JP2023036880A - 複合電解質 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023036880000001
【課題】
リチウムイオンの輸率が改善された複合電解質を提供すること。
【解決手段】
イオン液体と、リチウム塩とを含む複合電解質であって、以下の式で表される比が20%以上である、複合電解質。
式:Ilim/Iini
(式中、Ilimは、限界電流密度であり、前記限界電流密度は25℃において前記複合電解質に0.1Vの一定電圧を印加しながら電流密度の値を測定した場合に、1時間以上、電流密度が略一定となった際の当該電流密度であり、Iiniは前記複合電解質に0.1Vの一定電圧を印加し始めてから1秒後の電流密度である。)
【選択図】図1

Description

本発明は、イオン液体、及び複合電解質に関する。
近年、リチウムイオン電池等の電気化学デバイスの高性能化に伴い、電気化学デバイスに用いられる電解質に更に高いリチウムイオン伝導度、耐電圧特性等の特性が求められている。
電解質の成分としてイオン液体が注目されている(特許文献)。イオン液体には他の電解質と比較して以下の有用な特性がある。まず、イオン液体は、従来の電解液に用いられている有機溶媒と比較して、電位窓が広く、溶媒の電気分解による気体の発生の問題が少ない。また、固体電解質では、固体同士の接触面積が小さいため、エネルギー障壁が大きくなり、リチウムイオン伝導率が低下する傾向があるのに対して、イオン液体では界面のエネルギー障壁が小さく、良好なリチウムイオン伝導性が見られる。
また、固体電解質のエネルギー障壁の問題を解決する手段として電解質におけるゲルポリマーの使用(ゲルポリマー電解質)が検討されている。ゲルポリマー電解質は、固体電解質に比べてリチウムイオン伝導度が改善される傾向にある。しかしながら、使用しているポリマーが可燃性であり、安全性に懸念があった。一方、イオン液体は難燃性であり、このような安全性が高い。
中国特許出願公開第109776423号明細書 中国特許出願公開第110429338号明細書
しかしながら、本発明者らが鋭意検討したところ、従来のイオン液体及びリチウム塩を含む電解質(複合電解質)は、リチウムイオンの輸率について改善の余地があることが判明した。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、複合電解質として使用した場合にリチウムイオンの輸率を改善することができるイオン液体、及びジカチオン型イオン液体を提供することを目的とする。また、本発明は、リチウムイオンの輸率が改善された複合電解質を提供することを目的とする。
本発明のイオン液体は、それぞれ正の形式電荷を有するヘテロ原子を含む二つの部分と、二つの部分のそれぞれのヘテロ原子と結合して当該二つの部分を連結する連結基とを備えるカチオンを含有するジカチオン型イオン液体であって、連結基が式:-CROCRCROCR-で表される。
(式中、R~Rは、それぞれ、水素原子、フッ素原子、1~20個の炭素原子を有する一価の有機基であり、当該有機基は式-R-(X-R-Rで表され、Rは共有結合又は置換若しくは未置換の二価の炭化水素基であり、Xは-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)O-、又は-OC(=O)-であり、Rは共有結合又は置換若しくは未置換の二価の炭化水素基であり、Rは置換若しくは未置換の一価の炭化水素基であり、nは0以上である。ただし、R~Rのうち4個以上は水素原子である。)
上記連結基におけるR~Rのすべてが水素原子であると好ましい。
上記イオン液体は、5℃/分の昇温速度で測定した場合、280℃以上の10%重量減少温度を有すると好ましい。
上記イオン液体において、上記二つの部分が互いに異なる化学構造を有すると好ましい。
本発明のイオン液体は、当該イオン液体とリチウム塩とを含み、リチウム塩の濃度がリチウムイオン換算で0.5mol/kgである複合電解質を調製した場合に、25℃において当該複合電解質についての以下の式で表される比が10%以上のものであってもよい。当該イオン液体はジカチオン型イオン液体であると好ましい。
式:Ilim/Iini
(式中、Ilimは、上記複合電解質の限界電流密度であり、Iiniは、限界電流密度に最初に達した電圧値で複合電解質に一定電圧を印加した場合に、当該一定電圧の印加開始から1秒後の電流密度である。)
上記イオン液体の電位窓の上限は、Fc/Fc電極基準で2.0V以上であり、且つ25℃におけるイオン伝導度が0.1S/cm以上であると好ましい。
本発明の複合電解質は、リチウム塩と、上記ジカチオン型イオン液体とを含む。
上記複合電解質は粘度低下剤を更に含むと好ましい。
本発明の複合電解質は、イオン液体と、リチウム塩とを含み、以下の式で表される比が20%以上である。当該イオン液体は、ジカチオン型イオン液体であると好ましい。
式:Ilim/Iini
(式中、Ilimは、限界電流密度であり、前記限界電流密度は25℃において複合電解質に0.1Vの一定電圧を印加しながら電流密度の値を測定した場合に、1時間以上、電流密度が略一定となった際の当該電流密度であり、Iiniは複合電解質に0.1Vの一定電圧を印加し始めてから1秒後の電流密度である。)
上記複合電解質の限界電流密度の値が90μA/cm以上であると好ましい。
本発明によれば、複合電解質として使用した場合にリチウムイオンの輸率を改善することができるイオン液体、及びジカチオン型イオン液体を提供するができる。また、本発明によれば、リチウムイオンの輸率が改善された複合電解質を提供することができる。
図1は、実施例B6のリチウムの溶解析出サイクル試験の結果を示す図である。 図2は、比較例B1のリチウムの溶解析出サイクル試験の結果を示す図である。 図3は、実施例B7のリチウムの溶解析出サイクル試験の結果を示す図である。 図4は、実施例B8のリチウムの溶解析出サイクル試験の結果を示す図である。 図5は、実施例B9のリチウムの溶解析出サイクル試験の結果を示す図である。 図6は、実施例B10のリチウムの溶解析出サイクル試験の結果を示す図である。 図7は、比較例B2のリチウムの溶解析出サイクル試験の結果を示す図である。 図8は、実施例B11のリチウムの溶解析出サイクル試験の結果を示す図である。 図9は、実施例B12のリチウムの溶解析出サイクル試験の結果を示す図である。 図10は、実施例B13のリチウムの溶解析出サイクル試験の結果を示す図である。 図11は、実施例B14のリチウムの溶解析出サイクル試験の結果を示す図である。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る発明はジカチオン型イオン液体に関し、当該ジカチオン型イオン液体は、それぞれ正の形式電荷を有するヘテロ原子を含む二つの部分と、上記二つの部分のそれぞれの上記ヘテロ原子と結合して当該二つの部分を連結する連結基とを備えるカチオンを含有し、上記連結基が式:-CROCRCROCR-で表されるものである。イオン液体とは、例えば、25℃において液体である化合物である。
言い換えれば、本実施形態のジカチオン型イオン液体は、カチオン内に二つの部分を有し、当該二つの部分は、上記連結基により連結された部分である。二つの部分はいずれも正の形式電荷を有するヘテロ原子を含むため、それぞれが正電荷を有する部分(以下、カチオン部分とも呼ぶ。)である。連結基は、カチオン部分における正の電荷を有するヘテロ原子と直接結合する。二つの部分をそれぞれA及びB、上記連結基をY、上記カチオンは、A-Y-Bと表記することができ、AとBとは同一の化学構造を有していてもよいし、異なる化学構造を有していてもよい。すなわち、本実施形態のジカチオン型イオン液体は、対称型(二つのカチオン部が同じ化学構造を有する)のジカチオン型イオン液体であってもよく、非対称型(二つのカチオン部が異なる化学構造を有する)のジカチオン型イオン液体であってもよい。非対称型ジカチオン液体は、熱安定性が高く、10%重量減少温度に優れる傾向にある。
連結基において、R~Rは、それぞれ、水素原子、フッ素原子、1~20個の炭素原子を有する一価の有機基であり、当該有機基は式-R-(X-R-Rで表され、Rは共有結合又は置換若しくは未置換の二価の炭化水素基であり、Xは-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)O-、又は-OC(=O)-であり、Rは共有結合又は置換若しくは未置換の二価の炭化水素基であり、Rは置換若しくは未置換の一価の炭化水素基である。nは0以上であり、1~8であってよく、1~5であってよく、1~3であってよい。
上記有機基は炭化水素基又は置換炭化水素基であってよい(つまり、Rが共有結合であり、nは0である。)。炭化水素基としては特に限定されず、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれであってもよい。なお、本明細書において、芳香族炭化水素基との用語は、芳香族部分を含む炭化水素基の意味であり、脂肪族部分を有するものも含む。芳香族炭化水素基は芳香族部分を含む炭化水素基であって、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基としてはシクロヘキシル基、シクロヘキシルエチル基等の脂環式部分を含む炭化水素基、メチル基、エチル基、アリル基等の直鎖の脂肪族炭化水素基、イソプロピル基等の分岐鎖の脂肪族炭化水素基であってよい。置換炭化水素基は、上記炭化水素基がハロゲン原子、アルコキシ基、ポリアルキレンオキサイド基等の一価の基により置換されたものであってよい。置換炭化水素基としては、部分フッ素化又は全フッ素化炭化水素基、メトキシエチル基、エトキシエチル基等のアルコキシ基を有する基などが挙げられる。
上記有機基は、1~15個の炭素原子を有していてよく、1~10個の炭素原子を有していてよく、1~5個の炭素原子を有していてよく、1~3個の炭素原子を有していてよい。有機基は、アルキル基、又はアルキル基の鎖内に上記Xを一つ以上含み、Xが炭素原子-X-炭素原子結合を形成している基であることが好ましい。
連結基において、R~Rのうち4個以上は水素原子であり、6個以上が水素原子であると好ましく、全て水素原子である(つまり、連結基は、-CH-O-CH-CH-O-CH-基である。))と好ましい。
本実施形態のジカチオン型イオン液体とリチウム塩とを含む複合電解質は、当該複合電解質に電圧を印加することにより電流を流した場合、高いリチウムイオンの輸率を示す。本実施形態のジカチオン型イオン液体が、このように高いリチウムイオンの輸率を示す複合電解質を提供できる理由は必ずしも完全に解明されているわけではないが、本発明者らはその理由について以下のように考えている。従来のイミダゾリウム塩、ピロリジニウム塩等のカチオンの化学構造内に一つのカチオン部分しか有しないイオン液体(以下、モノカチオン型イオン液体とも言う。)にリチウム塩を溶解した複合電解質は広く使用されている。しかしながら、電池の電解質として使用した場合、イミダゾリウムイオン等のモノカチオン型イオン液体のカチオンの移動度が高いため、電流全体に対するモノカチオン型イオン液体の寄与が大きい。言い換えれば、モノカチオン型イオン液体及びリチウム塩を含む複合電解質におけるリチウムイオンの電流への寄与(つまり、輸率)が相対的に小さくなる。また、上記連結基における酸素原子とカチオン部分のヘテロ原子とが非常に短い炭素鎖(炭素一個)で連結されているため、カチオンの電気化学的安定性(耐高電圧特性)に優れる。
ジカチオン型イオン液体におけるカチオン部分は、有機カチオン部分であって、一つ以上の正の形式電荷を有するヘテロ原子を有する部分である。ここで、ヘテロ原子とは、炭素原子及び水素原子以外の原子を意味する。正の形式電荷を有するヘテロ原子としては、窒素族原子及びカルコゲンから選択される少なくとも一つであってよく、窒素原子、リン原子、又は硫黄原子が好ましい。
上記カチオン部分は、複素環を有していてよく、複素環における環員として上記正の形式電荷を有するヘテロ原子を有していてもよい。また、カチオン部分は、上記正の形式電荷を有するヘテロ原子を環構造内に環員として含まないものであってもよい。
カチオン部分が有する電荷としては、+1価以上であってよく、+1価~+3価であってよく、+1価であってよい。カチオンにおける二つのカチオン部分が有する電荷は、同じであっても、異なっていてもよく、両方のカチオン部分が+1価であると好ましい。なお、カチオン部分が複数のヘテロ原子を有しており、共鳴効果により電荷が複数のヘテロ原子に分散している場合は、カチオン部分の電荷は当該複数のヘテロ原子の有する電荷の合計であってよい。
カチオン部分としては、具体的には、第四級アンモニウム基、第四級ホスホニウム基、スルホニウム基、オキサゾリウム基、チアゾリウム基等のカチオン性の基が挙げられる。
第四級アンモニウム基及び第四級ホスホニウム基としては、以下の化学式で表されるカチオン性の基が挙げられる。
Figure 2023036880000002
11~R13、R15、R19、R21、R25、及びR31~33としては、1~20個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であってよく、一価の置換炭化水素基であってもよい。当該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれであってもよい。炭化水素基が有する炭素原子の個数は、1~10個が好ましく、1~5個がより好ましい。芳香族炭化水素基は芳香族部分を含む炭化水素基であって、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基としてはシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等の脂環式部分を含む炭化水素基、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-オクチル基、n-デシル基、アリル基、オレイル基等の直鎖の脂肪族炭化水素基、イソプロピル基等の分岐鎖の脂肪族炭化水素基であってよい。置換炭化水素基は、1~20個の炭素原子を有する炭化水素基が更にハロゲン原子、アルコキシ基、ポリアルキレンオキサイド基等の一価の基により置換されたものであってもよい。置換アルキル基としては、部分フッ素化又は全フッ素化アルキル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基等が挙げられる。
11~R13は、1~10個の炭素原子を有する炭化水素基であると好ましく、1~5個の炭素原子を有する炭化水素基であるとより好まく、1~3個の炭素原子を有する炭化水素基であると更に好ましい。当該炭化水素基はアルキル基であると好ましい。R11~R13は、同一であってもよいが、異なっていてもよい。例えば、R11とR12とが同一の1~5個の炭素原子を有するアルキル基であり、R13がR11とR12とは異なる1~5個の炭素原子を有するアルキル基であると好ましく、R11とR12とが同一の1~3個の炭素原子を有するアルキル基であり、R13がR11とR12とは異なる1~3個の炭素原子を有するアルキル基であるとより好ましく、R11とR12とがエチル基であり、R13がメチル基であると更に好ましい。
15は、1~10個の炭素原子を有する炭化水素基であると好ましく、1~5個の炭素原子を有する炭化水素基であるとより好まく、1~3個の炭素原子を有する炭化水素基であると更に好ましい。当該炭化水素基はアルキル基であると好ましく、メチル基又はエチル基であるとより好ましく、メチル基であると更に好ましい。
19は、1~10個の炭素原子を有する炭化水素基であると好ましく、1~5個の炭素原子を有する炭化水素基であるとより好まく、1~3個の炭素原子を有する炭化水素基であると更に好ましい。当該炭化水素基はアルキル基であると好ましく、メチル基又はエチル基であるとより好ましく、メチル基であると更に好ましい。
21は、1~10個の炭素原子を有する炭化水素基であると好ましく、1~5個の炭素原子を有する炭化水素基であるとより好まく、1~3個の炭素原子を有する炭化水素基であると更に好ましい。当該炭化水素基はアルキル基であると好ましく、メチル基又はエチル基であるとより好ましく、メチル基であると更に好ましい。
25は、1~10個の炭素原子を有する炭化水素基であると好ましく、1~5個の炭素原子を有する炭化水素基であるとより好まく、1~3個の炭素原子を有する炭化水素基であると更に好ましい。当該炭化水素基はアルキル基であると好ましく、メチル基又はエチル基であるとより好ましく、メチル基であると更に好ましい。
31~R33は、1~10個の炭素原子を有する炭化水素基であると好ましく、1~8個の炭素原子を有する炭化水素基であるとより好まく、1~5個の炭素原子を有する炭化水素基であると更に好ましく、1~3個の炭素原子を有する炭化水素基であると更に好ましい。当該炭化水素基はアルキル基であると好ましい。R31~R33は、同一であってもよいが、異なっていてもよい。例えば、R31~R33としては、1~5個の炭素原子を有するアルキル基であると好ましく、1~4個の炭素原子を有するアルキル基であると好ましく、メチル基、エチル基又はブチル基であると更に好ましく、ブチル基であると特に好ましい。
ポリアルキレンオキサイド基は、式:-(OR)OR’で表される基であり、当該式中、rは1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~2が更に好ましい。Rが複数ある場合、それらは互いに異なっていてもよい。Rは炭素数1~3のアルキレン基であり、エチレン基又は1,2-プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。R’は、炭素数1~3のアルキル基であり、メチル基又はエチル基が好ましい。
化学式(a)~(g)において、*は、それぞれ上記連結基と結合する位置を示す。化学式(b)~(f)で表される環構造に含まれる炭素原子に結合する水素原子は、置換基により置換されていてもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、1~10個の炭素原子を有する炭化水素基、複素環を有する基、アルコキシ基、ポリアルキレンオキサイド基等の一価の基が挙げられる。置換基としての炭化水素基は、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれであってもよい。芳香族炭化水素基は芳香族部分を含む炭化水素基であって、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基としてはシクロヘキシル基、シクロヘキシルエチル基等の脂環式部分を含む炭化水素基、メチル基、エチル基、アリル基等の直鎖の脂肪族炭化水素基、イソプロピル基等の分岐鎖の脂肪族炭化水素基であってよい。置換基としての炭化水素基は、更にハロゲン原子、1~10個の炭素原子を有する炭化水素基、アルコキシ基、ポリアルキレンオキサイド基等の一価の基により置換されていてもよい。
化学式(b)~(f)のカチオン性の基は、化学式(b)~(f)で表される各環構造に含まれる炭素原子に結合する水素原子の二つ以上が置換されて、当該環構造と縮合する別の環構造(縮合環)を有していてもよい。当該縮合環は、脂肪族及び芳香族のいずれであってもよく、炭素原子のみを環員に有する炭化水素環及びヘテロ原子を環員に有する複素環のいずれであってもよい。縮合環を有するカチオン性の基としては例えば、ベンズイミダゾリウム基、アクリジニウム基等が挙げられる。当該縮合環の水素原子も、ハロゲン原子、1~10個の炭素原子を有する炭化水素基、複素環を有する基、アルコキシ基、ポリアルキレンオキサイド基等の一価の基により置換されていてもよい。
ジカチオン型イオン液体が含有するカチオンとしては、以下の化学式(I)~(V)のものが好ましい。
Figure 2023036880000003

Figure 2023036880000004
ジカチオン型イオン液体が有するアニオンとしては、特に限定されず、ジカチオン型イオン液体のカチオンが有する電荷に応じて適宜選択してよい。アニオンとしては、例えば、Cl、Br、I、ClO 、PF 、BF 、CFSO 、(FSO、(CFSO、(C2m+1SO(mは2以上の整数)、HSO 等の一価アニオン;SO 2-等の二価以上のアニオンが挙げられ、電気化学的な安定性の観点からはPF 、BF 、CFSO 、(FSO、(CFSO又は(C2m+1SOが好ましく、(CFSOがより好ましい。上記ジカチオン型イオン液体は、1種のみのアニオンを含んでいてもよく、2種以上のアニオンを含んでいてもよい。
本実施形態のジカチオン型イオン液体の電位窓の上限は、Fc/Fc(フェロセン/フェロセニウム)電極基準で2.0V以上であると好ましく、2.05以上であるとより好ましい。電位窓は、例えば、サイクリックボルタンメトリーにより測定することができる。なお、電位窓は実質的に酸化還元反応が起こらない電位の範囲であり、例えば、サイクリックボルタンメトリー試験において50μA/cm以上の電流が流れない範囲とすることができる。すなわち、サイクリックボルタンメトリー試験において、酸化側に電位を掃引した際に初めて50μA/cm以上の電流が流れる電位を電位窓の上限、還元側に電位を掃引した際に初めて50μA/cm以上の電流が流れる電位を電位窓の下限とすることができる。電位窓の下限は、例えば、Fc/Fc電極基準で-2.40V以下であってよい。また、ジカチオン型イオン液体の電位窓の下限が、Fc/Fc電極基準で-2.40以下であり、且つ電位窓の上限がFc/Fc電極基準で2.0V以上である。
また、本実施形態のジカチオン型イオン液体の25℃におけるイオン伝導度が0.1S/cm以上であると好ましい。
本実施形態のジカチオン型イオン液体の10%重量減少温度は、5℃/分の昇温速度で測定した場合(測定条件1とする)、280℃以上であると好ましく、290℃以上であるとより好ましく、300℃以上であると更に好ましい。10%重量減少温度は、熱重量分析装置で測定することができる。測定条件1の場合、測定開始温度は40℃としてよく、最終温度は、特に制限はないが、500℃とすることもできる。測定条件1の場合、本実施形態のジカチオン型イオン液体の10%重量減少温度は、370℃以下であってよく、280~370℃であってよく、290~360℃であってよく、300~350℃であってよい。
また、本実施形態のジカチオン型イオン液体の10%重量減少温度は、150℃まで10℃/分の昇温速度の条件で加熱し、その後150℃から350℃まで1℃/分の昇温速度にて加熱することにより測定してよい。(測定条件2)。測定条件2の場合、10%重量減少温度は、190℃以上であると好ましく、200℃以上であるとより好ましく、300℃以上であると更に好ましい。測定開始温度は室温(25℃)としてよく、最終温度は、特に制限はないが、500℃とすることもできる。測定条件2の場合、本実施形態のジカチオン型イオン液体の10%重量減少温度は、310℃以下であってよく、190~310℃であってよく、200~300℃であってよく、210~290℃であってよい。測定条件2では、温度制御を安定化するため、150℃で10分以上又は10分保持してよい。このような温度制御のための保持時間は使用する装置に合わせて適宜とることができる。また、350℃~500℃までは昇温速度10℃/分としてもよい。
本実施形態のジカチオン型イオン液体を得る方法は、特に限定されず、二つのカチオン部分を上記連結基で連結した構造が得られるものであれば問題はない。例えば、下記のステップを含む方法等が挙げられる。
[ステップ1]保護ガス雰囲気下で、例えば、1,2-ビスクロロメトキシエタン又はその誘導体とアミンとをモル比1:2~1:2.5で混合した後、25℃~60℃に加熱し、撹拌して反応させることによりハロンゲン化アンモニウム塩を得る。1,2-ビスクロロメトキシエタン又はその誘導体は、得ようとするジカチオン型イオン液体の連結部の化学構造に対応するように選択され、当該連結部が有するR~Rと同じ基を有する(例えば、R~Rがすべて水素原子である場合は、1,2-ビスクロロメトキシエタンが上記連結基に対応する。)。また、アミンは、得ようとするジカチオン型イオン液体のカチオン部の化学構造に対応するように選択される。
[ステップ2]ステップ1で調製したハロゲン化アンモニウム塩と、一般式がMabである塩とをモル比1:2~1:2.5で混合した後、撹拌してイオン交換反応を行うことで、ジカチオン型イオン液体を得る。ここで、Mは、アニオンYのカウンターカチオンであり、a及びbは、カチオンMとアニオンYとの電荷が釣り合う場合の両イオンの個数の比である。カチオンMとしては、例えば、アルカリ金属イオンが挙げられる。
本実施形態の複合電解質は、上記ジカチオン型イオン液体とリチウム塩を含む。このような複合電解質は、リチウムイオン電池、キャパシタ等の電気化学デバイスの電解質(非水電解質)として使用できる。
リチウム塩としては、特に限定されないが、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSO、Li[(FSON]、Li[(CFSON]、Li[(C2m+1SON](mは2以上の整数)、LiHSO、LiSO等が挙げられる。リチウム塩に含まれるアニオンは、ジカチオン型イオン液体に含まれるアニオンと同じであってよく、異なっていてもよい。
上記複合電解質は、更に粘度低下剤を含んでいてよい。複合電解質の粘度を低下させることにより、更に電解質中のイオン伝導度を向上させることができる。粘度低下剤としては、例えば有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、特に制限はないが、非プロトン性溶媒であってよく、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート; 酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、及びトリメチル酢酸メチル等の脂肪族カルボン酸エステル;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン等の環状エーテル;1,2-ジエトキシエタン、及びエトキシメトキシエタン等の鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン等のラクトン;ε-カプロラクタム、及びN-メチルピロリドン等のラクタム;スルホラン等のスルホン、又はこれらの溶媒のハロゲン置換体等が挙げられる。溶媒は一種のみを使用してもよいが、2種以上の溶媒の混合溶媒を使用してもよい。これらの中でも、環状カーボネートが好ましく、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの混合溶媒が好ましい。
複合電解質における粘度低下剤の含有量は、特に制限されず、ジカチオン型イオン液体に対して10質量%以上が好ましく、15質量%がよりさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。また100質量%以下が好ましく、85質量%以下であるとより好ましく、70質量%以下が特に好ましい。
複合電解質におけるリチウム塩の濃度は特に限定されないが、リチウムイオン換算(つまりリチウムイオン濃度で)で0.1mol/kg以上であると好ましく(この場合上限はリチウム塩の飽和濃度であってよい)、0.1~2.0mol/lkgであるとより好ましい。なお、単位mol/kgは、質量モル濃度であり、溶媒の単位質量(kg)当たりのリチウム塩(リチウムイオン換算)のモル量である。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る発明は、イオン液体に関するものである。第2の実施形態に係るイオン液体は、当該イオン液体とリチウム塩とを含み、当該リチウム塩の濃度がリチウムイオン換算で0.5mol/kgである複合電解質を調製した場合に、25℃において複合電解質についての以下の式(I)で表される比が10%以上である。
式:Ilim/Iini
(式中、Ilimは、複合電解質の限界電流密度であり、Iiniは、複合電解質に印加する電圧を段階的に上昇させながら、限界電流密度を測定する方法において、最初に限界電流密度に達する段階における電圧の印加開始1秒後の電流密度である。)なお、イオン液体についてのIlim/Iini測定用の複合電解質は、複合電解質の総量に対してイオン液体及びリチウム塩を90質量%以上含むと好ましく、95質量%以上含むとより好ましく、98質量%以上含むと更に好ましく、99質量%以上含むと特に好ましく、実質的にイオン液体及びリチウム塩以外の成分を含まないことが好ましい。
複合電解質に電圧を印加した場合、電圧印加初期には、電解質に含まれる全てのイオンが動き電流に寄与している。電圧印加後30分の定常時では、リチウムイオンのみが電流に寄与する。そのため、Ilim/Iiniは、全電流密度に対するリチウムイオンの寄与率の指標となる。全電流密度に対するリチウムイオンの寄与率が高いほどリチウムイオンの輸率が高いとも言える。
イオン液体についてのIlim/Iiniは、12%以上であると好ましく、15%以上であるとより好ましく、20%以上であると更に好ましく、25%以上であると更になお好ましく、30%以上であると特に好ましい。
第2の実施形態に係るイオン液体は、ジカチオン型イオン液体であると好ましい。ジカチオン型イオン液体は、構造内に二つのカチオン部分を有するカチオンを含有するイオン液体である。ジカチオン型イオン液体は、モノカチオン型イオン液体よりもカチオンのサイズが大きく、また、アニオンとの相互作用も大きいため、電圧が印加された際の移動度が小さい傾向にある。このため、Ilim/Iiniをより向上させることができる傾向にある。第2の実施形態に係るイオン液体が有するアニオンは特に限定されず、第1の実施形態のジカチオン型イオン液体と同じものを例示することができる。
ジカチオン型イオン液体としては、二つのカチオン部分が連結基により連結されている構造を有するものが好ましい。連結基は、連結基における一方のカチオン部分と直接結合する原子と他方のカチオン部分と直接結合する原子とを結ぶ鎖に沿って数えた原子数が6個の基であると好ましい。当該6個の原子のうち、2個が酸素原子、又は硫黄原子であり、残りが炭素原子であると好ましい。
第2の実施形態に係るイオン液体としては、第1の実施形態に係るジカチオン型イオン液体が好ましい。
本実施形態の複合電解質は、上記イオン液体とリチウム塩とを含む。当該複合電解質について25℃においてIlim/Iiniを測定した場合、Ilim/Iiniが10%以上であってよく、12%以上であると好ましく、15%以上であるとより好ましく、20%以上であると更に好ましく、25%以上であると更になお好ましく、30%以上であると特に好ましい。なお、Iiniは、複合電解質に印加する電圧を段階的に上昇させながら、限界電流密度を測定する方法において、最初に限界電流密度に達する段階における電圧の印加開始1秒後の電流密度である。複合電解質におけるリチウム塩の濃度は特に限定されないが、リチウムイオン換算(つまりリチウムイオン濃度で)で0.1mol/kg以上であると好ましく(この場合上限はリチウム塩の飽和濃度であってよい)、0.1~2.0mol/lkgであるとより好ましい。
本実施形態の複合電解質は、更に粘度低下剤を含んでいてよい。
複合電解質におけるリチウム塩及び粘度低下剤の具体例としては、第1の実施形態のイオン液体を含有する複合電解質に含まれ得るリチウム塩及び粘度低下剤の具体例と同様であり、粘度低下剤の含有量の具体例も同様である。
複合電解質の限界電流密度及び初期電流密度は、例えば、以下の測定方法Iによって測定することができる。測定方法Iでは、まず、複合電解質に所定時間tの間、一定電圧を印加するステップを、印加する電圧を段階的に上昇させながら、繰り返し行う。各ステップにおいて電圧の印加開始時を原点とした場合の時刻tにおける電流密度Iを測定し、測定された電流密度が印可電圧によらず略一定となったとき、その電流密度を限界電流とする。
具体的には、例えば、まず最初のステップとして0.4Vの一定電圧を30分間(t=30分)印加し、30分後の電流密度I30(電圧の印加開始を0分とした場合の時刻30分における電流密度)を測定する。次に、所定の時間間隔(例えば、10~15分)の間、複合電解質を電圧を印加せずに静置した後、30分間、複合電解質に上記最初のステップの電圧値よりも0.2V高い一定電圧(つまり、0.6V)を印加し、最初のステップと同様に30分後の電流密度を測定する。以降、一定電圧を30分間印加するステップを、印加する電圧を直前のステップよりも0.2V毎上昇させながら繰り返し行い、各ステップでのI30を同様に測定する。そして、電圧を上昇させても電流密度が変化しないことを確認し、当該一定の電流密度を限界電流密度とする。
上記各ステップで測定されたI30のうちI30が最初に限界電流密度に達したステップの電圧値を複合電解質に印加した場合に、電圧の印加開始から1秒後に測定される電流密度Iiniとする。当該Iiniを初期電流密度とする。
なお、最初のステップの電圧値、ステップ毎の電圧値の上昇幅、ステップとステップとの間の時間間隔は、サンプルの性状等に合わせて適宜変更することができる。
複合電解質の限界電流密度は、以下の測定方法IIによっても測定することができる。測定方法IIでは、まず、複合電解質に一定の電圧(例えば、0.1V)を印加し続け、1時間以上にわたり電流密度が経時変化しなくなった場合のその電流密度値を限界電流とする。この場合、初期電流値は、複合電解質に上記一定電圧を印加し始めてから1秒後の電流密度の値とする。
測定方法IIにより限界電流密度及び初期電流値を測定した場合、Ilim/Iiniは20%以上であると好ましく、22%以上であるとより好ましく、25%以上であると更に好ましい。
測定方法IIは、粘度低下剤(例えば溶媒)を含む複合電解質の限界電流密度及び初期電流値を測定する場合に特に有効な方法である。測定方法IIで測定した複合電解質の限界電流密度は、90μA/cm以上であると好ましく、150μA/cm以上であるとより好ましく、200μA/cm以上であると更に好ましく、300μA/cm以上であると特に好ましい。
第1及び第2の実施形態のイオン液体は、複合電解質として使用した際にリチウムイオンの輸率が高いため、リチウムイオン電池、キャパシタ等の電気化学デバイスの電解質に有用である。また、第1及び第2の実施形態のイオン液体を含む複合電解質は、デンドライトの発生を効果的に抑制できる傾向にある。
<試料>
以下に説明するとおり、化合物A~E、並びに化合物CA及びCBを用意した。
<化合物A>
下記式:
Figure 2023036880000005

で表される化合物A([(PyrMEM][2TFSI])を以下のとおり合成した。
1,2-ビスクロロメトキシエタン(3.30g、20.8mmol)をCHCl(30mL)に溶かした後、N-メチルピロリジン(3.63g、42.6mmol)を加え、Ar雰囲気下にて一晩室温で撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルによる洗浄を行い、真空乾燥を行い、白色の固体として[(PyrMEM][2Cl](6.69g、20.3mmol、収率:98%)を得た。以下に生成物のNMRのデータを示す。
H-NMR(CDCl,600MHz)δ(ppm):2.22-2.35(m,8H),3.36(s,6H),3.67(m,4H),3.95(m,4H),4.23(s,4H),5.47(s,4H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):23.5,48.4,62.5,73.6,91.4
得られた[(PyrMEM][2Cl](2.51g、7.62mmol)とLiTFSI(4.17g、14.5mmol)とをCHOH(15mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、ジクロロメタンに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。当該有機相に真空乾燥を行い、無色透明の液体(4.35g、5.31mmol、70%)を得た。以下に生成物のNMRのデータを示す。なお、特に断らない限り、H-NMR及び13C-NMRの化学シフトは、測定に使用した重溶媒が重クロロホルム(CDCl)である場合は、クロロホルムのH又はCを基準とし、重溶媒が重メタノール(CDOD)である場合は、メタノールのメチル基のH又はCを基準とする。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):2.38(d,J=9.0Hz,8H),3.61(m,4H),3.76(t,J=5.6Hz,4H),4.23(s,4H),4.88(s,4H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):23.3,62.4,73.4,91.5,121(q,J=319Hz)
<化合物B>
下記式:
Figure 2023036880000006

で表される化合物B([(N221MEM][2TFSI])を以下のとおり合成した。
1,2-ビスクロロメトキシエタン(3.29g、20.7mmol)をCHCl(30mL)に溶かした後、N,N-ジエチルメチルアミン(3.73g、42.8mmol)を加え、Ar雰囲気下にて一晩室温で撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルによる洗浄を行い、真空乾燥を行い、白色の固体として[(N221MEM][2Cl](quant)を得た。以下に生成物のNMRのデータを示す。なお、生成物の収率がほぼ100%であった場合、quantと記載する。
H-NMR(CDCl,600MHz)δ(ppm):1.42(t,J=17.5Hz,12H),3.26(s,6H),3.59(m,8H),4.24(s,4H),5.40(s,4H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):8.19,45.1,55.2,73.3,89.0
得られた[(N221MEM][2Cl](5.44g、16.3mmol)とLiTFSI(9.82g、34.2mmol)とをCHOH(35mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、ジクロロメタンに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。当該有機相に真空乾燥を行い、無色透明の液体(7.31g、8.89mmol、55%)を得た。以下に生成物のNMRのデータを示す。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.37(t,J=7.3Hz,12H),3.01(s,6H),3.42(m,8H),4.08(s,4H),4.74(s,4H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):8.06,45.1,55.4,73.2,87.0,121(q,J=319Hz)
<化合物C>
下記式:
Figure 2023036880000007

で表される化合物C([(Mim)MEM][2TFSI])を以下のとおり合成した。
1,2-ビスクロロメトキシエタン(3.44g、21.6mmol)をCHCl(30mL)に溶かした後、N-メチルイミダゾール(3.96g、48.2mmol)を加え、Ar雰囲気下にて一晩室温で撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルによる洗浄を行い、真空乾燥を行い、白色の固体として[(Mim)MEM][2Cl](6.85g、21.2mmol、98%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):3.81(s,4H),4.03(s,6H),5.69(s,4H),7.70(s,2H),7.81(s,2H),9.23(s,2H)
得られた[(Mim)MEM][2Cl](3.18g、9.84mmol)とLiTFSI(5.86g、20.4mmol)とをCHOH(20mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、ジクロロメタンに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。当該有機相に真空乾燥を行い、無色透明の液体(4.10g、5.05mmol、51%)を得た。
H-NMR(CDCl,600MHz)δ(ppm):3.66(s,4H),4.12(q,J=7.2Hz,6H),5.47(s,4H),7.34(s,2H),7.44(s,2H),8.61(s,2H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):37.5,71.3,81.2,124,123(q,J=319Hz),139
<化合物D>
下記式:
Figure 2023036880000008

で表される化合物D([(PipMEM][2TFSI])を以下のとおり合成した。
1,2-ビスクロロメトキシエタン(3.36g、21.2mmol)をCHCl(30mL)に溶かした後、N-メチルピペリジン(4.36g、44.0mmol)を加え、Ar雰囲気下にて一晩室温で撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルによる洗浄を行い、真空乾燥を行い、白色の固体として[(PipMEM][2Cl](4.19g、11.9mmol、59%)を得た。
H-NMR(CDCl,600MHz)δ(ppm):1.70-1.74(m,4H),1.86-1.97(m,16H),3.33(s,6H),4.24(s,4H),5.53(s,4H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):20.9,22.6,45.7,58.9,74.2,92.7
得られた[(PipMEM][2Cl](2.51g、7.02mmol)とLiTFSI(4.17g、14.5mmol)をCHOH(15mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、ジクロロメタンに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。真空乾燥を行い、黄色の液体(4.35g、5.14mmol、73%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.64(m,2H),1.79(m,2H),1.95(m,8H),3.07(s,6H),3.30-3.41(m,8H),4.09(s,4H),4.78(s,4H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):20.8,22.4,45.8,59.0,74.1,92.8,121(q,J=319Hz)
<化合物E>
下記式:
Figure 2023036880000009

で表される化合物E([(Pyr)MEM(PBu)][2TFSI])を以下のとおり合成した。
Ar雰囲気下にて、1,2-ビスクロロメトキシエタン(712mg、4.48mmol)をテトラヒドロフラン(1.5mL)に溶かした後、-10℃下でN-メチルピロリジン(384mg、4.51mmol)を2.874mL/hの速度で10分滴下後、35℃で5分間撹拌をした。CHCN(3.0mL)添加後、35℃で5分撹拌した後、トリブチルホスフィン(1.07g、5.30mmol)を加え、35℃で5時間撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテル及びアセトンによる洗浄を行い、真空乾燥後、無色透明の液体として[(Pyr)MEM(PBu)][2Cl](純度90%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.02-1.05(m,9H),1.53-1.65(m,12H),2.30-2.35(m,6H),3.49(m,2H),3.63(m,2H),3.91(m,2H),4.08(m,2H),4.53(d,J=5.4Hz,2H),4.78(s,2H)
得られた[(Pyr)MEM(PBu)][2Cl](1.82g、4.08mmol)とLiTFSI(3.27g、11.4mmol)とをCHOH(25mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、ジクロロメタンに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。真空乾燥を行い、無色透明の液体(3.33g、純度90%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.01-1.04(m,9H),1.53-1.66(m,12H),2.27-2.33(m,6H),3.46-3.50(m,2H),3.61-3.63(m,2H),3.91-3.92(m,2H),4.06-4.08(m,2H),4.47-4.51(d,J=5.3Hz,2H),4.74(s,2H)
<化合物F>
下記式:
Figure 2023036880000010

で表される化合物F([(PBuMEM][2TFSI])を以下のとおり合成した。
1,2-ビスクロロメトキシエタン(2.49g、15.6mmol)をCHCl(25mL)に溶かした後、トリブチルホスフィン(6.43g、31.8mmol)を加え、Ar雰囲気下にて一晩室温で撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルによる洗浄を行い、真空乾燥を行い、白色の固体として[(PBuMEM][2Cl](quant)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.04(t,J=7.26Hz,18H),1.52-1.58(m,12H),1.61-1.67(m,12H),2.29-2.34(m,12H),3.89(s,4H),4.52(s,4H);
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):13.9,18.2(d,J=46.5Hz),24.9(d,J=84.0Hz),62.2(d,J=64.5Hz),74.4
得られた[(PBuMEM][2Cl](3.76g、6.69mmol)とLiTFSI(4.08g、14.2mmol)をCHOH(30mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、ジクロロメタンに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。真空乾燥を行い、黄色の液体(5.44g、5.17mmol、77%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.00(t,J=7.26Hz,18H),1.49-1.55(m,12H),1.58-1.64(m,12H),2.25-2.30(m,12H),3.86(s,4H),4.46(s,4H);13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):14.0,18.2(d,J=46.5Hz),24.9(d,J=85.5Hz),62.1(d,J=64.5Hz),74.5,122(q,J=319Hz)
<化合物CA>
下記式:
Figure 2023036880000011

で表される化合物CA(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、IoLiTec GmbH社製)を使用した。
<化合物CB>
下記式:
Figure 2023036880000012

で表される化合物CB([PyrMEM][TFSI])を以下のとおり合成した。
Ar雰囲気下にて、N-メチルピロリジン(4.15g、48.7mmol)をアセトニトリル(25mL)に溶かした後、0℃下で2-メトキシエトキシメチルクロライド(6.09g、48.9mmol)を滴下後、0℃で約1時間撹拌した。溶媒を留去した後、活性炭とエタノールを加えて室温にて15時間撹拌した。ろ過によって活性炭を除去したのち溶媒を留去し、減圧条件下で乾燥し、[PyrMEM][Cl](10.4g、49.6mmol)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):2.20-2.31(m,4H),3.15(s,3H),3.43(s,3H),3.46-3.50(m,2H),3.65(t,J=4.2Hz,2H),3.66-3.70(m,2H),4.03(t,J=4.2Hz,2H),4.77(s,2H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):δ23.2,48.0,59.3,62.1,72.9,73.5,91.3
得られた[PyrMEM][Cl](10.4g、49.6mmol)とLiTFSI(14.3g、49.8mmol)を水(60mL)で溶かし、室温で一晩撹拌した。塩化メチレンにて抽出したのち、得られた有機層を水で洗浄した。溶媒留去ののち、活性炭とエタノールを加えて室温で約1日攪拌した。ろ過によって活性炭を除去したのち溶媒を留去し、さらに減圧条件下で乾燥し、[PyrMEM][TFSI](17.4g、38.2mmol)を得た。目的物の生成はH-NMRにより確認した。
H-NMR(600MHz,CDCl)δ(ppm):2.20-2.30(m,4H),3.12(s,3H),3.38(s,3H),3.40-3.44(m,2H),3.58(t,J=4.2Hz,2H),3.66-3.70(m,2H),3.97(t,J=4.2Hz,2H),4.69(s,2H);
13C-NMR(125MHz,CDCl)δ(ppm):22.0,47.4,58.8,61.0,71.4,72.3,89.8,119.8(q,J=321.1Hz).
なお、「TFSI」は、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン([N(CFSO)を表す。
<イオン伝導度の測定>
化合物A~Eの25℃におけるイオン伝導度は、以下の条件でインピーダンス法により測定した。
1.グローブボックス内、乾燥アルゴン雰囲気下にて、コイン型リチウム電池CR2032の評価セルを組み立てた。具体的には、評価セル内に、以下の順に各層を積層して試験用積層体を作製した。
(ステンレス板/ドーナツ型シリコーンシート(外円形15mmφ、内円径5mmφ、厚さ0.5mm)/イオン液体(ドーナツ型シリコーンシートの内円部に注入)/ステンレス板)
2.インピーダンス測定装置を用いて、25℃で、周波数範囲0.1Hzから1MHz、印加電圧10mVにて測定する。イオン電導度σは次の式で算出できる。
σ(S・cm-1)=t(cm)×R(Ω)/A(cm
式中、Rは、インピーダンスの値を表す。Aは、サンプルの面積を表す。tは、サンプルの厚さを表す。
<電位窓の測定>
また、化合物A~E及び化合物CBをそれぞれ窒素置換されたグローブボックス中で三極式セル(東陽テクニカ製)に約1.0mL入れ、測定装置(ALS 700E電気化学アナライザー)を用いてアルゴン雰囲気下でリニアスイープボルタメトリー(走査速度:1mV/s、掃引範囲:開回路電位から還元側に-4.0V、酸化側に+4.0V、作用極:グラッシーカーボン(直径:3.0mm)、対極:白金線(外径:0.5mm))を行うことにより、電位窓の測定を行った(基準電極:Ag/AgNO)。測定後にフェロセンを加えてサイクリックボルタメトリーを行い、基準電極で得られた電位をフェロセンの酸化還元電位で補正した。還元側及び酸化側へのスイープ時に50μA/cmの電流が流れた電位をそれぞれ還元電位及び酸化電位として、電位窓を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2023036880000013
表1より、本実施形態のジカチオン型イオン液体は、従来のイオン液体である化合物CBよりも広い電位窓を有していることがわかる。また、本実施形態のジカチオン型イオン液体は、従来のイオン液体である化合物CBと比較してイオン伝導率が高い。
(実施例A1~A6、及び比較例A1~A3)
表2及び3に示すとおりの濃度となるように、各イオン液体にLiTFSIを添加し、実施例A1~A6、及び比較例A1~A3の複合電解質を調製した。
(限界電流密度及び初期電流密度の測定)
上記のとおり調製した複合電解質の限界電流密度を直流試験により測定した。この試験では、コイン型リチウム電池CR2032を評価セルに用いた。具体的には、評価セル内に、以下の順に各層を積層して試験用積層体を作製した。
(ステンレス板/金属リチウム箔/ドーナツ型シリコーンシート(外円形15mmφ、内円径5mmφ、厚さ0.5mm)及びドーナツ型シリコーンシートの内円部に注入された複合電解質/金属リチウム箔)
上記評価セルへの印加電圧を30分間かけて電流密度の経時変化を測定した。電流密度は観測された電流をシリコーンシートの内円面積で除することで計算した。電圧印加後30分後の電流密度をI30とした。印加電圧を典型的には0.2Vずつ段階的に高めて、各印加電圧でのI30を測定した。印加電圧が小さい時には、印加電圧の増大に伴って、I30も増大した。印加電圧がある程度大きくなると、印加電圧を上げてもI30がそれ以上大きくならず一定値を示した。このときのI30の最大値を限界電流密度Ilimとした。測定された限界電流密度は、測定対象の複合電解質に定常的な印加電圧をかけた際に流すことのできる最大の電流密度を示す。特に断らない限り試験温度は25℃とした。
初期電流密度は、上記の限界電流密度を与える電圧を印加してから1秒後の電流密度とした。
Figure 2023036880000014

「Li/全イオン」は、複合電解質に含まれる全イオンに対するリチウムイオンのモル数の割合である。
Figure 2023036880000015

「Li/全イオン」は、複合電解質に含まれる全イオンに対するリチウムイオンのモル数の割合である。
リチウムイオンが寄与する電流の全電流に対する寄与率は、上記の限界電流値を初期電流値で割ることで算出した。電圧印加初期では、電解質に含まれる全てのイオンが動き電流に寄与している。電圧印加後30分の定常時では、リチウムイオンのみが電流に寄与する。
(実施例B1~B5)
表4に示すとおりの組成で、イオン液体、リチウム塩(LiTFSI)及び粘度低下剤を混合して実施例B1~B5の複合電解質を調製した。粘度低下剤としては、エチレンカーボネート(EC)及びプロピレンカーボネート(PC)の混合溶媒(体積比 EC:PC=1:1)を添加した。粘度低下剤を含有したイオン液体電解質の限界電流値を直流試験により検証した。この試験では、複合電解質に粘度低下剤を加えたこと以外は、上記試験用積層体と同様の構成を用いた。
(限界電流密度及び初期電流密度の測定)
上記試験用積層体に、0.1Vを印加し続け、電流密度の経時変化を観測した。1時間以上に渡って電流密度が変化しなくなった値を限界電流密度とした。試験温度は、25℃とした。
初期電流密度は、0.1Vの電圧印加から1秒後の電流密度とした。
リチウムイオンが寄与する電流の全電流に対する寄与率は、上記の限界電流密度を初期電流密度で割ることで算出したIlim/Iiniに対応する。電圧印加初期では、電解質に含まれる全てのイオンが動き電流に寄与している。電圧印加後30分の定常時では、リチウムイオンのみが電流に寄与する。
Figure 2023036880000016

「Li/全イオン」は、複合電解質に含まれる全イオンに対するリチウムイオンのモル数の割合である。
**混合溶媒の含有量は、イオン液体100質量%に対する質量%である。
(リチウムの溶解析出サイクル試験)
試料として0.125mmolのリチウム塩、250mgのイオン液体、62.5mgの粘度低下剤(ECとPCを体積比1:1で含む混合溶媒)を混合して実施例B6~B9及び比較例B1の複合電解質を調製した。各複合電解質が含むイオン液体は、以下のとおりである。これらの複合電解質を用いて上記試験用積層体を作製した。
実施例B6:化合物C
実施例B7:化合物A
実施例B8:化合物B
実施例B9:化合物D
実施例B10:化合物E
比較例B1:化合物CA
比較例B2:化合物CB
実施例B11:化合物E’
実施例B12:化合物A’
実施例B13:化合物H’
実施例B14:化合物B’
上記試験用積層体における金属リチウム箔上にリチウムが析出するように+200μA/cmの電流を1時間流し、リチウムを析出させた。その後、インターバルを10分置き、金属リチウム箔からリチウムが溶出するように-200μA/cmの電流を1時間流し、リチウムを溶出させた。再び、10分のインターバルを置き、上記のリチウムの析出と溶出を繰り返し行った。電圧値の挙動を観察し、電圧値の継時安定性を評価した。リチウムの溶解・析出を制御する観点で、電流を流した際の電圧の振れが小さくて、かつ複数回のサイクルを繰り返しても安定していることが望ましい。
図1は、実施例B6のリチウムの溶解析出サイクル試験の結果を示す図である。また、図2は、比較例B1のリチウムの溶解析出サイクル試験の結果を示す図である。図1及び2において、縦軸は電圧(V)、横軸は時間(h)である。図1と図2との対比から明らかなように、実施例B6の複合電解質では、250時間の間サイクル試験を繰り返しても電圧の振れが小さく、振れ幅も略一定であった。一方、図2に示すように、比較例B1の試料では、約100時間経過した時点から、電圧の振れが大きくなり、約140時間経過した時点では更に電圧の振れが大きくなり、サイクルが安定しなかった。
同様に、図3~図7は、それぞれ実施例B7~B10及び比較例B2のリチウムの溶解析出サイクル試験の結果を示す図である。図3及び図4に示すように、実施例B7及び8の複合電解質では、250時間の間サイクル試験を繰り返しても電圧の振れが小さく、振れ幅も略一定であった。また、図5に示すように、実施例B9の複合電解質では、250時間程度の間サイクル試験を繰り返しても電圧の振れが小さく、振れ幅も略一定であった。また、図6に示すように、実施例B10の複合電解質では、250時間程度の間サイクル試験を繰り返しても比較的電圧の振れが小さく、振れ幅も略一定であった。
一方、図7に示すように、比較例B2の複合電解質では、50~150時間の間に電圧値が上昇し続け、特に200時間以降に電圧値が不安定であった。特に、200時間以降の範囲では、+200μA/cm又は-200μA/cmを流した直後に急激に電圧が変化し、その後すぐに電圧の絶対値が低下して略一定となるという挙動を繰り返している。このことから200時間以降リチウムのデンドライトの析出が顕著であったことがわかる。
また、図8~図11は、それぞれ実施例B11~B14のリチウムの溶解析出サイクル試験の結果を示す図である。図8~図11からわかるように、実施例B11~B14の複合電解質を使用した場合も、250時間程度の間サイクル試験を繰り返しても比較的電圧の振れが小さく、振れ幅も略一定であった。
(10%重量減少温度1)
熱分析(TG-DTA)について、株式会社リガク製、Thermo plus EVOIIを用いて化合物A~Fの10%重量減少温度(℃)を測定した。具体的には、3~5mgのサンプルをアルミニウム製容器内で開始温度40℃、最終温度500℃、昇温速度5℃/分の条件にて加熱し、初期重量の90%となった温度を10%重量減少温度とした。結果を表5及び表6に示す。なお、化合物Fは室温(25℃)において固体である。
Figure 2023036880000017
(10%重量減少温度2)
熱分析(TG-DTA)について、株式会社島津製作所の示差熱・熱量同時測定装置 DTG-60Aを用いて化合物A~Fの10%重量減少温度(℃)を測定した。具体的には、3~5mgのサンプルをアルミニウム製容器内で室温から150℃までは昇温速度10℃/分の条件で加熱し、150℃で10分保持した。その後150℃から350℃までは昇温速度1℃/分の条件にて加熱し、350℃から500℃までは昇温速度10℃/分の条件にて加熱した。初期重量の90%となった温度を10%重量減少温度とした。結果を表6に示す。
表5に示すとおり、本実施形態のイオン液体は耐熱性に優れると言える。特に、非対称型である化合物Eは、対称型である化合物A~D及び化合物Fと比較して10%重量減少温度が向上した。
<化合物A’>
下記式:
Figure 2023036880000018

で表される化合物A’([(PyrMEM][2FSI])を以下のとおり合成した。
1,2-ビスクロロメトキシエタン(790mg、4.97mmol)をCHCl(30mL)に溶かした後、N-メチルピロリジン(961mg、11.3mmol)を加え、Ar雰囲気下にて一晩室温で撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルによる洗浄を行い、真空乾燥を行い、白色の固体として[(PyrMEM][2Cl](quant)を得た。以下に生成物のNMRのデータを示す。なお、生成物の収率がほぼ100%であった場合、quantと記載する。
H-NMR(CDCl,600MHz)δ(ppm):2.22-2.35(m,8H),3.36(s,6H),3.65-3.69(m,4H),3.93-3.97(m,4H),4.23(s,4H),5.47(s,4H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):23.0,48.4,62.5,73.6,91.4
得られた[(PyrMEM][2Cl](1.98g、6.00mmol)とLiFSI(2.30g、12.3mmol)とをCHOH(50mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、酢酸エチルに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。当該有機相に真空乾燥を行い、無色透明の液体(2.88g、4.66mmol、78%)を得た。以下に生成物のNMRのデータを示す。なお、特に断らない限り、H-NMR及び13C-NMRの化学シフトは、測定に使用した重溶媒が重クロロホルム(CDCl)である場合は、クロロホルムのH又はCを基準とし、重溶媒が重メタノール(CDOD)である場合は、メタノールのメチル基のH又はCを基準とする。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):2.22-2.26(m,8H),3.13(s,6H),3.46-3.48(m,4H),3.61-3.63(m,4H),4.09(s,4H),4.75(s,4H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):23.0,48.0,62.2,73.1,91.1
<化合物B’>
下記式:
Figure 2023036880000019

で表される化合物B’([(N221MEM][2FSI])を以下のとおり合成した。
1,2-ビスクロロメトキシエタン(795mg、4.94mmol)をCHCl(30mL)に溶かした後、N,N-ジエチルメチルアミン(1.00g、11.5mmol)を加え、Ar雰囲気下にて一晩室温で撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルによる洗浄を行い、真空乾燥を行い、白色の固体として[(N221MEM][2Cl](quant)を得た。以下に生成物のNMRのデータを示す。
H-NMR(CDCl,600MHz)δ(ppm):1.42(t,J=17.5Hz,12H),3.26(s,6H),3.56-3.62(m,8H),4.24(s,4H),5.40(s,4H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):8.19,45.1,55.2,73.3,89.0
得られた[(N221MEM][2Cl](2.18g、6.54mmol)とLiFSI(2.80g、14.9mmol)とをCHOH(50mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、酢酸エチルに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。当該有機相に真空乾燥を行い、無色透明の液体(3.18g、5.10mmol、78%)を得た。以下に生成物のNMRのデータを示す。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.32-1.37(m,12H),2.99(s,6H),3.36-3.42(m,12H),4.06(s,4H),4.72(s,4H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):7.50,44.4,51.5,72.7,88.4
<化合物C’>
下記式:
Figure 2023036880000020

で表される化合物I([(Mim)MEM][2FSI])を以下のとおり合成した。
1,2-ビスクロロメトキシエタン(2.23g、14.0mmol)をCHCl(20mL)に溶かした後、N-メチルイミダゾール(2.49g、30.3mmol)を加え、Ar雰囲気下にて一晩室温で撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルによる洗浄を行い、真空乾燥を行い、白色の固体として[(Mim)MEM][2Cl](quant)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):3.81(s,4H),4.03(s,6H),5.69(s,4H),7.70(s,2H),7.81(s,2H),9.23(s,2H)
得られた[(Mim)MEM][2Cl](2.83g、8.75mmol)とLiFSI(3.49g、18.6mmol)とをCHOH(50mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、酢酸エチルに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。当該有機相に真空乾燥を行い、無色透明の液体(3.70g、6.04mmol、69%)を得た。
H-NMR(CDCl,600MHz)δ(ppm):3.76(s,4H),3.97(s,6H),5.60(s,4H),7.64(s,2H),7.72(s,2H),9.04(s,2H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):36.6,69.9,80.1,122.9,125.3,138.0
<化合物D’>
下記式:
Figure 2023036880000021

で表される化合物D’([(PipMEM][2FSI])を以下のとおり合成した。
1,2-ビスクロロメトキシエタン(1.63g、10.2mmol)をCHCl(30mL)に溶かした後、N-メチルピペリジン(2.10g、21.2mmol)を加え、Ar雰囲気下にて一晩室温で撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルによる洗浄を行い、真空乾燥を行い、白色の固体として[(PipMEM][2Cl](quant)を得た。
H-NMR(CDCl,600MHz)δ(ppm):1.70-1.74(m,4H),1.86-1.97(m,16H),3.33(s,6H),4.24(s,4H),5.53(s,4H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):20.9,22.6,45.7,58.9,74.2,92.7
得られた[(PipMEM][2Cl](3.66g、10.2mmol)とLiFSI(3.99g、21.3mmol)をCHOH(30mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、ジクロロメタンに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。真空乾燥を行い、無色透明の液体(4.28g、6.62mmol、65%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.62-1.68(m,2H),1.78-1.82(m,2H),1.92-2.00(m,8H),3.08(s,6H),3.33-3.42(s,8H),4.10(s,4H),4.78(s,4H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):20.4,22.1,45.4,58.6,73.7,92.4
<化合物E’>
下記式:
Figure 2023036880000022

で表される化合物E’([(Pyr)MEM(PBu)][2FSI])を以下のとおり合成した。
Ar雰囲気下にて、1,2-ビスクロロメトキシエタン(715mg、4.50mmol)を酢酸エチル(1.5mL)に溶かした後、-10℃下でN-メチルピロリジン(382mg、4.48mmol)を2.874mL/hの速度で滴下後、-10℃で2分間撹拌、続けて35℃で5分間撹拌をした。CHCN(3.0mL)添加後、35℃で5分撹拌した後、トリブチルホスフィン(1.09g、5.38mmol)を加え、35℃で5時間撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルおよびアセトンによる洗浄を行い、真空乾燥後、無色透明の液体として[(Pyr)MEM(PBu)][2Cl](純度93%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.02-1.05(m,9H),1.53-1.65(m,12H),2.30-2.35(m,6H),3.45-3.50(m,2H),3.61-3.65(m,2H),3.89-3.91(m,2H),4.06-4.08(m,2H),4.53(d,J=5.4Hz,2H),4.78(s,2H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):13.6,17.7,18.0,23.1,24.18,24.25,24.28,24.8,24.9,48.0,61.7,62.1,72.9,74.16,74.24,91.0
得られた[(Pyr)MEM(PBu)][2Cl](748mg、1.67mmol)とLiFSI(876mg、4.68mmol)とをCHOH(30mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、酢酸エチルに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。真空乾燥を行い、無色透明の液体(1.09g、純度92%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.01(t,J=7.2Hz,9H),1.50-1.56(m,6H),1.59-1.65(m,6H),2.21-2.31(m,10H),3.12(s,3H),3.44-3.49(m,2H),3.59-3.63(m,2H),3.89-3.90(m,2H),4.05-4.06(m,2H),4.48(d,J=5.4Hz,2H),4.72(s,2H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):13.5,17.6,17.9,23.1,24.17,24.20,24.8,24.9,48.0,61.5,62.2,72.9,74.2,74.3,91.0
<化合物G>
下記式:
Figure 2023036880000023

で表される化合物G([(N221)MEM(PBu)][2TFSI])を以下のとおり合成した。
Ar雰囲気下にて、1,2-ビスクロロメトキシエタン(1.91g、12.0mmol)をTHF(4.0mL)に溶かした後、-10℃下でN,N-ジエチルメチルアミン(1.05g、12.1mmol)を2.90mL/hの速度で滴下後、-10℃で2分間撹拌、続けて撹拌35℃で5分間撹拌した。CHCN(8.0mL)添加後、35℃で5分撹拌した後、トリブチルホスフィン(2.93g、14.5mmol)を加え、35℃で5時間撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルおよびアセトンによる洗浄を行い、ゲルろ過、真空乾燥後、無色透明の液体として[(N221)MEM(PBu)][2Cl](純度93%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.03-1.06(m,9H),1.40(t,J=7.2Hz,6H),1.54-1.60(m,6H),1.63-1.70(m,6H),2.34-2.39(m,6H),3.05(m,3H),3.42-3.49(m,4H),3.93-3.95(m,2H),4.08-4.12(m,2H),4.59(d,J=5.4Hz,2H),4.80(s,2H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):7.8,13.6,17.7,18.0,24.26,24.29,24.8,25.0,44.8,54.9,61.7,62.1,72.8,74.1,74.2,86.6
得られた[(N221)MEM(PBu)][2Cl](916mg、2.04mmol)とLiTFSI(1.21g、4.21mmol)とをCHOH(30mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、塩化メチレンに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。真空乾燥を行い、無色透明の液体(1.03g、純度96%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.05(t,J=7.3Hz,9H),1.40(t,J=7.3Hz,6H),1.55-1.59(m,6H),1.64-1.67(m,6H),2.30-2.35(m,6H),3.03(s,3H),3.35-3.45(m,4H),3.93-3.94(m,2H),4.06-4.08(m,2H),4.52(d,J=5.3Hz,2H),4.73(s,2H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):7.7,13.5,17.6,17.9,24.19,24.22,24.8,24.9,44.7,55.0,61.6,62.0,72.7,74.1,74.2,86.6,121.1(q,J=319Hz)
<化合物G’>
下記式:
Figure 2023036880000024

で表される化合物G’([(N221)MEM(PBu)][2FSI])を以下のとおり合成した。
Ar雰囲気下にて、1,2-ビスクロロメトキシエタン(621mg、3.91mmol)をテトラヒドロフラン(1.3mL)に溶かした後、-10℃下でN,N-ジエチルメチルアミン(356mg、4.09mmol)を2.874mL/hの速度で滴下後、-10℃で2分間撹拌、続けて35℃で5分間撹拌をした。CHCN(2.6mL)添加後、35℃で5分撹拌した後、トリブチルホスフィン(817mg、4.04mmol)を加え、35℃で5時間撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルおよびアセトンによる洗浄を行い、ゲルろ過、真空乾燥後、無色透明の液体として[(N221)MEM(PBu)][2Cl](純度92%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.03-1.06(m,9H),1.40(t,J=7.2Hz,6H),1.54-1.60(m,6H),1.63-1.70(m,6H),2.34-2.39(m,6H),3.05(m,3H),3.42-3.49(m,4H),3.93-3.95(m,2H),4.08-4.12(m,2H),4.59(d,J=5.4Hz,2H),4.80(s,2H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):7.8,13.6,17.7,18.0,24.26,24.29,24.8,25.0,44.8,54.9,61.7,62.1,72.8,74.1,74.2,86.6
得られた[(N221)MEM(PBu)][2Cl](778mg、1.74mmol)とLiFSI(751mg、4.02mmol)とをCHOH(30mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、塩化メチレンに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。真空乾燥を行い、無色透明の液体(781mg、純度99%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.00(t,J=7.2Hz,9H),1.35(t,J=7.2Hz,6H),1.49-1.55(m,6H),1.58-1.65(m,6H),2.25-2.30(m,6H),2.98(s,3H),3.35-3.42(m,4H),3.88-3.89(m,2H),4.02-4.03(m,2H),4.47(d,J=5.4Hz,2H),4.68(s,2H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):7.7,13.5,17.6,17.9,24.18,24.21,24.8,24.9,44.7,55.0,61.5,62.0,72.8,74.1,74.2,86.6
<化合物H>
下記式:
Figure 2023036880000025

で表される化合物H([(Pip)MEM(PBu)][2TFSI])を以下のとおり合成した。
Ar雰囲気下にて、1,2-ビスクロロメトキシエタン(1.43g、9.02mmol)をテトラヒドロフラン(3.0mL)に溶かした後、0℃下でN-メチルピペリジン(867mg、8.74mmol)を2.90mL/hの速度で滴下後、0℃で2分間撹拌、続けて35℃で30分間撹拌をした。CHCN(6.0mL)添加後、35℃で5分撹拌した後、トリブチルホスフィン(2.18g、10.8mmol)を加え、35℃で4.5時間撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルおよびアセトンによる洗浄を行い、ゲルろ過、真空乾燥後、無色透明の液体として[(Pip)MEM(PBu)][2Cl](純度91%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.05(t,J=7.2Hz,9H),1.52-1.60(m,6H),1.60-1.72(m,7H),1.81-1.84(m,1H),1.95-2.02(m,4H),2.32-2.37(m,6H),3.13(s,3H),3.38-3.49(m,4H),3.93-3.94(m,2H),4.11-4.13(m,2H),4.49(d,J=5.4Hz,2H),4.87(s,2H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):13.6, 17.7,18.0,20.5,22.2,24.3,24.8,25.0,45.3,58.5,61.7,62.1,73.5,74.2,74.3
得られた[(Pip)MEM(PBu)][2Cl](2.12g、4.60mmol)とLiTFSI(2.84g、9.89mmol)とをCHOH(20mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、塩化メチレンに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。真空乾燥を行い、無色透明の液体(2.80g、純度93%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.03(t,J=7.2Hz,9H),1.52-1.58(m,6H),1.61-1.70(m,7H),1.81-1.84(m,1H),1.91-2.02(m,4H),2.28-2.34(m,6H),3.10(s,3H),3.34-3.44(m,4H),3.91-3.93(m,2H),4.08-4.09(m,2H),4.51(d,J=5.4Hz,2H),4.78(s,2H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):13.5,17.6,17.9,20.4,22.1,24.2,24.8,24.9,45.4,58.6,61.6,62.0,73.5,74.2,92.3,121.1(q,J=318Hz)
<化合物H’>
下記式:
Figure 2023036880000026

で表される化合物I([(Pip)MEM(PBu)][2FSI])を以下のとおり合成した。
Ar雰囲気下にて、1,2-ビスクロロメトキシエタン(1.44g、9.04mmol)をテトラヒドロフラン(3.0mL)に溶かした後、-10℃下でN-メチルピペリジン(841mg、8.48mmol)を2.90mL/hの速度で滴下後、0℃で2分間撹拌、続けて35℃で30分間撹拌をした。CHCN(6.0mL)添加後、35℃で5分撹拌した後、トリブチルホスフィン(2.16g、10.7mmol)を加え、35℃で5時間撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルおよびアセトンによる洗浄を行い、ゲルろ過、真空乾燥後、無色透明の液体として[(Pip)MEM(PBu)][2Cl](純度88%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.05(t,J=7.2Hz,9H),1.52-1.60(m,6H),1.60-1.72(m,7H),1.81-1.84(m,1H),1.95-2.02(m,4H),2.32-2.37(m,6H),3.13(s,3H),3.38-3.49(m,4H),3.93-3.94(m,2H),4.11-4.13(m,2H),4.49(d,J=5.4Hz,2H),4.87(s,2H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):13.6, 17.7,18.0,20.5,22.2,24.3,24.8,25.0,45.3,58.5,61.7,62.1,73.5,74.2,74.3
得られた[(Pip)MEM(PBu)][2Cl](1.24g、2.70mmol)とLiFSI(1.08g、5.76mmol)とをCHOH(30mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、塩化メチレンに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。真空乾燥を行い、無色透明の液体(2.10g、純度93%)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.03(t,J=7.2Hz,9H),1.52-1.60(m,6H),1.60-1.70(m,6H),1.80-1.84(m,1H),1.94-2.01(m,4H),2.27-2.31(m,6H),3.10(s,3H),3.35-3.44(m,4H),3.91-3.93(m,2H),4.08-4.10(m,2H),4.49(d,J=5.4Hz,2H),4.76(s,2H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):13.5,17.6,17.9,20.4,22.0,24.1,24.8,45.4,58.6,61.5,61.9,73.5,74.1,74.2,92.2
<化合物F’>
下記式:
Figure 2023036880000027

で表される化合物F’(PBuMEM][2TFSI])を以下のとおり合成した。
1,2-ビスクロロメトキシエタン(2.30g、14.5mmol)をCHCl(25mL)に溶かした後、トリブチルホスフィン(6.39g、31.6mmol)を加え、Ar雰囲気下にて一晩室温で撹拌した。溶媒を留去した後、ジエチルエーテルによる洗浄を行い、真空乾燥を行い、白色の固体として[(PBuMEM][2Cl](quant)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.04(t,J=7.26Hz,18H),1.52-1.58(m,12H),1.61-1.67(m,12H),2.29-2.34(m,12H),3.89(s,4H),4.52(s,4H);
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):13.9,18.2(d,J=46.5Hz),24.9(d,J=84.0Hz),62.2(d,J=64.5Hz),74.4
得られた[(PBuMEM][2Cl](2.86g、5.09mmol)とLiFSI(2.49g、13.3mmol)をCHOH(50mL)に溶かし、室温で一晩撹拌した。CHOHを留去した。その後、酢酸エチルに生成物を溶解させてから水で洗浄し、分液により有機相を分離した。真空乾燥を行い、白色固体(quant)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.01(t,J=7.2Hz,18H),1.51-1.56(m,12H),1.58-1.64(m,12H),2.25-2.30(m,12H),3.87(s,4H),4.46(d,J=4.8Hz,4H);
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):13.6,17.6,17.9,24.19,24.22,24.8,24.9,61.5,62.0,74.2,74.3
<化合物CB’>
下記式:
Figure 2023036880000028

で表される化合物CB’([PyrMEM][FSI])を以下のとおり合成した。
Ar雰囲気下にて、N-メチルピロリジン(4.36g、51.1mmol)をアセトニトリル(25mL)に溶かした後、0℃下で2-メトキシエトキシメチルクロライド(6.54g、52.5mmol)を滴下後、0℃で終夜撹拌した。溶媒を留去した後、活性炭とメタノールを加えて室温にて撹拌した。ろ過によって活性炭を除去したのち溶媒を留去し、減圧条件下で乾燥し、[PyrMEM][Cl](12.3g、quant)を得た。
H-NMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):2.20-2.31(m,4H),3.15(s,3H),3.43(s,3H),3.46-3.50(m,2H),3.65(t,J=4.2Hz,2H),3.66-3.70(m,2H),4.03(t,J=4.2Hz,2H),4.77(s,2H)
13C-NMR(CDOD,150Hz)δ(ppm):δ23.2,48.0,59.3,62.1,72.9,73.5,91.3
得られた[PyrMEM][Cl](4.2g、20.0mmol)とLiFSI(13.9g、21.1mmol)をメタノール(30mL)で溶かし、室温で21時間撹拌した。塩化メチレンにて抽出したのち、得られた有機層を水で洗浄した。その後、減圧条件下で乾燥し、[PyrMEM][FSI](2.76g、7.79mmol)を得た。目的物の生成はH-NMRにより確認した。
H-NMR(600MHz,CDCl)δ(ppm):2.25-2.32(m,4H),3.14(s,3H),3.39(s,3H),3.40-3.45(m,2H),3.59(t,J=4.2Hz,2H),3.68-3.71(m,2H),3.99(t,J=4.2Hz,2H),4.70(s,2H)
なお、「FSI」は、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン([N(FSO)を表す。
化合物A’~H’、並びに化合物G及びHについても、上述の方法により、イオン伝導度、電位窓、及び10%重量減少温度の測定を行った。結果を表6に示す。
Figure 2023036880000029
実施例A1と同様に表7に記載の組成の複合電解質を調製し、実施例A1と同様にIini、Ilimを測定した。結果を表7に示す。また、実施例B1と同様に表8に記載の組成の複合電解質を調製し、実施例B1と同様にIini、Ilimを測定した。結果を表8に示す。
Figure 2023036880000030
Figure 2023036880000031
本発明は、以下の例示的実施形態[1]~[12]を含む。
[1]
それぞれ正の形式電荷を有するヘテロ原子を含む二つの部分と、
前記二つの部分のそれぞれの前記ヘテロ原子と結合して当該二つの部分を連結する連結基と
を備えるカチオンを含有するジカチオン型イオン液体であって、
前記連結基が式:-CROCRCROCR-で表される、イオン液体。
(式中、R~Rは、それぞれ、水素原子、フッ素原子、又は1~20個の炭素原子を有する一価の有機基であり、前記有機基は式-R-(X-R-Rで表され、Rは共有結合又は置換若しくは未置換の二価の炭化水素基であり、Xは-O-、-S-、-C(=O)-、-C(=O)O-、又は-OC(=O)-であり、Rは共有結合又は置換若しくは未置換の二価の炭化水素基であり、Rは置換若しくは未置換の一価の炭化水素基であり、nは0以上である。ただし、R~Rのうち4個以上は水素原子である。)
[2]
~Rの全てが水素原子である、[2]のイオン液体。
[3]
5℃/分の昇温速度で測定した場合、280℃以上の10%重量減少温度を有する、[1]又は[2]のイオン液体。
[4]
前記二つの部分が互いに異なる化学構造を有する、[1]~[3]のいずれか一つのイオン液体。
[5]
イオン液体であって、
前記イオン液体とリチウム塩とを含み、前記リチウム塩の濃度がリチウムイオン換算で0.5mol/kgである複合電解質を調製した場合に、25℃において前記複合電解質についての以下の式で表される比が10%以上である、イオン液体。
式:Ilim/Iini
(式中、Ilimは、前記複合電解質の限界電流密度であり、Iiniは、限界電流密度に最初に達した電圧値で複合電解質に一定電圧を印加した場合に、当該一定電圧の印加開始から1秒後の電流密度である。)
[6]
ジカチオン型イオン液体である、[6]のイオン液体。
[7]
前記イオン液体の電位窓の上限は、Fc/Fc電極基準で2.0V以上であり、且つ25℃におけるイオン伝導度が0.1S/cm以上である、[1]~[6]のいずれか一つのイオン液体。
[8]
リチウム塩と、[1]~[7]のいずれか一つのイオン液体とを含む、複合電解質。
[9]
粘度低下剤を更に含む、[8]の複合電解質。
[10]
イオン液体と、リチウム塩とを含む複合電解質であって、
以下の式で表される比が20%以上である、複合電解質。
式:Ilim/Iini
(式中、Ilimは、限界電流密度であり、前記限界電流密度は25℃において前記複合電解質に0.1Vの一定電圧を印加しながら電流密度の値を測定した場合に、1時間以上、電流密度が略一定となった際の当該電流密度であり、Iiniは前記複合電解質に0.1Vの一定電圧を印加し始めてから1秒後の電流密度である。)
[11]
前記限界電流密度の値が90μA/cm以上である、[10]の複合電解質。
[12]
前記イオン液体がジカチオン型イオン液体である、[10]又は[11]の複合電解質。

Claims (3)

  1. イオン液体と、リチウム塩とを含む複合電解質であって、
    以下の式で表される比が20%以上である、複合電解質。
    式:Ilim/Iini
    (式中、Ilimは、限界電流密度であり、前記限界電流密度は25℃において前記複合電解質に0.1Vの一定電圧を印加しながら電流密度の値を測定した場合に、1時間以上、電流密度が略一定となった際の当該電流密度であり、Iiniは前記複合電解質に前記0.1Vの一定電圧を印加し始めてから1秒後の電流密度である。)
  2. 前記限界電流密度の値が90μA/cm以上である、請求項1に記載の複合電解質。
  3. 前記イオン液体がジカチオン型イオン液体である、請求項1又は2に記載の複合電解質。
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