図1ないし図3を参照して本実施形態の竪型ロータリ式射出成形機の金型交換システム11について説明する。竪型ロータリ式射出成形機の金型交換システム11は、2台の竪型ロータリ式射出成形機12,13の間に、前記2台の竪型ロータリ式射出成形機12,13の金型を交換可能な共用の金型交換装置14を備えている。図1では竪型ロータリ式射出成形機12の金型A2,B2は型閉した状態、竪型ロータリ式射出成形機13の金型A3,B3は型開した状態を示している。
竪型ロータリ式射出成形機の金型交換システム11の2台の竪型ロータリ式射出成形機12,13は、微差はあっても原則として同じ構造、同じ金型配置の竪型ロータリ式射出成形機12、13であるので、2台のうち一方の竪型ロータリ式射出成形機12について説明する。竪型ロータリ式射出成形機12は、複数の固定金型15が取り付けられる固定盤16に対して可動盤17が垂直方向に型開閉移動され、固定盤16または可動盤17の一方に金型を回転移動させるロータリテーブル18が備えられている。ロータリテーブル18は所定の厚みを備えた中心軸を中心に回転する回転盤である。本実施形態では可動盤17にロータリテーブル18の回転軸が回転自在に取り付けられ、ロータリテーブル18に複数の可動金型19が取り付けられている。
竪型ロータリ式射出成形機12の型締装置20は、下盤である固定盤16に対して各タイバ21が垂直方向に固定され、各タイバ21の上部は上盤である受圧盤22に固定されている。またタイバ21にガイドされて可動盤17が2基の型開閉機構23(図1では省略して1基のみ図示)により昇降可能に設けられている。また受圧盤22には型締シリンダ等の型締機構24が設けられており、型締シリンダのラム25が可動盤17の背面に固定されている。本実施形態の竪型ロータリ式射出成形機12は多色成形品用の射出成形機であり、可動盤17の下面にはロータリテーブル18が可動盤17に対して回転可能に設けられている。ロータリテーブル18は、可動盤17の側面に固定されたロータリテーブル回転用のサーボモータ26によりベルトを介して回転される。そしてロータリテーブル18の下面には2個の可動金型19が油圧シリンダまたはエアシリンダにより作動する金型クランプ装置27により取り付け可能となっている。
そしてサーボモータ26のエンコーダによりロータリテーブル18の回転角度が検出可能となっている。また回転停止した際のロータリテーブル18の状態を確認するための図示しない近接スイッチ等の装置が設けられている。ロータリテーブル18には位置決め穴28が設けられている。一方可動盤17には前記位置決め穴28に位置決めピン29を挿入するための油圧シリンダ30またはエアシリンダが設けられている。そしてサーボモータ26により回転されたロータリテーブル18が、可動金型19が固定金型15と正対して型閉可能な位置で停止した際に、前記位置決め穴28に位置決めピン29を挿入することによりロータリテーブル18は可動盤17に対して回転不可能な状態に固定される。
前記固定盤16の上面にも同様に2個の固定金型15が油圧シリンダまたはエアシリンダにより作動する金型クランプ装置31により取り付け可能となっている。なおロータリテーブル18への可動金型19の取り付けや、固定盤16への固定金型15の取り付けは、油圧シリンダにより作動するクランプ装置以外の電磁石等のクランプ装置やボルトにより固定する方法でもよい。
竪型ロータリ式射出成形機12の操作側には、操作盤32が設けられている。そして図2に示されるように操作盤32が設けられた操作側Eの方向から見て右手側となる型締装置20の一側(図2においては下側)には第1の射出装置33が設けられている。第1の射出装置33は、図示しない進退機構により固定金型15と可動金型19からなる金型A2に対して前後進移動可能であり、金型A2のうちの側面(本実施形態では固定金型15の側面)に当接可能となっている。また操作側Eの方向から見て左手側の型締装置20の他側(図1においては上側)には第2の射出装置34が設けられている。第2の射出装置34もまた、図示しない進退機構により固定金型15と可動金型19からなる金型B2に対して前後進移動可能であり、金型B2のうちの側面(本実施形態では固定金型15の側面)に当接可能となっている。
また操作側には成形品を搬出するための取出ロボット35が配置されている。そして竪型ロータリ式射出成形機12の型締装置20の操作側とは反対側の反操作側(図2においては右側)に金型の搬入・搬出口36が設けられ、前記搬入・搬出口36が金型交換装置14と正対するようになっている。更に竪型ロータリ式射出成形機12の周囲は図示しない安全カバーと開閉可能な安全扉によりガードされている。なお射出装置33,34の数や配置位置、操作盤32や取出ロボット35の配置位置などは図1,図2等に図示のものに限定されず、第1の射出装置33等や第2の射出装置34等のある側に設けてもよい。
他方の竪型ロータリ式射出成形機13は金型交換装置14を挟んで一方の竪型ロータリ式射出成形機12の反対側に配置されている。他方の竪型ロータリ式射出成形機13についても金型交換装置14と正対する位置に型の搬入・搬出口43が設けられている。そして操作盤38や取出ロボット39は、竪型ロータリ式射出成形機13の型締装置40を挟んで、搬入・搬出口43とは反対側に設けられる。また他方の竪型ロータリ式射出成形機13の第1の射出装置41は型締装置40の一側(図2においては上側)に設けられ、第2の射出装置42は型締装置40の他側(図2においては下側)に設けられる。他方の竪型ロータリ式射出成形機13は、一方の竪型ロータリ式射出成形機12と同じ金型が使用できるものであり、クランパ等もそれら金型に対応するように配置されている他方の竪型ロータリ式射出成形機13の詳細は、上記したように一方の竪型ロータリ式射出成形機12と共通するので詳細な説明は省略する。
次に金型交換装置14について図1、図3を中心に説明する。図1,図3や後述する別の実施例の図5は、側面方向から見た構造を判り易く示すために、横方向に対して縦方向の長さを引き延ばしたり、実際には同一水平面上にあるものを上下にずらして記載したりしている。実際には金型交換装置14において金型A1,B1の台盤取付面(裏面)は、竪型ロータリ式射出成形機12,13の固定盤16の金型取付面と同じか僅かに高い位置となるように載置されている。
金型交換装置14は、2台の竪型ロータリ式射出成形機12,13の間に設けられ、竪型ロータリ式射出成形機12,13の双方の金型交換に使用される共用の装置である。金型交換装置14は、ベース台部52、ベース台部52の上を図2のC-D方向に直交する方向に移動する金型交換台車53、金型交換台車53の上に配置される金型搬入・搬出機構54等から構成される。なお場合によっては金型交換台車53と竪型ロータリ式射出成形機12,13の間に別途金型A1,B1等を移動させるためのサポート用の台部を設けることもある。
金型交換装置14のベース台部52は、平面視して長方形の台であり、一方の竪型ロータリ式射出成形機12と他方の竪型ロータリ式射出成形機13の間に、両方の射出成形機を接続する線に対して直交する方向に長手方向が位置するように設けられている。ベース台部52は床に対して垂直方向や水平方向に組み合わされた鋼材55(または鋼板でもよい)、から構成され、横梁方向の鋼材55の上面に固定されたレール56等から構成される。ベース台部52の高さは、竪型ロータリ式射出成形機12,13の固定盤16等よりも低くなっている。そしてベース台部52のレール56の上には金型交換台車53がレール56に沿って移動可能に設けられている。金型交換台車53を移動させる駆動手段については図示しないが、サーボモータ等の電動モータを使用したものか、油圧シリンダを使用したもの等が用いられる。
ベース台部52の上に配置される金型交換台車53の基本的な構成は、後述する若干の相違点を除いて特許文献1と同じであるので概略を説明する。金型交換台車53は、縦梁部材や横梁部材から構成される本体部59を備え、前記本体部59の下面側には回転可能な車軸と車輪60が設けられ、車輪60がレール56上を回転移動する。金型交換台車53の本体部59の上面には、一側(図2では下側)と他側(図2では上側)に2基の金型搬入・搬出機構54、54が搭載されている。
金型搬入・搬出機構54,54は、いずれか一方が竪型ロータリ式射出成形機12,13から取り外された金型A2,B2を搭載するものであり、いずれか他方がこれから竪型ロータリ式射出成形機12,13に取り付ける金型A1,B1を搭載するものである。本実施形態では金型搬入・搬出機構54,54は、2個の金型A1,B1を同時に搬入または2個の金型A2,B2を同時に搬出するものであるが、搭載できる金型の数は1個または複数個でもよく限定されない。なお、複数の金型A1,B1または金型A2,B2は1枚の金型取付板に固定され、金型取付板ごと竪型ロータリ式射出成形機12,13に搬入・搬出を行うことも想定される。
一方の金型搬入・搬出機構54について説明すると、金型搬入・搬出機構54は、本体部59の上面に固定されるガイド部材58、本体部59に設けられるサーボモータ63や駆動力の伝達機構を含む駆動機構、第1の進退部材である中間部材57、第2の進退部材である金型載置部材62等を備えている。本体部59の金型搬入・搬出方向CまたはDにおける中央部分には、中間部材57、金型載置部材62を前記AまたはB方向に進退移動させるための駆動機構のサーボモータ63等の電動機が取付けられている。そしてサーボモータ63の駆動軸は金型搬入・搬出方向CまたはDと直交する方向に設けられ、該駆動軸はスプロケット64が固定されている。特許文献1の例ではモータやスプロケットは、本体部の前寄りに取り付けられているが本実施形態では本体部59の中央部分に取り付けられている点が相違する。
第1の進退部材である中間部材57の金型搬入・搬出方向CまたはDの両端にはチェーン66を固定する固定部材65,65が設けられている。そして有端のチェーン66の一端が前記固定部材65に固定され、前記チェーン66の中間は従動スプロケット72を介してスプロケット64に巻き付けられ、前記チェーン66の他端はもう一方の従動スプロケット72を介して固定部材65に固定されている。
また中間部材57の金型搬入・搬出方向CまたはDの両端の近傍には金型搬入・搬出方向CまたはDに直交する回転軸が設けられ、回転軸にスプロケット67,67(従動スプロケット)が固定されている。そしてスプロケット67,67の間には無端状のチェーン68が巻き付けられている。無端状のチェーン68を備えた中間部材57の上部には第2の進退部材である金型載置部材62が設けられている。そして前記チェーン68の上側部分の中間部分と金型載置部材62の下面は固定部材69により連結されている。特許文献1の例ではチェーンと金型載置部材は、前寄りの部分で連結されているが本実施形態では中間部分で連結されている点が相違する。また前記チェーン68の下側部分の中間部分と本体部59の上面の中央部分が固定部材70により連結されている。特許文献1の例ではチェーンと金型載置部材は、後ろ寄りの部分で連結されているが本実施形態では中間部分で連結されている点が相違する。
金型載置部材62の上面には金型載置部71、71が設けられている。本実施形態では金型交換台車53の移動方向と同じ方向(図2において上下方向)に金型載置部71,71が設けられている。前記金型載置部71,71には、竪型ロータリ式射出成形機12,13に取り付けられる金型A1,B1を読み取る図示しないセンサが取り付けられており、金型A1が載置されているか金型B1が載置されているかを認識可能となっている。金型載置部材62の裏面側における中間部材57に連結されている部分以外の部分は、中間部材57や本体部59に設けられた回転自在なローラやボールの上に載置されている。また金型載置部材62は、本体部59または中間部材57に設けられたガイド部材58によりガイドされて金型搬入・搬出方向CまたはDに移動可能となっている。
本実施形態では竪型ロータリ式射出成形機12への金型A1,B1の搬入または金型A2,B2の搬出と、竪型ロータリ式射出成形機13への金型A1,B1の搬入または金型A3,B3の搬出は、1台の金型交換台車53の金型搬入・搬出機構54により共用できるようになっている。即ちサーボモータ63の回転軸の回転方向を変更することにより、金型載置部材62の移動方向がA方向かB方向に変更される。しかしながら1台の金型交換台車53に、竪型ロータリ式射出成形機12に対して金型A1,B1等を搬入・搬出する金型搬入・搬出機構と、竪型ロータリ式射出成形機13に対して金型A1,B1等を搬入・搬出する金型搬入・搬出機構を別々に設けるようにしてもよい。
竪型ロータリ式射出成形機12,13の型締装置20,40(別途に油圧装置が置かれている場合はそれらも含む)、第1の射出装置33,41と第2の射出装置34,42、操作盤32,38、取出ロボット35,39等の周辺機器、金型交換台車53を含む金型交換装置14などは、図1に示される制御装置51に接続され、制御装置51からの信号により作動される。なお制御装置51には金型交換装置14の専用のプログラムが格納されている。
次に金型交換システム11を用いた金型交換方法について図3の説明図および図4のフローチャート図を用いて説明する。金型交換システム101の操作は、竪型ロータリ式射出成形機12の操作盤113または、竪型ロータリ式射出成形機12の操作盤113のいずれから行ってもよく、金型交換装置104用に設けられた図示しない操作盤から行ってもよい。また前記操作盤113等からの操作は、一方の竪型ロータリ式射出成形機12の金型交換のみや、他方の竪型ロータリ式射出成形機13の金型交換のみを行ってもよく、両方の竪型ロータリ式射出成形機12、13の金型交換を連続して行ってもよい。その際、竪型ロータリ式射出成形機12の操作盤113から竪型ロータリ式射出成形機13の金型交換を行うこともできるし、竪型ロータリ式射出成形機13の操作盤113から竪型ロータリ式射出成形機12の金型交換を行うこともできる。また金型交換は、作業者が操作盤113等からそれぞれの作業を指示入力することによる手動操作を交換作業行うこともできるし、作業者が操作盤113等の少なくとも1箇所の入力部をタッチすることにより自動で交換作業を行うこともできる。
本実施形態では金型交換システム11の金型交換台車53上への交換する金型A1,B1の搬入は、図示しないクレーンにより行われる。ただし多軸ロボット等により金型交換台車53上への交換する金型が搬入されるものでもよく、別途の位置に設けられた金型載置台から金型交換台車53に移されて金型交換台車53が移動してくるものでもよい。本実施形態では、金型交換台車53の金型載置部材62,62の上面の金型載置部71,71に次の射出成形に使用される2個の金型A1,B1が載置される。金型A1の可動金型19は、金型B1の固定金型15とも型合わせ可能であり、同様に金型B1の可動金型19は、金型A1の固定金型15とも型合わせ可能である。しかし金型A1,B1は、固定金型15,15または可動金型19,19のキャビティ面の形状が異なっており、金型A1と金型B1では両者の間に形成されるキャビティの形状も相違している。
金型交換台車53に載置される次に交換用の金型A1,B1は、固定金型15と可動金型19がフック73によりロックされて型開きされないようになっている。そして金型交換台車53の金型載置部71,71に載置された金型A1,B1は、金型載置部71,71に取り付られたセンサにより、金型A1が載置されているか金型B1が載置されているか認識されている。またこのとき金型交換台車53の残りの2つの金型載置部材62,62の金型載置部71,71には金型は載置されていない。そして金型交換台車53を移動させ一方の竪型ロータリ式射出成形機12の金型の搬入・搬出口36と金型交換台車53の前記金型が載置されていない金型載置部材62,62の側(金型積み降ろし側)が一致する位置に金型交換台車53を停止させる(s1)。
次に一方の竪型ロータリ式射出成形機12の金型A2、B2の固定金型15と可動金型19の間をフック73により型開不可能にロックし、固定盤16に設けられた固定金型15を金型クランプ装置31を作動させて取り外す。そして型開閉機構23を作動させて可動盤17を僅かに上昇させることにより金型A2,B2も同様に僅かに上昇させ、固定盤16の上面と金型A2,B2の下面との間にスペースを作る。次に金型交換装置14のサーボモータ63を駆動させて金型載置部材62を前記スペースに挿入する。次に型開閉機構23の作動により可動盤17を僅かに下降させて金型A2,B2を前記金型載置部材62の金型載置部71,71の上に載置する。更に金型交換装置14のサーボモータ63を逆方向に駆動し、金型載置部材62を後退させて一方の竪型ロータリ式射出成形機12か金型交換台車53の上に使用済の金型A2,B2を取り出す(s2)。なお金型載置部材62を一方の竪型ロータリ式射出成形機12内に挿入および離脱させる際の動作については、次の金型A1,A2を金型交換台車53から竪型ロータリ式射出成形機12に搬入する部分の説明で詳しく説明するので、ここではこれ以上の説明を省略する。
次に再び金型交換台車53を移動させ、竪型ロータリ式射出成形機12の金型の搬入・搬出口36と金型交換台車53の次に前記金型が載置されていない金型載置部材62の側(金型積み降ろし側)が一致する位置に金型交換台車53を停止させる(s3)。そして金型交換台車53のサーボモータ63を作動させスプロケット64を図3において時計回りに回転させるとチェーン66が駆動される。そしてチェーン66が図3において右側から左側に移動されるのに伴って中間部材57も金型搬入方向Cに向けて移動される。
また中間部材57の移動に伴い、本体部59と無端状のチェーン68は下側のチェーン66の固定部材70によって連結されているから、スプロケット67,67の間でチェーン68の下側部分は図3の左側から右側へ、チェーン68の上側部分は図3の右側から左側に向けて移動される。チェーン68の上側部分は金型載置部材62,62の裏面に固定部材69により連結固定されているから、金型A1,B2を載置した金型載置部材62,62もまた金型搬入方向Cへ向けて移動される。そして中間部材57と金型載置部材62,62の2段階の移動により金型載置部材62,62の上の金型載置部71,71に載置された金型A2,B2が竪型ロータリ式射出成形機12の金型取付位置に搬入される(s4)。そして型開閉機構23の作動により可動盤17およびロータリテーブル18が下降されてロータリテーブル18の金型取付面と金型A2,B2の可動金型19,19の型取付面が当接される。そして次にロータリテーブル18の金型クランプ装置27により金型A1,B1の可動金型19,19がそれぞれロータリテーブル18に固定される(s5)。
ロータリテーブル18の回転を伴わないで金型A2,B2を竪型ロータリ式射出成形機12に取り付ける場合(s6=Nの場合)は、再び型開閉機構23を作動させて可動盤17およびロータリテーブル18を僅かに上昇させることにより金型A1,B1もまた金型載置部材62,62から離れて上昇される。金型交換装置14の側では、サーボモータ63の駆動軸を先ほどとは逆回転させて、金型A1,B1が載置されていない空の金型載置部材62,62を竪型ロータリ式射出成形機12の金型交換位置から退避させ金型交換台車53の上に戻るように移動させる。金型載置部材62,62が竪型ロータリ式射出成形機12の内部から退避されると、可動盤17およびロータリテーブル18を再び下降させ、金型A1,B1のうちの固定金型15、15をそれぞれ固定盤16の金型クランプ装置31を作動させて固定盤16に固定する(s8)。その後に金型A1、B1のフック73を外して金型1,B1の型開閉ができるようにする(s9)。
更に竪型ロータリ式射出成形機12,13の金型A1,B1からA2,B2等への交換は、前記以外に、ロータリテーブル18の回転を伴うものでもよい。例えば一方の竪型ロータリ式射出成形機12から金型交換台車53の上に積み降ろした金型A2,B2をその配置状態のまま他方の竪型ロータリ式射出成形機13に搬入して取り付けしようとすると、金型A2が他方の竪型ロータリ式射出成形機13の金型B3を取り付けられていた位置に搬入されてしまい、金型B2が金型A3が取り付けられていた位置に搬入されてしまうことになる。そのため金型載置部材62,62には、金型A2が載置されているか金型B2が載置されているか上記のセンサにより検出して制御装置51で認識可能となっている。
そして金型載置部材62,62の金型載置部71,71における金型A2,B2の載置状態に応じて、他方の竪型ロータリ式射出成形機13に金型A2,B2を搬入後、まず同一形状の可動金型19,19のみロータリテーブル18に金型クランプ装置27により固定する(s5)そして次にロータリテーブル18を回転させてから金型A2,B2を固定盤16に取り付ける必要があると判断された場合(s6=Yの場合)は、サーボモータ26を駆動させてロータリテーブル18を180°回転させる(s7)。それから可動盤17を再度下降させ、金型A2のセットと金型B2のセットを固定盤16の上に降ろす。そして金型A2の固定金型15を固定盤16上の金型Aの載置位置に金型クランプ装置31により固定するとともに、金型B2のセットの固定金型15を固定盤16上の金型Aの載置位置に金型クランプ装置31により固定する(s8)。そして上下の金型A2,B2のフック73を外して金型が開閉できるようにする(s9)。上記のように「金型の交換は、ロータリテーブルの回転を伴う」とは、交換開始から交換終了までの間にロータリテーブル18が回転されるものを指し、いずれか一方の金型はロータリテーブル18の回転を伴わないで竪型ロータリ式射出成形機12,13に取り付けられるものでもよい。
または金型交換台車53の上に金型搬入・搬出方向CまたはDに直交する方向に沿って順に並べられた2個の金型A1,B1を竪型ロータリ式射出成形機に搬入後、90°回転して、第1の射出装置33と第2の射出装置34を結ぶ線の方向に金型の配列方向を変えた状態で固定金型15を固定盤16に固定したい場合も金型A1,B1の配列方向の変更を伴うので金型交換時にロータリテーブル18の回転を行う必要がある。更には金型交換台車53の上にロータリテーブルを設け、2個の金型A2,B2等を90°や180°回転させるものでもよい。
なお竪型ロータリ式射出成形機13に金型A1,B1を搬入・搬出する場合も、図3に示されるようにサーボモータ63の回転方向やチェーン66,68等の移動方向は異なるが、同じ原理で金型載置部材62等の移動が行われ金型交換が行われる。またいずれの竪型ロータリ式射出成形機12、13に金型A2,B2を搬入する場合も、竪型ロータリ式射出成形機12、13の外部で予め温調により金型A2,B2が昇温されている場合は、早く成形作業に移行できる。
次に図5に示される別の実施形態の竪型ロータリ式射出成形機の金型交換システム81について説明する。別の実施形態の竪型ロータリ式射出成形機の金型交換システム81の金型交換装置82は、金型載置部材90を金型搬入・搬出方向CまたはDに移動させる駆動源として油圧シリンダやエアシリンダ等のシリンダを使用する。金型交換台車83は、金型A1,B1を竪型ロータリ式射出成形機12に搬入・搬出するための第1の駆動機構84と、金型A1,B1(図5ではB1のみ記載)を竪型ロータリ式射出成形機13に搬入・搬出するための第2の駆動機構85がそれぞれ別に設けられている。
第1の駆動機構84について先に説明すると、金型交換台車83の本体部86の金型搬入・搬出方向Cの他端(図5では右側)には、第1の油圧シリンダ87のシリンダ部の後端部が取り付けられている。第1の油圧シリンダ87のロッドの先端には着脱部87aが取り付けられ、前記着脱部87aは中間部材88の下面に着脱自在に取り付けられている。また中間部材88の金型搬入・搬出方向Cの他端には、第2の油圧シリンダ89のシリンダ部の後端部が取り付けられている。そして第2の油圧シリンダ89のロッドの先端には着脱部89aが取り付けられ、前記着脱部89aは金型載置部材90の下面に着脱自在に取り付けられている。
また第2の駆動機構85は、本体部86の金型搬入・搬出方向Dの他端には、第3の油圧シリンダ91(図5の下の図では重なっているため図示せず)のシリンダ部の後端部が取り付けられている。第3の油圧シリンダ91のロッドの先端には着脱部91aが取り付けられ、前記着脱部91aは中間部材88の下面に着脱自在に取り付けられている。また中間部材88の金型搬入・搬出方向Dの他端には、第4の油圧シリンダ92のシリンダ部の後端部が取り付けられている。そして第4の油圧シリンダ92のロッドの先端には着脱部92aが取り付けられ、前記着脱部92aは金型載置部材90の下面に着脱自在に取り付けられている。
そして第1の駆動機構84を用いて金型A1,B1を竪型ロータリ式射出成形機12に搬入・搬出する際は、第1の油圧シリンダ87のロッドと中間部材88が着脱部87aにより係合され、第2の油圧シリンダ89のロッドと金型載置部材90が着脱部89aにより係合される。また第3の油圧シリンダ91のロッドと中間部材88は着脱部91aにより係合されず、第4の油圧シリンダ92のロッドと金型載置部材90もまた着脱部92aにより係合されずに開放されている。また第2の駆動機構85を用いて金型A1,B1を竪型ロータリ式射出成形機13に搬入・搬出する際は、第3の油圧シリンダ91のロッドと中間部材88は着脱部91aにより係合され、第4の油圧シリンダ92のロッドと金型載置部材90は着脱部92aにより係合される。そして第1の油圧シリンダ87のロッドと中間部材88は着脱部87aにより係合されず、第2の油圧シリンダ89のロッドと金型載置部材90も着脱部89aにより係合されずに開放されている。
このことにより金型交換装置82は、竪型ロータリ式射出成形機12に金型A1,B1を搬入する場合は、第1の油圧シリンダ87と第2の油圧シリンダ89の作動により二段階に移動されて金型載置部材90上に載置された金型A1,B1が竪型ロータリ式射出成形機12に向けて図5における矢印Cの方向に移動される。また竪型ロータリ式射出成形機13に金型A1,B1を搬入する場合は、第3の油圧シリンダ91と第4の油圧シリンダ92の作動により二段階に移動されて金型載置部材90上に載置された金型A1,B1が竪型ロータリ式射出成形機13に向けて矢印Dの方向に移動される。なお油圧シリンダを使用する場合、竪型ロータリ式射出成形機12と竪型ロータリ式射出成形機13を共通する油圧シリンダを用いて金型A1,B1を搬入・搬出するものでもよい。
更にまた金型交換装置の金型交換台車の移動機構は、上記したものに限定されず、ラックピニオン機構、ベルト駆動機構を、ボールねじ機構などを用いたものでもよい。また上記の実施形態等では2段階の移動機構により金型載置部材を移動させる例について記載したが1段階の移動機構により金型載置部材を移動させるものでもよい。更には金型交換台車の上に、一方の竪型ロータリ式射出成形機12に金型A1,B1を搬入・搬出するための金型載置部材と搬入・搬出機構のセットと、他方の竪型ロータリ式射出成形機13に金型A1,B1を搬入・搬出するための金型載置部材と搬入・搬出機構のセットを別々に設けたものでもよい。
次に図6に示される更に別の実施形態の竪型ロータリ式射出成形機の金型交換システム101について説明する。更に別の実施形態の竪型ロータリ式射出成形機の金型交換システム101についても2台の竪型ロータリ式射出成形機102.103の間に、前記2台の竪型ロータリ式射出成形機102,103の金型F1,G1等を交換可能な金型交換装置104が配置されるが、竪型ロータリ式射出成形機102,103の構造が図1等に記載された実施形態とは相違するので以下に説明する。一方の竪型ロータリ式射出成形機102の型締装置105は、固定盤106に対してロータリテーブル107が回転可能に配置されている。ロータリテーブル107には2個の下型108,108が配置されている。ここにおいて下型108,108は、回転移動はするが固定盤106に取り付けられたロータリテーブル107に取り付けられ、型開閉方向には移動しないから固定金型に相当する。なおロータリテーブル107に取り付けられる下型の数は1個、3個、4個でもよく更にそれ以上の個数であってもよい。
固定盤106には3本のタイバ109が縦方向に設けられ、そのうちの1本のタイバ109はロータリテーブル107の回転中心に設けられる。ロータリテーブル107に上方に設けられる可動盤110には、前記3本のタイバ109が挿通されている。そして可動盤110の下面には1個の可動金型である上型111が取り付けられている。なお上型111の数は複数であってもよい。可動盤110および上型111は、図示しない型開閉装置や型締装置によりロータリテーブル107上の下型108,108に対して昇降移動される。
竪型ロータリ式射出成形機102の射出装置112は、図6では略して円形に描かれているが、可動盤110の上側にノズルを下にした状態で縦方向に取り付けられている。なお射出装置は、型締装置105の側方にノズル等が水平方向に配置されるものでもよい。竪型ロータリ式射出成形機102は、固定盤106の操作側Hに操作盤113が設けられ、操作盤113から見て右手側(図6では左側)に成形品の取出機114が配置される。また竪型ロータリ式射出成形機102がインサート成図示しない形機の場合は、操作側H(図6では上側)にインサート部品を把持して下型108,108のキャビティ面に挿入するインサート機が配置される。更に操作盤113から見て左手側(図6では右側)は、金型の搬入・搬出口115となっている。なお操作盤113については別の位置に配置してもよく、固定式ではなく移動式(ハンディ式)の操作盤としてもよい。
また図6の実施形態では、他方の竪型ロータリ式射出成形機103は同一の機種であるので構造の説明を省略するが別の機種であってもよい。一方の竪型ロータリ式射出成形機102と他方の竪型ロータリ式射出成形機103は、射出成形機が配置される向きが異なっている。即ち他方の竪型ロータリ式射出成形機103は操作盤116のある操作側Iが一方の竪型ロータリ式射出成形機102とは反対方向(図6では下側)となっている。そして操作側Iの左手(図6では左側)に金型の搬入・搬出口117が設けられている。従って一方の竪型ロータリ式射出成形機102の金型の搬入・搬出口115と、他方の竪型ロータリ式射出成形機103の金型の搬入・搬出口117は金型交換装置104を挟んで向かい合う形に配置されている。
次に図6に示される更に別の実施形態の金型交換装置104について説明する。金型交換装置104は、両方の竪型ロータリ式射出成形機102を結ぶ線に直交する方向に沿って
床面にレール118が設けられている。そして前記レール118上には、金型交換台車119が移動可能かつ停止位置を制御可能に配置されている。レール118は金型保管棚120の近傍にまで設けられ、金型保管棚120から金型交換台車119に交換する金型F1,G1が載置可能となっている。また金型交換台車119の上面には、4個の金型載置部121が設けられている。一方および他方の竪型ロータリ式射出成形機の金型の搬入・搬出口115,117と金型交換装置104の金型交換台車119の停止位置の近傍部分には金型F1,G1の両側側面部分を把持して金型交換台車119から竪型ロータリ式射出成形機102の金型交換位置123へ金型F1,G1を移動させるか、または反対に竪型ロータリ式射出成形機102から金型交換台車119に金型F2,G2を移動させるための金型移載装置122が設けられている。
また金型移載装置122は、同様に金型交換台車119から竪型ロータリ式射出成形機103の金型交換位置124へ金型F1,G1を移動させるか、または反対に竪型ロータリ式射出成形機103に取り付けられている金型F3,G3を金型交換位置124から金型交換台車119に移動させる。なお金型交換装置104の金型移載装置122は、金型交換台車119に載置される形で設けてもよい。また金型交換装置104は、金型を把持するもの以外にフォーク状の移動装置や電磁石を用いて保持するものなどでもよく限定されない。
また金型交換システム101は、一方の竪型ロータリ式射出成形機102、他方の竪型ロータリ式射出成形機103、金型交換装置104、その他の装置を接続して図示しない制御装置が設けられている。なお金型交換システム101の制御装置は、例えば一方の竪型ロータリ式射出成形機102の制御装置にその機能を持たせるなどしてもよい。
次に図6に示される更に別の実施形態の竪型ロータリ式射出成形機の金型交換システム101を用いた金型交換方法について説明する。一方の竪型ロータリ式射出成形機102の金型F2,G2を交換する場合、金型交換台車119の金型載置部には、次に一方の竪型ロータリ式射出成形機12に取り付ける上型111と下型108のセットの金型F1が1個と、下型108のみの金型G1が1個載置されている。そして金型交換台車119の金型が載置されていない金型載置部121が、竪型ロータリ式射出成形機102の金型の搬入・搬出口115に対向する位置に停止される。前記工程の前後のどちらかに竪型ロータリ式射出成形機102では取り付られていた上型111と下型108のセットの金型F2が可動盤110およびロータリテーブル107の双方から取り外されてロータリテーブル107の上に載置された状態でロータリテーブル107が90°回転され、金型の搬入・搬出口115の近傍の金型交換位置123に運ばれる。そして金型移載装置122により金型F2は保持されて持ち上げられ、金型交換台車119の空の金型載置部121の上に移動され載置される。
次に竪型ロータリ式射出成形機102のロータリテーブル107が180°回転され、残りの下型108のみの金型G2が型の搬入・搬出口115の近傍の金型交換位置123に運ばれる。また前後して下型108のみの金型G2もロータリテーブル107から取り外される。次に金型交換台車119は所定距離移動され、もう一つの空の金型載置部121が、前記搬入・搬出口115に正対するように停止される。そして金型移載装置122により下型108のみの金型G2が保持されて持ち上げられ、金型交換台車119の空の金型載置部121の上に移動され載置される。
次に金型交換台車119再び所定距離移動され、次の成形に使用される下型108のみの金型G1が載置された金型載置部121が型の搬入・搬出口115と正対する位置に移動される。そして下型108のみの金型G1が金型移載装置122により保持されて、ロータリテーブル107上の先ほど下型のみの金型G2を降ろした後の金型交換位置123に搬入される。その後下型のみの金型G2は、ロータリテーブル107に取り付けられる。次に金型交換台車は所定距離移動され、次の成形に使用される上型111と下型108がセットされた金型F1が載置された金型載置部121が、前記搬入・搬出口115に正対するように停止される。また竪型ロータリ式射出成形機102のロータリテーブル107は180°回転され、ロータリテーブル107上にもう一方の下型108と上型111からなる金型F1を取り付ける部分が金型交換位置123に停止される。そして次に使用される上型111と下型108のセットからなる金型F1が金型移載装置122によりロータリテーブル107の金型交換位置123に移動され、前記金型F1のうちの下型108がロータリテーブル107に固定される。
再びロータリテーブル107が90°回転され、金型F1のうちの上型111が可動盤110の下方の型締位置に移動される。そして可動盤110を下降作動させ、可動盤110の下面が上型111の上面に当接すると上型111は可動盤110に固定される。従って竪型ロータリ式射出成形機102の金型F1,G1,F2,G2の交換は、少なくとも上型111を取り付ける際にはロータリテーブル107の回転を伴う工程が必要となる。なおロータリテーブル107への下型108の着脱をボルト等により行う場合は、ロータリテーブル107を回転させて操作側Hなどの作業しやすい位置で着脱作業を行ってもよい。またロータリテーブル107への下型108の着脱を油圧等のクランプ装置や電磁石等により行う場合はどの位置で着脱を行ってもよい。なお本実施形態では金型F2,G2を先に竪型ロータリ式射出成形機1-2から金型交換台車119へ積み降ろしし、次に金型交換台車119から金型F1.G1を竪型ロータリ式射出成形機に積み込む例を記載しているが、金型F2等を1個積み降ろしては金型F1等を1個積み込みというように金型F2の積み降ろしと、金型F1等の積み降ろしは1個ずつ順番に行ってもよい。更に金型交換台車119が毎回移動するものではなく、金型交換台車119上の金型載置部材(金型載置部)が金型交換台車119に対して移動するものでもよい。
なお図6のように固定盤にロータリテーブルが設けられる場合であっても、ロータリテーブルに取り付られる下型と上側の可動盤に取り付けられる上型との数が同じ場合は、上型と下型をロックした状態で先に固定盤と下型の固定を解除し、可動盤を僅かに上昇させ可動盤のみに上型と下型のセット金型を保持した状態で、フォーク等を用いて金型交換を行ってもよい。また竪型ロータリ式射出成形機12,13の金型交換に用いる部分は、専用の搬入・搬出口でなく、操作側の開口部や安全扉を開いたことによって形成される別の開口部から行うものでもよい。
本発明については、一々列挙はしないが、上記した本実施形態のものに限定されず、当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものや上記の各実施形態の一部部分を個別に組み合わせたものについても適用されることは言うまでもないことである。