JP2017188546A - 硬化性樹脂シート、電気回路用可撓性基材、可撓性電気回路体及び半導体装置 - Google Patents

硬化性樹脂シート、電気回路用可撓性基材、可撓性電気回路体及び半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い透明性を有する電気回路用可撓性基材を簡易に形成すること。【解決手段】(A)スチレン系エラストマ、(B)重合性モノマ、及び(C)重合開始剤を含有する、電気回路用可撓性基材11を形成するために用いられる硬化性樹脂シートが開示される。【選択図】図2

Description

本発明は、硬化性樹脂シート、電気回路用可撓性基材、可撓性電気回路体及び半導体装置に関する。
近年、ウェアラブル機器に関して、小型化への要望に加え、身体のような曲面に沿って使用できると共に脱着しても接続不良が生じにくいためのフレキシブル性及び伸縮性が求められている。このようなウェアラブル機器を構成するためには、電気回路を形成し、センサ、通信、制御などのための半導体素子を搭載するための電気回路用基材に可撓性が求められる。
特許文献1には、電気回路用可撓性基材を形成する方法として、エラストマ性の材料、具体的には液状のシリコーンゴムを用いる方法が記載されている。
特許第5465124号公報
しかしながら、上記方法では、シート状の可橈性基材が、液状材料を金型に充填し、熱プレス、続いてオーブン中で加熱する工程を経て作製されるため、製造工程が煩雑で効率的な製造が困難である。また、より高い透明性を有する可撓性基材も求められていた。
本発明の主な目的は、高い透明性を有する電気回路用可撓性基材を簡易に形成することにある。
本発明の一側面は、(A)スチレン系エラストマ、(B)重合性モノマ、及び(C)重合開始剤を含有する硬化性樹脂シートに関する。本発明者らは鋭意検討の結果、この硬化性樹脂シートによって上記課題を解決できることを見出した。
本発明の硬化性樹脂シートによって形成される電気回路用可撓性基材は、可撓性に優れ、また高い透明性を有する。高い透明性を有することから、可撓性基材を表示デバイス及びディスプレイなどへの適用が可能となる。シリコーンゴムによって形成された基材と比較して透湿性が低く電気回路への湿度の影響を抑制できる点でも、本発明の硬化性樹脂シートによって形成される可撓性基材は優れる。さらに、銅箔等の金属によって形成される回路との密着性に優れる可撓性基材が得られる。
回復率の測定例を示す応力−ひずみ曲線である。 電気回路体の一実施形態を示す断面図である。 電気回路体を製造する方法の一実施形態を示す工程図である。
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
一実施形態に係る電気回路可撓性基材は、電気回路を形成するための基材として用いられる。(A)スチレン系エラストマ、(B)重合性モノマ及び(C)重合開始剤を含有する硬化性樹脂シートを活性光線の照及び/又は加熱によって硬化することを含む方法により、可撓性基材が形成される。言い換えると、可撓性基材は、硬化性樹脂シートの硬化物である。
本明細書において、スチレン系エラストマとは、ハードセグメントとしてのポリスチレンと、ソフトセグメントとしての、不飽和二重結合を含むジエン系エラストマと、を含有する共重合体を意味する。ジエン系エラストマは、例えば、ポリエチレン、ポリブチレン、及びポリイソプレンから選ばれる。
スチレン系エラストマの市販品としては、例えばJSR(株)「ダイナロンSEBSシリーズ」、クレイトンポリマージャパン(株)「クレイトンDポリマーシリーズ」、アロン化成(株)「ARシリーズ」が好適である。
水素添加型スチレン系エラストマは、ジエン系エラストマの不飽和二重結合に水素を付加反応させて形成された、ジエン系エラストマの水素付加体をソフトセグメントとして含有するスチレン系エラストマである。これによれば耐候性等の点でより優れた効果が期待できる。
水素添加型スチレン系エラストマの市販品としては、例えばJSR(株)「ダイナロンHSBRシリーズ」、クレイトンポリマージャパン(株)「クレイトンGポリマーシリーズ」、旭化成ケミカルズ(株)「タフテックシリーズ」が好適である。
スチレン系エラストマの重量平均分子量は、塗膜性の観点から、30,000〜200,000であることが好ましく、50,000〜150,000であることがより好ましく、75,000〜125,000であることが特に好ましい。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値から求めることができる。
スチレン系エラストマの含有量は、スチレン系エラストマ及び重合性モノマの合計量に対して、50〜90質量%であることが好ましい。スチレン系エラストマの含有量が50質量%以上であると可撓性がより一層高まる傾向があり、スチレン系エラストマの含有量が90質量%以下であると露光時に重合性モノマによってスチレン系エラストマが絡め込まれて、硬化性樹脂シートが容易に硬化する傾向がある。以上の観点から、スチレン系エラストマの含有量は60〜85質量%であることがさらに好ましく、70〜80質量%であることが特に好ましい。
(B)成分の重合性モノマとしては、加熱又は紫外線などの照射によって重合する化合物であれば特に制限はないが、材料の選択性及び入手の容易さの観点から、例えばエチレン性不飽和基などの重合性置換基を有する化合物が好適である。
具体的には、重合性モノマとしては、(メタ)アクリレート、ハロゲン化ビニリデン、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルピリジン、ビニルアミド、及びアリール化ビニルなどが挙げられる。これらのうち透明性の観点から、(メタ)アクリレート及びアリール化ビニルが好ましい。(メタ)アクリレートは、1官能、2官能又は多官能(3官能以上)のいずれでもよいが、十分な硬化性を得るためには2官能又は多官能の(メタ)アクリレートが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)テトラヒドロフタレート、モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)ヘキサヒドロフタレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(o−フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(1−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2−ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;2−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−N−カルバゾールなどの複素環式(メタ)アクリレート、これらのカプロラクトン変性体が挙げられる。これらの中でもスチレン系エラストマとの相溶性、また透明性及び耐熱性の観点から、上記脂肪族(メタ)アクリレート及び上記芳香族(メタ)アクリレートが好ましい。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;ネオペンチルグリコール型エポキシ(メタ)アクリレートなどの脂肪族エポキシ(メタ)アクリレート;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレートなどの脂環式エポキシ(メタ)アクリレート;レゾルシノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAF型エポキシ(メタ)アクリレート、フルオレン型エポキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でもスチレン系エラストマとの相溶性、また透明性及び耐熱性の観点から、上記脂肪族(メタ)アクリレート及び上記芳香族(メタ)アクリレートが好ましい。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート;エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートなどの複素環式(メタ)アクリレート;これらのカプロラクトン変性体;フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなどの芳香族エポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でもスチレン系エラストマとの相溶性、また透明性及び耐熱性の観点から、上記脂肪族(メタ)アクリレート及び上記芳香族(メタ)アクリレートが好ましい。
これらの化合物は、単独または2種類以上組み合わせることができ、さらにその他の重合性化合物と組み合わせることもできる。
重合性モノマの含有量は、スチレン系エラストマ及び重合性モノマの合計量に対して、10〜50質量%であることが好ましい。重合性モノマの含有量が10質量%以上であると、スチレン系エラストマとともに重合性モノマが硬化物を容易に形成できる傾向がある。重合性モノマの含有量が50質量%以下であると、硬化物(可撓性基材)の強度及び可撓性がより一層高まる傾向がある。以上の観点から、重合性モノマの含有量が15〜40質量%であることがさらに好ましい。
(C)成分の重合開始剤は、加熱又は紫外線などの照射によって重合を開始させるものであれば特に制限はない。例えば重合性モノマがエチレン性不飽和基を有する化合物を含む場合、熱ラジカル重合開始剤、又は光ラジカル重合開始剤を重合性開始剤として用いることができる。硬化速度が速く常温硬化が可能なことから、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、メチルシクロヘキサノンパーオキシドなどのケトンパーオキシド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキシケタール;p−メンタンヒドロパーオキシドなどのヒドロパーオキシド;α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシドなどのジアルキルパーオキシド;オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシドなどのジアシルパーオキシド;ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシカーボネートなどのパーオキシカーボネート;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテートなどのパーオキシエステル;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2’−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物が挙げられる。これらの中で、硬化性、透明性、及び耐熱性の観点から、上記ジアシルパーオキシド、上記パーオキシエステル、及び上記アゾ化合物が好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどのベンゾインケタール;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンなどのα−ヒドロキシケトン;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどのα−アミノケトン;1−[(4−フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタジオン−2−(ベンゾイル)オキシムなどのオキシムエステル;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体などの2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノンなどのキノン化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインエーテル;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタールなどのベンジル化合物;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニルヘプタン)などのアクリジン化合物:N−フェニルグリシン、クマリンなどが挙げられる。
前記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つのトリアリールイミダゾール部位のアリール基の置換基は、同一で対称な化合物を与えてもよく、相違して非対称な化合物を与えてもよい。ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン化合物と3級アミンとを組み合わせてもよい。
これらの中で、硬化性、透明性、及び耐熱性の観点から、上記α−ヒドロキシケトン及び上記ホスフィンオキシドが好ましい。これらの熱及び光ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせることができる。さらに、適切な増感剤と組み合わせることもできる。
重合開始剤の含有量は、スチレン系エラストマ及び重合性モノマの合計量100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。重合開始剤の含有量が0.1質量部以上であると、十分な硬化が得られ易い傾向がある。重合開始剤の含有量が10質量部以下であると十分な光透過性が得られ易い傾向がある。以上の観点から、重合開始剤の含有量は0.3〜7質量部であることがさらに好ましく、0.5〜5質量部であることが特に好ましい。
硬化性樹脂シートは、以上の成分の他、必要に応じて、酸化防止剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、可視光吸収剤、着色剤、可塑剤、安定剤、充填剤などのいわゆる添加剤を本発明の効果を実質的に損なわない範囲で更に含んでもよい。
硬化性樹脂シートは、例えば、(A)〜(C)成分及び必要により他の成分を、有機溶剤に溶解又は分散して樹脂ワニスを得ることと、樹脂ワニスを後述の方法によって基材フィルム上に成膜することとを含む方法により、製造することができる。
ここで用いる有機溶剤としては、特に制限はないが、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p−シメンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの炭酸エステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミドなどが挙げられる。これらの中で、溶解性及び沸点の観点から、トルエン、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。これらの有機溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。樹脂ワニス中の固形分(有機溶媒以外の成分)濃度は、通常20〜80質量%であることが好ましい。
基材フィルムとしては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、液晶ポリマなどが挙げられる。これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホンが好ましい。
基材フィルムの厚みは、特に制限されないが、3〜250μmであることが好ましい。3μm以上であるとフィルム強度が十分であり、250μm以下であると十分な柔軟性が得られる。以上の観点から、厚みは5〜200μmであることがさらに好ましく、7〜150μmであることが特に好ましい。硬化性樹脂シートとの剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、含フッ素化合物などにより基材フィルムに離型処理が施されたフィルムを必要に応じて用いてもよい。
必要に応じて保護フィルムを硬化性樹脂シート上に貼り付け、基材フィルム、硬化性樹脂シート及び保護フィルムからなる3層構造の積層フィルムとしてもよい。
保護フィルムとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンなどが挙げられる。これらの中で、柔軟性及び強靭性の観点から、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンであることが好ましい。硬化性樹脂シートとの剥離性向上の観点から、シリコーン系化合物、含フッ素化合物などにより離型処理が施されていてもよい。
保護フィルムの厚みは、目的とする柔軟性により適宜変えてよいが、10〜250μmであることが好ましい。厚みが10μm以上であるとフィルム強度が十分である傾向があり、250μm以下であると十分な柔軟性が得られる傾向がある。以上の観点から、厚みは15〜200μmであることがさらに好ましく、20〜150μmであることが特に好ましい。
硬化性樹脂シートの乾燥後の厚みは、特に限定されないが、通常は5〜1000μmであることが好ましい。厚みが5μm以上であると、硬化性樹脂シート又はその硬化物(可撓性基材)の十分な強度が得られ易い。厚みが1000μm以下であると、乾燥が十分に行えるため樹脂フィルム中の残留溶媒量が増えることなく、可撓性基材を加熱したときに発泡することが少ない。
硬化性樹脂シートは、例えばロール状に巻き取ることによって容易に保存することができる。または、ロール状のフィルムを好適なサイズに切り出して、シート状の状態で硬化性樹脂シートを保存することもできる。
硬化性樹脂シートを硬化して形成される可撓性基材は、ウェアラブル機器用の可撓性電気回路体を形成するための基材として好適である。
硬化性樹脂シートの硬化物(可撓性基材)の弾性率は、0.1MPa以上1000MPa以下であることが好ましい。弾性率が0.1MPa以上1000MPa以下であると、基材としての取り扱い性及び可撓性が特に優れる傾向がある。この観点から、弾性率が0.3MPa以上100MPa以下であることがさらに好ましく、0.5MPa以上50MPa以下であることが特に好ましい。
可撓性基材の破断伸び率は、100%以上であることが好ましい。破断伸び率が100%以上でありと、十分な伸縮性が得られ易い傾向がある。この観点から、破断伸び率は300%以上であることがさらに好ましく、500%以上であることが特に好ましい。
硬化性樹脂シートの硬化物(可撓性基材)の測定サンプルを用いた引張り試験において、1回目の引っ張り試験で加えたひずみ(変位量)をX、次に初期位置に戻し再度引っ張り試験を行ったときに荷重が掛かり始めるときの位置とXとの差をYとし、式:R=Y/Xで計算されるRを回復率と定義したときに、この回復率が80%以上であることが好ましい。回復率は、Xを50%として測定することができる。図1は、回復率の測定例を示す応力−ひずみ曲線である。回復率が80%以上であれば繰り返しの使用に耐えることができるため、回復率は、85%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
可撓性基材の、分光ヘイズメータ(日本電色工業(株)製分光ヘイズメータ「SH7000」)で測定した全光線透過率が80%以上であることが好ましい。可撓性基材の黄色度(Yellowness Index)が5.0以下であることが好ましい。可撓性基材のヘイズが5.0%以下であることが好ましい。これらの特性を有する可撓性基材は、特に高い透明性を有する。この観点から、全光線透過率が85%以上、黄色度が4.0以下、ヘイズが4.0%以下であることがさらに好ましく、全光線透過率が90%以上、黄色度が3.0以下、ヘイズが3.0%以下であることが特に好ましい。
図2は、電気回路体の一実施形態を模式的に示す断面図である。図2に示す電気回路体200は、可撓性基材11と、可撓性基材上に設けられた電気回路12と、必要に応じて設けられる、可撓性基材11及び電気回路12を被覆する電気回路保護層13とを備える。
電気回路12は、例えば、銅などの金属、金属又は炭素の粒子とこれを分散した樹脂とを含む材料、又は導電性高分子などの導電性の材料によって形成された導電層である。
図3は、電気回路体を製造する方法の一実施形態を示す工程図である。図3に示す方法は、以下の工程を含む。
(工程1:電気回路形成)
まず、可撓性基材11上に電気回路12を形成する。電気回路の形成方法としては特に限定されないが、エッチング、めっき、印刷、転写等の方法が挙げられる。
(工程2:電気回路保護層形成)
次に、可撓性基材11及び電気回路12を被覆する電気回路保護材1を設ける。例えば、フィルム状の電気回路保護材を加熱プレス、ロールラミネート、真空ラミネート等の方法によって積層すること、又は、液状の電気回路保護材をコーティング、ディッピング、ディスペンスなどの塗布方法によって塗布してもよい。
加熱プレス、ロールラミネート、真空ラミネート等による被覆工程では、減圧下でフィルム状の電気回路保護材を積層することが好ましい。被覆時においては、電気回路保護材を50〜170℃に加熱することが好ましい。圧着圧力は、0.1〜150MPa程度(1〜1500kgf/cm程度)が好ましい。これらの条件には特に制限はない。
(工程3:硬化)
次に、電気回路保護材1を硬化して、可撓性を有する電気回路保護層13を形成させる。本工程が必要ない場合は、これを省略できる。これにより図2に示される電気回路体200が得られる。硬化方法としては、加熱による熱硬化、又は、露光による光硬化を用いることができる。工程の簡易化のためには、熱硬化であれば低温で硬化する電気回路保護材が好ましい。また、室温で硬化できる観点から、光硬化する電気回路保護材が好ましい。
電気回路体に半導体素子を接続することにより、半導体素子が搭載された可撓性を有する半導体装置を得ることができる。
本発明について以下の実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
[樹脂ワニスVA11の調合]
(A)成分として水素添加型スチレンブタジエンゴム(スチレン系エラストマ、JSR(株)「ダイナロン2324P」)80質量部、(B)成分としてブタンジオールジアクリレート(日立化成(株)製「ファンクリルFA−124AS」)20質量部、(C)成分としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASF社製「イルガキュア819」)1.5質量部、及び溶剤としてトルエン125質量部を攪拌しながら混合し樹脂ワニスVA11を得た。
[硬化性樹脂シートの作製]
基材フィルムとして離型処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム(株)製「ピューレックスA31」、厚み25μm)を準備した。このPETフィルムの離型処理面上にナイフコータ((株)康井精機製「SNC−350」を用いて樹脂ワニスVA11を塗布した。塗膜を乾燥機((株)二葉科学製「MSO−80TPS」)中100℃で20分乾燥して、硬化性樹脂シートを形成させた。形成された硬化性樹脂シートに、基材フィルムと同じ離型処理PETフィルムを、離型処理面が硬化性樹脂シート側になる向きで保護フィルムとして貼付けて、積層フィルムFA11を得た。硬化後の硬化性樹脂シート(可撓性基材)の厚さが100μmとなるように塗工機のギャップを調節した。
実施例2〜6、及び比較例1〜2
実施例1と同様の方法で、表1に示す配合比に従って樹脂ワニスを調合し、積層フィルムFA12〜FA17を作製した。比較例2としてシリコーンゴム製のシート状フィルムFS18(厚さ100μm)を準備した。
[弾性率、伸び率の測定]
各硬化性樹脂シートに、紫外線露光機(ミカサ(株)「ML−320FSAT」)によって紫外線(波長365nm)を5000mJ/cm照射して、可撓性基材を形成させた。その後、長さ40mm、幅10mmの大きさに積層フィルムを切り出し、保護フィルム及び基材フィルムを除去して、可撓性基材の測定用サンプルを得た。測定用サンプルの応力−ひずみ曲線を、オートグラフ((株)島津製作所「EZ−S」)を用いて測定し、その応力−ひずみ曲線から弾性率及び伸び率を求めた。測定時のチャック間距離は20mm、引っ張り速度は50mm/minとした。荷重0.5から1.0Nにおける応力とひずみの関係から弾性率を求めた。サンプルが破断した際の時点のひずみから求められる伸び率を破断伸び率とした。
[回復率の測定]
各硬化性樹脂シートに、紫外線露光機(ミカサ(株)「ML−320FSAT」)によって紫外線(波長365nm)を5000mJ/cm照射して、可撓性基材を形成させた。その後、長さ70mm、幅5mmの大きさに積層フィルムを切り出し、保護フィルム及び基材フィルムを除去して、可撓性基材の測定用サンプルを得た。測定用サンプルの回復率を、マイクロフォース試験機(IllinoisTool Works Inc「Instron 5948」)を用いて測定した。
回復率とは、1回目の引っ張り試験で加えた変位量(ひずみ)をX、次に初期位置に戻し再度引っ張り試験を行ったときに荷重が掛かり始めるときの位置(変位量)とXとの差をYとしたときに、式:R=Y/Xで計算されるRを指す。本測定では初期長さ(チャック間の距離)を50mm、Xを25mm(ひずみ50%)とした。
[全光線透過率、YI、ヘイズの測定]
積層フィルムから保護フィルムを除去し、硬化性樹脂シートを、スライドガラス(松浪硝子工業(株)「S1111」)上に真空加圧式ラミネータ(ニチゴー・モートン(株)「V130」)を用いて、圧力0.5MPa、温度60℃及び加圧時間60秒の条件でラミネートした。ラミネートされた硬化性樹脂シートに、前記紫外線露光機にて紫外線(波長365nm)を5000mJ/cm照射して、可撓性基材を形成させた。その後、基材フィルムを剥がし、可撓性基材の全光線透過率、YI及びヘイズを分光ヘイズメータ(日本電色工業(株)「SH7000」)を用いて測定した。
[透湿度の評価]
実施例3又は比較例2の硬化性樹脂フィルムから形成された可撓性基材について、JIS Z 0208 防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)に準じて透湿度を測定した。試験温度は40℃、相対湿度は90%とした。
[銅箔ピール強度の評価]
実施例3、比較例2及び比較例3の硬化性樹脂シートから形成された可撓性基材について、可撓性基材と銅回路の密着性を、90度ピール試験にて評価した。積層フィルムから保護フィルム及び基材フィルムを剥がし、可撓性基材上に厚さ6nmのCr層をスパッタリングで形成した。スパッタリングは、ロードロック式スパッタリング装置((株)アルバック社製、「SIH−350−T08」)を用いて、以下に示す条件1で行った。
(条件1)
パワー:500W
アルゴン流量:100SCCM
真空度:7.0×10−1Pa
基板温度:室温(25℃)
成膜レート:34nm/min
次に、物理的に金属を層間絶縁層中に埋めこむ方法として、真空中から取り出すことなく逆スパッタリング処理を行った。逆スパッタリング処理は、前記ロードロック式スパッタリング装置を用いて、以下に示す条件2で行った。
(条件2)
パワー:500W
アルゴン流量:100SCCM
真空度:7.0×10−1Pa
基板温度:室温(25℃)
処理時間:0.5分
さらに、真空中から取り出すことなく、スパッタリングにより厚さ5nmのCr層及び厚さ200nmの薄膜銅層をシード層として形成させた。スパッタリングは、以下に示す条件3で行った。
(条件3)
(Cr)
パワー:500W
アルゴン流量:100SCCM
真空度:7.0×10−1Pa
基板温度:室温(25℃)
成膜レート:34nm/min
(銅)
パワー:500W
アルゴン流量:100SCCM
真空度:7.0×10−1Pa
基板温度:室温(25℃)
成膜レート:52nm/min
薄膜銅層上に、めっきレジスト(クラリアント・ジャパン株式会社製、「AZ−10XT」)を用いて厚さ50μmのめっきレジスト層を形成した。その後、露光と現像およびパターン銅めっきを行い、レジストの剥離とシード層のクイックエッチングを行うことによって、配線幅が10mmで、銅めっき厚が35μmのパターン配線を形成し、ピール強度測定用のサンプルを得た。
サンプルを両面テープ(日立マクセル(株)製「スリオンテックNo.5579」にてSUS板に固定し、前記オートグラフを用い、引張り速度50mm/分の条件で銅箔と可撓性基材の間の密着強度を測定した。
実施例1〜6及び比較例1〜3の評価結果を表1に示す。
Figure 2017188546
1)水素添加型スチレンブタジエンゴム、JSR(株)「ダイナロン2324P」、重量平均分子量:1.0×10
2)シリコーンゴムシート、タイガースポリマー(株)「SR−50」
3)ゴム変性ポリアミド(日本化薬(株)「カヤフレックスBPAM−155」、重量平均分子量:3.1×10
4)ブタンジオールジアクリレート(日立化成(株)「ファンクリルFA−124AS」)
5)ヘキサンジオールジアクリレート(日立化成(株)「ファンクリルFA−126AS」)
6)ノナンジオールジアクリレート(日立化成(株)「ファンクリルFA−129AS」)
7)ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASFジャパン(株)「イルガキュア819」)
スチレン系エラストマ、光重合性モノマ及び光重合開始剤を含む実施例1〜6の樹脂組成物によって形成された可撓性基材は、弾性率が低く高い可撓性を有するとともに透明性が高い。実施例3で確認されたように、これら可撓性基材は透湿度及び銅箔ピール強度の点でも優れている。
一方、スチレン系エラストマ以外のエラストマ、光重合性モノマ及び光重合開始剤を含む比較例1の硬化性樹脂シートによって形成された基材は、弾性率が高く可撓性が十分でなく、透明性も低かった。スチレン系エラストマを含み、光重合性モノマ及び光重合開始剤を含まない比較例2の樹脂組成物によって形成された可撓性基材は、銅箔ピール強度がやや低かった。シリコーンゴムの比較例3は、透明性、透湿性及び銅箔ピール強度の点で十分でなかった。
11…可撓性基材、12…電気回路、13…電気回路保護層、200…電気回路体。

Claims (8)

  1. (A)スチレン系エラストマ、
    (B)重合性モノマ、及び
    (C)重合開始剤
    を含有する、電気回路用可撓性基材を形成するために用いられる硬化性樹脂シート。
  2. 前記スチレン系エラストマが、水素添加型スチレン系エラストマである、請求項1に記載の硬化性樹脂シート。
  3. 前記重合性モノマがエチレン性不飽和基を有する、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂シート。
  4. 前記重合開始剤が光ラジカル重合開始剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂シート。
  5. 前記スチレン系エラストマの含有量が、前記スチレン系エラストマ及び前記重合性モノマの合計量に対して50〜90質量%であり、
    前記重合性モノマの含有量が、前記スチレン系エラストマ及び前記重合性モノマの合計量に対して10〜50質量%であり、
    前記重合開始剤の含有量が、前記スチレン系エラストマ及び前記重合性モノマの合計量100質量部に対して0.1〜10質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂シート。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂シートの硬化物である、電気回路用可撓性基材。
  7. 請求項6に記載の電気回路用可撓性基材と、
    前記可撓性基材上に形成された電気回路と、
    を備える、可撓性電気回路体。
  8. 請求項7に記載の可撓性電気回路体と、
    前記可撓性電気回路体に搭載された半導体素子と、
    を具備する半導体装置。
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