JP2023038707A - 室温硬化性樹脂組成物、コーティング剤、接着剤及びシーリング剤、並びに物品 - Google Patents

室温硬化性樹脂組成物、コーティング剤、接着剤及びシーリング剤、並びに物品 Download PDF

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大樹 片山
Hiroki Katayama
隆文 坂本
Takafumi Sakamoto
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Abstract

【課題】耐熱性及び伸び物性に優れた硬化物となる室温硬化性樹脂組成物の提供。【解決手段】架橋剤として、下記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物の部分加水分解縮合物と、下記一般式(2)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物とを含有し、かつ、充填剤としてカーボンブラックを含有する室温硬化性樹脂組成物であって、前記加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物の部分加水分解縮合物と前記加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物との質量比が0.1:100~50:100である室温硬化性樹脂組成物。TIFF2023038707000012.tif22170TIFF2023038707000013.tif21170(式中、R1はそれぞれ独立に非置換又は置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基であり、R2は非置換又は置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基であり、Yはそれぞれ独立に加水分解性基である。)【選択図】なし

Description

本発明は、特定の架橋剤を含有するものである室温硬化性樹脂組成物に関し、更に該室温硬化性樹脂組成物を含んでなるコーティング剤、接着剤及びシーリング剤、並びに該室温硬化性樹脂組成物の硬化物でコーティング、接着及びシールの少なくともいずれかを施した物品に関する。
シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素基(以下、「反応性ケイ素基」を有するポリマーは、水分存在下にて加水分解し、縮合する。この反応性ケイ素基を有するポリマーは、湿気存在下で架橋、硬化し、硬化性樹脂組成物として用いることができる。これらのポリマーの中でも、その主鎖がケイ素含有化合物(特に、オルガノポリシロキサン)であるものは、一般的にシリコーンポリマーとして知られている。これらを用いた硬化性樹脂組成物は、室温(23℃±15℃)では液状であり、硬化によりゴム弾性体となる特徴を有しており、その特徴を利用してコーティング剤、接着剤、建築用シーラント等に広く用いられている。
特許文献1では、加水分解性シリル基中に存在する2つのケイ素原子同士を炭素-炭素二重結合で連結した構造を有するビスシリル型のオルガノシランを架橋剤として、所定のカーボンブラックを充填剤として使用することで、250℃の高温環境下での耐熱性に優れた硬化物となる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を開示している。しかし、該室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、架橋点を複数有するオルガノシランを架橋剤として用いることから、該組成物の硬化物は、伸び物性が不十分であり、更なる物性改善が求められていた。
特開2019-019241号公報
したがって、本発明は、耐熱性及び伸び物性に優れた硬化物となる室温硬化性樹脂組成物、該室温硬化性樹脂組成物からなるコーティング剤、接着剤及びシーリング剤、並びに該室温硬化性樹脂組成物の硬化物でコーティング、接着及びシールの少なくともいずれかを施した物品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、下記一般式(1)で表される特定の分子構造を有する3官能性の加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物の部分加水分解縮合物と、下記一般式(2)で表される特定の分子構造を有する2官能性の加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物とを架橋剤(硬化剤)として併用し、更に、充填剤としてカーボンブラックを配合することで、上述した課題の解決に有用であることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
即ち、本発明は、下記の室温硬化性樹脂組成物、コーティング剤、接着剤及びシーリング剤、並びに物品等を提供するものである。
[1]
架橋剤として、下記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物の部分加水分解縮合物
Figure 2023038707000001
(式(1)中、R1はそれぞれ独立に非置換又は置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基であり、R2は非置換又は置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基であり、Yはそれぞれ独立に加水分解性基である。式中、各シロキサン単位の配列はランダムであってよい。)と、
下記一般式(2)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物
Figure 2023038707000002
(式(2)中、R1、R2、Yは上記と同様である。式中、各シロキサン単位の配列はランダムであってよい。)とを含有し、かつ、充填剤としてカーボンブラックを含有する室温硬化性樹脂組成物であって、一般式(1)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物の部分加水分解縮合物と一般式(2)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物との質量比が0.1:100~50:100である室温硬化性樹脂組成物。

[2]
一般式(1)で表される加水分解性オルガノシロキサン化合物の部分加水分解縮合物及び/又は一般式(2)で表される加水分解性オルガノシロキサン化合物において、加水分解性基Yがジエチルアミノオキシ基である[1]に記載の室温硬化性樹脂組成物。

[3]
一般式(1)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物において、分子中の3個の加水分解性基Yのうち平均組成として0.1個~2個未満のYが加水分解し、縮合したものである[2]に記載の室温硬化性樹脂組成物。

[4]
(A)一般式(1)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物の部分加水分解縮合物と一般式(2)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物とを含有する架橋剤:0.1~30質量部、
(B)分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたポリマー:100質量部、及び
(D-1)カーボンブラック:1~1,000質量部
を含有するものである[1]~[3]のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物。

[5]
更に、(B)成分100質量部に対して、
(C)硬化触媒:0~20質量部、
(D-2)充填剤(ただし、(D-1)成分を除く):0~1,000質量部、
(E)接着促進剤(ただし、(A)成分を除く):0~30質量部、及び
(F)可塑剤:0~1,000質量部、
から選ばれる1種又は2種以上を含有するものである[4]に記載の室温硬化性樹脂組成物。

[6]
(B)成分が、オルガノポリシロキサン構造を主鎖として有するシリコーンポリマーである[4]又は[5]に記載の室温硬化性樹脂組成物。

[7]
(A)成分と(B)成分が別々の容器に入れられている多成分型である[4]~[6]のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物。

[8]
硬化後初期の伸び率が800%以上であり、250℃で7日間加熱する耐熱試験後の伸び率が800%以上であり、かつ、初期値から耐熱試験後の伸び率の変化率が30%以内である硬化物を与えるものである[1]~[7]のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物。

[9]
[1]~[8]のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物を含んでなるコーティング剤。

[10]
[1]~[8]のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物を含んでなる接着剤。

[11]
[1]~[8]のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物を含んでなるシーリング剤。

[12]
[1]~[8]のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物の硬化物からなる被覆層を有する物品。

[13]
[1]~[8]のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物の硬化物で接着及び/又はシールされた物品。
本発明の室温硬化性樹脂組成物は、3官能性の加水分解性基含有オルガノシクロテトラシロキサン化合物の部分加水分解縮合物と、2官能性の加水分解性基含有オルガノシクロテトラシロキサン化合物とを架橋剤(硬化剤)として併用し、更に、充填剤としてカーボンブラックを配合することで、初期の伸び物性も良好で、250℃耐熱試験後も良好なゴム物性を示すシリコーンゴム硬化物等の弾性体(エラストマー)となる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。上記架橋剤(硬化剤)及びカーボンブラックを含む室温硬化性樹脂組成物は、以下の成分を含むことが好ましい。
(A)成分:
本発明の室温硬化性樹脂組成物は、下記一般式(1)で表される3官能性の加水分解性基含有オルガノシクロテトラシロキサン化合物の部分加水分解縮合物と、下記一般式(2)で表される2官能性の加水分解性基含有オルガノシクロテトラシロキサン化合物とを架橋剤(硬化剤)として含むことを特徴とする。
なお、本発明において「部分加水分解縮合物」とは、該オルガノシクロテトラシロキサン化合物中の加水分解性基を部分的に加水分解し、縮合して生成する、1分子中に残存加水分解性基を2個以上、好ましくは3個以上有する、該オルガノシクロテトラシロキサン化合物が2個以上縮合した2量体以上のオリゴマーを意味する。
Figure 2023038707000003
(式(1)中、R1はそれぞれ独立に非置換又は置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基であり、R2は非置換又は置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基であり、Yはそれぞれ独立に加水分解性基である。式中、各シロキサン単位の配列はランダムであってよい。)
Figure 2023038707000004
(式(2)中、R1、R2、Yは上記と同様である。式中、各シロキサン単位の配列はランダムであってよい。)
ここで、前記一般式(1)および(2)において、R1で表される非置換又は置換の炭素原子数1~12、好ましくは炭素原子数1~8、より好ましくは炭素原子数1~4の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-,β-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基;また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基等で置換された基、例えば、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-シアノエチル基等を例示することができる。これらの中でも、アルケニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基を除くものであることが好ましく、メチル基、エチル基等のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
次に、前記一般式(1)および(2)において、R2で表される非置換又は置換の炭素原子数1~12、好ましくは炭素原子数1~8、より好ましくは炭素原子数1~4の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-,β-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基;また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基等で置換された基、例えば、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-シアノエチル基などや、これらの基の水素原子の一部が、メトキシ基、エトキシ基等の低級アルコキシ基で置換されたアルキル基、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基等を例示することができる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素原子数1~4の低級アルキル基が好ましい。
また、前記一般式(1)および(2)において、Yは加水分解性基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基等の炭素原子数1~4のアルコキシ基;メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基等の炭素原子数2~4のアルコキシアルコキシ基;アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等の炭素原子数2~8のアシロキシ基;ビニロキシ基、プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、1-エチル-2-メチルビニルオキシ基等の炭素原子数2~6のアルケニルオキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基等の炭素原子数3~7のケトオキシム基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等の炭素原子数2~6のアルキル置換アミノ基などの置換アミノ基;ジメチルアミノオキシ基、ジエチルアミノオキシ基、メチルエチルアミノオキシ基等の炭素原子数2~6、特には炭素原子数2~4のアルキル置換アミノオキシ基などの置換アミノオキシ基;N-メチルアセトアミド基、N-エチルアセトアミド基、N-メチルベンズアミド基等の炭素原子数3~8のアミド基等が挙げられる。これらの中でも、反応性の高いジエチルアミノオキシ基等のアルキル置換アミノオキシ基が特に好ましい。
上記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物の部分加水分解縮合物について、一般式(1)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物1分子中に存在する3個の加水分解性基Yのうち、平均して(平均組成として)、0.1個~2個未満(0.1個以上、2個未満)の加水分解性基が加水分解し、縮合したものである(部分的に加水分解し、縮合したものである)ことが好ましく、3個の加水分解性基Yのうち、平均組成として1個の加水分解性基Yが加水分解し、縮合したもの(即ち、上記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物中に存在するケイ素原子に結合した3個の加水分解性基(Si-Y)のうち、それぞれ1個の加水分解性基(Si-Y)同士が加水分解し、縮合してシロキサン結合(Si-O-Si)を形成して2量化したもの)であることが特に好ましい。2個以上、特には2個より多くの加水分解性基Yが部分加水分解し、縮合した場合には加水分解縮合物がゲル状となり、架橋剤(硬化剤)として適さない。
一方、一般式(1)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物が部分加水分解し、縮合していない単体や部分加水分解し、縮合する程度が低すぎる場合には、得られる硬化物が物性(特に伸び性)に劣ったものとなり、また耐熱性も劣ったものとなる。
上記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシラン化合物の部分加水分解縮合物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、上記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物1mоl(即ち、加水分解性基Y3mоl)に対して、水0.5mоl、必要に応じて触媒としてアルコキシチタンなどを加えて加熱することで加水分解、縮合反応が進行し、脱離成分(YH)を留去することで、平均組成として部分的に0.1個~2個未満の加水分解性基Yが加水分解し、縮合した目的とする部分加水分解縮合物を得ることができる。
本発明の室温硬化性樹脂組成物において、上記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物の部分加水分解縮合物と、上記一般式(2)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物との質量比は、0.1:100~50:100であり、好ましくは1:100~15:100である。上記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシラン化合物の部分加水分解縮合物と上記一般式(2)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物との合計に対する上記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシラン化合物の部分加水分解縮合物の配合比率が大きすぎると、本発明の室温硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の伸び物性が損なわれる。
本発明の室温硬化性樹脂組成物において、(A)成分は、該成分中の加水分解性基が(B)成分であるベースポリマー中のシラノール基と縮合反応により架橋構造を形成する架橋剤(硬化剤)として作用するものであって、(A)成分の配合量は、(B)成分の分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたベースポリマー100質量部に対して0.1~30質量部であり、0.5~10質量部が好ましい。(A)成分が少なすぎると該組成物を硬化しても十分なゴム物性が得られない場合があり、多すぎると速硬化性を損なう、又は経済的に不利である。
(B)成分:
本発明の室温硬化性樹脂組成物に用いられる(B)成分は、分子鎖両末端がシラノール基(ケイ素原子に結合した水酸基)で封鎖されたシリコーンポリマーであり、本発明の室温硬化性樹脂組成物の主剤(ベースポリマー)となるものである。このようなベースポリマーとしては、特には、シリコーンポリマー(即ち、分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなるオルガノポリシロキサン構造を主鎖として有する、基本的に直鎖状のシリコーンポリマー)が好ましく、組成物としては該シリコーンポリマーを含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン樹脂組成物(室温硬化性シリコーン樹脂組成物)であることが好ましい。
シリコーンポリマーとして、具体的には、下記一般式(3)で表される分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された基本的に直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましいものとして挙げられる。
Figure 2023038707000005
(式(3)中、R3はそれぞれ独立に非置換又は置換の炭素原子数1~12、好ましくは炭素原子数1~8の一価炭化水素基であり、Aは酸素原子又は炭素原子数1~8の二価炭化水素基であり、mはこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする数である。)
ここで、前記一般式(3)において、R3で表される非置換又は置換の炭素原子数1~12、好ましくは炭素原子数1~8の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-,β-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基;また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基等で置換された基、例えば、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-シアノエチル基等を例示することができる。これらの中でも、アルケニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基を除くものであることが好ましく、メチル基、エチル基等のアルキル基やフェニル基等のアリール基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
Aは、酸素原子又は炭素原子数1~8、好ましくは炭素原子数2~4の二価炭化水素基であり、二価炭化水素基としては、-(CH2p-又は-(CH=CH)q-(pは1~8の数、好ましくは1~4の数を表し、qは1~4の数を表す)等のアルキレン基、アルケニレン基が好ましい。これらの中でも酸素原子、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH=CH-が好ましい。
mはこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする数であり、通常、mは20~2,000の数、好ましくは20~1,600の数、より好ましくは20~1,000の数、更に好ましくは20~500の数である。
ここで、該ジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度は、100~1,000,000mPa・sが好ましく、より好ましくは300~500,000mPa・s、特に好ましくは500~100,000mPa・s、とりわけ1,000~80,000mPa・sである。なお、粘度は回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型等)による値である(以下、同じ。)。また、該シリコーンポリマー中の主鎖を構成するジシロキサン単位((R32SiO2/2)の繰り返し数(又は重合度)を示すm値は、通常、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めた値である。
(B)成分の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2023038707000006
(各式中、R3とmは上記と同じである。)
(B)成分の分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたベースポリマーは、1種単独でも構造や重合度の異なる2種以上を組み合わせても使用することができる。
(C)成分:
(C)成分は、硬化触媒(非金属系有機触媒及び/又は金属系触媒)であり、必要に応じて本発明の室温硬化性樹脂組成物に配合される任意成分であって、本発明の室温硬化性樹脂組成物の硬化を促進するために用いる。
上記硬化触媒の非金属系有機触媒としては、縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物の硬化促進剤として公知のものを使用することができ、特に制限されるものではない。例えば、N,N,N’,N’,N’’,N’’-ヘキサメチル-N’’’-(トリメチルシリルメチル)-ホスホリミディックトリアミド等のホスファゼン含有化合物;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノアルキル基置換アルコキシシラン;ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン等のアミン化合物又はその塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウム塩ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン等のジアルキルヒドロキシルアミン;テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等のグアニジル基を含有するシラン及びシロキサン等が例示されるが、非金属系有機触媒はこれらに限定されない。また、非金属系有機触媒は1種でも2種以上を混合して使用してもよい。
上記硬化触媒の金属系触媒としては、縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物の硬化促進剤として公知のものを使用することができ、特に制限されるものではない。例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ジ-n-ブチル-ジメトキシ錫等のアルキル錫エステル化合物;テトライソプロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステル又はチタンキレート化合物;
アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブチレートなどのアルコレートアルミニウム化合物;アルミニウムアルキルアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート等のアルミニウムキレート化合物;ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛-2-エチルオクトエート、鉄-2-エチルヘキソエート、コバルト-2-エチルヘキソエート、マンガン-2-エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、ネオデカン酸ビスマス(III)、2-エチルヘキサン酸ビスマス(III)、クエン酸ビスマス(III)、オクチル酸ビスマス等の有機金属化合物;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩が例示されるが、金属系触媒はこれらに限定されない。また、金属系触媒は1種でも2種以上を混合して使用してもよい。
(C)成分の硬化触媒を組成物に配合する場合、その配合量は、上記(B)成分100質量部に対して0.001~20質量部であり、0.01~10質量部が好ましいが、架橋剤としてジエチルアミノキシ基を加水分解性基として含有する場合には、添加は必ずしも必要ない。
(D)成分:
(D-1)成分:
(D)成分は充填剤(無機質充填剤及び/又は有機樹脂充填剤)であり、そのうち、
(D-1)成分であるカーボンブラックは、本発明の室温硬化樹脂組成物に十分な機械的強度と耐熱性を与えるために必須に配合される補強性の無機質充填剤である。(D-1)成分のカーボンブラックは、一般にその製造方法によって、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等に類別されるが、本発明においては、特にアセチレンブラックが好適に使用される。即ち、アセチレンブラック以外のカーボンブラックは、通常、硫黄、アミン等の含有量が多く、これらは耐熱性低下の原因となる場合がある。しかし、アセチレンブラック以外のカーボンブラックであっても、適当な処理を施すことにより硫黄、アミン等の含有量を低減させたものは、有効に使用することができる。また本発明においては、物理的な補強効果の点から、カーボンブラックのBET法比表面積が、10m2/g以上であることが好ましい。
(D-1)成分の配合量は、前記(B)成分100質量部に対して1~1,000質量部、特に5~400質量部とすることが好ましい。少なすぎると耐熱性や機械的強度等の向上効果が十分に発現せず、また多すぎると補強性や耐熱性は十分に向上するものの、組成物の流動性が乏しくなり、実用性に問題を生じる等の傾向が認められる。
(D-2)成分:
(D-2)成分は上記(D-1)成分以外の充填剤(無機質充填剤及び/又は有機樹脂充填剤)であり、必要に応じて本発明の室温硬化性樹脂組成物に配合される任意成分であって、この組成物から形成される硬化物に十分な機械的強度を与えるために使用される。この充填剤としては公知のものを使用することができ、例えば、微粉末シリカ、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、これらのシリカ表面を有機ケイ素化合物で疎水化処理したシリカ、ガラスビーズ、ガラスバルーン、透明樹脂ビーズ、シリカエアロゲル、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、煙霧状金属酸化物などの金属酸化物、湿式シリカあるいはこれらの表面をシラン処理したもの、石英粉末、タルク、ゼオライト及びベントナイト等の補強剤、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛などの金属炭酸塩、ガラスウール、微粉マイカ、溶融シリカ粉末、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成樹脂粉末等が挙げられる。これらの充填剤のうち、シリカ、炭酸カルシウム、ゼオライトなどの無機質充填剤が好ましい。
(D-2)成分の充填剤を組成物に配合する場合には、その配合量は、前記(B)成分100質量部に対して1~1,000質量部、特に5~400質量部とすることが好ましい。未配合の場合より配合した方が、充填剤を配合した組成物から得られる硬化物が十分な機械的強度を示す傾向があり、また1,000質量部よりも多量に使用すると、組成物の粘度が増大して作業性が悪くなるばかりでなく、硬化後のゴム強度が低下してゴム弾性が得難くなる傾向がある。
(E)成分:
(E)成分は(B)成分以外の接着促進剤であり、必要に応じて本発明の室温硬化性樹脂組成物に配合される任意成分であって、この組成物から形成される硬化物に十分な接着性を与えるために使用される。具体的には、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-2-(アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類;γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン類;γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン類;γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネートシラン類などの、加水分解性基以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する官能性基(但し、グアニジル基を除く)を含有する一価炭化水素基を1分子中に有する加水分解性オルガノシラン化合物(いわゆるカーボンファンクショナルシラン又はシランカップリング剤)等を配合することが好ましい。
(E)成分の接着促進剤を組成物に配合する場合には、その配合量は、前記(B)成分100質量部に対して0.1~30質量部、特に0.5~20質量部が好ましい。30質量部を超えると硬化が不十分になったり、経済的に不利になる場合がある。
(F)成分:
(F)成分は可塑剤であり、必要に応じて本発明の室温硬化性樹脂組成物に配合される任意成分であって、この組成物から形成される硬化物の機械特性や難燃性を損なうことなく、施工上取り扱い易い粘度に調整することができる。
本発明の室温硬化性樹脂組成物に使用される可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)、フタル酸ジヘプチル(DHP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジトリデシル(DTDP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP)、テトラヒドロフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、アジピン酸ジ-n-アルキル、ジブチルジグリコールアジペート(BXA)、アゼライン酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOZ)、セバシン酸ジブチル(DBS)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、マレイン酸ジブチル(DBM)、マレイン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOM)、フマル酸ジブチル(DBF)、リン酸トリクレシル(TCP)、トリエチルホスフェート(TEP)、トリブチルホスフェート(TBP)、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート(TOP)、トリ(クロロエチル)ホスフェート(TCEP)、トリスジクロロプロピルホスフェート(CPP)、トリブトキシエチルホスフェート(TBXP)、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(TMCPP)、トリフェニルホスフェート(TPP)、オクチルジフェニルホスフェート(ODP)、クエン酸アセチルトリエチル、アセチルクエン酸トリブチル;トリメリット酸系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、塩素化パラフィン、ステアリン酸系可塑剤;ジメチルポリシロキサン等のシリコーンオイル(無官能性オルガノポリシロキサン);ポリオキシプロピレングリコール系、パラフィン系、ナフテン系、イソパラフィン系等の石油系高沸点溶剤などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。その中でも特にシリコーンオイルが好ましい。
上記のシリコーンオイル(無官能性オルガノポリシロキサン)として、好ましくは、下記一般式(4)で表されるオルガノポリシロキサンを使用することができる。
Figure 2023038707000007
(式(4)中、R4はそれぞれ独立に非置換もしくは置換の脂肪族不飽和結合を含有しない炭素原子数1~20の一価炭化水素基であり、bは該オルガノポリシロキサンの23℃における粘度が1.5~1,000,000mPa・sとなる数である。)
上記式(4)において、R4はそれぞれ独立に非置換もしくは置換の脂肪族不飽和結合を含有しない炭素原子数1~20の一価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の水素原子の一部又は全部を、F、Cl、Br等のハロゲン原子で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
なお、上記式(4)で表されるオルガノポリシロキサンにおいて、ジオルガノシロキサン単位の繰り返し数(重合度)を示すbの値としては、通常、3~3,000、好ましくは5~2,000、より好ましくは10~1,000程度の数であればよい。
(F)成分を配合する場合には、その配合量は、(B)成分100質量部に対して1~1,000質量部であることが好ましく、より好ましくは2~500質量部、更に好ましくは5~200質量部である。(F)成分の量が上記範囲内にあると本発明の室温硬化性樹脂組成物の機械特性や難燃性を損なうことなく、施工上取り扱い易い粘度に調整することができるため好ましい。
[その他の成分]
また、本発明の室温硬化性樹脂組成物には、(A)~(F)成分以外の添加剤として、顔料、染料、老化防止剤、帯電防止剤、酸化鉄等の酸化防止剤、酸化アンチモン、塩化パラフィン等の難燃剤など公知の添加剤を配合することができる。更に、チクソ性向上剤としてのポリエーテル、防かび剤、抗菌剤を配合することもできる。
本発明の室温硬化性樹脂組成物は、必要に応じて有機溶剤を用いてもよい。有機溶剤としては、n-ヘキサン、n-ヘプタン、イソオクタン、イソドデカンなどの脂肪族炭化水素系化合物;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系化合物、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、2-(トリメチルシロキシ)-1,1,1,2,3,3,3-ヘプタメチルトリシロキサンなどの鎖状シロキサン;オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどの環状シロキサンなどが挙げられる。有機溶剤の量は本発明の効果を妨げない範囲で適宜調整すればよい。
本発明の室温硬化性樹脂組成物は、(A)成分と、(B)成分とを別の容器に入れて保存し、使用に際してこれらを混合して使用する、多成分型、特には2成分型であることが望ましい。
例えば、(B)成分、必要に応じて(D)成分及びその他の成分を均一に混合して、第一剤とする。他方(A)成分、必要に応じてその他の成分を均一に混合して、第二剤とする。第一剤及び第二剤を調製する際の混合は、それぞれ三本ロール、プラネタリーミキサー、万能混合機等の公知の混合機を用いて行えばよい。
なお、(C)成分、(E)成分及び(F)成分は、第一剤に配合してもよいし、第二剤に配合してもよい。
本発明の室温硬化性樹脂組成物、特に2成分型の組成物は、第一剤、第二剤それぞれを水分の非存在下、即ち湿気を遮断した密閉容器中で保存し、使用時に混合することで室温(23℃±15℃)で容易に硬化する。混合は金属ヘラ等で撹拌混合、またはスタティックミキサー、ダイナミックミキサー等により機械混合するなど、公知の混合方法を用いて行うことができる。
本発明の室温硬化性樹脂組成物の硬化物は良好な柔軟性を示し、ゴム弾性を有することから、コーティング剤、接着剤、シーリング剤(例えば、建築用シーラント等)として有用である。本発明の室温硬化性樹脂組成物をコーティング剤、接着剤、シーリング剤として使用する方法は、従来公知の使用方法に従えばよく、特に制限されるものでない。
本発明の室温硬化性樹脂組成物の硬化物からなる被覆層を有する物品としては、例えば、ガラス類、各種樹脂類、各種金属類等で構成された物品などが例示できるが、基材の材質及び形状については特に限定されない。
本発明の室温硬化性樹脂組成物の硬化物で接着及び/又はシールされる物品としては、例えば、ガラス類、各種金属類等で構成された物品などが例示できるが、基材の材質及び形状については特に限定されない。
本発明の室温硬化性樹脂組成物の硬化物について、硬化後初期の伸び率が800%以上、好ましくは900%以上であり、250℃で7日間加熱する耐熱試験後の伸び率が800%以上、好ましくは900%以上であり、かつ、初期値から耐熱試験後の伸び率の変化率が30%以内、好ましくは25%以内である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の具体例において、「部」は「質量部」を意味し、また粘度は23℃での回転粘度計による測定値を示したものである。
(A)成分
(A-1-1)N,N’,N’’-[(1,3,5,7-テトラメチル-7-プロピルシクロテトラシロキサン-1,3,5-トリイル)トリス(オキシ)]トリス(N,N’-ジエチルアミン)の平均組成として1個の加水分解性基が加水分解し、縮合した化合物
(即ち、一般式(1)において、R1=メチル基、R2=プロピル基、Y=N,N’-ジエチルアミノオキシ基であるシクロテトラシロキサン化合物において、3個のYのうち平均組成として1個のケイ素原子に結合したN,N’-ジエチルアミノオキシ基同士が加水分解し、縮合してシロキサン結合(Si-O-Si)を形成してなる該シクロテトラシロキサン化合物の平均2量体)

(A-1-2)N,N’,N’’-[(1,3,5,7-テトラメチル-7-プロピルシクロテトラシロキサン-1,3,5-トリイル)トリス(オキシ)]トリス(N,N’-ジエチルアミン)の平均組成として1.5個の加水分解性基が加水分解し、縮合した化合物
(即ち、一般式(1)において、R1=メチル基、R2=プロピル基、Y=N,N’-ジエチルアミノオキシ基であるシクロテトラシロキサン化合物において、3個のYのうち平均組成として1.5個のケイ素原子に結合したN,N’-ジエチルアミノオキシ基同士が加水分解し、縮合してシロキサン結合(Si-O-Si)を形成してなる該シクロテトラシロキサン化合物の部分加水分解縮合物(平均4量体))

(A-1-3)N,N’,N’’-[(1,3,5,7,7-ペンタメチルシクロテトラシロキサン-1,3,5-トリイル)トリス(オキシ)]トリス(N,N’-ジエチルアミン)の平均組成として1個の加水分解性基が加水分解し、縮合した化合物
(即ち、一般式(1)において、R1=R2=メチル基、Y=N,N’-ジエチルアミノオキシ基であるシクロテトラシロキサン化合物において、3個のYのうち平均組成として1個のケイ素原子に結合したN,N’-ジエチルアミノオキシ基同士が加水分解し、縮合してシロキサン結合(Si-O-Si)を形成してなる該シクロテトラシロキサン化合物の平均2量体)

(A-2)ビス[(ジエチルアミノオキシ)(メチル)シロキサン]・ビス[(メチル)(プロピル)シロキサン]環状共重合体
(即ち、一般式(2)において、R1=メチル基、R2=プロピル基、Y=N,N’-ジエチルアミノオキシ基であるシクロテトラシロキサン化合物(単体))

(A’-1)N,N’,N’’-[(1,3,5,7-テトラメチル-7-プロピルシクロテトラシロキサン-1,3,5-トリイル)トリス(オキシ)]トリス(N,N’-ジエチルアミン)
(即ち、一般式(1)において、R1=メチル基、R2=プロピル基、Y=N,N’-ジエチルアミノオキシ基であるシクロテトラシロキサン化合物(単体))
(B)成分
(B-1)粘度5,000mPa・sの分子鎖両末端がケイ素原子に結合した水酸基(シラノール基)で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン
(D-1)成分
(D-1-1)カーボンブラック(BET比表面積が40m2/gのアセチレンブラック)
[実施例1]
(B-1)粘度5,000mPa・sの分子鎖両末端がケイ素原子に結合した水酸基(シラノール基)で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン(一般式(3)において、R4=メチル基、A=酸素原子であり、m=約400に相当する)100部と、(D-1)BET比表面積が40m2/gのカーボンブラック15部とを湿気遮断下で均一になるまで混合して第一剤を調製した。
他方、(A’-1)N,N’,N’’-[(1,3,5,7-テトラメチル-7-プロピルシクロテトラシロキサン-1,3,5-トリイル)トリス(オキシ)]トリス(N,N’-ジエチルアミン)(一般式(1)において、R1=メチル基、R2=プロピル基、Y=N,N’-ジエチルアミノオキシ基であるシクロテトラシロキサン化合物(単体))543.7g(1.0mоl)を仕込んだ1,000mlセパラブルフラスコにイオン交換水9.0g(0.5mоl)を滴下し、50℃に設定したオイルバスで加熱しながら、2時間攪拌した。次いで、オイルバスを75℃に設定し、1,000Pa条件下、生成したジエチルヒドロキシアミンを留去し、平均組成として1個の加水分解性基が部分加水分解し、縮合した化合物(上記シクロテトラシロキサン化合物(A’-1)において、3個のYのうち平均組成として1個のケイ素原子に結合したN,N’-ジエチルアミノオキシ基同士が加水分解し、縮合してシロキサン結合(Si-O-Si)を形成してなる該シクロテトラシロキサン化合物(A’-1)の平均2量体)(A-1-1)を得た。
次いで、(A-2)ビス[(ジエチルアミノオキシ)(メチル)シロキサン]・ビス[(メチル)(プロピル)シロキサン]環状共重合体(一般式(2)において、R1=メチル基、R2=プロピル基、Y=N,N’-ジエチルアミノオキシ基であるシクロテトラシロキサン化合物(単体))100部に対して、上記で得られた化合物(A-1-1)8部を湿気遮断下で均一になるまで混合して第二剤を調製した。
[実施例2~3、比較例1~4]
表1に示す組成で、実施例1と同様にして2成分型室温硬化性樹脂組成物(第一剤及び第二剤)を調製した。
[性能試験]
実施例1~3及び比較例1~4で調製された第一剤と第二剤とを混合し、厚さ2mmのシートを作製し、23℃,50%RHの空気中に7日間放置して、硬化物を得た。次いで、得られた硬化物についてJIS K 6249に準拠して物性(硬さ、破壊点伸び率)を測定した。更に得られた硬化物を250℃のオーブンで7日間加熱後、硬化物の耐熱試験後の物性を同様に測定した。硬化物の硬さは、デュロメーターA硬度計を用いて測定した。また、伸び率の変化率(%)は、下記の式から算出した値の絶対値とした。
Figure 2023038707000008
Figure 2023038707000009
表1の結果より、実施例1~3は比較例1~4と比べて、硬化物の耐熱性が損なわれることなく、初期、耐熱試験後の伸び率が800%以上と非常に高く、また耐熱試験後の伸び率の変化率も小さいことが明らかとなった。

Claims (13)

  1. 架橋剤として、下記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物の部分加水分解縮合物
    Figure 2023038707000010
    (式(1)中、R1はそれぞれ独立に非置換又は置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基であり、R2は非置換又は置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基であり、Yはそれぞれ独立に加水分解性基である。式中、各シロキサン単位の配列はランダムであってよい。)と、
    下記一般式(2)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物
    Figure 2023038707000011
    (式(2)中、R1、R2、Yは上記と同様である。式中、各シロキサン単位の配列はランダムであってよい。)とを含有し、かつ、充填剤としてカーボンブラックを含有する室温硬化性樹脂組成物であって、一般式(1)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物の部分加水分解縮合物と一般式(2)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物との質量比が0.1:100~50:100である室温硬化性樹脂組成物。
  2. 一般式(1)で表される加水分解性オルガノシロキサン化合物の部分加水分解縮合物及び/又は一般式(2)で表される加水分解性オルガノシロキサン化合物において、加水分解性基Yがジエチルアミノオキシ基である請求項1に記載の室温硬化性樹脂組成物。
  3. 一般式(1)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物において、分子中の3個の加水分解性基Yのうち平均組成として0.1個~2個未満のYが加水分解し、縮合したものである請求項2に記載の室温硬化性樹脂組成物。
  4. (A)一般式(1)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物の部分加水分解縮合物と一般式(2)で表される加水分解性オルガノシクロテトラシロキサン化合物とを含有する架橋剤:0.1~30質量部、
    (B)分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたポリマー:100質量部、
    (D-1)カーボンブラック:1~1,000質量部
    を含有するものである請求項1~3のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物。
  5. 更に、(B)成分100質量部に対して、
    (C)硬化触媒:0~20質量部、
    (D-2)充填剤(ただし、(D-1)成分を除く):0~1,000質量部、
    (E)接着促進剤(ただし、(A)成分を除く):0~30質量部、及び
    (F)可塑剤:0~1,000質量部、
    から選ばれる1種又は2種以上を含有するものである請求項4に記載の室温硬化性樹脂組成物。
  6. (B)成分が、オルガノポリシロキサン構造を主鎖として有するシリコーンポリマーである請求項4又は5に記載の室温硬化性樹脂組成物。
  7. (A)成分と(B)成分が別々の容器に入れられている多成分型である請求項4~6のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物。
  8. 硬化後初期の伸び率が800%以上であり、250℃で7日間加熱する耐熱試験後の伸び率が800%以上であり、かつ、初期値から耐熱試験後の伸び率の変化率が30%以内である硬化物を与えるものである請求項1~7のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物を含んでなるコーティング剤。
  10. 請求項1~8のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物を含んでなる接着剤。
  11. 請求項1~8のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物を含んでなるシーリング剤。
  12. 請求項1~8のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物の硬化物からなる被覆層を有する物品。
  13. 請求項1~8のいずれか1項に記載の室温硬化性樹脂組成物の硬化物で接着及び/又はシールされた物品。
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