JP2023020691A - 液晶ポリマー粒子及びその製造方法、並びに、複合材 - Google Patents

液晶ポリマー粒子及びその製造方法、並びに、複合材 Download PDF

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Abstract

【課題】極性基を有する樹脂又は溶媒に対して分散性に優れる液晶ポリマー粒子及びその製造方法、並びに、上記液晶ポリマー粒子を用いた複合材の提供。【解決手段】25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角の粒子内部と粒子表面とにおける差が、7°以上である液晶ポリマー粒子、X線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比の粒子内部と粒子表面とにおける差が、0.02以上である液晶ポリマー粒子及びこれらの製造方法、並びに、上記液晶ポリマー粒子を用いた複合材。【選択図】なし

Description

本開示は、液晶ポリマー粒子及びその製造方法、並びに、複合材に関する。
近年、通信機器に使用される周波数は非常に高くなる傾向にある。高周波帯域における伝送損失を抑えるため、回路基板に用いられる絶縁材料の比誘電率と誘電正接とを低くすることが要求されている。
従来の液晶ポリマーとしては、例えば、非特許文献1に記載されたものが知られている。
非特許文献1には、耐熱性向上、高弾性率化又は高強度化を目的とし、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などと液晶ポリマーとをブレンドすることが記載されている。
また、従来の液晶ポリマー粒子としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1には、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、液晶ポリマー粒子とを含有する、樹脂組成物が記載されている。
国際公開第2017/150336号
仲野幸弘、山根秀樹、木村良晴、北尾敏男,高分子論文集, Vol. 48, No. 6, pp. 381-389 (1991)
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、極性基を有する樹脂又は溶媒に対して分散性に優れる液晶ポリマー粒子及びその製造方法を提供することである。
また、本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、上記液晶ポリマー粒子を含む複合材を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角の粒子内部と粒子表面とにおける差が、7°以上である液晶ポリマー粒子。
<2> X線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比の粒子内部と粒子表面とにおける差が、0.02以上である液晶ポリマー粒子。
<3> 粒子表面における25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角が、65°未満である<1>又は<2>に記載の液晶ポリマー粒子。
<4> 粒子表面においてX線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比が、0.27以上である<1>~<3>のいずれか1つに記載の液晶ポリマー粒子。
<5> 上記液晶ポリマー粒子の体積平均粒径が、0.1μm~30μmである<1>~<4>のいずれか1つに記載の液晶ポリマー粒子。
<6> 上記液晶ポリマー粒子が、パラヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位、及び、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単位を有する液晶ポリマーを含む<1>~<5>のいずれか1つに記載の液晶ポリマー粒子。
<7> 上記液晶ポリマー粒子が、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位、芳香族ジオール化合物に由来する構成単位、テレフタル酸に由来する構成単位、及び、2,6-ナフタレンジカルボン酸に由来する構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単位を有する液晶ポリマーを含む<1>~<5>のいずれか1つに記載の液晶ポリマー粒子。
<8> <1>~<7>のいずれか1つに記載の液晶ポリマー粒子、及び、バインダーポリマーを含む複合材。
<9> 上記バインダーポリマーが、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子を含む樹脂である<8>に記載の複合材。
<10> 上記バインダーポリマーが、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、及び、フッ素系樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂を含む<8>又は<9>に記載の複合材。
<11> フィルム状である<8>~<10>のいずれか1つに記載の複合材。
<12> 液晶ポリマー粒子の表面を酸化させる酸化処理工程を含み、得られる液晶ポリマー粒子において、25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角の粒子内部と粒子表面とにおける差が、7°以上である液晶ポリマー粒子の製造方法。
<13> 液晶ポリマー粒子の表面を酸化させる酸化処理工程を含み、得られる液晶ポリマー粒子において、X線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比の粒子内部と粒子表面とにおける差が、0.02以上である液晶ポリマー粒子の製造方法。
<14> 上記酸化処理工程が、水溶液中で上記液晶ポリマー粒子の表面と酸化剤とを接触させる工程である<12>又は<13>に記載の液晶ポリマー粒子の製造方法。
<15> 上記酸化剤の標準酸化還元電位が、1.50V以上である<14>に記載の液晶ポリマー粒子の製造方法。
<16> 上記酸化剤が、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、硝酸アンモニウムセリウム、クロム酸カリウム、二クロム酸カリウム、及び、ペルオキシ一硫酸カリウム・硫酸水素カリウム・硫酸カリウムからなる複塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む<14>又は<15>に記載の液晶ポリマー粒子の製造方法。
<17> 上記酸化剤が、過硫酸塩を含む<14>~<16>のいずれか1つに記載の液晶ポリマー粒子の製造方法。
<18> 上記酸化処理工程における上記水溶液のpHが、12以上である<14>~<17>のいずれか1つに記載の液晶ポリマー粒子の製造方法。
本発明の実施形態によれば、極性基を有する樹脂又は溶媒に対して分散性に優れる液晶ポリマー粒子及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明の他の実施形態によれば、上記液晶ポリマー粒子を含む複合材を提供することができる。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。 また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel SuperHM-H(東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶剤PFP(ペンタフルオロフェノール)/クロロホルム=1/2(質量比)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
(液晶ポリマー粒子)
本開示に係る液晶ポリマー粒子の第一の実施態様は、25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角の粒子内部と粒子表面とにおける差が、7°以上である。
本開示に係る液晶ポリマー粒子の第二の実施態様は、X線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比の粒子内部と粒子表面とにおける差が、0.02以上である。
本開示に係る液晶ポリマー粒子の第三の実施態様は、粒子表面における25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角が、65°未満である。
本開示に係る液晶ポリマー粒子の第四の実施態様は、粒子表面においてX線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比が、0.27以上である。
なお、本明細書において、特に断りなく、単に「本開示に係る液晶ポリマー粒子」又は「液晶ポリマー粒子」という場合は、上記第一の実施態様~上記第四の実施態様の全てについて述べるものとする。
従来、液晶ポリマー粒子は、樹脂及び分散媒、特に極性を有する、例えば、極性基を有する樹脂及び分散媒などに対し、分散性が十分でない場合が多かった。
本開示に係る液晶ポリマー粒子は、粒子表面に対し酸化処理を行い、
25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角の粒子内部と粒子表面とにおける差が、7°以上であるか、又は、X線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比の粒子内部と粒子表面とにおける差が、0.02以上であるか、
粒子表面における25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角が65°未満であるか、又は、
粒子表面においてX線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比が、0.27以上であることにより、
粒子表面が粒子内部に比べ親水的となり、極性基を有する樹脂又は溶媒に対して相互作用が生じるため、液晶ポリマー粒子の分散性が向上するものと推定している。
<25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角の粒子内部と粒子表面とにおける差>
本開示に係る液晶ポリマー粒子の第一の実施態様は、25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角の粒子内部と粒子表面とにおける差が、7°以上であり、極性基を有する樹脂又は溶媒に対する分散性(以下、単に「分散性」ともいう。)、及び、極性基を有する樹脂との複合材とした場合の引張強度(以下、単に「引張強度」ともいう。)の観点から、7°以上30°以下であることが好ましく、10°以上25°以下であることがより好ましく、14°以上20°以下であることが特に好ましい。
本開示に係る液晶ポリマー粒子の第二~第四の実施態様における25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角の粒子内部と粒子表面とにおける差は、分散性、及び、引張強度の観点から、7°以上であることが好ましく、7°以上30°以下であることがより好ましく、10°以上25°以下であることが更に好ましく、14°以上20°以下であることが特に好ましい。
本開示における粒子表面の水接触角の測定方法、及び、粒子内部の水接触角の測定方法は、以下の通りである。
-粒子表面の水接触角の測定方法-
液晶ポリマー粒子1.5gをハンドプレス用アダプター30mmφに入れ、900kgf/cm(8,820N/cm)の圧力で1分間プレスし、圧粉体を得る。25℃湿度50%RHにおいて、25℃の水に対する接触角を測定する。測定には協和界面科学社製接触角計(DM700)を使用する。接触角は圧粉体上に液滴を作製してから5秒後の接触角の値を読み、10点平均で算出する。上記方法で測定したものを、液晶ポリマー粒子の粒子表面の水接触角と定義する。
-粒子内部の水接触角の測定方法-
液晶ポリマー粒子を融点以上に加熱して溶融させた後、再冷却し、得られたポリマー固形物を乳鉢ですりつぶして液晶ポリマー粒子を得る。一度融点以上に加熱されているため元の表面と内部は完全に混同していると考えられる。このようにして得られた液晶ポリマー粒子の水接触角を上記と同様の方法で測定したものを、液晶ポリマー粒子の粒子内部の水接触角と定義する。
液晶ポリマー粒子において、上記粒子内部の水接触角の値と上記粒子表面の水接触角の値との差をとることにより、25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角の粒子内部と粒子表面とにおける差の絶対値を求める。
<粒子表面における25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角>
本開示に係る液晶ポリマー粒子の第三の実施態様は、粒子表面における25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角が、65°未満であり、分散性、及び、引張強度の観点から、50°以上65°未満であることが好ましく、52°以上64°以下であることがより好ましく、54°以上60°以下であることが特に好ましい。
本開示に係る液晶ポリマー粒子の第一、第二又は第四の実施態様における粒子表面における25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角は、分散性、及び、引張強度の観点から、65°未満であることが好ましく、50°以上65°未満であることがより好ましく、52°以上64°以下であることが更に好ましく、54°以上60°以下であることが特に好ましい。
<粒子内部における25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角>
本開示に係る液晶ポリマー粒子の粒子内部における25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角は、分散性、及び、引張強度の観点から、65°以上であることが好ましく、65°以上90°以下であることがより好ましく、67°以上85°以下であることが更に好ましく、70°以上80°以下であることが特に好ましい。
<X線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比の粒子内部と粒子表面とにおける差>
本開示に係る液晶ポリマー粒子の第二の実施態様は、X線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比の粒子内部と粒子表面とにおける差が、0.02以上であり、分散性、及び、引張強度の観点から、0.02以上0.10以下であることが好ましく、0.02以上0.08以下であることがより好ましく、0.03以上0.05以下であることが特に好ましい。
なお、上記原子比は、原子数の比である。
本開示における粒子表面の炭素原子に対する酸素原子の原子比の測定方法、及び、粒子内部の炭素原子に対する酸素原子の原子比の測定方法は、以下の通りである。
-粒子表面の炭素原子に対する酸素原子の原子比の測定方法-
X線光電子分光分析装置(Ulvac-PHI社製「PHI 5000 VersaProbe II」を用いて、液晶ポリマー粒子の表面について、炭素原子に対する酸素原子の原子比(粒子表面の酸素原子/炭素原子比ともいう。)を測定する。上記方法で測定したものを、液晶ポリマー粒子の、粒子表面の炭素原子に対する酸素原子の原子比と定義する。
-粒子内部の炭素原子に対する酸素原子の原子比の測定方法-
液晶ポリマー粒子を融点以上に加熱して溶融させた後、再冷却し、得られたポリマー固形物を乳鉢ですりつぶして液晶ポリマー粒子を得る。一度融点以上に加熱されているため元の表面と内部は完全に混同していると考えられる。このようにして得られた液晶ポリマー粒子の炭素原子に対する酸素原子の原子比を上記と同様の方法で測定したものを、液晶ポリマー粒子の、粒子内部の炭素原子に対する酸素原子の原子比(粒子内部の酸素原子/炭素原子比ともいう。)と定義する。
液晶ポリマー粒子において、上記粒子内部の炭素原子に対する酸素原子の原子比の値と上記粒子表面の炭素原子に対する酸素原子の原子比の値との差をとることにより、X線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比の粒子内部と粒子表面とにおける差の絶対値を求める。
<粒子表面においてX線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比>
本開示に係る液晶ポリマー粒子の第四の実施態様は、粒子表面においてX線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比が、0.27以上であり、分散性、及び、引張強度の観点から、0.27以上0.35以下であることが好ましく、0.27以上0.32以下であることがより好ましく、0.28以上0.30以下であることが特に好ましい。
本開示に係る液晶ポリマー粒子の第一~第三の実施態様における粒子表面における25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角は、分散性、及び、引張強度の観点から、0.27以上であることが好ましく、0.27以上0.35以下であることがより好ましく、0.27以上0.32以下であることが更に好ましく、0.28以上0.30以下であることが特に好ましい。
<粒子内部においてX線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比>
本開示に係る液晶ポリマー粒子の粒子表面においてX線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比は、分散性、及び、引張強度の観点から、0.15以上0.27未満であることが好ましく、0.20以上0.27未満であることがより好ましく、0.23以上0.26以下であることが特に好ましい。
<メジアン径>
本開示に係る液晶ポリマー粒子のメジアン径(D50)は、特に制限はなく、所望に応じ適宜選択すればよいが、分散性、及び、引張強度の観点から、0.01μm~100μmであることが好ましく、0.05μm~50μmであることがより好ましく、0.1μm~30μmであることが更に好ましく、1μm~20μmであることが特に好ましい。
本開示における粒子のメジアン径とは、液晶ポリマー粒子全体を体積累計が50%となる粒子径を閾値に2つに分けた場合に、大径側と小径側での粒子の体積の合計が等量となる径をいう。
本開示において、粒子のメジアン径は、Malvern Panalytical社製マスターサイザー2000を用いて測定するものとする。
<液晶ポリマー>
本開示に係る液晶ポリマー粒子は、液晶ポリマーを含み、更に他の樹脂及び他の成分を含んでいてもよいが、液晶ポリマーからなる粒子であることが好ましい。
また、本開示に係る液晶ポリマー粒子は、分散性、及び、引張強度の観点から、粒子表面を酸化されてなる粒子であることが好ましい。
液晶ポリマーの種類は特に限定されず、公知の液晶ポリマーを用いることができる。
また、液晶ポリマーは、溶融状態で液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマーでもよく、溶液状態で液晶性を示すリオトロピック液晶ポリマーでもよい。また、サーモトロピック液晶の場合は、450℃以下の温度で溶融するものであることが好ましい。
液晶ポリマーとしては、例えば、液晶ポリエステル、液晶ポリエステルにアミド結合が導入された液晶ポリエステルアミド、液晶ポリエステルにエーテル結合が導入された液晶ポリエステルエーテル、液晶ポリエステルにカーボネート結合が導入された液晶ポリエステルカーボネートなどを挙げることができる。
また、液晶ポリマーは、液晶性、及び、線膨張係数の観点から、芳香環を有するポリマーであることが好ましく、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドであることがより好ましい。
更に、液晶ポリマーは、芳香族ポリエステル又は芳香族ポリエステルアミドに、更にイミド結合、カルボジイミド結合やイソシアヌレート結合などのイソシアネート由来の結合等が導入されたポリマーであってもよい。
また、液晶ポリマーは、原料モノマーとして芳香族化合物のみを用いてなる全芳香族液晶ポリマーであることが好ましい。
液晶ポリマーの例としては、例えば、以下が挙げられる。
1)(i)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、(ii)芳香族ジカルボン酸と、(iii)芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重縮合させてなるもの。
2)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重縮合させてなるもの。
3)(i)芳香族ジカルボン酸と、(ii)芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重縮合させてなるもの。
4)(i)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと、(ii)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、を重縮合させてなるもの。
ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンはそれぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重縮合可能な誘導体が用いられてもよい。
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシ基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシ基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシ基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ヒドロキシアミンのようなヒドロキシ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、ヒドロキシ基をアシル化してアシルオキシ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンのようなアミノ基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、アミノ基をアシル化してアシルアミノ基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
液晶ポリマーは、液晶性の観点から、下記式(1)~式(3)のいずれかで表される構成繰り返し単位(以下、式(1)で表される構成繰り返し単位等を、繰り返し単位(1)等ということがある。)を有することが好ましく、下記式(1)で表される構成繰り返し単位を有することがより好ましく、下記式(1)で表される構成繰り返し単位と、下記式(2)で表される構成繰り返し単位と、下記式(2)で表される構成繰り返し単位とを有することが特に好ましい。
式(1) -O-Ar-CO-
式(2) -CO-Ar-CO-
式(3) -X-Ar-Y-
式(1)~式(3)中、Arは、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表し、X及びYはそれぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表し、Ar~Arで表される上記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
式(4) -Ar-Z-Ar
式(4)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキレン基を表す。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
上記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基及びn-デシル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは1~10である。
上記アリール基の例としては、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、1-ナフチル基及び2-ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは6~20である。
上記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される上記基毎にそれぞれ独立に、好ましくは2個以下であり、より好ましくは1個である。
上記アルキレン基の例としては、メチレン基、1,1-エタンジイル基、1-メチル-1,1-エタンジイル基、1,1-ブタンジイル基及び2-エチル-1,1-ヘキサンジイル基が挙げられ、その炭素数は、好ましくは1~10である。
繰り返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成繰り返し単位である。
繰り返し単位(1)としては、Arがp-フェニレン基であるもの(p-ヒドロキシ安香酸に由来する構成繰り返し単位)、及びArが2,6-ナフチレン基であるもの(6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成繰り返し単位)、又は、4,4’-ビフェニリレン基であるもの(4’-ヒドロキシ-4-ビフェニルカルボン酸に由来する構成繰り返し単位)が好ましい。
繰り返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する構成繰り返し単位である。
繰り返し単位(2)としては、Arがp-フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する構成繰り返し単位)、Arがm-フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する構成繰り返し単位)、Arが2,6-ナフチレン基であるもの(2,6-ナフタレンジカルボン酸に由来する構成繰り返し単位)、又は、Arがジフェニルエーテル-4,4’-ジイル基であるもの(ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸に由来する構成繰り返し単位)が好ましい。
繰り返し単位(3)は、所定の芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシルアミン又は芳香族ジアミンに由来する構成繰り返し単位である。
繰り返し単位(3)としては、Arがp-フェニレン基であるもの(ヒドロキノン、p-アミノフェノール又はp-フェニレンジアミンに由来する構成繰り返し単位)、Arがm-フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する構成繰り返し単位)、又は、Arが4,4’-ビフェニリレン基であるもの(4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4-アミノ-4’-ヒドロキシビフェニル又は4,4’-ジアミノビフェニルに由来する構成繰り返し単位)が好ましい。
繰り返し単位(1)の含有量は、全構成繰り返し単位の合計量(液晶ポリマーを構成する各構成繰り返し単位の質量をその各繰り返し単位の式量で割ることにより、各繰り返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30モル%~80モル%、更に好ましくは30モル%~60モル%、特に好ましくは30モル%~40モル%である。
繰り返し単位(2)の含有量は、全構成繰り返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%~35モル%、更に好ましくは20モル%~35モル%、特に好ましくは30モル%~35モル%である。
繰り返し単位(3)の含有量は、全構成繰り返し単位の合計量に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%~35モル%、更に好ましくは20モル%~35モル%、特に好ましくは30モル%~35モル%である。
繰り返し単位(1)の含有量が多いほど、耐熱性、強度及び剛性が向上し易いが、あまり多いと、溶媒に対する溶解性が低くなり易い。
繰り返し単位(2)の含有量と繰り返し単位(3)の含有量との割合は、[繰り返し単位(2)の含有量]/[繰り返し単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1~1/0.9、より好ましくは0.95/1~1/0.95、更に好ましくは0.98/1~1/0.98である。
なお、液晶ポリマーは、繰り返し単位(1)~(3)をそれぞれ独立に、2種以上有してもよい。また、液晶ポリマーは、繰り返し単位(1)~(3)以外の構成繰り返し単位を有してもよいが、その含有量は、全繰り返し単位の合計量に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
液晶ポリマーは、繰り返し単位(3)として、X及びYの少なくとも一方がイミノ基であるものを有すること、すなわち、所定の芳香族ヒドロキシルアミンに由来する構成繰り返し単位及び芳香族ジアミンに由来する構成繰り返し単位の少なくとも一方を有することが、溶媒に対する溶解性が優れるので、好ましく、繰り返し単位(3)として、X及びYの少なくとも一方がイミノ基であるもののみを有することが、より好ましい。
中でも、本開示に係る液晶ポリマー粒子は、分散性、及び、引張強度の観点から、パラヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位、及び、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単位を有する液晶ポリマーを含むことが好ましく、パラヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位、及び、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位を有する液晶ポリマーを含むことがより好ましい。
また、本開示に係る液晶ポリマー粒子は、分散性、及び、引張強度の観点から、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位、芳香族ジオール化合物に由来する構成単位、テレフタル酸に由来する構成単位、及び、2,6-ナフタレンジカルボン酸に由来する構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単位を有する液晶ポリマーを含むことが好ましく、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位、芳香族ジオール化合物に由来する構成単位、テレフタル酸に由来する構成単位、及び、2,6-ナフタレンジカルボン酸に由来する構成単位を有する液晶ポリマーを含むことがより好ましい。
液晶ポリマーは、それを構成する構成繰り返し単位に対応する原料モノマーを溶融重合させることにより製造することが好ましい。溶融重合は、触媒の存在下に行ってもよく、この触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、1-メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物などが挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。なお、溶融重合は、必要に応じて、更に固相重合させてもよい。
液晶ポリマーは、その流動開始温度が、好ましくは250℃以上、より好ましくは250℃以上350℃以下、更に好ましくは260℃以上330℃以下である。液晶ポリマーの流動開始温度が上記範囲であると、溶解性、耐熱性、強度及び剛性に優れ、また、溶液の粘度が適度である。
流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリマーを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4,800Pa・s(48,000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー-合成・成形・応用-」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
また、液晶ポリマーは、その重量平均分子量が1,000,000以下であることが好ましく、3,000~300,000であることがより好ましく、5,000~100,000であることが更に好ましく、5,000~30,000であることが特に好ましい。この液晶ポリマーの重量平均分子量が上記範囲であると、熱伝導性、耐熱性、強度及び剛性に優れる。
本開示に係る液晶ポリマー粒子に含まれる液晶ポリマーは、力学強度の観点から、0.01以下であることが好ましく、0.005以下であることがより好ましく、0.004以下であることが更に好ましく、0を超え0.003以下であることが特に好ましい。
本開示に係る液晶ポリマー粒子に含まれる液晶ポリマーのガラス転移温度Tgは、耐熱性の観点から、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、200℃以上280℃未満であることが特に好ましい。
本開示におけるガラス転移温度Tgは、示差走査熱量分析(DSC)装置を用いて測定するものとする。
-その他の添加剤-
本開示に係る液晶ポリマー粒子は、その他の添加剤を含んでいてもよい。
その他の添加剤としては、公知の添加剤を用いることができる。具体的には、例えば、フィラー、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤等が挙げられる。
また、その他の添加剤として、上述した成分以外の樹脂を含んでいてもよい。
液晶ポリマー以外の樹脂の例としては、ポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂;グリシジルメタクリレートとポリエチレンとの共重合体等のエラストマー;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
その他の添加剤の総含有量は、液晶ポリマーの含有量100質量部に対して、好ましくは25質量部以下であり、より好ましくは10質量部以下であり、更に好ましくは5質量部以下である。
<用途>
本開示に係る液晶ポリマー粒子は、電子部品、コーティング材料、成形体用粉体材料、添加剤等の種々の用途に好適に用いることができる。中でも、プリント配線板などの電子部品により好適に用いることができ、フレキシブルプリント回路基板に特に好適に用いることができる。
(液晶ポリマー粒子の製造方法)
本開示に係る液晶ポリマー粒子の製造方法の第一の実施態様は、液晶ポリマー粒子の表面を酸化させる酸化処理工程を含み、得られる液晶ポリマー粒子において、25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角の粒子内部と粒子表面とにおける差が、7°以上である。
本開示に係る液晶ポリマー粒子の製造方法の第二の実施態様は、液晶ポリマー粒子の表面を酸化させる酸化処理工程を含み、得られる液晶ポリマー粒子において、X線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比の粒子内部と粒子表面とにおける差が、0.02以上である。
本開示に係る液晶ポリマー粒子の製造方法の第三の実施態様は、液晶ポリマー粒子の表面を酸化させる酸化処理工程を含み、得られる液晶ポリマー粒子において、粒子表面における25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角が、65°未満である。
本開示に係る液晶ポリマー粒子の製造方法の第四の実施態様は、液晶ポリマー粒子の表面を酸化させる酸化処理工程を含み、得られる液晶ポリマー粒子において、粒子表面においてX線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比が、0.27以上である。
なお、本明細書において、特に断りなく、単に「本開示に係る液晶ポリマー粒子の製造方法」又は「液晶ポリマー粒子の製造方法」という場合は、本開示に係る液晶ポリマー粒子の製造方法の上記第一の実施態様~上記第四の実施態様の全てについて述べるものとする。
本開示に係る液晶ポリマー粒子は、本開示に係る液晶ポリマー粒子の製造方法により製造された液晶ポリマー粒子であることが好ましい。
また、本開示に係る液晶ポリマー粒子の製造方法において、得られる液晶ポリマー粒子の好ましい態様は、上述した本開示に係る液晶ポリマー粒子の好ましい態様と同様である。
<酸化処理工程>
本開示に係る液晶ポリマー粒子の製造方法は、液晶ポリマー粒子の表面を酸化させる酸化処理工程を含む。
酸化処理工程においては、酸化剤を用いて液晶ポリマー粒子の表面を酸化させる工程であることが好ましく、水溶液中で液晶ポリマー粒子と酸化剤とを接触させて、液晶ポリマー粒子の表面を酸化させる工程であることがより好ましい。
上記水溶液のpHは、酸化可能であれば特に制限はないが、8以上が好ましく、12以上がより好ましく、13以上が更に好ましい。
上記水溶液のpHの上限に制限はなく、例えば、14である。
上記水溶液中で、液晶ポリマー粒子と酸化剤とを接触させる時間は、0.1時間~24時間が好ましく、0.5時間~10時間がより好ましく、1.5時間~6時間が更に好ましい。
また、液晶ポリマー粒子と酸化剤とを接触させる際の上記水溶液の温度は、1℃~95℃が好ましく、25℃~80℃がより好ましく、45℃~65℃が更に好ましい。
上記水溶液中で、液晶ポリマー粒子と酸化剤とを接触させる方法に制限はなく、例えば、ロッキングミル、ピースミル、ボールミル、ヘンシェルミキサー、ジェットミル、スターバースト、又は、ペイントコンディショナー等の粉砕機又は解砕機を用いた処理で混合して接触させる方法、スリーワンモーター等のメカニカルスターラー又はマグネチックスターラー等を用いて攪拌処理しながら接触させる方法、及び、液晶ポリマー粒子を充填したカートリッジに酸化剤等を含む酸化剤水溶液をポンプで循環させながら接触させる方法が挙げられる。
なお、上記循環させながら接触させる方法の最中において、上記酸化剤水溶液の一部が上記カートリッジに充填された液晶ポリマー粒子と接触していて、上記酸化剤水溶液の他の一部がポンプ中に存在する等していて液晶ポリマー粒子とは接触していなかったとしても、変性工程に供される全ての液晶ポリマー粒子及び酸化剤水溶液が、全体として、上記水溶液であるとみなす。
上記水溶液中で、液晶ポリマー粒子と酸化剤とを接触させた後、得られた液晶ポリマー粒子を上記水溶液中から取り出すことが好ましい。
上記水溶液から液晶ポリマー粒子を取り出す方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができ、例えば、上記水溶液をろ過して、ろ物として液晶ポリマー粒子を分取する方法が挙げられる。
取り出された液晶ポリマー粒子を、水、有機溶媒等で洗浄することも好ましい。
-酸化剤-
上記酸化処理工程においては、酸化剤を用いることが好ましい。
上記水溶液は、酸化剤を含むことが好ましい。
酸化剤としては、制限はなく、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、及び、過硫酸アンモニウムのような過硫酸塩;硝酸セリウムアンモニウム、硝酸ナトリウム、及び、硝酸アンモニウムのような硝酸塩;過酸化水素、及び、tert-ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物;過マンガン酸カリウム、二酸化マンガンのようなマンガン化合物;クロム酸カリウム、二クロム酸カリウムのようなクロム化合物;過ヨウ素酸カリウム、及び、過ヨウ素酸ナトリウムのような超原子価ヨウ素化合物;p-ベンゾキノン、1,2-ナフトキノン、アントラキノン、及び、クロラニルのようなキノン化合物;N-メチルモルホリンN-オキシドのようなアミンオキシド化合物、次亜塩素酸ナトリウム、及び、亜塩素酸ナトリウムのようなハロゲンオキソ酸の塩、並びに、ペルオキシ一硫酸カリウム・硫酸水素カリウム・硫酸カリウムからなる複塩(デュポン社製OXONE)等が挙げられる。
中でも酸化剤は、酸化性、分散性、及び、引張強度の観点から、過硫酸塩を含むことが好ましく、過硫酸塩であることがより好ましい。
また、酸化剤としては、酸化性の観点から、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、硝酸アンモニウムセリウム、クロム酸カリウム、二クロム酸カリウム、及び、ペルオキシ一硫酸カリウム・硫酸水素カリウム・硫酸カリウムからなる複塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、硝酸アンモニウムセリウム、及び、ペルオキシ一硫酸カリウム・硫酸水素カリウム・硫酸カリウムからなる複塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましく、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、及び、過硫酸アンモニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが特に好ましい。
また、酸化剤の作用を補助するために、酸化剤とは別に触媒を使用してもよい。上記触媒としては、例えば、二価の鉄化合物(FeSO等)、及び、三価の鉄化合物が挙げられる。
なお、酸化剤及び触媒はそれぞれ、水和物であってもよい。
また、酸化剤の標準酸化還元電位は、酸化性の観点から、0.30V以上であることが好ましく、1.50V以上であることがより好ましく、1.70以上であることが更に好ましい。酸化剤の標準酸化還元電位の上限は、特に制限はなく、例えば、4.00V以下であることが好ましく、2.50V以下であることがより好ましい。
上記標準酸化還元電位は、標準水素電極を基準とする。
上記水溶液中、酸化剤の含有量は、上記水溶液における水100質量部に対して、0.05質量部~20質量部が好ましく、0.1質量部~20質量部がより好ましく、1質量部~20質量部が特に好ましい。
酸化剤は、一種単独で使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
上記水溶液が触媒を含む場合、その酸化剤の含有量は、上記水溶液における水100質量部に対して、0.005質量部~2質量部が好ましく、0.01質量部~2質量部がより好ましく、0.1質量部~2質量部が更に好ましい。
触媒は、一種単独で使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
-アルカリ性化合物-
上記水溶液は、上記水溶液のpHを調製するために、上述の成分以外にアルカリ性化合物を含むことも好ましい。
上記アルカリ性化合物としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム等)、及び、アルカリ土類金属水酸化物のような無機塩基;並びに、有機塩基が挙げられる。中でも、アルカリ金属水酸化物が好ましい。
上記水溶液中、アルカリ性化合物の含有量は、上記水溶液のpHを所望の温度に調整できるように適宜調整すればよく、例えば、上記水溶液における水100質量部に対して、0.1質量部~10質量部であることが好ましい。
<その他の工程>
また、本開示に係る液晶ポリマー粒子の製造方法は、その他の工程を含んでいてもよい。
本開示に係る液晶ポリマー粒子の製造方法は、上記酸化処理工程に用いる液晶ポリマー粒子を準備する工程を含むことが好ましい。
上記酸化処理工程に用いる液晶ポリマー粒子は、公知の方法により作製してもよいし、市販品を用いてもよい。
また、本開示に係る液晶ポリマー粒子の製造方法は、上記酸化処理工程により得られた液晶ポリマー粒子を洗浄する洗浄工程、及び、上記酸化処理工程又は上記洗浄工程により得られた液晶ポリマー粒子を乾燥する乾燥工程等を含んでいてもよい。
上記洗浄工程における洗浄方法、及び、上記乾燥工程における乾燥方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
(複合材)
本開示に係る複合材は、本開示に係る液晶ポリマー粒子を含み、本開示に係る液晶ポリマー粒子、及び、バインダーポリマーを含むことが好ましい。
複合材の形状及び大きさは、特に制限はなく、任意の形状及び大きさとすることができる。
中でも、複合材の形状は、フィルム状であることが好ましい。
また、バインダーポリマーは、引張強度の観点から、極性基を有するバインダーポリマーを含むことが好ましい。
バインダーポリマーとしては、特に制限はないが、ポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂;グリシジルメタクリレートとポリエチレンとの共重合体等のエラストマー;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
本開示に係る複合材において、バインダーポリマーは、1種単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。
上記バインダーポリマーは、引張強度の観点から、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子を含む樹脂であることが好ましく、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子を含む樹脂であることがより好ましく、酸素原子及び窒素原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子を含む樹脂であることが特に好ましい。
また、上記バインダーポリマーは、引張強度の観点から、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、及び、フッ素系樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましく、ポリカーボネート、ポリイミド、及び、フッ素系樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂を含むことがより好ましい。
本開示に係る複合材において、液晶ポリマー粒子は、1種単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。
本開示に係る複合材における液晶ポリマー粒子の含有量は、特に制限はなく、所望に応じ適宜選択することができるが、液晶ポリマー粒子の効果を十分発揮する観点から、複合材の全質量に対し、0.01質量%~70質量%であることが好ましく、0.1質量%~60質量%であることがより好ましく、1質量%~50質量%であることが特に好ましい。
また、バインダーポリマーと液晶ポリマー粒子とを含む場合、本開示に係る複合材における液晶ポリマー粒子の含有量は、引張強度の観点から、複合材の全質量に対し、1質量%~70質量%であることが好ましく、5質量%~60質量%であることがより好ましく、10質量%~50質量%であることが特に好ましい。
以下に実施例を挙げて本開示を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本開示の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
-液晶ポリマー粒子(LCP-A)-
国際公開第2019/240153号の製造例1を参考にして、球状液晶ポリマー粒子を作製した。メジアン径(D50)が10μm、誘電正接が0.0021、融点が325℃であった。
-液晶ポリマー粒子(LCP-B)-
国際公開第2019/240153号の製造例2を参考にして、球状液晶ポリマー粒子を作製した。メジアン径(D50)が40μm、誘電正接が0.0021、融点が325℃であった。
(実施例1)
NaOH水(NaOH:40部/水:400部)に液晶ポリマー粒子(LCP-A)(50部)を添加して撹拌した。過硫酸ナトリウム水(過硫酸ナトリウム:9.6部/水:100部)を添加した後、50℃に昇温し、更に3時間撹拌した。撹拌には新東科学株式会社製スリーワンモーターを用い、150rpm(revolutions per minute)で行った。室温(25℃、以下同様)まで冷却した後、液晶ポリマー粒子をろ過し、500部の水で洗浄後、40℃で乾燥することで表面改質液晶ポリマー粒子(LCP-1)を得た。
(実施例2)
NaOH水(NaOH:40部/水:400部)に液晶ポリマー粒子(LCP-A)(50部)を添加して撹拌した。上記NaOH水に、更に、過硫酸ナトリウム水(過硫酸ナトリウム:9.6部/水:100部)と硫酸鉄七水和物(1.1部)とを添加した後、上記NaOH水を50℃に昇温し、更に3時間撹拌した。撹拌には新東科学株式会社製スリーワンモーターを用い、150rpmで行った。室温まで冷却した後、液晶ポリマー粒子をろ過し、500部の水で洗浄後、40℃で乾燥することで表面改質液晶ポリマー粒子(LCP-2)を得た
(実施例3)
水(400部)に液晶ポリマー粒子(LCP-A)(50部)を添加して撹拌して混合液を得た。上記混合液に更に次亜塩素酸ナトリウム水(次亜塩素酸ナトリウム5水和物:9.6部/水:100部)を添加した後、上記混合液を50℃に昇温し、更に3時間撹拌した。撹拌には新東科学株式会社製スリーワンモーターを用い、150rpmで行った。室温まで冷却した後、液晶ポリマー粒子をろ過し、500部の水で洗浄後、40℃で乾燥することで表面改質液晶ポリマー粒子(LCP-3)を得た。
(実施例4)
NaOH水(NaOH:40部/水:400部)に液晶ポリマー粒子(LCP-A)(50部)を添加して撹拌した。上記NaOH水に、更に、硝酸セリウムアンモニウム水(硝酸セリウムアンモニウム:9.6部/水:100部)を添加した後、上記NaOH水を50℃に昇温し、更に3時間撹拌した。撹拌には新東科学株式会社製スリーワンモーターを用い、150rpmで行った。室温まで冷却した後、液晶ポリマー粒子をろ過し、500部の水で洗浄後、40℃で乾燥することで表面改質液晶ポリマー粒子(LCP-4)を得た。
(実施例5)
実施例1における「過硫酸ナトリウム:9.6部/水:100部」の配合の過硫酸ナトリウム水を、「過硫酸ナトリウム:48部/水:100部」の配合の過硫酸ナトリウム水に変更した以外は、実施例1と同様の製法で、表面改質液晶ポリマー粒子(LCP-5)を得た。
(実施例6)
実施例1における「NaOH:40部/水:400部」の配合のNaOH水を、「NaOH:2部/水:400部」の配合のNaOH水に変更した以外は実施例1と同様の製法で表面改質液晶ポリマー粒子(LCP-6)を得た。
(実施例7)
実施例1における「過硫酸ナトリウム:9.6部/水:100部」の配合の過硫酸ナトリウム水を、「ヨウ素酸カリウム:9.6部/水:100部」の配合のヨウ素酸カリウム水に変更した以外は、実施例1と同様の製法で、表面改質液晶ポリマー粒子(LCP-7)を得た。
(実施例8)
実施例1における「NaOH:40部/水:400部」の配合のNaOH水を、「NaOH:0.02部/水:400部」の配合のNaOH水に変更した以外は、実施例1と同様の製法で、表面改質液晶ポリマー粒子(LCP-8)を得た。
(実施例9)
実施例1における「過硫酸ナトリウム:9.6部/水:100部」の配合の過硫酸ナトリウム水を、「過硫酸カリウム:9.6部/水:100部」の配合の過硫酸カリウム水に変更した以外は実施例1と同様の製法で表面改質液晶ポリマー粒子(LCP-9)を得た。
(実施例10)
実施例1における「過硫酸ナトリウム:9.6部/水:100部」の配合の過硫酸ナトリウム水を、「過硫酸アンモニウム:9.6部/水:100部」の配合の過硫酸アンモニウム水に変更した以外は実施例1と同様の製法で表面改質液晶ポリマー粒子(LCP-10)を得た。
(実施例11)
実施例1における液晶ポリマー粒子(LCP-A)を液晶ポリマー粒子(LCP-B)に変更した以外は実施例1と同様の製法で表面改質液晶ポリマー粒子(LCP-11)を得た。
(比較例1)
液晶ポリマー粒子(LCP-A)をそのまま評価に用いた。
(比較例2)
NaOH水(NaOH:40部/水:400部)に液晶ポリマー粒子(LCP-A)(50部)を添加して撹拌した。50℃に昇温し、更に3時間撹拌した。撹拌には新東科学株式会社製スリーワンモーターを用い、150rpmで行った。室温まで冷却した後、液晶ポリマー粒子をろ過し、500部の水で洗浄後、40℃で乾燥することで液晶ポリマー粒子(LCP-12)を得た。
(比較例3)
液晶ポリマー粒子(LCP-B)をそのまま評価に用いた。
(比較例4)
NaOH水(NaOH:40部/水:400部)に液晶ポリマー粒子(LCP-B)(50部)を添加して撹拌した。50℃に昇温し、更に3時間撹拌した。撹拌には新東科学株式会社製スリーワンモーターを用い、150rpmで行った。室温まで冷却した後、液晶ポリマー粒子をろ過し、500部の水で洗浄後、40℃で乾燥することで液晶ポリマー粒子(LCP-13)を得た。
<測定条件>
-粒子表面の水接触角の測定方法-
液晶ポリマー粒子(LCP-1~13、又は、LCP-A若しくはB)1.5gをハンドプレス用アダプター30mmφに入れ、900kgf/cm(8,820N/cm)の圧力で1分間プレスし、圧粉体を得た。25℃湿度50%RHにおいて、25℃の水に対する接触角を測定した。測定には協和界面科学社製接触角計(DM700)を使用した。接触角は圧粉体上に液滴を作製してから5秒後の接触角の値を読み、10点平均で算出した。上記方法で測定したものを、液晶ポリマー粒子(LCP-1~13、又は、LCP-A若しくはB)の粒子表面の水接触角と定義した。
-粒子内部の水接触角の測定方法-
液晶ポリマー粒子(LCP-1~13、又は、LCP-A若しくはB)を融点以上に加熱して溶融させた後、再冷却し、得られたポリマー固形物を乳鉢ですりつぶして液晶ポリマー粒子を得た。一度融点以上に加熱されているため元の表面と内部は完全に混同していると考えられる。このようにして得られた液晶ポリマー粒子の水接触角を上記と同様の方法で測定したものを、液晶ポリマー粒子(LCP-1~13、又は、LCP-A若しくはB)の粒子内部の水接触角と定義した。
表面改質処理前の液晶ポリマー粒子(LCP-A又はB)の粒子表面の水接触角と粒子内部の水接触角は一致した。
また、液晶ポリマー粒子(LCP-1~13)の粒子内部の水接触角は、表面改質処理前の液晶ポリマー粒子(LCP-A又はB)の粒子表面及び粒子内部の水接触角と一致した。
-粒子表面の炭素原子に対する酸素原子の原子比の測定方法-
X線光電子分光分析装置(Ulvac-PHI社製「PHI 5000 VersaProbe II」を用いて、液晶ポリマー粒子(LCP-1~13、又は、LCP-A若しくはB)の表面について、炭素原子に対する酸素原子の原子比(粒子表面の酸素比率)を測定した。上記方法で測定したものを、液晶ポリマー粒子(LCP-1~13、又は、LCP-A若しくはB)の、粒子表面の炭素原子に対する酸素原子の原子比と定義した。
-粒子内部の炭素原子に対する酸素原子の原子比の測定方法-
液晶ポリマー粒子(LCP-1~13、又は、LCP-A若しくはB)を融点以上に加熱して溶融させた後、再冷却し、得られたポリマー固形物を乳鉢ですりつぶして液晶ポリマー粒子を得た。一度融点以上に加熱されているため元の表面と内部は完全に混同していると考えられる。このようにして得られた液晶ポリマー粒子の炭素原子に対する酸素原子の原子比を上記と同様の方法で測定したものを、液晶ポリマー粒子(LCP-1~13、又は、LCP-A若しくはB)の、粒子内部の炭素原子に対する酸素原子の原子比と定義した。
表面改質処理前の液晶ポリマー粒子(LCP-A又はB)の粒子表面の炭素原子に対する酸素原子の原子比と粒子内部の炭素原子に対する酸素原子の原子比は一致した。
また、液晶ポリマー粒子(LCP-1~13)の粒子内部の炭素原子に対する酸素原子の原子比は、表面改質処理前の液晶ポリマー粒子(LCP-A又はB)の粒子表面及び粒子内部の炭素原子に対する酸素原子の原子比と一致した。
<評価>
・樹脂又は溶媒中での分散性
液晶ポリマー粒子(LCP-1~13)又は未処理の液晶ポリマー粒子(LCP-A若しくはB)1gをアクリルアミドモノマー(FOM-03007、富士フイルム和光純薬株式会社製)の10質量%水溶液20mLに分散させ、そのときの凝集粒径をParticle Track G400(メトラートレド社製)を用いて測定した。凝集粒径が小さいほど分散性が優れていると言える。
評価は未処理の液晶ポリマー粒子(LCP-A又はLCP-B)を乾燥空気圧分散法により測定した時の平均粒径(LCP-A:10μm、LCP-B:40μm)との相対値で評価した。LCP-1~10及び12はLCP-Aとの比較、LCP-11及び13はLCP-Bとの比較をした。また、乾燥空気圧分散法での測定は、Malvern Panalytical社製マスターサイザー2000を用いた。
LCP-A又はLCP-Bの乾燥空気圧分散法により測定した時の平均粒径(LCP-A:10μm、LCP-B:40μm)と比較して、
A:凝集粒径(D50)が1.5倍未満である
B:凝集粒径(D50)が1.5倍以上3倍未満である
C:凝集粒径(D50)が3倍以上である
・引張強度
-ポリカーボネート樹脂-
ビスフェノールAとジフェニルカーボネートとの溶融重合により製造した固有粘度[η](塩化メチレン、25℃)が0.50dl/gのポリカーボネート。フェノール性末端基(I)及び非フェノール性末端基(II)の当量比(I)/(II)が3/7であるものを用いた。
-ポリイミド樹脂-
特開2000-191908号公報の合成例1を参考にしてポリイミド樹脂を合成して用いた。
-ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂-
AGC株式会社製G163(ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子、平均粒径25μm)を用いた。
-液晶ポリマー粒子-
得られた液晶ポリマー粒子(LCP1~13)、又は、未処理の液晶ポリマー粒子(LCP-A若しくはB)を用いた。
-引張強度の測定-
ポリカーボネート樹脂80質量部、液晶ポリマー粒子20質量部の混合比で、30mmφ二軸押出機を使用してバレル設定温度280℃、回転数300rpmで混練押出し、ペレットを作製した。更に出来上がったペレットをシリンダー温度280℃、金型温度80℃に設定した射出成形機により試験片を作製した。
幅10mm、長さ50mm、厚さ0.5mmの試験片をそれぞれ3枚準備し、23℃、相対湿度40%の雰囲気で24時間調温調湿した。テンシロン引張試験機を用いて、幅10mmのサンプル片をチャック間30mmとなるようセットし、引張速度10mm/minで引張試験を行い、引張強度を測定した。
評価は、各方向にそれぞれ3回測定し、その平均値を求めた。
また、評価は、未処理の液晶ポリマー粒子を用いて試験片を作製して測定した引張強度との相対値で評価した。
A:1.3倍以上
B:1.2倍以上1.3倍未満
C:1.1倍以上1.2倍未満
D:1.1倍未満
また、ポリイミド樹脂、又は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂を用いて引張強度を測定する場合は、上記ポリカーボネート樹脂の替わりに使用した。
Figure 2023020691000001
引張強度について、実施例1~11の液晶ポリマー粒子(LCP-1~11)について、ポリカーボネート樹脂の替わりにポリイミド樹脂、又は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂を用いた場合も同様の引張強度向上の効果が得られた。
また、ポリカーボネート樹脂と液晶ポリマーの混合比を、ポリカーボネート樹脂50質量部、液晶ポリマー粒子50質量部とした場合も同様の引張強度向上の効果が得られた。
表1に示すように、実施例1~実施例11の液晶ポリマー粒子(LCP-1~11)は、比較例1~4の液晶ポリマー粒子(LCP-12若しくは13、又は、LCP-A若しくはB)と比べ、極性基を有する樹脂又は溶媒に対して分散性に優れるものであった。
また、表1に示すように、実施例1~実施例11の液晶ポリマー粒子(LCP-1~11)は、極性基を有する樹脂(ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、又は、PTFE樹脂)との混合し複合材とした場合、引張強度に優れる複合材が得られた。

Claims (18)

  1. 25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角の粒子内部と粒子表面とにおける差が、7°以上である
    液晶ポリマー粒子。
  2. X線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比の粒子内部と粒子表面とにおける差が、0.02以上である
    液晶ポリマー粒子。
  3. 粒子表面における25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角が、65°未満である請求項1又は請求項2に記載の液晶ポリマー粒子。
  4. 粒子表面においてX線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比が、0.27以上である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の液晶ポリマー粒子。
  5. 前記液晶ポリマー粒子のメジアン径が、0.1μm~30μmである請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の液晶ポリマー粒子。
  6. 前記液晶ポリマー粒子が、パラヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位、及び、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単位を有する液晶ポリマーを含む請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の液晶ポリマー粒子。
  7. 前記液晶ポリマー粒子が、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構成単位、芳香族ジオール化合物に由来する構成単位、テレフタル酸に由来する構成単位、及び、2,6-ナフタレンジカルボン酸に由来する構成単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単位を有する液晶ポリマーを含む請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の液晶ポリマー粒子。
  8. 請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の液晶ポリマー粒子、及び、バインダーポリマーを含む複合材。
  9. 前記バインダーポリマーが、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子よりなる群から選ばれた少なくとも1種の原子を含む樹脂である請求項8に記載の複合材。
  10. 前記バインダーポリマーが、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、及び、フッ素系樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂を含む請求項8又は請求項9に記載の複合材。
  11. フィルム状である請求項8~請求項10のいずれか1項に記載の複合材。
  12. 液晶ポリマー粒子の表面を酸化させる酸化処理工程を含み、
    得られる液晶ポリマー粒子において、25℃50%RHでの空中水滴による水との接触角の粒子内部と粒子表面とにおける差が、7°以上である
    液晶ポリマー粒子の製造方法。
  13. 液晶ポリマー粒子の表面を酸化させる酸化処理工程を含み、
    得られる液晶ポリマー粒子において、X線光電子分光法によって測定される炭素原子に対する酸素原子の原子比の粒子内部と粒子表面とにおける差が、0.02以上である
    液晶ポリマー粒子の製造方法。
  14. 前記酸化処理工程が、水溶液中で前記液晶ポリマー粒子の表面と酸化剤とを接触させる工程である請求項12又は請求項13に記載の液晶ポリマー粒子の製造方法。
  15. 前記酸化剤の標準酸化還元電位が、1.50V以上である請求項14に記載の液晶ポリマー粒子の製造方法。
  16. 前記酸化剤が、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、硝酸アンモニウムセリウム、クロム酸カリウム、二クロム酸カリウム、及び、ペルオキシ一硫酸カリウム・硫酸水素カリウム・硫酸カリウムからなる複塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項14又は請求項15に記載の液晶ポリマー粒子の製造方法。
  17. 前記酸化剤が、過硫酸塩を含む請求項14~請求項16のいずれか1項に記載の液晶ポリマー粒子の製造方法。
  18. 前記酸化処理工程における前記水溶液のpHが、12以上である請求項14~請求項17のいずれか1項に記載の液晶ポリマー粒子の製造方法。
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