JP2023014962A - 水素充填方法、水素充填装置、プログラム、記録媒体 - Google Patents
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Abstract
Description
このように従来の水素充填は、容量が30kgまでの水素タンクを基準に制御が行われており、容量が30kgより大きい水素タンク(例えば大型車に搭載された水素タンク)に当該制御を用いたときに、充填時間が長くかかったり、30kgの水素を充填した時点で水素の供給が停止してしまったりすることがある。
ここで「昇圧率」は水素タンクにおける単位時間当たりの上昇圧力を意味し、例えば「MPa/分」等で表される。適正な昇圧率で水素を充填することで、水素タンクへの水素の充填を効率よく適正に行うことができる。
これに対して、異なる種類同士の組み合わせに対してはノズルとレセプタクルとが物理的に接続できないようなノズル及びレセプタクルの構造を適用して水素充填を禁止することもできる。しかしながら、全ての組み合わせについて禁止してしまうと充填禁止の場面が増え、汎用性という観点から効率の良い水素充填が妨げられる。そこで発明者は、効率の良い充填のために、異なる種類同士でノズルとレセプタクルとが接続された場合にも充填ができるように構成することが効率向上に対して大きな利益になるとの考えに至った。
図面を参照しつつ1つの例にかかる水素充填装置について説明する。図1は水素充填装置10を概念的に表した図である。水素充填装置10はいわゆる水素ステーションに備えられており、燃料電池を搭載した自動車(燃料電池車両)1に備えられた水素タンク2に水素を供給する。
ここで燃料電池車両1は公知の通りであるが、車体内に燃料電池システムを備えている。燃料電池システムには燃料電池及び水素タンク2が備えられており、水素タンク2から燃料電池に水素が供給される。燃料電池は、水素タンク2から供給された水素を燃料ガスとし、この燃料ガスを別途供給された酸化ガス(空気)によって酸化させることにより発電を行い、この発電された電気で車両の駆動源であるモータを回転させる。なお、本開示によれば、上記したように特に燃料電池車両1が大型車であり水素タンク2の容量が30kgを超えるものに対しても効率よく水素の充填が可能である。
従って制御装置14は受信部14d、送信部14eを介して他の機器と接続されており信号の送信、受信ができるように構成されている。
本形態で制御装置14は得られた情報に基づいて、ROM14cに記録されたデータベースを用いる等しつつ、ROM14cに記録されたコンピュータプログラムを実行して水素充填の際の昇圧率を決定してRAM14bに記録する。そして制御装置14は決定した昇圧率で水素が充填されるように送信部14eを介して圧縮機12を制御し、水素を水素タンク2に充填する。昇圧率の決定のための具体的な内容は後で説明する。
次に水素充填について説明する。
燃料電池車両1への水素充填は上記したように行われるが、本開示では、水素を充填する際にその昇圧率を演算し、その結果に基づいて制御が行われる。そこでここでは、昇圧率を決める方法について説明する。また、この方法の各過程に対応した各ステップを有するコンピュータプログラムを作成し、制御装置14の記録媒体として機能するROM14cにこれを保存し、実行することで水素充填を制御することができる。以下、1つの例にかかる水素充填方法を説明するが、上記のようにこれに基づいてコンピュータプログラムとし、制御装置14のROM14cに記録することで水素充填装置10の1つの構成要素として機能する。
情報の取得過程S11では、これから水素を充填しようとしている燃料電池車両1から当該燃料電池車両1における水素の充填口(レセプタクル)3aの種類、及び水素タンク2の容量を取得する。必要に応じて充填口3aの数を取得してもよい。
自動で取得する場合では、例えば、燃料電池車両1に搭載された制御装置4から無線発信された充填口(レセプタクル)3aの種類、充填口3aの数、及び水素タンク2の容量の情報を、水素充填装置10の制御装置14に備えられた受信部14dで受信させることにより行うことができる。
手動で取得する場合では、例えば、人がキーボードやタッチパネル等の入力手段15で入力操作し、充填口(レセプタクル)3aの種類、充填口3aの数、及び水素タンク2の容量の情報を、水素充填装置10の制御装置14に備えられた受信部14dで受信させることにより行うことができる。
昇圧率の決定過程S12では、情報の取得過程S11で得られた情報に基づいて、水素充填時における昇圧率を決定する。本開示では昇圧率は水素タンク2の容量に対して反比例の関係により決められることを基本とする。すなわち、昇圧率をR(MPa/分)とし、水素タンク2の容量をM(kg)としたとき、
R=K(1/M)
により算出する。
ここで、Kは係数であり、充填口3aの種類(さらに必要に応じて充填口3aの口数)によって決まり、予め実験などにより求めておく。この係数Kを決める際には水素タンク内や外気の温度を考慮してもよい。温度を考慮する場合にも実験による実測値に基づいてもよいし、既存のマップ(例えば、SAE J2601(北米規格)や、JPEC-S 0003 (日本規格))に基づいてもよい。
水素の充填過程S13では、昇圧率の決定過程S12で決定した昇圧率で水素の充填を行う。決定した昇圧率の情報に基づいて制御装置14から送信部14eを介して圧縮機12を制御して水素の供給圧を調整しつつ適切な昇圧率で水素の充填を行う。
以上説明した水素充填装置10、及び、水素充填方法S10による昇圧率制御によれば、充填対象とする水素タンク2の容量に対して、特に容量の大きい水素タンク2を対象としても水素の充填を効率よく行うことができる。すなわち、容量が30kgを超える水素タンク(例えば大型車に搭載された水素タンク)であっても、例えば水素の充填時間を短縮しつつ、水素タンクへの負荷を抑えることができる。
水素タンク2への水素充填は上記のように水素充填装置10に具備された水素供給管13の先端のノズル13aと、燃料電池車両1に配置された水素導入管3に設けられた充填口(レセプタクル)3aとが接続されて行われる。通常、これらノズル13aやレセプタクル3aは、許容される最高水素圧力及び許容される最大水素流量に応じて複数の種類がある。異なる種類同士でノズル13aとレセプタクル3aとが接続された場合でも、水素の充填は可能であるが、場合によっては充填の効率の低下や不具合を生じることがある。例えば、許容される最高水素圧力又は許容される最大水素流量についてノズル13aの方がレセプタクル3aより大きい組み合わせとなった時に顕著に表れる傾向にある。
しかしながら一方で、種類が一致しないノズル13aとレセプタクル3aとの組み合わせを一切接続できないとすると充填禁止の場面が増え、汎用性という観点から効率の良い充填が妨げられる。
そこで、本開示では少なくとも一部の異なる種類で、ノズル13aとレセプタクル3aとの組み合わせを物理的に接続できるように構成するとともに、制御装置14により、水素充填の制御を行う。以下にさらに具体的に説明する。
上記の通り、ノズル13aやレセプタクル3aは、許容される最高水素圧力、及び、許容される最大水素流量に応じて複数の種類がある。ここで表記として「ノズル圧力」はそのノズルが許容する最高水素圧力を意味し、「ノズル流量」はそのノズルが許容する最大水素流量を意味する。同様に「レセプタクル圧力」はそのレセプタクルが許容する最高水素圧力、「レセプタクル流量」はそのレセプタクルが許容する最大水素流量を意味する。
・ノズル1(N1):ノズル圧力が圧力A、ノズル流量が小流量
・ノズル2(N2):ノズル圧力が圧力B、ノズル流量が小流量
・ノズル3(N3):ノズル圧力が圧力C、ノズル流量が小流量
・ノズル4(N4):ノズル圧力が圧力C、ノズル流量が大流量
・ノズル5(N5):ノズル圧力が圧力D、ノズル流量が小流量
・ノズル6(N6):ノズル圧力が圧力D、ノズル流量が中流量
・ノズル7(N7):ノズル圧力が圧力D、ノズル流量が大流量
・レセプタクル1(R1):レセプタクル圧力が圧力A、レセプタクル流量が小流量
・レセプタクル2(R2):レセプタクル圧力が圧力B、レセプタクル流量が小流量
・レセプタクル3(R3):レセプタクル圧力が圧力C、レセプタクル流量が小流量
・レセプタクル4(R4):レセプタクル圧力が圧力C、レセプタクル流量が大流量
・レセプタクル5(R5):レセプタクル圧力が圧力D、レセプタクル流量が小流量
・レセプタクル6(R6):レセプタクル圧力が圧力D、レセプタクル流量が中流量
・レセプタクル7(R7):レセプタクル圧力が圧力D、レセプタクル流量が大流量
水素充填を可能とするためにはノズル13aとレセプタクル3aとが物理的に接続可能であることを要する。本例における接続可否を図6に示した。図6で接続可能な組み合わせを「〇」又は「◎」、接続不可の組み合わせを「×」で表している。
本例では、ノズル圧力がレセプタクル圧力以下であるとともに、ノズル流量がレセプタクル流量以下である組み合わせを物理的に接続可能とし、それ以外の組み合わせでは接続ができないことを基本とする。
ただし、本例では例外として、図6に「◎」で示したようにノズル13aのノズル圧力及びレセプタクル3aのレセプタクル圧力がいずれも圧力Dである組み合わせのうち、レセプタクル流量が低流量に対してノズル流量が中流量、大流量である組み合わせ、及び、レセプタクル流量が中流量に対してノズル流量が大流量である組み合わせについては接続可能としている。このように圧力が高い組み合わせで接続を可能とする範囲を広げることで、特に容量が30kgを超える水素タンク(例えば大型車に搭載された水素タンク)において、例えば水素の充填機会を高めて汎用性を向上させることができ、充填のための効率を高めることができる。
上記のようにノズル13aとレセプタクル3aとが接続可能な組み合わせであれば、接続することで水素の充填を可能とする。しかしながら一方で、図6に「◎」で示したように例外にかかる組み合わせであったり、水素充填装置10の制御装置14が燃料電池車両1に備えられるレセプタクル3aの種類が認識できなかったりしたとき、ノズル13aのノズル流量に基づいて、これより小さなレセプタクル流量のレセプタクル3aに対して無条件に水素を流すことは不具合の発生の可能性を高める。
そこで、本形態では、ノズル13aとレセプタクル3aとが物理的に接続できた組み合わせについて水素充填の際に制御装置14を用いて次のような制御を行う。図7にその方法S20の流れを示した。
情報の取得実行過程S21では、水素を充填しようとしている燃料電池車両1から当該燃料電池車両1における少なくともレセプタクル3aの種類を取得することを試みる。
種類の取得可否の判定過程S22では、情報の取得実行過程S21でレセプタクル3aの種類の情報を取得することができたかを判定する。
レセプタクル3aの種類を取得できたときにはYesが選択され、ノズル流量とレセプタクル流量との比較過程S24に移動する。
一方、レセプタクル3aの種類を取得できなかったときにはNoが選択され、小流量以下充填決定過程S23に移動する。ここで、レセプタクル3aの種類を取得できない理由は特に限定されることはないが、燃料電池車両1に制御装置4がそもそも搭載されておらず情報を出力することができない場合や、制御装置4が搭載されていても不具合等により情報を出力することができない場合を挙げることができる。
種類の取得可否の判定過程S22でレセプタクル3aの種類を取得することができずNoが選択されたときには、小流量以下充填決定過程S23に進み、水素充填が小流量以下で行われることを決定する。その後、水素の充填過程S27に進みこの決定に基づいて水素の充填が行われる。
この過程によればレセプタクル3aの種類を取得することができず、ノズル13aとレセプタクル3aとが接続できたが流量についてその関係が不明であるときに、ノズル流量による水素充填を禁止する。そして小さい流量で水素充填を行うことで不具合を防止するができる。
種類の取得可否の判定過程S22でレセプタクル3aの種類を取得することができ、Yesが選択されたときには、ノズル流量とレセプタクル流量との比較過程S24に進み、ノズル流量とレセプタクル流量との対比を行う。
この過程では、種類の取得可否の判定過程S22で得た情報から、ノズル流量がレセプタクル流量より大きい場合Yesが選択されレセプタクル流量以下充填決定過程S25に進む。
一方、種類の取得可否の判定過程S22で得た情報から、ノズル流量がレセプタクル流量以下であればNoが選択されノズル流量以下充填決定過程S26に進む。
ノズル流量とレセプタクル流量との比較過程S24で、ノズル流量がレセプタクル流量より大きければYesが選択され、レセプタクル流量以下充填決定過程S25に進み、水素の充填がレセプタクル流量以下で行われることを決定する。その後、水素の充填過程S27に進みこの決定に基づいて水素の充填が行われる。
この過程によれば、ノズル流量がレセプタクル流量よりも大きい場合、ノズル流量による水素充填を禁止する。そしてレセプタクル流量に合わせてこれを超えない流量で水素充填が行われ、ノズル流量に対してレセプタクル流量が小さい種類の接続であっても不具合が発生することを防止することができる。
ノズル流量とレセプタクル流量との比較過程S24で、ノズル流量がレセプタクル流量以下であればNoが選択され、ノズル流量以下充填決定過程S26に進み、水素の充填がノズル流量以下で行われることを決定する。その後、水素の充填過程S27に進みこの決定に基づいて水素の充填が行われる。
この過程によれば、ノズル流量がレセプタクル流量以下の場合であるから、ノズル流量に合わせて水素充填が行われるため不具合が発生することを防止することができる。
水素の充填過程S27では、小流量以下充填決定過程S23、レセプタクル流量以下充填決定過程S25、及び、ノズル流量以下充填決定過程S26で行われた決定に基づいた流量で水素の充填を行う。決定した流量情報に基づいて制御装置14から送信部14eを介して圧縮機12を制御して水素の供給圧を調整する等して適切な流量で水素の充填を行う。
なお、水素充填の際の昇圧率は上記説明した方法S10から決定し、その昇圧率で水素の充填を進めてもよい。これによりさらに効率の良い水素充填をすることができる。ただし、昇圧率についてこれに限定されるものではない。
以上説明した水素充填装置10、及び、水素充填方法S20等による水素充填制御によれば、種類が一致しないノズル13aとレセプタクル3aとの組み合わせの少なくとも一部を許容して水素充填をすることができるため、水素充填の機会を増やし、汎用性という観点から効率の良い充填が可能となる。
11 蓄圧器
12 圧縮機
13 水素供給管
13a ノズル
14 制御装置
S10 水素充填方法
S20 水素充填方法
Claims (14)
- 水素タンクへの水素充填方法であって、
ノズルとレセプタクルとの接続が可能であるときに、
前記ノズルのノズル流量が前記レセプタクルのレセプタクル流量よりも大きい、又は、前記レセプタクル流量が不明である場合には、前記ノズル流量での水素充填を禁止する、
水素充填方法。 - 前記水素充填は前記レセプタクル流量以下で行う、請求項1に記載の水素充填方法。
- 前記ノズルと前記レセプタクルとの接続は前記ノズルのノズル圧力が前記レセプタクルのレセプタクル圧力以下であるときに可能とする、請求項1又は2に記載の水素充填方法。
- 前記レセプタクルの種類、及び、前記水素タンクの容量から、前記水素タンクの容量に対する反比例関係に基づいて水素充填時の昇圧率が決められる、請求項1~3のいずれか1項に記載の水素充填方法。
- 前記反比例関係に基づいて昇圧率の値が決められたマップが作成され、前記マップから前記昇圧率が決められる請求項4に記載の水素充填方法。
- 水素タンクへの水素充填装置であって、
蓄圧器と、
圧縮機と、
水素供給管と、
前記水素供給管の先端に配置されたノズルと、
前記圧縮機を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記ノズルとレセプタクルとの接続が可能であるときに、
前記ノズルのノズル流量が前記レセプタクルのレセプタクル流量よりも大きい、又は、前記レセプタクル流量が不明である場合には、前記ノズル流量での水素充填を禁止する演算を行う、
水素充填装置。 - 前記制御装置では、前記水素充填は前記レセプタクル流量以下で行うことを決定する、請求項6に記載の水素充填装置。
- 前記ノズルと前記レセプタクルとの前記接続は前記ノズルのノズル圧力が前記レセプタクルのレセプタクル圧力以下であるときに可能とする、請求項6又は7に記載の水素充填装置。
- 前記制御装置は、前記レセプタクルの種類、及び、前記水素タンクの容量から、前記水素タンクの容量に対する反比例関係に基づいて昇圧率を決める演算を行う、請求項6~8のいずれか1項に記載の水素充填装置。
- 前記制御装置には、前記反比例関係に基づいて昇圧率の値が決められたマップが記録されており、前記マップから前記昇圧率が決められる請求項9に記載の水素充填装置。
- 水素タンクに水素充填の制御を行うプログラムであって、
ノズルのノズル流量がレセプタクルのレセプタクル流量よりも大きい、又は、前記レセプタクル流量が不明である場合には、前記ノズル流量での水素充填を禁止するステップを備える、プログラム。 - 前記水素充填は前記レセプタクル流量以下で行う決定をするステップを備える、請求項11に記載のプログラム。
- 前記レセプタクルの種類、及び、前記水素タンクの容量から、前記水素タンクの容量に対する反比例関係に基づいて昇圧率を求めるステップを有する、請求項11又は12に記載のプログラム。
- 請求項11~13のいずれか1項に記載のプログラムが記録された記録媒体。
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