JP2023032936A - 銅系板材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザ溶接時に内部欠陥が生じ難く、レーザ溶接性に優れる銅系板材およびその製造方法を提供する。【解決手段】銅系板材11a、11bは、Cuを90質量%以上含有する合金組成を有する銅系材料からなり、圧延方向に対して直交する方向である幅方向に測定した表面粗さを表すパラメータである、最大高さ(Rz)が0.30μm以上2.50μm以下の範囲にあり、かつ算術平均粗さ(Ra)が0.10μm以上0.50μm以下の範囲にあり、表面に対して60°の入射角で、圧延方向と平行な方向に光を照射したときの光沢度をGs1(60°)、幅方向に光を照射したときの光沢度をGs2(60°)とするとき、光沢度Gs1(60°)は450以下であり、かつ光沢度Gs2(60°)に対する比(Gs1(60°)/Gs2(60°)比)が1.0以上2.0以下の範囲である。【選択図】図1

Description

本発明は、銅系板材およびその製造方法に関し、特に電気・電子機器用の放熱部材や端子材などに用いるのに適した、銅系板材およびその製造方法に関する。
近年、電気・電子機器の高機能化、高性能化によって発熱量が増加する傾向がある。また、電気・電子機器の小型化が進むことで、発熱密度が増加するため、発生した熱を冷却することが重要になってきている。発生した熱を冷却するための部材としては、例えば、面状のヒートパイプであるベーパーチャンバが挙げられる。ベーパーチャンバの素材としては、高い熱伝導率を有する銅系材料(銅、銅合金)を用いることが望まれる。
ここで、ベーパーチャンバは、2枚の板材を重ねた状態で外周部を接合して形成した内部空間に作動液を入れ、その後、減圧封入することによって接合された密閉構造を有する。かかる接合方法としては、例えば、レーザ溶接、拡散接合、ろう付け、TIG溶接が挙げられる。
これらが拡散接合やろう付けで接合される場合、溶接部は、高温での熱処理によって一度融解させた後に再凝固させることで形成されるため、溶接部のみを熱処理することが難しく、溶接部の周辺も熱処理される。このとき、溶接部の周辺が、板材に焼きなましをした場合と同様に軟質化して、接合前の板材よりも強度が低くなる問題がある。ここで、板材の強度が低くなると、板材が変形しやすくなる。
このような問題に対し、特許文献1では、複数の部品を拡散接合やろう付けで接合してベーパーチャンバを製造する方法において、筐体の素材として析出硬化型銅合金を用い、これを時効処理して析出硬化させることで、筐体の強度等を向上させる技術が開示されている。
他方で、レーザ溶接は、接合部のみを溶融させた後に再凝固させることで接合を図るため、接合部とその周囲の影響部を除いて軟質化を抑制することができ、また、TIG溶接よりも熱影響部を狭くすることができるため、ベーパーチャンバのような微小部品の加工に適する接合方法である。
これに関し、特許文献2には、板材の表面について、圧延方向に対して直交する方向の粗さ曲線を接触式表面粗さ測定法で取得したときの、表面粗さに関する特定のパラメータが所定範囲内にあるときに、電気抵抗率の測定において正確な測定値が得られやすく、かつ良好なレーザ溶接性を有する抵抗材用銅合金材料が開示されている。
さらに、特許文献3には、表面の最大高さ粗さRzが1.5μm以下、算術平均粗さRaが0.15μm以下、残留応力が50MPa以下である、ベーパーチャンバ用の銅又は銅合金条が開示されている。また、特許文献3には、複数の部品を拡散接合やろう付けで接合してベーパーチャンバを製造する方法において、筐体に用いる板材の表面粗さや残留応力、反りを特定の範囲内にすることで、板材を接合する際に十分な接合強度をもたらし、それにより、ベーパーチャンバの内部に保持される作動流体の蒸発や凝縮によって内圧が変動したときの、作動流体の漏洩を抑制する技術が開示されている。また、この技術では、エッチング工程において板材の板厚を減らす際や、プレス工程で板材をスタンピングする際における板材の反りを抑止し、それによりエッチング工程やプレス工程での生産性を向上できる旨も開示されている。
国際公開第2017/164013号 特許第6382479号公報 特許第6166414号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、析出硬化型銅合金を用いる必要があり、非析出型銅合金や、純銅には適用できないという問題がある。また、特許文献1の技術では、時効処理を行う必要があり、工程数増加に伴う生産性の低下が生じるという問題がある。このため、析出硬化型銅合金を用い時効処理して析出硬化させる方法以外の方法によって、溶接部の強度を高くすることが望ましい。
上述した溶接部の強度が低くなるという問題は、ベーパーチャンバに限らず、バスバーなど、他の電気・電子機器においても同様に存在する。
また、特許文献2の技術は、レーザ溶接性と電気抵抗率の測定精度を向上させるために、板材の表面粗さについて規定しているが、板材の反りや、圧延時のオイルピットなどの凹凸や、板材表面の不純物のように、表面粗さ以外にレーザ溶接に影響する要素については何ら考慮されていない。
また、特許文献3の技術は、複数の部品を拡散接合やろう付けで接合することで形成される筐体の板材に関して、表面粗さや残留応力、板の反りについて特定している。しかし、これらの表面粗さや残留応力、板の反りは、板材同士の密着性やろう付け時のろうの濡れ広がり性の観点や、プレス工程やエッチング工程における板材の変形抑制の観点で特定されるものであり、レーザ溶接性を考慮して特定されたものではない。また、特許文献3の技術は、圧延時のオイルピットなどの、板材表面の不純物のレーザ溶接への影響については何ら考慮されていない。
したがって、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、レーザ溶接時に内部欠陥が生じ難く、レーザ溶接性に優れる銅系板材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、Cuを90質量%以上含有する合金組成を有する銅系材料からなる板材において、圧延方向に対して直交する方向である幅方向に測定した表面粗さを表すパラメータである、最大高さ(Rz)と算術平均粗さ(Ra)を所定の範囲内にし、かつ、銅系材の表面に対して60°の入射角で、圧延方向と平行な方向に光を照射したときの光沢度をGs1(60°)、幅方向に光を照射したときの光沢度をGs2(60°)とするとき、Gs1(60°)と、Gs1(60°)/Gs2(60°)比を所定の範囲内にすることで、レーザ溶接によって接合される銅系板材同士の接合面や接合部に、空隙(ボイド)等の内部欠陥が生じにくくなる結果として、レーザ溶接性が格段に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)Cuを90質量%以上含有する合金組成を有する銅系材料からなる銅系板材であって、前記銅系板材は、圧延方向に対して直交する方向である幅方向に測定した表面粗さを表すパラメータである、最大高さ(Rz)が0.30μm以上2.50μm以下の範囲にあり、かつ算術平均粗さ(Ra)が0.10μm以上0.50μm以下の範囲にあり、前記銅系板材の表面に対して60°の入射角で、前記圧延方向と平行な方向に光を照射したときの光沢度をGs1(60°)、前記幅方向に光を照射したときの光沢度をGs2(60°)とするとき、前記光沢度Gs1(60°)は、450以下であり、かつ前記光沢度Gs2(60°)に対する比(Gs1(60°)/Gs2(60°)比)が、1.0以上2.0以下の範囲である、銅系板材。
(2)前記銅系板材の表面に対して45°および75°の入射角で、前記圧延方向と平行な方向に光を照射したときの光沢度を、それぞれGs1(45°)およびGs1(75°)とするとき、以下の式(I)によって算出されるパラメータAの値が、0.5以上1.2以下の範囲である、上記(1)に記載の銅系板材。
A=[Gs1(60°)-Gs1(45°)]/[Gs1(75°)-Gs1(60°)]
・・・式(I)
(3)前記銅系板材の表面に形成される酸化被膜の厚さが、20Å以上500Å以下の範囲である、上記(1)または(2)に記載の銅系板材。
(4)少なくとも2つの、上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の銅系板材同士を、レーザ溶接法によって接合して一体形成される銅系部材。
(5)上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の銅系板材の製造方法であって、銅系素材に、少なくとも、鋳造工程[工程1]、均質化熱処理工程[工程2]、熱間圧延工程[工程3]、冷却工程[工程4]、面削工程[工程5]、第1冷間圧延工程[工程6]、第1熱処理工程[工程7]、第2冷間圧延工程[工程8]、第3冷間圧延工程[工程9]、調質焼鈍工程[工程10]、形状矯正工程[工程11]、防錆処理工程[工程12]を順次行ない、前記第2冷間圧延工程[工程8]では、ワークロールの直径を150mm以下、ワークロール表面の算術平均粗さ(Ra)を0.01μm以上0.05μm以下の範囲、1パスあたりの圧下率を10%以上、総圧下率を20%以上とし、前記第3冷間圧延工程[工程9]では、ワークロールの直径を150mm以下、ワークロール表面の算術平均粗さ(Ra)を0.10μm以上0.50μm以下の範囲、1パスあたりの圧下率を10%以上、総圧下率を25%以上とし、かつ、前記形状矯正工程[工程11]後における銅系板材の表面を、圧延方向に沿って測定した平坦度のパラメータである急峻度が0.5%以下になるように制御する、銅系板材の製造方法。
本発明によれば、レーザ溶接時に内部欠陥が生じ難く、レーザ溶接性に優れる銅系板材およびその製造方法を提供することができる。
図1は、2枚の銅系板材を重ね合わせた状態で線状に接合したときの概略斜視図である。 図2は、光沢度の測定装置の概略構成を示す図である。 図3は、本発明例12の銅系板材について、2枚の銅系板材を重ね合わせてレーザ溶接法によって接合したときの断面状態を観察したときの光学顕微鏡写真である。 図4は、比較例16の銅系板材について、2枚の銅系板材を重ね合わせてレーザ溶接法によって接合したときの断面状態を観察したときの光学顕微鏡写真であり、図4(a)は、画像変換前の光学顕微鏡写真であり、図4(b)は、図4(a)の画像の色調を、白と黒の2値化処理によって変換した後の画像を示す写真である。
次に、本発明の実施の形態を説明する。以下の説明は、本発明における実施の形態の一例であって、特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明に従う銅系板材は、Cuを90質量%以上含有する合金組成を有する銅系材料からなる銅系板材であって、前記銅系板材は、圧延方向に対して直交する方向である幅方向に測定した表面粗さを表すパラメータである、最大高さ(Rz)が0.30μm以上2.50μm以下の範囲にあり、かつ算術平均粗さ(Ra)が0.10μm以上0.50μm以下の範囲にあり、前記銅系板材の表面に対して60°の入射角で、前記圧延方向と平行な方向に光を照射したときの光沢度をGs1(60°)、前記幅方向に光を照射したときの光沢度をGs2(60°)とするとき、前記光沢度Gs1(60°)は、450以下であり、かつ前記光沢度Gs2(60°)に対する比(Gs1(60°)/Gs2(60°)比)が、1.0以上2.0以下の範囲である。
ここで、銅系板材の表面における、幅方向に沿った最大高さ(Rz)を0.30μm以上2.50μm以下の範囲にし、かつ算術平均粗さ(Ra)を0.10μm以上0.50μm以下の範囲にすることで、図1に示すように銅系板材11a、11bを厚さ方向に重ね合わせたときに、重ね合わせた銅系板材11a、11bの密着性が高められるとともに、銅系板材11a、11bの板面が適度に粗くなることでレーザ溶接時にレーザLによって加熱され易くなるため、レーザ溶接によって接合される銅系板材同士の接合面や接合部に、空隙(ボイド)等の内部欠陥が生じ難くなる。また、銅系板材の光沢度Gs1(60°)を450以下にし、かつGs1(60°)/Gs2(60°)比を1.0以上2.0以下の範囲にすることで、レーザLの反射が小さくなって加熱され易くなるとともに、光沢度の異方性が小さくなることでレーザLによる加熱の均一性が高められるため、レーザ溶接による接合面や接合部に、内部欠陥がより一層生じ難くなる。したがって、本発明の銅系板材によることで、レーザ溶接による接合面や接合部に内部欠陥が生じ難くなるため、レーザ溶接性、すなわちレーザ溶接後における接合強度を格段に向上することができる。
[1]銅系板材の合金組成
本発明の銅系板材は、Cuを90質量%以上含有する合金組成を有する銅系材料からなる。もともと、Cuは高い熱伝導率を有するが、添加元素の量が多くなり、また、第2相が現れると、熱伝導率が低下しやすくなる。この点、本実施形態の銅系板材は、Cuを90質量%以上含有することで、熱伝導率の低下が抑えられるため、放熱・冷却部材などの電気・電子機器の用途に好適な、高い熱伝導率を有する板材となる。
ここで、Cuを90質量%以上含有する合金組成を有する銅系材料としては、Cuを90質量%以上含有する板材であればよく、純CuおよびいずれのCu合金でもよく、特に限定されない。
(1)板材が純Cuである場合
このうち、銅系板材を構成する銅系材料が純Cuの場合、Cuを99.96質量%以上含有し、不可避不純物のうち、たとえばCd、Mg、Pb、Sn、Cr、Bi、Se、Teが合計5質量ppm以下であり、かつAg、Oがそれぞれ400質量ppm以下である成分組成を有することが好ましい。純Cuは、熱伝導率に優れているため、放熱・冷却部材として特に優れた性能を発揮することができる。ここで、いわゆる純Cuとしては、電気銅、無酸素銅(OFC)、TPCなどを例に挙げることができる。
(2)板材がCu合金である場合
また、銅系板材を構成する銅系材料がCu合金の場合、Cuを90質量%以上含有し、Ag、Fe、Ni、Co、Si、Cr、Sn、Zn、Mg、Pから選ばれる1種以上の元素を含む成分組成を有することが好ましい。
以下、銅系板材を構成する銅系材料がCu合金の場合における、成分組成の限定理由について説明する。
(Ag:0.05質量%~5.00質量%)
Ag(銀)は、耐熱性を向上させる作用を有する成分であり、かかる作用を発揮させる場合には、Ag含有量を0.05質量%以上とすることが好ましい。また、Ag含有量の上限については特に設ける必要はないが、Agは高価であるため、材料コストの観点から、Ag含有量の上限を5.00質量%とすることが好ましい。
(Fe:0.05質量%~0.50質量%)
Fe(鉄)は、導電率、強度、応力緩和特性、めっき性等の製品特性を改善する作用を有する成分である。かかる作用を発揮させる場合には、Fe含有量を0.05質量%以上とすることが好ましい。しかしながら、Feを0.50質量%より多く含有させても、それ以上の向上効果が期待できず、さらに導電率や熱伝導率が低下する傾向がある。このため、Fe含有量は、0.05質量%~0.50質量%とすることが好ましい。
(Ni:0.05質量%~5.00質量%)
Ni(ニッケル)は、Cuの母相(マトリクス)中に、単体またはSiとの化合物からなる第二相粒子の析出物として、例えば50nm~500nm程度の大きさで微細析出し、この析出物が転位移動を抑制することにより析出硬化させ、さらに、粒成長が抑制されて結晶粒の微細化によって材料強度を上昇させるとともに、曲げ戻し加工に優れたものとする作用を有する重要な成分である。かかる作用を発揮させる場合には、Ni含有量を0.05質量%以上とすることが好ましい。一方、Ni含有量が5.00質量%を超えると、導電率および熱伝導率の低下が顕著になることから、Ni含有量の上限は5.00質量%とすることが好ましい。
(Co:0.05質量%~2.00質量%)
Co(コバルト)は、Cuの母相(マトリクス)中に、単体またはSiとの化合物からなる第二相粒子の析出物として、例えば50~500nm程度の大きさで微細析出し、この析出物が転位移動を抑制することにより析出硬化させ、さらに、粒成長が抑制されて結晶粒の微細化によって材料強度を上昇させるとともに、曲げ戻し加工に優れたものとする作用を有する重要な成分である。かかる作用を発揮させる場合には、Co含有量を0.05質量%以上とすることが好ましい。一方、Co含有量が2.00質量%を超えると、導電率および熱伝導率の低下が顕著になるため、Co含有量は2.00質量%以下にすることが好ましい。
(Si:0.05質量%~1.10質量%)
Si(珪素)は、Cuの母相(マトリクス)中に、CoやCrなどとともに化合物からなる第二相粒子の析出物として微細析出し、この析出物が転位移動を抑制することにより析出硬化させ、さらに、粒成長が抑制されて結晶粒の微細化によって材料強度を上昇させる作用を有する重要な成分である。かかる作用を発揮させる場合には、Si含有量を0.05質量%以上とすることが好ましい。一方、Si含有量が1.10質量%を超えると、導電率の低下が顕著になって、30%IACS超えの導電率が得られなくなることから、Si含有量の上限は1.10質量%にすることが好ましい。
(Cr:0.05質量%~0.50質量%)
Cr(クロム)は、Cuの母相(マトリクス)中に、化合物や単体として、例えば50nm~500nm程度の大きさの析出物の形で微細析出し、この析出物が転位移動を抑制することにより析出硬化させ、さらに、粒成長が抑制されて結晶粒の微細化によって材料強度を上昇させるとともに、曲げ戻し加工に優れたものとする作用を有する成分である。この作用を発揮させる場合には、Cr含有量を0.05質量%以上とすることが好ましい。また、Cr含有量が0.50質量%を超えると、導電率および熱伝導率の低下が顕著になることから、Cr含有量は、0.05質量%~0.50質量%とすることが好ましい。
(Sn:0.05質量%~9.50質量%)
Sn(錫)は、Cuの母相(マトリクス)中に固溶し、Cu合金の強度向上に寄与する成分であり、Sn含有量は0.05質量%以上とすることが好ましい。一方、Sn含有量が9.50質量%を超えると脆化が生じやすくなる。このため、Sn含有量は0.05質量%~9.50質量%とすることが好ましい。また、Snの含有は、導電率および熱伝導率を低下させる傾向があることから、導電率及び熱伝導率の低下を抑制する場合には、Sn含有量を0.05質量%~0.50質量%とするのがより好ましい。
(Zn:0.05質量%~0.50質量%)
Zn(亜鉛)は、曲げ戻し加工に優れたものにするとともに、Snめっきやはんだめっきの密着性やマイグレーション特性を改善する作用を有する成分である。かかる作用を発揮させる場合には、Zn含有量を0.05質量%以上とすることが好ましい。一方、Zn含有量が0.50質量%を超えると、導電性や熱伝導率が低下する傾向がある。このため、Zn含有量は、0.05質量%~0.50質量%とすることが好ましい。
(Mg:0.01質量%~0.50質量%)
Mg(マグネシウム)は、耐応力緩和特性を向上させる作用を有する成分である。かかる作用を発揮させる場合には、Mg含有量を0.01質量%以上とすることが好ましい。一方、Mg含有量が0.50質量%を超えると、導電率や熱伝導率が低下する傾向がある。このため、Mg含有量は、0.01質量%~0.50質量%とすることが好ましい。
(P:0.01~0.50質量%)
P(リン)はCu合金の脱酸材として寄与するだけでなく、化合物として20~500nm程度の大きさの析出物の形で微細析出し、この析出物が転位移動を抑制することにより析出硬化させ、さらに、粒成長が抑制されて結晶粒の微細化によって材料強度を上昇させることができる。かかる作用を発揮させるためにはP含有量を0.01質量%以上とすることが好ましい。一方、P含有量が0.50質量%を超えると、板材成形時の熱間加工で割れが生じやすくなる傾向がある。このため、P含有量は、0.01質量%~0.50質量%とする。
(残部:Cuおよび不可避不純物)
銅系板材を構成するCu合金は、上述した成分以外は、残部がCu(銅)および不可避不純物からなる合金組成を有する。なお、ここでいう「不可避不純物」とは、おおむね金属製品において、原料中に存在するものや、製造工程において不可避的に混入するもので、本来は不要なものであるが、微量であり、金属製品の特性に影響を及ぼさないため許容されている不純物である。不可避不純物として挙げられる成分としては、例えば、スズ(Sn)、酸素(O)などが挙げられる。なお、これらの成分含有量の上限は、例えば上記成分ごとに0.05質量%、上記成分の総量で0.20質量%とすることができる。
[2]銅系板材の表面性状
本発明の銅系板材は、圧延方向に対して直交する方向である幅方向に測定した表面粗さを表すパラメータである、最大高さ(Rz)が0.30μm以上2.50μm以下の範囲にあり、かつ算術平均粗さ(Ra)が0.10μm以上0.50μm以下の範囲にある。特に、最大高さ(Rz)が2.50μmを超え、または算術平均粗さ(Ra)が0.50μmを超えると、複数の銅系板材を厚さ方向に重ね合わせてレーザ溶接する際に、内部欠陥が生じて溶接性が低下する。これは、板材の表面が粗くなることで、板材同士の密着性が低下し、それによりレーザ溶接の際に板材間に空隙が生じるためであると考えられる。他方で、最大高さ(Rz)が0.30μm未満になり、または算術平均粗さ(Ra)が0.10μm未満になる場合であっても、複数の銅系板材を厚さ方向に重ね合わせてレーザ溶接する際に、内部欠陥が生じて溶接性が低下する。これは、銅系板材の表面が平滑になりすぎることで、レーザ溶接する際に照射するレーザが反射し易くなり、それによりレーザによる入熱が不十分になるためであると考えられる。特に、銅系板材の幅方向に測定した表面粗さは、最大高さ(Rz)が0.40μm以上または2.40μm以下であることが好ましく、また、算術平均粗さ(Ra)が0.15μm以上または0.40μm以下であることが好ましい。
ここで、銅系板材の表面粗さを表す最大高さ(Rz)および算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601(2001)に規定された方法に準じる方法(接触式表面粗さ測定法)によって表面粗さの測定を行い、圧延方向に対して直交する幅方向に沿った粗さ曲線を取得して、その粗さ曲線から最大高さ(Rz)および算術平均粗さ(Ra)を求めることができる。
また、本発明の銅系板材は、表面に対して60°の入射角で、圧延方向と平行な方向に光を照射したときの光沢度をGs1(60°)、圧延方向に対して直交する方向である幅方向に光を照射したときの光沢度をGs2(60°)とするとき、光沢度Gs1(60°)が450以下であり、かつ、光沢度Gs2(60°)に対する比(Gs1(60°)/Gs2(60°)比)が1.0以上2.0以下の範囲にある。ここで、Gs1(60°)/Gs2(60°)比は、1.0以上1.7以下の範囲にあることが好ましい。特に、Gs1(60°)が450を超えると、複数の銅系板材をレーザ溶接する際に、内部欠陥が生じて溶接性が低下する。これは、光沢度が大きすぎることで、レーザ溶接する際に照射するレーザが反射し易くなり、それによりレーザによる入熱が不十分になるためであると考えられる。また、Gs1(60°)/Gs2(60°)比が2.0を超える場合も、複数の銅系板材をレーザ溶接する際に、内部欠陥が生じて溶接性が低下する。この場合、光沢度の異方性が大きくなることで、レーザを掃引する際のレーザによる入熱が、銅系板材の表面で不均一になり、それにより内部欠陥が生じやすくなったためであると考えられる。
また、本発明の銅系板材は、表面に対して45°および75°の入射角で、前記圧延方向と平行な方向に光を照射したときの光沢度を、それぞれGs1(45°)およびGs1(75°)とするとき、以下の式(I)によって算出されるパラメータAの値が、0.5以上1.2以下の範囲であることが好ましい。
A=[Gs1(60°)-Gs1(45°)]/[Gs1(75°)-Gs1(60°)]
・・・式(I)
光沢度の測定において、JIS規格(JIS Z8741(1997))は、入射角度を20°、45°、60°、75°、85°としているが、光沢度は角度の大きさに対して正比例に近い関係を有するため、代表して60°における光沢度を測定することが一般的である。しかし、本発明の銅系板材は、表面粗さや板材の微小な反り等の影響を受けるため、光沢度と角度の大きさが完全には比例していない。そこで、本発明者は、様々な入射角度より測定される光沢度を用いてレーザ溶接性を評価した結果、上述の表面粗さと光沢度の範囲内で、[Gs1(60°)-Gs1(45°)]/[Gs1(75°)-Gs1(60°)]が1に近いもの、すなわち光沢度と角度の大きさが比例関係に近いものほど、優れたレーザ溶接性を有することを見出した。これは、光沢度と角度の大きさが比例関係に近いと、表面粗さや板材の微小な反りなどによる影響が小さくなり、それにより、レーザ溶接の際の銅系板材の加熱が、均一に近い状態で行われるためであると考えられる。
ここで、銅系板材の光沢度Gs1(θ1)は、図2(a)に示されるように、圧延方向xに沿って、入射角θ1の角度で銅系板材11の表面に入射光Iを入射させたときに、反射角θ2で反射する鏡面反射光の強さを、受光器21により測定することができる。また、銅系板材の光沢度Gs2(θ1)は、図2(b)に示されるように、幅方向yに沿って、入射角θ1’の角度で銅系板材11の表面に入射光Iを入射させたときに、反射角θ2’で反射する鏡面反射光の強さを、受光器21により測定することができる。ここで、鏡面反射光の強さからの光沢値の算出は、上述のJIS Z8741によって行なうことができ、例えば電子計算機などの光沢値算出手段22を用いて行なうことができる。
本発明の銅系板材は、銅系板材の表面に形成される酸化被膜の厚さが、20Å以上500Å以下の範囲であることが好ましい。表面粗さと光沢度が上述の範囲内にあるときに、銅系板材の酸化被膜の厚さが20Å以上500Å以下の範囲にあることで、優れたレーザ溶接性を得ることができる。特に、銅系板材の酸化被膜の厚さが20Å以上であることにより、銅系板材の表面における銅(合金)に対する濡れ性が低下することで、レーザ溶接で溶融する部分が、銅系板材の接合界面から板材表面の側に流れ難くなったためであると考えられる。また、酸化被膜厚さが500Åを超えるとレーザ溶接性が低下したが、これは、酸化被膜に含まれる不純物が溶接部に多量に拡散したためであると考えられる。
[3]銅系板材の形状
本発明でいう「板材」とは、所定の形状、例えば、板、条、箔などに加工され、所定の厚みを有する形状のものであり、広義には条材を含む意味である。本発明における銅系板材の厚さは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.05mm~2.0mmの範囲であり、さらに好ましくは0.1mm~1.0mmの範囲である。
[4]レーザ溶接による銅系部材の形成
図1は、2枚の銅系板材11a、11bを重ね合わせた状態で線状にレーザ溶接して銅系部材10を形成したときの概略斜視図である。本発明の銅系部材10は、少なくとも2つの上述の銅系板材11a、11b同士を、レーザ溶接法によって接合して一体形成されるものである。特に、図1に示す実施態様では、銅系板材11a、11bを重ね合わせた状態で一体化する溶接部13を有し、その部分をレーザLによるレーザ溶接で接合している。
ここで、レーザ溶接法は、指向性や集中性の良い波長の光をレンズで集め、きわめて高いエネルギー密度のレーザ光を熱源とする溶接方法である。レーザ光の出力を調整することで、深さに対して幅の狭い溶込み溶接も可能である。また、レーザ光は、アーク溶接のアークに比べてきわめて小さく絞り込むことができる。集光レンズにより高密度化されたエネルギーによって、局所の溶接や融点の異なる材料の接合をレーザ溶接装置で行なうことが可能である。レーザ溶接法は、溶接による熱影響が少なく、溶接の模様が細く、かつ加工反力も発生しないため、微細な溶接にも向いている方法である。
レーザ溶接に用いるレーザは、溶接用のレーザとして公知のものの中から適宜選択することができる。レーザの一例としてCOレーザ、Nd:YAGレーザ、半導体レーザ、ファイバレーザなどが挙げられる。出力やレーザ光の集光性などの点からファイバレーザを用いることが好ましい。レーザ溶接装置のその他の構成は、従来公知のあらゆる構成から選択することができる。
また、レーザ光による加熱によって生ずる酸化を防止するために、レーザ溶接装置のうち、レーザ光が照射される部分の近傍に、不活性ガスを供給することが好ましい。ここで、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウムなどを用いることができる。
[5]銅系板材の製造方法の一例
上述した銅系板材は、合金組成や製造プロセスを組み合わせて制御することによって実現することができ、その製造プロセスは特に限定されない。その中でも、このような高いレーザ溶接性を有する銅系板材を得ることが可能な、製造プロセスの一例として、以下の方法を挙げることができる。
本発明の銅系板材の製造方法の一例は、上述した銅系板材の前記合金組成と実質的に同じ合金組成を有する銅系素材に、少なくとも、鋳造工程[工程1]、均質化熱処理工程[工程2]、熱間圧延工程[工程3]、冷却工程[工程4]、面削工程[工程5]、第1冷間圧延工程[工程6]、第1熱処理工程[工程7]、第2冷間圧延工程[工程8]、第3冷間圧延工程[工程9]、調質焼鈍工程[工程10]、形状矯正工程[工程11]、防錆処理工程[工程12]を順次行なうものである。このうち、第2冷間圧延工程[工程8]では、ワークロールの直径を150mm以下、ワークロール表面の算術平均粗さ(Ra)を0.01μm以上0.05μm以下の範囲、1パスあたりの圧下率を10%以上、総圧下率を20%以上とする。また、第3冷間圧延工程[工程9]では、ワークロールの直径を150mm以下、ワークロール表面の算術平均粗さ(Ra)を0.10μm以上0.50μm以下の範囲、1パスあたりの圧下率を10%以上、総圧下率を25%以上とする。また、形状矯正工程[工程11]後における銅系板材の表面を、圧延方向に沿って測定した平坦度のパラメータである急峻度が0.5%以下になるように制御する。
(i)鋳造工程[工程1]
鋳造工程[工程1]は、上述の合金組成を有する銅系素材(銅素材または銅合金素材)を溶融させ、これを鋳造することによって、所定形状(例えば厚さ300mm、幅500mm、長さ3000mm)の鋳塊(インゴット)を作製する。鋳造工程[工程1]は、高周波溶解炉を用いて、窒素などの不活性ガス雰囲気中もしくは真空中で、銅系素材を溶融および鋳造することが好ましい。なお、銅系素材の合金組成は、製造の各工程において、添加成分によっては溶解炉に付着したり揮発したりして製造される銅系板材の合金組成とは必ずしも完全には一致しない場合があるが、銅系板材の合金組成と実質的に同じ合金組成を有している。
(ii)均質化熱処理工程[工程2]
均質化熱処理工程[工程2]は、鋳造工程[工程1]を行なった後の鋳塊に対して、熱処理を行なう工程である。均質化熱処理工程[工程2]は、鋳塊の金属組織の均質化を図って、後工程での繊維状の第2相の形成を促進するために行なうものである。均質化熱処理の条件は、通常行なわれている条件であればよく、特に限定はしない。均質化熱処理の条件の一例を挙げると、保持温度が700℃~1000℃の範囲、保持時間が0.1時間~10時間の範囲である。
(iii)熱間圧延工程[工程3]
熱間圧延工程[工程3]は、均質化熱処理を行った鋳塊に対して、所定の厚さになるまで熱間圧延を施して熱延材を作製する工程である。熱間圧延工程[工程3]では、例えば、圧延温度を500℃以上とし、かつ総圧下率(合計圧延加工率)を90%以上とすることが好ましい。
ここで、「圧下率」(圧延加工率)は、圧延前の断面積から圧延後の断面積を引いた値を圧延前の断面積で除して100を乗じ、パーセントで表した値であり、下記式で表される。
[圧下率]={([圧延前の断面積]-[圧延後の断面積])/[圧延前の断面積]}×100(%)
(iv)水冷工程[工程4]
水冷工程は、熱間圧延工程[工程3]後の熱延材を冷却する工程である。ここで、冷却工程における冷却手段は、特に限定されないが、結晶粒の粗大化を起こり難くすることができる観点では、できるだけ冷却速度を大きくすることが好ましい。例えば、熱延材を水冷により冷却することで、例えば50℃/秒以上の大きい冷却速度で熱延材を冷却することができるため、結晶粒の粗大化を起こり難くすることができる。
(v)面削工程[工程5]
面削工程[工程5]は、冷却工程[工程4]を行なった後の熱延材に対して、表面を削り取る工程である。面削工程を行なうことで、熱間圧延工程[工程3]で生じた表面の酸化膜や欠陥を除去することができる。面削工程の条件は、通常行なわれている条件であればよく、特に限定されない。熱延材の表面から削り取る量は、熱間圧延工程[工程3]の条件に基づいて適宜調整することができ、例えば熱延材の表裏両面から各々0.5mm~4mm程度とすることができる。
(vi)第1冷間圧延工程[工程6]
第1冷間圧延工程[工程6]は、面削工程を行なった後の熱延材に、製品板厚に合わせて任意の圧延加工率で冷間圧延を施す工程である。第1冷間圧延工程[工程6]における圧延の条件は、後述する第1熱処理工程[工程7]を行なった後の冷延材に含まれる結晶粒を微細にする観点では、総加工率を70%以上にする必要がある。他方で、総加工率が大きすぎると、後述する第3冷間圧延工程[工程9]で圧延加工率を大きくすることが困難になるため、総加工率は95%以下にすることが好ましい。
(vii)第1熱処理工程[工程7]
第1熱処理工程[工程7]は、第1冷間圧延工程[工程6]を行なった後の冷延材に対して、合金組成に応じて1回または複数回の熱処理を施す工程である。
第1熱処理工程[工程7]における熱処理の条件は、例えば、到達温度を350℃以上600℃以下の範囲にし、かつ、この到達温度での保持時間を0.1時間以上10時間以下の範囲にすることができる。
ここで、銅系素材がコルソン系銅合金やクロム系銅合金のような析出型合金によって構成される場合、第1熱処理工程[工程7]を行うことで、溶体化処理および時効熱処理によって、析出物を固溶したり、析出の増加を図ったりすることができる。特に、銅系素材がクロム系銅合金によって構成される場合、第1熱処理工程[工程7]は、時効熱処理によって析出物の増加を図るものであってもよい。
銅系素材が析出型合金によって構成される場合、第1熱処理工程[工程7]は、例えば、2段階の熱処理を施すことで行なうことができる(熱処理条件1)。この熱処理条件1における1段階目の熱処理は、到達温度を700℃以上900℃以下の範囲にし、この到達温度での保持時間を5秒以上1000秒以下の範囲、1段階目の熱処理後の冷却速度を10℃/秒以上500℃/秒以下の範囲にすることができる。また、熱処理条件1における2段階目の熱処理は、到達温度を300℃以上600℃以下の範囲にし、この到達温度での保持時間を0.1時間以上10時間以下の範囲にすることができる。なお、2段階目の熱処理後の冷却速度は、特に限定されない。
また、銅系素材が析出型合金によって構成される場合、第1熱処理工程[工程7]は、例えば、上述の1段階目および2段階目の熱処理のうち2段階目の熱処理のみを施すことで行なうこともできる(熱処理条件2)。
他方で、銅系素材が純銅やりん青銅合金などによって構成される場合、第1熱処理工程[工程7]を行うことで、中間焼鈍によって、銅系素材を軟化することができる。
銅系素材が純銅やりん青銅合金などによって構成される場合、第1熱処理工程[工程7]は、例えば、1段階の熱処理を施すことで行なうことができる(熱処理条件3)。この熱処理条件3における熱処理は、到達温度を300℃以上700℃以下の範囲にし、この到達温度での保持時間を5秒以上10時間以下の範囲にすることができる。
さらに、銅系素材が無酸素銅によって構成される場合、第1熱処理工程[工程7]を行うことで、中間焼鈍による歪み取りを行うこともできる。
(viii)第2冷間圧延工程[工程8]
第2冷間圧延工程[工程8]は、第1熱処理工程[工程7]を行なった後の冷延材に対して、ワークロールを用いてさらに冷間圧延を施す工程である。第2冷間圧延工程[工程8]では、ワークロールの直径を150mm以下、ワークロール表面の算術平均粗さ(Ra)を0.01μm以上0.05μm以下の範囲とし、1パスあたりの圧下率(加工率)を10%以上、総圧下率(総加工率)を20%以上とする。第2冷間圧延工程[工程8]において、上記条件の範囲内で冷延材の表面を平滑にすることで、次の第3冷間圧延工程[工程9]で所望の表面粗さおよび光沢度を得ることができる。
特に、第2冷間圧延工程[工程8]で用いられるワークロールの直径を150mm以下、より好ましくは120mmにすることで、オイルピットを抑制したり、1パスあたりの圧下量を大きくしたりすることができる。他方で、第2冷間圧延工程[工程8]で用いられるワークロールの直径の下限は、圧延形状の悪化を防止する観点では、30mm以上であることが好ましい。
また、第2冷間圧延工程[工程8]で用いられるワークロール表面の算術平均粗さ(Ra)を0.01μm以上0.05μm以下の範囲にすることで、平滑な表面が得られるため、後述する第3冷間圧延工程[工程9]で所望の表面性状を実現することができる。
第2冷間圧延工程[工程8]における、1パスあたりの圧下率(加工率)は、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。他方で、第2冷間圧延工程[工程8]における、1パスあたりの圧下率(加工率)の上限は、圧延機の限界などの観点から、50%以下としてもよい。
また、第2冷間圧延工程[工程8]における総圧下率(総加工率)は、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。他方で、第2冷間圧延工程[工程8]における総圧下率(総加工率)の上限は、80%以下としてもよい。
(ix)第3冷間圧延工程[工程9]
第3冷間圧延工程[工程9]は、第2冷間圧延工程[工程8]を行なった後の冷延材に対して、ワークロールを用いてさらに冷間圧延を施す工程である。第3冷間圧延工程[工程9]では、ワークロールの直径を150mm以下、ワークロール表面の算術平均粗さ(Ra)を0.10μm以上0.50μm以下の範囲とし、1パスあたりの圧下率(加工率)を10%以上、総圧下率(総加工率)を25%以上とする。第3冷間圧延工程[工程9]において、上記条件によって冷延材の表面を平滑にすることで、得られる銅系板材において、所望の表面粗さおよび光沢度をもたらすことができる。他方で、上記条件の範囲外で圧延を施すと、所望の表面性状が得られなくなるため、レーザ溶接性が不十分となる。
特に、第3冷間圧延工程[工程9]で用いられるワークロールの直径を150mm以下、より好ましくは120mmにすることで、オイルピットを抑制したり、1パスあたりの圧下量を大きくしたりすることができる。他方で、第2冷間圧延工程[工程8]で用いられるワークロールの直径の下限は、圧延形状の悪化を防止する観点では、30mm以上であることが好ましい。
また、第3冷間圧延工程[工程9]で用いられるワークロール表面の算術平均粗さ(Ra)を0.10μm以上0.50μm以下の範囲、より好ましくは0.15μm以上0.50μm以下の範囲にすることで、希求する表面粗さや光沢度を得ることができる。
第3冷間圧延工程[工程9]における、1パスあたりの圧下率(加工率)は、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。他方で、第3冷間圧延工程[工程9]における、1パスあたりの圧下率(加工率)の上限は、圧延機の限界などの観点から、50%以下としてもよい。
また、第3冷間圧延工程[工程9]における総圧下率(総加工率)は、25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。他方で、第3冷間圧延工程[工程9]における総圧下率(総加工率)の上限は、80%以下としてもよい。
(x)調質焼鈍工程[工程10]
調質焼鈍工程[工程10]は、第3冷間圧延工程[工程9]を行なった後の圧延材に対して、合金組成に応じた熱処理を施す工程である。調質焼鈍工程[工程10]を行うことで、圧延材の調質を行うことができる。ここで、調質焼鈍工程[工程10]における熱処理の条件は、例えば、到達温度を200℃以上500℃以下の範囲にし、かつ、この到達温度での保持時間を10秒以上500秒以下の範囲にすることができる。
(xi)形状矯正工程[工程11]
形状矯正工程[工程11]では、調質焼鈍工程[工程10]を行なった後の圧延材に対して、テンションレベラーを用いて銅系板材の形状、より具体的には、圧延方向と幅方向に沿った反りや伸びを矯正する工程である。ここで、形状矯正工程[工程11]後における銅系板材(矯正材)の表面を、圧延方向に沿って測定した平坦度のパラメータである急峻度が0.5%以下になるように制御することが好ましい。これにより、銅系板材の表面における光沢度の異方性や、上述の式(I)によって算出されるパラメータAの低下を抑制することができる。また、銅系板材をレーザ接合する際の、板材間への隙間の形成による、レーザ接合性の低下を起こり難くすることができる。
(xii)防錆処理工程[工程12]
防錆処理工程[工程12]では、形状矯正工程[工程11]を行なった後の圧延材に対して、防錆処理を施す。これにより、圧延材の表面に酸化被膜が形成され難くなるため、酸化被膜に由来する不純物の溶接部への混入による、溶接性の低下を起こり難くすることができる。
防錆処理工程[工程12]は、純銅材または銅合金材に対する公知の防錆手段を用いて行なうことができるが、その中でも、Cuとの反応によって優れた防錆効果をもたらす観点から、ベンゾトリアゾールまたはその誘導体を用いた防錆処理を行うことが好ましい。なお、防錆処理工程[工程12]に供される圧延材は、上述の形状矯正工程[工程11]を行なった後で、脱脂することが好ましい。
[6]銅系板材の用途
本発明の銅系板材は、電気・電子機器用の放熱部材や端子材などに用いるのに適している。より具体的には、特に小型化、高集積化の必要がある、家庭用ゲーム機、医療機器、ワークステーション、サーバー、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション、携帯電話、ロボットのコネクタ、バッテリー端子、ジャック、リレー、スイッチ、オートフォーカスカメラモジュール、リードフレーム等の電気・電子機器に用いるのに適している。
特に、本発明の銅系板材は、ベーパーチャンバなどの放熱部材の構造材に用いることで、板材を重ねた状態で外周部を接合したときに高いレーザ溶接性で接合されるため、放熱部材の内部空間に封入された作動液の漏洩を起こり難くすることができる。その結果、ベーパーチャンバの熱伝導率の低下を抑制することができ、製品の劣化の抑制、長寿命化に優れた効果を発揮することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、本発明例および比較例について説明するが、本発明はこれら本発明例に限定されるものではない。
(本発明例1~17および比較例1~18)
表1および表3に示す合金組成を有する種々の銅系素材(銅素材または銅合金素材)を溶解し、これを窒素からなる雰囲気で冷却して鋳造する鋳造工程[工程1]を行なって鋳塊を得た。この鋳塊に対して、700℃~1000℃の保持温度および2時間の保持時間で熱処理を行う均質化熱処理工程[工程2]を行ない、次いで、500℃以上の圧延温度で総圧下率が90%以上になるように、長手方向が圧延方向になるように圧延する熱間圧延工程[工程3]を行なって熱延材を得た。その後、水冷により室温まで冷却する冷却工程[工程4]を行なった。
冷却工程[工程4]後の熱延材に対して、面削工程[工程5]を行なって表裏両面から各々1mm~3mm程度を削り取って表面の酸化膜を除去した後、総圧下率が90%以上になる条件で、長手方向が圧延方向になるようにして圧延する、第1冷間圧延工程[工程6]を行なった。
このうち、本発明例1~5、11および比較例2~6、11については、上述の熱処理条件1を満たす到達温度および保持時間で、2回の熱処理を施す第1熱処理工程[工程7]を行なった。
また、本発明例6、8、9および比較例8、9、10については、上述の熱処理条件2を満たす到達温度および保持時間で、1回の熱処理を施す第1熱処理工程[工程7]を行なった。
また、本発明例7、10、12~17および比較例1、7、12~18については、上述の熱処理条件3を満たす到達温度および保持時間で、1回の熱処理を施す第1熱処理工程[工程7]を行なった。
第1熱処理工程[工程7]を行なった後、表1、3に記載される、ワークロールの直径、ワークロール表面の算術平均粗さ(Ra)、1パスあたりの圧下率の最小値および総圧下率の条件で、長手方向が圧延方向になるようにして圧延する第2冷間圧延工程[工程8]を行なった。
第2冷間圧延工程[工程8]を行なった後の圧延材に対して、さらに、表1および表3に記載される、ワークロールの直径、ワークロール表面の算術平均粗さ(Ra)、1パスあたりの圧下率の最小値および総圧下率の条件で、長手方向が圧延方向になるようにして圧延する第3冷間圧延工程[工程9]を行なった。
第3冷間圧延工程[工程9]を行なった後の圧延材に対して、300℃の到達温度および50秒の保持時間で熱処理を行う調質焼鈍工程[工程10]を行ない、次いで、テンションレベラーを用いて銅系板材の圧延方向と幅方向に沿った反りや伸びを矯正する形状矯正工程[工程11]を行なった後、脱脂した銅系板材の表面を、ベンゾトリアゾールまたはその誘導体を用いて防錆処理する防錆処理工程[工程12]を行ない、本発明の銅系板材を作製した。ここで、形状矯正工程[工程11]を行なった直後の、圧延方向に沿って測定した平坦度のパラメータである急峻度は、表1、3に記載される値であった。
なお、表1および表3では、銅(Cu)以外の構成成分を、任意添加成分として記載した。また、表1では、銅系素材の合金組成に含まれない成分の欄には横線「-」を記載し、該当する成分を含まない、または含有していたしても検出限界値未満であることを明らかにした。
[各種測定および評価方法]
上記本発明例および比較例に係る銅系板材を用いて、下記に示す特性評価を行なった。各特性の評価条件は下記のとおりである。
[1]銅系板材の表面粗さの測定
銅系板材の表面粗さは、JIS B0601(2001)に規定された方法に準じる方法(接触式表面粗さ測定法)によって表面粗さの測定を行い、圧延方向に対して直交する幅方向に沿った粗さ曲線を取得して、その粗さ曲線から最大高さ(Rz)および算術平均粗さ(Ra)を求めた。結果を表2、4に示す。
[2]銅系板材の光沢度の測定
銅系板材の光沢度は、JIS Z8741に準拠した光沢度計(日本電色工業製、商品名「PG-1M」)を用いて、図2(a)に示されるように、圧延方向xに沿って、入射角45°、60°および75°の角度で銅系板材11の表面に入射光Iを入射させたときに、反射角θ2で反射する鏡面反射光の強さを、それぞれ受光器21により測定することで、光沢度Gs1(45°)、Gs1(60°)およびGs1(75°)を求めた。また、図2(b)に示されるように、幅方向yに沿って、入射角60°の角度で銅系板材11の表面に入射光Iを入射させたときに、反射角θ2’で反射する鏡面反射光の強さを、受光器21により測定することで、光沢度Gs2(60°)を求めた。そして、得られる光沢度の値から、Gs1(60°)/Gs2(60°)比と、上述の式(I)によって算出されるパラメータAを求めた。結果を表2、4に示す。
[3]銅系板材の酸化被膜厚さの測定
銅系板材の圧延方向が長手方向になるように、幅25mm、長さ50mmの試験片を採取し、このうち測定部(測定面積約100mm)以外の部分を樹脂で被覆して、カソード還元法により酸化被膜の厚さを測定した。ここで、電解液としては0.1NKCl溶液を用い、Nガスを通気して溶存酸素を十分に除去した後サンプルを浸漬し、同時に通電して還元を行った。液温は25℃に保持し、カソード電流密度は0.1mA/cmとした。還元によってカソード還元曲線が得られ、これより酸化膜の厚さを求めた。
ここで、銅の酸化物には酸化第2銅(CuO)および酸化第1銅(CuO)の2種類の形態があり、これらは銅の価数が異なっている(それぞれ、Cu2+およびCu)。さらに、銅系板材が銅合金からなる場合、銅の酸化物以外に、銅と合金元素を含む酸化物が形成されている場合もある。そのため、本願では、銅の酸化物が全てCuOであったと仮定したときの酸化被膜の厚さを求めた。結果を表2および表4に示す。
[4]形状矯正工程[工程11]後の銅系板材の表面における急峻度の測定
銅系板材(板幅長さ(300mm以上)、圧延方向の長さ1000mm)について、日本伸銅協会技術標準JCBA-T326-2014(銅及び銅合金の板条の平坦度測定方法)に従って、非接触式の3次元測定機を用いて、圧延方向の急峻度を測定した。このとき、幅方向の中央部を中心として25mmピッチで合計20ヶ所測定し、最大となる値が0.5%以下となるときに、レーザ溶接性が良好になると判断した。
ここで、急峻度は、圧延方向の高さプロファイルの波の谷から谷までの距離を波の長さwとし、谷から谷の間にひいた直線と波の山までの距離を波の高さhとしたときに、(h/w)×100(%)の値とした。結果を表2および表4に示す。
[5]レーザ溶接性の評価
本発明例および比較例の銅系板材について、板厚1mmの銅系板材を2枚重ね合わせ、重ね合わせた部分の表面に800nm以上1200nm以下の範囲の波長を有するレーザ光を、6kWの出力で照射し、かつ4m/分の速度で掃引することでレーザ溶接を行なった。このとき、レーザ光での加熱による酸化を防ぐため、不活性ガスとして窒素を供給し、窒素雰囲気中で溶接を行なった。溶接後、レーザの掃引方向に対して垂直に切り出し、得られる断面に対して、樹脂埋め、湿式研磨及びエッチング処理を施して、光学顕微鏡により断面観察を行った。
さらに、溶接後の銅系板材の溶接部の光学顕微鏡写真について二値化解析(Image-J)を行い、最大欠陥サイズがφ50μm以下であり、かつ欠陥面積率が1%以下である場合を、銅系板材の溶接性が優れているとして「◎」と評価した。また、最大欠陥サイズがφ50μm以下であり、かつ欠陥面積率が1%超5%以下である場合を、銅系板材の溶接性が合格レベルにあるとして「○」と評価した。他方で、最大欠陥サイズがφ50μmを超えた場合や、欠陥面積率が5%を超えたりした場合を、銅系板材の溶接性が不合格であるとして「×」と評価した。結果を表2および表4に示す。
また、本発明例12および比較例16の銅系板材について、2枚の銅系板材を重ね合わせてレーザ溶接によって接合したときの断面状態を観察したときの光学顕微鏡写真を、それぞれ図3および図4に示す。ここで、図4のうち、図4(a)は、画像変換前の光学顕微鏡写真であり、図4(b)は、図4(a)の画像の色調を、白と黒の2値化処理によって変換した後の画像を示す写真である。
Figure 2023032936000002
Figure 2023032936000003
Figure 2023032936000004
Figure 2023032936000005
表1~表4の結果から、本発明例1~17の銅系板材は、合金組成が本発明の適正範囲内であるとともに、幅方向に沿った最大高さ(Rz)が0.30μm以上2.50μm以下の範囲にあり、かつ幅方向に沿った算術平均粗さ(Ra)が0.10μm以上0.50μm以下の範囲にあり、かつ、光沢度Gs1(60°)が450以下であり、Gs1(60°)/Gs2(60°)比が、1.0以上2.0以下の範囲であり、このときに、レーザ溶接性の評価も「◎」または「〇」と評価されるものであった。
したがって、本発明例1~17の銅系板材は、最大高さ(Rz)、算術平均粗さ(Ra)、光沢度Gs1(60°)およびGs1(60°)/Gs2(60°)比の要件を満たすため、レーザ溶接性にも優れていた。
他方で、比較例1~18の銅系板材は、いずれも、最大高さ(Rz)、算術平均粗さ(Ra)、光沢度Gs1(60°)およびGs1(60°)/Gs2(60°)比の要件のうち、少なくともいずれかが本発明の適正範囲外であるため、レーザ溶接性の評価も合格レベルに達していなかった。
10 銅系部材
11、11a、11b 銅系板材
13 溶接部
21 受光器
22 光沢値算出手段
I 入射光
L レーザ光
x 圧延方向
y 幅方向

Claims (5)

  1. Cuを90質量%以上含有する合金組成を有する銅系材料からなる銅系板材であって、
    前記銅系板材は、圧延方向に対して直交する方向である幅方向に測定した表面粗さを表すパラメータである、最大高さ(Rz)が0.30μm以上2.50μm以下の範囲にあり、かつ算術平均粗さ(Ra)が0.10μm以上0.50μm以下の範囲にあり、
    前記銅系板材の表面に対して60°の入射角で、前記圧延方向と平行な方向に光を照射したときの光沢度をGs1(60°)、前記幅方向に光を照射したときの光沢度をGs2(60°)とするとき、
    前記光沢度Gs1(60°)は、450以下であり、かつ前記光沢度Gs2(60°)に対する比(Gs1(60°)/Gs2(60°)比)が、1.0以上2.0以下の範囲である、銅系板材。
  2. 前記銅系板材の表面に対して45°および75°の入射角で、前記圧延方向と平行な方向に光を照射したときの光沢度を、それぞれGs1(45°)およびGs1(75°)とするとき、
    以下の式(I)によって算出されるパラメータAの値が、0.5以上1.2以下の範囲である、請求項1に記載の銅系板材。
    A=[Gs1(60°)-Gs1(45°)]/[Gs1(75°)-Gs1(60°)]
    ・・・式(I)
  3. 前記銅系板材の表面に形成される酸化被膜の厚さが、20Å以上500Å以下の範囲である、請求項1または2に記載の銅系板材。
  4. 少なくとも2つの、請求項1から3のいずれか1項に記載の銅系板材同士を、レーザ溶接法によって接合して一体形成される銅系部材。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載の銅系板材の製造方法であって、
    銅系素材に、少なくとも、鋳造工程[工程1]、均質化熱処理工程[工程2]、熱間圧延工程[工程3]、冷却工程[工程4]、面削工程[工程5]、第1冷間圧延工程[工程6]、第1熱処理工程[工程7]、第2冷間圧延工程[工程8]、第3冷間圧延工程[工程9]、調質焼鈍工程[工程10]、形状矯正工程[工程11]、防錆処理工程[工程12]を順次行ない、
    前記第2冷間圧延工程[工程8]では、ワークロールの直径を150mm以下、ワークロール表面の算術平均粗さ(Ra)を0.01μm以上0.05μm以下の範囲、1パスあたりの圧下率を10%以上、総圧下率を20%以上とし、
    前記第3冷間圧延工程[工程9]では、ワークロールの直径を150mm以下、ワークロール表面の算術平均粗さ(Ra)を0.10μm以上0.50μm以下の範囲、1パスあたりの圧下率を10%以上、総圧下率を25%以上とし、かつ、
    前記形状矯正工程[工程11]後における銅系板材の表面を、圧延方向に沿って測定した平坦度のパラメータである急峻度が0.5%以下になるように制御する、銅系板材の製造方法。
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