JP2023017860A - 発泡シート - Google Patents

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拓也 永澤
Takuya Nagasawa
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Abstract

【課題】点衝撃吸収性能が極めて高い薄型の発泡シート、前記発泡シートを用いた衝撃に強い有機EL表示パネル又は有機ELディスプレイを提供する。【解決手段】本発明のある形態は、見かけの密度が0.50g/cm3以上であり、動的粘弾性測定における周波数1Hzでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接のピークが、30℃以下に存在し、前記損失正接のピーク高さが0.8以上である発泡シートであって、前記発泡シートが、エマルジョン樹脂組成物を発泡及び硬化させることにより形成されたものである、発泡シートである。【選択図】図1

Description

本発明は、点衝撃吸収率の高い発泡シートに関する。
一般に、電子・電気機器の精密化・小型化・モバイル化が進むなか、機器の内部に設けられている部品の破損防止が重要となっている。特に、電子・電気機器の表示装置において、表面のガラス板と画像表示部材との間に衝撃や振動を吸収し破損を防止するため、各種素材の発泡体が、緩衝材として挟み込まれている。そのうえ、小型化が進むことによって上記緩衝材を設置するスペースが限定され、緩衝材に十分な厚さを持たせることができず、薄くても十分な衝撃吸収性能が求められるようになった。 特に、有機ELディスプレイは、封止材としてフリットガラスが使用され、しかもバックライトユニットがないことから、衝撃に弱いとされており、上記緩衝材には極めて高い耐衝撃性が必要とされる。
特許文献1~3は、緩衝材として十分な衝撃吸収性を有する発泡シートを提案しており、特に表示部を有する電子・電気機器においては、該表示部背面に破損防止緩衝材として発泡シートを使用することを提案している。
特許第5676798号 特許第5801946号 特開2016-145339号公報
しかしながら、特許文献1~3に開示されている発泡シートは、広い面積部と接触するような面衝撃を吸収することは可能であるが、点に近い狭い面積部と接触するような点衝撃を吸収することができず、有機ELパネルの保護としては不十分となるおそれがあった。
そこで本発明は、点衝撃吸収性能が極めて高い薄型の発泡シート、前記発泡シートを用いた衝撃に強い有機EL表示パネル又は有機ELディスプレイを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究を行い、特定の特性を有する発泡シートによって、上記課題を解決可能なことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
本発明の形態(1)は、
見かけの密度が0.50g/cm以上であり、
動的粘弾性測定における周波数1Hzでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接のピークが、30℃以下に存在し、
前記損失正接のピーク高さが0.8以上である発泡シートであって、
前記発泡シートが、エマルジョン樹脂組成物を発泡及び硬化させることにより形成されたものである、発泡シートである。
本発明の形態(2)は、
振り子型衝撃吸収試験機による点衝撃吸収試験(前記発泡シートに振り子を直接衝突させる試験であり、23℃における衝撃エネルギーを200mJとした条件による)において、点衝撃吸収率が30%以上(点衝撃吸収率は下式(1)で算出される)である発泡シートである。
点衝撃吸収率(%)={(fp0-fp1)/fp0}×100 式(1)
(上記式(1)において、fp0は、前記発泡シートを試料台に設置せずに衝撃吸収試験を行ったときの衝撃荷重であり、fp1は、前記発泡シートを試料台に設置して衝撃吸収試験を行ったときの衝撃荷重である)
本発明の形態(3)は、
前記発泡シートが、基材上にシート状に形成された形態(1)又は形態(2)の発泡シートである。
本発明の形態(4)は、
前記発泡シートの片面又は両面に粘着剤層が形成された形態(1)~形態(3)のいずれかの発泡シートである。
本発明の形態(5)は、
前記発泡シートに形成された粘着剤層の表面に、さらに剥離ライナーが設けられた形態(4)の発泡シートである。
本発明の形態(6)は、
形態(1)~形態(5)のいずれかの発泡シートを有する有機EL表示パネルである。
本発明の形態(7)は、
形態(1)~形態(5)のいずれかの発泡シートを有する有機ELディスプレイである。
本発明によれば、点衝撃吸収性能が高い薄型の発泡シート、前記発泡シートを用いた衝撃に強い電子・電気部品又は電子・電気機器が提供される。
発泡シートの態様例を示す断面図である。 振り子型衝撃吸収試験機の構成図である。 点衝撃吸収率測定方法を示した試料台32の拡大図である。
1.発泡シート
1-1.構造
本発明にかかる発泡シートは、有機EL表示パネルの衝撃吸収用の緩衝材として用いられる。
本発明にかかる発泡シートは、厚さが0.03mm以上0.5mm以下であり、見かけの密度が0.50g/cm以上1.10g/cm未満であり、動的粘弾性測定における-80℃~150℃の温度範囲を5℃/minで昇温し、周波数1Hzの条件で測定した貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)のピークが、-50℃~30℃に存在する。また前記ピークの高さが、0.8以上である発泡体をシート状に形成されていることを特徴とする発泡シートである。なお、本明細書において、「発泡シートの厚さ」と記載した場合は、「本発明の、シート状に形成された発泡体」のみの厚さを示し、粘着剤層、基材及び剥離ライナー等を含むその他の層の厚さを含まないものとする。
また、後述する本発明にかかる発泡シートを複数積層した場合には、前記複数の発泡シートの厚みの総和を「発泡シートの厚さ」とする。
本発明にかかる発泡シートの厚さは、0.03mm以上0.5mm以下である。発泡シートの厚さは、用途や設計上の要請により決定することができる。かかる範囲にある場合には、気泡が均一に分散でき、十分な衝撃吸収性能が得られ、また、省スペース化された電子・電気機器の限られたスペースに収めることが可能となる。本発明の発泡シートの厚さの下限は、好ましくは0.06mm、より好ましくは0.07mm、さらに好ましくは0.08mmであり、上限は、好ましくは0.4mm、より好ましくは0.3mm、さらに好ましくは0.2mmである。
本発明にかかる発泡シートは、基材上に形成することができる{図1(b)}。そのようにすることで発泡シートに強度を持たせることが可能となる。基材上に発泡シートを形成する方法は、特に限定されず、例えば基材上に直接発泡体を塗工する方法や粘着剤層を設け貼り合わせる方法等が挙げられる。また、基材、粘着剤層、剥離ライナー、がこの順番に並んでいる積層体を予め形成しておき、基材の、粘着剤層が存在する側の反対側の面上に、発泡体を一体成形してもよい。
基材の発泡シート形成側の表面に剥離剤層を設けてもよい。そのようにすることで基材を剥離ライナーとすることができる。
さらに、基材の発泡シート形成側と反対側の表面に剥離剤層を設けてもよい。そのようにすることで発泡シートをロール状に巻回したロール体とすることができ、運搬時や保管時の省スペース化や発泡シートをダメージから保護することができる。
また、本発明にかかる発泡シートは、その表面の片側、又は、両側に粘着剤層を設けることができる{図1(c)}。粘着剤層を設けることで、発泡シートを用いた有機ELパネルの固定が容易となる。
前記片側、又は、両側の表面に粘着剤層を設けられた発泡シートは、さらに粘着剤層表面に剥離ライナーを設けることができる{図1(d)}。剥離ライナーを設けることで、運搬中や使用前の粘着剤層へのダメージを防止することができる。
ここで、本発明にかかる発泡シートは、本発明にかかる発泡シート以外の発泡体や、基材、粘着剤層、及びその他公知の層を、所望の数、及び、所望の順番で積層させてもよい。さらには、本発明の発泡シートを一層設ける態様が好適であるが、基材/本発明の発泡シート/粘着剤層/本発明の発泡シート/粘着剤層、等のように、本発明の発泡シートを複数有する発泡シートとしてもよい。
2.各部
2-1.発泡体
2-1-1.原料
本発明にかかる発泡体は、原料として、例えば、アクリル系エマルジョン、起泡剤(アニオン性界面活性剤)、分散媒として水、架橋剤及びその他の添加剤等を含む(なお、発泡工程において用いられる発泡用の気体に関しては、発泡工程にて述べる)。
2-1-1-1.アクリル系エマルジョン
本発明にかかる発泡体を製造する際に使用されるエマルジョン組成物の原料は、アクリル系エマルジョンを含む。
また、アクリル系エマルジョンを用いることで、得られるアクリル樹脂発泡シートは、材料強度に優れるとともに軽量性、断熱性を有することができる。
前記発泡体のエマルジョンの原料は、アクリル系エマルジョン以外のエマルジョンを含んでもよい。そのようなエマルジョンは、本発明の効果が阻害されない限りにおいて、特に限定されず、ウレタン系エマルジョン、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョン、エポキシ系エマルジョン等が挙げられる。これらのエマルジョンは、1つ、又は、複数のエマルジョンを含むことができる。
前記アクリル系エマルジョン(アクリル樹脂の水分散体)の製法としては、重合開始剤、必要に応じて乳化剤及び分散安定剤の存在下に、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を必須の重合性単量体成分とし、さらに必要に応じてこれらの単量体と共重合可能なその他の重合性単量体の混合物を共重合させることにより得ることができる。なお、2種以上アクリル系エマルジョンを組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において(メタ)アクリル酸と記載した場合には、メタクリル酸及びアクリル酸を含むものとする。例えば、(メタ)アクリル酸メチルとした場合には、メタクリル酸メチルと、アクリル酸メチルを含む。
上記アクリル系エマルジョンの調製に使用することができる重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アルリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルプロピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボキシル基を有する不飽和結合含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有重合性単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート等が例示できる。
前記アクリル樹脂エマルジョンは、市販のものでもよく、樹脂微粒子を連続相としての水中に分散したものであればよく、必要に応じて界面活性剤のような分散剤を含有しても構わない。
エマルジョンの固形分濃度は、高い方がその成膜性が良く好ましい。エマルジョンの固形分濃度は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。
前記樹脂微粒子成分としては、アクリル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられ、これらの中でもアクリルシリコーン系樹脂が特に好ましい。市販の樹脂エマルジョンとしては、マイクロジェルE-1002、E-5002(スチレン-アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン-アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE-1014(スチレン-アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK-200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、プライマルAC-22、AC-61(アクリル系樹脂エマルジョン、ローム・アンド・ハース製)、ナノクリルSBCX-2821、3689(アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン、東洋インキ製造株式会社製)、#3070(メタクリル酸メチル重合体樹脂エマルジョン、御国色素社製)などが挙げられる。
なお、アクリル系エマルジョンの調製時に乳化剤を使用する場合には、公知の乳化剤等を使用すればよい。
2-1-1-2.エマルジョンの特性
本発明に用いられるエマルジョンの内、好適な態様であるアクリル系エマルジョンの物性について以下説明する。
2-1-1-2-1.粘度(mPa・s)
粘度は、ブルックフィールド粘度計(25℃)によって測定する。
アクリル系エマルジョンの粘度としては、5,000~20,000mPa・sであることが好ましい。8,000~15,000mPa・sであることがより好ましい。粘度が5,000以上であれば、成形時の泡保持力が十分となり、より微細なセルが成形でき、粘着強度がより強くなる傾向にあるためである。逆に粘度が20,000以下であれば、成形時に原料へのせん断力を低減できるため、歪な形のセルが成形することを防げるため、より十分な粘着強度が得られるからである。
2-1-1-2-2.損失正接(tanδ)
損失正接は、動的粘弾性装置(Anton Paar社製:型式MCR302)にて、JIS-K7198に準拠した手順で-80℃~150℃、5℃/minで昇温、周波数1Hzの条件で測定することができる。
また、本発明にかかるエマルジョン組成物の損失正接のピークが、-10℃以下であることが好ましい。かかる範囲にあることで、低温下での使用時に、発泡体シートが高硬度化したり、減粘着化したりしない。
2-1-1-3.分散媒
本形態において、エマルジョン組成物の分散媒としては、水を必須成分とするが、水と水溶性溶剤との混合物であってもよい。水溶性溶剤とは、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、N-メチルピロリドン等の極性溶剤等であり、これらの1種又は2種以上の混合物等を使用してもよい。
2-1-1-4.起泡剤(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤(起泡アニオン性界面活性剤)は、エマルジョン組成物の起泡剤として機能する。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アンモニウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム石鹸、ひまし油カリウム石鹸、やし油カリウム石鹸、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、オレイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム、やし油アルコール硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム等が挙げられるが、特に、アルキルスルホコハク酸ナトリウムが好ましい。
ここで、本形態に用いられるアニオン性界面活性剤は、エマルジョン組成物に分散しやすくするため、HLBが、10以上であることが好適であり、20以上であることがより好適であり、30以上であることが特に好適である。
2-1-1-5.両性界面活性剤
本形態にかかる発泡体は、アニオン性界面活性材に加えて、さらに両性界面活性剤を用いることにより、気泡が微細かつ均一化する。
特にアニオン系界面活性剤と両性界面活性剤を併用した場合、アニオン系界面活性剤の分子同士の親水基の電荷が反発し、アニオン系界面活性剤の分子同士がある程度の距離を保っている間に、電気的に中性である両面活性剤がアニオン系界面活性剤の分子の間に入り込むことによって、気泡をより安定化し、気泡のサイズを小さくすることができる。このため、層間剥離強度を向上させることができる。よって、アニオン系界面活性剤と両性界面活性剤を併用することが好ましい。
本発明において用いることのできる両性界面活性剤としては、特に制限されるものではなく、アミノ酸型、ベタイン型、アミンオキシド型等の両性界面活性剤を使用することができる。ベタイン型の両性界面活性剤は、前述の効果がより高いことから、好適である。さらに、アニオン系界面活性剤の分子の間への入り込み易さの点から、C10~12のものが好ましい。
アミノ酸型の両性界面活性剤としては、例えば、N-アルキル若しくはアルケニルアミノ酸又はその塩等が挙げられる。N-アルキル若しくはアルケニルアミノ酸は、チッ素原子にアルキル基又はアルケニル基が結合し、さらに1つ又は2つの「-R-COOH」(式中、Rは2価の炭化水素基を示し、好ましくはアルキレン基であり、特に炭素数1~2であることが好ましい。)で表される基が結合した構造を有する。「-R-COOH」が1つ結合した化合物においては、チッ素原子にはさらに水素原子が結合している。「-R-COOH」が1つのものをモノ体、2つのものをジ体という。本発明にかかる両性界面活性剤としては、これらモノ体、ジ体のいずれも用いることができる。N-アルキル若しくはアルケニルアミノ酸において、アルキル基、アルケニル基は直鎖状でも分岐鎖状であってもよい。具体的には、アミノ酸型の両性界面活性剤として、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、トリメチルグリシンナトリウム、ココイルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル-β-アラニン等が挙げられる。
ベタイン型の両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、カルボベタイン、アミドカルボベタイン、アミドベタイン、アルキルアミドベタイン、スルホベタイン、アミドスルホベタイン、ホスホベタイン等がある。具体的には、ベタイン型の両性界面活性剤として、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジエチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジエチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジエチルアミノヒドロキシスルホベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジエチルアミノヒドロキシスルホベタイン、N-ラウリル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-プロピルスルホベタイン、N-ラウリル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホベタイン、N-ラウリル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシ-1-スルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(2-ラウリル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン2-ステアリル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルタイン等が挙げられる。
アミンオキシド型の両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミン-N-オキシド、オレイルジメチルアミン-N-オキシド等が挙げられる。
上述した両性界面活性剤のうち、本発明にかかる発泡体の製造方法には、ベタイン型の両性界面活性剤を使用することが好ましく、ベタイン型の中でも、アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、カルボベタインが特に好ましい。本発明で使用可能なアルキルベタインとしては、ステアリルベタイン、ラウリルベタイン等が例示され、イミダゾリニウムベタインとしては、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が例示される。
2-1-1-6.架橋剤(硬化剤)
本発明にかかる架橋剤(硬化剤)は、イソシアヌレート化合物を含む。イソシアヌレート化合物は、イソシアヌレート環を有する化合物である。イソシアヌレート化合物としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。
イソシアヌレート化合物としては、例えば、脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート化合物、脂肪族イソシアネートシランのイソシアヌレート化合物、イソシアヌレート環を有する(メタ)アクリル化合物、イソシアヌレート環を有するチオール化合物、及び、イソシアヌレート環を有するグリシジル化合物等を挙げることができる。
脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)等の脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート化合物が挙げられる。
脂肪族イソシアネートシランのイソシアヌレート化合物としては、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等の脂肪族イソシアネートシランをイソシアヌレート化した化合物等が挙げられる。
イソシアヌレート環を有する(メタ)アクリル化合物としては、エトキシキ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)等の脂肪族ジイソシアネートと、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の水酸基含有アクリルアミドモノマーや4ヒドロキシブチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートと、を反応させて得られる化合物;等が挙げられる。
イソシアヌレート環を有するチオール化合物としては、トリス(エチル-3-メルカプトプロピオネート)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられる。
イソシアヌレート環を有するグリシジル化合物としては、1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられる。
これらイソシアヌレート化合物は、1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
これらイソシアヌレート化合物のうち、脂肪族もしくは脂環族のジイソシアネートのイソシアヌレート化合物が好ましく、脂肪族がさらに好ましい。これらイソシアヌレート化合物を用いることで、機械撹拌後の反応混合液が、吐出される時間を適切なものとすることができ、また、3量体を用いることで、発泡シートの機械物性を好適にすることができ、点衝撃吸収性能に優れた発泡シートを得ることができる。
2-1-1-7.水分散性樹脂分散用界面活性剤
本形態にかかる水分散性樹脂分散用界面活性剤とは、水分散性樹脂を分散させるための界面活性剤である(アニオン性界面活性剤と異なり、起泡剤としての効果を有さずともよい)。このような界面活性剤は、選択する水分散性樹脂に応じて適宜選択すればよい。
2-1-2.組成
液体媒体に対する、水分散性樹脂(固形分)の配合量としては、液体媒体100重量部に対して、30~80重量部が好ましい。このような範囲とすることで、安定な発泡体を成形することができるという効果が得られる。なお、以下では本発明にかかる発泡体の好適配合比について説明する。なお、以下の記載における配合量や配合比は、特記しない限り、固形分を基準とする。
2-1-2-1.エマルジョン組成物中の配合比
なお、本明細書及び特許請求の範囲にいうエマルジョンの「固形分」を構成する成分は、エマルジョンから分散媒を除いた成分である。具体的には、樹脂の他、界面活性剤やフィラー等を含有したものである。
エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする。)として、10重量部を超えて90重量部以下のエマルジョンを含有することが好ましい。20重量部以上80重量部以下であることがより好ましく、30重量部以上75重量部以下であることがさらに好ましい。一般的に、エマルジョンの固形分は、30~80重量部であり、40~70重量部が好ましく、50~60重量部がさらに好ましい。
アニオン性界面活性剤の配合量としては、エマルジョン組成物中において、エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする。)として、1.0~10重量部が好ましく、3~10重量部がより好ましい。このような範囲とすることで、適切な発泡とし易く、微細なセル構造を成形できるという効果が得られる。
両性界面活性剤の配合量としては、エマルジョン組成物中において、エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする。)として、0.5~10重量部が好ましく、1~5重量部がより好ましい。このような範囲とすることで、適切な発泡とし易く、微細なセル構造を成形できるという効果が得られる。
架橋剤(硬化剤)の配合量としては、エマルジョン組成物における、アクリル系エマルジョン(固形分)に対する架橋剤の重量比(前記架橋剤/前記アクリル系エマルジョン)が、0.01~0.12である。0.025~0.05であることが好ましい。このような範囲とすることで、圧縮残留歪みの小さい発泡体を成形できる。
2-1-3.製造方法
本発明にかかる発泡体の製造方法は、原料調製工程と、発泡・硬化工程(エマルジョンと起泡剤とを少なくとも含有するエマルジョン組成物を、メカニカルフロス法を用いて発泡させて発泡体を形成し、当該発泡体を硬化させる工程)と、を含む。前記エマルジョン組成物が、架橋剤をさらに含有し、前記工程において、エネルギーを印加して前記エマルジョンを構成する樹脂を前記架橋剤を介して架橋させることにより、前記発泡体を硬化させてもよい。以下、それぞれの工程に関して詳述する。
2-1-3-1.原料調製工程
原料調製工程では、以上説明したような各原料を混合することで、発泡体の原料混合物であるエマルジョン組成物を調製する。この際の混合方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、各成分を混合する混合タンク等の容器内で撹拌しながら混合すればよい。
2-1-3-2.発泡・硬化工程
発泡・硬化工程では、上記原料調製工程で得られたエマルジョン組成物に所定の発泡用気体を添加し、これらを充分に混合させてエマルジョン組成物中に気泡が多数存在する状態(発泡エマルジョン組成物)にする。この発泡・硬化工程は、通常は、原料調製工程で得られた液状の多孔質フォームの原料混合物と、発泡用気体とをミキシングヘッド等の混合装置により充分に混合することで実施される。
2-1-3-3.発泡用気体
攪拌・発泡工程でエマルジョン組成物に混合される発泡用気体は、発泡体中の気泡(セル)を形成するものであり、この発泡用気体の混入量によって、得られる発泡体の発泡倍率及び密度が決まる。多孔質フォームの密度を調整するためには、所望の多孔質フォームの密度と、多孔質フォームの原料の体積(例えば、多孔質フォームの原料が注入される成形型の内容積)とから、必要な多孔質フォームの原料の重量を算出し、この重量において所望の体積となるように発泡用気体の量を決定すればよい。また、発泡用気体の種類としては、主に空気が使用されるが、その他にも、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを使用することもできる。
2-1-3-4.発泡方法、発泡条件
本発明にかかる発泡体の調製方法で使用される発泡方法としては、メカニカルフロス(機械発泡)法を使用する。メカニカルフロス法は、エマルジョン組成物を攪拌羽根等で攪拌することにより、大気中の空気をエマルジョン組成物に混入させて発泡させる方法である。撹拌装置としては、メカニカルフロス法に一般に用いられる撹拌装置を特に制限なく使用可能であるが、例えば、ホモジナイザー、ディゾルバー、メカニカルフロス発泡機等を使用することができる。このメカニカルフロス法によれば、エマルジョン組成物と空気との混合割合を調節することによって、種々の用途に適した密度の多孔質フォームを得ることができる。その他の発泡方法を併用することも可能であるが、化学発泡剤を用いた発泡方法を併用すると、独立泡の割合が高くなることで、密度が大きくなり、多孔質フォームの柔軟性が失われるため、好ましくない。
エマルジョン組成物と空気との混合時間は特に制限されないが、通常は1~10分、好ましくは2~6分である。混合温度も特に制限されないが、通常は常温である。また、上記の混合における攪拌速度は、気泡を細かくするために200rpm以上が好ましく(500rpm以上がより好ましく)、発泡機からの発泡物の吐出をスムーズにするために2000rpm以下が好ましい(800rpm以下がより好ましい)。
2-1-3-5.発泡体の形成
以上のようにして発泡したエマルジョン組成物(発泡エマルジョン組成物)は、例えば、ドクターナイフ、ドクターロール等の公知の手段により、所望の厚みに合わせたシート状等の発泡体に形成される。
2-1-3-6.硬化
発泡体の硬化方法としては、公知の方法を用いることができる。本形態にかかる発泡体は自己架橋をさせることもできるが、エネルギーを印加してエマルジョンを構成する樹脂を架橋剤を介して架橋させることにより、発泡体を硬化させてもよい。エネルギーを印加する工程としては特に限定されないが、例えば、加熱工程(熱架橋)が挙げられる。
加熱工程では、成形された発泡エマルジョン組成物中の分散媒を蒸発させる。この際の乾燥方法としては特に制限されるものではないが、例えば、熱風乾燥等を用いればよい。また、乾燥温度及び乾燥時間についても特に制限されるものではないが、例えば、80℃程度で1~3時間程度とすればよい。
また、この加熱工程において、分散媒が発泡エマルジョン組成物中から蒸発するが、この蒸気が抜ける際の通り道が、多孔質フォームの内部から外部まで連通されることとなる。従って、本形態にかかる発泡体では、この水蒸気が抜ける際の通り道が連続気泡として残るため、多孔質フォーム中に存在する気泡の少なくとも一部が連続気泡となる。ここで、攪拌・発泡工程で混入された発泡用気体がそのまま残存している場合には、得られた多孔質フォーム中では独立気泡となり、混入された発泡用気体が、本工程において蒸気が抜ける際に連通された場合には、得られた多孔質フォーム中では連続気泡となる。すなわち、本発明においては、多孔質フォーム中の気泡の一部が連続気泡であり、残りの気泡が独立気泡であるという構造となり、連続気泡と独立気泡が混在する半連続気泡構造となる。
架橋剤を添加した場合には、加熱工程では、原料の架橋(硬化)反応を進行及び完了させる。具体的には、上述した架橋剤により原料同士が架橋され、硬化した多孔質フォームが形成される。この際の加熱手段としては、原料に充分な加熱を施し、原料を架橋(硬化)させ得るものであれば特に制限はされないが、例えば、トンネル式加熱炉等を使用することができる。また、加熱温度及び加熱時間も、原料を架橋(硬化)させることができる温度及び時間であればよく、例えば、80~150℃(特に、120℃程度が好適)で1時間程度とすればよい。
2-1-4.特性
前記発泡体の見かけの密度は、0.50g/cm以上1.10g/cm未満である。前記見かけの密度はJIS K7222に準じて測定できる。見かけの密度は発泡体の気泡の包含率の目安であり、見かけの密度が小さすぎると、気泡が多すぎるため衝撃吸収性能が低くなる。特に点衝撃吸収性能は著しく低下する。また見かけの密度が大きすぎると、気泡が少なすぎるため衝撃吸収性能が低下する。見かけの密度の下限値は、好ましくは0.51g/cm以上、より好ましくは0.52g/cm以上、さらに好ましくは0.53g/cm以上であり、上限値は、好ましくは1.09g/cm以下、より好ましくは1.08g/cm以下、さらに好ましくは1.07g/cm以下である。
前記発泡体は、動的粘弾性測定における-80℃~150℃の温度範囲を5℃/minで昇温し、周波数1Hzの条件で測定した貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接(tanδ)が、-50℃~30℃において、ピークを有する。また、前記ピークの高さは0.8以上であることを特徴とする。動的粘弾性測定方法は、例えばJIS K7244-10:2005に従って測定することができる。前記ピークの高さの上限は特に限定されないが、
また貯蔵弾性率は、粘弾性体である発泡体の弾性項を表すパラメータであり、加えられた変形エネルギー等を弾性エネルギーとして蓄えることができる能力を表す。一方、損失弾性率は、粘弾性体である発泡体の粘性項を表すパラメータであり、加えられた変形エネルギー等を発泡体内部の内部摩擦等によって散逸エネルギーとする能力を表す。また、損失正接は、損失弾性率/貯蔵弾性率で表され、発泡体が相対的に粘性的であるかという指標である。従って損失正接が大きい発泡体は相対的に粘性的であり、損失正接が小さい発泡体は相対的に粘性的ではなく、即ち弾性的となる。
損失正接(tanδ)のピークが-50℃~30℃にあり、高さが0.8以上であれば、相対的に粘性的となり、後述する点衝撃吸収性に優れ、発泡シートとしての保持力を有する。有機EL表示パネル等を落下させた場合のように衝撃の印加速度が速い場合には、前記発泡シートの粘弾性特性は、粘弾性体の温度時間換算測(T-T換算測)に基づき、より低温側の温度範囲の特性を示す。即ち相対的に弾性的な挙動が強くなり、点衝撃吸収性能は低下するため、前記のような損失正接(tanδ)の特徴を有する必要がある。
前記損失正接(tanδ)のピークの高さの上限は、発泡シートを形成するに足る保持力を有する限りにおいて、特に限定されないが、例えば、2以下とすることができ、1.5以下が好ましく、1.2以下がより好ましい。
損失正接(tanδ)のピークの位置を調整するためには、複数のモノマーが共重合されたエマルジョンを選択する。この時、選択された複数のモノマーの損失正接(tanδ)のピークの位置は、既知のモノマーのガラス転移点(Tg)である。これら複数のモノマーのガラス転移点で、個々のモノマーに対する共重合モノマーの重量分率を、割り算し、これら複数のモノマーのガラス転移点の除数の総和が、本発明のエマルジョン共重合体のガラス転移温度の逆数となる。(下式(1)参照)なお、上記ガラス転移点は、絶対温度に換算した値とする。ここで、上記種々のモノマーとは、具体的には、スチレン(373K)、酢酸ビニル(303K)、アクリル酸ブチル(218K)、アクリル酸2エチルヘキシル(203K)、アクリル酸エチル(249K)、メタクリル酸メチル(378K)、アクリル酸(379K)、メタクリル酸(458K)等をいう。
式(1) 1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3
本発明にかかる発泡シートは、点衝撃吸収性を30%以上とすることができる。このような範囲の発泡シートとすることで、有機EL表示パネルを衝撃から十分に保護することができる。点衝撃は面衝撃に比べ、狭い面積に衝撃が集中するため局所的に強い衝撃となる。このため発泡シートは、有機EL表示パネル等を十分に保護するためには面衝撃を吸収するだけでは足りず、極めて高い点衝撃吸収性を有する必要がある。
点衝撃吸収性とは、振り子型衝撃吸収試験機による点衝撃吸収試験(前記発泡体に振り子を直接衝突させる試験であり、23℃、衝撃エネルギーを200mJの条件による)において、下式(1)により算出される値とする。
点衝撃吸収率(%)={(fp0-fp1)/fp0}×100 式(1)
(上記式(1)において、fp0は、前記発泡体を試料台に設置せずに衝撃吸収試験を行った時の衝撃荷重であり、fp1は、前記発泡体を試料台に設置して衝撃吸収試験を行った時の衝撃荷重である)
2-2.基材
基材の材質は、特に限定されず、公知の基材を用いることができる。例えば、樹脂フィルムや紙等を用いることができる。基材の厚さは、用途や設計要求等に合わせて選択することができ、例えば10μm以上100μm以下とすることができる。
基材表面に剥離剤層を設けることができる。剥離剤層の材質も公知のものを用いることができ、例えばジメチルシロキサン等を用いることができる。
2-3.粘着剤層
前記粘着剤層の材質は、特に限定されず、公知の粘着剤を用いることができる。例えばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等から、被着体の種類、用途及び設計要求等に合わせて選択することができる。
前記粘着層の厚さは特に限定されず、例えば1μm以上100μm以下とすることができる。粘着剤の種類、用途や設計要求等に合わせて選択することができる。
また、前記粘着剤層は、一様なフィルム状の他にも、溝や貫通孔を有するフィルム状、ドット状、繊維状、格子状等の構造とすることができる。
2-4.剥離ライナー
本発明にかかる発泡シートに前記粘着剤層を設けた場合には、粘着剤層の表面に、使用時まで粘着剤層を保護する剥離ライナーを、さらに設けることができる。剥離ライナーの材質や表面に塗布される剥離剤は特に限定されず、公知のものから選択できる。例えば材質としては樹脂フィルムや紙等が挙げられ、剥離剤としては、ジメチルシロキサン等が挙げられる。
また剥離ライナーの厚さは、特に限定されず、例えば10μm以上100μm以下とすることができる。
3.発泡シートの用途・使用方法
本発明にかかる発泡シートは、厚さが薄く、極めて衝撃吸収性能が高いため、有機EL表示パネルを保護するための衝撃吸収シートとして用いることができる。
また、本発明にかかる発泡シートは、予め保護対象である有機EL表示パネルに貼り付けて用いることができる。そのようにすることで、前記有機ELディスプレイを組み立てる際に、作業性が向上する。
次に、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。なお、特別な記載がない限り、含有量を表す「%」は質量%を意味する。
[原料]
≪発泡体原料≫
まず、本実施例においては、発泡体の原料として下記の原料を使用した。
<原料について>
・アクリルエマルジョン1:アクリル共重合体 固形分59%,粒子径120nm,粘度1,700mPa・s,Tg=-15℃(計算値),(日本カーバイド社製アクリルエマルジョン)
・アクリルエマルジョン2:アクリル共重合体 固形分59%,粒子径170nm,粘度2,400mPa・s,Tg=-10℃(計算値),(日本カーバイド社製アクリルエマルジョン)
・アクリルエマルジョン3:アクリル共重合体 固形分59%,粒子径210nm,粘度900mPa・s,Tg=0℃(計算値),(日本カーバイド社製アクリルエマルジョン)
・アクリルエマルジョン4:アクリル共重合体 固形分58%,粒子径110nm,粘度6,200mPa・s,Tg=-42℃(計算値) (日本カーバイド社製アクリルエマルジョン)
・アクリルエマルジョン5:アクリル共重合体 固形分45%,粒子径450nm,粘度240mPa・s,Tg=23℃(計算値) (DIC社製アクリルエマルジョン)
・アクリルエマルジョン6:アクリル共重合体 固形分57%,粒子径230nm,粘度10,000mPa・s,Tg=-20℃(計算値) (アイカ工業社製アクリルエマルジョン)
・アニオン系界面活性剤:ステアリン酸アンモニウム 固形分30%
・ノニオン系界面活性剤:ポリオキシエチレンアルキルエーテル 固形分50%
・架橋剤:HDIイソシアヌレート(官能基数3.5) 固形分100%
[発泡体原料]
実施例1の発泡体原料として、アクリル系エマルジョン1とアクリル系エマルジョン3を主剤として使用し、エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする)として、各75:25重量部に対し、5重量部のアニオン系界面活性剤、3重量部のノニオン系界面活性剤、2重量部の架橋剤を混合して発泡体原料とした。
実施例2~28及び比較例1~16の発泡体原料として、表1~表6に示す割合で原料を配合した以外は、実施例1の発泡体原料と同様にして各発泡体原料を調製した。
[シートの形成]
各実施例及び各比較例の発泡体原料にエアー又は窒素ガス等の不活性ガスを加えて、メカニカルフロス法により(発泡条件100~1000rpmにて)発泡させ、PET製剥離ライナー上にキャスティングした後、加熱処理(オーブン又は乾燥炉)して各実施例及び各比較例の発泡シートを得た。各実施例及び各比較例の密度は、エアー又は窒素ガス等の不活性ガスの注入量やミキサーの回転数、乾燥条件を変更することで調整した。
[評価試験]
次に、実施例1~28及び比較例1~16の測定及び評価を表1~6に示す。
・密度
単位体積当たりの重さを計算することによって測定した。
・厚さ
厚さをシックネスゲージによって測定した。
・損失正接(tanδ)
損失正接は、動的粘弾性装置(Anton Paar社製:型式MCR302)にて、JIS-K7198に準拠した手順で-80℃~150℃、5℃/minで昇温、周波数1Hzの条件で測定した際の貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定し、損失弾性率を貯蔵弾性率で除した値とした。
・点衝撃吸収率
点衝撃吸収率は、振り子型衝撃吸収試験機(テスター産業社製:IM-501)を用いて、点衝撃吸収試験を行い、下式(1)により算出した。試料をφ50mmのサイズに加工したものを試料台に設置し、気温23℃、衝撃子の重さ35.76g、衝撃エネルギーが、それぞれ16.8mJ、50mJ、100mJ、200mJとなる振り上げ角度を測定条件として衝撃試験を行った。
点衝撃吸収率(%)={(fp0-fp1)/fp0}×100 式(1)
上記式(1)において、fp0は、前記発泡体を試料台に設置せずに衝撃吸収試験を行った時の衝撃荷重であり、fp1は、前記発泡体を試料台に設置して衝撃吸収試験を行った時の衝撃荷重である。
・総合判定
点衝撃吸収率が30%以上のものを〇、その他を×とした。
Figure 2023017860000002
Figure 2023017860000003
Figure 2023017860000004
Figure 2023017860000005
Figure 2023017860000006
Figure 2023017860000007
表1~5に示すように、全ての実施例は、密度、厚み、損失正接(Tanδ)が所定の範囲にあり、総合判定が〇の評価であり、本発明の目的を達成するものである。
1 発泡シート
2 基材
3 粘着剤層
4 剥離ライナー
10 振り子型衝撃試験機
11 支柱
12 台
20 衝撃子
21 支持棒
30 試料支持部
31 ロードセル
32 試料台
40 試料

Claims (7)

  1. 見かけの密度が0.50g/cm以上であり、
    動的粘弾性測定における周波数1Hzでの貯蔵弾性率と損失弾性率の比率である損失正接のピークが、30℃以下に存在し、
    前記損失正接のピーク高さが0.8以上である発泡シートであって、
    前記発泡シートが、エマルジョン樹脂組成物を発泡及び硬化させることにより形成されたものである、発泡シート。
  2. 振り子型衝撃吸収試験機による点衝撃吸収試験(前記発泡シートに振り子を直接衝突させる試験であり、23℃における衝撃エネルギーを200mJとした条件による)において、点衝撃吸収率が30%以上(点衝撃吸収率は下式(1)で算出される)である発泡シート。
    点衝撃吸収率(%)={(fp0-fp1)/fp0}×100 式(1)
    (上記式(1)において、fp0は、前記発泡シートを試料台に設置せずに衝撃吸収試験を行ったときの衝撃荷重であり、fp1は、前記発泡シートを試料台に設置して衝撃吸収試験を行ったときの衝撃荷重である)
  3. 前記発泡シートが、基材上にシート状に形成された請求項1又は2に記載の発泡シート。
  4. 前記発泡シートの片面又は両面に粘着剤層が形成された請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡シート。
  5. 前記発泡シートに形成された粘着剤層の表面に、さらに剥離ライナーが設けられた請求項4に記載の発泡シート。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載された発泡シートを有する有機EL表示パネル。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載された発泡シートを有する有機ELディスプレイ。
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