(第1の実施の形態)
以下、図面を参照しながら第1の実施の形態について説明する。以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
また、以下の実施の形態において、「X方向」とは、運搬用台車の長手方向に平行かつ運搬用台車が配置される床面に平行な方向であり、「Y方向」とは、X方向に垂直かつ運搬用台車が配置される床面に平行な方向である。「Z方向」とは、鉛直方向に平行な方向である。また、「正面」とは、床面に垂直な面であって、ネスティングする際に他の運搬用台車が進入してくる方向を向く面をいい、「背面」とは、床面に垂直な面であって、正面に対向する面をいう。「天面」とは、床面に平行な面であって、運搬用台車の上方側の面をいい、「底面」とは、床面に平行な面であって、運搬用台車の下方側の面をいう。「側面」とは、床面に垂直な面であって、運搬用台車の長手方向端部側の面をいう。
(運搬用台車の構成)
本実施の形態による運搬用台車の構成について、図1乃至図5を用いて説明する。図1は、本実施の形態による運搬用台車の各パネルを外している状態を示す分解斜視図である。図2は、本実施の形態による運搬用台車が展開状態となっている斜視図である。図3は、本実施の形態による運搬用台車が折り畳み状態となっている斜視図である。図4は、台車本体の斜視図である。図5は、台車本体の部分拡大正面図である。
図1に示すように、本実施の形態による運搬用台車10は、台車本体50と、台車本体50に対してそれぞれ展開および折り畳み自在に設けられた複数(この場合は6枚)のパネル11~16とを備えている。このうち複数のパネル11~16は、展開して箱状に組立てられた展開状態(図2参照)と、複数のパネル11~16を折り畳むことにより他の運搬用台車とネスティング可能となる折り畳み状態(図3参照)をとることができる。
運搬用台車10は、例えば店舗、工場、物流過程等において、保冷または保温が必要な積載物を保管したり搬送したりする際に使用される。このような運搬用台車10は、積載物を収納することが可能な収容空間20(後述)が6つのパネル11~16によって取り囲まれていることにより、運搬用台車10の内部の温度変化が極力抑制されるように構成されている。一方、運搬用台車10を使用しない場合には、他の同一の運搬用台車10とネスティングする(入れ子状に重ねる)ことにより、複数の運搬用台車10をコンパクトに収納しておくことが可能である。
次に、図4を参照して、台車本体50の構成について説明する。図4は、台車本体50を示す斜視図である。図4に示すように、台車本体50は、第1側枠51と、第2側枠52と、第1側枠51と第2側枠52とを互いに連結する連結部材53とを有している。この場合、台車本体50は、6輪の車輪61~66を有し、車輪61~66は、それぞれ連結部材53から下方に向けて取り付けられている。
第1側枠51は、台車本体50の長手方向一端部(X方向マイナス側端部)に設けられており、連結部材53から上方(Z方向プラス側)に向かって突設されている。第1側枠51は、連結部材53に連結される下方支持部54と、下方支持部54に連結された環状(長方形状)の周縁枠55と、周縁枠55の内側でそれぞれ水平方向(Y方向)に延びる複数の横桟56とを有している。複数の横桟56は、上下方向(Z方向)に沿って互いに等しい間隔を空けて配置されている。第1側枠51の下方には、2輪の車輪61、62が設けられている。
第2側枠52は、台車本体50の長手方向他端部(X方向プラス側端部)に設けられており、連結部材53から上方(Z方向プラス側)に向かって突設されている。第2側枠52の構成は、上述した第1側枠51の構成と略同一である。第2側枠52の下方には、2輪の車輪65、66が設けられている。
連結部材53は、平面視略王字状(2つの「E」の字を背中合わせにした形状)であり、台車本体50の長手方向(X方向)に延びる中央フレーム57と、中央フレーム57にそれぞれ連結された3つの車輪取付フレーム67~69とを有している。
中央フレーム57は、台車本体50の幅方向(Y方向)略中央部に位置している。この中央フレーム57は、運搬用台車10およびその積載物の荷重を保持するのに十分な強度を有する一方、運搬用台車10同士をネスティングする際の妨げにならない程度の細い幅を有している。具体的には、中央フレーム57の幅Wa(Y方向の長さ)は、台車本体50の最大幅Wb(Y方向の長さ)の5%以上33%以下としても良い。また、間隔Pa、Pbは、台車本体50の最大幅Wbにもよるが、例えば20mm以上200mm以下としても良い。
3つの車輪取付フレーム67~69は、それぞれ中央フレーム57に直交する方向(Y方向)に延びている。この車輪取付フレーム67~69は、第1側枠51側に位置する第1車輪取付フレーム67と、第1側枠51と第2側枠52との間に位置する第2車輪取付フレーム68と、第2側枠52側に位置する第3車輪取付フレーム69とからなる。
第1車輪取付フレーム67と第2車輪取付フレーム68とは、台車本体50の長手方向(X方向)に間隔Paを空けて配置されている。第2車輪取付フレーム68と第3車輪取付フレーム69とは、台車本体50の長手方向(X方向)に間隔Pbを空けて配置されている。この場合、第1車輪取付フレーム67と第2車輪取付フレーム68との間隔Paは、第2車輪取付フレーム68と第3車輪取付フレーム69との間隔Pbと等しくても良く(Pa=Pb)、間隔Pbとは異なっていても良い。
第1車輪取付フレーム67は、中央フレーム57の長手方向一端部(X方向マイナス側端部)に設けられている。第1車輪取付フレーム67の長手方向両端部(Y方向両端部)には、それぞれ第1車輪61および第2車輪62が取り付けられている。
第2車輪取付フレーム68は、中央フレーム57の長手方向中央部(X方向中央部)に設けられている。第2車輪取付フレーム68の長手方向両端部(Y方向両端部)には、それぞれ第3車輪63および第4車輪64が取り付けられている。第2車輪取付フレーム68の幅(X方向の長さ)Wcは、運搬用台車10同士をネスティングする際の妨げにならない程度に細くなっている。具体的には、第2車輪取付フレーム68の幅Wcは、台車本体50の最大長さ(X方向の長さ)Laの3.7%以上12.6%以下としても良い。また、幅Wcは、台車本体50の最大長さLaにもよるが、例えば5mm以上150mm以下としても良い。
第3車輪取付フレーム69は、中央フレーム57の長手方向他端部(X方向プラス側端部)に設けられている。第3車輪取付フレーム69の長手方向両端部(Y方向両端部)には、それぞれ第5車輪65および第6車輪66が取り付けられている。
車輪61~66は、上述したように、第1車輪61、第2車輪62、第3車輪63、第4車輪64、第5車輪65および第6車輪66から構成されている。このうち第1車輪61、第2車輪62、第5車輪65および第6車輪66は、自在輪となっており、それぞれ水平な車軸に沿って回転するとともに、鉛直方向(Z方向)に延びる旋回軸によって旋回可能となっている。一方、第3車輪63および第4車輪64は、固定輪となっており、それぞれ水平な車軸に沿って回転する一方、鉛直方向(Z方向)軸周りには旋回不可能となっている。
なお、車輪61~66は、運搬用台車10に積載物を載せて走行する際には、安定して直進走行できるように、中央の固定輪(第3車輪63および第4車輪64)と前後いずれか一方の自在輪(第1車輪61と第2車輪62、または、第5車輪65と第6車輪66)の2輪を組み合わせて、接地するようにしても良い。また、運搬用台車10に積載物を載せない場合には、切り回しやネスティングをしやすくし、小回りが利きやすくするため、中央の固定輪(第3車輪63および第4車輪64)を接地させずに、前後両方の自在輪(第1車輪61、第2車輪62、第5車輪65および第6車輪66)のみを接地させるようにしても良い。なお、これに限らず、台車本体50は、4輪の車輪61、62、65、66を有し、第2車輪取付フレーム68を有していなくても良い。
また、連結部材53上には、折り畳み可能な底板58が設けられている。この底板58は、略直方体状であり、長手方向(X方向)において第1側枠51と第2側枠52との間に延び、短手方向(Y方向)において第1側枠51および第2側枠52と略同一の長さを有している。また、底板58は、運搬用台車10の積載物の荷重を保持するのに十分な強度を有しており、その厚みTaは、例えば1cm以上20cm以下、好ましくは3cm以上15cm以下としても良い。
底板58は、連結部材53に対して移動可能であり、連結部材53上に配置される展開状態(図2および図4参照)と、連結部材53に対して持ち上げられて第2側枠52の周囲に折り畳まれた折り畳み状態(図3参照)とをとることができる。すなわち、パネル11~16が展開して箱状に組立てられた展開状態(図2および図4参照)をとる場合、底板58は、水平な展開状態に配置される。一方、複数のパネル11~16を折り畳んで折り畳み状態(図3参照)をとる場合、底板58は、垂直に持ち上げられて折り畳み状態に配置される。
図5に示すように、底板58は、下方支持部54の内側(X方向マイナス側)に設けられた支点部58aを中心として回動自在となっている。この支点部58aは、底面パネル16(後述)よりも下方(Z方向マイナス側)に位置している。この場合、底板58と下方支持部54とを連結する連結部(支点部58a)の全体が、パネル11~16の外方に位置している。これにより、後述するように周囲が断熱材で囲まれている場合は、連結部が収容空間20(後述)と外気とに跨がって配置されることがなく、連結部がヒートブリッジとなって収容空間20の断熱性が低下してしまうことを防止することができる。また、底板58を折り畳み状態と展開状態との間で移動する間に、連結部(支点部58a)がパネル11~16に干渉してしまうおそれもない。
(パネルの構成)
次に、図1乃至図3を参照して、パネル11~16の構成について説明する。
パネル11~16は、全体として台車本体50に対して展開および折り畳み自在に設けられており、上述したように、展開して箱状に組立てられた展開状態(図2)と、ネスティング可能となる折り畳み状態(図3)とをとることができる。
図2は、パネル11~16が展開状態にある場合を示している。図2に示すように、パネル11~16は、展開状態において略直方体形状となるものであり、天面パネル11と、正面パネル12と、背面パネル13と、第1側面パネル14と、第2側面パネル15と、底面パネル16とを含んでいる。天面パネル11と、第1側面パネル14と、第2側面パネル15と、背面パネル13と、正面パネル12と、底面パネル16とは、その主たる面(各パネルを構成する6つの面のうち、最も広い互いに対向する一対の面)がそれぞれ略長方形形状となっている。また、正面パネル12と背面パネル13とは、その主たる面が互いに略同一の大きさを有しており、第1側面パネル14と第2側面パネル15とは、その主たる面が互いに略同一の大きさを有している。各パネル11~16は、それぞれ剛性をもつ板状の部材からなり、使用時に柔軟に変形しないようになっている。
展開状態において、6つのパネル11~16に取り囲まれることにより、積載物を収容する収容空間20を形成することが可能である。これら各パネル11~16を展開状態にすると、各パネル11~16の間に略直方体形状の収容空間20が形成される。収容空間20は、後述するように周囲が断熱材で囲まれている場合は、外部との熱の流入や流出が制限され、断熱性を維持することができる。また、6つのパネル11~16の少なくとも一部は、それぞれ隣接する他のパネル11~16に対して移動可能に設けられている。これにより、運搬用台車10は、収容空間20が形成されている展開状態から、収容空間20が形成されない折り畳み状態に変更すること、および折り畳み状態から展開状態に変更することが可能である。このため、運搬用台車10を使用しない場合には、パネル11~16を折り畳み状態とすることにより、他の運搬用台車10とネスティングすることが可能となる。また展開状態において、6つのパネル11~16は、それぞれその周縁が他のいずれかのパネル11~16と密着するようになっており、これにより収容空間20の密閉性が確保されている。
6つのパネル11~16は、後述するように、それぞれ真空断熱材41を含む断熱部40を有する断熱パネルを含んでいる(図6参照)。なお、本実施の形態では、6つのパネル11~16は、それぞれ真空断熱材41を含んでいるが、これに限定されるものではない。一部または全部のパネル11~16は、例えば発泡断熱材等の断熱材を含んでいてもよい。
次に、各パネル11~16それぞれの構成について更に説明する。なお、以下において、「パネル11~16(部分パネル)が所定の面に対して平行(垂直)である」とは、「パネル11~16(部分パネル)の主たる面が所定の面に対して平行(垂直)である」ことを意味する。
(天面パネル)
天面パネル11は、展開状態(図2)において、天面側(Z方向プラス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して平行に配置される。また、展開状態において、天面パネル11は、台車本体50の第1側枠51および第2側枠52と、第1側面パネル14と、第2側面パネル15と、背面パネル13と、正面パネル12との上方に配置される。
この天面パネル11は、部分的に開閉可能な構造であり、第1側枠51側に位置する第1天面部分パネル11aと、第1側枠51と第2側枠52との間に位置する第2天面部分パネル11bと、第2側枠52側に位置する第3天面部分パネル11cとを有している。このうち第2天面部分パネル11bは、天面ヒンジ部材21a(図14(b)参照)を介して第3天面部分パネル11cに対して折り畳み自在に取り付けられている。また、第2天面部分パネル11bは、面ファスナー(着脱部材)21b(図14(b)参照)を介して第1天面部分パネル11aに着脱自在に取り付けられており、面ファスナー21bを取り外した場合、第2天面部分パネル11bは第1天面部分パネル11aから分離するように構成されている。
第1天面部分パネル11aと第2天面部分パネル11bと第3天面部分パネル11cとは、展開状態(図2)において、ともに水平(XY平面に平行)に配置される。一方、折り畳み状態(図3)においては、第1天面部分パネル11aおよび第3天面部分パネル11cは、引き続き水平に配置される。これに対して、第2天面部分パネル11bは、第1天面部分パネル11aから取り外されることにより、下方に向けて折り畳まれ、第3天面部分パネル11cから垂れ下がるように配置される。このとき、第2天面部分パネル11bは、第2側枠52の内側周囲であって、折り畳まれた底板58に対して内側(X方向マイナス側)に配置され、YZ平面に平行となる。
(正面パネル)
正面パネル12は、展開状態(図2)において、正面側(Y方向マイナス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。また、展開状態において、正面パネル12は、台車本体50の第1側枠51と第2側枠52との間に配置される。
この正面パネル12は、折り畳み可能な構造であり、第1側枠51側に位置する第1正面部分パネル12aと、第1側枠51と第2側枠52との略中間に位置する第2正面部分パネル12bと、第2側枠52側に位置する第3正面部分パネル12cとを有している。このうち第1正面部分パネル12aは、第1正面ヒンジ部材22a(図9(a)、図10(a)-(c)参照)を介して第1側面パネル14に折り畳み自在に取り付けられている。また、第2正面部分パネル12bは、第2正面ヒンジ部材22b(図9(a)、図10(a)-(c)参照)を介して第1正面部分パネル12aに対して折り畳み自在に取り付けられている。さらに、第3正面部分パネル12cは、第3正面ヒンジ部材22c(図9(a)、図10(a)-(c)参照)を介して第2正面部分パネル12bに折り畳み自在に取り付けられている。なお、第3正面部分パネル12cと第2側面パネル15とは、互いに分離しており、例えば図示しない面ファスナー(着脱部材)を介して、互いに着脱自在に取り付けられても良い。
第1正面部分パネル12aと第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとは、展開状態(図2)において、ともに水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。一方、折り畳み状態(図3)においては、第1正面部分パネル12aと第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが、互いに重なるように屏風状に折り畳まれ、さらに鉛直軸(Z方向軸)周りに回転して、第1側面パネル14の外側(X方向マイナス側)に配置される。このとき、第1正面部分パネル12aと第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとは、折り重なって第1側枠51の外側周囲に配置され、YZ平面に平行となる。
このように、第1正面部分パネル12a、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cを第1側枠51よりも外側に配置することにより、積載物を収容する収容空間20を広く確保することができる。また、底板58を第2側枠52側に持ち上げる際に、第1正面部分パネル12a、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cが移動中の底板58に干渉することを防止している。なお、第1正面部分パネル12a、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cの幅(折り畳み状態におけるY方向の長さ)は、互いに略同一としても良い。また、第1正面部分パネル12a、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cの幅は、第1側枠51の幅(Y方向の長さ)と略同一、あるいは第1側枠51の幅よりも長くなっている。
(背面パネル)
背面パネル13は、展開状態(図2)において、背面側(Y方向プラス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。また、展開状態において、背面パネル13は、台車本体50の第1側枠51と第2側枠52との間に配置される。
この背面パネル13は、折り畳み可能な構造であり、第1側枠51側に位置する第1背面部分パネル13aと、第2側枠52側に位置する第2背面部分パネル13bとを有している。このうち第2背面部分パネル13bは、第1背面ヒンジ部材23a(図15(a)-(c)参照)を介して第1背面部分パネル13aに対して折り畳み自在に取り付けられている。また、第1背面部分パネル13aは、第2背面ヒンジ部材23b(図15(a)-(c)参照)を介して第1側面パネル14に移動可能に取り付けられている。なお、これに限らず、第1背面部分パネル13aは、第1側面パネル14に対して折り畳みできないように固定されていても良い。
第1背面部分パネル13aと第2背面部分パネル13bとは、展開状態(図2)において、ともに水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。一方、折り畳み状態(図3)においては、第2背面部分パネル13bは、第1背面部分パネル13aに重なるように折り畳まれ、第1背面部分パネル13aの内側(Y方向マイナス側)に配置される。このとき、第1背面部分パネル13aは、折り畳まれることなく背面側に残る。すなわち第1背面部分パネル13aは、折り畳み状態においても、展開状態と同様の位置にあり、水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。また、第1背面部分パネル13aと第2背面部分パネル13bとは、折り重なって第1側枠51に垂直に配置され、ZX平面に平行となる。このように、折り畳み状態において、第2背面部分パネル13bが取り除かれることにより、背面パネル13は開放される。この背面パネル13が開放された部分は、水平方向(X方向)に所定の幅W1を有する(図3)。一方、第1背面部分パネル13aと第2背面部分パネル13bとが重なった部分は開放されることなく覆われており、水平方向(X方向)に所定の幅W2を有する(図3)。なお、第1背面部分パネル13aと第2背面部分パネル13bとの折り畳み方によっては、背面パネル13が水平方向(X方向)全域にわたって開放されても良い。
(第1側面パネル)
第1側面パネル14は、展開状態(図2)および折り畳み状態(図3)の両方において第1側枠51側(X方向マイナス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。この第1側面パネル14は、一枚の板状の部材から構成される。また、第1側面パネル14は、展開状態(図2)および折り畳み状態(図3)の両方において、移動することなく、台車本体50の第1側枠51の外側周囲に配置され、YZ平面に平行となっている。第1側面パネル14は、第1側枠51の外側全体を覆う程度の大きさとなっており、図示しない連結手段により第1側枠51に対して固定されている。
(第2側面パネル)
第2側面パネル15は、展開状態(図2)および折り畳み状態(図3)の両方において第2側枠52側(X方向プラス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。この第2側面パネル15は、一枚の板状の部材から構成される。また、第2側面パネル15は、展開状態(図2)および折り畳み状態(図3)の両方において、移動することなく、台車本体50の第2側枠52の外側周囲に配置され、YZ平面に平行となっている。第2側面パネル15は、第2側枠52の外側全体を覆う程度の大きさとなっており、図示しない連結手段により第2側枠52に対して固定されている。
(底面パネル)
底面パネル16は、展開状態(図2)において、底面側(Z方向マイナス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して平行に配置される。また、展開状態において、底面パネル16は、台車本体50の底板58上であって、第1側枠51と第2側枠52との間に配置される。底面パネル16は、一枚の板状の部材から構成され、持ち上げることにより折り畳み可能な構造を有する。この底面パネル16は、底面ヒンジ部材26a(図12(b)参照)を介して第1側枠51に対して折り畳み自在に取り付けられている。
底面パネル16は、展開状態(図2)において、ともに水平面(XY平面)に対して平行に配置される。一方、折り畳み状態(図3)において、底面パネル16は、第1側枠51の内側(X方向プラス側)に重なるように折り畳まれ、第1側枠51の内側周囲に位置する。すなわち折り畳み状態において、底面パネル16は、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。このとき、底面パネル16は、例えば面ファスナー(着脱部材)26b(図12(b)参照)を介して第1側枠51に着脱可能に取り付けられる。この場合、面ファスナー26bにより、底面パネル16を第1側枠51に取り付けたり、底面パネル16を第1側枠51から取り外したりする作業を容易に行うことができる。また、面ファスナー26bは一定の面積を持つため、底面パネル16を第1側枠51に対して厳密に位置合わせしなくても、底面パネル16を第1側枠51に取り付けることが可能となる。さらに、底面パネル16の面方向の位置ずれや寸法誤差を吸収することができ、底面パネル16の第1側枠51に対する取付位置を微調整することも容易である。
なお、上述した天面ヒンジ部材21a、第1正面ヒンジ部材22a、第2正面ヒンジ部材22b、第3正面ヒンジ部材22c、第1背面ヒンジ部材23a、第2背面ヒンジ部材23bおよび底面ヒンジ部材26aは、それぞれ例えば折曲自在な接続布(接続部材)から構成されても良い。このように、各ヒンジ部材21a、22a、22b、22c、23a、23a、23b、26aを接続布から構成することにより、各パネル(部分パネル)を容易に展開したり折り畳んだりすることができる。
図3は、上述したように、パネル11~16が折り畳み状態にある場合を示している。図3に示すように、折り畳み状態において、各パネル11~16の少なくとも一部がそれぞれ第1側枠51または第2側枠52の周囲に折り畳まれている。
すなわち、第1側枠51の周囲には、外側(X方向マイナス側)から順に、第3正面部分パネル12cと、第2正面部分パネル12bと、第1正面部分パネル12aと、第1側面パネル14と、底面パネル16とが重なっている。なお、第1側枠51は、第1側面パネル14と底面パネル16との間に位置する。また、第2側枠52の周囲には、外側(X方向プラス側)から順に、第2側面パネル15と、底板58と、第2天面部分パネル11bとが重なっている。なお、第2側枠52は、第2側面パネル15と底板58との間に位置する。
この場合、第1側枠51および第2側枠52の周囲には、それぞれ第1パネル群G1および第2パネル群G2が形成されている。このうち第1パネル群G1は、第3正面部分パネル12cと、第2正面部分パネル12bと、第1正面部分パネル12aと、第1側面パネル14と、第1側枠51と、底面パネル16とによって構成される。また、第2パネル群G2は、第2側面パネル15と、第2側枠52と、底板58と、第2天面部分パネル11bとによって構成される。なお、本実施の形態において、第1パネル群G1(第2パネル群G2)には、各パネル11~16の全部または一部だけでなく、第1側枠51(第2側枠52)や底板58も含まれる。
本実施の形態において、この第1パネル群G1の合計厚みT1と第2パネル群G2の合計厚みT2とのうち厚い方の厚みをTとし、ネスティング可能な運搬用台車10の数をnとする。この場合、上述した背面パネル13の開放された幅W1は、水平方向(X方向)に(n-1)×T以上の長さとなっている。例えば、後述するようにネスティング可能な運搬用台車10の数を3台とした場合、W1は2T以上の長さとなっている。このように、背面パネル13の開放された部分の幅W1を(n-1)×T以上の長さとすることにより、背面パネル13の開放された部分を介して、当該運搬用台車10に他の運搬用台車10をネスティングすることが可能となる。一方、比較例として、背面パネル13の開放された幅W1が(n-1)×T未満となる場合、他の運搬用台車10が当該運搬用台車10の一部に干渉し、n台の運搬用台車10をネスティングすることは実質的に困難となる。
各パネル11~16の厚みは、それぞれ例えば5mm以上50mm以下とすることが好ましい。本実施の形態において、各パネル11~16の厚みが互いに同一である場合を例にとって説明するが、各パネル11~16の厚みが互いに異なっていても良い。また、第1側枠51および第2側枠52の厚み(X方向の長さ)は、例えば10mm以上50mm以下である。なお、第1パネル群G1(第2パネル群G2)の合計厚みT1(T2)とは、第1パネル群G1(第2パネル群G2)に含まれるパネル11~12、14~16、第1側枠51、第2側枠52および底板58のうち、最も外側に位置する部材の外面と、最も内側に位置する部材の内面との間の距離をいう。この場合、第1パネル群G1の合計厚みT1と第2パネル群G2の合計厚みT2との合計ができるだけ小さくなるようにすることが好ましい。合計厚みT1と合計厚みT2との合計を小さくすることにより、ネスティング可能な運搬用台車10の数を増やすことができる。
なお、上述した第1車輪取付フレーム67と第2車輪取付フレーム68との間隔Pa(図4)と、第2車輪取付フレーム68と第3車輪取付フレーム69との間隔Pb(図4)は、「T×n<Pa」かつ「Wc×n<Pb」という関係を満たす必要がある。ただし、車輪取付フレーム67、69の巾がTより広い(大きい)場合は、「車輪取付フレーム67、69の巾×n<Pa」かつ「Wc×n<Pb」という関係を満たす必要がある。
(パネルの内部構造)
次に、各パネル11~16の構造について説明する。図6は、各パネル11~16の断熱部40を示す断面図である。図7(a)(b)は、断熱部40に含まれる真空断熱材41を示す断面図である。
図6に示すように、各パネル11~16の断熱部40は、真空断熱材41と、発泡断熱材42と、断熱外囲部43と、断熱材保護部材44と、遮熱シート45とを有している。
このうち真空断熱材41は、発泡断熱材42に取り付けられている。この真空断熱材41は、芯材41aと、芯材41aの周囲に設けられた外装材41bとから構成されている。真空断熱材41の収容空間20側(図6の下方側)には、発泡断熱材42が配置されている。これにより、収容空間20に入れた積載物がぶつかったときに真空断熱材41が破損する危険性を低減することができる。
発泡断熱材42は、真空断熱材41の少なくとも収容空間20側に隣接して配置することができる。発泡断熱材42には、公知の発泡性の断熱材を用いることができ、例えばポリウレタン発泡体であってもよい。
断熱外囲部43は、真空断熱材41を取り囲むように形成されている。この断熱外囲部43は、発泡断熱材42上に配置されており、発泡断熱材42に固定されている。断熱外囲部43が真空断熱材41を取り囲むように配置されていることにより、断熱外囲部43が配置されていない場合と比べて、断熱性能が向上する。また、真空断熱材41を発泡断熱材42と略同一面積とし、断熱外囲部43を用いないパネル構成も可能である。この場合、より断熱性能の向上が図れるが、断熱外囲部43が無い分、脇からの鋭利なものの侵入による真空断熱材41の破袋に対しては弱くなる恐れはある。なお、断熱外囲部43と真空断熱材41との間には若干の隙間が形成されており、真空断熱材41の大きさが多少変化した場合であっても、真空断熱材41を断熱外囲部43内に収容できるようになっている。
また、断熱材保護部材44は、断熱外囲部43上に設けられており、主として真空断熱材41を保護する役割を果たす。この断熱材保護部材44としては、例えば有機高分子製の保護材を用いることができる。
遮熱シート45は、真空断熱材41、発泡断熱材42、断熱外囲部43および断熱材保護部材44の外周全体を包むように配置されている。この遮熱シート45は、真空断熱材41と発泡断熱材42との全体を覆って配置することができる。遮熱シート45としては、例えば金属箔を含む多層シートや、樹脂シートの片面に蒸着層が形成された蒸着シート等があげられる。
次に、真空断熱材41について更に説明する。図7(a)に示すように、真空断熱材41は、芯材41aと、ガスバリア性を有する外装材41bとから構成されており、外装材41b内を減圧して得られる断熱材である。図7(b)は、真空断熱材41の他の一例である。図7(a)では、真空断熱材41の内部の両端に空隙が形成されているが、図7(b)では、空隙が形成されていない。空隙は、真空断熱材41の製造方法の違いにより形成されたり形成されなかったりする。
芯材41aは、従来から使用される公知の真空断熱材の芯材に用いられる材料を使用することができ、例えば、シリカ等の粉体、ウレタンポリマー等の発泡体、グラスウール等の繊維体等の多孔質体を使用してもよい。
外装材41bは、芯材41aの外周を覆う部材であり、芯材から熱溶着層、ガスバリア層が順に積層された可撓性を有するシートを使用してもよい。ガスバリア層は、金属箔、樹脂シートの片面に蒸着層が形成された蒸着シート等を使用してもよい。金属箔は、例えばアルミニウムを使用することができる。蒸着層は、例えば、アルミニウム、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物を使用することができる。
(運搬用台車の分解および組立て)
次に、運搬用台車10を分解および組立てする際の作用について説明する。
(運搬用台車の分解)
図8乃至図15は、運搬用台車10を順番に分解する場合の各々の工程を説明する図である。なお、図8(a)、図9(a)、図10(a)-(c)、図11(a)、図12(a)、図13(a)、図14(a)、図15(a)-(c)は、それぞれ運搬用台車10の平面図であり、天面パネル11の表示を省略している。また、図8(b)、図9(b)、図11(b)、図12(b)、図13(b)、図14(b)は、運搬用台車10を示す正面図である。
まず、図8(a)(b)に示すように、運搬用台車10の6つのパネル11~16が、展開して箱状に組立てられ、展開状態となっている場合を想定する。このとき、各パネル11~16の間には、略直方体形状の収容空間20が形成されている。なお、図示しないが、収容空間20内には、食品等の積載物が収納されていても良い。
次に、図9(a)(b)に示すように、正面パネル12を折り畳むことにより、正面パネル12が展開状態から折り畳み状態に移行する。
この間、まず図10(a)に示すように、第1正面部分パネル12aと第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが、屏風状に折り畳まれる。具体的には、第1正面部分パネル12aが、第1正面ヒンジ部材22aを中心として第1側面パネル14に対して平面視で時計回りに回転する。また、第2正面部分パネル12bは、第2正面ヒンジ部材22bを中心として第1正面部分パネル12aに対して平面視で反時計回りに回転する。さらに、第3正面部分パネル12cは、第3正面ヒンジ部材22cを中心として第2正面部分パネル12bに対して平面視で時計回りに回転する。
続いて、図10(b)に示すように、第1正面部分パネル12aと第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが互いに重なり、この状態で、第1正面ヒンジ部材22aを中心として第1側面パネル14に対して平面視で時計回りに回転する。
その後、図10(c)に示すように、互いに重なった第1正面部分パネル12aと第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが、第1側枠51の外側周囲に移動する。これにより、図11(a)(b)に示すように、正面パネル12が折り畳み状態となり、運搬用台車10の正面側が水平方向(X方向)に完全に開放される。なお、収容空間20内に積載物が収納されている場合には、この状態で正面側から積載物を外部に取り出しても良い。
次に、図12(a)(b)に示すように、底面パネル16を折り畳むことにより、底面パネル16が展開状態から折り畳み状態となる。この間、底面パネル16は、底面ヒンジ部材26aを中心として第1側枠51に対して正面視で反時計回りに回転する。これにより、底面パネル16は、第1側枠51の内側(X方向プラス側)に重なるように折り畳まれ、第1側枠51の内側周囲に位置する。すなわち底面パネル16は、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。この場合、底面パネル16は、面ファスナー(着脱部材)26bを介して第1側枠51に取り付けられる。
次いで、図13(a)(b)に示すように、底板58を折り畳むことにより、底板58が展開状態から折り畳み状態となる。この間、底板58は、第2側枠52に対して正面視で時計回りに回転し、第2側枠52の内側(X方向マイナス側)に重なるように折り畳まれて、第2側枠52の内側周囲に位置する。すなわち底板58は、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。この場合、底板58は、図示しない固定手段により第2側枠52に取り付けられる。
続いて、図14(a)(b)に示すように、天面パネル11を折り畳むことにより、天面パネル11が展開状態から折り畳み状態となる。この間、面ファスナー21bが取り外されることにより、第2天面部分パネル11bは、第1天面部分パネル11aから分離し、天面ヒンジ部材21aを中心として第3天面部分パネル11cに対して正面視で反時計回りに回転する。これにより、第2天面部分パネル11bは、下方に向けて折り畳まれ、第3天面部分パネル11cから垂れ下がるように配置される。このとき、第2天面部分パネル11bは、第2側枠52の内側周囲であって、底板58に対して内側(X方向マイナス側)に配置される。
次に、図15(a)-(c)に示すように、背面パネル13を折り畳むことにより、背面パネル13が展開状態から折り畳み状態となる。
この間、まず図15(a)(b)に示すように、第1背面部分パネル13aが、第2背面ヒンジ部材23bを中心として第1側面パネル14に対して平面視で反時計回りに回転する。また、第2背面部分パネル13bは、第1背面ヒンジ部材23aを中心として第1背面部分パネル13aに対して平面視で時計回りに回転する。これにより、第2背面部分パネル13bは、第1背面部分パネル13aに重なるように折り畳まれ、第1背面部分パネル13aの内側(Y方向マイナス側)に配置される。さらに、図15(c)に示すように、第1背面部分パネル13aが、第2背面ヒンジ部材23bを中心として第1側面パネル14に対して平面視で時計回りに回転し、これにより、第1背面部分パネル13aは、展開状態(図15(a))と同一の位置に戻される。
このように、第2背面部分パネル13bが取り除かれることにより、背面パネル13は所定の幅W1だけ開放される。一方、第1背面部分パネル13aと第2背面部分パネル13bとが重なった部分は開放されることなく覆われる。
このようにして、運搬用台車10の6つのパネル11~16が、全て折り畳み状態となる。この際、第1側枠51および第2側枠52の周囲には、それぞれ第1パネル群G1および第2パネル群G2が形成される。
以上のように、運搬用台車10を使用しない場合には、パネル11~16を折り畳み、できる限り全体の体積を小さくして保管、輸送することができる。
(運搬用台車の組立)
運搬用台車10の組立方法は、上述した分解方法の逆の順に行うことによってできる。すなわち、まず、図15(a)(b)(c)の逆作業から開始し、背面パネル13を折り畳み状態から展開状態とする。次いで、図14(a)(b)の逆作業として、天面パネル11を折り畳み状態から展開状態とし、次に、図13(a)(b)の逆作業として、底板58を折り畳み状態から展開状態とする。続いて、図12(a)(b)の逆作業として、底面パネル16を折り畳み状態から展開状態とし、最後に、図9乃至図11の逆作業として、正面パネル12を折り畳み状態から展開状態とすることにより、組立作業が完了する。
(運搬用台車のネスティング)
次に、運搬用台車10をネスティングする際の作用について説明する。図16(a)-(c)は、運搬用台車10をネスティングする場合の作用を説明する平面図である。なお、図16(a)-(c)において、第1天面部分パネル11aおよび第3天面部分パネル11cの表示は省略している。
まず、図16(a)に示すように、6つのパネル11~16が全て折り畳み状態となった運搬用台車10(第1の運搬用台車10)を準備する。
次に、図16(b)に示すように、折り畳み状態となった他の運搬用台車10A(第2の運搬用台車10A)を準備する。この第2の運搬用台車10Aは、第1の運搬用台車10と同一の構成をもつ。次いで、第2の運搬用台車10Aを第1の運搬用台車10の正面側(Y方向マイナス側)から第1の運搬用台車10に接近させ、第1の運搬用台車10と重ね合わせる。このとき、第2の運搬用台車10Aの第1パネル群G1が、第1の運搬用台車10の第1パネル群G1にできるだけ接近するようにする。この場合、第2の運搬用台車10Aの背面パネル13が所定の幅W1だけ開放されているので、第1の運搬用台車10の第2パネル群G2が第2の運搬用台車10Aの背面パネル13と干渉することがない。
次いで、図16(c)に示すように、折り畳み状態となった更に別の運搬用台車10B(第3の運搬用台車10B)を準備する。この第3の運搬用台車10Bは、第1の運搬用台車10および第2の運搬用台車10Aと同一の構成をもつ。続いて、この第3の運搬用台車10Bを第2の運搬用台車10Aの正面側(Y方向マイナス側)から第2の運搬用台車10Aに接近させ、第1の運搬用台車10および第2の運搬用台車10Aと重ね合わせる。このとき、第3の運搬用台車10Bの第1パネル群G1が、第2の運搬用台車10Aの第1パネル群G1にできるだけ接近するようにする。この場合、第3の運搬用台車10Bの背面パネル13が所定の幅W1だけ開放されているので、第1の運搬用台車10の第2パネル群G2および第2の運搬用台車10Aの第2パネル群G2が第3の運搬用台車10Bの背面パネル13と干渉することがない。
ところで、上述したように、これらの運搬用台車10、10A、10Bの各背面パネル13は、それぞれ幅W1だけ開放されており、この幅W1は、水平方向(X方向)に(n-1)×T以上の長さとなっている。ここで、上述したように、Tは、運搬用台車10、10A、10Bの各第1パネル群G1の合計厚みT1と第2パネル群G2の合計厚みT2とのうち厚い方の厚みであり、nは、ネスティング可能な運搬用台車10の最大数(この場合は3)である。このように、運搬用台車10、10A、10Bの背面パネル13の開放された部分の幅W1を(n-1)×T以上とすることにより、n台の運搬用台車10、10A、10Bを確実にネスティングし、これらの運搬用台車10、10A、10Bをコンパクトに収容しておくことが可能となる。以下、このような関係が成立する理由について説明する。
図17(a)(b)は、ネスティングされた運搬用台車10、10A、10Bを概略的に示す平面図であり、便宜上、各運搬用台車10、10A、10Bの背面パネル13、第1パネル群G1および第2パネル群G2のみを図示している。また、各運搬用台車10、10A、10BがX方向に沿って隙間なく密着してネスティングされている場合を想定する。なお、図17(a)(b)において、第1の運搬用台車10を実線で示し、第2の運搬用台車10Aを破線で示し、第3の運搬用台車10Bを二点鎖線で示している。
図17(a)は、各運搬用台車10、10A、10Bの第1パネル群G1の合計厚みT1が第2パネル群G2の合計厚みT2よりも大きい場合を示している。すなわち、T1=Tとなっている。また、各運搬用台車10、10A、10Bの全長(X方向の長さ)はLaであり、背面パネル13の幅(X方向の長さ)はW2である。このとき、図17(a)の第1の運搬用台車10に着目すると、La=T+W2+W1+T2(式1)という関係が成り立つ(図17(a)の上側参照)。一方、ネスティングされたn台(3台)の運搬用台車10、10A、10Bに着目すると、La=n×T+W2+T2(式2)という関係が成り立つ(図17(a)の下側参照)。上記式1と式2とにより、W1=(n-1)×Tという関係が得られる。したがって、W1が(n-1)×T以上であれば、n台の運搬用台車10、10A、10Bをネスティングすることが可能となる。
図17(b)は、各運搬用台車10、10A、10Bの第2パネル群G2の合計厚みT2が第1パネル群G1の合計厚みT1よりも大きい場合を示している。すなわち、T2=Tとなっている。この場合、図17(b)の第3の運搬用台車10Bに着目すると、La=T1+W2+W1+T(式3)という関係が成り立つ(図17(b)の上側参照)。一方、ネスティングされたn台(3台)の運搬用台車10、10A、10Bに着目すると、La=T1+W2+n×T(式4)という関係が成り立つ(図17(b)の下側参照)。上記式3と式4とにより、W1=(n-1)×Tという関係が得られる。したがって、W1が(n-1)×T以上であれば、n台の運搬用台車10、10A、10Bをネスティングすることが可能となる。
このように本実施の形態によれば、第1パネル群G1の合計厚みT1と第2パネル群G2の合計厚みT2とのうち厚い方の厚みをTとし、ネスティング可能な運搬用台車10の数をnとしたとき、背面パネル13は、水平方向に(n-1)×T以上の幅だけ開放されている。これにより、他の運搬用台車10が背面パネル13と干渉することがなく、n台の運搬用台車10を確実にネスティングすることができる。この結果、使用していないときに複数の運搬用台車10をコンパクトに収納しておくことができる。
また本実施の形態によれば、複数のパネル11~16は、展開して箱状に組立てられた展開状態と、他の運搬用台車10とネスティング可能となる折り畳み状態とをとることができる。これにより、パネル11~16を展開状態にすることにより、パネル11~16の内部に積載物を収納可能かつ気密性の高い収容空間20を形成することができる。一方、運搬用台車10を使用しない場合には、パネル11~16を折り畳み状態にすることにより、他の同一の運搬用台車10とネスティングしてこれらの運搬用台車10をコンパクトに保管しておくことができる。
また本実施の形態によれば、各パネル11~16の少なくとも一部がそれぞれ第1側枠51または第2側枠52の周囲に折り畳まれることにより、第1側枠51を含む第1パネル群G1と、第2側枠52を含む第2パネル群G2とが形成される。これにより、パネル11~16を容易に折り畳むとともに、第1側枠51および第2側枠52の周囲に複数のパネル11~16をコンパクトにまとめて配置することができる。
また本実施の形態によれば、折り畳み状態において、背面パネル13の一部である第1背面部分パネル13aは、折り畳まれることなく背面側に残るようになっている。これにより、背面パネル13を折り畳む作業が簡略化される。また、第1パネル群G1の合計厚みT1や第2パネル群G2の合計厚みT2が、背面部分パネル13aの分だけ必要以上に厚くなることが抑えられるので、その抑えられた厚みの程度によっては、ネスティング可能な運搬用台車10の数を増やすことができる。
また本実施の形態によれば、台車本体50は、6輪の車輪61~66を有するので、運搬用台車10に重い積載物や体積の大きい積載物を搭載することが可能となる。また、このような6輪の細長い運搬用台車10において、パネル11~16を選択的に展開状態にしたり、折り畳み状態にしたりすることができる。
また本実施の形態によれば、各パネル11~16は、それぞれ断熱パネルを含み、断熱パネルは、真空断熱材41または発泡断熱材を含む。真空断熱材41または発泡断熱材は厚さが薄くても断熱性能が良好なので、パネル11~16内の収容空間20の断熱性を高め、積載物を保冷または保温した状態で保管することができる。また、真空断熱材41または発泡断熱材を使用することによって、パネル11~16を軽量化することができ、展開状態の運搬用台車10の収納容積を増やすことができ、折り畳み状態の運搬用台車10をコンパクト化することができる。さらに、第1パネル群G1の合計厚みT1や第2パネル群G2の合計厚みT2を薄くすることができるので、その薄さの程度によっては、ネスティング可能な運搬用台車10の数を増やすことができる。
また本実施の形態によれば、複数のパネル11~16は、天面パネル11と、正面パネル12と、背面パネル13と、第1側面パネル14と、第2側面パネル15と、底面パネル16とを有する。これにより、パネル11~16によって収容空間20が全方向から覆われるので、収容空間20内の積載物を全方向から保護することができる。
また本実施の形態によれば、正面パネル12は、折り畳み自在な複数の正面部分パネル12a、12b、12cを含む。これにより、正面部分パネル12a、12b、12cを折り畳むことにより、運搬用台車10の正面側が開放され、積載物を収容空間20から取出したり収容空間20に収容したりすることが容易となる。また、正面部分パネル12a、12b、12cをコンパクトにまとめて、第1側枠51の外側周囲に配置することができる。この場合、正面部分パネル12a、12b、12cの幅方向(折り畳み状態におけるY方向)の長さが抑えられ、運搬用台車10が細い通路を通過する際に正面部分パネル12a、12b、12cが通路周囲の物に干渉することが防止される。
また本実施の形態によれば、台車本体50は、折り畳み可能な底板58を更に有し、底板58は、第2側枠52の周囲に折り畳まれることにより、第2パネル群G2を構成する。これにより、展開状態では、底板58によって積載物の荷重を支持することができ、折り畳み状態では、底板58を持ち上げて第2側枠52の周囲に配置することにより、運搬用台車10をネスティング可能な状態にすることができる。
(変形例)
次に、運搬用台車の各種変形例について説明する。
上記実施の形態においては、天面パネル11が3つの天面部分パネル11a、11b、11cから構成され、正面パネル12が3つの正面部分パネル12a、12b、12cから構成され、背面パネル13が2つの背面部分パネル13a、13bから構成される場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限らず、例えば各パネル11~13が取り外し可能となっている場合等には、天面パネル11、正面パネル12および背面パネル13が1枚のパネルから構成されても良い。あるいは、各パネル11~13が上記と異なる複数の部分パネルから構成されても良い。また上記実施の形態においては、第1側面パネル14、第2側面パネル15および底面パネル16がそれぞれ1枚のパネルから構成される場合を例にとって説明したが、第1側面パネル14、第2側面パネル15および底面パネル16が複数の部分パネルから構成されても良い。
また、上記実施の形態においては、第1パネル群G1は、第3正面部分パネル12cと、第2正面部分パネル12bと、第1正面部分パネル12aと、第1側面パネル14と、第1側枠51と、底面パネル16とによって構成され、第2パネル群G2は、第2側面パネル15と、第2側枠52、底板58と、第2天面部分パネル11bとによって構成される場合を例にとって説明した。しかしながら、各パネルや部分パネルは、第1パネル群G1および第2パネル群G2のいずれに属しても良い。また、底板58が第2側枠52の周囲に折り畳まれて、第2パネル群G2を構成する場合を例にとって説明したが、これに限らず、底板58が第1側枠51の周囲に折り畳まれて、第1パネル群G1を構成しても良い。
また、上記実施の形態においては、折り畳み状態において、全てのパネル11~16が台車本体50から分離しない場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限らず、折り畳み状態において、一部のパネル11~16が台車本体50から取り外されて分離しても良い。例えば、折り畳み状態において、天面パネル11の全部または一部が取り外され、運搬用台車10とは別の場所で保管されても良い。この場合、第1パネル群G1の合計厚みT1や第2パネル群G2の合計厚みT2を薄くすることができる。
また、上記実施の形態においては、6つのパネル11~16が断熱パネルを含む場合を例にとって説明したが、これに限らず、パネル11~16は必ずしも断熱性を有していなくても良い。例えば、各パネル11~16を透明または不透明な薄板から構成することにより、収容空間20に収容された積載物の落下を防止することができる。また、各パネル11~16を不透明な薄板とすることにより、収容空間20に収容された積載物を外部から視認できないように目隠しすることができる。
また、上記実施の形態においては、折り畳み状態において、正面パネル12が水平方向(X方向)に完全に開放される場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限らず、運搬用台車10をネスティングする際の妨げにならない範囲で、正面パネル12の一部が折り畳まれることなく正面側(Y方向マイナス側)に残っても良い。この場合、第1パネル群G1の合計厚みT1や第2パネル群G2の合計厚みT2を薄くすることができる。
また、上記実施の形態においては、底面パネル16が設けられる場合を例にとって説明したが、これに限らず、底面パネル16を設けなくても良い。この場合、天面パネル11と、正面パネル12と、背面パネル13と、第1側面パネル14と、第2側面パネル15と、底板58とによって収容空間20を形成しても良い。また、底面パネル16を設けることなく、例えば底板58に断熱材を吹き付けることにより、底板58に断熱性をもたせても良い。この場合、底面パネル16を移動する作業が不要となるので、パネル11~15を折り畳み状態にしたり展開状態にしたりする作業の作業性が向上する。また、第1パネル群G1の合計厚みT1や第2パネル群G2の合計厚みT2を薄くすることができる。
また、上記実施の形態においては、正面パネル12の第1正面部分パネル12a、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cが第1側枠51よりも外側に配置される場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限らず、図18に示すように、正面パネル12の第1正面部分パネル12a、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cが第1側枠51よりも内側に配置されても良い。この場合、正面パネル12は、第1側面パネル14または第1側枠51に固定された第4正面部分パネル12dを更に有している。第1正面部分パネル12aは、第4正面部分パネル12dに対して折り畳み自在に取り付けられている。なお、図18において、第1天面部分パネル11aおよび第3天面部分パネル11cの表示は省略している。
また、図19に示すように、台車本体50の第1側枠51および第2側枠52に、取り外し可能な中間棚59を設けても良い。この中間棚59は、平面視で長方形状であり、連結部材53の長手方向(X方向)に沿って延びている。このような中間棚59を設けることにより、収容空間20の内部で積載物を整理して配置することができる。この中間棚59は、第1側枠51の横桟56と第2側枠52の横桟56とに着脱可能に取り付けられている。すなわち展開状態において、中間棚59は、第1側枠51と第2側枠52との間に配置される。一方、折り畳み状態において、中間棚59は、第1側枠51および第2側枠52から取り外されて台車本体50とは別に保管される。この場合、中間棚59は、高さ方向(Z方向)に設けられた複数の横桟56のうち、任意の横桟56に取り付けることができる。なお、これに限らず、中間棚59を例えばその長手方向(X方向)の一部で分離可能としても良い。この場合、折り畳み状態において、互いに分離された一対の中間棚59の一部分をそれぞれ第1側枠51および第2側枠52の内側周囲に折り畳めるようにしても良い。また、中間棚59は1つに限らず、複数設けても良い。
(第2の実施の形態)
次に、図20乃至図35を参照して、第2の実施の形態について説明する。図20乃至図35は第2の実施の形態を示す図である。図20乃至図35に示す第2の実施の形態は、主として各パネル11~16の構成が異なるものであり、他の構成は上述した第1の実施の形態と略同一である。図20乃至図35において、図1乃至図19に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。なお、以下においては、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
図20乃至図22に示すように、本実施の形態による運搬用台車10は、台車本体50と、台車本体50に対してそれぞれ展開および折り畳み自在に設けられた複数のパネル11~16(6つのパネル11~16)とを備えている。このうち台車本体50の構成は、第1の実施の形態の場合と略同一である。
(パネルの構成)
次に、パネル11~16の構成について説明する。パネル11~16は、全体として台車本体50に対して展開および折り畳み自在に設けられており、展開して箱状に組立てられた展開状態(図20)と、ネスティング可能となる折り畳み状態(図22)とをとることができる。また、図21は、パネル11~16のうち正面パネル12のみが折り畳み状態にある場合を示している。
図20に示すように、パネル11~16は、天面パネル11と、正面パネル12と、背面パネル13と、第1側面パネル14と、第2側面パネル15と、底面パネル16とを含んでいる。展開状態において、6つのパネル11~16に取り囲まれることにより、積載物を収容する収容空間20を形成することが可能である。
次に、各パネル11~16それぞれの構成について更に説明する。
(天面パネル)
天面パネル11は、展開状態(図20)において、第1側枠51、第2側枠52、第1側面パネル14、および正面パネル12の上方に配置される。また天面パネル11は、背面パネル13よりも正面側(Y方向マイナス側)に配置され、第2側面パネル15よりも第1側面側(X方向マイナス側)に配置される。
この天面パネル11は、部分的に開閉可能な構造であり、第1側枠51側に位置する第1天面部分パネル11aと、第2側枠52側に位置するとともに、第1天面部分パネル11aよりも大きい第2天面部分パネル11bと、を有している。このうち第1天面部分パネル11aは、第1天面ヒンジ部材21c(図24(a)-(c)参照)を介して第1側面パネル14に対して折り畳み自在に取り付けられている。また、第2天面部分パネル11bは、第2天面ヒンジ部材21d(図24(a)-(c)参照)を介して第1天面部分パネル11aに対して折り畳み自在に取り付けられている。さらに、第2天面部分パネル11bは、図示しない面ファスナー(着脱部材)を介して第2側面パネル15に着脱自在に取り付けられている。
第1天面部分パネル11aと第2天面部分パネル11bとは、展開状態(図20)において、ともに水平(XY平面に平行)に配置される。また、折り畳み状態(図22)においては、第1天面部分パネル11aは水平に配置される一方、第2天面部分パネル11bは、下方に向けて折り畳まれ、第1天面部分パネル11aから垂れ下がるように配置される。このとき、第2天面部分パネル11bは、第1側枠51の内側周囲に配置され、YZ平面に平行となる。
(正面パネル)
正面パネル12は、展開状態(図20)において、天面パネル11よりも下方かつ底面パネル16よりも上方であって、背面パネル13よりも正面側(Y方向マイナス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。
この正面パネル12は、折り畳み可能な構造であり、第1側枠51側に位置する第1正面部分パネル12aと、中間に位置する第2正面部分パネル12bと、第2側枠52側に位置する第3正面部分パネル12cとを有している。このうち第1正面部分パネル12aは、第1正面ヒンジ部材22a(図23(a)-(c)参照)を介して第1側面パネル14に折り畳み自在に取り付けられている。また、第2正面部分パネル12bは、第2正面ヒンジ部材22b(図23(a)-(c)参照)を介して第1正面部分パネル12aに対して折り畳み自在に取り付けられている。さらに、第3正面部分パネル12cは、第3正面ヒンジ部材22c(図23(a)-(c)参照)を介して第2正面部分パネル12bに折り畳み自在に取り付けられている。なお、第3正面部分パネル12cは、例えば図示しない面ファスナー(着脱部材)を介して、第2側面パネル15に着脱自在に取り付けられている。
第1正面部分パネル12aと第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとは、展開状態(図20)において、ともに水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。また、第1正面部分パネル12aの幅(X方向の長さ)は、第2正面部分パネル12bおよび第3正面部分パネル12cの幅(X方向の長さ)よりも短く、第2正面部分パネル12bの幅(X方向の長さ)は、第3正面部分パネル12cの幅(X方向の長さ)と略同一である。一方、折り畳み状態(図22)においては、第1正面部分パネル12aは、第1側面パネル14の正面側(Y方向マイナス側)に位置する。また、第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとは、互いに重なるように折り畳まれ、さらに鉛直軸(Z方向軸)周りに回転して、第1側面パネル14の外側(X方向マイナス側)に配置される。このとき、第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとは、折り重なって第1側枠51の外側周囲に配置され、YZ平面に平行となる。
(背面パネル)
背面パネル13は、展開状態(図20)において、天面パネル11、正面パネル12、第1側面パネル14、第2側面パネル15および底面パネル16よりも背面側(Y方向プラス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。
この背面パネル13は、折り畳み可能な構造であり、第1側枠51側に位置する第1背面部分パネル13aと、第2側枠52側に位置する第2背面部分パネル13bとを有している。このうち第2背面部分パネル13bは、第1背面ヒンジ部材23a(図25(a)-(c)参照)を介して第1背面部分パネル13aに対して折り畳み自在に取り付けられている。また、第2背面部分パネル13bは、例えば図示しない面ファスナー(着脱部材)を介して、第2側面パネル15に着脱自在に取り付けられている。さらに、第1背面部分パネル13aは、第1側面パネル14に固定されている。
第1背面部分パネル13aと第2背面部分パネル13bとは、展開状態(図20)において、ともに水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。一方、折り畳み状態(図22)においては、第2背面部分パネル13bは、第1背面部分パネル13aに重なるように折り畳まれ、第1背面部分パネル13aよりも外側(Y方向プラス側)に配置される。このとき、第1背面部分パネル13aは、折り畳まれることなく背面側に残る。すなわち第1背面部分パネル13aは、折り畳み状態においても、展開状態と同様の位置にあり、水平面(XY平面)に対して垂直(ZX平面に平行)に配置される。また、第1背面部分パネル13aと第2背面部分パネル13bとは、折り重なって第1側枠51に対して垂直に配置され、ZX平面に平行となる。このように、折り畳み状態において、第2背面部分パネル13bが取り除かれることにより、背面パネル13は開放される。この背面パネル13が開放された部分は、水平方向(X方向)に所定の幅W1を有する(図22)。
(第1側面パネル)
第1側面パネル14は、展開状態(図20)および折り畳み状態(図22)の両方において第1側枠51側(X方向マイナス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。この第1側面パネル14の構成は、第1の実施の形態の場合と略同一である。
(第2側面パネル)
第2側面パネル15は、展開状態(図20)および折り畳み状態(図22)の両方において第2側枠52側(X方向プラス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して垂直(YZ平面に平行)に配置される。この第2側面パネル15の構成は、第1の実施の形態の場合と略同一である。
(底面パネル)
底面パネル16は、展開状態(図20)において、底面側(Z方向マイナス側)に位置するパネルであり、水平面(XY平面)に対して平行に配置される。また、展開状態において、底面パネル16は、台車本体50の底板58上であって、第1側枠51と第2側枠52との間に配置される。この底面パネル16の構成は、第1の実施の形態の場合と略同一である。
なお、図21に示すように、第1側枠51および第2側枠52の底部(Z方向マイナス側)の周囲には、それぞれ直方体状の隙間パネル17が設けられている。この隙間パネル17は、底面パネル16と第1側面パネル14または第2側面パネル15との隙間を塞ぐものであり、これにより、収容空間20の断熱性を更に高めることができる。
図22は、パネル11~16が折り畳み状態にある場合を示している。図22に示すように、折り畳み状態において、各パネル11~16の少なくとも一部がそれぞれ第1側枠51または第2側枠52の周囲に折り畳まれている。
すなわち、第1側枠51の周囲には、外側(X方向マイナス側)から順に、第2正面部分パネル12bと、第3正面部分パネル12cと第1側面パネル14と、底面パネル16と、第2天面部分パネル11bとが重なっている。なお、第1側枠51は、第1側面パネル14と底面パネル16との間に位置する。また、第2側枠52の周囲には、外側(X方向プラス側)から順に、第2側面パネル15と、底板58とが重なっている。なお、第2側枠52は、第2側面パネル15と底板58との間に位置する。
この場合、第1側枠51および第2側枠52の周囲には、それぞれ第1パネル群G1および第2パネル群G2が形成されている。このうち第1パネル群G1は、第2正面部分パネル12bと、第3正面部分パネル12cと、第1側面パネル14と、第1側枠51と、底面パネル16と、第2天面部分パネル11bとによって構成される。また、第2パネル群G2は、第2側面パネル15と、第2側枠52と、底板58とによって構成される。
第1の実施の形態の場合と同様に、第1パネル群G1の合計厚みT1と第2パネル群G2の合計厚みT2とのうち厚い方の厚みをTとし、ネスティング可能な運搬用台車10の数をnとする。この場合、上述した背面パネル13の開放された幅W1は、水平方向(X方向)に(n-1)×T以上の長さとなっている。
(運搬用台車の分解)
次に、運搬用台車10を分解する際の作用について説明する。図23乃至図25は、運搬用台車10を順番に分解する工程の一部を説明する図である。
まず、図20に示すように、運搬用台車10の6つのパネル11~16が展開して箱状に組立てられている場合(展開状態)を想定する。このとき、各パネル11~16の間には、略直方体形状の収容空間20が形成されている。
次に、図21に示すように、正面パネル12を折り畳むことにより、正面パネル12が展開状態から折り畳み状態に移行する。
この間、まず図23(a)に示すように、第3正面部分パネル12cが第2正面部分パネル12bに重なるように折り畳まれる。具体的には、第3正面部分パネル12cが、第3正面ヒンジ部材22cを中心として第2正面部分パネル12bに対して平面視で時計回りに回転する。
続いて、図23(b)に示すように、第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが互いに重なり、この状態で、第2正面ヒンジ部材22bを中心として第1正面部分パネル12aに対して平面視で時計回りに回転する。
その後、図23(c)に示すように、第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが、第1側枠51の外側周囲に移動する。具体的には、第1正面部分パネル12aが、第1正面ヒンジ部材22aを中心として第1側面パネル14に対して平面視で時計回りに回転する。この際、第1正面部分パネル12aが、第1側面パネル14に対して正面側(Y方向マイナス側)に位置し、第2正面部分パネル12bと第3正面部分パネル12cとが、第1側枠51に対して外側(X方向マイナス側)に位置する。このようにして、図21に示すように、正面パネル12が折り畳み状態となり、運搬用台車10の正面側が水平方向(X方向)に完全に開放される。
次に、第1の実施の形態の場合と同様にして、底面パネル16を折り畳むことにより、底面パネル16が展開状態から折り畳み状態となる。この間、底面パネル16は、第1側枠51に対して正面視で反時計回りに回転する。これにより、底面パネル16は、第1側枠51の内側周囲に位置する。
次いで、第1の実施の形態の場合と同様にして、底板58を折り畳むことにより、底板58が展開状態から折り畳み状態となる。この間、底板58は、第2側枠52に対して正面視で時計回りに回転し、第2側枠52の内側(X方向マイナス側)に重なるように折り畳まれて、第2側枠52の内側周囲に位置する。
続いて、図24(a)-(c)に示すように、天面パネル11を折り畳むことにより、天面パネル11が展開状態から折り畳み状態となる。
この間、まず図24(a)(b)に示すように、第1天面部分パネル11aが、第1天面ヒンジ部材21cを中心として第1側面パネル14に対して正面視で反時計回りに回転し、第2天面部分パネル11bが、第2天面ヒンジ部材21dを中心として第1天面部分パネル11aに対して正面視で時計回りに回転する。
続いて、図24(c)に示すように、第2天面部分パネル11bが、第1側枠51の内側周囲に移動する。具体的には、第1天面部分パネル11aが、第1天面ヒンジ部材21cを中心として第1側面パネル14に対して正面視で時計回りに回転し、第2天面部分パネル11bが、第2天面ヒンジ部材21dを中心として第1天面部分パネル11aに対して正面視で時計回りに回転する。これにより、第2天面部分パネル11bは、下方に向けて折り畳まれ、第1天面部分パネル11aから垂れ下がるように配置される。このとき、第2天面部分パネル11bは、第1側枠51の内側周囲であって、底面パネル16に対して内側(X方向プラス側)に配置される。
次に、図25(a)(b)に示すように、背面パネル13を折り畳むことにより、背面パネル13が展開状態から折り畳み状態となる。
この間、まず図25(a)(b)に示すように、第2背面部分パネル13bが、第1背面ヒンジ部材23aを中心として第1背面部分パネル13aに対して平面視で反時計回りに回転する。これにより、第2背面部分パネル13bは、第1背面部分パネル13aに重なるように折り畳まれ、第1背面部分パネル13aの外側(Y方向プラス側)に配置される。一方、第1背面部分パネル13aは、折り畳み状態においても展開状態と同一の位置を維持する。
このようにして、運搬用台車10の6つのパネル11~16が、全て折り畳み状態となり、第1側枠51および第2側枠52の周囲には、それぞれ第1パネル群G1および第2パネル群G2が形成される。
(運搬用台車の組立)
運搬用台車10の組立方法は、上述した分解方法の逆の順に行うことによってできる。すなわち、まず、図25(a)(b)の逆作業から開始し、背面パネル13を折り畳み状態から展開状態とする。次いで、図24(a)-(c)の逆作業として、天面パネル11を折り畳み状態から展開状態とする。次に、底板58および底面パネル16を折り畳み状態から展開状態とし、最後に、図23(a)-(c)の逆作業として、正面パネル12を折り畳み状態から展開状態とすることにより、組立作業が完了する。
ところで、本実施の形態においては、底面パネル16が一枚の板状部材からなる場合を例にとって説明したが、これに限らず、底面パネル16が複数(2つ)の部分底面パネルから構成されていても良い。
例えば図26(a)-(c)に示すように、底面パネル16は、第1側枠51側に位置する第1底面部分パネル16aと、第2側枠52側に位置する第2底面部分パネル16bと、を有している。このうち第1底面部分パネル16aは、例えば遊び布等からなる第1底面ヒンジ部材26cを介して、第1側面パネル14に対して折り畳み自在に取り付けられている。また、第2底面部分パネル16bは、第2底面ヒンジ部材26dを介して第1底面部分パネル16aに対して折り畳み自在に取り付けられている。また、第2底面部分パネル16bは、図示しない面ファスナー(着脱部材)を介して第2側面パネル15に着脱自在に取り付けられている。
第1底面部分パネル16aと第2底面部分パネル16bとは、展開状態において、ともに水平(XY平面に平行)に配置される。一方、折り畳み状態においては、第2底面部分パネル16bは、第1底面部分パネル16aに重なるように折り畳まれる。このとき、第1底面部分パネル16aおよび第2底面部分パネル16bは、第1側枠51の内側周囲に配置され、YZ平面に平行となる。
底面パネル16を折り畳む場合、まず図26(a)(b)に示すように、第1底面部分パネル16aが、第1底面ヒンジ部材26cを中心として第1側面パネル14に対して正面視で反時計回りに回転する。また、第2底面部分パネル16bが、第2底面ヒンジ部材26dを中心として第1底面部分パネル16aに対して正面視で時計回りに回転する。その後、図26(c)に示すように、第1底面部分パネル16aおよび第2底面部分パネル16bが、重なった状態で第1側枠51の内側周囲に配置される。
本実施の形態において、パネル11~14、16、17は、他のパネルに対して着脱可能に取り付けられている。具体的には、正面パネル12と第1側面パネル14とが互いに着脱可能に取り付けられ、背面パネル13と第1側面パネル14とが互いに着脱可能に取り付けられている。また、天面パネル11と第1側面パネル14とが互いに着脱可能に取り付けられている。さらに、底面パネル16と隙間パネル17とが互いに着脱可能に取り付けられている。
以下、図27乃至図33を参照して、各パネル11~14、16、17を着脱可能に取り付けるための構成について説明する。
図27(a)に示すように、正面パネル12の第1正面部分パネル12aには、第1側面パネル14側に突出する凸状の被挟み込み部28aが設けられている。また、第1側面パネル14には、被挟み込み部28aを挟み込む凹状の挟み込み部29aが設けられている。被挟み込み部28aが挟み込み部29aに挟み込まれることにより、正面パネル12が第1側面パネル14に取り付けられている。一方、被挟み込み部28aを挟み込み部29aから引き離すことにより、正面パネル12が第1側面パネル14から取り外される。このように、正面パネル12と第1側面パネル14とが互いに着脱可能に取り付けられている。
図27(b)に示すように、正面パネル12を展開状態から折り畳み状態に移行する際には、第1正面部分パネル12aが第1側面パネル14に対して平面視で時計回りに回転する。この場合においても、第1正面部分パネル12aに設けられた被挟み込み部28aが第1側面パネル14に設けられた挟み込み部29aにしっかりと挟み込まれているので、第1正面部分パネル12aが第1側面パネル14から外れることがない。
図28(a)は、第1正面部分パネル12aと第1側面パネル14との取付部を拡大して示す図である。図28(a)に示すように、第1正面部分パネル12aに設けられた被挟み込み部28aは、面ファスナーのフック部31aを有している。また第1側面パネル14に設けられた挟み込み部29aは、面ファスナーのループ部31bを有している。この被挟み込み部28aのフック部31aと挟み込み部29aのループ部31bとが着脱することにより、第1正面部分パネル12aと第1側面パネル14とが互いに着脱可能に取り付けられている。なお、第1正面部分パネル12aのうち、第1側面パネル14側の領域A1には、面ファスナーのループ部31bが設けられており、この領域A1で被挟み込み部28aが第1正面部分パネル12aに着脱可能に取り付けられている。これにより、正面パネル12を展開状態から折り畳み状態に移行する際、第1正面部分パネル12aを第1側面パネル14よりも正面側(Y方向マイナス側)にスムーズに回転移動させることができる(図27(b)参照)。
図28(b)に示すように、挟み込み部29aが面ファスナーのループ部31bを有している。このため、正面パネル12を取り外した際、挟み込み部29aのループ部31b同士が付着し、挟み込み部29aが塞がってしまうことがない。しかしながら、これに限らず、被挟み込み部28aが面ファスナーのループ部31bを有していても良い。
なお、図29に示すように、第1側面パネル14に被挟み込み部28aを設け、第1正面部分パネル12aに、被挟み込み部28aを挟み込む挟み込み部29aを設けても良い。
図30に示すように、第1側面パネル14には、背面パネル13側に突出する凸状の被挟み込み部28bが設けられている。また、背面パネル13の第1背面部分パネル13aには、被挟み込み部28bを挟み込む凹状の挟み込み部29bが設けられている。被挟み込み部28bが挟み込み部29bに挟み込まれることにより、第1側面パネル14が背面パネル13に取り付けられている。一方、被挟み込み部28bを挟み込み部29bから引き離すことにより、第1側面パネル14が背面パネル13から取り外される。このように、背面パネル1と第1側面パネル14とが互いに着脱可能に取り付けられている。
この場合、挟み込み部29bが面ファスナーのループ部を有し、被挟み込み部28bが面ファスナーのフック部を有している。しかしながら、これに限らず、挟み込み部29bがフック部を有し、被挟み込み部28bがループ部を有していても良い。また、第1側面パネル14に挟み込み部29bを設け、第1背面部分パネル13aに被挟み込み部28bを設けても良い。
図31に示すように、第1側面パネル14には、天面パネル11側に突出する凸状の被挟み込み部28cが設けられている。また、天面パネル11の第1天面部分パネル11aには、被挟み込み部28cを挟み込む凹状の挟み込み部29cが設けられている。被挟み込み部28cが挟み込み部29cに挟み込まれることにより、第1側面パネル14が天面パネル11に取り付けられている。一方、被挟み込み部28cを挟み込み部29cから引き離すことにより、第1側面パネル14が天面パネル11から取り外される。このように、天面パネル11と第1側面パネル14とが互いに着脱可能に取り付けられている。
この場合、挟み込み部29cが面ファスナーのループ部を有し、被挟み込み部28cが面ファスナーのフック部を有している。しかしながら、これに限らず、挟み込み部29cがフック部を有し、被挟み込み部28cがループ部を有していても良い。また、第1側面パネル14に挟み込み部29cを設け、第1天面部分パネル11aに被挟み込み部28cを設けても良い。
図32に示すように、底面パネル16には、隙間パネル17側に突出する凸状の被挟み込み部28dが設けられている。また、隙間パネル17には、被挟み込み部28dを挟み込む凹状の挟み込み部29dが設けられている。被挟み込み部28dが挟み込み部29dに挟み込まれることにより、底面パネル16が隙間パネル17に取り付けられている。一方、被挟み込み部28dを挟み込み部29dから引き離すことにより、底面パネル16が隙間パネル17から取り外される。
この場合、挟み込み部29dが面ファスナーのループ部を有し、被挟み込み部28dが面ファスナーのフック部を有している。しかしながら、これに限らず、挟み込み部29dがフック部を有し、被挟み込み部28dがループ部を有していても良い。また、底面パネル16に挟み込み部29dを設け、隙間パネル17に被挟み込み部28dを設けても良い。
図33(a)(b)は、図27乃至図32に示す各パネル11~14、16、17の断面構成を示している。
図33(a)(b)に示すように、パネル11~14、16、17は、パネル中心部46と、パネル中心部46を包む遮熱シート45とを有している。このうちパネル中心部46は、真空断熱材41と、発泡断熱材42と、断熱外囲部43と、断熱材保護部材44とを含んでいる(図6参照)。図33(a)に示すように、被挟み込み部28a~28dは、パネル中心部46からはみ出した遮熱シート45の一部を突出させることにより凸状に形成されている。また図33(b)に示すように、挟み込み部29a~29dは、パネル中心部46からはみ出した遮熱シート45の一部を折り曲げることにより凹状に形成されている。
このように、パネル11~14、16、17を互いに着脱可能に取り付けることにより、パネル11~17を含む運搬用台車10として使用するだけでなく、パネル11~17を取り外した台車本体50を単独で用いることも可能となる。また、例えば台車本体50とパネル11~17とを別々の場所で製造する場合、台車本体50やパネル11~17の輸送作業や運搬用台車10の組み立て作業を効率良く行うことができる。さらに、運搬用台車10を使用せずに長期保管する際に、各パネル11~17を台車本体50から取り外しておくことができる。
なお、本実施の形態において、必ずしも各パネル11~17の全てが他のパネル11~17又は台車本体50に着脱可能に取り付けられていなくても良く、一部のパネル11~17が他のパネル11~17又は台車本体50に着脱できないように取り付けられていても良い。また、上述した第1の実施の形態においても、図27乃至図33に示す形態と同様に、複数のパネル11~16の全部又は一部が互いに着脱可能に取り付けられていても良い。
以下、図34および図35を参照して、本実施の形態の変形例について説明する。図34(a)は、パネル13、14が第1側枠51に取り付けられる前の状態を示し、図34(b)は、パネル13、14が第1側枠51に取り付けられた後の状態を示している。また図35(a)は、パネル11、14が第1側枠51に取り付けられる前の状態を示し、図35(b)は、パネル11、14が第1側枠51に取り付けられた後の状態を示している。
図34(a)に示すように、背面パネル13の第1背面部分パネル13aは、第1揺動片71aと第2揺動片71bとを有している。このうち第1揺動片71aは、第1背面部分パネル13aのX方向マイナス側端部から延びている。また第2揺動片71bは、第1背面部分パネル13aのY方向マイナス側に位置するとともに、第1揺動片71aよりもX方向プラス側から延びている。第1揺動片71aおよび第2揺動片71bには、それぞれ面ファスナー72a、72bが取り付けられている。また、第2揺動片71bと第1背面部分パネル13aとに、それぞれテープ等の接着部材73a、73bが取り付けられている。さらに、第1側面パネル14のX方向プラス側の面とX方向マイナス側の面とには、それぞれ面ファスナー72c、72dが取り付けられている。
図34(b)に示すように、背面パネル13の接着部材73a、73bは、それぞれ第1側枠51に接着され、これにより背面パネル13が第1側枠51に固定されている。また、第1揺動片71aの面ファスナー72aと第2揺動片71bの面ファスナー72bとが、それぞれ第1側面パネル14の面ファスナー72d、72cに取り付けられている。このようにして、背面パネル13と第1側面パネル14とが着脱自在に取り付けられている。
図35(a)に示すように、天面パネル11の第1天面部分パネル11aのX方向マイナス側端部には、第3揺動片71cと第4揺動片71dとが設けられている。第3揺動片71cおよび第4揺動片71dには、それぞれ面ファスナー72e、72fが取り付けられている。面ファスナー72e、72fは、第3揺動片71cおよび第4揺動片71dの互いに対向する面にそれぞれ設けられている。また、第1側面パネル14のZ方向プラス側端部に、第5揺動片71eが設けられている。第5揺動片71eの両面には、面ファスナー72g、72hが取り付けられている。
図35(b)に示すように、正面から見て、天面パネル11の第3揺動片71cと第4揺動片71dとが、第1側面パネル14の第5揺動片71eを挟み込むように回転する。このとき、第3揺動片71cの面ファスナー72eと第5揺動片71eの面ファスナー72gとが、互いに取り付けられ、第4揺動片71dの面ファスナー72fと第5揺動片71eの面ファスナー72hとが、互いに取り付けられる。このようにして、天面パネル11と第1側面パネル14とが着脱自在に取り付けられている。
上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。