JP2023040316A - 表面処理金属箔及び金属張積層板 - Google Patents

表面処理金属箔及び金属張積層板 Download PDF

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誠 堀口
Makoto Horiguchi
徹 花田
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Abstract

【課題】フッ素系樹脂(特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂)との密着性、及び耐熱性に優れた表面処理金属箔を提供する。【解決手段】金属箔と、金属箔の少なくとも一方の表面に設けられる表面処理層とを備えた表面処理金属箔であって、表面処理層は、Zn含有量が0mg/m2以上10.0mg/m2以下、Cr含有量が1.0mg/m2以上7.0mg/m2以下であり、表面処理層の金属箔と反対側の表面における、X線光電子分光法(XPS)により測定される、Siに対するNの原子比率であるN/Si比が0.80以上5.0以下であり、かつ、表面処理層の金属箔と反対側の表面における、JIS B 0601-1982に準拠して測定される十点平均粗さRzが0.50μm以上8.00μm以下である、表面処理金属箔。【選択図】なし

Description

本発明は、表面処理金属箔及び金属張積層板に関する。
プリント配線板の製造工程において、金属箔(例えば銅箔)は絶縁樹脂基材と張り合わされた金属張積層板の形態で広く使用されている。この点、プリント配線板製造時に配線の剥がれが生じるのを防ぐために、金属箔と絶縁樹脂基材とは高い密着力を有することが望まれる。そこで、通常のプリント配線板製造用金属箔では、金属箔の張り合わせ面に表面処理(粗化処理)を施して微細な金属粒子(例えば銅粒子)からなる凹凸を形成し、この凹凸をプレス加工により絶縁樹脂基材の内部に食い込ませてアンカー効果を発揮させることで、密着性を向上している。
例えば、特許文献1(特開2011-38168号公報)には、未処理銅箔の一方の表面に金属銅による一次粗化処理が施された一次粗化面、金属銅による二次粗化処理が施された二次粗化面、金属亜鉛による三次処理が施された三次処理面が順に設けられた耐熱性銅箔が開示されている。かかる銅箔によれば、密着強度の出し難いテフロン(登録商標)系樹脂やフィラー含有量の多いガラスエポキシ系樹脂との密着強度に優れるとともに、伸縮塑性と耐熱性を兼ね備えるとされている。
また、金属箔の劣化防止や絶縁樹脂基材との密着性向上等を目的として、金属箔表面に防錆処理やクロメート処理、シランカップリング剤処理等の各種表面処理を行うことも知られている。例えば、特許文献2(国際公開第2004/005588号)には、電解銅箔層がニッケル-亜鉛合金からなる防錆処理層を備えることを特徴とするキャリア箔付電解銅箔が開示されており、かかる銅箔によればポリイミド系樹脂等の特殊基材に対しても密着強度を確保できるとされている。また、特許文献2には、クロメート層とシランカップリング剤吸着層が、絶縁層との密着性をさらに向上させ、耐湿性や耐薬品性の向上を図ることができることも開示されている。さらに、特許文献3(特許第6413039号公報)には、シラン化合物の表面処理層を銅箔表面上に有する表面処理銅箔が開示されており、表面処理層をTOF-SIMSによって測定した際に所定の質量数の位置にピークが検出されるものであると、樹脂基材に対する表面処理銅箔の接着性を向上させることができるとされている。
特開2011-38168号公報 国際公開第2004/005588号 特許第6413039号公報
ところで、近年の携帯用電子機器等の高機能化に伴い、大量の情報の高速処理をすべくデジタルかアナログかを問わず信号の高周波化が進んでおり、高周波用途に適したプリント配線板が求められている。このような高周波用プリント配線板には、高周波信号を品質低下させずに伝送可能とするために、伝送損失の低減が望まれる。プリント配線板は配線パターンに加工された金属箔と絶縁基材とを備えたものであるが、伝送損失は、金属箔に起因する導体損失と、絶縁基材に起因する誘電損失とから主としてなる。したがって、絶縁基材に起因する誘電損失を低減すべく、誘電正接の低い絶縁基材を用いることができれば好都合である。このような誘電正接の低い材料としてフッ素系樹脂(特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂)が挙げられる。しかしながら、フッ素系樹脂は金属箔との化学的密着力が低いため金属箔-絶縁基材間の剥離強度が低下しやすく、とりわけはんだ付け工程等の熱処理後における剥離強度の低下が問題となる。
本発明者らは、今般、所定の表面粗さを有する表面処理層を備えた金属箔において、表面処理に由来するZnの量を所定の値以下とし、かつ、処理表面におけるCrの量と、Siに対するNの原子比率とをそれぞれ所定の範囲内に制御することで、フッ素系樹脂(特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂)との密着性、及び耐熱性に優れた、表面処理金属箔を提供できるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、フッ素系樹脂(特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂)との優れた密着性、及び耐熱性に優れた表面処理金属箔を提供することにある。
本発明の一態様によれば、
金属箔と、前記金属箔の少なくとも一方の表面に設けられる表面処理層とを備えた表面処理金属箔であって、
前記表面処理層は、Zn含有量が0mg/m以上10.0mg/m以下、Cr含有量が1.0mg/m以上7.0mg/m以下であり、
前記表面処理層の前記金属箔と反対側の表面における、X線光電子分光法(XPS)により測定される、Siに対するNの原子比率であるN/Si比が0.80以上5.0以下であり、かつ、
前記表面処理層の前記金属箔と反対側の表面における、JIS B 0601-1982に準拠して測定される十点平均粗さRzが0.50μm以上8.00μm以下である、表面処理金属箔が提供される。
本発明の他の一態様によれば、前記表面処理金属箔と、前記表面処理層の前記金属箔と反対側の表面に設けられるフッ素系樹脂基材とを備えた、金属張積層板が提供される。
定義
本発明を特定するために用いられる用語ないしパラメータの定義を以下に示す。
本明細書において「十点平均粗さRz」とは、JIS B 0601-1982に準拠して測定されるパラメータであり、基準長さの断面曲線において、最高の山頂から高いものから順に5番目までの山高さの平均と、最深の谷底から深いものから順に5番目までの谷深さの平均との和を表す。
本明細書において「最大高さRmax」とは、JIS B 0601-1982に準拠して測定されるパラメータであり、基準長さの断面曲線において、最高の山頂から最深の谷底までの距離を表す。
十点平均粗さRz及び最大高さRmaxはいずれも、後述する実施例で言及されるように、市販の触針式表面粗さ測定機を用いて測定することができる。
本明細書において「M含有量(MはZn、Ni、Cr又はAs)」とは、表面処理層中に存在する単位面積当たりのMの重量(mg/m)である。M含有量は、後述する実施例で言及されるように、表面処理層を有する側の金属箔表面における所定の面積(例えば25cm(5cm×5cm))を酸で溶解し、得られた溶解液中のM濃度をICP発光分析法に基づいて分析することにより算出することができる。
本明細書において「N/Si比」とは、表面処理層におけるSiに対するNの原子比率を表す。N/Si比は、後述する実施例で言及するように、表面処理金属箔の表面処理層側の表面に対してX線光電子分光(XPS)により元素分析を行い、表面処理層におけるSi元素及びN元素の存在割合(atom%)をそれぞれ測定することにより決定することができる。
本明細書において、電解箔の「電極面」とは電解箔(例えば電解銅箔)作製時に陰極と接していた側の面を指す。
本明細書において、電解箔の「析出面」とは電解箔作製時に電解金属(例えば電解銅)が析出されていく側の面、すなわち陰極と接していない側の面を指す。
表面処理金属箔
本発明の表面処理金属箔は、金属箔と、この金属箔の少なくとも一方の表面に設けられる表面処理層とを備える。表面処理層は金属箔の片面に設けられるものであってもよいし、金属箔の両面に設けられるものであってもよい。表面処理層は、Zn含有量が0mg/m以上10.0mg/m以下、及びCr含有量が1.0mg/m以上7.0mg/m以下である。表面処理金属箔は、表面処理層の金属箔と反対側の表面(典型的には表面処理層の外側表面)における、X線光電子分光法(XPS)により測定される、Siに対するNの原子比率であるN/Si比が0.80以上5.0以下である。そして、表面処理金属箔は、表面処理層の金属箔と反対側の表面における十点平均粗さRzが0.50μm以上8.00μm以下である。このように、所定の表面粗さを有する表面処理層を備えた金属箔において、表面処理に由来するZnの量を所定の値以下とし、かつ、処理表面におけるCrの量と、Siに対するNの原子比率とをそれぞれ上記所定の範囲内に制御することで、フッ素系樹脂(特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂)との密着性、及び耐熱性(例えば熱負荷後の密着性)に優れた表面処理金属箔を提供できる。
上述したとおり、フッ素系樹脂は誘電正接が低いという利点を有するものの、金属箔との化学的密着力が低い。このため、本来的には金属箔-絶縁基材間の十分な剥離強度を確保することが困難であるが、本発明の表面処理金属箔によれば予想外にもフッ素系樹脂との優れた密着性、及び優れた耐熱性を発揮することが可能となる。すなわち、上記問題を本発明者らが鋭意検討した結果、金属箔に施されうる表面処理(典型的には防錆処理)に由来するZnが、フッ素系樹脂と金属箔との密着性を低下させる主たる要因であることを突き止めた。また、本発明者らは、同じく金属箔に施されうる表面処理(典型的にはクロメート処理)に由来するCrの量を上記所定の範囲に制御すること、及び処理表面のN/Si比を上記所定の範囲に制御することにより、フッ素系樹脂と金属箔との密着性を向上できることを知見した。そうでありながらも、本発明の表面処理金属箔は、表面処理層の外側表面における十点平均粗さRzが0.50μm以上8.00μm以下という低い粗度を有する。このため本発明の表面処理金属箔は高周波用プリント配線板用金属箔として極めて適する。
上記観点から、表面処理金属箔は、表面処理層の金属箔と反対側の表面に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂基材を25℃、371kgf/cmの圧力で30分間真空プレスした後における、ポリテトラフルオロエチレン樹脂基材及び表面処理金属箔間の常態剥離強度が0.50kgf/cm以上であるのが好ましく、より好ましくは0.70kgf/cm以上、さらに好ましくは0.90kgf/cm以上、特に好ましくは1.00kgf/cm以上である。上記条件における常態剥離強度の上限値は特に限定されるものではないが、典型的には1.80kgf/cm以下である。また、表面処理金属箔は、表面処理層の金属箔と反対側の表面に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂基材を25℃、371kgf/cmの圧力で30分間真空プレスした後における、はんだフロー後剥離強度が0.50kgf/cm以上であるのが好ましく、より好ましくは0.70kgf/cm以上、さらに好ましくは0.95kgf/cm以上、特に好ましくは1.00kgf/cm以上である。上記条件におけるはんだフロー後剥離強度の上限値は特に限定されるものではないが、典型的には1.80kgf/cm以下である。常態剥離強度及びはんだフロー後剥離強度の測定は、JIS C 6481-1996に準拠して、後述する実施例に記載される諸条件に従って行うことができる。
表面処理層は、Cr、N及びSiを必須元素として含み、Znを任意元素として含みうる。また、表面処理層は、As等の他の元素をさらに含んでいてもよい。したがって、表面処理層は、少なくともCr、N及びSiを用いて表面処理されたものであるといえる。本発明における「表面処理」は製箔されたままの金属箔(いわゆる生箔)の表面において何らかの性質(例えば防錆性、耐湿性、耐薬品性、耐酸性、耐熱性、及び基板との密着性)を向上ないし付与するために行われる各種の表面処理を包含するものである。すなわち、本発明における「表面処理」は、1つの表面処理工程からなるものであってもよいし、同種ないし異種の2以上の表面処理工程を含むものであってもよい。いずれにしても、2以上の表面処理工程を含む場合には、そのうちの少なくとも1つの表面処理工程においてCr、N及び/又はSi(あるいはさらにZn)が何らかの形態で用いられ、それによりCr、N及びSi(あるいはさらにZn)が金属箔表面に何らかの形態で付着されていればよく、その他の表面処理工程においてこれらの元素を用いる必要はない。金属箔に対して行われる表面処理の代表的な例としては、粗化処理(これは基材との密着性の向上に寄与する)、防錆処理(これは金属箔の酸化防止に寄与する)、クロメート処理(これは耐酸性、基材との密着性の向上に寄与する)、シランカップリング剤処理(これは基材との密着性の向上に寄与する)、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。なお、粗化処理が行われる場合には防錆処理は粗化処理が施された面に行われるのが好ましい。
金属箔における粗化処理、防錆処理、クロメート処理、シランカップリング剤処理等が施された部分は、粗化層、防錆層、クロメート層、シランカップリング剤処理層等と称されるのが一般的であるが、以下の説明ではそのように称しないものとする。これは実際にこれらの表面処理が施された最終製品としての表面処理金属箔を断面観察しても、上記各層が明確な層としては観察されにくく、むしろ金属箔の表面及びその近傍と渾然一体となっているとの実情によるものである。もっとも、各種先行技術文献において、粗化層、防錆処理層、クロメート層、シランカップリング剤処理層等と本質的に異なるものを意図するものではなく、本発明の実施のために上記のように称される層を適宜参照可能であることはいうまでもない。
表面処理層は、Zn含有量が0mg/m以上10.0mg/m以下であり、好ましくは1.0mg/m以上10.0mg/m以下、より好ましくは1.4mg/m以上8.5mg/m以下、さらに好ましくは1.6mg/m以上6.0mg/m以下、特に好ましくは1.6mg/m以上3.8mg/m以下である。Znは防錆性能をもたらす基本成分であるものの、上述したとおり表面処理層に含有された場合に金属箔とフッ素系樹脂(特にPTFE樹脂)との密着性を阻害しうる。したがって、表面処理層におけるZn含有量を上記範囲内とすることで、所望の防錆性を確保しながら、金属箔とフッ素系樹脂との優れた密着性及び耐熱性を効果的に発揮することが可能となる。
表面処理層は、Cr含有量が1.0mg/m以上7.0mg/m以下であり、好ましくは2.0mg/m以上7.0mg/m以下、より好ましくは2.6mg/m以上6.5mg/m以下、さらに好ましくは2.7mg/m以上6.5mg/m以下、特に好ましくは3.0mg/m以上6.2mg/m以下である。このような範囲内であると、金属箔とフッ素系樹脂との優れた密着性及び耐熱性を効果的に発揮することが可能となる。
表面処理層はAsをさらに含んでいてもよい。表面処理層は、As含有量が0.1mg/m以上100mg/m以下であるのが好ましく、より好ましくは2.0mg/m以上70.0mg/m以下、さらに好ましくは5.0mg/m以上60.0mg/m以下である。このような範囲内であると、金属箔とフッ素系樹脂との密着性をより一層向上することが可能となる。すなわち、Asは典型的には粗化処理に由来して表面処理層に含まれうる元素である。この点、Asを含む溶液を用いて粗化処理を行うことで、金属箔表面の凹凸形状が変化し、結果としてフッ素系樹脂との密着性が向上することになると考えられる。
表面処理層は、製造のしやすさの観点からNiを含まないのが好ましい。この場合、表面処理層がNiを不可避不純物として含むことが許容されるのはいうまでもない。一方、耐薬品性及び耐熱性を向上させる観点から、表面処理層はNiを含んでいてもよい。この場合、表面処理層は、Ni含有量が2.0mg/m以下であるのが好ましく、より好ましくは0.01mg/m以上1.0mg/m未満である。
表面処理金属箔は、表面処理層の金属箔と反対側の表面における、X線光電子分光法(XPS)により測定される、Siに対するNの原子比率であるN/Si比が0.80以上5.0以下であり、好ましくは0.94以上5.0以下、より好ましくは0.98以上4.6以下、さらに好ましくは1.1以上2.0以下である。上述したとおり、このような範囲内であると、金属箔とフッ素系樹脂との密着性を効果的に向上することが可能となる。
表面処理金属箔は、表面処理層の金属箔と反対側の表面における十点平均粗さRzが0.50μm以上8.00μm以下である。本発明の好ましい態様によれば、表面処理金属箔は、表面処理層の金属箔と反対側の表面における十点平均粗さRzが0.50μm以上4.50μm以下、より好ましくは0.50μm以上4.00μm以下、さらに好ましくは1.00μm以上4.00μm以下である。このような範囲内のRzは、表面処理層を電解箔の電極面(ただし両面平滑金属箔の場合は析出面でありうる)の側に形成する場合に実現しやすい。本発明の別の好ましい態様によれば、表面処理金属箔は、表面処理層の金属箔と反対側の表面における十点平均粗さRzが3.00μm以上8.00μm以下、より好ましくは3.80μm以上8.00μm以下、さらに好ましくは4.00μm以上7.80μm以下である。このような範囲内のRzは、表面処理層を電解箔の析出面側に形成する場合に実現しやすい。いずれの好ましい態様においても、上記範囲内であるとフッ素系樹脂との所望の密着性を確保しながら、金属箔に起因する誘電損失を望ましく低減することが可能となる。
フッ素系樹脂との所望の密着性を確保しながら、金属箔に起因する誘電損失を望ましく低減する観点から、表面処理金属箔は、表面処理層の金属箔と反対側の表面における、JIS B 0601-2001に準拠して測定される算術平均粗さRaが0.10μm以上3.00μm以下であるのが好ましく、より好ましくは0.20μm以上2.80μm以下、さらに好ましくは0.30μm以上2.50μm以下である。また、上記同様の観点から、表面処理金属箔は、表面処理層の金属箔と反対側の表面における最大高さRmaxが1.00μm以上10.00μm以下であるのが好ましく、より好ましくは1.00μm以上9.50μm以下、さらに好ましくは2.00μm以上8.80μm以下である。
表面処理金属箔における金属箔は、銅箔又は銅合金箔であるのが好ましく、より好ましくは銅箔である。金属箔は電解箔及び圧延箔のいずれであってもよいが、好ましくは電解箔(特に好ましくは電解銅箔)である。電解箔を用いる場合、表面処理層は金属箔の析出面側であってもよく、電極面側であってもよい。また、表面処理金属箔の厚さは特に限定されないが、0.1μm以上105μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以上80μm以下である。なお、表面処理金属箔は、通常の金属箔表面に表面処理層を備えたものに限らず、キャリア付金属箔表面に表面処理層を備えたものであってもよい。
表面処理金属箔の製造方法
本発明による表面処理金属箔の好ましい製造方法の一例を説明する。この好ましい製造方法は、金属箔を用意し、この金属箔に対して、粗化処理、防錆処理、クロメート処理、及びシランカップリング剤処理からなる表面処理を行うことを含む。もっとも、本発明による表面処理金属箔は以下に説明する方法に限らず、あらゆる方法によって製造されたものであってよい。
(1)金属箔の準備
表面処理金属箔の製造に使用する金属箔を用意する。この金属箔の詳細については上述したとおりである。金属箔がキャリア付金属箔の形態で準備される場合には、金属箔は、無電解めっき法及び電解めっき法等の湿式成膜法、スパッタリング及び化学蒸着等の乾式成膜法、又はそれらの組合せにより形成したものであってよい。
(2)粗化処理
用意した金属箔の表面に対して粗化処理を施すのが好ましい。粗化処理を施す金属箔の表面は電極面であってもよいし、析出面であってもよい。粗化処理は、銅濃度4g/L以上25g/L以下、及び硫酸濃度50g/L以上300g/L以下を含む硫酸銅溶液中、20℃以上60℃以下の温度で、10A/dm以上100A/dm以下にて電解析出を行うのが好ましく、この電解析出は1秒間以上20秒間以下行われるのが好ましい。粗化処理は、金属箔の上に微細銅粒を析出付着させる焼けめっき工程と、この微細銅粒の脱落を防止するための被せめっき工程とを含む少なくとも2種類のめっき工程を経る公知のめっき手法に従って行ってもよい。この場合、焼けめっき工程は、上述の粗化処理条件にて電解析出を行うのが好ましい。また、被せめっき工程は、銅濃度60g/L以上80g/L以下、及び硫酸濃度100g/L以上300g/L以下を含む硫酸銅溶液中、40℃以上60℃以下の温度で、1A/dm以上70A/dm以下にて電解析出を行うのが好ましく、この電解析出は1秒間以上20秒間以下行われるのが好ましい。こうすることで、金属箔の処理表面に所望の十点平均粗さRz、算術平均粗さRa及び/又は最大高さRmaxの表面プロファイルを付与することができる。
粗化処理は、上記焼けめっき工程及び被せめっき工程に加えて、As含有硫酸銅溶液を用いためっき工程をさらに含んでいてもよい。上述したとおり、Asを含む溶液を用いて粗化処理を行うことで、金属箔表面の凹凸形状が変化し、結果としてフッ素系樹脂との密着性が向上することになると考えられる。このめっき工程は、銅濃度4.0g/L以上8.0g/L以下、硫酸濃度50g/L以上250g/L以下、及びAsイオン濃度0.2g/L以上0.8g/L以下を含むAs含有硫酸銅溶液中、20℃以上30℃以下の温度で、0.5A/dm以上10.0A/dm以下にて電解析出を行うのが好ましく、この電解析出は1秒間以上10秒間以下行われるのが好ましい。めっき液中のAs源としてはAsを用いるのが好ましい。このとき、As濃度、電流密度及び/又は処理時間を上記範囲内で変更することにより、表面処理層のAs含有量を適宜変えることができる。
(3)防錆処理
粗化処理が施された金属箔に対して防錆処理を行うのが好ましい。この場合、少なくとも金属箔の粗化処理面に対して防錆処理を行うのが好ましく、より好ましくは金属箔の両面に対して防錆処理を行う。防錆処理は少なくともZnを用いためっき処理を含むのが好ましい。このめっき処理は少なくともZnを含むめっき液を用いて行えばよい。めっき処理はピロリン酸浴により行うのが好ましく、例えば濃度が50g/L以上250g/L以下のピロリン酸カリウムを用いて好ましく行うことができる。めっき液のZn源としてはピロリン酸亜鉛、硫酸亜鉛等を用いるのが好ましく、めっき液中のZn濃度は好ましくは0.5g/L以上10g/L以下、より好ましくは1.0g/L以上8.0g/L以下である。もっとも、Znをめっき液に含ませることは任意である。また、めっき液はNiを含まなくてもよいし、Niを含んでいてもよい。めっき液がNiを含む場合、めっき液のNi源としては硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル等を用いるのが好ましく、めっき液中のNi濃度は好ましくは10g/L以下、より好ましくは0.1g/L以上3.5g/L以下である。上記範囲内のめっき液を用いて20℃以上50℃以下の温度で、0.3A/dm以上10A/dm以下にて電解を行うのが好ましく、この電解は1秒間以上10秒間以下行われるのが好ましい。このとき、Zn濃度、Ni濃度、電流密度及び/又は処理時間を上記範囲内で変更することにより、表面処理層のZn含有量及び/又はNi含有量を適宜変えることができる。
(4)クロメート処理
防錆処理が施された金属箔に対してクロメート処理を行うのが好ましい。クロメート処理はクロム酸濃度0.5g/L以上2.0g/L以下、pH11.0以上13.0以下、電流密度0.1A/dm以上3.0A/dm以下にて電解を行うのが好ましく、この電解は1.0秒間以上10秒間以下行われるのが好ましい。このとき、クロム酸濃度、電流密度及び/又は処理時間を上記範囲内で変更することにより、表面処理層のCr含有量を適宜変えることができる。
(5)シランカップリング剤処理
クロメート処理が施された金属箔に対してシランカップリング剤処理を施すのが好ましい。シランカップリング剤処理は、シランカップリング剤を適宜希釈して塗布し、乾燥させることにより好ましく行うことができる。シランカップリング剤としては、アミノ官能性シランカップリング剤を用いるのが好ましい。アミノ官能性シランカップリング剤の例としては、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-3-(4-(3-アミノプロポキシ)ブトキシ)プロピル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。このようなアミノ官能性シランカップリング剤を用いることで、金属箔の処理表面に上記所定のN/Si比を付与しやすくなる。
金属張積層板
本発明の表面処理金属箔はプリント配線板用金属張積層板の作製に用いられるのが好ましい。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、上記表面処理金属箔と、この表面処理金属箔の金属箔と反対側の表面(典型的には表面処理層の外側表面)に設けられるフッ素系樹脂基材(絶縁基材)とを備えた金属張積層板が提供される。表面処理金属箔はフッ素系樹脂基材の片面に設けられてもよいし、両面に設けられてもよい。フッ素系樹脂基材の誘電正接は、周波数10GHzにおいて0.003以下であるのが好ましく、より好ましくは0.002以下である。こうすることで、プリント配線板に用いられた場合にフッ素系樹脂基材に起因する誘電損失を低減することができ、それ故高周波用途に適したプリント配線板を作製することが可能となる。金属張積層板は、フッ素系樹脂基材がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂を含むのが好ましく、好ましくはフッ素系樹脂基材がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂で構成される。フッ素系樹脂基材の厚さは特に限定されないが、1μm以上1000μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以上400μm以下であり、さらに好ましくは3μm以上200μm以下である。フッ素系樹脂基材は複数の層で構成されていてよい。また、フッ素系樹脂基材は予め金属箔表面に塗布されるプライマー樹脂層を介して表面処理金属箔に設けられていてもよい。
本発明の表面処理金属箔又は金属張積層板はプリント配線板の作製に用いられるのが好ましい。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、前述した表面処理金属箔又は上記金属張積層板を用いてプリント配線板を製造することを特徴とする、プリント配線板の製造方法、あるいは前述した表面処理金属箔又は上記金属張積層板を用いて得られたプリント配線板が提供される。本発明の表面処理金属箔ないし金属張積層板を用いることで、上述したように金属箔-基材間の密着性、及び耐熱性(例えば熱負荷後の密着性)に優れたプリント配線板を提供することができる。本態様によるプリント配線板は、絶縁基材と、金属層とがこの順に積層された層構成を含む。また、絶縁基材については金属張積層板に関して上述したとおりであるが、所望によりプリプレグ及び/又は樹脂シートを用いてもよい。プリプレグとは、合成樹脂板、ガラス板、ガラス織布、ガラス不織布、紙等の基材に合成樹脂を含浸させた複合材料の総称である。プリプレグに含浸される絶縁性樹脂の好ましい例としては、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。また、樹脂シートを構成する絶縁性樹脂の例としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。また、絶縁基材には絶縁性を向上する等の観点からシリカ、アルミナ等の各種無機粒子からなるフィラー粒子等が含有されていてもよい。いずれにしても、プリント配線板は公知の層構成が採用可能である。プリント配線板に関する具体例としては、プリプレグの片面又は両面に本発明の表面処理金属箔を接着させ硬化した積層体とした上で回路形成した片面又は両面プリント配線板や、これらを多層化した多層プリント配線板等が挙げられる。また、他の具体例としては、樹脂フィルム上に本発明の表面処理金属箔を形成して回路を形成するフレキシブルプリント配線板、COF、TABテープ等も挙げられる。さらに他の具体例としては、本発明の表面処理金属箔に上述の絶縁性樹脂を塗布した樹脂付金属箔(RCC)を形成し、絶縁性樹脂を絶縁接着材層として上述のプリント配線板に積層した後、表面処理金属箔を配線層の全部又は一部としてモディファイド・セミアディティブ(MSAP)法、サブトラクティブ法等の手法で回路を形成したビルドアップ配線板や、表面処理金属箔を除去してセミアディティブ(SAP)法で回路を形成したビルドアップ配線板、半導体集積回路上へ樹脂付金属箔の積層と回路形成を交互に繰りかえすダイレクト・ビルドアップ・オン・ウェハー等が挙げられる。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1~13
本発明の表面処理金属箔の作製及び評価を以下のようにして行った。
(1)電解銅箔の作製
銅電解液として以下に示される組成の硫酸酸性硫酸銅溶液を用い、陰極にチタン製の回転電極を用い、陽極にはDSA(寸法安定性陽極)を用いて、溶液温度45℃、電流密度55A/dmで電解し、金属箔として厚さ35μmの電解銅箔を得た。この電解銅箔の析出面及び電極面の十点平均粗さRzをJIS B 0601-1982に準拠して測定したところ、析出面の十点平均粗さRzが4.5μm、電極面の十点平均粗さRzが1.5μmであった。
<硫酸酸性硫酸銅溶液の組成>
‐ 銅濃度:80g/L
‐ 硫酸濃度:260g/L
‐ 塩素濃度:20mg/L
(2)粗化処理
上記得られた電解銅箔の電極面側(例1、6、11及び12)又は析出面側(例2~5、7~10及び13)に対して粗化処理を行い、粗化層を形成した。この粗化処理は、以下の2段階めっき(例3、8、9及び11)又は3段階めっき(例1、2、4~7、10、12及び13)により行った。
<2段階めっき>
銅濃度10g/L、硫酸濃度100g/Lの硫酸銅溶液に電解銅箔を浸漬し、液温25℃、表1に示される電流密度の条件で1段階目の粗化処理を行った。その後、銅濃度70g/L、硫酸濃度100g/Lの硫酸銅溶液に電解銅箔を浸漬し、液温40℃、表1に示される電流密度の条件で2段階目の粗化処理を行った。
<3段階めっき>
上記1段階目及び2段階目の粗化処理の後、銅濃度6g/L、硫酸濃度130g/L、かつ、0.5g/LのAsイオン濃度でAs(As源)を含む、As含有硫酸銅溶液に電解銅箔を浸漬し、液温25℃、電流密度7A/dmの条件で3段階目の粗化処理を行った。
(3)防錆処理
上記電解銅箔の粗化処理面に対して防錆処理を行った。この防錆処理は、表1に示されるZn及びNi濃度でピロリン酸亜鉛(Zn源)及び/又は硫酸ニッケル(Ni源)を含む、ピロリン酸カリウム濃度100g/Lのピロリン酸浴に電解銅箔を浸漬させ、液温30℃、表1に示される電流密度でZn及び/又はNiを電着させることにより行った。
(4)クロメート処理
上記防錆処理を行った電解銅箔の両面に対して、クロメート処理を行った。このクロメート処理は、pH12.0、液温30℃、クロム酸濃度2g/L及び電流密度1A/dmの条件で行った。
(5)シランカップリング剤処理
上記クロメート処理後の電解銅箔を水洗した。その後直ちに、電解銅箔の粗化処理面に対して、以下に示される条件A(アミノ官能性シランカップリング剤、例1~8及び13)又は条件B(エポキシ官能性シランカップリング剤、例9~12)によるシランカップリング剤処理を行った。
<条件A(アミノ官能性シランカップリング剤)>
純水を溶媒とし、3-アミノプロピルトリメトキシシラン濃度が5g/Lの溶液を用い、この溶液をシャワーリングにて粗化処理面に吹き付けて吸着処理することによりシランカップリング剤処理を行った。シランカップリング剤の吸着後、最終的に電熱器により水分を蒸発させ、厚さ35μmの表面処理銅箔を得た。
<条件B(エポキシ官能性シランカップリング剤)>
純水を溶媒とし、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン濃度が5.0g/Lの溶液を用いた。この溶液をシャワーリングにて粗化処理面に吹き付けて吸着処理することによりシランカップリング剤処理を行った。シランカップリング剤の吸着後、最終的に電熱器により水分を蒸発させ、厚さ35μmの表面処理銅箔を得た。
Figure 2023040316000001
(6)評価
作製された表面処理金属箔(表面処理銅箔)について、以下に示される測定及び評価を行った。
(a)表面処理層における各元素含有量の測定
表面処理銅箔の表面処理層側の表面(すなわち表面処理層の銅箔と反対側の表面)における面積25cm(5cm×5cm)の領域を酸で溶解し、得られた溶解液中のZn、Ni、Cr及びAsの各濃度をICP発光分析法により分析して、Zn含有量、Ni含有量、Cr含有量及びAs含有量を測定した。結果は表3に示されるとおりであった。
(b)表面処理層におけるN/Si比の測定
表面処理銅箔の表面処理層側の表面に対してX線光電子分光(XPS)により元素分析を行い、表面処理層におけるSi元素及びN元素の存在割合(atom%)をそれぞれ測定した。この測定は、X線光電子分光(XPS)装置(アルバック・ファイ株式会社製、PHI Quantes)を使用して、以下の測定条件及び解析条件で行った。測定は各例につき3箇所の測定点で実施し、得られた各測定値の平均値をSi元素及びN元素の存在割合(atom%)としてそれぞれ採用した。
(測定条件)
‐ 励起X線:単色化Al-Kα線(1486.7eV)
‐ 出力:50W
‐ 加速電圧:15kV
‐ X線照射径:200μmφ
‐ 測定面積:200μmφ
‐ 検出角度:45°
‐ パスエネルギー:26.0eV
‐ エネルギーステップ:0.1eV/step
(解析条件)
データ解析ソフトウェア(アルバック・ファイ株式会社製、「マルチパックVer9.0」)を用いてXPSデータの解析を行った。バックグラウンドモードはIterated Shirleyを使用した。
なお、XPSでの測定の対象元素とそれぞれの測定スペクトルに対応する軌道は以下の表2に示されるとおりである。
Figure 2023040316000002
こうして得られたSi元素及びN元素それぞれの存在割合(atom%)から、Siに対するNの原子比率であるN/Si比を算出した。結果は表3に示されるとおりであった。
(c)表面粗さの測定
表面処理層の銅箔と反対側の表面における、十点平均粗さRz、算術平均粗さRa、及び最大高さRmaxをそれぞれ以下のようにして測定した。すなわち、表面処理層の銅箔と反対側の表面の十点平均粗さRz及び最大高さRmaxを、触針式表面粗さ測定機(株式会社小坂研究所、SE-30H)により、JIS B0601-1982に準拠してそれぞれ測定した。この測定は、直径4.0μmのダイヤモンドボールを触針として使用し、基準長さ0.8mmに対して行った。なお、前述した各例における粗化処理前の電解銅箔の析出面又は電極面の十点平均粗さRzの測定も上記同様の手順にて行った。また、上記同様の装置を用いて、表面処理層の銅箔と反対側の表面の算術平均粗さRaを、JIS B0601-2001に準拠して測定した。結果は表3に示されるとおりであった。
(d)銅箔-フッ素系樹脂基材間の密着性及び耐熱性評価
常態及び熱負荷後の表面処理銅箔について、フッ素系樹脂基材との密着性、及びそれに伴う耐熱性を評価するために、常態剥離強度、及びはんだフロー後剥離強度の測定を以下のとおり行った。
(d-1)常態剥離強度
フッ素系樹脂基材として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基材(厚さ125μm)を用意した。このPTFE基材に、作製した表面処理銅箔をその粗化処理面(すなわち表面処理層の銅箔と反対側の表面)がPTFE基材と当接するように積層し、371kgf/cm、25℃で30分間の真空プレスを行って銅張積層板を作製した。この銅張積層板にエッチング法により回路形成を行い、3mm幅の直線回路を備えた試験基板を作製した。こうして得られた直線回路を、JIS C 6481-1996に準拠してPTFE基材から引き剥がして常態剥離強度(kgf/cm)を測定した。結果は表3に示されるとおりであった。
(d-2)はんだフロー後剥離強度
剥離強度の測定に先立ち、直線回路を備えた試験基板を288℃のはんだ浴に10秒間フローティングしたこと以外は、上述した常態剥離強度と同様の手順により、はんだフロー後剥離強度(kgf/cm)を測定した。結果は表3に示されるとおりであった。なお、例9~12の試験基板については、はんだフロー時に直線回路がPTFE基材から自然剥離したため、はんだフロー後剥離強度を測定できなかった。
Figure 2023040316000003

Claims (10)

  1. 金属箔と、前記金属箔の少なくとも一方の表面に設けられる表面処理層とを備えた表面処理金属箔であって、
    前記表面処理層は、Zn含有量が0mg/m以上10.0mg/m以下、Cr含有量が1.0mg/m以上7.0mg/m以下であり、
    前記表面処理層の前記金属箔と反対側の表面における、X線光電子分光法(XPS)により測定される、Siに対するNの原子比率であるN/Si比が0.80以上5.0以下であり、かつ、
    前記表面処理層の前記金属箔と反対側の表面における、JIS B 0601-1982に準拠して測定される十点平均粗さRzが0.50μm以上8.00μm以下である、表面処理金属箔。
  2. 前記表面処理層の前記金属箔と反対側の表面の十点平均粗さRzが3.00μm以上8.00μm以下である、請求項1に記載の表面処理金属箔。
  3. 前記表面処理層の前記金属箔と反対側の表面の十点平均粗さRzが0.50μm以上4.50μm以下である、請求項1に記載の表面処理金属箔。
  4. 前記表面処理層の前記金属箔と反対側の表面における、JIS B 0601-2001に準拠して測定される算術平均粗さRaが0.10μm以上3.00μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の表面処理金属箔。
  5. 前記表面処理層の前記金属箔と反対側の表面における、JIS B 0601-1982に準拠して測定される最大高さRmaxが1.00μm以上10.00μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の表面処理金属箔。
  6. 前記表面処理層は、As含有量が0.1mg/m以上100mg/m以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の表面処理金属箔。
  7. 前記表面処理層の前記金属箔と反対側の表面に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂基材を25℃、371kgf/cmの圧力で30分間真空プレスした後における、JIS C 6481-1996に準拠して測定される、前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂基材及び前記表面処理金属箔間の常態剥離強度が0.50kgf/cm以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の表面処理金属箔。
  8. 前記金属箔が銅箔である、請求項1~7のいずれか一項に記載の表面処理金属箔。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の表面処理金属箔と、前記表面処理層の前記金属箔と反対側の表面に設けられるフッ素系樹脂基材とを備えた、金属張積層板。
  10. 前記フッ素系樹脂基材がポリテトラフルオロエチレン樹脂を含む、請求項9に記載の金属張積層板。
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