JP2023030644A - 表面処理鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接性及び耐食性に優れる表面処理鋼板を開示する。
【解決手段】合金化溶融亜鉛めっき鋼板と、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層と、を有する、表面処理鋼板であって、前記表面処理層が、内層と外層との二層構成を有し、前記内層が、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板と接する化成処理層であり、前記内層の付着量が、200mg/m以上2000mg/m以下であり、前記内層の最大付着量M1と最小付着量M2との比M1/M2が2.0以上50以下であり、前記外層が、バインダー樹脂と、防錆剤と、を含み、前記外層が防錆剤を含まない場合、前記外層の付着量が、1.0g/m以上5.0g/m以下であり、前記外層が防錆剤を含む場合、前記外層の付着量が2.0g/m以上20g/m以下である、表面処理鋼板。
【選択図】なし

Description

本願は表面処理鋼板を開示する。
自動車等の構成材として表面処理鋼板が用いられている。表面処理鋼板は、例えば、めっき鋼板と、めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層とを有する。従来技術においては、表面処理層として塗膜を採用し、且つ、塗膜を構成する成分の種類や含有量を調整することで、表面処理鋼板の溶接性や耐食性を向上させている。
例えば、特許文献1には、めっき鋼板の少なくとも片面に塗膜を有する表面処理鋼板において、前記塗膜に、バインダー樹脂と、Vを含む非酸化物セラミックス粒子と、ドープ型酸化亜鉛粒子とを所定量含ませることで、表面処理鋼板の溶接性や耐食性を向上させる技術が開示されている。
また、特許文献2には、金属材の表面に有機皮膜を有する塗装金属材において、前記有機皮膜に、ウレタン結合を有する所定の樹脂と、所定の導電性粒子とを含ませることで、塗装金属材の溶接性や耐食性を向上させる技術が開示されている。
また、特許文献3には、金属板の表面に被覆層を有する被覆金属板において、前記被覆層に所定の粒径の導電性粒子を所定量含ませることで、被覆金属板の溶接性や耐食性を向上させる技術が開示されている。
国際公開第2018/092244号 特開2004-042622号公報 特開2004-183080号公報
従来技術においては、表面処理鋼板の溶接性や耐食性を向上させるにあたって、表面処理層を構成する成分の種類や含有量について検討されているものの、これら以外を工夫することによって表面処理鋼板の溶接性や耐食性を向上させることについては十分に検討されていない。この点、表面処理鋼板の溶接性や耐食性を向上させることに関して、改善の余地がある。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、
合金化溶融亜鉛めっき鋼板と、
前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層と、
を有する、表面処理鋼板であって、
前記表面処理層が、内層と外層との二層構成を有し、
前記内層が、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板と接する化成処理層であり、
前記内層の付着量が、200mg/m以上2000mg/m以下であり、
前記内層の最大付着量M1と最小付着量M2とが、下記式(1)の関係を満足し、
前記外層が、バインダー樹脂と、防錆剤と、を含み、
前記外層が、導電剤を含まず、
前記外層の付着量が、1.0g/m以上5.0g/m以下である、
表面処理鋼板
を開示する。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、
合金化溶融亜鉛めっき鋼板と、
前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層と、
を有する、表面処理鋼板であって、
前記表面処理層が、内層と外層との二層構成を有し、
前記内層が、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板と接する化成処理層であり、
前記内層の付着量が、200mg/m以上2000mg/m以下であり、
前記内層の最大付着量M1と最小付着量M2とが、下記式(1)の関係を満足し、
前記外層が、バインダー樹脂と、導電剤と、防錆剤と、を含み、
前記外層の付着量が、2.0g/m以上20g/m以下である、
表面処理鋼板
を開示する。
2.0≦M1/M2≦50 ・・・(1)
本開示の表面処理鋼板において、
前記導電剤が、ドープ型酸化物粒子、50質量%以上のSiを含有するSi合金、50質量%以上のSiを含有するSi化合物、又は、これらの複合体であってもよく、
前記外層における前記導電剤の含有量が、5vol%以上30vol%以下であってもよい。
本開示の表面処理鋼板において、
前記ドープ型酸化物粒子が、ドープ型酸化亜鉛粒子であってもよい。
本開示の表面処理鋼板において、
前記Si合金又は前記Si化合物が、70質量%以上のSiを含有するフェロシリコンであってもよい。
本開示の表面処理鋼板において、
前記防錆剤が、0.5μm以上10μm以下の粒子径を有する非晶質シリカであってもよく、
前記外層における前記非晶質シリカの含有量が、5vol%以上30vol%以下であってもよい。
本開示の表面処理鋼板においては、基材であるめっき鋼板が合金化溶融亜鉛めっき鋼板であり、表面処理層の内層及び外層の各々の付着量が所定の範囲内であり、表面処理層の内層が所定の分布状態(最大付着量M1/最小付着量M2)を満たす。これにより表面処理鋼板において溶接性と耐食性とが両立され易い。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、これらの説明は、本発明の実施形態の単なる例示を意図するものであって、本発明は以下の実施形態に限定されない。
1.第1実施形態
第1実施形態に係る表面処理鋼板は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板と、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層と、を有する。前記表面処理層は、内層と外層との二層構成を有する。前記内層は、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板と接する化成処理層である。前記内層の付着量は、200mg/m以上2000mg/m以下である。前記内層の最大付着量M1と最小付着量M2とは、下記式(1)の関係を満足する。前記外層は、バインダー樹脂と、防錆剤と、を含む。前記外層は、導電剤を含まない。前記外層の付着量は、1.0g/m以上5.0g/m以下である。
2.0≦M1/M2≦50 ・・・(1)
1.1 合金化溶融亜鉛めっき鋼板
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、例えば、母材鋼板と、母材鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた合金化溶融亜鉛めっき層とを有していてよい。本願にいう「主面」とは板の表側又は裏側に相当する面である。合金化溶融亜鉛めっき層は、母材鋼板の一方の主面のみに設けられていてもよいし、両方の主面に設けられていてもよい。また、合金化溶融亜鉛めっき層は、母材鋼板の主面の全体に設けられていてもよいし、主面の一部に設けられていてもよい。
母材鋼板としては、種々の化学組成や金属組織を有するものを採用し得る。母材鋼板は、普通鋼板であっても、クロム等の添加元素を含む鋼板であってもよく、目的とする機械特性や成形性等を考慮して母材鋼板の化学組成や金属組織を調整すればよい。また、母材鋼板の厚みも特に限定されるものではなく、例えば、0.2mm以上であってもよく、6.0mm以下であってもよい。
合金化溶融亜鉛めっき層は、当業者に公知の化学組成を有するめっき層であってよい。例えば、合金化溶融亜鉛めっき層は、Zn以外にAl等の添加元素を含んでいてよく、また、合金化処理に由来するFe等を含んでいてよい。母材鋼板に対する合金化溶融亜鉛めっき層の付着量は特に限定されるものではなく、一般的な付着量であってよい。
尚、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する際、めっきの合金化処理時にめっき表面には凹凸が形成される。合金化処理後のスキンパス条件等を調整することで、めっき表面の凹凸を所定の範囲に制御することができ、その後に表面処理層を形成した際に、上記式(1)の関係が満足され易くなる。すなわち、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、めっき表面に凹凸を有するものであってよく、具体的には、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面の算術平均粗さRaは、0.4μm以上又は0.6μm以上であってもよく、2.0μm以下又は3.0μm以下であってもよい。合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面の算術平均粗さRaは、JIS B 0601:2013に準拠して測定する。算術平均粗さRaは、圧延方向と直角方向とでそれぞれ3回ずつ測定し、それらの平均値を求め、これをめっき表面の算術平均粗さRaとする。
1.2 表面処理層
表面処理層は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられる。表面処理層は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の一方の主面のみに設けられていてもよいし、両方の主面に設けられていてもよい。また、表面処理層は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の主面の全体に設けられていてもよいし、主面の一部に設けられていてもよい。表面処理層は、上記の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面のうち、めっき表面に積層され得る。
表面処理層は、内層と外層との二層構成を有する。「内層」は、外層よりも内側に設けられる層で、合金化溶融亜鉛めっき鋼板と接する層である。「外層」は、内層よりも外側に設けられる層で、内層の外側表面に接する層である。
1.2.1 内層
内層は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板と接する化成処理層である。合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面に内層として化成処理層を設け、さらに当該化成処理層の表面に後述の外層を設けることで、鋼板に対する外層の密着性が向上し、溶接性や耐食性が一層向上する。化成処理層は、クロムを実質的に含有しない層(クロメートフリー層)であってもよい。化成処理に用いられるクロメートフリーの処理液としては、液相シリカ、気相シリカ、ケイ酸塩等のケイ素化合物を主成分とするシリカ系処理液、ジルコン系化合物を主成分とするジルコン系処理液、これらの混合物等が挙げられる。化成処理層はバインダー樹脂を含んでいてもよい。例えば、化成処理層は、後述の外層を構成し得るバインダー樹脂として例示されたもののうちの少なくとも1種を含んでいてもよく、ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。内層におけるバインダー樹脂の含有量やバインダー樹脂以外の成分(上記のケイ素化合物等)の含有量は、特に限定されるものではない。例えば、内層におけるバインダー樹脂の含有量は0vol%以上50vol%以下であってもよく、また、バインダー樹脂以外の成分の含有量は50vol%以上100vol%以下であってもよい。内層としての化成処理層は、バインダーとして無機成分を含む無機系の皮膜であってもよい。
表面処理鋼板において、内層の付着量は、200mg/m以上2000mg/m以下である。内層の付着量が少な過ぎると、上記の密着性向上効果が得られ難くなり、また、耐食性も低下し易くなる。内層の付着量が多過ぎると、溶接性が低下し易くなる。内層の付着量は300mg/m以上又は500mg/m以上であってもよく、また、1500mg/m以下又は1000mg/m以下であってもよい。尚、表面処理鋼板における化成処理層の付着量は、蛍光X線ならびに断面分析によって測定することができる。具体的には、各化成処理に対して検量線板を作製する。化成処理板ならびに検量線板を蛍光X線で測定し、含有される元素のX線強度と検量線板のX線強度より、作製した化成処理板の付着量を算出する。
表面処理鋼板において、内層の最大付着量M1と最小付着量M2とは、上記式(1)の関係を満足する。すなわち、M1とM2との比M1/M2は2.0以上50以下である。比M1/M2が小さ過ぎると、内層全体として厚くなり易く、溶接性が低下し易い。比M1/M2が大き過ぎると、内層の付着ムラが大きくなり過ぎて、耐食性が低下し易い。比M1/M2は、5.0以上又は10以上であってもよく、また、40以下又は20以下であってもよい。内層の最大付着量M1や最小付着量M2は、上述したようなめっき表面の凹凸のほか、内層を形成する際の処理液の状態(化成処理液を構成する成分の種類や粘度、鋼板に対する処理液の濡れ性等)によっても変化し得る。尚、表面処理鋼板において、内層の最大付着量M1や最小付着量M2は、以下の通りに特定される。すなわち、内層塗布後、且つ、外層塗装前の鋼板においては、EDAX社製のマイクロXRFを用いることで、30μφの測定範囲で50点測定した際に、上位5点の平均値をM1とし、下位5点の平均値をM2とし、M1とM2との比M1/M2を求めることが可能である。或いは、外層塗装後の付着量測定においては、電子顕微鏡等で表面処理鋼板の断面を確認し、化成処理層の最大厚み部分を「最大付着量M1」となる部分、最小厚み部分を「最小付着量M2」となる部分とし、厚み比を確認することで、M1/M2(=最大厚み/最小厚み)を求めることも可能である。
内層の厚みは特に限定されるものではなく、上記の付着量や比M1/M2を満たすような厚みであればよい。例えば、内層の厚みは、最大付着量M1となる部分において0.5μm以上5.0μm以下であってもよく、最小付着量M2となる部分において0.01μm以上2.5μm以下であってよい。
1.2.2 外層
第1実施形態に係る表面処理鋼板において、外層は、バインダー樹脂と、防錆剤と、を含む。外層は、これら成分を含む塗膜として構成され得る。
外層に含まれるバインダー樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂であってよい。バインダー樹脂としてポリエステル樹脂が採用される場合、当該ポリエステル樹脂は、-20~70℃のガラス転移温度Tgを有するものであってもよく、3000~30000の数平均分子量を有するものであってもよい。バインダー樹脂としてウレタン樹脂が採用される場合、当該ウレタン樹脂は、0~50℃のTgを有するものであってもよく、5000~25000の数平均分子量を有するものであってもよい。バインダー樹脂としてアクリル樹脂が採用される場合、当該アクリル樹脂は、0~50℃のTgを有するものであってもよく、3000~25000の数平均分子量を有するものであってもよい。バインダー樹脂は硬化剤によって硬化されたものであってもよい。硬化剤としては、例えば、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂、又はエポキシ樹脂等が採用され得る。外層におけるバインダー樹脂の含有量は、特に限定されるものではなく、例えば、50vol%以上又は60vol%以上であってもよく、90vol%以下、80vol%以下又は70vol%以下であってもよい。
外層に含まれる防錆剤は、無機防錆剤であってもよいし、有機防錆剤であってもよい。防錆剤の形態は、例えば、粒子状であってよい。防錆剤は水溶性であっても非水溶性であってもよい。防錆剤が水溶性である場合、例えば、外層が湿潤環境下に晒された場合に、外層中の防錆剤が水に溶解して溶出し、めっき層の腐食を抑制する防錆機能が発揮され得る。
外層における防錆剤の含有量は、目的とする防錆効果に応じて適宜調整されればよい。例えば、外層における防錆剤の含有量は0.5vol%以上、1vol%以上又は5vol%以上であってもよく、50vol%以下、40vol%以下又は30vol%以下であってもよい
防錆剤は、防錆機能を発揮する元素であるP及びVのうちの少なくとも1種を含むものであってもよい。Pを含む防錆剤としては、例えば、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等のリン酸類、リン酸三アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩、Na、Mg、Al、K、Ca、Mn、Ni、Zn、Fe等との金属リン酸塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類及びそれらの塩、フィチン酸等の有機リン酸類及びそれらの塩等が挙げられる。また、Vを含む防錆剤としては、五酸化バナジウム、メタバナジン酸HVO3、メタバナジウム酸アンモニウム、オキシ三塩化バナジウムVOCl、三酸化バナジウムV、二酸化バナジウム、オキシ硫酸バナジウムVOSO、バナジウムオキシアセチルアセトネートVO(OC(=CH)CHCOCH、バナジウムアセチルアセトネートV(OC(=CH)CHCOCH、三塩化バナジウムVCl等が挙げられる。
防錆剤は、グアニジノ基含有化合物、ピグアニジノ基含有化合物、チオカルボニル基含有化合物等であってもよい。
防錆剤として防錆顔料を用いることもできる。防錆顔料としては、シリカ粒子や上記のリン酸金属塩粒子等が挙げられる。防錆剤として防錆顔料を用いる場合、その粒子径や含有量は特に限定されるものではない。特に、防錆剤が非晶質シリカである場合、中でも、0.5μm以上10μm以下の粒子径を有する非晶質シリカである場合に高い効果が期待できる。この場合、外層における非晶質シリカの含有量は、例えば、5vol%以上30vol%以下であってもよい。
第1実施形態に係る表面処理鋼板において、外層は、導電剤を含まなくてよい。「導電剤を含まない」とは、導電剤として機能させることを目的とした成分が実質的に含まれないことを意味する。導電剤の具体例については後述する。
第1実施形態に係る表面処理鋼板において、外層の付着量は、1.0g/m以上5.0g/m以下である。外層の付着量が少な過ぎると、耐食性が低下し易い。外層の付着量が多過ぎると、溶接性が低下し易い。第1実施形態に係る表面処理鋼板において、外層の付着量は1.5mg/m以上又は2.0mg/m以上であってもよく、また、4.5mg/m以下又は4.0mg/m以下であってもよい。尚、表面処理鋼板における塗膜の付着量は、重量法や断面観察によって測定することができる。重量法での付着量測定としては、所定サイズに切断した鋼板の初期重量を測定した後、バインダー樹脂を溶解可能な溶剤や専用の薬剤を用いて塗膜を取り除く方法や樹脂ビーズ、アルミナビーズを用いたブラスト処理により塗膜を取り除く方法、を用いることで塗膜を取り除いた鋼板の重量測定を行い、これら差分を求めることで算出することが可能である。
1.2.3 その他
内層や外層には、上記した成分以外のその他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、各種添加剤が挙げられる。例えば、上記した防錆顔料以外の顔料(意匠性の向上を目的とした光輝顔料等)、潤滑剤、消泡剤、増粘剤等である。表面処理層におけるその他の成分の含有量は特に限定されるものではない。
2.第2実施形態
本開示の表面処理鋼板は、上記第1実施形態のほか、以下の第2実施形態を有するものであってもよい。すなわち、第2実施形態に係る表面処理鋼板は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板と、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層と、を有する。前記表面処理層は、内層と外層との二層構成を有する。前記内層は、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板と接する化成処理層である。前記内層の付着量は、200mg/m以上2000mg/m以下である。前記内層の最大付着量M1と最小付着量M2とは、下記式(1)の関係を満足する。前記外層は、バインダー樹脂と、導電剤と、防錆剤と、を含む。前記外層の付着量は、2.0g/m以上20g/m以下である。
2.0≦M1/M2≦50 ・・・(1)
第2実施形態に係る表面処理鋼板は、
(I)外層が、バインダー樹脂及び防錆剤に加えて、導電剤を必須で含むこと
(II)外層の付着量が2.0~20g/mであること
を除いて、第1実施形態に係る表面処理鋼板と同様の構成を採り得る。
2.1 導電剤
導電剤は、外層の導電性を向上させて、表面処理鋼板の溶接性を向上させる機能を有する。本願においては、例えば、体積抵抗率として1.0×10Ω/cm以下を有するものが導電剤となり得る。導電剤としては、例えば、金属や金属化合物が挙げられる。具体的には、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、錫等の金属;マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、錫、アンチモン、テルル等の合金;又は上記した金属元素の酸化物等の化合物であってよい。中でも、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、クロム、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、亜鉛-アルミニウム合金、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム-シリコン合金、亜鉛-鉄合金、亜鉛-クロム合金、亜鉛-ニッケル合金、鉄-ニッケル合金、鉄-クロム合金、ステンレス鋼、フェロシリコン、フェロマンガン、フェロホスホル、酸化亜鉛等が入手し易い。外層における導電剤の含有量は特に限定されるものではなく、目的とする溶接性と耐食性とを考慮して適宜決定されればよい。
特に、導電剤が、ドープ型酸化物粒子、50質量%以上のSiを含有するSi合金、50質量%以上のSiを含有するSi化合物、又は、これらの複合体である場合、導電性(溶接性)とともに外層に対する電着塗装膜との密着性等を向上させ易い。この場合、外層における導電剤の含有量は、5vol%以上30vol%以下であってもよい。
導電剤がドープ型酸化物粒子である場合、当該ドープ型酸化物粒子の具体例としては、ドープ型酸化亜鉛粒子が挙げられる。ドープ型酸化亜鉛粒子としては、例えば、B、Al、Ga、In等の周期表13族元素、及び、P、As等の周期表15族元素よりなる群から選ばれる少なくとも一種のドープ元素を、酸化亜鉛粒子にドープすることによって導電性を向上させたものが挙げられる。ドープ元素がAl又はGaである場合、導電性を一層向上させ易い。ドープ元素の含有量は、未ドープの酸化亜鉛粒子に対して、例えば、0.05atom%以上又は0.1atom%以上であってよく、5atom%以下であってよい。
導電剤がSi合金又はSi化合物である場合、当該Si合金又はSi化合物の具体例としては、70質量%以上のSiを含有するフェロシリコンが挙げられる。外層に導電剤としてフェロシリコンを含ませることで、外層の導電性とともに耐食性を向上させ易い。特に、70質量%以上のSiを含有するフェロシリコンは、耐食性と成形性とに優れる。
導電剤は例えば粒子状であってよい。導電剤が粒子状である場合、その平均粒子径は、特に限定されるものではなく、外層の厚み等を考慮して適切な大きさのものが選択されればよい。導電剤の粒子径が外層の厚みに対して小さ過ぎると、導電性が低下し易い。一方で、導電剤の粒子径が外層の厚みに対して大き過ぎると、導電剤が塗膜から欠落し易くなる。この点、導電剤の粒子径は、外層の厚みの1/10以上又は1/5以上であってよく、また、2倍以下であってよい。導電剤の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、0.3μm以上、0.5μm以上又は1.0μm以上であってもよく、また、20μm以下、10μm以下、8.0μm以下、6.0μm以下、5.0μm以下、4.0μm以下又は2.5μm以下であってもよい。尚、「平均粒子径」とは、外層に存在する粒子が一次粒子として存在する場合は平均一次粒子径をいい、凝集して存在する場合は平均二次粒子径をいう。平均粒子径は、以下の通りにして測定する。すなわち、外層が形成された表面処理鋼板を切断し、その断面を露出させたうえで研磨し、このようにして得られた研磨後断面を走査型電子顕微鏡で観察して、観察像を得る。観察像の視野に存在する粒子から数個を任意に選び出し、それぞれの粒子の円相当直径を求め、その平均値を平均粒子径とする。観察像中の粒子が導電剤であるか否かは、元素分析等を行うことで容易に判断することができる。
2.2 外層の付着量
第2実施形態に係る表面処理鋼板において、外層の付着量は、2.0g/m以上20g/m以下である。第2実施形態においては、外層に導電剤が必須で含まれることから、外層の付着量を増大させたとしても、優れた溶接性を確保できる。一方で、外層の付着量をあまりに薄くし過ぎると、耐食性を確保し難くなる。第2実施形態に係る表面処理鋼板において、外層の付着量は、3.5g/m以上又は5.0g/m以上であってもよく、15g/m以下又は10g/m以下であってもよい。
3.表面処理鋼板の製造方法
上記の表面処理鋼板は、例えば、以下の方法によって製造することができる。すなわち、表面処理鋼板の製造方法は、
合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ること、
前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板の少なくとも一方の主面に化成処理を施すことで、内層を形成すること、及び、
前記内層の表面にバインダー樹脂、防錆剤及び任意に導電剤を含む塗料を塗布することで、外層を形成すること、
を含んでいてよい。
3.1 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の作製
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、例えば、連続鋳造によってスラブを得ること、前記スラブに対して熱間圧延を施して熱延板を得ること、前記熱延板を巻き取ること、前記熱延板に対して冷間圧延を施して冷延版を得ること、前記冷延板を焼鈍すること、焼鈍後の板に対してめっき及び合金化処理を施すこと、及び、スキンパスによってめっき表面の凹凸を制御すること、を経て得ることができる。連続鋳造条件、熱間圧延条件、巻き取り条件、冷間圧延条件、焼鈍条件、及び、めっき条件については、従来公知の一般的な条件であってよい。一方で、めっきの合金化処理時、めっきの表面には凹凸が形成される。本開示の製造方法においては、合金化処理後のスキンパスを制御して、めっき表面の粗度を制御することで、後述する化成処理層の最大付着量M1や最小付着量M2について、上記式(1)を満たすように制御し易くなる。例えば、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面の算術平均粗さRaが0.2μm以上1.5μm以下となるようにスキンパス条件が制御されるとよい。
3.2 化成処理
本開示の製造方法においては、上記のようにして得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の少なくとも一方の主面に化成処理を施すことで、内層としての化成処理層を形成する。化成処理は、上述したような各種の処理液を鋼板表面に塗布して乾燥することによって行うことができる。ここで、化成処理層を形成する場合の材料(処理液における溶媒や添加剤等)によって鋼板に対する処理液の濡れ性が変わる。この点、乾燥後の内層に含まれる成分が同じ組成であったとしても、化成処理時の鋼板に対する処理液の濡れ性によって、比M1/M2が上記式(1)の関係を満たしたり満たさなかったりする。すなわち、本開示の製造方法においては、比M1/M2が式(1)の関係を満たすように、上記のめっき表面の粗度の制御のほか、化成処理時の処理液の鋼板に対する濡れ性等を制御することが好ましい。
3.3 塗膜の形成
本開示の製造方法においては、上記のようにして形成された内層の表面に、バインダー樹脂、防錆剤及び任意に導電剤を含む塗料を塗布して乾燥することで、外層としての塗膜を形成する。ここで、外層の付着量が上記した範囲内となるように塗料の塗布量等を調整するとよい。
以下、実施例を示しつつ本発明についてさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本発明は、本発明要旨を逸脱せず、本発明目的を達する限りにおいては、種々の条件を採用可能とするものである。
1.表面処理鋼板の製造
1.1 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の準備
以下の5種の亜鉛系めっき鋼板と冷延鋼板を準備し、水系アルカリ脱脂剤(日本パーカライジング(株)製FC-301)の水溶液(2.5質量%、40℃)に2分間浸漬して表面を脱脂した後、水洗、乾燥して表面処理用の基材金属板とした。
GA:合金化溶融亜鉛めっき鋼板(板厚0.8mm、10質量%Fe、めっき付着量45g/m2)
ZL:電気Zn-10質量%Ni合金めっき鋼板(板厚0.8mm、めっき付着量40g/m2)
GI:溶融亜鉛めっき鋼板(板厚0.8mm、めっき付着量60g/m2)
EG:電気亜鉛めっき鋼板(板厚0.8mm、めっき付着量40g/m2)
CR:冷延鋼板(板厚0.8mm、めっき無し)
尚、GAについては、めっき後のスキンパスの条件を変化させて、以下の4種類のGA鋼板を作製した。言うまでもないが、スキンパスはめっき後の鋼板の表面全体に対して行い、スキンパスの圧下率等の条件を調整することで、平面状に均された部分と、圧下されずに又は圧下が少量で凹凸が残った部分との割合を変化させた。尚、めっき鋼板の断面を観察した場合に、めっき表面の部分のうち、めっきと母材鋼板との界面に対して実質的に平行である部分を、以下にいう「平面部」と判断した。
GA1:スキンパスによって圧下されて平面部となった部分の面積率が40%以上、60%未満
GA2:スキンパスによって圧下されて平面部となった部分の面積率が20%以上、40%未満
GA3:スキンパスによって圧下されて平面部となった部分の面積率が60%以上、85%未満
GA4:スキンパスによって圧下されて平面部となった部分の面積率が85%以上
1.2 内層(化成処理層)の形成
次に、以下の3種の化成処理用の処理液を準備し、当該処理液を表2、3に示される付着量となるようにバーコートの番手を変更しつつ、上記の金属板上に塗布し、その後、熱風炉にて金属板表面への到達温度が70℃となるようにしつつ乾燥し、風乾することで、化成処理層を金属板の表面に形成した。
S1:Zr化合物、シランカップリング剤、シリカ微粒子、ポリエステル樹脂からなるNv10%の化成処理用の処理液
S2:S1と同様組成で、水を加え、Nvを5%に調整した化成処理用の処理液
S3:S1と同様組成で、金属板との濡れ性を向上させるため界面活性剤を添加したNv10%の化成処理用の処理液
1.3 外層(塗膜)の形成
次に、表1に示される組成(vol%)を有する塗膜を形成するため、表1と同様の固形分濃度となるように各成分を混合し、塗膜形成用の塗料組成物を準備した。この組成物を表2、3に示される付着量となるようにバーコートの番手や希釈率を変更しつつ、化成処理層上にバーコータで塗布し、最高到達温度200℃となる条件でオーブンを用いて乾燥することにより、外層としての塗膜を形成した。尚、塗料組成物に含まれる成分を以下に示す。
(防錆顔料)
Si:シリカ(吸油量100~1000ml/100g、比表面積200~1000m/g、平均粒径1~30μmの非晶質シリカ)(富士シリシア製サイロマスク02)
PA:トリポリリン酸アルミニウム(平均粒径1~2μm)
PM:リン酸マグネシウム(平均粒径1~2μm)
(導電顔料)
FeSi:フェロシリコン粒子(平均粒径3~7μm)
SUS :SUS粒子(平均粒径3~7μm)
ZnO :ドープ型酸化亜鉛粒子(ハクスイテック(株)製23-Kt(平均粒径=0.5μm))
(バインダー樹脂)
B1:ポリエステル樹脂(東洋紡社製バイロン200)にメラミン(三井サイテック社製サイメル325)を固形分比率で70:30にブレンドした樹脂を用いた。
B2:水系エポキシ樹脂(ADEKA社製0434AN)
2.性能評価試験
2.1 スポット溶接性
上記の通りにして作製した表面処理鋼板を、先端径5mm、R40のCF型Cr-Cu電極を用い、加圧力1.96kN、溶接電流8kA、通電時間12サイクル/50Hzにてスポット溶接の連続打点性試験を行い、ナゲット径が3√t(tは板厚)を下回る直前の打点数を求めた。以下の評価点を用いてスポット溶接性の優劣を評価した。かかる溶接性試験において、「4」、「5」又は「6」である場合、溶接性に優れると判断した。結果を表2、3に示す。
1:ナゲットが生成せず1点も溶接できない、又は、打点数が10打点未満
2:打点数が10打点以上50打点未満
3:打点数が50打点以上200打点未満
4:打点数が200点以上1000打点未満
5:打点数が1000点以上2000打点未満
6:打点数が2000点以上
2.2 耐食性試験
上記の通りにして作製した表面処理鋼板の端面をシールテープし、下記サイクル条件のサイクル腐食試験を30サイクル実施した。
(サイクル条件)
塩水噴霧(SST、5%NaCl、35℃雰囲気)2hr、乾燥(60℃)2hr、及び湿潤(50℃、98%RH)4hrを1サイクルとして、実施した。
その後、平面部からの腐食状況を観察し、下記評点を付与した。かかる耐食性試験において、「3」、「4」又は「5」である場合、耐食性に優れると判断した。結果を表2、3に示す。
1:評価面からの白錆発生面積率が50%以上又は、評価面からの赤錆発生が確認
2:評価面からの白錆発生面積率が10%以上50%未満
3:評価面からの白錆発生面積率が5%以上10%未満
4:評価面からの白錆発生面積率が1%以上5%未満
5:評価面からの白錆発生面積率が1%未満
Figure 2023030644000001
Figure 2023030644000002
Figure 2023030644000003
表2に示される結果から以下のことが分かる。
No.1、2、8、14については、表面処理鋼板における内層(化成処理層)の付着量が少な過ぎたため、表面処理鋼板の耐食性が低下した。
No.7、13、19については、表面処理鋼板における内層(化成処理層)の付着量が多過ぎたため、表面処理鋼板の溶接性が低下した。
No.1、2、8、9については、表面処理鋼板における内層(化成処理層)の最大付着量M1と最小付着量M2との比M1/M2が大き過ぎたため、一部において内層が薄くなり過ぎ、表面処理鋼板の耐食性が低下した。
No.7、13、19、22~31については、表面処理鋼板における内層(化成処理層)の最大付着量M1と最小付着量M2との比M1/M2が小さ過ぎたため、内層が全体的に厚くなり過ぎ、表面処理鋼板の溶接性が低下した。
No.32については、外層である塗膜の付着量が少な過ぎたため、表面処理鋼板の耐食性が低下した。
No.35については、外層である塗膜の付着量が多過ぎたため、表面処理鋼板の溶接性が低下した。
No.24~31については、基材であるめっき鋼板として合金化溶融亜鉛めっき鋼板以外のめっき鋼板を採用したため、めっき表面に適切な凹凸が存在せず、内層の付着量を所定範囲内に制御したにもかかわらずM1/M2が小さくなり過ぎた。結果、表面処理鋼板の溶接性と耐食性との両立が難しかった。
また、一部の例については、基材であるめっき鋼板として合金化溶融亜鉛めっき鋼板を採用したものの、スキンパス条件が適切でなく、めっき表面の凹凸が適切な状態に制御されなかったことが原因で、或いは、内層を構成する処理液として濡れ性が適切でないものを用いたことが原因で、内層の付着量を所定範囲内に制御したにもかかわらずM1/M2を所定の範囲内に制御できなかった。結果、表面処理鋼板の溶接性と耐食性との両立が難しかった。
これに対し、No.3~6、10~12、15~18、20、21、33、34、36~39については、基材であるめっき鋼板としてスキンパスにおける圧下条件が適切であった合金化溶融亜鉛めっき鋼板が採用され、内層を構成する処理液として濡れ性が適切な状態に制御されたものが採用され、内層の付着量及びM1/M2が所定の範囲内に制御され、外層の付着量が所定の範囲内に制御された結果、優れた溶接性と耐食性とを両立することができた。
また、表3に示される結果から以下のことが分かる。
No.44、45については、外層の付着量が少な過ぎたため、表面処理鋼板の耐食性が低下した。
No.50については、外層の付着量が多過ぎたため、表面処理鋼板の溶接性が低下した。
No.62、63、66については、内層の付着量が少な過ぎたため、表面処理鋼板の耐食性が低下した。
No.64については、内層の付着量が多過ぎたため、表面処理鋼板の溶接性が低下した。
No.62、63、65については、内層の最大付着量M1と最小付着量M2との比M1/M2が大き過ぎたため、一部において内層が薄くなり過ぎ、表面処理鋼板の耐食性が低下した。
No.64、67~70については、表面処理鋼板における内層(化成処理層)の最大付着量M1と最小付着量M2との比M1/M2が小さ過ぎたため、内層が全体的に厚くなり過ぎ、表面処理鋼板の溶接性が低下した。
No.67~70については、基材であるめっき鋼板として合金化溶融亜鉛めっき鋼板以外のめっき鋼板を採用したため、めっき表面に適切な凹凸が存在せず、内層の付着量を所定範囲内に制御したにもかかわらずM1/M2が小さくなり過ぎた。結果、表面処理鋼板の溶接性と耐食性との両立が難しかった。
また、一部の例については、基材であるめっき鋼板として合金化溶融亜鉛めっき鋼板を採用したものの、内層を構成する処理液として濡れ性が適切でないものを用いたことが原因で、内層の付着量を所定範囲内に制御したにもかかわらずM1/M2を所定の範囲内に制御できなかった。結果、表面処理鋼板の溶接性と耐食性との両立が難しかった。
これに対し、No.40~43、46~49、51~61については、基材であるめっき鋼板としてスキンパスにおける圧下条件が適切であった合金化溶融亜鉛めっき鋼板が採用され、内層を構成する処理液として濡れ性が適切な状態に制御されたものが採用され、内層の付着量及びM1/M2が所定の範囲内に制御され、外層の付着量が所定の範囲内に制御された結果、優れた溶接性と耐食性とを両立することができた。
表2及び3に示される結果から、以下の要件(A)又は(B)を満たす表面処理鋼板は、優れた溶接性及び耐食性を有するものといえる。
(A)合金化溶融亜鉛めっき鋼板と、
前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層と、
を有する、表面処理鋼板であって、
前記表面処理層が、内層と外層との二層構成を有し、
前記内層が、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板と接する化成処理層であり、
前記内層の付着量が、200mg/m以上2000mg/m以下であり、
前記内層の最大付着量M1と最小付着量M2とが、下記式(1)の関係を満足し、
前記外層が、バインダー樹脂と、防錆剤と、を含み、
前記外層が、導電剤を含まず、
前記外層の付着量が、1.0g/m以上5.0g/m以下である、
表面処理鋼板。
2.0≦M1/M2≦50 ・・・(1)
(B)合金化溶融亜鉛めっき鋼板と、
前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層と、
を有する、表面処理鋼板であって、
前記表面処理層が、内層と外層との二層構成を有し、
前記内層が、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板と接する化成処理層であり、
前記内層の付着量が、200mg/m以上2000mg/m以下であり、
前記内層の最大付着量M1と最小付着量M2とが、下記式(1)の関係を満足し、
前記外層が、バインダー樹脂と、導電剤と、防錆剤と、を含み、
前記外層の付着量が、2.0g/m以上20g/m以下である、
表面処理鋼板。
2.0≦M1/M2≦50 ・・・(1)

Claims (6)

  1. 合金化溶融亜鉛めっき鋼板と、
    前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層と、
    を有する、表面処理鋼板であって、
    前記表面処理層が、内層と外層との二層構成を有し、
    前記内層が、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板と接する化成処理層であり、
    前記内層の付着量が、200mg/m以上2000mg/m以下であり、
    前記内層の最大付着量M1と最小付着量M2とが、下記式(1)の関係を満足し、
    前記外層が、バインダー樹脂と、防錆剤と、を含み、
    前記外層が、導電剤を含まず、
    前記外層の付着量が、1.0g/m以上5.0g/m以下である、
    表面処理鋼板。
    2.0≦M1/M2≦50 ・・・(1)
  2. 合金化溶融亜鉛めっき鋼板と、
    前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層と、
    を有する、表面処理鋼板であって、
    前記表面処理層が、内層と外層との二層構成を有し、
    前記内層が、前記合金化溶融亜鉛めっき鋼板と接する化成処理層であり、
    前記内層の付着量が、200mg/m以上2000mg/m以下であり、
    前記内層の最大付着量M1と最小付着量M2とが、下記式(1)の関係を満足し、
    前記外層が、バインダー樹脂と、導電剤と、防錆剤と、を含み、
    前記外層の付着量が、2.0g/m以上20g/m以下である、
    表面処理鋼板。
    2.0≦M1/M2≦50 ・・・(1)
  3. 前記導電剤が、ドープ型酸化物粒子、50質量%以上のSiを含有するSi合金、50質量%以上のSiを含有するSi化合物、又は、これらの複合体であり、
    前記外層における前記導電剤の含有量が、5vol%以上30vol%以下である、
    請求項2に記載の表面処理鋼板。
  4. 前記ドープ型酸化物粒子が、ドープ型酸化亜鉛粒子である、
    請求項3に記載の表面処理鋼板。
  5. 前記Si合金又は前記Si化合物が、70質量%以上のSiを含有するフェロシリコンである、
    請求項3又は4に記載の表面処理鋼板。
  6. 前記防錆剤が、0.5μm以上10μm以下の粒子径を有する非晶質シリカであり、
    前記外層における前記非晶質シリカの含有量が、5vol%以上30vol%以下である、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
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