JP2001302979A - ヒノキチオールを含有する塗料 - Google Patents

ヒノキチオールを含有する塗料

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JP2001302979A
JP2001302979A JP2000117792A JP2000117792A JP2001302979A JP 2001302979 A JP2001302979 A JP 2001302979A JP 2000117792 A JP2000117792 A JP 2000117792A JP 2000117792 A JP2000117792 A JP 2000117792A JP 2001302979 A JP2001302979 A JP 2001302979A
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Katsuya Shimizu
克也 清水
Shinichi Yamamoto
伸一 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水系塗料の本来の性質を損なうことなく、し
かも、塗膜の耐水性を悪化させることなく、抗菌、防カ
ビ、防虫性発現に足る十分量のヒノキチオールが、安価
な手法で且つ安定に配合れた水系塗料を提供する。 【解決手段】 ヒノキチオールとアミン類を含有する水
系塗料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒノキチオールを
含有する水系塗料に関する。さらに詳しくは、優れた抗
菌、抗カビ、防虫性を有する天然物であるヒノキチオー
ルにアミン類を共配合することにより、抗菌性が強化さ
れるとともに水への溶解度が向上し、十分量のヒノキチ
オールを水系塗料に物性配合できること、および水蒸発
過程でアミン類が容易に逃散し、アミン類残存による耐
水性悪化が自動的に回避されるという新規な概念に基づ
く水系塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒノキチオールとは、タイワンヒノキや
青森ヒバの精油中に含まれる天然物であり、優れた抗
菌、抗カビ、防虫性などの特性をもつ極めて有用な結晶
性物質である。近年は化学合成によっても製造され、様
々な用途に使用されている。ヒノキチオールを塗料に配
合すれば、保存時における細菌やカビによる腐敗防止、
塗膜形成後の細菌の増殖によるヒトの健康被害防止、カ
ビの発生による環境汚染や美観損傷防止、ダニやゴキブ
リなどの害虫忌避などの効果を付与することができる。
また、船底塗料や漁網用塗料に用いた場合には、貝やフ
ジツボなどの水中有害生物の付着防止効果を得ることが
できる。
【0003】ところで、塗料を大きく分類すると水系と
有機溶剤系とに分けられるが、近年その安全性、環境保
全性及び取り扱いの容易性から、水性塗料が盛んに使用
されるようになった。そして、水系塗料は、溶剤型塗料
に比べ塗膜面が比較的粗いため、塗膜表面にカビなどの
有害生物が特に繁殖しやすい傾向があり、その防止のた
めに各種の有機系抗菌剤を添加することが試みられてい
る(抗菌・防黴剤の使用技術と抗菌性試験・評価(技術
情報協会)、p276)。しかし、これらの有機系抗菌
剤は、細菌とカビの両者に実用的効果を示すものはな
く、まして、害虫に対する効果は有しない。しかも、そ
れらは比較的毒性が高いという安全上の問題があった。
一方、ヒノキチオールは前述のように天然系であり、人
体に対する安全性が高いので、塗料にヒノキチオールを
十分量配合することができれば、人体に悪影響を及ぼす
ことなく抗菌、防カビ、防虫性の3つの効果を同時に付
与することができる。
【0004】しかし、ヒノキチオールは水に対する溶解
度が低く、25℃で0.12重量%しか水に溶解しない
ため、水系塗料への配合量には自ずと限界があった。そ
のため、有機溶剤型塗料にヒノキチオールを配合した例
(特開平05−286820号公報)は知られている
が、水系塗料に対し抗菌、防カビ、防虫性発現に足る十
分量のヒノキチオールを配合した例は見られない。ヒノ
キチオールをナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩
にすることにより、水への溶解度を向上し得ることは既
に知られている。しかし、ヒノキチオールのアルカリ金
属塩を水系塗料に配合した場合には、水蒸発後の塗膜中
にアルカリ金属が残存することにより、塗膜の耐水性が
悪化するという問題が発生しやすい。
【0005】ヒノキチオールの水への溶解度を改良する
もうひとつの方法として、それをシクロデキストリンで
包接する方法が開示されている(特開昭60−1939
41号公報)。ここでは、α、β、γの3種のシクロデ
キストリンのヒノキチオール包接体が記されているが、
それらの包接体の水への溶解度は、15℃でそれぞれ1
3.1%、0.3%、0.9%であり、これをヒノキチ
オールに換算すると、それぞれ0.7%、0.04%、
0.06%であり、包接化によりヒノキチオールの水へ
の溶解度が大きく向上したとは言い難く、ヒノキチオー
ルの性能発現の観点においても依然不十分な濃度であ
る。しかも、包接化には比較的高価なシクロデキストリ
ン類を多量に要するという問題があった。すなわち、包
接化には1〜3倍モルのシクロデキストリン類を要する
が、シクロデキストリン類の分子量がヒノキチオールの
約6〜8倍であることを考慮すると、包接化に必要なシ
クロデキストリン類は、ヒノキチオールの重量の実に6
〜18倍にも及ぶ。したがって、経済性の観点で応用困
難であるばかりでなく、ヒノキチオール自体の量をはる
かに上回る量のシクロデキストリンを配合するために、
塗料が変質したり、元来親水性であるシクロデキストリ
ンが塗膜中に残存することにより、塗膜の耐水性が悪化
したりする問題があった。以上のように従来技術では、
水系塗料中に抗菌、防カビ、防虫性発現に足る十分量の
ヒノキチオールを、安価な手法で且つ水系塗料本来の性
質を損なうことなく、しかも、塗膜の耐水性を悪化させ
ることなく安定に配合することはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水系塗料の
本来の性質を損なうことなく、しかも、塗膜の耐水性を
悪化させることなく、抗菌、防カビ、防虫性発現に足る
十分量のヒノキチオールが、安価な手法で且つ安定に配
合された水系塗料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、ヒノキチオール
とアミン類を共配合することにより、抗菌性が強化され
るという新規な発見に加え、水への溶解度が向上し、十
分量のヒノキチオールを水系塗料に配合できること、お
よび水蒸発過程でアミン類が容易に逃散し、アミン類残
存による耐水性悪化が自動的に回避されるという新規な
概念に基づく技術を創出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、以下のとおりであ
る。 (1)ヒノキチオールとアミン類を含有することを特徴
とする水系塗料。 (2)ヒノキチオールとアミン類を含有する水系製剤で
あって、該製剤におけるヒノキチオールの濃度が水への
溶解度より高く、且つ該製剤における水分濃度が30重
量%以上であるヒノキチオール含有製剤を含むことを特
徴とする水系塗料。 (3)アミン類が、アンモニア、ジエチルアミン、トリ
エチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モ
ルホリン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、2−
ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノ
イソプロパノールアミン、N,N−ジエチル−エタノー
ルアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノー
ル、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノールア
ミン、ジイソプロパノールアミン、N−エチル−ジエタ
ノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタ
ノールアミンから選ばれる1種または2種以上である上
記(1)または(2)記載の水系塗料。
【0009】本発明で用いるヒノキチオールは、天然品
でも化学合成品でもかまわない。本発明の水系塗料にお
いては、ヒノキチオールに加えアミン類を含有すること
が必須要件である。アミン類を含有することにより、ヒ
ノキチオールの抗菌性が強化されるとともに、ヒノキチ
オールの水への溶解度が飛躍的に高められ、しかも、水
の蒸発過程でアミン類が容易に逃散し、アミン類残存に
よる耐水性の悪化などの弊害が自動的に回避されるとい
う本発明の新規且つ極めて有用な概念が具現化される。
【0010】本発明において、ヒノキチオールに対する
アミン類のモル比(アミン類/ヒノキチオール)は特に
制限はないが、0.1以上が好ましい。さらに好ましく
は0.5以上であり、もっとも好ましくは1.0以上で
ある。なお、水系塗料においては、樹脂を水性化するた
めの中和剤等としてアミン類を別途配合することが多
く、そうしたアミン類を本発明のアミン類として兼用す
ることも可能であり、本発明の目的のためだけにアミン
類を配合することは必ずしも必要ではない。
【0011】本発明においては、ヒノキチオールとアミ
ン類とを予め混合しておいてもよい。好ましくはヒノキ
オールとアミン類とを含有する水系製剤とし、該製剤に
おけるヒノキチオールの濃度が水への溶解度より高く、
且つ該製剤における水分濃度が30重量%以上であるこ
とを特徴とするヒノキチオール含有製剤の形態がある。
この場合、ヒノキチオールを水の溶解度を越えて多量に
配合できる。水分濃度は好ましくは40重量%以上、さ
らに好ましくは50重量%以上である。
【0012】本発明で用いるアミン類は、汎用のアミン
類であれば特に制限はないが、ヒノキチオールの水への
溶解度を亢進する効果が高く、しかも、水の蒸発時に逃
散し易いという意味で、次の群より選ばれる1種または
2種以上のアミン類を含有することが好ましい。アンモ
ニア、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルア
ミン、トリメチルアミン、モルホリン、N,N−ジメチ
ル−エタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチ
ル−1−プロパノール、モノイソプロパノールアミン、
N,N−ジエチル−エタノールアミン、2−アミノ−2
−メチル−1−プロパノール、モノエタノールアミン、
N−メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールア
ミン、N−エチル−ジエタノールアミン、トリイソプロ
パノールアミン、トリエタノールアミン。
【0013】本発明の水系塗料において、ヒノキチオー
ルを含有する量は、塗料に対して0.01重量%から2
0重量%が好ましい。0.01重量%未満では十分な抗
菌、防カビ、防虫効果が得られず、20重量%を越える
と塗膜形成能力や色調などが損なわれる。さらに好まし
い含有量は0.02重量%から15重量%であり、最も
好ましい含有量は0.05重量%から10重量%であ
る。
【0014】本発明の水系塗料における塗膜形成主要素
(樹脂)及び塗膜形成副要素(改質剤、添加剤)の種類
に制限はなく、当該分野で常用される種類のものを用い
ることができる。例えば、水溶液型とエマルジョン型が
あげられ、樹脂成分としては、例えば、アルキド樹脂、
ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ
素樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、
メラミン樹脂、ウレタン樹脂およびこれらの変性樹脂な
どがあげられ、これらは単独もしくは2種以上組み合わ
せて用いることができる。なお、この中には、架橋型ア
クリルエマルジョンや該エマルジョンと水性ポリウレタ
ン樹脂との併用による架橋型エマルジョンも含まれる。
【0015】本発明の水系塗料としては、床などに塗布
するワックス類も包含される。水性ワックスの種類に制
限はなく、当該分野で常用される種類のものに本発明の
エマルジョンを用いることができる。例えば、天然ロ
ウ、合成ロウ、合成樹脂、界面活性剤、水を主成分とす
る水性ワックスがあげられる。また、当該分野で常用さ
れる薬剤を共配合することも可能である。例えば、滑り
止め剤、可塑剤、帯電防止剤、レベリング剤、香料など
があげられる。固体材料を接合・固着させるために対象
物表面に処理する接着媒体として使用される水系接着剤
も、呼称が異なるとはいえ、実際の使用場面では対象物
表面に処理被膜を形成させるという本質的に同じ使われ
方がなされ、組成上も共通点が多いことから、広義の塗
料と考えることができ、本発明の水性塗料に包含される
分野である。
【0016】本発明の水系塗料には、必要に応じ銀、
銅、亜鉛等の金属イオンを担持させた無機系抗菌剤を、
さらに配合することも可能である。該無機系抗菌剤とし
ては特に制限はなく、公知のものを用いればよい。例え
ば、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、ゼオライト、
ヒドロキシアパタイト、リン酸ジルコニウム、リン酸チ
タン、チタン酸カリウム、含水酸化ビスマス、含水酸化
ジルコニウム、ハイドロタルサイトなどに銀イオンを担
持させたものがあげられる。また、本発明のエマルジョ
ンを配合する水性ワックスには、必要に応じベンゾトリ
アゾール系やシアノアクリレート系の紫外線吸収剤やヒ
ンダードアミン系光安定剤を配合することができる。ま
た、ヒンダードフェノール系やリン系、イオウ系の酸化
防止剤も、用途に応じて配合することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に実施例により本発明をさら
に詳述するが、本発明は、これらの実施例により何ら限
定されるものではない。 本発明の実施例で用いた試薬類は下記のとおりである。 ・ヒノキチオール:大阪有機化学工業(株)製合成ヒノ
キチオール(S−HT) ・アンモニア水(28%):和光純薬工業(株)製 ・トリエチルアミン:和光純薬工業(株)製 ・β−サイクロデキストリン:和光純薬工業(株)製
【0018】<ヒノキチオールとアンモニアの混合水溶
液調製>ヒノキチオール10.0g、アンモニア水(2
8%)3.702g及び滅菌精製水320gを40℃で
30分間混合し、淡黄色の均一溶液(ヒノキチオール濃
度3.0重量%)を得た。 <ヒノキチオールとトリエチルアミンの混合水溶液調製
>ヒノキチオール10.0g、トリエチルアミン6.1
63g及び滅菌精製水317gを40℃で30分間混合
し、淡黄色の均一溶液を得た。
【0019】<ヒノキチオールナトリウム塩水溶液の合
成法>96%水酸化ナトリウム3.1707g(0.0
737mol)を溶解した純水287cm3にヒノキチ
オール12.1025g(0.0737mol)を加
え、50℃で30分間撹拌して溶解させ、ヒノキチオー
ルのナトリウム塩の水溶液を調製した。 <ヒノキチオールのシクロデキストリン包接体の調製法
>公知の方法(特開昭60−193941号公報)に従
い、ヒノキチオールのβ−サイクロデキストリン包接体
(ヒノキチオール:β−シクロデキストリン=1:1モ
ル比)を合成した。
【0020】<最小発育阻止濃度(MIC値)の測定方
法> (1)試験菌 ・Escherichia coli IFO 397
2(大腸菌) ・Staphylococcus aureus IF
O 12732(黄色ブドウ球菌) ・Aspergillus niger IFO 44
07(クロコウジカビ) (2)増菌用培地 大腸菌及び黄色ブドウ球菌:Mueller Hint
on Broth(Difco) クロコウジカビ:ポテトデキストロース寒天培地(栄研
化学(株))
【0021】(3)感受性測定用培地 大腸菌及び黄色ブドウ球菌:Mueller Hint
on Agar(Difco) クロコウジカビ:サブロー寒天培地(栄研化学(株)) (4)感受性測定用平板の作製 滅菌精製水を用いて、所定濃度の検体水溶液を調製し
た。次に、滅菌、溶解後50〜60℃に保った感受性測
定用培地に該水溶液を添加し、十分混合後、ガラスシャ
ーレに分注、固化させて感受性測定用平板とした。
【0022】(5)接種用菌液の調製 ・大腸菌及び黄色ブドウ球菌:継代培養した試験菌を増
菌用培地に接種し、35±1℃、18〜20時間培養
後、菌数が約106/mlとなるように増菌用培地で希
釈し、接種用菌液とした。 ・クロコウジカビ:試験菌を増菌用培地に接種し、25
±1℃、7日間培養後、形成された胞子(分生子)をポ
リソルベート80を0.05%添加した滅菌生理食塩水
に浮遊させ、胞子数が約106 /mlとなるように調製
し、接種用菌液とした。
【0023】(6)培養 感受性測定用平板に接種用菌液をニクロム線ループ(内
径約1mm)を用いて1から2cm程度画線塗抹し、大
腸菌及び黄色ブドウ球菌は35±1℃、クロコウジカビ
は25±1℃、7日間、それぞれ暗所で培養した。 (7)判定 培養後、発育が阻止された最小濃度をもって試験菌に対
する検体の最小発育阻止濃度とした。
【0024】<塗料組成物の防腐試験法>約1×106
/mlに希釈した黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、ク
ロカビの混合懸濁液1mlを塗料組成物を含む容器に接
種した。容器を密閉し、28℃×7日間培養した後、塗
料組成物中の生菌数を調べた。 <塗膜の抗菌防カビ試験法>30×30mmのろ紙に、
塗料組成物を刷毛で塗布し、室温で7時間乾燥させて試
験片を作成した。該試験片を寒天入りブイヨン培地の入
ったプラスチックシャーレ中央に置き、これに塗料組成
物の防腐試験と同じ混合懸濁液1mlを接種した。37
℃で7日間培養した後、該シャーレ内の菌生育の程度を
調べた。 <塗膜の耐水性試験法>30×30mmのガラス板2枚
に、塗料組成物を刷毛で塗布し、室温で2時間乾燥させ
た後、さらにその上に、該塗料組成物を同様な方法で塗
布し、室温で7日間乾燥させて試験塗板2枚を得た。該
試験塗板の1枚を水中に96時間浸漬し、もう一枚の試
験塗板と外観を比較した。
【0025】<アミン類の定量方法> (1)アンモニア イオンクロマトグラフ カラム:(株)島津製作所IC−CI(温度30℃) 移動相:3mM HNO3 水溶液 (2)その他のアミン類 ガスクロマトグラフ カラム:J&Wサイエンティフィック社キャピラリーカ
ラムDB−1(長さ30m×内径0.25mm、液相膜
厚0.25μm) 温度条件:カラム40℃×5分→250℃(10℃/
分)注入口250℃、 検出器250℃(FID)
【0026】
【参考実施例1】前記の方法で調製したヒノキチオール
とアンモニアの混合水溶液を滅菌精製水で希釈し、前記
の方法に従って最小発育阻止濃度(MIC値)を測定し
た結果、大腸菌、黄色ブドウ球菌、クロコウジカビのM
IC値は、ヒノキチオール濃度換算でそれぞれ12.5
μg/ml、25μg/ml、25μg/mlであっ
た。各種菌類に対する最小発育阻止濃度がヒノキチオー
ル単独の場合の半分であり(参考比較例1参照)、抗菌
性が倍に強化されている。
【0027】
【参考実施例2】前記の方法で調製したヒノキチオール
とトリエチルアミンの混合水溶液を滅菌精製水で希釈
し、前記の方法に従って最小発育阻止濃度(MIC値)
を測定した結果、大腸菌、クロコウジカビのMIC値
は、ヒノキチオール濃度換算でそれぞれ12.5μg/
ml、25μg/mlであった。各種菌類に対する最小
発育阻止濃度がヒノキチオール単独の場合の半分であり
(参考比較例1参照)、抗菌性が倍に強化されている。
【0028】
【参考比較例1】ヒノキチオールを滅菌精製水で希釈
し、前述の方法に従って最小発育阻止濃度(MIC値)
を測定した結果、大腸菌、黄色ブドウ球菌、クロコウジ
カビのMIC値は、ヒノキチオール濃度換算でそれぞれ
25μg/ml、50μg/ml、50μg/mlであ
った。
【0029】
【実施例1】アクリル系樹脂43重量%含有エマルジョ
ン63重量%、二酸化チタン9重量%、4重量%ヒドロ
キシエチルセルロース9重量%、25重量%デモールE
P(花王(株)製)7重量%、前記の方法で調製したヒ
ノキチオールとアンモニアの混合水溶液12重量%から
なるアクリル樹脂系エマルジョン塗料に対し防腐試験を
行った結果、生菌数は0であった。また、塗膜の抗菌防
カビ試験の結果、菌の生育は全く認められなかった。さ
らに、乾燥後の塗膜中のアンモニア残存率は1%未満
で、塗膜の耐水性試験における変質も全く認められなか
った。本実施例は本発明の必須要件であるアミン類を含
有しているので、ヒノキチオールの含有量が0.36重
量%とその水への溶解度(0.12重量%、25℃)を
上回る量を水系塗料に配合できており、塗料の防腐性、
塗膜の抗菌性ともに良好である。一方、塗膜形成時にア
ミン類が逃散し、それが残存することによる耐水性の悪
化が自動的に回避さるという、本発明の概念が具現化さ
れている。
【0030】
【実施例2】ヒノキチオールとアンモニアの混合水溶液
の代わりに、前記の方法で調製したヒノキチオールとト
リエチルアミンの混合水溶液を用いた以外は、実施例1
と同様の組成の塗料に対し防腐試験を行った結果、生菌
数は0であった。また、塗膜の抗菌防カビ試験の結果、
菌の生育は全く認められなかった。さらに、乾燥後の塗
膜中のトリエチルアミンの残存率は2%未満で、塗膜の
耐水性試験における変質も全く認められなかった。本実
施例は本発明の必須要件であるアミン類を含有している
ので、ヒノキチオールの含有量が0.36重量%とその
水への溶解度(0.12重量%、25℃)を上回る量を
水系塗料に配合できており、塗料の防腐性、塗膜の抗菌
性ともに良好である。一方、塗膜形成時にアミン類が逃
散し、それが残存することによる耐水性の悪化が自動的
に回避さるという、本発明の概念が具現化されている。
【0031】
【実施例3】アクリル系樹脂エマルジョン31重量%、
スチレンマレイン酸共重合体エマルジョン5重量%、低
分子量ポリエチレンエマルジョン5.78重量%、グリ
コールエーテル6.34重量%、トリブトキシエチルホ
スフェイト1.11重量%、消泡剤0.02重量%、レ
ベリング剤1.85重量%、香料0.09%、前記の方
法で調製したヒノキチオールとアンモニアの混合水溶液
12重量%、水36.55重量%からなる塗料(ワック
ス)に対し防腐試験を行った結果、生菌数は0であっ
た。また、塗膜の抗菌防カビ試験の結果、菌の生育は全
く認められなかった。さらに、乾燥後の塗膜中のアンモ
ニア残存率は1%未満で、塗膜の耐水性試験における変
質も全く認められなかった。本実施例は本発明の必須要
件であるアミン類を含有しているので、ヒノキチオール
の含有量が0.36重量%とその水への溶解度(0.1
2重量%、25℃)を上回る量を水系塗料に配合できて
おり、塗料の防腐性、塗膜の抗菌性ともに良好である。
一方、塗膜形成時にアミン類が逃散し、それが残存する
ことによる耐水性の悪化が自動的に回避さるという、本
発明の概念が具現化されている。
【0032】
【実施例4】酢酸ビニル樹脂40重量%、二酸化チタン
5重量%、クレー12重量%、ジブチルフタレート10
重量%、ポリビニルアルコール5重量%、アニオン界面
活性剤0.5重量%、ノニオン界面活性剤0.5重量
%、金属塩2.5重量%、キシレン10重量%、前記の
方法で調製したヒノキチオールとアンモニアの混合水溶
液12重量%、水2.8重量%からなる塗料(接着剤)
に対し防腐試験を行った結果、生菌数は0であった。ま
た、塗膜の抗菌防カビ試験の結果、菌の生育は全く認め
られなかった。さらに、乾燥後の塗膜中のアンモニア残
存率は1%未満で、塗膜の耐水性試験における変質も全
く認められなかった。本実施例は本発明の必須要件であ
るアミン類を含有しているので、ヒノキチオールの含有
量が0.36重量%とその水への溶解度(0.12重量
%、25℃)を上回る量を水系塗料に配合できており、
塗料の防腐性、塗膜の抗菌性ともに良好である。一方、
塗膜形成時にアミン類が逃散し、それが残存することに
よる耐水性の悪化が自動的に回避さるという、本発明の
概念が具現化されている。
【0033】
【実施例5】アクリル系樹脂43重量%含有エマルジョ
ン63重量%、二酸化チタン9重量%、4重量%ヒドロ
キシエチルセルロース9重量%、25重量%デモールE
P(花王(株)製)7重量%、ヒノキチオール1重量
%、アンモニア水(28%)0.37重量%、水10.
63重量%からなるアクリル樹脂系エマルジョン塗料に
対し防腐試験を行った結果、生菌数は0であった。ま
た、塗膜の抗菌防カビ試験の結果、菌の生育は全く認め
られなかった。さらに、乾燥後の塗膜中のアンモニア残
存率は1%未満で、塗膜の耐水性試験における変質も全
く認められなかった。本実施例は本発明の必須要件であ
るアミン類を含有しているので、ヒノキチオールの含有
量が1.0重量%とその水への溶解度(0.12重量
%、25℃)を上回る量を水系塗料に配合できており、
塗料の防腐性、塗膜の抗菌性ともに良好である。一方、
塗膜形成時にアミン類が逃散し、それが残存することに
よる耐水性の悪化が自動的に回避さるという、本発明の
概念が具現化されている。
【0034】
【比較例1】ヒノキチオールとアンモニアの混合水溶液
の代わりにヒノキチオールナトリウム塩の4重量%水溶
液を用いた以外は、実施例1と同様の組成の塗料に対し
防腐試験を行った結果、生菌数は0であった。また、塗
膜の抗菌防カビ試験の結果、菌の生育は全く認められな
かった。しかし、乾燥後の塗膜中にナトリウムの残存が
認められ、耐水性試験の結果、塗膜に割れや剥がれが認
められた。本比較例は本発明の必須要件を満足しておら
ず、ナトリウム塩としてヒノキチオールを配合している
ので、ナトリウムが残存することに起因して、塗膜の耐
水性が劣っている。
【0035】
【比較例2】アクリル系樹脂43重量%含有エマルジョ
ン70重量%、二酸化チタン10重量%、4重量%ヒド
ロキシエチルセルロース10重量%、25重量%デモー
ルEP(花王(株)製)8重量%、水1.7重量%、ヒ
ノキチオールのβ−シクロデキストリン包接体0.3重
量%からなる塗料に対し防腐試験および塗膜の抗菌防カ
ビ試験を実施した結果、緑膿菌の生育が認められた。ま
た、乾燥後の塗膜中にβ−シクロデキストリンの残存が
認められ、耐水性試験の結果、塗膜に割れや剥がれが認
められた。本比較例は本発明の必須要件を満足しておら
ず、β−シクロデキストリンの包接体としてヒノキチオ
ールを配合しているので、その水系塗料に対しては水へ
の溶解度(0.3%、15℃)程度の配合しか許され
ず、これはヒノキチオール濃度に換算すると僅か0.0
4重量%であり、その結果、抗菌性が不十分である。ま
た、β−シクロデキストリンが残存することに起因し
て、塗膜の耐水性が劣っている。
【0036】
【比較例3】アンモニア水(28%)0.37gを水
0.37gで置き換えた以外は、実施例5と同様の組成
の塗料を調製したところ、ヒノキチオールが溶解し切れ
ず析出した。本比較例は本発明の必須要件であるアミン
類を配合せず、ヒノキチオール単独の配合であるため、
ヒノキチオールが水系塗料に溶解しきれず析出してい
る。
【0037】
【発明の効果】ヒノキチオールにアミン類を共配合する
ことにより、抗菌性が強化されるとともに水への溶解度
が向上し、十分量のヒノキチオールを水系塗料に物性配
合できること、および水蒸発過程でアミン類が容易に逃
散し、アミン類残存による耐水性悪化が自動的に回避さ
れるという新規な概念に基づく水系塗料を提供すること
が可能となる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4H011 AA02 AA03 AC06 BA01 BB03 BB22 BC04 BC08 BC19 DA13 DA17 DH02 DH13 4J038 CD001 CG001 DA041 DA131 DA161 DB001 DD001 DG001 DL001 JA17 JA30 JB01 JB03 JB09 JB26 MA08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒノキチオールとアミン類を含有するこ
    とを特徴とする水系塗料。
  2. 【請求項2】 ヒノキチオールとアミン類を含有する水
    系製剤であって、該製剤におけるヒノキチオールの濃度
    が水への溶解度より高く、且つ該製剤における水分濃度
    が30重量%以上であるヒノキチオール含有製剤を含む
    ことを特徴とする水系塗料。
  3. 【請求項3】 アミン類が、アンモニア、ジエチルアミ
    ン、トリエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルア
    ミン、モルホリン、N,N−ジメチル−エタノールアミ
    ン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノー
    ル、モノイソプロパノールアミン、N,N−ジエチル−
    エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロ
    パノール、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノ
    ールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−エチル−
    ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ト
    リエタノールアミンから選ばれる1種または2種以上で
    ある請求項1または2記載の水系塗料。
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