1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1、2を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、以下の説明にて特に明示することなく画像というときは、静止画だけでなく、動画を含むものとする。
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
遊技領域902には、表示装置91、始動領域904、当たり領域21、アウト口などが設けられている。表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能な部分である。また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動領域904や当たり領域21等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
2)スペック
遊技者は、始動領域904に遊技球が進入することを契機として実行される当否抽選を経て、大当たり(特典)の獲得を目指す。当該当否抽選に当選しなければ大当たりを獲得することができない。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特図1」の始動領域)および第二始動領域904b(いわゆる「特図2」の始動領域)が設けられている(図2参照)。以下、第一始動領域904aに遊技球が進入することを契機として実行される当否抽選を第一当否抽選(特図1抽選)と、第二始動領域904bに遊技球が進入することを契機として実行される当否抽選を第二当否抽選(特図2抽選)と称することもある。
当否抽選の当たりの態様としては、「大当たり」および「小当たり」がある。大当たりおよび小当たりのいずれにも当選しない場合は「はずれ」となる。後述する遊技状態によらず、第一当否抽選および第二当否抽選のいずれが実行された場合であっても大当たり確率は約1/319である。また、後述する遊技状態によらず、第二当否抽選が実行された場合の小当たり確率は約1/1.8である。なお、本実施形態では、第一当否抽選が実行されても小当たりには当選しないものとされている。
大当たりに当選した場合には、大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、常態においては開閉部材(後述する下流側開閉部材22aと区別するため、上流側開閉部材21aと称する)により閉鎖されている、入賞領域の一種である当たり領域21(図2等参照)が所定条件(当該条件については後述)成立まで開放されるラウンド遊技(単位遊技)を複数回繰り返すものである。ラウンド遊技が○回実行される大当たりは、「○ラウンド大当たり」等と称される(ラウンド遊技の数は、「ラウンド数」等と称される)。
一方、小当たりに当選した場合には、小当たり遊技が実行される。小当たり遊技は、上記当たり領域21が開放されるものである。当たり領域21内には、当該当たり領域21に進入した遊技球が進入可能な領域である特典領域22が設けられている(図2等参照)。当該特典領域22は一般的にはV(領域)等と称されるものである。小当たり遊技にて、当該特典領域22に遊技球が進入した場合には、大当たり(大当たり遊技)が付与される。小当たり遊技にて特典領域22に遊技球が進入しなかった場合には大当たりは付与されない。このように、本実施形態では、当たり領域21は、小当たり当選時に大当たりを獲得するために進入させるべき特典領域22が設けられた領域と、ラウンド遊技としての入賞領域を兼ねている。
上記の通り、大当たり(大当たり遊技)を獲得するためのルートとして、大当たりに当選する「直当たりルート」と、小当たりに当選した上で特典領域22への遊技球の進入を実現する「小当たりルート」がある。このような二つの大当たり獲得ルートが設けられたぱちんこ遊技機は、一般的には一種・二種混合機等と称される。なお、小当たり経由で大当たり遊技を獲得した場合、小当たり遊技は1回目のラウンド遊技(単位遊技)として取り扱われる。例えば、小当たり当選を経た後、9回のラウンド遊技が実行される大当たりは、「10ラウンド大当たり」とされる。
本実施形態では、小当たり当選した場合、当たり領域21(特典領域22)を狙って継続的に遊技球を発射し続けていれば(本実施形態では継続的に右打ちしていれば)、ほぼ確実に遊技球が特典領域22に進入するように設定されている。したがって、実質的には「小当たり当選=大当たり当選」であるということになる。本実施形態における特典領域22は、常態において閉鎖されており、小当たり遊技にて開放されるものである。すなわち、特典領域22の入口には、当該入口を開閉する下流側開閉部材22a(入口を閉鎖する閉位置と開放する開位置との間を往復動作可能な部材)が設けられており、小当たり遊技にて当該下流側開閉部材22aが開位置に位置させられる。ただし、特典領域22を常時開放された領域としてもよい。つまり、当たり領域21を開閉する部材(本実施形態でいう上流側開閉部材21a)が、実質的に特典領域22を開閉する部材として機能する構成としてもよい。なお、図面においては、上流側開閉部材21aおよび下流側開閉部材22aが閉位置に位置している状態を「実線」で、開位置に位置している状態を「点線」で示す。
当否抽選結果は、基本的には表示装置91の表示領域911に表示される装飾図柄80(図3参照)の組み合わせによって遊技者に報知される。具体的には、複数種の装飾図柄80を含む装飾図柄群80g(左装飾図柄群80gL、中装飾図柄群80gC、右装飾図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各装飾図柄群80gから一の装飾図柄80が選択されて停止する。当否抽選結果が当たり(本実施形態では、大当たりまたは小当たり)に当選している場合には各装飾図柄群80gから選択されて停止した装飾図柄80の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ種類の装飾図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。以下、装飾図柄80(装飾図柄群80g)の変動開始から、当否抽選結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出を変動中演出と称する(単に「変動」や「回転」と称することもある)。なお、装飾図柄群80gの数(当否抽選結果を報知する組み合わせを構成する装飾図柄80の数)は二以上であればよく、その数は適宜変更可能である。
なお、当該装飾図柄80とは別の図柄(図示せず)が表示領域911の外縁近傍に小さく表示されるものとしてもよい。当否抽選結果が当たりとなった場合、装飾図柄80のみでは大当たりおよび小当たりのいずれに当選したかが明確に区別できないため、当該別の図柄により大当たりおよび小当たりのいずれに当選したのかが報知されるようにしてもよい。しかし、上述した通り、実質的には「小当たり=大当たり」であり、小当たりおよび大当たりのいずれに当選した場合であっても装飾図柄80が当たり組み合わせとなるため、遊技者は当該別の図柄を意識することなく遊技することができる。
大当たり(特典)の獲得を目指して遊技する遊技状態として、通常遊技状態および当該通常遊技状態よりも遊技者に有利な特別遊技状態が設定されている(図4(a)参照)。通常遊技状態は、遊技領域902の左側(表示装置91の左側)を遊技球が流下するように遊技球を発射すべき状態(「左打ち」すべき状態)である。左打ちを行った場合には、第一始動領域904aに遊技球が進入する可能性がある。つまり、通常遊技状態は、第一当否抽選を経て大当たり獲得を目指す状態である。なお、左打ちを行った場合、第二始動領域904bに遊技球が進入する可能性はない。上述した通り、本実施形態では、第一当否抽選により小当たりに当選することはないから、通常遊技状態においては、小当たり経由の大当たり獲得は不可能とされている。なお、第一当否抽選により小当たりに当選しうるものの、その際の当たり領域21の開放時間は極めて短く、特典領域22に遊技球を進入させることは事実上不可能である構成とすることで、通常遊技状態にて小当たり経由の大当たり獲得が不可能である設定としてもよい。
このように、通常遊技状態においては、第一当否抽選にて大当たりに当選すること(本実施形態では約1/319に当選すること)を目指して遊技することになる。第一始動領域904aに遊技球が進入することを契機として、乱数源から数値(以下、第一当否抽選情報と称することもある)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、第一当否抽選情報が取得された順に当否抽選結果の報知が開始される(装飾図柄80(装飾図柄群80g)の変動が開始される)。また、未だ対応する当否抽選結果の報知が完了していない第一当否抽選情報は、記憶手段(図示せず)に記憶される。当該第一当否抽選情報は、対応する変動中演出が開始されている第一変動中情報と、対応する変動中演出が開始されていない第一保留情報とに区分けされる。本実施形態は、記憶手段が記憶可能な第一保留情報の数は「4」である(「特図1保留の上限=4」である)。
記憶手段に第一変動中情報が記憶されていることは、表示領域911に変動中図柄11(いわゆる「当該変動保留(図柄)」)が表示されることにより示される(図3参照)。記憶手段に第一保留情報が記憶されていることは、表示領域911に保留図柄12が表示されることにより示される(図3参照)。保留図柄12は第一保留情報の数分表示される。本実施形態では、変動中図柄11と保留図柄12の基本的な形態は同じであるがその大きさが異なる。変動中図柄11と保留図柄12の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。また、変動中図柄11が表示されない構成としてもよい。なお、保留図柄12は、対応する当否抽選結果の報知が完了する順番(いわゆる「消化順」)で並べて表示される。
特別遊技状態(図4(a)参照)は、遊技領域902の右側(表示装置91の右側)を遊技球が流下するように遊技球を発射すべき状態(「右打ち」すべき状態)である。右打ちを行った場合には、第二始動領域904bに遊技球が進入する可能性がある。つまり、第二当否抽選を経て大当たり獲得を目指す状態である。なお、右打ちを行った場合、第一始動領域904aに遊技球が進入する可能性はない。上述した通り、本実施形態では、第二当否抽選が実行された場合、大当たりに当選する可能性だけでなく、小当たりに当選する可能性もある。したがって、特別遊技状態は、大当たり当選(直当たり)による大当たり(特典)獲得の可能性もあれば、小当たり経由での大当たり(特典)獲得の可能性もある状態である。小当たり当選確率(約1/1.08)は、大当たり当選確率(約1/319)に比して著しく高いため、実質的には小当たり当選(小当たり経由の大当たり獲得)を目指して遊技する状態であるともいえる。このように小当たり経由での大当たり獲得が望める分、特別遊技状態は、(小当たり経由の大当たり獲得ができない)通常遊技状態よりも遊技者に有利な状態であるといえる。
常時開放された領域である第一始動領域904aとは異なり、第二始動領域904bは常態において閉鎖された領域である。第二始動領域904bは、普通抽選に当選することを契機として開放される(当該第二始動領域904bの開閉の詳細については後述する)。普通抽選は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機として実行される。普通始動領域905は、右打ちされた遊技球が進入可能な常時開放された領域である(左打ちされた遊技球が進入する可能性はない)。特別遊技状態では、(通常遊技状態に比して)当該普通抽選に当選する確率が極めて高いし、当該普通抽選に当選したときの第二始動領域904bの開放時間も比較的長い。したがって、ある程度継続的に右打ちを行っていれば、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が進入する(第二当否抽選を受けることができる)。なお、通常遊技状態では、当該普通抽選に当選する確率が極めて低く設定されている。また、当選したとしても、第二始動領域904bの開放時間は極めて短い。したがって、通常遊技状態にて、第二当否抽選を受けることは実質的に不可能とされている(通常遊技状態にて右打ちすることは、左打ちすることよりも遊技者に不利な設定とされている)。
第二始動領域904bに遊技球が進入することを契機として、乱数源から数値(以下、第二当否抽選情報と称することもある)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、予め定められた小当たりの数値(大当たりの数値とは異なる)と同じである場合には小当たりとなり、そのいずれとも異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、第二当否抽選情報に対応する当否抽選結果の報知が実行されている(装飾図柄80の変動中である)ときに、第二始動領域904bに遊技球が進入しても、新たな第二当否抽選情報は取得されない。つまり、いわゆる特図2保留は記憶手段に記憶されない(「特図2保留(の上限)=0」である)。
大当たり(小当たり経由を含む)は、大まかに、通常大当たりと特別大当たりに区分けされる。通常大当たりは、大当たり遊技終了後の遊技状態が通常遊技状態となるものである。特別大当たりは、大当たり遊技終了後の遊技状態が特別大当たりとなるものである(図4(a)参照)。大当たり遊技終了後の遊技状態という点についてみれば、通常大当たりよりも特別大当たりの方が遊技者にとって有利な大当たりであるといえる。なお、大当たりのラウンド数(いわゆるラウンド振分)はどのようなものであってもよい。ラウンド数が一定であるものとしてもよいし、ラウンド数が異なる二種以上の通常大当たりや特別大当たりが設定されたものとしてよい。
遊技者に有利な特別遊技状態で空台となっていることは稀であるため、普通であれば遊技者は通常遊技状態から遊技を開始することになる。つまり、第一当否抽選を経て大当たりを獲得することを目指して遊技(左打ち)する。第一当否抽選を経て獲得した大当たりは、その50%が通常大当たりであり、残りの50%が特別大当たりとなる(図4(b)参照)。通常大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技終了後、再び通常遊技状態に移行し、当該通常遊技状態にて大当たり獲得を目指して遊技する。特別大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技終了後、特別遊技状態に移行する(図4(a)参照)。
特別遊技状態においては、第二当否抽選を経て大当たりを獲得することを目指して遊技(右打ち)する。第二当否抽選を経て獲得した大当たりは、その18%が通常大当たりであり、残りの82%が特別大当たりとなる(図4(b)参照)。通常大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技終了後、通常遊技状態に移行し、当該通常遊技状態にて大当たり獲得を目指して遊技する。特別大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技終了後、再び特別遊技状態に移行する(図4(a)参照)。
特別遊技状態は、特別遊技状態に移行してから実行された第二当否抽選のはずれの連続回数が所定回数となることをもって終了し、通常遊技状態に移行する。本実施形態では、所定回数(いわゆる時短回数)=10000とされている(図4(a)参照)。小当たり確率が1/1.08であることからすれば、10000回連続して小当たりおよび大当たり(直当たり)のいずれにも当選しないことはほぼ起こり得ない。つまり、本実施形態では、特別遊技状態に移行することは、実質的に次回大当たり獲得(小当たりおよび大当たりのいずれかに当選すること)が確定するものであるといえる。上述した通り、第二当否抽選を経て獲得した大当たりは、その18%が通常大当たりであり、残りの82%が特別大当たりであることからすれば、本実施形態にかかる遊技機1は(連荘)継続率82%の遊技性であるといえる。
このようなスペックとすることは一例であり、以下で説明する各種構成等は、上記スペックでなければ成り立たないものを除き、異なるスペックとされる遊技機にも適用可能である。
3)遊技球数の一致判定
上述した通り、入賞領域の一種であり、当否抽選結果が当たり(小当たりまたは大当たり)となることで開放される当たり領域21が設けられている。当該当たり領域21は、ラウンド遊技(単位遊技)の開始を契機として開放され(上流側開閉部材21aが開位置に位置し)、ラウンド遊技の終了を契機として閉鎖される(上流側開閉部材21aが閉位置に位置する)。なお、上流側開閉部材21aが開位置と閉位置との間を短時間で往復動作するような当たり領域21の開放態様(いわゆる「パカパカ」。このように上流側開閉部材21aが動作することも、当たり領域21の「開放」である(ラウンド遊技である)ものとする)とされるものとしてもよい。後述する入賞条件および時間条件のいずれか一方の成立まで、当該上流側開閉部材21aの往復動作が行われる。
ラウンド遊技は、規定数の遊技球の入賞が確認されたこと(入賞条件)、および、開始から所定時間経過したこと(時間条件)のいずれか一方が成立したことをもって終了する。なお、規定数は、一般的には「カウント」等と称されるものである。本実施形態では、規定数=10である(10カウントである)。入賞の確認方法については後述する。ラウンド遊技の開始に伴い、当たり領域21に向かって継続的に遊技球を発射していれば、時間条件が成立するよりも前に入賞条件が成立してラウンド遊技が終了する。つまり、指示通り遊技球を発射していれば、一の単位遊技にて規定数の遊技球が当たり領域21に入賞することによる利益は得られるように設定されている。
図5に模式的に示す通り、当たり領域21内に進入した遊技球は、(不正行為や機械の異常がなければ)第一箇所31および第二箇所32を通過する。第一箇所31は、第二箇所32よりも上流側である。つまり、第一箇所31を通過した遊技球はそのまま第二箇所32を通過することになる位置関係にある。第一箇所31には第一センサが、第二箇所32には第二センサが設けられている。第一箇所31および第二箇所32の一方は、特典領域22が設けられた箇所とされる。つまり、特典領域22に遊技球が進入したことは第一センサおよび第二センサの一方により検出される(厳密には、センサを介して遊技機1の制御手段が検出するということである)。本実施形態では、特典領域22は第一箇所31に設けられており(特典領域22=第一箇所31であり)、特典領域22に遊技球が進入したことは第一センサにより検出される。
第一箇所31として一つの箇所が設けられた構成としてもよいし、第一箇所31として二以上の箇所が設けられた構成としてもよい。同様に、第二箇所32として一つの箇所が設けられた構成としてもよいし、第二箇所32として二以上の箇所が設けられた構成としてもよい。ただし、二以上の第一箇所31を設ける場合には一の遊技球が二以上の第一箇所31のうちのいずれか一つを通過する(他の第一箇所31を通過しない)ようにし、二以上の第二箇所32を設ける場合には一の遊技球が二以上の第二箇所32のうちのいずれか一つを通過する(他の第二箇所32を通過しない)ようにする。本実施形態では、第一箇所31として、第一箇所31A(第一センサA)と第一箇所31B(第一センサB)の二つが設けられている(第二箇所32は一つのみである)(図5参照)。当たり領域21内に進入した遊技球は第一箇所31Aおよび第一箇所31Bの一方を通過することになる。具体的には、当たり領域21の出口として二つの出口が設けられており、一方の出口(図5における左側の出口)を通過した遊技球は第一箇所31Aを、他方の出口(図5における右側の出口)を通過した遊技球は第一箇所31Bを通過する。特典領域22は、第一箇所31Aに設けられている。つまり、上記一方の出口は、下流側開閉部材22aが開位置に位置することで遊技球が通過可能となり、当該出口を通過した遊技球が特典領域22に進入して第一センサAに検出される。下流側開閉部材22aが閉位置に位置する状態においては、当たり領域21に進入した遊技球は上記他方の出口を通過し、第一箇所31Bを通過することになる。なお、模式図である図5には表れていないが、二つの出口が形成された当たり領域21の底面は、下流側開閉部材22aが開位置に位置しているときには、上記一方の出口を遊技球が優先的に通過するような形状とされる。つまり、下流側開閉部材22aが開位置に位置しているときには当たり領域21に進入した遊技球のほとんどが第一箇所31A(特典領域22)を通過する一方、下流側開閉部材22aが閉位置に位置しているときには当たり領域21に進入した遊技球の全部が第一箇所31Bを通過するものとされる。
第一箇所31Aを通過した(第一センサAに検出された)遊技球と第一箇所31Bを通過した(第一センサBに検出された)遊技球の和が、第一箇所31を通過した遊技球ということになる。第一箇所31Aおよび第一箇所31Bのいずれを通過した遊技球も(本実施形態では唯一である)第二箇所32を通過することになる。具体的には、第一箇所31Aおよび第一箇所31Bのいずれを通過した遊技球も合流した上で第二箇所32を通過することになる。
ラウンド遊技においては、基本的には、第一センサ(本実施形態では第一センサA、B)により遊技球が検出されたことを「入賞」と取り扱う(第一センサに検出されることを契機として賞球を払い出す)。異常等がなければ、第一センサにより検出されるということは、それよりも下流側に位置する第二センサにも検出されているということになる。各ラウンド遊技においては、第一センサにより検出された遊技球数(以下、第一遊技球数と称することもある)と、第二センサにより検出された遊技球数(以下、第二遊技球数と称することもある)とが一致する場合には異常等が無いと判断され、不一致であるには異常等があると判断される。
具体的には、あるラウンド遊技の終了後、第一遊技球数と第二遊技球数が一致しているか否かが判断され(遊技球数の一致判定を行い)、一致している場合には次のラウンド遊技が開始されるものの、不一致である場合には次のラウンド遊技(以下、次ラウンドと称することもある)が開始されないように制御される。なお、上述した通り、各ラウンド遊技は、規定数の遊技球が入賞することを入賞条件の成立としているため、第一遊技球数と第二遊技球数は、規定数以上ということになる。規定数「以上」としているのは、いわゆるオーバー入賞(一の単位遊技にて規定数以上の遊技球が入賞すること)が発生する可能性があるからである。すなわち、オーバー入賞が発生した場合であっても、第一遊技球数と第二遊技球数が一致するかどうかが判断される。本実施形態では規定数=10であるため、オーバー入賞が発生しない場合には、第一遊技球数=第二遊技球数=10となることが次ラウンド開始の条件となる。また、例えば、一の遊技球のオーバー入賞が発生した場合には、第一遊技球数=第二遊技球数=11となることが次ラウンド開始の条件となる。
なお、このような遊技球数の一致判定を行うのは、遊技機1の異常や不正行為を見逃さないようにするためである。第一遊技球数と第二遊技球数が不一致であるということは、第一箇所31および第二箇所32の一方のみを通過した遊技球が存在する、という本来であればあり得ない事象が発生したことになるから、このような事象が発生したことを見逃さないようにする。特に本実施形態では、遊技球の進入が遊技者に利益をもたらす(逆にいえば、小当たり遊技にて遊技球が進入しなければスペック通りの利益を得ることができない)特典領域22が設けられているため、異常や不正行為によって、進入すべきではないときに遊技球が特典領域22に進入する、進入すべきときに遊技球が特典領域22に進入しないといった事象が発生していることを見逃さないようにする必要がある。
遊技球数の一致判定が行われる可能性がある時点(基準時点)として、「先基準時点」およびそれよりも後の「後基準時点」がある。「先基準時点」および「後基準時点」は、ラウンド遊技どうしの間の期間であるインターバル期間のある時点である。なお、後述するように「後基準時点」は通常であれば訪れることがない時点である。
あるラウンド遊技(以下、対象ラウンドと称することもある)が終了してからT1時間経過後の時点を先基準時点とする。当該先基準時点にて、第一遊技球数と第二遊技球数の一致が認められた場合には、異常等がないものとして次ラウンドを開始させる(図6(a)参照)。T1時間は、遊技球が第一箇所31から第二箇所32に到達するまでに要する平均時間に、さらなる付加時間を加えたものとされ、異常や不正行為がない場合には、対象ラウンドが終了してからT1時間経過後には当たり領域21に進入した全ての遊技球が第二箇所32を通過しているような設定とされる。したがって、基本的には当該先基準時点にて遊技球数の一致が認められ、当該先基準時点到達を契機として次ラウンドが開始されることになる。
先基準時点にて第一遊技球数と第二遊技球数が不一致であった場合には、次ラウンドは開始されない。対象ラウンドが終了してからT2時間(T2>T1である)経過した後基準時点にて、再び第一遊技球数と第二遊技球数が一致するかどうかを判断する。遊技球数の一致が認められた場合には、それを契機として次ラウンドを開始させる(図6(b)参照)。一方、未だ遊技球数が不一致であった場合には、異常であると判断して異常対応動作を行う。本実施形態では、異常対応動作として、異常を解消するための異常解消動作を行う。本実施形態では、下流側開閉部材22aの開閉動作を異常解消動作として行う。上述した通り、下流側開閉部材22aは、当たり領域21内に設けられた特典領域22(第一箇所31)を開閉する部材であるところ、当該下流側開閉部材22aを動作させることで振動が生じるため、当たり領域21内で発生した球詰まりや遊技球の滞留等が解消される可能性がある。つまり、遊技球数が不一致であることが、不正行為ではなく、球詰まりや遊技球の滞留等によって生じたものであるとすれば、異常解消動作によりその状況が解消される可能性がある。
異常解消動作を行った後、所定時間経過後に再び第一遊技球数と第二遊技球数が一致するかどうか判断する。遊技球数の一致が認められた場合には次ラウンド遊技を開始させる(図6(c)参照)。一方、未だ遊技球数が不一致であった場合には、不正行為等の可能性があるとして、次ラウンドを開始させることなく、異常報知を行う(図6(d)参照)。例えば、スピーカから警告音を発生させる等の異常報知を行う。これにより、遊技店は不正行為等の可能性があることを知ることができる。なお、異常報知の態様としては、警告音の出力以外にも考えられる。例えば、表示領域911に警告画像が表示されるといった態様の異常報知が実行されるようにしてもよい。このような警告画像の表示が、警告音の出力と併せて実行されるようにしてもよい。
このように、本実施形態では、あるラウンド遊技が終了した後のインターバル期間中に、まずは先基準時点にて遊技球数が一致するかどうかを判断し、先基準時点にて遊技球数の一致が認められなかった場合には、後基準時点にて再び遊技球数が一致するかどうか判断する。通常であればこのような判断を行う基準時点を一つとし、当該一つの基準時点で一致していれば正常、一致していなければ異常である(異常対応動作を行う)とすればよいようにも思うところ、このようにすると、当該一つの基準時点に到達しない限り次ラウンドが開始されないということになり、遊技(大当たり遊技)のスピード感が損なわれてしまう。本実施形態では、基準時点として先基準時点と後基準時点の二つを用意し、まず先基準時点にて遊技球数の一致を判断し、そこで一致が認められれば後基準時点を待たずに次ラウンドが開始される(図6(a)参照)ようにしているから、遊技(ラウンド遊技)がテンポよく進行するものとなる。
また、先基準時点にて遊技球数の一致が認められなかった場合であっても、後基準時点にて遊技球数の一致が認められれば次ラウンドが開始される(図6(b)参照)ため、異常と判定される頻度が著しく高まってしまうおそれも低い。つまり、正常時であっても先基準時点にて遊技球数の一致が認められない可能性はあることから、その場合に即座に異常と判定するのではなく、後基準時点にてもう一度遊技球数が一致しているかどうかを判断するようにしている。
以下、遊技球数の一致判定に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇具体例1-1
上記実施形態では、後基準時点にて遊技球数が不一致であった場合には、異常対応動作として異常解消動作を行い、それによっても遊技球数が不一致であることが続いた場合には異常報知を行うことを説明したが、後基準時点にて遊技球数が不一致であった場合に異常解消動作を行わず、即座に異常報知を行うものとしてもよい(図7参照)。つまり、後基準時点にて遊技球数が不一致であった場合の異常対応動作として、異常を報知する異常報知(動作)が行われるものとする。本例のようにした場合、実際に不正行為等が行われていた場合に、異常報知のタイミングが早くなるという利点がある。ただし、当たり領域21内で発生した球詰まりや遊技球の滞留等によって遊技球数の不一致が生じている可能性もあるため、その可能性を排除した(低くした)上で異常報知がなされるようにしたいのであれば、上記実施形態にて説明したように、まずは異常解消動作がなされるようにすることが好ましい。
〇具体例1-2
上記実施形態にて説明した遊技球数の一致判定は、小当たり遊技についてのみ行われるものとする。上述した通り小当たり経由で獲得した大当たり遊技における1ラウンド目のラウンド遊技が小当たり遊技に相当するのであるから、当該1ラウンド目が遊技球数の一致判定がなされる対象ラウンドとされる(それ以外は対象ラウンドとされない)構成とする。つまり、特典領域22に遊技球が進入することになる小当たり遊技は、異常が発生して特典領域22に遊技球が進入しないことになると遊技者に著しく不利益となるから、当該小当たり遊技にて異常の有無を判定することは、その他のラウンドよりも重要である。したがって、当該小当たり遊技(小当たり当選時の1ラウンド目)を対象ラウンドとして、先基準時点および後基準時点にて遊技球数の一致判定がなされる(異常の有無が慎重に判定される)ものとする。
それ以外のラウンド(特典領域22に遊技球が進入するか否かが遊技者の利益に大きな影響を与えないラウンド)については、上記実施形態のように二つの基準時点を設けないものとすればよい。例えば、一つの基準時点を設け、当該一つの基準時点にて遊技球数の一致判定を行えばよい。このようにすることで、当該「それ以外のラウンド」についてもテンポよく遊技(ラウンド)が進行することになる。
なお、当たり領域21に設けられた特典領域22に遊技球が進入するか否かが遊技者に大きな影響を与える遊技機として、いわゆるV確変機が知られている。V確変機自体は周知であるため詳細な説明を省略するが、大当たり遊技中に特典領域22に遊技球が進入した場合には大当たり遊技終了後の遊技状態が有利者に遊技な状態となり(確変状態となり)、進入しなかった場合には大当たり遊技終了後の遊技状態が有利者に遊技な状態とはならない(低確率状態となる)ものである。当該V確変機においては、大当たり遊技を構成する複数のラウンド遊技のうちの一部が、特典領域22が開放されるラウンドとされるところ、当該特典領域22が開放されるラウンドを対象ラウンドとして(それ以外のラウンドは対象ラウンドとせずに)、上記実施形態にて説明したような遊技球数の一致判定が行われるものとすることが考えられる。
〇具体例1-3
基準時点を変更可能な構成とする。上述した通り、先基準時点は対象ラウンドが終了してから時間T1が経過した時点であり、後基準時点は対象ラウンドが終了してから時間T2が経過した時点であるところ、当該時間T1および時間T2の少なくともいずれか一方の時間の長さを、遊技店(遊技店員)が任意に調整することができるものとする。例えば、遊技機1内部に設けられた、遊技店員は操作できるものの遊技者は操作できない箇所に当該調整を行うことが可能な調整手段が設けられたものとする。
時間T1を短くすればするほど、(先基準時点にて遊技球数の一致が認められた場合に)次ラウンドが開始されるタイミングが早くなり、遊技(ラウンド)がテンポよく進行するという利点がある。しかし、時間T1を短くしすぎると、先基準時点にて遊技球数の一致が認められる頻度が著しく低下するという問題がある。この点を踏まえ、実際に設置された遊技機1の状態に応じた丁度良い時点が先基準時点とされるように、先基準時点(時間T1)を遊技店側が任意に決定できるようにする。
また、時間T2を短くすればするほど、先基準時点にて遊技球数の一致が認められなかった場合での、二回目の判定時点(後基準時点)が早く訪れるという利点がある。しかし、時間T2を短くしすぎると、異常や不正行為がないにもかかわらず、後基準時点にて遊技球数の一致が認められないという状況が発生するおそれが高まるという問題がある。この点を踏まえ、実際に設置された遊技機1の状態に応じた丁度良い時点が後基準時点とされるように、後基準時点(時間T2)を遊技店側が任意に決定できるようにする。
4)第二始動領域の開放・閉鎖
第二始動領域904bは、特別遊技状態にて遊技者が狙う始動領域(特別始動領域)である。第二始動領域904bに遊技球が進入することを契機として第二当否抽選(特別抽選)が実行される。第二当否抽選に当選した場合(本実施形態では約1/1.08の小当たりに当選した場合)には、特典領域22が開放される。つまり、第二始動領域904bに遊技球が進入した場合、そのほとんどが小当たりとなり、特典領域22が開放される。厳密には、上流側開閉部材21aが変位して当たり領域21が開放されるとともに、下流側開閉部材22aが変位して当該当たり領域21内に位置する特典領域22が開放される。
第二始動領域904bは、常態において閉鎖された領域であり、普通抽選に当選することを契機として開放される領域である。なお、ここでいう「閉鎖」(状態)とは、遊技球が第二始動領域904bに進入不可能な状態にあることをいい、「開放」(状態)とは、遊技球が第二始動領域904bに進入可能な状態にあることをいう。本実施形態では、遊技球が流下する通路であって、幅方向に二以上の遊技球が並ぶことができない遊技球通路40の出口(当該遊技球通路40の途中であってもよい)に誘導部材41(図8参照)が設けられており、当該誘導部材41により第二始動領域904bの閉鎖状態および開放状態が作り出される。具体的には、誘導部材41は、その全体が遊技盤の前面よりも後ろに位置した(引っ込んだ)状態である原位置と、遊技盤の前面よりも手前に突出した進出位置との間を往復動作することが可能であるところ、遊技球通路40を流下する遊技球が誘導部材41が設けられた箇所まで到達したとき、当該誘導部材41が原位置に位置する場合にはそのまま遊技球が当該箇所を通過する一方、当該誘導部材41が進出位置に位置する場合には遊技球が誘導部材41に誘導されることでその左に位置する第二始動領域904bまで導かれるように構成されている。つまり、不正行為等がない限りにおいて誘導部材41が原位置に位置するときには遊技球が第二始動領域904bに進入することは不可能であり、誘導部材41が進出位置に位置するときには遊技球が第二始動領域904bに導かれるように構成されている。なお、図面においては、誘導部材41が進出位置に位置している状態を「実線」で、原位置に位置している状態を「点線」で示す。
普通抽選は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機として普通抽選が実行される。普通抽選に当選することを契機として第二始動領域904bが開放される。普通始動領域905は常時開放された領域である。普通始動領域905を狙って遊技球を発射していれば(右打ちしていれば)、頻繁に遊技球が普通始動領域905に進入する。つまり、頻繁に普通抽選が実行される。本実施形態では、遊技球が普通始動領域905に進入することにより普通抽選情報が取得され、それに基づいて普通抽選が実行される。普通抽選の当選確率は約1/1.01とされており、ほとんどが当選する。ある普通抽選情報に基づく普通抽選の結果の報知が完了していない状態にて、新たに遊技球が普通始動領域905に進入した場合には、それに基づく普通抽選情報は、普通保留情報として図示しない記憶手段に記憶される。記憶手段は、最大で四つの普通抽選情報を記憶することが可能である。なお、大当たり遊技や小当たり遊技が開始された際には、記憶手段に記憶された普通保留情報があっても、大当たり遊技や小当たり遊技が終了するまでは当該普通保留情報に対応する普通抽選は実行されない。
第二始動領域904bは、特典領域22(当たり領域21)の上流側に位置している。本実施形態では、遊技球通路40の出口から出た遊技球が到達可能な位置に特典領域22(当たり領域21)が位置している。したがって、遊技球通路40に進入した遊技球のうち、第二始動領域904bに進入しなかった遊技球が特典領域22(当たり領域21)に進入する可能性がある(第二始動領域904bに進入した遊技球は特典領域22(当たり領域21)に進入する可能性はない)。上述した通り、遊技球通路40には第二始動領域904bに遊技球を誘導する誘導部材41が設けられているため、遊技球が遊技球通路40に進入しても、誘導部材41が進出位置に位置する(第二始動領域904bが開放状態にある)限りにおいては当該遊技球通路40に進入した遊技球は第二始動領域904bに進入することになるから、特典領域22(当たり領域21)まで到達することはないということである(図8参照)。
第二始動領域904b(特別始動領域)と特典領域22(当たり領域21)が上記のような関係にあると、次のような問題がある。特別遊技状態にて、普通抽選に当選することを契機として第二始動領域904b(特別始動領域)が開放状態となる。これにより、第二始動領域904bに遊技球が進入し(図9(a)参照)、第二当否抽選(特別抽選)が実行され、その結果小当たりに当選することがある。なお、本実施形態における小当たり当選確率極めて高い(約1/1.08)から、第二当否抽選の結果はほとんどが小当たりとなる。小当たり当選後、当たり領域21およびその内部に設けられた特典領域22が開放される小当たり遊技が実行される。特典領域22に遊技球が進入することで、大当たり遊技(特典)が付与される。
上述した通り、遊技球が遊技球通路40に進入しても、誘導部材41が進出位置に位置する(第二始動領域904bが開放状態にある)限りにおいて、遊技球通路40に進入した遊技球が特典領域22(当たり領域21)まで到達することはない。そのため、小当たり遊技が開始された後も第二始動領域904bが開放状態にあるとすると、特典領域22まで到達する遊技球の数が著しく少なくなってしまう(図9(b)のような状態となってしまう)おそれがある。最悪の場合、小当たり遊技中に特典領域22に遊技球が進入せずに大当たり遊技(特典)を獲得できない結果に至ってしまうおそれがある。
本実施形態では、(後述する閉鎖条件が成立しなければ)普通抽選に当選することを契機として、第二始動領域904bが「3秒間」開放されることが、「3回」繰り返されることになる。具体的には、第二始動領域904bが「3秒間開放」(一回目の開放)→「1秒間閉鎖」→「3秒間開放」(二回目の開放)→「1秒間閉鎖」→「3秒間開放」(三回目の開放)というような開放パターンで第二始動領域904bが開放することになる。また、小当たり当選時における変動時間(小当たり当選を報知する変動中演出の時間)は、平均3秒と短い。そのため、「一回目の開放」で遊技球が第二始動領域904bに進入し、それを契機として小当たりに当選してしまうと、小当たり遊技が実行されている最中にて、第二始動領域904bが上記「二回目の開放」や「三回目の開放」状態にあり、特典領域22まで到達する遊技球の数が著しく少なくなってしまう可能性がある。
このような問題を解消するため、本実施形態では、普通抽選に当選して開放された第二始動領域904b(特別始動領域)が閉鎖される(誘導部材41が原位置に戻る)閉鎖条件として、「一つ」の遊技球が第二始動領域904bに進入することが設定されている。なお、ここでいう「閉鎖」とは、上述した開放パターンが途中で打ち切られることをいう。例えば、「一回目の開放」にて一つの遊技球が第二始動領域904bに進入した場合には、「二回目の開放」や「三回目の開放」が実行されないことになる。すなわち、一つの遊技球が第二始動領域904bに進入する(図10(a)参照)ことをもって、次の普通抽選に当選するまでは、第二始動領域904bの遊技球が進入不能な状態(図10(b)参照)が維持されることになる。当該一つの遊技球の第二始動領域904bへの進入を契機として第二当否抽選(特別抽選)により小当たりに当選した場合には、すぐに小当たり遊技が開始されるから、小当たり遊技が実行されている最中は第二始動領域904bが閉鎖された状態にある(図10(c)参照)ということである。
したがって、本実施形態では、特典領域22(当たり領域21)が開放される際には、第二始動領域904b(特別始動領域)は閉鎖された状態にあり、第二始動領域904b(誘導部材41)が設けられた箇所まで到達した遊技球は第二始動領域904bに進入することはなく、特典領域22(当たり領域21)に向かって流下する(図10(c)参照)。そのため、特典領域22まで到達する遊技球が著しく少なくなってしまうおそれ(小当たり遊技にて特典領域22に遊技球が進入しない事態が発生してしまうおそれ)を低減することができる。
特に、本実施形態では、第二当否抽選(特別抽選)の結果を報知する変動中演出が実行されている最中に、新たな遊技球が第二始動領域904b(特別始動領域)に進入しても、それを契機として第二当否抽選(特別抽選)は実行されない、すなわち「特図2保留(の条件)=0」のスペックである(「特図2保留」を貯めることができないスペックである)から、一つの遊技球が第二始動領域904bに進入することを契機として第二始動領域904bが閉鎖されることにする大きな問題はないといえる。
5)特定演出中における変動中図柄の制御
上述した通り、通常遊技状態にて変動中図柄11が表示される(図3参照)。本実施形態では、当該変動中図柄11が以下のように制御される。なお、本実施形態では、特別遊技状態にて変動中図柄11は表示されないが、通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態においても変動中図柄11が表示されるものとする場合にて、以下のような制御がなされるものとしてもよい。以下の説明において、変動中図柄11に対応する当否抽選結果(すなわち変動中にある装飾図柄80により報知される当否抽選結果)を対象当否抽選結果と、現在実行されている変動中演出を対象変動と称することもある。
図11に示すように、変動中図柄11の態様は、通常態様11nと、それよりも対象当否抽選結果の大当たり信頼度が高い特殊態様11sに区分けされる。通常態様11nは、最も表示される確率が高いものであり、変動中図柄11の「常態」であるといえる。本実施形態では、一つの通常態様11nと、三つの特殊態様11s(第一特殊態様111s~第三特殊態様113s)が設定されている。なお、各態様を表すものとして複数種の態様が設定された構成(例えば、通常態様11nに含まれる複数種の態様が設定された構成としてもよい)。通常態様11nが表示された場合よりも、特殊態様11sが表示された場合の方が、対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性(以下、信頼度と称することもある)が高い。第一特殊態様111sが表示された場合よりも第二特殊態様112sが表示された場合の方が、第二特殊態様112sが表示された場合よりも第三特殊態様113sが表示された場合の方が、対象当否抽選結果が大当たりとなる蓋然性が高い。変動中図柄11の各態様は、互いに区別できるものであればよい。図面においては、第一特殊態様111sを「青」、第二特殊態様112sを「緑」、第三特殊態様113sを「赤」の文字を付して示す(通常態様11nは文字無し)。なお、本実施形態では、第三特殊態様113sでも対象当否抽選結果が大当たりとなることが確定するものではない(全ての態様が信頼度100%未満である)。ただし、大当たりが確定する特殊態様11sが設定されたものとしてもよい。なお、本実施形態では、保留図柄12も変動中図柄11と同様に区分けされている。ただし、変動中図柄11と保留図柄12の態様(態様の区分け)が全く異なるものとしてもよい。
図示しないが、変動中演出が実行されている最中に、変動中図柄11の態様が信頼度の高まる方向に変化する演出(変動中図柄11も「保留」であるとみなせば、当該演出は「保留変化演出」であるということになる)が発生することがある。つまり、対象変動が開始された時点での変動中図柄11の態様が、対象変動が終了するまで維持されるとは限られない。
変動中演出を構成するものとして、特定演出(図12参照)が実行されることがある。本実施形態における特定演出は、リーチ演出である。リーチ演出は、その結末が当否抽選結果に応じたものに至るものである。対象変動にて特定演出が発生した場合、対象当否抽選結果が大当たりとなる場合には成功結末(図12(c-1)参照)に至り、はずれである場合には失敗結末(図12(c-1)参照)に至る。なお、成功結末には、はずれである(失敗結末である)ように見せかけてそれが覆されるいわゆる逆転パターンも含まれるものとする。この種のリーチ演出としては、いわゆるバトル演出を例示することができる。バトル演出は、遊技者側のキャラクタ(味方キャラクタ)と敵キャラクタが戦い、遊技者側のキャラクタが勝利することが成功結末として、遊技者側のキャラクタが敗北することが失敗結末として設定されたものである。特定演出は、全ての変動中演出にて実行されるものではない。当否抽選結果にかかわらず、ある変動中演出にて特定演出が発生する確率は10%未満であり、特定演出が発生した場合には遊技者が大当たりとなることにある程度期待がもてるものとされる。また、特定演出は、変動中演出の開始と同時に開始されることはない。つまり、変動中演出の途中から開始されるものである。
当該特定演出について所定の「基準信頼度」が定められている。対象変動にて特定演出が実行される際、変動中図柄11の態様が基準信頼度以下であるか基準信頼度超であるかに応じ、変動中図柄11が表示されるかどうかが決まる。本実施形態では、通常態様11n、第一特殊態様111s~第三特殊態様113sの四つの態様のうち、通常態様11nおよび第一特殊態様111sが「基準信頼度以下」であり、第二特殊態様112sおよび第三特殊態様113sが「基準信頼度超」である(図11参照)。
対象変動にて特定演出が実行されている最中(結末に至る前の状態)においては、変動中図柄11の態様が「基準信頼度超」である場合には当該態様の変動中図柄11は表示される(図12(b-1)参照)ものの、「基準信頼度以下」である場合には当該態様の変動中図柄11は表示されない(図12(b-2)参照)。つまり、相対的に信頼度の高い変動中図柄11は表示されるものの、相対的に信頼度の低い変動中図柄11は表示されない。上述した通り特定演出は変動中演出の途中から開始されるものであるところ、特定演出が開始される直前の変動中図柄11の態様が「基準信頼度超」である場合にはそのまま変動中図柄11が表示された状態で特定演出が開始され、特定演出が開始される直前の変動中図柄11の態様が「基準信頼度以下」である場合には変動中図柄11が消去されて特定演出が開始されるということになる。
このようにしている理由は以下の通りである。特定演出はその結末により対象当否抽選結果が示されるものであり、発生したときに遊技者が大当たりに期待するものである。その特定演出が実行されている最中に、信頼度が低い変動中図柄11が表示されていると遊技者の期待感を削いでしまうおそれがある。このようなおそれを低減するため、「基準信頼度以下」の変動中図柄11は表示されないようにしている。
特に、本実施形態では、「常態」である通常態様11nだけでなく、特殊態様11sの一種である第一特殊態様111sも「基準信頼度以下」の変動中図柄11に含まれるようにしている。すなわち、特殊態様11sであっても信頼度が低めのものは表示されないようにして、遊技者の期待感を削ぐことがないようにしている。このように、複数の特殊態様11sが設定されている構成とする場合、当該複数の特殊態様11sのうち、少なくとも最も信頼度が低い態様については「基準信頼度以下」となるような設定とすることが好ましい。なお、当然ではあるが、変動中図柄11が「基準信頼度以下」であり表示されない場合であっても、特定演出が成功結末に至る(対象当否抽選結果が大当たりとなる)可能性はある。あくまで、遊技者の期待感を削いでしまわないよう「基準信頼度以下」の変動中図柄11が表示されないだけである。
本実施形態では、特定演出が結末(成功結末、失敗結末)に至ったときには、「基準信頼度以下」であるか「基準信頼度超」であるかにかかわらず、変動中図柄11が表示されないものとしている(図12(c-1)(c-2)参照)。つまり、「基準信頼度以下」であるか「基準信頼度超」であるかに応じて変動中図柄11の非表示/表示が制御されるのは、特定演出における結末に至る前(対象当否抽選結果が判明する前)の状態である。上述した通り、「基準信頼度以下」の変動中図柄11を表示しないようにするのは、当否抽選結果が大当たりになることに対する遊技者の期待感を削がないようにするためであるから、少なくとも特定演出が結末に至るよりも前の状態にて、「基準信頼度以下」の変動中図柄11が表示されないようにすればよい。
また、本実施形態では、特定演出が実行されている最中(結末に至る前の状態)においては、変動中図柄11が表示されるか否かにかかわらず、保留図柄12は表示されない(図12(b-1)(b-2)参照)。上述した通り、「基準信頼度以下」である場合には変動中図柄11が表示されないところ、変動中図柄11が表示されない場合であっても変動中図柄11が表示されることは遊技者にとって違和感のあるものとなるおそれがあるからである。これに合わせ、「基準信頼度以下」の変動中図柄11が表示される場合においても、保留図柄12は表示されないようにする。保留図柄12は対象当否抽選結果に関係がないものであるから、特定演出中に表示されないようにしても問題はないといえる。
以下、特定演出中における変動中図柄11の制御に関する事項を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。
〇具体例2-1
基準信頼度が、特定演出自体の信頼度(ある変動にて特定演出が発生したときにおける当該変動に対応する当否抽選結果が大当たりとなる確率)である設定とする。つまり、特定演出が実行されている最中においては、「特定演出の信頼度以下」の態様にある変動中図柄11は表示されず、「特定演出の信頼度超」の態様にある変動中図柄11は表示されるものとする。特定演出が発生したということは、その信頼度に相当する程度大当たりに期待がもてるということになるから、それ以下の信頼度である変動中図柄11は表示されないようにして遊技者の期待感を削いでしまわないようにする。
〇具体例2-2
上述した通り、特定演出が開始される直前の変動中図柄11の態様が「基準信頼度以下」である場合には変動中図柄11が消去されて特定演出が開始される(図13(a)参照)。その後、特定演出の途中(結末が判明するよりも前)に、「基準信頼度超」の態様にある変動中図柄11が表示された状態(図13(c)参照)となる場合がある構成とする。上記実施形態に即していえば、直前の変動中図柄11の態様が通常態様11nまたは第一特殊態様111sである状態で特定演出が開始され、特定演出の途中でいきなり第二特殊態様112sまたは第三特殊態様113sの変動中図柄11が表示されるという演出形態となる。
特定演出が開始される直前の変動中図柄11の態様が「基準信頼度以下」であるケースは、変動中図柄11が表示されていなくても(遊技者には見えなくても)、内部的には「基準信頼度以下」の変動中図柄11が表示された状態であると仮定することができる。本例のようにすることで、実際には表示されていない(遊技者には見えない)「基準信頼度以下」の変動中図柄11の態様が変化することで「基準信頼度超」となった結果、実際に表示される(遊技者に見える状態となる)という演出形態となる。変動中図柄11の態様が変化する演出(変動中図柄11を「保留」とみなせば、いわゆる保留変化演出)が公知であるところ、変動中図柄11が表示されなければ、当該演出を発生させることができないと考えるのが通常であるが、本例のようにすることで仮想的な「保留変化演出」を発生させることができるともいえる。
変動中図柄11が表示されていない状態から「基準信頼度超」の変動中図柄11が表示された状態となる際には、事前演出(図13(b)参照)が発生するようにするとよい。いきなり「基準信頼度超」の変動中図柄11が表示されてもそれに遊技者が気づかない可能性があるから、事前演出を発生させて「基準信頼度超」の変動中図柄11が表示されたことを強調するようにする。事前演出の態様は種々考えられるが、表示領域911における変動中図柄11が表示される個所に作用するかのような演出画像50が表示されるものとすることが好ましい。このようにすることで、演出画像50が表示された結果、「基準信頼度超」の変動中図柄11が表示されるという流れの演出形態となる。
なお、このような事前演出が発生する構成とする場合には、当該事前演出は、特定演出が実行されていない最中に発生する変動中図柄11の態様が変化する演出(変動中図柄11を「保留」とみなせば、いわゆる保留変化演出)が発生する際に起こる演出と同じものとするとよい。すなわち、図14に示すように、特定演出が実行されていないときに、変動中図柄11が事前態様(図14(a)参照)から事後態様(図14(c)参照)に変化する演出が発生する際には、上記演出画像50が表示される(図14(b)参照)ものとする。すなわち、事前態様の変動中図柄11に作用する演出画像50が表示された結果、事後態様の変動中図柄11に変化する演出が発生しうるものとする。このようにすることで、ある程度継続的に遊技している遊技者は、演出画像50は変動中図柄11の態様を変化させる際に表示されるものであると感じ取るであろうから、特定演出中に演出画像50が表示されて変動中図柄11が「基準信頼度超」となって表示された場合には、表示されていなかった「基準信頼度以下」の変動中図柄11の態様が信頼度が高まる方向に変化したということを把握することが可能となる。
〇具体例2-3
特定演出として、複数種の演出が発生しうるものとする。各種特定演出の具体的態様は、遊技者が異なる演出(リーチ演出)であることを認識できればどのようなものであってもよいから説明を省略する。演出に名付けられた名称(リーチ名)や、演出を構成する主映像が同じであれば演出の種類は同じであるとする(演出中に発生する可能性があるいわゆるチャンスアップの有無や(リーチを構成する)装飾図柄80の違い等は演出の種類の異同に関係ない要素であるとする)。例えば、味方キャラクタと戦う敵キャラクタの種類が異なる第一特定演出~第三特定演出の三種が発生しうるものとする。そして、各種特定演出に対応付けられた「基準信頼度」が異なり、特定演出の種類に応じて、表示されない変動中図柄11の態様と、表示される変動中図柄11の態様が異なるものとする。
上記実施形態のように、変動中図柄11として、通常態様11nおよび第一特殊態様111s~第三特殊態様113sが設定されているとする。第一特定演出については、通常態様11nが「基準信頼度以下」(演出中に非表示)であり、第一特殊態様111s~第三特殊態様113sが「基準信頼度超」(演出中に表示)であるとする(図15(a)参照)。第二特定演出については、通常態様11nおよび第一特殊態様111sが「基準信頼度以下」(演出中に非表示)であり、第二特殊態様112sおよび第三特殊態様113sが「基準信頼度超」(演出中に表示)であるとする(図15(b)参照)。第三特定演出については、通常態様11n、第一特殊態様111sおよび第二特殊態様112sが「基準信頼度以下」(演出中に非表示)であり、第三特殊態様113sが「基準信頼度超」(演出中に表示)であるとする(図15(c)参照)。このようにすることで、ある態様の変動中図柄11については、実行されている特定演出の種類に応じて、表示されることもあれば表示されないこともあるという遊技性が実現される。例えば、第一特殊態様111sについてみれば、第一特定演出が実行されている最中においては表示されるものの、第二特定演出および第三特定演出が実行されている最中においては表示されないことになる。また、第二特殊態様112sについてみれば、第一特定演出および第二特定演出が実行されている最中においては表示されるものの、第三特定演出が実行されている最中においては表示されないことになる。これとは逆に、通常態様11nは第一特定演出~第三特定演出のいずれが実行されている場合であっても表示されず、第三特殊態様113sは第一特定演出~第三特定演出のいずれが実行されている場合であっても表示されることになる。
本例のようにする場合、各種特定演出について定められる「基準信頼度」は、各種特定演出自体の信頼度が高いほど高くなるようにすることが好ましい。上記の例でいえば、特定演出自体の信頼度は、第一特定演出よりも第二特定演出の方が高く、第二特定演出よりも第三特定演出の方が高い(図15参照)。遊技者の大当たりに対する期待は、実行される特定演出自体の信頼度が高くなるほど高まるから、実行される特定演出の信頼度が高いほど表示されない変動中図柄11の態様の数(低信頼度の態様から数える)が多くなるようにして、実行される特定演出の種類に応じ、遊技者の期待感を削ぐような変動中図柄11が表示されないようにする。
一の変動中演出においては、第一特定演出~第三特定演出のいずれか一つのみ発生する(一の変動にて二以上の特定演出が発生することがない)設定としてもよいし、第一特定演出~第三特定演出の二以上が発生することがある設定としてもよい。後者のような設定とする場合、ある種の特定演出(先の特定演出)が実行された状態から、それよりも信頼度が高い特定演出(後の特定演出)が実行された状態に移行する(いわゆる「発展」が起こる)可能性がある構成としてもよい。上記のように、第一特定演出、第二特定演出、第三特定演出の順で信頼度が高まるという設定とするのであれば、第一特定演出から第二特定演出への「発展」や、第二特定演出から第三特定演出への「発展」が発生しうる構成とする(第一特定演出から第三特定演出への「発展」(第二特定演出を飛ばした「発展」)が発生するようにしてもよいし、発生しないようにしてもよい)。本願の技術分野において「発展」することは信頼度が高まったことの示唆であるから、このようにすることで各特定演出の信頼度の高低が明確になるという利点がある。また、先の特定演出から後の特定演出に「発展」することに伴って、変動中図柄11が表示されない状態となるという変化も生じうる。例えば、第一特殊態様111sの変動中図柄11が表示された状態で第一特定演出が実行され、そこから第二特定演出への「発展」が発生した場合には当該第二特定演出の開始に伴って第一特殊態様111sの変動中図柄11が表示されない状態となる。
6)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
上記実施形態にて説明した事項は、ぱちんこ遊技機特有の構成を利用した点を除いて、回胴式遊技機等その他の遊技機にも適用することが可能である。
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
・手段1-1
当否抽選結果が当たりとなった場合に複数の単位遊技を含む当たり遊技を実行する当たり遊技実行手段と、前記単位遊技の開始により開放され、当該単位遊技の終了により閉鎖される入賞領域と、前記入賞領域に進入した遊技球が通過する第一箇所に設けられた第一センサ、および当該第二箇所を通過した遊技球が通過する第二箇所に設けられた第二センサと、を備え、前記単位遊技が終了してからT2時間経過後の後基準時点に到達しても、前記第一センサにより検出された遊技球数と前記第二センサにより検出された遊技球数とが不一致である場合には異常対応動作が実行され、前記単位遊技が終了してからT1時間経過後の先基準時点に到達した後は、前記後基準時点に到達していなくても、前記第一センサにより検出された遊技球数と前記第二センサにより検出された遊技球数との一致が認められた場合には、次の前記単位遊技が開始されることを特徴とする遊技機。ただし、前記T2>前記T1であるとする。
上記遊技機によれば、遊技球数の一致判定を行うことで遊技の進行が遅くなるのを抑制することが可能である。
・手段1-2
前記異常対応動作として異常を解消するための異常解消動作が行われ、前記異常解消動作がなされた後、前記第一センサにより検出された遊技球数と前記第二センサにより検出された遊技球数との一致が認められた場合には、次の前記単位遊技が実行されることを特徴とする手段1-1に記載の遊技機。
遊技球の詰まりや滞留により遊技球数の不一致が発生している可能性もあるから、後基準時点にて不一致が認められた場合であっても、即座に異常を報知するのではなく、異常解消動作が行われるようにした方がよい。
・手段1-3
前記入賞領域に進入した遊技球が進入可能な領域であって、遊技球の進入が遊技者に対する特典付与の条件とされた特典領域が設けられており、前記第一センサおよび前記第二センサの一方により、前記特典領域への遊技球の進入の有無が判断されることを特徴とする手段1-1または手段1-2に記載の遊技機。
・手段2-1
遊技球の進入が普通抽選の契機となる普通始動領域と、常態において閉鎖されており、前記普通抽選に当選することを契機として開放される領域であって、遊技球の進入が特別抽選の契機となる特別始動領域と、常態において閉鎖されており、前記特別抽選に当選することを契機として開放される特典領域と、を備え、前記特別始動領域は、前記特典領域の上流側に位置しており、前記普通抽選に当選して開放された前記特別始動領域が閉鎖される閉鎖条件として、一の遊技球が前記特別始動領域に進入することが設定されていることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、特典領域まで到達する遊技球が著しく少なくなってしまうおそれ(特典領域に遊技球が進入しない事態が発生してしまうおそれ)を低減することができる。
・手段2-2
進入した遊技球が前記特別始動領域および前記特典領域に進入する可能性がある遊技球通路が設けられており、前記遊技球通路に進入した遊技球は、前記特別始動領域が開放状態にあるときには当該特別始動領域に進入し、前記特典領域に到達しないことを特徴とする手段2-1に記載の遊技機。
上記のような設定である場合、特別始動領域が開放状態にある限りにおいて遊技球通路に進入した遊技球が特典領域に到達しないことになるため、特別始動領域の開放状態が無駄に維持されないようにする意義が大きいといえる。
・手段2-3
前記特別抽選の結果を報知する演出が実行されている最中に、新たな遊技球が前記特別始動領域に進入しても、前記特別抽選は実行されないことを特徴とする手段2-1または手段2-2に記載の遊技機。
このように、特別始動領域について「保留」が貯まらない設定とするのであれば、一の遊技球が進入することを契機として特別始動領域が閉鎖されるようにしても、それほど大きな問題にはならないといえる。
・手段3-1
当否抽選結果を示す装飾図柄が変動を開始してから、当否抽選結果に応じた態様で停止するための変動中演出を実行する演出実行手段と、当否抽選に用いられる当否抽選情報であって対応する当否抽選結果について前記変動中演出が実行されている最中にあるものの存在を示す変動中図柄を表示する表示手段と、を備え、前記変動中図柄の態様として、対応する当否抽選結果が当たりとなる蓋然性である信頼度が異なる複数種の態様が設定されており、前記変動中演出を構成する演出として特定演出が実行されている最中においては、当該特定演出について定められた基準の信頼度以下の態様にある前記変動中図柄は表示されないものの、当該基準の信頼度超の態様にある前記変動中図柄は表示されることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、特定演出が実行されている最中に、基準の信頼度以下の態様にある変動中図柄が表示されることで、遊技者の期待感が削がれてしまうおそれを低減することが可能である。
・手段3-2
前記特定演出が実行されている最中においては、当該特定演出の信頼度以下の態様にある前記変動中図柄は表示されないものの、当該特定演出の信頼度超の態様にある前記変動中図柄は表示されることを特徴とする手段3-1に記載の遊技機。
このようにすることで、特定演出それ自体の信頼度よりも低い信頼度の変動中図柄が表示されることで、遊技者の期待感が削がれてしまうおそれを低減することが可能である。
・手段3-3
前記変動中図柄が表示されない状態で前記特定演出が開始された後、当該特定演出が実行されている最中に、当該特定演出について定められた基準の信頼度超の態様にある前記変動中図柄が表示された状態となる場合があることを特徴とする手段3-1または手段3-2に記載の遊技機。
このようにすることで、変動中図柄が表示されない特定演出が発生した場合であっても、その途中で変動中図柄の信頼度が高まる可能性がある遊技性が実現される。
・手段3-4
前記特定演出として、第一特定演出および当該第一特定演出よりも信頼度が高い第二特定演出が発生しうるものであり、前記変動中図柄の態様として、前記第一特定演出が実行されている最中は表示されないものの、前記第二特定演出が実行されている最中は表示されるものが設定されていることを特徴とする手段3-1から手段3-3のいずれかに記載の遊技機。
特定演出の信頼度に応じて遊技者の期待感は異なるから、特定演出の信頼度に応じ、表示されない変動中図柄の態様が異なる構成とするとよい。