JP2023040539A - リチウム金属二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】サイクル特性に優れるリチウム金属二次電池を提供することを目的とする。【解決手段】このリチウム金属二次電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間にあるセパレータと、電解液と、を有し、前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体を被覆する負極活物質層と、を有し、前記負極活物質層は、リチウムと合金又は化合物を形成する負極活物質と、バインダーと、を有し、X線光電子分光法(ESCA)を用いて前記負極活物質層の前記負極集電体に近い側の第1面を分析した際に前記電解液のみに由来する元素が検出されない。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム金属二次電池に関する。
リチウム二次電池は、携帯電話、ノートパソコン等のモバイル機器やハイブリットカー等の動力源としても広く用いられている。
負極に金属リチウムを用いるリチウム金属二次電池は、リチウム金属が析出、溶解することで充放電を行う。リチウム金属は極めて卑な電位を有するため、リチウム金属二次電池は高い理論容量密度を実現できると期待されている。
リチウム金属二次電池は、充電時に金属リチウムが析出する。金属リチウムは、析出開始点を根として樹状に析出する(デンドライトを形成する)場合がある。樹状に析出した金属リチウムは、リチウム金属二次電池の放電時に溶解する。樹状に析出した金属リチウムの枝の部分から金属リチウムが順に溶解すれば問題はないが、根元の部分が先に溶解する場合がある。この場合、根元を失った金属リチウムは非水電解液中に浮遊し、導通が取れなくなる。非水電解液中に浮遊する金属リチウムは、導通が取れないため、以降の充放電には寄与することができない。その結果、リチウム金属二次電池のサイクル特性は低減する。
特許文献1には、全固体電池において、負極集電体の表面にリチウムと合金又は化合物を形成できる物質で構成された負極活物質層を形成することが記載されている。特許文献1の全固体電池において、リチウムは負極活物質層の負極集電体側に析出する。特許文献1の全固体電池は、層間にリチウムが析出するため、リチウムの樹状析出を抑制でき、全固体電池のサイクル特性が向上する。
特開2019-96610号公報
特許文献1の全固体電池の構成を、電解液を含む液電池に適用すると、サイクル特性が十分に得られない場合があった。
本開示は上記問題に鑑みてなされたものであり、サイクル特性に優れるリチウム金属二次電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかるリチウム金属二次電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間にあるセパレータと、電解液と、を有し、前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体を被覆する負極活物質層と、を有し、前記負極活物質層は、リチウムと合金又は化合物を形成する負極活物質と、バインダーと、を有し、X線光電子分光法(ESCA)を用いて前記負極活物質層の前記負極集電体に近い側の第1面を分析した際に前記電解液のみに由来する元素が検出されない。
(2)第2の態様にかかるリチウム金属二次電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間にあるセパレータと、電解液と、を有し、前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体を被覆する負極活物質層と、を有し、前記負極活物質層は、リチウムと合金又は化合物を形成する負極活物質と、バインダーと、を有し、X線光電子分光法(ESCA)を用いて前記負極活物質層の前記負極集電体に近い側の第1面を分析した際に検出される前記電解液に由来する第1元素の存在比は、前記負極活物質層と同一構成で前記電解液と未接触の基準サンプルを同条件で分析した際に検出される前記第1元素の存在比の1.05倍以下である。
(3)第3の態様にかかるリチウム金属二次電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間にあるセパレータと、電解液と、を有し、前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体を被覆する負極活物質層と、を有し、前記負極活物質層は、リチウムと合金又は化合物を形成する負極活物質と、バインダーと、を有し、X線光電子分光法(ESCA)を用いて前記負極活物質層の前記負極集電体に近い側の第1面を分析した際に検出される前記電解液に由来する第1元素の存在比は、前記第1面と反対側の第2面を分析した際に検出される前記第1元素の存在比の1000分の1以下である。
(4)上記態様にかかるリチウム金属二次電池において、前記負極活物質層は、導電助剤をさらに備えてもよい。
(5)上記態様にかかるリチウム金属二次電池において、前記負極活物質は、金、白金、パラジウム、ケイ素、銀、アルミニウム、ビスマス、スズ及び亜鉛からなる群から選択されるいずれか1種以上を含んでもよい。
(6)上記態様にかかるリチウム金属二次電池において、前記負極活物質層におけるバインダーの質量比は、前記負極活物質層の総重量の15質量%以上60質量%以下であってもよい。
(7)上記態様にかかるリチウム金属二次電池において、前記バインダーは、前記電解液の吸液率が-5%以上10%以下であってもよい。
(8)上記態様にかかるリチウム金属二次電池は、充電時において、前記負極集電体と前記負極活物質層との間に、金属リチウム層をさらに有してもよい。
上記態様に係るリチウム金属二次電池は、サイクル特性に優れる。
第1実施形態に係るリチウム金属二次電池の模式図である。 第1実施形態に係るリチウム金属二次電池の負極の断面図である。 第1実施形態に係るリチウム金属二次電池の負極の充電後の断面図である。
以下、実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
「リチウム金属二次電池」
図1は、第1実施形態にかかるリチウム金属二次電池の模式図である。図1に示すリチウム金属二次電池100は、発電素子40と外装体50と非水電解液(図示略)とを備える。外装体50は、発電素子40の周囲を被覆する。発電素子40は、接続された一対の端子60、62によって外部と接続される。非水電解液は、外装体50内に収容され、発電素子40に含浸している。図1では、外装体50内に発電素子40が一つの場合を例示したが、発電素子40が複数積層されていてもよい。
(発電素子)
発電素子40は、セパレータ10と正極20と負極30とを備える。
<負極>
図2は、第1実施形態に係るリチウム金属二次電池100の負極30の断面図である。負極30は、例えば、負極集電体32と負極活物質層34とを有する。負極活物質層34は、負極集電体32の少なくとも一面に形成されている。
[負極集電体]
負極集電体32は、例えば、導電性の板材である。負極集電体32は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属薄板である。
[負極活物質層]
負極活物質層34は、負極集電体32の表面を被覆している。負極活物質層34は、負極集電体32と電解液とが直接接することを阻害する。
負極活物質層34は、充放電に寄与すると共に、負極集電体32への電極液の浸透を防ぐ。負極活物質層34が負極集電体32への電極液の浸透を防ぐことができるか否かは、例えば、X線光電子分光法(ESCA)を用いた第1面34Aの成分分析で判断できる。第1面34Aは、負極活物質層34の負極集電体32に近い側の面である。
例えば、X線光電子分光法(ESCA)を用いて第1面34Aを分析した際に電解液のみに由来する元素が検出されない場合は、負極活物質層34が電解液を浸透しないと言える。電解液のみに由来する元素とは、負極活物質層34を構成する要素(負極活物質及びバインダー)に含まれておらず、電解液(電解塩及び溶媒)には含まれている元素である。例えば、負極活物質層がポリビニルアルコール(PVA)、銀、カーボンブラックからなり、電解塩がLiPFの場合、リンは電解液のみに由来する元素である。
またX線光電子分光法(ESCA)は、例えば不純物等を検出する場合がある。そこで、X線光電子分光法(ESCA)を用いて特定の元素の有無を確認するのではなく、電解液との接触前後での特定の元素の存在比の変化で、負極活物質層34が電極液を浸透するか否かを判断してもよい。
例えば、電解液と接する前の基準サンプルにおける電解液に由来する第1元素の存在比と、電解液と接した後の負極活物質層34の第1面34Aにおける第1元素の存在比とを比較してもよい。一般に市販の電池は、負極活物質層34が電解液と接した後の状態である。この場合、負極活物質層34を分解、分析し、負極活物質層34と同一構成のサンプルを作製し、基準サンプルとする。
第1元素は、電解液に由来する元素である。例えば、電解塩に含まれるアニオン、溶媒に含まれるフッ素は、電解液に由来する。第1元素は、少なくとも電解液に含まれている元素である。電解液との接触前後の比較を行うため、第1元素は電解液以外(例えば、負極活物質層34)にも含まれるものでもよい。ただし、電解液のみに由来する元素がある場合は、当該元素を優先的に第1元素とする。
電解液が第1面34Aまで至らなければ、第1面34Aは電解液と接していないと言える。すなわち、第1面34Aにおける第1元素の存在比は、基準サンプルにおける第1元素の存在比と、誤差を除き変わらないはずである。負極活物質層34の第1面34Aにおける第1元素の存在比が、例えば、基準サンプルを同条件で分析した際に検出される第1元素の存在比の1.05倍以下であれば、負極活物質層34が電解液をほとんど浸透しないと言える。
また負極活物質層34の第1面34Aと第2面34Bとを比較してもよい。第2面34Bは、第1面34Aと対向する面である。第2面34Bは、電解液と接する面であり、電解液に由来する第1元素を含む。これに対し、第1面34Aは、原則、電解液と接しない面であり、電解液に由来する第1元素を含まない。すなわち、第1面34Aを分析した際に検出される第1元素の存在比が、第2面34Bを分析した際に検出される第1元素の存在比の1000分の1以下であれば、負極活物質層34が電解液をほとんど浸透しないと言える。
負極活物質層34の厚みは、例えば、1μm以上である。負極活物質層34の厚みは、例えば、5μm以上30μm以下である。負極活物質層34の厚さが厚くなると、電解液が第1面34Aに至りにくくなる。負極活物質層の密度は、例えば、1.7g/cm以上である。負極活物質層34の密度は、例えば、1.7g/cm以上5.0g/cm以下である。負極活物質層34の密度が高いと、電解液が第1面34Aに至りにくくなる。
負極活物質層34は、負極活物質とバインダーとを含む。負極活物質層34は、導電助剤をさらに含むことが好ましい。
負極活物質は、リチウムと合金又は化合物を形成できる物質である。負極活物質は、金、白金、パラジウム、ケイ素、銀、アルミニウム、ビスマス、スズ及び亜鉛からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む。負極活物質は、これらの単体金属、酸化物、炭化物等でもよい。
バインダーは、活物質同士を結合する。バインダーは硬化した際に、電解液を浸透又は浸潤しにくいものが好ましい。バインダーの吸液率は、例えば、-5%以上10%である。バインダーの吸液率は、リチウム金属二次電池100に使用する電解液に対する吸液率である。吸液率は、電解液に浸漬前、後のバインダーが硬化した硬化物の重量を測定して、吸液率(%)=[(電解液に浸漬後の硬化物重量-電解液に浸漬前の硬化物重量)/電解液に浸漬前の硬化物重量]×100で求められる。吸液率は、バインダーを飽和吸液状態にして測定する。飽和吸液状態は、それ以上に電解液を浸漬してもバインダーの重量が増えない状態である。吸液率を求める際の電解液への浸漬は、25℃、1週間行う。25℃、1週間の浸漬を行うことにより硬化物が飽和吸液状態となる。吸液率が-5%以上10%未満であると、硬化物は電解液に溶解・膨潤しないためバインダーとして機能を果たすことができ、電解液が第1面34Aに至ることをより抑制できる。これに対し、吸液率が-5%未満では、バインダーが電解液に溶解しやすいことを示し、安定性に欠ける。また、吸液率が10%以上では、バインダーが電解液を吸液しているため電解液耐性に劣り、膨潤してしまいバインダーとしての機能が低下する。
バインダーは、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド(PI)、ポリアクリル酸(PAA)等である。バインダーに架橋剤を添加してもよい。バインダーの粘度平均分子量は、例えば、30000以上であり、好ましくは70000以上である。
負極活物質層34におけるバインダーの質量比は、例えば、負極活物質層34の総重量の6%以上であり、好ましくは15質量%以上60質量%以下である。負極活物質層34が十分なバインダーを含むことで、電解液の浸透を防ぐことができる。負極活物質層34を占めるバインダーの割合が高すぎると、電子及びイオンの伝導性が低下する。
導電助剤は、例えば、炭素材料、金属微粉、導電性酸化物等である。例えば、無定形炭素は導電助剤として好適に用いられる。カーボンブラック、アセチレンブラックは、導電助剤の一例である。
図3は、第1実施形態に係るリチウム金属二次電池100の負極30の充電後の断面図である。図3に示す負極30は、負極集電体32と負極活物質層34との間に、金属リチウム層36を備える。
リチウム金属二次電池100を充電すると電解液からリチウムイオンが供給される。リチウムイオンは、第2面34Bから負極活物質層34に至る。負極活物質層34内には、負極活物質がある。充電の初期では、リチウムイオンは、負極活物質と化合し、合金又は化合物を形成する。負極活物質層の充電容量を超えると、リチウムイオンは第1面34Aに至り、負極集電体32と負極活物質層34との間に析出する。金属リチウム層36は、析出したリチウムによって形成される。リチウムは金属リチウム層36として層間に析出するため、デンドライトは形成されにくい。
<正極>
正極20は、例えば、正極集電体22と正極活物質層24とを有する。正極活物質層24は、正極集電体22の少なくとも一面に接する。
[正極集電体]
正極集電体22は、例えば、導電性の板材である。正極集電体22は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属薄板である。
[正極活物質層]
正極活物質層24は、例えば、正極活物質を含む。正極活物質層24は、必要に応じて、導電助剤、バインダーを含んでもよい。
正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとカウンターアニオンのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を含む。
正極活物質は、例えば、複合金属酸化物である。複合金属酸化物は、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMnの化合物(一般式中においてx+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<x+y+z<1.1)である。正極活物質は、有機物でもよい。例えば、正極活物質は、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセンでもよい。
正極活物質は、リチウム非含有の材料でもよい。リチウム非含有の材料は、例えば、FeF、有機導電性物質を含む共役系ポリマー、シェブレル相化合物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物、ニオブ酸化物等である。リチウム非含有の材料は、いずれか一つの材料のみを用いてもよいし、複数組み合わせて用いてもよい。正極活物質がリチウム非含有の材料の場合は、例えば、最初に放電を行う。放電により正極活物質にリチウムが挿入される。このほか、正極活物質がリチウム非含有の材料に対して、化学的又は電気化学的にリチウムをプレドープしてもよい。
導電助剤は、正極活物質の間の電子伝導性を高める。導電助剤は、負極30と同様のものを用いることができる。
正極活物質層24における導電助剤の含有率は特に限定されない。例えば、正極活物質、導電助剤、バインダーの総質量に対して導電助剤の含有率は、0.5質量%以上20質量%以下であり、好ましくは1質量%以上5質量%以下である。
正極活物質層24におけるバインダーは、正極活物質同士を結合する。バインダーは、公知のものを用いることができる。またバインダーは、負極活物質層34に用いられるものと同様のものでもよい。バインダーは、電解液に溶解せず、耐酸化性を有し、接着性を有するものが好ましい。バインダーは、例えば、フッ素樹脂である。バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリル酸及びその共重合体、ポリアクリル酸及びその共重合体の金属イオン架橋体、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)、これらの混合物である。正極活物質層に用いるバインダーは、PVDFが特に好ましい。
正極活物質層24におけるバインダーの含有率は特に限定されない。例えば、正極活物質、導電助剤、バインダーの総質量に対してバインダーの含有率は、1質量%以上15質量%以下であり、好ましくは1.5質量%以上5質量%以下である。バインダーの含有率が少ないと、正極20の接着強度が弱まる。バインダーの含有率が高いと、バインダーは電気化学的に不活性で放電容量に寄与しないため、リチウム金属二次電池100のエネルギー密度が低くなる。
<セパレータ>
セパレータ10は、正極20と負極30とに挟まれる。セパレータ10は、正極20と負極30とを隔離し、正極20と負極30との短絡を防ぐ。セパレータ10は、正極20及び負極30に沿って面内に広がる。リチウムイオンは、セパレータ10を通過できる。
セパレータ10は、例えば、電気絶縁性の多孔質構造を有する。セパレータ10は、例えば、ポリオレフィンフィルムの単層体、積層体である。セパレータ10は、ポリエチレンやポリプロピレン等の混合物の延伸膜でもよい。セパレータ10は、セルロース、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布でもよい。セパレータ10は、例えば、固体電解質であってもよい。固体電解質は、例えば、高分子固体電解質、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質である。セパレータ10は、無機コートセパレータでもよい。無機コートセパレータは、上記のフィルムの表面に、PVDFやCMCなど樹脂とアルミナやシリカなどの無機物の混合物を塗布したものである。無機コートセパレータは、耐熱性に優れ、正極から溶出した遷移金属の負極表面への析出を抑制する。
<電解液>
電解液は、外装体50内に封入され、発電素子40に含浸している。非水電解液は、例えば、非水溶媒と電解塩とを有する。電解塩は、非水溶媒に溶解している。
溶媒は、一般にリチウム金属二次電池に用いられている溶媒であれば特に限定はない。溶媒は、例えば、例えば、炭酸エステル、カルボン酸エステル、環状エステル、鎖状スルホン酸エステル、環状スルホン酸エステル、ニトリル化合物、鎖状エーテル、環状エーテル、ハイドロフルオロエーテル、リン酸エステル類、ホスホン酸エステル類、フッ素化エーテル類である。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
炭酸エステルは、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジ-n-プロピルカーボネート、メチル-n-プロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチル-n-プロピルカーボネート、エチルイソプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、3-フルオロプロピルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、4-クロロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-トリフルオロメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、ビニレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート等である。
カルボン酸エステルは、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル等である。環状エステルは、例えば、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等である。鎖状スルホン酸エステルは、例えば、ジメチルスルホキシド、亜硫酸ジメチル等である。環状スルホン酸エステルは、例えば、スルホラン、プロパンサルトン等である。
ニトリル化合物は、例えば、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリル、スクシノニトリル等である。鎖状エーテルは、例えば、1,2-ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、ジプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、トリグライム、テトラグライム等である。環状エーテルは、例えば、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン等である。
ハイドロフルオロエーテルは、例えば、1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル等である。リン酸エステル類は、例えば、リン酸トリエチル、リン酸トリメチル等である。ホスホン酸エステル類は、例えば、メチルホスホン酸ジメチル等である。フッ素化エーテル類は、例えば、1,1,2,2-テトラフルオロエチル2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、2,2,2-トリフルオロエチルエーテル、ジフルオロメチル2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロ-3-メトキシ-4-(トリフルオロメチル)ペンタン等である。
リチウム塩の溶解性の観点から、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2―ジメトキシエタン、トリグライム、テトラグライム、アセトニトリルを溶媒に用いることが好ましい。
また溶媒は、イオン液体を含んでもよい。イオン液体として、例えば、-30℃~120℃で液体であるカチオン種とアニオン種とを含む化合物を使用できる。
窒素を含む窒素系カチオン、リンを含むリン系カチオン、硫黄を含む硫黄系カチオンは、カチオン種の一例である。これらのカチオン種は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。イミダゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、アゾニアスピロカチオンなど鎖状又は環状のアンモニウムカチオンは、窒素系カチオンの一例である。鎖状又は環状のホスホニウムカチオンは、リン系カチオンの一例である。鎖状又は環状のスルホニウムカチオンは、硫黄系カチオンの一例である。
AlCl 、NO 、NO 、I、BF 、PF 、AsF 、SbF 、NbF 、TaF 、F(HF)2.3 、CHCO 、CFCO 、CHSO 、CFSO 、(CFSO、CCO 、CSO 、(CFSO)(CFCO)N、(CN)、次式で表されるイミドアニオン((SO(CFF)(SO(CFF)N(ただし、xとyはそれぞれ独立しており、0~5の整数を示す。))、等は、アニオン種の一例である。これらのアニオン種は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
電解質は、例えば、リチウム塩である。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiSOCF、LiN(SOF)、LiN(SOCF、LiN(SOF)(SOCF)、LiN(SOCFCF、LiC(SOCFCF、LiC(SOCF、LiI、LiCl、LiF、LiPF(SOCF)、LiPF(SOCF等が挙げられる。等である。リチウム塩は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。電離度の観点から、電解質はLiPFやLiN(FSOを含むことが好ましい。
電解液は、例えば、粘度が2~380mPa・s程度あることが好ましい。また、リチウム塩の濃度は、0.8~5.0mol/L程度であることが好ましい。
<外装体>
外装体50は、その内部に発電素子40及び電解液を密封する。外装体50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウム金属二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止する。
外装体50は、例えば図1に示すように、金属箔52と、金属箔52の各面に積層された樹脂層54と、を有する。外装体50は、金属箔52を高分子膜(樹脂層54)で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムである。
金属箔52としては例えばアルミ箔を用いることができる。樹脂層54には、ポリプロピレン等の高分子膜を利用できる。樹脂層54を構成する材料は、内側と外側とで異なっていてもよい。例えば、外側の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)等を用い、内側の高分子膜の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を用いることができる。
<端子>
端子60、62は、それぞれ正極20と負極30とに接続されている。正極20に接続された端子60は正極端子であり、負極30に接続された端子62は負極端子である。端子60、62は、外部との電気的接続を担う。端子60、62は、アルミニウム、ニッケル、銅等の導電材料から形成されている。接続方法は、溶接でもネジ止めでもよい。端子60、62は短絡を防ぐために、絶縁テープで保護することが好ましい。
「リチウム金属二次電池の製造方法」
リチウム金属二次電池100は、負極30、正極20、セパレータ10、電解液、外装体50をそれぞれ準備し、これらを組み上げて作製される。以下、リチウム金属二次電池100の製造方法の一例を説明する。
負極30は、例えば、スラリー作製工程、塗布工程、乾燥工程、圧延工程を順に行って作製される。
スラリー作製工程は、負極活物質、バインダー、導電助剤及び溶媒を混合してスラリーを作る工程である。溶媒は、例えば、水、N-メチル-2-ピロリドン等である。
電極塗布工程は、負極集電体32の表面に、スラリーを塗布する工程である。スラリーの塗布方法は、特に制限はない。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法をスラリーの塗布方法として用いることができる。
乾燥工程は、スラリーから溶媒を除去する工程である。例えば、スラリーが塗布された負極集電体32を、80℃~150℃の雰囲気下で乾燥させる。スラリーが乾燥することで、負極集電体32上に負極活物質層34が形成される。
圧延工程は、必要に応じて行われる。圧延工程は、負極活物質層34に圧力を加え、負極活物質層34の密度を調整する工程である。圧延工程は、例えば、ロールプレス装置等で行われる。
バインダー種類、バインダーの混合率、圧延時の圧力を調整することで、負極活物質層34の電解液の浸透率を調整できる。
正極20は、正極集電体22上に正極活物質を含むスラリーを塗布、乾燥して作製する。正極活物質を含むスラリーは、正極活物質、バインダー及び溶媒を含み、必要に応じて導電助剤が混合されている。
次いで、スラリーを正極集電体22に塗布する。スラリーの塗布方法は、負極のスラリーの塗布方法と同様である。続いて、正極集電体22に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去方法は特に限定されない。例えば、塗料が塗布された正極集電体22を、80℃~150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。そして、正極集電体22上に正極活物質層24が形成された正極20が得られる。
次いで、作製した正極20及び負極30の間にセパレータ10が位置するようにこれらを積層して、発電素子40を作製する。発電素子40が捲回体の場合は、正極20、負極30及びセパレータ10の一端側を軸として、これらを捲回する。
最後に、発電素子40を外装体50に封入する。電解液は外装体50内に注入する。電解液を注入後に減圧、加熱等を行うことで、発電素子40内に非水電解液が含浸する。熱等を加えて外装体50を封止することで、リチウム金属二次電池100が得られる。なお、外装体50に電解液を注入するのではなく、発電素子40を電解液に含浸した後に、外装体50で発電素子40を被覆してもよい。
第1実施形態にかかるリチウム金属二次電池100は、サイクル特性に優れる。サイクル特性が向上する理由の一つは、リチウムが負極集電体32と負極活物質層34との間に析出することで、デンドライトが形成されにくいためである。また電解液と負極集電体32との間に電解液を浸透しにくい負極活物質層34があることで、電解液と負極集電体32とが直接接することが防止されていることも、サイクル特性が向上する理由の一つである。電解液と負極集電体32とが直接接することが防止されると、電解液の分解が抑制され、リチウム金属二次電池100のサイクル特性が向上する。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
「実施例1」
厚さ15μmのアルミニウム箔の一面に、正極スラリーを塗布した。正極スラリーは、正極活物質と導電助剤とバインダーと溶媒とを混合して作製した。
正極活物質は、NCA(組成式:Li1.0Ni0.78Co0.19Al0.03)を用いた。導電助剤は、カーボンブラックを用いた。バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた。溶媒は、N-メチル-2-ピロリドンを用いた。正極活物質と導電材とバインダーの質量比は、95:2:3とした。乾燥後の正極活物質層における正極活物質の担持量は、25mg/cmとした。正極スラリーから乾燥炉内で溶媒を除去し、正極活物質層を作製した。正極活物質層をロールプレスで加圧し、正極を作製した。
次いで、厚さ10μmの銅箔の一面に、負極スラリーを塗布した。負極スラリーは、負極活物質と導電助剤とバインダーと溶媒とを混合して作製した。負極スラリーから溶媒を除去し、負極活物質層を作製した。負極活物質層の厚みは20μmであり、密度は1.4g/cmであった。
負極活物質は、Agを用いた。導電助剤は、カーボンブラックを用いた。負極活物質と導電助剤とは、負極活物質:導電助剤=1:3の割合で混合した。負極活物質と導電助剤の混合体の質量比は、62.3質量%とした。
バインダーは、重量平均分子量mwが30000のポリビニルアルコール(PVA)と水系架橋剤(DM6400、明成化学工業株式会社製)とを用いた。バインダーの質量比は、37.7質量%とした。バインダーの吸液率は、3%であった。溶媒は、N-メチル-2-ピロリドンを用いた。
次いで、電解液を準備した。溶媒は、体積比でエチレンカーボネート(EC):ジエチルカーボネート(DEC)=30:70となるように混合したものを用いた。電解塩は、LiPFを用いた。LiPFの濃度は1mol/Lとした。
(評価用リチウム金属二次電池の作製)
作製した負極と正極とを、正極活物質層と負極活物質層とが互いに対向するように、セパレータ(多孔質ポリエチレンシート)を介して積層して積層体を得た。積層体の負極に、ニッケル製の負極リードを取り付けた。積層体の正極に、アルミニウム製の正極リードを取り付けた。正極リード及び負極リードは、超音波溶接機によって溶接した。この積層体を、アルミラミネートフィルムの外装体内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成した。そして、最後に、外装体内に上記電解液を注入した後に、残りの1箇所を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封して、リチウム金属二次電池を作製した。
(100サイクル後容量維持率の測定)
リチウム金属二次電池のサイクル特性を測定した。サイクル特性は、二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用いて行った。
充電レート1.0C(25℃で定電流充電を行ったときに1時間で充電終了となる電流値)の定電流充電で電池電圧が4.4Vとなるまで充電を行い、放電レート1.0Cの定電流放電で電池電圧が3.0Vとなるまで放電を行った。充放電終了後の放電容量を検出し、サイクル試験前の電池容量Qを求めた。
上記で電池容量Qを求めた電池を、再び二次電池充放電試験装置を用い、充電レート1.0Cの定電流充電で電池電圧が4.4Vとなるまで充電を行い、放電レート1.0Cの定電流放電で電池電圧が3.0Vとなるまで放電を行った。上記充放電を1サイクルとカウントし、100サイクルの充放電を行った。その後、100サイクル充放電終了後の放電容量を検出し、100サイクル後の電池容量Qを求めた。
上記で求めた容量Q、Qから、100サイクル後の容量維持率Eを求めた。容量維持率Eは、E=Q/Q×100 で求められる。実施例1の容量維持率は、88.4%であった。
そして、サイクル試験後のリチウム金属二次電池を分解して評価を行った。まず走査型電子顕微鏡を用いて、リチウム金属二次電池の断面を確認した。負極集電体32と負極活物質層34との間に、金属リチウム層36が存在することを確認した。また負極活物質層34の第1面34AをESCAで評価した。その結果、電解液のみに存在するリンは、第1面34Aには確認されなかった。したがって、電解液が負極活物質層34の第1面34Aまで至っていないことを確認した。
「実施例2~4」
実施例2~4は、負極活物質と導電助剤の混合比率、負極活物質及びバインダーの質量比を変えた点が実施例1と異なる。その他の条件を実施例1と同様として、サイクル特性の評価及びリチウム金属二次電池の分解評価を行った。
「実施例5~9」
実施例5~9は、バインダーに用いるポリビニルアルコール(PVA)の重量平均分子量mwを70000とした。そして、負極活物質と導電助剤の混合比率、負極活物質及びバインダーの質量比を変えて、実施例1と同様に、サイクル特性の評価及びリチウム金属二次電池の分解評価を行った。
「実施例10~13」
実施例10~13は、バインダーに用いるポリビニルアルコール(PVA)の重量平均分子量mwを160000とした。そして、負極活物質と導電助剤の混合比率、負極活物質及びバインダーの質量比を変えて、実施例1と同様に、サイクル特性の評価及びリチウム金属二次電池の分解評価を行った。
「実施例14~15」
実施例14~15は、バインダーをポリアクリル酸(PAA)とした。ポリアクリル酸は、住友精化株式会社製のアクアチャージを用いた。そして、負極活物質と導電助剤の混合比率、負極活物質及びバインダーの質量比を変えて、実施例1と同様に、サイクル特性の評価及びリチウム金属二次電池の分解評価を行った。
「実施例16~19」
実施例16~19は、バインダーをポリイミドとした。ポリイミドは、三菱ガス化学株式会社製のネオプリムS100を用いた。負極活物質と導電助剤の混合比率、負極活物質及びバインダーの質量比を変えて、実施例1と同様に、サイクル特性の評価及びリチウム金属二次電池の分解評価を行った。
「実施例20」
実施例20は、バインダーに用いるポリビニルアルコール(PVA)の重量平均分子量mwを160000とし、水系架橋剤を加えなかった。負極活物質と導電助剤とは、負極活物質:導電助剤=1:3の割合で混合した。負極活物質と導電助剤の混合体の質量比は、67.6質量%とした。バインダーの質量比は、32.4質量%とした。実施例20も実施例1と同様に、サイクル特性の評価及びリチウム金属二次電池の分解評価を行った。
「実施例21~28」
実施例21~28は、負極活物質の種類を変えた。またバインダーの分子量、負極活物質と導電助剤の混合比率、負極活物質及びバインダーの質量比も適宜変更して、実施例1と同様に、サイクル特性の評価及びリチウム金属二次電池の分解評価を行った。
「比較例1」
比較例1は、バインダーをポリフッ化ビニリデン(PVDF)とした。ポリフッ化ビニリデンは、株式会社クレハ製のKF#7305を用いた。負極活物質と導電助剤とは、負極活物質:導電助剤=1:2の割合で混合した。負極活物質と導電助剤の混合体の質量比は、57.1質量%とした。バインダーの質量比は、42.9質量%とした。
比較例1も実施例1と同様に、サイクル特性の評価及びリチウム金属二次電池の分解評価を行った。比較例1は、負極活物質層34の第1面34Aにおいて、電解液のみに存在するリンが確認された。同条件で作製し電解液と未接触のバインダーはリンが確認されなかったため、第1面34A側まで電解液が浸透したと考えられる。
「比較例2」
比較例2は、重量平均分子量mwが70000のポリビニルアルコール(PVA)、水系架橋剤(DM6400、明成化学工業株式会社製)、Ag、カーボンブラックで負極活物質層34を作製した。Ag(負極活物質):カーボンブラック(導電助剤)=1:1の割合で混合した。負極活物質層34における負極活物質と導電助剤の混合体の質量比は94.4質量%とし、バインダーの質量比は5.6質量%とした。
比較例2も実施例1と同様に、サイクル特性の評価及びリチウム金属二次電池の分解評価を行った。比較例2は、負極活物質層34の第1面34Aにおいて、電解液のみに存在するリンが確認された。同条件で作製し電解液と未接触のバインダーはリンが確認されなかったため、第1面34A側まで電解液が浸透したと考えられる。また比較例2は、バインダーの質量比が少なく、電池の特性評価を行うことができなかった。
「比較例3」
比較例3は、重量平均分子量mwが70000のポリビニルアルコール(PVA)、水系架橋剤(DM6400、明成化学工業株式会社製)、カーボンブラックで負極活物質層34を作製した。すなわち、負極活物質層34に負極活物質を添加しなかった。負極活物質層34における導電助剤の質量比は45.0質量%とし、バインダーの質量比は、55.0質量%とした。
比較例3も実施例1と同様に、サイクル特性の評価及びリチウム金属二次電池の分解評価を行った。比較例3は、負極活物質層34の第1面34Aにおいて、電解液のみに存在するリンが確認されなかった。一方で、負極集電体32と負極活物質層34との間に、金属リチウム層36は確認できなかった。
「比較例4」
比較例4は、上記のポリイミド(PI)、Agで負極活物質層34を作製した。負極活物質層34における負極活物質の質量比は57.0質量%とし、バインダーの質量比は43.0質量%とした。
比較例4も実施例1と同様に、サイクル特性の評価及びリチウム金属二次電池の分解評価を行った。比較例4は、負極活物質層34の第1面34Aにおいて、電解液のみに存在するリンが確認された。同条件で作製し電解液と未接触のバインダーはリンが確認されなかったため、第1面34A側まで電解液が浸透したと考えられる。また比較例4は、導電助剤を含まず、リチウムイオンの伝導性が十分確保できなかったため、電池の特性評価を行うことができなかった。
以下の表1に、実施例1~28及び比較例1~4の条件及び評価結果をまとめた。表1において、CBはカーボンブラックである。電解液浸透性は、負極活物質層34の第1面34Aで電解液由来のリンが確認されなかった場合を「〇」とし、確認された場合を「×」として記載した。また金属リチウム層36の有無は、金属リチウム層36が確認されたものを「有」、確認されなかったものを「無」とした。またサイクル特性は、サイクル特性の低下が大きいサンプルは、100サイクルを行う前に試験を中止した。行ったサイクル回数を表1に示す。
Figure 2023040539000002
10 セパレータ
20 正極
22 正極集電体
24 正極活物質層
30 負極
32 負極集電体
34 負極活物質層
34A 第1面
34B 第2面
36 金属リチウム層
40 発電素子
50 外装体
52 金属箔
54 樹脂層
60、62 端子
100 リチウム金属二次電池

Claims (8)

  1. 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間にあるセパレータと、電解液と、を有し、
    前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体を被覆する負極活物質層と、を有し、
    前記負極活物質層は、リチウムと合金又は化合物を形成する負極活物質と、バインダーと、を有し、
    X線光電子分光法(ESCA)を用いて前記負極活物質層の前記負極集電体に近い側の第1面を分析した際に前記電解液のみに由来する元素が検出されない、リチウム金属二次電池。
  2. 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間にあるセパレータと、電解液と、を有し、
    前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体を被覆する負極活物質層と、を有し、
    前記負極活物質層は、リチウムと合金又は化合物を形成する負極活物質と、バインダーと、を有し、
    X線光電子分光法(ESCA)を用いて前記負極活物質層の前記負極集電体に近い側の第1面を分析した際に検出される前記電解液に由来する第1元素の存在比は、前記負極活物質層と同一構成で前記電解液と未接触の基準サンプルを同条件で分析した際に検出される前記第1元素の存在比の1.05倍以下である、リチウム金属二次電池。
  3. 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間にあるセパレータと、電解液と、を有し、
    前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体を被覆する負極活物質層と、を有し、
    前記負極活物質層は、リチウムと合金又は化合物を形成する負極活物質と、バインダーと、を有し、
    X線光電子分光法(ESCA)を用いて前記負極活物質層の前記負極集電体に近い側の第1面を分析した際に検出される前記電解液に由来する第1元素の存在比は、前記第1面と反対側の第2面を分析した際に検出される前記第1元素の存在比の1000分の1以下である、リチウム金属二次電池。
  4. 前記負極活物質層は、導電助剤をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウム金属二次電池。
  5. 前記負極活物質は、金、白金、パラジウム、ケイ素、銀、アルミニウム、ビスマス、スズ及び亜鉛からなる群から選択されるいずれか1種以上を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のリチウム金属二次電池。
  6. 前記負極活物質層におけるバインダーの質量比は、前記負極活物質層の総重量の15質量%以上60質量%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のリチウム金属二次電池。
  7. 前記バインダーは、前記電解液の吸液率が-5%以上10%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載のリチウム金属二次電池。
  8. 充電時において、前記負極集電体と前記負極活物質層との間に、金属リチウム層をさらに有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のリチウム金属二次電池。
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