JP2023013032A - 水系遮熱性クリヤー塗料及びその塗装方法,その積層構造 - Google Patents

水系遮熱性クリヤー塗料及びその塗装方法,その積層構造 Download PDF

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剛 加藤
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澤林 李
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Abstract

【課題】被塗装物の表面の加飾層の意匠性を十分に保ちながら、被塗装物への熱の伝わりを緩やかにし、被塗装物の劣化を抑えることができる水系遮熱性クリヤー塗料を提供する。【解決手段】合成樹脂エマルションと平均粒子径が5~80μmの範囲の鱗片状光輝性顔料と平均粒子径が0.2~10μmの範囲の球状シリカとを主成分とした水系遮熱性クリヤー塗料であることにより、被塗装物の表面の加飾層の意匠性を保ちながら、被塗装物への熱の伝わりを緩やかにし、被塗装物の熱劣化を抑えることができる。【選択図】なし

Description

本開示は、建築物や土木構造物等の壁面及び壁面に用いられる壁板材などの加飾された被塗装物の表面に塗装されるのに用いられる水系遮熱性クリヤー塗料、その塗装方法及び積層構造に関するものである。
従来、建築物,土木構造物などの壁面に塗装を行い、その壁面の色調や模様などを施し、美観や耐久性を向上させることが行われている。より耐久性を上げるために、これら塗装面にクリヤー塗料を塗布することも行われている。
また、建物のリフォームにおいては、意匠性のある壁面に対して、クリヤー塗料の塗布のみでリフォームが行われることもある。
このような方法としては、特許文献1にあるような方法の提案がある。この特許文献1に記載された建築外装材の補修方法は、建築外装材の表面上の旧塗膜を剥離又は除去することなく、該旧塗膜上の汚染物質を除去した後、該旧塗膜上にシーラーとして、水分散液(A)と密着付与剤(C)を含有する水性下塗塗料を塗布し、下塗塗膜を形成する工程と、 該下塗り塗膜上に水分散液(B)を含有する水性上塗塗料を塗布し、上塗塗膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする建築外装材の補修方法である。
この補修方法によれば、既存の多彩模様等の高い意匠性を保ったまま建築外装材の塗膜の補修を行うことが可能となり、また水系塗料を使用するため、環境にも優しくコスト的にも優れる。また、本発明の下塗り塗膜に用いられる密着付与剤によって、旧塗膜への密着性が良好であり、耐候性に優れた塗膜を形成することを可能としたものである。
特開2013-208546号公報
しかしながら、特許文献1の建築外装材の補修方法では、旧塗膜への密着性が良好であり、耐候性に優れた塗膜を形成することを可能としたものではあり、塗装表面の耐久性についても十分ではあるが、補修を行った建築外装板などの被塗装物の熱劣化については、十分な効果を得ることができないことがある。
これは、外気の熱の変動により被塗装物が膨張するなどして動き、被塗装物が経年で劣化するためである。また、その被塗装物が複数色で構成されたものであれば、その色毎で熱の吸収の程度が異なるため、被塗装物へのダメージが部分的に異なり、被塗装物の劣化も大きなものとなる。
本開示は、被塗装物の表面の加飾層の意匠性を十分に保ちながら、被塗装物への熱の伝わりを緩やかにし、被塗装物の劣化を抑えることができる水系遮熱性クリヤー塗料を提供することにある。
合成樹脂エマルションと平均粒子径が5~80μmの範囲の鱗片状光輝性顔料と平均粒子径が0.2~10μmの範囲の球状シリカとを主成分としたものである。
これにより、被塗装物の表面の加飾層の意匠性を保ちながら、被塗装物への熱の伝わりを緩やかにし、被塗装物の熱劣化を抑えることができるものである。
合成樹脂エマルションの固形分に対して、球状シリカの添加量が0.1~5.0重量%の範囲のものである。
これにより、被塗装物の表面の加飾層の意匠性を保ちながら、より効率的に被塗装物への熱の伝わりを緩やかにし、被塗装物の熱劣化を抑えることができるものである。
水系遮熱性クリヤー塗料により形成されたクリヤー膜であって、100μmの厚みのクリヤー膜の光透過率が90~60%の範囲で、隠ぺい率が1.0~15.0%の範囲のものである。
これにより、被塗装物の表面の加飾層の意匠性を十分に保つことができ、より効率的に被塗装物への熱の伝わりを緩やかにし、被塗装物の熱劣化を抑えることができるものである。
本開示の水系遮熱性クリヤー塗料を、複数の色彩要素で加飾された被塗布物表面に塗布することである。
これにより、被塗布物表面の加飾層の意匠性を十分に保ちながら、被塗装物への熱の伝わりを緩やかにし、被塗布物の劣化を抑えることができるものである。
複数の色彩要素で加飾された加飾層、本開示の水系遮熱性クリヤー塗料によるクリヤー膜が積層されたものである。
これにより、被塗布物表面の加飾層の意匠性を十分に保ちながら、被塗布物への熱の伝わりを緩やかにし、被塗布物の劣化を抑えることができるものである。
本開示の実施形態を説明する。
本開示は、合成樹脂エマルションと、平均粒子径が5~80μmの範囲の鱗片状光輝性顔料と、平均粒子径が0.2~10μmの範囲の球状シリカを主成分としたものである。
まず、合成樹脂エマルションは、水系遮熱性クリヤー塗料の主成分であり、被塗装面と密着するクリヤー膜を造るものである。この合成樹脂エマルションは、合成樹脂を水に分散させたもので、乳化重合のような通常の重合技術で製造できるものでる。
水性クリヤー塗料のバインダー成分として、合成樹脂エマルションは、その取扱いや塗料の作業性の点、更にクリヤー膜の耐水性の観点などから多く用いられるものである。
この合成樹脂には、アクリル樹脂,シリコーン樹脂,アクリルシリコン樹脂,フッ素樹脂,ポリウレタン樹脂,スチレン樹脂,エポキシ樹脂,メラミン樹脂,アルキッド樹脂,塩化ビニル樹脂,酢酸ビニル樹脂,ポリエステル樹脂,ポリエーテル樹脂,フェノール樹脂,ケトン樹脂などの樹脂を単独又2種類以上を混合して用いても良い。これらを構成するモノマーを単独又は共重合した一般的なものが使われる。
これら合成樹脂を用いた合成樹脂エマルションの中でも、耐候性の良いアクリル系合成樹脂エマルション,ウレタン系合成樹脂エマルション,シリコーン系合成樹脂エマルション,フッ素系合成樹脂エマルション,アクリルシリコン系合成樹脂エマルションを用いることが好ましい。
また、これらの合成樹脂エマルションは、耐候性の他にも塗料適性,塗膜の物性や入手の容易性などの点でも好適に用いられ、これらによりクリヤー膜の耐候性など耐久性が向上するものである。
合成樹脂は、水系遮熱性クリヤー塗料中に15~45重量%の範囲が好ましい。15重量%より少ない場合には、クリヤー膜が脆く、劣化が速い場合がある。45重量%より多い場合は、後述するクリヤー膜の光透過率が低下することがある。
この合成樹脂エマルションに使われている合成樹脂のガラス転移点(以下、Tg)が0~40℃の範囲が好ましい。0℃より低い場合では、形成されたクリヤー膜が汚れ易くなり、40℃より高い場合では、形成されたクリヤー膜が硬く、下地の動きに追従できなくなり、割れなどが発生することがある。
次に、鱗片状光輝性顔料は、形状が鱗片状であり、パールのような光沢や金属調の光沢など独特な光沢を持つ顔料のことで、見る角度によって塗膜に異なる色感を持たせたものである。
これを用いることで、熱を反射させ易く、クリヤー膜の遮熱効果が効率的になる。つまり、被塗装物への熱の伝わりを緩やかにし、被塗装物の熱劣化を抑えることができるものである。
これらには、鱗片状にしたアルミニウムなどの金属片や雲母などがあり、これらの表面に酸化チタンをコーティングしたパール顔料などがある。この中でも、その形状や大きさが揃っていて、安定した遮熱効果を得ることができるため、パール顔料が好ましく用いられる。
このパール顔料は、薄板状雲母粒子の表面を酸化チタンでコーティングしたもので、この粒子が層状にされることにより、光が多重層反射され、独特の光沢を得るものである。これは、雲母片と酸化チタンの屈折率の差異による光の干渉作用によりパールのような特徴のある光沢を発するものである。
この鱗片状光輝性顔料の平均粒子径は、5~80μmの範囲であり、5μmより小さい場合では、熱の反射が乱反射に近くなることで、遮熱効果の効率が悪くなり、所望の遮熱効果を得るために多くの添加量が必要になる。
そのため、形成された塗膜が濁り、加飾層の色をぼかしてしまい、その加飾層の意匠性を保つことができない。
80μmより大きい場合であっても、被塗布物表面の加飾層の意匠性を表すことができない。つまり、形成されたクリヤー塗膜に鱗片状光輝性顔料の粒子を確認することができ、点のように表れ、加飾層の意匠感を大きく損なうことになる。
より好ましいものとして、この範囲が5~60μmで、鱗片状光輝性顔料の添加量を最適にすることができ、十分な遮熱効果のあるものである。
この鱗片状光輝性顔料の添加量は、合成樹脂エマルションの固形分に対して、0.1~5.0重量%の範囲で添加したものが好ましい。
0.1重量%より少ない場合では、被塗布物表面の加飾層や被塗装物自体に太陽光の熱を伝え易く、それらの劣化を抑えることができないなどクリヤー膜の遮熱性を十分ではないことがある。
5.0重量%より多い場合では、形成された塗膜が濁り、加飾層の意匠性を十分に確保することができないことがある。
球状シリカは、その形状が球形なシリカであり、そのシリカは、熱伝導率が高いが、熱膨張も少なく、熱に対して安定的なもので、熱伝導が良いことで、温まり易く、その熱を素早く放出する特性がある。
また、球状の形状であることから熱を受ける塗膜表面の大気側から来る熱が球状シリカを中心に放射状に放出することになる。この作用を利用して遮熱効果を得ることができるものである。
この球状シリカの粒子径は、0.2~10μmの範囲のもので、太陽光やその熱を反射させることができ、十分な遮熱効果を得ることができる。また、水系遮熱性クリヤー塗料に混ぜ易く、滑らかなクリヤー塗膜を得ることもできる。
また、球状シリカの比表面積が30m/g以下であることが望ましく、10m/g以下であることがより望ましい。比表面積が小さいほど、球の形状により近くなり、熱反射が効率的なものとなる。更に、水系遮熱性クリヤー塗料に混ぜ易くなり、塗料の流動性も良くなる。
この球状シリカの添加量は、合成樹脂エマルションの固形分に対して、0.1~5.0重量%の範囲で添加したものが好ましい。
0.1重量%より少ない場合では、被塗布物表面の加飾層や被塗装物自体に太陽光の熱を伝え易く、それらの劣化を抑えることができないなどクリヤー膜の遮熱性が十分ではないことがある。
5.0重量%より多い場合では、形成された塗膜が濁り、加飾層の意匠性を十分に確保することができないことがある。又、効率的な遮熱効果を得ることができない場合もある。
このような球状シリカは、特に制限されるものではないが、代表的なものとして、株式会社アドマテックス社製のアドマファインを挙げることができる。
このアドマファインは、熱膨張が少なく、耐熱性に優れ、熱伝導性の良好なものである。その粒子径は、0.2~10.0μmの範囲に調整され、その粒度分布もシャープなものとなっている。その形状は、真球状微粒子で、表面は無孔質である。
表面が無孔質で真球な形状であるため、比表面積も比較的小さく、吸水も少ないことから、水性塗料への混和性も良好で、粒子同士の凝集も少なく、分散性にも優れていて、水性塗料へ混和させた場合の塗料粘度に与える影響も少ないため、本開示の水系遮熱性クリヤー塗料には、好適に用いることができる。
前記鱗片状光輝性顔料と球状シリカとを併用することにより、それらの添加量を低く抑えながら、効率的な遮熱効果を得ることができるクリヤー膜を形成することができる。
これは、鱗片状光輝性顔料と球状シリカを含んだ水系遮熱性クリヤー塗料により形成された塗膜の表面である大気側から受ける太陽光からの熱などを鱗片状光輝性顔料がそのまま熱を受けた方向である大気側に跳ね返す。
一方、球状シリカは、大気側から受けた熱などを放射状に大気側と被塗装物側に放出する。塗膜表面球状シリカの被塗装物側に放出された熱などは、その球状シリカの被塗装物側にある鱗片状光輝性顔料により大気側に跳ね返される。
このような熱の移動により、効率的な遮熱効果を得ることができ、被塗装物への熱の伝わりを緩やかにし、被塗装物の熱劣化を抑えることができ、加え、被塗装物の表面の加飾層の意匠性を保つことができるものである。
この水系遮熱性クリヤー塗料は、上記合成樹脂エマルションと鱗片状光輝性顔料と真球シリカの他に、その効果が損なわない限りにおいて、必要に応じて通常の水系塗料用の添加剤を使用することができる。
この添加剤には、消泡剤,分散剤,湿潤剤などとして用いられる界面活性剤、造膜助剤,防凍剤などとして用いられる高沸点溶剤、粘度,粘性調整のための増粘剤やレベリング剤、防腐剤、防藻剤、防黴剤、pH調整剤、艶消し材,架橋剤、シランカップリング剤等がある。
また、酸化鉄などの無機系の顔料や有機系顔料などの着色顔料なども必要に応じ添加することも可能である。
他にも、酸化チタン,カオリン,タルクやクレーなどの白色顔料の場合によっては、水系遮熱性クリヤー塗料の性能を損なわない範囲で添加することが可能である。
また、炭酸カルシウム,珪藻土,水酸化アルミニウム,ベントナイト,ホワイトカーボン,沈降性バリウムや珪砂などの体質顔料も水系遮熱性クリヤー塗料の性能を損なわない範囲で添加することもできる。
さらに、水系遮熱性クリヤー塗料には、ヒンダードアミンライトスタビライザー(以下、「HALS」と言う。),紫外線吸収剤(以下、「UVA」と言う。)が好ましく添加される。これらを添加することで、形成されるクリヤー膜の耐候性を向上させるものである。
このHALSは、クリヤー膜の合成樹脂の劣化に影響を与える遊離ラジカルを捕捉、過酸化物の分解などによるもので、UVAは、有害な紫外線を吸収し、無害な熱又は運動エネルギーに変換するものである。
より好ましくは、このHALSとUVAとを併用することである。これは、HALSがクリヤー膜の劣化を起こす有害な光を吸収するものではないため、UVAを併用することにより、クリヤー膜の耐候性がより増すからである。
さらに、クリヤー膜の熱酸化劣化を防止するために酸化防止剤を添加することがある。これにより、より一層の耐候性を得ることができる。これらHALS,UVA,酸化防止剤は、合成樹脂エマルションと容易に混ざり合うものが良い。
このHALSには、1-[2-〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]-4-〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルペピリジンなどのような1分子にテトラメチルペピリジンの数が1つのものや8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオンなど2つのものなどがあり、テトラメチルペピリジンを有するものが好ましく用いられる。
HALSの平均分子量は、200~1000の範囲のものが好ましく、200より小さいものは、クリヤー膜から流出し易く、耐候性の向上が少なくなることがある。
平均分子量が1000より大きいものは、水系遮熱性クリヤー塗料の貯蔵安定性を損なうことがある。
HALSの添加量は、その種類にもよるが、合成樹脂エマルションの固形分中に、0.1重量%~5.0重量%の割合の範囲が好ましく、0.1重量%より少ない場合では、クリヤー膜の耐候性の向上を期待することができない場合がある。
5.0重量%より多い場合には、耐候性の効果が格段に向上することが期待できないことがある。より好ましくは、0.1重量%~3.0重量%の割合の範囲で、この範囲である場合には、十分な塗膜の耐候性を期待できるものである。
UVAには、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、オギザニリド系のUVAが挙げられる。
これらの中のUVAの中では、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系のUVAが、熱及び光に安定であるため好ましく用いられる。さらに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、トリアジン系紫外線吸収剤は、HALSとの相乗効果が大きいためより好ましく用いられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤には、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5-ジ-t-ブチル-フェニル)-ベンゾトリアゾールなどがある。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤には、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルフォニックアシドなどが挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤には、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(4-ブトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
UVAの添加量は、その種類にもよるが、有効成分が合成樹脂エマルションの固形分中に、0.2重量%~10.0重量%の割合の範囲が好ましく、0.2重量%より少ない場合では、クリヤー膜の耐候性の向上を期待することができない場合がある。
10.0重量%より多い場合には、耐候性の効果が格段に向上することが期待できないことがある。より好ましくは、0.2重量%~5.0重量%の割合の範囲である。この範囲である場合には、十分な塗膜の耐候性を期待できるものである。
酸化防止剤には、リン系,フェノール系,イオウ系の酸化防止剤を挙げることができる。これらの中でもリン系,フェノール系の酸化防止剤が好ましく用いられる。また、リン系酸化防止剤は、HALSとの相乗効果が大きいためより好ましく用いられる。
リン系酸化防止剤には、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤は、UVAと併用することも可能である。
上記成分により水系遮熱性クリヤー塗料は構成される。この水系遮熱性クリヤーは、通常の塗装方法である吹付塗装,塗装用ローラー,刷毛などの器具をもちいて被塗布物などに塗装される。
また、塗布された水性遮熱性クリヤー塗料は、硬化乾燥させ、クリヤー膜を得ることができる。この乾燥には、建築現場など屋外で使用される多くの場合は、自然に乾燥させることが多い。
後述される壁板材などを工場内で塗装する場合では、自然に乾燥させることもあるが、遠赤炉,ガス炉,電気炉など使用して、強制的に乾燥させることも可能である。
また、この場合の塗装方法には、上記塗装方法に加え、カーテンフローコーターやロールコーターなどを使用することも可能になり、安定した膜厚を得ることができる。
この水系遮熱性クリヤー塗料により形成されるクリヤー膜の厚みは、特に制限されないが、好ましくは50μm~300μmであり、50μmより薄い場合では、遮熱効果が期待し難く、300μmより厚い場合では、被塗布物表面の加飾層の意匠性を十分に保つことができないことがある。
より好ましくは80μm~200μmであり、被塗布物表面の加飾層の意匠性を十分に保ち、遮熱効果のあるバランスの取れたものとなる。
この水系遮熱性クリヤー塗料により形成されるクリヤー膜は、その膜厚が好ましい範囲である50~300μmの場合において、光透過率が90~60%の範囲のものが好ましく、隠ぺい率が1.0~15.0%の範囲であるものが好ましい。
光透過率は、クリヤー膜の光を通す程度を表すもので、分光光度計により測
定が可能である。
この光透過率は、厚みが50~300μmの範囲のクリヤー膜を通す前の光の強度に対して透過後の光の強度の割合で、その割合が90~60%の範囲内であれば、被塗布物の表面の加飾層の意匠性を十分に保ちながら、被塗装物への熱の伝わりを緩やかにすることが可能である。
光透過率が90%より高い場合では、被塗布物への熱が伝わり易く、被塗布物の熱劣化を抑えることが難しく、60%より低い場合では、クリヤー膜が濁った状態であり、被塗布物の加飾層の色合いなどがぼやけたものとなり、その意匠性を保つことができないものである。
好ましくは、光透過率が85~70%の範囲で、この範囲内であれば、被塗布物の表面の加飾層の色合いなど十分に保ちながら、被塗装物への熱の伝わりがより緩やかになり、バランスの取れたものとなる。
隠ぺい率は、クリヤー膜が下地の色の差を覆い隠す能力である隠ぺい力を数値化したもので、色分けが見えにくくなる程度のことで、この場合は、色分けがわかることを表すものである。
つまり、水系遮熱性クリヤー塗料によるクリヤー膜のクリヤー度を表すことになる。
この隠ぺい率は、黒と白とに塗り分けて作った隠ぺい力試験紙などの下地の上に、クリヤー膜の厚みが50~300μmの範囲で、黒の部分と白の部分とを同じ厚さで塗ったものを試験体とする。
この試験体のクリヤー膜の45度,0度拡散反射率又は三刺激値Yの比で表すもので、JIS K5600-4-1にあるように測定されるものである。
水系遮熱性クリヤー塗料によるクリヤー膜の隠ぺい率は、隠ぺい率が1.0~15.0%の範囲であり、この範囲内であれば、被塗布物の表面の加飾層の意匠性を十分に保ちながら、被塗装物への熱の伝わりを緩やかにすることが可能である。
隠ぺい率が15.0%より高い場合では、クリヤー膜に隠ぺい性が多少あり、被塗布物の加飾層の色合いをはっきり確認することが難しく、その意匠性を保つことができない場合がある。1.0%より低い場合では、被塗布物への熱が伝わり易く、被塗布物の熱劣化を抑えることが難しい。
好ましくは、隠ぺい率が2.0~10.0%の範囲で、被塗布物の表面の加飾層の色合いなど十分に保ちながら、被塗装物への熱の伝わりがより緩やかになり、バランスの取れたものとなる。
このように構成された水系遮熱性クリヤー塗料は、その形成されたクリヤー膜により、上記のような効果を発揮するものである。
この水系遮熱性クリヤー塗料は、各種被塗布物表面に塗布することが可能で、この被塗布物には、建築物や土木構造物などのコンクリートなどの壁面やこの壁面を構成する壁板材などである。
この水系遮熱性クリヤー塗料は、太陽光などの外界の光,熱などの影響を受け易く、その変化が比較的大きい壁板材への塗布が好ましく行われる。この壁板材は、コンクリート壁面に比べ、厚みが薄いため、外界の温度の影響を受けその熱により変化し易いものである。
つまり、この壁板材は、太陽光を受けると温度が直ぐに上昇し、受けなくなると温度が比較的速く下がることになる。このように太陽光による温度変化が激しいため、それにより被塗布物が温度により膨張収縮が大きく繰り返され、そのために劣化も速くなる。特に、その表面は、その影響を受け易くなる。
そのため水系遮熱性クリヤー塗料を塗布し、形成されたクリヤー膜によりその影響を少なくし、劣化の速度も遅くすることができる。
この壁板材には、窯業系サイディングボード,フレキシブルボード,ケイ酸カルシウム板,押し出し成型板,石膏スラグバーライト板,木片セメント板,プレキャストコンクリート板,軽量気泡コンクリート板及び石膏ボード等の壁板材やアルミニウム,鉄及びステンレス等の金属材料で形成された壁板材などがある。
また、これら被塗布物表面には、塗料,塗材やインクなどで加飾されている場合が多い。この場合、単色で加飾しているものや複数色で加飾されている場合がある。
単色で加飾されている被塗布物に本開示の水系遮熱性クリヤー塗料を塗布し、クリヤー膜を積層した場合では、全体に一様な仕上がりとなり、その遮熱効果も全体として一様なものを得ることができる。
この水系遮熱性クリヤー塗料では、被塗布物が複数色で加飾されている場合にその効果をより発揮する。
例えば、複数色で加飾された被塗布物では、加飾された色毎で、光や熱の吸収が異なり、そのため温度の上昇も異なり、その温度上昇により被塗布物の膨張も異なり、被塗布物に加わる応力も異なることになる。
これにより、被塗布物の表面の色によりその部分の劣化が異なり、被塗布物の熱膨張などの応力も部分的に異なり、それによる劣化も異なるようになる。
このような場合に、この水系遮熱性クリヤー塗料を複数色で加飾された被塗布物に塗布し、クリヤー膜を積層させることで、加飾層に吸収される太陽光などの熱を全体に和らげ、被塗布物の温度分布もなだらかにすることができることになる。
そのため、被塗布物の表面の加飾層の意匠性を十分に保ちながら、被塗布物への熱の伝わりを緩やかにし、被塗布物の劣化を抑えることができるものである。
この複数色で加飾された被塗布物には、建築物や土木構造物などの壁面が塗装されている場合も含まれる。この壁面に対し、リフォームを行う場合にも好適に用いられる。
他にも、壁板材に対して水系遮熱性クリヤー塗料によるクリヤー膜を積層させた壁板材を用いて、建築物などの壁面を構成させるなどがある。
また、被塗布物が平面である場合より凹凸など形状がある場合には、よりその効果を発揮するものである。被塗布物に凹凸形状がある場合には、温度による応力が、不均一に掛かり易いことがあり、被塗布物の劣化が起き易いためである。
このような被塗布物に凹凸形状があるものには、窯業系サイディングボードがあり、このような壁板材では、その板が応力により反ることもあるため、水系遮熱性クリヤー塗料によるクリヤー塗膜の効果がより発揮される。
リフォームなど既存の被塗装物に対して塗布する場合では、被塗布物表面に付着している埃や汚れなど汚染物質を水洗など一般的な汚染物質除去方法により取除いた後に塗布を行う。
以下、上記記載の実施形態をより具体的に説明する。下記に具体的な水系遮熱性クリヤー塗料を例示する。
水系遮熱性クリヤー塗料の主成分である合成樹脂エマルションには、一般的な、アクリルシリコン樹脂を用いたものを使用した。このアクリルシリコン系合成樹脂エマルションは、入手が比較的容易で、塗装時の作業性などの塗料適正に優れた水系遮熱性クリヤー塗料を得ることができた。
また、それにより得られるクリヤー膜は、耐水性や耐候性などの耐久性に優れたものであった。
このアクリルシリコン系合成樹脂エマルションの固形分は、47重量%で、合成樹脂のTgは、11℃のものであった。
このアクリルシリコン系合成樹脂エマルションに造膜助剤,防凍剤としての高沸点溶剤を加え、消泡剤,分散剤,湿潤剤としての界面活性剤と粘性調整のための増粘剤、防腐剤とpH調整剤をその他の成分として添加し調整を行った。
また、HALS、UVAを添加し、水系遮熱性クリヤー塗料のベース塗料とし、これに鱗片状光輝性顔料と球状シリカを加え、高耐候性が期待できる水系遮熱性クリヤー塗料を調整した。
このHALSには、テトラメチルピペリジンを有する有効成分が100%のものを用いた。その添加量は、合成樹脂エマルションの固形分中に、3.0重量%の割合になるように調整を行い添加した。
UVAには、HALSとの相乗効果が大きいトリアジン系紫外線吸収剤を用いた。これも合成樹脂エマルションの固形分中に、1.5重量%の割合になるように添加した。
上記のように構成された水系遮熱性クリヤー塗料のベース塗料に鱗片状光輝性顔料と球状シリカを加え水系遮熱性クリヤー塗料を得た。
この水系遮熱性クリヤー塗料に加えた鱗片状光輝性顔料は、パールのような光沢や金属調の光沢など特有の光沢を持つ鱗片状の雲母に酸化チタンをコーティングしたものを用いた。この鱗片状光輝性顔料の平均粒子径は、30μmであった。
球状シリカは、株式会社アドマテックス社製の真球状微粒子で、表面は無孔質であるアドマファインのSO-C2を用いた。
このアドマファインSO-C2の粒子径は、0.4~0.6μmの範囲に調整され、比表面積が4~7m/gの範囲のものである。なお、鱗片状光輝性顔料と球状シリカの粒子径は、レーザー回折法で測定した体積基準の粒度分布から算出した。
この鱗片状光輝性顔料と球状シリカの添加量によって、水系遮熱性クリヤー塗料によるクリヤー膜の評価を行った。
(水系遮熱性クリヤー塗料のベース塗料配合例)
合成樹脂エマルション 70.0 重量%
配合水 16.0 重量%
造膜助剤(テキサノール) 7.0 重量%
防凍剤(プロピレングリコール) 0.5 重量%
HALS 1.0 重量%
UVA 2.5 重量%
その他添加剤 3.0 重量%
合計 100.0 重量%
上記のように構成された水系遮熱性クリヤー塗料のベース塗料の固形分は、34.0重量%であった。これに鱗片状光輝性顔料と球状シリカを加え水系遮熱性クリヤー塗料を得た。
まず、上記ベース塗料に鱗片状光輝性顔料を添加し、鱗片状光輝性顔料の添加量を決めた。この鱗片状光輝性顔料を合成樹脂エマルションの固形分に対して、0.1,0.6,2.5,5.0,6.0重量%添加し、比較を行った。
0.1重量%添加したものを遮熱水性クリヤー塗料(1)(0.1重量%添加品)とし、順に遮熱水性クリヤー塗料(2)(0.6重量%添加品),遮熱水性クリヤー塗料(3)(2.5重量%添加品),遮熱水性クリヤー塗料(4)(5.0重量%添加品),遮熱水性クリヤー塗料(5)(6.0重量%添加品)とした。
これら遮熱水性クリヤー塗料(1)~(5)を黒と白とに塗り分けられている隠ぺい力試験紙の上に、150μmのアプリケーターで塗布し、試験体とした。比較として、ベース塗料による試験体も作成した。
まず、この隠ぺい力試験紙に塗布した試験体の白部分と黒部分との境界線の目視観察を行った。
ベース塗料を使った試験体では、その境界部分がはっきり鮮明に確認することができた。遮熱水性クリヤー塗料(1),遮熱水性クリヤー塗料(2)では、境界線が若干ぼやけた感じはあるが、その境界ははっきりと確認することができた。
遮熱水性クリヤー塗料(3)では、遮熱水性クリヤー塗料(1),(2)に比べて、少しぼやけた感じはあるが、境界線をはっきりと確認することができた。遮熱水性クリヤー塗料(4)では、境界線の確認をすることができるが、全体的にぼやっとした感じであった。
また、遮熱水性クリヤー塗料(5)では、境界線の確認をすることができづらくなり、全体的に光輝性顔料によるキラキラしたぼやっとした感じであった。
この遮熱水性クリヤー(1)~(4)のクリヤー膜とベース塗料のクリヤー膜との仕上がり感を比較した場合、どちらも下地の色などを損なわない仕上がりとなった。
しかし、遮熱水性クリヤー(5)によるクリヤー膜は、下地の色などを鮮明に表すことが難しく、全体的にキラキラしたぼやっとした感じとなった。これは、光輝性顔料が多くなり、見る角度によって塗膜に異なる色感を持ってしまったことによるものであった。
また、この隠ぺい力試験紙に塗布した試験体を使って、遮熱効果の検証を行った。
試験体を台の上に置き試験体の真上60cmの所に100Wの白熱球のライトを試験体に光や熱が直接当たるように設置し、60分間静置し、温度を確認した。
ベース塗料を使った試験体では、隠ぺい力試験紙の白部分の温度が46.2℃で、黒部分が98.2℃であった。遮熱水性クリヤー塗料(1)では、45.5℃(白部分)で、黒部分が92.3℃(黒部分)であった。
遮熱水性クリヤー塗料(2)では、44.9℃(白部分)で、黒部分が91.8℃(黒部分)であった。遮熱水性クリヤー塗料(3)では、43.1℃(白部分)で、黒部分が90.2℃(黒部分)であった。
遮熱水性クリヤー塗料(4)では、41.0℃(白部分)で、黒部分が88.6℃(黒部分)であった。遮熱水性クリヤー塗料(5)では、40.3℃(白部分)で、黒部分が88.1℃(黒部分)であった。
この遮熱水性クリヤー塗料(1)~(5)のクリヤー膜と水性クリヤー塗料のクリヤー膜について、その遮熱性を比較した場合、遮熱水性クリヤー塗料(1)~(5)のクリヤー膜の方が上昇温度が低くなり、その遮熱効果を確認することができた。
次に、目視確認による確認と遮熱性とのバランスが良かった遮熱水性クリヤー塗料(3)に球状シリカを添加し、その遮熱性と仕上がり感との評価を行い水系遮熱性クリヤー塗料を得た。
遮熱水性クリヤー塗料(3)に球状シリカを添加する。その添加量を鱗片状光輝性顔料に対して、50,100,150,200重量%とした。
50重量%添加したものを水系遮熱性クリヤー塗料(1)(50重量%添加品)とし、水系遮熱性クリヤー塗料(2)(100重量%添加品),水系遮熱性クリヤー塗料(3)(150重量%添加品),水系遮熱性クリヤー塗料(4)(200重量%添加品)とした。
これら5種類の塗料の貯蔵安定性では、どの塗料も変質しないものであり、安定したものであり、塗装作業性についても、どの塗料も問題がなく、支障がないものであった。
ベース塗料と遮熱水性クリヤー塗料(3),水系遮熱性クリヤー塗料(1)~(4)の6種類の塗料からクリヤー膜となるクリヤーフィルムを作製し、光透過率の測定を行った。このクリヤーフィルムの厚みを150μmになるように調整した。また、1種類当たりの塗料から3枚ずつクリヤーフィルムを作製した。
この6種類のクリヤーフィルムの光透過率を分光光度計により、それぞれの光透過率を測定した。この測定では、1種類の塗料から得られた3枚のクリヤーフィルムをそれぞれ測定し、この平均値をそのクリヤー塗料の光透過率とした。
この光透過率は、ベース塗料により得られたクリヤーフィルムでは、90.1%で、遮熱水性クリヤー塗料(3)では、79.9%であった。
水系遮熱性クリヤー塗料(1)では、78.3%で、水系遮熱性クリヤー塗料(2)では、76.8%であった。水系遮熱性クリヤー塗料(3)では、74.4%で、水系遮熱性クリヤー塗料(4)では、73.9%であった。
次に、隠ぺい率の測定を行った。この隠ぺい率は、黒と白とに塗り分けて作った隠ぺい力試験紙の上に、クリヤー膜の厚みが150μmの範囲で、黒の部分と白の部分とを同じ厚さで塗った試験体をJIS K5600-4-1にあるように測定した。
この隠ぺい率は、ベース塗料を使った試験体では、0.3%で、遮熱水性クリヤー塗料(3)では、7.5%であった。
水系遮熱性クリヤー塗料(1)では、8.6%で、水系遮熱性クリヤー塗料(2)では、9.0%であった。水系遮熱性クリヤー塗料(3)では、10.0%で、水系遮熱性クリヤー塗料(4)では、15.9%であった。
さらに、この隠ぺい力試験紙に塗布した試験体の白部分と黒部分との境界線の目視観察を行った。
ベース塗料を使った試験体では、その境界部分がはっきり鮮明に確認することができた。
遮熱水性クリヤー塗料(3)では、少しぼやけた感じはあるが、境界線をはっきりと確認することができた。水系遮熱性クリヤー塗料(1),(2)では、境界線の確認をすることができるが、全体的にぼやっとした感じであった。
また、水系遮熱性クリヤー塗料(3),(4)では、全体的に白ぼけた感じで、水系遮熱性クリヤー塗料(4)の方が白ぼけた感が強い感じであり、境界線の確認をすることができづらくなるようであった。
この水系遮熱性クリヤー(1)~(4)のクリヤー膜とベース塗料のクリヤー膜との仕上がり感を比較した場合、どちらも下地の色などを損なわない仕上がりとなった。
また、この隠ぺい力試験紙に塗布した試験体を使って、遮熱効果の検証を行った。この試験は、上記記載同様に試験体を台の上に置き試験体の真上60cmの所に100Wの白熱球のライトを試験体に光や熱が直接当たるように設置し、60分間静置し、温度を確認した。
ベース塗料を使った試験体では、隠ぺい力試験紙の白部分の温度が46.0℃で、黒部分が98.1℃であった。遮熱水性クリヤー塗料(3)では、42.8℃(白部分)で、黒部分が89.8℃(黒部分)であった。
水系遮熱性クリヤー塗料(1)では、41.1℃(白部分)で、黒部分が85.3℃(黒部分)であった。水系遮熱性クリヤー塗料(2)では、40.1℃(白部分)で、黒部分が82.2℃(黒部分)であった。
水系遮熱性クリヤー塗料(3)では、39.3℃(白部分)で、黒部分が80.2℃(黒部分)であった。水系遮熱性クリヤー塗料(4)では、38.4℃(白部分)で、黒部分が79.6℃(黒部分)であった。
この水系遮熱性クリヤー塗料(1)~(4)のクリヤー膜とベース塗料及び遮熱水性クリヤー塗料(3)のクリヤー膜について、その遮熱性を比較した場合、球状シリカを添加することにより、上昇温度が低くなり、その遮熱効果を確認することができた。
しかしながら、水系遮熱性クリヤー塗料(2)と(3)を比較した場合、その遮熱効果の差は少なくなり、球状シリカの添加量と鱗片状光輝性顔料の比率により効率的な添加量があることを確認した。
さらに、上記水系遮熱性クリヤー塗料(1)~(3)とベース塗料,遮熱水性クリヤー塗料(3)の5種類の塗料を暴露していた窯業系サイディングに塗布し、その仕上がりを確認した。
この窯業系サイディングは、表面に凹凸状のタイル張り調に成形され、白い下地に黒,赤,グレー3色のインクジェット印刷された多彩感のあるものであった。これを5年間ほど暴露し、表面劣化させたものであった。
この窯業系サイディングを塗布前に洗浄し、付着している埃や汚れなど汚染物質を洗い流し、乾かした後に塗布を行った。
この窯業系サイディングに塗装用ローラーにより塗膜が平均膜厚150μm程度になるように調整して塗布を行った。塗布後の仕上がりを暴露していない同じ窯業系サイディング板と比較して確認した。
ベース塗料を使った窯業系サイディングは、多少の色落ちはあるが、遜色のない仕上がりであった。
水系遮熱性クリヤー塗料(1),(2)では、遮熱水性クリヤー塗料(3)と同じような仕上がりであった。水系遮熱性クリヤー塗料(3)では、全体的に白ぼけた感じであり、印刷で加飾された色がぼやけた感じであった。
上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
合成樹脂エマルションがアクリル系合成樹脂エマルション,ウレタン系合成樹脂エマルション,シリコーン系合成樹脂エマルション,フッ素系合成樹脂エマルション,アクリルシリコン系合成樹脂エマルションいずれか1又2種以上を用いるものである。
これにより耐候性の他にも塗料適性,塗膜の物性や入手の容易性などの点でも好適に用いられ、これらによりクリヤー膜の耐候性など耐久性が向上するものである。
合成樹脂が水系遮熱性クリヤー塗料中に15~45重量%の範囲であることにより、形成されたクリヤー膜の光透過率が低下することが少なく、クリヤー膜が強靭で、劣化が少ないものである。
合成樹脂のTgが0~40℃の範囲であることにより、形成されたクリヤー膜が汚れ難く、下地の動きに追従し易く、割れの少ないものである。
球状シリカの比表面積が30m/g以下であることにより、球の形状により近くなり、熱反射が効率的なものとなる。更に、水系遮熱クリヤー塗料に混ぜ易くなり、塗料の流動性も良くなる。

Claims (5)

  1. 合成樹脂エマルションと、
    平均粒子径が5~80μmの範囲の鱗片状光輝性顔料と、
    平均粒子径が0.2~10μmの範囲の球状シリカと、
    を主成分とした水系遮熱性クリヤー塗料。
  2. 合成樹脂エマルションの固形分に対して、
    球状シリカの添加量が0.1~5.0重量%の範囲である請求項1に記載の水系遮熱性クリヤー塗料。
  3. 水系遮熱性クリヤー塗料により形成されたクリヤー膜であって、
    100μmの厚みのクリヤー膜の光透過率が90~60%の範囲で、隠ぺい率が1.0~15.0%の範囲で、ある請求項1又は請求項2に記載の水系遮熱性クリヤー塗料。
  4. 請求項1~請求項3のいずれかに記載の水系遮熱性クリヤー塗料を、複数の色彩要素で加飾された被塗布物表面に塗布する水系遮熱性クリヤー塗料の塗装方法。
  5. 複数の色彩要素で加飾された加飾層、請求項1~請求項3のいずれかに記載の水系遮熱性クリヤー塗料によるクリヤー膜、が積層された積層構造。

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