[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
(エレベータ制御システムの構成例)
図1は、実施形態1にかかるエレベータ制御システム100の機能構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、エレベータ制御システム100は、制御盤10、及び行き先階呼び装置30を備える。エレベータ制御システム100が制御を行うエレベータは、乗りかご1、駆動装置2、カウンタウェイト3、及びロープ4等を備える。
乗りかご1は、図示しない昇降路内を昇降して、各階に設けられた乗り場で乗りかご1に乗車した利用者を他の階に輸送する。乗りかご1とカウンタウェイト3とはロープ4によって連結されている。ロープ4は駆動装置2に架け渡されている。駆動装置2は例えば巻上機等であり、駆動装置2が駆動することで乗りかご1を昇降路内で上下に走行させることができる。
制御盤10は、制御部11、通信部12、及び記憶部13を備え、エレベータ全体を制御する。制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、駆動装置2と有線または無線で接続されている。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、例えば乗りかご1内等に設置される行き先階呼び装置30と接続されている。制御盤10と行き先階呼び装置30とは有線または無線で接続されていてよい。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、乗り場に設置される図示しない乗り場呼び装置等と有線または無線で接続されている。
制御部11は、乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合、または、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合等に、それらの呼び登録を行う。制御部11は、呼び登録の内容を記憶部13に格納してもよい。
ここで、行き先階呼びとは、乗りかご1内の利用者が、その乗りかご1を所望の行き先階へと向かわせるために行う操作である。また、乗り場呼びとは、乗り場の利用者が、上下いずれかの行き先方向に向かう乗りかご1をその乗り場に到着させるために行う操作である。
制御部11は、呼び登録の内容に応じて駆動装置2を駆動させ、乗りかご1を行き先階呼び、または乗り場呼びに応答させる。また、制御部11は、乗りかご1が所定階に到着すると乗りかご1及び乗り場の戸開および戸閉等を行う。
通信部12は、乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合、または、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合等に、それらの情報を行き先階呼び装置30及び図示しない乗り場呼び装置等から取得する。また、通信部12は、制御部11からの各種命令等を乗りかご1等に送信する。
記憶部13は、制御盤10にエレベータの制御を実行させるための各種プログラムを記憶する。上述のように、記憶部13が、行き先階呼び登録および乗り場呼び登録等を記憶していてもよい。
エレベータ制御装置としての行き先階呼び装置30は、物体検知部31、センサ部311(311a,311b,311c・・・)、押下検知部32、押しボタン312(312a,312b,312c・・・)、生成部35、発光制御部33、表示灯313(313a,313b,313c・・・)、及び通信部34を備え、乗りかご1の利用者による行き先階呼びを受け付ける。行き先階呼び装置30のうち、少なくともセンサ部311、押しボタン312、及び表示灯313は乗りかご1内に設けられている。行き先階呼び装置30の全体が乗りかご1内に設けられていてもよい。
センサ部311(311a,311b,311c・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階(行き先対象)にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311に手指等をかざすと、センサ部311は利用者の手指等の物体を検知する。
押しボタン312(312a,312b,312c・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。押しボタン312は、所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応する押しボタン312を押下することが可能に構成されている。
発光部としての表示灯313(313a,313b,313c・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311に手指等をかざし、または、対応する押しボタン312を押下すると、その行き先階に対応する表示灯313が所定の態様で発光する。
物体検知部31は、計時部31aと、制御部31bとを備える。計時部31aは、いずれかのセンサ部311が利用者の手指等の物体を検知すると、物体の検知時間のカウントを開始する。計時部31aは、そのセンサ部311が物体を検知し続けている間は、検知時間が所定時間に達するまで検知時間のカウントを継続する。計時部31aは、検知時間が所定時間に達する前に、そのセンサ部311が物体を検知しなくなった場合にも、物体の検知時間のカウントを終了する。
計時部31aは、いずれかのセンサ部311が物体を検知した後に、そのセンサ部311が物体を検知しない状態、すなわち、非検知状態になると、そのセンサ部311が物体を検知しなくなってからの非検知時間の計時(カウント)を開始する。そして、計時部31aは、第1時間に達するまで計時を継続し、第1時間に達したら、計時を終了する。第1時間としては、任意に設定することができる。例えば、第1時間を100msとすることができるが、これに限定されるものではない。また、第1時間を装置ごとに設定変更可能なパラメータデータとして構成し、装置ごとに調整するように構成してもよい。
第1の制御部としての制御部31bは、いずれかのセンサ部311が利用者の手指等の物体を検知すると、計時部31aがカウント(計時)した結果に基づいて行き先階呼びがあったか否かを判定する。具体的には、制御部31bは、いずれかのセンサ部311について計時部31aがカウントした検知時間が所定時間に達する前に、計時部31aが検知時間のカウントを終了した場合には、そのセンサ部311に対応する行き先階への呼びはなかったものと判定する。また、制御部31bは、いずれかのセンサ部311について計時部31aがカウントした検知時間が所定時間に達した場合に、他のセンサ部311が物体を検知しなければ、物体を検知したセンサ部311に対応する行き先階への呼びがあったものと判定する。
さらに、制御部31bは、第1の接点信号としてのセンサ接点信号を制御する。ここで、センサ接点信号は、センサ部311に対する操作による検知に基づく信号である。具体的には、本実施形態のセンサ接点信号は、センサ部311の検知に同期するとともに、センサ部311の非検知を第1時間だけ検知と擬制するための信号である。すなわち、センサ部311により操作が検知された場合にオンとなり、センサ部311により非検知となった場合には、直ちにオフとはならず、後述するように第1時間の経過後にオフとなる。センサ接点信号がオンとなってから、検知状態のまま所定時間経過したら、行き先階呼び登録が行われる。
制御部31bは、センサ部311により操作が検知された場合に、センサ接点信号をオンとし、センサ部311により検知から非検知に変化した場合に、非検知となった時点から第1時間の経過まで、センサ接点信号のオンを維持する。
より具体的には、制御部31bは、利用者がいずれかのセンサ部311や押しボタン312に対する操作を行うために行き先階表示部310に近づく場合において、センサ部311により操作が検知された場合に、センサ接点信号をオンとする。制御部31bは、センサ部311が検知状態から非検知状態に変化した場合に、非検知状態となった時点から第1時間の経過まで、検知範囲(図3参照)での検知の有無にかかわらずセンサ接点信号のオンを維持する。利用者がセンサ部311や押しボタン312に対する操作を止めて行き先階表示部310から離れる場合において、センサ部311により操作が検知された場合に、センサ接点信号をオンとし、センサ部311が検知状態から非検知状態に変化した場合に、非検知となった時点から第1時間経過まで、検知範囲での検知の有無にかかわらずセンサ接点信号のオンを維持する。なお、制御部31bは、センサ接点信号を、一定時間ごと、あるいはオンオフが変化するごとに、生成部35に送出する。また、制御部31bは、センサ接点信号がオンとなった場合には、表示灯313の暗点灯指示を、発光制御部33に送出する。さらに、制御部31bは、行き先階呼び登録が行われたと判定した場合には、表示灯313の明点灯指示を発光制御部33に送出する。
押下検知部32は、計時部32aと、制御部32bとを備える。計時部32aは、いずれかの押しボタン312が利用者によって押下されると、押しボタン312の押下時間のカウントを開始する。計時部32aは、その押しボタン312が押下され続けている間は、押下時間が所定時間に達するまで押下時間のカウントを継続する。計時部32aは、押下時間が所定時間に達する前に、その押しボタン312が押下されなくなった場合にも、押しボタン312の押下時間のカウントを終了する。
計時部32aは、いずれかの押しボタン312が押下された後に、その押しボタン312の押下が解除されると、すなわち、利用者の手指等が押しボタン312から離れると、その押しボタン312の押下が解除されてからの第2時間の計時(カウント)を開始する。そして、計時部32aは、第2時間に達するまで計時を継続し、第2時間に達すると計時を終了する。
ここで、第2時間は任意に設定することができる。例えば、第1時間を100msとすることができるが、これに限定されるものではない。また、第2時間と第1時間と同一時間に設定しても、異なる時間に設定してもいずれでもよい。さらに、第2時間を装置ごとに設定変更可能なパラメータデータとして構成し、装置ごとに調整するように構成してもよい。
第2の制御部としての制御部32bは、いずれかの押しボタン312が利用者によって押下されると、計時部32aがカウントした結果に基づいて行き先階呼びがあったか否かを判定する。具体的には、制御部32bは、いずれかの押しボタン312について計時部32aがカウントした押下時間が所定時間に達する前に、計時部32aが押下時間のカウントを終了した場合には、その押しボタン312に対応する行き先階への呼びはなかったものと判定する。
制御部32bは、いずれかの押しボタン312について計時部32aがカウントした押下時間が所定時間に達した後に、他の押しボタン312が押下されなければ、押下された押しボタン312に対応する行き先階への呼びがあったものと判定する。ただし、既にセンサ部311の検知から所定時間経過することで行き先階への呼び登録が行われている場合には、制御部32bは、押しボタン312の押下により新たな行き先階への呼び登録は行わない。
さらに、制御部32bは、第2の接点信号としての押しボタン接点信号を制御する。ここで、押しボタン接点信号は、押しボタン312に対する操作による検知に基づく信号である。具体的には、本実施形態の押しボタン接点信号は、押しボタン312の押下に同期するとともに、押しボタン312の押下解除を第2時間だけ押下と擬制するための信号である。すなわち、押しボタン接点信号は、押しボタン312が押下された場合にオンとなり、押しボタン接点信号がオンとなってから押下の状態で所定時間が経過したら、行き先階への呼び登録が行われる。ただし、既にセンサ部311の検知から所定時間経過すること等で行き先階への呼び登録が行われている場合には新たに行き先階への呼び登録は行われない。また、押しボタン接点信号は、押しボタン312の押下解除がされた場合には、直ちにオフとはならず、後述するように第2時間の経過後にオフとなる。
制御部32bは、押しボタン312の押下が検知された場合に、押しボタン接点信号をオンとする。制御部32bは、押しボタン312の押下から押下が検知されなくなった場合、すなわち、利用者の手指等が押しボタン312から離れて押下が解除された場合に、押下が検知されなくなった時点から、第2時間の経過まで、押しボタン接点信号のオンを維持する。なお、制御部32bは、押しボタン接点信号を、一定時間ごと、またはオンオフが変化するごとに、生成部35に送出する。また、制御部32bは、押しボタン接点信号がオンとなった場合には、表示灯313の暗点灯指示を、発光制御部33に送出する。さらに、制御部32bは、行き先階へ呼びがあったと判定した場合には、表示灯313の明点灯指示を発光制御部33に送出する。ただし、センサ部311の検知から所定時間経過することで行き先階への呼び登録が既に行われている場合には、制御部32bは、暗点灯指示および明点灯指示は送出しない。
生成部35は、制御部31bからセンサ接点信号を入力し、制御部32bから押しボタン接点信号を入力する、そして、生成部35は、センサ接点信号と押しボタン接点信号とから入力信号としてのセンサ/押しボタン入力信号を生成する。具体的には、生成部35は、センサ接点信号と押しボタン接点信号との論理和(OR)を演算することによって、センサ/押しボタン入力信号を生成する。このため、センサ接点信号、押しボタン接点信号いずれかがオンであれば、センサ/押しボタン入力信号はオンとなる。
ここで、上述したとおり、センサ部311が非検知になっても第1時間の間は、センサ接点信号はオンを維持し、押しボタン312が押下解除になっても第2時間の間は、押しボタン接点信号はオンを維持する。従って、センサ/押しボタン入力信号は、センサ部311が非検知になっても、押しボタン312が押下解除になっても、直ちにオフになららず、第1時間、もしくは第2時間の間はオンを維持することになる。生成部35は、生成したセンサ/押しボタン入力信号を、発光制御部33に送出する。
発光制御部33は、生成部35からセンサ/押しボタン入力信号を入力し、センサ/押しボタン入力信号のオンオフに従って表示灯313を点灯させる。すなわち、発光制御部33は、らセンサ/押しボタン入力信号がオンの場合には、操作が行われた行き先階に対応する表示灯313を発光させ、センサ/押しボタン入力信号がオフの場合には当該表示灯313を消灯させる。
ここで、発光させる態様としては、暗点灯と明点灯がある。発光制御部33は、制御部31bからの暗点灯指示を入力した場合に、表示灯313を暗点灯させ、制御部31b、32bからの明点灯指示を入力した場合に、表示灯313を明点灯させる。ここで、表示灯313の明点灯は、押しボタン312の押下、およびセンサ部311の検知から所定時間経過したことによる呼び登録の入力を、行き先階呼び装置30が検知した結果に対する応答の点灯を意味する。
具体的には、発光制御部33は、センサ/押しボタン接点信号がオンで、暗点灯指示が入力された場合に、操作が行われた行き先階に対応する表示灯313を暗点灯させる。また、発光制御部33は、その後、明点灯指示が入力された場合には、表示灯313を明点灯させる。また、発光制御部33は、センサ/押しボタン接点信号がオンで、暗点灯指示入力された場合には、操作が行われた行き先階に対応する表示灯313を暗点灯させる。また、発光制御部33は、その後、制御部32bから明点灯指示が入力された場合には、表示灯313を明点灯させる。あるいは、発光制御部33は、センサ/押しボタン接点信号がオンで、明点灯指示が入力された場合には、操作が行われた行き先階に対応する表示灯313を明点灯させる。言い換えれば、センサ部311での検知、押しボタン312の押下という操作があった段階で表示灯313が暗点灯し、行き先階への呼び登録があった場合に、表示灯313が明点灯する。
なお、発光の態様として、暗点灯、明点灯は一例であり、これらに限定されるものではない。例えば、点滅等の発光態様を採用することも可能である。
センサ/押しボタン接点信号がオフである場合には、発光制御部33は、表示灯313を消灯する。
通信部34は、物体検知部31または押下検知部32が、所定の行き先階への呼びがあったものと判定した場合には、その行き先階呼びの情報を制御盤10に送信する。
なお、行き先階呼び装置30は、乗りかご1の複数の行き先階に対応する押しボタン312の他に、例えば乗りかご1の戸開および戸閉を行う押しボタン等を備えていてもよい。この場合、上述の押下検知部32は、これらの他の押しボタンの押下を検知し、通信部34を介して制御盤10等に検知結果を通知してもよい。
また、行き先階呼び装置30は、乗りかご1の複数の行き先階に対応する表示灯313の他に、例えば乗りかご1の戸開および戸閉等に対応する表示灯等を備えていてもよい。この場合、上述の発光制御部33は、押下検知部32の検知結果等に基づいて、これらの表示灯を種々の態様で発光させてもよい。
また、行き先階呼び装置30は、上記以外にも、乗りかご1の利用者の操作に供する種々の構成を備えることができる。
次に、実施形態1にかかるエレベータ制御システム100の物理構成について説明する。制御盤10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び記憶装置等を備えるコンピュータとして構成されている。
ROMには、例えば制御プログラム及び呼び登録プログラム等のエレベータの制御に関わる各種プログラムが格納されている。ROMに格納されたこれらのプログラムが読み出されてRAMに展開され、それらのプログラムをCPU101が実行することにより、制御盤10のエレベータ制御装置としての機能が実現される。
この呼び登録プログラムがCPUにより実行されることで、上述の制御部11、通信部12、及び記憶部13等が実現される。
行き先階呼び装置30は、CPU、ROM、及びRAM等を備えるコンピュータとして構成されている。行き先階呼び装置30はまた、上述のようにセンサ部311(311a,311b,311c・・・)、押しボタン312(312a,312b,312c・・・)、及び表示灯313(313a,313b,313c・・・)を備えている。
ROMには、例えば行き先階呼びプログラム等の行き先階呼びの受け付けに関わるプログラムや、センサ接点信号および押しボタン接点信号の制御、センサ/押しボタン入力信号の生成、表示灯313の発光制御に関わる信号制御プログラム等の各種プログラムが格納されている。ROMに格納された行き先階呼びプログラム、信号制御プログラムが読み出されてRAMに展開され、CPUによって実行されることにより、行き先階呼び装置30の物体検知部31、押下検知部32、生成部35、発光制御部33、及び通信部34等が実現される。
ここで、呼び登録プログラム、行き先階呼びプログラムおよび信号制御プログラム等は、コンピュータで実行可能な、エレベータの制御に関する複数の命令を含むコンピュータ読み取り可能かつ非遷移的な記録媒体(Non-transitory Computer Readable Recording Medium)を有するコンピュータプログラムプロダクトである。呼び登録プログラム、行き先階呼びプログラムおよび信号制御プログラム等は、例えばモジュール構成となっており、これらのモジュールが主記憶装置上にロードされる。
呼び登録プログラム、行き先階呼びプログラムおよび信号制御プログラム等は、例えばコンピュータでの読み取りが可能なように記録媒体等に格納されて提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、またはフラッシュメモリ等である。ただし、呼び登録プログラム、行き先階呼びプログラムおよび信号制御プログラム等は、ネットワークに置かれたサーバ等により配信され、または、ダウンロード可能なように構成されることで、他の様々な手法により提供されてもよい。
なお、主に、制御盤10によって実行される呼び登録プログラムと、行き先階呼び装置30によって実行される行き先階呼びプログラムおよび信号制御プログラムとによって、エレベータ制御システム100によって実行されるエレベータ制御プログラムが構成される。
(操作盤の構成例)
次に、図2を用いて、実施形態1の操作盤318の構成例について説明する。図2は、実施形態1にかかる乗りかご1内の操作盤318の構成の一例を示す模式図である。
行き先階呼び装置30は、例えば乗りかご1内に設置された操作盤318を備える。操作盤318の設置位置は、例えば乗りかご1内の扉右横、つまり、利用者が乗りかご1に乗り込んだ状況で乗り場側に向かって、右側袖壁部分である。操作盤318が、乗りかご1の左側袖壁部分、または、側板部分等の他の部分に設置されていてもよい。
操作盤318は、例えば行き先階表示部310(310a~310e)、センサ部311(311a~311e)、押しボタン312(312a~312e),315(315e,315c)、表示灯313(313a~313e),316(316e,316c)、開閉表示部314(314e,314c)、及び表示装置317を備える。
行き先階表示部310は、例えば乗りかご1の行き先階の数字が示された文字盤等であり、乗りかご1の行き先階に対応して操作盤318に複数配置されている。図2の例では、乗りかご1の行き先階である1階~5階にそれぞれ対応して、5つの行き先階表示部310a~310eが縦方向に配置されている。
センサ部311は、非接触式のセンサであり、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310近傍の操作盤318に複数配置されている。図2の例では、縦方向に並ぶ行き先階表示部310a~310eの左横に、それぞれ対応する5つのセンサ部311a~311eが配置されている。乗りかご1の利用者が、所望の行き先階への呼びを行うために、対応するセンサ部311に手指等をかざすと、そのセンサ部311が、対応する行き先階表示部310への操作として利用者の手指等を検知する。
センサ部311は、例えば非接触式の反射型光電センサ等として構成されている。反射型光電センサは、赤外線をセンサの外側へ向けて投光し、その光が当たった物体からの反射光を受光することで、非接触に物体を検知する。ただし、センサ部311は、非接触で物体を検知することができればよく、例えば静電容量型センサ等の他の型式のセンサとして構成されていてもよい。静電容量型センサは、センサの周囲に電界を発生させ、電界内に進入した物体によって静電容量が変化することにより非接触に物体を検知する。
押しボタン312は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310と一体的に操作盤318に複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン312のそれぞれの前面には、対応する行き先階表示部310である文字盤等がはめ込まれている。乗りかご1の利用者が、所望の行き先階への呼びを行うために、対応する押しボタン312を押下すると、上述の押下検知部32(図1参照)が、対応する行き先階表示部310への操作として押しボタン312の押下を検知する。
ここで、本実施形態では、センサ部311と押しボタン312は一体化されている。図3は、センサ部311と押しボタン312を側面から見た構成とセンサ部311の検知範囲を示す模式図である。具体的には、図3に示すように、押しボタン312の裏面側にセンサ部311が装着されている。
センサ部311は、図3に示すように、表面から所定距離だけ離れた検知範囲401を有している。センサ部311は、図3に示すように、センサ部311と押しボタン312が設けられた行き先階表示部310の表面(すなわち、図3では押しボタン312の表面)から第1の距離だけ離間した位置までの第1の空間領域405では前記利用者の操作を検知しない。検知範囲401は、第2の空間領域に相当し、行き先階表示部310の表面から第1の距離から離間した位置から第2の距離だけ離間した位置までの空間領域であり、この空間領域で利用者の操作を検知する。第1の距離は、例えば、行き先階表示部310の表面(押しボタン312の表面)から5mm程度であり、第2の距離は、例えば、行き先階表示部310の表面(押しボタン312の表面)から25mm程度とすることができる。ただし、第1の距離、第2の距離についてはこれに限定されるものではない。
利用者は、行き先階登録をする際には、自分の手指403等を押しボタン312へ向けて前進させ、この際に、センサ部311の検知範囲401に指先が入ってセンサ部311が検知状態となり、指先が検知範囲401から抜けて第1の空間領域に入ると、センサ部311は非検知状態となる。利用者は、さらに手指403を前進させて、押しボタン312を押下する。
図2に戻り、表示灯313は、上述のように複数の態様で発光することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310と一体的に操作盤318に複数内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン312のそれぞれの背面に、それぞれ表示灯313が埋め込まれている。上述の物体検知部31からのセンサ接点信号に基づいて、及び押下検知部32からの押しボタン接点信号に基づいて、対応する表示灯313が点灯すると、押しボタン312及び行き先階表示部310を透過した表示灯313の光が利用者に目視される。
開閉表示部314は、例えば乗りかご1の扉の開閉を表示する表示盤等であり、乗りかご1の戸開を表示する開閉表示部314e、及び乗りかご1の戸閉を表示する開閉表示部314cを含む。図2の例では、開閉表示部314e,314cが左右に並んで操作盤318に配置されている。
押しボタン315は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、開閉表示部314e,314cにそれぞれ対応して、対応する開閉表示部314と一体的に操作盤318に複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン315e,315cのそれぞれの前面には、対応する開閉表示部314e,314cである表示盤等がはめ込まれている。乗りかご1の利用者が、乗りかご1の扉の開閉を行うために、対応する押しボタン315を押下すると、上述の押下検知部32(図1参照)が、対応する開閉表示部314への操作として押しボタン315の押下を検知する。
表示灯316は、所定の態様で発光することが可能に構成され、開閉表示部314e,314cにそれぞれ対応して、対応する開閉表示部314と一体的に操作盤318に内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン315e,315cのそれぞれの背面に、それぞれ表示灯316e,316cが埋め込まれている。例えば上述の押下検知部32(図1参照)の検知結果に基づいて、上述の発光制御部33(図1参照)が対応するいずれかの表示灯316e,316cを点灯させると、押しボタン315及び開閉表示部314を透過した表示灯316の光が利用者に目視される。これにより、利用者は、自身の操作がどちらの開閉表示部314e,314cに対する操作と認識されたかを知ることができる。
表示装置317は、例えば液晶パネル等として構成され、乗りかご1が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。図2の例では、上向き矢印と「3」の文字が表示されている。このことから、乗りかご1は3階付近を上方へ向かって走行中であることが判る。
なお、操作盤318の構成および各種構成の配置は図2の例に限られない。
図2の例では、複数の行き先階表示部310と、これらに対応するセンサ部311とがセットで縦1列に配置されることとしたが、行き先階表示部310とセンサ部311とがセットで複数列に配置されていてもよい。つまり、例えば1階~5階に対応する行き先階表示部310とセンサ部311とのセットが縦1列に配置された右隣等に、例えば6階~10階に対応する行き先階表示部310とセンサ部311とのセットを更に縦1列に配置することができる。
また、複数の行き先階表示部310と、これらに対応するセンサ部311とがセットで横1列または複数列に配置されていてもよい。
また、センサ部311の近傍に、センサ部311の存在を示す表示またはセンサ部311に手指等をかざす操作を促す表示等を配置してもよい。これらの表示は、例えばセンサ部311の近傍に所望の表示が記されたシール等を貼付することで配置することができる。
また、それぞれのセンサ部311の近傍に、それらのセンサ部311に対応する行き先階を示す点字、センサ部311の存在を示す点字、またはセンサ部311に手指等をかざす操作を促す点字等を配置してもよい。これらの点字は、例えばセンサ部311の近傍に所望の点字が付された銘板等を設置することで配置することができる。
また、操作盤318は、乗りかご1の開閉も非接触で行うことができるよう、開閉表示部314e,314cにそれぞれ対応するセンサ部を備えていてもよい。
その他、操作盤318は、利用者の操作に供する種々の押しボタン及びセンサ等を備えることができ、また、利用者に種々の情報を提示する表示灯等を備えることができる。
(エレベータ制御システムの処理例)
次に、図4~図6を用いて、実施形態1のエレベータ制御システム100のエレベータ制御処理の例について説明する。以下、行き先階呼び装置30の処理例を中心に、エレベータ制御システム100の処理例について説明する。
まず、物体検知部31による検知処理について説明する。図4は、実施形態1にかかるエレベータ制御システム100の物体検知部31による検知処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図4に示すように、行き先階呼び装置30の物体検知部31は、いずれかのセンサ部311が、対応する行き先階表示部310への操作を検知したか否かを判定する(S501)。いずれのセンサ部311も非検知状態であった場合には(S501:No)、物体検知部31はいずれかのセンサ部311が検知状態となるまで待機する。
所定のセンサ部311が、ある行き先階を表示する行き先階表示部310への操作を検知した場合には(ステップS501:Yes)、制御部31bはセンサ接点信号をオンとする(S502)。そして、制御部31bは、既にセンサ部311により検知された後または押しボタン312が押下された後、所定時間経過して、行き先階の呼び登録がされているか否かを判断する(S503)。制御部31bは、例えば、通信部34に呼び登録がセンサ部311や押しボタン312から入力されているか否かを問い合わせることにより判定することができる。
行き先階の呼び登録がされていない場合には(S503:No)、制御部31bは、暗点灯指示を行う(S504)。なお、制御部31bは、このセンサ接点信号のオンを生成部35に送出し、暗点灯指示を発光制御部33に送出する。
次に、制御部31bは、検知から所定時間経過したか否かを判断する(S505)。所定時間が経過した場合には(S505:Yes)、制御部31bは、行き先階呼び登録を行う(S506)。そして、制御部31bは、発光制御部33に明点灯指示を行う(S507)。そして、制御部31bは、センサ部311が非検知状態となったか否かを判定する(S508a)。センサ部311が非検知状態となっていない場合には(S508a:No)、制御部31bは、待機する。
S503で既に行き先階の呼び登録がおこわなれている場合(S503:Yes)あるいは、S505でセンサ部311による検知から所定時間経過していない場合には、センサ部311が非検知状態となったか否かを判定し(S508b)、非検知状態となっていない場合には(S508b:No)、S505へ戻り、制御部31bは所定時間経過を待機する。
センサ部311が非検知状態となった場合には(S508a、S508b:Yes)、計時部31aは計時を開始する(S509)。そして、制御部31bは、計時開始から第1時間が経過したか否かを判断する(S510)。第1時間が経過していない場合には(S510:No)、制御部31bはそのまま待機する。
第1時間が経過した場合には(S510:Yes)、計時部31aは計時を終了する(S511)。そして、制御部31bは、センサ接点信号をオフにする(S512)。
上記のようなS501からS512までの処理は繰り返し実行される。すなわち、利用者がセンサ部311に向けて手指を前進させて近づけていく場合、利用者がセンサ部311から手指を離して後退させていく場合のいずれにおいても、S501からS512までの処理が繰り返し実行される。
次に、押下検知部32による検知処理について説明する。図5は、実施形態1にかかるエレベータ制御システム100の押下検知部32による検知処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、行き先階呼び装置30の押下検知部32は、いずれかの押しボタン312が押下されて、対応する行き先階表示部310への操作を検知したか否かを判定する(S601)。いずれの押しボタン312も押下されない状態であった場合には(S601:No)、押下検知部32はいずれかの押しボタン312が押下されるまで待機する。
所定の押しボタン312が押下された場合、すなわち、ある行き先階を表示する行き先階表示部310への押しボタン312の押下が検知された場合には(ステップS601:Yes)、制御部32bは押しボタン接点信号をオンとする(S602)。そして、制御部32bは、既にセンサ部311により検知された後、所定時間経過して、行き先階の呼び登録がされているか否かを判断する(S603)。制御部32bは、例えば、通信部34に呼び登録がセンサ部311から入力されているか否かを問い合わせることにより判定することができる。
行き先階の呼び登録がされていない場合には(S603:No)、制御部32bは、暗点灯指示を行う(S604)。なお、制御部32bは、押しボタン接点信号のオンと暗点灯指示を発光制御部33に送出する。
次に、制御部32bは、押しボタン312の押下検知から所定時間経過したか否かを判断する(S605)。所定時間が経過した場合には(S605:Yes)、制御部32bは、行き先階呼び登録を行う(S606)。そして、制御部32bは、発光制御部33に明点灯指示を行う(S607)。そして、制御部32bは、押しボタン312の押下が解除されたか否かを判定する(S608a)。押しボタン312の押下が解除されていない場合には(S608a:No)、制御部32bは、待機する。
S603で既に行き先階の呼び登録がおこわなれている場合(S603:Yes)あるいは、S605で、押しボタン312の押下から所定時間経過していない場合には(S605:No)、押しボタン312の押下が解除されたか否かを判定し(S608b)、押下解除となっていない場合には(S608b:No)、S605へ戻り、制御部32bは所定時間経過を待機する。
押しボタン312が押下解除された場合には(S608a,S608b:Yes)、計時部32aは計時を開始する(S609)。そして、制御部32bは、計時開始から第2時間が経過したか否かを判断する(S610)。第2時間が経過していない場合には(S610:No)、制御部32bはそのまま待機する。
第2時間が経過した場合には(S610:Yes)、計時部32aは計時を終了する(S611)。そして、制御部31bは、押しボタン接点信号をオフにする(S612)。
上記のようなS601からS612までの処理は、図4の物体検知処理とは独立に繰り返し実行される。すなわち、利用者が押しボタン312に向けて手指を前進させて近づけていく場合、利用者が押しボタン312の押下を解除して手指を離して後退させていく場合のいずれにおいても、S601からS612までの処理が繰り返し実行される。
次に、生成部35によるセンサ/押しボタン入力信号の生成処理、および発光制御部33による発光制御処理について説明する。図6は、実施形態1にかかるエレベータ制御システム100のセンサ/押しボタン入力信号の生成処理および発光制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
生成部35は、制御部31bからセンサ接点信号を入力し、制御部32bから押しボタン接点信号をし、両信号の論理和(OR)を演算してセンサ/押しボタン入力信号を生成する(S701)。生成部35は、生成したセンサ/押しボタン入力信号を発光制御部33に送出する。
発光制御部33は、生成部35からセンサ/押しボタン入力信号を入力し、このセンサ/押しボタン入力信号がオンであるか否かを判断する(S702)。センサ/押しボタン入力信号がオンである場合には(S702:Yes)、発光制御部33は、制御部31b、32bからの点灯指示を判断する(S703)。
点灯指示が明点灯の場合には(S703:明点灯)、発光制御部33は、表示灯313を明点灯させる(S704)。一方、点灯指示が暗点灯の場合には(S703:暗点灯)、発光制御部33は、表示灯313を暗点灯させる(S705)。
S702で、センサ/押しボタン入力信号がオフである場合には(S702:No)、発光制御部33は表示灯313を消灯する(S706)。S701からS707までの処理は、入力信号が終了するまで繰り返し実行される。
以上のS701からS707までの処理は、図4の物体検知処理、図5の押しボタン検知処理とは独立に繰り返し実行される。
次に、以上のような処理により、実際に、利用者が行き先階表示部310へ手指を前進させて、センサ部311への近接、押しボタン312の押下を行う場合の動作、利用者が押しボタン312の押下の解除、センサ部311から離れる動作を行って行き先階表示部310から後退する場合の動作、およびセンサ接点信号、押しボタン接点信号、センサ/押しボタン入力信号の点灯状態について、図4、5、7を用いて説明する。
図7は、実施形態1のエレベータ制御システム100における行き先階登録時のセンサ接点信号、押しボタン接点信号、センサ/押しボタン入力信号の状態を示すタイミングチャートである。図7の下部には、利用者の手指403と、センサ部311の検知範囲401と、センサ部311への近接状況および押しボタン312への押下状況を示している。
図7に示すように、利用者の手指403がセンサ部311の検知範囲401の外にある場合には、センサ部311は非検知状態(OFF)であり、このためセンサ接点信号もオフ(OFF)となる。そして、手指403がセンサ部311に近づいて検知範囲401に入ると、図4のS501において、センサ部311が手指403を検知し、センサ部311は検知状態(ON)となり、S502により、制御部31bはセンサ接点信号をオン(ON)となり、このため、センサ/押しボタン入力信号はオンとなる。この時点では、まだ行き先階呼び登録は行われていないものとし、このため、S503でNoとなり、S504の暗点灯指示により、表示灯313は暗点灯する。
その後、S505で、検知範囲401に手指403がある状態でセンサ部311による検知から所定時間が経過したか否かが判断され、この例では、検知範囲401に手指403がとどまっている状態で、所定時間が経過したとする。この場合、S505でYesとなり、S506で行き先階呼び登録がなされる。そして、S506の明点灯指示がなされ、表示灯313は、暗点灯から明点灯になる。
さらに手指403が前進して手指403の先端が検知範囲401を通過して検知範囲401と押しボタン312の間の第1の空間領域405に入って検知範囲外となると、S507aでセンサ部311が非検知となり、S509で第1時間の計時が開始される。ここで、手指403がさらに前進して押しボタン312に到達したとする。ここで、図5の処理が実行されるが、図4の処理は並行して実行され、計時はそのまま継続される。このため、非検知タイミングでセンサ接点信号はオフとならず、非検知タイミングから第1時間経過までセンサ接点信号のオン状態を維持し、このため、センサ/押しボタン入力信号もオン状態を維持する。これにより、表示灯313は消灯せずに、センサ部311が非検知状態でも第1時間の間、センサ/押しボタン入力信号はオン状態となって、表示灯313は明点灯を継続する。
すなわち、非検知状態となって、さらに手指403が前進して押しボタン312を押下する時点までの区間1では、センサ部311が非検知状態でかつ押しボタン312も押下されていない状態(OFF)ではあるが、センサ/押しボタン入力信号はオン状態を継続する。この結果、表示灯313は消灯にならず、点灯した状態となる。
図5の処理では、手指403が押しボタン312に到達しているので、図5のS601で、押しボタン312が押下されたと判断され(S601:Yes)、S602で制御部32bが押しボタン接点信号をオンとする。このため、センサ/押しボタン入力信号はオン状態を継続し、表示灯313は明点灯を継続する。ここで、この例では、S603で既に行き先階呼び登録済みであるため(S603:Yes)、S608bへ進む。手指403が押しボタン312から離れると、S608bで押しボタン312の押下解除が判断されて(S608b:Yes)、S609で第2時間の計時が開始される。ここで、手指403の先端が、第2時間の経過を待たずに、センサ部311の検知範囲401に入ったとする。これにより、図4の処理が実行されるが、図5の処理は並行して継続実行される。これにより、本実施形態では、押下解除タイミングで押しボタン接点信号はオフとならず、制御部32bは、押下解除タイミングから第2時間経過までセンサ接点信号のオン状態を維持する。このため、押下解除されたタイミングから、センサ部311の検知範囲401に手指403の先端が入ってセンサ部311が非検知状態から検知状態に変化する時点までの区間2では、センサ/押しボタン入力信号はオン状態を維持し、この結果、表示灯313は明点灯を継続し、消灯されることはない。
図4の処理では、手指403の先端がセンサ部311の検知範囲401に入ったので、S501でセンサ部311の検知となり(S501:Yes)、S502でセンサ接点信号が維持される。この例では、S503で既に行き先階呼び登録済みであるため(S503:Yes)、S508bへ進む。そして、手指403が検知範囲401から抜けると、S508bでセンサ部311の非検知となり(S508b:Yes)、S510で第1時間の計時が開始される。センサ部311の非検知タイミングから第1時間の経過までは、制御部31bはセンサ接点信号のオンを継続する。このため、センサ部311が非検知状態になってもすぐにセンサ/押しボタン入力信号はオフとならず、第1時間経過までは、センサ/押しボタン入力信号はオンとなる。この結果、表示灯313も第1時間経過までは消灯せずに明点灯を継続する。そして、第1時間が経過すると、S511で計時が終了し、S512でセンサ接点がオフとなる。このため、センサ/押しボタン入力信号もオフとなり、この結果、表示灯313は、消灯する。
以上の処理により、図7のように手指403を操作した場合においても、何度も行き先階呼び登録処理がなされることはなく、また、表示313の点灯と消灯とが繰り返されることを防止することができる。
次に、比較例として従来例について説明する。図12は、従来例のエレベータ制御システムにおける行き先階登録時のセンサ部および押しボタンの状態、センサ/押しボタン入力信号の状態を示すタイミングチャートである。図12の下部には、利用者の手指403と、センサ部の検知範囲401と、センサ部への近接状況および押しボタンへの押下状況を示している。従来例においても、センサ部は、図3に示すように、表示部の表面から第1の距離だけ離れて検知範囲を有しているものとする。
この従来例では、センサ部の検知のタイミングでセンサ接点信号はオンとなり、センサ部の非検知のタイミングでセンサ接点信号はオフとなる。また、押しボタンの押下のタイミングで押しボタン接点信号はオンとなり、押しボタンの押下解除のタイミングで押しボタン接点信号はオフとなる。すなわち、センサ部による検知、非検知とセンサ接点信号のオンオフは連動し、押しボタンの押下、押下解除と押しボタン接点信号のオンオフは連動している。このため、センサ/押しボタン入力信号は、センサ部による検知、非検知、押しボタンの押下、押下解除と連動している。なお、図12では、センサ接点信号および押しボタン接点信号の状態を示すタイミングチャートは省略している。
図12に示すように、従来例では、センサ部による検知、非検知とセンサ接点信号のオンオフは連動し、押しボタンの押下、押下解除と押しボタン接点信号のオンオフは連動しているため、利用者の手指403がセンサ部に近づいて、センサ部による検知状態から非検知状態になった非検知タイミングから押しボタンの押下タイミングまでの区間1ではセンサ/押しボタン入力信号はオフとなり、この結果、表示灯は消灯される。
また、押しボタンが押下された状態から手指403を離して押下解除となる押下解除タイミングから、手指403の先端がセンサ部の検知範囲401に入る検知タイミングまでの区間2でもセンサ/押しボタン入力信号はオフとなり、この結果、表示灯は消灯される。そして、さらに手指403が後退して、センサ部の検知範囲401を外れたことによる非検知タイミング以降、センサ/押しボタン入力信号はオフとなり、この結果、表示灯は消灯される。
ここで、例えば、登録された行き先階呼びをキャンセルする方法として、例えば、キャンセルする行き先階の押下ボタンを押して点滅状態とし、点滅中にもう一度、この押下ボタンを押下する方法がある。手指を行き先階表示部へ近づける段階でセンサ部に手指が検知されて、当該検知に基づき行き先階の呼びが登録された場合に当該呼びをキャンセルする場合には、行き先階の押下ボタンを押して点滅状態とし、点滅中にもう一度、この押下ボタンを押下する操作となるが、この場合にも、検知と非検知の切替えが3回繰り返される。
従来例では、センサ部が表示部の表面から第1の距離だけ離れて検知範囲を有していることから、手指を表示部に近づけて押下ボタンを押下し、その後、手指を離していくという一連の動作の際に、センサ部による検知から非検知への変化、押下ボタンによる押下(検知)と押下解除(非検知)、さらにセンサ部により非検知から検知というように、検知と非検知との切替えが3回切り替えられ、上記キャンセルの操作と近似する。このため、従来例では、操作のタイミングによっては、一旦登録した行き先階呼びをキャンセルする操作と同じことになり、利用者が意図せずに、勝手に呼び登録がキャンセルされてしまう事態になる可能性がある。
また、従来例では、検知と非検知、押下と押下解除に連動して、表示灯の点灯と消灯の切替えが3回行われるため、利用者に不快感を与える場合もある。
これに対し、本実施形態では、上述したとおり、センサ部311による検知とセンサ接点信号のオンおよび押しボタンの押下と押しボタン接点信号のオンは連動しているが、センサ部311による非検知とセンサ接点信号のオフ、および押しボタンの押下解除と押しボタン接点信号のオフは、いずれも連動していない。すなわち、センサ部311による非検知から第1時間経過まではセンサ接点信号のオンが維持されてセンサ/押しボタン入力信号はオンとなり、また、押しボタン312の押下解除から第2時間経過までは、押しボタン接点信号のオンが維持され、センサ/押しボタン入力信号がオンとなる。
このため、図7に示すように、本実施形態では、センサ/押しボタン入力信号がオンとなる斜線部分の区間のみならず、従来例でセンサ/押しボタン入力信号がオフとされる区間1,区間2においても、センサ/押しボタン入力信号はオンとなる。この結果、一旦、手指403をセンサ部311で初めて検知することでオンとなったセンサ/押しボタン入力信号はは、押しボタン312の押下解除以降で、手指403が後退してセンサ部311の検知範囲401を通過して非検知になって初めてオフとされることになる。従って、本実施形態によれば、センサ部311や押しボタン312を用いた行き先階呼び登録の操作により、一旦登録された行き先階呼び登録が意図せずにキャンセルされてしまうことを防止することができる。
また、本実施形態では、センサ/押しボタン入力信号はオンオフに基づく表示灯の点灯と消灯の切替えが何回も行われないので、利用者に不快感を与えることもない。従って、本実施形態によれば、利用者の利便性を向上させることができる。
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2のエレベータ制御システムは、センサ部が検知状態になってから一定時間を経過せずに短時間で非検知状態になった場合にはセンサ接点信号のオンを維持せずにオフにすることで、例えば、誤操作やいたずらなど呼び登録を目的としない操作に基づく呼び登録を防止するものである。
(エレベータ制御システムの構成例)
図8は、実施形態2にかかるエレベータ制御システム1100の機能構成の一例を示すブロック図である。図8に示すように、エレベータ制御システム1100は、制御盤10、及び行き先階呼び装置130を備える。エレベータ制御システム1100が制御を行うエレベータは、乗りかご1、駆動装置2、カウンタウェイト3、及びロープ4等を備える。
ここで、制御盤10、乗りかご1001、駆動装置2、カウンタウェイト3、及びロープ4の構成、機能については実施形態1と同様である。また、実施形態2にかかるエレベータ制御システム1100の物理構成、実施形態2にかかる乗りかご1内の操作盤318の構成は、いずれも実施形態1と同様である。
エレベータ制御装置としての行き先階呼び装置130は、物体検知部131、センサ部311(311a,311b,311c・・・)、押下検知部32、押しボタン312(312a,312b,312c・・・)、生成部35、発光制御部33、表示灯313(313a,313b,313c・・・)、及び通信部34を備え、乗りかご1の利用者による行き先階呼びを受け付ける。行き先階呼び装置30のうち、少なくともセンサ部311、押しボタン312、及び表示灯313は乗りかご1内に設けられている。行き先階呼び装置130の全体が乗りかご1内に設けられていてもよい。
ここで、センサ部311(311a,311b,311c・・・)、押しボタン312(312a,312b,312c・・・)、生成部35、発光制御部33、表示灯313(313a,313b,313c・・・)、及び通信部34の構成、機能は実施形態1と同様である。
実施形態2の物体検知部131は、計時部31aと、計時部131aと、制御部131bとを備える。
計時部31aの構成、機能は実施形態1と同様である。
計時部131aは、センサ部311が利用者の手指等の物体を検知すると、検知時点からの時間をカウント(計時)する。そして、計時部131aは、第3時間に達するまで計時を継続し、第3時間に達したら、計時を終了する。第3時間としては任意に設定することができる。例えば、第3時間を10msとすることができるが、これに限定されるものではない。また、第3時間を装置ごとに設定変更可能なパラメータデータとして構成し、装置ごとに調整するように構成してもよい。
第1の制御部としての制御部131bは、実施形態1と同様の機能を有する。すなわち、制御部131bは、センサ部311に対する操作による検知に基づく第1の接点信号としてのセンサ接点信号を制御する。制御部131bは、利用者がいずれかのセンサ部311に対する操作を行うために近づく場合において、センサ部311により操作が検知された場合に、センサ接点信号をオンとする。制御部131bは、センサ部311が検知状態から非検知状態に変化した場合に、非検知状態となった時点から第1時間の経過まで、検知範囲(図3参照)での検知の有無にかかわらずセンサ接点信号のオンを維持する。利用者がセンサ部311に対する操作を止めて離れる場合において、センサ部311により操作が検知された場合に、センサ接点信号をオンとし、センサ部311が検知状態から非検知状態に変化した場合に、非検知となった時点から第1時間経過まで、検知範囲での検知の有無にかかわらずセンサ接点信号のオンを維持する。
実施形態2の制御部131bは、さらに、センサ部311により操作が検知されてから、第3時間経過前に、非検知に変化した場合に、センサ接点信号をオフにする。
より具体的には、制御部131bは、利用者がセンサ部311に対する操作を行うために近づく場合において、センサ部311により操作が検知されてから、第3時間経過前に、非検知に変化した場合に、検知によりオンとなったセンサ接点信号をオフにし、オンの状態を維持しない。また、制御部131bは、利用者がセンサ部311に対する操作を止めて離れる場合において、センサ部311により操作が検知されてから、第3時間経過前に、非検知に変化した場合に、検知によりオンとなったセンサ接点信号をオフにして、オンの状態は維持しない。
(エレベータ制御システムの処理例)
次に、図9を用いて、実施形態2のエレベータ制御システム1100のエレベータ制御処理の例について説明する。図9は、実施形態2の物体検知部131による物体検知処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図9に示すように、行き先階呼び装置130の物体検知部131は、いずれかのセンサ部311が、対応する行き先階表示部310への操作を検知したか否かを判定する(S501)。いずれのセンサ部311も非検知状態であった場合には(S501:No)、物体検知部131はいずれかのセンサ部311が検知状態となるまで待機する。
所定のセンサ部311が、ある行き先階を表示する行き先階表示部310への操作を検知した場合には(ステップS501:Yes)、計時部131aは、計時を開始する(S1201)。そして、制御部131bはセンサ接点信号をオンとしてからセンサ部311が非検知状態となったか否かを判定するまでの処理(S502~S508a、S508b)は実施形態1と同様に行われる。
センサ部311が非検知状態となった場合には(S508a、S508b:Yes)、制御部131bは、S1201の計時開始から第3時間が経過しているか否かを判断する(S1202)。そして、S1201の計時開始から第3時間が経過していない場合には(S1202:No)、検知から短時間で非検知となっていることから、制御部131bは、今回のセンサ部311の検知、非検知を引き起こした利用者の操作は、例えば、誤操作やいたずらなど、呼び登録を目的とした操作ではないと判断し、センサ接点信号のオンを継続せずに、センサ接点信号をオフとし(S512)、処理を終了する。これにより呼び登録も行われないことになる。
S1202に戻り、S1201の計時開始から第3時間が経過している場合には(S1202:Yes)、制御部131bは、今回のセンサ部311の検知、非検知を引き起こした利用者の操作は、呼び登録を目的とした操作であると判断し、計時部131aが計時を開始する(S509)。これ以降のS505以降の処理は、実施形態1と同様である。この場合には呼び登録が行われる。
このように本実施形態では、制御部131bは、センサ部311により操作が検知されてから、第3時間経過前に、非検知に変化した場合に、センサ接点信号をオフにしている。このため、本実施形態によれば、実施形態1と同様の作用効果を奏する他、センサ部311の検知から短時間で非検知となった場合には、例えば、誤操作やいたずらなど、呼び登録を目的としていない操作が行われたものと判断して、処理の継続を行わないため、呼び登録を目的としない操作に基づく呼び登録を防止することができる。
[実施形態3]
以下、図面を参照して実施形態3について詳細に説明する。実施形態3のエレベータ制御システムでは、実施形態1の行き先階呼び装置30の構成および機能が乗り場呼び装置に適用されている。以下の図面においては、上述の実施形態1と同様の機能を有する構成には同様の符号を付し、それらの説明を省略する。
(エレベータ制御システムの構成例)
図10は、実施形態3にかかるエレベータ制御システム200の機能構成の一例を示すブロック図である。図10に示すように、エレベータ制御システム200は、制御盤10、及び乗り場呼び装置50を備える。
エレベータ制御システム200が制御を行うエレベータは、例えば乗りかご1等を含む上述の実施形態1と同様の構成を備える。制御盤10は、例えば上述の実施形態1と同様の構成を備える。制御盤10と乗り場呼び装置50とは、各種信号の授受が可能なように有線または無線で接続されている。
乗り場呼び装置50は、物体検知部51、センサ部511(511u,511d・・・)、押下検知部52、押しボタン512(512u,512d・・・)、生成部55、発光制御部53、表示灯513(513u,513d・・・)、及び通信部54を備え、乗り場の利用者による乗り場呼びを受け付ける。乗り場は、乗りかご1が発着し、利用者が乗りかご1に対して乗降車する場所である。乗り場呼び装置50のうち、少なくともセンサ部511、押しボタン512、及び表示灯513は乗り場に設けられている。乗り場呼び装置50の全体が乗り場に設けられていてもよい。
センサ部511(511u,511d・・・)は、乗りかご1の上下の行き先方向(行き先対象)にそれぞれ対応して乗り場に設けられている。所定の乗り場呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部511に手指等をかざすと、センサ部511は利用者の手指等の物体を検知する。
押しボタン512(512u,512d・・・)は、乗りかご1の上下の行き先方向にそれぞれ対応して乗り場に設けられている。押しボタン512は、所定の乗り場呼びを行おうとする利用者が、対応する押しボタン512を押下することが可能に構成されている。
発光部としての表示灯513(513u,513d・・・)は、乗りかご1の上下の行き先方向にそれぞれ対応して乗り場に設けられている。乗り場呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部511に手指等をかざし、または、対応する押しボタン512を押下すると、その行き先方向に対応する表示灯513が所定の態様で発光する。
物体検知部51は、計時部51aと、制御部51bとを備える。制御部51bは、いずれかのセンサ部511が利用者の手指等の物体を検知すると、乗り場呼びがあったか否かを判定する。この他、計時部51aおよび制御部51bの機能は、例えば上述の実施形態1の物体検知部31の計時部31aおよび制御部31bの機能と同様であるが、本実施形態では、センサ部511の検知状態で所定時間の経過により、行き先階の呼びに代えて、乗り場呼びが行われる。
押下検知部52は、計時部52aと、制御部52bとを備える。制御部52bは、いずれかの押しボタン512が利用者によって押下されると、乗り場呼びがあったか否かを判定する。この他、計時部52aおよび制御部52bの機能は、例えば上述の実施形態1の押下検知部32の計時部32aおよび制御部32bの機能と同様であるが、本実施形態では、押しボタン512の押下状態で所定時間の経過により、行き先階の呼びに代えて、乗り場呼びが行われる。
生成部55の機能は、例えば実施形態1の生成部35と同様である。発光制御部53の機能は、例えば実施形態1の発光制御部33と同様である。通信部54は、物体検知部51または押下検知部52が、乗り場呼びがあったものと判定した場合には、その乗り場呼びの情報を制御盤10に送信する。
制御盤10の制御部11は、受信した乗り場呼びを登録する。また、制御部11は、乗り場呼び登録の内容に応じて、乗りかご1をその乗り場呼びに応答させる。つまり、制御部11は、乗り場呼び登録に登録した行き先方向に走行予定の乗りかご1を、乗り場呼びがあった乗り場へと向かわせる。
なお、乗り場呼び装置50は、上記以外にも、乗り場の利用者の操作に供する種々の構成を備えることができる。
次に、実施形態2にかかるエレベータ制御システム200の物理構成について説明する。エレベータ制御システム200の制御盤10は、例えば上述の実施形態1と同様の構成を備える。
乗り場呼び装置50は、CPU、ROM、及びRAM等を備えるコンピュータとして構成されている。乗り場呼び装置50はまた、上述のようにセンサ部511(511u,511d・・・)、押しボタン512(512u,512d・・・)、及び表示灯513(513u,513d・・・)を備えている。
ROMには、例えば乗り場呼びプログラム等の乗り場呼びの受け付けに関わるプログラムや、センサ接点信号および押しボタン接点信号の制御、センサ/押しボタン入力信号の生成、表示灯313の発光制御に関わる信号制御プログラム等の各種プログラムが格納されている。ROMに格納された乗り場呼びプログラムおよび信号制御プログラムが読み出されてRAMに展開され、CPUによって実行されることにより、乗り場呼び装置50の物体検知部51、押下検知部52、生成部55、発光制御部53、及び通信部54等が実現される。
ここで、乗り場呼びプログラム、信号制御プログラム等は、コンピュータで実行可能な、エレベータの制御に関する複数の命令を含むコンピュータ読み取り可能かつ非遷移的な記録媒体を有するコンピュータプログラムプロダクトである。乗り場呼びプログラム505、信号制御プログラム等は、例えばモジュール構成となっており、これらのモジュールが主記憶装置上にロードされる。
乗り場呼びプログラム、信号制御プログラム等は、例えばコンピュータでの読み取りが可能なように記録媒体等に格納されて提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、またはフラッシュメモリ等である。ただし、乗り場呼びプログラム、信号制御プログラム等は、ネットワークに置かれたサーバ等により配信され、または、ダウンロード可能なように構成されることで、他の様々な手法により提供されてもよい。
なお、主に、制御盤10によって実行される呼び登録プログラムと、乗り場呼び装置50によって実行される乗り場呼びプログラムおよび信号制御プログラムとによって、エレベータ制御システム200によって実行されるエレベータ制御プログラムが構成される。
(操作盤の構成例)
次に、図11を用いて、実施形態3の操作盤518の構成例について説明する。図11は、実施形態3にかかる乗り場の操作盤518の構成の一例を示す模式図である。
乗り場呼び装置50は、例えば乗り場に設置された操作盤518を備える。操作盤518の設置位置は、例えば乗りかご1が発着する乗り場の扉横等である。1つの乗り場には少なくとも1つの操作盤518が設置されていればよい。複数の乗りかご1が乗り場を発着する場合には、複数の乗りかご1のそれぞれに対応する複数の操作盤518が設置されていてもよい。
操作盤518は、例えば行き先方向表示部510(510u,510d)、センサ部511(511u,511d)、押しボタン512(512u,512d)、表示灯513(513u,513d)、及び表示装置517を備える。
行き先方向表示部510は、例えば乗り場に到着する乗りかご1の上下方向等の行き先方向を表示する表示盤等であり、乗りかご1の行き先方向に対応して操作盤518に複数配置されている。図11の例では、乗りかご1の行き先方向である上方向(上層階)及び下方向(下層階)にそれぞれ対応して、2つの行き先方向表示部510u,510dが縦方向に配置されている。
センサ部511は、例えば反射型光電センサ、または静電容量型センサ等の非接触式のセンサであり、複数の行き先方向表示部510にそれぞれ対応して、対応する行き先方向表示部510近傍の操作盤518に複数配置されている。図11の例では、縦方向に並ぶ行き先方向表示部510u,510dの左横に、それぞれ対応する2つのセンサ部511u,511dが配置されている。
乗り場の利用者が、所望の行き先階(上層階または下層階等)の方向(上方向または下方向等)へ向かう乗りかご1の乗り場呼びを行うために、対応するセンサ部511に手指等をかざすと、そのセンサ部511が、対応する行き先方向表示部510への操作として利用者の手指等を検知する。
押しボタン512は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、複数の行き先方向表示部510にそれぞれ対応して、対応する行き先方向表示部510と一体的に操作盤518に複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン512のそれぞれの前面には、対応する行き先方向表示部510である表示盤等がはめ込まれている。乗り場の利用者が、所望の行き先階(上層階または下層階等)の方向(上方向または下方向等)へ向かう乗りかご1の乗り場呼びを行うために、対応する押しボタン512を押下すると、上述の押下検知部52が、対応する行き先方向表示部510への操作として押しボタン512の押下を検知する。
実施形態3では、対応する行き先方向表示部510が互いに等しい押しボタン512とセンサ部511とが一体的に構成されている。
表示灯513は、上述のように複数の態様で発光することが可能に構成され、複数の行き先方向表示部510にそれぞれ対応して、対応する行き先方向表示部510と一体的に操作盤518に複数内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン512のそれぞれの背面に、それぞれ表示灯513が埋め込まれている。上述の物体検知部51からセンサ接点信号、及び押下検知部52からの押しボタン接点信号に基づいて、対応する表示灯513が点灯すると、押しボタン512及び行き先方向表示部510を透過した表示灯513の光が利用者に目視される。これにより、利用者は、どちらの行き先方向への呼びが登録されたかを知ることができる。
表示装置517は、例えば液晶パネル等として構成され、その操作盤518に対応する乗りかご1、または乗り場呼びに応答中の乗りかご1等が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。図11の例では、上向き矢印と「3」の文字が表示されている。このことから、乗りかご1は3階付近を上方へ向かって走行中であることが判る。
なお、操作盤518の構成および各種構成の配置は図11の例に限られない。
例えば、行き先方向表示部510とセンサ部511とがセットで横1列に配置されていてもよい。また例えば、センサ部511の近傍に所望の表示が記されたシール等が貼付され、また、所望の点字が付された銘板等が設置されていてもよい。
また例えば、行き先方向表示部510、押しボタン512、表示灯513のうちのいずれか、あるいは全部が分離され、別々に操作盤518に配置されていてもよい。また例えば、操作盤518は、押しボタン512u,512d等を備えていなくともよい。
その他、操作盤518は、利用者の操作に供する種々の押しボタン及びセンサ等を備えることができ、また、利用者に種々の情報を提示する表示灯等を備えることができる。
(エレベータ制御システムの処理例)
実施形態3のエレベータ制御システム200もまた、上述の実施形態1のエレベータ制御システム100と類似の処理を行う。すなわち、利用者により実施形態3の所定のセンサ部511に手指等を近づけてかざす操作が行われた場合、押しボタン512に対する押下、押下解除の操作が行われた場合、上述の実施形態1の図4~図6の処理において、物体検知部31が行った処理を実施形態3の物体検知部51が行い、押下検知部32が行った処理を押下検知部52が行い、発光制御部33が行った処理を発光制御部53が行う。また、センサ接点信号、押しボタン接点信号、センサ/押しボタン入力信号、表示灯513の点灯状態は、図7に示すタイミングチャートと同様に変化する。
このように実施形態3のエレベータ制御システム200では、実施形態1の行き先階呼び装置30の構成および機能が乗り場呼び装置50に適用されているので、上述の実施形態1のエレベータ制御システム100と同様の作用効果を奏する。
すなわち、登録された乗り場呼びも実施形態1と同様にキャンセルことが可能である。例えば、登録された乗り場呼びをキャンセルする方法として、例えば、キャンセルする行き先方向の押下ボタンを押して点滅状態とし、点滅中にもう一度、この押下ボタンを押下する方法がある。手指を行き先方向表示部510へ近づける段階でセンサ部に手指が検知されて、当該検知に基づき行き方向の乗り場呼びが登録された場合に当該呼びをキャンセルする場合には、行き先方向の押下ボタンを押して点滅状態とし、点滅中にもう一度、この押下ボタンを押下する操作となるが、この場合にも、検知と非検知の切替えが3回繰り返される。
本実施形態では、センサ部511による検知とセンサ接点信号のオンおよび押しボタン512の押下と押しボタン接点信号のオンは連動しているが、センサ部311による非検知とセンサ接点信号のオフ、および押しボタンの押下解除と押しボタン接点信号のオフは、いずれも連動していない。すなわち、センサ部511による非検知から第1時間経過まではセンサ接点信号のオンが維持されてセンサ/押しボタン入力信号はオンとなり、また、押しボタン512の押下解除から第2時間経過までは、押しボタン接点信号のオンが維持され、センサ/押しボタン入力信号はオンとなる。
このため、本実施形態では、実施形態1と同様に、センサ/押しボタン入力信号がオンとなる区間のみならず、従来例でセンサ/押しボタン入力信号がオフとされる区間1,区間2においても、センサ/押しボタン入力信号はオンとなる。この結果、一旦、手指403をセンサ部511で初めて検知することでオンとなったセンサ/押しボタン入力信号は、押しボタン512の押下解除以降で、手指403が後退してセンサ部311の検知範囲401を通過して非検知になって初めてオフとされることになる。従って、本実施形態によれば、センサ部511や押しボタン512を用いた乗り場呼び登録の操作により、一旦登録された乗り場呼び登録が意図せずにキャンセルされてしまうことを防止することができる。
また、本実施形態では、センサ/押しボタン入力信号はオンオフに基づく表示灯の点灯と消灯の切替えが何回も行われないので、利用者に不快感を与えることもない。従って、本実施形態によれば、利用者の利便性を向上させることができる。
なお、実施形態3では、実施形態1の行き先階呼び装置30の構成および機能を乗り場呼び装置50に適用したが、実施形態2の行き先階呼び装置130の構成および機能を乗り場呼び装置50に適用するように構成してもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。