JP2023032402A - 化合物、発光材料および有機発光素子 - Google Patents

化合物、発光材料および有機発光素子 Download PDF

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哲 大野
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善丈 鈴木
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Abstract

【課題】特性が優れた発光材料を提供すること。【解決手段】下記一般式で表される化合物を発光材料として用いる。R1およびR2はアルキル基またはアリール基、R3は水素原子、重水素原子またはアルキル基、Dはドナー性基、A1およびA2はジアリールトリアゾリル基である。JPEG2023032402000069.jpg31170【選択図】なし

Description

本発明は、良好な発光特性を有する化合物に関する。また本発明は、その化合物を用いた発光材料および有機発光素子にも関する。
有機発光素子は、有機材料を用いた発光素子であり、塗布による製造が可能であり、希少元素を使わないことから近年注目を集めている。なかでも有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、自発光を放射しバックライトが不要であることから、軽量でフレキシブルな素子とすることが可能であるという利点がある。また、応答性が速く、視認性が高いという特徴も有しており、次世代光源として期待されている。このため、有機エレクトロルミネッセンス素子を始めとする有機発光素子に有用な材料の開発に関する研究が活発に進められている。特に発光材料に関する研究は盛んに行われている(例えば非特許文献1)。
Chem. Soc. Rev.,2017,46,915
一方、有機発光素子の発光特性についてはいまだ改善の余地があり、さらなる発光特性の向上が必要とされている。
そこで、本発明者らは、有機発光素子の発光特性の向上に寄与する新規化合物を開発することを目的として鋭意検討を進めた。
鋭意検討を進めた結果、本発明者らは、特定の条件を満たす構造を有する化合物が、発光素子に有用な化合物であることを見いだした。本発明は、このような知見に基づいて提案されたものであり、以下の構成を有する。
[1] 下記一般式(1)で表される化合物。
Figure 2023032402000001
[一般式(1)において、RおよびRは各々独立に、アルキル基およびアリール基からなる群より選択される1つの基または2つ以上を組み合わせた基を表し、
は水素原子、重水素原子またはアルキル基を表し、
Dはドナー性基を表し、
およびAは各々独立に置換もしくは無置換のジアリールトリアゾリル基を表す。]
[2] Dが置換もしくは無置換のカルバゾール-9-イル基である、[1]に記載の化合物。
[3] Dが、少なくとも1つの置換もしくは無置換のアリール基を含む基で置換されたカルバゾール-9-イル基である、[1]に記載の化合物。
[4] RおよびRが各々独立にアルキル基である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の化合物。
[5] Rが水素原子である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の化合物。
[6] RおよびRが同一である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の化合物。
[7] AおよびAが同一である、[1]~[6]のいずれか1つに記載の化合物。
[8] 下記一般式(2)で表される、[1]~[7]のいずれか1つに記載の化合物。
Figure 2023032402000002
[一般式(2)において、RおよびRは各々独立にアルキル基またはアリール基を表し、
は水素原子、重水素原子またはアルキル基を表し、
はC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはCまたはNを表し、
~Rは各々独立に水素原子、重水素原子または置換基を表し、
とR、RとR、RとRは互いに結合して環状構造を形成していてもよく、
Ar~Arは各々独立に置換もしくは無置換のアリール基を表し、
Arは置換もしくは無置換の芳香環、または置換もしくは無置換の複素芳香環を表す。]
[9] Arが、縮環もしくは置換されていてもよいベンゼン環、縮環もしくは置換されていてもよいフラン環、または縮環もしくは置換されていてもよいチオフェン環である、[8]に記載の化合物。
[10] 下記一般式(3)で表される、[1]~[7]のいずれか1つに記載の化合物。
Figure 2023032402000003
[一般式(3)において、RおよびRは各々独立にアルキル基またはアリール基を表し、
は水素原子、重水素原子またはアルキル基を表し、
~R11は各々独立に水素原子、重水素原子または置換基を表し、
とR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R10とR11は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、
Ar~Arは各々独立に置換もしくは無置換のアリール基を表す。]
[11] R~R11の少なくとも1つが、置換もしくは無置換のアリール基を含む、[10]に記載の化合物。
[12] RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R10とR11のうちの少なくとも1組が互いに結合して置換もしくは無置換のベンゾフロ構造を形成している、[10]または[11]に記載の化合物。
[13] [1]~[12]のいずれか1つに記載の化合物からなる発光材料。
[14] [1]~[12]のいずれか1つに記載の化合物を含む膜。
[15] [1]~[12]のいずれか1つに記載の化合物を含む有機半導体素子。
[16] [1]~[12]のいずれか1つに記載の化合物を含む有機発光素子。
[17] 前記素子が前記化合物を含む層を有しており、前記層がホスト材料も含む、[16]に記載の有機発光素子。
[18] 前記化合物を含む層が、前記化合物および前記ホスト材料の他に遅延蛍光材料も含み、前記遅延蛍光材料の最低励起一重項エネルギーが前記ホスト材料より低く、前記化合物よりも高い、[17]に記載の有機発光素子。
[19] 前記素子が前記化合物を含む層を有しており、前記層が前記化合物とは異なる構造を有する発光材料も含む、[17]に記載の有機発光素子。
[20] 前記素子に含まれる材料のうち、前記化合物からの発光量が最大である、[17]~[19]のいずれか1つに記載の有機発光素子。
[21] 前記発光材料からの発光量が前記化合物からの発光量よりも多い、[19]に記載の有機発光素子。
[22] 遅延蛍光を放射する、[17]~[21]のいずれか1つに記載の有機発光素子。
本発明の化合物は、発光材料として有用である。また、本発明の化合物の中には遅延蛍光寿命が短い化合物が含まれる。本発明の化合物を用いれば、特性が優れた有機発光素子を提供することができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成例を示す概略断面図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本発明に用いられる化合物の分子内に存在する水素原子の一部または全部は重水素原子(H、デューテリウムD)に置換することができる。本明細書の化学構造式では、水素原子はHと表示しているか、その表示を省略している。例えばベンゼン環の環骨格構成炭素原子に結合する原子の表示が省略されているとき、表示が省略されている箇所ではHが環骨格構成炭素原子に結合しているものとする。本明細書にて「置換基」という用語は、水素原子および重水素原子以外の原子または原子団を意味する。一方、「置換もしくは無置換の」という用語は、水素原子が重水素原子または置換基で置換されていてもよいことを意味する。
[一般式(1)で表される化合物]
Figure 2023032402000004
一般式(1)において、RおよびRは各々独立に、アルキル基およびアリール基からなる群より選択される1つの基または2つ以上を組み合わせた基を表す。
本明細書でいう「アルキル基」は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。また、直鎖部分と環状部分と分枝部分のうちの2種以上が混在していてもよい。アルキル基の炭素数は、例えば1以上、2以上、4以上とすることができる。また、炭素数は30以下、20以下、10以下、6以下、4以下とすることができる。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デカニル基、イソデカニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基を挙げることができる。アルキル基の水素原子は重水素原子で置換されていてもよく、アルキル基の水素原子の少なくとも1つが重水素原子で置換されているものを特に「重水素化アルキル基」と称する。
本明細書でいう「アリール基」は、単環であってもよいし、2つ以上の環が縮合した縮合環であってもよい。縮合環である場合、縮合している環の数は2~6であることが好ましく、例えば2~4の中から選択することができる。環の具体例として、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環を挙げることができる。アリール基の水素原子は重水素原子で置換されていてもよく、アリール基の水素原子の少なくとも1つが重水素原子で置換されているものを特に「重水素化アリール基」と称する。
本発明の一態様では、RとRは互いに異なっている。本発明の好ましい一態様では、RとRは互いに同一である。
本発明の一態様では、一般式(1)におけるRおよびRの少なくとも一方は、アリール基で置換されていてもよいアルキル基である。アリール基で置換されたアルキル基としては、フェニル基またはナフチル基で置換されたアルキル基を例示することができ、例えば1つ以上のフェニル基で置換されたアルキル基であってもよい。本発明の一態様では、一般式(1)におけるRおよびRの両方が、重水素化アルキル基であり、例えばRおよびRの両方が、すべての水素原子が重水素原子で置換されているアルキル基である。本発明の一態様では、一般式(1)におけるRおよびRの両方が、アリール基で置換されていてもよいシクロアルキル基であり、より好ましくは、RおよびRの両方が、無置換のシクロアルキル基であるか、アリール基で置換されていない重水素化シクロアルキル基である。本発明の好ましい一態様では、一般式(1)におけるRおよびRの両方が、アリール基で置換されていてもよい直鎖または分枝状アルキル基であり、より好ましくは、RおよびRの両方が、無置換の直鎖または分枝状アルキル基であるか、アリール基で置換されていない直鎖または分枝状の重水素化アルキル基である。例えば、RおよびRの両方が、各々独立に炭素数1~4の無置換のアルキル基であり、好ましくはRおよびRの両方が同一であって、炭素数1~4の無置換のアルキル基である。あるいは、RおよびRの両方が、各々独立に炭素数1~4の重水素化アルキル基であり、好ましくはRおよびRの両方が同一であって、炭素数1~4の重水素化アルキル基である。例えば、本発明の一態様では、RおよびRの両方がメチル基、エチル基、イソプロピル基またはtert-ブチル基である。本発明の一態様では、RおよびRの両方が重水素化メチル基、重水素化エチル基、重水素化イソプロピル基または重水素化tert-ブチル基である。例えば、RおよびRはともにメチル基である。例えば、RおよびRはともにtert-ブチル基である。
本発明の一態様では、一般式(1)におけるRおよびRの少なくとも一方は、アルキル基で置換されていてもよいアリール基である。アルキル基で置換されたアリール基としては、炭素数1~6のアルキル基で置換されたフェニル基、または炭素数1~6のアルキル基で置換されたナフチル基を挙げることができ、例えば炭素数1~4のアルキル基で置換されたフェニル基、または炭素数1~4のアルキル基で置換されたナフチル基を採用してもよい。RおよびRとして無置換のアリール基を採用してもよい。無置換のアリール基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基を挙げることができる。本発明の一態様では、一般式(1)におけるRおよびRの両方が、重水素原子で置換されていてもよいアリール基であり、例えばRおよびRの両方が、すべての水素原子が重水素原子で置換されているアリール基である。
一般式(1)において、RおよびDは互いに連結して環状構造を形成することはなく、RおよびDは互いに連結して環状構造を形成することはない。また、RおよびAは互いに連結して環状構造を形成することはなく、RおよびAは互いに連結して環状構造を形成することはない。
以下において、RおよびRが採ることができる基の具体例を示す。以下の構造式において、Dは重水素原子を表し、*は結合位置を表す。
Figure 2023032402000005
一般式(1)において、Rは水素原子、重水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは水素原子または重水素原子を表す。アルキル基の説明については、RおよびRにおけるアルキル基の上記説明を参照することができる。本発明の一態様では、Rは水素原子である。本発明の一態様では、Rは重水素原子である。本発明の一態様では、Rは炭素数1~4のアルキル基である。
一般式(1)において、Dはドナー性基を表す。
Dが採りうるドナー性基は、ハメットのσp値が負の基である。ここで、「ハメットのσp値」は、L.P.ハメットにより提唱されたものであり、パラ置換ベンゼン誘導体の反応速度または平衡に及ぼす置換基の影響を定量化したものである。具体的には、パラ置換ベンゼン誘導体における置換基と反応速度定数または平衡定数の間に成立する下記式:
log(k/k0) = ρσp
または
log(K/K0) = ρσp
における置換基に特有な定数(σp)である。上式において、k0は置換基を持たないベンゼン誘導体の速度定数、kは置換基で置換されたベンゼン誘導体の速度定数、K0は置換基を持たないベンゼン誘導体の平衡定数、Kは置換基で置換されたベンゼン誘導体の平衡定数、ρは反応の種類と条件によって決まる反応定数を表す。本発明における「ハメットのσp値」に関する説明と各置換基の数値については、Hansch,C.et.al.,Chem.Rev.,91,165-195(1991)のσp値に関する記載を参照することができる。ハメットのσp値が負の基は電子供与性(ドナー性)を示し、ハメットのσp値が正の基は電子求引性(アクセプター性)を示す傾向がある。
本発明におけるドナー性基は、置換アミノ基を含む基であることが好ましい。アミノ基の窒素原子に結合する置換基は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基であることが好ましく、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基であることがより好ましい。置換アミノ基は、特に、置換もしくは無置換のジアリールアミノ基、または置換もしくは無置換のジヘテロアリールアミノ基であることが好ましい。ここでいうジアリールアミノ基を構成する2つのアリール基は互いに結合していてもよく、またジヘテロアリールアミノ基を構成する2つのヘテロアリール基は互いに結合していてもよい。本発明における他のドナー性基は、置換アミノ基の窒素原子で結合する基であってもよいし、置換アミノ基が結合した基で結合する基であってもよい。置換アミノ基が結合する基は、π共役基であることが好ましい。より好ましいのは、置換アミノ基の窒素原子で結合する基である。
ここでいうアリール基とアルキル基の説明については、RおよびRにおけるアリール基とアルキル基の上記説明を参照することができる。「アルケニル基」は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。また、直鎖部分と環状部分と分枝部分のうちの2種以上が混在していてもよい。アルケニル基の炭素数は、例えば2以上、4以上とすることができる。また、炭素数は30以下、20以下、10以下、6以下、4以下とすることができる。アルケニル基の具体例として、エテニル基、n-プロペニル基、イソプロペニル基、n-ブテニル基、イソブテニル基、n-ペンテニル基、イソペンテニル基、n-ヘキセニル基、イソヘキセニル基、2-エチルヘキセニル基を挙げることができる。置換基たるアルケニル基は、さらに置換基で置換されていてもよい。「ヘテロアリール基」は、単環であってもよいし、2つ以上の環が縮合した縮合環であってもよい。縮合環である場合、縮合している環の数は2~6であることが好ましく、例えば2~4の中から選択することができる。環の具体例として、ピリジン環、ピリミジン環を挙げることができ、これらの環にはさらに別の環が縮合していてもよい。ヘテロアリール基の具体例として、2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-ピリジル基を挙げることができる。ヘテロアリール基の環骨格構成原子数は4~40であることが好ましく、5~20であることがより好ましく、5~14の範囲内で選択したり、5~10の範囲内で選択したりしてもよい。
Dが採りうるドナー性基は、下記一般式(4)で表される基であることが好ましい。
Figure 2023032402000006
一般式(4)において、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表す。ZはCまたはNを表し、Arは置換もしくは無置換の芳香環、または置換もしくは無置換の複素芳香環を表す。RとR、RとR、RとRは互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
~Zのうち、Nであるものの数は0~3であることが好ましく、0~2であることが好ましい。本発明の一態様では、Z~Zのうち、Nであるものの数は1である。本発明の一態様では、Z~Zのうち、Nであるものの数は0である。
~Rは各々独立に水素原子、重水素原子または置換基を表す。
置換基は、例えば置換基群Aの中から選択してもよいし、置換基群Bの中から選択してもよいし、置換基群Cの中から選択してもよいし、置換基群Dの中から選択してもよいし、置換基群Eの中から選択してもよい。R~Rの2つ以上が置換基を表すとき、それらの2つ以上の置換基は同一であっても異なっていてもよい。R~Rのうちの0~2個は置換基であることが好ましく、例えば1個が置換基であってもよいし、0個が置換基(R~Rが水素原子または重水素原子)であってもよい。
とR、RとR、RとRは互いに結合して環状構造を形成していてもよい。環状構造は、芳香環、複素芳香環、脂肪族炭化水素環、脂肪族複素環のいずれであってもよく、また、これらが縮合した環であってもよい。好ましくは芳香環、複素芳香環である。芳香環として置換もしくは無置換のベンゼン環を挙げることができる。ベンゼン環にはさらに他のベンゼン環が縮合していてもよく、ピリジン環のような複素環が縮合していてもよい。複素芳香環は、環骨格構成原子としてヘテロ原子を含む芳香性を示す環を意味し、5~7員環であることが好ましく、例えば5員環であるものや、6員環であるものを採用したりすることができる。本発明の一態様では、複素芳香環としてフラン環、チオフェン環、ピロール環を採用することができる。本発明の好ましい一態様では、環状構造は、置換もしくは無置換のベンゾフランのフラン環、置換もしくは無置換のベンゾチオフェンのチオフェン環、置換もしくは無置換のインドールのピロール環である。ここでいうベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドールは無置換であってもよく、置換基群Aから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Bから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Cから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Dから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Eから選択される置換基で置換されていてもよい。インドールのピロール環を構成する窒素原子には置換もしくは無置換のアリール基が結合していることが好ましく、その置換基としては例えば置換基群A~Eのいずれかの群から選択される置換基を挙げることができる。環状構造は、置換もしくは無置換のシクロペンタジエン環であってもよい。本発明の一態様では、RとR、RとR、RとRの中の1組が互いに結合して環状構造を形成している。本発明の一態様では、RとR、RとR、RとRは、いずれも互いに結合して環状構造を形成していない。
一般式(4)において、ZはCまたはNを表し、Arは置換もしくは無置換の芳香環、または置換もしくは無置換の複素芳香環を表す。本発明の一態様では、ZはCであり、Arは置換もしくは無置換の芳香環、または置換もしくは無置換の複素芳香環である。本発明の一態様では、ZはNであり、Arは置換もしくは無置換の複素芳香環である。
Arが採りうる芳香環としてベンゼン環を挙げることができる。ベンゼン環にはさらに他のベンゼン環が縮合していてもよく、ピリジン環のような複素環が縮合していてもよい。Arが採りうる複素芳香環は5~7員環であることが好ましく、例えば5員環であるものや、6員環であるものを採用したりすることができる。本発明の一態様では、複素芳香環としてフラン環、チオフェン環、ピロール環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環を採用することができる。本発明の一態様では、ZがCであり、複素芳香環が置換もしくは無置換のベンゾフランのフラン環、置換もしくは無置換のベンゾチオフェンのチオフェン環、置換もしくは無置換のキノリンのピリジン環、または置換もしくは無置換のイソキノリンのピリジン環である。本発明の一態様では、ZがNであり、複素芳香環が置換もしくは無置換のインドールのピロール環、または置換もしくは無置換のベンゾイミダゾールのイミダゾール環である。ここでいうベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリン、イソキノリン、インドール、ベンゾイミダゾールは無置換であってもよく、置換基群Aから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Bから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Cから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Dから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Eから選択される置換基で置換されていてもよい。
一般式(4)におけるZがCであるとき、下記一般式(5)で表される基であることが好ましい。
Figure 2023032402000007
一般式(5)において、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-R10またはNを表し、ZはC-R11またはNを表す。RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R10とR11は互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
一般式(5)におけるZ~Z、R~Rについては、一般式(4)の対応する説明を参照することができる。一般式(5)におけるZ~Z、R~R11は、一般式(4)のZ~Z、R~Rに順に対応しており、これらの内容については一般式(4)のZ~Z、R~Rの説明を参照することができる。
本発明の一態様では、Z~Z、Z~Zのうち、Nであるものの数は0~2であることが好ましく、0または1であることが好ましい。本発明の一態様では、Z~Z、Z~Zのうち、Nであるものの数は1である。本発明の好ましい一態様では、Z~Z、Z~Zのうち、Nであるものの数は0である。0であるとき、置換もしくは無置換のカルバゾール-9-イル基を表す。カルバゾール-9-イル基は、無置換であってもよく、置換基群Aから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Bから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Cから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Dから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Eから選択される置換基で置換されていてもよい。本発明の好ましい一態様では、Dは、少なくとも1つの置換もしくは無置換のアリール基を含む基で置換されたカルバゾール-9-イル基であり、例えば、少なくとも1つの置換もしくは無置換のアリール基で置換されたカルバゾール-9-イル基である。本発明の一態様では、2位および7位の少なくとも一方が置換もしくは無置換のアリール基である。本発明の一態様では、3位および6位の少なくとも一方が置換もしくは無置換のアリール基である。ここでいうアリール基は、無置換であってもよく、置換基群Aから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Bから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Cから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Dから選択される置換基で置換されていてもよいし、置換基群Eから選択される置換基で置換されていてもよい。
Dが採りうるドナー性基は、置換もしくは無置換のインドール-1-イル基であって、そのインドール-1-イル基を構成するインドール環には環が縮合しており、それにより環数が4以上の縮合環を形成しているものであってもよい。以後、本明細書においては、この条件を満たす基を「環縮合インドール-1-イル基」と称する。
環縮合インドール-1-イル基は、インドール-1-イル基を構成するベンゼン環やピロール環に縮合する環が1個の多環であってもよいし、2個以上の多環または単環であってもよい。例えば2個が縮合する場合は、1個がベンゼン環に縮合し、1個がピロール環に縮合しているものであることが好ましい。縮合している2個の環は同一であっても、異なっていてもよい。インドール環に環が縮合することにより、環数が4以上、5以上、6以上である縮合環を形成していてもよく、環数が5以上である縮合環を形成することが好ましい。例えば、環数が4の縮合環を形成している化合物、環数が5の縮合環を形成している化合物、環数が6の縮合環を形成している化合物、環数が8の縮合環を形成している化合物を採用してもよい。
環は、インドール環の2,3位(b)だけに縮合していてもよいし、4,5位(e)だけに縮合していてもよいし、5,6位(f)だけに縮合していてもよいし、6,7位(g)にだけ縮合していてもよいし、4,5位(e)と6,7位(g)の両方に縮合していてもよい。また、4,5位(e)と5,6位(f)と6,7位(g)のうちのいずれか1つと、2,3位(b)に縮合していてもよい(下式参照、*は結合位置を表す)。
Figure 2023032402000008
インドール-1-イル基を構成するベンゼン環やピロール環に直接縮合する環(縮合するものが多環である場合は、その多環を構成する環のうち直接縮合する環だけを指す)は、芳香族炭化水素環、芳香族ヘテロ環、脂肪族炭化水素環、脂肪族ヘテロ環のいずれであってもよい。好ましいのは、ベンゼン環および芳香族ヘテロ環からなる群より選択される1個以上の環が直接縮合する場合である。
ここでいうヘテロ環は、ヘテロ原子を含む環である。ヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子およびケイ素原子から選択されることが好ましく、酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選択されることがより好ましい。好ましい一態様では、ヘテロ原子は酸素原子である。別の好ましい一態様では、ヘテロ原子は硫黄原子である。さらに別の好ましい一態様では、ヘテロ原子は窒素原子である。ヘテロ環の環骨格構成原子として含まれているヘテロ原子の数は1つ以上であり、1~3つが好ましく、1または2つがより好ましい。好ましい一態様ではヘテロ原子の数は1つである。ヘテロ原子の数が2つ以上であるとき、それらは同一種のヘテロ原子であることが好ましいが、異種のヘテロ原子で構成されていてもよい。例えば、2つ以上のヘテロ原子がすべて窒素原子であってもよい。ヘテロ原子以外の環骨格構成原子は炭素原子である。インドール-1-イル基を構成するベンゼン環に直接縮合しているヘテロ環を構成する環骨格構成原子数は、4~8であることが好ましく、5~7であることがより好ましく、5または6であることがさらに好ましい。好ましい一態様では、ヘテロ環を構成する環骨格構成原子数は5である。ヘテロ環には共役二重結合が2つ以上存在していることが好ましく、ヘテロ環が縮合することにより、インドール環の共役系が拡張するものであることが好ましい(すなわち芳香族性を有することが好ましい)。ヘテロ環の好ましい例として、フラン環、チオフェン環、ピロール環をあげることができる。
インドール-1-イル基を構成するベンゼン環やピロール環に直接縮合している環には、さらに他の環が縮合していてもよい。また、縮合する環は単環であっても縮合環であってもよい。縮合する環としては、芳香族炭化水素環、芳香族ヘテロ環、脂肪族炭化水素環、脂肪族ヘテロ環を挙げることができる。
本発明の好ましい一態様では、インドール-1-イル基を構成するベンゼン環やピロール環には、少なくとも1つのヘテロ環が直接縮合している。本発明の好ましい一態様では、環縮合インドール-1-イル基を構成する縮合環は、2個以上のヘテロ環を含む。例えば2個のヘテロ環を含む場合や、3個のヘテロ環を含む場合を例示することができる。
本明細書における芳香族炭化水素環としてはベンゼン環を挙げることができる。芳香族ヘテロ環としては、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環を挙げることができる。脂肪族炭化水素環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環を挙げることができる。脂肪族ヘテロ環としては、ピペリジン環、ピロリジン環、イミダゾリン環を挙げることができる。縮合環の具体例として、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピラン環、テトラセン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、シンノリン環を挙げることができる。
本発明の好ましい一態様では、環縮合インドール-1-イル基は、ベンゾフラン縮合インドール-1-イル基、ベンゾチオフェン縮合インドール-1-イル基、インドール縮合インドール-1-イル基、またはシラインデン縮合インドール-1-イル基である。本発明のより好ましい一態様では、インドール-1-イル基は、ベンゾフラン縮合インドール-1-イル基、ベンゾチオフェン縮合インドール-1-イル基、またはインドール縮合インドール-1-イル基である。
本発明では、ベンゾフラン縮合インドール-1-イル基として、置換もしくは無置換のベンゾフロ[2,3-e]インドール-1-イル基を採用することができる。また、置換もしくは無置換のベンゾフロ[3,2-e]インドール-1-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾフロ[2,3-f]インドール-1-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾフロ[3,2-f]インドール-1-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾフロ[2,3-g]インドール-1-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾフロ[3,2-g]インドール-1-イル基を採用することもできる。これらの基を構成する縮合環には、さらに環が縮合していても、縮合していなくてもよい。
本発明では、ベンゾフラン縮合インドール-1-イル基として、置換もしくは無置換のベンゾフロ[2,3-a]カルバゾール-9-イル基を採用することができる。また、置換もしくは無置換のベンゾフロ[3,2-a]カルバゾール-9-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾフロ[2,3-b]カルバゾール-9-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾフロ[3,2-b]カルバゾール-9-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾフロ[2,3-c]カルバゾール-9-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾフロ[3,2-c]カルバゾール-9-イル基を採用することもできる。これらの基を構成する縮合環には、さらに環が縮合していても、縮合していなくてもよい。
好ましいベンゾフラン縮合インドール-1-イル基として、下記のいずれかの構造を有する基を挙げることができ、下記構造中の水素原子は置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。例えばフェニル基等のアリール基で置換されていたり、カルバゾール環の3位が置換されていたりするものを好ましく例示することができる。また、下記構造中のベンゼン環には、さらに環が縮合していてもよいし、環が縮合していなくてもよい。波線は結合位置を表す。
Figure 2023032402000009
ベンゾフラン環が2,3位で2つ縮合しているカルバゾール-9-イル基を採用することもできる。具体的には、下記のいずれかの構造を有する基であり、下記構造中の水素原子は置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。また、下記構造中のベンゼン環には、さらに環が縮合していてもよいし、環が縮合していなくてもよい。
Figure 2023032402000010
本発明では、ベンゾチオフェン縮合インドール-1-イル基として、置換もしくは無置換のベンゾチエノ[2,3-e]インドール-1-イル基を採用することができる。また、置換もしくは無置換のベンゾチエノ[3,2-e]インドール-1-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾチエノ[2,3-f]インドール-1-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾチエノ[3,2-f]インドール-1-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾチエノ[2,3-g]インドール-1-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾチエノ[3,2-g]インドール-1-イル基を採用することもできる。これらの基を構成する縮合環には、さらに環が縮合していても、縮合していなくてもよい。
本発明では、ベンゾチオフェン縮合インドール-1-イル基として、置換もしくは無置換のベンゾチエノ[2,3-a]カルバゾール-9-イル基を採用することができる。また、置換もしくは無置換のベンゾチエノ[3,2-a]カルバゾール-9-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾチエノ[2,3-b]カルバゾール-9-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾチエノ[3,2-b]カルバゾール-9-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾチエノ[2,3-c]カルバゾール-9-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のベンゾチエノ[3,2-c]カルバゾール-9-イル基を採用することもできる。これらの基を構成する縮合環には、さらに環が縮合していても、縮合していなくてもよい。
好ましいベンゾチオフェン縮合インドール-1-イル基として、下記のいずれかの構造を有する基を挙げることができ、下記構造中の水素原子は置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。例えばフェニル基等のアリール基で置換されていたり、カルバゾール環の3位が置換されていたりするものを好ましく例示することができる。また、下記構造中のベンゼン環には、さらに環が縮合していてもよいし、環が縮合していなくてもよい。
Figure 2023032402000011
ベンゾチオフェン環が2,3位で2つ縮合しているカルバゾール-9-イル基を採用することもできる。具体的には、下記のいずれかの構造を有する基であり、下記構造中の水素原子は置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。また、下記構造中のベンゼン環には、さらに環が縮合していてもよいし、環が縮合していなくてもよい。
Figure 2023032402000012
本発明では、インドール縮合インドール-1-イル基として、置換もしくは無置換のインドロ[2,3-e]インドール-1-イル基を採用することができる。また、置換もしくは無置換のインドロ[3,2-e]インドール-1-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のインドロ[2,3-f]インドール-1-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のインドロ[3,2-f]インドール-1-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のインドロ[2,3-g]インドール-1-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のインドロ[3,2-g]インドール-1-イル基を採用することもできる。これらの基を構成する縮合環には、さらに環が縮合していても、縮合していなくてもよい。
本発明では、インドール縮合インドール-1-イル基として、置換もしくは無置換のインドロ[2,3-a]カルバゾール-9-イル基を採用することができる。また、置換もしくは無置換のインドロ[3,2-a]カルバゾール-9-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のインドロ[2,3-b]カルバゾール-9-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のインドロ[3,2-b]カルバゾール-9-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のインドロ[2,3-c]カルバゾール-9-イル基を採用することもできる。また、置換もしくは無置換のインドロ[3,2-c]カルバゾール-9-イル基を採用することもできる。これらの基を構成する縮合環には、さらに環が縮合していても、縮合していなくてもよい。
好ましいインドール縮合インドール-1-イル基として、下記のいずれかの構造を有する基を挙げることができ、下記構造中の水素原子は置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。例えばフェニル基等のアリール基で置換されていたり、カルバゾール環の3位が置換されていたりするものを好ましく例示することができる。また、下記構造中のベンゼン環には、さらに環が縮合していてもよいし、環が縮合していなくてもよい。
Figure 2023032402000013
本発明の好ましい一態様では、ベンゾフラン縮合インドール-1-イル基、ベンゾチオフェン縮合インドール-1-イル基、インドール縮合インドール-1-イル基、およびシラインデン縮合インドール-1-イル基は、置換もしくは無置換のアリール基で置換されている。好ましくは置換もしくは無置換のフェニル基で置換されている。ここでいうアリール基やフェニル基の置換基としては置換基群A~Eのいずれかの群より選択される基を選択することが可能であり、置換基群Eから好ましく選択することができる。また、ここでいうアリール基やフェニル基は無置換であることも好ましい。本発明の好ましい一態様では、環縮合インドール-1-イル基は、置換もしくは無置換のアリール基で置換されたベンゾフラン縮合インドール-1-イル基である。
以下において、一般式(1)に採用することができるDの具体例を示す。一般式(1)に採用することができるDは、下記の構造を含む基であっても構わない。例えば、下記の構造を有する基で置換されたフェニル基や、下記構造中のベンゼン環に環(例えばベンゼン環)が縮合した基であってもよい。本発明で採用することができるDは、以下の具体例によって限定的に解釈されることはない。なお、以下の具体例において、Phはフェニル基を表し、Dは重水素原子を表し、*は結合位置を示す。また、メチル基は表示を省略している。このため、例えばD2は3-メチルカルバゾール-9-イル基を表す。
Figure 2023032402000014
Figure 2023032402000015
Figure 2023032402000016
Figure 2023032402000017
Figure 2023032402000018
Figure 2023032402000019
Figure 2023032402000020
Figure 2023032402000021
Figure 2023032402000022
Figure 2023032402000023
Figure 2023032402000024
Figure 2023032402000025
Figure 2023032402000026
Figure 2023032402000027
Figure 2023032402000028
Figure 2023032402000029
Figure 2023032402000030
一般式(1)において、AおよびAは各々独立に置換もしくは無置換のジアリールトリアゾリル基を表す。
およびAに含まれるトリアジン環は、1,3,5-トリアジン環であってもよいし、1,2,4-トリアジン環であってもよい。好ましいのは、1,3,5-トリアジン環である。
トリアジン環に結合している2つのアリール基は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。好ましいのは同一である場合である。ここでいうアリール基については、一般式(1)のRおよびRにおけるアリール基の説明を参照することができる。本発明の好ましい一態様では、2つのアリール基はともに置換もしくは無置換のフェニル基であり、例えばシアノ基、アルキル基、アリール基で置換されていてもよいアリール基である。無置換のフェニル基も好ましく採用することができる。
以下において、一般式(1)に採用することができるAおよびAの具体例を示す。ただし、本発明で採用することができるAおよびAは、以下の具体例によって限定的に解釈されることはない。なお、以下の具体例において、Dは重水素原子を表し、*は結合位置を表す。また、メチル基のCHは表示を省略しており、例えばA3は2つの4-メチルフェニル基で置換されたトリアゾリル基を表す。
Figure 2023032402000031
本発明の好ましい一態様では、一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)で表される構造を有する。
Figure 2023032402000032
一般式(2)において、RおよびRは各々独立にアルキル基またはアリール基を表し、Rは水素原子、重水素原子またはアルキル基を表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはCまたはNを表し、R~Rは各々独立に水素原子、重水素原子または置換基を表し、RとR、RとR、RとRは互いに結合して環状構造を形成していてもよく、Ar~Arは各々独立に置換もしくは無置換のアリール基を表し、Arは置換もしくは無置換の芳香環、または置換もしくは無置換の複素芳香環を表す。
一般式(2)のR~Rについては、一般式(1)の対応する説明を参照することができる。一般式(2)のZ~Z、Arについては、一般式(4)の対応する説明を参照することができる。一般式(2)のAr~Arについては、一般式(1)のジアリールアミノトリアゾリル基を構成するアリール基の説明を参照することができる。Ar~Arは同一であっても、異なっていてもよい。本発明の一態様では、ArとArは同一であり、ArとArは同一である。本発明の一態様では、Ar~Arはすべて同一である。
本発明の好ましい一態様では、Arは、縮環もしくは置換されていてもよいベンゼン環、縮環もしくは置換されていてもよいフラン環、または縮環もしくは置換されていてもよいチオフェン環である。本発明の好ましい一態様では、RおよびRは炭素数1~4の無置換のアルキル基であり、Rは水素原子または重水素原子である。本発明の好ましい一態様では、Ar~Arは置換もしくは無置換のフェニル基である。
本発明の好ましい一態様では、一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(3)で表される構造を有する。
Figure 2023032402000033
一般式(3)において、RおよびRは各々独立にアルキル基またはアリール基を表し、Rは水素原子、重水素原子またはアルキル基を表し、R~R11は各々独立に水素原子、重水素原子または置換基を表し、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R10とR11は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、Ar~Arは各々独立に置換もしくは無置換のアリール基を表す。
一般式(3)のR~Rについては、一般式(1)の対応する説明を参照することができる。一般式(3)のAr~Arについては、一般式(1)のジアリールアミノトリアゾリル基を構成するアリール基の説明と一般式(2)のAr~Arの説明を参照することができる。一般式(3)のR~R11については、一般式(5)の対応する説明を参照することができる。
本発明の好ましい一態様では、RおよびRは炭素数1~4の無置換のアルキル基であり、Rは水素原子または重水素原子である。本発明の好ましい一態様では、Ar~Arは置換もしくは無置換のフェニル基である。本発明の好ましい一態様では、R~R11の少なくとも1つが、置換もしくは無置換のアリール基を含む。本発明の好ましい一態様では、RとR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R10とR11のうちの少なくとも1組が互いに結合して置換もしくは無置換のベンゾフロ構造またはベンゾチエノ構造を形成している。
一般式(1)で表される化合物は、金属原子を含まないことが好ましく、炭素原子、水素原子、重水素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択される原子だけで構成される化合物であってもよい。本発明の好ましい一態様では、一般式(1)で表される化合物は、炭素原子、水素原子、重水素原子、窒素原子および酸素原子からなる群より選択される原子だけで構成される。また、一般式(1)で表される化合物は、炭素原子、水素原子、重水素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選択される原子だけで構成される化合物であってもよい。一般式(1)で表される化合物は、炭素原子、水素原子、重水素原子および窒素原子からなる群より選択される原子だけで構成される化合物であってもよい。一般式(1)で表される化合物は、炭素原子、水素原子および窒素原子からなる群より選択される原子だけで構成される化合物であってもよい。さらに、一般式(1)で表される化合物は水素原子を含まず、重水素原子を含む化合物であってもよい。例えば、一般式(1)で表される化合物は、炭素原子、重水素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択される原子だけで構成される化合物であってもよい。
本発明の一態様では、一般式(1)で表される化合物は対称構造を有する。例えば線対称構造を有していてもよい。本発明の一態様では、一般式(1)で表される化合物は非対称構造を有する。
本明細書において「置換基群A」とは、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(例えば炭素数1~40)、アルコキシ基(例えば炭素数1~40)、アルキルチオ基(例えば炭素数1~40)、アリール基(例えば炭素数6~30)、アリールオキシ基(例えば炭素数6~30)、アリールチオ基(例えば炭素数6~30)、ヘテロアリール基(例えば環骨格構成原子数5~30)、ヘテロアリールオキシ基(例えば環骨格構成原子数5~30)、ヘテロアリールチオ基(例えば環骨格構成原子数5~30)、アシル基(例えば炭素数1~40)、アルケニル基(例えば炭素数1~40)、アルキニル基(例えば炭素数1~40)、アルコキシカルボニル基(例えば炭素数1~40)、アリールオキシカルボニル基(例えば炭素数1~40)、ヘテロアリールオキシカルボニル基(例えば炭素数1~40)、シリル基(例えば炭素数1~40のトリアルキルシリル基)およびニトロ基からなる群より選択される1つの基または2つ以上を組み合わせた基を意味する。
本明細書において「置換基群B」とは、アルキル基(例えば炭素数1~40)、アルコキシ基(例えば炭素数1~40)、アリール基(例えば炭素数6~30)、アリールオキシ基(例えば炭素数6~30)、ヘテロアリール基(例えば環骨格構成原子数5~30)、ヘテロアリールオキシ基(例えば環骨格構成原子数5~30)、ジアリールアミノアミノ基(例えば炭素原子数0~20)からなる群より選択される1つの基または2つ以上を組み合わせた基を意味する。
本明細書において「置換基群C」とは、アルキル基(例えば炭素数1~20)、アリール基(例えば炭素数6~22)、ヘテロアリール基(例えば環骨格構成原子数5~20)、ジアリールアミノ基(例えば炭素原子数12~20)からなる群より選択される1つの基または2つ以上を組み合わせた基を意味する。
本明細書において「置換基群D」とは、アルキル基(例えば炭素数1~20)、アリール基(例えば炭素数6~22)およびヘテロアリール基(例えば環骨格構成原子数5~20)からなる群より選択される1つの基または2つ以上を組み合わせた基を意味する。
本明細書において「置換基群E」とは、アルキル基(例えば炭素数1~20)およびアリール基(例えば炭素数6~22)からなる群より選択される1つの基または2つ以上を組み合わせた基を意味する。
本明細書において「置換基」や「置換もしくは無置換の」と記載されている場合の置換基は、例えば置換基群Aの中から選択してもよいし、置換基群Bの中から選択してもよいし、置換基群Cの中から選択してもよいし、置換基群Dの中から選択してもよいし、置換基群Eの中から選択してもよい。
以下の表1および表2に、一般式(1)で表される化合物の具体例を示す。表1では、D、R、Rを化合物ごとに特定することにより化合物1~200の構造を示している。表2では、化合物1~40のD1を表2内で指定されるドナー性基に変えることにより、化合物201以降の化合物の構造を特定している。例えば、表2の「化合物1~40のD1をD6に変えたものを化合物201~240とする」は、化合物1のD1をD6に変えたものを化合物201とし、化合物2のD1をD6に変えたものを化合物202とし、化合物3のD1をD6に変えたものを化合物203とするという要領で化合物201~240を順に特定している。化合物241以降も同じ要領で特定している。表1および表2にて、化合物1~18280は個別に構造が特定され、本明細書にて具体的に開示されている。また、化合物1~18280の分子内に存在する水素原子をすべて重水素原子に置換したものを化合物1d~18280dとして開示する。なお、以下の化合物のうち回転異性体が存在する場合は、回転異性体の混合物と、分離した各回転異性体も、本明細書に開示されているものとする。
Figure 2023032402000034
Figure 2023032402000035
Figure 2023032402000036
Figure 2023032402000037
Figure 2023032402000038
Figure 2023032402000039
Figure 2023032402000040
Figure 2023032402000041
Figure 2023032402000042
Figure 2023032402000043
Figure 2023032402000044
Figure 2023032402000045
Figure 2023032402000046
一般式(1)で表される化合物の分子量は、例えば一般式(1)で表される化合物を含む有機層を蒸着法により製膜して利用することを意図する場合には、1500以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、1000以下であることがさらに好ましく、900以下であることがさらにより好ましい。分子量の下限値は、一般式(1)で表される最小化合物の分子量である。
一般式(1)で表される化合物は、分子量にかかわらず塗布法で成膜してもよい。塗布法を用いれば、分子量が比較的大きな化合物であっても成膜することが可能である。一般式(1)で表される化合物は、有機溶媒に溶解しやすいという利点がある。このため、一般式(1)で表される化合物は塗布法を適用しやすいうえ、精製して純度を高めやすい。
一般式(1)で表される化合物は遅延蛍光寿命(τ2)が短い化合物を含む。遅延蛍光寿命(τ2)が短い化合物は、有機発光素子に用いたときに素子の発光効率を改善したり、ロールオフを抑制したりすることができる。このため、効率が良くて、安定性(耐久性)に優れた有機発光素子を提供できる。
本発明を応用して、分子内に一般式(1)で表される構造を複数個含む化合物を、発光材料として用いることも考えられる。
例えば、一般式(1)で表される構造中にあらかじめ重合性基を存在させておいて、その重合性基を重合させることによって得られる重合体を、発光材料として用いることが考えられる。例えば、一般式(1)のいずれかの部位に重合性官能基を含むモノマーを用意して、これを単独で重合させるか、他のモノマーとともに共重合させることにより、繰り返し単位を有する重合体を得て、その重合体を発光材料として用いることが考えられる。あるいは、一般式(1)で表される構造を有する化合物どうしをカップリングさせることにより、二量体や三量体を得て、それらを発光材料として用いることも考えられる。
一般式(1)で表される構造を含む繰り返し単位を有する重合体の例として、下記2つの一般式のいずれかで表される構造を含む重合体を挙げることができる。
Figure 2023032402000047
上の一般式において、Qは一般式(1)で表される構造を含む基を表し、LおよびLは連結基を表す。連結基の炭素数は、好ましくは0~20であり、より好ましくは1~15であり、さらに好ましくは2~10である。連結基は-X11-L11-で表される構造を有するものであることが好ましい。ここで、X11は酸素原子または硫黄原子を表し、酸素原子であることが好ましい。L11は連結基を表し、置換もしくは無置換のアルキレン基、または置換もしくは無置換のアリーレン基であることが好ましく、炭素数1~10の置換もしくは無置換のアルキレン基、または置換もしくは無置換のフェニレン基であることがより好ましい。
上の一般式において、R101、R102、R103およびR104は、各々独立に置換基を表す。好ましくは、炭素数1~6の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数1~6の置換もしくは無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは炭素数1~3の無置換のアルキル基、炭素数1~3の無置換のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子であり、さらに好ましくは炭素数1~3の無置換のアルキル基、炭素数1~3の無置換のアルコキシ基である。
およびLで表される連結基は、Qを構成する一般式(1)のいずれかの部位に結合することができる。1つのQに対して連結基が2つ以上連結して架橋構造や網目構造を形成していてもよい。
繰り返し単位の具体的な構造例として、下記式で表される構造を挙げることができる。
Figure 2023032402000048
これらの式を含む繰り返し単位を有する重合体は、一般式(1)のいずれかの部位にヒドロキシ基を導入しておき、それをリンカーとして下記化合物を反応させて重合性基を導入し、その重合性基を重合させることにより合成することができる。
Figure 2023032402000049
分子内に一般式(1)で表される構造を含む重合体は、一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位のみからなる重合体であってもよいし、それ以外の構造を有する繰り返し単位を含む重合体であってもよい。また、重合体の中に含まれる一般式(1)で表される構造を有する繰り返し単位は、単一種であってもよいし、2種以上であってもよい。一般式(1)で表される構造を有さない繰り返し単位としては、通常の共重合に用いられるモノマーから誘導されるものを挙げることができる。例えば、エチレン、スチレンなどのエチレン性不飽和結合を有するモノマーから誘導される繰り返し単位を挙げることができる。
ある実施形態では、一般式(1)で表される化合物は発光材料である。
ある実施形態では、一般式(1)で表される化合物は、遅延蛍光を発することができる化合物である。
本開示のある実施形態では、一般式(1)で表される化合物は、熱的または電子的手段で励起されるとき、UV領域、可視スペクトルのうち青色、緑色、黄色、オレンジ色、赤色領域(例えば約420nm~約500nm、約500nm~約600nmまたは約600nm~約700nm)または近赤外線領域で光を発することができる。
本開示のある実施形態では、一般式(1)で表される化合物は、熱的または電子的手段で励起されるとき、可視スペクトルのうち赤色またはオレンジ色領域(例えば約620nm~約780nm、約650nm)で光を発することができる。
本開示のある実施形態では、一般式(1)で表される化合物は、熱的または電子的手段で励起されるとき、可視スペクトルのうちオレンジ色または黄色領域(例えば約570nm~約620nm、約590nm、約570nm)で光を発することができる。
本開示のある実施形態では、一般式(1)で表される化合物は、熱的または電子的手段で励起されるとき、可視スペクトルのうち緑色領域(例えば約490nm~約575nm、約510nm)で光を発することができる。
本開示のある実施形態では、一般式(1)で表される化合物は、熱的または電子的手段で励起されるとき、可視スペクトルのうち青色領域(例えば約400nm~約490nm、約475nm)で光を発することができる。
本開示のある実施形態では、一般式(1)で表される化合物は、熱的または電子的手段で励起されるとき、紫外スペクトル領域(例えば280~400nm)で光を発することができる。
本開示のある実施形態では、一般式(1)で表される化合物は、熱的または電子的手段で励起されるとき、赤外スペクトル領域(例えば780nm~2μm)で光を発することができる。
本開示のある実施形態では、一般式(1)で表される化合物を用いた有機半導体素子を作製することができる。例えば、一般式(1)で表される化合物を用いたCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などを作製することができる。本開示のある実施形態では、一般式(1)で表される化合物を用いて有機エレクトロルミネッセンス素子や固体撮像素子(例えばCMOSイメージセンサー)などの有機光素子を作製することができる。
小分子の化学物質ライブラリの電子的特性は、公知のab initioによる量子化学計算を用いて算出することができる。例えば、基底として、6-31G*、およびベッケの3パラメータ、Lee-Yang-Parrハイブリッド汎関数として知られている関数群を用いた時間依存的な密度汎関数理論を使用してHartree-Fock方程式(TD-DFT/B3LYP/6-31G*)を解析し、特定の閾値以上のHOMOおよび特定の閾値以下のLUMOを有する分子断片(部分)をスクリーニングすることができる。
それにより、例えば-6.5eV以上のHOMOエネルギー(例えばイオン化ポテンシャル)があるときは、供与体部分(「D」)が選抜できる。また例えば、-0.5eV以下のLUMOエネルギー(例えば電子親和力)があるときは、受容体部分(「A」)が選抜できる。ブリッジ部分(「B」)は、例えば受容体と供与体部分を特異的な立体構成に厳しく制限できる強い共役系であることにより、供与体および受容体部分のπ共役系間の重複が生じるのを防止する。
ある実施形態では、化合物ライブラリは、以下の特性のうちの1つ以上を用いて選別される。
1.特定の波長付近における発光
2.算出された、特定のエネルギー準位より上の三重項状態
3.特定値より下のΔEST
4.特定値より上の量子収率
5.HOMO準位
6.LUMO準位
ある実施形態では、77Kにおける最低の一重項励起状態と最低の三重項励起状態との差(ΔEST)は、約0.5eV未満、約0.4eV未満、約0.3eV未満、約0.2eV未満または約0.1eV未満である。ある実施形態ではΔEST値は、約0.09eV未満、約0.08eV未満、約0.07eV未満、約0.06eV未満、約0.05eV未満、約0.04eV未満、約0.03eV未満、約0.02eV未満または約0.01eV未満である。
ある実施形態では、一般式(1)で表される化合物は、25%超の、例えば約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%またはそれ以上の量子収率を示す。
[一般式(1)で表される化合物の合成方法]
一般式(1)で表される化合物は、新規化合物を含む。
一般式(1)で表される化合物は、既知の反応を組み合わせることによって合成することができる。例えば、ドナー性基D、Dを導入したい位置がフッ素原子で置換された化合物にD-HやD-Hを水素化ナトリウムの存在下でテトラヒドロフラン中で反応させることにより合成することが可能である。DとDが互いに異なる場合は、D-H、D-Hとの反応を2段階で行ってもよい。反応の具体的な条件や反応手順については、後述の実施例を参考にすることができる。
[一般式(1)で表される化合物を用いた構成物]
ある実施形態では、一般式(1)で表される化合物と組み合わせ、同化合物を分散させ、同化合物と共有結合し、同化合物をコーティングし、同化合物を担持し、あるいは同化合物と会合する1つ以上の材料(例えば小分子、ポリマー、金属、金属錯体等)と共に用い、固体状のフィルムまたは層を形成させる。例えば、一般式(1)で表される化合物を電気活性材料と組み合わせてフィルムを形成することができる。いくつかの場合、一般式(1)で表される化合物を正孔輸送ポリマーと組み合わせてもよい。いくつかの場合、一般式(1)で表される化合物を電子輸送ポリマーと組み合わせてもよい。いくつかの場合、一般式(1)で表される化合物を正孔輸送ポリマーおよび電子輸送ポリマーと組み合わせてもよい。いくつかの場合、一般式(1)で表される化合物を、正孔輸送部と電子輸送部との両方を有するコポリマーと組み合わせてもよい。以上のような実施形態により、固体状のフィルムまたは層内に形成される電子および/または正孔を、一般式(1)で表される化合物と相互作用させることができる。
[フィルムの形成]
ある実施形態では、一般式(1)で表される本発明の化合物を含むフィルムは、湿式工程で形成することができる。湿式工程では、本発明の化合物を含む組成物を溶解した溶液を面に塗布し、溶媒の除去後にフィルムを形成する。湿式工程として、スピンコート法、スリットコート法、インクジェット法(スプレー法)、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。湿式工程では、本発明の化合物を含む組成物を溶解することができる適切な有機溶媒を選択して用いる。ある実施形態では、組成物に含まれる化合物に、有機溶媒に対する溶解性を上げる置換基(例えばアルキル基)を導入することができる。
ある実施形態では、本発明の化合物を含むフィルムは、乾式工程で形成することができる。ある実施形態では、乾式工程として真空蒸着法を採用することができる、これに限定されるものではない。真空蒸着法を採用する場合は、フィルムを構成する化合物を個別の蒸着源から共蒸着させてもよいし、化合物を混合した単一の蒸着源から共蒸着させてもよい。単一の蒸着源を用いる場合は、化合物の粉末を混合した混合粉を用いてもよいし、その混合粉を圧縮した圧縮成形体を用いてもよいし、各化合物を加熱溶融して冷却した混合物を用いてもよい。ある実施形態では、単一の蒸着源に含まれる複数の化合物の蒸着速度(重量減少速度)が一致ないしほぼ一致する条件で共蒸着を行うことにより、蒸着源に含まれる複数の化合物の組成比に対応する組成比のフィルムを形成することができる。形成されるフィルムの組成比と同じ組成比で複数の化合物を混合して蒸着源とすれば、所望の組成比を有するフィルムを簡便に形成することができる。ある実施形態では、共蒸着される各化合物が同じ重量減少率になる温度を特定して、その温度を共蒸着時の温度として採用することができる。
[一般式(1)で表される化合物の使用の例]
有機発光ダイオード:
本発明の一態様は、有機発光素子の発光材料としての、本発明の一般式(1)で表される化合物の使用に関する。ある実施形態では、本発明の一般式(1)で表される化合物は、有機発光素子の発光層における発光材料として効果的に使用できる。ある実施形態では、一般式(1)で表される化合物は、遅延蛍光を発する遅延蛍光(遅延蛍光体)を含む。ある実施形態では、本発明は一般式(1)で表される構造を有する遅延蛍光体を提供する。ある実施形態では、本発明は遅延蛍光体としての一般式(1)で表される化合物の使用に関する。ある実施形態では、本発明は一般式(1)で表される化合物は、ホスト材料として使用することができ、かつ、1つ以上の発光材料と共に使用することができ、発光材料は蛍光材料、燐光材料またはTADFでよい。ある実施形態では、一般式(1)で表される化合物は、正孔輸送材料として使用することもできる。ある実施形態では、一般式(1)で表される化合物は、電子輸送材料として使用することができる。ある実施形態では、本発明は一般式(1)で表される化合物から遅延蛍光を生じさせる方法に関する。ある実施形態では、化合物を発光材料として含む有機発光素子は、遅延蛍光を発し、高い光放射効率を示す。
ある実施形態では、発光層は一般式(1)で表される化合物を含み、一般式(1)で表される化合物は、基材と平行に配向される。ある実施形態では、基材はフィルム形成表面である。ある実施形態では、フィルム形成表面に対する一般式(1)で表される化合物の配向は、整列させる化合物によって発せられる光の伝播方向に影響を与えるか、あるいは、当該方向を決定づける。ある実施形態では、一般式(1)で表される化合物によって発される光の伝播方向を整列させることで、発光層からの光抽出効率が改善される。
本発明の一態様は、有機発光素子に関する。ある実施形態では、有機発光素子は発光層を含む。ある実施形態では、発光層は発光材料として一般式(1)で表される化合物を含む。ある実施形態では、有機発光素子は有機光ルミネッセンス素子(有機PL素子)である。ある実施形態では、有機発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)である。ある実施形態では、一般式(1)で表される化合物は、発光層に含まれる他の発光材料の光放射を(いわゆるアシストドーパントとして)補助する。ある実施形態では、発光層に含まれる一般式(1)で表される化合物は、その最低の励起一重項エネルギー準位にあり、発光層に含まれるホスト材料の最低励起一重項エネルギー準位と発光層に含まれる他の発光材料の最低励起一重項エネルギー準位との間に含まれる。
ある実施形態では、有機光ルミネッセンス素子は、少なくとも1つの発光層を含む。ある実施形態では、有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極、陰極、および前記陽極と前記陰極との間の有機層を含む。ある実施形態では、有機層は、少なくとも発光層を含む。ある実施形態では、有機層は、発光層のみを含む。ある実施形態では、有機層は、発光層に加えて1つ以上の有機層を含む。有機層の例としては、正孔輸送層、正孔注入層、電子障壁層、正孔障壁層、電子注入層、電子輸送層および励起子障壁層が挙げられる。ある実施形態では、正孔輸送層は、正孔注入機能を有する正孔注入輸送層であってもよく、電子輸送層は、電子注入機能を有する電子注入輸送層であってもよい。有機エレクトロルミネッセンス素子の例を図1に示す。
発光層:
ある実施形態では、発光層は、陽極および陰極からそれぞれ注入された正孔および電子が再結合して励起子を形成する層である。ある実施形態では、層は光を発する。
ある実施形態では、発光材料のみが発光層として用いられる。ある実施形態では、発光層は発光材料とホスト材料とを含む。ある実施形態では、発光材料は、一般式(1)の1つ以上の化合物である。ある実施形態では、有機エレクトロルミネッセンス素子および有機光ルミネッセンス素子の光放射効率を向上させるため、発光材料において発生する一重項励起子および三重項励起子を、発光材料内に閉じ込める。ある実施形態では、発光層中に発光材料に加えてホスト材料を用いる。ある実施形態では、ホスト材料は有機化合物である。ある実施形態では、有機化合物は励起一重項エネルギーおよび励起三重項エネルギーを有し、その少なくとも1つは、本発明の発光材料のそれらよりも高い。ある実施形態では、本発明の発光材料中で発生する一重項励起子および三重項励起子は、本発明の発光材料の分子中に閉じ込められる。ある実施形態では、一重項および三重項の励起子は、光放射効率を向上させるために十分に閉じ込められる。ある実施形態では、高い光放射効率が未だ得られるにもかかわらず、一重項励起子および三重項励起子は十分に閉じ込められず、すなわち、高い光放射効率を達成できるホスト材料は、特に限定されることなく本発明で使用されうる。ある実施形態では、本発明の素子の発光層中の発光材料において、光放射が生じる。ある実施形態では、放射光は蛍光および遅延蛍光の両方を含む。ある実施形態では、放射光は、ホスト材料からの放射光を含む。ある実施形態では、放射光は、ホスト材料からの放射光からなる。ある実施形態では、放射光は、一般式(1)で表される化合物からの放射光と、ホスト材料からの放射光とを含む。ある実施形態では、TADF分子とホスト材料とが用いられる。ある実施形態では、TADFはアシストドーパントである。
一般式(1)で表される化合物をアシストドーパントとして用いるとき、発光材料(好ましくは蛍光材料)として様々な化合物を採用することが可能である。そのような発光材料としては、アントラセン誘導体、テトラセン誘導体、ナフタセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、クリセン誘導体、ルブレン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、スチルベン誘導体、フルオレン誘導体、アントリル誘導体、ピロメテン誘導体、ターフェニル誘導体、ターフェニレン誘導体、フルオランテン誘導体、アミン誘導体、キナクリドン誘導体、オキサジアゾール誘導体、マロノニトリル誘導体、ピラン誘導体、カルバゾール誘導体、ジュロリジン誘導体、チアゾール誘導体、金属(Al,Zn)を有する誘導体等を用いることが可能である。これらの例示骨格には置換基を有してもよいし、置換基を有していなくてもよい。また、これらの例示骨格どうしを組み合わせてもよい。
以下において、一般式(1)で表されるアシストドーパントと組み合わせて用いることができる発光材料を例示する。
Figure 2023032402000050
Figure 2023032402000051
Figure 2023032402000052
また、WO2015/022974号公報の段落0220~0239に記載の化合物も、一般式(1)で表されるアシストドーパントとともに用いる発光材料として、特に好ましく採用することができる。
ある実施形態では、ホスト材料を用いるとき、発光層に含まれる発光材料としての本発明の化合物の量は、0.1重量%以上である。ある実施形態では、ホスト材料を用いるとき、発光層に含まれる発光材料としての本発明の化合物の量は、1重量%以上である。ある実施形態では、ホスト材料を用いるとき、発光層に含まれる発光材料としての本発明の化合物の量は、50重量%以下である。ある実施形態では、ホスト材料を用いるとき、発光層に含まれる発光材料としての本発明の化合物の量は、20重量%以下である。ある実施形態では、ホスト材料を用いるとき、発光層に含まれる発光材料としての本発明の化合物の量は、10重量%以下である。
ある実施形態では、発光層のホスト材料は、正孔輸送機能および電子輸送機能を有する有機化合物である。ある実施形態では、発光層のホスト材料は、放射光の波長が増加することを防止する有機化合物である。ある実施形態では、発光層のホスト材料は、高いガラス転移温度を有する有機化合物である。
いくつかの実施形態では、ホスト材料は以下からなる群から選択される:
Figure 2023032402000053
Figure 2023032402000054
ある実施形態では、発光層は2種類以上の構造が異なるTADF分子を含む。例えば、励起一重項エネルギー準位がホスト材料、第1TADF分子、第2TADF分子の順に高い、これら3種の材料を含む発光層とすることができる。このとき、第1TADF分子と第2TADF分子は、ともに最低励起一重項エネルギー準位と77Kの最低励起三重項エネルギー準位の差ΔESTが0.3eV以下であることが好ましく、0.25eV以下であることがより好ましく、0.2eV以下であることがより好ましく、0.15eV以下であることがより好ましく、0.1eV以下であることがさらに好ましく、0.07eV以下であることがさらにより好ましく、0.05eV以下であることがさらにまた好ましく、0.03eV以下であることがさらになお好ましく、0.01eV以下であることが特に好ましい。発光層における第1TADF分子の含有量は、第2TADF分子の含有量よりも多いことが好ましい。また、発光層におけるホスト材料の含有量は、第2TADF分子の含有量よりも多いことが好ましい。発光層における第1TADF分子の含有量は、ホスト材料の含有量よりも多くてもよいし、少なくてもよいし、同じであってもよい。ある実施形態では、発光層内の組成を、ホスト材料を10~70重量%、第1TADF分子を10~80重量%、第2TADF分子を0.1~30重量%としてもよい。ある実施形態では、発光層内の組成を、ホスト材料を20~45重量%、第1TADF分子を50~75重量%、第2TADF分子を5~20重量%としてもよい。ある実施形態では、第1TADF分子とホスト材料の共蒸着膜(この共蒸着膜における第1TADF分子の含有率=A重量%)の光励起による発光量子収率φPL1(A)と、第2TADF分子とホスト材料の共蒸着膜(この共蒸着膜における第2TADF分子の含有率=A重量%)の光励起による発光量子収率φPL2(A)が、φPL1(A)>φPL2(A)の関係式を満たす。ある実施形態では、第2TADF分子とホスト材料の共蒸着膜(この共蒸着膜における第2TADF分子の含有率=B重量%)の光励起による発光量子収率φPL2(B)と、第2TADF分子の単独膜の光励起による発光量子収率φPL2(100)が、φPL2(B)>φPL2(100)の関係式を満たす。ある実施形態では、発光層は3種類の構造が異なるTADF分子を含むことができる。本発明の化合物は、発光層に含まれる複数のTADF化合物のいずれであってもよい。
ある実施形態では、発光層は、ホスト材料、アシストドーパント、および発光材料からからなる群より選択される材料で構成することができる。ある実施形態では、発光層は金属元素を含まない。ある実施形態では、発光層は炭素原子、水素原子、重水素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群より選択される原子のみから構成される材料で構成することができる。あるいは、発光層は、炭素原子、水素原子、重水素原子、窒素原子および酸素原子からなる群より選択される原子のみから構成される材料で構成することもできる。あるいは、発光層は、炭素原子、水素原子、窒素原子および酸素原子からなる群より選択される原子のみから構成される材料で構成することもできる。
発光層が本発明の化合物以外のTADF材料を含むとき、そのTADF材料は公知の遅延蛍光材料であってよい。好ましい遅延蛍光材料として、WO2013/154064号公報の段落0008~0048および0095~0133、WO2013/011954号公報の段落0007~0047および0073~0085、WO2013/011955号公報の段落0007~0033および0059~0066、WO2013/081088号公報の段落0008~0071および0118~0133、特開2013-256490号公報の段落0009~0046および0093~0134、特開2013-116975号公報の段落0008~0020および0038~0040、WO2013/133359号公報の段落0007~0032および0079~0084、WO2013/161437号公報の段落0008~0054および0101~0121、特開2014-9352号公報の段落0007~0041および0060~0069、特開2014-9224号公報の段落0008~0048および0067~0076、特開2017-119663号公報の段落0013~0025、特開2017-119664号公報の段落0013~0026、特開2017-222623号公報の段落0012~0025、特開2017-226838号公報の段落0010~0050、特開2018-100411号公報の段落0012~0043、WO2018/047853号公報の段落0016~0044に記載される一般式に包含される化合物、特に例示化合物であって、遅延蛍光を放射しうるものが含まれる。また、ここでは、特開2013-253121号公報、WO2013/133359号公報、WO2014/034535号公報、WO2014/115743号公報、WO2014/122895号公報、WO2014/126200号公報、WO2014/136758号公報、WO2014/133121号公報、WO2014/136860号公報、WO2014/196585号公報、WO2014/189122号公報、WO2014/168101号公報、WO2015/008580号公報、WO2014/203840号公報、WO2015/002213号公報、WO2015/016200号公報、WO2015/019725号公報、WO2015/072470号公報、WO2015/108049号公報、WO2015/080182号公報、WO2015/072537号公報、WO2015/080183号公報、特開2015-129240号公報、WO2015/129714号公報、WO2015/129715号公報、WO2015/133501号公報、WO2015/136880号公報、WO2015/137244号公報、WO2015/137202号公報、WO2015/137136号公報、WO2015/146541号公報、WO2015/159541号公報に記載される発光材料であって、遅延蛍光を放射しうるものを好ましく採用することができる。なお、この段落に記載される上記の公報は、本明細書の一部としてここに引用する。
以下において、有機エレクトロルミネッセンス素子の各部材および発光層以外の各層について説明する。
基材:
いくつかの実施形態では、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は基材により保持され、当該基材は特に限定されず、有機エレクトロルミネッセンス素子で一般的に用いられる、例えばガラス、透明プラスチック、クォーツおよびシリコンにより形成されたいずれかの材料を用いればよい。
陽極:
いくつかの実施形態では、有機エレクトロルミネッセンス装置の陽極は、金属、合金、導電性化合物またはそれらの組み合わせから製造される。いくつかの実施形態では、前記の金属、合金または導電性化合物は高い仕事関数(4eV以上)を有する。いくつかの実施形態では、前記金属はAuである。いくつかの実施形態では、導電性の透明材料は、CuI、酸化インジウムスズ(ITO)、SnOおよびZnOから選択される。いくつかの実施形態では、IDIXO(In-ZnO)などの、透明な導電性フィルムを形成できるアモルファス材料を使用する。いくつかの実施形態では、前記陽極は薄膜である。いくつかの実施形態では、前記薄膜は蒸着またはスパッタリングにより作製される。いくつかの実施形態では、前記フィルムはフォトリソグラフィー方法によりパターン化される。いくつかの実施形態では、パターンが高精度である必要がない(例えば約100μm以上)場合、当該パターンは、電極材料への蒸着またはスパッタリングに好適な形状のマスクを用いて形成してもよい。いくつかの実施形態では、有機導電性化合物などのコーティング材料を塗布しうるとき、プリント法やコーティング法などの湿式フィルム形成方法が用いられる。いくつかの実施形態では、放射光が陽極を通過するとき、陽極は10%超の透過度を有し、当該陽極は、単位面積あたり数百オーム以下のシート抵抗を有する。いくつかの実施形態では、陽極の厚みは10~1,000nmである。いくつかの実施形態では、陽極の厚みは10~200nmである。いくつかの実施形態では、陽極の厚みは用いる材料に応じて変動する。
陰極:
いくつかの実施形態では、前記陰極は、低い仕事関数を有する金属(4eV以下)(電子注入金属と称される)、合金、導電性化合物またはその組み合わせなどの電極材料で作製される。いくつかの実施形態では、前記電極材料は、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム-銅混合物、マグネシウム-銀混合物、マグネシウム-アルミニウム混合物、マグネシウム-インジウム混合物、アルミニウム-酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム-アルミニウム混合物および希土類元素から選択される。いくつかの実施形態では、電子注入金属と、電子注入金属より高い仕事関数を有する安定な金属である第2の金属との混合物が用いられる。いくつかの実施形態では、前記混合物は、マグネシウム-銀混合物、マグネシウム-アルミニウム混合物、マグネシウム-インジウム混合物、アルミニウム-酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム-アルミニウム混合物およびアルミニウムから選択される。いくつかの実施形態では、前記混合物は電子注入特性および酸化に対する耐性を向上させる。いくつかの実施形態では、陰極は、蒸着またはスパッタリングにより電極材料を薄膜として形成させることによって製造される。いくつかの実施形態では、前記陰極は単位面積当たり数百オーム以下のシート抵抗を有する。いくつかの実施形態では、前記陰極の厚は10nm~5μmである。いくつかの実施形態では、前記陰極の厚は50~200nmである。いくつかの実施形態では、放射光を透過させるため、有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極および陰極のいずれか1つは透明または半透明である。いくつかの実施形態では、透明または半透明のエレクトロルミネッセンス素子は光放射輝度を向上させる。
いくつかの実施形態では、前記陰極を、前記陽極に関して前述した導電性の透明な材料で形成されることにより、透明または半透明の陰極が形成される。いくつかの実施形態では、素子は陽極と陰極とを含むが、いずれも透明または半透明である。
注入層:
注入層は、電極と有機層との間の層である。いくつかの実施形態では、前記注入層は駆動電圧を減少させ、光放射輝度を増強する。いくつかの実施形態では、前記注入層は、正孔注入層と電子注入層とを含む。前記注入層は、陽極と発光層または正孔輸送層との間、並びに陰極と発光層または電子輸送層との間に配置することがきる。いくつかの実施形態では、注入層が存在する。いくつかの実施形態では、注入層が存在しない。
以下に、正孔注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2023032402000055
次に、電子注入材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2023032402000056
障壁層:
障壁層は、発光層に存在する電荷(電子または正孔)および/または励起子が、発光層の外側に拡散することを阻止できる層である。いくつかの実施形態では、電子障壁層は、発光層と正孔輸送層との間に存在し、電子が発光層を通過して正孔輸送層へ至ることを阻止する。いくつかの実施形態では、正孔障壁層は、発光層と電子輸送層との間に存在し、正孔が発光層を通過して電子輸送層へ至ることを阻止する。いくつかの実施形態では、障壁層は、励起子が発光層の外側に拡散することを阻止する。いくつかの実施形態では、電子障壁層および正孔障壁層は励起子障壁層を構成する。本明細書で用いる用語「電子障壁層」または「励起子障壁層」には、電子障壁層の、および励起子障壁層の機能の両方を有する層が含まれる。
正孔障壁層:
正孔障壁層は、電子輸送層として機能する。いくつかの実施形態では、電子の輸送の間、正孔障壁層は正孔が電子輸送層に至ることを阻止する。いくつかの実施形態では、正孔障壁層は、発光層における電子と正孔との再結合の確率を高める。正孔障壁層に用いる材料は、電子輸送層について前述したのと同じ材料であってもよい。
以下に、正孔障壁層に用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2023032402000057
電子障壁層:
電子障壁層は、正孔を輸送する。いくつかの実施形態では、正孔の輸送の間、電子障壁層は電子が正孔輸送層に至ることを阻止する。いくつかの実施形態では、電子障壁層は、発光層における電子と正孔との再結合の確率を高める。電子障壁層に用いる材料は、正孔輸送層について前述したのと同じ材料であってもよい。
以下に電子障壁材料として用いることができる好ましい化合物の具体例を挙げる。
Figure 2023032402000058
励起子障壁層:
励起子障壁層は、発光層における正孔と電子との再結合を通じて生じた励起子が電荷輸送層まで拡散することを阻止する。いくつかの実施形態では、励起子障壁層は、発光層における励起子の有効な閉じ込め(confinement)を可能にする。いくつかの実施形態では、装置の光放射効率が向上する。いくつかの実施形態では、励起子障壁層は、陽極の側と陰極の側のいずれかで、およびその両側の発光層に隣接する。いくつかの実施形態では、励起子障壁層が陽極側に存在するとき、当該層は、正孔輸送層と発光層との間に存在し、当該発光層に隣接してもよい。いくつかの実施形態では、励起子障壁層が陰極側に存在するとき、当該層は、発光層と陰極との間に存在し、当該発光層に隣接してもよい。いくつかの実施形態では、正孔注入層、電子障壁層または同様の層は、陽極と、陽極側の発光層に隣接する励起子障壁層との間に存在する。いくつかの実施形態では、正孔注入層、電子障壁層、正孔障壁層または同様の層は、陰極と、陰極側の発光層に隣接する励起子障壁層との間に存在する。いくつかの実施形態では、励起子障壁層は、励起一重項エネルギーと励起三重項エネルギーを含み、その少なくとも1つが、それぞれ、発光材料の励起一重項エネルギーと励起三重項エネルギーより高い。
正孔輸送層:
正孔輸送層は、正孔輸送材料を含む。いくつかの実施形態では、正孔輸送層は単層である。いくつかの実施形態では、正孔輸送層は複数の層を有する。
いくつかの実施形態では、正孔輸送材料は、正孔の注入または輸送特性および電子の障壁特性のうちの1つの特性を有する。いくつかの実施形態では、正孔輸送材料は有機材料である。いくつかの実施形態では、正孔輸送材料は無機材料である。本発明で使用できる公知の正孔輸送材料の例としては、限定されないが、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導剤、イミダゾール誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導剤、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリルアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導剤、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリンコポリマーおよび導電性ポリマーオリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)、またはその組合せが挙げられる。いくつかの実施形態では、正孔輸送材料はポルフィリン化合物、芳香族三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物から選択される。いくつかの実施形態では、正孔輸送材料は芳香族三級アミン化合物である。以下に正孔輸送材料として用いることができる好ましい化合物の具体例を挙げる。
Figure 2023032402000059
電子輸送層:
電子輸送層は、電子輸送材料を含む。いくつかの実施形態では、電子輸送層は単層である。いくつかの実施形態では、電子輸送層は複数の層を有する。
いくつかの実施形態では、電子輸送材料は、陰極から注入された電子を発光層に輸送する機能さえあればよい。いくつかの実施形態では、電子輸送材料はまた、正孔障壁材料としても機能する。本発明で使用できる電子輸送層の例としては、限定されないが、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アゾール誘導体、アジン誘導体またはその組合せ、またはそのポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、電子輸送材料はチアジアゾール誘導剤またはキノキサリン誘導体である。いくつかの実施形態では、電子輸送材料はポリマー材料である。以下に電子輸送材料として用いることができる好ましい化合物の具体例を挙げる。
Figure 2023032402000060
さらに、各有機層に添加可能な材料として好ましい化合物例を挙げる。例えば、安定化材料として添加すること等が考えられる。
Figure 2023032402000061
有機エレクトロルミネッセンス素子に用いることができる好ましい材料を具体的に例示したが、本発明において用いることができる材料は、以下の例示化合物によって限定的に解釈されることはない。また、特定の機能を有する材料として例示した化合物であっても、その他の機能を有する材料として転用することも可能である。
デバイス:
いくつかの実施形態では、発光層はデバイス中に組み込まれる。例えば、デバイスには、OLEDバルブ、OLEDランプ、テレビ用ディスプレイ、コンピューター用モニター、携帯電話およびタブレットが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、電子デバイスは、陽極、陰極、および当該陽極と当該陰極との間の発光層を含む少なくとも1つの有機層を有するOLEDを含む。
いくつかの実施形態では、本願明細書に記載の構成物は、OLEDまたは光電子デバイスなどの、様々な感光性または光活性化デバイスに組み込まれうる。いくつかの実施形態では、前記構成物はデバイス内の電荷移動またはエネルギー移動の促進に、および/または正孔輸送材料として有用でありうる。前記デバイスとしては、例えば有機発光ダイオード(OLED)、有機集積回線(OIC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機光学検出装置、有機光受容体、有機磁場クエンチ(field-quench)装置(O-FQD)、発光燃料電池(LEC)または有機レーザダイオード(O-レーザー)が挙げられる。
バルブまたはランプ:
いくつかの実施形態では、電子デバイスは、陽極、陰極、当該陽極と当該陰極との間の発光層を含む少なくとも1つの有機層を含むOLEDを含む。
いくつかの実施形態では、デバイスは色彩の異なるOLEDを含む。いくつかの実施形態では、デバイスはOLEDの組合せを含むアレイを含む。いくつかの実施形態では、OLEDの前記組合せは、3色の組合せ(例えばRGB)である。いくつかの実施形態では、OLEDの前記組合せは、赤色でも緑色でも青色でもない色(例えばオレンジ色および黄緑色)の組合せである。いくつかの実施形態では、OLEDの前記組合せは、2色、4色またはそれ以上の色の組合せである。
いくつかの実施形態では、デバイスは、
取り付け面を有する第1面とそれと反対の第2面とを有し、少なくとも1つの開口部を画定する回路基板と、
前記取り付け面上の少なくとも1つのOLEDであって、当該少なくとも1つのOLEDが、陽極、陰極、および当該陽極と当該陰極との間の発光層を含む少なくとも1つの有機層を含む、発光する構成を有する少なくとも1つのOLEDと、
回路基板用のハウジングと、
前記ハウジングの端部に配置された少なくとも1つのコネクターであって、前記ハウジングおよび前記コネクターが照明設備への取付けに適するパッケージを画定する、少なくとも1つのコネクターと、を備えるOLEDライトである。
いくつかの実施形態では、前記OLEDライトは、複数の方向に光が放射されるように回路基板に取り付けられた複数のOLEDを有する。いくつかの実施形態では、第1方向に発せられた一部の光は偏光されて第2方向に放射される。いくつかの実施形態では、反射器を用いて第1方向に発せられた光を偏光する。
ディスプレイまたはスクリーン:
いくつかの実施形態では、本発明の発光層はスクリーンまたはディスプレイにおいて使用できる。いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物は、限定されないが真空蒸発、堆積、蒸着または化学蒸着(CVD)などの工程を用いて基材上へ堆積させる。いくつかの実施形態では、前記基材は、独特のアスペクト比のピクセルを提供する2面エッチングにおいて有用なフォトプレート構造である。前記スクリーン(またマスクとも呼ばれる)は、OLEDディスプレイの製造工程で用いられる。対応するアートワークパターンの設計により、垂直方向ではピクセルの間の非常に急な狭いタイバーの、並びに水平方向では大きな広範囲の斜角開口部の配置を可能にする。これにより、TFTバックプレーン上への化学蒸着を最適化しつつ、高解像度ディスプレイに必要とされるピクセルの微細なパターン構成が可能となる。
ピクセルの内部パターニングにより、水平および垂直方向での様々なアスペクト比の三次元ピクセル開口部を構成することが可能となる。更に、ピクセル領域中の画像化された「ストライプ」またはハーフトーン円の使用は、これらの特定のパターンをアンダーカットし基材から除くまで、特定の領域におけるエッチングが保護される。その時、全てのピクセル領域は同様のエッチング速度で処理されるが、その深さはハーフトーンパターンにより変化する。ハーフトーンパターンのサイズおよび間隔を変更することにより、ピクセル内での保護率が様々異なるエッチングが可能となり、急な垂直斜角を形成するのに必要な局在化された深いエッチングが可能となる。
蒸着マスク用の好ましい材料はインバーである。インバーは、製鉄所で長い薄型シート状に冷延された金属合金である。インバーは、ニッケルマスクとしてスピンマンドレル上へ電着することができない。蒸着用マスク内に開口領域を形成するための適切かつ低コストの方法は、湿式化学エッチングによる方法である。
いくつかの実施形態では、スクリーンまたはディスプレイパターンは、基材上のピクセルマトリックスである。いくつかの実施形態では、スクリーンまたはディスプレイパターンは、リソグラフィー(例えばフォトリソグラフィーおよびeビームリソグラフィー)を使用して加工される。いくつかの実施形態では、スクリーンまたはディスプレイパターンは、湿式化学エッチングを使用して加工される。更なる実施形態では、スクリーンまたはディスプレイパターンは、プラズマエッチングを使用して加工される。
デバイスの製造方法:
OLEDディスプレイは、一般的には、大型のマザーパネルを形成し、次に当該マザーパネルをセルパネル単位で切断することによって製造される。通常は、マザーパネル上の各セルパネルは、ベース基材上に、活性層とソース/ドレイン電極とを有する薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、前記TFTに平坦化フィルムを塗布し、ピクセル電極、発光層、対電極およびカプセル化層、を順に経時的に形成し、前記マザーパネルから切断することにより形成される。
OLEDディスプレイは、一般的には、大型のマザーパネルを形成し、次に当該マザーパネルをセルパネル単位で切断することによって製造される。通常は、マザーパネル上の各セルパネルは、ベース基材上に、活性層とソース/ドレイン電極とを有する薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、前記TFTに平坦化フィルムを塗布し、ピクセル電極、発光層、対電極およびカプセル化層、を順に経時的に形成し、前記マザーパネルから切断することにより形成される。
本発明の他の態様では、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイの製造方法を提供し、当該方法は、
マザーパネルのベース基材上に障壁層を形成する工程と、
前記障壁層上に、セルパネル単位で複数のディスプレイユニットを形成する工程と、
前記セルパネルのディスプレイユニットのそれぞれの上にカプセル化層を形成する工程と、
前記セルパネル間のインタフェース部に有機フィルムを塗布する工程と、を含む。
いくつかの実施形態では、障壁層は、例えばSiNxで形成された無機フィルムであり、障壁層の端部はポリイミドまたはアクリルで形成された有機フィルムで被覆される。いくつかの実施形態では、有機フィルムは、マザーパネルがセルパネル単位で軟らかく切断されるように補助する。
いくつかの実施形態では、薄膜トランジスタ(TFT)層は、発光層と、ゲート電極と、ソース/ドレイン電極と、を有する。複数のディスプレイユニットの各々は、薄膜トランジスタ(TFT)層と、TFT層上に形成された平坦化フィルムと、平坦化フィルム上に形成された発光ユニットと、を有してもよく、前記インタフェース部に塗布された有機フィルムは、前記平坦化フィルムの材料と同じ材料で形成され、前記平坦化フィルムの形成と同時に形成される。いくつかの実施形態では、前記発光ユニットは、不動態化層と、その間の平坦化フィルムと、発光ユニットを被覆し保護するカプセル化層と、によりTFT層と連結される。前記製造方法のいくつかの実施形態では、前記有機フィルムは、ディスプレイユニットにもカプセル化層にも連結されない。
前記有機フィルムと平坦化フィルムの各々は、ポリイミドおよびアクリルのいずれか1つを含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記障壁層は無機フィルムであってもよい。いくつかの実施形態では、前記ベース基材はポリイミドで形成されてもよい。前記方法は更に、ポリイミドで形成されたベース基材の1つの表面に障壁層を形成する前に、当該ベース基材のもう1つの表面にガラス材料で形成されたキャリア基材を取り付ける工程と、インタフェース部に沿った切断の前に、前記キャリア基材をベース基材から分離する工程と、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、前記OLEDディスプレイはフレキシブルなディスプレイである。
いくつかの実施形態では、前記不動態化層は、TFT層の被覆のためにTFT層上に配置された有機フィルムである。いくつかの実施形態では、前記平坦化フィルムは、不動態化層上に形成された有機フィルムである。いくつかの実施形態では、前記平坦化フィルムは、障壁層の端部に形成された有機フィルムと同様、ポリイミドまたはアクリルで形成される。いくつかの実施形態では、OLEDディスプレイの製造の際、前記平坦化フィルムおよび有機フィルムは同時に形成される。いくつかの実施形態では、前記有機フィルムは、障壁層の端部に形成されてもよく、それにより、当該有機フィルムの一部が直接ベース基材と接触し、当該有機フィルムの残りの部分が、障壁層の端部を囲みつつ、障壁層と接触する。
いくつかの実施形態では、前記発光層は、ピクセル電極と、対電極と、当該ピクセル電極と当該対電極との間に配置された有機発光層と、を有する。いくつかの実施形態では、前記ピクセル電極は、TFT層のソース/ドレイン電極に連結している。
いくつかの実施形態では、TFT層を通じてピクセル電極に電圧が印加されるとき、ピクセル電極と対電極との間に適切な電圧が形成され、それにより有機発光層が光を放射し、それにより画像が形成される。以下、TFT層と発光ユニットとを有する画像形成ユニットを、ディスプレイユニットと称する。
いくつかの実施形態では、ディスプレイユニットを被覆し、外部の水分の浸透を防止するカプセル化層は、有機フィルムと無機フィルムとが交互に積層する薄膜状のカプセル化構造に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、前記カプセル化層は、複数の薄膜が積層した薄膜状カプセル化構造を有する。いくつかの実施形態では、インタフェース部に塗布される有機フィルムは、複数のディスプレイユニットの各々と間隔を置いて配置される。いくつかの実施形態では、前記有機フィルムは、一部の有機フィルムが直接ベース基材と接触し、有機フィルムの残りの部分が障壁層の端部を囲む一方で障壁層と接触する態様で形成される。
一実施形態では、OLEDディスプレイはフレキシブルであり、ポリイミドで形成された柔軟なベース基材を使用する。いくつかの実施形態では、前記ベース基材はガラス材料で形成されたキャリア基材上に形成され、次に当該キャリア基材が分離される。
いくつかの実施形態では、障壁層は、キャリア基材の反対側のベース基材の表面に形成される。一実施形態では、前記障壁層は、各セルパネルのサイズに従いパターン化される。例えば、ベース基材がマザーパネルの全ての表面上に形成される一方で、障壁層が各セルパネルのサイズに従い形成され、それにより、セルパネルの障壁層の間のインタフェース部に溝が形成される。各セルパネルは、前記溝に沿って切断できる。
いくつかの実施形態では、前記の製造方法は、更にインタフェース部に沿って切断する工程を含み、そこでは溝が障壁層に形成され、少なくとも一部の有機フィルムが溝で形成され、当該溝がベース基材に浸透しない。いくつかの実施形態では、各セルパネルのTFT層が形成され、無機フィルムである不動態化層と有機フィルムである平坦化フィルムが、TFT層上に配置され、TFT層を被覆する。例えばポリイミドまたはアクリル製の平坦化フィルムが形成されるのと同時に、インタフェース部の溝は、例えばポリイミドまたはアクリル製の有機フィルムで被覆される。これは、各セルパネルがインタフェース部で溝に沿って切断されるとき、生じた衝撃を有機フィルムに吸収させることによってひびが生じるのを防止する。すなわち、全ての障壁層が有機フィルムなしで完全に露出している場合、各セルパネルがインタフェース部で溝に沿って切断されるとき、生じた衝撃が障壁層に伝達され、それによりひびが生じるリスクが増加する。しかしながら、一実施形態では、障壁層間のインタフェース部の溝が有機フィルムで被覆されて、有機フィルムがなければ障壁層に伝達されうる衝撃を吸収するため、各セルパネルをソフトに切断し、障壁層でひびが生じるのを防止してもよい。一実施形態では、インタフェース部の溝を被覆する有機フィルムおよび平坦化フィルムは、互いに間隔を置いて配置される。例えば、有機フィルムおよび平坦化フィルムが1つの層として相互に接続している場合には、平坦化フィルムと有機フィルムが残っている部分とを通じてディスプレイユニットに外部の水分が浸入するおそれがあるため、有機フィルムおよび平坦化フィルムは、有機フィルムがディスプレイユニットから間隔を置いて配置されるように、相互に間隔を置いて配置される。
いくつかの実施形態では、ディスプレイユニットは、発光ユニットの形成により形成され、カプセル化層は、ディスプレイユニットを被覆するためディスプレイユニット上に配置される。これにより、マザーパネルが完全に製造された後、ベース基材を担持するキャリア基材がベース基材から分離される。いくつかの実施形態では、レーザー光線がキャリア基材へ放射されると、キャリア基材は、キャリア基材とベース基材との間の熱膨張率の相違により、ベース基材から分離される。
いくつかの実施形態では、マザーパネルは、セルパネル単位で切断される。いくつかの実施形態では、マザーパネルは、カッターを用いてセルパネル間のインタフェース部に沿って切断される。いくつかの実施形態では、マザーパネルが沿って切断されるインタフェース部の溝が有機フィルムで被覆されているため、切断の間、当該有機フィルムが衝撃を吸収する。いくつかの実施形態では、切断の間、障壁層でひびが生じるのを防止できる。
いくつかの実施形態では、前記方法は製品の不良率を減少させ、その品質を安定させる。
他の態様は、ベース基材上に形成された障壁層と、障壁層上に形成されたディスプレイユニットと、ディスプレイユニット上に形成されたカプセル化層と、障壁層の端部に塗布された有機フィルムと、を有するOLEDディスプレイである。
以下に合成例と実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、発光特性の評価は、ソースメータ(ケースレー社製:2400シリーズ)、半導体パラメータ・アナライザ(アジレント・テクノロジー社製:E5273A)、光パワーメータ測定装置(ニューポート社製:1930C)、光学分光器(オーシャンオプティクス社製:USB2000)、分光放射計(トプコン社製:SR-3)およびストリークカメラ(浜松ホトニクス(株)製C4334型)を用いて行った。
以下の合成例において、一般式(1)に含まれる化合物を合成した。
(合成例1)化合物561の合成
Figure 2023032402000062
中間体1
窒素気流下、遮光下で2-フルオロ-m-キシレン3.10g(25.0mmol)とヨウ素64mg(0.25mmol)のジクロロメタン(6.3mL)溶液に臭素3.4mL(67.5mmol)を0℃で30分かけて滴下し、15時間室温で撹拌した。0℃で20%水酸化カリウム水溶液を反応溶液の赤色が消えるまで攪拌しながら加えた。水層をジクロロメタンで抽出し、有機層を飽和ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。残渣をエタノールで再結晶し白色の固体として中間体1を2.73g(9.68mmol,収率39%)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.33 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 2.38 (d, J = 2.7 Hz, 3H), 2.19 (d, J = 2.0 Hz, 3H).
中間体2
窒素気流下、中間体1を2.71g(9.70mmol)、ビスピナコラートジボラン5.42g(21.3mmol)、酢酸カリウム4.76g(48.5mmol)の1,4-ジオキサン溶液(24mL)に1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)0.43g(0.58mmol)を加え、110℃で15時間攪拌した。反応溶液を室温に戻し、2-ヨード-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン10.5g(29.1mmol)、2M炭酸カリウム水溶液14.6mL、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.56g(0.49mmol)を加え、110℃で15時間撹拌した。反応溶液を室温に戻し、セライトろ過しトルエンで抽出後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=7:3)で精製し、白色固体の中間体2を1.13g(1.96mmol、収率20%)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.54 (d, J = 7.2 Hz, 4H), 8.34 (d, J = 7.2 Hz, 4H), 8.27 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.56-7.41 (m, 8H), 7.24-7.21 (m, 4H), 2.50 (s, 3H), 2.32 (s, 3H).
ASAP MSスペクトル分析: C38H27FN6: 理論値586.22, 観測値587.30
化合物561
窒素気流下、D15-H1.02g(3.06mmol)、中間体2を0.60g(1.02mmol)のDMF(ジメチルホルムアミド)(5.1mL)溶液に炭酸セシウム1.00g(3.06mmol)を120℃で15時間攪拌した。反応混合物を室温に戻し、水を加えて、ろ過した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=8:2)で精製し、化合物521を0.70g(0.77mmol、収率76%)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.83 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 8.54 (d, J = 7.2 Hz, 4H), 8.47 (s, 1H), 8.43 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 8.04-7.99 (m, 2H), 7.84 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.78 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.56-7.27 (m, 18H), 7.20 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 2.17 (s, 3H), 2.05 (s, 3H).
ASAP MSスペクトル分析: C62H41N7O: 理論値899.34, 観測値899.37
(合成例2)化合物1244の合成
Figure 2023032402000063
中間体3
窒素気流下、1,3-ジブロモ-5-フルオロベンゼン5.08g(20.0mmol)のTHF(テトラヒドロフラン)(20mL)溶液にLDA(リチウムジイソプロピルアミド)-ヘキサン-THF溶液20ml(1.09M)を-78℃で30分かけて滴下し、1時間撹拌した。反応溶液にヨウ素7.61g(30.0mmol)のTHF(20mL)溶液を加え、室温で12時間撹拌した。反応溶液を飽和ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、白色固体として中間体3を4.12g(10.8mmol,収率54%)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.61 (t, J = 1.5 Hz, 1H), 7.15 (dd, J = 7.1, 2.0 Hz, 1H).
ASAP MSスペクトル分析:C6H2Br2FI: 理論値377.76, 観測値379.81
中間体4
窒素気流下、中間体3を4.12g(10.8mmol)のTHF(12mL)溶液にLDAヘキサン-THF溶液10mL(1.09M)を-78℃で30分かけて滴下し、1時間撹拌した。反応溶液にヨウ素4.11g(16.2mmol)のTHF(12mL)溶液を加え、室温で12時間撹拌した。反応溶液を飽和ピロ亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、白色固体として中間体4を4.87g(9.60mmol,収率89%)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.74 (d, J = 1.6 Hz, 1H).
ASAP MSスペクトル分析: C6HBr2FI2 理論値503.65, 観測値506.62
中間体5
窒素気流下、中間体4を2.56g(5.10mmol)、フェニルボロン酸1.36g(11.2mmol)、炭酸カリウム2.82g(20.4mmol)のトルエン/エタノール/水(35mL/2.5mL/12.5mL)溶液に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)0.18g(0.26mmol)を加え、120℃で8時間攪拌した。反応溶液に水を加え、ジクロロメタンで抽出し、飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、白色固体として中間体5を1.14g(2.81mmol,収率55%)得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.84 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.43 (dd, J = 9.4, 7.0 Hz, 6H), 7.33 (d, J = 7.0 Hz, 4H).
ASAP MSスペクトル分析: C18H11Br2F理論値403.92, 観測値405.96
中間体6
窒素気流下、中間体5を1.14g(2.80mmol)、ビスピナコラートジボラン2.13g(8.40mmol)、酢酸カリウム1.37g(14.0mmol)の1,4-ジオキサン溶液(28mL)にジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)0.098g(0.14mmol)を加え、120℃で15時間攪拌した。反応溶液を室温に戻し、2-クロロ-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン0.25g(8.40mmol)、炭酸カリウム1.93g(14.0mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.16g(0.14mmol)および蒸留水10mLを加え、120℃で20時間撹拌した。反応溶液を室温に戻し、クロロホルムで抽出後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:ジクロロメタン=7:3)で精製し、白色固体の中間体6を1.45g(2.04mmol、収率73%)で得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 9.32 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.39 (d, J = 8.5 Hz, 8H), 7.56 (t, J = 7.1 Hz, 4H), 7.49-7.39 (m, 16H), 7.33 (t, J= 7.1 Hz, 2H).
ASAP MSスペクトル分析: C48H31FN6: 理論値710.26, 観測値711.44
化合物1244
窒素気流下、D32-Hを500mg(1.50mmol)、中間体6を0.71g(1.00mmol)のN-メチル2-ピロリドン(5.0mL)溶液にリン酸カリウム0.425g(2.00mmol)、を加え、150℃で18時間攪拌した。反応混合物を室温に戻し、水を加えて、クロロホルムで抽出後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:トルエン=1:1)で精製し、化合物1244を397mg(0.39mmol、収率39%)で得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 9.52 (s, 1H), 8.40-8.35 (m, 9H), 8.13 (d, J= 1.4 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.69-7.66 (m, 2H), 7.60-7.27 (m, 19H), 7.19-7.03 (m, J = 7.0 Hz, 6H), 6.79-6.74 (m, 6H).
ASAP MSスペクトル分析: C72H45N7O: 理論値1023.37, 観測値1024.71
合成例で合成した化合物は昇華精製した後に、薄膜の形成や素子の作製に使用した。
(薄膜の作製と評価)
石英基板上に真空蒸着法にて、真空度1×10-3Pa未満の条件にて化合物561とPPFとを異なる蒸着源から蒸着し、化合物561の濃度が20重量%である薄膜を約100nmの厚さで形成し、ドープ薄膜とした。
また、PPFのかわりにPyD2Czを用いた点だけを変更して、同様にして化合物561のドープ薄膜を形成した。さらに化合物561のかわりに化合物1244を用いた点を変更して、同様にしてPyD2Czに化合物1244を20重量%ドープしたドープ薄膜を形成した。
得られた各薄膜に300nm励起光を照射したところ、いずれの薄膜についてもフォトルミネッセンスが認められたため、最大発光波長(λmax)とフォトルミネッセンス量子収率(PLQY)を測定した。また、発光の過渡減衰曲線から遅延蛍光の寿命(τ)を得た。結果は以下に示す通りであった。
Figure 2023032402000064
PyD2Czに化合物1244を20重量%ドープしたドープ薄膜は、λmaxが484nm、τ2が1.2マイクロ秒であった。一般式(1)の化合物を用いたドープ薄膜は、いずれも青色発光し、遅延蛍光の寿命も短かった。
(有機エレクトロルミネッセンス素子の作製)
膜厚50nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)からなる陽極が形成されたガラス基材上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度1×10-6Paで積層した。まず、ITO上にHATCNを10nmの厚さに形成し、その上にNPDを35nmの厚さに形成した。次いで、その上にEBL1を10nmの厚さに形成した。次に、昇華精製した化合物561およびH1をそれぞれ異なる蒸着源から共蒸着し、40nmの厚さの発光層を形成した。このとき、化合物561の濃度は30重量%とした。その上に、HBL1を10nmの厚さに形成し、さらにその上にSF3TRZとLiqを異なる蒸着源から共蒸着して20nmの厚さに形成した。この時、SF3TRZ:Liq(重量比)は7:3とした。さらに、Liqを2nmの厚さに形成し、次いでアルミニウム(Al)を100nmの厚さに蒸着することにより陰極を形成した。
作製した有機エレクトロルミネッセンス素子は、遅延蛍光の寿命(τ2)が短い。
Figure 2023032402000065
1 基材
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 陰極

Claims (22)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物。
    Figure 2023032402000066
    [一般式(1)において、RおよびRは各々独立に、アルキル基およびアリール基からなる群より選択される1つの基または2つ以上を組み合わせた基を表し、
    は水素原子、重水素原子またはアルキル基を表し、
    Dはドナー性基を表し、
    およびAは各々独立に置換もしくは無置換のジアリールトリアゾリル基を表す。]
  2. Dが置換もしくは無置換のカルバゾール-9-イル基である、請求項1に記載の化合物。
  3. Dが、少なくとも1つの置換もしくは無置換のアリール基を含む基で置換されたカルバゾール-9-イル基である、請求項1に記載の化合物。
  4. およびRが各々独立にアルキル基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
  5. が水素原子である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
  6. およびRが同一である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
  7. およびAが同一である、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
  8. 下記一般式(2)で表される、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物。
    Figure 2023032402000067
    [一般式(2)において、RおよびRは各々独立にアルキル基またはアリール基を表し、
    は水素原子、重水素原子またはアルキル基を表し、
    はC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはC-RまたはNを表し、ZはCまたはNを表し、
    ~Rは各々独立に水素原子、重水素原子または置換基を表し、
    とR、RとR、RとRは互いに結合して環状構造を形成していてもよく、
    Ar~Arは各々独立に置換もしくは無置換のアリール基を表し、
    Arは置換もしくは無置換の芳香環、または置換もしくは無置換の複素芳香環を表す。]
  9. Arが、縮環もしくは置換されていてもよいベンゼン環、縮環もしくは置換されていてもよいフラン環、または縮環もしくは置換されていてもよいチオフェン環である、請求項8に記載の化合物。
  10. 下記一般式(3)で表される、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物。
    Figure 2023032402000068
    [一般式(3)において、RおよびRは各々独立にアルキル基またはアリール基を表し、
    は水素原子、重水素原子またはアルキル基を表し、
    ~R11は各々独立に水素原子、重水素原子または置換基を表し、
    とR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R10とR11は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、
    Ar~Arは各々独立に置換もしくは無置換のアリール基を表す。]
  11. ~R11の少なくとも1つが、置換もしくは無置換のアリール基を含む、請求項10に記載の化合物。
  12. とR、RとR、RとR、RとR、RとR10、R10とR11のうちの少なくとも1組が互いに結合して置換もしくは無置換のベンゾフロ構造を形成している、請求項10または11に記載の化合物。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物からなる発光材料。
  14. 請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物を含む膜。
  15. 請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物を含む有機半導体素子。
  16. 請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物を含む有機発光素子。
  17. 前記素子が前記化合物を含む層を有しており、前記層がホスト材料も含む、請求項16に記載の有機発光素子。
  18. 前記化合物を含む層が、前記化合物および前記ホスト材料の他に遅延蛍光材料も含み、前記遅延蛍光材料の最低励起一重項エネルギーが前記ホスト材料より低く、前記化合物よりも高い、請求項17に記載の有機発光素子。
  19. 前記素子が前記化合物を含む層を有しており、前記層が前記化合物とは異なる構造を有する発光材料も含む、請求項17に記載の有機発光素子。
  20. 前記素子に含まれる材料のうち、前記化合物からの発光量が最大である、請求項17~19のいずれか1項に記載の有機発光素子。
  21. 前記発光材料からの発光量が前記化合物からの発光量よりも多い、請求項19に記載の有機発光素子。
  22. 遅延蛍光を放射する、請求項17~21のいずれか1項に記載の有機発光素子。
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