JP2023118149A - 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法 - Google Patents

室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法 Download PDF

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大樹 片山
Hiroki Katayama
優大 今坂
Yudai IMASAKA
功 岩崎
Isao Iwasaki
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Abstract

【課題】製造が容易で保存性に優れる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法を提供する。【解決手段】(A)分子鎖末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサン、(B-1)加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解物、(B-2)ヒドロキシルアミン化合物、(B-3)有機2価錫化合物及び/又は有機4価錫化合物、及び必要に応じて(C)硬化触媒の特定量を含有し、[i](B-1)、(B-3)の一部又は全部と(B-2)の全部を均一に混合して末端封鎖剤(B)を調製する工程、[ii](A)及び(B)を均一に混合して(A)中のシラノール基を(B-1)中の加水分解性オルガノシリル基で封鎖したオルガノポリシロキサンを含む混合物を調製する工程、[iii]該混合物に、(B-1)、(B-3)の残部及び必要に応じて(C)を配合する工程を含む室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素基(以下、「反応性ケイ素基」とも称す。)として、水酸基に結合したケイ素原子(即ち、シラノール基)を分子鎖末端に有するオルガノポリシロキサン(即ち、分子鎖末端がシラノール基で封鎖されジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなるオルガノポリシロキサン構造を主鎖として有する重合体)を主剤(ベースポリマー)の出発原料として含有する、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物(室温硬化性シリコーン樹脂組成物)の製造方法に関するものである。
反応性ケイ素基を有するポリマーは、水分存在下にて加水分解、縮合する。この反応性ケイ素基を有するポリマーは、湿気存在下で架橋、硬化し、硬化性樹脂組成物として用いることができる。これらのポリマーの中でも、その主鎖がケイ素含有化合物(特に、オルガノポリシロキサン)であるものは、一般的にシリコーンポリマーとして知られている。これらを用いた硬化性樹脂組成物は、室温では液状であり、硬化によりゴム弾性体となる特徴を有しており、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物としてその特徴を利用してコーティング剤、接着剤、建築用シーラント等に広く用いられている。室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、空気中の水分と接触した際に組成物から放出される化合物によりしばしば分類され、代表的なものに脱酢酸型、脱オキシム型、脱アミド型、脱ヒドロキシルアミン型、脱アセトン型、脱アルコール型のオルガノポリシロキサン組成物が挙げられる。その中でもアルコールを放出して硬化する脱アルコール型のオルガノポリシロキサン組成物は、臭気が少ないこと、銅や鉄などの金属類を腐食しないこと、自己接着性(プライマーを使用しない場合の各種基材に対する硬化後の接着性)に優れること、接着耐久性に優れることなどから、特に好まれて使用されている。
脱アルコール型のオルガノポリシロキサン組成物を得るためには、ベースポリマーとしてアルコキシシリル基で予め末端封鎖されたオルガノポリシロキサンを使用する、又は末端官能基がシラノール基であるオルガノポリシロキサンを出発原料として製造工程中でアルコキシ基を有するシラン化合物で末端封鎖をする必要がある。製造容易さや貯蔵安定性を得るためには予めアルコキシシリル基で末端封鎖されたオルガノポリシロキサンを使用することが好ましいが、コストが高くなるなどの欠点を有している。製造工程中でシラノール基を末端封鎖する方法として、アミノ基含有シランなどの塩基性シラン化合物を末端封鎖触媒として配合することが一般的に知られており、特許第5888112号公報、特許第6252466号公報(特許文献1、2)では、グアニジン基やフェニルメタンアミン基を有する塩基性シラン化合物を末端封鎖触媒として使用することが例示されているが、末端封鎖用の触媒として使用する塩基性シラン化合物が特殊であることから、経済的に不利になったり、組成によっては末端封鎖が不十分なため、製造途中で急激に増粘、ゲル化するという問題が発生する場合があった。
特許第5888112号公報 特許第6252466号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、製造が容易で保存性に優れる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、[i]加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解物と、ヒドロキシルアミン化合物と、有機2価錫化合物及び/又は有機4価錫化合物とを均一に混合して末端封鎖剤を調製する工程、[ii]該末端封鎖剤と、末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンとを混合して、オルガノポリシロキサンの末端シラノール基を加水分解性シリル基で末端封鎖する末端封鎖工程、[iii]末端封鎖工程で得られた混合物に、加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解物に残部がある場合にはその残部と、有機2価錫化合物及び/又は有機4価錫化合物硬化触媒に残部がある場合にはその残部と、ヒドロキシルアミン化合物、有機2価錫化合物及び有機4価錫化合物以外の硬化触媒を配合する場合にはその全量とを混合する工程を含む製造方法により得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が、製造が容易で保存性に優れることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
即ち、本発明は、下記の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法を提供するものである。
[1]
(A)分子鎖両末端及び/又は片末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B-1)下記一般式(1)
1 4-aSi(ОR2a (1)
(式中、R1は炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立に炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは3又は4である。)
で表される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解物:0.01~30質量部、
(B-2)ヒドロキシルアミン化合物:0.01~10質量部、
(B-3)有機2価錫化合物及び/又は有機4価錫化合物:0.001~20質量部、及び
(C)硬化触媒(但し、(B-2)成分及び(B-3)成分を除く):0~20質量部
を含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法であって、
[i]:(B-1)成分の一部又は全部、(B-2)成分の全部及び(B-3)成分の一部又は全部を予め均一に混合してなる末端封鎖剤(B)を調製する工程(但し、工程[i]中に(A)、(C)成分は含まない)、
[ii]:(A)成分と工程[i]で得られた(B)成分とを均一に混合して、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子鎖末端のシラノール基を(B)成分中に含まれる(B-1)成分の加水分解性オルガノシラン化合物由来の加水分解性オルガノシリル基(-SiR1 4-a(ОR2a-1)で封鎖したオルガノポリシロキサンを含む混合物を調製する工程(但し、工程[ii]中に(C)成分は含まない)、及び
[iii]:該混合物に、(B-1)成分に残部がある場合にはその残部と、(B-3)成分に残部がある場合にはその残部と、(C)成分を配合する場合にはその全部とを配合する工程
を含む室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
[2]
工程[i]において(B-1)成分全体の10~100質量%を配合し、工程[iii]において(B-1)成分全体の0~90質量%(工程[i]、[iii]の合計で100質量%)を配合するものである[1]に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
[3]
工程[i]において(B-3)成分全体の10~100質量%を配合し、工程[iii]において(B-3)成分全体の0~90質量%(工程[i]、[iii]の合計で100質量%)を配合するものである[1]又は[2]に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
[4]
工程[i]において(B-3)成分全体の10~90質量%を配合し、工程[iii]において(B-3)成分全体の10~90質量%(工程[i]、[iii]の合計で100質量%)を配合するものである[1]~[3]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
[5]
工程[i]において(B-3)成分全体の100質量%を配合するものである[1]~[3]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
[6]
更に、(A)成分100質量部に対して、
(D)充填剤:1~1,000質量部、
(E)接着促進剤(但し、(B-1)成分を除く):0.1~30質量部、及び
(F)可塑剤:1~1,000質量部、
から選ばれる1種又は2種以上を工程[i]~工程[iii]のいずれかの工程において配合するものである[1]~[5]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
[7]
(B-2)成分のヒドロキシルアミン化合物が、ジエチルヒドロキシルアミンである[1]~[6]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
[8]
(B-3)成分の有機2価錫化合物が、2-エチルヘキサン酸錫(II)である[1]~[7]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
[9]
(B-3)成分の有機4価錫化合物が、ジオクチル錫(IV)ジラウレート及び/又はジオクチル錫(IV)ジネオデカノエートである[1]~[8]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
[10]
上記(A)成分が、下記一般式(2)で表される分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン及び/又は下記一般式(3)で表される分子鎖片末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンである[1]~[9]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
Figure 2023118149000001
(式(2)中、R3は互いに独立に非置換又は置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基であり、Aは酸素原子又は炭素原子数1~8の二価炭化水素基であり、mはこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする整数である。)
Figure 2023118149000002
(式(3)中、R3、Aは式(2)と同様であり、nはこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする整数である。)
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法は、末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンを主剤(ベースポリマー)の出発原料として、加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解物、ヒドロキシルアミン化合物、及び有機2価錫化合物及び/又は有機4価錫化合物の予備混合物からなる末端封鎖剤を用いて製造工程内で末端封鎖することで、容易に製造でき、保存安定性に優れる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を製造することができる。
以下、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法及び室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物について更に詳しく説明する。
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法は、
(A)分子鎖両末端及び/又は片末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B-1)下記一般式(1)
1 4-aSi(ОR2a (1)
(式中、R1は炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立に炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは3又は4である。)
で表される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解物:0.01~30質量部、
(B-2)ヒドロキシルアミン化合物:0.01~10質量部、
(B-3)有機2価錫化合物及び/又は有機4価錫化合物:0.001~20質量部、及び
(C)硬化触媒(但し、(B-2)成分及び(B-3)成分を除く):0~20質量部
を含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法であって、
[i]:(B-1)成分の一部又は全部、(B-2)成分の全部及び(B-3)成分の一部又は全部を予め均一に混合してなる末端封鎖剤(B)を調製する工程(但し、工程[i]中に(A)、(C)成分は含まない)、
[ii]:(A)成分と工程[i]で得られた(B)成分とを均一に混合して(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子鎖末端のシラノール基を(B)成分中に含まれる(B-1)成分の加水分解性オルガノシラン化合物由来の加水分解性オルガノシリル基(-SiR1 4-a(ОR2a-1)で封鎖したオルガノポリシロキサンを含む混合物を調製する工程(但し、工程[ii]中に(C)成分は含まない)、及び
[iii]:該混合物に、(B-1)成分に残部がある場合にはその残部と、(B-3)成分に残部がある場合にはその残部と、(C)成分を配合する場合にはその全部とを配合する工程
を含むことを特徴とするものである。
[室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物]
本発明の製造方法により得られる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、下記反応混合物(I)、及び必要により(B-1)、(B-3)、(C)、(D)~(F)成分を含有するものである。
(I)(A)分子鎖両末端及び/又は片末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサン、及び
(B)(B-1)下記一般式(1)
1 4-aSi(ОR2a (1)
(式中、R1は炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立に炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは3又は4である。)
で表される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解物、
(B-2)ヒドロキシルアミン化合物、及び
(B-3)有機2価錫化合物及び/又は有機4価錫化合物の予備混合物からなる末端封鎖剤
からなり、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子鎖末端のシラノール基が(B-1)成分の加水分解性オルガノシラン化合物由来の加水分解性オルガノシリル基(-SiR1 4-a(ОR2a-1)で封鎖されたオルガノポリシロキサンを含む反応混合物、
(B-1)上記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解物、
(B-3)有機2価錫化合物及び/又は有機4価錫化合物、
(C)硬化触媒(但し、(B-2)成分及び(B-3)成分を除く)、
(D)充填剤、
(E)接着促進剤(但し、(B-1)成分を除く)、
(F)可塑剤。
(A)成分:
本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に用いられる(A)成分は、分子鎖両末端及び/又は分子鎖片末端がシラノール基(ケイ素原子に結合した水酸基)で封鎖されたオルガノポリシロキサン(即ち、分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された又は分子鎖片末端がシラノール基、もう一方の片末端がトリアルキルシリル基で封鎖されたジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなるオルガノポリシロキサン構造を主鎖として有する、基本的に直鎖状の重合体)であり、本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の主剤(ベースポリマー)の出発原料である。
(A)成分として、具体的には、下記一般式(2)で表される分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された基本的に直鎖状のジオルガノポリシロキサン及び/又は下記一般式(3)で表される分子鎖片末端がシラノール基で封鎖された基本的に直鎖のジオルガノポリシロキサンが挙げられる。
Figure 2023118149000003
(式(2)中、R3は互いに独立に非置換又は置換の炭素原子数1~12、好ましくは炭素原子数1~8の一価炭化水素基であり、Aは酸素原子又は炭素原子数1~8の二価炭化水素基であり、mはこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする整数である。)
Figure 2023118149000004
(式(3)中、R3、Aは式(2)と同様であり、nはこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする整数である。)
ここで、前記一般式(2)、(3)において、R3で表される互いに独立に非置換又は置換の炭素原子数1~12、好ましくは炭素原子数1~8の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-,β-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基;また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基等で置換された基、例えば、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-シアノエチル基等を例示することができる。これらの中でも、アルケニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基を除くものであることが好ましく、メチル基、エチル基等のアルキル基やフェニル基等のアリール基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
前記一般式(2)、(3)において、Aは、酸素原子又は炭素原子数1~8、好ましくは炭素原子数2~4の二価炭化水素基であり、二価炭化水素基としては、-(CH2p-又は-(CH=CH)q-(pは1~8の整数、好ましくは1~4の整数を表し、qは1~4の整数を表す。)等のアルキレン基、アルケニレン基が好ましい。これらの中でも酸素原子、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH=CH-が好ましい。
前記一般式(2)、(3)において、m、nはそれぞれこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする整数であり、通常、m、nは20~2,000の整数、好ましくは20~1,600の整数、より好ましくは20~1,000の整数、更に好ましくは20~500程度の整数である。
ここで、該ジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度は、100~1,000,000mPa・sが好ましく、より好ましくは300~500,000mPa・s、特に好ましくは500~200,000mPa・s、とりわけ好ましくは1,000~100,000mPa・sである。なお、粘度は回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型等)による数値である(以下、同じ。)。また、該オルガノポリシロキサン中の主鎖を構成するジシロキサン単位((R32SiO2/2)の繰り返し数(又は重合度)を示すm、n値は、通常、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
(A)成分の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 2023118149000005
(各式中、R3、mは上記と同じである。)
Figure 2023118149000006
(各式中、R3、nは上記と同じである。)
(A)成分の分子鎖両末端及び/又は分子鎖片末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサンは、1種単独でも構造や重合度の異なる2種以上を組み合わせても使用することができる。
(B)成分:
本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に用いられる末端封鎖剤である(B)成分は、
(B-1)下記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解物
1 4-aSi(ОR2a (1)
(式中、R1は炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立に炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは3又は4である。)、
(B-2)ヒドロキシルアミン化合物、及び
(B-3)有機2価錫化合物及び/又は有機4価錫化合物
を含んでなり、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に配合される際に、予め(B-1)成分の一部又は全部、(B-2)成分の全部及び(B-3)成分の一部又は全部を均一に混合した予備混合物として調製され、該均一混合物の形態で室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物中に配合されることで高活性な末端封鎖剤として機能するものである。
(B-1)成分:
(B-1)成分である下記一般式(1)で表される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解物は、(A)成分のオルガノポリシロキサンとの縮合反応により該オルガノポリシロキサンの末端シラノール基を加水分解性シリル基で末端封鎖し、また架橋構造を形成する架橋剤(硬化剤)として作用するものである。
1 4-aSi(ОR2a (1)
(式中、R1は炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立に炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは3又は4である。)
ここで、前記一般式(1)において、R1で表される非置換又は置換の炭素原子数1~12、好ましくは炭素原子数1~8、より好ましくは炭素原子数1~4の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-,β-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基;また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基、メトキシ基等で置換された基、例えば、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-シアノエチル基、メトキシメチル基等を例示することができる。これらの中でも、メチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基等のアルケニル基、メチル基の水素原子の一つがメトキシ基で置換されたメトキシメチル基が好ましく、メチル基、ビニル基、メトキシメチル基が特に好ましい。
前記一般式(1)において、R2で表される非置換又は置換の炭素原子数1~12、好ましくは炭素原子数1~8、より好ましくは炭素原子数1~4の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α-,β-ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基;また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基、メトキシ基等で置換された基、例えば、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-シアノエチル基、メトキシメチル基等を例示することができる。これらの中でも、メチル基、エチル基等のアルキル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
(B-1)成分としては、分子中にアルコキシ基等の加水分解性基を3個以上、好ましくは3個又は4個有する(オルガノ)シラン化合物及びそれらの部分加水分解物が挙げられ、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、及びその部分加水分解物、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、メチルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、メトキシメチルトリメトキシシラン、メトキシメチルトリエトキシシラン、エトキシメチルトリメトキシシラン、エトキシメチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のオルガノトリアルコキシシラン、及びこれらの部分加水分解物が挙げられ、特にテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メトキシメチルトリメトキシシラン、及びその加水分解物が好ましいが、これらに限定されない。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
(B-1)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解物の配合量は、上記(A)成分100質量部に対して0.01~30質量部であり、0.5~10質量部が好ましい。(B-1)成分が少なすぎると得られる組成物を硬化しても十分なゴム物性が得られない場合があり、多すぎると速硬化性を損なう、又は経済的に不利である。
(B-2)成分:
(B-2)成分であるヒドロキシルアミン化合物としては、例えば、ヒドロキシルアミン、ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、N-エチル-N-ヒドロキシ-2-プロパンアミン、N-エチル-N-ヒドロキシ-1-プロパンアミン、N-ヒドロキシ-N-プロピル-1-プロパンアミン、N-ヒドロキシ-N-メチル-2-ブタンアミン、N-ヒドロキシ-N-プロピル-1-ブタンアミン、N-エチル-N-ヒドロキシ-1-ブタンアミン、N-ヒドロキシ-N-メチル-1-ブタンアミン、N-ヒドロキシ-N,2-ジメチル-1-プロパンアミン、N-ヒドロキシ-N-(1-メチルエチル)-2-プロパンアミン、N-ヒドロキシ-N-プロピル-2-ブタンアミン、N-エチル-N-ヒドロキシ-2-ブタンアミン、N-ヒドロキシ-N-(1-メチルエチル)-1-ブタンアミン、N-ベンゾイル-N-フェニルヒドロキシルアミンなどを例示することができる。この中でも安全性が高く、入手容易なジエチルヒドロキシルアミンが好ましい。
(B-2)成分の配合量は、前記(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部であり、0.1~1質量部が好ましい。(B-2)成分が少なすぎると(A)成分の末端シラノール基の末端封鎖反応が効率的に進行せず、また多すぎると保存性が悪化したり、経済的に不利であるという問題が発生する。
(B-3)成分:
(B-3)成分は有機2価錫化合物及び有機4価錫化合物から選ばれる1種又は2種以上であり、(B-3)成分のうち有機2価錫化合物としては、カルボン酸の2価錫塩(カルボン酸と2価錫(II)との塩)が好ましく、2-エチルヘキサン酸錫(II)[別名:オクチル酸錫(II)]、オクタン酸錫(II)、ネオデカン酸錫(II)などのジカルボン酸錫(II)化合物を例示することができる。この中でも入手容易な2-エチルヘキサン酸錫(II)が好ましい。
(B-3)成分のうち有機4価錫化合物としては、ジブチル錫(IV)ジアセテート、ジブチル錫(IV)ジラウレート、ジブチル錫(IV)ジオクトエート、ジオクチル錫(IV)ジラウレート、ジオクチル錫(IV)ジネオデカノエート、ジブチル錫(IV)ジアセトアセテート等のジアルキル錫(IV)ジエステル化合物、ジ-n-ブチル-ジメトキシ錫(IV)等のジアルキル錫(IV)ジアルコキシ化合物などを例示することができる。この中でも、ジアルキル錫(IV)ジエステル化合物が好ましく、特に、入手容易なジオクチル錫(IV)ジラウレートやジオクチル錫(IV)ジネオデカノエートが好ましい。
(B-3)成分の配合量は、上記(A)成分100質量部に対して0.001~20質量部であり、0.01~10質量部が好ましく、0.02~5質量部がより好ましい。(B-3)成分の量が上記範囲内にあると本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の末端封鎖反応を効率的に進行させることができ、20質量部を超えると末端封鎖工程中にゲルが発生するなど製造上不利になる、又は経済的に不利になる。
なお、有機2価錫化合物と有機4価錫化合物を併用して用いる場合、これらの配合割合は、工程[i]と工程[iii]の配合量の合計(全体)で、有機2価錫化合物:有機4価錫化合物=1:50~5:1、特には1:20~2:1の質量比で用いることが好ましい。
また、工程[i]において有機2価錫化合物と有機4価錫化合物を併用して用いる場合、工程[i]における配合割合は、有機2価錫化合物:有機4価錫化合物=1:10~2:1、特には1:5~1:1の質量比で用いることが好ましい。
(B)成分である末端封鎖剤を調製する際の、(B-1)成分、(B-2)成分、(B-3)成分の配合比率は、上記(B-1)成分100質量部に対して(B-2)成分は0.1~50質量部、特に1~10質量部が好ましく、(B-3)成分は0.01~20質量部、特に0.01~10質量部が好ましい。(B)成分の配合比率が上記範囲内にあると(A)成分のオルガノポリシロキサンの末端封鎖反応を効率的に進行させることができるため好ましく、(B-2)及び/又は(B-3)成分が多すぎると末端封鎖工程中にゲルができてしまったり、経済的に不利になる場合がある。(B-2)及び/又は(B-3)成分が少なすぎると(A)成分の末端シラノール基の末端封鎖反応が効率的に進行しない場合がある。
(B)成分である末端封鎖剤の配合量は、上記(A)成分100質量部に対して0.021~50質量部であり、0.3~15質量部が好ましく、0.6~12質量部がより好ましい。(B)成分が少なすぎると十分に(A)成分の末端封鎖が進行せず、多すぎると経済的に不利である。
(C)成分:
本発明に係る(C)成分は、上記(B-2)成分及び(B-3)成分とは区別される硬化触媒(非金属系有機触媒及び/又は金属系触媒)であり、本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化を促進するために作用する。
該硬化触媒の非金属系有機触媒としては、縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物の硬化促進剤として公知のものを使用することができ、特に制限されるものではない。例えば、N,N,N’,N’,N'',N''-ヘキサメチル-N'''-(トリメチルシリルメチル)-ホスホリミディックトリアミド等のホスファゼン含有化合物、ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミン等のアミン化合物又はその塩、ベンジルトリエチルアンモニウムアセテート等の第4級アンモニウム塩、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等のグアニジル基を含有するシラン及びシロキサン等が例示されるが、非金属系有機触媒はこれらに限定されない。また、非金属系有機触媒は1種でも2種以上を使用してもよい。
該硬化触媒の金属系触媒としては、縮合硬化型オルガノポリシロキサン組成物の硬化促進剤として公知のものを使用することができ、特に制限されるものではない。例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等のチタン酸エステル又はチタンキレート化合物、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムセカンダリーブチレートなどのアルコレートアルミニウム化合物、アルミニウムアルキルアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート等のアルミニウムキレート化合物、ナフテン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、亜鉛-2-エチルオクトエート、鉄-2-エチルヘキソエート、コバルト-2-エチルヘキソエート、マンガン-2-エチルヘキソエート、ナフテン酸コバルト、ネオデカン酸ビスマス(III)、2-エチルヘキサン酸ビスマス(III)、クエン酸ビスマス(III)、オクチル酸ビスマス等の有機金属化合物、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸リチウム等のアルカリ金属の低級脂肪酸塩が例示されるが、金属系触媒はこれらに限定されない。また、金属系触媒は1種でも2種以上を使用してもよい。
(C)成分の硬化触媒の配合量は、上記(A)成分100質量部に対して0~20質量部であり、配合する場合、上記(A)成分100質量部に対して0.001~20質量部であることが好ましく、0.01~10質量部であることがより好ましい。(C)成分が少なすぎると十分な硬化性が得られない場合があり、多すぎると硬化性が速すぎる結果、十分な作業時間が得られず、また経済的に不利である。
上述した(B-3)成分の一部を工程[i]において、残部を工程[iii]において、それぞれ分配して配合する場合には、工程[iii]において(C)成分(即ち、上記(B-2)成分及び(B-3)成分以外の硬化触媒)は必要に応じて配合できる任意成分として、上記(A)成分100質量部に対して20質量部以下(0~20質量部)の範囲で適宜配合すればよい。
一方、工程[i]において(B-3)成分を100質量%配合するとき(即ち、工程[iii]において(B-3)成分を配合しないとき)には、(B-3)成分が有機4価錫化合物を含む場合(即ち、(B-3)成分が有機4価錫化合物のみである場合、又は有機2価錫化合物と有機4価錫化合物とを含む場合)には、工程[iii]において(C)成分(即ち、上記(B-2)成分及び(B-3)成分以外の硬化触媒)は必要に応じて配合できる任意成分として、上記(A)成分100質量部に対して20質量部以下(0~20質量部)の範囲で適宜配合すればよく、また、(B-3)成分が有機2価錫化合物のみである場合には、(C)成分は必須成分として、工程[iii]において(C)成分を上記(A)成分100質量部に対して(C)成分を0.001~20質量部、好ましくは0.01~10質量部を配合することが好ましい。
(D)成分:
(D)成分は充填剤(無機質充填剤及び/又は有機樹脂充填剤)であり、必要に応じて本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に配合される任意成分であって、この組成物から形成される硬化物に十分な機械的強度を与えるために使用される。この充填剤としては公知のものを使用することができ、無機質充填剤としては、例えば、微粉末シリカ、煙霧質シリカ(ヒュームドシリカ又は乾式シリカ)、沈降性シリカ(湿式シリカ)、これらのシリカ表面を有機ケイ素化合物で疎水化処理したシリカなどの補強性シリカ系充填剤、ガラスビーズ、ガラスバルーン、透明樹脂ビーズ、シリカエアロゲル、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、煙霧状金属酸化物などの金属酸化物、石英粉末(結晶性シリカ)、カーボンブラック、タルク、ゼオライト及びベントナイト等の補強剤、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、コロイダル炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛などの金属炭酸塩、ガラスウール、微粉マイカ、溶融シリカ粉末等、有機樹脂充填剤としては、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成樹脂粉末等が使用される。これらの充填剤のうち、シリカ、炭酸カルシウム、ゼオライトなどの無機質充填剤が好ましく、特に表面を疎水化処理した煙霧質シリカ、炭酸カルシウムが好ましい。
(D)成分の充填剤を配合する場合には、その配合量は、上記(A)成分100質量部に対して1~1,000質量部、特に5~400質量部とすることが好ましい。未配合の場合より配合した方が、この組成物から得られる硬化物が十分な機械的強度を示す傾向があり、また1,000質量部よりも多量に使用すると、組成物の粘度が増大して作業性が悪くなるばかりでなく、硬化後のゴム強度が低下してゴム弾性が得難くなる傾向がある。
(E)成分:
(E)成分は接着促進剤(但し、(B-1)成分を除く)であり、必要に応じて本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に配合される任意成分であって、この組成物から形成される硬化物に十分な接着性を与えるために使用される。具体的には、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-2-(アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン[別名:N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン]等のアミノシラン類、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン類、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン類、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネートシラン類などの、加水分解性基以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する官能性基(但し、グアニジル基を除く)を含有する一価炭化水素基を分子中に有する加水分解性オルガノシラン化合物(いわゆるカーボンファンクショナルシラン又はシランカップリング剤)等を配合することが好ましい。なお、(E)成分の接着促進剤(カーボンファンクショナルシラン又はシランカップリング剤)は、加水分解性基以外に窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する官能性基(但し、グアニジル基を除く)を含有する一価炭化水素基を分子中に有する(但し、メトキシメチル基等のオルガノオキシ置換アルキル基は含有しない)ものである点において、上記(B-1)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解物とは明確に区別されるものである。
(E)成分の接着促進剤を配合する場合には、その配合量は、上記(A)成分100質量部に対して0.1~30質量部、特に0.5~20質量部が好ましい。30質量部を超えると硬化性が不十分になったり、経済的に不利になる場合がある。(E)成分は後述する工程[i]、[ii]中においては配合せず、必要に応じて、工程[iii]中において配合することが好ましい。
(F)成分:
(F)成分は可塑剤であり、必要に応じて本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に配合される任意成分であって、この組成物から形成される硬化物の機械特性や難燃性を損なうことなく、施工上取り扱い易い粘度に調整することができる。
本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に使用される可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)、フタル酸ジヘプチル(DHP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ジトリデシル(DTDP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジシクロヘキシル(DCHP)、テトラヒドロフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、アジピン酸ジ-n-アルキル、ジブチルジグリコールアジペート(BXA)、アゼライン酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOZ)、セバシン酸ジブチル(DBS)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、マレイン酸ジブチル(DBM)、マレイン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOM)、フマル酸ジブチル(DBF)、リン酸トリクレシル(TCP)、トリエチルホスフェート(TEP)、トリブチルホスフェート(TBP)、トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート(TOP)、トリ(クロロエチル)ホスフェート(TCEP)、トリスジクロロプロピルホスフェート(CPP)、トリブトキシエチルホスフェート(TBXP)、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート(TMCPP)、トリフェニルホスフェート(TPP)、オクチルジフェニルホスフェート(ODP)、クエン酸アセチルトリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどがあり、その他にはトリメリット酸系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、塩素化パラフィン、ステアリン酸系可塑剤など、更にジメチルポリシロキサン等のシリコーンオイル(無官能性オルガノポリシロキサン)、最近ではポリオキシプロピレングリコール系、パラフィン系、ナフテン系、イソパラフィン系等の石油系高沸点溶剤などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。その中でも特にシリコーンオイルが好ましい。
なお、上記のシリコーンオイル(無官能性オルガノポリシロキサン)として、好ましくは、下記一般式(4)で表されるオルガノポリシロキサンを使用することができる。
Figure 2023118149000007
(式(4)中、R4は互いに独立に非置換もしくは置換の脂肪族不飽和結合を含有しない炭素原子数1~20の一価炭化水素基であり、bは該オルガノポリシロキサンの23℃における粘度が1.5~1,000,000mPa・sとなる数である。)
上記式(4)において、R4は互いに独立に非置換もしくは置換の脂肪族不飽和結合を含有しない炭素原子数1~20の一価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部を、F、Cl、Br等のハロゲン原子で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
なお、上記式(4)で表されるオルガノポリシロキサンにおいて、ジオルガノシロキサン単位の繰り返し数(重合度)を示すbの値としては、通常、3~3,000、好ましくは5~2,000、より好ましくは10~1,000程度の整数であればよい。
ここで、該オルガノポリシロキサンの23℃における粘度は、1.5~1,000,000mPa・sが好ましく、より好ましくは10~100,000mPa・sである。
(F)成分を配合する場合には、その配合量は、上記(A)成分100質量部に対して1~1,000質量部であることが好ましく、より好ましくは2~500質量部、更に好ましくは5~200質量部である。(F)成分の量が上記範囲内にあると本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の機械特性や難燃性を損なうことなく、施工上取り扱い易い粘度に調整することができるため好ましい。
[その他の成分]
また、本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、任意の添加剤として、チクソ性付与剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
チクソ性付与剤としては、例えば、ポリエチレンオキサイド(ポリオキシエチレン)、ポリプロピレンオキサイド(ポリオキシプロピレン)、エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド共重合体(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体)やこれらの分子鎖末端(片末端又は両末端)がアルキルエーテルで封鎖されたポリマーなどに代表されるポリエーテル化合物やそのポリエーテル化合物をシラン変性、シリコーン変性した化合物、ポリエーテルリン酸エステル、ポリエーテル脂肪酸エステル、脂肪酸アマイドワックス、水添ひまし油、酸化ポリオレフィン等が挙げられる。
また、本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、任意の添加剤として、トリアセチン、ジアセチン、モノアセチン、トリブチリン、トリカプリリン、トリステアリン、グリセロールジアセテートラウレート等の脂肪酸エステル基を有する脂肪酸のグリセリンエステルやトリメチロールプロパントリステアレート、トリメチロールプロパントリアセテート、ペンタエリスリトールモノアセテートなどの、分子中に3個以上の脂肪酸エステル基又は、脂肪酸エステル基とヒドロキシル基を合計で3個以上有する多価アルコールの脂肪酸エステル化合物を貯蔵安定化剤(保存性向上剤)として配合することができる他、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、酸化アンチモン、塩化パラフィン等の難燃剤など公知の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。更に、防かび剤、抗菌剤を配合することもできる。
更に、本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、必要に応じて有機溶剤を用いてもよい。有機溶剤としては、n-ヘキサン、n-ヘプタン、イソオクタン、イソドデカンなどの脂肪族炭化水素系化合物、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系化合物、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、2-(トリメチルシロキシ)-1,1,1,2,3,3,3-ヘプタメチルトリシロキサンなどの鎖状シロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどの環状シロキサンなどが挙げられる。有機溶剤の量は本発明の効果を妨げない範囲で適宜調整すればよい。
[室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法]
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法は、上述した各成分において、(A)、(C)成分を除く、少なくとも(B-1)成分の一部又は全部と、(B-2)成分の全部と、(B-3)成分の一部又は全部とを均一に混合して末端封鎖剤(B)を調製する工程(工程[i])、(C)成分を除く、少なくとも(A)成分の全部と、工程[i]で得られた末端封鎖剤である(B)成分の全部とを均一に混合し、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子鎖末端のシラノール基を(B)成分中に含まれる(B-1)成分の加水分解性オルガノシラン化合物由来の加水分解性オルガノシリル基(-SiR1 4-a(ОR2a-1)で封鎖したオルガノポリシロキサンを含む混合物を調製する工程(末端封鎖工程)(工程[ii])、及び該混合物に、(B-1)成分に残部がある場合にはその残部と、(B-3)成分に残部がある場合にはその残部と、(C)成分を配合する場合にはその全部とを配合する工程(工程[iii])を含むことを特徴とする。
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法において、(B-1)成分の加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解物は、上記の工程[i]、[iii]に関し、工程[i]において(B-1)成分全体の10~100質量%、特に30~100質量%、更には50~100質量%を配合し、工程[iii]において(B-1)成分全体の0~90質量%、特に0~70質量%、更には0~50質量%を配合することが好ましい。工程[i]への(B-1)成分の配合割合が少なすぎると末端封鎖反応が十分に進行せず、末端封鎖工程後である工程[iii]において(C)成分や(E)成分を添加した際にゲルが発生したり、増粘したりして製造上不利である。
また、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法において、(B-3)成分の有機2価錫化合物及び/又は有機4価錫化合物は、上記の工程[i]、[iii]に関し、(B-3)成分が有機2価錫化合物のみである場合には、(B-3)成分全体の100質量%(即ち、有機2価錫化合物の全部)を上記の工程[i]において配合することが好ましいが、(B-3)成分が有機4価錫化合物を含む場合(即ち、(B-3)成分が有機4価錫化合物のみである場合、又は有機2価錫化合物と有機4価錫化合物とを含む場合)には、(B-3)成分全体(特に、有機4価錫化合物全体)の10~100質量%、特に30~100質量%、更には50~100質量%を工程[i]において配合し、(B-3)成分全体(特に、有機4価錫化合物全体)の0~90質量%、特に0~70質量%、更には0~50質量%を工程[iii]において(工程[i]、[iii]の合計で100質量%)配合することが好ましい。工程[i]への(B-3)成分の配合割合が少なすぎると末端封鎖反応が十分に進行せず、末端封鎖工程後である工程[iii]において(C)成分や(E)成分を添加した際にゲルが発生したり、増粘したりして製造上不利である。
更に、上記の工程[i]、[iii]に関し、(B-3)成分(特に、有機4価錫化合物)の一部を工程[i]において、残部を工程[iii]において、それぞれ分配して配合する場合、(B-3)成分全体(特に、有機4価錫化合物全体)の10~90質量%、特に20~60質量%を工程[i]において配合し、(B-3)成分全体(特に、有機4価錫化合物全体)の90~10質量%、特に80~40質量%を工程[iii]において(工程[i]、[iii]の合計で100質量%)配合することが望ましい。
なお、(B-3)成分(特に、有機4価錫化合物)の一部を工程[i]において、残部を工程[iii]において、それぞれ分配して配合する場合には、工程[iii]において(C)成分(即ち、(B-2)成分及び(B-3)成分以外の硬化触媒)は必要に応じて配合できる任意成分として上記(A)成分100質量部に対して20質量部以下(0~20質量部)の範囲で適宜配合すればよい。
一方、工程[i]において(B-3)成分を100質量%配合するとき(即ち、工程[iii]において(B-3)成分を配合しないとき)には、(B-3)成分が有機4価錫化合物を含む場合(即ち、(B-3)成分が有機4価錫化合物のみである場合、又は有機2価錫化合物と有機4価錫化合物とを含む場合)には、工程[iii]において(C)成分(即ち、上記(B-2)成分及び(B-3)成分以外の硬化触媒)は必要に応じて配合できる任意成分として、上記(A)成分100質量部に対して20質量部以下(0~20質量部)の範囲で適宜配合すればよく、また、(B-3)成分が有機2価錫化合物のみである場合には、(C)成分は必須成分として、工程[iii]において(C)成分を上記(A)成分100質量部に対して(C)成分を0.001~20質量部、好ましくは0.01~10質量部を配合することが好ましい。
工程[i]において、末端封鎖剤を構成する各成分は、均一混合物となればよく、その混合条件としては、任意の混合方法で行えばよく、混合撹拌機を用いて混合する方法や、密封容器に仕込み振とう器で混合する方法や、所定の容器内で撹拌機で混合する方法などが例示される。
工程[i]により、(A)、(C)成分を除く、少なくとも(B-1)成分の一部又は全部と、(B-2)成分の全部と、(B-3)成分の一部又は全部とを含み、これらが均一に混合された末端封鎖剤(B)が得られる。
工程[ii]において、各成分の混合は、実質的に無水の条件下にて、常圧あるいは減圧下で、任意の温度条件下(通常0~100℃、好ましくは10~70℃)で行えばよく、時間は通常1分~5時間、好ましくは5分~2時間程度である。
工程[ii]により、(C)成分を除く、少なくとも(A)成分、(B)成分を含み、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子鎖末端のシラノール基が(B)成分中に含まれる(B-1)成分の加水分解性オルガノシラン化合物由来の加水分解性オルガノシリル基(-SiR1 4-a(ОR2a-1)で封鎖されたオルガノポリシロキサンを含む反応混合物(I)が得られる。
該末端封鎖工程(工程[ii])の後、(B-1)成分に残部がある場合にはその残部と、(B-3)成分に残部がある場合にはその残部と、(C)成分を配合する場合にはその全部とを配合する(工程[iii])。
ここで、(D)成分、(E)成分、(F)成分及びその他の成分は、工程[iii]で混合してもよいし、該末端封鎖工程(工程[ii])の際に同時に混合してもよいし、更には末端封鎖剤調製(工程[i])時に混合しても構わない。但し、(C)成分は該末端封鎖工程(工程[ii])時に混合するとゲルが発生したり、増粘する場合があるため、末端封鎖工程の後である工程[iii]において添加する。また、(E)成分がアミノシラン類であるとき、末端封鎖する工程時に混合した場合に混合物の性状がサグ状となり、特に接着剤、建築用シーラントとして使用する場合には、不利となる場合があるため、末端封鎖工程後である工程[iii]において添加することが好ましい。
工程[iii]において、各成分の混合は、実質的に無水の条件下にて、常圧あるいは減圧下で、任意の温度条件下(通常0~100℃、好ましくは10~70℃)で行えばよく、時間は通常1分~5時間、好ましくは5分~2時間程度である。
末端封鎖工程(工程[ii])において、(A)成分の末端封鎖が不十分な場合には、末端封鎖工程後である工程[iii]時に(C)成分や(E)成分を添加した際にゲルが発生したり、増粘する場合があるが、上述した条件にて製造された室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、末端封鎖工程が良好に進行することで、安価な末端官能基がシラノール基であるオルガノポリシロキサンを出発原料とし、温和な条件かつ、非常に短時間に該室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が製造可能であることから生産性が向上し、また貯蔵安定性も良好であることから、経済的に有利である。
本発明の製造方法により得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、室温(23℃±15℃)で放置することにより硬化するが、その成形方法、硬化条件などは、組成物の種類に応じた公知の方法、条件を採用することができる。特に1成分型の組成物は、水分の非存在下、即ち湿気を遮断した密閉容器中で保存し、使用時に空気中の水分に曝すことによって室温(23℃±15℃)で容易に硬化する。
また、得られた硬化物は、良好な柔軟性を示し、ゴム弾性を有することから、コーティング剤、接着剤、シーリング材(例えば、建築用シーラント等)として有用である。本発明の製造方法により得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物をコーティング剤、接着剤、シーリング材として使用する方法は、従来公知の使用方法に従えばよく、特に制限されるものでない。
本発明の製造方法により得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物からなる被覆層を有する物品としては、例えば、ガラス類、各種樹脂類、各種金属類等で構成された物品などが例示できるが、基材の材質及び形状については特に限定されない。
本発明の製造方法により得られた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物で接着及び/又はシールされた物品としては、例えば、ガラス類、各種金属類等で構成された物品などが例示できるが、基材の材質及び形状については特に限定されない。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の具体例において、「部」は「質量部」を意味し、また粘度は23℃での回転粘度計による測定値を示したものである。また、組成物の調製は室内温度23℃にて行った。
[実施例1]
ビニルトリメトキシシラン100部、ジエチルヒドロキシルアミン4部、及び2-エチルヘキサン酸錫(II)0.4部を予め均一に混合し、末端封鎖剤1を調製した(工程[i])。
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン100部に、上記にて調製した末端封鎖剤1 10.44部を添加して湿気遮断下で30分混合することで、直鎖状ジメチルポリシロキサンの分子鎖両末端シラノール基をビニルジメトキシシリル基で封鎖する末端封鎖工程を行った(工程[ii])。
次いで、該混合物に、粘度100mPa・sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン40部、及び煙霧質シリカ15部を添加し、減圧下30分混合した。その後、該混合物に、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン0.8部、及びジオクチル錫(IV)ジネオデカノエート(ネオスタンU-830、日東化成社製)0.3部を加え、減圧下15分均一になるまで混合して組成物1を調製した(工程[iii])。
[実施例2]
粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン100部、粘度100mPa・sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン40部、煙霧質シリカ15部、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノブチルエーテル0.5部(ユニルーブC、日油社製)を減圧下30分混合した。次いで、実施例1と同様にして調製した末端封鎖剤1 10.44部を添加し、減圧下30分混合することで直鎖状ジメチルポリシロキサンの分子鎖両末端シラノール基をビニルジメトキシシリル基で封鎖する末端封鎖工程を行った(工程[ii])。
減圧混合後、該混合物に、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン0.8部、及びジオクチル錫(IV)ジネオデカノエート(ネオスタンU-830、日東化成社製)0.3部を加え、減圧下15分均一になるまで混合して組成物2を調製した(工程[iii])。
[実施例3]
工程[i]において2-エチルヘキサン酸錫(II)0.4部の代わりに、ジオクチル錫(IV)ジネオデカノエート2部を用いて末端封鎖剤2を調製し、該末端封鎖剤2 10.6部を添加して末端封鎖工程(工程[ii])を行い、工程[iii]においてジオクチル錫(IV)ジネオデカノエート0.3部を加えなかった以外は実施例2と同様にして組成物3を調製した。
[実施例4]
工程[i]において2-エチルヘキサン酸錫(II)0.4部の代わりに、2-エチルヘキサン酸錫(II)0.2部及びジオクチル錫(IV)ジネオデカノエート1部を用いて末端封鎖剤3を調製し、該末端封鎖剤3 10.12部を添加して末端封鎖工程(工程[ii])を行った以外は実施例2と同様にして組成物4を調製した。
[実施例5]
メチルトリメトキシシラン100部、ジエチルヒドロキシルアミン4部、及び2-エチルヘキサン酸錫(II)0.4部を予め均一に混合し、末端封鎖剤4を調製した(工程[i])。
実施例2において、粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン100部の代わりに、粘度20,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン85部と、粘度20,000mPa・sの分子鎖片末端がシラノール基でもう一方(他方)の分子鎖片末端がトリメチルシリル基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン50部を用い、粘度100mPa・sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン40部の代わりに、粘度20,000mPa・sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン5部を用い、末端封鎖剤1 10.44部の代わりに末端封鎖剤4 10.44部を用いて、直鎖状ジメチルポリシロキサンの分子鎖両末端シラノール基と分子鎖片末端シラノール基をそれぞれビニルジメトキシシリル基で封鎖する末端封鎖工程(工程[ii])を行った以外は実施例2と同様にして組成物5を調製した。
[実施例6]
粘度20,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン100部と、粘度100mPa・sの分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された直鎖状ジメチルポリシロキサン40部と、実施例1と同様にして調製した末端封鎖剤1 5.22部を湿気遮断下で30分均一になるまで混合することで直鎖状ジメチルポリシロキサンの分子鎖両末端シラノール基をビニルジメトキシシリル基で封鎖する末端封鎖工程を行った(工程[ii])。
次いで、該混合物に、コロイダル炭酸カルシウム100部、及び重質炭酸カルシウム100部を減圧下30分混合した。減圧混合後、該混合物に、メチルトリメトキシシラン5部、アミノプロピルトリエトキシシラン0.5部、トリアセチン1部、及びチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)(オルガチックスTC-750、マツモトファインケミカル社製)5部を加え、減圧下15分均一になるまで混合して組成物6を調製した(工程[iii])。
[比較例1]
実施例1において、末端封鎖剤1 10.44部の代わりに、ビニルトリメトキシシラン10部を使用した以外は実施例1と同様にして組成物7を調製しようとしたが、工程[iii]においてアミノシラン(N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)及び錫触媒(ジオクチル錫(IV)ジネオデカノエート)を添加後に系内がゲル化し、組成物7を調製できなかった。
[比較例2]
実施例2において、末端封鎖剤1 10.44部の代わりに、ビニルトリメトキシシラン10部、及び下記構造式(5)で表される塩基性シラン化合物1部を使用した以外は実施例2と同様にして組成物8を調製しようとしたが、工程[iii]においてアミノシラン(N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)及び錫触媒(ジオクチル錫(IV)ジネオデカノエート)を添加後に系内がゲル化し、組成物8を調製できなかった。
Figure 2023118149000008
[比較例3]
実施例6において、末端封鎖剤1 5.22部を添加しなかった以外は実施例6と同様にして組成物9を調製した。
〔評価試験〕
実施例1~6及び比較例3で調製された調製直後の各組成物のタックフリータイムを測定した。
また、実施例1~6及び比較例3で調製された調製直後の各組成物を厚さ2mmのシート状に成型し、23℃,50%RHの空気に曝し、次いで、該シートを同じ雰囲気下に7日間放置して得た硬化物の物性(初期物性:硬さ、破断時伸び、引張り強さ)を、JIS K-6249に準拠して測定した。なお、硬さは、JIS K-6249のデュロメーターA硬度計を用いて測定した。
[貯蔵安定性]
ポリエチレン製のシーリング材用カートリッジ(容量330mL)に実施例1~6及び比較例3で調製された各組成物を入れ、内栓をして密封した。このカートリッジを70℃の乾燥機にて7日間保管した後に取り出し、上記と同様にしてタックフリータイムを測定し、調製直後の各組成物のタックフリータイムと比較して2倍以内の時間であれば○(合格)、2倍より長い時間を要した場合には×(不合格)とした。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2023118149000009
表1の結果より、実施例1~6は対応する比較例1~3と比べて、硬化組成物の調製が容易で、貯蔵安定性も良好なことが明らかになった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (10)

  1. (A)分子鎖両末端及び/又は片末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサン:100質量部、
    (B-1)下記一般式(1)
    1 4-aSi(ОR2a (1)
    (式中、R1は炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、R2はそれぞれ独立に炭素原子数1~12の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは3又は4である。)
    で表される加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解物:0.01~30質量部、
    (B-2)ヒドロキシルアミン化合物:0.01~10質量部、
    (B-3)有機2価錫化合物及び/又は有機4価錫化合物:0.001~20質量部、及び
    (C)硬化触媒(但し、(B-2)成分及び(B-3)成分を除く):0~20質量部
    を含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法であって、
    [i]:(B-1)成分の一部又は全部、(B-2)成分の全部及び(B-3)成分の一部又は全部を均一に混合して末端封鎖剤(B)を調製する工程(但し、工程[i]中に(A)、(C)成分は含まない)、
    [ii]:(A)成分と工程[i]で得られた(B)成分とを均一に混合して、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子鎖末端のシラノール基を(B)成分中に含まれる(B-1)成分の加水分解性オルガノシラン化合物由来の加水分解性オルガノシリル基(-SiR1 4-a(ОR2a-1)で封鎖したオルガノポリシロキサンを含む混合物を調製する工程(但し、工程[ii]中に(C)成分は含まない)、及び
    [iii]:該混合物に、(B-1)成分に残部がある場合にはその残部と、(B-3)成分に残部がある場合にはその残部と、(C)成分を配合する場合にはその全部とを配合する工程
    を含む室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
  2. 工程[i]において(B-1)成分全体の10~100質量%を配合し、工程[iii]において(B-1)成分全体の0~90質量%(工程[i]、[iii]の合計で100質量%)を配合するものである請求項1に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
  3. 工程[i]において(B-3)成分全体の10~100質量%を配合し、工程[iii]において(B-3)成分全体の0~90質量%(工程[i]、[iii]の合計で100質量%)を配合するものである請求項1又は2に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
  4. 工程[i]において(B-3)成分全体の10~90質量%を配合し、工程[iii]において(B-3)成分全体の10~90質量%(工程[i]、[iii]の合計で100質量%)を配合するものである請求項1~3のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
  5. 工程[i]において(B-3)成分全体の100質量%を配合するものである請求項1~3のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
  6. 更に、(A)成分100質量部に対して、
    (D)充填剤:1~1,000質量部、
    (E)接着促進剤(但し、(B-1)成分を除く):0.1~30質量部、及び
    (F)可塑剤:1~1,000質量部、
    から選ばれる1種又は2種以上を工程[i]~工程[iii]のいずれかの工程において配合するものである請求項1~5のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
  7. (B-2)成分のヒドロキシルアミン化合物が、ジエチルヒドロキシルアミンである請求項1~6のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
  8. (B-3)成分の有機2価錫化合物が、2-エチルヘキサン酸錫(II)である請求項1~7のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
  9. (B-3)成分の有機4価錫化合物が、ジオクチル錫(IV)ジラウレート及び/又はジオクチル錫(IV)ジネオデカノエートである請求項1~8のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
  10. 上記(A)成分が、下記一般式(2)で表される分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン及び/又は下記一般式(3)で表される分子鎖片末端がシラノール基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンである請求項1~9のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
    Figure 2023118149000010
    (式(2)中、R3は互いに独立に非置換又は置換の炭素原子数1~12の一価炭化水素基であり、Aは酸素原子又は炭素原子数1~8の二価炭化水素基であり、mはこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする整数である。)
    Figure 2023118149000011
    (式(3)中、R3、Aは式(2)と同様であり、nはこのジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度を100~1,000,000mPa・sとする整数である。)
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