JP2023020435A - 樹脂組成物 - Google Patents

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恵理 井久保
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Abstract

【課題】加熱時の経時的な増粘が抑制された樹脂組成物を提供する。【解決手段】エチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)と、含窒素化合物(B)を含み、前記含窒素化合物(B)の含有量が、前記エチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)と前記含窒素化合物(B)の合計量に対して9重量%未満である、樹脂組成物とする。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、加熱時の経時的な増粘が抑制された樹脂組成物に関するものである。
エチレン-ビニルアルコール系共重合体(以下、「EVOH」と称する場合がある)は、高分子側鎖に存在する水酸基同士の水素結合のため、非常に強い分子間力を有する。それゆえに、結晶性が高く、また、非晶部分においても分子間力が高いため、EVOHを用いたフィルムは、気体分子等が通過しにくく、優れたガスバリア性を示す。
しかし、EVOHは分子内に比較的活性な水酸基を有するため、酸素がほとんど無い状態の押出成形機内部でも、高温溶融状態で酸化・架橋反応が起こり、経時的に増粘しやすく安定した加工が難しい傾向がある。
かかる課題を解決するために、例えば、特許文献1では、エチレン含有量が20~60モル%、ケン化度が90モル%以上のエチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)、酢酸(B)、酢酸マグネシウムおよび/または酢酸カルシウム(C)を含有してなり、かつ(B)の含有量が(A)100重量部に対して0.05重量部以下、(C)の含有量が金属換算で(A)100重量部に対して0.001~0.02重量部であることを特徴とする樹脂組成物が開示されている。また、特許文献1には、この樹脂組成物を用いることで、溶融成形時のロングラン成形性に優れ、フィッシュアイ、スジ、着色が少なく、外観性にも優れた成形物が得られ、さらには該成形物を積層体とした場合にも臭気が低減されており、延伸や深絞り等の二次加工後も該積層体の層間接着性にも優れることが開示されている。
特開平11-106592号公報
近年、成形装置におけるフィードブロック・ダイ形状の多様化、最終製品における多層構造体の薄膜化や層数増加等の各種高機能化要求に伴って、成形装置が高機能化する傾向がある。他方、高機能化により複雑化した成形装置内で、劣化した樹脂が最終製品に混入し、合格基準に満たない製品が発生して生産性(ロングラン成形性)が低下する傾向がある。
前記特許文献1に開示の技術は、溶融成形時のロングラン成形性に優れるものではあるが、高機能化により複雑化した成型装置においては、上記劣化した樹脂が最終製品に混入することに起因するロングラン成形性が十分ではなく、さらなるロングラン成形性の改善が求められている。
本発明者らは、成形装置の構造上避けることのできない樹脂の滞留に着目し、かかる滞留が原因で樹脂劣化物が発生するものと推測した。そこで、本発明は、かかる樹脂劣化物の発生を防止する目的で、滞留の原因となる加熱時の経時的な増粘が抑制された樹脂組成物を提供するものである。
しかるに、本発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、EVOHに含窒素化合物を特定量加えることにより、加熱時の経時的な増粘が抑制された樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[6]を提供する。
[1] EVOH(A)と、含窒素化合物(B)を含み、前記含窒素化合物(B)の含有量が、前記EVOH(A)と前記含窒素化合物(B)の合計量に対して9重量%未満である、樹脂組成物。
[2] 前記含窒素化合物(B)が1級アミノ基および/または2級アミノ基を含む、[1]記載の樹脂組成物。
[3] 前記含窒素化合物(B)の分子量が280以下である、[1]または[2]記載の樹脂組成物。
[4] 前記含窒素化合物(B)の下記式で定義されるアミン当量が225g/eq未満である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
式) アミン当量(g/eq)=含窒素化合物(B)の分子量/含窒素化合物(B)中に存在する1級アミノ基(-NH2)と2級アミノ基(-NH-)の数
[5] 前記含窒素化合物(B)の融点が70~230℃である、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] 前記含窒素化合物(B)が2-イミダゾリジノンである、[1]記載の樹脂組成物。
本発明の樹脂組成物は、溶融成形時の経時的な増粘を抑制し、ロングラン成形性に優れる。
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本発明において、「xおよび/またはy(x,yは任意の構成または成分)」とは、xのみ、yのみ、xおよびy、という3通りの組合せを意味するものである。
本発明の一実施形態である樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物」という)は、EVOH(A)と、含窒素化合物(B)を含み、前記含窒素化合物(B)の含有量が前記EVOH(A)と前記含窒素化合物(B)の合計量に対して9重量%未満である。
以下、各成分について説明する。
〔EVOH(A)〕
本樹脂組成物で用いられるEVOH(A)は、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合体であるエチレン-ビニルエステル系共重合体をケン化させることにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。上記ビニルエステル系モノマーとしては、経済的な面から、一般的には酢酸ビニルが用いられる。
エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合法としては、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合等を用いて行うことができ、一般的にはメタノールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン-ビニルエステル系共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
このようにして製造されるEVOH(A)は、エチレン構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、ケン化度が100モル%未満の場合、未ケン化部分として残存する若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
前記ビニルエステル系モノマーとしては、経済的な面や、製造時の不純物の処理効率の面から、一般的には前述のとおり酢酸ビニルが用いられる。また、酢酸ビニル以外のビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。なかでも、好ましくは炭素数3~20、より好ましくは炭素数4~10、特に好ましくは炭素数4~7の脂肪族ビニルエステルである。
前記EVOH(A)のISO14663に基づいて測定されるエチレン構造単位の含有量は、通常20~60モル%、好ましくは25~50モル%、特に好ましくは27~35モル%である。かかる含有量が低すぎる場合は、高湿度下でのガスバリア性、溶融成形性が低下する傾向があり、逆に高すぎる場合は、ガスバリア性が低下する傾向がある。なお、かかるエチレン構造単位の含有量は、ビニルエステル系モノマーとエチレンとを共重合させる際のエチレンの圧力によって制御することができる。
前記EVOH(A)のJIS K6726に基づいて測定されるケン化度(ただし、EVOH(A)は水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)は、通常90~100モル%、好ましくは95~100モル%、特に好ましくは99~100モル%である。かかるケン化度が低すぎる場合にはガスバリア性が低下する傾向がある。なお、かかるケン化度は、エチレン-ビニルエステル系共重合体をケン化する際のケン化触媒(通常、水酸化ナトリウム等のアルカリ性触媒が用いられる)の量、温度、時間等によって制御できる。
前記EVOH(A)のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)は、通常0.5~100g/10分であり、好ましくは1~50g/10分、特に好ましくは3~35g/10分である。かかるMFRが大きすぎる場合には、製膜性が不安定となる傾向があり、小さすぎる場合には粘度が高くなり過ぎて溶融押出しが困難となる傾向がある。
かかるMFRは、EVOH(A)の重合度の指標となるものであり、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合する際の重合開始剤の量や、溶媒の量によって調整することができる。
また、EVOH(A)は、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば、EVOH(A)の10モル%以下)で、以下に示すコモノマーに由来する構造単位が、さらに含まれていてもよい。
前記コモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等のオレフィン類;3-ブテン-1-オール、3-ブテン-1,2-ジオール、4-ペンテン-1-オール、5-ヘキセン-1,2-ジオール等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物等の誘導体;2-メチレンプロパン-1,3-ジオール、3-メチレンペンタン-1,5-ジオール等のヒドロキシアルキルビニリデン類;1,3-ジアセトキシ-2-メチレンプロパン、1,3-ジプロピオニルオキシ-2-メチレンプロパン、1,3-ジブチリルオキシ-2-メチレンプロパン等のヒドロキシアルキルビニリデンジアセテート類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはアルキル基の炭素数が1~18であるモノまたはジアルキルエステル類;アクリルアミド、アルキル基の炭素数1~18であるN-アルキルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、2-アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類;メタアクリルアミド、アルキル基の炭素数が1~18であるN-アルキルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、2-メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類;N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド等のN-ビニルアミド類;アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類;アルキル基の炭素数が1~18であるアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物類;トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類;酢酸アリル、塩化アリル等のハロゲン化アリル化合物類;アリルアルコール、ジメトキシアリルアルコール等のアリルアルコール類;トリメチル-(3-アクリルアミド-3-ジメチルプロピル)-アンモニウムクロリド、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のコモノマーが挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
特に、ヒドロキシ基含有α-オレフィン類を共重合したEVOH、すなわち、側鎖に水酸基を有するEVOHは、ガスバリア性を保持しつつ二次成形性が良好になる点で好ましく、より好ましくは側鎖に1級水酸基を有するEVOHであり、特に好ましくは1,2-ジオール構造を側鎖に有するEVOHである。
側鎖に1級水酸基を有するEVOHとしては、当該1級水酸基を有するモノマー由来の構造単位の含有量が、EVOHの通常0.1~20モル%、さらには0.5~15モル%、特には1~10モル%のものが好ましい。
また、EVOH(A)としては、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の「後変性」されたものであってもよい。
さらに、本樹脂組成物で用いるEVOH(A)は、2種以上のEVOH、例えば、ケン化度が異なるもの、重合度が異なるもの、共重合成分が異なるもの等の混合物であってもよい。
EVOH(A)は、本樹脂組成物の主成分であることが好ましい。ここで、主成分とは、その含有量が、本樹脂組成物の60重量%以上であり、好ましくは80重量%以上であり、より好ましくは90重量%であり、特に好ましくは95重量%以上である。
〔含窒素化合物(B)〕
本樹脂組成物で用いる含窒素化合物(B)は、その構造中に窒素原子を含む化合物であれば特に限定されず、1級アミノ基(-NH2)、2級アミノ基(-NH-)、3級アミノ基(下記一般式(1)参照)および4級アミノ基(下記一般式(2)参照)の少なくともいずれか1つを含むアミノ化合物であればよい。とりわけ、1級アミノ基(-NH2)および/または2級アミノ基(-NH-)を含むアミノ化合物が好ましい。1級アミノ基(-NH2)および/または2級アミノ基(-NH-)を含むことにより、含窒素化合物(B)により得られる経時的な増粘抑制効果をより高めることができる傾向がある。
Figure 2023020435000001
含窒素化合物(B)の分子量は特に限定されないが、分子量は280以下であることが好ましく、230以下がより好ましく、150以下が特に好ましく、100以下が殊に好ましい。分子量が280以下であることにより、少量の添加量で加熱時の経時的な増粘が抑制される傾向がある。分子量の下限は特に限定されないが、分子量は17以上であることが好ましく、30以上がより好ましく、40以上が特に好ましく、50以上が殊に好ましい。
含窒素化合物(B)のアミン当量は特に限定されないが、アミン当量は225g/eq未満であることが好ましく、200g/eq以下がより好ましく、150以下が特に好ましく、100g/eq以下が殊に好ましい。アミン当量が225g/eq未満であることにより、少量の添加量で加熱時の経時的な増粘が抑制される傾向がある。アミン当量の下限は特に限定されないが、アミン当量は10g/eq以上であることが好ましく、20g/eq以上がより好ましく、30g/eq以上が特に好ましく、40g/eq以上が殊に好ましい。アミン当量が10g/eq以下である場合、室温付近で固体でない化合物である場合が多くハンドリング性が良くない傾向にある。なお、前記アミン当量は、1当量のアミノ基を含む含窒素化合物(B)の重量であり、下記式から求めることができる。
式) アミン当量(g/eq)=含窒素化合物(B)の分子量/含窒素化合物(B)中に存在する1級アミノ基(-NH2)と2級アミノ基(-NH-)の数
含窒素化合物(B)の融点は特に限定されないが、融点の下限は70℃であることが好ましく、80℃がより好ましく、90℃が特に好ましく、100℃が殊に好ましい。融点の上限は230℃であることが好ましく、210℃がより好ましく、190℃が特に好ましく、170℃が殊に好ましい。融点が上記範囲であることにより、含窒素化合物(B)の取扱いが容易となり、また、EVOH(A)の溶融成形温度にて溶融するため優れた効果を発揮する傾向がある。
具体的な前記含窒素化合物(B)としては、無機アミノ化合物、有機アミノ化合物が挙げられる。これらは、単独でもしくは二種以上を併せて用いてもよい。
前記無機アミノ化合物としては、例えば、ヒドロキシルアミン、クロルアミン、アンモニア等が挙げられる。
前記有機アミノ化合物としては、例えば、メタノールアミン、エタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ジシアノジアミド、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、3-アザヘキサン-1,6-ジアミン、2-アクリルアミドー2ーメチルプロパンスルホン酸、4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン等の脂肪族アミン、プロリン、ヒドロキシプロリン、エチレンイミン、モルホリン、α-アミノ-ε-カプロラクタム、アセトアルデヒドアンモニア等の複素環式アミン、2-アミノ-4,5-ジシアノイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、アセトグアナミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン等の複素環芳香族アミン、尿素、チオ尿素、メチル尿素、エチル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、エチレン尿素(2-イミダゾリジノン)、グアニル尿素、グアニルチオ尿素、アゾジカルボンアミド、グリコリルウレア、アセチルウレア等の尿素結合を有する化合物、ホルムアミド、アセトアミド、ベンズアミド、オキサミド、オキサミン酸、コハク酸アミド、マロンアミド等のアミド結合を有する化合物、スクシンイミド、フタルイミド、マレイミド、1-メチロール-5,5-ジメチルヒダントイン、イソシアヌル酸等のイミド結合を有する化合物等が挙げられる。
これら含窒素化合物(B)のなかでも、経時的な増粘を抑制できる点から、有機アミノ化合物が好ましく、より好ましくは複素環芳香族アミン、尿素結合を有する化合物であり、特に好ましくは2-ウンデシルイミダゾール、エチレン尿素(2-イミダゾリジノン)であり、殊に好ましくはエチレン尿素(2-イミダゾリジノン)である。
本樹脂組成物における含窒素化合物(B)の含有量は、前記EVOH(A)と前記含窒素化合物(B)の合計量に対して9重量%未満であり、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは3重量%以下、殊に好ましくは1重量%以下である。含窒素化合物(B)の含有量が、前記数値を超えると、溶融成形時の増粘抑制効果が得られない。また、含窒素化合物(B)の含有量が9重量%以上であると成形時に臭気が顕著に表れるため、溶融成形物として好ましくない傾向がある。
また、含窒素化合物(B)の含有量の下限値は特に限定されないが、好ましくは前記EVOH(A)と前記含窒素化合物(B)の合計量に対して0.000001重量%以上、より好ましくは0.00001重量%以上、特に好ましくは0.0001重量%以上、殊に好ましくは0.001重量%以上である。含窒素化合物(B)の含有量が前記数値未満であると、溶融成形時の増粘抑制効果が十分ではない傾向がある。
本樹脂組成物は、EVOH(A)に特定量の含窒素化合物(B)を組み合わせることにより、以外にもEVOH(A)の成形加工時における経時的な増粘を抑制でき、これによりロングラン成形性を向上させることができた。
これは、成形加工時にEVOH(A)から経時的に発生するアルデヒド類を含窒素化合物(B)が捕捉することにより、EVOH(A)の架橋反応を抑制するためであると推測される。
本樹脂組成物には、溶融成形時の経時的な増粘を抑制する効果をより高めることができる点から、さらにホウ素化合物を含有することが好ましい。
[ホウ素化合物]
前記ホウ素化合物としては、ホウ酸またはその金属塩が挙げられ、例えば、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)等の他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物等が挙げられる。これらは単独でもしくは二種以上を併せて用いてもよい。なかでも、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)が好ましい。
上記ホウ素化合物の含有量は、特に限定されないが、含有量の下限は、EVOH(A)に対してホウ素換算で、好ましくは1ppm、より好ましくは10ppm、特に好ましくは20ppm、殊に好ましくは50ppmである。含有量の上限は、EVOH(A)に対してホウ素換算で、好ましくは1000ppm、より好ましくは500ppm、特に好ましくは300ppm、殊に好ましくは100ppmである。含有量が上記範囲内であることにより、含窒素化合物と相乗的に作用し、ロングラン成形性向上効果をさらに高めることができる。特定量のホウ素化合物を用いることによって優れた効果が得られる理由は明らかではないが、溶融粘度の調整により樹脂組成物の排出性が高まるためと推測される。
上記ホウ素化合物のホウ素換算での含有量は、公知の分析方法にて測定することができる。例えば、本樹脂組成物を湿式分解後、定容したものを検液とし、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-AES)にてホウ素量を定量することができる。
また、本樹脂組成物は、EVOH(A)以外の熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の各種熱可塑性樹脂)を、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば、本樹脂組成物の通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下)にて含有することができる。
さらに、本樹脂組成物には、発明の効果を阻害しない範囲(例えば、本樹脂組成物の5重量%以下)で、必要に応じて、可塑剤、補強剤、充填剤、顔料、染料、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、帯電防止剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤等が含有されてもよい。
〔樹脂組成物の調製〕
本樹脂組成物は、EVOH(A)および含窒素化合物(B)と、必要に応じて配合される任意成分とを混合して調製することによって得ることができる。
上記混合方法としては特に限定はなく、各成分をドライブレンドにより混合したものを樹脂組成物として直接利用することもできるが、一般には、溶融混合法、溶液混合法等により混合した後、ペレット等の取り扱いやすい形状に成形して樹脂組成物として調製する方法が用いられ、生産性の点から溶融混合法が好ましい。
上記溶融混合方法としては、通常、各成分をドライブレンドした後に溶融して混合する方法が挙げられる。混合装置としては、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、プラストミル等の公知の混練装置を用いることができるが、通常は単軸または二軸の押出機を用いることが工業上好ましい。また、前記押出機は、必要に応じて、ベント吸引装置、ギヤポンプ装置、スクリーン装置等を設けることも好ましい。
上記溶融混練温度は、通常、押出機およびダイの設定温度として160~300℃の範囲であり、好ましくは170~260℃、特に好ましくは180~240℃である。かかる温度が低すぎる場合には、樹脂が未溶融状態となり、加工状態が不安定になる傾向があり、高すぎる場合には、樹脂組成物が熱劣化して、得られる成形品の品質が低下する傾向にある。
本樹脂組成物における含窒素化合物(B)や任意成分の添加量の調整方法としては特に限定はなく、所望の添加量を加えて調整する方法、マスターバッチを作製して希釈する方法等を取ることができる。また、マスターバッチを希釈する場合、希釈方法は任意の方法をとることができるが、生産性の点からドライブレンドが好ましい。
また、ホウ素化合物等の任意成分は、上記の方法以外に、例えば、EVOH(A)の製造時に添加して含有させてもよい。
このようにして得られる本樹脂組成物は、通常、溶融成形法により、例えば、フィルム、シート、カップ、繊維等の成形品に成形される。かかる溶融成形方法としては、例えば、押出成形法(T-ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法等が挙げられる。溶融成形温度は、通常150~300℃の範囲から適宜選択できる。得られた成形品(フィルム、シート、カップ、繊維等)は、一軸または二軸延伸、真空成形等の二次加工に供することもできる。
また、本樹脂組成物を用いて溶融成形により得られる成形品は、本樹脂組成物のみからなる成形品であってもよく、また、他の樹脂シートやフィルム、紙、不織布、金属箔等の基材と積層された多層構造体からなる成形品であってもよい。
前記多層構造体の製造については、本樹脂組成物を用いて成形されたフィルム、シート等に他の基材を溶融押出ラミネートする方法、他の基材に本樹脂組成物を溶融押出ラミネートする方法、本樹脂組成物と他の基材とを共押出する方法、本樹脂組成物を用いてなるフィルム、シート等と、他の基材からなる層とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法等を採用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例に先立ち、以下の成分を準備した。
[EVOH(A)]
・EVOH(A1):エチレン構造単位の含有量29モル%、MFR8g/10分(210℃、荷重2160g)、ケン化度99.7モル%、ホウ素化合物含有量(ホウ素換算)0ppm
・EVOH(A2):エチレン構造単位の含有量29モル%、MFR3.8g/10分(210℃、荷重2160g)、ケン化度99.6モル%、ホウ素化合物含有量(ホウ素換算)70ppm
<ペレット中のホウ素化合物含有量(ホウ素換算)>
上記EVOH(A)に含まれるホウ素化合物含有量は、EVOH(A)のペレット0.1gを濃硝酸とともにマイクロウェーブ分解法にて処理して得られる溶液を純水にて定容(0.75mg/mL)したものを検液とし、誘導結合プラズマ発光分析計(ICP-AES)(アジレント・テクノロジー社製、720-ES型)で測定して求めた。当該測定されるホウ素含有量は、ホウ素化合物に由来するホウ素量に該当する。
[含窒素化合物(B)]
・含窒素化合物(B1):2-イミダゾリジノン(東京化成工業社製、分子量86、アミン当量43g/eq、融点132℃)
・含窒素化合物(B2):2-ウンデシルイミダゾール(三菱ケミカル社製、分子量222、アミン当量222g/eq、融点73℃)
<実施例1>
EVOH(A1)と含窒素化合物(B1)を、(B1)が(A1)と(B1)の合計量に対して1.0重量%となるようドライブレンドし、樹脂組成物を作製した。
<実施例2~9、比較例1>
含窒素化後物の種類や量を、後記の表1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を作製した。
作製した樹脂組成物を用いて、下記の増粘抑制率の評価を行った。
<増粘抑制率の評価>
下記の溶融混練条件にて、各樹脂組成物55gを溶融混練し、トルク値の経時変化を記録した。また、ブランクとしてEVOH(A1)、EVOH(A2)も同様に溶融混練し、トルク値の経時変化を記録した。
[溶融混練条件]
装置:ブラベンダー社製プラストグラフ
条件:240℃、50rpm、予熱5分間、混練180分
得られた60分経過後トルク値、180分経過後のトルク値から、下記の式により増粘比を算出した。
増粘比=測定180分経過時点のトルク値/測定60分経過時点のトルク値
次に、算出した各実施例または比較例の増粘比と、ブランクの増粘比から、下記の式により、増粘抑制率を算出した。
増粘抑制率(%)=[増粘比(ブランク)-増粘比(実施例または比較例)]/増粘比(ブランク)×100
Figure 2023020435000002
前記表1の結果から、EVOH(A)と特定量の含窒素化合物(B)を含有する実施例1~9の樹脂組成物は、含窒素化合物(B)を含まないブランクのEVOH(A1)または(A2)と比較して経時的な増粘が抑制され、ロングラン成形性が向上していることがわかる。
また、実施例1~9の樹脂組成物のなかでも、含窒素化合物(B)として、2-イミダゾリジノンを用いた実施例1~6の樹脂組成物が経時的な増粘の効果について特に優れることがわかる。
さらに、含窒素化合物(B)の添加量が9重量%である比較例1の樹脂組成物は、含窒素化合物(B)を含まないブランクのEVOH(A1)よりも増粘しており、増粘抑制効果が得られなかった。
本発明の樹脂組成物は、溶融成形時の経時的な増粘を抑制し、ロングラン成形性に優れていることから、各種食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装材料として特に有用である。

Claims (6)

  1. エチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)と、含窒素化合物(B)を含み、前記含窒素化合物(B)の含有量が、前記エチレン-ビニルアルコール系共重合体(A)と前記含窒素化合物(B)の合計量に対して9重量%未満である、樹脂組成物。
  2. 前記含窒素化合物(B)が1級アミノ基および/または2級アミノ基を含む、請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 前記含窒素化合物(B)の分子量が280以下である、請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 前記含窒素化合物(B)の下記式で定義されるアミン当量が225g/eq未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
    式) アミン当量(g/eq)=含窒素化合物(B)の分子量/含窒素化合物(B)中に存在する1級アミノ基(-NH2)と2級アミノ基(-NH-)の数
  5. 前記含窒素化合物(B)の融点が70~230℃である、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記含窒素化合物(B)が2-イミダゾリジノンである、請求項1記載の樹脂組成物。
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