JP5603701B2 - 抗菌性組成物及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、抗菌性組成物とその用途に関し、より詳細には、広範な抗細菌と抗真菌活性を有するとともに、紫外線照射による変色や着色を抑制可能な抗菌性組成物及びその用途に関する。
近年、銀イオンを利用した殺菌剤、抗菌剤、防腐剤等が開発され、生活用品に幅広く普及している。銀イオンを利用したものの中には、実際の効果が疑われるものや、水溶性が低いために所望の効果を得る濃度で使用できないものがある。そして、銀イオンは、一般に、紫外線により還元され、変質等が起こることが知られている。特に、銀イオンを配合した殺菌剤や抗菌剤を対象物に塗布して乾燥固形化すると、変色、着色、金属銀析出等により対象物が汚染されることが少なくない。
高い抗菌活性を維持し、かつ毒性、皮膚剌激性及び粘膜剌激性を低くした殺菌・抗菌剤成分として、銀とイミダゾール類との錯体が知られている(特許文献1〜4)。これらの錯体には、水に難溶で光安定性が低いという問題点がある。
銀とピロリドンカルボン酸、ヒスチジン等との錯体が、水溶性かつ安定であることが見出された(特許文献5〜8、並びに非特許文献1)。これらの錯体も、水に溶かした状態で長期間安定に存在できずに、金属銀の析出や、激しい変色を引き起こす。銀錯体そのものの変色が添加対象物の変色も引き起こし、適用可能な対象が限定されていた。
無機担持型の銀系抗菌剤と、プリン、ピリミジン塩基類、チアベンダゾール等とを含む組成物(特許文献9及び10)が提案された。これらの組成物は、水溶性に乏しく、銀イオンを有効に使用することが困難であった。
5,5−二置換型ヒダントイン、バルビツール酸等を配位子とする銀錯体(特許文献11)も考案された。銀イオンを水溶液として利用するためには、配位子を銀に対して1モル当量追加し、さらに高塩基性に調整する必要がある。それでも、十分な変色抑制効果は得られない。
2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸(以下、PDCと称する)、そのアルカリ金属塩やエステルは、安全性が高く、環境に対する負荷がほとんどない抗菌剤や殺菌剤の有効成分として、利用が期待される(特許文献12及び13)。そして、PDC銀に抗菌性があることも知られている(特許文献14)。しかし、PDC銀は、後述するように、紫外線等により変色や着色を起こす点で耐光性に劣る。
WO95/007913 特開平11−077912 特開2005−145923 特開2009−001636 特開2000−256365 特開2000−016905 特開2001−335405 特開2008−285543 特開2003−176220 特開2003−192918 WO2002/026039 再公表特許2008/078723 特開2009−234954 WO2009/151146
Molecular design and synthesis of water−soluble silver(I) complexes exhibiting a wide spectrum of effective antimicrobial activities. Kenji N., Isao A., Noriko C. K., Takako K. 2008, Current Topics in Biochemical Research., 10, 1, p1−11.
そこで、本発明は、広範な抗細菌と抗真菌活性を有するとともに、紫外線等による変色や着色を抑制する耐光性に優れた抗菌性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、PDCの銀塩又は銀錯体、その誘導体の銀塩又は銀錯体のいずれか1種以上の化合物にクレアチニンを一定量配合することにより、広範な抗細菌・抗真菌スペクトルを有し、水溶性が良好で、紫外線等による変色、着色や析出物の発生を抑制できる抗菌性組成物を作製できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸の銀塩又は銀錯体、その誘導体の銀塩又は銀錯体のいずれか1種以上の化合物及びクレアチニンを含有する抗菌性組成物であって、前記化合物中の銀(A)とクレアチニン(B)とのモル比(B)/(A)が、2〜80であることを特徴とする、前記抗菌性組成物を提供する。本明細書において、「2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸の誘導体」は、2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸のモノエステル体、若しくはモノアミド体などを意味する。
本発明は、また、上記抗菌性組成物を含有する除菌剤又は消臭剤を提供する。
本発明は、また、上記抗菌性組成物を含有する洗浄剤を提供する。
本発明は、また、上記抗菌性組成物を含有する塗料を提供する。
本発明は、また、上記抗菌性組成物を含有する接着剤又は粘着剤を提供する。
本発明は、また、上記抗菌性組成物を含有する繊維抗菌加工処理剤を提供する。
PDCの銀塩又は銀錯体、その誘導体の銀塩又は銀錯体のいずれか1種以上の化合物とクレアチニンとを一定の割合で配合した本発明の抗菌性組成物によれば、良好な水溶性と紫外線等への耐光性が得られる。この特性を利用して、本発明の抗菌性組成物は、除菌剤や消臭剤、洗浄剤、香粧品、塗料、接着又は粘着剤、繊維抗菌加工処理剤、医薬品や医薬部外品、食品等への使用が期待される。
本発明の抗菌性組成物は、PDCの銀塩又は銀錯体、その誘導体の銀塩又は銀錯体のいずれか1種以上の化合物及びクレアチニンを必須成分とする。PDCは、以下の化学式:
で示され、PDC又はその誘導体の銀塩又は銀錯体はPDC又はその誘導体に含まれるカルボキシル基の少なくとも1個と銀イオンとが結合したものである。本明細書では、PDCに銀イオンが1個結合したものをPDC一銀と称し、銀イオンが2個結合したものをPDC二銀と称する。
PDC又はその誘導体の銀塩又は銀錯体は、2個以上のPDC又はその誘導体の2H−ピラン−2−オン環の一部と一個以上の銀イオンとで形成されている複塩でもよい。
本発明に使用する銀塩又は銀錯体は、上記PDC一銀、その誘導体の一銀塩又は一銀錯体、PDC二銀、又は、PDC又はその誘導体の複塩を単独に用いてもよく、これらを二種以上組み合わせて用いてもよい。
PDCは、例えば特開2009−082064号に記載の製造方法に準じて、糖類を出発物質として、大腸菌XL1−Blue株(STRATEGENE, CA, USA)にPDCの発酵生産プラスミドpCDFDuet−qutC及びpULABCを導入した形質転換細胞を培養することで得られる。
PDC又はその誘導体の銀塩又は銀錯体は、硝酸銀、炭酸銀、硫酸銀等の銀塩や酸化銀を水、アルコール等の水性媒体に溶解又は分散させ、得られる溶液又は分散液にさらにPDC又はその誘導体を作用させることにより得られる。得られるPDC又はその誘導体の銀塩又は銀錯体を、適宜、再結晶、ろ過、乾燥等をすることにより精製する。
本発明の抗菌性組成物のもう一つの必須成分であるクレアチニンは、以下の化学式:
で示される、分子量113.12の水溶性化合物である。
本発明の抗菌性組成物は、PDCの銀塩又は銀錯体、その誘導体の銀塩又は銀錯体のいずれか1種以上の化合物とクレアチニンとを水性媒体に添加することにより得られる。別法として、PDC及び/又はその誘導体とクレアチニンとを水性媒体に添加し、次いで、硝酸銀、酸化銀等の銀化合物又はその溶液を添加してもよい。また、クレアチニンを添加した水性媒体に硝酸銀、酸化銀等の銀化合物を更に添加し、次いで、PDC及び/又はその誘導体はその溶液を添加してもよい。水性媒体の例には、水、水とアルコール等の有機媒体との混合物があり、好ましくは水である。
本発明の抗菌性組成物は、PDCの銀塩又は銀錯体、その誘導体の銀塩又は銀錯体のいずれか1種以上の化合物中の銀(A)とクレアチニン(B)とのモル比(B)/(A)が、2〜80であり、好ましくは3〜80であり、さらに好ましくは3〜10であり、特に好ましくは3〜8である。上記モル比が2未満であると、抗菌性組成物の溶解状態及び/又は乾固状態での耐光性が改善されない、溶解性が低下するために抗菌性組成物を高濃度に調製できない等の問題がある。上記モル比が高すぎるとクレアチニン濃度増加によるコストアップやクレアチニンの溶解度が問題になる。よって、モル比80を上限とする。
本発明の抗菌性組成物は、広範な抗細菌、抗真菌活性を有する。具体的には、ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、レンサ球菌のようなグラム陽性球菌、バシラス属、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、リステリア属、プロピオニバクテリウム属又はアクチノミセス属のようなグラム陽性桿菌等のグラム陽性菌;ナイセリア属又はブランハメラ属のようなグラム陰性球菌、シュードモナス属、大腸菌、腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、ペスト菌、ヘモフィルス属、ブルセラ属又はボルデテラ属のようなグラム陰性桿菌等のグラム陰性菌:ビブリオ属等のらせん状桿菌;リケッチア:クラミジア;マイコプラズマ等が挙げられる。真菌類としては、カンジタ等の酵母;アスペルギルス、クラドスポリウム、トリコフィトン等のカビ等が挙げられる。特に、スタフィロコッカス・アウレウス亜種アウレウス、エシェリキア・コリ、シュードーモナス・アエルギノサ、サルモネラ・エンテリティディス、ビブリオ・パラハエモリティカス、アスペルギルス・ニゲル、カンジダ・アルビカンス、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス、トリコフィトン・ルブルム等に有効である。
本発明の抗菌性組成物が抗菌・殺菌性を発揮するためには、菌種にもよるが、PDC及び/又はその誘導体、又は銀の含有量の下限は、通常、0.005mM以上であり、好ましくは0.01mM以上、特に好ましくは0.04mM以上である。含有量が低すぎると充分な抗菌・殺菌性が得られない。また、PDC及び/又はその誘導体、又は銀の含有量の上限は、通常、150mM以下、好ましくは50mM以下、特に好ましくは20mM以下である。含有量が高すぎると不溶物が生じる場合がある。
本発明の抗菌性組成物のpHは、通常、1〜12であり、好ましくは3〜6である。
本発明の抗菌性組成物には、上記必須成分の他に、抗菌剤・殺菌剤分野で汎用されている助剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で使用することができる。このような助剤の例には、公知の抗菌剤・防かび剤、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、乳化剤、香料、着色料、水溶性高分子、アルコール類、蛍光増白剤、粘度調整剤、発泡剤等が挙げられる。
本発明の抗菌性組成物は、溶液、スプレー、クリーム、ペースト、ゲル、ジェル、粉末、顆粒等の形態で使用することができる。本発明の組成物は、水溶性であることから、水溶液やスプレーとして使用することが特に有利である。
本発明の抗菌性組成物は、除菌剤や消臭剤、洗浄剤、香粧品、塗料、接着又は粘着剤、繊維抗菌加工処理剤、医薬品や医薬部外品、食品、飼料、農薬等への抗菌殺菌活性成分として添加することができる。本発明の抗菌性組成物は、上記用途に用いても優れた耐光性を発揮する。上記用途における本発明の抗菌性組成物の配合量は、PDC及び/又はその誘導体、又は銀の含有量として、通常、0.005〜100mMでよく、好ましくは0.01〜10mM、特に好ましくは0.04〜4mMである。
以下に、本発明の実施例及び比較例を示して、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔調製例1〕PDC銀の調製
特開2009−082064号公報に記載の方法に準じた。グルコースを出発物質として大腸菌XL1−Blue株(STRATEGENE, CA, USA)にPDCの発酵生産プラスミドpCDFDuet−qutC及びpULABCを導入した形質転換細胞を培養後、PDCを抽出した。
上記で得られたPDC1.03g(5.50mmol)を水37.5mlに溶かした。この水溶液に、硝酸銀0.85g(5.00mmol、シグマアルドリッチジャパン株式会社)の水溶液12.5mlを添加して、PDC一銀の白色沈殿を得た。この沈殿物を濾過して回収した後、回収物を乾燥させた。同様に、PDC0.92g(5.00mmol)及び硝酸銀1.87g(11.0mmol)を用いてPDC二銀を合成した。
〔実施例1及び2、並びに比較例1〜3〕
1.PDC銀及びクレアチニンを含有する抗菌性組成物の調製
調製例で得たPDC一銀0.100g(0.324mmol)、及びクレアチニン0.146g(1.30mmol、和光純薬工業株式会社)を水100mlに溶解し、銀濃度が3.24mM、クレアチニン/銀のモル比が4の組成物(実施例1)を得た。また、PDC一銀(0.324mmol)をPDC二銀0.670g(0.162mmol)とする以外は実施例1と同様の方法で銀濃度が3.24mMでクレアチニン/銀のモル比が4の組成物(実施例2)を調製した。
2.抗菌性組成物の抗菌試験(1)
上記抗菌性組成物の抗菌効果を確認するため、以下の菌種:
(細菌)
1.黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp. Aureus、NBRC13276)、
2.大腸菌(Escherichia coli、NBRC3972)、及び、
(真菌)
1.クロコウジカビ(Aspergillus niger、NBRC9455)
に対するMIC(最小発育阻止濃度)を測定した。
比較のため、従来、抗菌剤として知られている硝酸銀についても、同様の測定を行った。具体的には、硝酸銀0.055g(0.324mmol)を水100mlに溶解して用いた(比較例1;銀濃度:3.24mM)。また、クレアチニン添加の効果を比較するため、クレアチニンを含まない以外は実施例1及び実施例2と同様の方法で比較例2及び比較例3(いずれも銀濃度:3.24mM)を調製した。
発育阻止濃度の測定試験は、日本化学療法学会によるMIC(最小発育阻止濃度)寒天平板希釈法に準じて、以下の手順で行った。ミュラーヒントンII寒天培地(ベクトン・ディッキンソン社製)にて、上記細菌をそれぞれ37±3℃で一夜培養した。また、上記真菌は、それぞれ、サブロー・ブドウ糖寒天倍地(日水製薬株式会社製)にて、25±3℃で5〜10日間培養した。寒天平板上の被検菌体を滅菌生理食塩水でMacFarland No.1(細菌は約10cfu/mL、真菌は約10cfu/mL)相当の濁度に懸濁し、接種用菌液とした。
実施例1及び比較例1を、それぞれ、メンブレンフィルター(製品名マイレクスHV、日本ミリポア株式会社製)を通して滅菌した。
約45℃に保った感受性測定用培地(細菌はミュラーヒントンII寒天培地、真菌はサブロー・ブドウ糖寒天培地)を用いて、最高濃度を10%として2倍希釈の薬剤系列を各2枚ずつ作製し、滅菌シャーレに固化したものを被検物質含有感受性培地とした。対照として、薬剤原液の代わりに滅菌精製水を使用したものについて、同様に各濃度1枚作製し、薬剤不含培地とした。
被検物質含有感受性培地及び薬剤不含培地の寒天培地表面に、接種用菌液を白金耳で2cm程度画線塗抹した(被検物質含有感受性培地はn=2、薬剤不含培地はn=1)。細菌は37±3℃で18〜20時間、真菌は25±3℃で3〜5日間、それぞれ好気培養を行った。培養後、各被検物質含有感受性培地及び薬剤不含培地について菌の発育の有無を判定した。これらの測定結果から算出したMIC値(菌の発育を阻害する銀濃度)を表1に示す。
3.抗菌性組成物の抗菌試験(2)
本発明の抗菌性組成物の抗菌効果をさらに確認するため、以下の真菌:
クロカワカビ(Cladosporium cladosporioides JCM 3899)
に対するMIC(最小発育阻止濃度)の測定を行った。比較のため、比較例1(硝酸銀3.24mM)、比較例2(PDC一銀3.24mM)及び比較例3(PDC二銀1.62mM)についても、それぞれ同様の測定を行った。
まず、PDA寒天倍地(ベクトン・ディッキンソン社製)上にて、上記菌株を25±3℃で5〜10日間培養した。寒天平板上の被検菌体を滅菌精製水でMacFarland No.1(約10 cfu/mL)相当の濁度に懸濁し、接種用菌液とした。
実施例1及び2、並びに比較例1〜3の抗菌性組成物を、それぞれ、孔径0.45μmのメンブレンフィルター(製品名マイレクスHV、日本ミリポア株式会社製)を通して滅菌した。
約45℃に保った感受性測定用培地(PDA寒天培地)を用いて最高濃度を10%として2倍希釈の薬剤系列を各2枚ずつ作製し、滅菌シャーレに固化したものを被検物質含有感受性培地とした。対照として、薬剤原液の代わりに滅菌精製水を使用したものについて、同様に各濃度1枚作製し、薬剤不含培地とした。
被検物質含有感受性培地及び薬剤不含培地の寒天培地表面に、接種用菌液を白金耳で2cm程度画線塗抹した(n=2)。25±3℃で3〜5日間、それぞれ好気培養を行った。培養後、各被検物質含有感受性培地及び薬剤不含培地について菌の発育の有無を判定し、MIC値を決定した(表2)。
表1及び2の結果から、本発明の抗菌性組成物は、硝酸銀やPDC銀等と同様に、広範な細菌及び真菌に対して優れた抗菌効果を有することが確認された。
4.抗菌性組成物の耐光性試験
本発明の抗菌性組成物の光安定性を、溶液及び乾固状態で確認した。
(1)溶液状態での耐光性試験
実施例1及び2、並びに比較例2及び3を、それぞれ、孔径0.20μmのメンブレンフィルター(製品名:マイレクスLG、日本ミリポア株式会社製)を通して不溶物を除去した。次いで、各溶液10mlをそれぞれガラス製バイアル瓶(20ml容量)に入れ、蓋をせずに高エネルギー紫外光源の下に設置した。光源として、東芝ライテック株式会社製殺菌ランプGL−15(殺菌線出力4.9W、紫外線放射強度51μW/cm)を使用した。光源と溶液(液面)との距離は4cmとした。12時間毎に、各溶液に変色又は析出物の発生が起こるかを、以下の基準で観察した。結果を表3に示す。
○:変色又は析出物の発生が認められなかった。
×:変色又は析出物の発生が認められた。
(2)乾固状態での耐光性試験
各溶液0.05mlをスライドグラス上に滴下し、50℃、減圧下で揮発分を除去して乾燥した試験体を得た。この試験体を上記紫外光源下(光源と試験体との距離:6cm)に設置した。60分までの変色を、以下の基準で観察した。結果を表3に示す。
☆:透明
◎:半透明
○:白色
×:黄色、褐色、灰色、黒色等に着色
表3の結果より、PDC銀のみを用いた比較例2及び3では、溶液状態の耐光性が劣った。一方、PDC銀及びクレアチニンを配合した実施例1及び2の組成物は、溶液状態及び乾固状態で優れた耐光性を有した。
〔比較例4〜8〕
実施例1において、クレアチニンに代えて、化学式:
で示されるグアニン、化学式:
で示されるアセチルアセトングアニジン、化学式:
で示される5−アザシトシン、化学式:
で示されるヒダントイン、又は化学式:
で示される5,5−ジメチルヒダントインを、それぞれ、添加した以外は、実施例1と同様の手順で組成物を得た。ここで、PDC一銀中の銀と上記化合物とのモル比は、実施例1と同じく4とした。耐光性試験結果を表4に示す。
比較例4、5及び6では、表4のとおり、組成物を水に完全に溶解させることができず、評価できなかった。また、比較例7及び8では、溶解したものの、溶液状態の耐光性が1日後に悪化し、乾固状態の耐光性も認められなかった。
〔実施例3〜9、比較例9〕クレアチニン配合量
実施例1でのクレアチニン配合量を、表5に示すように変えた以外は実施例1と同様の手順で組成物を調製した。各組成物の耐光性試験の結果を表5に示す。
表5から、PDC一銀に対するクレアチニン添加量は、銀に対して2〜80モル当量で変色抑制効果を示し、3〜80モル当量が適当であり、3〜8モル当量が最適であることが確認された。
〔実施例10〜11、比較例10〜11〕抗菌性組成物を用いた除菌剤
実施例1において、PDC銀及びクレアチニンの濃度を5倍とする以外は、実施例1と同様の手順で組成物を調製し、PDC一銀濃度16.2mM、そしてクレアチニン/銀のモル比4の組成物(実施例10)を得た。同様に、比較例2においてPDC一銀の濃度を5倍とする以外は、比較例2と同様の手順で組成物を調製し、PDC一銀濃度16.2mMでクレアチニンを含まない組成物(比較例10)を得た。
除菌・消臭剤として汎用の99.5%エタノール80mlに、実施例10の組成物を20ml添加することにより、PDC一銀濃度3.24mMの除菌剤(実施例11)を調製した。同様に、99.5%エタノール80mlに比較例10の組成物を20ml添加することにより、PDC一銀濃度3.24mMの除菌剤(比較例11)を調製した。
実施例11の除菌剤を透明ガラス容器内で密栓した状態で室温に放置し、外観を観察した。7日後、除菌剤に変色や析出物の発生は認められなかった。よって、除菌剤の安定性が確認された。
(溶液状態での耐光性試験)
実施例11及び比較例11の除菌剤10mlを、それぞれ、20mlのガラス製バイアル瓶に入れ、蓋をせずに前記紫外光源下(光源と液面との距離:4cm)に設置した。10分後に変色又は析出物の発生が起こるかを、以下の基準で観察した。結果を表6に示す。
○:変化なし
×:変色又は析出あり
××:著しい変色又は析出あり
(乾燥後の安定性試験)
実施例11及び比較例11の除菌剤0.05mlを、それぞれ、スライドグラス上に滴下し、室温で1日間放置して、揮発分を除去した乾燥試験体を得た。この試験体を室温下で更に3日間放置し、変色を以下の基準で観察した。結果を表6に示す。
○:変色なし
×:変色あり
表6から、本発明の抗菌性組成物を含有する除菌剤が優れた耐光性を有することが確認された。
(除菌性能試験)
実施例11の除菌剤を、塗装鋼板上に0.1g/25cm噴霧をした。室温で、噴霧1時間後及び7日後に、塗装鋼板上の生菌数を環境微生物検査用試薬(製品名:ぺたんチェック(登録商標)10、栄研科学株式会社製)を用いてカウントした。比較として、99.5%エタノールを実施例11と同様の操作で評価した(比較例12)。結果を表7に示す。
表7から、7日後の生菌数が未噴霧及びエタノールのみ噴霧した条件より少なかった。よって、エタノールのみ(比較例12)より、除菌剤の除菌性能の持続性があることが確認された。
〔実施例12、比較例13〕抗菌性組成物を用いた洗浄剤
市販の液体合成洗剤(製品名:トップ NANOX(ナノックス)、ライオン株式会社製)80mlに、実施例10の組成物を20ml添加することにより、銀濃度3.24mMの洗浄剤を調製した(実施例12)。同様に、前記液体合成洗剤80mlに比較例10の組成物20ml添加することにより、銀濃度3.24mMの洗浄剤を調製した(比較例13)。
実施例12の洗浄剤を透明ガラス容器で密栓した状態で室温に放置し、外観を観察した。7日後、洗浄剤に変色や析出物の発生は認められなかったことから、洗浄剤の安定性が確認された。
実施例12及び比較例13の洗浄剤について、実施例11と同様の方法で、耐光性試験と安定性試験を行った。結果を表8に示す。
表8から、本発明の抗菌性組成物を含有する洗浄剤は、優れた耐光性を有することが確認された。
実施例12の洗浄剤を水で3,000倍に希釈して洗濯液とした。この洗濯液300mlを8cm×8cmの綿布とともに1000ml三角フラスコに入れた。フラスコを回転させて攪拌し、5分間の洗濯に続き、2分間の濯ぎを2回行った。取り出した綿布を室温下で自然乾燥した。乾燥後、綿布に着色が認められるかを観察した。洗濯した綿布に、着色は認められなかった。
〔実施例13、比較例14〕抗菌性組成物を用いた塗料
市販の合成樹脂塗料(製品名:水性多用途、株式会社アサヒペン製)80mlに、実施例10の組成物を20ml添加することにより、銀濃度3.24mMの塗料を調製した(実施例13)。同様に、前記合成樹脂塗料80mlに比較例10の組成物20mlを添加することにより、銀濃度3.24mMの塗料を調製した(比較例14)。
実施例13及び比較例14の塗料を、透明ガラス容器で密栓した状態で室温に5日間放置して、外観を観察した。比較例14の塗料は褐変したが、実施例13の塗料では、変色や析出物の発生は認められなかった。
実施例13の塗料をMDF(中質繊維板)上に0.014ml/cm塗布し、20℃で2時間放置し、塗料を硬化させた。塗装後の塗膜に、色合いの変化は認められなかった。
〔実施例14、比較例15〕抗菌性組成物を用いた接着剤
市販の特殊変性酢酸ビニル・アクリル共重合樹脂エマルジョン系接着剤(製品名:VW−H−135、株式会社J−ケミカル製)80mlに、実施例10の組成物を20ml添加することにより、銀濃度3.24mMの接着剤を調製した(実施例14)。同様に、上記エマルジョン系接着剤80mlに比較例10の組成物を20ml添加することにより、銀濃度3.24mMの接着剤を調製した(比較例15)。
実施例14の接着剤を透明ガラス容器で密栓した状態で室温に放置し、外観を観察した。7日後、接着剤に変色や析出物の発生は認められなかったことから、安定性が確認された。
実施例14及び比較例15の塗料について、実施例11と同様の方法で、耐光性試験と安定性試験を行った。結果を表9に示す。
表9の結果より、本発明の抗菌性組成物を含有した接着剤は、優れた耐光性を有することを確認した。
実施例14の接着剤にその架橋剤(製品名:K−132D、株式会社J−ケミカル製)を3重量%加えて混合し、混合物をMDFに65g/m塗布した。その塗面にオレフィンフィルムを20℃で4kgf/cm×20分の圧力条件で接着させた。その後、浸漬剥離試験を実施した。その結果、抗菌性組成物の代わりに水を添加したものと同様の接着力を示した。
〔実施例15、比較例16〕抗菌性組成物を用いた繊維抗菌加工処理剤
実施例1の組成物を水で20倍に希釈して抗菌加工処理剤を調製した(実施例15)。同様に、比較例2の組成物を水で20倍に希釈して抗菌加工処理剤を調製した(比較例16)。実施例15又は比較例16の処理剤を入れたビーカーに8cm×8cmの綿布を浸漬して抗菌加工処理剤を約0.8g付着させ、105℃の乾燥機内で乾燥させた。
上記の抗菌加工処理した綿布を、前記紫外光源の下(光源と試験体との距離:6cm)に設置した。30分後の変色を以下の基準で観察した。
○:変色なし
×:変色あり
表10から、本発明の抗菌性組成物を含有する繊維加工処理剤で抗菌加工処理を施した綿布は、優れた耐光性を有することが確認された。

Claims (6)

  1. 2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸の銀塩又は銀錯体、そのモノエステル体若しくはモノアミド体からなる誘導体の銀塩又は銀錯体のいずれか1種以上の化合物及びクレアチニンを含有する抗菌性組成物であって、前記化合物中の銀(A)とクレアチニン(B)とのモル比(B)/(A)が、2〜80であることを特徴とする、前記抗菌性組成物。
  2. 請求項1に記載の抗菌性組成物を含有する除菌剤又は消臭剤。
  3. 請求項1に記載の抗菌性組成物を含有する洗浄剤。
  4. 請求項1に記載の抗菌性組成物を含有する塗料。
  5. 請求項1に記載の抗菌性組成物を含有する接着又は粘着剤。
  6. 請求項1に記載の抗菌性組成物を含有する繊維抗菌加工処理剤。
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