JP2001288008A - ヒノキチオール含有製剤 - Google Patents

ヒノキチオール含有製剤

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JP2001288008A
JP2001288008A JP2000100531A JP2000100531A JP2001288008A JP 2001288008 A JP2001288008 A JP 2001288008A JP 2000100531 A JP2000100531 A JP 2000100531A JP 2000100531 A JP2000100531 A JP 2000100531A JP 2001288008 A JP2001288008 A JP 2001288008A
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hinokitiol
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concentration
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Katsuya Shimizu
克也 清水
Shinichi Yamamoto
伸一 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒノキチオール含有水系製剤において、ヒノ
キチオール抗菌性を強化すると共に、水への溶解性を飛
躍的に高め、水系製剤におけるヒノキチオールの配合量
を増加することができ、また、最終的に製剤中の水を蒸
発させる用途において、耐水性の悪化などの弊害が自動
的に回避されるヒノキチオール含有製剤を提供する。 【解決手段】 ヒノキチオールとアミン類を含有する水
系製剤であって、該製剤におけるヒノキチオールの濃度
が水への溶解度より高く、且つ該製剤における水分濃度
が30重量%以上であるヒノキチオール含有製剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高濃度のヒノキチ
オールを含有する水系製剤に関する。さらに詳しくは、
優れた抗菌、抗カビ、防虫性を有する天然物であるヒノ
キチオールにアミン類を共配合することにより、抗菌性
が強化されるという新たに発見した効果に加え、水系製
剤への配合量が飛躍的に高まり、ヒノキチオールの性能
発現が亢進され、水系製剤への広範な応用が可能とな
り、しかも、塗料や白蟻駆除剤など、最終的に製剤中の
水を蒸発させる用途において、アミン類が容易に逃散
し、アミン類残存による耐水性の悪化などの問題が自動
的に回避されるという新規な概念を含む水系製剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ヒノキチオール(別名β−ツヤプリシン
または4−イソプロピルトロポロン)とは、タイワンヒ
ノキや青森ヒバの精油中に含まれる天然物であり、優れ
た抗菌、抗カビ、防虫性などの特性をもつ極めて有用な
結晶性物質である。近年は化学合成によっても製造さ
れ、様々な用途に使用されている。しかし、ヒノキチオ
ールは水に対する溶解度が低く、25℃で0.12%程
度しか水に溶解しないため、水系の用途への応用には自
ずと限界があった。例えば、塗料や白蟻駆除剤などにお
いては、近年の環境問題による脱有機溶剤化指向の強ま
りから、水系の製剤への移行が急速に進んでいるが、上
述のように、ヒノキチオールは水への溶解度が低いため
に、こうした用途への応用が制限されているのが現状で
ある。
【0003】ヒノキチオールをナトリウムやカリウム等
のアルカリ金属塩にすることにより、水への溶解度を向
上し得ることは既に知られている。しかし、ヒノキチオ
ールのアルカリ金属塩を水系製剤に配合した場合には、
アルカリ金属に起因する問題が発生しやすい。例えば、
塗料用途においては、水蒸発後の塗膜中にアルカリ金属
が残存することにより、塗膜の耐水性が悪化するという
問題が発生しやすい。また、水系の白蟻駆除剤に配合し
た場合においては、散布後にアルカリ金属が残存するこ
とにより、金属腐食などに代表される塩害の問題が発生
しやすいという問題があった。
【0004】一方、ヒノキチオールとアミン類を共配合
する技術は開示されている(特開昭63−188619
号公報)が、該技術におけるアミン類配合の目的は、口
腔用組成物におけるpHの調製であって、水酸化ナトリ
ウム等のアルカリと同列に例示されており、アミンを用
いる必然性はまったく記されていない。また、該公報に
おいて、ヒノキチオールとアミン類が共配合されている
例は練歯磨の例であり、水分濃度が30重量%未満の低
含水率の組成物である。すなわち、該組成物は70重量
%を越える有機物からなり、元来有機物に溶解し易いヒ
ノキチオールの溶解においては、何ら問題が発生しない
領域である。すなわち、該技術はヒノキチオールにアミ
ン類を配合することによって、ヒノキチオールの水系製
剤への配合量が高められることを開示したものではな
い。また、ヒノキチオールとアミンを共配合することに
より、抗菌性が高められることも示されていない。まし
て該先行技術においては、塗料や白蟻駆除剤など最終的
に製剤中の水を蒸発させる用途において、ヒノキチオー
ルとアミン類を共配合した系においてアミン類が容易に
逃散し、耐水性の悪化などの弊害が回避されるという利
点を有することは全く記されていない。
【0005】ヒノキチオールとアミン類の共配合系にお
けるアミン類の容易な逃散性を示したものは、他にも例
が見られない。以上のように、アミン類を共配合するこ
とにより、ヒノキチオールの水への溶解性が飛躍的に高
められ、しかも、水を蒸発させる用途においてはアミン
類が残存しないので、耐水性の悪化や塩害などの問題が
回避されるという概念及び技術は、未だ開示されていな
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ヒノキチオ
ール含有水系製剤において、ヒノキチオール抗菌性を強
化すると共に、水への溶解性を飛躍的に高め、水系製剤
におけるヒノキチオールの配合量を増加することがで
き、また、最終的に製剤中の水を蒸発させる用途におい
て、耐水性の悪化などの弊害が自動的に回避されるヒノ
キチオール含有製剤を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒノキチ
オールとアミンの共配合系に関し、3つの優れた効果、
すなわち、(1)抗菌性等の効果の向上、(2)ヒノキ
チオールの水への溶解度の向上、(3)水蒸発時におけ
るアミン類の容易な逃散性を発見し、ヒノキチオール配
合水系製剤に関する新しい概念と技術を創出するに至
り、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、アミン類を利用する
ことにより、ヒノキチオールの抗菌性を強化することに
加え、水への溶解性を飛躍的に高め、水系製剤における
ヒノキチオールの配合量の増加を実現し、且つ該製剤の
水の蒸発時にはアミン類が容易に揮発し、それが残存す
ることによる弊害が自動的に回避されるという新たな概
念と、それを応用した技術を開示するものであり、本発
明の構成は、以下のとおりである。 (1)ヒノキチオールとアミン類を含有する水系製剤で
あって、該製剤におけるヒノキチオールの濃度が水への
溶解度より高く、且つ該製剤における水分濃度が30重
量%以上であることを特徴とするヒノキチオール含有製
剤。 (2)水分濃度が40重量%以上である上記(1)のヒ
ノキチオール含有製剤。 (3)水分濃度が50重量%以上である上記(1)のヒ
ノキチオール含有製剤。 (4)アミン類が、下記の群より選ばれる1種または2
種以上である上記(1)から(3)のいずれかのヒノキ
チオール含有製剤。アンモニア、ジエチルアミン、トリ
エチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モ
ルホリン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、2−
ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノ
イソプロパノールアミン、N,N−ジエチル−エタノー
ルアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノー
ル、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノールア
ミン、ジイソプロパノールアミン、N−エチル−ジエタ
ノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタ
ノールアミン。 (5)実質的にヒノキチオールとアミン類と水のみから
なる上記(1)から(4)のいずれかのヒノキチオール
含有製剤。 本発明で用いるヒノキチオールは、天然品でも合成品で
もかまわない。
【0009】本発明の製剤においては、ヒノキチオール
の濃度が水への溶解度より高いことが必須要件である。
水への溶解度の範囲内での配合であれば、本発明の技術
を用いる必要はなく、従来技術の範囲でそれらを問題な
く配合することが可能であり、本発明の意義が失われ
る。ヒノキチオールの水への溶解度(25℃)は、0.
12重量%である。本発明は、このように極めて低い溶
解度しか有しないヒノキチオールを多量に水系製剤中に
配合し、その性能発現を亢進できるところにひとつの意
義をもつ。また、本発明の製剤においては、製剤の水分
濃度が30重量%以上であることが必須要件である。香
粧品、塗料、木材保護剤など分野を問わず、水系製剤は
通常水と有機物とからなる。したがって、水分濃度が3
0重量%未満の製剤とは、70重量%を越える有機物か
らなるものである。ヒノキチオールは元来有機物に溶解
し易い性質の物質であるから、このような有機物濃度の
高い製剤には、本発明の技術を応用しなくても用意に溶
解できる場合が多く、本発明の意義が失われる。本発明
は、水分濃度の高い製剤中に、ヒノキチオールを水への
溶解度を越えて多量に配合でき、その性能発現を亢進で
きるところに意義をもつ。本発明の製剤において、本発
明の効果がより明確に現れる水分濃度は40重量%以上
であり、最も好ましい水分濃度は50重量%以上であ
る。
【0010】本発明の製剤においては、ヒノキチオール
に加えアミン類を含有することが必須要件である。アミ
ン類を含有することにより、ヒノキチオールの水への溶
解度が飛躍的に高められ、しかも、塗料や白蟻駆除剤な
ど最終的に製剤中の水を蒸発させる用途において、アミ
ン類も容易に逃散し、耐水性の悪化などの弊害が自動的
に回避されるという本発明の新規且つ極めて有用な概念
が具現化される。本発明において、ヒノキチオールに対
するアミン類のモル比(アミン類/ヒノキチオール)は
特に制限はないが、0.1以上が好ましい。さらに好ま
しくは0.5以上であり、もっとも好ましくは1.0以
上である。
【0011】本発明で用いるアミン類は、汎用のアミン
類であれば特に制限はないが、ヒノキチオールの水への
溶解度を亢進する効果が高く、しかも、水の蒸発時に逃
散し易いという意味で、次の群より選ばれる1種または
2種以上のアミン類を含有することが好ましい。アンモ
ニア、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルア
ミン、トリメチルアミン、モルホリン、N,N−ジメチ
ル−エタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチ
ル−1−プロパノール、モノイソプロパノールアミン、
N,N−ジエチル−エタノールアミン、2−アミノ−2
−メチル−1−プロパノール、モノエタノールアミン、
N−メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールア
ミン、N−エチル−ジエタノールアミン、トリイソプロ
パノールアミン、トリエタノールアミン。
【0012】本発明の好ましい態様のひとつとして、実
質的にヒノキチオールとアミン類と水のみからなるヒノ
キチオール含有製剤があげられる。実質的にそれらのみ
からなるとは、その他の物質を全く含有しない場合、も
しくはその他の物質の含有量がヒノキチオールの溶解度
に影響を及ぼさない範囲であることを意味する。その範
囲は該物質の種類により異なるが、概ね5重量%未満で
ある。より好ましくは2重量%未満であり、もっとも好
ましくは1重量%未満である。
【0013】本発明の製剤を水系塗料用途に用いれば、
抗菌、防カビ、防虫機能を付与することができる。ま
た、船底用塗料や漁網用塗料に用いた場合には、水中有
害生物の付着防止機能を付与することができる。水系塗
料における塗膜形成主要素(樹脂)及び塗膜形成副要素
(改質剤、添加剤)の種類に制限はなく、当該分野で常
用される種類のものを用いることができる。例えば、水
溶液型とエマルジョン型があげられ、樹脂成分として
は、例えば、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリ
ル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、フ
ェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹
脂およびこれらの変性樹脂などがあげられ、これらは単
独もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、この中には、架橋型アクリルエマルジョンや該エ
マルジョンと水性ポリウレタン樹脂との併用による架橋
型エマルジョンも含まれる。また、本発明の製剤を用い
る水系塗料には、必要に応じ銀、銅、亜鉛等の金属イオ
ンを担持させた無機系抗菌剤をさらに配合することも可
能である。該無機系抗菌剤としては特に制限はなく、公
知のものを用いればよい。例えば、活性炭、活性アルミ
ナ、シリカゲル、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、
リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、チタン酸カリウ
ム、含水酸化ビスマス、含水酸化ジルコニウム、ハイド
ロタルサイトなどに銀イオンを担持させたものがあげら
れる。また、本発明の製剤を用いる水系塗料には、必要
に応じベンゾトリアゾール系やシアノアクリレート系の
紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定剤を配合する
ことができる。また、ヒンダードフェノール系やリン
系、イオウ系の酸化防止剤も用途に応じて配合すること
ができる。
【0014】本発明の製剤を水性ワックスに用いれば、
抗菌、防カビ、防虫機能を付与することができる。水性
ワックスの種類に制限はなく、当該分野で常用される種
類のものに本発明の製剤を用いることができる。例え
ば、天然ロウ、合成ロウ、合成樹脂、界面活性剤、水を
主成分とする水性ワックスがあげられる。また、当該分
野で常用される薬剤を共配合することも可能である。例
えば、滑り止め剤、可塑剤、帯電防止剤、レベリング
剤、香料などがあげられる。また、本発明の製剤を用い
る水性ワックスには、必要に応じ銀、銅、亜鉛等の金属
イオンを担持させた無機系抗菌剤をさらに配合すること
も可能である。該無機系抗菌剤としては特に制限はな
く、公知のものを用いればよい。例えば、活性炭、活性
アルミナ、シリカゲル、ゼオライト、ヒドロキシアパタ
イト、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、チタン酸カ
リウム、含水酸化ビスマス、含水酸化ジルコニウム、ハ
イドロタルサイトなどに銀イオンを担持させたものがあ
げられる。また、本発明の製剤を用いる水性ワックスに
は、必要に応じベンゾトリアゾール系やシアノアクリレ
ート系の紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定剤を
配合することができる。また、ヒンダードフェノール系
やリン系、イオウ系の酸化防止剤も用途に応じて配合す
ることができる。
【0015】本発明の製剤を、白蟻駆除や木材防腐など
を目的とする水系木材処理剤に用いる場合には、製剤の
種類等に特に制限はなく、当該分野で常用されるものに
用いることができる。例えば、乳剤、水溶剤、フロアブ
ル製剤、エアゾール剤などがあげられる。木材処理の方
法も当該分野で常用される手法を採用すればよく、散
布、塗布、加圧注入法などがあげられる。また、当該分
野で常用される薬剤を共配合することも可能である。例
えば、ペルメスリン、アレスリン等のピレスロイド系や
カーバメイト系殺虫剤、ベンゾイミダゾールやベンゾチ
アゾール系防腐剤などがあげられる。また、乳剤系の木
材処理剤には、塗膜形成を目的として、ポリ酢酸ビニル
樹脂、ポリ酢酸ビニル・エチレン共重合体樹脂やポリア
クリル酸エステル樹脂などのエマルジョンを添加するこ
ともできる。また、本発明の製剤を用いる水系木材処理
剤には、必要に応じベンゾトリアゾール系やシアノアク
リレート系の紫外線吸収剤やヒンダードアミン系光安定
剤を配合することができる。また、ヒンダードフェノー
ル系やリン系、イオウ系の酸化防止剤も用途に応じて配
合することができる。
【0016】本発明の製剤を香粧品に用いる場合には、
抗菌防カビ剤、防腐剤、抗フケ剤、抗ニキビ剤、抗腋臭
剤、育毛剤、美白剤の機能を付与することができる。香
粧品の形態は特に制限はなく、当該分野で常用される形
態で用いることができる。例えば、化粧水、洗浄用化粧
料、クリーム、乳液、パック、ファンデーション、整髪
料、養毛料、染毛料、浴用剤などがあげられる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に実施例により本発明をさら
に詳述するが、本発明は、これらの実施例により何ら限
定されるものではない。本発明の実施例で用いた試薬類
は下記のとおりである。 ヒノキチオール:大阪有機化学工業(株)製合成ヒノキ
チオール(S−HT) トリエチルアミン:和光純薬工業(株)製 トリエタノールアミン:和光純薬工業(株)製
【0018】<最小発育阻止濃度(MIC値)の測定方
法> (1)試験菌 ・Escherichia coli IFO 397
2(大腸菌) ・Staphylococcus aureus IF
O 12732(黄色ブドウ球菌) ・Aspergillus niger IFO 44
07(クロコウジカビ) (2)増菌用培地 大腸菌及び黄色ブドウ球菌:Mueller Hint
on Broth (Difco) クロコウジカビ:ポテトデキストロース寒天培地(栄研
化学(株))
【0019】(3)感受性測定用培地 大腸菌及び黄色ブドウ球菌:Mueller Hint
on Agar(Difco) クロコウジカビ:サブロー寒天培地(栄研化学(株)) (4)感受性測定用平板の作製 滅菌精製水を用いて、所定濃度の検体水溶液を調製し
た。次に滅菌、溶解後、50〜60℃に保った感受性測
定用培地に該水溶液を添加し、十分混合後、ガラスシャ
ーレに分注、固化させて感受性測定用平板とした。
【0020】(5)接種用菌液の調製 ・大腸菌及び黄色ブドウ球菌:継代培養した試験菌を増
菌用培地に接種し、35±1℃、18〜20時間培養
後、菌数が約106 /mlとなるように増菌用培地で希
釈し、接種用菌液とした。 ・クロコウジカビ:試験菌を増菌用培地に接種し、25
±1℃、7日間培養後、形成された胞子(分生子)をポ
リソルベート80を0.05%添加した滅菌生理食塩水
に浮遊させ、胞子数が約106 /mlとなるように調製
し、接種用菌液とした。
【0021】(6)培養 感受性測定用平板に接種用菌液をニクロム線ループ(内
径約1mm)を用いて1から2cm程度画線塗抹し、大
腸菌及び黄色ブドウ球菌は35±1℃、クロコウジカビ
は25±1℃、7日間それぞれ暗所で培養した。 (7)判定 培養後、発育が阻止された最小濃度をもって試験菌に対
する検体の最小発育阻止濃度とした。
【0022】<アミン類の定量方法> (1)アンモニア イオンクロマトグラフ カラム:(株)島津製作所IC−CI(温度30℃) 移動相:3mM HNO3 水溶液 (2)その他のアミン類 ガスクロマトグラフ カラム:J&Wサイエンティフィック社キャピラリーカ
ラムDB−1(長さ30m×内径0.25mm、液相膜
厚0.25μm) 温度条件:カラム40℃×5分→250℃(10℃/
分)。注入口250℃、 検出器250℃(FID)
【0023】
【実施例1】ヒノキチオール1.0g、アンモニア水
(28%)0.3702g及び滅菌精製水98.63g
を室温で30分間混合し、淡黄色の均一溶液(ヒノキチ
オール濃度1.0重量%)を得た。該溶液を滅菌精製水
で希釈し、前述の方法に従って最小発育阻止濃度(MI
C値)を測定した結果、大腸菌、黄色ブドウ球菌、クロ
コウジカビのMIC値は、ヒノキチオール濃度換算でそ
れぞれ12.5μg/ml、25μg/ml、25μg
/mlであった。また、該水溶液1.4gをガラスシャ
ーレ(内径85mm)に取り、熱風乾燥機(60℃)で
水分を蒸発させる操作を施したところ、40分以内にア
ンモニアの残存率が1%未満になった。
【0024】本実施例は本発明の必須要件を満足してい
るので、ヒノキチオール濃度が1.0重量%と、ヒノキ
チオールの水への溶解度を大幅に上回る濃度の水系製剤
が得られている。しかも、各種菌類に対する最小発育阻
止濃度がヒノキチオール単独の場合の半分であり(比較
例1参照)、抗菌性が倍に強化されている。さらに、本
実施例の製剤は、水分を蒸発させる過程でアミン類が容
易に逃散し、それが残存した場合に予想される耐水性の
悪化等が回避されるという利点も有している。
【0025】
【実施例2】ヒノキチオール1.0g、トリエチルアミ
ン0.6163g及び滅菌精製水98.38gを室温で
30分間混合し、淡黄色の均一溶液を得た。該溶液を滅
菌精製水で希釈し、前述の方法に従って最小発育阻止濃
度(MIC値)を測定した結果、大腸菌、クロコウジカ
ビのMIC値は、ヒノキチオール濃度換算でそれぞれ1
2.5μg/ml、25μg/mlであった。また、該
水溶液1.4gをガラスシャーレ(内径85mm)に取
り、熱風乾燥機(60℃)で水分を蒸発させる操作を施
したところ、90分以内にアミンの残存率が1%未満に
なった。
【0026】本実施例は本発明の必須要件を満足してい
るので、ヒノキチオール濃度が1.0重量%と、ヒノキ
チオールの水への溶解度を大幅に上回る濃度の水系製剤
が得られている。しかも、各種菌類に対する最小発育阻
止濃度がヒノキチオール単独の場合の半分であり(比較
例1参照)、抗菌性が倍に強化されている。さらに、本
実施例の製剤は、水分を蒸発させる過程でアミン類が容
易に逃散し、それが残存した場合に予想される耐水性の
悪化等が回避されるという利点も有している。
【0027】
【実施例3】ヒノキチオール0.5g、トリエタノール
アミン0.454g及び滅菌精製水99.05gを室温
で30分間混合し、淡黄色の均一溶液を得た。該溶液を
滅菌精製水で希釈し、前述の方法に従って最小発育阻止
濃度(MIC値)を測定した結果、大腸菌のMIC値は
ヒノキチオール濃度換算で12.5μg/mlであっ
た。本実施例は本発明の必須要件を満足しているので、
ヒノキチオール濃度が0.5重量%と、ヒノキチオール
の水への溶解度を大幅に上回る濃度の水系製剤が得られ
ている。しかも、各種菌類に対する最小発育阻止濃度が
ヒノキチオール単独の場合の半分であり(比較例1参
照)、抗菌性が倍に強化されている。
【0028】
【実施例4】ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン50重量
%、ジエチレングリコールモノメチルエーテル5重量
%、ヒノキチオール1.0重量%、アンモニア水(28
%)0.37重量%、水43.6重量%からなる防腐剤
を、30×30mmの複数のろ紙に塗布し、室温で1日
乾燥させた。乾燥後のろ紙におけるアンモニアの残存率
は1%未満であった。防腐剤を塗布したろ紙の一枚を寒
天入りブイヨン培地の入ったシャーレ中央に置き、これ
に約106 /mlに希釈した黄色ブドウ球菌、大腸菌、
クロコウジカビの混合懸濁液1mlを接種した。37℃
で7日間培養した後、該シャーレ内の菌生育の程度を調
べた結果、菌の生育は全く認められなかった。本実施例
は本発明の必須要件を満足しているので、ヒノキチオー
ル濃度が1.0重量%と、ヒノキチオールの水への溶解
度を大幅に上回る濃度の水系製剤が得られている。しか
も、得られた製剤の防腐効果が極めて高く、また、製剤
中の水分蒸発の段階で配合したアミン類がほぼ完全に逃
散し、塗膜の耐水性の悪化が回避されている。
【0029】
【比較例1】ヒノキチオールを室温で滅菌精製水に溶解
させ、飽和溶液(0.12重量%)を調製した。該溶液
を滅菌精製水で希釈し、前述の方法に従って最小発育阻
止濃度(MIC値)を測定した結果、大腸菌、黄色ブド
ウ球菌、クロコウジカビのMIC値は、ヒノキチオール
濃度換算でそれぞれ25μg/ml、50μg/ml、
50μg/mlであった。本比較例は本発明の必須要件
であるアミン類を含有していないので、ヒノキチオール
を溶解度(0.12重量%)までしか溶解できない。ま
た、最小発育阻止濃度もアミン類を配合した場合の倍で
あり、アミン類を配合した場合に比べ抗菌性が劣ってい
る。
【0030】
【比較例2】ヒノキチオール1.0g、水酸化ナトリウ
ム(96%)0.254g及び滅菌精製水98.75g
を室温で30分間混合し、淡黄色の均一溶液を得た。該
水溶液1.4gをガラスシャーレ(内径85mm)に取
り、熱風乾燥機(60℃)で1日加熱した後、原子吸光
分析によりナトリウム濃度を測定した結果、ナトリウム
の残存率は100%であった。本比較例は本発明の必須
要件であるアミン類を含有せず、水酸化ナトリウムによ
りヒノキチオールの溶解度を向上させているが、製剤の
水分を蒸発させる過程でナトリウムが完全に残存してい
る。したがって、水分を蒸発させる用途、例えば、塗料
や白蟻駆除剤などにおいて、ナトリウム残存による耐水
性の悪化や塩害などの問題を回避することは困難であ
る。
【0031】
【発明の効果】本発明により、優れた抗菌、抗カビ、防
虫性を有する天然物であるヒノキチオールの抗菌性が強
化されるという新規な効果の提供に加え、水系製剤への
配合量が飛躍的に高まり、ヒノキチオールの性能発現が
亢進され、水系製剤への広範な応用が可能となる。しか
も、塗料や白蟻駆除剤など、最終的に製剤中の水を蒸発
させる用途において、アミン類が容易に逃散し、アミン
類残存による耐水性の悪化などの弊害が自動的に回避さ
れるという新規な概念と技術をも提供する。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒノキチオールとアミン類を含有する水
    系製剤であって、該製剤におけるヒノキチオールの濃度
    が水への溶解度より高く、且つ該製剤における水分濃度
    が30重量%以上であることを特徴とするヒノキチオー
    ル含有製剤。
  2. 【請求項2】 水分濃度が40重量%以上である請求項
    1記載のヒノキチオール含有製剤。
  3. 【請求項3】 水分濃度が50重量%以上である請求項
    1記載のヒノキチオール含有製剤。
  4. 【請求項4】 アミン類が、下記の群より選ばれる1種
    または2種以上である請求項1から3のいずれかに記載
    のヒノキチオール含有製剤。アンモニア、ジエチルアミ
    ン、トリエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルア
    ミン、モルホリン、N,N−ジメチル−エタノールアミ
    ン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノー
    ル、モノイソプロパノールアミン、N,N−ジエチル−
    エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロ
    パノール、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノ
    ールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−エチル−
    ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ト
    リエタノールアミン。
  5. 【請求項5】 実質的に、ヒノキチオールとアミン類と
    水のみからなる請求項1から4のいずれかに記載のヒノ
    キチオール含有製剤。
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JP2007081138A (ja) * 2005-09-14 2007-03-29 Nichicon Corp 電解コンデンサの駆動用電解液

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007081138A (ja) * 2005-09-14 2007-03-29 Nichicon Corp 電解コンデンサの駆動用電解液
JP4668749B2 (ja) * 2005-09-14 2011-04-13 ニチコン株式会社 電解コンデンサの駆動用電解液

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