JP2023039006A - ストレッチャブル導電材用導電組成物、ストレッチャブル導電材及びその製造方法 - Google Patents

ストレッチャブル導電材用導電組成物、ストレッチャブル導電材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】伸縮性に優れ、伸長時にクラックの発生を効果的に抑制でき、各種伸縮性フィルム基材への印刷性が良好なストレッチャブル導電材用導電組成物、ストレッチャブル導電材及びその製造方法を提供する。【解決手段】伸縮性ベースフィルム上に導電層を備える導電性組成物であって、ブロック共重合体である樹脂(E)と、導電性微粒子(F)と、溶剤(C)とを含有し、前記溶剤(C)が、下記条件(1)~(3)を全て満たす溶剤(C’)を含む導電性組成物。(1)沸点180℃以上270℃以下である(2)ハンセン溶解性パラメータのδpが0≦δp≦5.0、かつδhが2.4≦δh≦9.1であるか、又は、ハンセン溶解性パラメータのδpが5.5≦δp≦15.3、かつδhが10.0≦δh≦24.0である、のうち一方を満たす(3)ハンセン溶解性パラメータのδdが13.8≦δd≦20.0である【選択図】なし

Description

本発明は、ストレッチャブル導電材用導電組成物、ストレッチャブル導電材及びその製造方法に関する。
様々な産業分野において導電材料が用いられており、これらの材料の更なる高機能化に関して種々の提案がなされている。特に近年は、フレキシブル性や伸縮性を備えるストレッチャブル導電材の開発が進み、アクチュエータ用途やウェアラブルセンサー用途へ向けた提案がなされている。
特許文献1には、低コストで高い耐久性を有する、伸縮性導電性被膜が開示されており、表面処理が施されていない銀被覆粒子を用い、さらに特定の添加材を組み合わせることにより、被膜伸長時に高い導電性が得られることが開示されている。
特許文献2には、ブロック共重合体と、特定の銀粉とを組み合わせることによって、著しく伸縮性が向上した導電体を得ることができる導電性組成物が開示されている。
国際公開第2018/159374号 国際公開第2017/026130号
生体センシング等のヘルスケア機器、ウェアラブル機器、並びにロボティックス等の分野の進展に伴い、導電材料には、従来求められていた導電性のみならず、加工時及び使用時に曲面部や可動部に追随可能な伸縮性が求められる。
また、曲面部や可動部に導電材料を用いると、繰り返し伸縮に伴う樹脂の構造破壊により、樹脂にクラックが発生しやすいという問題がある。特に、導電材料の場合には導電性微粒子を添加する場合が大半であり、伸長収縮の変形時に樹脂から導電材が剥離して樹脂中に空隙(ボイド)が発生し、そこを起点としてクラックが生じやすい。その結果、伸縮を重ねるごとに導電性が低下するという問題がある。
さらに、ストレッチャブル導電材を形成するためには、ペースト状等の導電性組成物を伸縮性基材に塗布し印刷パターンを形成させる必要がある。しかしながら、使用される溶剤と伸縮性フィルム基材との親和性が悪い場合、導電導電性組成物が伸縮性基材に密着せず、印刷性が低下するという問題がある。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、伸縮性に優れ、伸長時にクラックの発生を効果的に抑制でき、各種伸縮性フィルム基材への印刷性が良好なストレッチャブル導電材用導電組成物、ストレッチャブル導電材及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、曲面部や可動部に追随可能な伸縮性を有する基材表面に適したストレッチャブル導電材を製造するために、スクリーン印刷可能な導電性組成物の検討を行った。スクリーン印刷に適用するために、沸点180℃以上270℃以下の溶剤を選択して検討したところ、導電性組成物に含まれる溶剤の種類によって、得られたストレッチャブル導電材を伸縮させたときに生じる抵抗値の変化の大きさや、導電性組成物の基材への密着性(印刷性)が異なるという知見を得た。
本発明者らはこのような知見に基づいて検討を行った結果、伸縮性フィルム上に特定の溶剤を含む導電性組成物を印刷し、加熱乾燥により導電層を形成した際に、当該導電性組成物と伸縮性フィルムの接触面で伸縮性フィルムに対して溶剤が浸透し、伸縮性フィルムのわずかな溶解及び収縮が生じることが明らかとなった。このような溶剤の浸透に起因する溶解及び収縮は、伸縮性フィルムと導電層の接触面全体で生じているものと推定される。そのため、伸縮性フィルムと導電層との密着性がわずかに低下すると共に、伸縮性フィルムに浸透した溶剤が乾燥中又は乾燥後において導電層へ移行するために、導電層の凝集力もまた低下しているものと予測される。
このような溶剤の浸透に起因する溶解及び収縮が起こった伸縮性フィルムを有するストレッチャブル導電材であっても、それ単体を平坦なフィルム回路基板などとして使用する場合には問題とならなかった。しかしながら、平坦でない基材表面の形状に追従させ一体化させる場合や、伸縮を繰り返すような伸縮性フィルムとして使用する場合には、ストレッチャブル導電材は、変形又は伸縮を伴うことになる。当該変形又は伸縮の際、ストレッチャブル導電材には、基材との摩擦が生じると共に、連続的に引張り力がかかる。溶剤の浸透に起因する溶解及び収縮が起こった伸縮性フィルムを有するストレッチャブル導電材の場合、当該変形又は伸縮の際に、摩擦や凝集力低下による導電層の脱離や、延伸又は収縮に対する導電層の断線などが生じやすく、導電性が低下するものと推定される。
さらに導電ペーストを伸縮性基材に塗布し印刷パターンを形成させる際には、上述する溶剤浸透などの理由から、導電ペーストに含まれる溶剤が伸縮性フィルム基材を劣化させる。その結果、導電ペーストと伸縮性基材との密着性が長時間維持されず、導電層の剥離に伴う断線が生じる、即ち印刷性が低下するという問題がある。
本発明者らはこれらの知見に基づいて鋭意検討を行った結果、特定の樹脂種と、ハンセン溶解性パラメータ(HSP)が特定範囲にある溶剤の組み合わせのみが、基材フィルムへ浸透しにくいことを見出して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、23℃で100MPa未満のヤング率及び150%以上の引張破断伸度を有する伸縮性ベースフィルム(G)上に、導電層を備えるストレッチャブル導電材の製造に用いられる導電性組成物であって、
樹脂(E)と、導電性微粒子(F)と、溶剤(C)と、を含有し、
前記樹脂(E)がエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とするブロック共重合体であって、
重量平均分子量が20,000以上500,000以下であり、
前記樹脂(E)の含有割合が、導電性組成物に含まれる固形分全量に対し8質量%以上40質量%以下であり、
前記溶剤(C)が、下記条件(1)~(3)を全て満たす溶剤(C’)を、前記溶剤(C)100質量%中40質量%以上含む、ストレッチャブル導電材用導電性組成物に関する。
(1)沸点180℃以上270℃以下である
(2)ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の極性パラメータδpが0≦δp≦5.0、かつ、ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の水素結合パラメータδhが2.4≦δh≦9.1であるか、
又は、
ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の極性パラメータδpが5.5≦δp≦15.3、かつ、ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の水素結合パラメータδhが10.0≦δh≦24.0である、のうち一方を満たす
(3)ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の分散パラメータδdが13.8≦δd≦20.0である
また、本発明は、前記導電性微粒子(F)が、銀粉、銅紛、銀コート紛、銅合金紛、導電性酸化物粉、及びカーボン微粒子からなる群より選択される一種以上の導電性微粒子を含む、前記記載のストレッチャブル導電材用導電性組成物に関する。
また、本発明は、前記伸縮性ベースフィルム(G)がポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンゴム、及びアクリルゴムからなる群より選択される一種以上のエラストマー及び/又はゴム成分を含む、前記記載のストレッチャブル導電材用導電性組成物に関する。
また、本発明は、前記樹脂(E)が、メルカプト基、ヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される一種以上の反応性官能基を有する、前記のストレッチャブル導電材用導電性組成物に関する。
また、本発明は、更に前記樹脂(E)が有する反応性官能基と架橋形成しうる架橋剤(D)を含有する、前記記載のストレッチャブル導電材用導電性組成物に関する。
また、本発明は、23℃で100MPa未満のヤング率及び150%以上の引張破断伸度を有する伸縮性ベースフィルム(G)上に、前記ストレッチャブル導電材用導電性組成物の硬化物である導電層を備える、ストレッチャブル導電材に関する。
また、本発明は、23℃で100MPa未満のヤング率及び150%以上の引張破断伸度を有する伸縮性ベースフィルム(G)上に導電層を備えるストレッチャブル導電材の製造方法であって、
前記ストレッチャブル導電材用導電性組成物を、前記伸縮性ベースフィルム(G)上に印刷し、乾燥することにより導電層を形成する工程を含む、ストレッチャブル導電材の製造方法に関する。
本発明によれば、伸縮性に優れ、伸長時にクラックの発生を効果的に抑制でき、各種伸縮性フィルム基材への印刷性が良好なストレッチャブル導電材用導電組成物、ストレッチャブル導電材及びその製造方法を提供できるという優れた効果を有する。
以下、本実施に係るストレッチャブル導電材用導電組成物、ストレッチャブル導電材及びその製造方法について順に詳細に説明する。
なお本実施において、硬化物とは、化学反応により硬化したもののみならず、例えば溶剤の揮発等、化学反応以外の方法で硬化したものを包含する。
<ストレッチャブル導電材用導電組成物>
本発明のストレッチャブル導電材用導電組成物は、樹脂(E)と、導電性微粒子(F)と、溶剤(C)と、を含有し、
前記樹脂(E)がエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とするブロック共重合体であって、重量平均分子量が20,000以上500,000以下であり、
前記樹脂(E)の含有割合が、導電性組成物に含まれる固形分全量に対し8質量%以上40質量%以下であり、
前記溶剤(C)が、下記条件(1)~(3)を全て満たす溶剤(C’)を、前記溶剤(C)100質量%中40質量%以上含む、ストレッチャブル導電材用導電性組成物である。
(1)沸点180℃以上270℃以下である
(2)ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の極性パラメータδpが0≦δp≦5.0、かつ、ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の水素結合パラメータδhが2.4≦δh≦9.1であるか、
又は、
ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の極性パラメータδpが5.5≦δp≦15.3、かつ、ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の水素結合パラメータδhが10.0≦δh≦24.0である、のうち一方を満たす
(3)ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の分散パラメータδdが13.8≦δd≦20.0である
即ち、本発明のストレッチャブル導電材用導電性組成物は、上記特定の樹脂(E)と、溶剤(C’)を用いることにより、スクリーン印刷等で、導電性に優れた厚膜の導電層を有するストレッチャブル導電材を容易に製造することができる。
また、当該ストレッチャブル導電材用導電性組成物によれば、繰り返しの伸縮に伴う導電性の低下が抑制され、導電材の伸縮性基材への印刷性が向上し、導電層と伸縮性基材との密着性に優れたストレッチャブル導電材の製造が可能となる。
そして、当該導電性組成物を用いて製造されたストレッチャブル導電材は、平坦でない曲面部や可動部に追随可能な基材表面に用いた場合であっても、導電性の低下が抑制される。
<樹脂(E)>
本実施の導電性組成物は、成膜性や、伸縮性ベースフィルムへの密着性を付与するために、バインダー性の樹脂(E)を含有する。また、本実施においては、樹脂(E)を含有することにより、導電層に柔軟性や伸縮性を付与することができる。そのため、樹脂(E)を含有することにより延伸又は収縮に対する導電層の断線が抑制される。
前記樹脂(E)は、導電性組成物用途に用いられるエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とするブロック共重合体であって、重量平均分子量が20,000以上500,000以下である。
本明細書において「エチレン性不飽和単量体」とは、重合性のエチレン性不飽和基を分子内に1つ以上有する単量体をいう。また、「主体とする」とは、ブロック共重合体の合計質量を基準としてエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を70質量%以上含むことをいう。
エチレン性不飽和単量体中のエチレン性不飽和基の具体例としては、エチレン基、プロペニル基、ブテニル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリル基、アリルエーテル基、ビニルエーテル基、マレイル基、マレイミド基、(メタ)アクリルアミド基、アセチルビニル基及びビニルアミド基が例示できる。「エチレン性不飽和単量体」は、(メタ)アクリル基がより好ましい。なお、「(メタ)アクリル」は「アクリル」、「メタクリル」及びこれらの混合物の両方を包含する。また、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」、「メタクリレート」及びこれらの混合物の両方を包含する。
また、本明細書において「エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位」には、エチレン性不飽和単量体の残基の他、エチレン性不飽和単量体の残基の一部分をブロック共重合体の重合時又は重合後に反応性化合物と反応させて得られたエチレン性不飽和単量体の残基の誘導体も含む。例えば、エチレン性不飽和単量体の残基の一部分に、単量体に元々含まれていない官能基及び/又は置換基が導入された構造単位も含まれる。なお、単量体自体に官能基及び/又は置換基が含まれていてもよい。また、ブロック共重合体内の側基同士、側鎖同士、又は側基と側鎖が互いに又は反応性化合物を介して結合して環を形成した構造を含む。なお、ブロック共重合体は官能基を有していてもよい。官能基としては、例えば、メルカプト基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリル基、加水分解性シリル基、ニトリル基、イソシアネート基等を含んでいてもよい。
<反応性官能基>
更に本実施においては、中でも、メルカプト基、ヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される一種以上の反応性官能基を有することが好ましい。当該官能基を反応性官能基として、後述する架橋剤(D)と組み合わせ、化学架橋させることにより、樹脂(E)を3次元架橋させることができ、導電層に硬度が求められる用途において好適に用いることができる。
<ブロック共重合体>
本実施形態のブロック共重合体は、ソフトセグメント及びハードセグメントを含むことが好ましい。ソフトセグメントは、柔軟で屈曲性の高いポリマー鎖からなるブロック成分であり、ハードセグメントは、結晶化若しくは凝集しやすく、ソフトセグメントより剛性の高いポリマー鎖からなるブロック成分である。そして、本実施形態に係るブロック共重合体においては、ソフトセグメントがハードセグメントに挟まれた構成(すなわち、「ハードセグメント-ソフトセグメント-ハードセグメント」のトリブロック構造又は後述する星形ブロック構造)を有することが好ましい。
ソフトセグメント及びハードセグメントを含むブロック共重合体としては、下記式(4)で表されるブロック共重合体が挙げられる。
A-B・・・(4)
式(4)中、Aはガラス転移点Tgが20℃以上のブロック(ハードセグメント)であり、Bはガラス転移点Tgが0℃未満のブロック(ソフトセグメント)を示す。式(4)で表されるブロック共重合体を用いることにより、本実施形態に係る導電性組成物の硬化物が強靭性を発揮する。なお、ガラス転移点Tgは、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定できる。
また、トリブロック構造のブロック共重合体としては、下記式(5)で表されるブロック共重合体が挙げられる。
A1-B-A2・・・(5)
式(5)中、A1及びA2は、各々独立して、ガラス転移点Tgが20℃以上のブロック(ハードセグメント)を示す。また、Bは、ガラス転移点Tgが0℃未満のブロック(ソフトセグメント)を示す。ここで、A1及びA2は互いに異なるブロックであってもよいが、同一のブロックであることが好ましい。
そして、A、A1及びA2は、Tgが50℃以上のブロックであることが好ましく、Bは、Tgが-20℃以下であるブロックであることが好ましい。
また、式(4)及び式(5)に示されるブロック共重合体において、ガラス転移点Tgがより小さいBがソフトセグメントに対応し、ガラス転移点Tgがより大きいA、A1及びA2がハードセグメントに対応するブロックであることが好ましい。
なお、式(4)及び式(5)を比較すると、引っ張り破断伸度の観点から、式(5)のブロック共重合体を用いることが好ましい。
そして、ブロック共重合体は、少なくとも20℃以上30℃以下の範囲において固形であることが好ましい。この温度範囲において固体であることで、柔軟性基材に塗布した場合、又は塗布後、乾燥させた場合に良好なタック性を確保できる。
また、AとBの質量の比率が、15:85~40:60の範囲であることが好ましい。AとBとが上記範囲内にあると、伸長時に基材に追従し、断線が生じにくくなるため、好ましい。より好ましくは、20:80~35:75である。なお、ブロック共重合体中にA1及びA2を含む場合は、A1及びA2の合計量をAとして、Bとの比率を計算する。
A、A1、及びA2の例としては、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)及びポリスチレン(PS)等が挙げられる。Bの例としては、ポリn-ブチルアクリレート(PBA)及びポリブタジエン(PB)等が挙げられる。ブロック共重合体は、ポリメチル(メタ)アクリレート/ポリn-ブチル(メタ)アクリレート/ポリメチル(メタ)アクリレートのトリブロック共重合体であることが好ましい。尚、本願において(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
また上述した(4)、(5)以外に、下記式(6)で表される星形ブロック構造であってもよい。
[A-B]X・・・(6)
式(6)中、qは2以上6以下の整数である。A及びBは、式(4)の記載を援用できる。
「星形ブロック構造」とはA-Bのジブロック体が、Xを起点として複数(2~6)結合されてなる(Xと重合体ブロックBが結合されてなる)[重合体ブロックA-重合体ブロックB]Xの構造をいう。Xは開始剤残基及び/又はカップリング剤残基、又はその誘導体である。
更に、「開始剤残基」とは、開始剤由来の部分構造をいい、ブロック共重合体中の開始剤に由来する残基を意味する。また、「カップリング剤残基」とは、カップリング剤由来の部分構造をいい、ブロック共重合体中のカップリング剤に由来する残基を意味する。また、「その誘導体」とは、開始剤残基及び/又はカップリング剤残基の一部が化学変換された構造をいう。例えば、ブロック共重合体の合成時に、開始剤残基及び/又はカップリング剤残基の一部が置換、付加された構造が含まれる。
星形ブロック構造の場合の開始剤残基及び/又はカップリング剤残基、又はその誘導体Xの分子量は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において特に限定されない。例えば、50~2,500程度とすることができる。重合体ブロックAの連鎖末端に任意で有していてもよい開始剤残基又はその誘導体の分子量も同様に本発明の趣旨を逸脱しない範囲において特に限定されず、例えば、50~2,500程度とすることができる。
本明細書における重合体ブロックA、A1、A2のTgは、ブロック共重合体が得られた段階で示差走査熱量測定(DSC)測定して得られた曲線において認められる<重合体ブロックA、A1、A2>TotalのTgであり、JISK7121:2012プラスチックの転移温度測定方法に基づき測定を行い、当該JIS9.3記載の補外ガラス転移開始温度(Tig)により求められる値とする。<重合体ブロックA、A1、A2>Totalに由来するTgは、同様の化学構造を有するブロックではない重合体のTgと同一又は近傍の数値となるので、ジブロック構造、トリブロック構造の場合には重合体ブロックBのTg、星形ブロック構造の場合には[重合体ブロックB]qXのTgと容易に区別が付けられる。<重合体ブロックA、A1、A2>Totalの上記Tg、及びそれぞれの重合体ブロックA、A1、A2のTgは、ブロック共重合体の連鎖末端、即ち、重合体ブロックA、A1、A2の連鎖末端の構造によって値は大きく変わらないので、本明細書においては、重合体ブロック(A)の連鎖末端も含めて、それぞれの重合体ブロックA、A1、A2のTg及び<重合体ブロックA、A1、A2>TotalのTgを判断するものとする。
但し、各重合体ブロックA、A1、A2の単量体に由来する構造単位がブロック毎に異なるケースなどにおいて、DSC測定して得られた曲線において、複数のTgが観測される場合には、<重合体ブロックA、A1、A2>TotalのTgに代えて、それぞれの重合体ブロックA、A1、A2のTgにより判断するものとする。その場合には、各重合体ブロックA、A1、A2の重合が完了した時点でサンプリングしてTgを求める。或いは、それぞれの重合体ブロック(A)と同様の化学構造を有する重合体のTgと相関があるので、それぞれの対応する重合体のTgをFoxの式より求め、Tgが20℃以上であるか否かにより判断してもよい。Foxの式は、下記式(7)から求められる値である。
1/(Tg+273.15)=Σ[W/(Tg+273.15)]・・・(7)
式(7)中、Tgは重合体ブロックA、A1、A2のTg(℃)であり、Wは重合体ブロックA、A1、A2を構成する単量体aの質量分率であり、Tgは単量体aの単独重合体(ホモポリマー)のTg(℃)である。なお、Tgはホモポリマーの特性値として広く知られており、例えば、「POLYMERHANDBOOK,THIRDEDITION」に記載されている値や、メーカのカタログ値を用いることができる。
ブロック共重合体がジブロック構造、トリブロック構造の場合には重合体ブロックBそのもののTgを0℃未満とし、星形ブロック構造の場合には[重合体ブロックB]XのTgを0℃未満とする。ここで、ジブロック構造、トリブロック構造の重合体ブロックB、及び星形ブロック構造の[重合体ブロックB]Xを総称して<重合体ブロックB[X]>と表記する。
<重合体ブロックB[X]>のTgは、ブロック共重合体が得られた段階でDSC測定して得られた曲線において認められる<重合体ブロックB[X]>のTgであり、JISK7121:2012プラスチックの転移温度測定方法に基づき測定を行い、当該JIS9.3記載の補外ガラス転移開始温度(Tig)により求められる値とする。<重合体ブロックB[X]>のTgは、同様の化学構造を有する重合体のTgと同一又は近傍の数値となるので重合体ブロックAに由来するTgと容易に区別が付けられる。
ブロック共重合体は、ブロック構造が、A-Bのジブロック構造、A1-B-A2のトリブロック構造、又は[A-B]Xの星形ブロック構造であることが好ましく、重合体ブロックAの連鎖末端に開始剤残基又はその誘導体、官能基、不活性基、架橋性基、置換基などを有していてもよい。
重合体ブロックA、A1、A2のTgは20℃以上であり、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることが更に好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。重合体ブロックA、A1、A2のTgの上限値は特に限定されないが、例えば300℃、250℃又は200℃とすることができる。この重合体ブロックA、A1、A2のTgは、前述したように<重合体ブロックA、A1、A2>TotalのTgに読み替えられる(以降においても同様とする。)。即ち、<重合体ブロックA、A1、A2>Totalは20℃以上であり、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることが更に好ましく、100℃以上であることが特に好ましい。同様に、<重合体ブロックA、A1、A2>Totalの上限値は特に限定されないが、例えば300℃、250℃又は200℃とすることができる。
ジブロック構造、トリブロック構造の場合の重合体ブロックBのTg、並びに星形ブロック構造の場合の[重合体ブロックB]XのTg、即ち、<重合体ブロックB[X]>のTgは、0℃未満であり、-10℃以下であることが好ましく、-20℃以下であることが特に好ましい。<重合体ブロック(B)[X]>のTgの下限値は特に限定されないが、例えば-100℃、-90℃又は80℃とすることができる。
重合体ブロックA、A1、A2のTgと<重合体ブロックB[X]>のTgの温度差は特に限定されないが、75℃以上であることが好ましく、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは125℃以上、特に好ましくは150℃以上である。75℃以上とすることにより、ミクロ相分離構造の形成を促進し、物理架橋による効果をより効果的に引き出すことができる。
本明細書でいう重量平均分子量(Mw)は、後述する実施例に記載する方法で求められる値である。ブロック共重合体のMwは、20,000以上500,000以下とする。この範囲とすることにより、ブロック共重合体をストレッチャブル導電材用導電組成物として用いた場合に、伸縮強度と導電安定性を両立することができる。Mwの好ましい範囲は25,000~400,000であり、より好ましい範囲は30,000~300,000である。多分散度(Mw/Mn)は特に限定されないが、1~2.5であることが好ましく、1~2.0であることがより好ましく、1~1.8であることが更に好ましく、伸縮強度に影響を与えるミクロ相分離構造の形成を促進する観点からは多分散度を1~1.5、1~1.3とすることが特に好ましい。
各重合体ブロックA、A1、A2のMwはそれぞれ異なっていてもよいが、伸縮性の観点からは実質的に同一であることが好ましい。同様に、各重合体ブロックBのMwはそれぞれ異なっていてもよいが、伸縮性の観点からは実質的に同一であることが好ましい。
各重合体ブロックA、A1、A2の単量体に由来する構造単位は、ブロック毎に異なる単量体に由来する構造単位から構成されていてもよいし、ブロック間で同一の単量体に由来する構造単位から構成されていてもよい。重合体ブロックA、A1、A2同士は、単量体に由来する構造単位の60質量%以上が互いに共通していることが好ましく、70質量%が共通していることがより好ましく、80質量%以上が共通していることが更に好ましい。同様に、各重合体ブロックBは、ブロック毎に異なる単量体に由来する構造単位から構成されていてもよいし、ブロック間で同一の単量体に由来する構造単位から構成されていてもよい。好ましくは、重合体ブロックB同士は、単量体に由来する構造単位の60質量%以上が互いに共通していることが好ましく、70質量%が共通していることがより好ましく、80質量%以上が共通していることが更に好ましい。なお、ここで共通するとは、単量体の配列までは問わず、成分が共通していることを意味する。
樹脂(E)に用いられるブロック共重合体の結合形式は、ストレッチャブル導電材としての特性である、伸縮性及び伸縮導電性をより効果的に高める観点からは、A1-B-A2型のトリブロック構造、[A-B]Xのうちのq=2の2分岐構造、q=3の3分岐構造が好ましい。重合体ブロックA、A1、A2及び重合体ブロックBはそれぞれ独立に、1種単独又は2種以上の単量体由来の構造単位を有する。
樹脂(E)に用いられるブロック共重合体の合計質量に基づいてエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位の含有量は、ブロック共重合体の合計質量に対して80質量%以上であることが好ましく、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であり、重合体ブロックA、A1、A2及び重合体ブロックBのミクロ相分離構造の形成をより効果的に促進する観点からは、X(開始剤残基及び/又はカップリング剤残基、又はその誘導体)及びブロック共重合体の末端の構造以外が、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位(100質量%)からなるブロック共重合体が好ましい。
重合体ブロックA、A1、A2は前述したTgを満たし、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とする、ハードセグメントとして機能するブロックである。単量体は1種単独又は2種以上を併用して用いられる。単量体の具体例として、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、スチレン、スチレン誘導体、マレイミド、アクリロニトリルが挙げられる。メタクリル酸エステルとしては、炭素数が1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8又は炭素数1~4のアルキル基を有するものが例示できる。また、スチレン誘導体としては、α-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、p-クロロスチレン、クロロメチルスチレン及びビニルトルエンが例示できる。また、次に説明する重合体ブロックBで例示する単量体をその一部に好適に含むことができる。
重合体ブロックBは前述したTgを満たし、エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とする、ソフトセグメントとして機能するブロックである。単量体は1種単独又は2種以上を併用して用いられる。単量体の具体例として、アクリル酸エステル、オレフィン化合物、ジエン化合物、アルキレンオキシドが挙げられる。アクリル酸エステルとしては、炭素数が1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8又は炭素数1~4のアルキル基を有するアルキルアクリレートが例示できる。オレフィン化合物及びジエン化合物としては、炭素数が1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8又は炭素数1~4のオレフィン化合物及びジエン化合物が例示できる。また、アルキレンオキシドとしては、炭素数が1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8又は炭素数1~4のアルキレン基を有するアルキレンオキシドが例示できる。また、前述の重合体ブロックA、A1、A2で例示する単量体をその一部に好適に含むことができる。
樹脂(E)に用いられるブロック共重合体の好適例として、重合体ブロックA、A1、A2がメタクリル酸エステル由来の構造単位を50質量%以上含み、重合体ブロックBがアクリル酸エステル由来の構造単位を70質量%以上含むブロック共重合体が挙げられる。重合体ブロックA、A1、A2中のメタクリル酸エステル由来の構造単位は、より好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上である。また、メタクリル酸エステル由来の構造単位を100質量%としてもよい。
また、重合体ブロックB中のアクリル酸エステル由来の構造単位は、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上である。また、アクリル酸エステル由来の構造単位を100質量%としてもよい。重合体ブロックA、A1、A2がメタクリル酸エステル由来の構造単位を50質量%以上含み、且つ重合体ブロックBがアクリル酸エステル由来の構造単位を70質量%以上含むことによって、より伸縮性に優れ、安定した伸縮導電性を発現することができる。
重合体ブロックA、A1、A2のメタクリル酸エステル由来の構造単位を形成する単量体として、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ノルマルブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ターシャリブチルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ノルマルヘキシルメタクリレート、イソヘキシルメタクリレート、イソヘプチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノルマルオクチルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、べへニルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、t-ブチルシクロヘキシルメチルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、シクロデシルメタクリレート、シクロデシルメチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、t-ブチルベンゾトリアゾールフェニルエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アリルメタクリレート等の、脂肪族、脂環族、芳香族アルキルメタクリレート類が例示できる。
また、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレートなどのヒドロキシアルキル基の炭素数が2~4であるヒドロキシアルキルメタクリレート、グリセリンアクリレート、グリセリンメタクリレート等の水酸基を含有するメタクリル酸系モノマー類;メトキシメチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、メトキシプロピルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、エトキシプロピルメタクリレートなどのアルコキシ基の炭素数が1~4であり、アルキル基の炭素数が1~4であるアルコキシアルキルメタクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート類;
(ポリアルキレン)グリコールモノアルキル、アルキレン、アルキンエーテル又はエステルのモノメタクリレート類;アクリル酸やアクリル酸二量体を含む酸基(カルボキシ基、スルホン酸、リン酸)を有するメタクリル酸系モノマー類;酸素原子含有のメタクリル酸系モノマー類;アミノ基を有するメタクリル酸系モノマー類;窒素原子含有のメタクリル酸系モノマー類等を用いることができる。更に、その他、3個以上の水酸基をもつモノメタクリレート類、ハロゲン原子含有メタクリレート類、ケイ素原子含有のメタクリル酸系モノマー類、紫外線を吸収する基を有するメタクリル酸系モノマー類、α位水酸基メチル置換アクリレート類も例示できる。また、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンのポリアルキレングリコール付加物のメタクリル酸エステル等の、2個以上の付加重合性基を有するメタクリル酸系モノマー類を用いてもよい。
重合体ブロックA、A1、A2のメタクリル酸エステル由来以外の構造単位を形成する単量体としては、メタクリル酸エステルと重合し得る他の単量体を用いることができる。具体的には、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。
重合体ブロックA、A1、A2の好適な例として、メチルメタクリレート由来の構造単位を50質量%以上含む態様が挙げられる。より好ましくはメチルメタクリレート由来の構造単位が60質量%以上であり、80質量%以上であることが更に好ましい。また、重合体ブロックA、A1、A2の100質量%がメチルメタクリレート由来の構造単位であってもよい。
重合体ブロックBのアクリル酸エステル由来の構造単位を形成する単量体として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ノルマルブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ターシャリブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ペンチルアクリレート、ノルマルヘキシルアクリレート、イソヘキシルアクリレート、イソヘプチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ノルマルオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、テトラデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、べへニルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、t-ブチルシクロヘキシルメチルアクリレート、イソボロニルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルアクリレート、シクロデシルアクリレート、シクロデシルメチルアクリレート、ベンジルアクリレート、t-ブチルベンゾトリアゾールフェニルエチルアクリレート、フェニルアクリレート、ナフチルアクリレート、アリルアクリレートなどの、脂肪族、脂環族、芳香族アルキルアクリレート類が例示できる。
また、水酸基を含有するアクリル酸系モノマー類;グリコール基を有するアクリル酸系モノマー類;(ポリアルキレン)グリコールモノアルキル、アルキレン、アルキンエーテル又はエステルのモノアクリレート類;アクリル酸やアクリル酸二量体を含む酸基(カルボキシ基、スルホン酸、リン酸)を有するアクリル酸系モノマー類;酸素原子含有のアクリル酸系モノマー類;アミノ基を有するアクリル酸系モノマー類;窒素原子含有のアクリル酸系モノマー類等を用いることができる。更に、その他、3個以上の水酸基をもつモノアクリレート類、ハロゲン原子含有アクリレート類、ケイ素原子含有のアクリル酸系モノマー類、紫外線を吸収する基を有するアクリル酸系モノマー類、α位水酸基メチル置換アクリレート類も例示できる。また、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンのポリアルキレングリコール付加物のアクリル酸エステル等の、2個以上の付加重合性基を有するアクリル酸系モノマー類を用いてもよい。
重合体ブロックBのアクリル酸エステル由来以外の構造単位としては、アクリル酸エステルと重合し得る他の単量体を用いることができる。例えば、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等が挙げられる。
重合体ブロックBの好適な例として、ブチルアクリレート由来の構造単位を70質量%以上含む態様が挙げられる。より好ましくはブチルアクリレート由来の構造単位が80質量%以上であり、90質量%以上であることが更に好ましい。また、重合体ブロックBの100質量%がブチルアクリレート由来の構造単位であってもよい。
樹脂(E)に用いられるブロック共重合体の好適な例として、重合体ブロックA、A1、A2中にメチルメタクリレート由来の構造単位を50質量%以上含み、且つ重合体ブロックB中にブチルアクリレート由来の構造単位を70質量%以上含む態様が例示できる。このようなブロック共重合体を樹脂(E)に用いれば、優れたストレッチャブル導電材を提供できる。重合体ブロックA、A1、A2中のメチルメタクリレート由来の構造単位は、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上としてもよく、100質量%以上としてもよい。重合体ブロックB中のブチルアクリレート由来の構造単位は、80質量%以上、90質量%以上としてもよく、100質量%としてもよい。
樹脂(E)に上述するブロック共重合体を用いることによって、重合体ブロックA、A1、A2と重合体ブロックBが海島構造(体心立方)、シリンダー(ヘキサゴナル)、ジャイロイド、ラメラ相等の分子レベルでの相分離構造(ミクロ相分離構造)を形成することができる。ミクロ相分離構造を形成することによって、優れた伸縮性を付与し、伸縮に伴うクラック発生(断線)を効果的に抑制できるストレッチャブル導電性組成物を提供できる。伸縮性をより効果的に高める観点からは、重合体ブロックA、A1、A2が島、重合体ブロックBが海に相当する海島構造であることがより好ましい。なお、ミクロ相分離構造は、原子間力顕微鏡(AtomicForceMicroscope、AFM)を用いて観察することにより確認できる。
樹脂(E)に用いられるブロック共重合体の重合体ブロックA、A1、A2と重合体ブロックBに対する重合体ブロックA、A1、A2の含有率は特に限定されないが、海島構造のミクロ相分離構造を容易に得る観点からは、1~50質量%であることが好ましく、15~30質量%であることがより好ましい。また、粘着性を効果的に引き出す観点からは、ブロック共重合体中の重合体ブロックA、A1、A2と重合体ブロックBに対する重合体ブロックA、A1、A2全体の含有率が1~35質量%であることが好ましく、5~30質量%であることがより好ましい。
ブロック共重合体における重合体ブロックA、A1、A2と重合体ブロックBの含有比率は特に限定されないが、ミクロ相分離構造を容易に得る観点からは、ブロック共重合体の全質量に対して、重合体ブロックA、A1、A2と重合体ブロックBの含有率が90.0~99.9質量%であることが好ましく、98.0~99.9質量%であることがより好ましい。
樹脂(E)に用いられるブロック共重合体は、導電性を良好に保つ観点から、ブロック共重合体のエチレン性不飽和単量体の90質量%以上が疎水性のエチレン性不飽和単量体であることが好ましい。ここで「疎水性のエチレン性不飽和単量体」とは、20℃での水中への溶解性が6.5g/100mL以下の単量体をいう。疎水性のエチレン性不飽和単量体としては、上述したアルキル(メタ)アクリレート類、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類、酢酸ビニル、塩化ビニル等のビニル類、スチレン等の芳香族類等が例示できる。
<樹脂(E)に用いられるブロック共重合体の製造方法>
以下、本実施形態のブロック共重合体の製造方法の一例について説明するが、本発明のブロック共重合体は以下の製造方法に限定されるものではない。
樹脂(E)に用いられるブロック共重合体の製造方法は特に限定されないが、ラジカル重合及びイオン重合により製造する方法が好適である。イオン重合はアニオン重合、カチオン重合がある。ラジカル重合の種類は特に限定されないが、リビングラジカル重合が好適である。また、反応性末端ジブロック構造を得た後に、カップリング剤を用いてブロック共重合体を得ることもできる。
アニオン重合の例としては、無機酸塩の存在下で重合開始剤として有機希土類金属複合体又は有機アルカリ金属化合物を用いて重合する方法、有機アルミニウム化合物の存在下で重合開始剤として有機アルカリ金属化合物を用いて重合する方法がある。
リビングラジカル重合の例としては、ニトロキシド系の触媒を用いた重合/NMP法、遷移金属錯体系の触媒を用いた原子移動ラジカル重合/ATRP法、可逆的付加開裂連鎖移動剤を使用する可逆的付加-開裂連鎖移動重合/RAFT法、有機テルル系の触媒を用いた重合/TERP法、ヨウ素系化合物を触媒に用いたヨウ素移動重合/RCMP法(可逆配位媒介重合)又はRTCP法(可逆移動触媒重合)が例示できる。
重合起点を2~6有するいずれかの重合開始剤を用いて重合体ブロックB及び重合体ブロックA、A1、A2をこの順に逐次重合により得る工程を含む[A-B]Xで表されるブロック共重合体の製造方法がある。
別の方法として、重合開始剤を起点として、重合体ブロックA1、重合体ブロックB、重合体ブロックA2をこの順に逐次重合により得る工程を含む、A1-B-A2型のトリブロック構造で表されるブロック共重合体の製造方法がある。
また、重合体ブロックB、重合体ブロックAを任意の順に逐次重合することによりA-B型のジブロック構造を得、A-B型のジブロック構造の分子末端に必要に応じて反応性末端を導入し、この反応性末端と反応性を示す連結ユニットを3~6有するいずれかのカップリング剤を用いてカップリング反応を行う工程を含む、[A-B]Xで表されるブロック共重合体の製造方法がある。
また、樹脂(E)に用いられるブロック共重合体は、市販品であってよい。市販品の例は、アルケマ社製のリビング重合を用いて製造されるアクリル系トリブロックコポリマーである。具体的には、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリメチルメタアクリレートに代表されるSBMタイプ、ポリメチルメタアクリレート-ポリブチルアクリレート-ポリメチルメタアクリレートに代表されるMAMタイプ、及びカルボン酸変性処理又は親水基変性処理されたMAMNタイプ又はMAMAタイプを使用することができる。市販品の別の例は、クラレ社製の、メタクリル酸メチル及びアクリル酸ブチルから誘導されるブロック共重合体である。
本実施において、前記樹脂(E)の含有割合は、導電性組成物に含まれる固形分全量に対し5質量%以上40質量%以下である。より好ましくは10質量%以上38質量%以下であり、15質量%以上35質量%以下であることが更に好ましい。樹脂(E)の含有割合が導電性組成物に含まれる固形分全量に対し8質量%未満であると導電層に十分な柔軟性を付与することができず、伸長時における導電層のクラック発生を効果的に抑制することが困難になる。また、40質量%より大きいと導電性微粒子(F)を十分に含有することができないため、導電性に優れた導電層の形成自体が難しくなる。
樹脂(E)に用いられるブロック共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
また、必要に応じて、樹脂(E)以外の樹脂成分として、その他のバインダー樹脂を併用してもよい。樹脂(E)以外の樹脂成分は全樹脂成分中の50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であることが、導電性に優れた導電層形成の観点から好ましい。
<導電性微粒子(F)>
導電性微粒子(F)は、導電層内で複数の導電性微粒子が接触して導電性を発現するものであり、本実施においては、高温で加熱することなく導電性が得られるものの中から適宜選択して用いられる。本実施に用いられる導電性微粒子としては、金属微粒子、カーボン微粒子、導電性酸化物微粒子などが挙げられる。
金属微粒子としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、クロム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、アルミニウム、タングステン、モルブテン、白金等の金属単体粉のほか、銅-ニッケル合金、銀-パラジウム合金、銅-スズ合金、銀-銅合金、銅-マンガン合金などの合金粉、前記金属単体粉又は合金粉の表面を、銀などで被覆した金コート粉などが挙げられる。また、カーボン微粒子としては、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブなどが挙げられる。また、導電性酸化物微粒子としては、酸化銀、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ルテニウムなどが挙げられる。
本実施においては、中でも、銀粉、銅粉、銀コート粉、銅合金粉、導電性酸化物粉、及びカーボン微粒子からなる群より選択される一種以上の導電性微粒子を含むことが好ましい。これらの導電性微粒子(F)を用いることにより、焼結を経ることなく、導電性に優れた導電層を形成することができる。
導電性微粒子(F)の形状は特に限定されず、不定形、凝集状、鱗片状、微結晶状、球状、フレーク状、ワイヤー状等を適宜用いることができる。成形時の導電性維持の観点や導体パターンの基材への密着性の観点から、凝集状、鱗片状、フレーク状、ワイヤー状のものが好ましい。
導電性微粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、導電性組成物中での分散性や、導電層としたときの導電性の点から、0.1μm以上50μm以下が好ましく、0.5μm以上30μm以下がより好ましい。
なお本実施において導電性微粒子(F)の平均粒子径は以下のように算出する。JISM8511(2014)記載のレーザ回折・散乱法に準拠し、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製:マイクロトラック9220FRA)を用い、分散剤として市販の界面活性剤ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社製:トリトンX-100)を0.5体積%含有する水溶液に導電性微粒子(F)を適量投入し、撹拌しながら40Wの超音波を180秒照射した後、測定を行った。求められたメディアン径(D50)の値を導電性微粒子(F)の平均粒径とした。
本実施において導電性微粒子(F)は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本実施の導電性組成物中の導電性微粒子(F)の含有割合は、用途等に応じて適宜調整すればよく特に限定されないが、導電性組成物に含まれる固形分全量に対し、50質量%以上92質量%以下であることが好ましく、60質量%以上90質量%以下であることが好ましい。導電性微粒子(F)の含有割合が上記下限値以上であれば、導電性に優れた導電層を形成することができる。また、導電性微粒子(F)の含有割合が上記上限値以下であれば、樹脂(A)の含有割合を高めることができ、成膜性や、ベースフィルムへの密着性が向上し、また、導電層に柔軟性や伸縮性を付与することができる。
<溶剤(C)>
本実施の導電性組成物は、溶剤(C)が、下記条件(1)~(3)を全て満たす溶剤(C’)を、前記溶剤(C)100質量%中40質量%重量部以上含む事を特徴とする。
(1)沸点180℃以上270℃以下である
(2)ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の極性パラメータδpが0≦δp≦5.0、かつ、ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の水素結合パラメータδhが2.4≦δh≦9.1であるか、
又は、
ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の極性パラメータδpが5.5≦δp≦15.3、かつ、ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の水素結合パラメータδhが10.0≦δh≦24.0である、のうち一方を満たす
(3)ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の分散パラメータδdが13.8≦δd≦20.0である。
当該特定の溶剤(C’)を溶剤全体に対して40質量%以上含むことにより、ベースフィルムにおける溶剤の浸透に起因する溶解及び収縮が抑制される。更に、溶剤(C’)を溶剤全体に対して40質量%以上含むことにより、溶剤(C)と樹脂(E)との親和性が向上し、溶剤乾燥を伴う導電層の形成時に、膜構造中の海島相分離構造の形成がより促進される。それにより、導電層の伸縮性がより向上し、クラック発生等の抑制に繋がる。その結果、繰り返しの伸縮による導電性の低下が抑制されるとともに、導電性組成物の伸縮性基材への印刷性が高まり、導電層の基材からの剥離が起こりにくいストレッチャブル導電材の製造が可能となる。溶剤(C’)の割合は、溶剤全体に対して、40質量%以上100質量%以下であればよく、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
このような溶剤(C’)の具体例としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃、δd=16.2、δp=7.8、δh=12.6)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点202℃、δd=16.1、δp=9.2、δh=12.2)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点231℃、δd=16.0、δp=7.0、δh=10.6)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点256℃、δd=15.8、δp=4.4、δh=4.7)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点249℃、δd=16.2、δp=7.6、δh=12.5)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点220℃、δd=15.8、δp=2.3、δh=8.2)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点213℃、δd=16.3、δp=4.9、δh=8.0)、ベンジルアルコール(沸点205℃、δd=18.4、δp=6.3、δh=13.7)、テトラリン(沸点207℃、δd=19.6、δp=2.0、δh=2.9)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(沸点239℃、δd=16.0、δp=4.1、δh=8.2)、ターピネオール(沸点217℃、δd=13.9、δp=8.0、δh=10.3)、トリアセチン(沸点258℃、δd=16.5、δp=4.5、δh=9.1)、プロピレングリコール(沸点187℃、δd=16.8、δp=9.3、δh=23.3)、1,3-ブチレングリコール(沸点208℃、δd=16.6、δp=10.0、δh=21.5)、1,4-ブチレングリコール(沸点228℃、δd=16.6、δp=15.3、δh=21.7)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点212℃、δd=15.5、δp=5.7、δh=11.2)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル沸点214℃、δd=16.0、δp=7.2、δh=11.3)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点190℃、δd=15.5、δp=5.7、δh=11.2)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点242℃、δd=15.3、δp=5.5、δh=10.4)が挙げられる。
溶剤(C)は、上記溶剤(C’)以外の溶剤を60質量%未満の範囲で含んでいてもよい。このような溶剤としては、上記条件(1)を満たし、上記条件(2)を満たさない溶剤(C-1)と、上記条件(1)を満たさない沸点が180℃未満の溶剤(C-2)が挙げられる。
本実施において溶剤(C-1)は、ベースフィルムへ浸透し、ベースフィルムを溶解及び収縮させる溶剤である。したがって、前記溶剤(C’)と併用することにより、溶剤のベースフィルムへの浸透を大きく低減することが可能であるものの、当該溶剤(C-1)は、溶剤(C)全量に対して、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、0質量%、即ち実質的に含有しないことが更により好ましい。
溶剤(C-1)に該当する溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ガンマブチロラクトン、イソホロンなどが挙げられる。
沸点が180℃未満の溶剤(C-2)は、仮に条件(2)を満たさない場合であっても、スクリーン印刷後の乾燥熱により比較的速やかに蒸発するため、ベースフィルムとの接触時間が短い。そのため、ベースフィルムへ浸透し、ベースフィルムを溶解及び収縮させる作用は小さいものの、印刷時の揮発性が高すぎることから、多量に使用すると安定した連続印刷が著しく困難となる。よって、溶剤(C)全量に対して30質量%以下であることが好ましい。このような沸点が180℃未満の溶剤(C-2)としては、例えば、1-メトキシプロパノール、2-メトキシプロパノール、1-メトキシプロピルアセテート、2-メトキシプロピルアセテート、ソルベントナフサ、酢酸ブチル、酢酸エチル、1-ブタノール、アセトン、シクロヘキサノンが挙げられる。
本実施の導電性組成物全体に対する溶剤(C)の割合は特に限定されないが、スクリーン印刷時の取り扱い性の観点から、5質量%以上60質量%以下であることが好ましく、10質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
<架橋剤(D)>
本発明の導電性組成物は、必要に応じてさらに他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分としては、架橋剤(D)のほか、分散剤、耐摩擦向上剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、酸化防止剤、有機顔料、無機顔料、消泡剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、保湿剤等が挙げられる。
架橋剤(D)は、前記樹脂(E)を架橋するために用いられる。樹脂(E)として用いられるブロック共重合体と架橋剤(D)との架橋反応は、熱及び/又は紫外線等の活性エネルギー線照射により促進させることができる。活性エネルギー線は、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線が挙げられる。導電性組成物の段階において、架橋剤とブロック共重合体の一部が既に架橋していてもよい。
架橋剤(D)と樹脂(E)を併用した樹脂組成物を用いて伸縮性を維持したまま架橋構造を構築することにより、凝集力を促進して伸縮性を高め、更に耐溶剤性及び伸縮導電性に優れる部材を提供できる。
前記架橋剤(D)は、樹脂(E)の前述する反応性官能基と架橋し得る官能基を有する。架橋剤の種類は、樹脂(E)の官能基の種類により変わり得る。官能基が水酸基、アミノ基の場合には、架橋剤は、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物が好ましく、官能基がカルボキシ基、リン酸基の場合には、架橋剤は金属キレート化合物、イソシアネート化合物が好ましく、官能基がエポキシ基、オキセタン基の場合には、架橋剤はアミン系化合物が好ましく、官能基がイソシアネート基、ブロックイソシアネート基の場合には、架橋剤は水酸基系化合物が好ましく、官能基がビニル基、フリル基、アセトアセチル基の場合には、架橋剤は多官能アクリレート系のモノマー化合物が好ましく、官能基が加水分解性シリル基の場合には、架橋剤はシランカップリング剤系化合物が好ましい。官能基がニトリル基の場合には、架橋剤はフェノール樹脂系化合物が好ましい。
前記イソシアネート化合物としては2以上のイソシアネート基を有する化合物が好適であり、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等のイソシアネートモノマー、及びビュレット体、ヌレート体ならびにアダクト体が例示できる。
前記イソシアネート化合物の具体例としては、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類;
トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(別名:HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類;
ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート類;
3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:IPDI、イソホロンジイソシアネート)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ポリイソシアネート類が挙げられる。
前記ビュレット体は、イソシアネートモノマーが自己縮合したビュレット結合を有する自己縮合物をいう。具体的には、例えばヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体が挙げられる。
前記ヌレート体は、イソシアネートモノマーの3量体をいい、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体イソホロンジイソシアネートの3量体トリレンジイソシアネートの3量体が挙げられる。
前記アダクト体は、イソシアネートモノマーと2官能以上の低分子活性水素含有化合物が反応した2官能以上のイソシアネート化合物をいい、例えば、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートとを反応させた化合物、1,6-ヘキサンジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させた化合物が挙げられる。
前記エポキシ化合物は、2以上のエポキシ基を有する化合物が好適である。グリシジル基を有する化合物、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が例示できる。
具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA/ビスフェノールF共重合型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂類;
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂類;
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1、3-ビス(N、N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリシジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、ビフェニルジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとこれと共重合可能なビニル単量体との共重合体等のグリシジル基を有する化合物類が挙げられる。
前記金属キレート化合物としては、例えばアルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム及びジルコニウムなどの多価金属と、アセチルアセトン又はアセト酢酸エチルとの配位化合物が挙げられる。具体的には、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレートが挙げられる。
前記多官能アクリレート系のモノマー化合物としては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等の2官能型;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能型;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能型;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能型;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能型などが挙げられる。
多官能アクリレート系モノマー化合物は、ブロック共重合体(C)の官能基(K)とのエンチオール反応により架橋を形成させることができる。
架橋剤の中でも、保存安定性、硬化性の観点から、イソシアネート化合物、エポキシ化合物がより好ましい。
樹脂(E)の反応性官能基と架橋剤中の官能基(架橋剤)と反応し得る官能基のモル比(反応性官能基(樹脂(E))/官能基(架橋剤))は、ミクロ相分離構造の形成促進の観点から、0.01~10.0であることが好ましく、0.5~2.0であることがより好ましい。
樹脂(E)に用いられるブロック共重合体100質量部に対して、例えば架橋剤は0.01~50.0質量部含有させることができる。より好ましくはブロック共重合体100質量部に対して0.1~10.0質量部であり、さらに好ましくは0.5~1.5質量部である。
樹脂(E)に用いられるブロック共重合体の伸縮性及びストレッチャブル導電材の伸縮導電性をより効果的に引き出す観点からは、架橋剤は、反応性官能基が存在し得る重合体ブロックA、A1、A2又は重合体ブロックBとの親和性が高い方がより好ましい。例えば、溶解度パラメータ値を参考に親和性(相溶性)を選定することが可能である。
本発明の導電性組成物に架橋剤を加える場合、架橋反応を促進させるために架橋促進剤を加えてもよい。架橋促進剤としては、有機錫系触媒、無機金属触媒、無機錫化合物、酸系触媒、有機塩基系触媒、酸無水物系触媒等が例示できる。
<導電性組成物の製造方法>
本実施の導電性組成物の製造方法は、前記樹脂(E)と、導電性微粒子(F)と必要により用いられるその他の成分とを、溶剤(C)中に溶解又は分散する方法であればよく、公知の混合手段を用いて混合することにより製造することができる。
<ストレッチャブル導電材>
本実施形態のストレッチャブル導電材は、23℃で100MPa未満のヤング率及び150%以上の引張破断伸度を有する伸縮性ベースフィルム(G)上に、導電層を備えるものである。ストレッチャブル導電材は導電性材料であり、導電層に前記ストレッチャブル導電材用導電性組成物の硬化物を用いることにより、製造時及び製品の使用時において伸縮性及び導電性を兼ね備える。
<伸縮性ベースフィルム(G)>
本実施において用いられる伸縮性ベースフィルム(G)は、伸縮時の破損又はひび割れに対する耐性を有する、天然材料又は合成材料からなる。伸縮性ベースフィルム(G)は、23℃で100MPa未満のヤング率を有する。23℃におけるヤング率は、50MPa未満であることが好ましく、10MPa未満であることがより好ましく、1MPa未満であることが更に好ましい。更に、伸縮性ベースフィルム(G)は、23℃で150%以上の引張破断伸度を有する。23℃における引張破断伸度は、200%以上であることが好ましく、400%以上であることがより好ましい。
伸縮性ベースフィルム(G)が23℃で100MPa未満のヤング率及び150%以上の引張破断伸度を有すると、伸縮時の破損又はひび割れが起こりにくく、ストレッチャブル導電材に適した基材として用いることが可能となる。
伸縮性ベースフィルム(G)は、例えば、熱可塑性エラストマー、プラスチック、繊維、不織布、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ニトリルブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロピレンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、エチレンゴム、プロピレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エポキシゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴムから選択でき、これら材料の2種以上からなる積層フィルムであってもよい。また、ベースフィルムの形状は、板状、フィルム状等の平面状の他、曲面形状または複雑な形状であってもよい。
前記熱可塑性エラストマーは、例えばポリウレタン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエステル系、塩化ビニル系、スチレン系ブロックポリマー、アクリル系ブロックポリマーが挙げられる。
前記プラスチックは、例えばポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート、ポリノルボルネン、ポリアリレート、ポリアクリル、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリアミド、およびポリイミドが挙げられる。
伸縮性ベースフィルム(G)は、伸縮性の観点から、中でも、ポリウレタン、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンゴム、アクリルゴムが特に好ましい。
伸縮性ベースフィルムの厚みは特に制限されないが、例えば1~500μmとすることができる。また、10~100μm、20~50μmとしてもよい。ベースフィルムの厚みが上記範囲であると、フィルムの巻き取り性、加工性の点で優れる。一方、ベースフィルムが薄いと強度が不足する傾向がある。また、ベースフィルムが厚すぎると柔軟性が悪く、ベースフィルムが被着体の形状に追随しなくなる虞がある。
また、必要に応じ、導電性組成物の印刷性を向上させるなどの目的で、伸縮性ベースフィルムにアンカーコート層を設け、当該アンカーコート層上に導電性組成物を印刷してもよい。アンカーコート層は、ベースフィルムとの密着性、更には導電性組成物との密着性が良好で成型時に伸縮性フィルムに追従するものであれば、特に限定されず、また樹脂ビーズ等の有機フィラーや金属酸化物等の無機フィラーを必要に応じて添加してもよい。アンカーコート層を設ける方法は特に限定されず、従来公知の塗工方法にて塗布、乾燥、硬化して得ることができる。
また更に必要に応じて、成形体表面の傷つき防止のため、ベースフィルムにハードコート層を設け、その反対の面に導電性組成物および必要に応じて加飾層を印刷してもよい。ハードコート層は、伸縮性ベースフィルムとの密着性、更には表面硬度が良好で成型時に伸縮性フィルムに追従するものであれば、特に限定されず、また樹脂ビーズ等の有機フィラーや金属酸化物等の無機フィラーも必要に応じて添加してもよい。ハードコート層を設ける方法は特に限定されず、従来公知の塗工方法にて塗布、乾燥、硬化して得ることができる。
ストレッチャブル導電材は、支持体上に積層して積層体として用いてもよい。支持体は特に限定されないが、伸縮性ベースフィルム(G)の伸縮性を生かすために伸縮性材料であることが好ましい。具体例としては、伸縮性プラスチックフィルム、伸縮性繊維が例示できる。伸縮性繊維はテキスタイル生地でもよい。また、支持体に凹部を設け、この凹部に伸縮性導体を埋設してもよい。
ストレッチャブル導電材と支持体の接合は、ストレッチャブル導電材の粘着性を利用して接合してもよいし、ラミネートにより接合してもよい。また、接着層、易接着層を介して接合することもできる。
<導電層>
本実施のストレッチャブル導電材において導電層は、前記導電性組成物の硬化物である。
導電層の形成方法は特に限定されないが、本実施においては、スクリーン印刷法、パッド印刷法、ステンシル印刷法、スクリーンオフセット印刷法、ディスペンサー印刷法、グラビアオフセット印刷法、反転オフセット印刷法、マイクロコンタクト印刷法により形成することが好ましく、スクリーン印刷法により形成することがより好ましい。
スクリーン印刷法においては、導電回路パターンの高精細化に対応すべく微細なメッシュ、特に好ましくは300~650メッシュ程度の微細なメッシュのスクリーンを用いることが好ましい。この時のスクリーンの開放面積は約20~50%が好ましい。スクリーン線径は約10~70μm が好ましい。
スクリーン版の種類としては、ポリエステルスクリーン、コンビネーションスクリーン、メタルスクリーン、ナイロンスクリーン等が挙げられる。また、高粘度なペースト状態のものを印刷する場合は、高張力ステンレススクリーンを使用することができる。
スクリーン印刷のスキージは丸形、長方形、正方形いずれの形状であってもよく、またアタック角度( 印刷時の版とスキージの角度) を小さくするために研磨スキージも使用することができる。その他の印刷条件等は従来公知の条件を適宜設計すればよい。
導電性組成物の硬化方法は特に限定されないが、例えば、導電性組成物をスクリーン印刷により印刷後、加熱して乾燥することにより硬化することができる。
また、導電性組成物が架橋剤(D)を含有する場合は、更に、加熱により架橋反応を行い硬化する。
架橋剤を含有しない場合は、溶剤の十分な揮発のため、また、架橋剤を含有する場合は、溶剤の十分な揮発および架橋反応のために、加熱温度は80~230℃ 、加熱時間としては10~120分とすることが好ましい。これにより、パターン状の導電層を得ることができる。パターン状導電層は、必要に応じて、導電パターンを被覆するように、絶縁層を設けてもよい。絶縁層としては、特に限定されず、公知の絶縁層を適用することができる。
導電層の膜厚は、求められる導電性等に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、0.5μm以上20μm以下とすることができ、1μm以上15μm以下とすることが好ましい。
このようにして得られたストレッチャブル導電材は、それ自体が製品であってもよいし、部材として用いてもよい。ストレッチャブル導電材は、例えば、伸縮性配線、伸縮性電極として好適である。また、ストレッチャブル導電材は伸縮性電磁波シールド層、伸縮性放熱層などのフィルムとして利用できる。また、所望の形状の導電性を有する成形体としても用いることができる。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以降の説明において特に断りが無い場合には、「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」を意味するものとする。また、溶剤以外は不揮発分換算値である。
[重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及びMw/Mnの測定]
GPC(商品名:GPCV-2000、日本ウォーターズ社製、カラム:TSKgel、α-3000、移動相:10mMトリエチルアミン/ジメチルホルムアミド溶液)を用い、標準物質としてポリスチレン(分子量427,000、190,000、96,400、37,400、10,200、2,630、440、92)を使用して検量線を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。この測定値から多分散度(PDI=Mw/Mn)を算出した。
[ガラス転移点の測定]
ガラス転移点は、JIS K 7121(2012)プラスチックの転移温度測定方法に準拠して測定を行い、当該JIS 9.3記載の補外ガラス転移開始温度(Tig)により求められる温度でガラス転移点を求めた。測定には、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製、DSC Q2000)を用いた。
上記方法により、<重合体ブロックA、A1、A2>TotalのTg、及びトリブロック構造の場合には重合体ブロックBのTg、星形ブロック構造の場合には[重合体ブロック(B)]XのTgが求められる。
行った。
樹脂(E)に用いられるブロック共重合体の原料の略称は、以下の通りである。
(単量体)
MMA:メチルメタクリレート
nBA:n-ブチルアクリレート
St:スチレン
HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
MOI:2-イソシアナトエチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
(重合開始剤)
合成1:エチル-2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート(TERP重合開始剤)
BM1448: 4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタンサンメチル(BORON MOLECULAR社製)(RAFT重合用)
CP-I:2-ヨード-2-メチルプロピオニトリル(東京化成工業社製)(RCMP重合用)
2f-BiB:Ethylene bis(2-bromoisobutyrate)(Aldrich社製、No. 723177)(ATRP重合用)
AIBN:2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(和光純薬社製)
V65:2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製)
(TERP重合開始剤の合成)
合成1:(エチル-2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート)
国際公開第2007/119884号に開示の方法の通りに合成した。具体的には、金属テルル〔Aldrich製、商品名:Tellurium(-40mesh)〕6.38g(50mmol)をTHF50mLに懸濁させ、これにn-ブチルリチウム(Aldrich製、1.6Mヘキサン溶液)34.4mL(55mmol)を、室温でゆっくり滴下した(10分間)。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで撹拌した(20分間)。この反応溶液に、エチル-2-ブロモ-イソブチレート10.7g(55mmol)を室温で加え、2時間撹拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を濃縮し、続いて減圧蒸留して、黄色油状物7.67g(収率46.5%)の合成1の化合物を得た。また、1H-NMR分析で目的物の生成を確認した。
(樹脂(E)の製造例)
<樹脂製造例1:樹脂(E1)の合成>
TERP法により樹脂(E)に用いられるブロック共重合体を合成した。具体的には、アルゴン置換したグローブボックス内で、エチル-2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート(合成1)0.25g、AIBN0.01g、MMA70.3gを、メチルエチルケトン溶媒200g中で、50℃で6時間反応させてプレポリマーを得た。1H-NMRから算出したMMAの転化率は99.5%以上であった。次いで、nBA450.0gをプレポリマー溶液全量に加え、50℃で40時間反応させた。1H-NMRから算出した2段目モノマーnBAの転化率は99.5%以上であった。更に、MMA70.3gをプレポリマー溶液全量に加え、50℃で6時間反応させた。1H-NMRから算出した3段目モノマーMMAの転化率は99.5%以上であった。その後、室温まで冷却し、濾過、洗浄及び乾燥によって、開始剤残基Xが連鎖末端にあるA1-B-A2トリブロック構造のブロック共重合体を得た。製造例E1に係るブロック共重合体の物性値を表1に示す(以下の樹脂(E)の製造例についても同様とする)。
<樹脂製造例2:樹脂(E2)の合成>
ATRP法により樹脂(E)に用いられるブロック共重合体を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2,000mLフラスコに、臭化銅(I)1.0g、2f-BiB0.4g、nBA257.1g及び2EHA192.9gを、メチルエチルケトン溶媒400g中、85℃で8時間反応させてプレポリマーを得た。1H-NMRから算出したnBA、2EHAの転化率はどちらも100%であった。次いで、MMA99.5g及びSt99.8gをプレポリマー溶液全量に加え、85℃で10時間反応させた。1H-NMRから算出した2段目モノマーMMA、Stの転化率はどちらも100%であった。その後、室温まで冷却し、濾過、洗浄及び乾燥によって、開始剤残基Xがポリマー分子の分岐中心にある、2分岐の[A-B]2Xのトリブロック構造を有するブロック共重合体を得た。
<樹脂製造例3:樹脂(E3)の合成>
RAFT法により樹脂(E)に用いられるブロック共重合体を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2,000mLフラスコに、BM1448(RAFT剤)9.1g、AIBN0.2g、MMA140.6gをメチルエチルケトン溶媒200g中で、75℃の環境下、6時間反応させプレポリマーを得た。1H-NMRから算出したMMAの転化率は99.5%以上であった。次いで、AIBN0.3g、nBA438.3g及びMAA11.7gを、プレポリマー溶液全量に加え、75℃で10時間反応させた。1H-NMRから算出した2段目モノマーnBA、MAAの転化率はどちらも100%であった。その後、室温まで冷却し、濾過、洗浄及び乾燥によって開始剤残基Xが連鎖末端にあるカルボキシル基を有するA-Bジブロック構造のブロック共重合体を得た。
<樹脂製造例4:樹脂(E4)の合成>
RCMP法により樹脂(E)に用いられるブロック共重合体を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2,000mLフラスコに、CP-I2.15g、ヨウ素0.001g、ヨウ化ナトリウム15.0g、MMA8.6g、St42.9、HEMA5.7gをメチルエチルケトン溶媒200g中で、75℃の環境下、6時間反応させプレポリマーを得た。1H-NMRから算出したMMA、St、HEMAの転化率は全て99.5%以上であった。
次いで、nBA450.0gをプレポリマー溶液全量に加え、80℃で40時間反応させた。1H-NMRから算出した2段目モノマーnBAの転化率は99.5%以上であった。更にMMA8.6g、St42.9、HEMA5.7gをプレポリマー溶液全量に加え、75℃で6時間反応させた。1H-NMRから算出した3段目モノマーMMA、St、HEMAの転化率は全て99.5%以上であった。その後、室温まで冷却し、濾過、洗浄及び乾燥によって、開始剤残基Xが連鎖末端にあり水酸基を有するA1-B-A2トリブロック構造のブロック共重合体を得た。
<樹脂製造例5:樹脂(E5)の合成>
RAFT法により樹脂(E)に用いられるブロック共重合体を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2,000mLフラスコに、BM1448(RAFT剤)1.2g、AIBN0.2g、MMA193.3gをメチルエチルケトン溶媒200g中で、75℃の環境下、6時間反応させプレポリマーを得た。1H-NMRから算出したMMAの転化率は99.5%以上であった。次いで、AIBN0.3g、nBA430.7g及びMOI19.3gを、プレポリマー溶液全量に加え、75℃で10時間反応させた。1H-NMRから算出した2段目モノマーnBA、MOIの転化率はどちらも100%であった。その後50℃まで冷却した後、システアミン9.6g及びメチルイソブチルケトン(沸点116℃)100.0gを添加し、50℃にて1時間反応させ、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認した。1H-NMR分析及びIR分析、メルカプタン滴定分析により、イソシアネート基がメルカプト基に変換されていることを確認した。その後、室温まで冷却し、濾過、洗浄及び乾燥によって、開始剤残基Xが連鎖末端にありメルカプト基を有するA-Bジブロック構造のブロック共重合体を得た。
<樹脂製造例6:樹脂(E6)の合成>
RAFT法により樹脂(E)に用いられるブロック共重合体を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2,000mLフラスコに、BM1448(RAFT剤)0.8g、AIBN0.2g、MMA65.7g、MOI9.0gをメチルエチルケトン溶媒100g中で、75℃の環境下、6時間反応させプレポリマーを得た。1H-NMRから算出したMMA、MOIの転化率はどちらも99.5%以上であった。次いで、AIBN0.3g、nBA450.0gを、プレポリマー溶液全量に加え、75℃で12時間反応させた。1H-NMRから算出した2段目モノマーnBAの転化率は100%であった。更に、AIBN0.2g、MMA65.7g、MOI9.0gをプレポリマー溶液全量に加え、75℃で6時間反応させた。1H-NMRから算出した3段目モノマーMMA、MOIの転化率はどちらも99.5%以上であった。その後50℃まで冷却した後、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン16.4g及びメチルイソブチルケトン(沸点116℃)100.0gを添加し、50℃にて1時間反応させ、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認した。1H-NMR分析及びIR分析、アミン価測定により、イソシアネート基がアミノ基に変換されていることを確認した。その後、室温まで冷却し、濾過、洗浄及び乾燥によって、開始剤残基Xが連鎖末端にありアミノ基を有するA1-B-A2トリブロック構造のブロック共重合体を得た。
<樹脂(E7)>
樹脂(E)に用いられるブロック共重合体としてクラレ社製LA2330を用いた。
(比較例用の樹脂(E’))
<樹脂製造例8:樹脂(E’8)の合成>
樹脂(E)との比較に用いられるブロック共重合体を合成した。具体的には、樹脂製造例E2と同様ATRP法により、単量体の仕込み比等を表1に示す条件で重合し、開始剤残基Xが連鎖末端にあるA1-B-A2トリブロック構造のブロック共重合体を得た。
<樹脂製造例9:樹脂(E’9)の合成>
樹脂(E)との比較に用いられるブロック共重合体を合成した。具体的には、樹脂製造例E6と同様RAFT法により、単量体の仕込み比等を表1に示す条件で重合し、開始剤残基Xが連鎖末端にあるA1-B-A2トリブロック構造のブロック共重合体を得た。
<樹脂製造例10:樹脂(E’10)の合成>
樹脂(E)との比較に用いられるランダム共重合体を合成した。具体的には、樹脂製造例E6と同様RAFT法により、単量体の仕込み比等を表1に示す条件でランダム重合し、開始剤残基Xが連鎖末端にランダム構造のランダム共重合体を得た。
<樹脂製造例11:樹脂(E’11)の合成>
樹脂(E)との比較に用いられるウレタン樹脂を合成した。具体的には、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた2,000mLフラスコに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(分子量1000)783.0gとIPDI200.0gとを仕込み、徐々に昇温し、90℃にて6時間反応させた。その後、室温まで冷却し、濾過、洗浄及び乾燥によって、比較用のウレタン樹脂を得た。
<樹脂(E’12)>
樹脂(E)との比較に用いられるポリエステル樹脂として東洋紡社製バイロン(登録商標)290を用いた。
Figure 2023039006000001
導電性微粒子、溶剤、及び架橋剤として以下のものを用いた。
<導電性微粒子(F1)~(F5)>
・導電性微粒子(F1):福田金属箔粉社製、フレーク状銀粉、平均粒子径5.2μm
・導電性微粒子(F2):福田金属箔粉社製、連鎖凝集銀粉、平均粒子径1.7μm
・導電性微粒子(F3):三井金属鉱業社製、銀コート銅粉、銀被覆量10%、平均粒子径2μm
・導電性微粒子(F4):石原産業社製、針状導電性酸化錫粉、平均粒子径1μm
・導電性微粒子(F5):伊藤黒鉛社製、膨張化黒鉛、平均粒子径15μm
<溶剤(C’1)~(C’5)>
<溶剤(C’1)~(C’13)>
・溶剤(C’1):ジエチレングリコールモノブチルエーテル、沸点231℃、δd=16.0、δp=7.0、δh=10.6
・溶剤(C’2):トリエチレングリコールモノメチルエーテル、沸点249℃、δd=16.2、δp=7.6、δh=12.5
・溶剤(C’3):テトラリン、沸点207℃、δd=19.6、δp=2.0、δh=2.9
・溶剤(C’4):ベンジルアルコール、沸点205℃、δd=18.4、δp=6.3、δh=13.7
・溶剤(C’5):ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、沸点213℃、δd=16.3、δp=4.9、δh=8.0
・溶剤(C’6):ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、沸点239℃、δd=16.0、δp=4.1、δh=8.2
・溶剤(C’7):ターピネオール、沸点217℃、δd=13.9、δp=8.0、δh=10.3
・溶剤(C’8):ジエチレングリコールモノメチルエーテル、沸点194℃、δd=16.2、δp=7.8、δh=12.6
・溶剤(C’9):ジエチレングリコールモノエチルエーテル、沸点202℃、δd=16.1、δp=9.2、δh=12.2
・溶剤(C’10):トリアセチン、沸点258℃、δd=16.5、δp=4.5、δh=9.1
・溶剤(C’11):ジエチレングリコールジブチルエーテル、沸点256℃、δd=15.8、δp=4.4、δh=4.7
・溶剤(C’12):トリエチレングリコールジメチルエーテル、沸点220℃、δd=15.8、δp=2.3、δh=8.2
・溶剤(C’13):プロピレングリコール、沸点187℃、δd=16.8、δp=9.3、δh=23.3
<溶剤(C14)~(C17)>
・溶剤(C14):ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、沸点217℃、δd=16.2、δp=5.1、δh=9.2
・溶剤(C15):ガンマブチロラクトン、沸点204℃、δd=19.0、δp=16.1、δh=7.4
・溶剤(C16):イソホロン、沸点215℃、δd=16.6、δp=8.2、δh=7.4
・溶剤(C17):2-メトキシプロパノール、沸点:120℃、δd=15.6、δp=6.3、δh=11.6
<架橋剤(D1)、(D2)>
・架橋剤(D1):
BaxenedenChemicals社製ブロックイソシアネート溶液、Trixe
neBI7982、ブロック化されているイソシアネート基を1分子中に3つ含有(官
能基価195mgKOH/g)、不揮発分70%(溶剤(C17):2-メトキシプロパ
ノール)
・架橋剤(D2):
日本化薬社製グリシジルアミン、GOT、エポキシ基を1分子中に2つ含有(官能基価4
15mgKOH/g)、不揮発分100%
<伸縮性ベースフィルム(G)>
・ポリウレタンフィルム(PU):
大倉工業社製/ES85、厚さ100μ m、引張破断伸度600%、ヤング率0.8MPa(23℃)を使用した。
・シリコーンゴム(Si):
十川ゴム社製/K-125、厚さ500μm、引張破断伸度310%、ヤング率1.0MPa(23℃)を使用した。
・エチレンプロピレンゴム(EPDM):
マクセルクレハ社製/EB250N、厚さ500μm、引張破断伸度700%、ヤング率20MPa(23℃)を使用した。
・スチレンゴム(SBR):
十川ゴム社製/J-100、厚さ1,000μm、引張破断伸度500%、ヤング率3.0MPa(23℃)を使用した。
・アクリルゴム(AC):
十川ゴム社製/A-100、厚さ500μm、引張破断伸度180%、ヤング率10MPa(23℃)を使用した。
・フッ素ゴム(FK):
十川ゴム社製/CPL-100、厚さ500μm、引張破断伸度300%、ヤング率2.2MPa(23℃)を使用した。
・アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR):
十川ゴム社製/V-100、厚さ500μm、引張破断伸度420%、ヤング率20MPa(23℃)を使用した。
・ポリカーボネートフィルム(PC):
帝人社製/パンライト(登録商標)2151、厚さ300μm、引張破断伸度6%、ヤング率2,400MPa(23℃)を使用した。
・アクリルフィルム(PMMA):
住友化学社製/テクノロイ(登録商標)C001、厚さ125μm、引張破断伸度20%、ヤング率300MPa(23℃)を使用した。
<引張破断伸度>
上述する各伸縮性ベースフィルムを、250mm×700mmのサイズにカットし、ダンベル3号型試験片を繰り出すことで試験片αを作製し、引張試験機(RTG1310、エー・アンド・デイ社製)を用いて、23℃、湿度50%、サンプルのチャック間距離40mm、速度50mm/minの条件で引張試験を行うことにより、伸縮性ベースフィルムの引張破断伸度を測定した。測定によって伸縮性ベースフィルムが破断した際の伸度を引張破断伸度とした。
<ヤング率>
JISK7127に準拠し、サンプル形状は1号形試験片に準拠したもの(サンプル長さ200mm、サンプル幅15mm、チャック間距離100mm)を用い、クロスヘッド速度500mm/分の条件にて、MD方向(フィルム長手方向)について23℃にて測定した。
[実施例1]
<ストレッチャブル導電材用導電性組成物(H1)及びストレッチャブル導電材の作成>
樹脂(E1)20.0部を溶剤(C’1)30.0部に溶解させ、導電性微粒子(F2)80.0部を撹拌混合し、3本ロールミル(小平製作所製)で混練することでストレッチャブル導電材用導電性組成物(H1)を得た。
続いて、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)フィルム(十川ゴム社製/V-100、厚さ500μm)基材(300mm×210mm)上に、ストレッチャブル導電材用導電性組成物(H1)をスクリーン印刷機(ミノスクリーン社製、ミノマットSR5575半自動スクリーン印刷機)によって印刷した。次いで、熱風乾燥オーブンで100℃30分加熱することで、幅20mm、長さ60mm、厚み10μmの四角形ベタ状及び線幅3mm、長さ60mm、厚み10μmの直線状のパターンを有する導電層を備えたストレッチャブル導電材を得た。
[実施例2-13]
<ストレッチャブル導電材用導電性組成物(H2)~(H13)の作成及びストレッチャブル導電材の作成>
実施例1において、樹脂、溶剤、導電性微粒子の種類及び配合量を表2のように変更し、必要に応じて、更に架橋剤を配合した以外は、それぞれ実施例1と同様にして、ストレッチャブル導電材用導電性組成物(H2)~(H13)を得た。なお、表2中の各材料の数値はいずれも質量部である。
表2に示すフィルム基材、条件に変更し、実施例1と同様の方法により実施例2~13のストレッチャブル導電材を得た。
[比較例1-12]
<ストレッチャブル導電材用導電性組成物(K1)~(K12)の作成|比較例用>
実施例1において、樹脂、溶剤、導電性微粒子の種類及び配合量を表3のように変更した以外は、それぞれ(H1)と同様にして、ストレッチャブル導電材用導電性組成物(K1)~(K12)を得た。なお、表3中の各材料の数値はいずれも質量部である。
表3に示すフィルム基材、条件に変更し、実施例1と同様の方法により比較例1~12のストレッチャブル導電材を得た。
(初期の体積抵抗率)
各実施例及び比較例に係るストレッチャブル導電材の体積抵抗率を測定した。具体的には、上記実施例及び比較例で作製した、幅20mm、長さ60mm、厚み10μmの四角形ベタ状のストレッチャブル導電材を試験片として用いた。表面抵抗測定器(品番:ロレスタ(登録商標)AP MCP-T400、プローブ:ASPプローブ(4探針プローブ、三菱化学社製)を用い、温度が25℃及び相対湿度が50%の雰囲気中で、JIS K7194に準拠して得られた試験片の体積抵抗率を測定した。
初期状態について以下の基準により評価した。
・初期の評価基準:
+++:2.0×104Ω・cm未満
++:2.0×104Ω・cm以上、9.9×10-3Ω・cm未満
+:9.9×103Ω・cm以上、9.9×10-1Ω・cm未満
NG:9.9×101Ω・cm以上
(耐高温高湿性)
また、上記ストレッチャブル導電材に対し、85℃、相対湿度85%の環境下で10日経過後の体積抵抗率を同様の方法で測定し、初期からの変化率(試験後変化)について、以下の基準により評価した。
[変化率(%)]
=[(試験前の試験片の体積抵抗率)-(試験後の試験片の体積抵抗率)]÷[(試験前の試験片の体積抵抗率)]
+++:変化率が20%以下。
++:変化率が20%を超えて、50%以下。
+:変化率が50%を超えて、100%以下。
NG:変化率が100%を超える。
(繰り返し伸縮耐性|抵抗値変化)
各実施例及び比較例に係るストレッチャブル導電材を20mm×60mmサイズのサンプルとし、その端部をテンシロン引張試験装置に固定して、25℃、相対湿度50%、速度4mm/sの速さで50%まで伸長し、その後2s保持し、そしてその後4mm/sの速さで除荷し、2s保持する伸縮サイクルを1,000回繰り返し、1,000回後の変化率を以下の式により算出した。
[変化率(%)]
=[(R1,000)-(R0)]÷[(R0)]×100
ここで、R1000は1000回繰り返した伸縮サイクル直後の抵抗値、R0は測定開始前の同フィルムを用いた抵抗値を示す。以下の基準により評価した。
+++:変化率が20%以下。
++:変化率が20%を超えて、50%以下。
+:変化率が50%を超えて、100%以下。
NG:変化率が100%を超える。
(繰り返し伸縮耐性|導電膜の外観)
また、上記1000回収縮後のストレッチャブル導電材の外観を試験前の状態と比較して以下の基準により評価した。
+++:外観に全く変化が見られない
++:外観にクラック等の亀裂がごく僅かに生じている
+:外観に一部クラック等の亀裂が少なくとも生じている
NG:外観にひび割れやクラックが完全に生じており、塗膜が剥がれかけている
(印刷性評価/剥離密着性)
上記実施例1~13、及び比較例1~12のストレッチャブル導電材に形成された、幅20mm、長さ60mmの四角形ベタ状の導電層に対し、ガードナー社製1mm間隔クロスカットガイドを使用してカッターナイフで当該導電層を貫通するように10x10マスの碁盤目状の切れ込みを入れ、ニチバン社製セロハンテープを貼り付け噛み込んだ空気を抜いてよく密着させたのち、垂直に引きはがした。塗膜の剥離度合いをASTM-D3519規格に従って下記のように評価した。
(剥離密着性評価基準)
++:評価5B~4B、密着性に優れる
+:評価上は5B~4Bであるが、塗膜が凝集破壊し、表面側の塗膜の一部が脱離する
NG:評価3B以下、密着性に劣る
各評価についての結果を表2及び表3に示す。
Figure 2023039006000002
Figure 2023039006000003
本発明の実施例1~13の結果から、本実施により、伸縮性に優れ、伸長時にクラックの発生を効果的に抑制でき、各種伸縮性フィルム基材への印刷性が良好なストレッチャブル導電材用導電組成物及びストレッチャブル導電材が得られた。

Claims (7)

  1. 23℃で100MPa未満のヤング率及び150%以上の引張破断伸度を有する伸縮性ベースフィルム(G)上に、導電層を備えるストレッチャブル導電材の製造に用いられる導電性組成物であって、
    樹脂(E)と、導電性微粒子(F)と、溶剤(C)と、を含有し、
    前記樹脂(E)がエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を主体とするブロック共重合体であって、
    重量平均分子量が20,000以上500,000以下であり、
    前記樹脂(E)の含有割合が、導電性組成物に含まれる固形分全量に対し8質量%以上40質量%以下であり、
    前記溶剤(C)が、下記条件(1)~(3)を全て満たす溶剤(C’)を、前記溶剤(C)100質量%中40質量%以上含む、ストレッチャブル導電材用導電性組成物。
    (1)沸点180℃以上270℃以下である
    (2)ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の極性パラメータδpが0≦δp≦5.0、かつ、ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の水素結合パラメータδhが2.4≦δh≦9.1であるか、
    又は、
    ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の極性パラメータδpが5.5≦δp≦15.3、かつ、ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の水素結合パラメータδhが10.0≦δh≦24.0である、のうち一方を満たす
    (3)ハンセン溶解性パラメータ(HSP)の分散パラメータδdが13.8≦δd≦20.0である。
  2. 前記導電性微粒子(F)が、銀粉、銅紛、銀コート紛、銅合金紛、導電性酸化物粉、及びカーボン微粒子からなる群より選択される一種以上の導電性微粒子を含む、請求項1記載のストレッチャブル導電材用導電性組成物。
  3. 前記伸縮性ベースフィルム(G)がポリウレタンエラストマー、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンゴム、及びアクリルゴムからなる群より選択される一種以上のエラストマー及び/又はゴム成分を含む、請求項1又は2記載のストレッチャブル導電材用導電性組成物。
  4. 前記樹脂(E)が、メルカプト基、ヒドロキシ基、アミノ基、及びカルボキシ基からなる群より選択される一種以上の反応性官能基を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のストレッチャブル導電材用導電性組成物。
  5. 更に前記樹脂(E)が有する反応性官能基と架橋形成しうる架橋剤(D)を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のストレッチャブル導電材用導電性組成物。
  6. 23℃で100MPa未満のヤング率及び150%以上の引張破断伸度を有する伸縮性ベースフィルム(G)上に、請求項1~5のいずれか一項に記載のストレッチャブル導電材用導電性組成物の硬化物である導電層を備える、ストレッチャブル導電材。
  7. 23℃で100MPa未満のヤング率及び150%以上の引張破断伸度を有する伸縮性ベースフィルム(G)上に導電層を備えるストレッチャブル導電材の製造方法であって、
    請求項1~5のいずれか一項に記載のストレッチャブル導電材用導電性組成物を、
    前記伸縮性ベースフィルム(G)上に印刷し、乾燥することにより導電層を形成する工程を含む、ストレッチャブル導電材の製造方法。

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