JP2023032617A - 亜鉛電池用電解液及び亜鉛電池 - Google Patents

亜鉛電池用電解液及び亜鉛電池 Download PDF

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Abstract

【課題】優れたサイクル寿命性能を得ることが可能な亜鉛電池用電解液、及び当該亜鉛電池用電解液を備える亜鉛電池を提供する。【解決手段】アルカリ金属水酸化物と、窒素原子を含む複素環式化合物と、を含有する亜鉛電池用電解液、及び当該亜鉛電池用電解液を備える亜鉛電池。【選択図】なし

Description

本発明は、亜鉛電池用電解液、及び亜鉛電池に関する。
亜鉛負極を用いる亜鉛電池としては、ニッケル亜鉛電池、空気亜鉛電池等が知られている。ニッケル亜鉛電池は、水酸化カリウム水溶液等の水系電解液を用いる水系電池であることから、高い安全性を有すると共に、亜鉛電極とニッケル電極との組み合わせにより、水系電池としては高い起電力を有することが知られている。さらに、ニッケル亜鉛電池は、優れた入出力性能に加えて、低コストであることから、産業用途(例えば、バックアップ電源等の用途)及び自動車用途(例えば、ハイブリッド自動車等の用途)への適用可能性が検討されている。
ところで、ニッケル亜鉛電池の充放電反応は、例えば、下記式に従って進行する(放電反応:右向き、充電反応:左向き)。
(正極)2NiOOH+2HO+2e → 2Ni(OH)+2OH
(負極)Zn+2OH → Zn(OH)+2e
前記式に示されるように、亜鉛電池では、放電反応により水酸化亜鉛(Zn(OH))が生成する。水酸化亜鉛(Zn(OH))は電解液に可溶であり、水酸化亜鉛が電解液に溶解すると、テトラヒドロキシド亜鉛酸イオン([Zn(OH)2-)が電解液中に拡散する。その結果、負極の形態変化が進行すると共に充電電流の分布が不均一となること等により、負極上の局所で亜鉛の析出が起こり、デンドライト(樹枝状結晶)が発生する。
従来の亜鉛電池では、充放電の繰り返しによりデンドライトが成長した場合、デンドライトがセパレータを貫通し短絡が発生する場合がある。そのため、このようなデンドライトによる短絡を防止し、寿命性能を向上させる種々の試みがなされている。例えば、下記特許文献1には、ニッケルメッキを施した不織布を電極間に介在させることで、デンドライトによる短絡を防止する技術が開示されている。
特開昭58-126665号公報
ニッケル亜鉛電池等の亜鉛電池には、寿命性能の更なる向上が求められる。
本発明の一側面は、亜鉛電池において優れた寿命性能を得ることが可能な亜鉛電池用電解液を提供することを目的とする。本発明の他の一側面は、当該亜鉛電池用電解液を備える亜鉛電池を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、アルカリ金属水酸化物と、窒素原子を含む複素環式化合物と、を含有する亜鉛電池用電解液を提供する。
本発明の一側面は、前記窒素原子を含む複素環式化合物の塩を含有する亜鉛電池用電解液を提供する。
本発明の他の一側面は、窒素原子を含む複素環式化合物の塩のカチオン成分がピペリジニウムカチオン、ピロリニジウムカチオン、ピリジニウムカチオン及びイミダゾリウムカチオンからなる群より選択される少なくとも一種を含有する亜鉛電池用電解液を提供する。
本発明の他の一側面は、窒素原子を含む複素環式化合物の塩のアニオン成分がフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン及び水酸化物イオンからなる群より選択される少なくとも一種を含有する亜鉛電池用電解液を提供する。
本発明の他の一側面は、アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムを含有する亜鉛電池用電解液を提供する。
本発明の他の一側面は、正極と、負極と、上述の亜鉛電池用電解液と、を備える、亜鉛電池を提供する。
上述の亜鉛電池用電解液及び亜鉛電池によれば、亜鉛電池において優れた寿命性能を得ることができる。
本実施形態に係る電解液は、アルカリ金属水酸化物と、窒素原子を含む複素環式化合物と、を含有する。本発明に係る電解液によれば、亜鉛電池において優れた寿命性能を得ることができる。
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実験例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の使用量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。本明細書において「膜」又は「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態に係る亜鉛電池用電解液(以下、場合により、単に「電解液」という)は、亜鉛電池(例えば亜鉛二次電池)の電解液として用いられる。本実施形態に係る亜鉛電池は、正極と、負極と、本実施形態に係る電解液と、を備える。亜鉛電池は、負極として亜鉛電極を備えることができる。亜鉛電池としては、正極がニッケル電極であるニッケル亜鉛電池(例えばニッケル亜鉛二次電池);正極が空気極である空気亜鉛電池(例えば空気亜鉛二次電池);正極が酸化銀極である銀亜鉛電池(例えば銀亜鉛二次電池)等が挙げられる。
本実施形態に係る電解液は、アルカリ金属水酸化物と、窒素原子を含む複素環式化合物と、を含有する。本発明に係る電解液によれば、亜鉛電池において優れた寿命性能を得ることができる。
このような効果が得られる要因としては、例えば下記の要因が挙げられるが、下記要因に限定されない。すなわち、本発明に係る電解液を用いる場合、負極の反応活性点に窒素原子を含む複素環式化合物が吸着し、有効電極面積が減少する。これにより、電極反応に必要な過電圧が増大し、負極材から電解液中に溶出した亜鉛酸イオンが電解液中の負極近傍で均一に分散される。
その結果、負極上での充電反応の分布に偏りが生じにくくなり、デンドライト状の亜鉛の析出及び成長が抑制され、デンドライトによる短絡の発生が抑制される。以上の理由から、優れた寿命性能が得られると推察される。
本実施形態に係る電解液は、亜鉛電池(例えば亜鉛二次電池)に組み込まれる亜鉛電池用電解液である。亜鉛電池としては、ニッケル亜鉛電池、空気亜鉛電池等が挙げられる。
亜鉛電池では、亜鉛負極を用いることができる。以下、本実施形態の一例として、ニッケル亜鉛電池について説明する。
<ニッケル亜鉛電池>
本実施形態に係るニッケル亜鉛電池(例えばニッケル亜鉛二次電池)は、アルカリ金属水酸化物と、窒素原子を含む複素環式化合物と、を含有する電解液を備えており、窒素原子を含む複素環式化合物のカチオン成分がピペリジニウムカチオン、ピロリニジウムカチオン、ピリジニウムカチオン及びイミダゾリウムカチオンからなる群より選択される少なくとも一種を含有する。本実施形態に係る電解液は、ニッケル亜鉛電池用の電解液である。本実施形態に係るニッケル亜鉛電池の基本構成としては、従来のニッケル亜鉛電池と同様の構成を用いることができる。例えば、ニッケル亜鉛電池は、電解液に加えて電槽及び電極群(極板群等)を備えている。電極群及び電解液は、電槽内に収容されている。
(電解液)
本実施形態に係る電解液は、アルカリ金属水酸化物を含有している。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)等が挙げられる。アルカリ金属水酸化物は、水溶液中で電離(解離)していてよく、塩として存在していてもよい。アルカリ金属水酸化物は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、水酸化カリウム及び水酸化リチウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよく、水酸化カリウムを含んでもよい。
電解液におけるアルカリ金属水酸化物の含有量(アルカリ金属水酸化物の合計質量)は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、電解液の全質量を基準として下記の範囲であってよい。アルカリ金属水酸化物の含有量は、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、又は、30質量%以上であってよい。アルカリ金属水酸化物の含有量は、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、又は、30質量%以下であってよい。これらの観点から、アルカリ金属水酸化物の含有量は、10~50質量%であってよい。
電解液における水酸化カリウムの含有量は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、電解液の全質量を基準として下記の範囲であってよい。水酸化カリウムの含有量は、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、又は、28質量%以上であってよい。水酸化カリウムの含有量は、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、又は、30質量%以下であってよい。これらの観点から、水酸化カリウムの含有量は、10~50質量%であってよい。
電解液における水酸化リチウムの含有量は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、電解液の全質量を基準として下記の範囲であってよい。水酸化リチウムの含有量は、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、1.5質量%以上、1.8質量%以上、又は、2質量%以上であってよい。水酸化リチウムの含有量は、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2.5質量%以下、又は、2質量%以下であってよい。これらの観点から、水酸化リチウムの含有量は、0.1~5質量%であってよい。
本実施形態に関わる電解液は、窒素原子を含む複素環式化合物(界面活性剤に該当する化合物を除く。以下、場合により「窒素含有化合物」という)を含有する。窒素含有化合物は、溶解性の観点から塩であることが好ましく、以下のカチオン成分及びアニオン成分を含有することが好ましい。以下、窒素含有化合物の塩も含めて窒素含有化合物という場合がある。
窒素含有化合物が塩である場合、カチオン成分としては、ピペリジニウムカチオン、ピロリニジウムカチオン、ピリジニウムカチオン及びイミダゾリウムカチオン等が挙げられる。優れた寿命性能が得られやすい観点から、ピペリジニウムカチオン、ピロリニジウムカチオン、ピリジニウムカチオン及びイミダゾリウムカチオンからなる群より選択される少なくとも一種を有することが好ましい。
ピペリジニウムカチオンは、例えば、下記式(I)で表される、窒素を含有する六員環環状化合物である。
Figure 2023032617000001

式(I)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数が1~20のアルキル基、又はR-O-(CH-で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1~4の整数を表す)を表す。R及びRで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~5であ
る。
ピロリジニウムカチオンは、例えば、下記式(II)で表される五員環環状化合物である。
Figure 2023032617000002

式(II)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数が1~20のアルキル基、又はR-O-(CH-で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1~4の整数を表す)を表す。R及びRで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~5である。
ピリジニウムカチオンは、例えば、下記式(III)で示される化合物である。
Figure 2023032617000003

式(III)中、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数が1~20のアルキル基、R-O-(CH-で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1~4の整数を表す)、又は水素原子を表す。R~Rで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~5である。
イミダゾリウムカチオンは、例えば、下記式(IV)で示される化合物である。
Figure 2023032617000004

式(IV)中、R10~R14は、それぞれ独立に、炭素数が1~20のアルキル基、R-O-(CH-で表されるアルコキシアルキル基(Rはメチル基又はエチル基を表し、nは1~4の整数を表す)、又は水素原子を表す。R10~R14で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~5である。
窒素含有化合物が塩である場合、アニオン成分としては、特に限定されないが、Cl、Br、I等のハロゲンのアニオン、BF 、N(SOF) 等の無機アニオン、B(C 、CHSO、CFSO、N(SO 、N(SOCF 、N(SO 等の有機アニオンなどであってよい。
窒素含有化合物の含有量は、優れた寿命性能が得られやすい観点から、電解液の全質量を基準として、0.1量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、又は、1質量%以上が好ましい。窒素含有化合物の含有量は、優れたサイクル特性を得やすい観点から、10質量%以下、7質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、又は、3質量%以下が好ましい。これらの観点から、窒素含有化合物の含有量は、0.1~10質量%が好ましい。
本実施形態に係る電解液は、酸素原子を含む有機化合物(アルカリ金属水酸化物又は界面活性剤に該当する化合物を除く。以下、場合により「酸素含有化合物」という)を更に含有してもよい。酸素含有化合物は、酸素原子を含む官能基を有してよい。酸素原子を含む官能基としては、カルボキシル基、カルボン酸塩基、水酸基(カルボキシル基に包含されるOH構造を除く)、エポキシ基、エーテル基、アルコキシド基、エステル基、ケトン基、アルデヒド基等が挙げられる。酸素含有化合物は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、カルボキシ基、カルボン酸塩基、水酸基、エポキシ基及びエーテル基からなる群より選ばれる少なくとも一種を有することが好ましい。
酸素含有化合物がOH構造を有する場合、酸素含有化合物において炭素数に対するOH構造の数の比率(OH構造の数/炭素数)は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、下記の範囲が好ましい。比率は、0.01以上、0.03以上、0.05以上、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、又は、5/6以上が好ましい。比率は、2以下、1.5以下、1.2以下、1以下、0.9以下、又は、5/6以下が好ましい。酸素含有化合物は、OH構造を有していなくてもよい。
酸素含有化合物は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、糖質、カルボン酸(糖類に該当する化合物を除く)、カルボン酸塩(糖類に該当する化合物を除く)、エポキシ化合物(エポキシ基を有する化合物。糖類、カルボン酸又はカルボン酸塩に該当する化合物を除く)、及び、エーテル化合物(エーテル基を有する化合物。糖質、カルボン酸、カルボン酸塩又はエポキシ化合物に該当する化合物を除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
糖質は、単糖類、二糖類、三糖類、多糖類(二糖類又は三糖類に該当する糖類を除く)等を用いることができる。単糖類としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、マンノース、キシロース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース、及び、これらの水和物等が挙げられる。二糖類としては、スクロース、マルトース、トレハロース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース、及び、これらの水和物等が挙げられる。三糖類としては、ケストース、メレチトース、ゲンチアノース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース、及び、これらの水和物等が挙げられる。多糖類としては、シクロデキストリン(例えばγ-シクロデキストリン)、スタキオース等が挙げられる。また、糖質は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、非還元糖を含むことが好ましい。
非還元糖とは、還元糖(遊離したアルデヒド基又はケトン基、若しくは、ヘミアセタール結合したアルデヒド基又はケトン基を持つ糖)に対して、遊離の還元基を持たない糖類を意味する(化学大辞典第1版、株式会社東京化学同人発行)。すなわち、非還元糖とは、遊離したアルデヒド基及びケトン基、並びに、ヘミアセタール結合したアルデヒド基及びケトン基のうちいずれももたない糖類を意味する。非還元糖は、水和物であってもよい。
非還元糖としては、スクロース、トレハロース、これらの水和物等の二糖類;ケストース、メレチトース、ゲンチアノース、これらの水和物等の三糖類;フンギテトラオース、その水和物等の四糖類;α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、これらの水和物等の多糖類が挙げられる。非還元糖は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、二糖類を含んでよく、スクロース、トレハロース、及び、これらの水和物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。
非還元糖が二糖類を含む場合、非還元糖における二糖類の含有量は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、非還元糖の含有量(電解液に含まれる非還元糖の合計質量)を基準として、50質量%以上、70質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、97質量%以上、又は、99質量%以上であってよい。非還元糖は、実質的に二糖類からなる態様(実質的に非還元糖の100質量%が二糖類である態様)であってもよい。非還元糖がスクロースを含む場合、非還元糖におけるスクロースの含有量は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、上記の範囲内であってよい。非還元糖がトレハロースを含む場合、非還元糖におけるトレハロースの含有量は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、上記の範囲内であってよい。
非還元糖が有するメチロール基(-CH2OH)の数は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、下記の範囲であってよい。メチロール基の数は、8以下、6以下、4以下、3以下、又は、2以下であってよい。メチロール基の数は、2以上、又は、3以上であってよい。これらの観点から、メチロール基の数は、2~8であってよい。
非還元糖が有するエーテル基の数は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、下記の範囲であってよい。エーテル基の数は、16以下、12以下、8以下、6以下、又は、4以下であってよい。エーテル基の数は、3以上であってよい。これらの観点から、エーテル基の数は、3~16であってよい。
非還元糖が有するヒドロキシ基(但し、メチロール基に包含されるOH構造を除く)の数は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、下記の範囲であってよい。ヒドロキシ基の数は、16以下、12以下、8以下、又は、6以下であってよい。ヒドロキシ基の数は、5以上、又は、6以上であってよい。これらの観点から、ヒドロキシ基の数は、5~16であってよい。
非還元糖の炭素数は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、下記の範囲であってよい。炭素数は、48以下、42以下、36以下、30以下、24以下、又は、18以下であってよい。炭素数は、12以上であってよい。これらの観点から、炭素数は、12~48であってよい。
非還元糖が有する五員環構造の数は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、下記の範囲であってよい。五員環構造の数は、5以下、4以下、3以下、2以下、1以下、又は、0であってよい。五員環構造の数は、0、又は、1以上であってよい。これらの観点から、五員環構造の数は、0~5であってよい。
非還元糖が有する六員環構造の数は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、下記の範囲であってよい。六員環構造の数は、8以下、4以下、3以下、2以下、又は、1であってよい。六員環構造の数は、1以上、又は、2以上であってよい。これらの観点から、六員環構造の数は、1~8であってよい。
電解液における非還元糖の含有量(電解液に含まれる非還元糖の合計質量)は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、電解液の全質量を基準として下記の範囲であってよい。非還元糖の含有質量は、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、1.5質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、又は、4質量%以上であってよい。非還元糖の含有質量は、20質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、又は、1質量%以下であってよい。これらの観点から、非還元糖の含有量は、0.01~20質量%、0.1~10質量%、1~8質量%、1~5質量%、又は、1~4質量%であってよい。
非還元糖の含有量は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、アルカリ金属水酸化物100質量%に対して下記の範囲であってよい。非還元糖の含有量は、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、6質量%以上、9質量%以上、又は、13質量%以上であってよい。非還元糖の含有量は、30質量%以下、20質量%以下、16質量%以下、14質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、又は、7質量%以下であってよい。これらの観点から、非還元糖の含有量は、1~30質量%であってよい。
カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、安息香酸、サリチル酸、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸、ベンゼンヘキサカルボン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アコニット酸、ピルビン酸、オキサロ酢酸、ギ酸グリシジル、酢酸グリシジル、安息香酸グリシジル等が挙げられる。カルボン酸塩としては、これらのカルボン酸の塩等が挙げられる。カルボン酸塩としては、ナトリウム塩(例えば、テレフタル酸二ナトリウム)、カリウム塩等のアルカリ金属塩などが挙げられる。カルボン酸塩は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、アルカリ金属塩を含むことが好ましく、ナトリウム塩を含むことがより好ましい。酸素含有化合物は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、芳香環を有するカルボン酸、及び、芳香環を有するカルボン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、テレフタル酸、及び、テレフタル酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことがより好ましく、テレフタル酸、及び、テレフタル酸のナトリウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが更に好ましい。
カルボン酸におけるカルボキシル基の数、又は、カルボン酸塩におけるカルボン酸塩基の数は、1以上であり、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、下記の範囲が好ましい。カルボキシル基又はカルボン酸塩基の数は、2以上が好ましい。カルボキシル基又はカルボン酸塩基の数は、4以下、3以下又は2以下が好ましい。
エポキシ化合物としては、単官能エポキシ化合物、多官能エポキシ化合物等が挙げられる。単官能エポキシ化合物としては、1,2-エポキシエタン、1,2-エポキシプロパン、1,2-エポキシブタン、1,2-エポキシ-2-メチルプロパン、1-フェニル-1,2-エポキシエタン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシジルメチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ポリエチレンオキシドグリシジルエーテル、グリシジルアミド、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、ブトキシポリエチレングリコールグリシジルエーテル、フェノールポリエチレングリコールグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p-メチルフェニルグリシジルエーテル、p-エチルフェニルグリシジルエーテル、p-sec-ブチルフェニルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等が挙げられる。多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ポリフェノール型エポキシ化合物、環状脂肪族エポキシ化合物、脂肪族グリシジルエーテル系エポキシ化合物、グリシジルエステル系エポキシ化合物、グリシジルジアミン系エポキシ化合物、複素環式エポキシ化合物、環状脂肪族エポキシ化合物等が挙げられる。酸素含有化合物は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、単官能エポキシ化合物を含むことが好ましく、1,2-エポキシ-2-メチルプロパンを含むことがより好ましい。
エーテル化合物としては、18-クラウン-6、15-クラウン-5、12-クラウン-4、ジベンゾ-18-クラウン-6、ジシクロヘキサノ-18-クラウン-6、ジベンゾ-24-クラウン-8等のクラウンエーテル化合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール;グリセリンなどが挙げられる。エーテル化合物としては、ポリエーテル化合物を用いることができる。酸素含有化合物は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、エーテル基を含む複素環を有するエーテル化合物を含むことが好ましく、18-クラウン-6を含むことがより好ましい。
エーテル化合物におけるエーテル基の数は、1以上であり、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、下記の範囲が好ましい。エーテル基の数は、2以上、3以上、4以上、5以上又は6以上が好ましい。エーテル基の数は、10以下、9以下、8以下、7以下又は6以下が好ましい。
酸素含有化合物の分子量は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、50以上、70以上、80以上、100以上、120以上、150以上、160以上、170以上、又は、180以上が好ましい。酸素含有化合物の分子量は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、2000以下、1500以下、1300以下、1200以下、1000以下、800以下、又は、600以下が好ましい。これらの観点から、酸素含有化合物の分子量は、50~2000が好ましい。酸素含有化合物の分子量は、190以上、200以上、210以上、220以上、240以上、260以上、300以上、340以上、350以上、400以上、450以上、又は、500以上であってよい。酸素含有化合物の分子量は、500以下、400以下、350以下、340以下、320以下、300以下、280以下、270以下、260以下、250以下、230以下、220以下、210以下、200以下、190以下、又は、185以下であってよい。尚、分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)法により測定される値である。
酸素含有化合物としては、電解液に対する溶解性の高い化合物を用いることが好ましい。溶解性が高くない化合物であっても、濾過で残渣を除去する等して用いることができる。本実施形態に係る電解液は、アルコールを含有しなくてもよい。
電解液における酸素含有化合物の含有量は、電解液の全質量を基準として下記の範囲が好ましい。酸素含有化合物の含有量は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、0.8質量%以上、又は、1質量%以上が好ましい。酸素含有化合物の含有量は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、5質量%以下、4.5質量%以下、4質量%以下、3.5質量%以下、又は、3質量%以下が好ましい。これらの観点から、酸素含有化合物の含有量は、0.1~5質量%が好ましい。酸素含有化合物の含有量は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を更に抑制しやすい観点から、1.2質量%以上、1.5質量%以上、1.8質量%以上、2質量%以上、2.2質量%以上、2.5質量%以上、2.7質量%以上、又は3質量%以上が好ましい。酸素含有化合物の含有量は、3.5質量%以上、4質量%以上、4.5質量%以上、又は、5質量%以上であってよい。
酸素含有化合物の含有量は、更に優れた高率放電性能を得やすい観点から、電解液の全質量を基準として、2.7質量%以下、2.5質量%以下、2.2質量%以下、2質量%以下、1.7質量%以下、1.5質量%以下、1.2質量%以下、又は、1質量%以下が好ましい。酸素含有化合物の含有量は、電解液の全量を基準として0.5mol/L未満であってよい。
酸素含有化合物の含有量は、界面活性剤1質量%に対して下記の範囲が好ましい。酸素含有化合物の含有量は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、10質量%以上、30質量%以上、50質量%以上、80質量%以上、又は、100質量%以上が好ましい。酸素含有化合物の含有量は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、1000質量%以下、800質量%以下、600質量%以下、500質量%以下、450質量%以下、400質量%以下、350質量%以下、又は、300質量%以下が好ましい。これらの観点から、酸素含有化合物の含有量は、10~1000質量%が好ましい。酸素含有化合物の含有量は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を更に抑制しやすい観点から、150質量%以上、200質量%以上、250質量%以上、又は、300質量%以上が好ましい。酸素含有化合物の含有量は、350質量%以上、400質量%以上、450質量%以上、又は、500質量%以上であってよい。酸素含有化合物の含有量は、250質量%以下、200質量%以下、150質量%以下、又は、100質量%以下が好ましい。
酸素含有化合物の含有量は、アルカリ金属水酸化物100質量%に対して下記の範囲が好ましい。酸素含有化合物の含有量は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、1質量%以上、1.5質量%以上、2質量%以上、2.5質量%以上、又は、3質量%以上が好ましい。酸素含有化合物の含有量は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を抑制しやすい観点、及び、優れた高率放電性能を得やすい観点から、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、16質量%以下、15質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、又は、10質量%以下が好ましい。これらの観点から、酸素含有化合物の含有量は、アルカリ金属水酸化物100質量%に対して1~30質量%が好ましい。酸素含有化合物の含有量は、亜鉛電池を保存するときの放電容量の低下を更に抑制しやすい観点から、4質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、又は、9質量%以上が好ましい。酸素含有化合物の含有量は、10質量%以上、12質量%以上、13質量%以上、15質量%以上、又は、16質量%以上であってよい。酸素含有化合物の含有量は、更に優れた高率放電性能を得やすい観点から、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、又は、4質量%以下が好ましい。
本実施形態に係る電解液は、界面活性剤を更に含有してもよい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤(非イオン性界面活性剤)、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、亜鉛電池の低温放電性能の低下を抑制しやすい観点から、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び、アニオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。界面活性剤は、カチオン性界面活性剤を含む態様であることが好ましく、ノニオン性界面活性剤を含む態様であることが好ましく、アニオン性界面活性剤を含む態様であることが好ましい。
カチオン性界面活性剤は、カチオン性の親水基と、疎水基とを有している。カチオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン又はその塩、アルキルアミドアミン塩、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩化ベンゼトニウム塩等の第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤などが挙げられる。カチオン性界面活性剤は、亜鉛電池の低温放電性能の低下を抑制しやすい観点から、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩及びジアルキルジメチルアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩を含むことがより好ましい。
モノアルキルトリメチルアンモニウム塩及びジアルキルジメチルアンモニウム塩は、例えば、下記一般式(2)で表される構造を有する。
(R2a(R2b4-n ・・・(2)
[式(2)中、nは1又は2であり、R2a及びR2bは、それぞれ独立に、炭素数1~20の炭化水素基であり、Xは、アニオンである。nが2である場合、複数のR2aは、互いに同一であっても異なっていてもよい。複数のR2bは、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
2aの炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分枝状であってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよく、脂環式構造等の環状構造を含んでいてもよい。R2aの炭化水素基は、アルキル基であることが好ましい。R2aの炭化水素基の炭素数は、12~18が好ましく、14~16がより好ましい。R2bの炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分枝状であってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。R2bの炭化水素基は、アルキル基であることが好ましい。R2bの炭化水素基の炭素数は、1~4が好ましく、1、2又は3がより好ましい。Xは、式(2)の第4級アンモニウムイオンと塩を形成できるアニオンであればよく、例えば、F、Cl、Br、I等のハロゲン化物イオン;CHCOO等のカルボキシレートイオン;スルフェートイオン;ホスフ
ェートイオンなどであってよい。
モノアルキルトリメチルアンモニウム塩の具体例としては、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、トリデシルトリメチルアンモニウムブロミド、トリデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ペンタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ペンタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘプタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘプタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
ジアルキルジメチルアンモニウム塩の具体例としては、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジトリデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジトリデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジペンタデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジペンタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジヘプタデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジヘプタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤は、ノニオン性の親水基と、疎水基とを有している。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等のポリオキシエチレン含有エステル化合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のポリオキシエチレン含有エーテル化合物などが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤は、亜鉛電池の低温放電性能の低下を抑制しやすい観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを含むことがより好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、例えば、下記一般式(1a)で表される構造を有する。
1aO(CHCHO)m1H ・・・(1a)
[式(1a)中、m1は、2~60の整数であり、R1aは、炭素数1~30の炭化水素基である。]
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルは、例えば、下記一般式(1b)で表される構造を有する。
1bO(CHCHO)m2H ・・・(1b)
[式(1b)中、m2は、2~60の整数であり、R1bは、炭素数1~30の炭化水素基である。]
1a及びR1bの炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分枝状であってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。R1a及びR1bの炭化水素基は、アルキル基で
あることが好ましい。R1aの炭化水素基の炭素数は、10~18であることが好ましい。R1bの炭化水素基の炭素数は、4~12が好ましく、6~10がより好ましく、8が更に好ましい。m1及びm2は平均重合度であり、5~12が好ましく、7~10がより好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルの具体例としては、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンウンデシルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンペンタデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘプタデシルエーテル及びポリオキシエチレンオクタデシルエーテル等が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤は、アニオン性の親水基と、疎水基とを有している。アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル(例えばポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン等が挙げられる。アニオン性界面活性剤は、亜鉛電池の低温放電性能の低下を抑制しやすい観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルを含むことが好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルを含むことがより好ましい。
電解液における界面活性剤の含有量(界面活性剤の合計質量)は、電解液の全質量を基準として下記の範囲が好ましい。界面活性剤の含有量は、亜鉛電池の放電性能の低下を抑制しやすい観点から、0.001量%以上、0.003質量%以上、0.005質量%以上、又は、0.01質量%以上が好ましい。界面活性剤の含有量は、優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、5質量%以下、2.5質量%以下、1質量%以下、0.7質量%以下、又は、0.5質量%以下が好ましい。これらの観点から、界面活性剤の含有量は、0.001~5質量%が好ましい。界面活性剤の含有量は、更に優れたサイクル特性を得やすい観点、及び、放電容量の低下を抑制しやすい観点から、0.01~0.5質量%が特に好ましい。
本実施形態に係る電解液は、溶媒を含有している。溶媒としては、水(イオン交換水等)が挙げられる。
(電極群)
電極群は、例えば、セパレータと、当該セパレータを介して対向する正極(正極板等)及び負極(負極板等)によって構成されている。電極群において、正極同士及び負極同士は、例えば、ストラップで連結されている。
セパレータは、例えば、平板状、シート状等の形状を有するセパレータであってもよい。セパレータとしては、ポリオレフィン系又はナイロン系微多孔膜、耐酸化性のイオン交換樹脂膜、セロハン系再生樹脂膜、無機粒子を含む微多孔膜、ポリオレフィン系不織布等が挙げられる。
正極は、例えば、正極集電体と、当該正極集電体に支持された正極材と、を有している。
正極集電体は、正極材からの電流の導電路を構成する。正極集電体は、例えば、平板状、シート状等の形状を有している。正極集電体は、発泡金属、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金属繊維のフェルト状物等によって構成される3次元網目構造の集電体などであってもよい。正極集電体は、導電性及び耐アルカリ性を有する材料で構成される。 このような材料としては、例えば、正極の反応電位でも安定である材料(正極の反応電位よりも貴な酸化還元電位を有する材料、アルカリ水溶液中で基材表面に酸化被膜等の保護被膜を形成して安定化する材料など)を用いることができる。また、正極においては、副反応として電解液の分解反応が進行し酸素が発生するが、酸素過電圧の高い材料はこのような副反応の進行を抑制できる点で好ましい。正極集電体を構成する材料の具体例としては、白金、ニッケル、ニッケル等のメッキを施した金属材料(銅、真鍮、鋼等)などが挙げられる。
正極材は、層状(正極材層)であってもよい。例えば、正極集電体上に正極材層が形成されていてもよく、正極集電体が3次元網目構造を有する場合には、正極集電体の網目の間に正極材が充填されて正極材層が形成されていてもよい。
正極材は、正極活物質を含有する。正極活物質としては、オキシ水酸化ニッケル(NiOOH)、水酸化ニッケル等が挙げられる。正極材は、例えば、満充電状態ではオキシ水酸化ニッケルを含有し、放電末状態では水酸化ニッケルを含有する。正極活物質の含有量は、例えば、正極材の全質量を基準として50~95質量%であってもよい。
正極材は、添加剤を含有することができる。添加剤としては、結着剤、その他の添加剤等が挙げられる。添加剤は、一種を単独で、又は、複数種を組み合わせて用いることができる。
結着剤としては、親水性又は疎水性のポリマー等が挙げられ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸ナトリウム(SPA)、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)などが挙げられる。結着剤の含有量は、例えば、正極活物質100質量%に対して0.01~5質量%であってもよい。
結着剤以外の添加剤としては、金属コバルト;酸化コバルト、水酸化コバルト等のコバルト化合物;金属ニッケル;金属亜鉛;酸化亜鉛、水酸化亜鉛等の亜鉛化合物;水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等のカルシウム化合物;希土類金属;希土類金属化合物などが挙げられる。結着剤以外の添加剤の含有量は、例えば、正極活物質100質量%に対して、5~50質量%であってもよい。なお、充電後において、酸化コバルト、水酸化コバルト等のコバルト化合物の少なくとも一部は、オキシ水酸化コバルトとして正極材中に存在してもよい。
負極は、例えば、負極集電体と、当該負極集電体に支持された負極材と、を有している。負極集電体は、負極材からの電流の導電路を構成する。負極集電体は、例えば、平板状、シート状等の形状を有している。負極集電体は、発泡金属、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金属繊維のフェルト状物等によって構成された3次元網目構造の集電体などであってもよい。負極集電体は、導電性及び耐アルカリ性を有する材料で構成されている。このような材料としては、例えば、負極の反応電位でも安定である材料(負極の反応電位よりも貴な酸化還元電位を有する材料、アルカリ水溶液中で基材表面に酸化被膜等の保護被膜を形成して安定化する材料など)を用いることができる。また、負極においては、副反応として電解液の分解反応が進行し水素が発生するが、水素過電圧の高い材料はこのような副反応の進行を抑制できる点で好ましい。負極集電体を構成する材料の具体例としては、亜鉛、鉛、スズ、スズ等の金属メッキを施した金属材料(銅、真鍮、鋼、ニッケル等)などが挙げられる。負極材は、層状(負極材層)であってもよい。例えば、負極集電体上に負極材層が形成されていてもよく、負極集電体が3次元網目構造を有する場合には、負極集電体の網目の間に負極材が充填されて負極材層が形成されていてもよい。
負極材は、負極活物質を含有する。負極材は、例えば、負極活物質として、金属亜鉛、酸化亜鉛及び水酸化亜鉛からなる群より選択される少なくとも一種を含有する。負極材は、例えば、満充電状態では金属亜鉛を含有し、放電末状態では酸化亜鉛及び水酸化亜鉛を含有する。負極活物質の含有量は、例えば、負極材の全質量を基準として50~95質量%であってもよい。
負極材は、添加剤を含有することができる。添加剤としては、結着剤、その他の添加剤等が挙げられる。添加剤は、一種を単独で、又は、複数種を組み合わせて用いることができる。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。結着剤の含有量は、例えば、負極活物質100質量%に対して0.5~10質量%であってもよい。
結着剤以外の添加剤としては、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化タリウム等の、亜鉛の還元電位より貴である金属酸化物;酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の、湿潤性の高い金属酸化物;酸化カルシウム、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物;フッ化カリウム、フッ化カルシウム等のフッ素化合物などが挙げられる。結着剤以外の添加剤の含有量は、例えば、負極活物質100質量%に対して1~40質量%であってもよい。
<ニッケル亜鉛電池の製造方法>
本実施形態に係るニッケル亜鉛電池の製造方法は、例えば、電極(正極及び負極)を得る電極製造工程と、電極を含む構成部材を組み立ててニッケル亜鉛電池を得る組立工程と、を備える。
電極製造工程では、正極及び負極を製造する。例えば、電極材(正極材及び負極材)の原料に対して溶媒(例えば水)を加えて混練することによりペースト状の電極材(電極材ペースト)を得た後、電極材ペーストを用いて電極材層を形成する。
正極材の原料としては、正極活物質の原料(例えば水酸化ニッケル)、添加剤(例えば、上記結着剤、及び上記結着剤以外の添加剤)などが挙げられる。負極材の原料としては、負極活物質の原料(例えば金属亜鉛、酸化亜鉛及び水酸化亜鉛)、添加剤(例えば、上記結着剤、及び上記結着剤以外の添加剤)などが挙げられる。
電極材層を形成する方法としては、例えば、電極材ペーストを集電体に塗布又は充填した後に乾燥することで電極材層を得る方法が挙げられる。電極材層は、必要に応じて、ローラーを用いたプレス等によって密度を高めてもよい。
組立工程では、例えば、まず、電極製造工程で得られた正極及び負極を、セパレータを介して交互に積層し、正極同士及び負極同士をストラップで連結させて電極群を作製する。次いで、この電極群を電槽内に配置した後、電槽の上面に蓋体を接着して未化成のニッケル亜鉛電池を得る。
次いで、本実施形態に係る電解液を未化成のニッケル亜鉛電池の電槽内に注入した後、一定時間放置する。次いで、所定の条件にて充電を行い、化成することによりニッケル亜鉛電池を得る。化成条件は、電極活物質(正極活物質及び負極活物質)の性状に応じて調整することができる。例えば、雰囲気温度25℃、32mA、12時間の条件で充電を行うことにより、化成後のニッケル亜鉛電池を作製できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、ニッケル亜鉛電池の例を説明したが、亜鉛電池は、正極が空気極である空気亜鉛電池(例えば空気亜鉛二次電池)であってもよい。
空気極としては、空気亜鉛電池に使用される公知の空気極を用いることができる。空気極は、一般的に、空気極触媒、電子伝導性材料等を含む。空気極触媒としては、電子伝導性材料としても機能する空気極触媒を用いることができる。
空気極触媒としては、空気亜鉛電池における正極として機能するものを用いることが可能であり、酸素を正極活物質として利用可能な種々の空気極触媒が使用可能である。空気極触媒としては、酸化還元触媒機能を有するカーボン系材料(黒鉛等)、酸化還元触媒機能を有する金属材料(白金、ニッケル等)、酸化還元触媒機能を有する無機酸化物材料(ペロブスカイト型酸化物、二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルト、スピネル酸化物等)などが挙げられる。空気極触媒の形状は特に限定されないが、例えば粒子状であってもよい。空気極における空気極触媒の含有量は、空気極の合計体積に対して、5~70体積%であってもよく、5~60体積%であってもよく、5~50体積%であってもよい。
電子伝導性材料としては、導電性を有し、かつ、空気極触媒とセパレータとの間の電子伝導を可能とするものを用いることができる。電子伝導性材料としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類;鱗片状黒鉛のような天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等のグラファイト類;炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類;銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属粉末類;ポリフェニレン誘導体等の有機電子伝導性材料;これらの任意の混合物などが挙げられる。電子伝導性材料の形状は、粒子状であってもよく、その他の形状であってもよい。電子伝導性材料は、空気極において厚さ方向に連続した相をもたらす形態で用いられることが好ましい。例えば、電子伝導性材料は、多孔質材料であってもよい。また、電子伝導性材料は、空気極触媒との混合物又は複合体の形態であってもよく、前述したように、電子伝導性材料としても機能する空気極触媒であってもよい。
空気極における電子伝導性材料の含有量は、空気極の合計体積に対して、10~80体積%であってもよく、15~80体積%であってもよく、20~80体積%であってもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<電解液の調製>
(実施例1~3、比較例1)
イオン交換水、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム=ブロミドを混合することにより電解液(水酸化カリウム:28質量%、水酸化リチウム:2質量%、添加剤:表1に示す含有量)を調製した。なお、上記成分の含有量は、電解液の全質量を基準とする。
<正極の作製>
空隙率95%の発泡ニッケルからなる格子体を用意し、格子体を加圧成形することで正極集電体を得た。次いで、コバルトコート水酸化ニッケル粉末(Gold Shine Energy Material Co.,Ltd製、Y6(商品名))、金属コバルト(ニッコーシ株式会社製、EXTRA FINE(商品名))、水酸化コバルト(伊勢化学工業株式会社製)、酸化イットリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製、試薬特級)、カルボキシメチルセルロース(CMC、威怡化工(蘇州)有限公司製、BH90―3(商品名))、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、ダイキン工業株式会社製、D210-C(商品名))、イオン交換水を所定量秤量して混合し、混合液を攪拌することにより、正極材ペーストを作製した。この際、固形分の質量比を、「水酸化ニッケル:金属コバルト:酸化イットリウム:水酸化コバルト:CMC:PTFE=88.0:10.3:1.0:0.3:0.3:0.1」に調整した。正極材ペーストの水分量は、正極材ペーストの全質量基準で27.5質量%に調整した。
次いで、正極材ペーストを正極集電体の正極材支持部に塗布した後、80℃で30分乾燥した。その後、ロールプレスにて加圧成形し、正極材層を有する未化成の正極を得た。
<負極の作製>
負極集電体として開孔率50%のスズメッキを施した鋼板パンチングメタルを用意した。次いで、酸化亜鉛(三井金属鉱業株式会社製、一般品)、金属亜鉛(三井金属鉱業株式会社製、MA-ZB(商品名))、酸化ビスマス(コアフロント株式会社製、4115CB(商品名))、ヒドロキシエチルセルロース(HEC、住友精化株式会社製、AV-15F(商品名))及びイオン交換水を所定量秤量して混合し、得られた混合液を攪拌することにより負極材ペーストを作製した。この際、固形分の質量比を「酸化亜鉛:金属亜鉛:酸化ビスマス:HEC=73.0:20.5:5.0:1.5」に調整した。負極材ペーストの水分量は、負極材ペーストの全質量基準で22.5質量%に調整した。次いで、負極材ペーストを負極集電体上に塗布した後、80℃で30分乾燥した。その後、ロールプレスにて加圧成形し、負極材(負極材層)を有する未化成の負極を得た。
<セパレータの準備>
セパレータには、微多孔膜として、UP3355(宇部興産株式会社製、商品名、透気度:440sec/100mL)、不織布として、不織布(ニッポン高度紙工業株式会社製、商品名:VL-100、透気度:0.3sec/100mL)を、それぞれ用いた。
微多孔膜は、電池組立て前に、界面活性剤Triton-X100(シグマアルドリッチジャパン合同会社製、商品名)で、親水化処理した。親水化処理は、Triton-X100が1質量%の量で含まれる水溶液に微多孔膜を24時間浸漬した後、室温で1時間乾燥する方法で行った。なお、微多孔膜の透気度は親水化処理後の値を示す。さらに、微多孔膜は、所定の大きさに裁断し、それを半分に折り、折り部を底部として側面を熱溶着することで袋状に加工した。不織布は、所定の大きさに裁断したものを使用した。尚、ここでいう透気度は、JIS P 8117:2009に準ずる方法で測定される値である。
<ニッケル亜鉛電池の作製>
袋状に加工した微多孔膜に、正極(未化成の正極)及び負極(未化成の負極)をそれぞれ1枚ずつ収納した。袋状の微多孔膜に収納された正極と、袋状の微多孔膜に収納された負極と、不織布と、を積層した後、同極性の極板同士をストラップで連結させて電極群(極板群)を作製した。電極群は、正極2枚及び負極3枚で、正極と負極の間(正極側の微多孔膜と負極側の微多孔膜との間)に不織布を1枚ずつ配置した構成とした。この電極群を電槽内に配置した後、電槽の上面に蓋体を接着し、上記電解液を電槽内に注入することにより、未化成のニッケル亜鉛電池を得た。その後、雰囲気温度25℃、32mA、12時間の条件で充電を行い、公称容量が320mAhのニッケル亜鉛電池を作製した。
<特性評価>
実施例1~3及び比較例1のニッケル亜鉛電池を用いて、ニッケル亜鉛電池のサイクル特性(寿命性能)の評価を行った。具体的な評価方法を以下に示し、結果を表1に示す。
<サイクル寿命性能の評価>
70℃において、電流値が16mA(0.05C)に減衰するまで105.7mA(0.33C)、1.88Vの定電圧でニッケル亜鉛電池の充電を行った後、電池電圧が1.1Vに到達するまで105.7mA(0.33C)の定電流でニッケル亜鉛電池の放電を行うことを1サイクルとする試験を行った。1サイクル目の放電容量に対する維持率が70%に達したサイクル回数をサイクル寿命性能とした。
なお、上記「C」とは、満充電状態から定格容量を定電流放電するときの電流の大きさを相対的に表したものである。上記「C」は、「放電電流値(A)/電池容量(Ah)」を意味する。例えば、定格容量を1時間で放電させることができる電流を「1C」、2時間で放電させることができる電流を「0.5C」と定義する。
Figure 2023032617000005
実施例1~3の亜鉛電池のサイクル寿命性能は、比較例1の亜鉛電池と比較して、大きく向上した。1-エチル-3-メチルイミダゾリウム=ブロミドを含有することで、負極上での充電反応の分布に偏りが生じにくくなり、デンドライト状の亜鉛の析出及び成長が抑制されためと考えられる。

Claims (6)

  1. アルカリ金属水酸化物と、窒素原子を含む複素環式化合物と、を含有する亜鉛電池用電解液。
  2. 前記窒素原子を含む複素環式化合物が塩である、請求項1に記載の亜鉛電池用電解液。
  3. 前記塩のカチオン成分がピペリジニウムカチオン、ピロリニジウムカチオン、ピリジニウムカチオン及びイミダゾリウムカチオンからなる群より選択される少なくとも一種を有する、請求項2に記載の亜鉛電池用電解液。
  4. 前記のアニオン成分がフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン及び水酸化物イオンからなる群より選択される少なくとも一種を有する、請求項2に記載の亜鉛電池用電解液。
  5. 前記アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の亜鉛電池用電解液。
  6. 正極と、負極と、請求項1~5のいずれか一項に記載の亜鉛電池用電解液と、を備える、亜鉛電池。
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