JP2022157221A - 発泡シート及びそれを用いた電子デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】 面衝撃吸収性能が高い薄型の発泡シート、前記発泡シートを用いた面衝撃に強い電子デバイスを提供する。【解決手段】 樹脂組成物を発泡、硬化させてなる発泡シートであって、前記発泡シートの厚みは、0.05~1.0mmであり、前記発泡シートは、25℃における、前記発泡シートに直径10mm、質量500gの重りを30秒間おいて圧縮荷重を負荷したのち、前記重りを取り除いてから前記発泡シートが圧縮荷重負荷前の厚みの90%の厚みに復元するまでの時間である圧縮復元時間が、6~85秒であることを特徴とする、発泡シート。【選択図】なし

Description

本発明は、発泡シート及びそれを用いた電子デバイスに関する。
近年、電子・電気機器の精密化・小型化・モバイル化が進むなか、機器の内部に設けられている部品の破損防止が重要となっている。特に、電子・電気機器の表示装置において、表面のガラス板と画像表示部材との間に衝撃や振動を吸収し破損を防止するため、各種素材の発泡体が、緩衝材として挟み込まれている。そのうえ、小型化が進むことによって上記緩衝材を設置するスペースが限定され、緩衝材に十分な厚さを持たせることができず、薄くても十分な衝撃吸収性能が求められるようになった。 特に、有機ELディスプレイは、封止材としてフリットガラスが使用され、しかもバックライトユニットがないことから、衝撃に弱いとされており、上記緩衝材には高い耐衝撃性が必要とされる。
特許文献1~2は、緩衝材として十分な衝撃吸収性を有する発泡シートを提案しており、特に表示部を有する電子・電気機器においては、該表示部背面に破損防止緩衝材として発泡シートを使用することを提案している。
特許文献1において、衝撃吸収材として、繰り返し衝撃に対する耐性に優れた特性を有する発泡シートが提案されている。特許文献1では、発泡シートに荷重を作用させ、5秒後に荷重を取り除き、その除去の時点から初期厚さまでに完全回復するまでの時間(回復時間)が0.1秒以下である高弾性発泡体(高復元性)が繰り返し衝撃に対して有用であることが開示されている。また、実施例において、液晶における耐プーリング性についても優れた効果を有することが開示されている。
特許文献2において、衝撃吸収材として、繰り返し衝撃に対する耐性に優れ、さらにタッチパネルのタッチ操作に伴う表示部における表示ムラの発生を高度に抑制できる発泡シートが提案されている。特許文献2では、発泡シートに対し荷重を加え、圧縮状態とする前の発泡シートの厚み(初期厚み)と、圧縮状態を解除してから0.5秒後の厚みの比率を厚み回復率として、この厚み回復率が90%以上である高弾性発泡体(高復元性)が繰り返し衝撃に対して有用であり、表示ムラ(プーリング)の発生を高度に抑制できることが開示されている。
特開2019-218557号公報 特開2018-021170号公報
近年、特許文献1や特許文献2に開示されているような高弾性の発泡シートが、種々の表示デバイスの薄型表示部の保護材として用いられてきた。しかしながら、これらの衝撃吸収材では、繰り返し衝撃耐性及び液晶の衝撃部などに発生する表示ムラの抑制には優れているものの、衝撃が吸収しきれず破損する例が散見された。発明者らが調査した結果、特許文献1及び2において開示されている鋼球を用いた衝撃負荷方法での評価では局所的な衝撃の評価は可能であるものの、表示パネルの広い範囲に負荷される衝撃(面衝撃)には効果が得られないおそれがあり、機器内部の部品の保護が不十分となるおそれがあった。
そこで本発明は、面衝撃吸収性能が高い薄型の発泡シート、前記発泡シートを用いた面衝撃に強い電子デバイスを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究を行い、特定の特性を有する発泡シートによって、上記課題を解決可能なことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
本発明(1)は、
樹脂組成物を発泡、硬化させてなる発泡シートであって、
前記発泡シートの厚みは、0.05~1.0mmであり、
前記発泡シートの圧縮復元時間が、6~85秒であり、
前記圧縮復元時間は、25℃における、前記発泡シートに直径10mm、質量500gの
重りを30秒間おいて圧縮荷重を負荷したのち、前記重りを取り除いてから前記発泡シートが圧縮荷重負荷前の厚みの90%の厚みに復元するまでの時間であることを特徴とする、発泡シートである。
本発明(2)は、
前記発泡シートの見掛けの密度は、0.10~0.70g/cmであることを特徴とする、前記発明(1)の発泡シートである。
本発明(3)は、
前記樹脂組成物は、アクリル系エマルジョンを含むことを特徴とする、前記発明(1)又は(2)の発泡シートである。
本発明(4)は、
前記樹脂組成物は、EVA-アクリル系エマルジョンを含むことを特徴とする、前記発明(3)の発泡シートである。
本発明(5)は、
前記樹脂組成物は、ウレタン系エマルジョンを含むことを特徴とする、前記発明(1)~(4)のいずれかの発泡シートである。
本発明(6)は、
前記発泡シートの25%圧縮応力は、0.005~0.300MPaであることを特徴とする、前記発明(1)~(5)のいずれかの発泡シートである。
本発明(7)は、
前記発明(1)~(6)のの発泡シートを備える電子デバイスである。
本発明によれば、面衝撃吸収性能が高い薄型の発泡シート、前記発泡シートを用いた衝撃に強い電子デバイスが提供できる。
本発明の評価に用いた落下型衝撃吸収試験機を示した模式図である。
以下、下記項目を順番に説明する。
1.発泡シート
本発明の発泡シートは、樹脂組成物を発泡、硬化させてなる発泡シートである。また、発泡シートの厚みは、0.05~1.0mmであり、発泡シートの圧縮復元時間が、6~85秒である。ここで、圧縮復元時間は、25℃における、前記発泡シートに直径10mm、質量500gの重りを30秒間おいて圧縮荷重を負荷したのち、前記重りを取り除いてから前記発泡シートが圧縮荷重負荷前の厚みの90%の厚みに復元するまでの時間である。
発泡シートの圧縮復元時間は、発泡シートの粘弾性特性を表す値である。ここで、発泡シートは、主に、樹脂の硬化物中に気泡が含まれる態様で構成されている。そのため、発泡シートの圧縮復元時間は、樹脂の粘弾性的特性と気泡の弾性的特性が、複合、作用することで変化する特性値であると考えられる。発泡シートの圧縮復元時間は、相対的に発泡シートの弾性効果が大きくなれば(粘性効果が相対的に小さくなる)短くなるものと考えられ、即ち、樹脂及び気泡の弾性の効果が相対的に強い場合(樹脂の粘性効果が相対的に弱い場合)に短くなるものと考えられる。逆に、樹脂の粘性効果が相対的に高くなると、発泡シートの圧縮復元時間は長くなる。
従って、発泡シートの圧縮復元時間は、樹脂の材質と気泡の構造の多数の変数に依存する特性値であると推測している。即ち、以下に示した発泡シートの説明は、発泡シートの圧縮復元時間を所定の範囲にするための一例であって、これに限定されるものではない。以下に、本発明の発泡シートについて詳述する。
本発明の発泡シートの厚みは、0.05~1.0mmであり、押出成形して所定の厚みにした発泡シートであってもよいし、成形後に割加工によって所定の厚みに加工した発泡シートのいずれでもよい。
なお、本明細書において、「発泡シートの厚み」と記載した場合は、「シート状に形成された発泡体」の厚みを示し、粘着剤層、基材及び剥離ライナー等を含むその他の層の厚さを含まないものとする。
本発明の発泡シートは、その表面にスキン層と呼ばれる、変質層を有していてもよい。
本発明の発泡シートに含まれる気泡は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されず、独立気泡、連続気泡、半連続気泡のいずれを含んでいてもよい。ここで、半連続気泡構造とは、独立気泡と異なり、気泡に小さな気孔を有する構造であって、連続気泡構造と比較して、隣り合う気泡同士の気孔が小さい構造のものを意味し、具体的には、JIS L1096 A法のフラジール形法による通気度が2~80ml/(cm/s)となる構造をいう。独立気泡は気泡内に気体が封じ込められているため、発泡シートに対する弾性的な特性が強く、独立気泡がより多く含まれる発泡シートはより弾性的になる。従って、発泡シートの圧縮復元時間は短くなる。逆に連続気泡は気泡内の気体が自由に移動できるため、発泡シートに対する弾性的な特性が相対的に弱くなる。従って、発泡シートの圧縮復元時間は長くなる。半連続気泡は、独立気泡と連続気泡の中間的な効果を示す。
本発明の発泡シートの見掛けの密度は、本発明の効果が阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、0.10~0.70g/cmとすることができる。見掛けの密度は、JIS K7222:2005『発泡プラスチック及びゴム―見掛け密度の求め方』に従って測定する。発泡シートの見掛けの密度が小さい場合には、発泡シート内に気泡が多く含まれるため、気泡の弾性的な特性がより強く影響する。逆に、発泡シートの見掛けの密度が大きい場合には、相対的に樹脂の粘弾性特性がより強く影響する。これらの気泡の弾性特性及び樹脂の粘弾性特性を調整することで、発泡シートの圧縮復元時間を調整することができる。
本発明にかかる発泡シートは、基材上に形成することができる。そのようにすることで発泡シートに強度を持たせることが可能となる。基材上に発泡シートを形成する方法は、特に限定されず、例えば基材上に直接発泡体を塗工する方法や粘着剤層を設け貼り合わせる方法等が挙げられる。また、基材、粘着剤層、剥離ライナー、がこの順番に並んでいる積層体を予め形成しておき、基材の、粘着剤層が存在する側の反対側の面上に、発泡体を一体成形してもよい。
基材の発泡シート形成側の表面に剥離剤層を設けてもよい。そのようにすることで基材を剥離ライナーとすることができる。
さらに、基材の発泡シート形成側と反対側の表面に剥離剤層を設けてもよい。そのようにすることで発泡シートをロール状に巻回したロール体とすることができ、運搬時や保管時の省スペース化や発泡シートをダメージから保護することができる。
また、本発明にかかる発泡シートは、その表面の片側、又は、両側に粘着剤層を設けることができる。粘着剤層を設けることで、発泡シートを用いた電子・電機部品の固定が容易となる。
前記片側、又は、両側の表面に粘着剤層を設けられた発泡シートは、さらに粘着剤層表面に剥離ライナーを設けることができる。剥離ライナーを設けることで、運搬中や使用前の粘着剤層へのダメージを防止することができる。
ここで、本発明にかかる発泡シートは、本発明にかかる発泡体を含む限り、その用途に応じて、本発明にかかる発泡体以外の発泡体や、基材、粘着剤層、及びその他公知の層を、所望の数、及び、所望の順番で積層させてもよい。さらには、発泡体として本発明の発泡体を一層設ける態様が好適であるが、基材/本発明の発泡体/粘着剤層/本発明の発泡体/粘着剤層、等のように、本発明の発泡体を複数有する発泡シートとしてもよい。
2.発泡シートの原料(樹脂組成物)
本発明の発泡シートは、樹脂組成物を発泡、硬化してなる。樹脂組成物は、本発明の発泡シートを作製可能であれば特に限定されないが、例えば、樹脂成分、起泡剤、分散媒、架橋剤、その他の添加剤を含む。本発明の効果は、発泡シートは、特に材質によって限定されるものではなく、発泡シートの物性によって発揮されるものである。これらについて詳述する。
2-1.樹脂成分
本発明にかかる樹脂成分としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル樹脂;ポリエーテル系、ポリエステル系等のポリウレタン系樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン-ポリプロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;酢酸ビニル共重合体(EVA)系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)等のポリエステル樹脂;レゾール型、ノボラック型のフェノール樹脂;エポキシ樹脂;シリコーン樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ウレア樹脂;ポリイミド樹脂;エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM);等を用いることができ、これらの樹脂の構成モノマーが共重合した共重合体を用いることができる。さらに、これらの樹脂及びこれらの樹脂の構成モノマーが共重合した共重合体、のエマルジョンを用いることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。また、気体混入法のよる密度及び気泡(セル)径の調整が容易となる点で、これらの樹脂及びこれらの樹脂の構成モノマーが共重合した共重合体、のエマルジョンを用いることが好適である。さらに、エマルジョンのうち、アクリル系エマルジョンを少なくとも用いることがより好ましい。また、ウレタンエマルジョンを用いることで、さらに材料強度を付与することができ、被着体が粘着性のあるガラス等である場合には、特に好適であり、得られるウレタン樹脂発泡体は柔軟性が優れ、圧縮残留歪みが低くなるという利点がある。以下では、本発明にかかる樹脂成分として好適なアクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョンについて説明する。
・アクリル系エマルジョン
アクリル系エマルジョン(アクリル樹脂の水分散体)の製法としては、重合開始剤、必要に応じて乳化剤及び分散安定剤の存在下に、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を必須の重合性単量体成分とし、さらに必要に応じてこれらの単量体と共重合可能なその他の重合性単量体の混合物を共重合させることにより得ることができる。なお、2種以上アクリル系エマルジョンを組み合わせて用いてもよい。
上記アクリル系エマルジョンの調製に使用することができる重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アルリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルプロピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボキシル基を有する不飽和結合含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有重合性単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート等が例示できる。また、アクリル系エマルジョンには、アクリル系重合性単量体に、スチレン系重合性単量体(例えば、スチレン-アクリル系エマルジョンに含まれる樹脂成分となる)等のその他の樹脂系重合性単量体や、酢酸ビニル系重合性単量体、エチレン、アクリル系重合性単量体を共重合させた共重合体(例えば、EVA-アクリル系エマルジョンの樹脂成分となる)を用いることができる。また、アクリル系重合性単量体を、その他の樹脂系重合体(又は共重合体)と共重合させた共重合体を用いることができる。これらは、発泡シートに含まれる樹脂の粘弾性特性を考慮して選択することができ、また、これらを共重合させる場合の組成比も粘弾性特性を考慮して選択することができる。これらの選択によって、発泡シートの圧縮復元時間を所定の範囲内のものとすることができる。
アクリル系重合性単量体とその他の樹脂系重合性単量体との共重合として、好適な態様であるスチレン系重合性単量体との共重合体について説明する。
アクリル系重合性単量体とスチレン系重合性単量体との共重合体としては、スチレン-無水マレイン酸、スチレン-(メタ)アクリル酸、スチレン-メタクリル酸-メタクリル酸メチル、スチレン-アクリロニトリル等の共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン等の3元共重合樹脂等が挙げられる。より具体的には、スチレン系重合性単量体として、例えば、α-メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、パラメチルスチレン、t-ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
また、このようなスチレン系モノマーと共重合体を形成するモノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、セチルメタクリレート等のアクリル酸及びメタクリル酸のエステル、あるいはアクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフマレート、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ブタジエン、無水マレイン酸等が挙げることができる。
アクリル系重合性単量体とその他の樹脂系重合体(又は共重合体)との共重合体として、好適な態様である、酢酸ビニル系重合性単量体、エチレン、アクリル系重合性単量体の共重合体(EVA-アクリル系エマルジョンに含まれる樹脂成分となる)について説明する。
酢酸ビニル系重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、スルフォン酸基、水酸基、メチロール基、アルコキシ酸基等の官能基を有するものを挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
また、このような、酢酸ビニル系重合性単量体及びエチレンと共重合体を形成するモノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、セチルメタクリレート等のアクリル酸及びメタクリル酸のエステル、あるいはアクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフマレート、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ブタジエン、無水マレイン酸等が挙げることができる。
なお、アクリル系エマルジョンの調製時に乳化剤を使用する場合には、公知の乳化剤等を使用すればよい。
・ウレタン系エマルジョン
ウレタン系エマルジョン(ウレタン樹脂の水分散体)の調製方法としては、下記方法(I)~(III)が例示できる。
(I)活性水素含有化合物、親水性基を有する化合物、及び、ポリイソシアネートを反応させて得られた親水性基を有するウレタン樹脂の有機溶剤溶液又は有機溶剤分散液に、必要に応じ、中和剤を含む水溶液を混合し、ウレタン系エマルジョンを得る方法。
(II)活性水素含有化合物、親水性基を有する化合物、及び、ポリイソシアネートを反応させて得られた親水性基を有する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、中和剤を含む水溶液と混合するか、又は、予めプレポリマー中に中和剤を加え、水を混合して水に分散させた後、ポリアミンと反応させて、ウレタン系エマルジョンを得る方法。
(III)活性水素含有化合物、親水性基を有する化合物、及び、ポリイソシアネートを反応させて得られた親水性基を有する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、中和剤及びポリアミンを含む水溶液と混合するか、又は、予めプレポリマー中に中和剤を加えた後、ポリアミンを含む水溶液を添加混合し、ウレタン系エマルジョンを得る方法。
前記ウレタン樹脂の調製において用いるポリイソシアネートとしては、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジクロロ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が例示できる。また発明の効果を損なわない範囲において、3価以上のポリイソシアネートを併用してもよい。これらは、発泡シートに含まれる樹脂の粘弾性特性を考慮して選択することができる。この選択によって、発泡シートの圧縮復元時間を調整することができる。
また、前記親水性基を有する化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリブタジエン系等のポリオレフィンポリオール等が例示できる。これら高分子量化合物は、2種以上を併用してもよい。前記ポリエステルポリオールとしては、公知のものを使用してもよい。これらは、発泡シートに含まれる樹脂の粘弾性特性を考慮して選択することができる。この選択によって、発泡シートの圧縮復元時間を調整することができる。
上記方法(I)~(III)において、発明の効果を損なわない範囲で、さらに乳化剤を使用してもよい。かかる乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート等のノニオン系乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニル硫酸塩等のノニオンアニオン系乳化剤、等を例示できる。
・分散媒
本形態において、樹脂系エマルジョンの分散媒としては、水を必須成分とするが、水と水溶性溶剤との混合物であってもよい。水溶性溶剤とは、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、N-メチルピロリドン等の極性溶剤等であり、これらの1種又は2種以上の混合物等を使用してもよい。
本発明に用いられる樹脂成分のうち、好適な態様である樹脂系エマルジョンの物性について以下説明する。
・粘度(mPa・s)
粘度は、例えば、ブルックフィールド粘度計(25℃)によって測定することができる。
樹脂系エマルジョンの粘度としては、例えば、100~15,000mPa・sとすることができ、2000~15,000mPa・sが好ましい。粘度がかかる範囲にある場合には、100以上であれば、成形時の泡保持力が十分となり、より微細なセルが成形できる。このように樹脂成分の粘度により、発泡シートの気泡(セル)径や気泡の形状が調整可能であり、これらの要因によっても発泡シートの圧縮復元時間は影響される。粘度がかかる範囲にある場合には、発泡シートの圧縮復元時間を所定の範囲内とすることが容易となる。
・ガラス転移温度(℃):Tg
樹脂系エマルジョンのガラス転移温度Tgとしては、特に限定されず、後述する発泡シートのガラス転移温度Tgを所定の範囲内に調整することが可能であればよく、例えば、-60~―20℃とすることができる。
ガラス転移温度Tgは、動的粘弾性装置(Anton Paar社製:型式MCR302)にて、JIS-K7198に準拠した手順で-80℃~150℃、5℃/minで昇温、周波数1Hzの条件で測定したtanδのピーク値を示す温度をガラス転移温度とすることができる。
2-2.起泡剤(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤(起泡アニオン性界面活性剤)は、樹脂組成物の起泡剤として機能する。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アンモニウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム石鹸、ひまし油カリウム石鹸、やし油カリウム石鹸、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、オレイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム、やし油アルコール硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム等が挙げられるが、特に、アルキルスルホコハク酸ナトリウムが好ましい。
ここで、本形態に用いられるアニオン性界面活性剤は、樹脂組成物を樹脂系エマルジョンとした場合に分散しやすくするため、HLBが、10以上であることが好適であり、20以上であることがより好適である。
2-3.両性界面活性剤
本形態にかかる発泡体は、アニオン性界面活性材に加えて、さらに両性界面活性剤を用いることにより、気泡が微細かつ均一化する。即ち、両性界面活性剤を添加することによって、発泡シートの気泡(セル)径や気泡の密度が調整可能であり、発泡シートの圧縮復元時間は影響される。また、両性界面活性剤を用いた場合には、発泡シートにおける気泡の密度や分布が均一化しやすいため、シート平面内における面衝撃耐性が均一である発泡シートを得ることが可能となる。
特にアニオン系界面活性剤と両性界面活性剤を併用した場合、アニオン系界面活性剤の分子同士の親水基の電荷が反発し、アニオン系界面活性剤の分子同士がある程度の距離を保っている間に、電気的に中性である両面活性剤がアニオン系界面活性剤の分子の間に入り込むことによって、気泡をより安定化し、気泡のサイズを小さくすることができる。よって、アニオン系界面活性剤と両性界面活性剤を併用することによって、発泡シートの気泡(セル)径や気泡の密度が、さらに調整可能であり、発泡シートの圧縮復元時間は影響される。
本発明において用いることのできる両性界面活性剤としては、特に制限されるものではなく、アミノ酸型、ベタイン型、アミンオキシド型等の両性界面活性剤を使用することができる。ベタイン型の両性界面活性剤は、前述の効果がより高いことから、好適である。さらに、アニオン系界面活性剤の分子の間への入り込み易さの点から、C10~12のものが好ましい。
アミノ酸型の両性界面活性剤としては、例えば、N-アルキル若しくはアルケニルアミノ酸又はその塩等が挙げられる。N-アルキル若しくはアルケニルアミノ酸は、チッ素原子にアルキル基又はアルケニル基が結合し、さらに1つ又は2つの「-R-COOH」(式中、Rは2価の炭化水素基を示し、好ましくはアルキレン基であり、特に炭素数1~2であることが好ましい。)で表される基が結合した構造を有する。「-R-COOH」が1つ結合した化合物においては、チッ素原子にはさらに水素原子が結合している。「-R-COOH」が1つのものをモノ体、2つのものをジ体という。本発明にかかる両性界面活性剤としては、これらモノ体、ジ体のいずれも用いることができる。N-アルキル若しくはアルケニルアミノ酸において、アルキル基、アルケニル基は直鎖状でも分岐鎖状であってもよい。具体的には、アミノ酸型の両性界面活性剤として、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、トリメチルグリシンナトリウム、ココイルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル-β-アラニン等が挙げられる。
ベタイン型の両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、カルボベタイン、アミドカルボベタイン、アミドベタイン、アルキルアミドベタイン、スルホベタイン、アミドスルホベタイン、ホスホベタイン等がある。具体的には、ベタイン型の両性界面活性剤として、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジエチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジエチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジエチルアミノヒドロキシスルホベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジエチルアミノヒドロキシスルホベタイン、N-ラウリル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-プロピルスルホベタイン、N-ラウリル-N,N-ジメチルアンモニウム-N-(2-ヒドロキシプロピル)スルホベタイン、N-ラウリル-N,N-ジメチル-N-(2-ヒドロキシ-1-スルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(2-ラウリル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン2-ステアリル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルタイン等が挙げられる。
アミンオキシド型の両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミン-N-オキシド、オレイルジメチルアミン-N-オキシド等が挙げられる。
上述した両性界面活性剤のうち、本発明にかかる発泡シートの製造方法には、ベタイン型の両性界面活性剤を使用することが好ましく、ベタイン型の中でも、アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、カルボベタインが特に好ましい。本発明で使用可能なアルキルベタインとしては、ステアリルベタイン、ラウリルベタイン等が例示され、イミダゾリニウムベタインとしては、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が例示される。
2-4.架橋剤(硬化剤)
架橋剤(硬化剤)を用いることで、本形態にかかる発泡シートの強度を向上させることが可能となると同時に発泡シートにおける樹脂の粘弾性特性をより弾性的に調整することができる。これにより、発泡シートの圧縮復元時間の調整が可能となる。
このような架橋剤としては特に限定されず、用途等に応じて、必要量添加すればよい。架橋剤による架橋手法としては、例えば、物理架橋、イオン架橋、化学架橋があり、架橋方法は、水分散性樹脂の種類に応じて選択することができる。架橋剤としては、公知の架橋剤を使用可能でありエポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤等を、使用する樹脂配合系が含有する官能基の種類及び、官能基量に応じて適量使用することができる。粘着強度、タック強度及び層間剥離強度を向上させるため、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤が好ましい。イソシアネート系及びエポキシ系架橋剤は、材料強度を上げることにより、被着体及び多孔質フォームの材料破壊を防ぐことができる。中でも脂肪族イソシアネートがより好ましい。これら架橋剤は、2種以上併用してもよい。
2-5.その他の添加剤
本発明にかかる樹脂組成物は、その他の添加剤として、発泡体に添加される公知の添加剤を含むことができる。その他の添加剤として、エマルジョン内の樹脂の分散を促進させるために水分散性樹脂分散用界面活性剤を用いることが好適である。水分散性樹脂分散用界面活性剤は、水分散性樹脂を分散させるための界面活性剤であり、アニオン性界面活性剤と異なり、起泡剤としての効果を有さずともよい。このような界面活性剤は、選択する水分散性樹脂に応じて適宜選択すればよい。
3.発泡シートの製造方法
3―1.原料の組成
樹脂組成物の組成について、樹脂系エマルジョンを用いる場合について説明する。
本明細書における樹脂系エマルジョンの「固形分」を構成する成分は、樹脂系エマルジョン全体から分散媒を除いた成分である。樹脂系エマルジョンは、樹脂系エマルジョン全体を100質量%とした場合に、固形分濃度が、30~80質量%であり、40~70質量%が好ましく、50~60質量%がさらに好ましい。このような範囲とすることで、安定な発泡シートを成形することができるという効果を得ることができる。例えば、アクリル系エマルジョンとウレタン系エマルジョンを併用する場合には、アクリル系エマルジョンを固形分質量で60~95質量部、ウレタン系エマルジョンを固形分質量で5~40質量部をすることができ、アクリル系エマルジョンのうち、固形分質量で1~38質量部のEVA-アクリル系エマルジョンを含む場合がより好ましい。このような配合量とすることで、面衝撃性能により優れた発泡シートを得ることが可能である。
アニオン性界面活性剤の配合量としては、樹脂組成物中において、樹脂系エマルジョンの全量を基準(固形分量の合計を100重量部とする)として、1.0~10重量部が好ましく、3~10重量部がより好ましい。このような範囲とすることで、適切な発泡とし易く、微細なセル構造を成形できるという効果が得られる。
両性界面活性剤の配合量としては、樹脂組成物中において、樹脂系エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする)として、0.5~10重量部が好ましく、1~5重量部がより好ましい。このような範囲とすることで、適切な発泡とし易く、微細なセル構造を成形できるという効果が得られる。
架橋剤(硬化剤)の配合量としては、樹脂組成物において、樹脂系エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする)として、0.5~10重量部が好ましく、1~5重量部がより好ましい。このような範囲とすることで、圧縮残留歪みの小さい発泡体を成形できる。
3-2.発泡シートの製造
本発明にかかる発泡シートの製造方法は、原料調製工程と、発泡・硬化工程(例えば、エマルジョンと起泡剤とを少なくとも含有する樹脂組成物を、例えば、メカニカルフロス法を用いて発泡させて発泡性組成物を形成し、当該発泡組成物を硬化させる工程)と、を含む。樹脂組成物が、架橋剤をさらに含有し、前記工程において、エネルギーを印加してエマルジョンを構成する樹脂を、架橋剤を介して架橋させることにより、発泡性組成物を硬化させてもよい。以下、それぞれの工程に関して詳述する。
3-2-1.原料調製工程
原料調製工程では、以上説明したような各原料を混合することで、発泡体の原料混合物である樹脂組成物を調製する。この際の混合方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、各成分を混合する混合タンク等の容器内で撹拌しながら混合すればよい。
3-2-2.発泡・硬化工程
発泡・硬化工程では、上記原料調製工程で得られた樹脂組成物に所定の発泡用気体を添加し、これらを充分に混合させて樹脂組成物中に気泡が多数存在する状態(発泡性組成物)にする。この発泡・硬化工程は、通常は、原料調製工程で得られた液状の多孔質フォームの原料混合物と、発泡用気体とをミキシングヘッド等の混合装置により充分に混合することで実施される。
3-2-3.発泡用気体
攪拌・発泡工程で樹脂組成物に混合される発泡用気体は、発泡体中の気泡(セル)を形成するものであり、この発泡用気体の混入量によって、得られる発泡体の発泡倍率及び密度が決まる。即ち、発泡体シートの圧縮回復時間に寄与する。多孔質フォームの密度を調整するためには、所望の多孔質フォームの密度と、多孔質フォームの原料の体積(例えば、多孔質フォームの原料が注入される成形型の内容積)とから、必要な多孔質フォームの原料の重量を算出し、この重量において所望の体積となるように発泡用気体の量を決定すればよい。また、発泡用気体の種類としては、主に空気が使用されるが、その他にも、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを使用することもできる。
3-2-4.発泡方法、発泡条件
本発明にかかる発泡方法としては、メカニカルフロス(機械発泡)法を使用することが好ましい。メカニカルフロス法は、樹脂組成物を攪拌羽根等で攪拌することにより、大気中の空気を樹脂組成物に混入させて発泡させる方法である。撹拌装置としては、メカニカルフロス法に一般に用いられる撹拌装置を特に制限なく使用可能であるが、例えば、ホモジナイザー、ディゾルバー、メカニカルフロス発泡機等を使用することができる。このメカニカルフロス法によれば、樹脂組成物と空気との混合割合を調節することによって、種々の用途に適した密度の発泡シートを得ることができる。その他の発泡方法を併用することも可能であるが、化学発泡剤を用いた発泡方法を併用すると、独立泡の割合が高くなることで、密度を大きくすることが可能である。密度が大きくすることで、発泡体シートの圧縮回復時間を調整することも可能となる。
樹脂組成物と空気との混合時間は特に制限されないが、通常は1~10分、好ましくは2~6分である。混合温度も特に制限されないが、通常は常温である。また、上記の混合における攪拌速度は、気泡を細かくするために200rpm以上が好ましく(500rpm以上がより好ましく)、発泡機からの発泡性組成物の吐出をスムーズにするために2000rpm以下が好ましい(800rpm以下がより好ましい)。
3-2-5.発泡シートの形成
以上のようにして発泡した発泡性組成物(発泡エマルジョン組成物)は、例えば、ドクターナイフ、ドクターロール等の公知の手段により、所望の厚みに合わせた発泡シート体に形成される。
3-2-6.硬化
発泡シートの硬化方法としては、公知の方法を用いることができる。本形態にかかる発泡体は自己架橋をさせることもできるが、エネルギーを印加してエマルジョンを構成する樹脂を、架橋剤を介して架橋させることにより、発泡シートを硬化させてもよい。エネルギーを印加する工程としては特に限定されないが、例えば、加熱工程(熱架橋)が挙げられる。
加熱工程では、成形された発泡性組成物中の分散媒を蒸発させる。この際の乾燥方法としては特に制限されるものではないが、例えば、熱風乾燥等を用いればよい。また、乾燥温度及び乾燥時間についても特に制限されるものではないが、例えば、80℃程度で1~3分間程度とすればよい。
また、この加熱工程において、分散媒が発泡性組成物中から蒸発するが、この蒸気が抜ける際の通り道が、発泡シートの内部から外部まで連通されることとなり、連続気泡や半連続気泡を構成することができる。ここで、攪拌・発泡工程で混入された発泡用気体がそのまま残存している場合には、得られた発泡シート中では独立気泡となり、混入された発泡用気体が、本工程において蒸気が抜ける際に連通された場合には、得られた発泡シート中では連続気泡や半連続気泡となる。すなわち、本発明においては、発泡シート中の気泡の一部が連続気泡であり、残りの気泡が独立気泡であるという構造となる。このような気泡の構造によっても、発泡シートの圧縮復元時間は調整可能である。
架橋剤を添加した場合には、加熱工程では、原料の架橋(硬化)反応を進行及び完了させる。具体的には、上述した架橋剤により原料同士が架橋され、硬化した発泡シートが形成される。この際の加熱手段としては、原料に充分な加熱を施し、原料を架橋(硬化)させ得るものであれば特に制限はされないが、例えば、トンネル式加熱炉等を使用することができる。また、加熱温度及び加熱時間も、原料を架橋(硬化)させることができる温度及び時間であればよく、例えば、80~150℃(特に、120℃程度が好適)で1~3分間程度とすればよい。
4.発泡シートの特性
・圧縮復元時間
発泡シートの圧縮復元時間は、6~85秒であり、10~55秒が好ましく、15~50秒がより好ましい。発泡シートの圧縮復元時間がかかる範囲にある場合には、面衝撃性能により優れた発泡シートを得ることが可能である。発泡シートの圧縮復元時間は発泡シートに含まれる樹脂の粘弾性特性と、発泡シートに含まれる気泡の弾性特性を調整して、所定の数値に調整することが可能である。
圧縮復元時間の測定は、25℃の環境下で、発泡シートに直径10mm、質量500gの重りを30秒間おいて圧縮荷重を負荷したのち、重りを取り除いてから発泡シートが圧縮荷重負荷前の厚みの90%の厚みに復元するまでの時間を測定する。測定は、デジタルマイクロスコープを用いて、発泡シートの圧縮復元過程の画像を撮影し、その測長機能を用いて、発泡シートが圧縮荷重負荷前の厚みの90%の厚みに復元するまでの時間を測定する。
・発泡体のガラス転移温度:Tg
発泡シートのガラス転移温度Tgは、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、発泡シートの圧縮復元時間を所定の範囲とするために、少なくとも周囲の環境気温よりも低い値が好ましい。即ち、発泡シートの圧縮従って、発泡シートのガラス転移温度TgSの上限値は、-60~0℃とすることができる。ガラス転移温度Tgが、かかる範囲にある場合には、発泡シートの圧縮復元時間の調整が容易となる。
ガラス転移温度Tgの測定は、動的粘弾性装置(Anton Paar社製:型式MCR302)を用いて、-80℃~150℃の温度範囲を、5℃/minで昇温、周波数1Hzの条件で測定したtanδのピーク値を示す温度をガラス転移温度とする。
・発泡シートの損失正接(tanδ)
発泡シートの損失正接(tanδ)は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、発泡シートの圧縮復元時間を所定の範囲とするために、より粘性的であることが好ましく、例えば、25℃環境下における発泡シートの損失正接tanδの下限値は、0.3以上0.8以下である。発泡シートの損失正接(tanδ)である場合には、発泡シートの圧縮復元時間を所定の範囲に調整することが容易である。
・発泡シートの25℃における25%圧縮応力は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、0.005~0.300MPaであり、好ましくは、0.010~0.200MPaであり、より好ましくは、0.030~0.150MPaである。発泡シートの25%圧縮応力がかかる範囲にある場合には、より優れた面衝撃耐性を有する発泡シートを提供することができる。25%圧縮応力は、JIS K6254-2:2016「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-応力-ひずみ特性の求め方」に記載の方法により測定する。
3.発泡シートの用途・使用方法
本発明にかかる発泡シートは、厚さが薄く、面衝撃吸収性能が高いため、電子デバイス内部の精密な電子・電気部品等を保護するための衝撃吸収シートとして用いることができる。特に、液晶パネル、有機ELパネルやタッチパネル等の薄く、面積の広い表示部品の保護に有用である。
また、本発明にかかる発泡シートは、予め保護対象である電子・電気部品に貼り付けて用いることができる。そのようにすることで、前記電子・電気部品を組み立てる際に、作業性が向上する。
次に、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。なお、特別な記載がない限り、含有量を表す「%」は質量%を意味する。
<発泡シートの作製>
まず、各実施例及び比較例においては、発泡シートの原料として下記を使用した。
アクリルエマルジョン1 :アクリルニトリル、アクリル酸アルキルエステル、イタコン酸共重合体、pH9、固形分54%、粘度12,000mPa・s、Tg-20℃
アクリルエマルジョン2 :エチレン酢酸ビニル-アクリル-特殊エステル共重合体、pH8、固形分60%、粘度5,000mPa・s、Tg-50℃
ウレタンエマルジョン1 ::ポリエーテル、ポリカーボネート系、pH8、固形分60%、粘度100mPa・s、Tg-40℃
アニオン系界面活性剤1 :ステアリン酸アンモニウム 固形分30%
アニオン系界面活性剤2 :アルキルスルコハク酸ナトリウム 固形分35%
ベタイン系両性界面活性剤:アルキルベタイン 固形分30%
架橋剤 :疎水系HDIイソシアヌレート(官能基数3.5) 固形分100%
各実施例及び比較例に記載された各原料を配合し、各実施例及び比較例の樹脂組成物とした。
得られた各実施例及び各比較例の樹脂組成物にエアー又は窒素ガス等の不活性ガスを加えて、メカニカルフロス法により(発泡条件100~1000rpmにて)発泡させ、PET製剥離ライナー上にキャスティングした後、加熱処理(オーブン又は乾燥炉)して各実施例及び各比較例の発泡シートを得た。各実施例及び各比較例の発泡シートの密度は、エアー又は窒素ガス等の不活性ガスの注入量やミキサーの回転数、乾燥条件を変更することで調整した。
<評価試験>
得られた各実施例及び比較例の発泡シートについて、以下の測定及び評価を行った。結果を表1に示した。
・厚さ
厚さをシックネスゲージによって測定した。
・密度
単位体積当たりの重さを計算することによって測定した。
・25℃における25%圧縮応力
25℃における25%圧縮応力は、JIS K6254-2:2016「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-応力-ひずみ特性の求め方」に記載の方法によって求めた。
・圧縮復元時間
圧縮復元時間は、25℃の環境下で、各実施例及び比較例の発泡シートに直径10mm、質量500gの重りを30秒間おいて圧縮荷重を負荷したのち、前記重りを取り除いてから発泡シートが圧縮荷重負荷前の厚みの90%の厚みに復元するまでの時間を測定した。測定は、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製VHX-7000)を用いて、発泡シートの復元過程の画像を撮影し、その測長機能を用いて行った。結果を表1に示した。
・面衝撃吸収率
面衝撃吸収率は、落下型衝撃吸収試験機(図1参照)を用いて、面衝撃吸収試験を行い、下式1により算出した。測定は試料をφ50mmmのサイズに加工したものを試料台に設置し、さらに試料の衝撃子が接触する位置に厚さ5mmのアクリル板を設けて行った。測定条件は、気温23℃、衝撃子の重さ35.76g、衝撃子を100mmの高さから落下させた。
面衝撃吸収率(%)={(fa0-fa1)/fa0}×100 (式1)
上記式(1)において、fa0は、試料を試料台に設置せず、アクリル板のみを設置して衝撃吸収試験を行った時の衝撃荷重であり、fa1は、試料を試料台に設置し、さらに試料の衝撃子が接触する位置に厚さ5mmのアクリル板を設けて衝撃吸収試験を行った時の衝撃荷重である。落下の高さを100mm、200mm、300mmとして測定した。衝撃荷重は、試料台の設置したセンサーによって測定した。面衝撃吸収率の評価は、以下の基準で行った。結果を表1に示した。
〇:面衝撃吸収率が30%以上である
×:面衝撃吸収率が30%未満である
・総合評価
以下の基準に基づき総合評価を行った。結果を表1に示した。
○:面衝撃吸収率の評価が全て○である
×:面衝撃吸収率の評価に一つでも×がある
Figure 2022157221000001
1 落下型衝撃吸収試験機
10 衝撃子(鋼球)
11 アクリル板
12 試料
13 試料台(SUS)
14 センサー

Claims (7)

  1. 樹脂組成物を発泡、硬化させてなる発泡シートであって、
    前記発泡シートの厚みは、0.05~1.0mmであり、
    前記発泡シートは、25℃における、前記発泡シートに直径10mm、質量500gの重りを30秒間おいて圧縮荷重を負荷したのち、前記重りを取り除いてから前記発泡シートが圧縮荷重負荷前の厚みの90%の厚みに復元するまでの時間である圧縮復元時間が、6~85秒であることを特徴とする、発泡シート。
  2. 前記発泡シートの見掛けの密度は、0.10~0.70g/cmであることを特徴とする、請求項1に記載の発泡シート。
  3. 前記樹脂組成物は、アクリル系エマルジョンを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の発泡シート。
  4. 前記アクリル系エマルジョンは、EVA-アクリル系エマルジョンを含むことを特徴とする、請求項3に記載の発泡シート。
  5. 前記樹脂組成物は、ウレタン系エマルジョンを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の発泡シート。
  6. 前記発泡シートの25℃における25%圧縮応力は、0.005~0.300MPaであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の発泡シート。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の発泡シートを備える電子デバイス。

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