JP2023016073A - 装飾メッキ品 - Google Patents

装飾メッキ品 Download PDF

Info

Publication number
JP2023016073A
JP2023016073A JP2021120126A JP2021120126A JP2023016073A JP 2023016073 A JP2023016073 A JP 2023016073A JP 2021120126 A JP2021120126 A JP 2021120126A JP 2021120126 A JP2021120126 A JP 2021120126A JP 2023016073 A JP2023016073 A JP 2023016073A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plated
film
decorative
plating
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021120126A
Other languages
English (en)
Inventor
雄二郎 原田
Yujiro Harada
敦 遊佐
Atsushi Yusa
浩明 上野
Hiroaki Ueno
建輝 鈴木
Tatsuki Suzuki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Maxell Ltd
Original Assignee
Maxell Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Maxell Ltd filed Critical Maxell Ltd
Priority to JP2021120126A priority Critical patent/JP2023016073A/ja
Priority to CN202280051471.8A priority patent/CN117693428A/zh
Priority to PCT/JP2022/028135 priority patent/WO2023003001A1/ja
Publication of JP2023016073A publication Critical patent/JP2023016073A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B15/00Layered products comprising a layer of metal
    • B32B15/04Layered products comprising a layer of metal comprising metal as the main or only constituent of a layer, which is next to another layer of the same or of a different material
    • B32B15/08Layered products comprising a layer of metal comprising metal as the main or only constituent of a layer, which is next to another layer of the same or of a different material of synthetic resin
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C18/00Chemical coating by decomposition of either liquid compounds or solutions of the coating forming compounds, without leaving reaction products of surface material in the coating; Contact plating
    • C23C18/16Chemical coating by decomposition of either liquid compounds or solutions of the coating forming compounds, without leaving reaction products of surface material in the coating; Contact plating by reduction or substitution, e.g. electroless plating
    • C23C18/18Pretreatment of the material to be coated
    • C23C18/20Pretreatment of the material to be coated of organic surfaces, e.g. resins
    • C23C18/22Roughening, e.g. by etching

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemically Coating (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】意匠性の高い高精細なメッキ膜パターンを有する装飾メッキ品を提供する。【解決手段】装飾メッキ品であって、樹脂材料から構成されている樹脂成形体10を含む基材70と、前記基材の表面において、線状部分を含む所定のパターンを形成するメッキ膜20とを有する。前記基材の表面において、前記メッキ膜が形成されているメッキ領域70Bの表面粗さRaは、前記メッキ膜が形成されていない非メッキ領域70Aの表面粗さRaよりも大きく、前記メッキ膜の線状部分の線幅の最小値20dが、0.1mm~5mmである。【選択図】図1

Description

本発明は、装飾メッキ品(意匠メッキ品)に関する。
近年、自動車の内外装部品には、メッキを使用した意匠部品(装飾メッキ品)が多く採用されている。樹脂基材の一部に選択的に装飾メッキを施す手法としては、2色成形法が一般的である。2色成形法では、メッキ膜が形成されるメッキ部と、メッキ膜が形成されない非メッキ部とを、それぞれ別々の樹脂材料を用いて2色成形して樹脂基材を作製し、メッキ部のみにメッキ膜を形成する。例えば、非メッキ部にはポリカーボネート等からなるピアノブラックと呼ばれる色調を有する高意匠樹脂を用い、メッキ部にはメッキ前処理であるエッチングが可能なABS樹脂を用いる。これにより、ピアノブラックの素地にメッキ膜パターンが形成された装飾メッキ品が得られる。
また、特許文献1には、2色成形を用いずに、ピアノブラックのポリカーボネート基材に選択的にメッキ膜を形成する技術が開示されている。特許文献1では、基材に前処理インキ組成物をパターン状に塗布し、塗布したパターン通りにメッキ膜を選択的に形成する。前処理インキ組成物は、バインダとして機能するため、メッキ膜の密着強度が高まる。
特開2019-206640号公報
しかし、2色成形法は金型が2種類必要であるため製造コストが高くなり、また、高精細なメッキ膜パターンは形成できなかった。また、特許文献1に開示される技術は、前処理インキ組成物をパターン状に塗布するためのマスキング工程等が必要となり、やはり、製造コストが高くなる。また、例えば、線幅が1mm以下の高精細なメッキ膜パターンの形成は困難だと予想される。
本発明は、これらの課題を解決するものであり、より簡易な製造工程を経て製造可能であり、意匠性の高い高精細なメッキ膜パターンを有する装飾メッキ品を提供する。
本発明の態様に従えば、装飾メッキ品であって、樹脂材料から構成されている樹脂成形体を含む基材と、前記基材の表面において、線状部分を含む所定のパターンを形成するメッキ膜とを有し、前記基材の表面において、前記メッキ膜が形成されているメッキ領域の表面粗さRaは、前記メッキ膜が形成されていない非メッキ領域の表面粗さRaよりも大きく、前記メッキ膜の線状部分の線幅の最小値が、0.1mm~5mmである装飾メッキ品が提供される。
前記樹脂成形体が単一の前記樹脂材料から構成されていてもよい。前記メッキ領域の表面粗さRaが0.5μm~8.0μmであり、前記非メッキ領域の表面粗さRaが0.5μm未満であってもよい。前記樹脂材料が、ポリアミド、又はポリカーボネートを含んでもよい。前記非メッキ領域の色調が、ピアノブラックであってもよい。
前記樹脂材料がポリアミドを含み、前記メッキ膜と前記樹脂成形体との界面を含む、前記樹脂成形体の表面近傍に、前記樹脂材料と、前記メッキ膜に含まれる金属又は金属化合物との混合層が形成されており、前記混合層の厚さが、0.5μm以上であってもよい。また、前記基材の表面の前記メッキ領域に複数の孔が形成されていてもよい。また、前記基材が、前記樹脂成形体上に設けられた、ピアノブラックの色調を有する塗装膜を更に有し、前記基材の表面の前記非メッキ領域が、前記塗装膜で形成されていてもよい。
前記メッキ膜は複数の層から構成されており、最外層が、6価クロム、3価クロム、銅、及び金からなる群から選択される1つを含む電解メッキ膜であってもよい。前記最外層が、3価クロムを含む電解メッキ膜であってもよい。
本発明の装飾メッキ品は、意匠性の高い高精細なメッキ膜パターンを有する。
図1は、第1実施形態の装飾メッキ品における、メッキ膜(線状部分)の周辺部の断面の模式図である。 図2(a)~(c)は、第1実施形態の装飾メッキ品の製造方法を説明する図であり、メッキ膜(線状部分)の周辺部の断面の模式図である。 図3(a)及び(b)は、第2実施形態の装飾メッキ品の製造方法を説明する図であり、メッキ膜(線状部分)の周辺部の断面の模式図である。 図4(a)~(d)は、第3実施形態の装飾メッキ品の製造方法を説明する図であり、メッキ膜(線状部分)の周辺部の断面の模式図である。 図5は、実施例1で製造した装飾メッキ品の写真である。 図6は、実施例2で製造した装飾メッキ品の写真である。 図7は、実施例1で製造した装飾メッキ品の断面SEM写真である。
[第1実施形態]
<装飾メッキ品>
図1に示す装飾メッキ品(意匠メッキ品)100について説明する。装飾メッキ品100は、樹脂材料から構成されている樹脂成形体10を含む基材70と、基材70の表面70aに形成されているメッキ膜20とを有する。メッキ膜20は、線状部分を含む所定のパターンを形成している。装飾メッキ品100において、メッキ膜20は、基材70の複数の面に亘って、又は球面等を含む立体形状の面に沿って、立体的に形成されていてもよい。
樹脂成形体10を構成する樹脂材料は、樹脂を含む。樹脂材料に含まれる樹脂は特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ナイロン11(PA11)、ナイロン12(PA12)、6Tナイロン(6TPA)、9Tナイロン(9TPA)、10Tナイロン(10TPA)、12Tナイロン(12TPA)、MXD6ナイロン(MXDPA)等のポリアミド及びこれらのアロイ材料、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニルスルホン(PPSU)等を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができる。光硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。これらの樹脂は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
上述した樹脂の中でも、ナイロン、ポリカーボネートが好ましい。ナイロン又はポリカーボネートを用いることで、装飾的に優れるピアノブラックの色調を有する基材70を得ることが容易になる。ナイロン又はポリカーボネートと、着色剤等を含むピアノブラック成形体用の樹脂材料も市販されている。
樹脂成形体10を構成する樹脂材料は、上述の樹脂のみで構成されていてもよいし、後述するフィラー、着色剤、その他の汎用の添加剤を含んでもよい。樹脂成形体10(樹脂材料)中の樹脂の配合量は、例えば、20~100重量%、又は50~100重量%であってよい。
樹脂成形体10の強度、線膨張係数等を改善するために、樹脂材料は、ガラス繊維、チタン酸カルシウム、チタン酸カリウム等のフィラーを含んでもよい。中でも、チタン酸カリウムが好ましい。チタン酸カリウムは、樹脂成形体10の線膨張係数を低下させると共に、メッキ膜20と相互作用してメッキ膜20の密着強度を高める。樹脂成形体10の線膨張係数を低下させることで、装飾メッキ品100の信頼性を高められる。また、チタン酸カリウムを含むことで、メッキ膜20の密着強度を高めるために、メッキ膜20が形成される基材70の表面領域(後述するメッキ領域70B)を大きく粗化する必要が無くなる。これにより、メッキ膜20の光沢をより高められる。
樹脂成形体10に含まれるフィラーは、装飾メッキ品100の外観に悪影響を与えないように、径の小さい棒状、針状又は、繊維状のフィラーであることが好ましい。フィラーの径(繊維径)は、例えば、0.3μm~0.6μmであってよく、フィラーの長さ(繊維長)は、例えば、10μm~20μmであってよい。
基材70の樹脂成形体10は、単一の樹脂材料から構成されていることが好ましい。樹脂成形体10は、単一の樹脂材料の一色成形体(単色成形体)であってよい。したがって、本実施形態の樹脂成形体10は、2種類の樹脂材料から構成される2色成形体とは異なる。本実施形態の樹脂成形体10は、メッキ部と、非メッキ部とは、同じ樹脂材料(同じ組成の樹脂材料)で形成されている。一色成形で成形できる本実施形態の樹脂成形体10(一色成形体)は、2色成形体と比較して製造コストを抑えられる。尚、ここで、「単一の樹脂材料から構成されている」とは、樹脂成形体10が一種類の樹脂のみから構成されているという意味ではない。上述のように、樹脂材料は、樹脂のみから構成されてもよいし、樹脂以外に必要に応じてフィラー、着色剤、添加剤等を含んでよい。
図1に示すように、基材70の表面70aは、メッキ膜20が形成されていない非メッキ領域70Aと、メッキ膜20が形成されているメッキ領域70Bとが存在する。非メッキ領域70Aの色調は、所謂、ピアノブラックと呼ばれる光沢のある黒色(漆黒)であることが好ましい。これにより、ピアノブラックの素地に細線のメッキ膜パターンが形成された意匠性の高い装飾メッキ品100が得られる。ピアノブラックは、光沢度と、L表色系による色調評価によって定義してもよい。例えば、ピアノブラックは、好ましくは、60度鏡面光沢度が90以上、且つ、L表色系において、Lが8以下、aが-0.5~0、bが-1.5~0であり、より好ましくは、60度鏡面光沢度が90以上、且つL表色系において、Lが1以下、aが-0.2~0、bが-1~0である。
メッキ領域70Bの表面粗さRaは、非メッキ領域70Aの表面粗さRaよりも大きい方が好ましい。メッキ領域70Bの表面粗さRaを大きくすることで、その上に形成されるメッキ膜20の密着強度が高まる。また、非メッキ領域70Aの表面粗さRaを小さくすることで、例えば、非メッキ領域70Aの色調がピアノブラックである場合に、その光沢をより高めることができる。図1に示すように、メッキ領域70Bには溝(凹部)70bが形成されていてもよい。溝(凹部)70bは、基材表面70a上において、メッキパターンに沿って延在している。
メッキ領域70Bの表面粗さRaは、例えば、0.5μm~8.0μm、又は0.5μm~3.0μmが好ましい。メッキ領域70Bの表面粗さRaが上記範囲の下限値以上であれば、メッキ膜20の十分な密着強度が得られ、上記範囲の上限値以下であれば、この上に形成されるメッキ膜20の光沢の低下を抑制できる。非メッキ領域70Aの表面粗さRaは、例えば、0.5μm未満が好ましい。非メッキ領域70Aの表面粗さRaが上記範囲内であれば、非メッキ領域70Aの光沢が高まる。
メッキ膜20は、複数層から構成されてよい。メッキ膜20は、基材70上に形成される無電解メッキ膜(下地メッキ膜)21と、無電解メッキ膜21上に形成される複数の電解メッキ膜22~24を含んでよい。無電解メッキ膜21は、特に限定されないが、例えば、無電解ニッケルリンメッキ膜、無電解銅メッキ膜であってよく、中でも、無電解ニッケルリンメッキ膜が好ましい。メッキ膜20の中間層である電解メッキ膜22及び23は、特に限定されないが、例えば、電解銅メッキ膜、電解ニッケルメッキ膜であってよい。また、メッキ膜20の最外層(最表面の層)である電解メッキ膜24は、例えば、6価クロム、3価クロム、銅、又は金を含むことが好ましい。6価クロム、3価クロム、銅、又は金を含む電解メッキ膜を再外層とすることでメッキ膜20の光沢が増し、装飾メッキ品100の意匠性がより高まる。また、樹脂成形体10がピアノブラックの色調を有する場合、メッキ膜20の最外層24は、6価クロムを除いた、3価クロム、銅、又は金を含む電解メッキ膜であることが好ましく、3価クロムを含む電解メッキ膜であることがより好ましい。6価クロム電解メッキ液は、樹脂成形体10の表面を侵食して白濁させ、非メッキ領域70Aのピアノブラックの色調を維持できない虞がある。これに対して、3価クロム電解メッキ液は、同じクロム系メッキ液であるにも関わらず、成形体10のピアノブラックの色調に影響を与えない。このため、3価クロムを含む電解メッキ膜を再外層とすることで、非メッキ領域70Aの光沢あるピアノブラックの色調を維持しつつ、メッキ膜20の光沢を高められる。
メッキ膜20の厚さは特に限定されず、装飾メッキ品100の用途、樹脂成形体10の樹脂材料の種類、メッキ膜20の種類及び/又は構成等に基づいて、適宜、設計してよい。例えば、メッキ膜20の厚さ(メッキ膜20が複数層から構成される場合は、複数層の合計厚さ)は、3μm~60μm又は、5μm~40μmであってよい。また、本実施形態において、メッキ膜20を構成する各メッキ膜の厚さは、例えば、以下の範囲としてよい。無電解メッキ膜21(下地メッキ膜):0.2μm~3μm、電解メッキ膜22(例えば、電解銅メッキ膜):3μm~30μm、電解メッキ膜23(例えば、電解ニッケルメッキ膜):2μm~20μm、電解メッキ膜24(最外層):0.02μm~1μm。尚、本実施形態において、電解メッキ膜22(例えば、電解銅メッキ膜)、電解メッキ膜23(例えば、電解ニッケルメッキ膜)は両方が必須ではなく、どちらか一方だけでもよい。
メッキ膜20は、細い(幅の狭い)線状の部分(線状部分)を有する。細い線状のメッキ膜20によって、意匠性の高い高精細なメッキ膜パターンを形成できる。メッキ膜20の線状部分の線幅の最小値(最小線幅)20dは、0.1mm~20mm、0.1mm~5mm、0.2mm~5mm、又は0.2mm~1mmが好ましい。本実施形態では、後述するようにレーザー描画を用いて樹脂成形体10上にメッキ膜20を形成する。このように、本実施形態では、従来の2色成形方法や処理インキ組成物の塗布を用いた方法では実現できなかった、意匠性の高い高精細なメッキ膜パターンを、レーザー描画というより簡易な工程を用いて実現できる。
尚、本実施形態のメッキ膜が形成する所定のパターンは、細い(幅の狭い)線状部分(線状のメッキ膜)を有していれば特に限定されない。線状部分のみで形成されたパターンであってもよいし、線状部分と形状部分(多角形、円形、扇形、文字(アルファベット)等)とを組み合わせたパターンであってもよい。また、線状部分は、直線であってもよいし、曲線であってもよい。
メッキ膜20が形成されている樹脂成形体10の表面近傍に、樹脂成形体10を構成する樹脂材料と、メッキ膜20に含まれる金属又は金属化合物20Pとの混合層11が形成されていてもよい。混合層11は、メッキ膜20と樹脂成形体10との界面11aから、樹脂成形体10の内部に向かって形成される。金属又は金属化合物20Pは、無電解メッキ膜21と同一組成の金属又は金属化合物であってよい。詳細は後述するが、金属又は金属化合物20Pは、無電解メッキ膜21と同時に、無電解メッキ反応により生成する。金属又は金属化合物20Pは一部が連結して無電解メッキ膜21に連結していてもよい。即ち、金属又は金属化合物20Pは無電解メッキ膜21の一部であり、無電解メッキ膜21が樹脂成形体10の内部(表面近傍)から成長しているとも解釈できる。混合層11を有することで、メッキ膜20の基材70への密着強度がより高まる。また、樹脂成形体10が、例えばポリアミドを含む場合、基材70は無電解メッキ液を浸透し易くなるため、混合層11が形成され易い。混合層11の厚さ11dは、例えば、0.5μm以上、又は0.5μm~10μmが好ましい。厚さ11dが上記範囲の下限値より薄いと、メッキ膜20との高い密着強度を得られない虞があり、上記範囲の上限値より厚いと、樹脂成形体10が脆性破壊する虞があり、この場合も、メッキ膜20との高い密着強度が得られない。
また、装飾メッキ品100は、樹脂成形体10(基材70)の非メッキ領域70A上に形成された触媒活性妨害層80を更に有してもよい。触媒活性妨害層80を有することで、非メッキ領域70A上でのメッキ膜の生成をより確実に抑制できる。この結果、表面70aにおいてメッキ膜20の有無のコントラストをより明確にでき、装飾メッキ品100の意匠性がより高まる。触媒活性妨害層80を構成する材料等については後述する。触媒活性妨害層80の厚さは、装飾メッキ品100の外観に影響を与えないように、例えば、0.2μm以下、又は0.1μm以下が好ましい。
<装飾メッキ品の製造方法>
本実施形態の装飾メッキ品100の製造方法について以下に説明する。
(1)基材70の用意
まず、基材70として樹脂成形体10を用意する。樹脂成形体10は市販品でもよいし、樹脂材料を成形して得てもよい。基材70は、メッキ部と、非メッキ部とが同じ樹脂材料から構成されている(単一の樹脂材料から構成されている)。このため、基材70は一色成形(単色成形)で製造でき、2色成形を持ちいる場合と比較して、製造コストを抑えられる。
基材70(樹脂成形体10)の表面70aの色調は、ピアノブラックであることが好ましい。例えば、市販されているピアノブラック成形体用の樹脂材料を用いて樹脂成形体10を成形してもよい。また、高い光沢を得られるように、表面70aの表面粗さRaは、0.5μm未満が好ましい。
(2)メッキ膜20の形成
次に、樹脂成形体10に、複数層から構成されるメッキ膜20を形成する。まず、樹脂成形体10上に下地メッキ膜として、無電解メッキ膜21を形成する。無電解メッキ膜21を形成する方法は、特に限定されず、汎用の方法を用いることができる。本実施形態では、図2(a)~(c)に示すように、例えば、国際公開第2018/131492号に開示されている以下に説明する方法により無電解メッキ膜21を形成する。
まず、基材70(樹脂成形体10)の表面70aに、触媒活性妨害層80を形成する(図2(a)参照)。触媒活性妨害層80は、無電解メッキ触媒の触媒活性を妨げる(妨害する)触媒活性妨害剤(触媒失活剤)を含む。触媒活性妨害剤(触媒失活剤)は、特に限定されないが、例えば、国際公開第2018/131492号に開示されているデンドリマー、ハイパーブランチポリマー等のデンドリティックポリマーが好ましい。これらは、触媒失活能力に優れ、また、ポリマーであるので、バインダ樹脂を用いずに、触媒活性妨害層80を形成できる。
次に、触媒活性妨害層80が形成された表面70aのメッキ膜20が形成される予定の領域(メッキ領域70B)にレーザー光を照射して、触媒活性妨害層80を除去する(図2(b)参照)。レーザー光照射に用いるレーザー光の種類、レーザー加工装置は特に限定されず、樹脂成形体10の種類等を考慮し、適宜選択できる。メッキ領域70Bは、レーザー光が照射され触媒活性妨害層80が除去されると共に粗化される。レーザー光照射後のメッキ領域70Bの表面粗さRaは、非メッキ領域70Aの表面粗さRa(即ち、基材70の表面70aの表面粗さRa)より大きい。レーザー光照射後のメッキ領域70Bの表面粗さRaは、例えば、0.5μm~8.0μm、又は0.5μm~3.0μmが好ましい。これにより、上に形成されるメッキ膜20の十分な密着強度が得られ、且つメッキ膜20の光沢の低下を抑制できる。尚、レーザー光を照射したメッキ領域70Bでは、触媒活性妨害層80と共に樹脂成形体10の表面70aの一部が除去されて、溝(溝)70bが形成されてもよい。
次に、レーザー光を照射したメッキ領域70Bに無電解メッキ触媒を付与し、そして、無電解メッキ液を接触させる。触媒活性妨害層80は、その上に付与される無電解メッキ触媒の触媒活性を妨げる(妨害する)。このため、非メッキ領域70Aの触媒活性妨害層80上では、無電解メッキ膜の生成が抑制される。一方、メッキ領域70Bは、触媒活性妨害層80が除去されているため、無電解メッキ膜21が生成する(図2(c)参照)。
無電解メッキ触媒は、特に限定されず、汎用のものを適宜選択して用いることができる。例えば、塩化パラジウム等の金属塩を含むメッキ触媒液を用いてもよい。また、無電解メッキ液は、特に限定されず、汎用のものを適宜選択して用いることができる。例えば、無電解ニッケルリンメッキ液、無電解銅メッキ液であってよく、中でも、無電解ニッケルリンメッキ液が好ましい。
無電解メッキ膜11の形成と同時に、メッキ膜20が形成されている樹脂成形体10の表面近傍に、樹脂成形体10を構成する樹脂材料と、メッキ膜20に含まれる金属又は金属化合物20Pとの混合層11が形成されてもよい。混合層11は、無電解メッキ液が樹脂成形体10に浸透し、樹脂成形体10の内部から無電解メッキ膜21が成長することにより生じる。混合層11が形成されることで、メッキ膜20の基材70への密着強度が高まる。
混合層11を形成し易くするために、樹脂成形体10はポリアミドを含んでもよい。ポリアミドを含むことで、無電解メッキ時に無電解メッキ液が基材の内部に浸透し易くなる。また、無電解メッキの前処理として、樹脂成形体10の表面に水(湯)や有機溶媒等を接触させる膨潤処理を行ってもよい。樹脂成形体10が膨潤することで、無電解メッキ液がより浸透し易くなり、混合層11がより形成され易くなる。
無電解メッキ膜21上に、電解メッキ膜21~22を汎用の電解メッキ法により形成して、図1に示す装飾メッキ品100が得られる。
以上説明した装飾メッキ品100は、従来の2色成形方法や処理インキ組成物の塗布(印刷)を用いた方法では実現できなかった、意匠性の高い高精細なメッキ膜パターンを、レーザー描画というより簡易な工程を用いて形成できる。例えば、光沢あるピアノブラックの素地に細線のメッキ膜パターンが形成された意匠性の高い装飾メッキ品100が得られる。また、非メッキ領域70Aの表面粗さRaと、メッキ領域70Bの表面粗さRaとを適当な範囲に調整することで、メッキ膜20の密着強度を維持しつつ、非メッキ領域70Aの光沢、及びメッキ膜20の光沢を高められる。
[第2実施形態]
図3(b)に示す、本実施形態の装飾メッキ品(意匠メッキ品)200について説明する。装飾メッキ品200では、基材表面70aのメッキ領域70Bに、複数の孔(凹部、非貫通孔)71が形成されている。それ以外の構成は、第1実施形態で説明した装飾メッキ品100とほぼ同様であるため、説明を省略する。
本実施形態では、複数の孔(凹部、非貫通孔)71により、その上に形成されるメッキ膜20の密着強度が高まる。複数の孔71は、メッキ領域70B上に規則的に配置させてもよい。孔71は、メッキ領域70Bにおける開口の形状が、円又は楕円であることが好ましい。孔71の大きさは、メッキ膜20幅に合わせて適宜調整できる。例えば、孔71の直径(メッキ領域70Bにおける開口の直径、楕円の場合は長径)は、10μm~80μmであってよく、深さは1μm~50μmであってよい。
装飾メッキ品200は、基材表面70aのメッキ領域70Bに複数の孔71を形成すること以外、第1の実施形態の装飾メッキ品100と同様の方法により製造できる。複数の孔71は、レーザー光照射により形成してもよい。例えば、レーザー描画によりメッキ領域70Bの触媒活性妨害層80を除去する工程において、複数の孔71を形成してもよい(図3(a)参照)。
以上説明した装飾メッキ品200は、第1実施形態の装飾メッキ品と同様の効果を奏する。また、複数の凹部(非貫通孔)71により、メッキ膜20の密着強度が更に高まる。
[第3実施形態]
図4(d)に示す、本実施形態の装飾メッキ品(意匠メッキ品)300について説明する。装飾メッキ品300は、基材70が、樹脂成形体10と、樹脂成形体10の表面上に設けられた塗装膜30とから構成される。即ち、基材表面70aの非メッキ領域70Aは、塗装膜30で形成されてる。それ以外の構成は、第1実施形態で説明した装飾メッキ品100とほぼ同様であるため、説明を省略する。
塗装膜30は、ピアノブラックの色調を有することが好ましい。これにより、ピアノブラックの素地に細線のメッキ膜パターンが形成された意匠性の高い装飾メッキ品300が得られる。ピアノブラックの色調を有する塗装膜30を設けることで、塗装膜30に覆われる見えなくなる樹脂成形体10の意匠性は、必ずしも高い必要がなくなる。これにより、樹脂成形体10に用いる材料選択の幅が広がる。塗装膜30は、例えば、市販の2液型アクリルウレタン樹脂のピアノブラック塗料を用いて形成した塗膜(ピアノブラックのアクリルウレタン塗膜)であってもよい。
塗装膜30は、基材表面70aの非メッキ領域70Aを形成する。このため、塗装膜30の表面粗さRaは、例えば、0.5μm未満が好ましい。これにより、塗装膜30の光沢性を高められる。塗装膜30の厚さは、例えば、5μm~50μm、又は8μm~40μmとしてもよい。
本実施形態の装飾メッキ品300は、樹脂成形体10の表面上に塗装膜30を形成すること以外、第1の実施形態の装飾メッキ品100と同様の方法により製造できる。
まず、樹脂成形体10を用意し、その上に、塗装膜30、触媒活性妨害層80をこの順に形成する(図4(a))。塗装膜30は、ピアノブラックの色調を有する塗料を汎用の方法により、樹脂成形体10の表面に塗布して形成する。ピアノブラックの色調を有する塗料としては、例えば、市販の2液型アクリルウレタン樹脂のピアノブラック塗料を用いてもよい。
触媒活性妨害層80が形成された表面70aのメッキ膜20が形成される予定の領域(メッキ領域70B)にレーザー光を照射して、触媒活性妨害層80を除去する(図4(b)参照)。このとき、触媒活性妨害層80と共に塗装膜30も除去される。更に、樹脂成形体10の表面の一部が除去されて、溝(溝)70bが形成されてもよい。次に、第1の実施形態と同様の方法により、無電解メッキ膜21を形成し(図4(c))、続いて、電解メッキ膜22~24を形成する(図4(d))。以上説明した方法により、装飾メッキ品300が得られる。
装飾メッキ品300は、第1実施形態の装飾メッキ品100と同様の効果を奏する。また、塗装膜30を設けることで、塗装膜30に覆われる見えなくなる樹脂成形体10の意匠性は、必ずしも高い必要がなくなり、樹脂成形体10に用いる材料選択の幅が広がる。例えば、塗装膜30により高い意匠性を維持しつつ、樹脂成形体10の材料として線膨張係数の低い樹脂を選択することも可能となる。線膨張係数の低い樹脂を選択することで、装飾メッキ品300の信頼性を高められる。
以上説明した複数の実施形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例及び比較例により制限されない。
[実施例1]
本実施例では、図1に示す装飾メッキ品100として、図5に示す装飾メッキ品を作製した。図5に示すように、本実施例の装飾メッキ品100では、立体的な面(曲面)に、線状部分(線状のメッキ膜)を含むメッキ膜のパターンが形成されている。また、メッキ膜20の線状部分の最小線幅20d及び最大線幅は、それぞれ、0.3mm、0.5mmとした。
(1)樹脂成形体10(基材70)の成形
粒子径がナノサイズのフィラーを含有するピアノブラック色調のポリアミド6(PA6)(ユニチカ製、M1030DHSZ)を汎用の成形機を用いて射出成形し、ピアノブラック色調を有する樹脂成形体10を得た。成形条件は、金型温度:120℃、樹脂温度:250℃とした。樹脂成形体10の表面70aの表面粗さRaをキーエンス製のレーザー顕微鏡で測定した。測定結果を非メッキ領域70Aの表面粗さRaとして表1に示す。尚、後述する実施例2で用いた、フィラーを含まないポリアミド6(非強化樹脂)の線膨張係数が80ppmであるのに対し、本実施例で用いた樹脂の線膨張係数は、フィラーを含有することで低い値に抑えられ、50ppmであった。
(2)メッキ膜20の形成
本実施例では、以下に説明する方法により、樹脂成形体10上にメッキ膜20を形成した。
(a)触媒活性妨害層80の形成
樹脂成形体10の表面70aに、触媒失活剤である下記式(1)で表されるハイパーブランチポリマーを含む触媒活性妨害層80を形成した。式(1)で表されるハイパーブランチポリマーは、国際公開第2018/131492号に開示される方法により合成した。式(1)において、Rはビニル基又はエチル基である。
Figure 2023016073000002
合成した式(1)で表されるポリマーをメチルエチルケトンに溶解して、ポリマー濃度0.5重量%のポリマー溶液を調製した。室温のポリマー溶液に、基材を5秒間浸漬し、その後、80℃乾燥機中で10分間乾燥した。これにより、樹脂成形体10の表面70aに触媒活性妨害層80を形成した。触媒活性妨害層80の厚さは、0.08μmであった。
(b)レーザー描画
樹脂成形体10の表面70aのメッキ膜20を形成する予定の領域(メッキ領域70B)にレーザー光を照射(レーザー描画)した。UVレーザー(キーエンス製)を用い、パワー20%、速度2000mm/s、周波数80kHzのレーザー描画条件で、メッキ領域70Bを20μmピッチで格子状に描画した。レーザー光を照射したメッキ領域70Bは、触媒活性妨害層80が除去されると共に粗化された。メッキ領域70Bの表面粗さRaをキーエンス製のレーザー顕微鏡で測定した。測定結果を表1に示す。
(c)無電解メッキ(下地メッキ膜の形成)
樹脂成形体10を30℃に調整した0.3Nの塩酸に浸漬した後、30℃に調整した市販の塩化パラジウム(PdCl)水溶液(奥野製薬工業製、アクチベータ)に5分間浸漬した。樹脂成形体10を洗浄した後、70℃に調整した1,3-ブタンジオールを20%混合した水溶液に5分浸漬して、樹脂成形体10の表面近傍を膨潤させた(膨潤処理)。
膨潤処理後、70℃に調整した無電解ニッケルリンメッキ液(奥野製薬工業製、トップニコロンRCH)に、樹脂成形体10を5分間浸漬した。樹脂成形体10上のレーザー描画部分(メッキ領域70B)に無電解ニッケルリンメッキ膜21が成長した。
(d)電解メッキ(仕上げメッキ膜の形成)
無電解ニッケルリンメッキ膜21上に、更に、汎用の電解メッキ法により、電解銅メッキ膜22、電解ニッケルメッキ膜23、電解3価クロムメッキ膜24を、この順に積層し、多層のメッキ膜から構成されるメッキ膜20を形成した。各メッキ膜の厚さを表1に示す。以上説明した方法により、本実施例の装飾メッキ品100を得た。
装飾メッキ品100の断面をSEM観察した。図7に示すように、メッキ膜20と樹脂成形体10との界面11aから、樹脂成形体10の内部に向かって、樹脂材料(フィラー混合PA6)と、メッキ膜20に含まれる金属化合物(ニッケルリン)20Pとの混合層11が形成されていることが確認できた。混合層11の厚さ11dは、5μmであった。混合層11が形成されたことで、本実施例のメッキ膜20は高い密着強度を示すと推測される。
[実施例2]
本実施例では、図1に示す装飾メッキ品100として、図6に示す装飾メッキ品を作製した。図6に示すように、本実施例の装飾メッキ品100には、板状の基材の平面に線状の部分(線状のメッキ膜)を含むメッキ膜のパターンが形成されている。線状の部分(線状のメッキ膜)の最小幅20d及び最大幅は、実施例1と同様にそれぞれ、0.3mm、0.5mmとした。
本実施例では、フィラーを含有しないピアノブラック色調のポリアミド6(PA6)(BASF製、D3K)を用いて樹脂成形体10を成形したこと、電解メッキ膜22、23の厚さを表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、装飾メッキ品100(図1参照)を作製した。
実施例1と同様の方法により、非メッキ領域70Aの表面粗さRa、メッキ領域70Bの表面粗さRaを測定した。結果を表1に示す。また、本実施例では、実施例1と同様に樹脂成形体がポリアミド6を含有し、メッキ前処理として膨潤処理を行った。したがって、本実施例においても、実施例1と同様に、樹脂材料(PA6)と、メッキ膜20に含まれる金属化合物(ニッケルリン)20Pとの混合層11が形成され、これにより、メッキ膜20は高い密着強度を示すと推測される。
[実施例3]
本実施例では、メッキ膜20の密着強度を高めるために基材表面70aのメッキ領域70Bに複数の孔(凹部、非貫通孔)71が形成された、装飾メッキ品200を作製した(図3(b)参照)。
(1)樹脂成形体10の成形
まず、樹脂材料(フィラーを含有しない、ピアノブラック色調のバイオポリカーボネート(バイオPC)(三菱ケミカル製、デュラビオD7340R))を実施例1と同様に汎用の成形機を用いて射出成形し、ピアノブラック色調を有する樹脂成形体10を得た。成形条件は、金型温度:120℃、樹脂温度:280℃とした。
(2)メッキ膜20の形成
(a)触媒活性妨害層80の形成、レーザー描画(孔71の形成)
実施例1と同様の方法により、触媒活性妨害層80を形成した後、メッキ領域70Bにレーザー描画を行い、触媒活性妨害層80を除去すると共に、一直線上に所定間隔で並ぶ複数の孔(凹部)71から形成される凹部列を、複数列形成した(図3(a)参照)。メッキ領域70Bにおける孔71の開口の形状は円であり、その直径は20μmとした。孔71の深さは5μmとした。複数の孔71の形成は、パワー20%、速度1000mm/s、周波数60kHzのレーザー光照射条件で行った。
(b)無電解メッキ、電解メッキ
基材70を2Nの水酸化ナトリウム溶液(50℃)に1分間浸漬した後、実施例1で用いたものと同様の無電解メッキ触媒液、無電解メッキ液を用いて、無電解メッキ膜21を形成した。無電解メッキ液への浸漬時間は8分間とした。更に、実施例1と同様の方法により、無電解メッキ膜21の上に、電解メッキ膜22~24を形成して、本実施例の装飾メッキ品200を得た。各メッキ膜の厚さを表1に示す。
実施例1と同様の方法により、非メッキ領域70Aの表面粗さRa、メッキ領域70Bの表面粗さRaを測定した。結果を表1に示す。尚、本実施例では、複数の孔70を形成したため、メッキ領域70Bの表面粗さRaが実施例1と比較して大きい。このため、メッキ領域70Bの表面粗さRaが目立たないように、実施例1と比較してメッキ膜の線幅を細くした(表1参照)。
[実施例4]
本実施例では、ピアノブラック色調の塗装膜30を有する装飾メッキ品300を作製した(図4(d)参照)。
(1)基材70の作製
フィラーとしてチタン酸カリウムを含有するポリアミド9T(PA9T)(大塚化学製、NMA964B)を実施例1と同様の汎用の成形機を用いて射出成形して樹脂成形体10を得た。得られた樹脂成形体10の表面に、市販のアクリルウレタンピアノブラック色調の塗料を塗布して、厚さ10μmの塗装膜30を形成して、基材70を得た。尚、基材70に含まれるフィラー(チタン酸カリウム)の径(繊維径)は0.3μm~0.6μm、長さ(繊維長)は、10μm~20μmであった。
(2)メッキ膜20の形成
(a)触媒活性妨害層80の形成、レーザー描画
実施例1と同様の方法により、触媒活性妨害層80を形成した(図4(a)参照)。次に、実施例1と同様の方法により、メッキ領域70Bにレーザー描画を行い、触媒活性妨害層80及び塗装膜30を除去した(図4(a)参照)。
(b)無電解メッキ、電解メッキ
実施例3と同様の方法により、無電解メッキ膜21、電解メッキ膜22~24を形成して、本実施例の装飾メッキ品300を得た。各メッキ膜の厚さを表1に示す。また、実施例1と同様の方法により、非メッキ領域70A(塗装膜30)の表面粗さRa、メッキ領域70Bの表面粗さRaを測定した。結果を表1に示す。
本実施例の樹脂成形体10は、フィラーとしてチタン酸カリウムを含有するため線膨張係数が低い。また、フィラー径が小さい(フィラーが細い)ため、フィラーにより樹脂成形体10の表面粗さが大きくなることがない。また、チタン酸カリウムはメッキ膜20と相互作用するため、メッキ領域70Bの表面粗さ大きくせずとも、メッキ膜20の密着強度を高めることができる。一方で、本実施例の樹脂成形体10は、ピアノブラックのような光沢のある色調を有していない。本実施例の装飾メッキ品300では、樹脂成形体10の非メッキ領域70Aをピアノブラック色調の塗装膜30で覆うことで、上述の樹脂成形体10の利点を有しつつ、装飾メッキ品300の意匠性を高めた。
[装飾メッキ品の評価]
(1)外観観察
実施例1~4で作製した装飾メッキ品の外観観察を目視で行った。実施例1~4で作製した装飾メッキ品には、設計どおりの高精細なメッキ膜パターンが形成されていた。また、非メッキ領域70Bにおいて光沢あるピアノブラックの色調が維持されており、配線20も十分な光沢を有していた。即ち、実施例1~4で作製した装飾メッキ品は高い意匠性を有していた。
尚、実施例1との比較のため、メッキ膜20の最外層24を、電解3価クロムメッキ膜に代えて、電解6価クロムメッキ膜とした以外は実施例1の装飾メッキ品100と同一の構成の装飾メッキ品を作製した。得られた装飾メッキ品では、設計どおりの高精細なメッキ膜パターンが形成され、メッキ膜20も光沢を有していたが、6価クロム電解メッキ液により成形体表面が白濁してしまい、非メッキ領域70Aのピアノブラック色調が維持できなかった。この結果から、樹脂成形体10のピアノブラック色調を維持する観点からは、メッキ膜20の最外層24には電解6価クロムメッキ膜ではなく、例えば、電解3価クロムメッキ膜を用いることが好ましいことが確認できた。
(2)信頼性評価
実施例1~4の装飾メッキ品のヒートショック試験を行った。評価用サンプルとして、実施例1~4の装飾メッキ品を3個ずつ用意した。評価用サンプルを-35℃の環境下に30分放置と、90℃の環境下に30分放置とを交互に繰り返し、10サイクル毎に評価用サンプルを取り出してメッキ膜20に膨れや剥離がないか目視で確認した。ヒートショック試験は、実施例1~4それぞれおいて、1個以上の評価用サンプルにメッキ膜の膨れや剥離が生じるまで行った。そして、3個全ての評価用サンプルにメッキ膜に膨れや剥離が確認されなかった最大サイクル数を合格サイクル数とした。実施例1~4それぞれの合格サイクル数を表1に示す。
Figure 2023016073000003
表1に示すように、信頼性評価結果の最も小さい合格サイクル数は実施例2の100サイクルであったが、実用上の信頼性には問題がないレベルであった。即ち、実施例1~4で作製した装飾メッキ品は十分な信頼性を有していた。また、実施例1~4の装飾メッキ品において、樹脂成形体10の線膨張係数が小さいほど、信頼性評価結果が良好である(合格サイクル数が多い)ことが確認できた。
本発明の装飾メッキ品は、意匠性及び信頼性が高い。本発明の装飾メッキ品は、例えば、自動車の内外装部品に応用可能である。
10 樹脂成形体
11 混合層
20 メッキ膜
30 塗装膜
70 基材
71 孔(凹部、非貫通孔)
80 触媒活性妨害層
100、200、300 装飾メッキ品

Claims (10)

  1. 装飾メッキ品であって、
    樹脂材料から構成されている樹脂成形体を含む基材と、
    前記基材の表面において、線状部分を含む所定のパターンを形成するメッキ膜とを有し、
    前記基材の表面において、前記メッキ膜が形成されているメッキ領域の表面粗さRaは、前記メッキ膜が形成されていない非メッキ領域の表面粗さRaよりも大きく、
    前記メッキ膜の線状部分の線幅の最小値が、0.1mm~5mmである装飾メッキ品。
  2. 前記樹脂成形体が単一の前記樹脂材料から構成されている請求項1に記載の装飾メッキ品。
  3. 前記メッキ領域の表面粗さRaが0.5μm~8.0μmであり、前記非メッキ領域の表面粗さRaが0.5μm未満である請求項1又は2に記載の装飾メッキ品。
  4. 前記樹脂材料が、ポリアミド、又はポリカーボネートを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の装飾メッキ品。
  5. 前記非メッキ領域の色調が、ピアノブラックである請求項1~4のいずれか一項に記載の装飾メッキ品。
  6. 前記樹脂材料がポリアミドを含み、
    前記メッキ膜と前記樹脂成形体との界面を含む、前記樹脂成形体の表面近傍に、前記樹脂材料と、前記メッキ膜に含まれる金属又は金属化合物との混合層が形成されており、
    前記混合層の厚さが、0.5μm以上である請求項1~5のいずれか一項に記載の装飾メッキ品。
  7. 前記基材の表面の前記メッキ領域に複数の孔が形成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の装飾メッキ品。
  8. 前記基材が、前記樹脂成形体上に設けられた、ピアノブラックの色調を有する塗装膜を更に有し、
    前記基材の表面の前記非メッキ領域が、前記塗装膜で形成されてる請求項1~5のいずれか一項に記載の装飾メッキ品。
  9. 前記メッキ膜は複数の層から構成されており、最外層が、6価クロム、3価クロム、銅、及び金からなる群から選択される1つを含む電解メッキ膜である、請求項1~8のいずれか一項に記載の装飾メッキ品。
  10. 前記最外層が、3価クロムを含む電解メッキ膜である、請求項9に記載の装飾メッキ品。
JP2021120126A 2021-07-21 2021-07-21 装飾メッキ品 Pending JP2023016073A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021120126A JP2023016073A (ja) 2021-07-21 2021-07-21 装飾メッキ品
CN202280051471.8A CN117693428A (zh) 2021-07-21 2022-07-20 装饰镀敷品
PCT/JP2022/028135 WO2023003001A1 (ja) 2021-07-21 2022-07-20 装飾メッキ品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021120126A JP2023016073A (ja) 2021-07-21 2021-07-21 装飾メッキ品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023016073A true JP2023016073A (ja) 2023-02-02

Family

ID=84980183

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021120126A Pending JP2023016073A (ja) 2021-07-21 2021-07-21 装飾メッキ品

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2023016073A (ja)
CN (1) CN117693428A (ja)
WO (1) WO2023003001A1 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001131793A (ja) * 1999-11-09 2001-05-15 Kayoh Technical Industry Co Ltd 装飾品の製造方法
JP6360695B2 (ja) * 2014-03-17 2018-07-18 吉田テクノワークス株式会社 樹脂成形品への金属メッキ方法
JP2016150693A (ja) * 2015-02-18 2016-08-22 豊田合成株式会社 フロントグリル
JP7224978B2 (ja) * 2019-03-15 2023-02-20 マクセル株式会社 メッキ部品の製造方法及び基材の成形に用いられる金型

Also Published As

Publication number Publication date
WO2023003001A1 (ja) 2023-01-26
CN117693428A (zh) 2024-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2905536C (en) Electrodeposited compositions and nanolaminated alloys for articles prepared by additive manufacturing processes
US8207261B2 (en) Plastic articles, optionally with partial metal coating
TW201821649A (zh) 層合物與奈米層合物材料於工具及模製方法之應用
JP5938345B2 (ja) プラスチック製品を調製する方法、及びそれを用いて作製されるプラスチック製品
US20140255722A1 (en) Structural multi-layer cobalt coatings for polymer articles
Bernasconi et al. Electroless plating of PLA and PETG for 3D printed flexible substrates
JP2018515667A (ja) 熱可塑性ポリマー組成物、それから製造された物品、およびそれを作製する方法
KR20110110217A (ko) 금속 도금을 위한 열가소성 기재의 컨디셔닝 및 에칭의 무크롬 방법
WO2023003001A1 (ja) 装飾メッキ品
JP6072330B2 (ja) パターンめっき用無電解めっき前処理インキ組成物及び無電解めっき皮膜の形成方法
EP0229495B1 (en) Polyphenylene sulphide resin composition useful for plating
US20200198198A1 (en) Process for plastic overmolding on a metal surface and plastic-metal hybride part
JP4918123B2 (ja) 無電解めっき素材の製造方法
US20110318596A1 (en) High peel strength article comprising a thermoplastic-metal interpenetrated volume
JP4828891B2 (ja) ポリアセタール樹脂成形物の金属めっき方法とそのめっき製品
JP2000212760A (ja) 部分めっきプラスチック成形体の製造方法
JP2006523774A (ja) 成形ツールとしての物品の使用
Bernasconi et al. Electroless metallization of stereolithographic photocurable resins for 3D printing
US20110274944A1 (en) Polymeric Article Having A Surface Of Different Composition Than Its Bulk And Of Increased Bonding Strength To A Coated Metal Layer
JP2011068995A (ja) 芳香族ポリカーボネート系樹脂成形品のメッキ方法およびメッキ成形品
JP4331840B2 (ja) 微細メッキ方法
JP2019157142A (ja) めっき樹脂成形品、及びめっき樹脂成形品の製造方法
JP2004300566A (ja) 樹脂めっき品の外観改善方法及びその製品
JPS609599B2 (ja) 合成樹脂成形品の製造法
JP2018204091A (ja) 樹脂成形品の被膜形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20211013

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20211019

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20211019

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240424