JP2023014468A - 感熱記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】赤外線レーザーの照射により高コントラストな画像が得られ、かつピンホールの発生が低減された感熱記録材料を提供する。【解決手段】光透過性支持体上に、830nmにおけるモル吸光係数ε(830)と365nmにおけるモル吸光係数ε(365)の比、ε(830)/ε(365)が4.0以上の赤外線吸収色素および還元剤を含有する赤外線吸収層、非感光性の有機銀塩を含有し、且つ感光性のハロゲン化銀を実質的に含有しない感熱記録層、および保護層とを少なくともこの順に有する感熱記録材料。【選択図】なし

Description

本発明は、赤外線レーザー光の照射により画像を形成する感熱記録材料に関し、特に版下原稿の作製に好適な感熱記録材料に関する。
版下原稿の作製に用いられる高画質な画像形成方法として、ハロゲン化銀感光材料を用いた湿式処理の画像形成方法が長く一般的に用いられてきた。しかしながら、湿式処理の画像形成方法では現像液や定着液等の廃液処理が必要で環境負荷が大きいことから、湿式処理を必要としない乾式の画像形成方法が種々検討されてきた。現在ではインクジェットプリンター、電子写真、染料熱転写方式等といった画像形成システムが実用化されている。しかしこれらの乾式の画像形成方法は、画像部における優れた遮光性および、非画像部における優れた光透過性を有する、いわゆる高コントラストな版下原稿を得ることは困難である。
ハロゲン化銀感光材料を用いた湿式処理の画像形成方法と同等の高いコントラストを得ることができる乾式の画像形成方法としては、支持体上に感熱記録層を有する感熱記録材料にサーマルヘッドあるいは赤外線レーザー光を用いて画像形成する方法が挙げられる。その中でも、高密度記録、高画質記録の観点からは赤外線レーザー光を用いた感熱記録方式が優位である。赤外線レーザー光によって描画可能な感熱記録材料としては、例えば特開平6-194781号公報(特許文献1)には高濃度の画像を記録できる熱記録材料として、熱的に還元可能な銀源、銀イオン用還元剤、約500~1100nmの波長範囲のレーザー光を吸収する染料、およびポリマー状結合剤を含有する熱記録材料が開示され、特開平10-29377号公報(特許文献2)には高画質の画像を記録できる感熱記録材料として、有機銀塩、有機銀塩の現像剤、特定の構造を有するメロシアニン系赤外線吸収色素、および水溶性バインダーを含有する感熱層を有する感熱記録材料が開示されている。また特開2001-10229号公報(特許文献3)には非画像部の紫外線濃度が低く残色が少ない熱発色画像形成材料として、非感光性有機銀塩、銀イオン用還元剤、バインダー、色調調整剤および750~1100nmの波長範囲の放射線を吸収する吸収剤を含有する熱発色画像形成材料が開示されている。
特許文献1~3にも記載されるように、感熱記録材料を塗布により製造することは生産性に優れるため好ましいが、ハジキ、スジ等のいわゆる塗布故障が生じる場合がある。感熱記録材料に塗布故障が存在すると、赤外線レーザー光を照射しても当該部分で発色が正常に進行せず、ピンホールが発生する場合があった。ピンホールの発生は版下原稿において特に問題であり、ピンホールの低減が求められていた。
感熱記録材料の塗布故障の低減のため、界面活性剤を使用することは一般的に知られている。例えば、特開2003-295386号公報(特許文献4)には、特定のフッ素化合物を含有する熱現像感光材料が開示され、該フッ素化合物が界面活性剤として機能し、熱現像感光材料を構成している層を形成する塗布液の塗布適性を改善し、スジ、ハジキ、ムラの発生を抑えられるとの記載がある。しかし、ピンホールのさらなる低減が求められていた。
他方、特開2008-9461号公報(特許文献5)には、感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤およびバインダーを有する熱現像感光材料をレーザー光で露光し、熱現像により可視画像を形成する画像形成方法が開示され、該熱現像感光材料は還元剤を、画像形成層を有する面のいかなる層に含めてもよいとの記載がある。
特開平6-194781号公報 特開平10-29377号公報 特開2001-10229号公報 特開2003-295386号公報 特開2008-9461号公報
本発明の目的は、赤外線レーザーの照射により高コントラストな画像が得られ、かつピンホールの発生が低減された感熱記録材料を提供することにある。
上述した課題は、以下の発明により解決される。
光透過性支持体上に、830nmにおけるモル吸光係数ε(830)と365nmにおけるモル吸光係数ε(365)の比、ε(830)/ε(365)が4.0以上の赤外線吸収色素および還元剤を含有する赤外線吸収層、非感光性の有機銀塩を含有し、且つ感光性のハロゲン化銀を実質的に含有しない感熱記録層、および保護層とを少なくともこの順に有する感熱記録材料。
本発明により、赤外線レーザーの照射により高コントラストな画像が得られ、かつピンホールの発生が低減された感熱記録材料を提供することができる。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の感熱記録材料は、光透過性支持体を有する。かかる光透過性支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、硝酸セルロース、ポリカーボネート等の樹脂フィルムや、ガラス等の無機材料等が挙げられる。なお、本発明において光透過性支持体とは、全光線透過率が60%以上である支持体を意味し、さらに好ましくは70%以上である。また該光透過性支持体のヘーズ値は10%以下であることが好ましい。該光透過性支持体は易接着層、ハードコート層、帯電防止層等の公知の層を有していてもよい。本発明における光透過性支持体の厚みは特に規定されるものではないが、ハンドリング性の観点から50~300μmであることが好ましい。
本発明の感熱記録材料が有する赤外線吸収層は、830nmにおけるモル吸光係数ε(830)と365nmにおけるモル吸光係数ε(365)の比、ε(830)/ε(365)が4.0以上の赤外線吸収色素、および還元剤を含有する。本発明における赤外線吸収色素とは、600~1500nmの波長領域に吸収を有する色素であることが好ましく、650~1200nmの波長領域に吸収極大を有することがより好ましく、750~1100nmの波長領域に吸収極大を有することがさらに好ましい。そして、本発明における赤外線吸収色素は、高圧水銀ランプやケミカルランプの紫外線領域における発光ピークが存在する350~450nmの波長領域における吸収が小さいこと、つまり上述したε(830)/ε(365)が4.0以上であることにより、赤外線レーザー光の照射により高コントラストな画像が得られる感熱記録材料とすることができる。ε(830)/ε(365)の上限は特に限定されない。このような赤外線吸収色素としてはスクアリリウム、シアニン、メロシアニン、ビス(アミノアリール)ポリメチンなどのポリメチン骨格を有する化合物が挙げられ、具体的には以下の一般式(1)~(3)で表される化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2023014468000001
一般式(1)~(3)のR~R10は置換基であり、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、エステル基、アミド基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、チオール基、チオエーテル基、スルホニル基などが例示される。これらはそれぞれ同じ置換基でも異なる置換基であってもよく、また他の置換基と結合して環構造を形成していてもよい。またXは負の電荷を有する原子または原子団を表し、ハロゲンイオン、過塩素酸イオンなどのオキソ酸、テトラフルオロボレート、ヘキサフロオロホスフェート、アルキルおよびアリールスルホナートなどが挙げられる。具体的には、以下の例示化合物(1)~(7)のような化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2023014468000002
Figure 2023014468000003
ε(830)およびε(365)の測定方法としては、赤外線吸収色素の2-ブタノン溶液を調製し、紫外可視分光光度計UV-2600((株)島津製作所製)を用いて、光路長1cmの石英セルを使用して該溶液の吸収スペクトルを測定する方法を例示できる。
なお、本発明において高コントラストな画像とは、塗りつぶし画像の透過濃度(Dmax)、および非画像部の透過濃度(Dmin)の差分Dmax-Dminが3.0以上であることを意味し、より好ましくは3.5以上である。透過濃度の測定方法としては、エックスライト社製X-Rite(登録商標)361Tを使用し、UVモードにて測定する方法が例示できる。
赤外線吸収層における赤外線吸収色素の含有量は特に限定されないが、赤外線吸収層の全固形分に対して0.1~20質量%が好ましく、0.2~17.5質量%がより好ましく、0.3~15質量%が特に好ましい。
本発明において赤外線吸収層は赤外線吸収色素を単独で含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
上述した赤外線吸収色素を含有する赤外線吸収層を有する感熱記録材料は、赤外線レーザー光の照射により高コントラストな画像が得られるが、画像のコントラストに優れるがゆえに、微細なピンホールを生じてしまう。本発明の感熱記録材料は、赤外線吸収層が赤外線吸収色素に加えて還元剤を含有することで、この微細なピンホールの発生を低減することができる。
赤外線吸収層が含有する還元剤は特に限定されず、グリオキサール、グルタルアルデヒド、3-メチルグルタルアルデヒド等のアルデヒド化合物、硫酸ヒドラジン、炭酸ヒドラジン等のヒドラジン化合物、ハイドロキノン、カテコール、4-メチルカテコール、4-tert-ブチルカテコール、クロロヒドロキノン、ピロガロール等のポリヒドロキシベンゼン化合物、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸エチル等のポリヒドロキシ安息香酸化合物、2-アミノフェノール、3-アミノフェノール、4-アミノフェノール等のアミノフェノール化合物、グルコース、フルクトース等の糖類、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル等のアスコルビン酸類、等の公知の還元剤を用いることができる。上記した還元剤の中でも、ポリヒドロキシベンゼン化合物およびポリヒドロキシ安息香酸化合物がピンホールの発生を効果的に抑制できることから好ましい。
還元剤の含有量は特に限定されないが、赤外線吸収層の全固形分に対して1~25質量%が好ましく、2~20質量%がより好ましく、3~16質量%が特に好ましい。
本発明において赤外線吸収層は還元剤を単独で含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
本発明において赤外線吸収層は、上述した赤外線吸収色素および還元剤と共にバインダー成分を含有することが好ましい。かかるバインダー成分としては熱可塑性樹脂が好ましく、例えばヒドロキシエチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂に代表されるポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が例示される。これらのバインダー成分は水や有機溶媒に溶解して用いるか、疎水性ポリマー固体が微粒子の状態で分散しているラテックスやポリマー分子がミセルを形成し分散しているものを用いてもよい。本発明の赤外線吸収層においては、上述したバインダー成分は乾燥後に光透過性の被膜を形成するものが好ましい。またこれらのバインダー成分は必要に応じてお互いに相溶する樹脂を2種以上併用してもよい。
本発明の感熱記録材料が有する赤外線吸収層は、上述した赤外線吸収色素、還元剤、およびバインダー成分を含有する赤外線吸収層塗布液を作製し、該赤外線吸収層塗布液を上述した光透過性支持体上に塗布、乾燥して形成することが好ましい。また、該赤外線吸収層塗布液の塗布量は乾燥質量で0.01~5.0g/mが好ましい。
また塗布性の向上を目的として、該赤外線吸収層塗布液は種々の界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としてはノニオン系、アニオン系、カチオン系いかなるものも使用してもよく、特に限定されない。
本発明の感熱記録材料が有する感熱記録層は、非感光性の有機銀塩を含有する。該有機銀塩は、後述する還元剤と共に加熱されることにより還元されて銀画像を形成する。具体的には、熱現像感光材料に関するリサーチディスクロージャー第17029(II)項、第29963(XVI)項に記載されているような没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の有機酸の銀塩;1-(3-カルボキシプロピル)チオ尿素、1-(3-カルボキシプロピル)-3,3-ジメチルチオ尿素等のカルボキシアルキルチオ尿素の銀塩;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等のアルデヒド類とサリチル酸、安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、5,5-チオジサリチル酸等の芳香族カルボン酸との高分子反応生成物と銀との錯体;3-(2-カルボキシエチル)-4-ヒドロキシメチル-4-チアゾリン-2-チオン、3-カルボキシメチル-4-メチル-4-チアゾリン-2-チオン等のチオン類の銀塩または錯体;イミダゾール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4-トリアゾール、1H-テトラゾール、3-アミノ-5-ベンジルチオ-1,2,4-トリアゾールおよびベンゾトリアゾールから選ばれる含窒素複素環の銀塩または錯体;サッカリン、5-クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;メルカプチド類の銀塩等が挙げられる。これらのうち炭素数が10以上の脂肪酸銀が好ましく、ステアリン酸銀、ベヘン酸銀が特に好ましい。
本発明において感熱記録層が含有する非感光性の有機銀塩の含有量は、版下原稿として使用するために必要な最大濃度によって適宜調整することが可能であり、銀換算値として1平方メートルあたり0.5~2.0gが好ましい。
本発明の感熱記録材料が有する感熱記録層は、感光性のハロゲン化銀を実質的に含有しない。ここでいう実質的に含有しないとは、感熱記録層中に含有される感光性のハロゲン化銀が感熱記録層の全固形分量に対して1質量%未満であることを意味し、これによって本発明の感熱記録材料の保管時および通常使用時の非画像部における透過濃度の上昇が抑えられ、高コントラストな画像を形成可能な感熱記録材料が得られる。
本発明の感熱記録材料が有する感熱記録層は、還元剤を含有することが好ましい。かかる還元剤としては、米国特許第3,074,809号明細書に記載のピロガロール、4-ステアロイルピロガロール、没食子酸プロピル、3,4-ジヒドロキシ安息香酸エチル、2,5-ジヒドロキシ安息香酸等、米国特許第3,440,049号明細書あるいは特開平06-317870号公報記載のポリヒドロキシインダン類や、特開2001-328357号公報記載のジヒドロキシ安息香酸誘導体が好ましい。
感熱記録層における還元剤の含有量は、還元剤の種類や、有機銀塩の種類によって広範に変化しうるが、有機銀塩1モルあたり0.1~3.0モルであることが好ましく、0.5~2.0モルであることがさらに好ましい。また種々の目的のために、上述した還元剤は2種以上を併用してもよい。
本発明の感熱記録材料が有する感熱記録層は、サーモグラフィまたはフォトサーモグラフィの分野において知られている、いわゆる色調剤を含有することが好ましい。色調剤の例としては前出の熱現像感光材料に関するリサーチディスクロージャー第17029(V)項、第29963(XXII)項等で公知であり、具体的にはフタルイミドに代表されるイミド類、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾールに代表されるメルカプト化合物、フタラジン、フタラゾン、4-メチルフタル酸、テトラクロロフタル酸およびそれらの無水物に代表されるフタル酸誘導体、1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンに代表されるベンズオキサジン誘導体等が挙げられる。また種々の目的のために、上述した色調剤は2種以上を併用してもよい。
本発明の感熱記録材料が有する感熱記録層は画像銀の形成の抑制や促進、画像形成前後の感熱記録材料の保存性を向上させる等の目的で、様々な促進剤や安定剤およびそれらの前駆体を含有してもよい。具体的には写真用添加剤として知られているベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、5-クロロベンゾトリアゾール、2-メルカプトベンゾトリアゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンズオキサゾール、4-ヒドロキシ-6-メチル-1,3,3a,7-テトラザインデン、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、3-メルカプト-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、4-ベンツアミド-3-メルカプト-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール等から選ぶことができる。また種々の目的のために、上述した促進剤や安定剤およびそれらの前駆体は2種以上を併用してもよい。
本発明の感熱記録材料が有する感熱記録層はバインダー成分を含有することが好ましい。かかるバインダー成分としては熱可塑性樹脂が好ましく、例えば上述した赤外線吸収層のバインダー成分と同様の熱可塑性樹脂を好ましく用いることができる。また、バインダー成分は必要に応じてお互いに相溶する樹脂を2種以上併用してもよい。
感熱記録層が含有するバインダー成分の含有量としては、感熱記録層の全固形分に対して10~70質量%が好ましい。
上述したバインダー成分は、塩化物イオンや臭化物イオン等の遊離のハロゲン化物イオンを含有しないことが好ましい。ハロゲン化物イオンは有機銀塩の銀イオンと反応し、感光性のハロゲン化銀を形成するため、本発明の感熱記録材料の耐光性を低下させる原因となる。具体的にはバインダーの含有量に対して100ppm以下であることが好ましい。
本発明において感熱記録層は、上述した赤外線吸収層と隣接していることが好ましく、これにより赤外線レーザー光の照射による画像の形成が効率的になり、とりわけ高コントラストな画像を得ることができる。感熱記録層を形成する方法としては、前述した有機銀塩、還元剤、色調剤、およびバインダー成分等を含有する感熱記録層塗布液を作製し、該感熱記録層塗布液を上述した赤外線吸収層上に塗布、乾燥して形成することが好ましい。
また塗布性の向上を目的として、該感熱記録層塗布液は種々の界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としてはノニオン系、アニオン系、カチオン系いかなるものも使用してもよく、特に限定されるものではない。
本発明における感熱記録材料は、感光材料との接触やハンドリング中の衝撃等から感熱記録層を保護する目的で、感熱記録層上に保護層を有する。該保護層は樹脂成分を含有することが好ましく、樹脂成分として具体的にはゼラチン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等が例示される。これらの樹脂や樹脂の水分散物は市販もされており容易に入手可能である。また該保護層の耐傷性を向上させるため、架橋剤を含有していてもよい。
本発明において保護層はバキューム性や耐傷性を高める目的で、種々の艶消し剤を含有していてもよい。該保護層を形成するにあたり、艶消し剤は上述した保護層中に分散させて用いることが好ましい。艶消し剤の分散には、ホモディスパーのような高速攪拌機が適している。
艶消し剤は有機系または無機系いずれの艶消し剤でも使用することができる。有機系艶消し剤としては、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート等が例示され、無機系艶消し剤としては、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ等が例示される。市販品としては例えば、シリコーン樹脂系艶消し剤としてモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズジャパン合同会社から発売されているトスパール(登録商標)120、130、145、2000Bや、シリカ系艶消し剤としてAGCエスアイテック(株)から発売されているサンスフェア(登録商標)H-31、H-51、NP-30等を例示することができる。これらは単一の微粒子であるが、艶消し剤の形態としては単一の微粒子および微粒子が集合した微粒子集合体粒子いずれも用いてもよい。
保護層が含有することができる上述した艶消し剤の含有量は、樹脂成分含有量に対して0.5~40質量%であることが好ましく、1~30質量%であることがより好ましい。
本発明において保護層を形成する方法としては、上述した樹脂成分、艶消し剤等を含有する保護層塗布液を作製し、該保護層塗布液を上述した感熱記録層上に塗布、乾燥して形成することが好ましい。また塗布性の向上を目的として、該保護層塗布液は種々の界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としてはノニオン系、アニオン系、カチオン系いかなるものも使用してもよく、特に限定されるものではない。
本発明の感熱記録材料が有する保護層塗布液の塗布量は、用いる樹脂成分の種類や求められる感熱感度により広範に変化しうるが、乾燥質量で0.5~10g/mが好ましく、2~8g/mがより好ましい。
本発明において、上述した赤外線吸収層塗布液、感熱記録層塗布液、および保護層塗布液の塗布方法については特に制限はなく、E.D.Cohen,E.B.Gutoff,“Modern Coating and Drying Technology”,WILEY-VCH,Inc.New York,1992に記載されているような各種の塗布方法から選択することができる。さらにスリット型ダイコーターを用いたスライド塗布方式や、同種、あるいは異種のコーター装置を組み合わせて塗布と乾燥処理を繰り返すタンデム塗布方式によって複数の層を同時に塗布することは、生産性を向上させる意味でも特に好ましい。
本発明の感熱記録材料にはさらに必要に応じて、上記した赤外線吸収層、感熱記録層、および保護層に加えて、光透過性支持体と赤外線吸収層との間に易接着層や断熱層等を設けたり、赤外線吸収層、感熱記録層、および保護層のそれぞれの層の間に中間層等を設けたり、保護層上に易剥離層等を設けたり、赤外線吸収層、感熱記録層、および保護層を有する光透過性支持体の面の反対の面に帯電防止層等を設けたりすることもできるが、上述したように高コントラストな画像を得る観点から赤外線吸収層と感熱記録層は隣接していることが好ましい。
上述した感熱記録材料を用い、該感熱記録材料の保護層側から画像様に赤外線レーザー光を照射することにより画像を得ることができる。該赤外線レーザー光の光源としては、半導体レーザー、He-Neレーザー、Arレーザー、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、ファイバーレーザー等が挙げられる。本発明における感熱記録材料は、照射する赤外線レーザー光のエネルギーおよび露光時間を変えることにより、画像部の濃度を変化させることができる。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、この記述により本発明が限定されるものではない。なお記述中「%」は質量基準である。
<赤外線吸収層塗布液の調製および塗布>
2-ブタノン81質量部、メタノール24質量部に、ポリビニルブチラール樹脂(Butvar(登録商標)B-79、イーストマンケミカルジャパン(株)製)9.0質量部、赤外線吸収色素として例示化合物(5)(IRT、昭和電工(株)製、ε(830)/ε(365)=6.2)0.45質量部、還元剤として4-メチルカテコールを1.5質量部加えて赤外線吸収層塗布液とした。厚さ100μmのPETベース(全光線透過率92%、ヘーズ値4%)上に、この赤外線吸収層塗布液を乾燥質量が1.5g/mとなるように小径グラビアコーターにて塗布し、50℃にて乾燥させた。グラビアロールの線数は90線/インチ、斜線角度45度、溝深さは100μmであり、塗速は20m/分とした。
<ベヘン酸銀分散液の調製>
ベヘン酸銀結晶20質量部、ポリビニルブチラール樹脂(ButvarB-79)22質量部を175質量部の2-ブタノンに加え、直径0.65mmのジルコニアビーズを充填したビーズミル装置(DYNO-MILL KD20B型、ウィリー・エ・バッコーフェン社製)を用いてベヘン酸銀分散液(平均粒子径0.6μm)を得た。
<感熱記録層塗布液の調製および塗布>
2-ブタノン45質量部に、ポリビニルブチラール樹脂(ButvarB-79)2.4質量部、上述したベヘン酸銀分散液30質量部、3,4-ジヒドロキシ安息香酸エチル1.5質量部、テトラクロロフタル酸無水物0.6質量部、フタラゾン1.2質量部を加えて感熱記録層塗布液とした。上述のようにして既に得られた赤外線吸収層上に、この感熱記録層塗布液を銀換算値として1.3g/mとなるようにダイコーターにて塗布し、80℃にて乾燥させ感熱記録層を形成した。塗速は20m/分とした。なお、得られた感熱記録層中に含有されるハロゲン化銀は感熱記録層の全固形分量に対して0.1%未満であった。
<保護層塗布液の調製および塗布>
2-ブタノン15.0質量部に、光硬化性樹脂としてビームセット(登録商標)3702(荒川化学工業(株)製;エポキシアクリレートポリマー、多官能アクリレート化合物、および光重合開始剤を含む混合物、固形分率59%)15.0質量部を加え30質量部(うち、バインダー成分の固形分質量は8.4質量部)の保護層塗布液を得た。この保護層塗布液を上記感熱記録層上に、乾燥質量が5.0g/mとなるように小径グラビアコーターにて塗布し、60℃にて乾燥させたのち、高圧水銀ランプを照射して保護層を硬化させ、感熱記録材料1を得た。グラビアロールの線数は90線/インチ、斜線角度45度、溝深さは100μmであり、塗速は10m/分とした。
赤外線吸収層塗布液の調製および塗布において、還元剤として4-tert-ブチルカテコールを用いた以外は感熱記録材料1と同様にして感熱記録材料2を得た。
赤外線吸収層塗布液の調製および塗布において、還元剤として没食子酸メチルを用いた以外は感熱記録材料1と同様にして感熱記録材料3を得た。
赤外線吸収層塗布液の調製および塗布において、還元剤として3,4-ジヒドロキシ安息香酸エチルを用いた以外は感熱記録材料1と同様にして感熱記録材料4を得た。
赤外線吸収層塗布液の調製および塗布において、還元剤としてパルミチン酸アスコルビルを用いた以外は感熱記録材料1と同様にして感熱記録材料5を得た。
赤外線吸収層塗布液の調製および塗布において、赤外線吸収色素として例示化合物(1)(ε(830)/ε(365)=18.5)を用いた以外は感熱記録材料1と同様にして感熱記録材料6を得た。
赤外線吸収層を塗布せず、感熱記録層を厚さ100μmのPETベース(全光線透過率92%、ヘーズ値4%)上に塗布した以外は感熱記録材料1と同様にして感熱記録材料7を得た。
赤外線吸収層塗布液の調製および塗布において、赤外線吸収色素を加えなかった以外は感熱記録材料1と同様にして感熱記録材料8を得た。
赤外線吸収層塗布液の調製および塗布において、還元剤を加えなかった以外は感熱記録材料1と同様にして感熱記録材料9を得た。
赤外線吸収層塗布液の調製および塗布において、赤外線吸収色素としてIX-2-IR-14(日本触媒(株)製、ε(830)/ε(365)=2.6)を0.07g加え、かつ還元剤を加えなかった以外は感熱記録材料1と同様にして感熱記録材料10を得た。
赤外線吸収層塗布液の調製および塗布において、赤外線吸収色素としてIX-2-IR-14(日本触媒(株)製、ε(830)/ε(365)=2.6)を0.07g加えた以外は感熱記録材料1と同様にして感熱記録材料11を得た。
このようにして得られた感熱記録材料1~11をサーマルCTPセッター(Guangzhou Amsky Technology Co Ltd製、AURA600E)により、ドラム回転数300rpm、露光出力200mW~800mWの範囲で変更しながら、直径20μmの微小点50個(ネガ画像)および塗りつぶし画像(200mm(幅)×200mm(長さ)、10セット)を形成した。
<透過濃度測定>
上記した塗りつぶし画像形成後の感熱記録材料1~11の塗りつぶし画像および非画像部の透過濃度をエックスライト社製X-Rite361T(UVモード)で測定した。それぞれの感熱記録材料の最大透過濃度が得られた際の露光出力値、塗りつぶし画像の透過濃度(Dmax)、および非画像部の透過濃度(Dmin)を表1に示した。
Figure 2023014468000004
<返し性能評価>
上記した微小点画像形成後の感熱記録材料1~11をマスクフィルムとして用いて、ネガ型の樹脂版(トレリーフ(登録商標)MF95DIIJ、厚み0.95mm、東レ(株)製)を製版機((株)タカノ機械製作所製、Takano Processer DX-A4)を用いて製版し、感熱記録材料の返し特性を評価した。上述した直径20μmの微小点50個のうち、製版後の樹脂版上に49個以上が残存しているものを○、30~48個が残存しているものを△、0~29個が残存しているものを×として評価結果を表1に示した。
<ピンホール発生数評価>
上記塗りつぶし画像形成後の感熱記録材料1~11をライトテーブルに載せ、塗りつぶし画像(各10セット)にて視認できるピンホールを数えた。ピンホールが0~2個のものを良、3~7個のものを可、8個以上を不可として評価結果を表1に示した。なお、感熱記録材料7、感熱記録材料8については塗りつぶし画像の濃度が不足しておりピンホール発生数評価が不可能であった。
表1の結果から明らかなように、本発明によって、赤外線レーザーの照射により高コントラストな画像が得られ、かつピンホールの発生が低減された感熱記録材料が得られることが分かる。

Claims (1)

  1. 光透過性支持体上に、830nmにおけるモル吸光係数ε(830)と365nmにおけるモル吸光係数ε(365)の比、ε(830)/ε(365)が4.0以上の赤外線吸収色素および還元剤を含有する赤外線吸収層、非感光性の有機銀塩を含有し、且つ感光性のハロゲン化銀を実質的に含有しない感熱記録層、および保護層とを少なくともこの順に有する感熱記録材料。
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