JP2023023843A - プライマー塗布判別方法 - Google Patents

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Akira Takahashi
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Abstract

【課題】本発明は目地におけるプライマー組成物の塗布を簡単に判別できる方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、プライマー組成物を塗布した後、マスキング材の状態の変化を目視で確認することによって、目地にプライマー組成物を塗布したことを判別する、プライマー塗布判別方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、プライマー塗布判別方法に関する。
一般的に、建築物の目地にはシーリング材が充填されるが、目地とシーリング材との接着性を確保するために、シーリング材を打設する前に、目地にプライマー組成物を通常、塗布する。
プライマー組成物に関し、プライマー組成物の塗り忘れや、プライマー組成物による建築物の汚れを防ぐ等のために、これまでに、塗布後、光等によって退色し得る、シーリング材用プライマー組成物が提案されている(例えば特許文献1)。
特開2010-195850号公報
しかし、上記のようなプライマー組成物が含有する退色性色素などは、目地とシーリング材との接着性を阻害する可能性がある。また、シーリング材を打設する前にプライマー組成物が退色すると、プライマー組成物を目地に塗布したか否か分からなくなることが考えられる。
一方、プライマー組成物による接着性を確保しつつこれによる汚染を防ぐために、無色又はそれに近いプライマー組成物を使用する場合、上記のようなプライマー組成物を塗り忘れる等の問題が発生しやすい。
このような、プライマー組成物の塗り忘れ等の原因は、目地にプライマー組成物を塗布したか否か等を目視で簡単に確認できないことにあると本発明者らは考えた。
そこで、本発明は、目地におけるプライマー組成物の塗布を簡単に判別できる方法を提供することを目的とする。
建築物にシーリング材を施工する際、施工後にプライマー組成物やシーリング材が目地以外の部分に残らないように、通常、目地周辺、例えば目地の両側の面に、予めマスキングテープのようなマスキング材を貼る。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、プライマー組成物を塗布した後、マスキング材の状態の変化を目視で確認することによって、目地にプライマー組成物を塗布したことを判別できることを見出し本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
[1]
プライマー組成物を塗布した後、マスキング材の状態の変化を目視で確認することによって、目地に上記プライマー組成物を塗布したことを判別する、プライマー塗布判別方法。
[2]
上記プライマー組成物が、建築用シーリング材用である、[1]に記載のプライマー塗布判別方法。
[3]
上記プライマー組成物が、無色又は淡黄色である、[1]又は[2]に記載のプライマー塗布判別方法。
[4]
上記プライマー組成物が、樹脂及び/又はゴム、並びに、溶剤を含有し、上記樹脂及び/又は上記ゴムの含有量が上記プライマー組成物中の10質量%以上である、[1]~[3]のいずれかに記載のプライマー塗布判別方法。
[5]
上記プライマー組成物が、着色剤又は蛍光剤を含まない、[1]~[4]のいずれかに記載のプライマー塗布判別方法。
[6]
上記マスキング材が、マスキングテープである、[1]~[5]のいずれかに記載のプライマー塗布判別方法。
[7]
プライマー組成物を塗布した後、マスキング材にブラックライトを照射し、上記マスキング材における発光の消失を目視で確認することによって、目地に上記プライマー組成物を塗布したことを判別する、プライマー塗布判別方法。
[8]
上記マスキング材は蛍光剤を含有する、[7]に記載のプライマー塗布判別方法。
[9]
プライマー組成物を塗布した後、マスキング材の艶又はシミを目視で確認することによって、目地に上記プライマー組成物を塗布したことを判別する、プライマー塗布判別方法。
[10]
プライマー組成物を塗布する前のマスキング材は表面に艶がなく、プライマー組成物を塗布した後のマスキング材は表面に艶が出ることを確認することによる、[9]に記載のプライマー塗布判別方法。
[11]
プライマー組成物を塗布した後のマスキング材において、上記プライマー組成物によるシミを確認することによる、[9]に記載のプライマー塗布判別方法。
[12]
プライマー組成物を塗布した後、マスキング材の表面のインキのにじみを目視で確認することによって、目地に上記プライマー組成物を塗布したことを判別する、プライマー塗布判別方法。
本発明によれば目地におけるプライマー組成物の塗布を簡単に判別することができる。
図1は、基材1上のマスキング材1(青色のマスキングテープ)に各プライマー組成物を塗布した状態を示す、比較例1の写真である。 図2は、基材2上のマスキング材3(メンディグテープ)に各プライマー組成物を塗布した状態を示す、実施例2の写真である。 図3は、マスキング材1において、黒色の油性マジックで線を複数本書いた部分に各プライマー組成物を塗布した状態を示す、実施例3の写真である。
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその成分に該当する物質をそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。成分が2種以上の物質を含む場合、成分の含有量は、2種以上の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書において、「目地におけるプライマー組成物の塗布を簡単に判別することができる」ことがより優れることを、本発明の効果がより優れるということがある。
[本発明のプライマー塗布判別方法]
本発明のプライマー塗布判別方法(本発明の判別方法)は、
プライマー組成物を塗布した後、マスキング材の状態を目視で確認することによって、目地に上記プライマー組成物を塗布したことを判別する、プライマー塗布判別方法である。
以下、本発明について詳述する。
(プライマー組成物が適用される対象)
本発明において、プライマー組成物が適用される対象(施工物、施工箇所)は特に制限されない。
プライマー組成物が適用される施工物としては、建築物が好適な態様の1つとして挙げられる。具体的には例えば、サッシ、ガラス、石、タイル、金属、塗装鋼板、コンクリート、モルタル、内装クロス、壁紙、石膏ボード、サイディングボードが挙げられる。施工物の表面に凹凸があってもよい。
プライマー組成物が適用される施工物の色は、特に制限されない。上記の色が、白、白に近い色、銀色等であってもよい。施工物の色が、マスキング材と似通っていてもよい。
プライマー組成物が適用される施工箇所としては、目地が好適な態様の1つとして挙げられる。
(マスキング材)
本発明において使用されるマスキング材は、基材と粘着剤層とを有し、施工物から剥離可能な材料であれば特に制限されない。例えば、プライマー組成物又はシーリング材の施工箇所以外を汚さない目的で使用される保護用の粘着材料が挙げられる。
マスキング材は、シーリング材を施工後、通常、施工物から除去される。
マスキング材が有する基材は特に制限されない。例えば、紙、熱可塑性樹脂が挙げられる。上記基材は、使用時に伸びにくいことが好ましい。
マスキング材が有する粘着剤層に使用され得る粘着剤は特に制限されない。例えば、ゴム系、アクリル系粘着剤が挙げられる。上記粘着剤は、施工物からマスキング材を剥離した後、施工物にマスキング材の跡が残らないことが好ましい。
マスキング材の形態としては、例えば、テープが挙げられる。
マスキング材の色は特に制限されないが、実用上、マスキング材の剥がし忘れを防止する等の観点から、例えば、鮮やかな色調又は施工物とは反対色が挙げられる。
マスキング材は、マスキングテープであることが好ましい。マスキングテープは、一般的に、塗料等を施工する際、塗料等を施工した箇所以外の部分を汚さない目的で使用される保護用の粘着テープを指す。
マスキング材としては、例えば、基材が紙であるマスキング材、基材の表面に凹凸があり艶がないマスキング材(上記テープの基材は紙でなくともよい)が挙げられる。
後述するブラックライトの照射による判別を行う場合、マスキング材がブラックライトの照射により発光することが好ましい。上記の場合、マスキング材が例えば蛍光剤のような、光の照射により発光する化合物を含むことが好ましい。
マスキング材は無地であってもよく、又は、マスキング材の基材の表面に、例えば油性マジックなどのインクで印が付けられていてもよい。上記インクは後述するプライマー組成物で溶ける又は滲むことが好ましい。
マスキング材の基材側の表面が、コーティングされていてもよい。
マスキング材は、本発明の判別方法の具体的な態様に応じて適宜選択できる。
(マスキング材の貼り付け)
マスキング材を施工物に貼り付ける際、目地の片側又は両側に沿って貼り付ければよい。
(プライマー組成物)
本発明に使用されるプライマー組成物は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
プライマー組成物は、建築用シーリング材用のプライマー組成物(建築用シーリング材のために使用されるプライマー組成物)であることが好ましい態様の1つとして挙げられる。
プライマー組成物は、着色剤等を添加せず目地とシーリング材との接着性を阻害しにくいという観点から、無色又は淡黄色であることが好ましい。無色又は淡黄色であることは、無色透明から淡黄色までの状態のいずれかを意味する。上記のプライマー組成物の色は、施工前の状態、施工後の状態のいずれであってもよいが、施工前後において無色又は淡黄色であることが好ましい。
プライマー組成物は、目地とシーリング材との接着性が優れるという観点から、樹脂及び/又はゴム、並びに、溶剤を含有することが好ましい。
プライマー組成物が含有しうる樹脂は特に制限されない。ゴム、溶剤についても同様である。溶剤は、水系溶剤、有機溶剤であってもよい。
プライマー組成物は、上記成分の他に、更に、シランカップリング剤、触媒等を含有してもよい。
プライマー組成物の固形分(溶剤以外の成分を指す。不揮発分とも言う。以下同様)の量は、目地とシーリング材との接着性が優れ、本発明の効果がより優れるという観点から、プライマー組成物中の10質量%以上であることが好ましく、20~80質量%がより好ましい。
プライマー組成物が樹脂及び/又はゴム、並びに、溶剤を含有する場合、目地とシーリング材との接着性が優れ、本発明の効果がより優れるという観点から、樹脂及び/又はゴムの含有量(樹脂及びゴムを含む場合これらの合計含有量)がプライマー組成物中の10質量%以上であることが好ましく、20~80質量%がより好ましい。
プライマー組成物は、目地とシーリング材との接着性を阻害しにくいという観点から、着色剤又は蛍光剤を含まないことが好ましい。
後述するブラックライトの照射による判別を行う場合、プライマー組成物は、着色剤又は蛍光剤を含まないことが好ましい。
プライマー組成物が着色剤又は蛍光剤を更に含む場合、着色剤又は蛍光剤の含有量は、上記と同様の理由から、プライマー組成物全量中の1.0質量%以下であることが好ましい。
(プライマー組成物の施工)
マスキング材を貼り付けた施工物にプライマー組成物を施工する際、プライマー組成物を少なくとも目地に施工すればよく、本発明の効果がより優れるという観点から、プライマー組成物を目地及びマスキング材に施工することが好ましい。
プライマー組成物を施工する方法は特に制限されない。例えば、刷毛、ローラー、スプレーを使用することができる。
また例えば、目地の幅よりも大きい刷毛等を用いて、目地及びマスキング材に同時にプライマー組成物を施工してもよい。
プライマー組成物を施工後、風乾させる方法等によって乾燥させることができる。
(マスキング材の状態の変化)
本発明において、プライマー組成物を塗布した後、マスキング材の状態の変化を目視で確認する。上記確認は上記乾燥後であってもよい。そして、プライマー組成物の塗布前後における、マスキング材の状態の変化を目視で確認することによって、目地にプライマー組成物を塗布したことを判別する。
本発明においては、プライマー組成物の塗布前後で、マスキング材の状態の変化があった場合、上記変化があったマスキング部分の近傍の目地にプライマー組成物が塗布されたと判別する。
マスキング材の状態の変化の態様としては、例えば、
(i)ブラックライトの照射による、マスキング材における発光の消失、
(ii)マスキング材の艶の有無、
(iii)マスキング材のシミの発生、
(iv)マスキング材の表面のインキのにじみが挙げられる。
以下、変化の各態様について説明する。
(i)ブラックライトの照射による、マスキング材における発光の消失
(i)は、プライマー組成物を塗布した後、マスキング材にブラックライトを照射し、マスキング材における発光の消失を目視で確認することによって、目地にプライマー組成物を塗布したことを判別する方法である。
(i)におけるプライマー塗布判別方法は、より具体的には例えば、プライマー組成物を塗布する前のマスキング材にブラックライトを照射するとマスキング材が発光するが、プライマー組成物を塗布後のマスキング材では発光が消失する(プライマー組成物が塗布された部分のマスキング材は発光しない)ことを目視で確認する方法である。
(i)において使用されるマスキング材は、ブラックライトを照射することによって発光することが好ましい。本発明の効果がより優れるという観点から、マスキング材が、蛍光剤を含有することが好ましい。上記の場合、マスキング材の基材が蛍光剤を含むことが好ましい。
(i)において使用されるプライマー組成物は、本発明の効果がより優れるという観点から、ブラックライトで発光しないことが好ましく、蛍光剤を含有しないことがより好ましい。
(i)において使用されるブラックライトは、波長400nm以下の紫外線を放射する電灯(ライト)を指す。
(ii)マスキング材の艶の有無
(ii)は、プライマー組成物を塗布した後、マスキング材の艶の有無を目視で確認することによって、目地にプライマー組成物を塗布したことを判別する方法である。
(ii)としては、例えば、プライマー組成物を塗布する前のマスキング材は表面に艶がなく、プライマー組成物を塗布した後のマスキング材は表面に艶が出る(透明に見える)ことを確認することによる方法が挙げられる。
(ii)におけるプライマー塗布判別方法は、より具体的には例えば、プライマー組成物を塗布する前のマスキング材は艶がないが、プライマー組成物を塗布後のマスキング材は艶がある(プライマー組成物が塗布された部分のマスキング材は艶がある)ことを、目視で確認する方法である。
(ii)において使用されるマスキング材は、基材の表面に凹凸があり艶がないマスキング材が挙げられる。上記テープの基材は紙でなくともよい。(ii)において使用されるマスキング材としては、例えば、メンディングテープが挙げられる。
(iii)マスキング材のシミの発生
(iii)は、プライマー組成物を塗布した後、マスキング材のシミの発生を目視で確認することによって、目地にプライマー組成物を塗布したことを判別する方法である。
(iii)としては、例えば、プライマー組成物を塗布した後のマスキング材において、プライマー組成物によるシミの発生を確認することによる方法が挙げられる。
(iii)において使用されるマスキング材としては、例えば、無地(模様がなく色が均一)のマスキング材が挙げられる。(iii)において使用されるマスキング材は、プライマー組成物の固形分(不揮発分)が浸み込むか否かは特に制限されない。
(iii)におけるプライマー塗布判別方法は、より具体的には例えば、プライマー組成物を塗布する前のマスキング材はシミがないが、プライマー組成物を塗布後のマスキング材の少なくとも一部の色が塗布する前のマスキング材よりも濃くなることを、目視で確認する方法である。
プライマー組成物によるマスキング材のシミとしては、例えば、プライマー組成物の固形分(不揮発分)がマスキング材に浸み込んだ跡;マスキング材の基材側の表面がコーティング等によって、プライマー組成物の固形分(不揮発分)がマスキング材に浸み込みにくく、マスキング材の表面に上記固形分が溜まった状態が挙げられる。
(iv)マスキング材の表面のインキのにじみ
(iv)は、プライマー組成物を塗布した後、マスキング材の表面のインキのにじみを目視で確認することによって、目地にプライマー組成物を塗布したことを判別する方法である。
(iv)において使用されるマスキング材は、予めインキで印が付けられたマスキングテープが挙げられる。インクとしては、例えば、油性マジックなどによるインクが挙げられる。インクはプライマー組成物で溶ける又は滲むことが好ましい。インクの色はマスキング材の色とは異なることが好ましい。
(iv)におけるプライマー塗布判別方法は、より具体的には例えば、プライマー組成物を塗布後のマスキング材の少なくとも一部のインクが、塗布する前よりも滲んでいることを、目視で確認する方法である。
(プライマー組成物の塗布の判別基準)
本発明においては、プライマー組成物の塗布前後で、マスキング材の状態の変化(例えば、上記の(i)~(iv))が目視で確認できた場合、上記変化があったマスキング部分の近傍の目地にプライマー組成物が塗布されたと判別する。
目地の両側にマスキング材があり、ある部分の目地において、その部分に隣接する、一方又は両側のマスキング材において変化が目視で確認された場合、上記部分の目地にプライマー組成物が塗布されたと判別できる。
また、目地の両側にマスキング材があり、ある部分の目地に隣接する両側のマスキング材において変化が目視で確認された場合、変化が目視で確認された両側のマスキング材の間にある目地全体にプライマー組成物が塗布されたと判別でき、好ましい。
一方、目地の両側にマスキング材があり、ある部分の目地において、その部分に隣接する両側のマスキング材において変化が目視で確認されなかった場合、上記部分の目地にプライマー組成物が塗布されていないと判別するものとする。
目地の片側にマスキング材があり、ある部分の目地において、その部分に隣接するマスキング材において変化が目視で確認された場合、上記部分の目地にプライマー組成物が塗布されたと判別できる。
目地の片側にマスキング材があり、ある部分の目地において、その部分に隣接するマスキング材において変化が目視で確認されなかった場合、上記部分の目地にプライマー組成物が塗布されていないと判別するものとする。
上記基準で目地にプライマー組成物が塗布されていないと判別された場合、プライマー組成物が塗布されていない、目地の部分にプライマー組成物を施工することができる。必要に応じて再度本発明のプライマー塗布判別方法を実施する。
(シーリング材の施工方法)
上記基準で目地にプライマー組成物が塗布されていると判別された場合、シーリング材を打設する。シーリング材の種類、施工方法は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。シーリング材の種類としては例えばポリウレタン系シーリング材が挙げられる。
シーリング材を打設後、シーリング材を養生させたのち、マスキング材を施工物から剥離することができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
<基材>
・基材1:白色の厚紙
・基材2:電解着色アルミニウムの板
<マスキング材>
下記各表に示すマスキング材の詳細は以下のとおりである。
・マスキング材1:青色のマスキングテープ。カモ井加工紙社製No.3303-K(シーリング用)
・マスキング材2:黄色のマスキングテープ。ニチバン社製No.241
・マスキング材3:メンディングテープ。セリア社製
・マスキング材4:上記マスキング材1に黒色の油性マジックで縦線をおよそ2ミリ間隔で書いたマスキング材
<プライマー組成物>
下記各表に示す各プライマー組成物の詳細は以下のとおりである。プライマー組成物の色調は、各プライマー組成物100ccを透明な瓶に入れて目視で観察した結果である。
・プライマー組成物1:サンスター技研社製ペンギンプライマーUM-2。1成分形ウレタン樹脂/合成ゴム系プライマー。溶剤は酢酸エチル及び酢酸ブチル。固形分24質量%。色調:淡黄色透明
・プライマー組成物2:コニシ社製ボンドシールプライマー♯9。1成分形ウレタン樹脂系プライマー。主溶剤は酢酸エチル。不揮発分31±3質量%。色調:淡黄色透明
・プライマー組成物3:セメダイン社製プライマーMP2000。1成分形ウレタン樹脂/アクリル樹脂系プライマー。固形分31質量%。色調:無色透明
・プライマー組成物4:横浜ゴム社製プライマーNo.18。1成分形合成ゴム/合成樹脂系プライマー。溶剤は酢酸エチル及び酢酸ブチル。固形分17±2質量%。色調:微淡黄色透明
・プライマー組成物5:横浜ゴム社製プライマーNo.40。1成分形ウレタン樹脂系プライマー。溶剤は酢酸エチル及び酢酸ブチル。固形分21±2質量%。色調:淡黄色透明
・プライマー組成物6:横浜ゴム社製プライマーNo.65。1成分形合成樹脂/ケイ素含有化合物系プライマー。溶剤は酢酸エチル、酢酸ブチル及びメチルエチルケトン。固形分23±2質量%。色調:無色透明
プライマー組成物4~6は、着色剤、蛍光剤を含まない。
<評価1:比較例1(プライマー組成物を塗布前後でのマスキング材の状態の変化を把握できない場合)>
(サンプルの作成)
基材1(白色の厚紙)に、長さ10cmのマスキング材1(青色のマスキングテープ)を必要本数平行に且つ間隔を空けて貼り付けた。
上記基材1の各マスキング材に、下記表1に示すプライマー組成物をそれぞれ塗布した。各プライマー組成物を塗布する際、各マスキング材の右半分にだけ各プライマー組成物を刷毛で一往復して塗布した。
その後、上記基材1を23℃の条件下に24時間置いて各プライマー組成物を乾燥させた。上記乾燥後の基材1を図1に示す。
図1は、基材1上のマスキング材1(青色のマスキングテープ)に各プライマー組成物を塗布した状態を示す、比較例1の写真である。図1において、各マスキング材の右半分だけに各プライマー組成物が塗布された。図1に示す6本のマスキング材1の上から順に
プライマー組成物3(MP2000)、
プライマー組成物5(No.40)、
プライマー組成物2(♯9)、
プライマー組成物4(No.18)、
プライマー組成物6(No.65)、
プライマー組成物1(UM-2)が塗布された。
図1に示すように、各マスキング材1において、プライマー組成物が塗布されていない左半分と、プライマー組成物が塗布された右半分では、目視では差がなかった。結果を表1の「目視」欄にも示す。
また、基材1上のマスキング材1(青色のマスキングテープ)に各プライマー組成物を塗布し、乾燥した後の色差(ΔE)を、分光色彩計(日本電色工業社製Spectro photometer SE6000)を用いて測定した。基準を、基材1上のマスキング材1のプライマー組成物が塗布されていない部分の色とした。結果を表1の「色差」欄に示す。表1に示すとおり、いずれのプライマー組成物を使用しても、使用前後でのマスキング材の色差は2.0以下であった。色差が2.0以下である場合、目視による識別は略できないと考えられる。
Figure 2023023843000001
表1に示すとおり、プライマー組成物を塗布した前後において、マスキング材の状態の変化を目視で確認できない場合、これによって、目地にプライマー組成物を塗布したか否かを簡単に判別することはできない。
<評価2:実施例1(ブラックライト照射による発光の有無)>
(サンプルの作製)
基材1(白色の厚紙)に、長さ10cmのマスキング材1(青色のマスキングテープ)又はマスキング材2(黄色のマスキングテープ)を必要本数平行に且つ間隔を空けて貼り付けた。
上記基材1の各マスキング材に、表2に示すプライマー組成物をそれぞれ塗布した。各プライマー組成物を塗布する際、各マスキング材の右半分にだけ各プライマー組成物を刷毛で一往復して塗布した。
その後、上記基材1を23℃の条件下に24時間置いて各プライマー組成物を乾燥させた。
(ブラックライト照射)
乾燥後の基材1にブラックライトから波長254nmの紫外線を照射して、各マスキング材からの発光を目視で確認した。ブラックライトとして使用された装置はアズワン社製の商品名 SUV-4であり、光源は放電管であった。結果を表2に示す。
Figure 2023023843000002
表2に示すように、基材1上のマスキング材1、2に対して、プライマー組成物を塗布する前にブラックライトで光を照射すると、マスキング材1、2が発光することを確認した。
一方、プライマー組成物をマスキング材1、2に塗布した後、マスキング材1、2にブラックライトで光を照射すると、マスキング材1、2において、プライマー組成物が塗布された部分から発光しなかった。
このように、プライマー組成物を塗布した後、ブラックライト照射によるマスキング材からの発光の消失を目視で確認することによって、マスキング材が発光しない部分の近傍の目地にプライマー組成物を塗布したことを簡単に判別できる。
<評価3:実施例2(艶による評価)>
(サンプルの作製)
基材2(電解着色アルミニウム板)に、長さ10cmのマスキング材3(メンディングテープ。艶なし)を必要本数平行に且つ間隔を空けて貼り付けた。
上記基材2上の各マスキング材に、表3に示すプライマー組成物をそれぞれ塗布した。各プライマー組成物を塗布する際、各マスキング材の右半分にだけ各プライマー組成物を刷毛で一往復して塗布した。
その後、上記基材1を23℃の条件下に24時間置いて各プライマー組成物を乾燥させた。
(目視による艶の確認)
乾燥後の基材2上の各マスキング材を目視で確認した。上記乾燥後の基材2を図2に示す。
図2は、基材2上のマスキング材3(メンディングテープ)に各プライマー組成物を塗布した状態を示す、実施例2の写真である。図2において、各マスキング材の右半分だけに各プライマー組成物が塗布された。図2に示す6本のマスキング材1の上から順に
プライマー組成物3(MP2000)、
プライマー組成物2(♯9)、
プライマー組成物5(No.40)、
プライマー組成物4(No.18)、
プライマー組成物6(No.65)、
プライマー組成物1(UM-2)が塗布された。結果を表3の「目視」欄にも示す。
(光沢計による艶の確認)
基材2上のマスキング材3の60°グロスと、上記マスキング材3に各プライマー組成物を塗布し、乾燥した後の60°グロスを、光沢計(コニカミノルタ社製MULTI GLOSS 268)を用いて測定した。結果を表3の「60°グロス」欄と「グロス差」欄に示す。表3に示すとおり、いずれのプライマー組成物を使用しても、使用前後でのマスキング材のグロス差は20.0以上であった。通常、グロス差が10.0以上である場合、目視による識別が可能である。
Figure 2023023843000003
表3に示すように、基材2上のマスキング材3において、プライマー組成物を塗布した部分には艶や透明感があった。
一方、マスキング材3において、プライマー組成物が塗布されていない部分は、艶がない状態のままで、不透明であった。
このように、艶なしのマスキング材を使用した場合、上記マスキング材にプライマー組成物を塗布した部分は塗布されてない部分よりも艶が出るので、艶なしのマスキング材の艶の有無を目視で確認することによって、マスキング材に艶がある部分の近傍の目地にプライマー組成物を塗布したことを簡単に判別できる。
<評価4:実施例3(インクのにじみ)、図3>
(サンプルの作製)
予めマスキング材1に黒色の油性マジックで線を複数本書くこと以外は、比較例1と同様にして、サンプルを作製した。乾燥後の基材1を図3に示す。
図3は、マスキング材1において、黒色の油性マジックで線を複数本書いた部分に各プライマー組成物を塗布した状態を示す、実施例3の写真である。図3に示す6本のマスキング材1に塗布されたプライマー組成物の順番は図1と同様である。
図3に示すように、各マスキング材1において、プライマー組成物が塗布された部分のインクはにじんだ。
図3に示すとおり、プライマー組成物を塗布した後において、マスキング材のインクのにじみを目視で確認することによって、マスキング材ににじみがある部分の近傍の目地にプライマー組成物を塗布したことを簡単に判別することができる。

Claims (12)

  1. プライマー組成物を塗布した後、マスキング材の状態の変化を目視で確認することによって、目地に前記プライマー組成物を塗布したことを判別する、プライマー塗布判別方法。
  2. 前記プライマー組成物が、建築用シーリング材用である、請求項1に記載のプライマー塗布判別方法。
  3. 前記プライマー組成物が、無色又は淡黄色である、請求項1又は2に記載のプライマー塗布判別方法。
  4. 前記プライマー組成物が、樹脂及び/又はゴム、並びに、溶剤を含有し、前記樹脂及び/又は前記ゴムの含有量が前記プライマー組成物中の10質量%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のプライマー塗布判別方法。
  5. 前記プライマー組成物が、着色剤又は蛍光剤を含まない、請求項1~4のいずれか1項に記載のプライマー塗布判別方法。
  6. 前記マスキング材が、マスキングテープである、請求項1~5のいずれか1項に記載のプライマー塗布判別方法。
  7. プライマー組成物を塗布した後、マスキング材にブラックライトを照射し、前記マスキング材における発光の消失を目視で確認することによって、目地に前記プライマー組成物を塗布したことを判別する、プライマー塗布判別方法。
  8. 前記マスキング材は蛍光剤を含有する、請求項7に記載のプライマー塗布判別方法。
  9. プライマー組成物を塗布した後、マスキング材の艶又はシミを目視で確認することによって、目地に前記プライマー組成物を塗布したことを判別する、プライマー塗布判別方法。
  10. プライマー組成物を塗布する前のマスキング材は表面に艶がなく、プライマー組成物を塗布した後のマスキング材は表面に艶が出ることを確認することによる、請求項9に記載のプライマー塗布判別方法。
  11. プライマー組成物を塗布した後のマスキング材において、前記プライマー組成物によるシミを確認することによる、請求項9に記載のプライマー塗布判別方法。
  12. プライマー組成物を塗布した後、マスキング材の表面のインキのにじみを目視で確認することによって、目地に前記プライマー組成物を塗布したことを判別する、プライマー塗布判別方法。
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