JP2011178731A - N−アセチルメチオニン銀錯体 - Google Patents

N−アセチルメチオニン銀錯体 Download PDF

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健司 野宮
Noriko Rikiishi
紀子 力石
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Abstract

【課題】光照射や塩化物イオンなどによって、変色や沈殿を生じず、殺菌活性を長期間維持できる、水等に易溶性の銀錯体、および該銀錯体を含有する液状組成物若しくは殺菌剤組成物を提供する。
【解決手段】銀化合物とN−アセチルメチオニンとを共存させ、銀イオンにN−アセチルメチオニンを配位させて、N−アセチルメチオニン銀錯体を得る。N−アセチルメチオニン銀錯体を水に溶解させて、液状組成物を得る。該液状組成物を用水路等に施用して有害微生物の繁殖防除や殺菌に使用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な銀錯体であるN−アセチルメチオニン銀錯体に関する。さらにN−アセチルメチオニン銀錯体を含有する液状組成物若しくは殺菌剤組成物に関する。
従来から、澱粉糊、にかわ、塗工紙、紙用塗工液、塗料、接着剤、補修剤、合成ゴムラテックス、印刷インキ、有機素材フィルム、プラスチック製品、洗剤、セメント混和剤などの各種工業製品や、製紙パルプ工場、冷却水循環工程などの種々の工業用水には、それに含まれる有機質を栄養源として有害な微生物が繁殖し、製品の汚損、着色など品質の低下、悪臭の発生が問題となっている。そこで、工業製品や工業用水の有害微生物繁殖防除や殺菌のため、様々な種類の防腐剤や殺菌剤が開発されている。特にそのような殺菌剤の中でも、イソチアゾリン系殺菌剤は、コストパフォーマンスに優れるため、幅広く使用されている。しかし、イソチアゾリン系殺菌剤は、きわめて強い皮膚刺激性を有するため使用に当たっては、細心の注意が必要となる。
安全性が高くイソチアゾリン系殺菌剤と同等の活性を有する殺菌剤の一つとして、銀−アミノ酸錯体が知られている。銀−アミノ酸錯体は、非毒性であるので、様々な工業製品や生活用品に使用されている。例えば、銀−アミノ酸錯体を水に添加して、水槽、プール、風呂などに発生しうる菌類等を殺菌できる。樹脂、塗料、接着剤、インクなどに銀−アミノ酸錯体を添加することで抗菌、殺菌性を付与できる。各種繊維、紙、皮革、セラミックス、ガラスなどに銀−アミノ酸錯体を塗布あるいは含浸させることによって抗菌、殺菌性を付与できる。
銀−アミノ酸錯体として、例えば、特許文献1、2および3には、銀−メチオニン錯体が提示されている。また、特許文献4には、メチオニン、硫酸銀、およびポリオキシエチレンドデシルエーテルからなる組成物が開示されている。しかし、銀−アミノ酸錯体は、紫外線照射の影響によって銀イオンが還元等して変色することがある。また、塩化物イオンなどによって、銀イオンを含む化合物が析出したり、沈殿したりすることがある。また、特許文献4の比較例6に示されているように、メチオニン、硫酸銀、およびポリオキシエチレンドデシルエーテルからなる組成物は繊維染色抑制効果が低い。
一方、特許文献5には、N−長鎖アシルアミノ酸に抗菌作用を有する金属が結合している抗菌材が開示されている。抗菌作用を有する金属としては、銀、銅、鉛、亜鉛、錫、ビスマスが示されている。アミノ酸としては、グルタミン酸、メチオニンなどが示されている。N−長鎖アシル基としてはステアロイル基、ラウロイル基などが示されている。このN−長鎖アシルアミノ酸塩は、水、各種の有機溶剤に対して難溶であり、取扱が不便である。
特表2002−529411号公報 特表2003−521472号公報 特開2005−145923号公報 特開2007−176985号公報 特開平10−245496号公報
本発明は、光照射や塩化物イオンなどによって、変色や沈殿を生じず、殺菌活性を長期間維持できる、水等に易溶性の銀錯体、および該銀錯体を含有する液状組成物若しくは殺菌剤組成物を提供することが、課題である。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、N−アセチルメチオニンを配位子とする銀錯体は、水等に易溶性で、変色や沈殿を生じず、殺菌活性を長期間維持できることを見出した。
本発明は、この知見に基づき、さらに検討を重ねることによって、完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下のものを包含する。
(1) N−アセチルメチオニン銀錯体。
(2) N−アセチルメチオニン銀錯体を含有する液状組成物。
(3) N−アセチルメチオニン銀錯体を含有する殺菌剤組成物。
本発明に係るN−アセチルメチオニン銀錯体は、水等に易溶性で、変色や沈殿を生じず、きわめて強い殺菌活性を長期間維持できる。
本発明に係るN−アセチルメチオニン銀錯体は、急性経口毒性、皮膚刺激性、粘膜刺激性などの毒性が低い。また、施用対象の素材の品質に影響を及ぼさない。さらに、抗菌性、殺菌性、抗カビ性、抗ウイルス性等の効果が長期間にわたり持続する。
N−アセチルメチオニン銀錯体は、銀化合物とN−アセチルメチオニンとを共存させ、銀イオンにN−アセチルメチオニンを配位させたものである。
(N−アセチルメチオニン)
Figure 2011178731
N−アセチルメチオニンは式(I)で表される化合物である。N−アセチルメチオニンには、L体とD体の光学異性体が存在する。本発明においては、N−アセチル−D−メチオニン単独で、N−アセチル−L−メチオニン単独で、またはN−アセチル−D−メチオニンとN−アセチル−L−メチオニンとの混合物で使用することができ、好ましくはN−アセチル−D,L−メチオニンで使用することができる。
(銀化合物)
銀イオン源となる銀化合物は、特に制限されないが、酸化数1の銀化合物が好ましい。例えば、硝酸銀、酸化銀、塩化銀が挙げられる。該銀化合物は1種単独で若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、酸化銀が、N−アセチルメチオニンとの錯体の形成し易さの観点から、好ましい。
N−アセチルメチオニン銀錯体の調製方法は特に制限されない。例えば、硝酸銀などの水溶性銀化合物を水に溶解させ、これにN−アセチルメチオニンをそのまま若しくは水に溶解させて添加混合することによって、N−アセチルメチオニン銀錯体を調製することができる。また、N−アセチルメチオニンを水に溶解させ、これに酸化銀や塩化銀などの水難溶性銀化合物を添加し、撹拌することによって、N−アセチルメチオニン銀錯体を調製することができる。
上記のようにしてN−アセチルメチオニン銀錯体を調製した後、該水溶液にエタノール、アセトン等の有機溶剤を加え、分別して、N−アセチルメチオニン銀錯体を単離することができる。
N−アセチルメチオニン銀錯体の調製においては、銀化合物中の銀1モルに対してN−アセチルメチオニンが、好ましくは1モル以上、より好ましくは1.4モル以上、さらに好ましくは2モル以上用いられる。なお、N−アセチルメチオニンを多量に使用すると製造コストが高くなるので、銀化合物中の銀1モルに対してN−アセチルメチオニンは4モル以下であることが好ましい。
(液状組成物)
本発明の液状組成物は、N−アセチルメチオニン銀錯体を含有するものである。本発明の液状組成物は、常温固体のN−アセチルメチオニン銀錯体を溶剤に添加することによって、若しくは、上記のようなN−アセチルメチオニン銀錯体の調製において水などの溶剤を用いることによって、得ることができる。 液状組成物の製造における、各工程は、温度10〜30℃の環境下で行うのが好ましい。該組成物を構成する各成分の混合には、公知の撹拌装置を用いることができる。上記の方法等で製造された本発明の液状組成物は濾過等を行って異物等を取り除くことが好ましい。
本発明の液状組成物に用いられる溶剤としては、水;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等のグリコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、プロピレンカーボネート等のケトン系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン等の極性溶剤などが挙げられる。液状組成物に使用される水としては、水道水、精製水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。これらのうち、安定性や経済性の面から、精製水またはイオン交換水が好ましい。
液状組成物におけるN−アセチルメチオニン銀錯体の濃度は、好ましくは0.0005質量%〜20質量%、より好ましくは0.05質量%〜10質量%、さらに好ましくは0.25質量%〜5質量%である。なお、ここでの濃度は、N−アセチルメチオニン銀錯体および溶剤の合計量を基準にした値である。
本発明の液状組成物には、アミノ酸若しくはそれの塩、ヒドロキシカルボン酸、多価カルボン酸若しくはそれらの塩などが共存していてもよい。
アミノ酸としては、グリシン、アラニン、ロイシン、バリン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン、アスパラギン酸、ヒスチジン、リジン、アルギニン、システイン、メチオニン、チロシン、トリプトファンなどが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸などが挙げられる。
多価カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸などが挙げられる。
本発明の液状組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を任意の割合で含有していてもよい。
他の成分としては、例えば、界面活性剤、増粘剤、酸化防止剤、光安定剤、pH調整剤、香料、消泡剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ポリヘキサメチレンビグアニド等のカチオン性界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩、リグニンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、α−オレフィン脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸塩等のアニオン性界面活性剤;アルキルメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン等の両性界面活性剤などが挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム等が挙げられる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−t−ブチルフェノール]、アルキルジフェニルアミン等が挙げられる。
光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−セバケート)等が挙げられる。
pH調整剤としては、硫酸、硝酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、リン酸塩等が挙げられる。
また、本発明の液状組成物には、その目的及び用途に応じて、公知の殺菌防カビ剤、防腐剤、防藻剤等の活性成分が含有されていてもよい。
該活性成分としては、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(DDAC)、ジデシルジメチルアンモニウムアジペート(DDAA)等の第4級アンモニウム塩系化合物、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、グルコン酸クロルへキシジン等のビグアナイド系化合物、セチルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムクロライド等のピリジニウム系化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾリン系化合物、3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカーバメート等の有機ヨウ素系化合物、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン等のピリジン系化合物、ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオン等のピリチオン系化合物、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール系化合物、メチル−2−ベンズイミダゾールカーバメート、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール等のイミダゾール系化合物、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチオカーバメート系化合物、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル等のニトリル系化合物、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド及びN−(フルオロジクロロメチルチオ)−N,N’−ジメチル−N−フェニル−スルファミド等のハロアルキルチオ系化合物、α−t−ブチル−α(p−クロロフェニルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名テブコナゾール)等のトリアゾール系化合物、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(慣用名DCMU)等のフェニルウレア系化合物、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−S−トリアジン等のトリアジン系化合物等が挙げられる。
これらの活性成分は、1種単独で若しくは2種以上を組み合わせて使用することができる。またこれら活性成分の配合割合は、用途に応じて任意に決定することができる。
(殺菌剤組成物)
本発明の殺菌剤組成物は、N−アセチルメチオニン銀錯体を含有するものである。N−アセチルメチオニン銀錯体は殺菌剤組成物に固体状態で含有されていてもよいし、溶剤に溶解された状態で含有されていてもよい。
なお、本明細書において、「殺菌剤」とは、細菌、カビ、藻類等の微生物を死滅させる機能を有する剤のみではなく、これらの微生物を取り除く或いは混入を抑制する(抗菌)機能、及び、増殖を抑制する(静菌)等の機能を有する剤をも含意する。
本発明の殺菌剤組成物は、そのままで若しくは製剤化して、抗菌剤、殺菌剤、抗カビ剤、若しくは抗ウイルス剤として用いることができる。
製剤の形態としては、粉剤、粒剤、ペースト剤、マイクロカプセル剤等が挙げられる。製剤化において、例えば、クレー、タルク、シリカ、アルミナ、モンモリロナイト等に本発明に係る殺菌剤組成物を吸着させることができる。
本発明の殺菌剤組成物は、抗菌性、殺菌性、抗カビ性、抗ウイルス性等の効果を必要とする素材に施用することができる。該素材としては、例えば、繊維、衛生加工品、医療用成形加工品、洗剤、化粧品、食品、青果物、種子、農作物、家畜、クリーンフィルム、包装材料、殺菌性材料、水性エマルション塗料、有機溶剤型塗料、エマルション樹脂、切削油等の金属加工油、合板、木材、皮革、カゼイン、でんぷん糊、にかわ、塗工紙、紙用塗工液、表面サイズ剤、接着剤、合成ゴムラテックス、印刷インキ、ポリビニルアルコールフィルム、塩化ビニルフィルム、プラスチック製品、セメント混和剤、シーリング剤、目地剤などが挙げられる。また、製紙パルプ工場や冷却水循環工程で使用される各種産業用水等にも用いることができる。
施用方法は、対象となる素材に応じて、適宜選択できる。例えば、素材に混ぜ合わせる方法、素材に浸み込ませる方法、素材表面に塗布する方法などが挙げられる。
次に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、これら実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
白色粉体のN−アセチルメチオニン銀錯体の製造
水30mLに、酸化銀0.116g(0.5mmol)を分散させ、次いでN−アセチル−D,L−メチオニン0.383g(2.00mmol)を加えた。2時間攪拌した後、ひだ折りろ紙(Whatman#5)でろ過した。ろ液をアセトン250mL中に滴下した。生成した白色沈殿を、メンブランフィルター(JG0.2μm)で回収した。回収した白色沈殿を、アセトン50mLおよびジエチルエーテル100mLで各2回洗浄し、次いで吸引乾燥を行った。さらに凍結乾燥機で2時間乾燥した。白色粉体のN−アセチルメチオニン銀錯体0.80gが得られた。
実施例1で得られたN−アセチルメチオニン銀錯体について、FT−IR(KBrDisk)、1H−NMR、13C−NMR、109Ag−NMR、TG/DTA、元素分析、および単結晶X線構造解析によるキャラクタリゼーションを行った。その結果は以下のとおりであった。
[FT−IR(KBrDisk)]
1635(vs), 1591(vs), 1442(w), 1399(m), 1308(w), 1283(w), 1119(vw), 1041(vw), 962(vw), 548(w) cm-1
1H−NMR]
(溶媒:D2O,内部標準:DSS,測定温度:23.3℃)
δ2.03-2.09 (4H, m, H9 and H3a), 2.12-2.26(1H, m, H3b), 2.42(3H, s, H6), 2.83(2H, t,H4), 4.33(1H, q, H2) ppm
13C−NMR]
(溶媒:D2O,内部標準:DSS,測定温度:25.2℃)
δ20.5(s,C6), 24.6(s,C9), 34.8(s,C4), 35.2(s,C3), 56.5(s,C2), 176.4(s,C8), 180.5(s,C1) ppm
109Ag−NMR]
(溶媒:D2O,置換法:AgNO3,測定温度:20.1℃)
δ356.1 ppm
[TG/DTA]
(標準:Al23,昇温温度:4℃/min)
室温から184.7℃までに溶媒和による重量減はなし。
184.7℃から500℃までに56.32%の重量減。
分解温度184.7℃から500℃までに分解。
発熱ピーク:211.7℃
[元素分析]
表1に結果を示す。表1中のCalcd.は、オリゴマー(二核錯体)としての計算値である。
(C1424262Ag2(M.W.=596.22))
Figure 2011178731
[単結晶X線構造解析]
S−Ag−O結合を有するオリゴマーを形成していた。その結晶構造は、syn−anti構造であった。また、別の分子のチオエーテルのS原子が配位しており、Ag−Ag相互作用を有する5配位構造を形成していた。また、アセチル基中のカルボニル基は、配位に関与していなかった。
[実施例2]
無色透明針状結晶のN−アセチルメチオニン銀錯体の製造
実施例1で得られたN−アセチルメチオニン銀錯体0.10gを、水10mLに溶解した。この溶液を内部溶媒とし、アセトンを外部溶媒として、vapar diffusion法による結晶化処理を1日掛けて行い、無色透明針状結晶を得た。得られた無色透明針状結晶を、メンブランフィルター(JG0.2μm)で回収した。回収した無色透明針状結晶を、アセトン50mLおよびジエチルエーテル100mLで各2回洗浄し、次いで吸引乾燥を行った。さらに凍結乾燥機で2時間乾燥した。無色透明針状結晶のN−アセチルメチオニン銀錯体0.04gが得られた。
実施例2で得られたN−アセチルメチオニン銀錯体について、FT−IR(KBrDisk)、1H−NMR、13C−NMR、TG/DTA、元素分析、および単結晶X線構造解析によるキャラクタリゼーションを行った。その結果は以下のとおりであった。
[FT−IR(KBrDisk)]
1650(s), 1593(vs), 1553(s), 1397(s), 1351(w), 1332(w), 1281(w), 1244(w), 1217(w), 1172(w), 1108(vw), 1042(vw), 1015(vw), 960(vw), 780(w), 750(w), 728(w), 687(w), 616(w), 589(w), 550(w), 436(vw) cm-1
1H−NMR]
(溶媒:D2O,内部標準:DSS,測定温度:23.2℃)
δ2.00-2.09 (4H, m, H9 and H3a), 2.16-2.23(1H, m, H3b), 2.42(3H, s, H6), 2.83(2H, t,H4), 4.32(1H, q, H2) ppm
13C−NMR]
(溶媒:D2O,内部標準:DSS,測定温度:25.3℃)
δ20.5(s,C6), 24.7(s,C9), 34.8(s,C4), 35.1(s,C3), 56.6(s,C2), 176.4(s,C8), 180.6(s,C1) ppm
[TG/DTA]
(標準:Al23,昇温温度:4℃/min)
室温から183.2℃までに溶媒和による重量減はなし。
183.2℃から500℃までに56.41%の重量減。
分解温度183.2℃から500℃までに分解。
発熱ピーク:201.3℃
[元素分析]
表2に結果を示す。表2中のCalcd.は、オリゴマー(二核錯体)としての計算値である。
(C1424262Ag2(M.W.=596.22))
Figure 2011178731
[単結晶X線構造解析]
S−Ag−O結合を有するオリゴマーを形成していた。その結晶構造は、syn−anti構造であった。また、別の分子のチオエーテルのS原子が配位しており、Ag−Ag相互作用を有する5配位構造を形成していた。また、アセチル基中のカルボニル基は、配位に関与していなかった。
[実施例3]
白色粉体のN−アセチルメチオニン銀錯体の製造
酸化銀と、N−アセチル−D,L−メチオニンとの比率を1:2に変更した以外は実施例1と同じ手法によって、白色粉体のN−アセチルメチオニン銀錯体0.21gを得た。
実施例3で得られたN−アセチルメチオニン銀錯体について、FT−IR(KBrDisk)、1H−NMR、13C−NMR、109Ag−NMR、TG/DTA、元素分析、および単結晶X線構造解析によるキャラクタリゼーションを行った。その結果は以下のとおりであった。
[FT−IR(KBrDisk)]
1637(vs), 1589(vs), 1441(w), 1399(m), 1308(w), 1284(w), 1226(vw), 1185(vw), 1120(vw), 1041(vw), 962(vw), 596(w), 548(m) cm-1
1H−NMR]
(溶媒:D2O,内部標準:DSS,測定温度:23.4℃)
δ2.03-2.10 (4H, m, H9 and H3a), 2.16-2.23(1H, m, H3b), 2.42(3H, s, H6), 2.84(2H, t,H4), 4.32(1H, q, H2) ppm
13C−NMR]
(溶媒:D2O,内部標準:DSS,測定温度:25.5℃)
δ20.5(s,C6), 24.7(s,C9), 34.8(s,C4), 35.2(s,C3), 56.6(s,C2), 176.4(s,C8), 180.6(s,C1) ppm
109Ag−NMR]
(溶媒:D2O,内部標準:AgNO3,測定温度:24.2℃)
δ338.7 ppm
[TG/DTA]
(標準:Al23,昇温温度:4℃/min)
室温から196.9℃までに溶媒和による重量減はなし。
196.9℃から500℃までに54.43%の重量減。
分解温度196.9℃から500℃までに分解。
発熱ピーク:211.5℃
[元素分析]
表3に結果を示す。表3中のCalcd.は、オリゴマー(二核錯体)としての計算値である。
(C1424262Ag2(M.W.=596.22))
Figure 2011178731
[単結晶X線構造解析]
S−Ag−O結合を有するオリゴマーを形成していた。その結晶構造は、syn−anti構造であった。また、別の分子のチオエーテルのS原子が配位しており、Ag−Ag相互作用を有する5配位構造を形成していた。また、アセチル基中のカルボニル基は、配位に関与していなかった。
実施例3で得られたN−アセチルメチオニン銀錯体(白色粉体)の活性評価を以下のようにして行った。なお、活性は最小発育阻止濃度(Minimum Inhibitory Concentration、MIC)で示した。
<細菌に対する活性評価方法>
実施例3で得られたN−アセチルメチオニン銀錯体を蒸留水に銀濃度1質量%となるように溶解させて、N−アセチルメチオニン銀錯体溶液を調製した。
ニュートリエントブロス(NB)液体培地(普通ブイヨン;栄研化学社製)10mlを入れたφ18mm、長さ150mmの試験管に、表4に示す細菌の菌株を1白金耳接種し、120rpm、30℃で24時間培養した。この培養液の100倍希釈液0.5mlを、NB培地9mlを入れたφ18mm、長さ150mmの試験管に加え、さらに前記のN−アセチルメチオニン銀錯体溶液0.5mlを加えて、試験液を得た。この試験液を、30℃で48時間培養した。該培養液を寒天含有培地に接種して菌が増殖するか否かで、菌の増殖の有無を判断した。その結果を表4に示す。
<酵母に対する活性評価方法>
培地をGP培地「ダイゴ」(ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地「ダイゴ」日局試験用:日本製薬社製)に変えて、表4に示す酵母について、上記の細菌に対する活性評価方法と同じ手法で、評価した。その結果を表4に示す。
<糸状菌に対する活性評価方法>
表4に示す糸状菌をポテト・デキストロース・アガー培地(ディフコ社製)に接種し、27℃±1℃の条件で1週間培養した。それにポテト・デキストロース・ブロス(ディフコ社製)を一定量加え、胞子濃度が1×105個/mlになるように調製した。それを種菌液とし上記の細菌に対する活性評価方法と同じ手法で、評価した。培養温度は、27℃±1℃とした。その結果を表4に示す。
Figure 2011178731

Claims (3)

  1. N−アセチルメチオニン銀錯体。
  2. N−アセチルメチオニン銀錯体を含有する液状組成物。
  3. N−アセチルメチオニン銀錯体を含有する殺菌剤組成物。
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