JP2023032679A - 吸音表皮材、及びそれを含む吸音材 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚みが薄くかつ低目付であっても、全面で均一な吸音付与性能を実現する吸音表皮材、該吸音表皮材を含む吸音材の提供。【解決手段】0.01mm2以上0.19mm2以下の開孔部を有し、かつ開孔率が0.1%以上21%以下である不織布を含むことを特徴とする、吸音表皮材、及び該吸音表皮材を含む、吸音材。【選択図】なし

Description

本発明は、吸音表皮材、及びそれを含む吸音材に関する。
車両等が走行する際には、車両に搭載されるエンジン及び駆動系からの騒音や走行中のロードノイズ、風切り音などの、種々の騒音が発生する。このような騒音が搭乗者に不快感を与えないように、エンジンフード、ダッシュパネル、天井材、ドアトリム、キャブフロア等の壁面には、騒音対策として吸音材が適用される。近年の車外騒音低減の取り組みでは、吸音材として繊維素材が検討されている。例えば、以下の特許文献1には、繊維径が6ミクロン以下のメルトブローン不織布と繊維径が7~40μmの短繊維をニードルパンチ法で複合した複合不織布が提案されている。また、以下の特許文献2には、吸音性基材の両面に、ポリプロピレン繊維と、高融点ポリエステルが芯、ポリプロピレンよりも低融点のポリエステルが鞘のバインダー芯鞘繊維とが、ニードルパンチ交絡された不織布補強層を配置し、加熱圧縮することで不織布補強層表面に通気性のある膜を生じさせ、吸音性及び種々の耐久性を向上させた、車外装用吸音材が提案されている。
特開2001-279570号公報 特開2013-007138号公報
しかしながら、これらの不織布は、ニードルパンチによる多数の交絡孔を持ち、また、一部は開孔がランダムであり、大きな吸音性低下を招く部分を有するため、均一な吸音性能を持つ不織布とは言い難い。このように、不織布に孔を設けた吸音表皮材が提案されているものの、厚みが薄くかつ低目付であっても、全面で均一な吸音付与性能を実現する表皮材は、未だ提供されていない。
前記した従来技術に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、厚みが薄くかつ低目付であっても、全面で均一な吸音付与性能を実現する吸音表皮材を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、従来、不織布に対して、繊維間および層間の微細な孔より遥かに大きい孔を設けることは、空気のチャネリングを引き起こし、吸音付与性能を悪化させるとされてきたところ、0.01mm2以上0.19mm2以下の開孔部を有し、かつ開孔率が0.1%以上21%以下である不織布であれば、厚みが薄くかつ低目付で、全面で均一な吸音付与性能を実現することを予想外に見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]0.01mm2以上0.19mm2以下の開孔部を有し、かつ開孔率が0.1%以上21%以下である不織布を含むことを特徴とする、吸音表皮材。
[2]平均繊維径10μm以上30μm以下の少なくとも1層の太繊維層を含み、前記開孔部に6本以上の太繊維末端が面している、前記[1]に記載の吸音表皮材。
[3]平均繊維径10μm以上30μm以下の少なくとも1層の太繊維層と、平均繊維径0.3μm以上7μm以下の少なくとも1層の極細繊維層とを含む、前記[1]又は[2]に記載の吸音表皮材。
[4]前記太繊維層を構成する繊維の複屈折が0.070以上0.100以下である、前記[2]又は[3]に記載の吸音表皮材。
[5]前記太繊維層がスパンボンドである、前記[3]又は[4]に記載の吸音表皮材。
[6]前記不織布が部分熱圧着されている、前記[1]~[5]のいずれかに記載の吸音表皮材。
[7]前記不織布の部分熱圧着面積率が5%以上30%以下である、前記[6]に記載の吸音表皮材。
[8]前記不織布の熱圧着部間距離が、該不織布のMD方向(機械方向)と、該MD方向と直角のCD方向(巾方向)のいずれにおいても、0.6mm以上4mm以下である、前記[6]又は[7]に記載の吸音表皮材。
[9]前記不織布が長繊維のみからなる、前記[1]~[8]のいずれかに記載の吸音表皮材。
[10]前記[1]~[9]のいずれかに記載の吸音表皮材を含む、吸音材。
本発明に係る吸音表皮材は、厚みが薄くかつ低目付であっても、全面で均一な吸音付与性能を持つ。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の吸音表皮材は、0.01mm2以上0.19mm2以下の開孔部を有し、かつ開孔率が0.1%以上21%以下である不織布を含むことを特徴とする。
<不織布>
本実施形態の吸音表皮材を構成する不織布は、0.01mm2以上0.19mm2以下、好ましくは0.17mm2以下、より好ましくは0.15mm2以下の開孔部を有することを特徴とする。前記開孔部は、不織布を構成する繊維によって形成されているミクロ孔とは異なるものである。また、本実施形態の吸音表皮材は、0.1%以上21%以下、好ましくは18%以下、より好ましくは10%以下の開孔率を有することを特徴とする。
本実施形態の吸音表皮材は、0.01mm2以上0.19mm2以下の開孔部を有し、かつ開孔率が0.1%以上21%以下であれば、多孔質吸音効果と面振動吸音効果の両方の効果を発現することで、低周波、中周波、高周波の広い領域での吸音付与性能が期待できる。この効果発現については、音は主に空気を媒質に波として伝搬し、波は媒質の変位(変形)を伴って伝搬するが、媒質そのものが運ばれるわけではないため、空気や水の様な流れ(媒質そのものの移動)と異なり、孔のような圧損の低い所を優先的に伝搬するわけではないことに由来すると推定している。十分に多孔質な不織布であれば、意図的に孔を設けた箇所以外にも十分に連続した空気の伝搬路が存在しており、音は不織布全面に侵入し、吸収される。但し、過剰に開孔部が大きい、または開孔率が大きすぎる場合、そこは不織布が存在しないことと同義となり、吸音付与性能が悪化する。
尚、一般に、吸音材は多孔質吸音効果と面振動吸音効果の両側面の効果を発現することで、低周波、中周波、高周波の広い領域での吸音付与効果を発現している。多孔質吸音効果とは、音の振動エネルギーを骨格との摩擦により熱エネルギーに変換する効果であり、高周波数領域に対し有効である。他方、面振動吸音効果とは、密な構造に音が進入する際、音の振動エネルギーを受け面全体で振動し、音の振動エネルギーを熱エネルギーに変換する効果であり、低周波数領域に対し有効である。
開孔の方法としては、円板状のロール外周面上に規則的に突出した任意の太さの針による公知の穿孔加工が挙げられる。ロールが所定の速度で回転することにより、針が接触した部分の繊維を破断し不織布を開孔する。針は繊維の融点以下ガラス転移点以上に加熱することが好ましいが、常温でもよい。穿孔加工を行う場合、開孔部の大きさは穿孔針の太さで、開孔率は穿孔針の太さ及び密度(単位面積当たりの針本数)で、調整可能である。
また、開孔する方法としては、不織布の融点以上の熱を持つ物質を照射することで開孔する方法や、水流交絡法およびニードルパンチ法でもよい。
穿孔加工前の不織布の平均開孔径は、剥離強力、吸音性の観点から、1μm以上30μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以上20μm以下、さらに好ましくは5μm以上15μm以下である。穿孔加工前の不織布の平均開孔径が1μm以上であれば、過剰に緻密にならず音の侵入を阻害することが少なくなる。他方、30μm以下であれば、適度に緻密なため吸音性が向上し、また、穿孔加工時に繊維が屈曲しにくくなることで破断されやすくなり、0.01mm2以上0.19mm2以下の開孔部が得られやすい。
開孔部周辺において繊維を破断させる観点から、穿孔加工における針温度は、好ましくは25℃以上250℃以下、より好ましくは75℃以上220℃以下、さらに好ましくは150℃以上200℃以下である。加熱された針が不織布に接触することで、局所的に結晶性が高まり不織布が硬くなり、針が押し込まれたときの不織布の延伸性が低下するため、繊維の破断効率が高まる。
本実施形態の吸音表皮材は、強度及び取り扱い性の観点より、長繊維不織布を含むことが好ましく、長繊維不織布のみで構成される(短繊維を含まない)ことが好ましい。長繊維不織布の例としては、スパンボンド法やメルトブローン法により製造される不織布が挙げられる。尚、本明細書中、「長繊維不織布」の定義は、JIS L 0222:2001に従う。不織布を構成する繊維の繊維長は100mm以上であることが好ましい。
本実施形態の吸音表皮材を構成する不織布は繊維同士が接合されていることが好ましく、吸音性や軽量化の観点から、熱圧着による接合が望ましい。熱圧着により接合された不織布は、面として適度に固定化されているため、面振動吸音効果が発現しやすく、また、十分な強度を持つ為、取り扱い性も良好となる。
熱圧着は、公知のエンボスロールと平滑ロール(以下、フラットロールともいう。)間での熱圧着による接合、平滑ロールと平滑ロール間での熱圧着による接合、熱平板間での熱圧着による接合が可能であるが、最も好ましくは、エンボスロールと平滑ロール間で熱圧着して接合する手法である。エンボスロールと平滑ロール間での熱圧着は、非熱圧着部(非エンボス部)において、緻密化が抑制されるため音の侵入を阻害しにくく、さらには、熱圧着部(エンボス部)での強固な接合が行われるため、十分な強度を持ち取り扱い性が良く、熱成型が必要な部材への適用が可能となり、幅広い用途で用いることができる。
エンボスロールと平滑ロール間で熱圧着して接合する場合、不織布全面積に対して5%以上30%以下の範囲の圧着面積率で部分熱圧着が行われることが好ましく、より好ましくは7%以上25%以下である。熱圧着面積率が5%以上であると、毛羽立ちが少なく、30%以下であると不織布がペーパーライクになりにくく、破断伸度、引裂強力等の機械的物性が低下しにくい。
熱圧着の温度は、供給されるウェブの目付、速度等の条件によって適宜選択されるべきものであり、一概には定められないが、不織布を構成する素材の融点よりも30℃以上90℃以下低い温度であることが好ましく、より好ましくは40℃以上70℃以下低い温度である。また、エンボスロールと平滑ロール間で熱圧着して接合する場合であって、エンボスロール面に接する樹脂種と平滑ロール面に接する樹脂種が同じである場合、エンボスロールと平滑ロールの温度差は、10℃未満であることが好ましく、より好ましくは5℃未満、さらに好ましくは3℃未満である。但し、エンボスロール面に接する樹脂種とフラットロール面に接する樹脂種の融点が異なる場合、紡糸時の牽引力、糸の配向結晶性が異なる場合は、この限りではない。エンボスロールと平滑ロールの温度差が上記範囲内であれば、成型性が向上する。
熱圧着の圧力も、供給されるウェブの目付、速度等の条件によって適宜選択されるべきものであり、一概には定められないが、10N/mm以上100N/mm以下であることが好ましく、より好ましくは30N/mm以上70N/mm以下である。熱圧着の圧力が上記範囲内であれば、良好な繊維相互間の熱圧着処理を行うことができ、得られる不織布を適度な機械的強度、剛性、寸法安定性を有するものとすることができる。
熱圧着部の形状については、特には限定されないが、好ましくは織目柄、アイエル柄(長方形柄)、ピンポイント柄、ダイヤ柄、四角柄、亀甲柄、楕円柄、格子柄、水玉柄、丸柄などが例示できる。
平滑ロールと平滑ロール間で熱圧着して接合する場合や、熱平板間で熱圧着して接合する場合は、不織布の全面に圧力がかかる為、面全体が過剰に緻密となり音の侵入を阻害しない程度に、他方で層間剥離を引き起こさない程度に、低圧低温での熱圧着とすることが好ましい。
部分熱圧着によって不織布に転写される部分熱圧着部間の距離は、不織布のMD方向(機械方向)とその方向と直角のCD方向(巾方向)のいずれにおいても、0.6mm以上4mm以下が好ましく、より好ましくは0.8mm以上3.5mm以下、更に好ましくは1mm以上3mm以下である。部分熱圧着部間の距離が上記範囲であれば、不織布の過度な剛性上昇を抑制できると共に、圧着されていない自由度の高い糸が圧着部から外れて毛羽立つ現象を十分に抑制することができる。
本実施形態の吸音表皮材を構成する不織布の目付は、20g/m2以上100g/m2以下が好ましく、より好ましくは、20g/m2以上70g/m2以下である。不織布の目付が20g/m2以上であると、十分に緻密構造を持ちやすい。また、吸音表皮材として吸音基材と組み合わせる場合に、吸音基材を摩耗等から保護するための必要強度を達成しやすく、さらには意匠性の観点から吸音基材の目隠しを行いやすい。不織布の目付が100g/m2以下であると、過剰な緻密化を抑制でき、開孔部以外の領域での音の反射が少なく、吸音基材まで音を侵入させやすく、表皮と基材を一体化した吸音材全体での吸音効果を得やすい。また吸音表皮材の柔軟性、延伸性、追随性を得やすく、これらの特性が必要な、例えば、エンジンインシュレータ等の熱成型を要する部材においても使い勝手が良いものとなる。
本実施形態の吸音表皮材を構成する不織布の嵩密度は、0.1g/cm3以上0.7g/cm3以下であることが好ましく、より好ましくは0.15g/cm3以上0.6g/cm3以下、さらに好ましくは0.2g/cm3以上0.55g/cm3以下である。嵩密度が0.1g/cm3以上であれば、不織布の緻密性が向上し、吸音性が向上する。他方、嵩密度が0.7g/cm3以下であれば、不織布の緻密性が高過ぎず、音の進入が十分となり、特に中周波数4000Hz付近の吸音率が下がりにくく、加工性も向上する。
本実施形態の吸音表皮材を構成する不織布は、180℃雰囲気下、10分間における乾熱収縮率は、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下であり、さらに好ましくは3.5%以下である。5%以下であると、成形加工時、収縮によりシワが発生しにくい。
本実施形態の吸音表皮材を構成する不織布の繊維断面の形状は、特に制限されないが、強度の観点からは、丸断面が好ましく、繊維の表面積の増加、微細空隙の形成の観点からは、偏平糸などの異型断面糸が好ましい。
本実施形態の吸音表皮材を構成する不織布を構成する素材としては、溶融紡糸法で繊維化できる熱可塑性樹脂が好適に用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリプロピレンなど)、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂(ポリD-乳酸、ポリL-乳酸、D-乳酸とL-乳酸との共重合体、D-乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L-乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、D-乳酸とL-乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、これらのブレンド体など)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66、共重合ポリアミドなど)、ポリフェニレンサルファイドなどが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、特に、耐熱性、耐水性などに優れる芳香族ポリエステル系樹脂が好ましく用いられる。芳香族ポリエステル系樹脂としては、熱可塑性ポリエステルであって、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートが代表例として挙げられる。また、芳香族ポリエステル系樹脂は、エステルを形成する酸成分としてイソフタル酸やフタル酸等が重合又は共重合されたポリエステルであってもよい。なお環境配慮の観点からは、熱可塑性樹脂は石油由来よりも植物由来であることが好ましい。
<太繊維層(S)>
本実施形態の吸音表皮材を構成する不織布は、太繊維層(S)を含むことができる。太繊維層(S)を含む場合、該太繊維層(S)を構成する繊維の平均繊維径は好ましくは10.0μm以上30.0μm以下であり、より好ましくは12.0μm以上30.0μm以下、さらに好ましくは12.0μm以上20.0μm以下、よりさらに好ましくは13.0μm以上20.0μm以下、最も好ましくは13.0μm以上18.0μm以下である。太繊維層(S)を構成する繊維の平均繊維径が10.0μm以上であれば紡糸安定性が高く、また、30μm以下であれば強力や耐熱性に優れる。
太繊維層(S)を含む場合、開孔部に6本以上の太繊維末端が面していることが好ましい。開孔部に6本以上の太繊維末端が面している場合、後加工による開孔部の大きさの変化が極めて小さくなり、所望の吸音付与性能が得られやすい。
太繊維層(S)の目付は、好ましくは目付10g/m2以上45g/m2以下であり、より好ましくは10g/m2以上30g/m2以下である。目付が10g/m2以上であれば、十分な強力を持ち、穿孔加工での針の太さと実際の開孔部の大きさの差異を最小限にでき、他方、目付が45g/m2以下であれば、軽量である。
太繊維層(S)を構成する繊維の熱圧着後の複屈折率(Δn)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)においては、好ましくは0.070以上0.100以下である。複屈折率(Δn)が0.070以上であれば、部分熱圧着時に十分な熱量が付与でき、熱収縮しにくい不織布となる。他方、複屈折率(Δn)が0.100以下であれば、高伸度かつ低弾性率な繊維が得られ、結果として剥離強力、成形性が優れる。複屈折率は、部分熱圧着時のロール温度や、紡糸の際の牽引装置の牽引力によって制御することが可能である。
太繊維層(S)の紡糸方法は、公知のスパンボンド法を用いることができ、紡糸時に摩擦帯電やコロナ帯電などにより糸条を均一に分散させる条件が好ましい。このような条件を用いれば、未結合状態のウェブを作製しやすく、かつ、経済性に優れる。また、太繊維層は単層でも複数の層を重ねてもよい。
スパンボンド法では、エアジェットによる高速気流牽引装置を用いる事が一般的であり、牽引装置に導入するエアー量により牽引力を変更される。この牽引力は、牽引装置の全長と同じ長さの直径0.235mmのテグス(釣り糸)(本明細書内では、東レ社製 ナイロンテグス 「銀鱗(2号/ナチュラル/50m巻 単体)」を用いた。)2本を牽引装置内に投入し、テグスに連結したバネ測りによって応力を測定し、投入したテグス長で割り返すことで牽引力(mN/m)を計測した。複屈折率(Δn)を上記範囲に調整するための好ましい牽引力としては、50mN/m以上100mN/m以下であり、より好ましくは50mN/m以上80mN/m以下、最も好ましくは60mN/m以上70mN/m以下である。
<極細繊維層(M)>
本実施形態の吸音表皮材を構成する不織布は、極細繊維層(M)を含むことができる。極細繊維層(M)を含む場合、該極細繊維層(M)の平均繊維径は好ましくは0.3μm以上7μm以下、より好ましくは0.4μm以上5μm以下、さらに好ましくは0.6μm以上2μm以下である。平均繊維径が0.3μm以上であれば、メルトブロー法での紡糸に過酷な条件は必要とせず、安定して繊維が得られる。他方、平均繊維径が7μm以下であれば、吸音効果が十分に得られ、また、太繊維層(S)と極細繊維層(M)の複合から構成される場合には、太繊維層(S)の隙間に微細繊維として入り込んで該隙間を埋める作用が得られるため、緻密な構造となり吸音効果をより高めることができる。
極細繊維層(M)の目付は、低目付で十分な吸音性を得る点から、好ましくは1g/m2以上40g/m2、より好ましくは2g/m2以上25g/m2以下、さらに好ましくは3g/m2以上20g/m2以下である。
極細繊維層(M)はメルトブロー法によって製造することが好ましい。メルトブロー法では、溶融した樹脂を紡糸ノズルから吐出した直後に高温高速のエアーにより牽引を行うため、比較的生産コストの低く細い繊維径が得やすい。しかし、その製法上の特徴から溶融・吐出した樹脂の固化がしにくく、繊維同士の融着などにより、過度に極細繊維層(M)が硬くなり、吸音性の低下につながる場合がある。そのため、この繊維同士の融着を防ぐために、樹脂粘度や、コンベア又は太繊維層(S)上に吹き付ける距離等を適宜調整することが好ましい。
極細繊維層(M)の素材がPET又はその共重合体の場合には、極細繊維の溶液粘度(ηsp/c)は0.35以上0.6以下が好ましく、より好ましくは0.37以上0.55以下である。PET又はその共重合体の極細繊維の溶液粘度(ηsp/c)が0.3以上であれば、固化を早め糸同士の融着を抑制することができる。PET又はその共重合体の極細繊維の溶液粘度(ηsp/c)が0.6以下であれば、細い繊維が得やすいため過度な延伸エネルギーを必要とせず、生産コストを低くすることができる。
メルトブローノズルと捕集面との距離は、100mm以上180mm以下の距離が好ましく、より好ましくは110mm以上150mm以下、さらに好ましくは120mm以上140mm以下である。メルトブローノズルと捕集面との距離が100mm以上であれば、加熱空気の温度、流量を高くしても極細繊維同士の融着が抑えやすい。他方、メルトブローノズルと捕集面との距離が180mm以下であれば、空気中での繊維間の絡み合いが発生しにくく、斑が発生しにくくなると共に、融着による自己接着が弱すぎず積層工程等での取り扱いが良好となる。
<積層不織布>
本実施形態の吸音表皮材を構成する不織布は、少なくとも1層の太繊維層(S)と、少なくとも1層の極細繊維層(M)とを含む積層不織布であることがより好ましい。積層状態の例として、少なくとも1層の太繊維層(S)と、少なくとも1層の極細繊維層(M)との複合から構成される場合はSM、SMS、SMM、SMMS、SMSMS、SMSSMS等が挙げられる。
太繊維層(S)は強度が高く取り扱い性に優れるという特性を持つ。一方で、極細繊維層(M)は繊維径が小さいことに由来した、緻密構造を得やすいという特性を持つ。これら2層を組み合わせることで、高い剥離強力や多孔質吸音効果と面振動吸音効果の両側面の効果で高い吸音性を得やすい。また、吸音性と取り扱い性の両立を、極細繊維を非常に細くすることで、低目付で達成可能となる。
本実施形態の吸音表皮材を構成する不織布は、平均繊維径0.3μm以上7μm以下の少なくとも1層の極細繊維層(M)と、平均繊維径10μm以上30μm以下の少なくとも1層の太繊維層(S)とが一体化された積層不織布であることが好ましい。平均繊維径を上記範囲とすることにより、吸音効果と取り扱い性を両立できる。極細繊維層(M)のみであると、穿孔加工の際に、針の太さと実際の開孔部の大きさの差異が大きくなってしまうが、太繊維層(S)の存在よって差異を最小限にできる。また、成形加工等で不織布が延伸される際、太繊維層(S)が柱の役割を果たし、極細繊維層(M)に極端な応力がかかることないため、極細繊維層(M)の破れを防止できる。
前記積層不織布の製造方法としては、単層又は積層ウェブを一連の紡糸工程で作製し、搬送時には、平滑なプレコンパクションロールとコンベアネット間で低圧ニップを行い、その後エンボスロールと平滑ロール間で加熱圧着して接合する手法が好ましい。例えば、SMS構造では、太繊維層(S1)をコンベア上に吹き付け、その後極細繊維層(M)を太繊維層(S1)上に吹き付け、最後に、太繊維層(S2)を極細繊維層(M)上に吹き付ける。搬送時には太繊維層(S1、2)のメクレ欠点発生防止、及び、極細繊維層(M)と太繊維層(S1、2)の部分接着を適度に促進するために、太繊維層(S1、2)吹き付け後に、平滑なプレコンパクションロールを用い、プレコンパクションロールとコンベアネット間で低圧ニップを行うとよい。プレコンパクションロールで軽度に一体化したウェブをエンボスロールと平滑ロール間で加熱圧着を行う。このように太繊維層(S)への極細繊維層(M)の吹き付け工程、プレコンパクションでの一体化工程を経ることで、非部分熱圧着部も極細繊維層(M)と太繊維層(S)の一体化を促進することができ、極細繊維層(M)の穿孔時に、針の太さと開孔部の大きさの差異を最小にできるとともに、太繊維層(S)が柱の役割を果たし、極細繊維層(M)に極端な応力がかかることないため、極細繊維層(M)を破れなく均一に延伸しやすくなる。
プレコンパクションロールの加熱温度としては、例えば、ロール接触面に存在する繊維の融点より60℃以上、100℃以下低い温度が好ましく、圧力は1N/mm以上、10N/mm以下が好ましく、より好ましくは3N/mm以上、7N/mm以下である。
本実施形態の吸音表皮材を構成する不織布が、例えばSMSのように、2層以上の太繊維層(S)を含み、かつ太繊維層(S)が吸音基材と接して使用することが想定される場合、吸音基材と接する太繊維層(S)は、他層の繊維の融点より30℃以上低い融点を有する繊維を含んでもよい。すなわち、積層不織布と吸音基材の接着性を良好に保つために、吸音基材と接触する層を低融点の繊維構成にすることもできる。低融点の繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートにフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオールの1種又は2種以上の化合物を共重合した芳香族ポリエステル共重合体、脂肪族エステルなどのポリエステル系繊維などが挙げられる。これらの繊維は、単独でもよく、2種以上複合混繊してもよく、また、低融点繊維と高融点繊維とを複合混繊してもよい。更に、低融点成分を鞘部に有する、鞘芯構造の複合繊維を用いてもよい。鞘芯構造の複合繊維としては、例えば、芯が高融点成分であるポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル、鞘が低融点成分である共重合ポリエステル、脂肪族エステルなどが挙げられる。
<樹脂コーティング>
本実施形態の吸音表皮材を構成する不織布は、樹脂コーティングが施されていてもよい。特に極細繊維層(M)が低目付で、かつ不織布全体でも低目付の場合には、緻密構造による吸音効果を得るために、樹脂コーティングを行うことが非常に好ましい。樹脂コーティング量は、3g/m2以上25g/m2以下が好ましく、より好ましくは3g/m2以上20g/m2以下である。樹脂コーティング量が上記範囲であれば、十分に繊維間の隙間をふさぐ効果が期待でき、かつ、熱成型時の金型への樹脂の付着を抑制しやすく、成型体の金型への貼り付きを抑制でき良好な成型性を得ることができる。
樹脂コーティングに用いる樹脂としては、取り扱いが容易な点から、水溶液、水性エマルジョン、水性ディスパーションとした物を使用することが好ましい。樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が用いることができ、熱硬化性樹脂としては、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エステル結合型熱硬化性アクリル樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリエステル系樹脂等が使用される。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等が使用される。
前記熱硬化性樹脂として好ましいものの一つは、エステル結合型熱硬化性アクリル樹脂である。エステル結合型熱硬化性アクリル樹脂は、エチレン性不飽和ジカルボン酸のラジカル重合により得られたポリマーの酸と、ヒドロキシル基を有するアルカノールアミンに含まれる水酸基とのエステル化反応によって硬化を行う。この場合、硬化反応時は水のみが副成され、ホルムアルデヒド等の有害物質が副成されないといため、自動車内装材などに適している。
前記熱硬化性樹脂として好ましい他の一つは、フェノール系樹脂のフェノール-アルキルレゾルシン共縮合物である。フェノール-アルキルレゾルシン共縮合物は水溶液の安定性が良く、かつフェノールのみからなる縮合物に比較して、常温で長期間保存することができるという利点がある。また、アルキルレゾルシンはホルムアルデヒド類との反応性が高く、遊離アルデヒドを捕捉して反応するので、樹脂中の遊離アルデヒド量が少なくなる利点がある。
前記熱可塑性樹脂として好ましいものは、ポリエステル系樹脂である。ポリエステル系樹脂は比較的ガラス転移点が高く、のコーティング後、低温での乾燥でもべたつきが少なく良好な肌触りを持ち、樹脂移りが少ない。
樹脂コーティングに用いる樹脂中に、不織布を緻密にさせることを目的に、フィラーを混合してもよい。フィラーとしては、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、中空セラミックス等の中空粒体、プラスチック発泡体や発泡粒、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、シリカ、コロイダルシリカ等の無機充填剤等が例示される。これらの中でもシラスバルーン等の中空粒体は、内部が中空であることから吸音性能の向上に寄与しやすく望ましい。
前記フィラーの平均粒径は、1μm以上100μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以上90μm以下、さらに好ましくは15μm以上70μm以下である。フィラーの平均粒径が1μm以上であれば、空隙が適度に形成され、音の進入が十分となり吸音効果を高めやすい。他方、フィラーの平均粒径が100μm以下であれば、過度に大きな隙間の形成が抑制しやすく、表皮を緻密にさせながらも、適度な表面積を持たせやすい。フィラーと樹脂コーティングに用いる樹脂の混合比(質量比)は、固形分比で55:45~70:30で使用できる。この範囲であれば、フィラーの表皮材への固着が十分であり、かつフィラー同士の隙間を樹脂で埋め尽くす可能性を低減させることができる。
樹脂のコーティング方法としては、ロールコーター、ナイフコーター、フローコーター等の片面へのコーティング方法や、ディップニップ等の含浸による厚み方向全体へのコーティング方法が使用できる。一般的に、熱成型時の金型への樹脂の付着を抑制する、または、成型体の金型への貼り付きを抑制する観点から、片面に樹脂が存在するコーティング方法、特にロールコートが望ましい。一方で本実施形態の吸音表皮材を構成する不織布のような太繊維層(S)と極細繊維層(M)の複合から構成される場合は、ディップニップも、樹脂液が極細繊維層(M)表面に付着して表面張力を発生させ、太繊維層(S)の表面まで樹脂がにじみ出しにくいため、熱成型時の金型への樹脂の付着を抑制する、又は、成型体の金型への貼り付きを抑制することができるため、望ましい。さらには、樹脂が表皮材の厚み方向全域に存在することで、極少量の樹脂量で表皮を緻密にさせやすい。
樹脂コーティングの乾燥温度は、100℃以上170℃以下が好ましい。この範囲であると、樹脂液の乾燥を十分に行うことができると共に、不織布を構成する繊維の結晶化促進による柔軟性・成型性の低下を抑制できる。また、熱硬化性樹脂を用いた場合、熱成型前に硬化することを抑制でき、熱成型時に優れた成型性を発揮することができる。
樹脂コーティングの樹脂液中に、黒顔料や、燐系などの難燃剤、撥水剤を同時に混合し、エンジンインシュレータ等の表皮材に必要な、黒着色、難燃性、撥水性を付与することができる。
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、不織布製造における流れ方向(機械方向)をMD方向、その方向と直角方向で巾方向をCD方向という。
以下の実施例等における各物性は、下記方法により測定して得られたものである。尚、本発明の各種物性は原則的に下記方法により測定されるが、下記方法により測定できない事情がある場合は、適宜合理的な代替方法によって測定することが可能である。
(1)開孔部の大きさ(面積)(mm2
吸音表皮材からランダムに、CD方向に幅5cm、MD方向に長さ5cmにサンプルを切り出し、キーエンス社製のマイクロスコープVHX-700Fを用いて200倍~500倍の拡大写真を撮り、任意の開孔部20点の面積を、多角形面積計測を用いて算出し、その平均値を求めた。複合体での表皮の開孔部の大きさも同様に求めた。
(2)開孔率(%)
吸音表皮材からランダムに、CD方向に幅2cm、MD方向に長さ2cmにサンプルを切り出し、キーエンス社製のマイクロスコープVHX-700Fを用いて200倍~500倍の拡大写真を撮り、サンプル中に存在する全ての開孔部の面積を、多角形面積計測を用いて算出し、その合計面積をサンプル面積で除した。サンプル20点で同様の測定を行い、その平均値を求めた。複合体での表皮の開孔率も同様に求めた。
(3)太繊維破断数
吸音表皮材からランダムに、CD方向に幅5cm、MD方向に長さ5cmにサンプルを切り出し、キーエンス社製のマイクロスコープVHX-700Fを用いて200倍~500倍の拡大写真を撮り、任意の開孔部20点について、それぞれの開孔部に面している太繊維本数を測定し、その平均値を求めた。
(4)目付(g/m2
目付は、JIS L 1913に準拠して測定した。また、積層不織布の各層の目付は本実施例では製造条件から計算される値を各層の目付とした。尚、製造条件が不明である場合、各層目付は、層間剥離できるものは剥がして単層としてからJIS L 1913に準拠して測定することができる。また、層間剥離ができない場合は、不織布のX線CT画像を撮り、X線CT画像から、観察範囲の面積、極細繊維層が占める体積と樹脂密度、厚みから計算することができる。
(5)平均繊維径(μm)
キーエンス社製のマイクロスコープVHX-700Fを用いて500倍の拡大写真を撮り、観察視野においてピントの合った繊維10本の平均値で求めた。
(6)嵩密度(g/cm3
(目付)/(厚み)から算出し、単位容積あたりの重量を求めた。
(7)厚み(mm)
JIS L 1913 B法に準拠した。荷重0.02kPaの圧力の厚みを3カ所以上測定し、その平均値を求めた。
(8)複屈折率(Δn)
積層不織布の非部分熱圧着部の太繊維層から繊維を採取し、OLYMPUS社製のBH2型偏光顕微鏡コンペンセーターを用いて、通常の干渉縞法によってレターデーションと繊維径より複屈折率を小数点以下3桁まで測定した。20本の繊維について上記測定を行い、平均値を複屈折とした。なお、平滑ロール同士で熱圧着した全面熱圧着の場合、任意の箇所の太繊維層から繊維を採取し、測定を行った。
(9)複合体
吸音測定用の複合体は下記手順にて得た。単繊維繊度4.3dtex(繊維径:20μm)でカット長51mmのポリエチレンテレフタレート繊維(融点250℃)480g/m2と、単繊維繊度4.1dtex(繊維径:24μm)で繊維長51mmのポリプロピレン繊維(融点160℃)320g/m2を用いて、カード装置により目付け800g/m2の短繊維ウェブを作製し、該短繊維ウェブを、40番手ニードルを用いて、針深さ:10mm、孔密度を100本/m2で交絡してニードルパンチ不織布としたものを吸音基材とする。この吸音基材の上に、吸音表皮材を配置し、クリアランスを5.5mmとした金型で200℃、30sec間プレスを行った後、直ちに、クリアランス5mmとした常温の冷却金型で固定化を行い、複合体(吸音材)を得た。
(10)吸音率測定
JIS A 1405に準拠し、垂直の入射法の測定機(ブリュエル・ケアー社製Type4206T)を用いて、アンダーカバーやフェンダーライナーの車両取り付け状態を模すために、前記(9)で得られた複合体に背後空気10mmを設けた条件で測定し、代表値として周波数1000Hz、2500Hz、及び5000Hzでの吸音率(%)を測定した。複合体20個の測定より、平均吸音率を算出した。複合体20個は、不織布の長さ方向の同じ位置において幅方向位置が異なる部位をサンプリングして表皮材として作製したものである。
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート(オルソクロロフェノールを用いた1%、25℃法の溶液粘度ηsp/c(以下に示す溶融粘度も同様の測定条件である)が0.77、融点263℃)樹脂を、常用の溶融紡糸装置に供給して300℃で溶融し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から吐出し、エアジェットによる高速気流牽引装置を用い66mN/mの牽引力で延伸しながら、糸を冷却し太繊維ウェブ(S1)(目付19.2g/m2、平均繊維径15μm)をネット上に形成し、平滑な表面温度160℃のプレコンパクションロールとコンベアネットの間で4N/mmの低圧でニップした。得られた太繊維ウェブ(S1)上に、ポリエチレンテレフタレート(溶液粘度ηsp/cが0.50、融点260℃)をメルトブローノズルから、紡糸温度300℃、加熱空気320℃で1000Nm3/hrの条件下で直接噴出させ、極細繊維ウェブ(M)(目付11.6g/m2、平均繊維径1.8μm)を形成した。この際、メルトブローノズルから太繊維ウェブ(S1)までの距離を110mmとし、メルトブローノズル直下の捕集面における吸引風速を7m/secに設定した。更に、得られた極細繊維ウェブ上に、太繊維ウェブ(S1)と同様にポリエチレンテレフタレートの太繊維ウェブ(S2)を形成した後、平滑な表面温度160℃のプレコンパクションロールとコンベアネットの間で4N/mmの低圧でニップし、各層を軽く一体化させた。次に得られた積層ウェブを、圧着面積率15%である織り目柄エンボスロールとフラットロールを用いて、該エンボスロールの表面温度を220℃、該フラットロールの表面温度を210℃とし、カレンダ線圧30N/mmで熱圧着することにより、目付50g/m2、嵩密度0.26g/cm3、太繊維層(S1、S2)の複屈折率が0.072の積層不織布を得た。
次に、針密度110本/cm2で、直径0.49mm、深さ10mmの針が外周面上に取り付けられた円板状の穿孔ロール(温度180℃)にて、前記積層不織布の穿孔加工を行い、吸音表皮材を得た。その特性を以下の表1に示す。
[実施例2]
穿孔加工時に、針密度26本/cm2で針が取り付けられたロールを用いたこと以外は、実施例1と同様に吸音表皮材を得た。その特性を以下の表1に示す。
[実施例3]
穿孔加工時に、針密度250本/cm2で、直径0.28mm、深さ5mmの針が取り付けられたロールを用いたこと以外は、実施例1と同様に吸音表皮材を得た。その特性を以下の表1に示す。
[実施例4]
不織布層の太繊維ウェブ(S1,S2)の目付をそれぞれ11.5g/m2、極細繊維ウェブ(M)の目付を7.0g/m2としたこと、及び穿孔加工において、針密度107本/cm2で、直径0.42mm、深さ10mmの針が取り付けられたロールを用いたこと以外は、実施例1と同様に吸音表皮材を得た。その特性を以下の表1に示す。
[実施例5]
不織布層の熱圧着時に、エンボスロールとして圧着面積率11%であるアイエル柄エンボスロールを用いたこと、及び穿孔加工時に、針密度146本/cm2で、直径0.41mm、深さ10mmの針が取り付けられたロールを用いたこと以外は、実施例1と同様に吸音表皮材を得た。その特性を以下の表1に示す。
[実施例6]
ポリエチレンテレフタレート(溶液粘度ηsp/cが0.77、融点263℃)樹脂を、常用の溶融紡糸装置に供給して300℃で溶融し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から吐出し、エアジェットによる高速気流牽引装置を用い100mN/mの牽引力で延伸しながら、糸を冷却し太繊維ウェブ(S1)(目付11.5g/m2、平均繊維径13μm)をネット上に形成し、平滑な表面温度160℃のプレコンパクションロールとコンベアネットの間で4N/mmの低圧でニップした。得られた太繊維ウェブ(S1)上に、ポリエチレンテレフタレート(溶液粘度ηsp/cが0.50、融点260℃)をメルトブローノズルから、紡糸温度300℃、加熱空気320℃で1000Nm3/hrの条件下で直接噴出させ、極細繊維ウェブ(M)(目付7.0g/m2、平均繊維径1.8μm)を形成した。この際、メルトブローノズルから太繊維ウェブ(S1)までの距離を110mmとし、メルトブローノズル直下の捕集面における吸引風速を7m/secに設定した。更に得られた極細繊維ウェブ上に、太繊維ウェブ(S1)と同様にポリエチレンテレフタレートの太繊維ウェブ(S2)を形成し、平滑な表面温度160℃のプレコンパクションロールとコンベアネットの間で4N/mmの低圧でニップし、各層を軽く一体化させた。次に得られた積層ウェブを、圧着面積率15%である織り目柄エンボスロールと平滑ロールを用いて、該エンボスロールの表面温度を235℃、該平滑ロールの表面温度を235℃とし、カレンダ線圧30N/mmで熱圧着することにより、目付30g/m2、嵩密度0.27g/cm3、太繊維層の複屈折率が0.110の不織布層を得た。
次に、針密度81本/cm2で、直径0.45mm、深さ10mmの針が外周面上に取り付けられた円板状の穿孔ロールにて、前記積層不織布の穿孔加工を行い、吸音表皮材を得た。その特性を以下の表1に示す。
[実施例7]
熱圧着時に、圧着面積率100%の、238℃の2本の平滑ロール間でカレンダ線圧30N/mmで熱圧着したこと以外は、実施例6と同様に吸音表皮材を作製した。その特性を以下の表1に示す。
[実施例8]
ポリエチレンテレフタレート(溶液粘度ηsp/cが0.77、融点263℃)樹脂を、常用の溶融紡糸装置に供給して300℃で溶融し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から吐出し、エアジェットによる高速気流牽引装置を用い66mN/mの牽引力で延伸しながら、糸を冷却し太繊維ウェブ(目付30g/m2、平均繊維径15μm)をネット上に形成し、平滑な表面温度160℃のプレコンパクションロールとコンベアネットの間で4N/mmの低圧でニップした。得られた太繊維ウェブを、圧着面積率15%である織り目柄エンボスロールとフラットロールを用いて、該エンボスロールの表面温度を220℃、該フラットロールの表面温度を210℃とし、カレンダ線圧30N/mmで熱圧着することにより、目付30g/m2、嵩密度0.27g/cm3、複屈折率が0.072の単層不織布を得た。
次いで、実施例4と同様の穿孔加工を行い、吸音表皮材を得た。その特性を以下の表1に示す。
[実施例9]
ポリエチレンテレフタレート(溶液粘度ηsp/cが0.50、融点260℃)をメルトブローノズルから、紡糸温度300℃、加熱空気320℃で1000Nm3/hrの条件下でネット上に噴出させ、極細繊維ウェブ(M)(目付30.0g/m2、平均繊維径1.8μm)を形成した。この際、メルトブローノズルからネットまでの距離を100mmとし、メルトブローノズル直下の捕集面における吸引風速を11m/secに設定し、目付30g/m2、嵩密度0.38g/cm3の単層不織布を得た。
次いで、実施例4と同様の穿孔加工を行い、吸音表皮材を得た。その特性を以下の表1に示す。
Figure 2023032679000001
[比較例1]
穿孔加工時に、針密度137本/cm2で針が取り付けられたロールを用いたこと以外は、実施例1と同様に吸音表皮材を得た。その特性を以下の表2に示す。
[比較例2]
穿孔加工時に、針密度81本/cm2で、直径0.58mm、深さ10mmの針が取り付けられたロールを用いたこと以外は、実施例1と同様に吸音表皮材を得た。その特性を以下の表2に示す。
[比較例3]
実施例8と同様に単層不織布を得た後、比較例2と同様の穿孔加工を行い、吸音表皮材を得た。その特性を以下の表2に示す。
[比較例4]
実施例9と同様に単層不織布を得た後、比較例2と同様の穿孔加工を行い、吸音表皮材を得た。その特性を以下の表2に示す。
[比較例5]
穿孔加工を、刺孔密度100本/cm2で、深さ10mmの40番手ニードルを用いたニードルパンチ法にて行ったこと以外は、実施例1と同様に吸音表皮材を得た。その特性を以下の表2に示す。
[比較例6]
ポリエステルからなる短繊維ウェブ(目付30.0g/m2、平均繊維径20μm)を不織布層として用いたこと以外は、実施例4と同様に吸音表皮材を得た。その特性を以下の表2に示す。
Figure 2023032679000002
本発明に係る吸音表皮材は、厚みが薄くかつ低目付で、全面で均一な吸音付与性能を実現することで、例えば、自動車用吸音部材としては、アンダーカバーやフェンダーライナー、天井・ドアトリム・ラゲッジールーム等の吸音表皮材として利用可能であり、住宅用カーペットやパーテーション等の吸音表皮材として利用可能であり、そのほか航空機・鉄道・建設機械・家電などの吸音部材の表皮材とし広範に利用可能である。

Claims (10)

  1. 0.01mm2以上0.19mm2以下の開孔部を有し、かつ開孔率が0.1%以上21%以下である不織布を含むことを特徴とする、吸音表皮材。
  2. 平均繊維径10μm以上30μm以下の少なくとも1層の太繊維層を含み、前記開孔部に6本以上の太繊維末端が面している、請求項1に記載の吸音表皮材。
  3. 平均繊維径10μm以上30μm以下の少なくとも1層の太繊維層と、平均繊維径0.3μm以上7μm以下の少なくとも1層の極細繊維層とを含む、請求項1又は2に記載の吸音表皮材。
  4. 前記太繊維層を構成する繊維の複屈折が0.070以上0.100以下である、請求項2又は3に記載の吸音表皮材。
  5. 前記太繊維層がスパンボンドである、請求項3又は4に記載の吸音表皮材。
  6. 前記不織布が部分熱圧着されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の吸音表皮材。
  7. 前記不織布の部分熱圧着面積率が5%以上30%以下である、請求項6に記載の吸音表皮材。
  8. 前記不織布の熱圧着部間距離が、該不織布のMD方向(機械方向)と、該MD方向と直角のCD方向(巾方向)のいずれにおいても、0.6mm以上4mm以下である、請求項6又は7に記載の吸音表皮材。
  9. 前記不織布が長繊維のみからなる、請求項1~8のいずれか1項に記載の吸音表皮材。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の吸音表皮材を含む、吸音材。
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