JP2023025385A - 光触媒組成物、光触媒組成物溶液、光触媒部材、及び空間除菌方法 - Google Patents

光触媒組成物、光触媒組成物溶液、光触媒部材、及び空間除菌方法 Download PDF

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Abstract

【課題】可視光で強い光触媒効果が得られる光触媒組成物、当該光触媒組成物を用いた光触媒組成物、光触媒部材、当該光触媒組成物の使用方法、及び空間除菌方法を提供すること。【解決手段】イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物と、キトサン及びポリエチレンイミンより選択される1種以上の犠牲剤と、を含有する光触媒組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、光触媒組成物、光触媒組成物溶液、光触媒部材、光触媒組成物の使用方法、及び空間除菌方法に関する。
光を照射することにより触媒作用を示す光触媒が知られている。光触媒は光照射するだけで有機物の分解や、殺菌処理などを容易に行うことができることから、様々な応用が検討されている。
現行、光触媒としては酸化チタンが広く用いられている。酸化チタンが触媒作用を発現するためには、紫外光を照射する必要があり、また酸化チタンは発がん性が指摘されており、適用場面が限定されることがある。そのため、様々な用途に適用可能な光触媒が検討されている。
例えば特許文献1には、アスコルビン酸からなる還元性有機物と、特定の鉄供給原料を、40~100℃で10秒~10日間の条件で、水存在化にて特定の割合で混合し、得られた前記還元性有機物のFe2+錯体を含む反応生成物を活性成分としてなる光触媒が開示されている。
また特許文献2には、ポリマー材料に放射性増感剤を与えるステップと、当該ポリマー材料を滅菌するのに有効な線量および時間で、好適な放射線を照射するステップを含むポリマー材料の滅菌方法が開示されており、前記放射線増感剤として200μg/mL以上のリボフラビンを用いることが記載されている。
特開2018-023977号公報 特表2010-508403号公報
本発明の課題は、可視光で強い光触媒効果が得られる光触媒組成物、当該光触媒組成物を用いた光触媒組成物、光触媒部材、当該光触媒組成物の使用方法、及び空間除菌方法を提供することである。
本発明に係る光触媒組成物は、イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物と、
キトサン及びポリエチレンイミンより選択される1種以上の犠牲剤と、を含有する。
上記光触媒組成物の一実施形態は、前記イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物が、下記一般式(1)で表される化合物、又は下記一般式(2)で表される化合物を含む。
Figure 2023025385000001
式(1)中、
、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
及びRは、各々独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
式(2)中、
11、R12、R13及びR14は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
15及びR16は、各々独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基である。
上記光触媒組成物の一実施形態は、前記イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物が、リボフラビン及びリボフラビン誘導体より選択される1種以上を含む。
上記光触媒組成物の一実施形態は、前記キトサンの脱アセチル化度が50%以上である。
上記光触媒組成物の一実施形態は、前記キトサンの分子量が5,000~1,000,000である。
上記光触媒組成物の一実施形態は、更に、鉄イオン、銅イオン及びニッケルイオンより選択される1種以上を含有する。
上記光触媒組成物の一実施形態は、前記イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物(A)と、前記犠牲剤(B)との質量比(A/B)が、1/2~1/10000である。
本発明は、上記光触媒組成物と、溶媒とを含有する、光触媒組成物溶液を提供する。
本発明は、基材上に上記光触媒組成物を含む皮膜を備える、光触媒部材を提供する。
上記光触媒組成物の使用方法の一実施形態は、
(I)イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物と、溶媒とを含有する組成物溶液、
又は、
(II)基材上に、イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物を含む皮膜を備える部材に、
キトサン及びポリエチレンイミン誘導体より選択される1種以上の犠牲剤を供給する。
また本発明は、上記光触媒組成物を空間に噴霧する、空間除菌方法を提供する。
本発明により、可視光で強い光触媒効果が得られる光触媒組成物、当該光触媒組成物を用いた光触媒組成物、光触媒部材、当該光触媒組成物の使用方法、及び空間除菌方法が提供される。
以下、本発明に係る光触媒組成物(以下、本光触媒組成物ともいう)、当該光触媒組成物を用いた光触媒組成物、光触媒部材、当該光触媒組成物の使用方法、及び空間除菌方法について順に説明する。
なお、数値範囲を示す「~」は特に断りのない限りその下限値及び上限値を含むものとする。
[光触媒組成物]
本光触媒組成物は、イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格(以下、イソアロキサジン骨格等ともいう)を有する化合物と、キトサン及びポリエチレンイミンより選択される1種以上の犠牲剤とを含有する。
本光触媒組成物は、上記化合物の組み合わせにより、可視光で強い光触媒効果が得られる。この作用については未解明な部分もあるが以下のように推定される。
本光触媒組成物において、イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物は、可視光(例えば波長400~600nm)の光を効率よく吸収し、キトサン又はポリエチレンイミンとの間で酸化還元反応を起こして還元されるものと推定される。還元されたイソアロキサジン骨格等を有する化合物は空気中の酸素との間で酸化還元反応を起こして酸化されるとともにHを生じるものと推定される。このように本光触媒組成物は、可視光からHを発生することができ、強い光触媒効果が得られる。
本光触媒組成物は、例えば白色LEDなど比較的出力の小さい光源を用いた場合でも優れた光触媒効果が得られる。本光触媒組成物は、イソアロキサジン骨格等を有する化合物を比較的低濃度で用いた場合であっても、強い光触媒効果が得られるため、例えば溶液としての色味を抑えて用いることもできる。
本光触媒組成物において、光触媒効果を得るために消費されるのは、キトサン又はポリエチレンイミンのみであり、イソアロキサジン骨格等を有する化合物は保持される。そのため、キトサン又はポリエチレンイミンを供給することで光触媒効果を長期的に維持することが可能である。
更に本光触媒組成物は、水に可溶であり、ヒトなどの生体内に取り込まれた場合であっても安全性が高く、様々な用途に用いることができる。
本光触媒組成物は、少なくとも前記イソアロキサジン骨格等を有する化合物と、キトサン及びポリエチレンイミンより選択される1種以上とを含有すればよく、本発明の効果を奏する範囲で更に他の成分を含有してもよいものである。以下、本光触媒組成物に含まれ得る各成分について説明する。
<イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物>
前記イソアロキサジン骨格等を有する化合物は、当該イソアロキサジン骨格等が可視光線等を吸収する光増感剤として機能する。
本光触媒組成物においては、優れた光触媒作用が得られる点から、イソアロキサジン骨格等を有する化合物が下記一般式(1)で表される化合物、又は下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2023025385000002
式(1)中、
、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
及びRは、各々独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
式(2)中、
11、R12、R13及びR14は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
15及びR16は、各々独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基である。
~R、R11~R14におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
~R、R11~R14における炭化水素基としては、炭素数1~6の直鎖又は分岐を有するアルキル基、置換基として直鎖又は分岐を有するアルキル基を有していてもよい炭素数6~12のシクロアルキル基又はアリール基などが挙げられる。直鎖又は分岐を有するアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基などが挙げられる。またアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。R~R、R11~R14における炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。
光触媒能の点から、R、R、R11及びR14は各々独立に水素原子であることが好ましい。また、光触媒能の点から、R、R、R12及びR13は各々独立に、置換基を有しない直鎖又は分岐を有するアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
、R15及びR16における炭化水素基としては、前記R等と同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。光触媒能の点から、R、R15及びR16は各々独立に水素原子が好ましい。
における炭化水素基としては、前記R等と同様のものが挙げられる。Rにおける炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシ基又はそのエステルなどが挙げられる。Rにおける置換基としては、中でも、リビチル基(-CH-CHOH-CHOH-CHOH-CHOH)又は、当該リビチル基のエステル化体が好ましい。
更に前記イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物は、リボフラビン又はリボフラビン誘導体が特に好ましい。リボフラビンはビタミンB2としても知られ、安全性が高く、例えばヒトや生物の体内に取り込まれる可能性のある用途にも好適に用いることができる。
リボフラビン誘導体の具体例としては、リボフラビンテトラブチレート、リボフラビンテトラアセテート、ルミクローム(7,8-ジメチルアロキサジン)、リボフラビンリン酸エステル、及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、フラビンアデニンジヌクレオチドなどが挙げられる。
リボフラビン及びリボフラビン誘導体はこれらの中でも、光触媒能、安全性、工業的入手の容易性などから、リボフラビン、リボフラビンテトラブチレート、ルミクローム、リボフラビンリン酸エステルナトリウムが好ましい。
本光触媒組成物において、前記イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<キトサン及びポリエチレンイミン>
本光触媒組成物においてキトサン及びポリエチレンイミンは、光触媒反応において自らは分解されながら反応を進行させる犠牲剤としての機能を果たす化合物である。前記イソアロキサジン骨格等を有する化合物と組み合わせて用いることで、可視光線により優れた光触媒効果を得ることができる。また、犠牲剤としてキトサン及びポリエチレンイミンを用いることで、光触媒能の長期安定性に優れている。これらのポリマーは本光触媒組成物の犠牲剤としての活性を失った後でも骨格を維持し、例えばバインダー成分として機能し得る。
本発明においてキトサンは、グルコサミン由来の構成単位を有し、アセチルグルコサミン由来の構成単位を有していてもよい化合物であり、更に他の構成を有していてもよい。また、本発明においてキトサンは、キトサンオリゴ糖に分類され得る比較的低分子量のものを含むものとする。当該キトサンとしては、光触媒能などの点から、中でも、複数個のD-グルコサミンの1位と4位が結合して重合したキトサン(ポリ-1,4-β-D-グルコサミン)又はキトサンオリゴ糖が好ましい。キトサンは、グルコサミン由来の構成単位のみからなるポリグルコサミンであってもよく、N-アセチルグルコサミン由来の構成単位を有していてもよい。
上記キトサンは、例えば、エビ、カニ、キノコ、昆虫、菌の細胞壁などから得られるキチンをアルカリで脱アセチル化することによって得られる。キトサンの脱アセチル化度は、光触媒効果の点や、光触媒効果の持続性のなどの点から70%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
なお、キトサンの脱アセチル化度は{グルコサミン由来の構成単位数/(グルコサミン由来の構成単位数+アセチルグルコサミン由来の構成単位数)}×100(%)を表し、例えば、ポリビニル硫酸カリウム(PVSK)を用いたコロイド滴定法などにより測定できる。
本発明においてキトサンは、キトサン誘導体を含んでいてもよい。キトサン誘導体としては、例えば、上記キトサンと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを反応させて得られる、ヒドロキシエチルキトサン等のヒドロキシアルキレンキトサン;
上記キトサンと、(1)モノクロロ酢酸とを反応させ、又は(2)グリオキサール酸を還元的アミノ化させて得られる、カルボキシメチル化キトサン;
上記キトサンにアジピン酸ジクロリド等のジクロリドを反応させて得られる架橋構造を有するキトサン等が挙げられる。
キトサンの分子量は、光触媒効果の点から、350以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、30,000以上が更に好ましく、40,000以上が特に好ましい。一方、キトサン分子の動きやすさが低下することによる光触媒効果の低下や、粘度が高くなり取り扱い性が悪くなるなどの点から、1,000,000以下が好ましく、500,000以下がより好ましく、200,000以下がさらに好ましい。
なお本発明において分子量は、水系ゲル濾過クロマトグラフィー(Chromaster(登録商標)、株式会社日立ハイテクサイエンス社製)により、標準プルラン換算値として求めたピークトップ分子量(Mp)である。
キトサンは、上述のように天然物から抽出してもよく、合成してもよい。またポリグルコサミンは市販品を用いてもよい。
ポリエチレンイミンは、-CH-CH-NH-で表される構成単位、及び-CH-CH-N<で表される構成単位より選択される1種以上の構成単位を1分子中に2個以上有する化合物である。
ポリエチレンイミンは、-CH-CH-NH-又は-CH-CH-N<で表される構成単位以外の構成単位を有していてもよい。
ポリエチレンイミン中の-CH-CH-NH-又は-CH-CH-N<で表される構成単位の割合は、ポリエチレンイミンの全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
本発明においてポリエチレンイミンは、ポリエチレンイミン誘導体を含んでいてもよい。ポリエチレンイミン誘導体としては、例えば、上記ポリエチレンイミンと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを反応させて得られる、ヒドロキシエチルポリエチレンイミン等のヒドロキシアルキレンポリエチレンイミン;
上記ポリエチレンイミンと、(1)モノクロロ酢酸とを反応させ、又は(2)グリオキサール酸を還元的アミノ化させて得られる、カルボキシメチル化ポリエチレンイミン;
上記キトサンにアジピン酸ジクロリド等のジクロリドを反応させて得られる架橋構造を有するポリエチレンイミン等が挙げられる。
ポリエチレンイミンのピークトップ分子量(Mp)は、光触媒効果の点から、1,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、25,000以上が更に好ましい。一方、ポリエチレンイミンの重量平均分子量は合成の容易性などの点から、1,000,000以下が好ましく、800,000以下がより好ましく、500,000以下がさらに好ましい。
ポリエチレンイミンは、例えばアジリジンを開環重合することにより合成することができる。また、ポリエチレンイミンは市販品を用いてもよい。
本光触媒組成物においてキトサン及びポリエチレンイミンは、いずれか一方を用いてもよく、キトサンとポリエチレンイミンを併用してもよい。
本光触媒組成物において、イソアロキサジン骨格等を有する化合物の質量(A)と、前記ポリグルコサミン及びポリエチレンイミンの合計質量(B)との質量比(A/B)は、1/2~1/10000が好ましい。A/Bが1/10000以上であれば光触媒効果に優れている。一方、A/Bは1/2以下で十分な光触媒効果を発揮する。ただし、ポリグルコサミン及びポリエチレンイミンは使用時に減少していくことから、予め過剰に入れておいてもよく、ポリグルコサミン及びポリエチレンイミンの量が低下した場合には新たに添加してもよい。
<他の成分>
本光触媒組成物は、本発明の効果を奏する範囲で更に他の成分を含有してもよい。他の成分としては、後述する光触媒組成物溶液及び光触媒部材において例示される各成分や、各種添加剤などが挙げられる。
添加剤として、例えばアスコルビン酸類、ポリオール類、ポリフェノール類、及びアルカノールアミン類などが挙げられる。これらの化合物は、イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物の還元剤としても機能し得る。
また、本光触媒組成物は、更に、鉄イオン、銅イオン及びニッケルイオン(以下、特定金属イオンともいう)より選択される1種以上を含有することが好ましい。当該特定金属イオンを含有する光触媒組成物においては、可視光により発生したHが、上記特定金属イオンと酸化還元反応を起こして還元されOHラジカルを生じるものと推定される。このようなに本光触媒組成物は、可視光から反応性の高いOHラジカルを発生することができ、強い光触媒効果が得られる。
上記特定金属イオンは1種類を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。本光触媒組成物においては、光触媒能や多様な用途に用いる点から、鉄イオン又は銅イオンを含むことが好ましく、鉄イオンを含むことがより好ましい。
上記特定金属イオンは、例えば、後述する溶媒として水を使用する場合に、その水源(例えば、井戸水、河川・湖沼水、海水、水道水、農業用水、工業用水など)中に含まれるイオンを活用してもよく、また原料やその他環境中に含まれるイオンを活用してもよく、光触媒組成物製造工程において入り込みうる金属イオンを活用してもよい。
また、下記イオン源となる化合物を組合せて用いることで、本光触媒組成物中のイオン量を容易に調整することができる。
<金属イオン源>
上記金属イオンを用いるために、本光触媒組成物は、鉄イオン源、銅イオン源及びニッケルイオン源より選択される金属イオン源を含むことが好ましい。鉄イオン源、銅イオン源及びニッケルイオン源(以下、特定金属イオン源ということがある)は、各々、鉄イオン、銅イオン、及びニッケルイオンを生じ得る化合物であり、生じた金属イオンにより、OHラジカルを効率的に発生させることができる。
鉄イオン源としては、解離性のある鉄化合物が挙げられる。鉄化合物は、2価の鉄イオンを含むものであってもよく、3価の鉄イオンを含むものであってもよい。鉄イオンは光触媒反応において2価の状態と3価の状態を繰り返すためである。
鉄化合物としては、例えば塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硝酸鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、グルコン酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、フマル酸鉄(II);塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモニウム、EDTA鉄(III)、酸化鉄(III)、硝酸鉄(III)、水酸化鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)、アスコルビン酸鉄(II)、鉄(II)クロロフィリンナトリウム、鉄(II)クロロフィル、鉄(II)アセチルアセトナートなどが挙げられる。
銅イオン源としては、解離性のある銅化合物が挙げられる。銅化合物は、1価の銅イオンを含むものであってもよく、2価の銅イオンを含むものであってもよい。
銅化合物としては、例えば、硫酸銅(II)、塩化銅(II)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(I)、酢酸銅(II)、硝酸銅(II)、クエン酸銅(II)、グルコン酸銅(II)、銅(II)クロロフィリンナトリウム、銅(II)クロロフィル、銅(II)アセチルアセトナートなどが挙げられる。
ニッケルイオン源としては、解離性のあるニッケル化合物が挙げられる。ニッケル化合物は、2価のニッケルイオンを含むものであってもよく、3価のニッケルイオンを含むものであってもよい。
ニッケル化合物としては、例えば、硫酸ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、安息香酸ニッケル(II)、ニッケル(II)アセチルアセトナートなどが挙げられる。
特定金属イオン源の合計質量(C)と、前記ポリグルコサミン及びポリエチレンイミンの合計質量(B)との質量比(C/B)は、光触媒効果に優れる点から、1/100000~1/10であることが好ましく、1/10000~1/20がより好ましく、1/5000~1/100が更に好ましい。
またイオン源を用いる場合には、本光触媒組成物は、光触媒反応時に当該イオン源となる化合物が乖離する程度に水分を含んでいることが好ましい。
[光触媒組成物溶液]
本光触媒組成物溶液は、前記本光触媒組成物と、溶媒とを含有する。
溶媒としては、前記光触媒組成物の各成分を溶解又は分散するものの中から適宜選択して用いることができる。光触媒組成物の各成分を溶解可能な点から、溶媒として、水及び水溶性溶媒より選択される1種以上の溶媒を含むことが好ましく、水を含むことがより好ましい。水溶性溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール系溶媒などが挙げられる。
水と水溶性溶媒との混合溶媒を用いる場合、溶媒100質量%中、水溶性溶媒は10質量%以下が好ましく、5質量%以下が好ましい。更に、溶媒は、種々の用途に使用可能な点あら、実質的に水のみからなる溶媒であることが好ましい。
本光触媒組成物溶液中のイソアロキサジン骨格等を有する化合物の割合は、溶液の体積を基準に、1~100μg/mLが好ましく、2~80μg/mLがより好ましく、3~50μg/mLが更に好ましく、4~20μg/mLが特に好ましい。上記下限値以上とすることで、優れた光触媒性能を発現する。一方上記上限値以下とすることで、着色を抑えた光触媒組成物溶液が得られる。着色する光触媒組成物溶液を用いた場合には光の透過が不十分となり、光源から離れた部分で光触媒効果が得られない場合があるという課題があった。本光触媒組成物溶液は、着色を抑えることで、多量に用いる場合であっても光が届かないという問題が抑えられる。また、光触媒組成物溶液内を視認したい場合にも好適である。
本光触媒組成物溶液中のキトサン及びポリエチレンイミンの合計の割合は、溶液の体積を基準に、5~2000μg/mLが好ましく、25~1500μg/mLがより好ましく、50~1200μg/mLが更に好ましい。上記範囲内とすることで光触媒効果に優れた溶液を得ることができる。なお、キトサン及びポリエチレンイミンは消費されるため一時的に上記範囲外となっていてもよい。キトサン及びポリエチレンイミンの割合が低くなった場合には、適宜添加してもよい。
本光触媒組成物溶液が特定金属イオン源を含有する場合、本光触媒組成物溶液中の特定金属イオン源の合計の割合は、溶液の体積を基準に、0.01~10μg/mLが好ましく、0.02~5μg/mLがより好ましく、0.1~2μg/mLが更に好ましい。0.01μg/mL以上とすることで、特定金属イオンの効果が十分に発揮され更に光触媒効果に優れた溶液となる。
本光触媒組成物溶液は、本発明の効果を奏する範囲で、用途等に応じて更に他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、pH調整剤などが挙げられる。
界面活性剤は、基材等への濡れ性を付与することなどを目的に用いられ、用途に応じて、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤など、公知の界面活性剤の中から適宜選択して用いることができる。
本光触媒組成物溶液は、光触媒が用いられている従来公知のあらゆる用途に適用することができる。更に、本光触媒組成物溶液は仮に人や生物の体内に取り込まれても安全性が高いため、例えば、空気清浄機や加湿器のタンク内の水の浄化;室内などの空間に噴霧する空間除菌用途;水棲生物の飼育用水槽内の水;植物育成用の水;水溶性金属加工液;食品の鮮度保持液剤;消臭液剤;除菌液剤;抗ウイルス液剤;洗浄液剤などが挙げられる。
[光触媒部材]
本光触媒部材は、基材上に、前記本光触媒組成物を含む皮膜を備えるものである。
基材は、樹脂、不織布、金属、ガラス、セラミックスなどの基材の中から部材の用途に応じて適宜選択すればよい。光触媒効果により劣化する恐れのある樹脂などを基材とする場合、光触媒組成物の皮膜を形成する前にアンダーコート層として、シリコーン皮膜等を設けてもよい。
なお、本光触媒組成物中のキトサン又はポリエチレンイミンはバインダーとしても機能し、皮膜としたときに基材との密着性にも優れている。
光触媒組成物の皮膜は、本発明の効果を奏する範囲で、用途等に応じて更に他の成分を含有してもよい。他の成分としては、前記光触媒組成物溶液で例示される各成分や、キトサン及びポリエチレンイミン以外のバインダー樹脂を含有してもよい。
のバインダー樹脂を用いることで基材への密着性がより向上する。本光触媒部材において用いられるバインダー樹脂としては、水性有機樹脂が好ましい。具体的には水性ウレタン系樹脂、水性アクリル系樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性エポシキ樹脂、水性フッ素樹脂、水性シリコーン樹脂、水性ポリエチレン樹脂などが挙げられる。
光触媒組成物の皮膜は、例えば、前記本光触媒組成物、前記本光触媒組成物溶液又はこれらと上記バインダー樹脂との混合物を基材表面に吹き付けることなど、公知の塗布方法により形成することできる。
本光触媒部材は、例えば建物の外壁、窓ガラスや、室内の床材、壁紙など建材や、多孔質の基材を用いて光触媒性能を有するフィルター用途などとして好適に用いることができる。
[光触媒組成物の使用方法]
本光触媒組成物の使用方法の一例として、
(I)イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物と、溶媒とを含有する組成物溶液、又は
(II)基材上に、イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物を含む皮膜を備える部材に、
キトサン及びポリエチレンイミンより選択される1種以上を供給する方法が挙げられる。
上記本使用方法によれば、キトサン又はポリエチレンイミンが減少した組成物溶液や部材にキトサン又はポリエチレンイミンが供給されて、光触媒性能を容易に再生することができる。供給方法は、例えば、溶液の場合には、キトサン又はポリエチレンイミンの溶液を添加する方法などが挙げられる。また、部材の場合には、キトサン又はポリエチレンイミンの溶液を皮膜に吹き付ける方法などが挙げられる。
以上のように、本光触媒組成物は、イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物と、キトサン及びポリエチレンイミンより選択される1種以上とを組み合わせることにより、可視光の光を吸収して、低濃度であっても優れた光触媒効果が得られる。低濃度で用いることが可能であるから、例えば着色が抑えられた水溶液の形態でも散ることができる。また、各成分ともに生物への安全性に優れているため、生体内に取り込まれる可能性の高い用途にも好適に用いることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明について具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下「ppm」は「μg/mL」を表す。
[犠牲剤]
犠牲剤として、下記キトサンA~C、オリゴキトサン及びポリエチレンイミンを用いた。
・キトサンA:イキトサンM、大日精化工業株式会社製(Mp:151,000、脱アセチル化度約85%)
・キトサンB:キトフレッシュ(2)、丸善製薬株式会社製(Mp:79,000、脱アセチル化度約90%)
・キトサンC:ダイキトサンPVL、大日精化工業株式会社製(Mp:48,000、脱アセチル化度約85%)
・オリゴキトサン:COS―YS、焼津水産化学工業株式会社製(Mpは6000未満)
・ポリエチレンイミン:エポミンP-1000、株式会社日本触媒製(Mp:30,000)
なお、ピークトップ分子量(Mp)は、水系ゲル濾過クロマトグラフィー(Chromaster(登録商標)、株式会社日立ハイテクサイエンス社製)により、下記の条件で測定を行い、標準プルラン換算値として求めた値である。
・カラム:SB-805 HQ(ゲルろ過カラム、Shodex社製)
・移動相:50mM酢酸、0.3M硝酸ナトリウム水溶液
・カラム温度:40℃
また、脱アセチル化度は、ポリビニル硫酸カリウム(PVSK)を用いたコロイド滴定法により測定した。
<調製例1:キトサンA水溶液の調製>
1Lの純水に上記キトサンA20gを加え分散させた。そこに、(R)-2-ヒドロキシプロピオン酸(東京化成工業株式会社)を7.5g添加し、室温で3時間撹拌し完全に溶解させ、キトサンA水溶液(20000ppm)を得た。
<調製例2:キトサンB水溶液の調製>
1Lの純水に上記キトサンB20gを加え分散させた。そこに、D-グルクロン酸(東京化成工業株式会社)を25.8g添加し、室温で3時間撹拌し完全に溶解させ、キトサンB水溶液(20000ppm)を得た。
<調製例3:キトサンC水溶液の調製>
1Lの純水に上記キトサンC20gを加え分散させた。そこに、りんご酸(東京化成工業株式会社)を16.5g添加し、室温で3時間撹拌し完全に溶解させ、キトサンC水溶液(20000ppm)を得た。
<調製例4:オリゴキトサン水溶液の調製>
1Lの純水に上記オリゴキトサン20gを加え、室温で3時間撹拌し完全に溶解させ、オリゴキトサン水溶液(20000ppm)を得た。
<調製例5:ポリエチレンイミン水溶液の調製>
1Lの純水に上記ポリエチレンイミン20gを加え分散させた。そこに、(R)-2-ヒドロキシプロピオン酸(東京化成工業株式会社)を38.3g添加し、室温で1時間撹拌し完全に溶解させ、ポリエチレンイミン水溶液(20000ppm)を得た。
[実施例1:光触媒組成物溶液の調製]
リボフラビン5ppm相当と、前記キトサンA水溶液10%(キトサンA2000ppm相当)と、グルコン酸鉄(II)1ppm相当とを混合し、水を加えて、表1に記載の組成となるように調製し、実施例1の光触媒組成物溶液を得た。
[実施例2~26:光触媒組成物溶液の調製]
実施例1において各成分及び配合量を表1~3に記載の濃度となるように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~26の光触媒組成物溶液を得た。
[比較例1~7:溶液の調製]
実施例1において各成分及び配合量を表1~3に記載の濃度となるように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1~7の溶液を得た。
[評価]
<光殺菌力評価>
(1)試験液の調製
試験菌種は、大腸菌Escherichia coli K-12株(NBRC3301)を用いた。当該試験菌を淮陽した普通ブイヨン観点培地(栄研化学(株)製、栄研(登録商標))から白金耳でコロニー1つを取り、試験管に入った10mLの液体培地(オートクレーブ滅菌済み)に加え、インキュベーター30℃設定で2日間培養し、菌数4~6×10CFU/mlに調製した。得られた菌液を、実施例1の光触媒組成物でそれぞれ1000倍希釈し、菌数4~6×10CFU/mlの試験液を作成した。尚、光触媒組成物は、試験直前に滅菌用マイレクス:穴径(0.22μm)を使用し濾過滅菌したものを用いた。
(2)試験プレートの作成
滅菌済みシャーレの底に滅菌済み調湿用ろ紙を置き、滅菌水を4.5mL入れ、試験プレートと調湿用ろ紙とが触れないようにU字管を置いた。その上に滅菌済みのガラス板(5.5cm×5.5cm)を置いて,滅菌した綿標準布(JIS L 0803に規定)を置いた。上記(1)で調製した試験液を前記綿標準布に0.2mL接種し、密着ガラス(ほう珪酸ガラス;5.5cm×5.5cm)を被せた。更に保湿用ガラス板(ほう珪酸ガラス(10cm×10cm)をシャーレの上に被せた。同様の試験プレートを2つ以上作成した。
他の実施例及び比較例の光触媒組成物も同様にして、各試験プレートを作成した。
(3)光照射及び測定
作成した試験プレートのうち一つを光照射下(光源:白色LED;FHF32W2;三洋電機株式会社製)で25℃、4時間放置した。尚、予め保湿用ガラスおよび密着ガラス越しの光照射照度を照度計(照度計T-10A、コニカミノルタ株式会社製)で測定し、光量子束密度50μmol・m-2・s-1になるよう調製した。
これとは別の試験プレートを暗所で25℃4時間放置した。
各試験プレートを滅菌済みストマッカー袋に試験試料を移し,洗い出し液(滅菌水)20mLを加え(100倍希釈),試験試料から菌を洗い出し、10倍希釈法により菌数を測定した。
(評価基準)
光照射後の菌数(1)と暗所保管後の菌数(2)との菌数比((1)/(2))を算出して評価した。
A(秀):菌数比が1/100未満であった。
B(優):菌数比が1/100以上、1/10未満であった。
C(良):菌数比が1/10以上、1/4未満であった。
D(可):菌数比が1/4以上、1/2未満であった。
E(不可):菌数比が1/2以上であった。
<着色性評価>
5cm×5cmに裁断した試験用標準布に、10cm離れた位置から、スプレーボトルに入れた実施例及び比較例で得た各光触媒組成物を所定量吹き付けたものを評価用サンプルとし、塗布前後の下記式で表される色差を測定した。結果を表1~3に示す。
標準布:クレシアテクノワイプC100-M 日本製紙クレシア株式会社製
色差ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)2]1/2
ΔL=L値(塗布後)-L値(塗布前)
Δa=a値(塗布後)-a値(塗布前)
Δb=b値(塗布後)-b値(塗布前)
(評価基準)
A(優):ΔEが10.0未満であった。
B(良):ΔEが10.0以上、20.0未満であった。
E(不可):ΔEが20.0以上であった。
<光殺菌力安定性評価>
各実施例及び比較例の光触媒組成物を50℃の恒温槽内に1ヶ月間保存した。保存後の光触媒組成物について、前記光殺菌力評価と同様の評価を行い、菌数比((1)/(2))を算出した。保存後の光触媒組成物の菌数比(A)と、前記光殺菌力評価の菌数比(B)との比((A)/(B)×100)を算出して、下記の基準で評価した。結果を表1~3に示す。
(評価基準)
A(優):(A)/(B)が98%以上であった。
B(良):(A)/(B)が50%以上、98%未満であった。
E(不可):(A)/(B)が50%未満であった。
Figure 2023025385000003
Figure 2023025385000004
Figure 2023025385000005
[表1~3のまとめ]
比較例1に示されるようにキトサンの単量体であるグルコサミンを用いた光触媒組成物は光殺菌力が不十分であった。またL-アスコルビン酸Naを用いた比較例2の光触媒組成物は、光殺菌力の長期安定性の点で劣ることが示された。
実施例1~28に示されるように、イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物と、キトサン及びポリエチレンイミンより選択される1種以上とを含有する本光触媒組成物は、イソアロキサジン骨格等を有する化合物の濃度を抑えながら、優れた殺菌効果及び光殺菌力の長期安定性を示すことが明らかとなった。
[実施例27~37]
実施例1において各成分及び配合量を表4に記載の配合となるように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例27~37の光触媒組成物溶液を得た。なお表4中の各成分の数値は、各成分の合計を100質量%とした質量比を示している。
得られた光触媒組成物は、前記の評価方法と同様の方法により、光殺菌力、着色性、光殺菌力安定性を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2023025385000006
表4に示される通り、金属イオン源の合計質量(C)と、前記ポリグルコサミン及びポリエチレンイミンの合計質量(B)との質量比(C/B)が1/10000~1/20の範囲で特に優れた光殺菌力が示された。
[実施例38]
ポリウレタン系コーティング剤(ユシロ化学工業株式会社製、RB6)に、リボフラビン10ppm、キトサンAの水溶液1%、グルコン酸鉄(II)1.4ppmとなるように配合し、光触媒樹脂組成物を調製した。シャーレ上に前記光触媒樹脂組成物を塗布し、乾燥させて、触媒組成物を含む皮膜を形成した。
得られた皮膜上に、菌数8.3×10CFU/mlの大腸菌Escherichia coli K-12株(NBRC3301)液0.5mlをスプレー塗布した。次いで、波長450nm、光量子束密度50μmol・m-2・s-1の青色光を3時間照射した。
照射後の皮膜を、SAN-AI EZ-DipTTC(三愛石油株式会社製)を用いて
スタンピング測定を行い、菌数を測定した。
また、対照実験として、上記光触媒樹脂組成物の代わりに、ポリウレタン系コーティング剤(RB6)を用いて、上記と同様にして菌数を測定した。
光触媒組成物を含まない皮膜上の菌数はおよそ1.0×10個であったのに対し、実施例38の皮膜上の菌は<1.0×10個以下であった。このように、本光触媒組成物はバインダー樹脂と組み合わせて皮膜とした場合であっても殺菌効果が得られることが示された。

Claims (11)

  1. イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物と、
    キトサン、及びポリエチレンイミンより選択される1種以上の犠牲剤と、を含有する光触媒組成物。
  2. 前記イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物が、下記一般式(1)で表される化合物、又は下記一般式(2)で表される化合物を含む、請求項1に記載の光触媒組成物。
    Figure 2023025385000007
    式(1)中、
    、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
    及びRは、各々独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
    式(2)中、
    11、R12、R13及びR14は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
    15及びR16は、各々独立に、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭化水素基である。
  3. 前記イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物が、リボフラビン及びリボフラビン誘導体より選択される1種以上を含む、請求項1又は2に記載の光触媒組成物。
  4. 前記キトサンの脱アセチル化度が50%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光触媒組成物。
  5. 前記キトサンの分子量が5,000~1,000,000である、請求項1~4のいずれか一項に記載の光触媒組成物。
  6. 更に、鉄イオン、銅イオン及びニッケルイオンより選択される1種以上を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の光触媒組成物。
  7. 前記イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物(A)と、前記犠牲剤(B)との質量比(A/B)が、1/2~1/10000である、請求項1~6のいずれか一項に記載の光触媒組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の光触媒組成物と、溶媒とを含有する、光触媒組成物溶液。
  9. 基材上に、請求項1~7のいずれか一項に記載の光触媒組成物を含む皮膜を備える、光触媒部材。
  10. (I)イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物と、溶媒とを含有する組成物溶液、
    又は、
    (II)基材上に、イソアロキサジン骨格又はアロキサジン骨格を有する化合物を含む皮膜を備える部材に、
    キトサン及びポリエチレンイミンより選択される1種以上の犠牲剤を供給する、光触媒組成物の使用方法。
  11. 請求項1~7のいずれか一項に記載の光触媒組成物を空間に噴霧する、空間除菌方法。
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