JP2023030618A - 表面処理鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接性及び耐食性に優れる表面処理鋼板を開示する。【解決手段】亜鉛含有めっき層を有するめっき鋼板と、前記めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層と、を有する、表面処理鋼板であって、前記表面処理層が、化成処理層と塗膜とを有し、前記塗膜が、バインダー樹脂と、防錆剤と、導電剤と、を含み、前記化成処理層が、前記めっき鋼板に接し、EPMAを利用して所定の条件で測定されるTmaxとTminとの比Tmax/Tminが2.0以上8.0以下である、表面処理鋼板。【選択図】図1

Description

本願は表面処理鋼板を開示する。
自動車等の構成材として表面処理鋼板が用いられている。表面処理鋼板は、例えば、めっき鋼板と、めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層とを有する。従来技術においては、表面処理層として化成処理層及び塗膜を採用し、且つ、化成処理層や塗膜を構成する成分の種類や含有量等を調整することで、表面処理鋼板の溶接性や耐食性を向上させている。
例えば、特許文献1には、めっき鋼板の少なくとも片面に塗膜を有する表面処理鋼板において、前記塗膜に、バインダー樹脂と、Vを含む非酸化物セラミックス粒子と、ドープ型酸化亜鉛粒子とを所定量含ませることで、表面処理鋼板の溶接性や耐食性を向上させる技術が開示されている。
また、特許文献2には、金属材の表面に有機皮膜を有する塗装金属材において、前記有機皮膜に、ウレタン結合を有する所定の樹脂と、所定の導電性粒子とを含ませることで、塗装金属材の溶接性や耐食性を向上させる技術が開示されている。
また、特許文献3、4には、金属板の表面に被覆層を有する被覆金属板において、前記被覆層に所定の粒径の導電性粒子を所定量含ませることで、被覆金属板の溶接性や耐食性を向上させる技術が開示されている。
また、特許文献5には、亜鉛系めっき鋼板の少なくとも一方の面に下地処理層を有し、その上に有機樹脂皮膜を有する表面処理鋼板において、前記有機樹脂皮膜に所定の粒径を有するフェロシリコンを所定量含ませ、且つ、前記有機樹脂皮膜の厚さを所定範囲内とすることで、表面処理鋼板の溶接性や耐食性を向上させる技術が開示されている。
国際公開第2018/092244号 特開2004-042622号公報 特開2004-183080号公報 特開2004-183082号公報 特開2002-172363号公報
従来技術においては、表面処理鋼板の溶接性や耐食性を向上させるにあたって、表面処理層を構成する成分の種類や含有量について検討されているものの、これら以外を工夫することによって表面処理鋼板の溶接性や耐食性を向上させることについては十分に検討されていない。この点、表面処理鋼板の溶接性や耐食性を向上させることに関して、改善の余地がある。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、
亜鉛含有めっき層を有するめっき鋼板と、
前記めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層と、
を有する、表面処理鋼板であって、
前記表面処理層が、化成処理層と塗膜とを有し、
前記塗膜が、バインダー樹脂と、防錆剤と、導電剤と、を含み、
前記化成処理層が、前記めっき鋼板に接し、
以下の条件で測定されるTmaxとTminとの比Tmax/Tminが2.0以上8.0以下である、
表面処理鋼板
を開示する。
条件:前記表面処理鋼板から前記塗膜を除いた状態で、前記めっき鋼板の前記主面に存在する前記化成処理層について、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を利用して、10mm角の範囲を260個×260個の複数のエリアに分割して元素マッピングを行い、各々の前記エリアにおける化成処理成分の強度を特定し、エリア%についての上位10%となる前記強度をTmaxとして特定し、エリア%についての下位10%となる前記強度をTminとして特定する。
本開示の表面処理鋼板において、
前記塗膜が、前記バインダー樹脂として、ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。
本開示の表面処理鋼板において、
前記塗膜が、前記導電剤として、フェロシリコンを含んでいてもよい。
本開示の表面処理鋼板において、
前記塗膜が、前記防錆剤として、リン化合物及びバナジウム化合物のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
本開示の表面処理鋼板において、
前記塗膜が、前記防錆剤として、シリカを含んでいてもよい。
本開示の表面処理鋼板において、
前記塗膜の付着量が、2g/m以上30g/m以下であってもよい。
本開示の表面処理鋼板において、
前記化成処理層が、ポリエステル樹脂、シランカップリング剤、シリカ、及び、タンニン酸を含んでいてもよい。
本開示の表面処理鋼板においては、めっき鋼板の主面における化成処理層の存在量に所定のムラがある。本開示の表面処理鋼板においては、化成処理層の厚い部分によって高位の耐食性が確保される一方で、化成処理層の薄い部分によって高位の導電性が確保され、表面処理鋼板全体として溶接性及び耐食性のバランスが良い。
表面処理鋼板における化成処理層の状態と、Tmax及びTminとの関係を説明するための図である。(A)が化成処理層の厚みが均一である場合、(B)が薄い化成処理層及び厚い化成処理層が多い場合である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、これらの説明は、本発明の実施形態の単なる例示を意図するものであって、本発明は以下の実施形態に限定されない。
1.表面処理鋼板
本実施形態に係る表面処理鋼板は、亜鉛含有めっき層を有するめっき鋼板と、前記めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層と、を有する。前記表面処理層は、化成処理層と塗膜とを有する。前記塗膜は、バインダー樹脂と、防錆剤と、導電剤と、を含む。前記化成処理層は、前記めっき鋼板に接する。本実施形態に係る表面処理鋼板は、以下の条件で測定されるTmaxとTminとの比Tmax/Tminが2.0以上8.0以下である。
条件:前記表面処理鋼板から前記塗膜を除いた状態で、前記めっき鋼板の前記主面に存在する前記化成処理層について、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を利用して、10mm角の範囲を260個×260個の複数のエリアに分割して元素マッピングを行い、各々の前記エリアにおける化成処理成分の強度を特定し、エリア%についての上位10%となる前記強度をTmaxとして特定し、エリア%についての下位10%となる前記強度をTminとして特定する。
1.1 めっき鋼板
めっき鋼板は、例えば、母材鋼板と、母材鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた亜鉛含有めっき層とを有していてよい。本願にいう「主面」とは板の表側又は裏側に相当する面である。亜鉛含有めっき層は、母材鋼板の一方の主面のみに設けられていてもよいし、両方の主面に設けられていてもよい。また、亜鉛含有めっき層は、母材鋼板の主面の全体に設けられていてもよいし、主面の一部に設けられていてもよい。
母材鋼板としては、種々の化学組成や金属組織を有するものを採用し得る。母材鋼板は、普通鋼板であっても、クロム等の添加元素を含む鋼板であってもよく、目的とする機械特性や成形性等を考慮して母材鋼板の化学組成や金属組織を調整すればよい。また、母材鋼板の厚みも特に限定されるものではなく、例えば、0.2mm以上であってもよく、6.0mm以下であってもよい。
亜鉛含有めっき層は、当業者に公知の化学組成を有するめっき層であってよい。例えば、亜鉛含有めっき層は、Zn以外にAl等の添加元素を含んでいてよく、また、合金化処理が施されてなる場合はFe等を含んでいてよい。一例として、亜鉛含有めっき層は、少なくともAlとMgとを含有するZn-Al-Mg合金めっき層であってもよく、さらにSiを含有するZn-Al-Mg-Si合金めっき層であってもよい。これらの各含有量(濃度)は、質量%で、Al:0.01~60%、Mg:0.001~10%、Si:0~2%であってよく、残部がZn及び不純物であってよい。亜鉛含有めっき層は、合金化溶融亜鉛めっき層、溶融亜鉛めっき層又は電気亜鉛めっき層であってもよい。母材鋼板に対する亜鉛含有めっき層の付着量は特に限定されるものではなく、一般的な付着量であってよい。
1.2 表面処理層
表面処理層は、めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられる。表面処理層は、めっき鋼板の一方の主面のみに設けられていてもよいし、両方の主面に設けられていてもよい。また、表面処理層は、めっき鋼板の主面の全体に設けられていてもよいし、主面の一部に設けられていてもよい。表面処理層は、上記のめっき鋼板の表面のうち、亜鉛含有めっき層の表面に積層され得る。
表面処理層は、化成処理層と塗膜とを有する。化成処理層はめっき鋼板と接する。具体的には、表面処理層は、外層としての塗膜と、内層としての化成処理層と、の二層構成を有するものであってもよい。
1.2.1 塗膜
本実施形態に係る表面処理鋼板において、塗膜は、バインダー樹脂と、防錆剤と、導電剤と、を含む。
(バインダー樹脂)
塗膜に含まれるバインダー樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂であってよい。特に、塗膜が、バインダー樹脂として、ポリエステル樹脂を含む場合に、高い性能が発揮され易い。バインダー樹脂としてポリエステル樹脂が採用される場合、当該ポリエステル樹脂は、-20~70℃のガラス転移温度Tgを有するものであってもよく、3000~30000の数平均分子量を有するものであってもよい。バインダー樹脂としてウレタン樹脂が採用される場合、当該ウレタン樹脂は、0~50℃のTgを有するものであってもよく、5000~25000の数平均分子量を有するものであってもよい。バインダー樹脂としてアクリル樹脂が採用される場合、当該アクリル樹脂は、0~50℃のTgを有するものであってもよく、3000~25000の数平均分子量を有するものであってもよい。バインダー樹脂は硬化剤によって硬化されたものであってもよい。硬化剤としては、例えば、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂、又はエポキシ樹脂等が採用され得る。塗膜におけるバインダー樹脂の含有量は、特に限定されるものではなく、例えば、50質量%以上又は60質量%以上であってもよく、90質量%以下、80質量%以下又は70質量%以下であってもよい。
(防錆剤)
塗膜に含まれる防錆剤は、無機防錆剤であってもよいし、有機防錆剤であってもよい。防錆剤の形態は、例えば、粒子状であってよい。防錆剤は水溶性であっても非水溶性であってもよい。防錆剤が水溶性である場合、例えば、塗膜が湿潤環境下に晒された場合に、塗膜中の防錆剤が水に溶解して溶出し、めっき層等の腐食を抑制する防錆機能が発揮され得る。
塗膜における防錆剤の含有量は、目的とする防錆効果に応じて適宜調整されればよい。例えば、塗膜における防錆剤の含有量は1vol%以上、5vol%以上又は10vol%以上であってもよく、40vol%以下、30vol%以下又は20vol%以下であってもよい。
本実施形態に係る表面処理鋼板において、塗膜は、防錆剤として、リン化合物及びバナジウム化合物のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。防錆剤としての機能を発揮し得るリン化合物としては、例えば、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等のリン酸類、リン酸三アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩、Na、Mg、Al、K、Ca、Mn、Ni、Zn、Fe等との金属リン酸塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類及びそれらの塩、フィチン酸等の有機リン酸類及びそれらの塩等が挙げられる。また、防錆剤としての機能を発揮し得るバナジウム化合物としては、五酸化バナジウム、メタバナジン酸HVO3、メタバナジウム酸アンモニウム、オキシ三塩化バナジウムVOCl、三酸化バナジウムV、二酸化バナジウム、オキシ硫酸バナジウムVOSO、バナジウムオキシアセチルアセトネートVO(OC(=CH)CHCOCH、バナジウムアセチルアセトネートV(OC(=CH)CHCOCH、三塩化バナジウムVCl等が挙げられる。
防錆剤は、グアニジノ基含有化合物、ピグアニジノ基含有化合物、チオカルボニル基含有化合物等を含むものであってもよい。
防錆剤として防錆顔料を用いることもできる。防錆顔料としては、シリカやリン酸金属塩(例えば、トリポリリン酸アルミニウム等)等が挙げられる。特に、塗膜が、防錆剤として、シリカを含む場合に、より高い性能が発揮され易い。防錆剤として防錆顔料を用いる場合、その粒子径や含有量は特に限定されるものではない。
(導電剤)
塗膜に含まれる導電剤は、塗膜の導電性を向上させて、表面処理鋼板の溶接性を向上させる機能を有する。本願においては、例えば、1.0×10Ω/cm以下の体積抵抗率を有するものが導電剤となり得る。導電剤としては、例えば、金属や金属化合物が挙げられる。具体的には、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、錫等の金属;マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、錫、アンチモン、テルル等の合金;又は上記した金属元素の酸化物等の化合物であってよい。中でも、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、クロム、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、亜鉛-アルミニウム合金、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム-シリコン合金、亜鉛-鉄合金、亜鉛-クロム合金、亜鉛-ニッケル合金、鉄-ニッケル合金、鉄-クロム合金、ステンレス鋼、フェロシリコン、フェロマンガン、フェロホスホル、酸化亜鉛等が入手し易い。塗膜における導電剤の含有量は特に限定されるものではなく、目的とする溶接性と耐食性とを考慮して適宜決定されればよい。
導電剤が、ドープ型酸化物粒子、50質量%以上のSiを含有するSi合金、50質量%以上のSiを含有するSi化合物、又は、これらの複合体である場合、導電性(溶接性)とともに塗膜に対する電着塗装膜の密着性等を向上させ易い。この場合、塗膜における導電剤の含有量は、5質量%以上30質量%以下であってもよい。
導電剤がドープ型酸化物粒子である場合、当該ドープ型酸化物粒子の具体例としては、ドープ型酸化亜鉛粒子が挙げられる。ドープ型酸化亜鉛粒子としては、例えば、B、Al、Ga、In等の周期表13族元素、及び、P、As等の周期表15族元素よりなる群から選ばれる少なくとも一種のドープ元素を、酸化亜鉛粒子にドープすることによって導電性を向上させたものが挙げられる。ドープ元素がAl又はGaである場合、導電性を一層向上させ易い。ドープ元素の含有量は、未ドープの酸化亜鉛粒子に対して、例えば、0.05atom%以上又は0.1atom%以上であってよく、5atom%以下であってよい。
導電剤がSi合金又はSi化合物である場合、当該Si合金又はSi化合物の具体例としては、フェロシリコンが挙げられ、より具体的には、70質量%以上のSiを含有するフェロシリコンが挙げられる。塗膜が導電剤としてフェロシリコンを含む場合、導電性とともに耐食性が向上し易い。特に、塗膜が導電剤として70質量%以上のSiを含有するフェロシリコンを含む場合、耐食性と成形性とに優れる。
導電剤は例えば粒子状であってよい。導電剤が粒子状である場合、その平均粒子径は、特に限定されるものではなく、塗膜の厚み等を考慮して適切な大きさのものが選択されればよい。導電剤の粒子径が塗膜に対して小さ過ぎると、導電性が低下し易い。一方で、導電剤の粒子径が塗膜の厚みに対して大き過ぎると、導電剤が塗膜から欠落し易くなる。この点、導電剤の粒子径は、塗膜の厚みの1/10以上又は1/5以上であってよく、また、2倍以下であってよい。導電剤の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、0.3μm以上、0.5μm以上又は1.0μm以上であってもよく、また、20μm以下、10μm以下、8.0μm以下、6.0μm以下、5.0μm以下、4.0μm以下又は2.5μm以下であってもよい。尚、「平均粒子径」とは、塗膜に存在する粒子が一次粒子として存在する場合は平均一次粒子径をいい、凝集して存在する場合は平均二次粒子径をいう。平均粒子径は、以下の通りにして測定する。すなわち、塗膜が形成された表面処理鋼板を切断し、その断面を露出させたうえで研磨し、このようにして得られた研磨後断面を走査型電子顕微鏡で観察して、観察像を得る。観察像の視野に存在する粒子から数個を任意に選び出し、それぞれの粒子の円相当直径を求め、その平均値を平均粒子径とする。観察像中の粒子が導電剤であるか否かは、元素分析等を行うことで容易に判断することができる。
(塗膜の付着量)
本実施形態に係る表面処理鋼板において、塗膜の付着量は、特に限定されるものではない。例えば、塗膜の付着量は、2g/m以上30g/m以下であってよい。塗膜の付着量が少な過ぎると、表面処理鋼板の耐食性が低下し易い。塗膜の付着量が多過ぎると、表面処理鋼板の溶接性が低下し易い。本実施形態に係る表面処理鋼板において、塗膜の付着量は3g/m以上又は4g/m以上であってもよく、また、25g/m以下、20g/m以下又は15g/m以下であってもよい。尚、表面処理鋼板における塗膜の付着量は、重量法や断面観察によって測定することができる。重量法での付着量測定としては、所定サイズに切断した鋼板の初期重量を測定した後、バインダー樹脂を溶解可能な溶剤や専用の薬剤を用いて塗膜を取り除く方法や樹脂ビーズ、アルミナビーズを用いたブラスト処理により塗膜を取り除く方法、を用いることで塗膜を取り除いた鋼板の重量測定を行い、これら差分を求めることで算出することが可能である。
1.2.2 化成処理層
本実施形態に係る表面処理鋼板において、表面処理層は、上記の塗膜に加えて、化成処理層を有する。化成処理層はめっき鋼板と接する。すなわち、表面処理層において、化成処理層が内側、塗膜が外側に設けられる。
めっき鋼板の表面の上に内層として化成処理層を設け、さらに当該化成処理層の表面に上述の塗膜を設けることで、鋼板に対する塗膜の密着性が向上し、表面処理鋼板の耐食性等が一層向上する。化成処理層は、クロムを実質的に含有しない層(クロメートフリー層)であってもよい。化成処理に用いられるクロメートフリーの処理液としては、液相シリカ、気相シリカ、ケイ酸塩等のケイ素化合物を主成分とするシリカ系処理液、ジルコン系化合物を主成分とするジルコン系処理液、これらの混合物等が挙げられる。化成処理層はバインダー樹脂を含んでいてもよい。例えば、化成処理層は、上述の塗膜を構成し得るバインダー樹脂として例示されたもののうちの少なくとも1種を含んでいてもよく、ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。化成処理層におけるバインダー樹脂の含有量やバインダー樹脂以外の成分(上記のケイ素化合物等)の含有量は、特に限定されるものではない。例えば、化成処理層におけるバインダー樹脂の含有量は0質量%以上80質量%以下であってもよく、また、バインダー樹脂以外の成分の含有量は20質量%以上100質量%以下であってもよい。内層としての化成処理層は、バインダーとして無機成分を含む無機系の皮膜であってもよい。化成処理層は、一例として、ポリエステル樹脂、シランカップリング剤、シリカ、及び、タンニン酸を含むものであってもよい。
本実施形態に係る表面処理鋼板において、化成処理層の付着量は、後述するEPMAによる元素マッピングに係る要件が満たされる限り、特に限定されるものではない。例えば、化成処理層の付着量が、50mg/m以上2000mg/m以下である場合、表面処理鋼板の耐食性や溶接性を一層向上させ易い。尚、表面処理鋼板における化成処理層の付着量は、30mmΦの範囲の平均値として求めることができる。すなわち、固形分に含まれる特定元素の比率から蛍光X線定量分析によって特定元素の量を求めることができる。また、樹脂を含む場合は赤外線膜厚計より求めることもできる。
1.2.3 その他
塗膜や化成処理層には、上記した成分以外のその他の成分が含まれていてもよい。その他の成分としては、各種添加剤が挙げられる。例えば、カーボンブラック、酸化鉄、ジアゾイエロー、潤滑剤、消泡剤、増粘剤等である。表面処理層におけるその他の成分の含有量は特に限定されるものではない。
1.3 Tmax/Tmin
本実施形態に係る表面処理鋼板は、上記条件で測定されるTmaxとTminとの比Tmax/Tminが2.0以上8.0以下である。
上記条件の通り、TmaxやTminを測定する際は、本実施形態に係る表面処理鋼板から塗膜が除去される。塗膜を除去する方法は特に限定されるものではなく、化成処理層を残しつつ塗膜を除去可能な方法であればよい。例えば、溶剤(キシレン、トルエン、ナフサ、ジクロロエタンなどから適したもの)を含ませたスポンジで擦ることによって表面処理鋼板から塗膜のみを除去することができる。或いは、表面処理鋼板の製造時、めっき鋼板の主面に化成処理層を形成した後で、塗膜を形成する前に、上記のEPMAによる分析を行ってもよい。
上記条件の通り、表面処理鋼板から塗膜を除いた後で、めっき鋼板の主面に設けられた化成処理層の分布状態を確認すべく、EPMAによる元素マッピングを行う。具体的には、主面の10mm角の範囲を、260個×260個のエリアに分割し、各々のエリアについて化成処理成分の強度を特定する。各々のエリアにおける当該強度に基づいて、エリア%の上位10%となる強度をTmaxとして特定し、エリア%の下位10%となる強度をTminとして特定する。
EPMAによる分析対象である「化成処理成分」は、めっき鋼板の主面上における化成処理層の存在量を確認可能なものであればよく、例えば、CやSiである。尚、めっき鋼板そのものにも化成処理層に含まれる成分と同じ成分が含まれる場合があるが、めっき鋼板に含まれる成分による影響は誤差の範囲内である。
「エリア%の上位10%となる強度」とは、上記の260個×260個(=67600個)の全エリアを、化成処理成分の強度が大きい順にカウントしていき、全エリアの10%の面積となった時点の強度を意味する。言い換えれば、全エリア(67600個)について化成処理成分の強度を比較し、6760番目に大きい強度をTmaxとみなすことができる。
「エリア%の下位10%となる強度」とは、上記の260個×260個(=67600個)の全エリアを、化成処理成分の強度が小さい順にカウントしていき、全エリアの10%の面積となった時点の強度を意味する。言い換えれば、全エリア(67600個)について化成処理成分の強度を比較し、6760番目に小さい強度をTminとみなすことができる。
図1(A)に示されるように、Tmax/Tminが小さいほど、めっき鋼板の主面上の化成処理層について平均的な厚みを有する部分の比率が多くなり、図1(B)に示されるように、Tmax/Tminが大きいほど、めっき鋼板の主面上の化成処理層について厚みが薄い部分や厚い部分の比率が多くなる。尚、図1(A)及び(B)に示された強度分布は、単なる一例であり、本実施形態に係る表面処理鋼板における強度分布はこのような形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る表面処理鋼板においては、Tmax/Tminが2.0以上と大きいことで、めっき鋼板の主面において、化成処理層の薄い部分の存在量が多くなって優れた溶接性が確保され易く、且つ、化成処理層の厚い部分の存在量も多くなって優れた耐食性が確保され易い。Tmax/Tminは2.5以上又は3.0以上であってもよい。
一方で、Tmax/Tminがあまりに大き過ぎると、化成処理層のムラがあまりに大きくなり、逆に溶接性や耐食性が低下する虞がある。この点、本実施形態に係る表面処理鋼板においては、Tmax/Tminが8.0以下であることで、溶接性と耐食性とのバランスが良好なものとなり易い。Tmax/Tminは7.0以下又は6.0以下であってもよい。
尚、本実施形態においては、EPMAによる元素マッピングの範囲(測定視野)が10mm角(10mm×10mm)と細かく、そのような細かな範囲において化成処理層の薄い部分と厚い部分とが混在している。すなわち、本実施形態に係る表面処理鋼板においては、化成処理層の薄い部分と化成処理層の厚い部分とが、表面処理層の全面に細かく分散して存在しているものとも言える。10mm角の範囲において、化成処理層の薄い部分と化成処理層の厚い部分とが所定量以上存在していることで、表面処理層のどの部分においても高い耐食性が確保されるとともに、溶接の際の導電パスが得られ易くなって高い溶接性が確保される。
2.表面処理鋼板の製造方法
上記の表面処理鋼板は、例えば、以下の方法によって製造することができる。すなわち、表面処理鋼板の製造方法は、
亜鉛含有めっき層を有するめっき鋼板を得ること、
前記めっき鋼板の少なくとも一方の主面に化成処理を施すことで、化成処理層を形成すること、及び、
前記化成処理層の表面にバインダー樹脂と、防錆剤と、導電剤とを含む塗料を塗布することで、塗膜を形成すること、
を含んでいてよい。
2.1 めっき鋼板の作製
亜鉛含有めっき層を有するめっき鋼板は、例えば、連続鋳造によってスラブを得ること、前記スラブに対して熱間圧延を施して熱延板を得ること、前記熱延板を巻き取ること、前記熱延板に対して冷間圧延を施して冷延版を得ること、前記冷延板を焼鈍すること、焼鈍後の板に対してめっき処理を施すこと、及び、任意にスキンパスを行うこと、等を経て得ることができる。連続鋳造条件、熱間圧延条件、巻き取り条件、冷間圧延条件、焼鈍条件、及び、めっき条件については、従来公知の一般的な条件であってよい。
2.2 化成処理
本開示の製造方法においては、上記のようにして得られためっき鋼板の少なくとも一方の主面に化成処理を施すことで、内層としての化成処理層を形成し得る。化成処理は、上述したような各種の処理液を鋼板表面に塗布して乾燥することによって行うことができる。ここで、本開示の製造方法においては、めっき鋼板の主面における化成処理層の存在量について上記のTmax/Tminを満たすように、化成処理液の塗布方法を工夫する必要がある。本発明者の知見では、以下の条件(1)~(3)が満たされる場合に、上記のTmax/Tminを満たす化成処理層が形成される。
(1)化成処理層を形成するための処理液として、塗布時点でのカップ粘度が1秒以上10秒以下であり、且つ、表面張力が15mN/m以上55mN/m以下であるものを用いること。
(2)ロールコータによって処理液を塗布すること。
(3)ロールコータによる処理液の塗布の際、アプリケータロールの回転方向と塗装されるめっき鋼板の通板方向とを同じ方向とすること。
上記処理液のカップ粘度や表面張力が所定範囲内である場合、塗布直後の化成処理層の表面に形成されたムラ(凹凸)が維持され易くなる。また、本技術分野においては、ロールコータによる処理液の塗布の際、アプリケータロールの回転方向と塗装されるめっき鋼板の通板方向とを逆方向とすることで、均一な化成処理層を形成するのが一般的である。これに対し、本開示の製造方法では、ロールコータによる処理液の塗布の際、アプリケータロールの回転方向と塗装されるめっき鋼板の通板方向とを同じ方向とすることで、通板方向における化成処理層の厚みが不均一となり(具体的には、通板方向において、化成処理層の薄い部分と厚い部分とが交互に繰り返され)、通板方向において化成処理層にムラが生じる。ここで、アプリケータロールの回転速度、めっき鋼板の通板速度、アプリケータロールによる処理液の塗布量等を調整することで、鋼板表面に形成される化成処理層のムラの大小や間隔を制御することができる。例えば、アプリケータロールの周速Aと鋼板の通板速度Bとの比A/Bが0.8~3.0である場合に、化成処理層について所定のムラを形成し易い。比A/Bが小さ過ぎると、化成処理層が均一となり易く、比A/Bが大き過ぎると、化成処理層のムラが過剰に大きくなり易い。このように、本開示の製造方法によれば、新たな設備を要することなく、化成処理液の塗布条件をコントロールするだけで、上記の本実施形態に係る表面処理鋼板を製造することができる。
2.3 塗膜の形成
本開示の製造方法においては、上記のようにして形成された化成処理層の表面に、バインダー樹脂、防錆剤及び導電剤を含む塗料を塗布して乾燥することで、外層としての塗膜を形成し得る。塗料の形成条件については、従来の条件と同様であってよい。
以下、実施例を示しつつ本発明についてさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱せず、その目的を達する限りにおいては、種々の条件を採用可能とするものである。
1.表面処理鋼板の製造
1.1 めっき鋼板の準備
以下の3種の亜鉛系めっき鋼板を準備し、水系アルカリ脱脂剤(日本パーカライジング(株)製FC-301)の水溶液(濃度2.5質量%、40℃)に2分間浸漬して表面を脱脂した後、水洗、乾燥して表面処理用のめっき鋼板とした。
GA:合金化溶融亜鉛めっき鋼板(板厚0.8mm、10質量%Fe、めっき付着量45g/m
ZL:電気Zn-10質量%Ni合金めっき鋼板(板厚0.8mm、めっき付着量40g/m
SD:Zn-11質量%Al-3質量%Mg-0.2質量%Si合金めっき鋼板(板厚0.8mm、めっき付着量180g/m
1.2 化成処理層の形成
次に、以下の化成処理用の処理液を準備し、これをロールコータでめっき鋼板の表裏に塗布した。塗布後、熱風炉にて金属表面到達温度70℃で乾燥し、風乾することで、化成処理層をめっき鋼板の表面に形成した。ロールコータは、アプリケータロールとピックアップロールとの2ロールコータを用い、アプリケータロール(AR)の回転方向は板に対して同じ方向(N)又は逆方向(R)とし、ピックアップロール(PR)はARとPRとが同じ方向になるよう回転させた。化成処理層の平均付着量は50、100、1000、又は2000mg/mに調整した。尚、化成処理層の平均付着量は蛍光X線により30mmΦの範囲の平均として求めた。
化成処理液1:タンニン酸、シランカップリング剤、シリカ微粒子、ポリエステル樹脂からなるNv10%の化成処理皮膜形成用の処理液
化成処理液2:炭酸ジルコニウムアンモニウムからなるNv10%の化成処理皮膜形成用の処理液
1.3 塗膜の形成
次に、表1に示される組成を有する塗膜を形成するため、表1と同様の固形分濃度となるように各成分を混合し、塗膜形成用の塗料組成物を準備した。この組成物を表1に記載の付着量となるように、めっき鋼板又は化成処理層上にバーコータで塗布し、最高到達温度200℃となる条件でオーブンを用いて乾燥することにより、表面処理層として化成処理層及び塗膜を有する表面処理鋼板を得た。塗膜の平均付着量は7g/mに調整した。尚、塗膜の平均付着量は重量法で測定した。塗料組成物に含まれる成分を以下に示す。
(防錆顔料)
シリカ:サイロマスク02(富士シリシア社製)
V化合物:五酸化二バナジウム(キシダ化学社製)
P化合物:リン酸カルシウム(富士フイルム和光純薬社製)
(導電顔料)
FeSi:フェロシリコン粒子
SUS:ステンレス鋼粒子
(バインダー樹脂)
ポリエステル樹脂:バイロン200(東洋紡社製)
アクリル樹脂:アクリディックA-405(DIC社製)
2.性能評価試験
2.1 スポット溶接性
作製した表面処理鋼板を2枚重ね、先端径5mm、R40のCF型Cr-Cu電極を用い、加圧力1.96kNの条件で挟み込んだのち、溶接電流1kAを流した時の上電極と下電極に接している面の抵抗値を任意の5点で測定し、その平均を接触抵抗値とした。以下の評価点を用いてスポット溶接性の優劣を評価した。かかる溶接性試験において、「2」以上を、溶接性に優れると判断した。評価結果を下記表1に示す。
4:抵抗値が0mΩ以上1500mΩ以下
3:抵抗値が1500mΩ超2500mΩ以下
2:抵抗値が2500mΩ超4000mΩ以下
1:抵抗値が4000mΩ超
2.2 耐傷部赤錆性
作製した表面処理鋼板の端面をシールテープし、めっき下の鋼板に達するカット疵(×の形)を付与したのち、下記サイクル条件のサイクル腐食試験を30サイクル実施した。
(サイクル条件)
塩水噴霧(SST、5%NaCl、35℃雰囲気)2hr、乾燥(60℃)2hr、及び湿潤(50℃、98%RH)4hrを1サイクルとして、実施した。
以下の評価点を用いて耐傷部赤錆性の優劣を評価した。以下の評価点において、「2」以上を、耐傷部赤錆性に優れると判断した。評価結果を下記表1に示す。
5:赤錆発生なし
4:傷部からの赤錆最大幅が3mm以下
3:傷部からの赤錆最大幅が3mm超5mm以下
2:傷部からの赤錆最大幅が5mm超7mm以下
1:傷部からの赤錆が7mm超
2.3 加工密着性
作製した表面処理鋼板について折り曲げ加工を行ったのち、幅5cmに切断した試験片について、JIS G3312に準じた試験方法で20℃の雰囲気中で2T曲げを行った。その加工部に対し、テープ剥離試験(使用したテープ:ニチバン社製テープ)を実施し、塗膜剥離の発生状況を観察した。以下の評価点において「2」以上を、加工密着性に優れると判断した。評価結果を下記表1に示す。
5:剥離無し
4:剥離した塗膜がテープを貼付した面積の5%未満である。
3:剥離した塗膜がテープを貼付した面積の5%以上20%未満である。
2:剥離した塗膜がテープを貼付した面積の20%以上50%未満である。
1:剥離した塗膜がテープを貼付した面積の50%以上70%未満である。
2.4 EPMA分析
表面処理鋼板から塗膜を除いた後で、化成処理層が残っためっき鋼板の主面について、EPMA(電子プローブマイクロアナライザ、日本電子株式会社製JXA8500F)によって、10mm角の範囲を260点×260点のエリアに分割して、化成処理層に由来する成分についての元素マッピングを行い、各々のエリアにおける化成処理層に由来する成分の強度を測定し、エリア%の上位10%となる強度をTmaxとして測定し、エリア%の下位10%となる強度をTminとして測定し、比Tmax/Tminを算出した。表面処理鋼板からの塗膜の除去は、スポンジにキシレンを含浸させて塗膜がなくなるまで加重2kgf/cmで擦ることにより行った。塗膜がなくなったことは塗膜の樹脂及び顔料をあらかじめ表面や断面から赤外分光分析や蛍光X線分析しておき、それらが赤外分光分析や蛍光X線分析で検出されないことで判定した。EPMAマッピングにおいては、化成処理層に由来する成分の代表として、元素Cを対象としてその存在量を分析した。結果を下記表1に示す。
Figure 2023030618000002
表1に示される結果から以下のことが分かる。
比較例1については、バーコータを用いて化成処理液を塗布したことで、化成処理層が均一なり過ぎた。また、比較例2については、ロールコータを用いて化成処理液を塗布し、且つ、アプリケータロールの回転方向を通板方向と逆方向(R)としたことで、化成処理層が均一になり過ぎた。その結果、比較例1、2ともに、表面処理鋼板において、高位の溶接性と耐食性との両立が難しかった。
比較例3については、ロールコータを用いて化成処理液を塗布し、且つ、アプリケータロールの回転方向を通板方向と同じ方向(N)としたものの、それ以外の塗布条件が適切でなかったため化成処理層のムラが大きくなり過ぎた。その結果、表面処理鋼板において、高位の溶接性と耐食性との両立が難しかった
比較例4については、表面処理鋼板において化成処理層を設けなかったため、耐食性や加工密着性が低下した。
これに対し、実施例1~14については、ロールコータを用いて化成処理液を塗布し、且つ、アプリケータロールの回転方向を通板方向と同じ方向(N)とし、さらには、それ以外の塗布条件も調整した結果、化成処理層についての強度比Tmax/Tminを所定の範囲内とすることができた。その結果、化成処理層の薄い部分によって高位の溶接性が確保され、化成処理層の厚い部分によって高位の耐食性が確保され、表面処理鋼板全体として溶接性と耐食性とのバランスに優れるものであった。また、塗膜の加工密着性についても良好であった。
以上の結果から、以下の表面処理鋼板は、高位の溶接性と耐食性とを両立できるものといえる。
亜鉛含有めっき層を有するめっき鋼板と、
前記めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層と、
を有する、表面処理鋼板であって、
前記表面処理層が、化成処理層と塗膜とを有し、
前記塗膜が、バインダー樹脂と、防錆剤と、導電剤と、を含み、
前記化成処理層が、前記めっき鋼板に接し、
以下の条件で測定されるTmaxとTminとの比Tmax/Tminが2.0以上8.0以下である、
表面処理鋼板。
条件:前記表面処理鋼板から前記塗膜を除いた状態で、前記めっき鋼板の前記主面に存在する前記化成処理層について、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を利用して、10mm角の範囲を260個×260個の複数のエリアに分割して元素マッピングを行い、各々の前記エリアにおける化成処理成分の強度を特定し、エリア%についての上位10%となる前記強度をTmaxとして特定し、エリア%についての下位10%となる前記強度をTminとして特定する。

Claims (7)

  1. 亜鉛含有めっき層を有するめっき鋼板と、
    前記めっき鋼板の少なくとも一方の主面に設けられた表面処理層と、
    を有する、表面処理鋼板であって、
    前記表面処理層が、化成処理層と塗膜とを有し、
    前記塗膜が、バインダー樹脂と、防錆剤と、導電剤と、を含み、
    前記化成処理層が、前記めっき鋼板に接し、
    以下の条件で測定されるTmaxとTminとの比Tmax/Tminが2.0以上8.0以下である、
    表面処理鋼板。
    条件:前記表面処理鋼板から前記塗膜を除いた状態で、前記めっき鋼板の前記主面に存在する前記化成処理層について、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を利用して、10mm角の範囲を260個×260個の複数のエリアに分割して元素マッピングを行い、各々の前記エリアにおける化成処理成分の強度を特定し、エリア%についての上位10%となる前記強度をTmaxとして特定し、エリア%についての下位10%となる前記強度をTminとして特定する。
  2. 前記塗膜が、前記バインダー樹脂として、ポリエステル樹脂を含む、
    請求項1に記載の表面処理鋼板。
  3. 前記塗膜が、前記導電剤として、フェロシリコンを含む、
    請求項1又は2に記載の表面処理鋼板。
  4. 前記塗膜が、前記防錆剤として、リン化合物及びバナジウム化合物のうちの少なくとも一方を含む、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
  5. 前記塗膜が、前記防錆剤として、シリカを含む、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
  6. 前記塗膜の付着量が、2g/m以上30g/m以下である、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
  7. 前記化成処理層が、ポリエステル樹脂、シランカップリング剤、シリカ、及び、タンニン酸を含む、
    請求項1~6のいずれか1項に記載の表面処理鋼板。
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