JP2023014983A - トランスミッション構造 - Google Patents

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七洋 小和田
Nanahiro Kowada
浩二 岩木
Koji Iwaki
亮 本岡
Akira Motooka
康平 小倉
Kohei Ogura
拓海 ▲高▼橋
Takumi Takahashi
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Abstract

【課題】遊星第1及び第3要素に駆動源及びHSTからの動力を入力し遊星第2要素から出力する第1HMT伝動状態と第2要素に駆動源からの動力を入力し第1要素から出力する第2HMT伝動状態との間の切替を円滑に行うトランスミッション構造を提供する。【解決手段】本発明のトランスミッション構造は、駆動回転動力が第1/第2速段シフトアップ開始速に到達した時点からシフトアップ終了時点までの間においては入力側及び出力側クラッチ機構対の一方を二重伝動状態とし、シフトアップ二重伝動状態の間に、入力側及び出力側クラッチ機構対の他方の第1クラッチ機構を摩擦板を滑らせながら解除状態へ移行させ且つ他方のクラッチ機構対の第2クラッチ機構を摩擦板を滑らせながら係合状態へ移行させる。【選択図】図5

Description

本発明は、静油圧式無段変速機構(HST)及び遊星歯車機構を有する静油圧・機械式無段変速構造(HMT)を含むトランスミッション構造に関する。
HST及び遊星歯車機構を組み合わせてなるHMTは、例えば、コンバインやトラクタ等の作業車輌の走行系伝動経路に好適に利用されており、車速可変範囲を拡げる為の構成が種々提案されている。
例えば、下記特許文献1には、走行系伝動経路にHMTと低速段、中速段及び高速段の3段の変速段を有する多段変速装置とを直列配置することで車速可変範囲を拡げたトランスミッション構造が開示されている。
しかしながら、前記特許文献1に記載のトランスミッション構造は、前記多段変速装置の変速操作を車輌走行開始前に予め行っておくことを予定したものであり、車輌走行中に前記多段変速装置の変速操作を行うと以下の不都合が生じるものである。
この点について、前記多段変速装置を低速段に係合させた状態で前記HMTを操作して走行車速を上げていき、走行車速が所定車速に達した時点で前記多段変速装置を低速段から中速段に変速する場合を例に説明する。
この場合、前記多段変速装置の低速段係合状態で前記HMTの出力が最高速又は最高速近傍に達した段階で、前記HMTの出力が最高速又は最高速近傍に維持されたままで前記多段変速装置が低速段から中速段へ変速されることになり、変速時に大きな車速変化が生じ、乗り心地が悪くなると共に、走行系伝動経路に過度の負荷が掛かることになる。
この点に関し、本願出願人は、HSTと、第1~第3要素を有し、前記第3要素にHST出力を入力する遊星歯車機構と、前記遊星歯車機構の遊星出力部によって作動的に駆動される変速出力軸と、駆動源の回転動力を前記遊星歯車機構の第1要素及び第2要素にそれぞれ作動伝達可能な入力側第1伝動機構及び入力側第2伝動機構と、前記入力側第1伝動機構及び前記入力側第2伝動機構の動力伝達をそれぞれ係脱させる入力側第1クラッチ機構及び入力側第2クラッチ機構と、前記第2要素及び前記第1要素の回転動力をそれぞれ前記変速出力軸に作動伝達可能な出力側第1伝動機構及び出力側第2伝動機構と、前記出力側第1伝動機構及び前記出力側第2伝動機構の動力伝達をそれぞれ係脱させる出力側第1クラッチ機構及び出力側第2クラッチ機構と、変速操作部材と、制御装置とを備えたトランスミッション構造を提案している(下記特許文献2参照)。
前記制御装置は、前記変速出力軸の回転速度が所定の切替速未満の低速状態においては、前記入力側及び出力側第1クラッチ機構を係合状態とし且つ前記入力側及び出力側第2クラッチ機構を解除状態とすることで前記第1要素を前記駆動源からの基準動力を入力する遊星入力部として作用させ且つ前記第2要素を遊星出力部として作用させる第1伝動状態を現出させつつ、前記変速操作部材の増速操作に応じてHST出力が第1HST速から第2HST速へ向けて変速するように前記出力調整部材を作動させる一方で、前記変速出力軸の回転速度が切替速以上の高速状態においては、前記入力側及び出力側第1クラッチ機構を解除状態とし且つ前記入力側及び出力側第2クラッチ機構を係合状態とすることで前記第1要素を遊星出力部として作用させ且つ前記第2要素を遊星入力部として作用させる第2伝動状態を現出させつつ、前記変速操作部材の増速操作に応じてHST出力が第2HST速から第1HST速へ向けて変速するように前記出力調整部材を作動させるように構成されている。
前記入力側第1伝動機構の変速比(入力側第1変速比)及び前記入力側第2伝動機構の変速比(入力側第2変速比)は、第1伝動状態でHST出力が第2HST速とされた際の第2要素の回転速と第2伝動状態の際に前記入力側第2伝動機構を介して伝達される回転動力による第2要素の回転速とが同一となり、且つ、第2伝動状態でHST出力が第2HST速とされた際の第1要素の回転速と第1伝動状態の際に前記入力側第1伝動機構を介して伝達される回転動力による第1要素の回転速とが同一となるように設定されている。
前記出力側第1伝動機構の変速比(出力側第1変速比)及び前記出力側第2伝動機構の変速比(出力側第2変速比)は、HST出力が第2HST速とされた際に変速出力軸に現出される回転速が第1及び第2伝動状態において同一となるように設定されている。
前記特許文献2に記載のトランスミッション構造は、前記特許文献1に記載のトランスミッション構造に比して、前記変速出力軸に急激な回転速度変化を生じさせることなく前記変速出力軸の変速幅を拡大させることができる点において有用である。
しかしながら、前記入力側及び出力側第1クラッチ機構が係合状態とされ且つ前記入力側及び出力側第2クラッチ機構が解除状態とされた第1HMT伝動状態(低速伝動状態)と、前記入力側及び出力側第1クラッチ機構が解除状態とされ且つ前記入力側及び出力側第2クラッチ機構が係合状態とされた第2HMT伝動状態(高速伝動状態)との間の切替に関しては、改善の余地がある。
特許第5822761号公報 特開2020-152364号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、駆動源からの回転動力を入力するHSTと、第1~第3要素を有し、HSTからの出力回転動力を第3要素に入力する遊星歯車機構とを有し、前記駆動源からの回転動力が前記第1要素に入力され且つ前記第2要素から合成回転動力が出力される第1HMT伝動状態と、前記駆動源からの回転動力が前記第2要素に入力され且つ前記第1要素から合成回転動力が出力される第2HMT伝動状態とを切替可能とされたトランスミッション構造であって、第1及び第2HMT伝動状態間の切替を円滑に行うことができるトランスミッション構造の提供を目的とする。
前記目的を達成する為に、本発明は、駆動源から作動的に入力される回転動力を無段変速して駆動輪へ向けて駆動回転動力として出力するトランスミッション構造であって、前記駆動源から作動的に入力される回転動力を、出力調整部材の作動位置に応じて少なくとも第1HST速及び第2HST速の間の回転動力に無段変速して出力するHSTと、前記出力調整部材を作動させるHST変速アクチュエータと、第1~第3要素を有し、前記第3要素がHST出力の入力部として作用する遊星歯車機構と、前記駆動源の回転動力を入力側第1変速比で前記第1要素に作動伝達可能な入力側第1伝動機構と、前記駆動源の回転動力を入力側第2変速比で前記第2要素に作動伝達可能な入力側第2伝動機構と、前記入力側第1及び第2伝動機構の動力伝達をそれぞれ係脱させる摩擦板式の入力側第1及び第2クラッチ機構を含む入力側クラッチ機構対と、変速出力軸と、前記第2要素の回転動力を出力側第1変速比で前記変速出力軸に作動伝達可能な出力側第1伝動機構と、前記第1要素の回転動力を出力側第2変速比で前記変速出力軸に作動伝達可能な出力側第2伝動機構と、前記出力側第1及び第2伝動機構の動力伝達をそれぞれ係脱させる摩擦板式の出力側第1及び第2クラッチ機構を含む出力側クラッチ機構対と、車速ゼロ速位置、第1速段領域及び前記第1速段領域よりも高速側の第2速段領域で操作可能とされ変速操作部材と、前記変速操作部材からの指令を受けて前記HST変速アクチュエータ、前記入力側クラッチ機構及び前記出力側クラッチ機構の作動制御を司る制御装置とを備え、前記制御装置は、前記変速操作部材が車速ゼロ速位置及び第1速段領域に位置されている際には、前記入力側第1及び第2クラッチ機構をそれぞれ係合状態及び解除状態とさせて前記第1要素が前記駆動源からの基準回転動力を入力する基準動力入力部として作用し且つ前記第2要素が前記変速出力軸へ向けて合成回転動力を出力する合成動力出力部として作用する第1HMT伝動状態を現出しつつ、前記出力側第1及び第2クラッチ機構をそれぞれ係合状態及び解除状態とさせることで前記第2要素の回転動力を前記変速出力軸に作動伝達させる一方で、前記変速操作部材が第2速段領域に位置されている際には、前記入力側第1及び第2クラッチ機構をそれぞれ解除状態及び係合状態とさせて前記第2要素が前記基準動力入力部として作用し且つ前記第1要素が前記合成動力出力部として作用する第2HMT伝動状態を現出しつつ、前記出力側第1及び第2クラッチ機構をそれぞれ解除状態及び係合状態とさせて前記第1要素の回転動力を前記変速出力軸に作動伝達させ、前記遊星歯車機構は、第1HMT伝動状態でHST出力が第1HST速とされた際の前記第2要素の出力回転動力がゼロ速となるように構成されており、前記入力側第1及び第2変速比は、第1HMT伝動状態でHST出力が第2HST速とされた際の前記第2要素の回転速と第2HMT伝動状態の際に前記入力側第2伝動機構を介して伝達される回転動力による前記第2要素の回転速とが同一となり、且つ、第2HMT伝動状態でHST出力が第2HST速とされた際の前記第1要素の回転速と第1HMT伝動状態の際に前記入力側第1伝動機構を介して伝達される回転動力による前記第1要素の回転速とが同一となるように設定され、前記制御装置は、さらに、前記変速操作部材の車速ゼロ速位置への操作に応じてHST出力が第1HST速となり、且つ、前記変速操作部材の車速ゼロ速位置からの増速操作に応じて駆動回転動力の回転速が増速するように、前記HST変速アクチュエータの作動制御を行い、前記変速操作部材が第1速段領域から第2速段領域へシフトアップ操作される際には、駆動回転動力が所定の第1/第2速段シフトアップ開始速に到達した第1/第2速段シフトアップ開始時点で、前記入力側クラッチ機構対及び前記出力側クラッチ機構対のうちの一方のクラッチ機構対における第2クラッチ機構を解除状態から瞬時に係合状態へ移行させ、且つ、第1/第2速段シフトアップ開始時点から所定時間経過後の第1/第2速段シフトアップ終了時点で、前記一方のクラッチ機構対における第1クラッチ機構を係合状態から瞬時に解除状態へ移行させて、第1/第2速段シフトアップ開始時点からシフトアップ終了時点までの間においては前記一方のクラッチ機構対における第1及び第2クラッチ機構の双方が係合されているシフトアップ二重伝動状態を現出させる一方で、シフトアップ二重伝動状態の間に、前記入力側クラッチ機構対及び前記出力側クラッチ機構対のうちの他方のクラッチ機構対における第1クラッチ機構を係合状態から解除状態まで摩擦板を滑らせながら移行させ且つ前記他方のクラッチ機構対における第2クラッチ機構を解除状態から係合状態まで摩擦板を滑らせながら移行させて、前記他方のクラッチ機構対における第1クラッチ機構の係合状態から第2クラッチ機構の係合状態への切替を行うように構成されたトランスミッション構造を提供する。
好ましくは、第1/第2速段シフトアップ開始速は、第1HMT伝動状態においてHST出力が第2HST速とされた際に前記出力側第1伝動機構を介して前記変速出力軸に現出される駆動回転動力の速度とされる。
一形態においては、前記入力側第1及び第2クラッチ機構並びに前記出力側第1及び第2クラッチ機構は作動油の給排によって係合状態及び解除状態が切り換えられる油圧式とされる。
この場合、前記トランスミッション構造には、前記制御装置による作動制御に応じて前記入力側第1及び第2クラッチ機構のそれぞれに対する作動油の給排切換を行う入力側第1及び第2電磁弁を含む入力側電磁弁対と、前記制御装置による作動制御に応じて前記出力側第1及び第2クラッチ機構のそれぞれに対する作動油の給排切換を行う出力側第1及び第2電磁弁を含む出力側電磁弁対とが備えられる。
前記入力側電磁弁対及び前記出力側電磁弁対の一方の電磁弁は対応するクラッチ機構の油圧を漸増及び漸減可能な電磁比例弁とされ、前記入力側電磁弁対及び前記出力側電磁弁対の他方の電磁弁は対応するクラッチ機構の油圧の増減を瞬時に行う電磁切換弁とされる。
前記種々の構成において、好ましくは、前記出力側第1及び第2変速比は、第1HMT伝動状態においてHST出力が第2HST速とされた際に前記変速出力軸に現出される回転速と第2HMT伝動状態においてHST出力が第2HST速とされた際に前記変速出力軸に現出される回転速とが略同一となるように設定される。
前記種々の構成において、例えば、前記制御装置は、前記他方のクラッチ機構対における第1クラッチ機構を係合状態から解除状態へ摩擦板を滑らせながら移行させる当該第1クラッチ機構の切替動作、及び、前記他方のクラッチ機構対における第2クラッチ機構を解除状態から係合状態へ摩擦板を滑らせながら移行させる当該第2クラッチ機構の切替動作を、第1/第2速段シフトアップ開始時点よりも前に開始し且つ第1/第2速段シフトアップ終了時点より後に完了させるように構成される。
前記種々の構成において、好ましは、前記制御装置は、前記変速操作部材が第2速段領域から第1速段領域へシフトダウン操作される際には、駆動回転動力が所定の第2/第1速段シフトダウン開始速に到達した第2/第1速段シフトダウン開始時点で、前記入力側クラッチ機構対及び前記出力側クラッチ機構対のうちの一方のクラッチ機構対おける第1クラッチ機構を解除状態から瞬時に係合状態へ移行させ、且つ、第2/第1速段シフトダウン開始時点から所定時間経過後の第2/第1速段シフトダウン終了時点で、前記一方のクラッチ機構対における第2クラッチ機構を係合状態から瞬時に解除状態へ移行させて、第2/第1速段シフトダウン開始時点からシフトダウン終了時点までの間においては前記一方のクラッチ機構対における第1及び第2クラッチ機構の双方が係合されているシフトダウン二重伝動状態を現出させる一方で、シフトダウン二重伝動状態の間に、前記入力側クラッチ機構対及び前記出力側クラッチ機構対のうちの他方のクラッチ機構対における第1クラッチ機構を解除状態から係合状態まで摩擦板を滑らせながら移行させ且つ前記他方のクラッチ機構対における第2クラッチ機構を係合状態から解除状態まで摩擦板を滑らせながら移行させて、前記他方のクラッチ機構対における第2クラッチ機構の係合状態から第1クラッチ機構の係合状態への切替を行うように構成される。
好ましくは、前記第2/第1速段シフトダウン開始速は、第2HMT伝動状態においてHST出力が第2HST速とされた際に前記出力側第2伝動機構を介して前記変速出力軸に現出される駆動回転動力の速度とされる。
例えば、前記制御装置は、前記他方のクラッチ機構対における第2クラッチ機構を係合状態から摩擦板を滑らせながら解除状態へ移行させる当該第2クラッチ機構の切替動作、及び、前記他方のクラッチ機構対における第1クラッチ機構を解除状態から摩擦板を滑らせながら係合状態へ移行させる当該第1クラッチ機構の切替動作を、第2/第1速段シフトダウン開始時点より前に開始し且つ第2/第1速段シフトダウン終了時点より後に完了させるように構成される。
好ましくは、第2/第1速段シフトダウン開始時点を画する駆動回転動力の回転速度と第1/第2速段シフトアップ開始時点を画する駆動回転動力の回転速度とは略同一速度とされる。
好ましくは、本発明に係るトランスミッション構造は、さらに、前記駆動輪へ向けて駆動回転動力を出力する走行出力軸と、前記変速出力軸の回転動力を前進方向及び後進方向への駆動回転動力として前記走行出力軸へそれぞれ作動伝達させる前進側伝動機構及び後進側伝動機構と、前記前進側伝動機構及び前記後進側伝動機構の動力伝達をそれぞれ係脱させる摩擦板式の前進側クラッチ機構及び後進側クラッチ機構とを含み得る。
この場合、前記HSTは、第1HST速の出力が正逆一方側の回転動力とされ且つ第2HST速の出力が正逆他方側の回転動力とされるように正逆双方向の回転動力を出力するように構成される。
前記遊星歯車機構は、第1HMT伝動状態においてはHST出力が第1HST速の側から第2HST速の側へ変速されるに従って前記第2要素から出力される合成回転動力が増速され、且つ、第2HMT伝動状態においてはHST出力が第2HST速の側から第1HST速の側へ変速されるに従って前記第1要素から出力される合成回転動力が増速されるように構成される。
前記第1速段領域は前進側第1速段領域及び後進側第1速段領域を含み、前記第2速段領域は前記前進側第1速段領域よりも高速側の前進側第2速段領域及び前記後進側第1速段領域よりも高速側の後進側第2速段領域を含むものとされ、前記制御装置は、前記変速操作部材の前進側への操作に応じて前記前進側及び後進側クラッチ機構をそれぞれ係合状態及び解除状態とさせ、且つ、前記変速操作部材の後進側への操作に応じて前記前進側及び後進側クラッチ機構をそれぞれ解除状態及び係合状態とさせるように構成される。
一形態においては、前記前進側及び後進側クラッチ機構は作動油の給排によって係合状態及び解除状態が切り換えられる油圧式とされる。
この場合、前記トランスミッション構造には、前記制御装置による作動制御に応じて前進側及び後進側クラッチ機構のそれぞれに対する作動油の給排切換を行う前進側及び後進側電磁弁を含む前後進切替電磁弁対が備えられる。
前記走行出力軸、前記前進側伝動機構、前記後進側伝動機構、前記前進側クラッチ機構及び前記後進側クラッチ機構を備える構成においては、好ましくは、前記トランスミッション構造は、さらに、前記第1要素の回転動力を前記走行出力軸に前進方向の駆動回転動力として作動伝達可能な出力側第3伝動機構であって、前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して前記第1要素の回転動力が前記走行出力軸に作動伝達される際の当該走行出力軸の回転速よりも、前記出力側第3伝動機構を介して前記第1要素の回転動力が前記走行出力軸に作動伝達される際の当該走行出力軸の回転速が高速となるように、変速比が設定された出力側第3伝動機構と、前記出力側第3伝動機構の動力伝達を係脱させる出力側第3クラッチ機構とを備え得る。
この場合、前記変速操作部材は、前記前進側第2速段領域よりも高速側の前進側第3速段領域においても操作可能とされる。
前記制御装置は、前記変速操作部材が前進側第3速段領域に位置されている際には、第2HMT伝動状態を現出させた状態で、前記出力側第1及び第2クラッチ機構を解除状態とさせ、且つ、前記出力側第3クラッチ機構を係合状態とさせつつ、駆動回転動力の回転速度が前記変速操作部材の操作位置に応じた回転速度となるように、前記HST変速アクチュエータの作動制御を行なう。
前進側第2速段領域から前進側第3速段領域へのシフトアップに関する第1構成においては、前記制御装置は、前記変速操作部材が前進側第2速段領域から前進側第3速段領域へシフトアップ操作される際には、駆動回転動力が所定の第2/第3速段シフトアップ開始速に到達した第2/第3速段シフトアップ開始時点で前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構を係合状態から瞬時に解除状態へ移行させ、且つ、第2/第3速段シフトアップ開始時点から所定時間経過後の第2/第3速段シフトアップ終了時点で前記出力側第3クラッチ機構を解除状態から係合状態へ移行させることで、第2/第3速段シフトアップ開始時点から第2/第3速段シフトアップ終了時点までの間においては前記走行出力軸への動力伝達経路が遮断されたシフトアップ空走状態を現出させつつ、第2/第3速段シフトアップ終了時点において前記出力側第3伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速が第2/第3速段シフトアップ開始時点において前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速に一致又は近接するように、シフトアップ空走状態の間に前記HST変速アクチュエータを介して前記HSTを変速させるように構成される。
前進側第2速段領域から前進側第3速段領域へのシフトアップに関する第2構成においては、前記制御装置は、前記変速操作部材が前進側第2速段領域から前進側第3速段領域へシフトアップ操作される際には、前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構の一方を係合状態から解除状態へ滑らせながら移行させ、前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構の一方が解除状態になってから所定時間経過後に前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構の他方を係合状態から解除状態へ移行させ、且つ、前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構の他方が解除状態になってから所定時間経過後に前記出力側第3クラッチ機構を解除状態から係合状態へ移行させることで、前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構の一方が解除状態になってから前記出力側第3クラッチ機構が係合状態になるまでの間においては前記走行出力軸への動力伝達経路が遮断されたシフトアップ空走状態を現出させつつ、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態に移行された時点において前記出力側第3伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速が、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸の回転速に一致又は近接するように、シフトアップ空走状態の間に前記HST変速アクチュエータを介して前記HSTを変速させるように構成される。
前進側第2速段領域から前進側第3速段領域へのシフトアップに関する第3構成においては、前記制御装置は、前記変速操作部材が前進側第2速段領域から前進側第3速段領域へシフトアップ操作される際には、前記出力側第2クラッチ機構を係合状態から滑らせながら解除状態へ移行させつつ前記出力側第3クラッチ機構を解除状態から滑らせながら係合状態へ移行させ、且つ、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態へ移行される前に前記前進側クラッチ機構を係合状態から解除状態へ移行させることで、前記前進側クラッチ機構が解除状態とされてから前記出力側第3クラッチ機構が係合状態になるまでの間においては前記走行出力軸への動力伝達経路が遮断されたシフトアップ空走状態を現出させつつ、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態に移行された時点において前記出力側第3伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速が、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸の回転速に一致又は近接するように、シフトアップ空走状態の間に前記HST変速アクチュエータを介して前記HSTを変速させるように構成される。
一形態においては、前記出力側第3クラッチ機構は作動油の給排によって係合状態及び解除状態が切り換えられる油圧式とされる。
この場合、前記トランスミッション構造には、前記制御装置による作動制御に応じて前記出力側第3クラッチ機構に対する作動油の給排切換を行う出力側第3電磁弁が備えられる。
前記出力側第3伝動機構及び前記出力側第3クラッチ機構を備える前記トランスミッション構造における、前進側第3速段領域から前進側第2速段領域へのシフトダウンに関する第1構成においては、前記制御装置は、前記変速操作部材が前進側第3速段領域から前進側第2速段領域へシフトダウン操作される際には、駆動回転動力が所定の第3/第2速段シフトダウン開始速に到達した第3/第2速段シフトダウン開始時点で、前記出力側第3クラッチ機構を係合状態から解除状態へ移行させ、且つ、第3/第2速段シフトダウン開始時点から所定時間経過後の第3/第2速段シフトダウン終了時点で前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構を解除状態から係合状態へ移行させることで、第3/第2速段シフトダウン開始時点から第3/第2速段シフトダウン終了時点までの間においては前記走行出力軸への動力伝達経路が遮断されたシフトダウン空走状態を現出させつつ、第3/第2速段シフトダウン終了時点において前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速が第3/第2速段シフトダウン開始時点において前記出力側第3伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速に一致又は近接するように、シフトダウン空走状態の間に前記HST変速アクチュエータを介して前記HSTを変速させるように構成される。
好ましくは、第3/第2速段シフトダウン開始速と第2/第3速段シフトアップ開始速とは略同一速度とされる。
前記出力側第3伝動機構及び前記出力側第3クラッチ機構を備える前記トランスミッション構造における、前進側第3速段領域から前進側第2速段領域へのシフトダウンに関する第2構成においては、前記制御装置は、前記変速操作部材が前進側第3速段領域から前進側第2速段領域へシフトダウン操作される際には、前記出力側第3クラッチ機構の係合状態から解除状態への移行、前記前進側クラッチ機構の解除状態から係合状態への移行、及び、前記出力側第2クラッチ機構の解除状態から係合状態への移行をこの順で行なうことで、前記出力側第3クラッチ機構の解除状態への移行から前記出力側第2クラッチ機構の係合状態への移行までの間においては前記走行出力軸への動力伝達経路が遮断されたシフトダウン空走状態を現出させつつ、前記出力側第2クラッチ機構の係合状態への移行時点において前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速が、前記出力側第2クラッチ機構が係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸の回転速に一致又は近接するように、シフトダウン空走状態の間に前記HST変速アクチュエータを介して前記HSTを変速させるように構成される。
前記出力側第3伝動機構及び前記出力側第3クラッチ機構を備える前記トランスミッション構造における、前進側第3速段領域から前進側第2速段領域へのシフトダウンに関する第3構成においては、前記制御装置は、前記変速操作部材が前進側第3速段領域から前進側第2速段領域へシフトダウン操作される際には、前記出力側第3クラッチ機構の係合状態から解除状態への移行、前記出力側第2クラッチ機構の解除状態から係合状態への移行、及び、前記前進側クラッチ機構の解除状態から係合状態への移行をこの順で行なうことで、前記出力側第3クラッチ機構の解除状態への移行から前記前進側クラッチ機構の係合状態への移行までの間においては前記走行出力軸への動力伝達経路が遮断されたシフトダウン空走状態を現出させつつ、前記出力側第2クラッチ機構の解除状態から係合状態への移行時点において前記出力側第2伝動機構を介して伝達される回転動力による前記変速出力軸の回転速度が、前記出力側第2クラッチ機構が係合状態へ移行される直前における前記変速出力軸の実際の回転速に一致又は近接するように、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態から解除状態へ移行された時点と前記出力側第2クラッチ機構が解除状態から係合状態へ移行された時点との間において前記HST変速アクチュエータを介して前記HSTを変速させ、その後に、前記前進側クラッチ機構の解除状態から係合状態への移行時点において前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速が、前記前進側クラッチ機構が係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸の回転速に一致又は近接するように、前記出力側第2クラッチ機構が係合状態へ移行された時点から前記前進側クラッチ機構が係合状態へ移行された時点までの間において前記HST変速アクチュエータを介して前記HSTを変速させるように構成される。
前進側第3速段領域から前進側第2速段領域へのシフトダウンに関する第1~第3構成において、好ましくは、前進側第3速段領域から前進側第2速段領域へのシフトダウン時における前記出力側第2クラッチ機構の解除状態から係合状態への移行は徐々に滑らせながら行なわれる。
前進側第2速段から前進側第3速段へシフトアップを行う際に、好ましくは、前記制御装置は、前進側第2速段から前進側第3速段へのシフトアップ開始時点から所定時間経過するまでの間の開始期間においては、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態へ移行された時点において前記出力側第3伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速を、前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構の一方が解除状態とされるシフトアップ開始時点における前記走行出力軸の回転速に一致させる第3速段側第2/第3速段切替速よりも、シフトアップ開始時点での実際のHST出力回転速度とは反対側へ増速されたHST出力回転速を、HST変速制御の目標回転速として設定し、且つ、開始期間の終了後においては、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態へ移行された時点において前記出力側第3伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速を前記出力側第3クラッチ機構が係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸の回転速に一致させるHST出力回転速を、HST変速制御の目標回転速として設定するように構成される。
より好ましくは、開始期間におけるHST変速制御の目標速は、第1及び第2HST速のうち、前記第3速段側第2/第3速段切替速よりも、シフトアップ開始時点での実際のHST出力回転速度とは反対側に位置するHST速とされる。
前進側第3速段から前進側第2速段へシフトダウンを行う際に、好ましくは、前記制御装置は、前進側第3速段から前進側第2速段へのシフトダウン開始時点から所定時間経過するまでの間の開始期間においては、前記出力側第2クラッチ機構が係合状態へ移行された時点において前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速が第3/第2速段シフトダウン開始時点において前記出力側第3伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速に一致させる第2速段側第3/第2速段切替速よりも、シフトダウン開始時点での実際のHST出力回転速度とは反対側へ増速されたHST出力回転速を、HST変速制御の目標回転速として設定し、且つ、開始期間の終了後においては、前記出力側第2クラッチ機構が係合状態へ移行された時点において前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝送機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速を前記出力側第2クラッチ機構が係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸の回転速に一致させるHST出力回転速を、HST変速制御の目標回転速として設定するように構成される。
より好ましくは、開始期間におけるHST変速制御の目標速は、第1及び第2HST速のうち、第2速段側第3/第2速段切替速開始期間目標速よりも、シフトダウン開始時点での実際のHST出力回転速度とは反対側に位置するHST速とされる。
本発明によれば、駆動源からの回転動力を入力するHSTと、第1~第3要素を有し、HSTからの出力回転動力を第3要素に入力する遊星歯車機構とを有し、前記駆動源からの回転動力が前記第1要素に入力され且つ前記第2要素から合成回転動力が出力される第1HMT伝動状態と、前記駆動源からの回転動力が前記第2要素に入力され且つ前記第1要素から合成回転動力が出力される第2HMT伝動状態とを切替可能とされたトランスミッション構造において、第1及び第2HMT伝動状態間の切替の円滑化を図ることができる。
図1は、本発明の一実施の形態に係るトランスミッション構造が適用された作業車輌の伝動模式図である。 図2は、前記実施の形態に係るトランスミッション構造の一部の油圧回路図である。 図3は、前記トランスミッション構造の縦断側面図である。 図4は、前記実施の形態に係るトランスミッション構造の一部であるHSTの油圧回路図である。 図5は、前記実施の形態に係るトランスミッション構造において変速操作部材を車速ゼロ速位置から車速前進側へ増速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。 図6は、前記実施の形態に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材を前進側第3速段領域から前進側第2速段領域を介して前進側第1速段領域へ減速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。 図7は、前記実施の形態の第1変形例に係るトランスミッション構造において変速操作部材を車速ゼロ速位置から車速前進側へ増速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。 図8は、前記第1変形例に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材を前進側第3速段領域から前進側第2速段領域を介して前進側第1速段領域へ減速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。 図9は、前記実施の形態の第2変形例に係るトランスミッション構造において変速操作部材を車速ゼロ速位置から車速前進側へ増速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。 図10は、前記実施の形態の第3変形例に係るトランスミッション構造において変速操作部材を車速ゼロ速位置から車速前進側へ増速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。 図11は、前記実施の形態の第4変形例に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材を前進側第3速段領域から前進側第2速段領域を介して前進側第1速段領域へ減速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。 図12は、前記実施の形態の第5変形例に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材を前進側第3速段領域から前進側第2速段領域を介して前進側第1速段領域へ減速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。 図13は、前記実施の形態の第6変形例に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材を前進側第3速段領域から前進側第2速段領域を介して前進側第1速段領域へ減速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。 図14は、前記実施の形態の第7変形例に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材を前進側第3速段領域から前進側第2速段領域を介して前進側第1速段領域へ減速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。 図15は、前記実施の形態の第8変形例に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材を車速ゼロ速位置から車速前進側へ増速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。 図16は、前記実施の形態の第9変形例に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材を前進側第3速段領域から前進側第2速段領域を介して前進側第1速段領域へ減速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。 図17は、図3におけるXVII-XVII線に沿った断面図である。 図18は、前記トランスミッション構造の横断展開断面図である。 図19は、図18におけるXIX-XIX線に沿った断面図である。
以下、本発明に係るトランスミッション構造の一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施の形態に係るトランスミッション構造1が適用された作業車輌200の伝動模式図を示す。
また、図2に、前記トランスミッション構造1の一部の油圧回路図を示す。
さらに、図3に、前記トランスミッション構造1の縦断側面図を示す。
図1に示すように、前記作業車輌200は、駆動源210と、駆動輪220と、前記駆動源210から前記駆動輪220へ至る走行系伝動経路に介挿された前記トランスミッション構造1とを備えている。なお、図1及び図2中の符号210aは前記駆動源210に含まれるフライホイールである。
図1に示すように、前記トランスミッション構造1は、静油圧式無段変速機構(HST)10と、前記HST10と共働してHMT(静油圧・機械式無段変速構造)を形成する遊星歯車機構30と、変速出力軸45と、変速レバー等の変速操作部材90と、制御装置100とを備えている。
図4に、前記HST10の油圧回路図を示す。
なお、図2中のIN1及びIN2が図4中のIN1及びIN2に、それぞれ、流体接続されている。
図1及び図4に示すように、前記HST10は、前記駆動源210によって作動的に回転駆動されるポンプ軸12と、前記ポンプ軸12に相対回転不能に支持されたHSTポンプ14と、前記HSTポンプ14に一対の第1及び第2HSTライン15a、15bを介して流体接続されて前記HSTポンプ14によって油圧的に回転駆動されるHSTモータ18と、前記HSTモータ18を相対回転不能に支持するモータ軸16と、前記HSTポンプ14及び前記HSTモータ18の少なくとも一方の容積を変更させる出力調整部材20とを有している。
前記HST10は、前記出力調整部材20の作動位置に応じて、前記ポンプ軸12に入力される動力の回転速度に対する、前記モータ軸16から出力されるHST出力の回転速度の割合(即ち、HST10の変速比)を無段変化させ得るようになっている。
即ち、前記駆動源210から前記ポンプ軸12に作動的に入力される回転動力の回転速度を基準入力速とした場合、前記HST10は、前記出力調整部材20の作動位置に応じて、前記基準入力速の回転動力を少なくとも第1HST速から第2HST速の間の回転動力に無段変速して、前記モータ軸16から出力する。
なお、本実施の形態においては、図1及び図4に示すように、前記ポンプ軸12は、前記駆動源210に作動連結された主駆動軸212にHST入力ギヤ列214を介して連結されている。
本実施の形態においては、前記HST10は、HST出力の回転方向を正逆切替可能とされている。
即ち、前記HST10は、基準入力速の回転方向を正転方向とした場合に、前記出力調整部材20が第1作動位置に位置されると前記モータ軸16から回転方向が正逆方向一方側(例えば逆転方向)とされた第1HST速の回転動力を出力し、且つ、前記出力調整部材20が第2作動位置に位置されると前記モータ軸16から回転方向が正逆方向他方側(例えば正転方向)とされた第2HST速の回転動力を出力するように、構成されている。
この場合、前記出力調整部材20が第1及び第2作動位置の間の中立位置に位置されると、HST出力の回転速度は中立速(ゼロ速)となる。
本実施の形態においては、前記HST10は、前記出力調整部材20として、アキシャルピストンポンプとして通例な、揺動軸回りに揺動されることで前記HSTポンプ14の容積を変更する可動斜板であって、前記HSTポンプ14から吐出される吐出量をゼロとする中立位置を挟んで揺動軸回り一方側及び他方側へ揺動可能とされた可動斜板を有している(下記図10参照)。
前記可動斜板が中立位置に位置されると、前記HSTポンプ14からの圧油の吐出が無くなり、前記HST10は、前記HSTモータ18の出力がゼロの中立状態となる。
そして、前記可動斜板が中立位置から揺動軸回り一方側の正転側へ揺動されると、前記HSTポンプ14から一対のHSTライン15の一方(例えば第1HSTライン15a)に圧油が供給され、当該一方の第1HSTライン15aが高圧側となり、他方の第2HSTライン15bが低圧側となる。
これにより、前記HSTモータ18が正転側へ回転駆動されて、前記HST10は正転出力状態となる。
逆に、前記可動斜板が中立位置から揺動軸回り他方側の逆転側へ揺動されると、前記HSTポンプ14から前記一対のHSTライン15の他方(例えば第2HSTライン15b)に圧油が供給され、当該他方の第2HSTライン15bが高圧側となり、一方の第1HSTライン15aが低圧側となる。
これにより、前記HSTモータ18が逆転側へ回転駆動されて、前記HST10は逆転出力状態となる。
なお、前記HST10においては、前記HSTモータ18は固定斜板によって容積が固定されている。
図4に示すように、前記HST10には、前記一対の第1及び第2HSTライン15a、15bへ圧油を供給するチャージライン130が備えられている。
詳しくは、図2に示すように、前記トランスミッション構造1は、前記駆動源210によって作動的に駆動される第1油圧ポンプ110と、前記第1油圧ポンプ110からの吐出油が供給される作動油ライン120とを有している。
本実施の形態においては、前記第1油圧ポンプ110は、ポンプ駆動ギヤ列205(図1参照)を介して前記主駆動軸212に作動連結されている。
前記作動油ライン120は、リリーフ弁122(図4参照)によって油圧が設定されている。
図4に示すように、前記チャージライン130は、基端側が前記作動油ライン120に流体接続された共通部分132と、基端側が前記共通部分132に流体接続され且つ先端側が前記第1HSTライン15aに流体接続された第1分岐部分134aと、基端側が前記共通部分132に流体接続され且つ先端側が前記第2HSTライン15bに流体接続された第2分岐部分134bとを含んでいる。
前記第1及び第2分岐部分134a、134bには、前記共通部分132から対応するHSTライン15a、15bへの圧油の流れを許容しつつ逆向きの流れを防止するチェック弁136が介挿されている。
なお、図4に示すように、前記HST10は、さらに、前記一対の第1及び第2HSTライン15a、15bの間を連通する連通ライン140と、前記連通ライン140に介挿された双方向リリーフ弁142とを有している。
前記連通ライン140及び前記双方向リリーフ弁142は、前記一対のHSTライン15a、15bの一方が異常高圧となった場合に、当該一方のHSTラインの圧油を他方のHSTラインに流出させる。
図1に示すように、前記出力調整部材20は、前記変速操作部材90の操作に応じて前記制御装置100によって作動制御される。
即ち、本実施の形態に係る前記トランスミッション構造1は、前記出力調整部材20を作動させるHST変速アクチュエータ150を有しており、前記制御装置100は、前記変速操作部材90の操作に応じて前記HST変速アクチュエータ150を介して前記出力調整部材20を作動させるようになっている。
前記HST変速アクチュエータ150は、前記制御装置100によって作動制御可能な限り、電動モータや油圧機構等、種々の構成を取ることができる。
図4に示すように、本実施の形態に係るトランスミッション構造1は、前記HST変速アクチュエータ150として、油圧サーボ機構152を有している。
前記油圧サーボ機構152は、軸線方向一方側及び他方側にそれぞれ第1及び第2油室を画した状態で軸線方向往復動可能とされたサーボピストン155と、基端側が前記作動油ライン120に流体接続されたサーボ圧油ライン157と、ドレンライン159と、前記第1及び第2油室にそれぞれ流体接続された第1及び第2サーボ給排ライン160a、160bと、前記サーボ圧油ライン157、前記ドレンライン159、前記第1サーボ給排ライン160a及び前記第2サーボ給排ライン160bの接続状態を切替えるサーボ切替弁162と、前記サーボ切替弁162に作動連結された操作ピストン164とを有している。
前記サーボピストン155は、軸線方向移動に応じて前記出力調整部材20として作用する前記可動斜板を揺動軸線回りに揺動させるように前記可動斜板に作動連結されている。
前記サーボ切替弁162は、前記第1及び第2サーボ給排ライン160a、160bを閉塞する閉塞位置と、前記1サーボ給排ライン160aを前記サーボ圧油ライン157に流体接続させ且つ前記第2サーボ給排ライン160bを前記ドレンライン159に流体接続させる第1作動位置と、前記1サーボ給排ライン160aを前記ドレンライン159に流体接続させ且つ前記第2サーボ給排ライン160bを前記サーボ圧油ライン157に流体接続させる第2作動位置とを選択的に取り得るようになっている。
前記操作ピストン164は、前記サーボ切替弁162を第1作動位置、閉塞位置及び第2作動位置にそれぞれ位置させる第1操作位置、保持位置及び第2操作位置を取り得るように構成されている。
本実施の形態においては、前記操作ピストン164は、軸線方向一方側及び他方側にそれぞれ油室及びバネ室を画した状態で軸線方向往復動可能とされており、前記バネ室内に配設された付勢ばねによってに前記油室を縮小させる方向へ押圧されている。
前記油圧サーボ機構152は、さらに、基端側が前記作動油ライン120に流体接続され且つ先端側が前記油室に流体接続されたサーボ操作ライン167と、前記サーボ操作ライン167の圧油量を調整可能な出力調整弁165とを備えている。
前記出力調整弁165は前記制御装置100によって作動制御されるようになっている。
即ち、前記制御装置100は、前記出力調整部材20が前記変速操作部材90の操作位置に応じた作動位置に位置するように、前記出力調整弁165を作動させる。
なお、前記変速操作部材90の操作位置は、例えば、ポテンショメータ等の操作位置センサ92によって検出される。
前記遊星歯車機構30は、図1及び図3に示すように、サンギヤ32と、前記サンギヤ32と噛合する遊星ギヤ34と、前記遊星ギヤ34と噛合するインターナルギヤ36と、前記遊星ギヤ34を軸線回り回転自在に支持し且つ前記遊星ギヤ34の前記サンギヤ32回りの公転に連動して前記サンギヤ32の軸線回りに回転するキャリヤ38とを有しており、前記サンギヤ32、前記キャリヤ38及び前記インターナルギヤ36が遊星3要素を形成している。
前記遊星3要素のうちの一つである第3要素が前記モータ軸16に作動連結されており、前記第3要素がHST出力を入力する可変動力入力部として作用している。
図1及び図3に示すように、本実施の形態においては、前記サンギヤ32が前記第3要素とされている。
なお、本実施の形態においては、前記サンギヤ32はHST出力ギヤ列216を介して前記モータ軸16に作動連結されている。
本実施の形態に係る前記トランスミッション構造1は、第1要素を前記駆動源210からの基準回転動力を入力する基準動力入力部として作用させ且つ第2要素を合成回転動力を出力する合成動力出力部として作用させる第1HMT伝動状態と、第1要素を前記合成動力出力部として作用させ且つ前記第2要素を前記基準動力入力部として作用させる第2HMT伝動状態とを切替可能とされている。
具体的には、図1~図3に示すように、前記トランスミッション構造1は、さらに、前記駆動源210の回転動力を第1要素及び第2要素にそれぞれ作動伝達可能な入力側第1伝動機構50a及び入力側第2伝動機構50bと、前記入力側第1伝動機構50a及び前記入力側第2伝動機構50bの動力伝達をそれぞれ係脱させる入力側第1クラッチ機構60a及び入力側第2クラッチ機構60bを含む入力側クラッチ機構対と、前記第2要素及び前記第1要素の回転動力を前記変速出力軸45にそれぞれ作動伝達可能な出力側第1伝動機構70a及び出力側第2伝動機構70bと、前記出力側第1伝動機構70a及び前記出力側第2伝動機構70bの動力伝達をそれぞれ係脱させる出力側第1クラッチ機構80a及び出力側第2クラッチ機構80bを含む出力側クラッチ機構対とを有している。
本実施の形態においては、前記インターナルギヤ36及び前記キャリヤ38がそれぞれ第1及び第2要素として作用している。
前記入力側第1伝動機構50aは、前記駆動源210の回転動力を第1要素(本実施の形態においては前記インターナルギヤ36)に伝達可能に構成されている。
詳しくは、図1及び図3に示すように、前記入力側第1伝動機構50aは、前記主駆動軸212に相対回転自在に連結された入力側第1駆動ギヤ52aと、前記入力側第1駆動ギヤ52aに噛合され且つ第1要素に作動連結された入力側第1従動ギヤ54aとを有している。
図1及び図3に示すように、本実施の形態に係る前記トランスミッション構造1は、前記遊星歯車機構30と同軸上に配置され、第2要素に軸線回り相対回転不能に連結された変速中間軸43を有しており、前記入力側第1従動ギヤ54aは、前記変速中間軸43に相対回転自在に支持された状態で、前記入力側第1駆動ギヤ52a及び前記第1要素(本実施の形態においては前記インターナルギヤ36)に作動連結されている。
前記入力側第2伝動機構50bは、前記駆動源210の回転動力を第2要素(本実施の形態においては前記キャリヤ38)に伝達可能に構成されている。
詳しくは、図1及び図3に示すように、前記入力側第2伝動機構50bは、前記主駆動軸212に相対回転自在に支持された入力側第2駆動ギヤ52bと、前記入力側第2駆動ギヤ52bに噛合され且つ第2要素に作動連結された入力側第2従動ギヤ54bとを有している。
本実施の形態においては、前記入力側第2従動ギヤ54bは、第2要素に相対回転不能に連結された前記変速中間軸43に相対回転不能に支持された状態で、前記入力側第2駆動ギヤ52bに噛合されている。
本実施の形態においては、前記入力側第1及び第2クラッチ機構60a、60bは、摩擦板式クラッチ機構とされている。
前記入力側第1及び第2クラッチ機構60a、60bは、それぞれ、前記入力側第1及び第2駆動ギヤ52a、52bを前記主駆動軸212に係脱させるように前記主駆動軸212に支持される。
詳しくは、前記入力側第1クラッチ機構60aは、前記主駆動軸212に相対回転不能に支持された入力側クラッチハウジング62と、前記入力側クラッチハウジング62に相対回転不能に支持された第1駆動側摩擦板及び前記第1駆動側摩擦板に対向された状態で前記入力側第1駆動ギヤ52aに相対回転不能に支持された第1従動側摩擦板を含む入力側第1摩擦板群64aと、前記入力側第1摩擦板群64aを摩擦係合させる入力側第1ピストン(図示せず)とを有している。
前記入力側第2クラッチ機構60bは、前記入力側クラッチハウジング62と、前記入力側クラッチハウジング62に相対回転不能に支持された第2駆動側摩擦板及び前記第2駆動側摩擦板に対向された状態で前記入力側第2駆動ギヤ52bに相対回転不能に支持された第2従動側摩擦板を含む入力側第2摩擦板群64bと、前記入力側第2摩擦板群64bを摩擦係合させる入力側第2ピストン(図示せず)とを有している。
前記出力側第1伝動機構70aは、第2要素の回転動力を前記変速出力軸45に伝達可能に構成されている。
本実施の形態においては、前記出力側第1伝動機構70aは、前記入力側第2伝動機構50bにおける前記入力側第2従動ギヤ54bを利用して、前記第2要素の回転動力を前記変速出力軸45に作動伝達し得るように構成されている。
詳しくは、図1及び図3に示すように、前記出力側第1伝動機構70aは、前記入力側第2従動ギヤ54bと、前記変速出力軸45に相対回転自在に支持された状態で前記入力側第2従動ギヤ54bに作動連結された出力側第1従動ギヤ74aとを有している。
前記出力側第2伝動機構70bは、第1要素の回転動力を前記変速出力軸45に伝達可能に構成されている。
本実施の形態においては、前記出力側第2伝動機構70bは、前記入力側第1伝動機構50aにおける前記入力側第1従動ギヤ54aを利用して、前記第1要素の回転動力を前記変速出力軸45に作動伝達し得るように構成されている。
詳しくは、図1及び図3に示すように、前記出力側第2伝動機構70bは、前記入力側第1従動ギヤ54aと、前記変速出力軸45に相対回転自在に支持された状態で前記入力側第1従動ギヤ54aに作動連結された出力側第2従動ギヤ74bとを有している。
前記出力側第1及び第2クラッチ機構80a、80bは、摩擦板式クラッチ機構とされている。
本実施の形態においては、前記出力側第1及び第2クラッチ機構80a、80bは、それぞれ、前記出力側第1及び第2従動ギヤ74a、74bを前記変速出力軸45に係脱させるように前記変速出力軸45に支持される。
詳しくは、前記出力側第1クラッチ機構80aは、前記変速出力軸45に相対回転不能に支持された出力側クラッチハウジング82と、前記出力側第1従動ギヤ74aに相対回転不能に支持された第1駆動側摩擦板及び前記第1駆動側摩擦板に対向された状態で前記出力側クラッチハウジング82に相対回転不能に支持された第1従動側摩擦板を含む出力側第1摩擦板群84aと、前記出力側第1摩擦板群を摩擦係合させる出力側第1ピストン(図示せず)とを有している。
前記出力側第2クラッチ機構80bは、前記出力側クラッチハウジング82と、前記出力側第2従動ギヤ74bに相対回転不能に支持された第2駆動側摩擦板及び前記第2駆動側摩擦板に対向された状態で前記出力側クラッチハウジング82に相対回転不能に支持された第2従動側摩擦板を含む出力側第2摩擦板群84bと、前記出力側第2摩擦板群を摩擦係合させる出力側第2ピストン(図示せず)とを有している。
前記トランスミッション構造1は、さらに、前記入力側第1クラッチ機構60a、前記入力側第2クラッチ機構60b、前記出力側第1クラッチ機構80a及び前記出力側第2クラッチ機構80bの係脱を切替える伝動状態切替アクチュエータ300を有している。
前記伝動状態切替アクチュエータ300は、前記制御装置によって作動制御可能な限り、電動モータや油圧機構等、種々の構成を取り得る。
図2に示すように、本実施の形態に係るトランスミッション構造1は、前記伝動状態切替アクチュエータ300として、伝動状態切替油圧機構302を有している。
前記伝動状態切替油圧機構302は、前記HST10のチャージライン130及び前記油圧サーボ機構152と共通の油源(前記第1油圧ポンプ110)を利用するように構成されている。
詳しくは、前記伝動状態切替油圧機構302は、基端側が前記作動油ライン120に流体接続されたクラッチライン310と、先端側が前記入力側第1クラッチ機構60a、前記入力側第2クラッチ機構60b、前記出力側第1クラッチ機構80a及び前記出力側第2クラッチ機構80bにそれぞれ流体接続された入力側第1給排ライン320a、入力側第2給排ライン320b、出力側第1給排ライン330a及び出力側第2給排ライン330bと、ドレンライン340と、前記クラッチライン310及び前記ドレンライン340と前記入力側第1給排ライン320a、前記入力側第2給排ライン320b、前記出力側第1給排ライン330a及び前記出力側第2給排ライン330bのそれぞれとの間に介挿された入力側第1電磁弁325a、入力側第2電磁弁325b、出力側第1電磁弁335a及び出力側第2電磁弁335bとを備えている。
前記入力側第1電磁弁325a、前記入力側第2電磁弁325b、前記出力側第1電磁弁335a及び前記出力側第2電磁弁335bは、前記制御装置100によって作動制御され、対応する給排ライン320a、320b、330a、330bを前記クラッチライン310に流体接続する供給位置と、対応する給排ライン320a、320b、330a、330bを前記ドレンライン340に流体接続する排出位置とを取り得るようになっている。
図2に示すように、本実施の形態においては、前記入力側第1電磁弁325a及び前記入力側第2電磁弁325bは、対応する前記入力側第1給排ライン320a及び前記入力側第2給排ライン320bの油圧増減を瞬時に行う電磁切換弁とされている。
一方、前記出力側第1電磁弁335a及び前記出力側第2電磁弁335bは、対応する前記出力側第1給排ライン330a及び前記出力側第2給排ライン330bの油圧増減速度を調整可能な電磁比例弁とされている。
図1及び図3等に示すように、本実施の形態に係る前記トランスミッション構造1は、さらに、前記駆動輪220へ向けて駆動回転動力を出力する走行出力軸47と、前記変速出力軸45の回転動力を前進方向及び後進方向への駆動回転動力として前記走行出力軸47へそれぞれ作動伝達させる前進側伝動機構400F及び後進側伝動機構400Rと、前記前進側伝動機構400F及び前記後進側伝動機構400Rの動力伝達をそれぞれ係脱させる摩擦板式の前進側クラッチ機構410F及び後進側クラッチ機構410Rとを備えている。
図1及び図3に示すように、前記前進側伝動機構400Fは、前記変速出力軸45に支持された前進側駆動ギヤ402F及び前記走行出力軸47に支持された状態で、前記前進側駆動ギヤ402Fに噛合された前進側従動ギヤ404Fを含む前進側ギヤ列を有している。
本実施の形態においては、前記前進側駆動ギヤ402Fは前記変速出力軸45に相対回転不能に支持されており、前記前進側従動ギヤ404Fは前記走行出力軸47に相対回転自在に支持されている。
前記後進側伝動機構400Rは、前記変速出力軸45に支持された後進側駆動ギヤ402R及び前記走行伝動軸47に支持された状態で、アイドルギヤ403(図1参照)を介して前記後進側駆動ギヤ402Rに噛合された後進側従動ギヤ404Rを含む後進側ギヤ列を有している。
本実施の形態においては、前記後進側駆動ギヤ402Rは前記変速出力軸45に相対回転不能に支持されており、前記後進側従動ギヤ404Rは前記走行出力軸47に相対回転自在に支持されている。
本実施の形態においては、前記前進側クラッチ機構410F及び前記後進側クラッチ機構410Rは、それぞれ、前記前進側従動ギヤ404F及び前記後進側従動ギヤ404Rを前記走行出力軸47に係脱させるように前記走行出力軸47に支持されている。
詳しくは、前記前進側クラッチ機構410Fは、前記走行出力軸47に相対回転不能に支持された前後進クラッチハウジング412と、前記前後進クラッチハウジング412に相対回転不能に支持された前進従動側摩擦板及び前記前進従動側摩擦板に対向された状態で前記前進側従動ギヤ404Fに相対回転不能に支持された前進駆動側摩擦板を含む前進側摩擦板群414Fと、前記前進側摩擦板群414Fを摩擦係合させる前進側ピストン(図示せず)とを有している。
前記後進側クラッチ機構410Rは、前記前後進クラッチハウジング412と、前記前後進クラッチハウジング412に相対回転不能に支持された後進従動側摩擦板及び前記後進従動側摩擦板に対向された状態で前記後進側従動ギヤ404Rに相対回転不能に支持された後進駆動側摩擦板を含む後進側摩擦板群414Rと、前記後進側摩擦板群414Rを摩擦係合させる後進側ピストン(図示せず)とを有している。
前記前進側クラッチ機構410F及び前記後進側クラッチ機構410Rは前記伝動状態切替アクチュエータ300(本実施の形態においては前記伝動状態切替油圧機構302)によって係脱の切替えが行われるようになっている。
即ち、前記制御装置100は、前記変速操作部材90が前進側へ操作されたことを認識すると、前記前進側クラッチ機構410Fが係合状態となり且つ前記後進側クラッチ機構410Rが解除状態となるように前記伝動状態切替アクチュエータ300を作動させ、前記変速操作部材90が後進側へ操作されたことを認識すると、前記前進側クラッチ機構410Fが解除状態となり且つ前記後進側クラッチ機構410Rが係合状態となるように前記伝動状態切替アクチュエータ300を作動させる。
前述の通り、前記トランスミッション構造1は、前記伝動状態切替アクチュエータ300として、前記伝動状態切替油圧機構302を有している。
図2に示すように、前記伝動状態切替油圧機構302は、さらに、先端側が前記前進側クラッチ機構410F及び前記後進側クラッチ機構410Rにそれぞれ流体接続された前進側給排ライン350F及び後進側給排ライン350Rと、前記クラッチライン310及び前記ドレンライン340と前記前進側給排ライン350F及び前記後進側給排ライン350Rのそれぞれとの間に介挿された前進側電磁弁355F及び後進側電磁弁355Rとを備えている。
前記前進側電磁弁355F及び前記後進側電磁弁355Rは前記制御装置100によって作動制御され、対応する給排ライン350F、350Rを前記クラッチライン310に流体接続する供給位置と、対応する給排ライン350F、350Rを前記ドレンライン340に流体接続する排出位置とを取り得るようになっている。
図2に示すように、本実施の形態においては、前記前進側電磁弁355F及び前記後進側電磁弁355Rは、対応する前記前進側給排ライン350F及び前記後進側給排ライン350Rの油圧増減を瞬時に行う電磁切換弁とされている。
図1~図3に示すように、本実施の形態に係る前記トランスミッション構造1は、さらに、前記第1要素の回転動力を前記走行出力軸47に前進方向の駆動回転動力として作動伝達可能な出力側第3伝動機構70cと、前記出力側第3伝動機構70cの動力伝達を係脱させる出力側第3クラッチ機構80cとを備えている。
前記出力側第3伝動機構70cは、前記出力側第2伝動機構70b及び前記前進側伝動機構400Fを介して前記第1要素の回転動力が前記走行出力軸47に作動伝達される際の当該走行出力軸47の回転速よりも、前記出力側第3伝動機構70cを介して前記第1要素の回転動力が前記走行出力軸47に作動伝達される際の当該走行出力軸47の回転速が高速となるように、変速比が設定されている。
本実施の形態においては、前記出力側第3伝動機構70cは、前記出力側第2伝動機構70bにおける前記出力側第2従動ギヤ74bを利用して、前記第1要素の回転動力を前記走行出力軸47に作動伝達し得るように構成されている。
詳しくは、図1及び図3に示すように、前記出力側第3伝動機構70cは、前記出力側第2従動ギヤ74bと、前記走行出力軸47に相対回転自在に支持された状態で前記出力側第2従動ギヤ74bに作動連結された出力側第3従動ギヤ74cとを有している。
前記出力側第3クラッチ機構80cは、前記出力側第3従動ギヤ74cを前記走行出力軸47に係脱させるように前記走行伝動軸47に支持されている。
詳しくは、前記出力側第3クラッチ機構80cは、前記走行出力軸47に相対回転不能に支持された出力側クラッチハウジング83と、前記出力側第3従動ギヤ74cに相対回転不能に支持された第3駆動側摩擦板及び前記第3駆動側摩擦板に対向された状態で前記出力側クラッチハウジング83に相対回転不能に支持された第3従動側摩擦板を含む出力側第3摩擦板群84cと、前記出力側第3摩擦板群84cを摩擦係合させる出力側第3ピストン(図示せず)とを有している。
前記出力側第3クラッチ機構80cは前記伝動状態切替アクチュエータ300によって係脱の切替えが行われるようになっている。
前述の通り、前記トランスミッション構造1は、前記伝動状態切替アクチュエータ300として、前記伝動状態切替油圧機構302を有している。
図2に示すように、前記伝動状態切替油圧機構302は、さらに、先端側が前記出力側第3クラッチ機構80cに流体接続された出力側第3給排ライン330cと、前記クラッチライン310及び前記ドレンライン340と前記出力側第3給排ライン330cとの間に介挿された出力側第3電磁弁335cとを備えている。
前記出力側第3電磁弁335cは前記制御装置100によって作動制御され、対応する給排ライン330cを前記クラッチライン310に流体接続する供給位置と、対応する給排ライン330cを前記ドレンライン340に流体接続する排出位置とを取り得るようになっている。
図2に示すように、本実施の形態においては、前記出力側第3電磁弁335cは、対応する前記出力側第3給排ライン330cの油圧増減速度を調整可能な電磁比例弁とされている。
前記作業車輌200は、前記駆動輪220として、左右一対の主駆動輪を有している。
従って、前記作業車輌200は、図1に示すように、さらに、前記一対の主駆動輪をそれぞれ駆動する一対の主駆動車軸250と、前記走行出力軸の回転動力を前記一対の主駆動車軸250に差動伝達するディファレンシャル機構260とを有している。
図1に示すように、前記作業車輌200は、さらに、前記主駆動車軸250に選択的に制動力を付加する走行ブレーキ機構255と、前記走行出力軸からの回転動力によって前記一対の主駆動車軸250を強制的に同期駆動するデフロック機構265と、前記走行出力軸から取り出した回転動力を副駆動輪へ向けて選択的に出力可能な副駆動輪用駆動力取出機構270とを有している。
また、前記作業車輌200は、外部へ回転動力を出力するPTO軸280と、前記駆動源210からPTO軸280へ至るPTO伝動経路に介挿されたPTOクラッチ機構285及びPTO多段変速機構290とを有している。
ここで、前記制御装置100による変速制御について説明する。
まず、前記変速操作部材90を車速ゼロ速位置から車速前進側へ増速操作させた場合における前記制御装置100の変速制御について説明する。
図5に、前記変速操作部材90を車速ゼロ速位置から車速前進側へ増速操作させた場合における、時間経過と前記トランスミッション構造1の駆動回転動力の回転速、前記HST10の出力回転速及び前記クラッチ機構60a~60b、80a~80c、410Fの油圧との関係を示す。
前記変速操作部材90は、車速ゼロ速位置、前進側低速領域である前進側第1速段領域F1、前進側第1速段領域F1よりも前進側に高速領域である前進側第2速段領域F2、及び、前進側第2速段領域F2よりも前進側に高速領域である前進側第3速段領域F3において操作可能とされている。
なお、前記変速操作部材90は、前進側に加えて、後進側低速領域である後進側第1速段領域及び後進側第1速段領域よりも後進側に高速領域である後進側第2速段領域においても操作可能とされている。
前記変速操作部材90が車速ゼロ速位置及び第1速段領域(前進側第1速段領域F1及び後進側第1速段領域)に位置されている際には、前記制御装置90は、前記入力側第1及び第2クラッチ機構60a、60bがそれぞれ係合状態及び解除状態となるように前記伝動状態切替アクチュエータ300を作動させ、これにより、前記第1要素が前記基準動力入力部として作用し且つ前記第2要素が前記変速出力軸45へ向けて遊星歯車機構30の合成回転動力を出力する前記合成動力出力部として作用する第1HMT伝動状態を現出させる。
具体的には、図5に示すように、前記変速操作部材90が車速ゼロ速位置及び第1速段領域(前進側第1速段領域F1及び後進側第1速段領域)に位置されている際には、前記制御装置100は、前記入力側第1電磁弁325aを供給位置に位置させて前記入力側第1クラッチ機構60aの油圧を係合油圧以上(本実施の形態においては、前記リリーフ弁による設定油圧(クラッチ油圧ON))とし、且つ、前記入力側第2電磁弁325bを排出位置に位置させて前記入力側第2クラッチ機構60bの油圧を係合油圧未満(本実施の形態においてはドレン油圧(クラッチ油圧OFF))とさせることで、第1HMT伝動状態を現出させる。
その上で、前記制御装置100は、前記出力側第1及び第2クラッチ機構70a、70bがそれぞれ係合状態及び解除状態となるように前記伝動状態切替アクチュエータ300を作動させ、これにより、前記第2要素の回転動力を前記変速出力軸45に作動伝達させる第2要素出力状態を現出させる。
具体的には、図5に示すように、前記変速操作部材90が車速ゼロ速位置及び第1速段領域(前進側第1速段領域F1及び後進側第1速段領域)に位置されている際には、前記制御装置100は、前記出力側第1電磁弁335aを供給位置に位置させて前記出力側第1クラッチ機構80aの油圧を係合油圧以上(本実施の形態においては設定油圧(クラッチ油圧ON))とし、且つ、前記出力側第2電磁弁335bを排出位置に位置させて前記出力側第2クラッチ機構80bの油圧を係合油圧未満(本実施の形態においてはドレン油圧(クラッチ油圧OFF))とさせることで、第2要素出力状態を現出させる。
一方、前記変速操作部材90が第2速段領域(前進側第2速段領域F2及び後進側第2速段領域)に位置されている際には、前記制御装置100は、前記入力側第1及び第2クラッチ機構60a、60bがそれぞれ解除状態及び係合状態となるように前記伝動状態切替アクチュエータ300を作動させ、これにより、前記第2要素が前記基準動力入力部として作用し且つ前記第1要素が前記合成動力出力部として作用する第2HMT伝動状態を現出させる。
具体的には、図5に示すように、前記変速操作部材90が第2速段領域(前進側第2速段領域F2及び後進側第2速段領域)に位置されている際には、前記制御装置100は、前記入力側第1電磁弁325aを排出位置に位置させて前記入力側第1クラッチ機構60aの油圧を係合油圧未満(本実施の形態においてはドレン油圧(クラッチ油圧OFF))とし、且つ、前記入力側第2電磁弁325bを供給位置に位置させて前記入力側第2クラッチ機構60bの油圧を係合油圧以上(本実施の形態において設定油圧(クラッチ油圧ON))とさせることで、第2HMT伝動状態を現出させる。
その上で、前記制御装置100は、前記出力側第1及び第2クラッチ機構80a、80bがそれぞれ解除状態及び係合状態となるように前記伝動状態切替アクチュエータ300を作動させ、これにより、前記第1要素の回転動力を前記変速出力軸に作動伝達させる第1要素出力状態を現出させる。
具体的には、図5に示すように、前記変速操作部材90が第2速段領域(前進側第2速段領域F2及び後進側第2速段領域)に位置されている際には、前記制御装置100は、前記出力側第1電磁弁335aを排出位置に位置させて前記出力側第1クラッチ機構80aの油圧を係合油圧未満(本実施の形態においてはドレン油圧(クラッチ油圧OFF))とし、且つ、前記出力側第2電磁弁335bを供給位置に位置させて前記出力側第2クラッチ機構80bの油圧を係合油圧以上(本実施の形態においては設定油圧(クラッチ油圧ON))とさせることで、第1要素出力状態を現出させる。
図5に示すように、前記遊星歯車機構30は、第1HMT伝動状態下においては、HST出力が第1HST速とされた際に前記第2要素の出力回転動力がゼロ速となり且つHST出力が第1HST速の側から第2HST速の側へ変速されるに従って前記第2要素から出力される合成回転動力が増速される一方で、第2HMT伝動状態下においては、HST出力が第2HST速の側から第1HST速の側へ変速されるに従って前記第1要素から出力される合成回転動力が増速されるように構成されている。
また、前記入力側第1伝動機構50aの変速比(入力側第1変速比)及び前記入力側第2伝動機構50bの変速比(入力側第2変速比)は、第1HMT伝動状態下においてHST出力が第2HST速とされた際の前記第2要素の回転速と第2HMT伝動状態下において前記入力側第2伝動機構50bを介して伝達される回転動力による前記第2要素の回転速とが同一となり、且つ、第2HMT伝動状態下においてHST出力が第2HST速とされた際の前記第1要素の回転速と第1HMT伝動状態下において前記入力側第1伝動機構50aを介して伝達される回転動力による前記第1要素の回転速とが同一となるように設定されている。
前記制御装置100は、前記変速操作部材90の車速ゼロ速位置への操作に応じてHST出力が第1HST速となるように前記HST変速アクチュエータ150(本実施の形態においては前記油圧サーボ機構152)を作動させて、駆動回転動力のゼロ速を現出させ、且つ、前記変速操作部材90の車速ゼロ速位置からの第1変速段領域内での増速操作に応じてHST出力が第1HST速から第2HST速へ向けて変速するように前記HST変速アクチュエータ150(本実施の形態においては前記油圧サーボ機構152)を作動させて、第1変速段領域内での前記変速操作部材90の増速操作に応じて前記第2要素から出力される駆動回転動力を増速させる。
前記変速操作部材90の前進側第1速段領域F1から前進側第2速段領域F2へのシフトアップ操作時には、前記制御装置100は、駆動回転動力が所定速(第1/第2速段シフトアップ開始速)に到達した第1/第2速段シフトアップ開始時点で、前記入力側クラッチ機構対及び前記出力側クラッチ機構対のうちの一方のクラッチ機構対における第1HMT伝動状態の際に解除状態とされているクラッチ機構(即ち、第2クラッチ機構)を解除状態から瞬時に係合状態へ移行させ、且つ、第1/第2速段シフトアップ開始時点から所定時間経過後の第1/第2速段シフトアップ終了時点で、前記一方のクラッチ機構対における第1HMT伝動状態の際に係合状態とされているクラッチ機構(即ち、第1クラッチ機構)を係合状態から瞬時に解除状態へ移行させ、これにより、第1/第2速段シフトアップ開始時点から第1/第2速段シフトアップ終了時点までの間においては前記一方のクラッチ機構対における第1及び第2クラッチ機構の双方が係合されているシフトアップ二重伝動状態を現出させつつ、シフトアップ二重伝動状態の間に、前記入力側クラッチ機構対及び前記出力側クラッチ機構対のうちの他方のクラッチ機構対における第1HMT伝動状態の際に係合状態とされている第1クラッチ機構を係合状態から解除状態まで摩擦板を滑らせながら移行させ且つ前記他方のクラッチ機構対における第1HMT伝動状態において解除状態とされている第2クラッチ機構を解除状態から係合状態まで摩擦板を滑らせながら移行させて、前記他方のクラッチ機構対における第1クラッチ機構の係合状態から第2クラッチ機構の係合状態への切替を行うように、構成されている。
斯かる構成によれば、第1HMT伝動状態から第2HMT伝動状態へのシフトアップを、動力伝達遮断状態を招くことなく円滑に行うことができる。
さらに、本実施の形態においては、前記出力側第1伝動機構70aの変速比(出力側第1変速比)及び前記出力側第2伝動機構70bの変速比(出力側第1変速比)は、第1HMT伝動状態においてHST出力が第2HST速とされた際に前記変速出力軸45に現出される回転速と第2HMT伝動状態においてHST出力が第2HST速とされた際に前記変速出力軸45に現出される回転速とが略同一となるように設定されている。
本実施の形態においては、図5に示すように、第1/第2速段シフトアップ開始速は、第1HMT伝動状態においてHST出力が第2HST速とされた際に現出される駆動回転動力の速度とされている。
斯かる構成によれば、第1及び第2HMT伝動状態の切替時に、車速変化が生じることを有効に防止乃至は低減できる。
なお、前述の通り、本実施の形態においては、前記出力側第1及び第2クラッチ機構80a、80bは摩擦板式とされており、従って、伝動状態の切替時に前記変速出力軸45に若干の速度差が生じたとしても、この速度差は摩擦板の滑りによって有効に吸収できる。
前記制御装置100は、駆動回転動力の第1/第2速段シフトアップ開始速への到達を、例えば、前記走行出力軸47、前記変速出力軸45又は前記モータ軸16の回転速を検出する出力センサ95からの信号によって認識することができる。
本実施の形態においては、図1に示すように、前記出力センサ95は前記走行出力軸47の回転速を検出するように配置されている。
本実施の形態においては、前記入力側クラッチ機構対を形成する入力側第1及び第2クラッチ機構60a、60bに対する圧油給排を切替える入力側第1及び第2電磁弁325a、325bは電磁切換弁とされており、前記入力側第1及び第2クラッチ機構60a、60bの油圧の増減は瞬時に行われる。
一方、前記出力側クラッチ機構対を形成する出力側第1及び第2クラッチ機構80a、80bに対する圧油給排を切替える出力側第1及び第2電磁弁335a、335bは電磁比例弁とされており、前記出力側第1及び第2クラッチ機構80a、80bの油圧の増減は速度調整可能とされている。
この場合、前記入力側クラッチ機構対が前記一方のクラッチ機構対とされ、前記出力側クラッチ機構対が前記他方のクラッチ機構対とされる。
即ち、図5に示すように、前記制御装置100は、第1/第2速段シフトアップ開始時点で、前記入力側第2電磁弁325bを排出位置から供給位置に移動させて、前記入力側クラッチ機構対のうち、第1HMT伝動状態において解除状態とされている前記入力側第2クラッチ機構60bを解除状態から瞬時に係合状態へ移行させ、且つ、第1/第2速段シフトアップ終了時点で、前記入力側第1電磁弁325aを供給位置から排出位置に移動させて、前記入力側クラッチ機構対のうち、第1HMT伝動状態において係合状態とされている前記入力側第1クラッチ機構60aを係合状態から瞬時に解除状態へ移行させることで、第1/第2速段シフトアップ開始時点から第1/第2速段シフトアップ終了時点までの間においては前記入力側クラッチ機構対の前記入力側第1及び第2クラッチ機構60a、60bの双方が係合されているシフトアップ二重伝動状態を現出させている。
さらに、前記制御装置100は、電磁比例弁とされている出力側第1電磁弁335aを供給位置から排出位置へ移動させて前記出力側第1クラッチ機構80aの油圧を設定油圧(クラッチ油圧ON)から係合油圧を介してドレン油圧(クラッチ油圧OFF)まで漸減させて、前記出力側第1クラッチ機構80aを係合状態から解除状態まで摩擦板を滑らせながら移行させ、且つ、電磁比例弁とされている出力側第2電磁弁335bを排出位置から供給位置へ移動させて前記出力側第2クラッチ機構80bの油圧をドレン油圧(クラッチ油圧OFF)から係合油圧を介して設定油圧(クラッチ油圧ON)まで漸増させて、前記出力側第2クラッチ機構80bを解除状態から係合状態まで摩擦板を滑らせながら移動させており、この前記出力側第1クラッチ機構80aの係合状態から前記出力側第2クラッチ機構80bの係合状態への切替を、シフトアップ二重伝動状態の間に行っている。
本実施の形態においては、図5に示されるように、前記出力側第1電磁弁335aの供給位置から排出位置への移動、及び、前記出力側第2電磁弁335bの排出位置から供給位置への移動を、第1/第2速段シフトアップ開始時点より前に行っている。
詳しくは、前記制御装置100は、駆動回転動力の回転速が第1/第2速段シフトアップ開始速より所定速度だけ低速の第1/第2速段シフトアップ準備速度に到達した時点において、前記出力側第1電磁弁335aの供給位置から排出位置への移動、及び、前記出力側第2電磁弁335bの排出位置から供給位置への移動を行っている。
この場合、電磁比例弁とされている前記出力側第1及び第2電磁弁335a、335bは、第1/第2速段シフトアップ開始時点から第1/第2速段シフトアップ終了時点までの期間の間に、前記出力側第1クラッチ機構80aの油圧が設定油圧(クラッチ油圧ON)から係合油圧未満となり且つ前記出力側第2クラッチ機構80bの油圧がドレン油圧(クラッチ油圧OFF)から係合油圧以上となり、その後に、前記出力側第1クラッチ機構80aの油圧がドレン油圧(クラッチ油圧OFF)に到達し且つ前記出力側第2クラッチ機構80bの油圧が設定油圧(クラッチ油圧ON)に到達するように、油圧増減速度が設定されている。
図5に示すように、前記変速操作部材90が第2速度領域(前進側第2速段領域F2及び後進側第2速桟領域)内に位置されている場合には、前記制御装置100は、前記変速操作部材90の増速操作に従ってHST出力が第2HST速の側から第1HST速の側へ変速するように前記HST変速アクチュエータ150を作動させて、駆動回転動力を増速させる。
前記変速操作部材90が前進側第2速段領域F2から前進側第3速段領域F3へシフトアップ操作される際には、前記制御装置100は、駆動回転動力が所定の第2/第3速段シフトアップ開始速に到達した第2/第3速段シフトアップ開始時点で前記出力側第2クラッチ機構80b及び前記前進側クラッチ機構410Fを係合状態から瞬時に解除状態へ移行させ、且つ、第2/第3速段シフトアップ開始時点から所定時間経過後の第2/第3速段シフトアップ終了時点で前記出力側第3クラッチ機構80cを解除状態から係合状態へ移行させることで、第2/第3速段シフトアップ開始時点から第2/第3速段シフトアップ終了時点までの間においては前記走行出力軸47への動力伝達が遮断されたシフトアップ空走状態を現出させつつ、シフトアップ空走状態の間に、HST出力が所定の第2/第3速段切替速となるように前記HST変速アクチュエータ150を作動させる。
ここで、所定の第2/第3速段切替速とは、前記第2要素から前記出力側第3伝動機構70cを介して作動伝達される回転動力によって現出される前記走行出力軸47の回転速を、第2/第3速段シフトアップ開始時点において前記第2要素から前記出力側第2伝動機構70b及び前記前進側伝動機構400Fを介して作動伝達される回転動力によって現出される前記走行出力軸47の回転速に一致又は近接させる速度とされる。
なお、本実施の形態においては、第2/第3速段シフトアップ開始時点を画する第2/第3速段シフトアップ開始速とは、HST出力が第1HST速とされた際に前記第2要素から前記出力側第2伝動機構70b及び前記前進側伝動機構400Fを介して作動伝達される回転動力によって現出される前記走行出力軸47の回転速とされている。
本実施の形態においては、前述の通り、前記出力側第3クラッチ機構80cに対する圧油給排を切替える出力側第3電磁弁335cは電磁比例弁とされている。
前記出力側第3電磁弁335cは、第2/第3速段シフトアップ開始時点から第2/第3速段シフトアップ終了時点までの所定時間で、前記出力側第3クラッチ機構80cの油圧をドレン油圧(クラッチ油圧OFF)から係合油圧まで漸増させるように、油圧増加速度が設定されている。
この場合、前記制御装置100は、第2/第3速段シフトアップ開始時点で、前記出力側第3電磁弁335cを排出位置から供給位置へ移動させることにより、第2/第3速段シフトアップ開始時点から第2/第3速段シフトアップ終了時点までの間にシフトアップ空走状態を確実に現出することができる。
前記変速操作部材90が前進側第3速段領域F3に位置されている際には、前記制御装置100は、第2HMT伝動状態を現出させた状態で、前記出力側第1及び第2クラッチ機構80a、80bを解除状態とさせ、且つ、前記出力側第3クラッチ機構80cを係合状態とさせつつ、駆動回転動力の回転速度が前記変速操作部材90の操作位置に応じた回転速度となるように、前記HST変速アクチュエータ150の作動制御を行う。
詳しくは、図5に示すように、前記変速操作部材90が前進側第3速段領域F3に位置されている際には、前記制御装置100は、前記変速操作部材90の増速操作に応じて、HST出力が第2/第3速段切替速の側から第1HST速の側へ変速するように前記HST変速アクチュエータ150を作動させる。
なお、前記変速操作部材90が前進側第3速段領域F3に位置されている際には、前記変速出力軸45から前記走行出力軸47へは動力を伝達する必要が無いため、前記制御装置100は、図5に示すように、前記前進側クラッチ機構410Fを解除状態とさせる。
以下、前記変速操作部材90を減速操作させた場合における前記制御装置100の変速制御について説明する。
図6に、前記変速操作部材90を前進側第3速段領域F3から前進側第2速段領域F2を介して前進側第1速段領域F1へ減速操作させた場合における、時間経過と前記トランスミッション構造1の駆動回転動力の回転速、前記HST10の出力回転速及び前記クラッチ機構60a~60b、80a~80c、410Fの油圧との関係を示す。
図6に示すように、前記変速操作部材90が前進側第3速段領域F3に位置されている際には、前記制御装置100は、第2HMT伝動状態を現出させた状態で、前記出力側第1及び第2クラッチ機構80a、80bを解除状態とさせ、前記出力側第3クラッチ機構80cを係合状態とさせ、且つ、前記前進側クラッチ機構410Fを解除状態とさせた上で、前記変速操作部材90の減速操作に応じてHST出力が第1HST速の側から第2HST速の側へ変化するように前記HST変速アクチュエータ150を作動させ、これにより、前記第1要素から前記出力側第3伝動機構70c及び前記出力側第3クラッチ機構80cを介して前記走行出力軸47に作動伝達される駆動回転動力の回転速度を前記変速操作部材90の減速操作に応じて減速させる。
前記変速操作部材90の前進側第3速段領域F3から前進側第2速段領域F2へのシフトダウン操作時には、前記制御装置100は、駆動回転動力が所定速(第3/第2速段シフトダウン開始速)に到達した第3/第2速段シフトダウン開始時点で、前記出力側第3クラッチ機構80cを係合状態から解除状態へ移行させ、且つ、第3/第2速段シフトダウン開始時点から所定時間経過後の第3/第2速段シフトダウン終了時点で前記出力側第2クラッチ機構80b及び前記前進側クラッチ機構410Fを解除状態から係合状態へ移行させ、これにより、第3/第2速段シフトダウン開始時点から第3/第2速段シフトダウン終了時点までの間においては前記走行出力軸47への動力伝達経路が遮断されたシフトダウン空走状態を現出させるように構成されている。
本実施の形態においては、図6に示すように、前記出力側第2電磁弁335bは、第3/第2速段シフトダウン開始時点から第3/第2速段シフトダウン終了時点までの所定時間において、前記出力側第2クラッチ機構80bをドレン油圧(クラッチ油圧OFF)から係合油圧まで漸増させるように、油圧増加速度が設定されている。
一方、図6に示すように、前記出力側第3電磁弁335cは、供給位置から排出位置へ位置変更されると、対応する前記出力側第3クラッチ機構80cの油圧を設定油圧(クラッチ油圧ON)からドレン油圧(クラッチ油圧OFF)まで瞬時に下降させるように設定されている。
また、前記前進側電磁弁355Fは、排出位置から供給位置への位置変更によって、対応する前進側クラッチ機構410Fの油圧をドレン油圧(クラッチ油圧OFF)から係合油圧(本実施の形態においては設定油圧(クラッチ油圧ON))まで瞬時に上昇させる。
前記制御装置100は、図6に示すように、第3/第2速段シフトダウン開始時点において、前記出力側第3電磁弁335cを供給位置から排出位置へ移動させ且つ前記出力側第2電磁弁335bを排出位置から供給位置へ移動させると共に、第3/第2速段シフトダウン終了時点において、前記前進側電磁弁355Fを排出位置から供給位置へ移動させるように構成されており、これにより、第3/第2速段シフトダウン開始時点から第3/第2速段シフトダウン終了時点までの所定時間においてシフトダウン空走状態を確実に現出させるようになっている。
前記制御装置100は、さらに、第3/第2速段シフトダウン終了時点において前記出力側第2伝動機構70b及び前記前進側伝動機構400Fを介して回転駆動される前記走行出力軸47の回転速が第3/第2速段シフトダウン開始時点において前記出力側第3伝動機構70cを介して回転駆動される前記走行出力軸47の回転速に一致又は近接するように、シフトダウン空走状態の間に前記HST変速アクチュエータ150を介して前記HST10を変速させるように構成されている。
ここで、所定の第3/第2速段切替速とは、前記第1要素から前記出力側第3伝動機構70cを介して前記走行出力軸47に回転動力が作動伝達される状態下においてHST出力が第3/第2速段切替速とされた際に前記走行出力軸47に現出される回転速が、前記第1要素から前記出力側第2伝動機構70b及び前記前進側伝動機構400Fを介して前記走行出力軸47に回転動力が作動伝達される状態下において前記走行出力軸47に現出可能な回転速に一致又は近接するような、速度とされる。
本実施の形態においては、図6に示すように、第3/第2速段切替速は、前記第1要素から前記出力側第3伝動機構を70c介して前記走行出力軸47に回転動力が作動伝達される状態下においてHST出力が第3/第2速段切替速とされた際に前記走行出力軸47に現出される回転速が、前記第1要素から前記出力側第2伝動機構70b及び前記前進側伝動機構400Fを介して前記走行出力軸47に回転動力が作動伝達される状態下においてHST出力が第1HST速とされた際に前記走行出力軸47に現出される回転速に一致又は近接するような、速度とされる。
好ましくは、第3/第2速段切替速は第2/第3速段切替速と略同一速度とされる。
斯かる構成により、前記制御装置100の制御構造の簡略化を図ることができる。
図6に示すように、前記変速操作部材90が前進側第2速段領域F2に位置されている際には、前記制御装置100は、第2HMT伝動状態を現出させた状態で、前記出力側第2クラッチ機構80b及び前記前進側クラッチ機構410Fを係合状態とさせ、且つ、前記出力側第1及び第3クラッチ機構80a、80cを解除状態とさせた上で、前記変速操作部材90の減速操作に応じてHST出力が第1HST速の側から第2HST速の側へ変速するように前記HST変速アクチュエータ150を作動させており、これにより、前記変速操作部材90の減速操作に応じて駆動回転動力が減速されるようになっている。
前記変速操作部材90の前進側第2速段領域F2から前進側第1速段領域F1へのシフトダウン操作時には、前記制御装置100は、駆動回転動力が所定速(第2/第1速段シフトダウン開始速)に到達した第2/第1速段シフトダウン開始時点で、前記入力側クラッチ機構対及び前記出力側クラッチ機構対のうちの一方のクラッチ機構対(例えば入力側クラッチ機構対)における第1クラッチ機構(入力側第1クラッチ機構60a)を解除状態から瞬時に係合状態へ移行させ、且つ、第2/第1速段シフトダウン開始時点から所定時間経過後の第2/第1速段シフトダウン終了時点で、前記一方のクラッチ機構対(入力側クラッチ機構対)における第2クラッチ機構(入力側第2クラッチ機構60b)を係合状態から瞬時に解除状態へ移行させて、第2/第1速段シフトダウン開始時点からシフトダウン終了時点までの間においては前記一方のクラッチ機構対(入力側クラッチ機構対)における第1及び第2クラッチ機構の双方が係合されているシフトダウン二重伝動状態を現出させつつ、シフトダウン二重伝動状態の間に、前記入力側クラッチ機構対及び前記出力側クラッチ機構対のうちの他方のクラッチ機構対(出力側クラッチ機構対)における第1クラッチ機構(出力側第1クラッチ機構80a)を解除状態から係合状態まで摩擦板を滑らせながら移行させ且つ前記他方のクラッチ機構対における第2クラッチ機構(出力側第2クラッチ機構80b)を係合状態から解除状態まで摩擦板を滑らせながら移行させて、前記他方のクラッチ機構対(出力側クラッチ機構対)における第2クラッチ機構の係合状態から第1クラッチ機構の係合状態への切替を行うように、構成されている。
斯かる構成によれば、第2HMT伝動状態から第1HMT伝動状態へのシフトダウンを、動力伝達遮断状態を招くことなく円滑に行うことができる。
本実施の形態においては、図6に示すように、第2/第1速段シフトダウン開始速は、第2HMT伝動状態においてHST出力が第2HST速とされた際に現出される駆動回転動力の速度とされている。
前述の通り、本実施の形態においては、前記出力側クラッチ機構対を形成する出力側第1及び第2クラッチ機構80a、80bに対する圧油給排を切替える出力側第1及び第2電磁弁335a、335bは電磁比例弁とされており、前記出力側第1及び第2クラッチ機構80a、80bの油圧の増減速度は調整可能とされている。
この場合、前記入力側クラッチ機構対が前記一方のクラッチ機構対とされ、前記出力側クラッチ機構対が前記他方のクラッチ機構対とされる。
本実施の形態においては、図6に示すように、前記制御装置100は、第2/第1速段シフトダウン開始時点で、前記入力側第1電磁弁325aを排出位置から供給位置に移動させて、前記入力側クラッチ機構対のうち、第2HMT伝動状態において解除状態とされている前記入力側第1クラッチ機構60aを解除状態から瞬時に係合状態へ移行させ、且つ、第2/第1速段シフトダウン終了時点で、前記入力側第2電磁弁325bを供給位置から排出位置に移動させて、前記入力側クラッチ機構対のうち、第2HMT伝動状態において係合状態とされている前記入力側第2クラッチ機構60bを係合状態から瞬時に解除状態へ移行させることで、第1/第2速段シフトダウン開始時点からシフトダウン終了時点までの間においては前記入力側クラッチ機構対における前記入力側第1及び第2クラッチ機構60a、60bの双方が係合されているシフトダウン二重伝動状態を現出させている。
さらに、前記制御装置100は、電磁比例弁とされている出力側第2電磁弁335bを供給位置から排出位置へ移動させて前記出力側第2クラッチ機構80bの油圧を設定油圧(クラッチ油圧ON)から係合油圧未満(詳しくはドレン油圧(クラッチ油圧OFF))まで漸減させて、前記出力側第2クラッチ機構335bを係合状態から解除状態まで摩擦板を滑らせながら移行させ、且つ、電磁比例弁とされている出力側第1電磁弁335aを排出位置から供給位置へ移動させて前記出力側第1クラッチ機構80aの油圧をドレン油圧(クラッチ油圧OFF)から係合油圧以上の油圧(詳しくは設定油圧(クラッチ油圧ON))まで漸増させて、前記出力側第1クラッチ機構80aを解除状態から係合状態まで摩擦板を滑らせながら移動させており、この前記出力側第2クラッチ機構80bの係合状態から前記出力側第1クラッチ機構80aの係合状態への切替をシフトダウン二重伝動状態の間に行っている。
本実施の形態においては、図6に示されるように、前記出力側第2電磁弁335bの供給位置から排出位置への移動、及び、前記出力側第1電磁弁335aの排出位置から供給位置への移動を、第2/第1速段シフトダウン開始時点より前に行っている。
詳しくは、前記制御装置100は、駆動回転動力の回転速が第2/第1速段シフトダウン開始速より所定速度だけ高速の第2速/第1速段シフトダウン準備速度に到達した時点において、前記出力側第2電磁弁335bの供給位置から排出位置への移動、及び、前記出力側第1電磁弁335aの排出位置から供給位置への移動を行うように構成されている。
この場合、電磁比例弁とされている前記出力側第1及び第2電磁弁335a、335bは、第2/第1側速段シフトダウン開始点から第2/第1速段シフトダウン終了時点までのシフトダウン二重伝動状態の間に、前記出力側第1クラッチ機構60aの油圧がドレン油圧(クラッチ油圧OFF)から係合油圧以上となり且つ前記出力側第2クラッチ機構60bの油圧が設定油圧(クラッチ油圧ON)から係合油圧未満となり、第2/第1速段シフトダウン終了時点から所定時間経過後に、前記出力側第1クラッチ機構60aの油圧が設定油圧(クラッチ油圧ON)に到達し且つ前記出力側第2クラッチ機構60bの油圧がドレン油圧(クラッチ油圧OFF)に到達するように、油圧増減速度が設定されている。
なお、本実施の形態においては、前述の通り、前記出力側第1及び第2電磁弁335a、335bが電磁比例弁とされて、前記出力側第1及び第2クラッチ機構80a、80bの油圧が漸増及び漸減される一方で、前記入力側第1及び第2電磁弁325a、325bが電磁切換弁とされて、前記入力側第1及び第2クラッチ機構60a、60bの油圧の増減が瞬時に行われるように構成されているが、当然ながら、本発明は斯かる形態に限定されるものではない。
例えば、前記出力側第1及び第2電磁弁335a、335bを電磁切換弁とし、且つ、前記入力側第1及び第2電磁弁325a、325bを電磁比例弁とするように、変形することも可能である。
図7及び図8に、斯かる変形を行った第1変形例における図5及び図6に対応したグラフを示す。
ここで、前進側第2速段領域F2及び前進側第3速段領域F3の間のシフト段変速の際の制御構造に関する変形例について説明する。
図9に、本実施の形態の第2変形例に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材90を車速ゼロ速位置から車速前進側へ増速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。
前記第2変形例は、本実施の形態に比して、前進側第2速段領域F2から前進側第3速段領域F3へシフトアップする際の制御方法が異なっている。
即ち、図9に示すように、前記第2変形例においては、前記変速操作部材90が前進側第2速段領域から前進側第3速段領域へシフトアップ操作される際には、前記制御装置100は、
・駆動回転動力が所定の第2/第3速段シフトアップ準備速に到達した第2/第3速段シフトアップ準備時点で前記出力側第2クラッチ機構80b及び前記前進側クラッチ機構410Fの一方(図9においては前記出力側第2クラッチ機構80b)の係合状態から解除状態への滑らせながらの移行を開始させて、第2/第3速段シフトアップ準備時点から所定時間経過後の第2/第3速段シフトアップ開始時点で前記出力側第2クラッチ機構80b及び前記前進側クラッチ機構410Fの一方を解除状態とさせ、
・第2/第3速段シフト開始時点から所定時間経過後の第2/第3速段シフトアップ中間時点で、前記出力側第2クラッチ機構80b及び前記前進側クラッチ機構410Fの他方(図9においては前記前進側クラッチ機構410F)を係合状態から解除状態へ移行させ、
・第2/第3速段シフトアップ中間時点から所定時間経過後の第2/第3速段シフトアップ終了時点で、前記出力側第3クラッチ機構80cを解除状態から係合状態へ移行させることで、
第2/第3速段シフトアップ開始時点から第2/第3速段シフトアップ終了時点までの間においては前記走行出力軸への動力伝達経路が遮断されたシフトアップ空走状態を現出させている。
さらに、前記制御装置100は、第2/第3速段シフトアップ終了時点において前記出力側第3伝動機構70cを介して回転駆動される前記走行出力軸47の回転速が、前記出力側第3クラッチ機構70cが係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸47の回転速に一致又は近接するように、シフトアップ空走状態の間に前記HST変速アクチュエータ150を介して前記HST10を変速させる。
図9に示す第2変形例においては、HST出力は、第2/第3速段シフトアップ開始時点から第2/第3速段シフトアップ終了時点までのシフトアップ空走状態の間に、第2速段側第2/第3速段切替速(この例では第1HST速)から第3速段側第2/第3速段切替速に変速されている。
図10に、本実施の形態の第3変形例に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材90を車速ゼロ速位置から車速前進側へ増速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。
前記第3変形例も、本実施の形態に比して、前進側第2速段領域F2から前進側第3速段領域F3へシフトアップする際の制御方法が異なっている。
即ち、図10に示すように、前記第3変形例においては、前記変速操作部材90が前進側第2速段領域から前進側第3速段領域へシフトアップ操作される際には、前記制御装置100は、
・駆動回転動力が所定の第2/第3速段シフトアップ準備速に到達した第2/第3速段シフトアップ準備時点で前記出力側第2クラッチ機構80bの係合状態から解除状態への滑らせながらの移行及び前記出力側第3クラッチ機構80cの解除状態から係合状態への滑らせながらの移行を開始させて、第2/第3速段シフトアップ準備時点から所定時間経過後の第2/第3速段シフトアップ終了時点で前記出力側第2クラッチ機構80bを解除状態とさせ且つ前記出力側第3クラッチ機構80cを係合状態とさせ、
・第2/第3速段シフトアップ終了時点より前の時点(即ち、第2/第3速段シフトアップ開始時点)で前記前進側クラッチ機構410Fを係合状態から解除状態へ移行させさせることで、
第2/第3速段シフトアップ開始時点から第2/第3速段シフトアップ終了時点までの間においては前記走行出力軸47への動力伝達経路が遮断されたシフトアップ空走状態を現出させている。
さらに、前記制御装置100は、第2/第3速段シフトアップ終了時点において前記出力側第3伝動機構70cを介して回転駆動される前記走行出力軸47の回転速が、前記出力側第3クラッチ機構70cが係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸47の回転速に一致又は近接するように、シフトアップ空走状態の間に前記HST変速アクチュエータ150を介して前記HST10を変速させる。
図10に示す第2変形例においても、HST出力は、第2/第3速段シフトアップ開始時点から第2/第3速段シフトアップ終了時点までのシフトアップ空走状態の間に、第2速段側第2/第3速段切替速(この例では第1HST速)から第3速段側第2/第3速段切替速に変速されている。
図11に、本実施の形態の第4変形例に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材90を前進側第3速段領域から前進側第2速段領域を介して前進側第1速段領域へ減速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。
前記第4変形例は、本実施の形態に比して、前進側第3速段領域F3から前進側第2速段領域F2へシフトダウンする際の制御方法が異なっている。
即ち、図11に示すように、前記第4変形例においては、前記変速操作部材90が前進側第3速段領域から前進側第2速段領域へシフトダウン操作される際には、前記制御装置100は、
・駆動回転動力が所定の第3/第2速段シフトダウン開始速に到達した第3/第2速段シフトダウン開始時点で前記出力側第3クラッチ機構80cを係合状態から解除状態へ移行させ、
・第3/第2速段シフトダウン開始時点から所定時間経過後の第3/第2速段シフトダウン中間時点で前記前進側クラッチ機構410Fを解除状態から係合状態へ移行させ、
・第3/第2速段シフトダウン中間時点から所定時間経過後の第3/第2速段シフトダウン終了時点で前記出力側第2クラッチ機構80bを解除状態から係合状態へ移行させることで、
第3/第2速段シフトダウン開始時点から第3/第2速段シフトダウン終了時点までの間においては前記走行出力軸47への動力伝達経路が遮断されたシフトダウン空走状態を現出させている。
さらに、前記制御装置100は、第3/第2速段シフトダウン終了時点において前記出力側第2伝動機構70b及び前記前進側伝動機構400Fを介して回転駆動される前記走行出力軸47の回転速が、前記出力側第2伝動機構70bが係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸47の回転速に一致又は近接するように、シフトダウン空走状態の間に前記HST変速アクチュエータ150を介して前記HST10を変速させる。
図11に示す第4変形例においては、HST出力は、第3/第2速段シフトダウン開始時点から第3/第2速段シフトダウン終了時点までのシフトダウン空走状態の間に、第3速段側第3/第2速段切替速から第2速段側第3/第2速段切替速(この例では第1HST速)に変速されている。
前記第4変形例によれば、前進側第3速段から前進側第2速段へのシフトダウン時における前記出力側第2クラッチ機構80bの解除状態から係合状態への移行を、前記出力側第2クラッチ機構80bの駆動側及び従動側の間の速度差が低減された状態で行なうことができる。
従って、前進側第3速段から前進側第2速段へのシフトダウン時に、前記走行出力軸47の側から前記主駆動軸212へ大きな逆トルクが伝達されることを防止して、過負荷による前記駆動源210のエンジンストール等を有効に防止することができる。
図12に、本実施の形態の第5変形例に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材90を前進側第3速段領域から前進側第2速段領域を介して前進側第1速段領域へ減速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。
図12に示すように、前記第5変形例は、前記出力側第2クラッチ機構80bの解除状態から係合状態への移行が滑りながら徐々に行われる点においてのみ、前記第4変形例と相違している。
図13に、本実施の形態の第6変形例に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材90を前進側第3速段領域から前進側第2速段領域を介して前進側第1速段領域へ減速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。
前記第6変形例は、前進側第3速段領域F3から前進側第2速段領域F2へシフトダウンする際に、前記第4及び第5変形例における制御方法とは異なる制御方法を有している。
即ち、図13に示すように、前記第6変形例においては、前記変速操作部材90が前進側第3速段領域から前進側第2速段領域へシフトダウン操作される際には、前記制御装置100は、
・駆動回転動力が所定の第3/第2速段シフトダウン開始速に到達した第3/第2速段シフトダウン開始時点で前記出力側第3クラッチ機構80cを係合状態から解除状態へ移行させ、
・第3/第2速段シフトダウン開始時点から所定時間経過後の第3/第2速段シフトダウン中間時点で前記出力側第2クラッチ機構80bを解除状態から係合状態へ移行させ、
・第3/第2速段シフトダウン中間時点から所定時間経過後の第3/第2速段シフトダウン終了時点で前記前進側クラッチ機構410Fを解除状態から係合状態へ移行させることで、
第3/第2速段シフトダウン開始時点から第3/第2速段シフトダウン終了時点までの間においては前記走行出力軸47への動力伝達経路が遮断されたシフトダウン空走状態を現出させている。
前記制御装置100は、前記出力側第2クラッチ機構80bの解除状態から係合状態への移行時点(即ち、第3/第2速段中間時点)において前記出力側第2伝動機構70bを介して伝達される回転動力による前記変速出力軸45の回転速度が、前記出力側第2クラッチ機構70bが係合状態へ移行される直前における前記変速出力軸45の実際の回転速に一致又は近接するように、前記出力側第3クラッチ機構80cが係合状態から解除状態へ移行された時点(即ち、第3/第2速段シフトダウン開始時点)と前記出力側第2クラッチ機構80bが解除状態から係合状態へ移行された時点(即ち、第3/第2速段シフトダウン中間時点)との間において前記HST変速アクチュエータ150を介して前記HST10を変速させる。
さらに、前記制御装置100は、前記前進側クラッチ機構410Fの解除状態から係合状態への移行時点(即ち、第3/第2速段シフトダウン終了時点)において前記出力側第2伝動機構70b及び前記前進側伝動機構400Fを介して回転駆動される前記走行出力軸47の回転速が、前記前進側クラッチ機構400Fが係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸47の回転速に一致又は近接するように、前記出力側第2クラッチ機構80bが解除状態から係合状態へ移行された時点から前記前進側クラッチ機構410Fが解除状態から係合状態へ移行された時点までの間において前記HST変速アクチュエータ150を介して前記HST10を変速させる。
詳しくは、前進側第3速段の係合時には前記出力側第2クラッチ機構80bが解除状態とされている為、理論上においては、前記変速出力軸45には前記駆動源210からの回転動力は伝達されない。
しかしながら、潤滑及び冷却の為に前記トランスミッション構造を収容する下記ミッションケース500には油が貯留されており、前記出力側第2クラッチ機構80bの解除状態においても、実際には、前記出力側第2クラッチ機構80bの駆動側から従動側へ貯留油を介して回転動力が伝達されて、前記変速出力軸45が回転する。
この点を踏まえて、第6変形例においては、前記HST10は、前記前進側クラッチ機構410Fが解除状態のままで前記出力側第2クラッチ機構80bだけが解除状態から係合状態へ移行される時点(第3/第2速段シフトダウン中間時点)においては、前記出力側第2伝動機構70bを介して駆動される前記変速出力軸の回転速度が、その時点で貯留油を介して駆動されている前記変速出力軸45の回転速度に一致又は近接するように、変速され(以下、第1段変速という)、その後に、前記前進側クラッチ機構410Fが解除状態から係合状態へ移行される時点(第3/第2速段シフトダウン終了時点)においては、前記出力側第2伝動機構70b及び前記前進側伝動機構400Fを介して駆動される前記走行出力軸47の回転速度が、前記前進側クラッチ機構400Fが係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸47の回転速度に一致又は近接するように、変速される(以下、第2段変速)。
従って、前進側第3速段から前進側第2速段へのシフトダウン時に、前記走行出力軸47の側から前記主駆動軸212へ大きな逆トルクが伝達されることを防止して、過負荷による前記駆動源のエンジンストール等を有効に防止することができる。
図13に示すように、前記第6変形例においては、前記第1段変速は、HST出力を第3速段側第3/第2段切替速から第3/第2速段切替中間速に変速し、前記第2段変速はHST出力を2第3/第2速段切替中間速から第2速段側第3/第2段切替速に変速するように構成されている。
図14に、本実施の形態の第7変形例に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材90を前進側第3速段領域から前進側第2速段領域を介して前進側第1速段領域へ減速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。
図14に示すように、前記第7変形例は、前記出力側第2クラッチ機構80bの解除状態から係合状態への移行が瞬間的に行われる点においてのみ、前記第6変形例と相違している。
図15に、本実施の形態の第8変形例に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材90を車速ゼロ速位置から車速前進側へ増速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。
前記第8変形例は、前記第2変形例に対して、前進側第2速段から前進側第3速段へシフトアップする際のHST変速制御を変更している。
前記第2変形例(図9参照)においては、前記制御装置100は、第2/第3速段シフトアップ開始時点から第2/第3速段シフトアップ終了時点までの空走期間におけるHST変速制御を、第2/第3速段シフトアップ終了時点において前記HST10が出力すべき回転速(即ち、第3速段側第2/第3速段切替速)を目標回転速度として実行する。
これに対し、前記第8変形例においては、図15に示すように、前記制御装置100は、前進側第2速段から前進側第3速段へのシフトアップの際のHST変速制御を、第2/第3速段シフトアップ開始時点から所定時間経過するまでの間の開始期間においては、第2/第3速段シフトアップ終了時点において前記HST10が出力すべき変更後シフト段切替速(即ち、第3速段側第2/第3速段切替速)から第2/第3速段シフトアップ開始時点での実際のHST出力回転速度とは反対側へ増速された開始期間目標速を目標回転速度として実行し、且つ、開始期間の終了後においては、前記出力側第3クラッチ機構80cが係合状態へ移行された時点において前記出力側第3伝動機構70cを介して回転駆動される前記走行出力軸47の回転速を前記出力側第3クラッチ機構80cが係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸47の回転速に一致させるHST出力回転速を、HST変速制御の目標回転速として実行する。
かかる第8変形例によれば、前進側第2速段から前進側第3速段へのシフトアップの際のHST10の変速を迅速に行うことができる。
前記第8変形例においては、開始期間目標速は、第1及び第2HST速のうち、変更後シフト段切替速を基準にして、シフト段変更開始時点での実際のHST出力回転速度とは反対側に位置するHST速(この例においては第2HST速)とされている。
図16に、本実施の形態の第9変形例に係るトランスミッション構造において前記変速操作部材90を前進側第3速段領域から前進側第2速段領域を介して前進側第1速段領域へ減速操作させた場合における、時間経過と当該トランスミッション構造の駆動回転動力の回転速、HST出力の回転速及びクラッチ機構の油圧との関係を示すグラフである。
前記第9変形例は、前記第5変形例に対して、前進側第3速段から前進側第2速段へシフトアップする際のHST変速制御を変更している。
前記第5変形例(図12参照)においては、前記制御装置100は、第3/第2速段シフトダウン開始時点から第3/第2速段シフトダウン終了時点までの空走期間におけるHST変速制御を、第3/第2速段シフトアップ終了時点において前記HST10が出力すべき回転速(即ち、第2速段側第3/第2速段切替速、図12においては第1HST速)を目標回転速度として実行する。
これに対し、前記第9変形例においては、図16に示すように、前記制御装置100は、前進側第3速段から前進側第2速段へのシフトダウンの際のHST変速制御を、第3/第2速段シフトアップ開始時点から所定時間経過するまでの間の開始期間においては、第3/第2速段シフトダウン終了時点において前記HST10が出力すべき変更後シフト段切替速(即ち、第2速段側第3/第2速段切替速)から第3/第2速段シフトダウン開始時点での実際のHST出力回転速度とは反対側へ増速された開始期間目標速を目標回転速度とし実行し、且つ、開始期間の終了後においては、前記出力側第2クラッチ機構80bが係合状態へ移行された時点において前記出力側第2伝動機構70b及び前記前進側伝送機構400Fを介して回転駆動される前記走行出力軸47の回転速を前記出力側第2クラッチ機構80bが係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸47の回転速に一致させるHST出力回転速を目標回転速としてとして実行する。
かかる第9変形例によれば、前進側第3速段から前進側第2速段へのシフトダウンの際のHST10の変速を迅速に行うことができる。
前記第9変形例においては、開始期間目標速は、第1及び第2HST速のうち、変更後シフト段切替速を基準にして、シフト段変更開始時点での実際のHST出力回転速度とは反対側に位置するHST速(この例においては第1HST速)とされている。
当然ながら、前記第8変形例及び前記第9変形例に係るHST変速制御を、本実施の形態及び他の変形例に適用することも可能である。
以下、前記トランスミッション構造1の設置構造について説明する。
本実施の形態においては、前記HST10、前記遊星歯車機構30、前記入力側第1及び第2伝動機構50a50b、前記入力側第1及び第2クラッチ機構60a、60b、前記出力側第1及び第2伝動機構70a、70b、前記出力側第1及び第2クラッチ機構80a、80b、前記変速中間軸43、前記変速出力軸45、並びに、前記走行出力軸47は、前記作業車輌1におけるミッションケース500に収容されている。
詳しくは、図3に示すように、前記ミッションケース500は、中空のケース本体510を有している。
なお、本実施の形態においては、前記ケース本体510は、長手方向に沿って直列配置された第1及び第2ケース512、515を有している。
前記ミッションケース500は、前記ケース本体510の内部空間を前後に仕切る第1軸受板520と、前記第1軸受板520より車輌前後方向に関し後方側において前記ケース本体510の内部空間を前後に仕切る第2軸受板530とを有している。
即ち、前記ケース本体510の内部空間は、前記第1及び第2軸受板520、530によって、前記第1軸受板520より前方側の前室510Fと、前後方向に関し前記第1及び第2軸受板520、530によって挟まれた中室510Mと、前記第2軸受板530より後方側の後室510Rとに区画されている。
なお、図3に示すように、本実施の形態においては、前記第1軸受板520は、前記第1ケース512の後方開口近傍において前記第1ケース512にボルト等の締結部材を介して着脱自在に連結されており、一方、前記第2軸受板530は、前記第2ケース515の前方開口近傍において前記第2ケース515にボルト等の締結部材を介して着脱自在に連結されている。
図1及び図3に示すように、前記主駆動軸212、前記変速中間軸43、前記変速出力軸45及び前記走行出力軸47は、車輌前後方向に沿った状態で前記第1及び第2軸受板520、530によって軸線回り回転自在に支持されている。
図3に示すように、前記入力側第1及び第2クラッチ機構60a、60bは、前記中室510Mに配置された状態で前記主駆動軸212に支持されている。
前記入力側第1及び第2伝動機構50a、50bは、前記中室510Mに配置された状態で前記主駆動軸212及び前記変速中間軸43に支持されている。
図3に示すように、前記ミッションケース500は、前記第2軸受板530より後方側において前記ケース本体510に設けられた第3軸受板540を有している。
本実施の形態においては、前記第3軸受板540は、前記ケース本体510(前記第2ケース515)に一体形成されている。
前記出力側第1及び第2クラッチ機構80a、80bは、前記中室510Mに配置された状態で前記変速出力軸45に支持されている。
前記出力側第1及び第2伝動機構70a、70bは、前記中室510Mに配置された状態で前記変速中間軸43及び前記変速出力軸45に支持されている。
前記出力側第3クラッチ機構80cは、前記中室510Mに配置された状態で前記走行出力軸47に支持されている。
前記出力側第3伝動機構70cは、前記中室510Mに配置された状態で前記変速出力軸45及び前記走行出力軸47に支持されている。
図3に示すように、前記変速出力軸45及び前記走行出力軸47は、後端側が前記第2軸受板530を越えて後方側へ延び、前記第3軸受板540に軸線回り回転自在に支持されている。
即ち、前記変速出力軸45及び前記走行出力軸47は、前記中室510M及び前記後室510Rに亘って延びた状態で、前記第1~第3軸受板520、530、540によって支持されている。
前記前進側クラッチ機構410F及び前記後進側クラッチ機構410Rは、前記走行出力軸47のうち前記後室510R内に位置する部分に支持されている。
前記前進側伝動機構400F及び前記後進側伝動機構400Rは、前記変速出力軸45及び前記走行出力軸47のうち前記後室510R内に位置する部分に支持されている。
図17に、図3におけるXVII-XVII線に沿った断面図を示す。
また、図18に、前記トランスミッション構造1の横断展開断面図を示す。
図3、図17及び図18に示すように、前記遊星歯車機構30は、前記変速中間軸43と同軸上において前記前室510F内に配置されている。
詳しくは、前記遊星歯車機構30は、前記サンギヤ32、前記遊星ギヤ34、前記キャリヤ38及び前記インターナルギヤ36に加えて、前記遊星ギヤ34を軸線回り回転自在に支持するキャリヤピン35を有している。
図17及び図18に示すように、前記変速中間軸43は、前端部が前記第1軸受板520を貫通して前記前室510F内に延びており、前記キャリヤ38は前記変速中間軸43に支持されている。
即ち、前記キャリヤ38は、前記キャリヤピン35を支持するフランジ部38aと、前記変速中間軸43の前端部に軸線回り相対回転不能に外挿される軸部38bとを有している。
図17に示すように、前記インターナルギヤ36は、前記遊星ギヤ34と噛合するリングギヤ部36aと、前記変速中間軸43に相対回転自在に支持された前記入力側第1従動ギヤ54aの軸部に軸線回り相対回転不能に外挿された筒部36bとを有している。
本実施の形態においては、図18に示すように、前記HST10は、前記ポンプ軸12及び前記モータ軸16が同軸上に配置されている。
詳しくは、前記HST10は、前記HSTポンプ14、前記ポンプ軸12、前記HSTモータ18、前記モータ軸16及び前記出力調整部材20に加えて、前記一対のHSTライン15a、15bが形成されたセンターセクション450と、前記HSTポンプ14を収容するポンプ空間を形成するように前記センターセクション450に連結されるポンプケース460と、前記HSTモータ18を収容するモータ空間を形成するように前記センターセクション450に連結されるモータケース470とを備えている。
図18に示すように、前記センターセクション450は、第1方向(図示の形態においては車輌前方)を向き、前記HSTポンプ14が摺接されるポンプ面を含む第1面451と、前記第1方向とは反対の第2方向(図示の形態においては車輌後方)を向き、前記HSTモータ18が摺接されるモータ面を含む第2面452とを有している。
前記ポンプケース460は、前記HSTポンプ14を囲繞する中空の周壁部462と、前記周壁部462の先端側の開口を閉塞する端壁部464とを有し、前記周壁部462の基端側の端面が前記第1面451に当接された状態で前記センターセクション450に連結されている。
前記ポンプ軸12は、基端部が前記センターセクション450に形成された軸受孔455に軸受支持され、且つ、先端部が前記ポンプケース460の端壁部464から外方へ延在された状態で当該端壁部464に直接又は間接的に軸受支持されている。
本実施の形態においては、前記ポンプ軸12の先端部のうち前記端壁部464より外方に延在された部分に前記HST入力ギヤ列214を形成するHST入力ギヤ215が相対回転不能に支持されており、前記HST入力ギヤ215の軸部がベアリングを介して前記端壁部464に支持されている。
前記モータケース470は、前記HSTモータ18を囲繞する中空の周壁部472と、前記周壁部472の先端側の開口を閉塞する端壁部474とを有し、前記周壁部472の基端側の端面が前記第2面452に当接された状態で前記センターセクション450に連結されている。
前記モータ軸16は、基端部が前記軸受孔455に軸受支持され、且つ、先端部が前記モータケース470の端壁部474から外方へ延在された状態で当該端壁部474に直接又は間接的に軸受支持されている。
本実施の形態においては、前記モータ軸16の先端部のうち前記端壁部474より外方に延在された部分に前記HST出力ギヤ列216を形成するHST出力第1ギヤ217aが相対回転不能に支持されており、前記HST出力第1ギヤ217aの軸部がベアリングを介して前記端壁部474に支持されている。
前記HST出力ギヤ列216は、前記HST出力第1ギヤ217aと、前記HST出力第1ギヤ217aと噛合するHST出力第2ギヤ217bと、前記HST出力第2ギヤ217bを相対回転不能に支持するHST出力軸218とを有している。
前記HST出力軸218は、先端部において前記サンギヤ32を軸線回り相対回転不能に支持している。
前記モータケース470には、前記周壁部472又は前記端壁部474から外方へ延在されて、前記HST出力軸218の基端部を軸受部材を介して軸線回り回転自在に支持する延在部476が設けられている。
本実施の形態においては、図18に示すように、前記ミッションケース500のケース本体510には、前記センターセクション450、前記ポンプ軸12、前記HSTポンプ14、前記ポンプケース460、前記モータ軸16、前記HSTモータ18、前記モータケース470、前記HST入力ギヤ215、前記HST出力ギヤ列216が組み付けられてなるHSTアッセンブリが挿通可能な取付開口511が設けられている。
本実施の形態においては、前記取付開口511は前記前室510Fを外部に開放させるように、前記第1ケース512に形成されている。
前記HSTアッセンブリは、前記取付開口511を閉塞しつつ前記ケース本体510の外表面に取り付けられる取付プレート550に連結されている。
即ち、前記HSTアッセンブリが連結されてなる前記取付プレート550を前記ケース本体510の外表面に取り付けることによって、前記HSTアッセンブリが前記前室510F内で固定されるようになっている。
図18に示すように、本実施の形態においては、前記ポンプケース460及び前記センターセクション450が前記取付プレート550に連結されている。
即ち、前記ポンプケース460には、前記周壁部462及び前記端壁464から外方へ延在されて前記取付プレート550に当接される連結部466が設けられている。
また、前記センターセクション450は、前記第1面451及び前記第2面452の双方と直交する第3面453が前記取付プレート550に当接されるように構成されている。
図18に示すように、前記ポンプケース460の連結部466には、前記サーボピストン155が収容されている。
本実施の形態においては、前記サーボ切替弁162は前記サーボピストン155に形成された軸線孔に収容されており、前記取付プレート550には前記サーボ切替弁162に作動連結された前記操作ピストン164及び前記操作ピストン164に供給する圧油を調整する前記出力調整弁165が収容されている。
本実施の形態に係る前記トランスミッション構造1は、さらに、種々の構成部材に対して潤滑油を供給する潤滑油供給機構600を有している。
前記潤滑油供給機構600は、前記HST10(及び前記油圧サーボ機構152)並びに前記クラッチ機構60a~60b、80a~80c、410F、410Rに圧油を供給する作動油ライン120の油圧源(前記第1油圧ポンプ110)とは異なる油圧源からの油を利用するように構成されている。
このように、前記HST10及び前記クラッチ機構60a~60b、80a~80c、410F、410Rの作動油ライン120と潤滑油ライン620とを分離することによって、前記作動油ライン120の油圧変動を有効に抑制することができる。
詳しくは、図2に示すように、前記潤滑油供給機構600は、前記駆動源210によって作動的に駆動される第2油圧ポンプ610と、前記第2油圧ポンプ610からの吐出油が供給される潤滑油ライン620と、基端部が前記潤滑油ライン620に流体接続され、前記複数の伝動機構50a~50b、70a~70c、400F、400Rによって動力伝達される伝動回転軸及び前記遊星ギヤ機構30に向けて潤滑油を案内する伝動回転軸潤滑ライン630と、基端部が前記潤滑油ライン620に流体接続され、前記HST10に向けて潤滑油を案内するHST潤滑ライン660(図4参照)とを有している。
本実施の形態においては、前記主駆動軸212、前記変速中間軸43、前記変速出力軸45及び前記走行出力軸47が前記伝動回転軸に含まれる。
この場合、図2、図3及び図17に示すように、前記潤滑油供給機構600は、さらに、前記主駆動軸212に軸線方向に沿って形成され、前記伝動回転軸潤滑ライン630から油を受け継ぐ主駆動軸孔642と、前記変速中間軸43に軸線方向に沿って形成され、前記伝動回転軸潤滑ライン630から油を受け継ぐ変速中間軸孔644と、前記変速出力軸45に軸線方向に沿って形成され、前記伝動回転軸潤滑ライン630から油を受け継ぐ変速出力軸孔646と、前記走行出力軸47に軸線方向に沿って形成され、前記伝動回転軸潤滑ライン630から油を受け継ぐ走行出力軸孔648とを有するものとされる。
前記主駆動軸孔642、前記変速中間軸孔644、前記変速出力軸孔646及び前記走行出力軸孔648は、それぞれ、所定の潤滑部位に対応した位置で外表面に開口されている。
図17に示すように、本実施の形態においては、前記変速中間軸43及び前記HST出力軸218は同軸上において対向配置されており、前記HST出力軸218には、前記変速中間軸孔644を流れる油の一部を受け継ぐHST出力軸孔645が形成されている。
詳しくは、前記変速中間軸孔644は、前記HST出力軸218と対向する端面に開口されている。
前記HST出力軸孔645は、前記変速中間軸孔644から油を受け継げるように前記変速中間軸43と対向する端面に開口され、さらに、前記変速中間軸孔644から受け継いだ油を所定の潤滑部位へ案内するように所定の潤滑部位に対応した位置で外表面に開口されている。
図3及び図17等に示すように、前記第1及び第2軸受板520、530のうちの一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)には、前記伝動回転軸潤滑ライン630を形成する伝動回転軸潤滑油路632と、前記伝動回転軸潤滑油路632から前記主駆動軸孔642、前記変速中間軸孔644、前記変速出力軸孔646及び前記走行出力軸孔648のそれぞれへの油の受け継ぎ部642a、644a、646a、648aとが形成されている。
さらに、本実施の形態においては、前記給排ライン320a~320b、330a~330c、350F、350Rにおける油の受け継ぎも前記一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)において行われている。
詳しくは、入力側第1給排ライン320aは、前記一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)に形成された入力側第1給排油路(図示せず)と、前記主駆動軸212に軸線方向に沿うように形成された入力側第1軸線油路321a(図3参照)とを有している。
前記入力側第1軸線油路321aは、基端側が前記主駆動軸212のうち前記一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)に軸受される部分の外表面に開口して油受け継ぎ部322aを介して前記入力側第1給排油路に流体接続され且つ先端側が対応するクラッチ機構60aの油室に開口されている。
入力側第2給排ライン320bは、前記一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)に形成された入力側第2給排油路(図示せず)と、前記主駆動軸212に軸線方向に沿うように形成された入力側第2軸線油路321b(図3参照)とを有している。
前記入力側第2軸線油路321bは、基端側が前記主駆動軸212のうち前記一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)に軸受される部分の外表面に開口して油受け継ぎ部322bを介して前記入力側第2給排油路に流体接続され且つ先端側が対応するクラッチ機構60bの油室に開口されている。
出力側第1給排ライン330aは、前記一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)に形成された出力側第1給排油路(図示せず)と、前記変速出力軸45に軸線方向に沿うように形成された出力側第1軸線油路331a(図3参照)とを有している。
前記出力側第1軸線油路331aは、基端側が前記変速出力軸45のうち前記一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)に軸受される部分の外表面に開口して油受け継ぎ部322aを介して前記出力側第1給排油路に流体接続され且つ先端側が対応するクラッチ機構80aの油室に開口されている。
出力側第2給排ライン330bは、前記一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)に形成された出力側第2給排油路(図示せず)と、前記変速出力軸45に軸線方向に沿うように形成された出力側第2軸線油路331b(図3参照)とを有している。
前記出力側第2軸線油路331bは、基端側が前記変速出力軸45のうち前記一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)に軸受される部分の外表面に開口して油受け継ぎ部332bを介して前記出力側第2給排油路に流体接続され且つ先端側が対応するクラッチ機構80bの油室に開口されている。
前進側給排ライン350Fは、前記一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)に形成された前進側給排油路(図示せず)と、前記走行出力軸47に軸線方向に沿うように形成された前進側軸線油路351F(図3参照)とを有している。
前記前進側軸線油路351Fは、基端側が前記走行出力軸47のうち前記一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)に軸受される部分の外表面に開口して油受け継ぎ部352Fを介して前記前進側給排油路に流体接続され且つ先端側が対応するクラッチ機構410Fの油室に開口されている。
後進側給排ライン350Rは、前記一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)に形成された後進側給排油路(図示せず)と、前記走行出力軸47に軸線方向に沿うように形成された後進側軸線油路351R(図3参照)とを有している。
前記後進側軸線油路351Rは、基端側が前記走行出力軸47のうち前記一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)に軸受される部分の外表面に開口して油受け継ぎ部352Rを介して前記後進側給排油路に流体接続され且つ先端側が対応するクラッチ機構410Rの油室に開口されている。
出力側第3給排ライン330cは、前記一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)に形成された出力側第3給排油路(図示せず)と、前記走行出力軸47に軸線方向に沿うように形成された出力側第3軸線油路331c(図3参照)とを有している。
前記出力側第3軸線油路331cは、基端側が前記走行出力軸47のうち前記一方の軸受板(本実施の形態においては前記第2軸受板530)に軸受される部分の外表面に開口して油受け継ぎ部332cを介して前記出力側第3給排油路に流体接続され且つ先端側が対応するクラッチ機構80cの油室に開口されている。
図19に、図18におけるXIX-XIX線に沿った断面図を示す。
前記HST潤滑ライン660は、図18及び図19に示すように、前記取付プレート550及び前記センターセクション450に形成されたHST潤滑油路662であって、一端部が前記取付プレート550の外表面に開口してHST潤滑ポートIN2を形成するHST潤滑油路662を有している。前記HST潤滑ポートIN2は、図2に示す前記潤滑油ライン620の末端が流体接続される。
図18に示すように、前記ポンプ軸12及び前記モータ軸16の基端部(対向端部)は互いの間に隙間を存した状態で前記軸線孔455に支持されており、前記HST潤滑油路662は、油の一部を前記隙間に案内するように形成されている。
前記HST潤滑ライン660は、さらに、前記隙間内の油を所定の潤滑部位へ案内するように前記ポンプ軸12及び前記モータ軸16にそれぞれ軸線方向に沿って形成されたポンプ軸孔663及びモータ軸孔664と、HST潤滑油路662の油の一部を所定の潤滑部位へ案内するように前記センターセクション450、前記ポンプケース460及び前記モータケース470に形成された油路665とを有している。
前記潤滑油供給機構600は、前記潤滑油ライン620の油圧を設定する潤滑油圧設定リリーフ弁625を有している。
本実施の形態においては、潤滑油圧設定リリーフ弁625は、前記HST潤滑油路662に作用するように前記取付プレート550に設けられている。
1 トランスミッション構造
10 HST
30 遊星歯車機構
45 変速出力軸
47 走行出力軸
50a、50b 入力側第1及び第2伝動機構
60a、60b 入力側第1及び第2クラッチ機構
70a~70c 出力側第1~第3伝動機構
80a~80c 出力側第1~第3クラッチ機構
90 変速操作部材
100 制御装置
152 油圧サーボ機構(HST変速アクチュエータ)
210 駆動源
212 主駆動軸
325a、325b 入力側第1及び第2電磁弁
335a~335c 出力側第1~第3電磁弁
355F、355R 前進側及び後進側電磁弁
400F、400R 前進側及び後進側伝動機構
410F、410R 前進側及び後進側クラッチ機構

Claims (24)

  1. 駆動源から作動的に入力される回転動力を無段変速して駆動輪へ向けて駆動回転動力として出力するトランスミッション構造であって、
    前記駆動源から作動的に入力される回転動力を、出力調整部材の作動位置に応じて少なくとも第1HST速及び第2HST速の間の回転動力に無段変速して出力するHSTと、
    前記出力調整部材を作動させるHST変速アクチュエータと、
    第1~第3要素を有し、前記第3要素がHST出力の入力部として作用する遊星歯車機構と、
    前記駆動源の回転動力を入力側第1変速比で前記第1要素に作動伝達可能な入力側第1伝動機構と、
    前記駆動源の回転動力を入力側第2変速比で前記第2要素に作動伝達可能な入力側第2伝動機構と、
    前記入力側第1及び第2伝動機構の動力伝達をそれぞれ係脱させる摩擦板式の入力側第1及び第2クラッチ機構を含む入力側クラッチ機構対と、
    変速出力軸と、
    前記第2要素の回転動力を出力側第1変速比で前記変速出力軸に作動伝達可能な出力側第1伝動機構と、
    前記第1要素の回転動力を出力側第2変速比で前記変速出力軸に作動伝達可能な出力側第2伝動機構と、
    前記出力側第1及び第2伝動機構の動力伝達をそれぞれ係脱させる摩擦板式の出力側第1及び第2クラッチ機構を含む出力側クラッチ機構対と、
    車速ゼロ速位置、第1速段領域及び前記第1速段領域よりも高速側の第2速段領域で操作可能とされ変速操作部材と、
    前記変速操作部材からの指令を受けて前記HST変速アクチュエータ、前記入力側クラッチ機構及び前記出力側クラッチ機構の作動制御を司る制御装置とを備え、
    前記制御装置は、前記変速操作部材が車速ゼロ速位置及び第1速段領域に位置されている際には、前記入力側第1及び第2クラッチ機構をそれぞれ係合状態及び解除状態とさせて前記第1要素が前記駆動源からの基準回転動力を入力する基準動力入力部として作用し且つ前記第2要素が前記変速出力軸へ向けて合成回転動力を出力する合成動力出力部として作用する第1HMT伝動状態を現出しつつ、前記出力側第1及び第2クラッチ機構をそれぞれ係合状態及び解除状態とさせることで前記第2要素の回転動力を前記変速出力軸に作動伝達させる一方で、前記変速操作部材が第2速段領域に位置されている際には、前記入力側第1及び第2クラッチ機構をそれぞれ解除状態及び係合状態とさせて前記第2要素が前記基準動力入力部として作用し且つ前記第1要素が前記合成動力出力部として作用する第2HMT伝動状態を現出しつつ、前記出力側第1及び第2クラッチ機構をそれぞれ解除状態及び係合状態とさせて前記第1要素の回転動力を前記変速出力軸に作動伝達させ、
    前記遊星歯車機構は、第1HMT伝動状態でHST出力が第1HST速とされた際の前記第2要素の出力回転動力がゼロ速となるように構成されており、
    前記入力側第1及び第2変速比は、第1HMT伝動状態でHST出力が第2HST速とされた際の前記第2要素の回転速と第2HMT伝動状態の際に前記入力側第2伝動機構を介して伝達される回転動力による前記第2要素の回転速とが同一となり、且つ、第2HMT伝動状態でHST出力が第2HST速とされた際の前記第1要素の回転速と第1HMT伝動状態の際に前記入力側第1伝動機構を介して伝達される回転動力による前記第1要素の回転速とが同一となるように設定され、
    前記制御装置は、さらに、
    前記変速操作部材の車速ゼロ速位置への操作に応じてHST出力が第1HST速となり、且つ、前記変速操作部材の車速ゼロ速位置からの増速操作に応じて駆動回転動力の回転速が増速するように、前記HST変速アクチュエータの作動制御を行い、
    前記変速操作部材が第1速段領域から第2速段領域へシフトアップ操作される際には、駆動回転動力が所定の第1/第2速段シフトアップ開始速に到達した第1/第2速段シフトアップ開始時点で、前記入力側クラッチ機構対及び前記出力側クラッチ機構対のうちの一方のクラッチ機構対における第2クラッチ機構を解除状態から瞬時に係合状態へ移行させ、且つ、第1/第2速段シフトアップ開始時点から所定時間経過後の第1/第2速段シフトアップ終了時点で、前記一方のクラッチ機構対における第1クラッチ機構を係合状態から瞬時に解除状態へ移行させて、第1/第2速段シフトアップ開始時点からシフトアップ終了時点までの間においては前記一方のクラッチ機構対における第1及び第2クラッチ機構の双方が係合されているシフトアップ二重伝動状態を現出させる一方で、シフトアップ二重伝動状態の間に、前記入力側クラッチ機構対及び前記出力側クラッチ機構対のうちの他方のクラッチ機構対における第1クラッチ機構を係合状態から解除状態まで摩擦板を滑らせながら移行させ且つ前記他方のクラッチ機構対における第2クラッチ機構を解除状態から係合状態まで摩擦板を滑らせながら移行させて、前記他方のクラッチ機構対における第1クラッチ機構の係合状態から第2クラッチ機構の係合状態への切替を行うことを特徴とするトランスミッション構造。
  2. 第1/第2速段シフトアップ開始速は、第1HMT伝動状態においてHST出力が第2HST速とされた際に前記出力側第1伝動機構を介して前記変速出力軸に現出される駆動回転動力の速度とされていることを特徴とする請求項1に記載のトランスミッション構造。
  3. 前記入力側第1及び第2クラッチ機構並びに前記出力側第1及び第2クラッチ機構は作動油の給排によって係合状態及び解除状態が切り換えられる油圧式とされ、
    前記トランスミッション構造には、前記制御装置による作動制御に応じて前記入力側第1及び第2クラッチ機構のそれぞれに対する作動油の給排切換を行う入力側第1及び第2電磁弁を含む入力側電磁弁対と、前記制御装置による作動制御に応じて前記出力側第1及び第2クラッチ機構のそれぞれに対する作動油の給排切換を行う出力側第1及び第2電磁弁を含む出力側電磁弁対とが備えられ、
    前記入力側電磁弁対及び前記出力側電磁弁対の一方の電磁弁は対応するクラッチ機構の油圧を漸増及び漸減可能な電磁比例弁とされ、前記入力側電磁弁対及び前記出力側電磁弁対の他方の電磁弁は対応するクラッチ機構の油圧の増減を瞬時に行う電磁切換弁とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトランスミッション構造。
  4. 前記出力側第1及び第2変速比は、第1HMT伝動状態においてHST出力が第2HST速とされた際に前記変速出力軸に現出される回転速と第2HMT伝動状態においてHST出力が第2HST速とされた際に前記変速出力軸に現出される回転速とが略同一となるように設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトランスミッション構造。
  5. 前記制御装置は、前記他方のクラッチ機構対における第1クラッチ機構を係合状態から解除状態へ摩擦板を滑らせながら移行させる当該第1クラッチ機構の切替動作、及び、前記他方のクラッチ機構対における第2クラッチ機構を解除状態から係合状態へ摩擦板を滑らせながら移行させる当該第2クラッチ機構の切替動作を、第1/第2速段シフトアップ開始時点よりも前に開始し且つ第1/第2速段シフトアップ終了時点より後に完了させることを特徴とする請求項1又は2に記載のトランスミッション構造。
  6. 前記制御装置は、前記変速操作部材が第2速段領域から第1速段領域へシフトダウン操作される際には、駆動回転動力が所定の第2/第1速段シフトダウン開始速に到達した第2/第1速段シフトダウン開始時点で、前記入力側クラッチ機構対及び前記出力側クラッチ機構対のうちの一方のクラッチ機構対おける第1クラッチ機構を解除状態から瞬時に係合状態へ移行させ、且つ、第2/第1速段シフトダウン開始時点から所定時間経過後の第2/第1速段シフトダウン終了時点で、前記一方のクラッチ機構対における第2クラッチ機構を係合状態から瞬時に解除状態へ移行させて、第2/第1速段シフトダウン開始時点からシフトダウン終了時点までの間においては前記一方のクラッチ機構対における第1及び第2クラッチ機構の双方が係合されているシフトダウン二重伝動状態を現出させる一方で、シフトダウン二重伝動状態の間に、前記入力側クラッチ機構対及び前記出力側クラッチ機構対のうちの他方のクラッチ機構対における第1クラッチ機構を解除状態から係合状態まで摩擦板を滑らせながら移行させ且つ前記他方のクラッチ機構対における第2クラッチ機構を係合状態から解除状態まで摩擦板を滑らせながら移行させて、前記他方のクラッチ機構対における第2クラッチ機構の係合状態から第1クラッチ機構の係合状態への切替を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のトランスミッション構造。
  7. 前記第2/第1速段シフトダウン開始速は、第2HMT伝動状態においてHST出力が第2HST速とされた際に前記出力側第2伝動機構を介して前記変速出力軸に現出される駆動回転動力の速度とされていることを特徴とする請求項6に記載のトランスミッション構造。
  8. 前記制御装置は、前記他方のクラッチ機構対における第2クラッチ機構を係合状態から摩擦板を滑らせながら解除状態へ移行させる当該第2クラッチ機構の切替動作、及び、前記他方のクラッチ機構対における第1クラッチ機構を解除状態から摩擦板を滑らせながら係合状態へ移行させる当該第1クラッチ機構の切替動作を、第2/第1速段シフトダウン開始時点より前に開始し且つ第2/第1速段シフトダウン終了時点より後に完了させることを特徴とする請求項6に記載のトランスミッション構造。
  9. 第2/第1速段シフトダウン開始時点を画する駆動回転動力の回転速度と第1/第2速段シフトアップ開始時点を画する駆動回転動力の回転速度とは略同一速度とされていることを特徴とする請求項6に記載のトランスミッション構造。
  10. 前記駆動輪へ向けて駆動回転動力を出力する走行出力軸と、
    前記変速出力軸の回転動力を前進方向及び後進方向への駆動回転動力として前記走行出力軸へそれぞれ作動伝達させる前進側伝動機構及び後進側伝動機構と、
    前記前進側伝動機構及び前記後進側伝動機構の動力伝達をそれぞれ係脱させる摩擦板式の前進側クラッチ機構及び後進側クラッチ機構とを含み、
    前記HSTは、第1HST速の出力が正逆一方側の回転動力とされ且つ第2HST速の出力が正逆他方側の回転動力とされるように正逆双方向の回転動力を出力するように構成され、
    前記遊星歯車機構は、第1HMT伝動状態においてはHST出力が第1HST速の側から第2HST速の側へ変速されるに従って前記第2要素から出力される合成回転動力が増速され、且つ、第2HMT伝動状態においてはHST出力が第2HST速の側から第1HST速の側へ変速されるに従って前記第1要素から出力される合成回転動力が増速され、
    前記第1速段領域は前進側第1速段領域及び後進側第1速段領域を含み、前記第2速段領域は前記前進側第1速段領域よりも高速側の前進側第2速段領域及び前記後進側第1速段領域よりも高速側の後進側第2速段領域を含み、
    前記制御装置は、前記変速操作部材の前進側への操作に応じて前記前進側及び後進側クラッチ機構をそれぞれ係合状態及び解除状態とさせ、且つ、前記変速操作部材の後進側への操作に応じて前記前進側及び後進側クラッチ機構をそれぞれ解除状態及び係合状態とさせることを特徴とする請求項1又は2に記載のトランスミッション構造。
  11. 前記前進側及び後進側クラッチ機構は作動油の給排によって係合状態及び解除状態が切り換えられる油圧式とされ、
    前記トランスミッション構造には、前記制御装置による作動制御に応じて前進側及び後進側クラッチ機構のそれぞれに対する作動油の給排切換を行う前進側及び後進側電磁弁を含む前後進切替電磁弁対が備えられていることを特徴とする請求項10に記載のトランスミッション構造。
  12. 前記第1要素の回転動力を前記走行出力軸に前進方向の駆動回転動力として作動伝達可能な出力側第3伝動機構であって、前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して前記第1要素の回転動力が前記走行出力軸に作動伝達される際の当該走行出力軸の回転速よりも、前記出力側第3伝動機構を介して前記第1要素の回転動力が前記走行出力軸に作動伝達される際の当該走行出力軸の回転速が高速となるように、変速比が設定された出力側第3伝動機構と、
    前記出力側第3伝動機構の動力伝達を係脱させる出力側第3クラッチ機構とを備え、
    前記変速操作部材は、前記前進側第2速段領域よりも高速側の前進側第3速段領域においても操作可能とされており、
    前記制御装置は、
    前記変速操作部材が前進側第3速段領域に位置されている際には、第2HMT伝動状態を現出させた状態で、前記出力側第1及び第2クラッチ機構を解除状態とさせ、且つ、前記出力側第3クラッチ機構を係合状態とさせつつ、駆動回転動力の回転速度が前記変速操作部材の操作位置に応じた回転速度となるように、前記HST変速アクチュエータの作動制御を行い、
    前記変速操作部材が前進側第2速段領域から前進側第3速段領域へシフトアップ操作される際には、駆動回転動力が所定の第2/第3速段シフトアップ開始速に到達した第2/第3速段シフトアップ開始時点で前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構を係合状態から瞬時に解除状態へ移行させ、且つ、第2/第3速段シフトアップ開始時点から所定時間経過後の第2/第3速段シフトアップ終了時点で前記出力側第3クラッチ機構を解除状態から係合状態へ移行させることで、第2/第3速段シフトアップ開始時点から第2/第3速段シフトアップ終了時点までの間においては前記走行出力軸への動力伝達経路が遮断されたシフトアップ空走状態を現出させつつ、第2/第3速段シフトアップ終了時点において前記出力側第3伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速が第2/第3速段シフトアップ開始時点において前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速に一致又は近接するように、シフトアップ空走状態の間に前記HST変速アクチュエータを介して前記HSTを変速させることを特徴とする請求項10に記載のトランスミッション構造。
  13. 前記第1要素の回転動力を前記走行出力軸に前進方向の駆動回転動力として作動伝達可能な出力側第3伝動機構であって、前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して前記第1要素の回転動力が前記走行出力軸に作動伝達される際の当該走行出力軸の回転速よりも、前記出力側第3伝動機構を介して前記第1要素の回転動力が前記走行出力軸に作動伝達される際の当該走行出力軸の回転速が高速となるように、変速比が設定された出力側第3伝動機構と、
    前記出力側第3伝動機構の動力伝達を係脱させる出力側第3クラッチ機構とを備え、
    前記変速操作部材は、前記前進側第2速段領域よりも高速側の前進側第3速段領域においても操作可能とされており、
    前記制御装置は、
    前記変速操作部材が前進側第3速段領域に位置されている際には、第2HMT伝動状態を現出させた状態で、前記出力側第1及び第2クラッチ機構を解除状態とさせ、且つ、前記出力側第3クラッチ機構を係合状態とさせつつ、駆動回転動力の回転速度が前記変速操作部材の操作位置に応じた回転速度となるように、前記HST変速アクチュエータの作動制御を行い、
    前記変速操作部材が前進側第2速段領域から前進側第3速段領域へシフトアップ操作される際には、前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構の一方を係合状態から解除状態へ滑らせながら移行させ、前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構の一方が解除状態になってから所定時間経過後に前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構の他方を係合状態から解除状態へ移行させ、且つ、前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構の他方が解除状態になってから所定時間経過後に前記出力側第3クラッチ機構を解除状態から係合状態へ移行させることで、前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構の一方が解除状態になってから前記出力側第3クラッチ機構が係合状態になるまでの間においては前記走行出力軸への動力伝達経路が遮断されたシフトアップ空走状態を現出させつつ、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態に移行された時点において前記出力側第3伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速が、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸の回転速に一致又は近接するように、シフトアップ空走状態の間に前記HST変速アクチュエータを介して前記HSTを変速させることを特徴とする請求項10に記載のトランスミッション構造。
  14. 前記第1要素の回転動力を前記走行出力軸に前進方向の駆動回転動力として作動伝達可能な出力側第3伝動機構であって、前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して前記第1要素の回転動力が前記走行出力軸に作動伝達される際の当該走行出力軸の回転速よりも、前記出力側第3伝動機構を介して前記第1要素の回転動力が前記走行出力軸に作動伝達される際の当該走行出力軸の回転速が高速となるように、変速比が設定された出力側第3伝動機構と、
    前記出力側第3伝動機構の動力伝達を係脱させる出力側第3クラッチ機構とを備え、
    前記変速操作部材は、前記前進側第2速段領域よりも高速側の前進側第3速段領域においても操作可能とされており、
    前記制御装置は、
    前記変速操作部材が前進側第3速段領域に位置されている際には、第2HMT伝動状態を現出させた状態で、前記出力側第1及び第2クラッチ機構を解除状態とさせ、且つ、前記出力側第3クラッチ機構を係合状態とさせつつ、駆動回転動力の回転速度が前記変速操作部材の操作位置に応じた回転速度となるように、前記HST変速アクチュエータの作動制御を行い、
    前記変速操作部材が前進側第2速段領域から前進側第3速段領域へシフトアップ操作される際には、前記出力側第2クラッチ機構を係合状態から滑らせながら解除状態へ移行させつつ前記出力側第3クラッチ機構を解除状態から滑らせながら係合状態へ移行させ、且つ、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態へ移行される前に前記前進側クラッチ機構を係合状態から解除状態へ移行させることで、前記前進側クラッチ機構が解除状態とされてから前記出力側第3クラッチ機構が係合状態になるまでの間においては前記走行出力軸への動力伝達経路が遮断されたシフトアップ空走状態を現出させつつ、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態に移行された時点において前記出力側第3伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速が、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸の回転速に一致又は近接するように、シフトアップ空走状態の間に前記HST変速アクチュエータを介して前記HSTを変速させることを特徴とする請求項10に記載のトランスミッション構造。
  15. 前記出力側第3クラッチ機構は作動油の給排によって係合状態及び解除状態が切り換えられる油圧式とされ、
    前記トランスミッション構造には、前記制御装置による作動制御に応じて前記出力側第3クラッチ機構に対する作動油の給排切換を行う出力側第3電磁弁が備えられていることを特長とする請求項12に記載のトランスミッション構造。
  16. 前記制御装置は、前記変速操作部材が前進側第3速段領域から前進側第2速段領域へシフトダウン操作される際には、駆動回転動力が所定の第3/第2速段シフトダウン開始速に到達した第3/第2速段シフトダウン開始時点で前記出力側第3クラッチ機構を係合状態から解除状態へ移行させ、且つ、第3/第2速段シフトダウン開始時点から所定時間経過後の第3/第2速段シフトダウン終了時点で前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構を解除状態から係合状態へ移行させることで、第3/第2速段シフトダウン開始時点から第3/第2速段シフトダウン終了時点までの間においては前記走行出力軸への動力伝達経路が遮断されたシフトダウン空走状態を現出させつつ、第3/第2速段シフトダウン終了時点において前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速が第3/第2速段シフトダウン開始時点において前記出力側第3伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速に一致又は近接するように、シフトダウン空走状態の間に前記HST変速アクチュエータを介して前記HSTを変速させることを特徴とする請求項12に記載のトランスミッション構造。
  17. 第3/第2速段シフトダウン開始速と第2/第3速段シフトアップ開始速とは略同一速度とされていることを特徴とする請求項16に記載のトランスミッション構造。
  18. 前記第1要素の回転動力を前記走行出力軸に前進方向の駆動回転動力として作動伝達可能な出力側第3伝動機構であって、前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して前記第1要素の回転動力が前記走行出力軸に作動伝達される際の当該走行出力軸の回転速よりも、前記出力側第3伝動機構を介して前記第1要素の回転動力が前記走行出力軸に作動伝達される際の当該走行出力軸の回転速が高速となるように、変速比が設定された出力側第3伝動機構と、
    前記出力側第3伝動機構の動力伝達を係脱させる出力側第3クラッチ機構とを備え、
    前記変速操作部材は、前記前進側第2速段領域よりも高速側の前進側第3速段領域においても操作可能とされており、
    前記制御装置は、
    前記変速操作部材が前進側第3速段領域に位置されている際には、第2HMT伝動状態を現出させた状態で、前記出力側第1及び第2クラッチ機構を解除状態とさせ、且つ、前記出力側第3クラッチ機構を係合状態とさせつつ、駆動回転動力の回転速度が前記変速操作部材の操作位置に応じた回転速度となるように、前記HST変速アクチュエータの作動制御を行い、
    前記変速操作部材が前進側第3速段領域から前進側第2速段領域へシフトダウン操作される際には、前記出力側第3クラッチ機構の係合状態から解除状態への移行、前記前進側クラッチ機構の解除状態から係合状態への移行、及び、前記出力側第2クラッチ機構の解除状態から係合状態への移行をこの順で行なうことで、前記出力側第3クラッチ機構の解除状態への移行から前記出力側第2クラッチ機構の係合状態への移行までの間においては前記走行出力軸への動力伝達経路が遮断されたシフトダウン空走状態を現出させつつ、前記出力側第2クラッチ機構の係合状態への移行時点において前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速が、前記出力側第2クラッチ機構が係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸の回転速に一致又は近接するように、シフトダウン空走状態の間に前記HST変速アクチュエータを介して前記HSTを変速させることを特徴とする10に記載のトランスミッション構造。
  19. 前記第1要素の回転動力を前記走行出力軸に前進方向の駆動回転動力として作動伝達可能な出力側第3伝動機構であって、前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して前記第1要素の回転動力が前記走行出力軸に作動伝達される際の当該走行出力軸の回転速よりも、前記出力側第3伝動機構を介して前記第1要素の回転動力が前記走行出力軸に作動伝達される際の当該走行出力軸の回転速が高速となるように、変速比が設定された出力側第3伝動機構と、
    前記出力側第3伝動機構の動力伝達を係脱させる出力側第3クラッチ機構とを備え、
    前記変速操作部材は、前記前進側第2速段領域よりも高速側の前進側第3速段領域においても操作可能とされており、
    前記制御装置は、
    前記変速操作部材が前進側第3速段領域に位置されている際には、第2HMT伝動状態を現出させた状態で、前記出力側第1及び第2クラッチ機構を解除状態とさせ、且つ、前記出力側第3クラッチ機構を係合状態とさせつつ、駆動回転動力の回転速度が前記変速操作部材の操作位置に応じた回転速度となるように、前記HST変速アクチュエータの作動制御を行い、
    前記変速操作部材が前進側第3速段領域から前進側第2速段領域へシフトダウン操作される際には、前記出力側第3クラッチ機構の係合状態から解除状態への移行、前記出力側第2クラッチ機構の解除状態から係合状態への移行、及び、前記前進側クラッチ機構の解除状態から係合状態への移行をこの順で行なうことで、前記出力側第3クラッチ機構の解除状態への移行から前記前進側クラッチ機構の係合状態への移行までの間においては前記走行出力軸への動力伝達経路が遮断されたシフトダウン空走状態を現出させつつ、前記出力側第2クラッチ機構の解除状態から係合状態への移行時点において前記出力側第2伝動機構を介して伝達される回転動力による前記変速出力軸の回転速度が、前記出力側第2クラッチ機構が係合状態へ移行される直前における前記変速出力軸の実際の回転速に一致又は近接するように、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態から解除状態へ移行された時点と前記出力側第2クラッチ機構が解除状態から係合状態へ移行された時点との間において前記HST変速アクチュエータを介して前記HSTを変速させ、その後に、前記前進側クラッチ機構の解除状態から係合状態への移行時点において前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速が、前記前進側クラッチ機構が係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸の回転速に一致又は近接するように、前記出力側第2クラッチ機構が係合状態へ移行された時点から前記前進側クラッチ機構が係合状態へ移行された時点までの間において前記HST変速アクチュエータを介して前記HSTを変速させることを特徴とする10に記載のトランスミッション構造。
  20. 前進側第3速段領域から前進側第2速段領域へのシフトダウン時における前記出力側第2クラッチ機構の解除状態から係合状態への移行は徐々に行なわれることを特徴とする請求項18に記載のトランスミッション構造。
  21. 前記制御装置は、
    前進側第2速段から前進側第3速段へのシフトアップ開始時点から所定時間経過するまでの間の開始期間においては、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態へ移行された時点において前記出力側第3伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速を、前記出力側第2クラッチ機構及び前記前進側クラッチ機構の一方が解除状態とされるシフトアップ開始時点における前記走行出力軸の回転速に一致させる第3速段側第2/第3速段切替速よりも、シフトアップ開始時点での実際のHST出力回転速度とは反対側へ増速されたHST出力回転速を、HST変速制御の目標回転速として設定し、且つ、
    開始期間の終了後においては、前記出力側第3クラッチ機構が係合状態へ移行された時点において前記出力側第3伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速を前記出力側第3クラッチ機構が係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸の回転速に一致させるHST出力回転速を、HST変速制御の目標回転速として設定することを特徴とする請求項13に記載のトランスミッション構造。
  22. 開始期間におけるHST変速制御の目標速は、第1及び第2HST速のうち、前記第3速段側第2/第3速段切替速よりも、シフトアップ開始時点での実際のHST出力回転速度とは反対側に位置するHST速であることを特徴とする請求項21に記載のトランスミッション構造。
  23. 前記制御装置は、
    前進側第3速段から前進側第2速段へのシフトダウン開始時点から所定時間経過するまでの間の開始期間においては、前記出力側第2クラッチ機構が係合状態へ移行された時点において前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速が第3/第2速段シフトダウン開始時点において前記出力側第3伝動機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速に一致させる第2速段側第3/第2速段切替速よりも、シフトダウン開始時点での実際のHST出力回転速度とは反対側へ増速されたHST出力回転速を、HST変速制御の目標回転速として設定し、且つ、
    開始期間の終了後においては、前記出力側第2クラッチ機構が係合状態へ移行された時点において前記出力側第2伝動機構及び前記前進側伝送機構を介して回転駆動される前記走行出力軸の回転速を前記出力側第2クラッチ機構が係合状態へ移行される直前における前記走行出力軸の回転速に一致させるHST出力回転速を、HST変速制御の目標回転速として設定することを特徴とする請求項18に記載のトランスミッション構造。
  24. 開始期間におけるHST変速制御の目標速は、第1及び第2HST速のうち、第2速段側第3/第2速段切替速開始期間目標速よりも、シフトダウン開始時点での実際のHST出力回転速度とは反対側に位置するHST速であることを特徴とする請求項23に記載のトランスミッション構造。
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