小さくするほど、熱抵抗が小さくなる傾向を示している。回路側と放熱側とで金属板の厚さの関係を調整する従来の方法では、このような熱抵抗の低減作用が得られない場合がある。しかし、降伏応力の関係を調整する方法によれば、熱反りを低減しつつ、熱抵抗を低減できるといえる。
図12は、回路部の降伏応力をパラメータとし、放熱部の降伏応力が40MPaである場合の熱反りの解析結果を示す図である。
図12において、回路部120は、厚さが0.4mmであり、降伏応力が40MPa、50MPa、100MPa、150MPa、200MPa、250MPaのいずれかである。放熱部130は、厚さが0.8mmであり、降伏応力が40MPaである。
●のプロットは、回路部120の降伏応力が40MPaの結果である。■のプロットは、回路部120の降伏応力が50MPaの結果である。◆のプロットは、回路部120の降伏応力が100MPaの結果である。▲のプロットは、回路部120の降伏応力が150MPaの結果である。〇のプロットは、回路部120の降伏応力が200MPaの結果である。□のプロットは、回路部120の降伏応力が250MPaの結果である。
図12に示すように、回路部120の降伏応力が50MPaの場合には、回路部120の降伏応力が40MPaの場合と比較して、熱反り変形量が低減した。回路部120の降伏応力が150MPaまで、降伏応力が大きくなるほど、熱反り変形量が低減した。回路部120の降伏応力が200MPaの場合には、厚さ方向の変位の向きが反転した。回路部120の降伏応力が200MPaを超えると、降伏応力が大きくなるほど、熱反り変形量が拡大した。
回路部120の厚さが0.4mm、放熱部130の厚さが0.8mm、放熱部130の降伏応力が40MPaの場合、熱反りの変形量の最小値は、回路部120の降伏応力が150MPaの前後で得られると考えられる。回路部120は、パターンが形成されているし、放熱部130と比較して厚さが小さい。そのため、図7および図8と比較して、熱反り変形量の低減に必要な降伏応力が大きくなった。金属層同士の剛性に極端な差異がない範囲であれば、厚さ方向の変位の向きが反転することはなく、体積が小さい側の降伏応力を適切に大きくすることが、熱反り変形量の低減に有効といえる。
図6に示したように、回路側と放熱側が同等の降伏応力である場合には、熱反り変形量を低減しようとするとき、放熱側をある程度まで薄くする必要がある。但し、放熱側が薄過ぎると、厚さ方向の変位の向きが反転し、却って熱反り変形量が拡大してしまう。しかし、図7に示したように、回路側と放熱側の降伏応力の関係を調整すると、互いの体積が異なる場合であっても、厚さ方向の変位の向きが反転しない範囲において、熱反り変形量を低減できる。
また、図8に示したように、回路側と放熱側の降伏応力の関係を調整すると、放熱側が薄い場合であっても、厚さ方向の変位の向きが反転しない範囲において、熱反り変形量を低減できる。回路側の厚さが0.8mmであり、放熱側の厚さが0.4mmである場合、実用的な範囲では、厚さ方向の変位の向きが反転し難いといえる。表1および図11に示すように、放熱側を薄くして全体としての熱抵抗を低減できるため、熱反りを抑制しつつ、放熱性を向上できるといえる。
以上、本発明について説明したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、本発明は、必ずしも前記の実施形態が備える全ての構成を備えるものに限定されない。或る実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えたり、或る実施形態の構成の一部を他の形態に追加したり、或る実施形態の構成の一部を省略したりすることができる。
1 絶縁層
2 回路層(金属層)
3 放熱層(金属層)
10 基板
20 放熱ベース
30 半導体素子
40 スペーサ
50 リードフレーム
60 モールド樹脂
100 立体モデル
101 溝
110 コア部
120 回路部(金属部)
130 放熱部(金属部)
200 半導体モジュール

Claims (10)

  1. セラミックスで形成された絶縁層の両面に金属層が形成された基板であって、
    前記金属層は、前記絶縁層に対する両側で体積が互いに異なり、
    体積が小さい側の前記金属層の降伏応力が、体積が大きい側の前記金属層の降伏応力よりも大きい基板。
  2. 請求項1に記載の基板であって、
    体積が大きい側の前記金属層の降伏応力に対し、体積が小さい側の前記金属層の降伏応力が、1.25~2.5倍である基板。
  3. 請求項1に記載の基板であって、
    前記絶縁層は、窒化ケイ素、窒化アルミニウムまたはアルミナで形成されている基板。
  4. 請求項1に記載の基板であって、
    体積が小さい側の前記金属層および体積が大きい側の前記金属層は、銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている基板。
  5. 請求項1に記載の基板であって、
    前記金属層は、前記絶縁層に対する両側で化学組成が互いに異なる基板。
  6. 請求項1に記載の基板であって、
    体積が小さい側の前記金属層および体積が大きい側の前記金属層は、銅にジルコニウムが添加されたジルコニウム銅合金で形成されている基板。
  7. 請求項6に記載の基板であって、
    体積が小さい側の前記金属層のジルコニウムの含有率が、体積が大きい側の前記金属層のジルコニウムの含有率よりも大きい基板。
  8. 請求項1に記載の基板であって、
    体積が小さい側の前記金属層の厚さが、体積が大きい側の前記金属層の厚さと同等である基板。
  9. 請求項1に記載の基板であって、
    前記基板は、半導体モジュールに搭載される回路基板であり、
    体積が小さい側の前記金属層および体積が大きい側の前記金属層のうち、いずれか一方の金属層が、半導体素子と電気的に接続されて配線として機能するパターンが形成された回路層であり、他方の金属層が、前記半導体素子の熱を放熱させる放熱経路として機能する放熱層である基板。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載された基板を回路基板として備えた半導体モジュール。
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