JP2023039597A - 廃熱利用システム、廃熱利用方法、及び制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、廃熱利用システム、廃熱利用方法、及び制御装置に関する。
廃熱投入型吸収冷温水機は、廃温水のみを熱源として用いる廃温水単独運転と、燃料のみを熱源として用いる燃料単独運転と、廃温水及び燃料の両方を熱源として用いる燃料併用運転とを切り替え可能に構成される。
特許文献1には、排温水入口温度が排温水戻り設定温度以上になった状態が所定時間継続した場合および蒸発器における冷水出口温度が冷水設定温度以下になった状態が所定時間継続した場合に、ガスバーナによる追い焚きを停止して、排熱再生器に供給する温水のみによる運転を行う一重効用運転に切り替えるように制御する制御装置を備える吸収式冷凍機が開示されている。
ところで、廃温水単独運転と燃料併用運転とでは冷凍能力に差があるため、燃料併用運転が始まると冷水出口温度が急低下して、燃焼の頻繁な発停を生じるおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、廃熱投入型吸収冷温水機の燃焼の頻繁な発停を抑制することが可能な、廃熱利用システム、廃熱利用方法、及び制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の一の態様の廃熱利用システムは、廃温水を熱源として用いる廃温水単独運転と、前記廃温水及び燃料を熱源として用いる燃料併用運転とを切り替え可能な廃熱投入型吸収冷温水機と、前記廃熱投入型吸収冷温水機の冷水出口温度を検出する温度センサと、前記廃熱投入型吸収冷温水機に投入される前に前記廃温水を昇温させることが可能な昇温手段と、前記廃温水単独運転時において前記冷水出口温度が所定の温度以上となった場合に、前記昇温手段により前記廃温水を昇温させる制御装置と、を備える。これによると、廃温水を昇温することで冷凍能力を増強し、燃焼の頻繁な発停を抑制することが可能となる。
上記態様において、前記制御装置は、前記廃温水単独運転時かつ前記昇温手段による前記廃温水昇温時において前記冷水出口温度が所定の温度以上となった場合に、前記廃温水単独運転から前記燃料併用運転に切り替えるとともに、前記昇温手段による前記廃温水の昇温を停止してもよい。これによると、燃料併用運転に切り替えるとともに廃温水の昇温を停止することで冷凍能力の急増を抑制し、燃焼の頻繁な発停をさらに抑制することが可能となる。
上記態様において、前記制御装置は、前記燃料併用運転時において前記冷水出口温度が所定の温度以下となった場合に、前記昇温手段により前記廃温水を昇温せずに、前記燃料併用運転から前記廃温水単独運転に切り替えてもよい。これによると、燃料併用運転から廃温水単独運転へ切り替えるときには燃焼の頻繁な発停が生じ難いため、廃温水の昇温を省略することが可能である。
上記態様において、前記制御装置は、前記廃温水単独運転時かつ前記昇温手段による前記廃温水昇温時において前記冷水出口温度が所定の温度以下となった場合に、前記昇温手段による前記廃温水の昇温を停止してもよい。これによると、廃温水の昇温を停止することで冷凍能力を抑制することが可能となる。
上記態様において、前記廃温水が前記昇温手段を経由するか否か切り替える切替弁をさらに備え、前記制御装置は、前記廃温水単独運転時において前記冷水出口温度が所定の温度以上となった場合に、前記廃温水が前記昇温手段を経由するよう前記切替弁を切り替えてもよい。これによると、昇温された廃温水の投入と昇温されていない廃温水の投入とを切り替えることが可能となる。
上記態様において、前記廃熱投入型吸収冷温水機を通過した前記廃温水の熱を蓄熱または熱交換する蓄熱槽または熱交換器をさらに備えてもよい。これによると、昇温された廃温水の熱を廃熱投入型吸収冷温水機で回収しきれなくても、有効利用することが可能となる。
上記態様において、前記廃温水の熱を蓄熱し、発電機の停止時に放熱する蓄熱槽をさらに備え、前記制御装置は、前記発電機の停止時に、前記蓄熱槽の放熱により昇温された前記廃温水を前記昇温手段によりさらに昇温させて前記廃熱投入型吸収冷温水機に投入してもよい。これによると、発電機の停止中であっても、蓄熱槽の放熱により昇温された廃温水を昇温手段によりさらに昇温することで、廃熱投入型吸収冷温水機の熱源として用いることが可能となる。
上記態様において、前記昇温手段は、電気圧縮式ヒートポンプを含み、前記電気圧縮式ヒートポンプは、前記廃温水投入型吸収冷温水機から排出される冷却水を熱源として用いてもよい。これによると、廃温水投入型吸収冷温水機から排出される冷却水の熱を有効利用することが可能となる。
また、本発明の他の態様の廃熱利用方法は、廃温水を熱源として用いる廃温水単独運転と、前記廃温水及び燃料を熱源として用いる燃料併用運転とを切り替え可能な廃熱投入型吸収冷温水機の冷水出口温度を検出し、前記廃温水単独運転時において前記冷水出口温度が所定の温度以上となった場合に、前記廃熱投入型吸収冷温水機に投入される前に前記廃温水を昇温させることが可能な昇温手段により前記廃温水を昇温させる。これによると、廃温水を昇温することで冷凍能力を増強し、燃焼の頻繁な発停を抑制することが可能となる。
また、本発明の他の態様の制御装置は、廃温水を熱源として用いる廃温水単独運転と、前記廃温水及び燃料を熱源として用いる燃料併用運転とを切り替え可能な廃熱投入型吸収冷温水機の冷水出口温度を表す温度データを取得する取得部と、前記廃温水単独運転時において前記冷水出口温度が所定の温度以上となった場合に、前記廃熱投入型吸収冷温水機に投入される前に前記廃温水を昇温させることが可能な昇温手段により前記廃温水を昇温させる制御部と、を備える。これによると、廃温水を昇温することで冷凍能力を増強し、燃焼の頻繁な発停を抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る廃熱利用システム100の構成例を示すブロック図である。廃熱利用システム100は、ガスエンジン発電機Gの冷却に用いられた廃温水の熱を利用して冷水を生成し、冷熱需要Dに供給するシステムであり、コージェネレーションの一部である。ガスエンジン発電機Gに限らず、例えばタービン又は燃料電池等の他の発電機が用いられてもよい。冷熱需要Dは、例えばビル又は工場等の施設の空調である。
廃熱利用システム100は、廃熱投入型吸収冷温水機1、温度センサ2、電気圧縮式ヒートポンプ3、及び制御装置4を備えている。廃熱投入型吸収冷温水機1及び電気圧縮式ヒートポンプ3は、ガスエンジン発電機Gの冷却に用いられた廃温水が循環する循環路9に連結されている。電気圧縮式ヒートポンプ3は、廃熱投入型吸収冷温水機1の上流に設置されている。
廃熱投入型吸収冷温水機1は、いわゆるジェネリンクであり、廃温水を利用して冷水を生成する。廃熱投入型吸収冷温水機1は、廃温水のみを熱源として用いる「廃温水単独運転」と、廃温水及び燃料の両方を熱源として用いる「燃料併用運転」とを切り替え可能である。吸収冷温水機は、ナチュラルチラー又は吸収冷凍機とも呼ばれる。以下の説明では、廃熱投入型吸収冷温水機1を単に「吸収冷温水機1」という。
循環路9は、吸収冷温水機1に廃温水を投入するための投入管9aと、吸収冷温水機1を経由しない非投入管9bとに分岐している。廃温水が吸収冷温水機1に投入されるか否かは、三方弁である電動切替弁5によって切り替えられる。
温度センサ2は、吸収冷温水機1の冷水出口温度を検出する。冷水出口温度は、冷熱需要Dに対する吸収冷温水機1の冷凍能力を表す。温度センサ2は、吸収冷温水機1から延出する冷水管19に設置され、冷水出口温度を表す検出信号を制御装置4に出力する。温度センサ2は、吸収冷温水機1に内蔵された温度センサであってもよい。
電気圧縮式ヒートポンプ3は、昇温手段の例であり、吸収冷温水機1に投入される前に廃温水を昇温させることが可能である。電気圧縮式ヒートポンプ3に限らず、例えば吸収式ヒートポンプが昇温手段として用いられてもよいし、蒸気等の高温熱源との熱交換器が昇温手段として用いられてもよい。以下の説明では、電気圧縮式ヒートポンプ3を単に「ヒートポンプ3」という。
循環路9は、ヒートポンプ3に廃温水を投入するための投入管9cと、ヒートポンプ3を経由しない非投入管9dとに分岐している。廃温水がヒートポンプ3を経由するか否かは、三方弁である電動切替弁6によって切り替えられる。
制御装置4は、温度センサ2から冷水出口温度を表す検出信号を受信し、ヒートポンプ3及び電動切替弁6を駆動するための制御信号を出力する。また、制御装置4は、吸収冷温水機1の廃温水単独運転と燃料併用運転とを切り替えるための制御信号を出力してもよい。制御装置4は、吸収冷温水機1に内蔵された制御装置であってもよい。
制御装置4は、電動切替弁6を駆動することでヒートポンプ3に廃温水を供給し、ヒートポンプ3を駆動することで廃温水を昇温させる。これにより、昇温された廃温水が吸収冷温水機1に投入される。
制御装置4は、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリ、及び入出力インターフェース等を含むコンピュータである。制御部10のCPUは、ROM又は不揮発性メモリからRAMにロードされたプログラムに従って情報処理を実行する。プログラムは、情報記憶媒体を介して供給されてもよいし、通信ネットワークを介して供給されてもよい。
図2は、吸収冷温水機1の構成例を示す模式図である。吸収冷温水機1は、凝縮器11、蒸発器12、吸収器13、廃熱再生器14、及び高温再生器15を備えている。吸収冷温水機1は、冷媒(例えば水)及び吸収液(例えば臭化リチウム水溶液)の循環によって冷水を生成する。
凝縮器11には、廃熱再生器14及び高温再生器15から配管76,77を通じて冷媒蒸気が供給される。凝縮器11では、冷媒蒸気が冷却水管79によって冷却されることで液化(凝縮)し、冷媒液となる。凝縮器11で生成された冷媒液は、配管71を通じて蒸発器12に供給される。
蒸発器12は真空状態に保たれており、冷媒ポンプ82により送り出された冷媒液が散布管72から冷水管19に散布されることで蒸発し、冷媒蒸気となる。このとき、蒸発潜熱によって冷水管19内の水が冷却され、冷水となる。蒸発器12で生成された冷媒蒸気は、配管73を通じて吸収器13に供給される。
吸収器13は真空状態に保たれており、廃熱再生器14及び高温再生器15から送り出された濃吸収液が散布管75から散布されることで、冷媒蒸気を吸収する。また、散布管75から散布された濃吸収液は、冷却水管79によって冷却される。濃吸収液は、冷媒蒸気を吸収することで希吸収液となる。
吸収器13で生成された希吸収液は、吸収液ポンプ83により送り出され、配管74,741,742を通じて廃熱再生器14及び高温再生器15に供給される。図示の例は、廃熱再生器14(低温再生器)及び高温再生器15が並列に設けられた単効用(=一重効用)の吸収冷温水機1であるが、これに限らず、高温再生器で発生した冷媒蒸気を利用して低温再生器で吸収液を加熱・濃縮する二重効用の吸収冷温水機であってもよいし、さらに中温再生器を設けた三重効用の吸収冷温水機であってもよい。
廃熱再生器14では、投入管9aを通じて投入された廃温水の熱によって希吸収液を加熱し、冷媒蒸気を放出させる。希吸収液は、冷媒蒸気を放出することで濃吸収液となる。廃熱再生器14で生成された冷媒蒸気は、配管76を通じて凝縮器11に供給される。濃吸収液は、配管751を通じて吸収器13の散布管75に供給される。
高温再生器15は、例えば都市ガス等の燃料をバーナ85で燃焼することによって希吸収液を加熱し、冷媒蒸気を放出させる。希吸収液は、冷媒蒸気を放出することで濃吸収液となる。高温再生器15で生成された冷媒蒸気は、配管77を通じて凝縮器11に供給される。濃吸収液は、配管752を通じて吸収器13の散布管75に供給される。
廃温水単独運転時において、吸収冷温水機1は、バーナ85による燃焼を行わず、廃熱再生器14のみの動作によって冷水を生成する。一方、燃料併用運転時において、吸収冷温水機1は、バーナ85による燃焼を行い、廃熱再生器14及び高温再生器15の両方の動作によって冷水を生成する。
ところで、廃温水単独運転と燃料併用運転とはバーナ85の最低燃焼量にもよるが、冷凍能力に大きな差があり、例えば冷熱需要が余り大きくないときに、バーナ85の燃焼が始まると冷水出口温度が急低下して、冷水出口温度のハンチングや燃焼の頻繁な発停が生じるおそれがある。燃焼の頻繁な発停は、エアパージによるエネルギー損失があり、非効率な運転となる。
ちなみに、バーナ85の燃焼時に廃温水の投入を停止することで、冷水出口温度の急低下を防ぐ方法もあるが、この方法は廃熱利用による燃料消費量の削減に反することから、廃熱投入型である利点が薄れてしまう。
そこで、本実施形態では、以下に説明するように、吸収冷温水機1に投入される前に廃温水を昇温させるヒートポンプ3を用いることによって、冷水出口温度のハンチングや燃焼の頻繁な発停を抑制している。
図3は、実施形態に係る制御装置4の構成例を示すブロック図である。制御装置4は、取得部41、判定部42、及び制御部43を備えている。これらの機能部は、制御装置4がプログラムに従って情報処理を実行することによって実現される。
取得部41は、温度センサ2から受信した検出信号に基づいて、吸収冷温水機1の冷水出口温度を表す温度データを取得する。
判定部42は、取得部41により取得された温度データに基づいて、吸収冷温水機1及びヒートポンプ3の運転モードを決定する。
制御部43は、判定部42により決定された運転モードに基づいて、吸収冷温水機1、ヒートポンプ3、及び電動切替弁6に制御信号を出力する。
図4は、吸収冷温水機1及びヒートポンプ3の運転モードの遷移例を示す図である。「廃温水単独運転」及び「燃料併用運転」については、上述したとおりである。「廃温水単独運転+廃温水昇温」は、ヒートポンプ3が廃温水を昇温し、吸収冷温水機1が昇温された廃温水を用いて廃温水単独運転を行う運転モードである。
「廃温水単独運転」時に冷水出口温度が所定の温度以上となった場合、「廃温水単独運転+廃温水昇温」に遷移する(遷移U1)。このとき、制御装置4は、廃温水がヒートポンプ3を経由するよう電動切替弁6を切り替えるとともに、ヒートポンプ3を駆動して廃温水を昇温させる。
冷水出口温度が所定の温度以上となった場合とは、冷熱需要に対する吸収冷温水機1の冷凍能力が所定の基準より不足となった場合を指す。
このように、冷熱需要が増加して吸収冷温水機1の冷凍能力が不足となった場合に、ヒートポンプ3により昇温させた廃温水を吸収冷温水機1に投入することで、吸収冷温水機1による熱回収量を増加させ、冷凍能力を増強することができる。
「廃温水単独運転+廃温水昇温」時に冷水出口温度が所定の温度以上となった場合、「燃料併用運転」に遷移する(遷移U2)。このとき、制御装置4は、吸収冷温水機1を廃温水単独運転から燃料併用運転に切り替えるとともに、ヒートポンプ3による廃温水の昇温を停止する。
このように、冷熱需要がさらに増加して吸収冷温水機1の冷凍能力が不足となった場合に、吸収冷温水機1を燃料併用運転に切り替えることで、冷凍能力をさらに増強させることができる。
但し、吸収冷温水機1を燃料併用運転に切り替えるときに、ヒートポンプ3による廃温水の昇温を停止することで、冷凍能力の増強の程度は、「廃温水単独運転」から「燃料併用運転」に直接遷移する場合と比べて抑制される。これにより、冷水出口温度の急低下を抑制することが可能となる。
なお、吸収冷温水機1を燃料併用運転に切り替えるタイミングと、ヒートポンプ3による廃温水の昇温を停止するタイミングは、同じであっても、時間差があってもよい。例えば冷凍能力の急増を防止する観点では、燃料併用運転への切り替えよりも先に廃温水の昇温を停止することが好ましい。
以上に説明したように、「廃温水単独運転」から「廃温水単独運転+廃温水昇温」を経て「燃料併用運転」に遷移することで、中間の冷凍能力を介した段階的な冷凍能力の増強が実現するため、冷水出口温度のハンチングや燃焼の頻繁な発停を抑制することが可能となる。
「燃料併用運転」時に冷水出口温度が所定の温度以下となった場合、「廃温水単独運転」に遷移する(遷移D1)。このとき、制御装置4は、吸収冷温水機1を燃料併用運転から廃温水単独運転に切り替える。ここでは、ヒートポンプ3による廃温水の昇温を経ずに「燃料併用運転」から「廃温水単独運転」に直接遷移する。
「廃温水単独運転+廃温水昇温」時に冷水出口温度が所定の温度以下となった場合も、「廃温水単独運転」に遷移する(遷移D2)。このとき、制御装置4は、ヒートポンプ3による廃温水の昇温を停止する。冷水出口温度が所定の温度以下となった場合とは、冷熱需要に対する吸収冷温水機1の冷凍能力が所定の基準より過剰となった場合を指す。
本実施形態では、吸収冷温水機1に投入される廃温水の昇温及び昇温の停止は、ヒートポンプ3及び電動切替弁6の両方の制御によって切り替えられるが、これに限らず、一方のみの制御によって切り替えられてもよい。
例えば、ヒートポンプ3を常に動作させ(又は、ヒートポンプ3に代えて熱交換器を用い)、電動切替弁6の切り替えによって、昇温された廃温水が吸収冷温水機1に投入される状態と、昇温されていない廃温水が吸収冷温水機1に投入される状態とを切り替えてもよい。
また、ヒートポンプ3に廃温水を常に供給し、ヒートポンプ3のオンとオフを切り替えることによって、吸収冷温水機1に投入される廃温水が昇温された状態と、昇温されていない状態とを切り替えてもよい。
図5は、廃熱利用システム100において実現される、実施形態に係る廃熱利用方法の手順例を示す図である。制御装置4は、同図に示す情報処理をプログラムに従って実行する。図6及び図7は、図5に示す手順を適用した場合の冷水出口温度の時間変化例を示す図である。
本実施形態では、冷水出口温度の設定温度を中心として、設定温度よりもα℃高い温度(設定温度+α℃)を冷凍能力を増強する遷移U1,U2の閾値とし、設定温度よりもβ℃低い温度(設定温度-β℃)を冷凍能力を抑制する遷移D1,D2の閾値とする。なお、遷移U1,U2の閾値は互いに異なってもよく、遷移D1,D2の閾値も互いに異なってもよい。
まず、制御装置4は、「廃温水単独運転」を実行する間、温度センサ21により検出された冷水出口温度が設定温度+α℃以上となったか否か判定する(S11,S12)。
「廃温水単独運転」時に冷水出口温度が設定温度+α℃以上となった場合(S12:YES)、制御装置4は、「廃温水単独運転」から「廃温水単独運転+廃温水昇温」への遷移U1を実行する(S13)。
例えば図6及び図7に示すように、「廃温水単独運転」時に冷熱需要が増加して、冷熱需要に対し冷凍能力が不足すると、冷水出口温度は設定温度から外れて上昇する。冷水出口温度が設定温度+α℃に達すると、「廃温水単独運転+廃温水昇温」に遷移して冷凍能力が増強され、冷水出口温度は下降する。
次に、制御装置4は、「廃温水単独運転+廃温水昇温」を実行する間、温度センサ21により検出された冷水出口温度が設定温度-β℃以下であるか、設定温度+α℃以上であるか判定する(S13-S15)。
「廃温水単独運転+廃温水昇温」時に冷水出口温度が設定温度+α℃以上となった場合(S15:YES)、制御装置4は、「廃温水単独運転+廃温水昇温」から「燃料併用運転」への遷移U2を実行する(S16)。
例えば図6に示すように、「廃温水単独運転+廃温水昇温」時に冷熱需要がさらに増加して、冷熱需要に対し冷凍能力か不足すると、冷水出口温度は再び上昇する。冷水出口温度が設定温度+α℃に達すると、「燃料併用運転」に遷移して冷凍能力がさらに増強され、冷水出口温度は再び下降する。
次に、制御装置4は、「燃料併用運転」を実行する間、温度センサ21により検出された冷水出口温度が設定温度-β℃以下であるか否か判定する(S16,S17)。
「燃料併用運転」時に冷水出口温度が設定温度-β℃以下となった場合(S17:YES)、制御装置4は、「燃料併用運転」から「廃温水単独運転」への遷移D1を実行する(S11)。
例えば図6に示すように、「燃料併用運転」時に冷熱需要が減少して、冷熱需要に対し冷凍能力が過剰になると、冷水出口温度は設定温度から外れて下降する。冷水出口温度が設定温度-β℃に達すると、「廃温水単独運転」に遷移して冷凍能力が抑制され、冷水出口温度が上昇する。
なお、「廃温水単独運転+廃温水昇温」時に冷水出口温度が設定温度-β℃以下となった場合(S14:YES)、制御装置4は、「廃温水単独運転+廃温水昇温」から「廃温水単独運転」への遷移D2を実行する(S11)。
例えば図7に示すように、「廃温水単独運転+廃温水昇温」時に冷熱需要が減少して、冷熱需要に対し冷凍能力が過剰になると、冷水出口温度は設定温度から外れて下降する。冷水出口温度が設定温度-β℃に達すると、「廃温水単独運転」に遷移して冷凍能力が抑制され、冷水出口温度が上昇する。
以上に説明したように、温度センサ21により検出される冷水出口温度に応じて、「廃温水単独運転」、「廃温水単独運転+廃温水昇温」、及び「燃料併用運転」が切り替えられる。
図8は、変形例に係る廃熱利用システム200の構成例を示すブロック図である。上記実施形態と重複する構成については、同番号を付すことで詳細な説明を省略することがある。なお、図示を省略するが、循環路9の各分岐には、電動切替弁6と同様に切替弁が設けられる。
ヒートポンプ3により廃温水を昇温させる場合、吸収冷温水機1により廃温水がガスエンジン発電機Gで要求される冷却水還り温度になるまで熱回収できないおそれがある。そこで、本変形例では、吸収冷温水機1を通過した廃温水の余剰な熱を蓄熱するための温度成層型蓄熱槽96を設けている。
温度成層型蓄熱槽96は、循環路9における吸収冷温水機1の下流に連結管9eを介して連結されている。これにより、吸収冷温水機1で回収しきれなかった廃温水の余剰な熱を、ガスエンジン発電機Gに還る前に、温度成層型蓄熱槽96で回収することが可能となる。
また、温度成層型蓄熱槽96は、循環路9における吸収冷温水機1の上流に連結管9fを介して連結されてもよい。これにより、ガスエンジン発電機Gの廃温水の使用先がない場合、例えば吸収冷温水機1が動作していない場合に、温度成層型蓄熱槽96で蓄熱することが可能となる。
温度成層型蓄熱槽96は、ガスエンジン発電機Gの停止時に放熱を行い、循環路9内の水を昇温させる。制御装置4は、ガスエンジン発電機Gの停止時に、温度成層型蓄熱槽96の放熱により昇温された廃温水をヒートポンプ3によりさらに昇温させて、吸収冷温水機1に投入する。
すなわち、温度成層型蓄熱槽96の放熱による廃温水の昇温と、ヒートポンプ3による廃温水の昇温とを組み合わせることで、廃温水を吸収冷温水機1の熱源として用いることができる温度まで昇温させる。これにより、ガスエンジン発電機Gの停止時にも、吸収冷温水機1を廃温水により動作させることが可能となる。
廃熱利用システム200には、吸収冷温水機1を通過した廃温水の余剰な熱を熱交換するための給湯用熱交換器98がさらに設けられてもよい。これにより、吸収冷温水機1で回収しきれなかった廃温水の余剰な熱を、ガスエンジン発電機Gに還る前に、給湯用熱交換器98でも回収することも可能となる。
電気圧縮式ヒートポンプであるヒートポンプ3は、吸収冷温水機1から排出される冷却水を熱源としてもよい。すなわち、ヒートポンプ3は、吸収冷温水機1から冷却塔Cに至る冷却水管79の途中に連結され、吸収冷温水機1からの冷却水を熱源として用いる。これにより、吸収冷温水機1から排出される冷却水の熱を有効活用することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が当業者にとって可能であることはもちろんである。
1 廃熱投入型吸収冷温水機、2 温度センサ、3 電気圧縮式ヒートポンプ(昇温手段の例)、4 制御装置、5 電動切替弁、6 電動切替弁、9 循環路、9a 投入管、11 凝縮器、12 蒸発器、13 吸収器、14 廃熱再生器、15 高温再生器、19 冷水管、41 取得部、42 判定部、43 制御部、96 蓄熱槽、98 給湯用熱交換器、100,200 廃熱利用システム、G ガスエンジン発電機(発電機の例)、D 冷熱需要、C 冷却塔
Claims (10)
- 廃温水を熱源として用いる廃温水単独運転と、前記廃温水及び燃料を熱源として用いる燃料併用運転とを切り替え可能な廃熱投入型吸収冷温水機と、
前記廃熱投入型吸収冷温水機の冷水出口温度を検出する温度センサと、
前記廃熱投入型吸収冷温水機に投入される前に前記廃温水を昇温させることが可能な昇温手段と、
前記廃温水単独運転時において前記冷水出口温度が所定の温度以上となった場合に、前記昇温手段により前記廃温水を昇温させる制御装置と、
を備える、廃熱利用システム。 - 前記制御装置は、前記廃温水単独運転時かつ前記昇温手段による前記廃温水昇温時において前記冷水出口温度が所定の温度以上となった場合に、前記廃温水単独運転から前記燃料併用運転に切り替えるとともに、前記昇温手段による前記廃温水の昇温を停止する、
請求項1に記載の廃熱利用システム。 - 前記制御装置は、前記燃料併用運転時において前記冷水出口温度が所定の温度以下となった場合に、前記昇温手段により前記廃温水を昇温せずに、前記燃料併用運転から前記廃温水単独運転に切り替える、
請求項1または2に記載の廃熱利用システム。 - 前記制御装置は、前記廃温水単独運転時かつ前記昇温手段による前記廃温水昇温時において前記冷水出口温度が所定の温度以下となった場合に、前記昇温手段による前記廃温水の昇温を停止する、
請求項1ないし3の何れかに記載の廃熱利用システム。 - 前記廃温水が前記昇温手段を経由するか否か切り替える切替弁をさらに備え、
前記制御装置は、前記廃温水単独運転時において前記冷水出口温度が所定の温度以上となった場合に、前記廃温水が前記昇温手段を経由するよう前記切替弁を切り替える、
請求項1ないし4の何れかに記載の廃熱利用システム。 - 前記廃熱投入型吸収冷温水機を通過した前記廃温水の熱を蓄熱または熱交換する蓄熱槽または熱交換器をさらに備える、
請求項1ないし5の何れかに記載の廃熱利用システム。 - 前記廃温水の熱を蓄熱し、発電機の停止時に放熱する蓄熱槽をさらに備え、
前記制御装置は、前記発電機の停止時に、前記蓄熱槽の放熱により昇温された前記廃温水を前記昇温手段によりさらに昇温させて前記廃熱投入型吸収冷温水機に投入する、
請求項1ないし6の何れかに記載の廃熱利用システム。 - 前記昇温手段は、電気圧縮式ヒートポンプを含み、
前記電気圧縮式ヒートポンプは、前記廃温水投入型吸収冷温水機から排出される冷却水を熱源として用いる、
請求項1ないし7の何れかに記載の廃熱利用システム。 - 廃温水を熱源として用いる廃温水単独運転と、前記廃温水及び燃料を熱源として用いる燃料併用運転とを切り替え可能な廃熱投入型吸収冷温水機の冷水出口温度を検出し、
前記廃温水単独運転時において前記冷水出口温度が所定の温度以上となった場合に、前記廃熱投入型吸収冷温水機に投入される前に前記廃温水を昇温させることが可能な昇温手段により前記廃温水を昇温させる、
廃熱利用方法。 - 廃温水を熱源として用いる廃温水単独運転と、前記廃温水及び燃料を熱源として用いる燃料併用運転とを切り替え可能な廃熱投入型吸収冷温水機の冷水出口温度を表す温度データを取得する取得部と、
前記廃温水単独運転時において前記冷水出口温度が所定の温度以上となった場合に、前記廃熱投入型吸収冷温水機に投入される前に前記廃温水を昇温させることが可能な昇温手段により前記廃温水を昇温させる制御部と、
を備える、制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021146803A JP2023039597A (ja) | 2021-09-09 | 2021-09-09 | 廃熱利用システム、廃熱利用方法、及び制御装置 |
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Family Applications (1)
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JP2021146803A Pending JP2023039597A (ja) | 2021-09-09 | 2021-09-09 | 廃熱利用システム、廃熱利用方法、及び制御装置 |
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