以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は本実施形態に係るパチンコ機(遊技機)の外観を示す正面図、図2は前枠を開放状態にしたときのパチンコ機を示す斜視図である。
図1および図2に示すように、パチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の外枠1と、外枠1の前面に扉状に開閉可能に取り付けられた内枠2と、内枠2の前面に扉状に開閉可能に取り付けられた前枠3と、を備える。外枠1および内枠2は本体部4を構成する。本体部4は遊技盤5を保持する。
外枠1の左側枠部には、上側軸受け体6と下側軸受け体7が固着される。内枠2の左側枠部の上下両端には、第1ピン(図示せず)が設けられる。これら両第1ピンを上側軸受け体6と下側軸受け体7に軸支することで、内枠2を外枠1に対して開閉可能に支持する第1ヒンジ機構が構成される。また、前枠3の左側枠部の上下両端には、第2ピン(図示せず)が設けられる。これら両第2ピンを内枠2の左側枠部に突設した上下の支持板8,9に軸支することで、前枠3を内枠2の左側枠部に対して開閉可能に支持する第2ヒンジ機構が構成される。
内枠2の右側枠部は、第1ヒンジ機構および第2ヒンジ機構と反対側の自由端側である。この右側枠部にはシリンダ錠10が設けられる。シリンダ錠10の鍵穴に差し込まれた鍵を回動方向に応じて、内枠2または前枠3が開錠される。
前枠3は、ガラスやプラスチック等からなる透明板11を保持する。透明板11は、前枠3が内枠2に対して閉じられた状態になると、遊技盤5と対向する。前枠3の透明板11の周囲には、各種機器が設けられる。例えば、透明板11の上方には意匠ユニット12が設けられ、透明板11の下方には受皿13が設けられ、受皿13の前方中央に演出操作ユニット14が設けられ、演出操作ユニット14の右下方に操作ハンドル15が設けられる。
意匠ユニット12は、左スピーカユニット12aと、右スピーカユニット12bと、これらの間に配置されたロゴユニット12cと、ロゴユニット12cを支持するベースユニット12dと、を有する。左スピーカユニット12aは、透明板11の左上方に配設される。右スピーカユニット12bは、透明板11の右上方に配設される。ロゴユニット12cは、透明板11の上方に配設される。ベースユニット12dは、透明板11の上方であって、ロゴユニット12cの背面側に配設される。詳細は後述するが、意匠ユニット12は、前枠3の開錠に連動して変形可能に構成されている。
受皿13は、遊技球を収容可能とする。受皿13には、パチンコ機Pの側方に設置された遊技球貸出装置(図示せず)により貸し出される遊技球や、パチンコ機Pの賞球払出装置(図3の符号20)から払い出される賞球が導かれる。受皿13が遊技球で一杯になると、満タン検知ユニット(図3の符号23)によってその状態が検知される。
演出操作ユニット14は、遊技の進行に伴って実行される演出の切り替え等を行うことを可能にする。
操作ハンドル15は、遊技者が所定方向へ向けて回転操作できるように構成されている。操作ハンドル15の回転操作が行われると、受皿13に収容されている遊技球が、遊技盤5の下方に配設された発射装置16に送られ、操作ハンドル15の回転角度に応じた強度で発射される。なお、前枠3の背面における透明板11の下方には整流器ユニット17が配設される。整流器ユニット17は、受皿13に収納された遊技球を発射装置16に供給する。
図3はパチンコ機Pの背面図である。図3に示すように、パチンコ機Pは、その背面側に、主制御基板18と、副制御基板19と、賞球払出装置20と、払出制御基板21と、発射制御基板(図示せず)と、外部端子基板22と、満タン検知ユニット23と、を備える。
主制御基板18は、遊技に関する主要な処理を行う。副制御基板19は、主制御基板18からの指令を受けて各種演出ユニットを制御する。なお、主制御基板18および副制御基板19は背面カバー部材24によって覆われている。
賞球払出装置20は、遊技球が遊技盤5の遊技領域に設けられた所定の入賞口に入球したことに基づいて賞球を払い出す。払出制御基板21は、主制御基板18からの指令を受けて賞球払出装置20を制御する。
発射制御基板は、操作ハンドル15の回転角度に応じて発射装置16の作動を制御する。外部端子基板22は、大当たり回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する。満タン検知ユニット23は、受皿13が遊技球で一杯になったことを検知する。
このように、パチンコ機Pはその背面側に遊技を進行する際の制御を行う各種基板等を備えており、これらの制御等によって遊技を円滑に進めることができる。
次に、図4を参照して遊技盤5について説明する。図4は遊技盤5を示す正面図である。
図4に示すように、遊技盤5は、略矩形状のアクリル板(盤面板)25と、レールベース26と、外ガイドレール27と、内ガイドレール28と、を有する。レールベース26は、湾曲形状となっており、アクリル板25の前面に固定されている。外ガイドレール27も、湾曲形状となっており、レールベース26の内周面に沿って取り付けられている。内ガイドレール28は、アクリル板5aにおける外ガイドレール27の内側に取り付けられている。外ガイドレール27および内ガイドレール28によって湾曲形状の案内通路29が形成される。案内通路29は、発射装置16(図2参照)により発射された遊技球を遊技領域30に案内する。
遊技領域30は、外ガイドレール27および内ガイドレール28よりも内側の領域であり、発射装置16の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする左打ち領域30aおよび右打ち領域30bを含む。左打ち領域30aは、パチンコ機Pに正対した遊技者から見て遊技盤5の左側に位置する。一方、右打ち領域30bは、同遊技者から見て遊技盤5の右側に位置する。
遊技領域30には、各種の入賞口等が設けられる。例えば遊技領域30の中央下方には、第1始動入賞口31およびアウト口32が設けられる。また、遊技領域30の左打ち領域30aには、一般入賞口33、ワープ通路34、風車35、複数の遊技釘36等が設けられる。さらに、遊技領域30の右打ち領域30bには、ゲート37、第2始動入賞口38および大入賞口39等が設けられる。なお、詳細は後述するが、第1始動入賞口31は、アクリル板5aに始動口ユニット60が取り付けられることで形成される。
遊技盤5のアクリル板5aの略中央には、所定形状に切り抜かれた開口40が形成されている。アクリル板5aの背面側であって、遊技者が開口40を通して臨める位置に、遊技に関する各種演出を表示する演出表示装置41、および遊技の進行に合わせて昇降動作する可動役物42等が設けられている。また、図示は省略するが、遊技盤5は、遊技領域30の外方であって、かつ遊技者が視認可能な位置に第1特別図柄表示器、第2特別図柄表示器、第1特別図柄保留表示器、第2特別図柄保留表示器、普通図柄表示器、普通図柄保留表示器、および右打ち報知表示器を有する。これらの表示器は遊技に係る種々の状況を表示するための装置である。
遊技者が操作ハンドル15(図1および図2参照)を任意角度に回転操作すると、遊技球が発射装置16により遊技領域30に向かって連続的に打ち出される。通常、遊技者は、遊技開始時において、左打ち領域30aに向かって遊技球を打ち出す。そして、打ち出された遊技球は、風車35や複数の遊技釘36に衝突して流下方向を不規則に変えながら左打ち領域30aを流下する。その結果、流下した遊技球が第1始動入賞口31に入球した場合には、特別遊技を実行させるか否かを決定する大当たりの電子抽選が行われるとともに、所定個数(例えば3個)の賞球が付与される。なお、流下した遊技球が、一般入賞口33に入球した場合には所定個数(例えば3個)の賞球が付与され、第1始動入賞口31または一般入賞口33のいずれにも入球しなかった場合には、アウト口32を通って遊技盤5の背面側に排出される。
一方、上記した大当たりの電子抽選に当選した場合には、特別遊技に移行する。特別遊技おいては、遊技者は右打ち領域30bに向かって遊技球を打ち出す。そして、打ち出された遊技球は右打ち領域30bを流下して、大入賞口39に入球可能となる。大入賞口39には前後方向にスライド可能な大入賞口用スライド板39aが設けられている。大入賞口用スライド板39aが、前方にスライドすると大入賞口39を閉鎖する一方、後方にスライドすると大入賞口39を開放する。特別遊技において、大入賞口用スライド板39aは、所定のタイミングで複数回、大入賞口39を開放する。特別遊技の開始から終了までの間に開放した大入賞口39に遊技球を入球させることにより、多数個(例えば2000個)の賞球が遊技者に付与される。
また、上記した特別遊技が終了した場合には、時短遊技に移行する。時短遊技においては、遊技者は右打ち領域30bに向かって遊技球を打ち出す。そして、打ち出された遊技球がゲート37を通過すると、普通図柄の電子抽選が実行される。普通図柄の電子抽選に当選すると、第2始動入賞口38に遊技球が入球可能となる。第2始動入賞口38には前後方向にスライド可能な第2始動入賞口用スライド板38aが設けられている。第2始動入賞口用スライド板38aが、前方にスライドすると第2始動入賞口38を閉鎖する一方、後方にスライドすると第2始動入賞口38を開放する。普通図柄の電子抽選に当選すると、第2始動入賞口用スライド板38aが所定のタイミングで複数回、第2始動入賞口38を開放する。遊技球が第2始動入賞口38に入球した場合には、再び大当たりの電子抽選が行われるとともに、所定個数(例えば1個)の賞球が付与される。なお、第2始動入賞口38の入球を契機として大当たりの電子抽選が行われる回数は、予め定められた規定回数(例えば100回)に設定されている。規定回数以内に大当たりの電子抽選に当選しなかった場合には、時短遊技を終了させて遊技者は再び左打ち領域30aに向かって遊技球を打ち出すことになる。
次に、図5および図6を参照して、上述した始動口ユニット(樹脂部材)60の構成について説明する。図5は始動口ユニット60を示す前面斜視図、図6は始動口ユニット60を示す背面斜視図である。
図5および図6に示すように、始動口ユニット60は、遊技盤5(アクリル板5a)の下縁部の形状に合わせて、全体として湾曲した細長い形状をした樹脂製の部材である。始動口ユニット60は、始動口ベース61と、始動口ベース61の全面に固定される第1前飾り部62および第2前飾り部63と、を有する。
始動口ベース61は、略台形状の第1板状部64、略三角形状の第2板状部65と、第1板状部64と第2板状部65とを連結する連結部66と、を有する。第1板状部64の前面(第2面)は、遊技領域30を流下する遊技球と接する。第1板状部64の背面(第1面)は、後述する取付ベース部を介してアクリル板5aと接する。
第1板状部64の前面には、第1前飾り部62が固定されている。なお、図示は省略するが、第1前飾り部62の背面には固定ピンが突出するように形成されており、この固定ピンを第1板状部64に形成された固定ピン用貫通孔に挿入することで、第1前飾り部62が第1板状部64に取り付けられる。
第1前飾り部62は、遊技盤5のアクリル板5aと協働して第1始動入賞口31を形成する略コの字形状の始動口形成部62aと、始動口ベース61と協働してアウト口32を形成する第1アウト口形成部62bおよび第2アウト口形成部62cと、を有する。第1アウト口形成部62bは始動口形成部62の左側に設けられ、第2アウト口形成部62cは始動口形成部62の右側に設けられる。
第1板状部64の背面の四隅にはそれぞれ、所定の厚みを有する取付ベース部(第1樹脂部)69が形成されている。各取付ベース部69は、第1板状部64がアクリル板5aに取り付けられたときにアクリル板5aの前面と接する平坦状の部分である。これら取付ベース部69のうち、第1板状部64の背面における右上隅部、右下隅部、および左下隅部に形成された3つの取付ベース部69には、ネジ(固定部材)(図7の符号71)が挿入されるネジ孔(第1孔部)67と、アクリル板5aに対する始動口ベース61の取り付け位置を決めるピン(位置決め突部)68と、が対を成し、所定間隔を設けて隣接して形成されている。ネジ孔67は、第1板状部64の前面から取付ベース部69の背面に向かって凹んでおり、さらに第1板状部64の前面から取付ベース部69の背面に向かうまで突き抜けている。ピン68は、取付ベース部69の背面から後方に突出するように形成されている。一方、第1板状部64の背面における左上隅部に形成された取付ベース部(第4樹脂部)69には、ネジ孔67だけが形成されており、ピン68は形成されていない。
また、第1板状部64は、薄肉部(第2樹脂部)70と、厚肉部(第3樹脂部)75と、を有する。薄肉部70は、第1板状部64の周端部(本例では、上端部)に形成されている部分である。この薄肉部70では、第1板状部64の前面から背面までの長さ(寸法)(つまり、厚み)が、厚肉部75よりも小さく、第1板状部64の周端に向かうほど小さくなっている。一方、厚肉部75は、第1板状部64の周端部以外に形成されている部分である。この厚肉部75では、第1板状部64の前面から背面までの長さが、薄肉部70よりも大きく、概ね一定となっている。
第2板状部65の前面には第2前飾り部63が固定されている。第2前飾り部63は、第2板状部65と協働して遊技球を一般入賞口33に案内する通路63aを有する。第2板状部65の背面における右端部には、上記した取付ベース部69が形成されている。この取付ベース部69には、ネジ孔67およびピン68の双方が形成されている。また、第2板状部65は、第1板状部64と同様に、第2板状部65の周端部(本例では、上端部)に形成されている部分である薄肉部70と、第2板状部65の周端部以外に形成されている部分である厚肉部75と、を有する。
連結部66は、第1前壁66aおよび第2前壁66bと、これら前壁66a,66bの裏面から突出する複数の湾曲片66cと、を有する。第1前壁66a、第2前壁66bおよび複数の湾曲片66cは、遊技盤5のアクリル板5aと協働して複数の一般入賞口33を形成する。また、第1前壁66aの裏面から突出する湾曲片66cと第2前壁66bの裏面から突出する湾曲片とを接続する接続片66dには、ネジ孔67が形成されている。
このように、始動口ベース61では、第1板状部64の背面に設けられた3つの取付ベース部69それぞれに1組のネジ孔67およびピン68が形成され、第2板状部65の背面に設けられた1つの取付ベース部69に1組のネジ孔67およびピン68が形成されている。また、第1板状部の背面に設けられた1つの取付ベース部69にネジ孔67のみが形成され、連結部66の接続片66dに1つのネジ孔67が形成されている。
次に、図7を参照して始動口ユニット60の遊技盤5(アクリル板5a)への取り付けについて説明する。図7は始動口ユニット60のアクリル板5aへの取り付けを示す斜視図である。なお、図7においては、説明の便宜上、始動口ユニット60において第1前飾り部64および第2前飾り部65は図示していない。
図7に示すように、アクリル板5aの前面には、始動口ベース61のネジ孔67に挿入されたネジ71を挿入する複数(本例では6つ)のネジ用貫通孔(第2孔部)72、および始動口ベース61のピン68(図5および図6参照)が挿入される複数(本例では4つ)のピン用貫通孔(位置決め孔部)73が形成されている。始動口ユニット60(始動口ベース61)をアクリル板5aの前面に取り付ける際には、まず、始動口ベース61のピン68をアクリル板5aのピン用貫通孔73に挿入する。この際に、始動口ベース61の第1板状部64に形成された3つのピン68と第2板状部65に形成された1つのピンをそれぞれ、アクリル板5aのピン用貫通孔73に挿入することで始動口ユニット60をアクリル板5aに対して位置決めする。次に、ネジ71を始動口ベース61のネジ孔67を通してアクリル板5aのネジ用貫通孔72に螺合する。この際に、第1板状部64に形成された4つのネジ孔67、第2板状部65に形成された1つのネジ孔67、および連結部66の接続片66dに形成された1つのネジ孔67を通してネジ71をアクリル板5aのネジ用貫通孔72に螺合する。これにより、始動口ユニット60をアクリル板5aの前面に固定できる。
次に、図8および図9を参照して、始動口ベース61のネジ孔67およびピン68の配置について説明する。図8は、遊技盤5の遊技領域30における始動口ユニット60周辺の拡大正面図、図9は図8に示す点線枠部の拡大図である。
図8に示すように、第2板状部65において、取付ベース部69のピン68は、厚肉部75に形成されており、薄肉部70に形成されていない。具体的には、取付ベース部69は第2板状部65の厚肉部75の背面に形成されており、この取付ベース部69のピン68も厚肉部75の背面に形成されている。また、図9に示すように、第1板状部64において、その背面の右上隅部に形成されたピン68は、厚肉部75に形成されており、薄肉部70に形成されていない。具体的には、そのピン68は、厚肉部75と薄肉部70との境界線に沿ってネジ孔67と並ぶように厚肉部75の背面に形成されている。また、第1板状部64の背面における左下隅部および右下隅部は厚肉部75となっており、この厚肉部75の背面の取付ベース部69にピン68が形成されている。
なお、第1板状部64の背面における左上隅部の取付部(第4樹脂部)にはピンは形成されていないが、仮にこの位置にピンが形成されると、このピンが遊技領域30を流下した遊技球から比較的大きな衝撃を受けて破損する虞がある。よって、このような事態を予め防ぐため、この位置にピンを形成しないようにしている。
次に、図10を参照して、始動口ベース61に形成されたネジ用貫通孔72の径、ピン用貫通孔73の径、およびピン68の長さ(寸法)の詳細について説明する。図10は図8のX-X線断面図である。なお、図10においては、説明の便宜上ハッチングを施していない。
図10に示すように、ピン用貫通孔73の径R1は、ネジ用貫通孔72の径R2と概ね等しい(R1≒R2)。また、ピン68の径R3は、始動口ベース61の第2板状部65の厚みT1よりも小さく(R3<T1)、具体的には、ピン68の径R3はD1の70%以下であることが好ましい(R3≦0.7D1)。ここで、第2板状部65の厚みT1は、ピン68が形成された範囲における第2板状部65の前面から取付ベース部69の背面までの長さ(寸法)である。さらに、ピン68がピン用貫通孔73に挿入されている部分の長さD1は、ネジ71がネジ用貫通孔72に挿入されている部分の長さD2よりも小さい(D1<D2)。
このように構成された本実施形態に係る遊技盤5によれば、以下の効果を奏することができる。
始動口ベース61のピン68の径R3は、第2板状部65の厚みT1よりも小さくなっているので、樹脂材料を射出成型することで形成される始動口ベース61にヒケが生じ難くなる。よって、始動口ベース61の不良を抑制できる。
また、ピン68がピン用貫通孔73に挿入されている部分の長さD1は、ネジ71がネジ用貫通孔72に挿入されている部分の長さD2よりも小さくなっているので、仮にピンに予期せぬ外力が付与されても、そのピンが折れて破損する可能性を低減できる。よって、始動口ベース61の不良を抑制できる。
また、始動口ベース61のピン用貫通孔73の径R2は、ネジ用貫通孔72の径R1と概ね等しいので、アクリル板5aの製造段階においてこれらの貫通孔72,73を纏めて形成できるため、作業効率を上げるとともに作業コストを低減できる。
次に、パチンコ機Pの変形例について説明する。
(変形例)
図11および図12を参照して変形例に係る遊技盤50について説明する。図11は遊技盤50に取り付けられた始動口ベース61の拡大正面図、図12は図11のXII-XII線断面図である。なお、図12においては、説明の便宜上ハッチングを施していない。遊技盤50は、始動口ベース61の第2板状部65において、ピン68の位置およびアクリル板5aのピン用貫通孔73の大きさが上記第1実施形態と異なる。
図11に示すように、第2板状部65においては、取付ベース部69のネジ孔67とピン68が形成されている位置が異なっている。具体的には、取付ベース部69は第2板状部65の背面における右端部で、薄肉部70と厚肉部75とに跨るように形成されている。そして、この取付ベース部69のネジ孔67は厚肉部75に形成されている一方、ピン68は薄肉部70に形成されている。また、図示は省略しているが、第1板状部64の背面における右上部の取付ベース部69は、薄肉部70と厚肉部75に跨るように形成され、この取付ベース部69のネジ孔67は厚肉部75に形成されている一方、ピン68は薄肉部70に形成されている。なお、ピン68は少なくとも薄肉部70に形成されていれば良く、例えば薄肉部70と厚肉部75とを跨ぐように形成されても良い。また、複数のピン68が形成される場合、それらの一部のピン69が薄肉部70に形成され、残りのピン68が厚肉部75に形成されても良い。
図12に示すように、ピン用貫通孔73の径R1は、ネジ用貫通孔72の径R2よりも大きく(R1>R2)、ネジ71の軸部71aの径R4よりも大きく(R1>R4)、ネジ71の頭部71bの径R5よりは小さい(R1<R5)。
図13は遊技盤5のアクリル板5aに取り付けられた始動口ベース61と前枠3が保持する透明板11との位置関係を示す断面図である。なお、図13においては、説明の便宜上ハッチングを施していない。
図13に示すように、前枠3が内枠2(図2参照)に対して閉じられた状態となると、遊技盤5と透明板11とが対向する。この状態において、始動口ベース61の最前端と透明板11との長さ(最短の長さ(寸法))D3は、ピン68がピン用貫通孔73に挿入されている部分の長さD1よりも小さい(D3<D1)。具体的には、始動口ベース61の最前端は、連結部66の第1前壁66aおよび第2前壁66bの前面であり、これらの前面と透明板11の背面との間の長さD3は、上記した長さD1よりも小さい。
このように構成された変形例に係る遊技盤50によれば、以下の効果を奏することができる。
始動口ベース61のピン68の径R3は、ネジ用貫通孔72の径よりも大きく、ネジのネジ71の軸部71aの径よりも大きくなっているので、ピン68の強度を向上でき、ピン68が破損し難くなる。
また、ピン用貫通孔73の径R1は、ネジ用貫通孔72の径R2よりも大きく、ネジ71の軸部71aの径R4よりも大きいため、ピン用貫通孔73に挿入されたピン68の外周面と、ピン用貫通孔73の内周面との間に所定の隙間を形成可能となり、挿入時にピン68が破損し難くなる。また、ピン用貫通孔73の径R1は、ネジ71の頭部71bの径R5よりは小さいため、アクリル板5aの耐久性を保持できる。特に、ネジ用貫通孔72とピン用貫通孔73とは互いに近接した位置に形成される場合が多いため、これら貫通孔72,73が形成されるアクリル板5aの領域は耐久性が低減し易い。そこで、このように設計すれば、アクリル板5aの耐久性を保持できるため、極めて有効である。
また、ピン68の径R3は、始動口ベース61の第2板状部65の厚みよりも小さいので、樹脂材料を射出成型することで形成される始動口ベース61にヒケが生じ難くなる。
さらに、ピン68がピン用貫通孔73に挿入されている部分の長さD1は、ネジ71がネジ用貫通孔72に挿入されている部分の長さD2よりも小さいので、ピン68の突出量を抑えて、ピン68が折れて破損し難くなる。
このように、アクリル板5aに取り付けられる始動口ベース61は、上記のような様々な特徴を有しているので、始動口ベース(樹脂部材)61の不良を抑制できる。
また、始動口ベース61の第2板状部65の取付ベース部69には、1組のネジ孔67とピン68が形成されているが、このうちネジ孔67は厚肉部75に形成されている一方で、ピン68は薄肉部70に形成されている。そのため、始動口ベース61の周端部を支持して位置決めが行えるので、位置決めされた始動口ベース61を十分に固定でき、始動口ベース61をネジ71によってアクリル板(盤面板)5aに取り付け易くすることができる。また、周端部の薄肉部70にピン68が形成されていない始動口ベース61に比べて、周端部の薄肉部70にピンを配置できる分だけ始動口ベース61を小型化できる。よって、この小型化により、遊技領域30に新たなスペースを形成でき、遊技領域30の設計の自由度を高めることができる。
さらに、始動口ベース61の最前端と透明板11との最短の長さD3は、ピン68がピン用貫通孔73に挿入されている部分の長さD1よりも小さいので、遊技領域30の前後方向の幅を可能な限り小さくして、設計通りに遊技球を遊技領域30で流下させることができる。一方、ピン68がピン用貫通孔73に挿入されている部分の長さD1は、始動口ベース61の最前端と透明板11との最短の長さD3よりも大きいので、始動口ベース61の位置決めを行える程度の長さD1を確保でき、始動口ベース(樹脂部材)61の不良を抑制できる。
パチンコ機Pは、上述したように、意匠ユニット12が、前枠3の開錠に連動して変形可能となるように構成されている。図14および図15を参照して、パチンコ機Pの施錠に関する構成について説明する。図14は前枠3の背面斜視図、図15は内枠2に設けられた施錠機構およびスライド機構の斜視図である。なお、以下においては、上下、左右、および前後の方向は、パチンコ機Pに正対する遊技者を基準として規定する。
図14に示すように、前枠3の自由端(右端部)には、右背面板80が設けられている。右背面板80は、前枠3の自由端に沿って上下方向に延在する長尺状部材である。右背面板80には、複数(本例では3つ)の施錠被係止部80a~80cが形成されている。3つの施錠被係止部80a~80cは、開口であり、上下方向に所定間隔を存して配置されている。
前枠3の左上隅部には、開口部81が形成されており、その開口部81の略中央からリンクレバー82が突出している。常態では、リンクレバー82は意匠ユニット12の変形を規制している左軸部(図17参照)に回動可能に設けられている。
図15に示すように、施錠機構83は、内枠2の右側面に設けられ、シリンダ錠10(図1参照)と連動する。また、内枠2の上面には左方向にスライド可能なスライド機構84が設けられる。施錠機構83とスライド機構84は、これらの間に設けられたカム機構85を介して互いに連動する。
施錠機構83は、内枠2の自由端(右端部)の内側に上下方向に沿って配置されており、上下方向に延在する第1連動部材83aおよび第2連動部材83bを有する。第1連動部材83aおよび第2連動部材83bは、左右に積層されている。
第1連動部材83aには、複数(本例では3つ)の前枠係止爪830a~830cが前方に突出するように形成されている。3つの前枠係止爪830a~830cは、前枠3が外枠1および内枠2に対して閉じられた状態において、前枠3の3つの施錠被係止部80a~80c(図14参照)に係止している。シリンダ錠10の鍵穴に図示せぬ鍵を差し込んでこれを一方向(例えば反時計回り)へ回動すると、この回動に連動して第1連動部材83aが上方にスライドする。これにより、3つの前枠係止爪830a~830cが3つの施錠被係止部80a~80cに係止しなくなり、前枠3が開錠された開錠状態となる。なお、詳細は後述するが、前枠3が開錠状態となると、それ連動して、意匠ユニット12が変形可能になる。
第2連動部材83bには、複数(本例では2つ)の外枠係止爪830d,830eが後方に突出するように形成されている。2つの外枠係止爪830d,830eは、内枠2が外枠1に対して閉じられた状態において、外枠1に設けられた2つの被係止孔(不図示)に係止している。シリンダ錠10の鍵穴に差し込んだ鍵を他方向(例えば時計回り)へ回動すると、この回動に連動して第2連動部材83bが下方にスライドする。これにより、2つの外枠係止爪830d,830eが2つの被係止孔に係止しなくなり、内枠2が開錠状態となる。なお、前枠3の開錠と同様に、内枠2が開錠状態となると、それ連動して、意匠ユニット12が変形可能になる。
スライド機構84は、内枠2の上端部の内側に左右方向に沿って配置されており、左右方向に延在する第1スライド部材84aおよび第2スライド部材84bを有する。第1スライド部材84aおよび第2スライド部材84bは、上下に積層されている。図示は省略するが、第1スライド部材84aおよび第2スライド部材84bの左側には、上述した前枠3の開口部81から突出したリンクレバー82(図14参照)が位置している。
第1スライド部材84aは、施錠機構83の第1連動部材83aの上方へのスライドに連動して、左方向にスライド可能に構成されている。第2スライド部材84bは、施錠機構83の第2連動部材83bの下方へのスライドに連動して、左方向にスライド可能に構成されている。
カム機構85は、施錠機構83の第1連動部材83aの上端部とスライド機構84の第1スライド部材84aの右端部に連結された第1カム機構85aと、第2連動部材83bの上端部と第2スライド部材84bの右端部に連結された第2カム機構85bと、を有する。詳細な説明は省略するが、第1カム機構85aは、第1連動部材83aの上方へのスライドを反時計回りの回転動作に変換することで、第1スライド部材84aを左方向にスライドさせる。また、第2カム機構85bは、第2連動部材83bの下方へのスライドを反時計回りの回転動作に変換することで、第2スライド部材84bを左方向にスライドさせる。このように第1スライド部材84aまたは第2スライド部材84bが左方向にスライドすると、これら第1スライド部材84aまたは第2スライド部材84bは、リンクレバー82を押下して回動させる。
次に、図16~図19を参照して、意匠ユニット12に取り付けられた左軸部90について説明する。図16は左スピーカユニット12aおよびこれに取り付けられた左軸部90の背面斜視図、図17は左軸部90の斜視図、図18は左軸部90が左スピーカユニット12aと係合している状態を示す図、図19は左軸部90が左スピーカユニット12aに係合していない状態を示す図である。
図16に示すように、左軸部90は、左スピーカユニット12aの後端部に取り付けられている。左スピーカユニット12aは左軸部90が取り付けられた状態で、前枠3の左上隅部に取り付けられる。意匠ユニット12は、後述するように左スピーカユニット12aおよびロゴユニット12cが可動することで変形可能に構成されているが、常態では、左軸部90によってその変形が規制されている。
図17に示すように、左軸部90は、リンクレバー82と、リンクレバー82が回動可能に取り付けられた本体部86と、を有する。リンクレバー82は、本体部86の上面に突設された突起部86aを回転軸として回動可能に支持されている。本体部86には、前方に向かって突出するL字形状の第1フック86bおよび第2フック86cが下方に移動可能に設けられている。詳細な説明は省略するが、本体部86は、リンクレバー82の回動に連動して、第1フック86bおよび第2フック86cが下方向へ移動するよう構成されている。なお、本体部86には、貫通孔860dが形成された平板86dが突出するように固定されている。この貫通孔860には、後述する第1軸部88c(図24参照)が挿通される。
図18に示すように、常態では、左軸部90の第1フック86bは左スピーカユニット12aの後端部に設けられた第1フック受け125aと係止しており、左軸部90の第2フック86cは左スピーカユニット12aの後端部に設けられた第2フック受け126aと係止している。これにより、意匠ユニット12の変形が左軸部90によって規制されている。このとき、前枠3が開錠されると、上述した第1連動部材83aが上方へ移動し、第1カム機構85aを介して第1スライド部材84aが左方向にスライドする。これにより、リンクレバー82が第1スライド部材84aに押下されて突起部86aを回転軸として回動し、その回動に連動して、第1フック86bおよび第2フック83cは下方向に移動する。そうすると、図19に示すように、第1フック86bが第1フック受け125aよりも下側に配置され、かつ第2フック86cが第2フック受け126aよりも下側に配置される。よって、第1フック86bが第1フック受け125aから外れ、第2フック86cが第2フック受け126aから外れた状態となる。この状態では、左スピーカユニット12aが可動となり、意匠ユニット12は変形可能となる。なお、内枠2が開錠された場合も、前枠3が開錠されたときと同様にして、意匠ユニット12が変形可能となる。
次に、図20~図26を参照して、意匠ユニット12の構成について説明する。図20は意匠ユニット12が第1形態をとっているときの斜視図、図21は同意匠ユニット12の上面図、図22は左スピーカユニット12a、ロゴユニット12c、およびこれらを連結するリンク部材の背面斜視図、図23はリンク部材の上面図、図24は図22に示すリンク部材周辺の拡大上面図、図26は意匠ユニット12が第2形態をとっているときの斜視図、図27は同意匠ユニット12の上面図である。なお、図22では、説明の便宜上、ロゴユニット12cの背面カバー部材は図示していない。
図20および図21に示すように、意匠ユニット12が第1形態をとっている場合、左スピーカユニット12aおよび右スピーカユニット12bは前方に突出するように配置されている。また、ロゴユニット12cは左スピーカユニット12aと右スピーカユニット12bとの間で水平に配置されている。さらに、ベースユニット12dはロゴユニット12cの後方に配置されており、ベースユニット12dの前面は、概ね左側から右側に向かうにつれて前方に突出している。
図21および図22に示すように、左スピーカユニット12aとロゴユニット12cは、リンク部材87によって連結されている。リンク部材87は、平面視くの字形状に形成された上面部87aおよび下面部87bと、これらを接続する接続部87cと、を有する。上面部87aと下面部87bは、接続部87cを介して上下方向に所定間隔を存して対向配置されている。
図23に示すように、リンク部材87の上面部87aの一端部には、第1貫通孔870aが形成されており、第1貫通孔870aよりも他端部側に第2貫通孔871aが形成されている。また、上面部87aの他端部には、第3貫通孔872aが形成されている。図示は省略するが、下面部87bには、上面部87aの第1貫通孔870aの下方に第4貫通孔870bが形成されており、第2貫通孔871aの下方に第5貫通孔871bが形成されており、第3貫通孔872aの下方に第6貫通孔872bが形成されている。
図24に示すように、左軸部90の本体部86には、左スピーカユニット12aとリンク部材87とを接続するための接続板88がネジにより固定されている。接続板88には、2つの貫通孔88a,88bが形成されている。一方の貫通孔88aの下方には、リンク部材87の第1貫通孔870aおよび第4貫通孔870bが配置されており、これら貫通孔88a,870a,870bには第1軸部88cが挿通されている。これにより、リンク部材87は、接続板88を介して左スピーカユニット12aに対して回転可能に取り付けられている。
また、リンク部材87の第1貫通孔870aおよび第4貫通孔870bの下方には、左軸部90の平板86dに形成された貫通孔860d(図17参照)が位置しており、この貫通孔860dにも第1軸部88cが挿通されている。これにより、リンク部材87は、左軸部90に対して回転可能に支持される。よって、左軸部90による規制が解除されて左スピーカユニット12aが可動となると、左スピーカユニット12aおよびリンク部材87が左軸部90に対して回転可能になる。
接続板88の第2貫通孔88bの下方には、リンク部材87の第2貫通孔871aおよび第5貫通孔871bが配置されており、これら貫通孔88b,871a,871bにはネジ88dが挿通されている。これにより、リンク部材87が接続板88を介して左スピーカユニット12aに固定される。このように、リンク部材87は、接続板88に対して第1軸部81cおよびネジ88dの2点で回転可能に支持される。
図22に戻り、リンク部材87の他端部は、ロゴユニット12cの左端部に設けられた軸受け部89に連結されている。軸受け部89は、長孔形状の第1スライド孔89aおよび第2スライド孔89bを上下に有する。これらスライド孔89a,89bの間には、リンク部材87の第3貫通孔872aおよび第6貫通孔872bが配置されている。そして、第1スライド孔89a、第3貫通孔872a、第6貫通孔872bおよび第2スライド孔89bには、第2軸部89cが挿通されている。これにより、リンク部材87の他端部は、第1スライド孔89aおよび第2スライド孔89bを左右方向にスライド可能となっている。なお、第2軸部89cの両端部には、留具が設けられており、第2軸部89cが抜け落ちないようになっている。
第2軸部89cがリンク部材87と軸受け部とを接続することにより、リンク部材87とロゴユニット12cとが接続する。つまり、ロゴユニット12cはリンク部材87により左スピーカユニット12aと接続されている。これにより、左スピーカユニット12aが回転するとロゴユニット12cも作動する。
ロゴユニット12cの軸受け部89と反対側には、ロゴユニット12cとベースユニット12dとを接続する第1接続部91および第2接続部92が設けられている。第1接続部91の下方に第2接続部92が配置されており、これら接続部91,92は後方に向かって突出している。第1接続部91の先端部には貫通孔91aが形成されており、第2接続部92の先端部にも貫通孔92aが形成されている。ベースユニット12dに設けられた貫通孔(不図示)と第1接続部91の貫通孔91aおよび第2接続部92の貫通孔92aには、ベースユニット12dに固定された第3軸部(不図示)が挿通されている。これにより、ロゴユニット12cがベースユニット12dに対して回転可能に支持される。
意匠ユニット12が変形可能となると、図24に示すように、左スピーカユニット12aをロゴユニット12cに近づく方向に回転させることができる。左スピーカユニット12aが回転すると、その回転に合わせて、リンク部材87も第1軸部88cを回転軸にして同方向に回転する。具体的には、リンク部材87の他端部がロゴユニット12cの軸受け部89の第1スライド孔89aおよび第2スライド孔89bの右端から左端に移動しながら、ロゴユニット12cに対してベースユニット12dに向かう力を付与する。そうすると、ロゴユニット12cは、ベースユニット12dの第3軸部(不図示)を回転軸としてベースユニット12dに向かう方向に回転する。これにより、図25および図26に示すように、意匠ユニット12は第2形態に変形した状態となる。この状態では、左スピーカユニット12aは内側に折り畳まれており、ロゴユニット12cはベースユニット12dの前面に対して略平行となるように傾斜している。なお、右スピーカユニット12bおよびベースユニット12dの配置は第1形態と変わっていない。
次に、図27を参照して、ロゴユニット12cの構成について説明する。図27はロゴユニット12cの分解斜視図である。
図27に示すように、ロゴユニット12cは、前面ロゴ部材93と、前面ロゴ部材93が着脱可能に取り付けられるベース部材94と、前面ロゴ部材93がベース部材94に取り付けられた状態をロックするロック部材95と、これらの背面側を覆う背面カバー部材96と、を有する。ベース部材94の前面側に前面ロゴ部材93が取り付けれ、背面側にロック部材95が取り付けられる。ロゴユニット12cが組み立てられた状態では、ロック部材95の上面は、ロゴユニット12cの上面から露呈している。なお、背面カバー部材96は、前面ロゴ部材93およびロック部材95が取り付けられたベース部材94の背面にネジによって取り付けられる。
次に、図28~図30を参照して、ロック部材95による前面ロゴ部材93のロックについて説明する。図28は前面ロゴ部材93の背面図、図29は前面ロゴ部材93が取り付けられたベース部材94の背面図、図30は前面ロゴ部材93およびロック部材95が取り付けられたベース部材94の背面図である。
図28に示すように、前面ロゴ部材93は、略矩形状の樹脂製の部材である。前面ロゴ部材93の背面側には、複数(本例では3つ)の係合爪93a~93cが形成されている。3つの係合爪93a~93cはそれぞれ、後方に突出して上方に屈曲したL字状に形成されている。なお、図示は省略するが、前面ロゴ部材93の前面には機種のスペックやコンテンツ等に応じた所定のデザインが施されている。
図29に示すように、ベース部材94は、略矩形状の樹脂製の部材であり、前面ロゴ部材93と同程度の大きさを有する。ベース部材94には、複数(本例では3つ)の開口部94a~94cが形成されている。3つの開口部94a~94cは、前面ロゴ部材93がベース部材94に取り付けられた状態で、上述した3つの係合爪93a~93cと対応する位置に形成されている。開口部94a~94cのそれぞれは、対応する係合爪93a~93cを背面側に露出させている。
図30に示すように、ロック部材95は、略矩形状の樹脂製の部材であり、前面ロゴ部材93およびベース部材94に比べて小さくなっており、ベース部材94の右上部分に取り付けられる。ロック部材95には、前面ロゴ部材93の3つの係合爪93a~93cと係合する3つの係合片95a~95cが設けられている(図27も参照)。係合片95aは、ロック部材95に形成された矩形状の開口部95dの上端部に沿って形成されている。開口部95dは、前面ロゴ部材93およびロック部材95がベース部材94に取り付けられた状態で、前面ロゴ部材93の係合爪93aを背面側に露出させている。そして、係合片95aは露出した係合爪93aとベース部材94の開口部94aとの間に配置されており、係合爪93aは係合片95aに係合している。また、係合片95bは、ロック部材95の右下隅部に形成されており、前面ロゴ部材93およびロック部材95がベース部材94に取り付けられた状態で、前面ロゴ部材93の係合爪93bとベース部材94の開口部94bとの間に配置されており、係合爪93bは係合片95bに係合している。さらに、係合片95cは、ロック部材95の左下隅部に形成されており、前面ロゴ部材93およびロック部材95がベース部材94に取り付けられた状態で、前面ロゴ部材93の係合爪93cとベース部材94の開口部94cとの間に配置されており、係合爪93cは係合片95cに係合している。なお、ロック部材95の右端部には、後述する右スピーカユニット12bの突出部を嵌合可能とする凹部95eが形成されている。また、ロック部材95の上端部の左端には、前面ロゴ部材93をロゴユニット12cから取り外す際に作業者が手指を挿入可能とする挿入部96fが形成されている。
このように、前面ロゴ部材93およびロック部材95がベース部材94に取り付けられた状態では、前面ロゴ部材93の係合爪93a~93cは、ロック部材95の係合片95a~95cに係合している。よって、前面ロゴ部材93は、係合片95a~95cによって前方に移動することを阻止されている。つまり、前面ロゴ部材93がベース部材94に取り付けられた状態が、ロック部材95によりロックされている。
次に、図31および図32を参照してロック部材95による前面ロゴ部材93のロック解除について説明する。図31は右スピーカユニット12bおよびロゴユニット12cの背面斜視図、図32は意匠ユニット12が第2形態に変形したときのロック部材95周辺の拡大斜視図である。
図31に示すように、ロック部材95に形成された凹部95eは、ロック部材95の内方に向かって窪んでいる。また、右スピーカユニット12bは、その左側面に突出部97を有する。突出部97は、ロゴユニット12c側に向かって突出している。意匠ユニット12が第1形態をとっている場合、ロック部材95の凹部95e内に右スピーカユニット12bの突出部97が嵌っている。よって、この状態では、ロック部材95は、突出部97によってロゴユニット12cからの取り外しを阻止されている。したがって、ロック部材95のロックを解除する解除操作が実行できない。
一方で、図32に示すように、意匠ユニット12が第1形態から第2形態に変形すると、ロゴユニット12cはベースユニット12dの前面に対して略平行となるように傾斜するように移動するため(図26参照)、その移動に合わせてロック部材95は、突出部97が凹部95e内に嵌らない位置に移動する。よって、この状態では、ロック部材95は、突出部97によってロゴユニット12cからの取り外しを阻止されることなく、ロック解除可能となる。ロック解除する際には、作業者はロック部材95の挿入部96fに手指を挿入して、ロック部材95を上方に移動させる。これにより、前面ロゴ部材93の係合爪93a~93cがロック部材95の係合片95a~95cに係合しなくなるので、前面ロゴ部材93を前方に移動させてロゴユニット12cから取り外すことができる。したがって、ロック部材95のロックを解除する解除操作が実行可能となる。
このように構成された本実施形態に係るパチンコ機Pによれば、以下の効果を奏することができる。
前面ロゴ部材(意匠部材)93を意匠ユニット12(ロゴユニット12c)から取り外すための解除操作を実行するためには、単に意匠ユニット12を第1形態から第2形態に変形すれば良い。よって、前面ロゴ部材93の取り外し作業を行う作業者は、意匠ユニット12を第2形態に変形した後に解除操作を実行するといった一連の作業を容易に理解できる。したがって、意匠ユニット12(ロゴユニット12c)からの前面ロゴ部材93の取り外し作業を作業者にとって分かり易くすることができる。
また、ロゴユニット12cには、前面ロゴ部材93が意匠ユニット12(ロゴユニット12c)に取り付けられた状態をロックするロック部材95が設けられ、このロック部材95はロゴユニット12cの上面から露呈しており、前枠3を開放可能状態にする前であっても後であっても作業者は手指で接触可能である。よって、ロック部材95が前枠3を開放状態にしないと視認できない位置に設けられているような遊技機に比べて、前面ロゴ部材93の取り外し作業において操作すべき部材を常に把握できるようになっている。したがって、意匠ユニット12からの前面ロゴ部材93の取り外し作業を作業者にとってさらに分かり易くすることができる。
このように、本実施形態では、外枠(本例では、外枠1)と、前記外枠に対して開閉可能に設けられた内枠(本例では、内枠2)と、前記内枠に対して開閉可能に設けられた前枠(本例では、前枠3)と、を備えた遊技機(パチンコ機P)であって、前記前枠には、第1形態および第2形態に変形可能な意匠ユニット(本例では、意匠ユニット120)が設けられ、前記意匠ユニットは、着脱可能に取り付けられる意匠部材(本例では、前面ロゴ部材93)と、前記意匠部材が取り付けられた状態をロックするロック部材(本例では、ロック部材95)と、を有し、前記意匠部材は、前記ロック部材によるロックを解除する解除操作が実行されることで前記意匠ユニットから取り外され、前記解除操作は、前記前枠を開放状態とした後に前記意匠ユニットを前記第1形態から前記第2形態に変形することで実行可能となり、前記ロック部材は、前記前枠を前記開放状態にする前であっても後であっても接触可能な位置に設けられることを特徴とする。よって、意匠ユニットからの意匠部材の取り外し作業を作業者にとって分かり易くすることができる。
(変形例)
次に、変形例に係るパチンコ機について説明する。変形例に係るパチンコ機では、意匠ユニットが外枠1に設けられている点で上記実施形態と異なる。
意匠ユニットは、ロゴユニット120a(図33参照)と、外枠1に設けられ、ロゴユニット120aの両端部を支持する第1支持ユニット(不図示)および第2支持ユニット(不図示)と、を有する。なお、このパチンコ機においては、前扉は、上記実施形態の前枠3より小さく形成されており、意匠ユニットの下方に内枠2に対して開閉可能に設けられている。
図33に示すように、ロゴユニット120aは、前面ロゴ部材121aと、ベース部材122aと、を有する。前面ロゴ部材121aは、略板状の樹脂製の部材であり、ベース部材122aに着脱可能に取り付けられている。ベース部材122aは、所定の厚みを有する略板状の樹脂製の部材であり、その下面123aに開口部124aが形成されている。開口部124aの開口面は、ベース部材122aの下面と面一になっている。図示は省略するが、ベース部材122aの内部には、前面ロゴ部材121aがベース部材122aに取り付けられた状態をロックするロック部材が設けられており、常態ではロック部材がバネによりロック方向に付勢されている。例えばドライバー(所定の治具)を開口部124aに挿入してロック部材をアンロック方向に移動させることにより、ロック部材のロック解除操作が実行できるようになっている。
第1支持ユニットは、外枠1の左上隅部に固定された第1支持部材と、第1支持部材に対して摺動可能に連結された第1摺動部材と、を有する。第1支持部材は、パチンコ機の前面で上斜め前方に突出している。第1摺動部材も、パチンコ機の前面で上斜め前方に突出しており、第1支持部材の突出方向に沿って摺動可能となっている。第1摺動部材は、ロゴユニット120aの左端部と連結している。
第2支持ユニットは、外枠1の右上隅部に固定された第2支持部材と、第2支持部材に対して摺動可能に連結された第2摺動部材と、を有する。第2支持部材は、パチンコ機の前面で上斜め前方に突出している。第2摺動部材も、パチンコ機P´の前面で上斜め前方に突出しており、第2支持部材の突出方向に沿って摺動可能となっている。第2摺動部材は、ロゴユニット120aの右端部と連結している。ロゴユニット120aの両端部が上記のように第1摺動部材および第2摺動部材と連結しているため、ロゴユニット120aは第1摺動部材および第2摺動部材の摺動に合わせて変位する。
変形例に係るパチンコ機も、上記実施形態に係るパチンコ機Pと同様に、前枠3の開錠と連動して、意匠ユニットが第1形態から第2形態に変形可能となるように構成されている。意匠ユニット120を第1形態から第2形態に変形する際には、シリンダ錠10(図33参照)の鍵穴に図示せぬ鍵を差し込んでこれを一方向(例えば反時計回り)へ回動すると、前枠3が開錠される。これにより、ロゴユニット120a、第1摺動部材および第2摺動部材を、第1支持部材および第2支持部材に沿って持ち上げるように移動できる。
意匠ユニットが第1形態をとっている場合、上述したように、第1支持ユニットの第1支持部材に沿って上斜め前方に突出した第1摺動部材と、第2支持ユニット120dの第2支持部材に沿って上斜め前方に突出した第2摺動部材と、の間にロゴユニット120aが配置されている。そして、ロゴユニット120aの前面ロゴ部材121aの前面が、パチンコ機に正対する遊技者に向かうように若干傾斜している。そのため、ロゴユニット120aのベース部材122aの下面は、透明板11側を向いている。これにより、ベース部材122aに形成された開口部124aの開口面も透明板11側を向いている。
意匠ユニット12が第2形態をとっている場合、第1支持ユニットの第1摺動部材が第1支持部材に対して摺動することで、第1支持部材の先端部から上斜め後方に突出している。また、同様に、第2支持ユニットの第2摺動部材が第2支持部材に対して摺動することで、第2支持部材の先端部から上斜め後方に突出している。そして、これら第1摺動部材と第2摺動部材との間に、ロゴユニット120aが配置されており、ロゴユニット120aの前面ロゴ部材121aの前面が、上斜め前方を向いている。そのため、ロゴユニット120aのベース部材122aの下面が前枠3によって保持された透明板11と反対側を向いている。これにより、ベース部材122aの開口部124aの開口面も透明板11と反対側を向いている。
変形例に係るパチンコ機では、意匠ユニットが第1形態をとっている場合と第2形態をとっている場合とで、作業者にとって前面ロゴ部材121aの取り外し作業の分かり易さが異なる。
意匠ユニットが第1形態をとっている場合、ベース部材122aの開口部124aの開口面が透明板11の方向を向いており、作業者は開口部124aを目視できない。そのため、作業者は開口部124aの位置を大方予想して、手首を屈曲させながら透明板11側から前方斜め上方に例えばドライバー(所定の治具)を開口部124aに挿入して解除操作を実行する必要がある。
一方で、意匠ユニットが第2形態をとっている場合、ベース部材122aの開口部124aの開口面は、透明板11と反対側、つまり作業者側を向いているので、作業者は開口部124を十分に目視できる。そのため、作業者は見上げた視線の先にある開口部124aにドライバーを挿入して解除操作を実行するだけで良い。よって、意匠ユニットが第1形態から第2形態に変形すると、解除操作が実行し易くなり、前面ロゴ部材121aの取り外し作業が作業者にとって分かり易くなる。
このように構成された変形例に係るパチンコ機によれば、以下の効果を奏することができる。
前面ロゴ部材(意匠部材)121aを意匠ユニットから取り外すための解除操作を実行するためには、単に意匠ユニットを第1形態から第2形態に変形すれば良い。よって、前面ロゴ部材121aの取り外し作業を行う作業者は、意匠ユニットを第2形態に変形した後に解除操作を実行するといった一連の作業を容易に理解できる。したがって、意匠ユニットからの前面ロゴ部材121aの取り外し作業を作業者にとって分かり易くすることができる。
また、意匠ユニットが第1形態に変形した場合、ロゴユニット120aのベース部材122aに形成された開口部124aの開口面は前枠3が保持する透明板11側を向いており、意匠ユニットが第2形態に変形した場合、開口部124aの開口面は透明板11と反対側、つまり作業者側を向いている。そのため、前面ロゴ部材121aの取り外し作業を行う際に、作業者は、意匠ユニットを第1形態から第2形態に変形させ、視線上に移動した開口部124aの開口面に例えばドライバー等(所定の治具)を挿入して解除操作を実行すれば良い。したがって、意匠ユニットからの前面ロゴ部材(意匠部材)121aの取り外し作業を作業者にとってさらに分かり易くすることができる。
このように、変形例では、外枠(本例では、外枠1)と、前記外枠に対して開閉可能に設けられた内枠(本例では、内枠2)と、前記内枠に対して開閉可能に設けられた前枠(本例では、前枠3)と、を備えた遊技機(本例では、パチンコ機)であって、前記外枠には、第1形態と第2形態に変形可能な意匠ユニットが設けられ、前記意匠ユニットは、着脱可能に取り付けられる意匠部材(本例では、前面ロゴ部材121a)を有し、前記意匠ユニットの下面には、所定の治具(本例では、ドライバー)を挿入可能とする開口部(本例では、開口部124a)が設けられ、前記意匠部材は、前記開口部に前記所定の治具を挿入して解除操作が実行されることで前記意匠ユニットから取り外され、前記意匠ユニットが前記第1形態に変形した場合、前記開口部の開口面は前記前枠が保持する透明板(本例では、透明板11)側を向いており、前記意匠ユニットが前記第2形態に変形した場合、前記開口部の開口面は前記透明板と反対側を向いており、前記解除操作は、前記意匠ユニットが前記第1形態から前記第2形態に変形すると、実行し易くなることを特徴とする。よって、意匠ユニットからの意匠部材の取り外し作業を作業者にとって分かり易くすることができる。
なお、本発明は上記実施形態および各種変形例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態および各種変形例は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
上記実施形態では、本発明の樹脂部材の一例として、始動口ベース61を挙げて説明したが、本発明の技術的思想は、遊技盤5のアクリル板(盤面板)5aに取り付けられる各種樹脂部材に適用できる。例えば樹脂材料で形成されたワープ通路34に本発明の技術的思想を適用しても良い。また、大入賞口や第2始動口を構成するユニットが設けられる場合には、これらのユニットのうちアクリル板5aに取り付けられるベース部材に本発明の技術的思想を適用しても良い。
また、上記実施形態では、始動口ベース61は、第1板状部64の背面に設けられた3つの取付ベース部69それぞれに1組のネジ孔67およびピン68が形成され、第2板状部65の背面に設けられた1つの取付ベース部69に1組のネジ孔67およびピン68が形成されていたが、この構成に限定されない。アクリル板5aに取り付けられる部材の形状に応じて取付ベース部69を適宜形成し、形成された取付ベース部69に1組のネジ孔67およびピン68を形成するか、またはネジ孔のみを形成するかを決定できる。
また、上記実施形態では、始動口ベース61の第1板状部64および第2板状部65は、その周端部の一部である上端部に薄肉部70を有していたが、この構成に限定されない。本発明の樹脂部材がアクリル板5aに取り付けられる位置に応じて、薄肉部70の位置を適宜決定できる。
また、上記実施形態では、始動口ベース61の第1板状部64および第2板状部65の背面に取付ベース部69が形成され、この取付ベース部69にネジ孔67やピン68が形成されていたが、この構成に限定されない。例えば第1板状部64および第2板状部65の背面に取付ベース部69が形成されることなく、これら板状部64,65の背面に直接ネジ孔67やピン68が形成されても良い。この場合、第1板状部64および第2板状部65の背面が遊技盤5のアクリル板5aと接する面となる。