JP2023029119A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Makoto Seki
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Abstract

【課題】密封装置の内部への泥水の浸入を抑制して、シール性能をさらに向上することができる車輪用軸受装置を提供する。【解決手段】車輪用軸受装置1のインナー側シール部材10は、外輪2に篏合される内嵌部11aと、内嵌部11aから内径側へ延びる側板部11bとからなる芯金11、および芯金11に接合される弾性部材12を有するシール部材13と、内輪4に嵌合される外嵌部14aと、外嵌部14aから外径側へ延び、軸方向において側板部11bと対向する円環部14bと、円環部14bから側板部11b側へ向けて突出し、軸方向においてシール部材13と隙間をもって対向する外径部14cとを有するスリンガ14と、スリンガ14の外径部14cに接合される円筒部152と、を備え、円筒部152は外径側へ突出する突出部152aを有する。【選択図】図2

Description

本発明は車輪用軸受装置に関する。
従来、自動車等の懸架装置において車輪を回転自在に支持する車輪用軸受装置が知られている。車輪用軸受装置には、外方部材と内方部材とによって形成された環状空間の開口端を塞ぎ、泥水等の異物の入り込みを防止する密閉装置が設けられている。
例えば、特許文献1に開示される密封装置は、外方部材である外輪の内周に嵌合される内嵌部と、内嵌部から内径側へ延びる側板部とからなる芯金、および芯金に一体的に接合され複数のシールリップが形成された弾性部材を有するシール部材と、内方部材である内輪の外周に嵌合される外嵌部と、外嵌部から外径側へ延びる円環部と、円環部の外径側端部から側板部側へ向けて突出し側板部と隙間をもって対向する外径部とを有するスリンガと、を備えている。そして、芯金の内嵌部と、スリンガの外径部とによってラビリンス構造を形成してシール性能を向上し、密封装置内への泥水の浸入を抑制している。
また、車輪用軸受装置を車体に取り付けた際の車体側となる軸方向一端側の密封装置としては、スリンガに磁気エンコーダが接合され、磁気エンコーダの磁束密度の変化を回転速度センサにより検出可能とした磁気エンコーダ付きの密封装置が用いられることがある。このような磁気エンコーダ付きの密封装置においても、芯金の内嵌部とスリンガの外径部とによってラビリンス構造を形成して、シール性能を向上することが行われている。
特許第5170366号公報
しかし、前述の密封装置のように、芯金の内嵌部とスリンガの外径部とによってラビリンス構造を形成した場合、芯金の内嵌部とスリンガの外径部との間の隙間を小さく形成しただけであるため、芯金の内嵌部とスリンガの外径部との隙間から密封装置の内部に泥水が浸入するおそれがある。
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、芯金の内嵌部とスリンガの外径部とによってラビリンス構造を形成した場合において、密封装置の内部への泥水の浸入を抑制して、シール性能をさらに向上することができる車輪用軸受装置を提供するものである。
即ち、車輪用軸受装置は、内周に複列の外側軌道面を有する外方部材と、外周に軸方向に延びる小径段部を有するハブ輪、および前記ハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面を有する内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との両軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と前記内方部材とによって形成された環状空間の軸方向一端側の開口端を塞ぐ密封装置と、を備える車輪用軸受装置であって、前記密封装置は、前記外方部材の内周に篏合される内嵌部と、前記内嵌部の軸方向他端部から内径側へ延びる側板部とからなる芯金、および前記芯金に一体的に接合される弾性部材を有するシール部材と、前記内方部材の外周に嵌合される外嵌部と、前記外嵌部の軸方向一端部から外径側へ延び、軸方向において前記側板部と対向する円環部と、前記円環部の外径側端部から前記側板部側へ向けて突出し、軸方向において前記シール部材と隙間をもって対向する外径部とを有するスリンガと、前記スリンガの前記外径部に接合される円筒部と、を備え、前記円筒部は、外径側へ突出する突出部を有する。
本発明によれば、密封装置の内部への泥水の浸入を抑制して、シール性能をさらに向上することができる。
車輪用軸受装置を示す側面断面図である。 インナー側シール部材を示す側面断面図である。 磁気エンコーダにおける突出部の変形例を示す側面断面図である。 インナー側シール部材の第2実施形態を示す側面断面図である。 インナー側シール部材の第3実施形態を示す側面断面図である。
以下に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
[車輪用軸受装置]
図1に示す車輪用軸受装置1は、本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態であり、自動車等の車両の懸架装置において車輪を回転自在に支持するものである。
車輪用軸受装置1は第3世代と称呼される構成を備えており、外方部材である外輪2と、内方部材であるハブ輪3および内輪4と、転動列である二列のインナー側ボール列5およびアウター側ボール列6と、アウター側シール部材9と、インナー側シール部材10とを具備する。
以下の説明において、軸方向とは車輪用軸受装置1の回転軸心Xに沿った方向を表す。また、インナー側とは、軸方向一端側であって車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車体側を表し、アウター側とは、軸方向他端側であって車体に取り付けた際の車輪用軸受装置1の車輪側を表す。
外輪2のインナー側端部には、インナー側シール部材10が嵌合可能なインナー側開口部2aが形成されている。外輪2のアウター側端部には、アウター側シール部材9が嵌合可能なアウター側開口部2bが形成されている。
インナー側シール部材10がインナー側開口部2aに嵌合されることにより、外方部材である外輪2と内方部材であるハブ輪3および内輪4とによって形成された環状空間Sのインナー側の開口端が塞がれている。アウター側シール部材9がアウター側開口部2bに嵌合されることにより、環状空間Sのアウター側の開口端が塞がれている。
インナー側シール部材10およびアウター側シール部材9は、環状空間Sの開口端を塞ぐ密封装置である。このように、インナー側シール部材10およびアウター側シール部材9により環状空間Sのインナー側およびアウター側の開口端を塞ぐことで、泥水等の異物が車輪用軸受装置1の内部へ浸入することを抑制している。
外輪2の内周面には、インナー側の外側軌道面2cと、アウター側の外側軌道面2dとが形成されている。外輪2の外周面には、外輪2を車体側部材に取り付けるための車体取り付けフランジ2eが一体的に形成されている。車体取り付けフランジ2eには、車体側部材と外輪2とを締結する締結部材(ここでは、ボルト)が挿入されるボルト孔2fが設けられている。
ハブ輪3の外周面におけるインナー側端部には、アウター側端部よりも縮径された小径段部3aが形成されている。ハブ輪3のアウター側端部には、車輪を取り付けるための車輪取り付けフランジ3bが一体的に形成されている。車輪取り付けフランジ3bには、複数のボルト孔3fが形成されている。ボルト孔3fには、ハブ輪3と車輪又はブレーキ部品とを締結するためのハブボルト3eが圧入可能である。
ハブ輪3においては、車輪取り付けフランジ3bの基部側にアウター側シール部材9が摺接する摺接面3dが形成されている。ハブ輪3の外周面には、外輪2のアウター側の外側軌道面2dに対向するようにアウター側の内側軌道面3cが設けられている。つまり、内方部材のアウター側には、ハブ輪3によって内側軌道面3cが構成されている。
ハブ輪3の小径段部3aには、内輪4が設けられている。内輪4は、圧入によりハブ輪3の小径段部3aに固定されている。内輪4の外周面には、外輪2のインナー側の外側軌道面2cと対向するようにインナー側の内側軌道面4aが設けられている。つまり、内方部材のインナー側には、内輪4によって内側軌道面4aが構成されている。
転動列であるインナー側ボール列5とアウター側ボール列6とは、転動体である複数のボール7が保持器8によって保持されることにより構成されている。インナー側ボール列5は、内輪4の内側軌道面4aと、外輪2のインナー側の外側軌道面2cとの間に転動自在に挟まれている。アウター側ボール列6は、ハブ輪3の内側軌道面3cと、外輪2のアウター側の外側軌道面2dとの間に転動自在に挟まれている。つまり、インナー側ボール列5とアウター側ボール列6とは、外方部材と内方部材との両軌道面間に転動自在に収容されている。
車輪用軸受装置1においては、外輪2と、ハブ輪3及び内輪4と、インナー側ボール列5と、アウター側ボール列6とによって複列アンギュラ玉軸受が構成されている。なお、車輪用軸受装置1は複列アンギュラ玉軸受に替えて複列円錐ころ軸受を構成していてもよい。
インナー側シール部材10は、外輪2に嵌装される芯金11および芯金11に接合される弾性部材12を有するシール部材13と、内輪4に嵌装されるスリンガ14と、スリンガ14に接合される磁気エンコーダ15とを備えている。
軸方向における磁気エンコーダ15と対向する位置には、回転速度センサ16が配置されている。回転速度センサ16は、磁気エンコーダ15のインナー側に位置している。外輪2のインナー側端部にはキャップ17が嵌合されており、回転速度センサ16はキャップ17に支持されている。
[インナー側シール部材]
図2に示すように、インナー側シール部材10の芯金11は、例えば鋼板により構成されており、外輪2のインナー側開口部2aにおける内周に嵌合される円筒状の内嵌部11aと、内嵌11aのアウター側端部から内径側へ延びる円環状の側板部11bとからなっている。
弾性部材12は、例えば合成ゴムによって形成されており、芯金11に加硫接着によって一体的に接合されている。弾性部材12としては、例えばHS80以下のショア硬さを有するものを用いることができる。
弾性部材12は、芯金11に加硫接着される基部121と、基部121から延出し、それぞれ円環状に形成される第1サイドリップ122、第2サイドリップ123、およびグリースリップ124とを有している。第1サイドリップ122、第2サイドリップ123、およびグリースリップ124は、弾性部材12が有するシールリップである。
基部121は、内嵌部11aの内周面、インナー側端面、および外周面におけるインナー側の部分、ならびに側板部11bの軸方向一側面であるインナー側面、内径側端面、および軸方向他側面であるアウター側面の内径側の部分に接合されている。基部121は、内嵌部11aの内周面に接合される内周面部121aと、側板部11bのインナー側面における外周側部分に接合される外周側側面部121bとを有している。
第1サイドリップ122は、弾性部材12が有するシールリップの中で最も外径側に位置しており、基部121から外径側かつインナー側へ向けて延出している。第2サイドリップ123は、第1サイドリップ122よりも内径側に位置しており、基部121から外径側かつインナー側へ向けて延出している。グリースリップ124は、第2サイドリップ123よりも内径側に位置しており、基部121から内径側かつアウター側へ向けて延出している。
スリンガ14は、例えば鋼板により構成されており、内輪4のインナー側端部における外周面4cに嵌合される円筒状の外嵌部14aと、外嵌部14aのインナー側端部から外径側へ延びる円環状の円環部14bと、円環部14bの外径側端部から側板部11b側となるアウター側へ向けて突出する外径部14cとを有している。
外径部14cは、径方向において、芯金11の内嵌部11aと、弾性部材12の第1サイドリップ122との間に位置している。スリンガ14の円環部14bは、軸方向において芯金11の側板部11bよりもインナー側に位置しており、円環部14bと側板部11bとは、軸方向において対向している。
外径部14cの外周面は、径方向において弾性部材12の内周面部121aと隙間をもって対向しており、外径部14cのアウター側端面となる先端面は、軸方向において弾性部材12の外周側側面部121bと隙間をもって対向している。
弾性部材12の第1サイドリップ122は、軸方向においてスリンガ14の円環部14bと対向しており、第1サイドリップ122の先端は、円環部14bと摺動可能に接触している。つまり、第1サイドリップ122は、接触リップである。
弾性部材12の第2サイドリップ123は、軸方向においてスリンガ14の円環部14bと対向しており、第2サイドリップ123の先端は、円環部14bと摺動可能に接触している。つまり、第2サイドリップ123は、接触リップである。
弾性部材12のグリースリップ124は、径方向においてスリンガ14の外嵌部14aと対向しており、グリースリップ124の先端部は、外嵌部14aと摺動可能に接触している。つまり、グリースリップ124は、接触リップである。
なお、第1サイドリップ122および第2サイドリップ123は、軸方向において弾性部材12の基部121からスリンガ14の円環部14b側へ向けて延出するシールリップである。また、グリースリップ124は、径方向において弾性部材12の基部121からスリンガ14の外嵌部14a側へ向けて延出するシールリップである。
磁気エンコーダ15は、例えばフェライト等の磁性体粉が混入された合成ゴムによって形成されており、スリンガ14に加硫接着によって一体的に接合されている。磁気エンコーダ15は、例えばスリンガ14とともにインサート成形することによって、スリンガ14に加硫接着される。磁気エンコーダ15としては、例えばHS80~HS100の範囲のショア硬さを有するものを用いることができる。
磁気エンコーダ15は、スリンガ14における円環部14bのインナー側面に接合される着磁部151と、スリンガ14における外径部14cの外周面に接合される円筒部152と、スリンガ14における外径部14cの先端面に接合されるアウター側面部153とを有している。
着磁部151には、周方向に交互に等ピッチで磁極Nと磁極Sとが着磁されている。磁気エンコーダ15の着磁部151と回転速度センサ16とは、軸方向において、所定のエアギャップ(軸方向すきま)を有した状態で対向配置されている。そして、回転速度センサ14により磁気エンコーダ11の磁束密度の変化を検出することで、内輪4の回転速度を検出することが可能となっている。
円筒部152は円筒状に形成されており、径方向において弾性部材12の内周面部121aと隙間D1をもって対向している。アウター側面部153は、軸方向において、弾性部材12の外周側側面部121bと隙間D2をもって対向している。
円筒部152は、外径側へ突出し、周方向に沿って延出する突出部152aを有している。突出部152aは、円筒部152の全周にわたって形成されており、円環形状を有している。突出部152aは、軸方向において円筒部152のインナー側端部に位置している。突出部152aは、外径側かつインナー側へ向けて突出している。つまり、突出部152aの突出方向は、径方向に対して軸方向一端側となるインナー側へ傾斜している。
径方向において、突出部152aの外径側端となる先端と、弾性部材12の内周面部121aとの間には隙間D3が設けられている。隙間D3は隙間D1および隙間D2よりも小さい。隙間D3は、例えば0.1mmより大きく、かつ0.5mmより小さい大きさに設定することができる(0.1mm<D2<0.5mm)。また、突出部152aは、肉厚tが0.5mm以上となるように形成することができる。
このように構成されるインナー側シール部材10においては、磁気エンコーダ15の円筒部152およびアウター側面部153が接合されたスリンガ14の外径部14cと、弾性部材12の内周面部121aが接合された芯金11の内嵌部11aと、弾性部材12の外周側側面部121bが接合された芯金11の側板部11bとによって、ラビリンス構造を形成している。
インナー側シール部材10においては、スリンガ14の外径部14cと芯金11の内嵌部11aおよび側板部11bとによってラビリンス構造を形成することにより、インナー側シール部材10の内部へ泥水が浸入することを抑制して、シール性能の向上を図っている。
この場合、磁気エンコーダ15の円筒部152は、外径側へ突出する突出部152aを有しているため、インナー側シール部材10の外部からスリンガ14の外径部14cと芯金11の内嵌部11aとの間に浸入してきた泥水を、突出部152aによって堰き止めることができる。これにより、浸入してきた泥水が突出部152aよりもインナー側シール部材10の内部側に流入することを抑制でき、シール性能をさらに向上することが可能となっている。
また、突出部152aは、径方向に対してインナー側へ傾斜した方向へ突出しているため、スリンガ14の外径部14cと芯金11の内嵌部11aとの間にインナー側から浸入してきた泥水が突出部152aに当たった際に、突出部152aを乗り越えて内部側へ浸入することが抑制される。これにより、浸入してきた泥水を効果的に堰き止めることができ、さらにシール性能の向上を図ることが可能となっている。
また、磁気エンコーダ15は、スリンガ14とともにインサート成形することによりスリンガ14に加硫接着されているが、インサート成形する際の金型の抜き方向は、例えば軸方向に設定される。このように、金型の抜き方向が軸方向に設定されている場合に、突出部152aをインナー側へ傾斜した方向へ突出するように形成することで、金型の抜き方向と突出部152aの突出方向とを合わせることができ、突出部152aに負荷がかかることを抑制しながら磁気エンコーダ15を成形することが可能となる。
さらに、磁気エンコーダ15を成形する際に、同時に突出部152aを成形することで、コストの増加を招くことなく磁気エンコーダ15に突出部152aを形成することができる。
また、突出部152aの先端と弾性部材12の内周面部121aとの間の隙間D3は、0.1mmより大きく、かつ0.5mmより小さい大きさに設定されているため、スリンガ14の外径部14cと芯金11の内嵌部11aとの間に浸入してきた泥水は、突出部152aの先端と内周面部121aとの間を通過し難くなっている。これにより、浸入してきた泥水が突出部152aよりも内部側に流入することを抑制でき、さらにシール性能の向上を図ることが可能である。
また、突出部152aが形成される磁気エンコーダ15は、HS80~HS100の範囲のショア硬さを有しており、ショア硬さがHS80以下の弾性部材12よりも硬度が高くなっている。従って、浸入してきた泥水が突出部152aに当たった際に、突出部152aに変形が生じにくく、泥水を効果的に堰き止めることが可能となっている。これにより、例えば弾性部材12の内周面部121aに突出部152aを形成した場合に比べて、インナー側シール部材10のシール性能を向上することができる。
さらに、突出部152aは、肉厚tが0.5mm以上となるように形成されているため高い剛性を有しており、浸入してきた泥水が突出部152aに当たったときに変形することが抑制される。これにより、インナー側シール部材10のシール性能を良好に保つことが可能となっている。
[突出部の変形例]
本実施形態においては、突出部152aはインナー側へ傾斜した形状に形成しているが、軸方向に傾斜することなく外径側に突出した形状とすることもできる。
図3に示すインナー側シール部材10Aは、突出部252aが形成された磁気エンコーダ25を備えている。インナー側シール部材10Aは、磁気エンコーダ15に代えて磁気エンコーダ25を備えている点でインナー側シール部材10と異なっており、その他の構成はインナー側シール部材10と同様である。
磁気エンコーダ25は、着磁部251と、円筒部252と、アウター側面部253とを有しており、突出部252aは円筒部252に形成されている。突出部252aは、円筒部252の外周面から軸方向に傾斜することなく外径側に突出している。突出部252aのその他の構成は、突出部152aと同様である。
磁気エンコーダ25の円筒部252は、突出部152aの代わりに突出部252aを有している点で円筒部152と異なっており、その他の構成は円筒部152と同様である。磁気エンコーダ25の着磁部251およびアウター側面部253は、それぞれ磁気エンコーダ15の着磁部151およびアウター側面部153と同様に構成されている。
このように、磁気エンコーダ25の円筒部252に、軸方向に傾斜することなく外径側に突出する突出部252aを形成した場合においても、インナー側シール部材10の外部からスリンガ14の外径部14cと芯金11の内嵌部11aとの間に浸入してきた泥水を、突出部252aによって堰き止めることができる。これにより、浸入してきた泥水が突出部252aよりもインナー側シール部材10の内部側に流入することを抑制でき、シール性能の向上を図ることが可能である。
[インナー側シール部材の第2実施形態]
図2に示したインナー側シール部材10は、図4に示すインナー側シール部材10Bのように構成することもできる。インナー側シール部材10Bは、磁気エンコーダ15に代えて磁気エンコーダ35を備えている点で、インナー側シール部材10と異なっており、その他の構成はインナー側シール部材10と同様である。
磁気エンコーダ35は、着磁部351と、円筒部352と、アウター側面部353とを有している。磁気エンコーダ35の着磁部351およびアウター側面部353は、それぞれ磁気エンコーダ15の着磁部151およびアウター側面部153と同様に構成されている。
円筒部352は、複数の突出部352aを有している。複数の突出部352aは、軸方向に並んで配置されている。本実施形態においては、円筒部352に3個の突出部352aが形成されている。各突出部352aは、それぞれ磁気エンコーダ15の突出部152aと同様に形成されている。
磁気エンコーダ35の円筒部352に、軸方向において複数の突出部352aを形成した場合、スリンガ14の外径部14cと芯金11の内嵌部11aとの間に浸入してきた泥水は、まず最もインナー側に位置する突出部352a(突出部352a-1)によって堰き止められる。
この際、仮に突出部352a-1によって堰き止められなかった泥水が存在した場合、泥水は突出部352a-1よりもインナー側シール部材10の内部側となるアウター側へ流入する。しかし、突出部352a-1よりもアウター側へ流入した泥水は、突出部352a-1のアウター側に位置する突出部352a(突出部352a-2)によって堰き止められる。
さらに、仮に突出部352a-2によって堰き止められなかった泥水が存在した場合、突出部352a-2よりもアウター側へ流入した泥水は、突出部352a-2のアウター側に位置する突出部352a(突出部352a-3)によって堰き止められる。
このように、軸方向において複数の突出部352aを形成した場合は、突出部352aによる泥水の堰き止めを複数段階にわたって行うことができるため、泥水がインナー側シール部材10の内部へ浸入することを、より効果的に抑制することができ、インナー側シール部材10のシール性能をさらに高めることが可能である。
なお、磁気エンコーダ35の円筒部352に複数の突出部352aを形成した場合においても、突出部352aを、図3に示した突出部252aの場合と同様に、軸方向に傾斜することなく外径側に突出した形状とすることができる。
[インナー側シール部材の第3実施形態]
図4に示したインナー側シール部材10Bは、図5に示すインナー側シール部材10Cのように構成することもできる。インナー側シール部材10Cは、弾性部材12に代えて弾性部材22を備えている点で、インナー側シール部材10Bと異なっている。インナー側シール部材10Cは、芯金11および弾性部材22を有するシール部材23と、スリンガ14と、磁気エンコーダ35とを備えている。
弾性部材22は、基部221と、第1サイドリップ222と、第2サイドリップ223と、グリースリップ224とを有している。基部221は基部121と同様に形成されており、内周面部121aに対応する内周面部221a、および外周側側面部121bに対応する外周側側面部221bを有している。第2サイドリップ223およびグリースリップ224は、それぞれ第2サイドリップ123およびグリースリップ124と同様に形成されている。
第1サイドリップ222は、スリンガ14に対して非接触状態に設けられている。つまり、第1サイドリップ222は、スリンガ14と非接触状態に設けられる非接触リップである。第1サイドリップ222の先端222aは、径方向においてスリンガ14の外径部14cと隙間をもって対向しており、第1サイドリップ222と外径部14cとの間でラビリンスシールを構成している。
このように、インナー側シール部材10Cにおいては、第1サイドリップ222をスリンガ14に対して非接触状態に設けて、外径部14cと内嵌部11aおよび外周側側面部121bとの間のラビリンス構造に加えて、第1サイドリップ222と外径部14cとの間でラビリンスシールを構成している。これにより、インナー側シール部材10Cにおけるシールトルクの上昇を抑えつつシール性能の向上を図ることが可能となっている。
なお、本実施形態においては、インナー側シール部材10は着磁部151と円筒部152とを有する磁気エンコーダ15を備えた構成となっているが、インナー側シール部材10は、スリンガ14の外径部14cに接合される円筒部152を備え、円筒部152が外径側へ突出する突出部152aを有する構成とすることもできる。インナー側シール部材10A、10B、10Cについても同様である。
また、本実施形態における車輪用軸受装置1は、ハブ輪3の外周に内側軌道面3cが直接形成されている第3世代構造の車輪用軸受装置1として構成されているがこれに限定するものではなく、ハブ輪3に一対の内輪4が圧入固定された第2世代構造であってもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
1 車輪用軸受装置
2 外輪
2a インナー側開口部
2b アウター側開口部
2c (インナー側の)外側軌道面
2d (アウター側の)外側軌道面
3 ハブ輪
3c 内側軌道面
4 内輪
4a 内側軌道面
5 インナー側ボール列
6 アウター側ボール列
10、10A、10B、10C インナー側シール部材
11 芯金
11a 内嵌部
11b 側板部
12、22 弾性部材
13、23 シール部材
14 スリンガ
14a 外嵌部
14b 円環部
14c 外径部
15、25、35 磁気エンコーダ
121、221 基部
121a、221a 内周面部
151、251、351 着磁部
152、252、352 円筒部
152a、252a、352a 突出部
D3 (突出部の先端と弾性部材の内周面部との間の)隙間

Claims (5)

  1. 内周に複列の外側軌道面を有する外方部材と、
    外周に軸方向に延びる小径段部を有するハブ輪、および前記ハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、前記複列の外側軌道面に対向する複列の内側軌道面を有する内方部材と、
    前記外方部材と前記内方部材との両軌道面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
    前記外方部材と前記内方部材とによって形成された環状空間の軸方向一端側の開口端を塞ぐ密封装置と、を備える車輪用軸受装置であって、
    前記密封装置は、
    前記外方部材の内周に篏合される内嵌部と、前記内嵌部の軸方向他端部から内径側へ延びる側板部とからなる芯金、および前記芯金に一体的に接合される弾性部材を有するシール部材と、
    前記内方部材の外周に嵌合される外嵌部と、前記外嵌部の軸方向一端部から外径側へ延び、軸方向において前記側板部と対向する円環部と、前記円環部の外径側端部から前記側板部側へ向けて突出し、軸方向において前記シール部材と隙間をもって対向する外径部とを有するスリンガと、
    前記スリンガの前記外径部に接合される円筒部と、
    を備え、
    前記円筒部は、外径側へ突出する突出部を有する車輪用軸受装置。
  2. 前記密封装置は、前記スリンガの前記円環部に接合される着磁部と、前記円筒部とを有する磁気エンコーダを備える請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記突出部の突出方向は、径方向に対して軸方向一端側へ傾斜している請求項1または請求項2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記円筒部には、軸方向において複数の前記突出部が形成されている請求項1~請求項3の何れか一項に記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記弾性部材は、前記芯金における前記内嵌部の内周面に接合され、前記円筒部と対向する内周面部を有し、
    径方向において、前記突出部と前記内周面部との間には隙間が設けられており、
    前記隙間は、0.1mmより大きく、かつ0.5mmより小さい請求項1~請求項4の何れか一項に記載の車輪用軸受装置。
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