JP2023009801A - 水硬性組成物用型枠離型剤 - Google Patents

水硬性組成物用型枠離型剤 Download PDF

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Abstract

【課題】特定の化合物を含有する水硬性組成物の粘性に影響を与えずに、表面美観に優れた水硬性組成物の硬化体を製造できる、水硬性組成物用型枠離型剤、及び水硬性組成物の打設方法を提供する。【解決手段】下記(A)成分又は下記(B)成分を含有する水硬性組成物用の型枠に使用される離型剤であって、芳香族炭化水素の含有量が5.0質量%以下である、水硬性組成物用型枠離型剤。(A)成分:4級カチオン基と芳香族アニオン基とを含む特定の4級塩型化合物(B)成分:2種以上の特定のアミンオキシド【選択図】なし

Description

本発明は、水硬性組成物用型枠離型剤及び水硬性組成物の打設方法に関する。
従来、コンクリートの型枠に塗布する剥離剤は鉱物油や動植物油等の液状撥水性物質を主成分としたもので、剥離性を高める為に脂肪酸や脂肪酸金属塩が配合されている。この脂肪酸や脂肪酸金属塩は鋼製型枠への吸着力を高めるものであり、油性物質に介在させることで型枠への付着力を高めている。
特許文献1には、特定2種の水溶性低分子化合物(A)、(B)を含有するコンクリート混和剤を用いたコンクリート組成物用の型枠に使用される離型剤であって、シリコーン化合物及び/又はフッ素化合物を含有する、コンクリート用型枠離型剤が開示されている。特許文献1のコンクリート用型枠離型剤は、特定2種の水溶性低分子化合物を組み合わせて成る混和剤が配合されたコンクリートに、粘性低下等の悪影響を与えず、表面美観に優れたコンクリートが製造できるコンクリート用型枠離型剤が得られる。
また特定の化合物を用いることで、水溶液や水硬性組成物の粘性や弾性といったレオロジーを改質するレオロジー改質剤が開示されている。
特許文献2には、4級カチオン基と芳香族アニオン基とを含む特定の4級塩型化合物と、アニオン性芳香族化合物とを、特定のカチオン基/(アニオン基+アニオン性芳香族化合物)モル比で含有するレオロジー改質剤が開示されている。
特許文献3には、一般式(1)で表される特定のアミンオキシド化合物を2種以上含有するレオロジー改質剤であって、前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのRがアルケニル基の化合物である、レオロジー改質剤が開示されている。
特許文献2、3に記載の特定の化合物を含むレオロジー改質剤は、水溶液やスラリーの粘性や弾性といったレオロジーを幅広い温度領域で改質することができる。
特開2009-160764号公報 特開平6-808号 特開2020―76022号公報
特許文献2、3で対象としている特定の化合物を添加した水硬性組成物は、打設する際に、型枠に塗布した離型剤によっては、型枠面(離型剤)に接する水硬性組成物の硬化体表面の粘性が低下して材料分離(ブリーディング)が発生するとともに、型枠面の水硬性組成物が硬化不良を起こし、そのため、型枠へスケールが付着してしまうことがあった。更には、水硬性組成物の硬化体表面にレイタンス層ができ、硬化体表面の強度が低下するとともに、硬化体表面が白く発色したり面荒れしたりするなど、仕上がりも悪くなっていた。
本発明は、特定の化合物を含有する水硬性組成物の粘性に影響を与えずに、表面美観に優れた水硬性組成物の硬化体を製造できる、水硬性組成物用型枠離型剤、及び水硬性組成物の打設方法を提供する。
本発明は、下記(A)成分又は下記(B)成分を含有する水硬性組成物用の型枠に使用される離型剤であって、
芳香族系炭化水素の含有量が5.0質量%以下である、水硬性組成物用型枠離型剤に関する。
(A)成分:下記一般式(1A)で示される化合物
Figure 2023009801000001
(式中、R1aは炭素数10以上26以下のアルキル基又は炭素数10以上26以下のアルケニル基、R2aは炭素数1以上22以下のアルキル基、炭素数1以上22以下のアルケニル基、又は炭素数1以上22以下のヒドロキシアルキル基、R3a、R4aは、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、Yはエチレン基又はプロピレン基、nは0又は1の数、Xはアニオン性芳香族化合物に由来するアニオン基を表す。)
(B)成分:下記一般式(1B)で示される2種以上の化合物であって、前記2種以上の化合物は、一般式(1B)中のR1bが異なっており、前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1B)中のR1bのR11b又はR12bがアルケニル基である化合物
Figure 2023009801000002
〔式中、R1bは、R11b又はR12b-[CONH-CHCHCH-で表される基である。R11bは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。R12bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。mは1以上3以下の整数である。R2b及びR3bは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は-(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R2b及びR3bの合計で0以上5以下の数である。〕
また、本発明は、キシレンの含有量が5.0質量%以下である、水硬性組成物用型枠離型剤を塗布した型枠に、水硬性粉体、骨材、水、及び前記(A)成分又は前記(B)成分を含有する水硬性組成物を充填して硬化させる、水硬性組成物の打設方法に関する。
本発明によれば、特定の化合物を含有する水硬性組成物の粘性に影響を与えずに、表面美観に優れた水硬性組成物の硬化体を製造できる、水硬性組成物用型枠離型剤、及び水硬性組成物の打設方法が提供される。
[水硬性組成物用型枠離型剤]
本発明者らは、鋭意検討した結果、粘性低下の原因が、水硬性組成物中の(A)成分又は(B)成分が形成する高次構造体に、離型剤に含まれる芳香族炭化水素が高次構造体に取り込まれ、芳香族性を示す単環あるいは複数の環がその高次構造体を壊す働きがあることを突き止めた。上記離型剤の成分として、芳香族炭化水素の含有量を一定量以下にすることで、上記水硬性組成物の性状を維持できることを見出し本発明に到ったものである。
本発明によれば、高次構造体に悪影響を与えない、芳香族炭化水素の含有量が一定量以下である、離型剤を使用するようにしたので、水硬性組成物の性状を維持することができるとともに、脱型後の水硬性組成物の硬化体表面を良好に保つことができる。また、本発明の水硬性組成物用型枠離型剤を塗布した型枠に、(A)成分又は(B)成分を含有する水硬性組成物を充填して硬化させるようにしたので、早強性、耐水性に優れた性状を有する水硬性組成物の硬化体を得ることができる。
本発明の水硬性組成物用型枠離型剤において、芳香族炭化水素とは、芳香族性を示す単環あるいは複数の環(縮合環)から構成される炭化水素であり、前記単環あるいは複数の環が炭化水素基で置換されてよい炭化水素である。
芳香族炭化水素は、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ナフタレン、及びアントラセンなどから選ばれる1種以上が挙げられ、異性体を含んでいても良い。
本発明の水硬性組成物用型枠離型剤は、芳香族炭化水素の含有量が、粘性を維持する観点から、5.0質量%以下、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下、より更に好ましくは0%である。また本発明の水硬性組成物用型枠離型剤は芳香族炭化水素を含有しないことが好ましい。
本発明の水硬性組成物用型枠離型剤は、鉱油系、水系、シリコーン系、又はフッ素系の離型剤であってよい。
本発明において、鉱油系の離型剤とは、鉱油をベースオイルとした離型剤をいう。
鉱物油としては、灯油、軽油、スピン油、トランス油、マシン油、タービン油、及びモーターオイルから選ばれる1種以上が挙げられる。
鉱物油としては、コスモピュアスピンE、コスモピュアスピンESP、ハイドロHV56、スーパーハイランドSE、コスモピュアセイフティー10、コスモピュアセイフティー22、コスモピュアセイフティー32、コスモピュアセイフティー46、コスモピュアセイフティー68などが挙げられる。
本発明において、水系の離型剤とは、主に水を媒体とした離型剤をいう。
水系離型剤としては、NSH-1507、NSH-1566、NSH-1703、NSH-2105などが挙げられる。
本発明において、シリコーン系の離型剤とは、シリコーンオイルをベースオイルとした離型剤をいう。
シリコーン化合物としては、ポリアルキルフェニルシロキサン、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、ポリアルキルシロキサン、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリアルキル水素シロキサン、ポリアルキルアルケニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、アラルキル変性シリコーンオイル、ポリジメチルシロキサン、アルキルアラルキル変性シリコーンオイルなどから選ばれる1種以上が挙げられる。なかでも、剥離効果の観点から、ポリアルキルシロキサン及びポリジメチルシロキサンからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。シリコーン化合物は、TSM6822、TSF4300、TSM621(何れもモメンティブ・パフォーマンス・マテリ
アルズ・ジャパン合同会社製)等として入手可能な市販のシリコーン系剥離剤を使用することができる。
本発明において、フッ素系の離型剤とは、フッ素化合物を含有する離型剤をいう。
本発明の剥離剤に用いられるフッ素化合物の例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ2弗化ビニリデン、ポリビニルフッ素、ポリ弗化エチレンプロピレン、及び含フッ素界面活性剤などから選ばれる1種以上が挙げられ、なかでも、剥離効果の観点から、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。フッ素化合物は、フリリースシリーズ(株式会社ネオス)、マックルーブ(株式会社GSIクレオス)等として入手可能な市販のフッ素系剥離剤を使用することができる。
本発明の水硬性組成物用型枠離型剤は、ブチルセロソルブ、石油系炭化水素(但し、芳香族炭化水素は除く)、ミネラルスピリット、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、ヘキサン、ブタン、プロパンなどの有機溶媒で希釈して使用してもよいし、ポリ(オキシエチレン)=オクチルフェニルエーテル、ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩などの乳化剤を用いて水に乳化させたエマルジョン、例えばシリコーンエマルジョンとしてもよい。他に、防腐剤、水、シリカ、ステアリン酸亜鉛、顔料、白金化合物などを含んでよい。
本発明の水硬性組成物用型枠離型剤は、刷毛やモップによる塗布の他に、スプレーによる噴霧により型枠に塗布しても良い。
本発明の水硬性組成物用型枠離型剤の型枠への塗布量は、剥離性の観点から、好ましくは0.1g/m2以上、より好ましくは1g/m2以上、更に好ましくは3g/m2以上、より更に好ましくは5g/m2以上、そして、好ましくは500g/m2以下、より好ましくは100g/m2以下、更に好ましくは50g/m2以下、より更に好ましくは25g/m2以下、より更に好ましくは15g/m2以下である。
本発明の水硬性組成物用型枠離型剤は、上記(A)成分又は上記(B)成分を含有する水硬性組成物、より詳細には、上記(A)成分又は上記(B)成分を含有するモルタル組成物又はコンクリート組成物を対象とする。以下、本発明の水硬性組成物について説明する。
本発明の(A)成分は、前記一般式(1A)で示される化合物である。
本発明の(A)成分は、レオロジー改質対象物の組成物中で紐状ミセル等の会合対構造を形成し、その構造形成によりレオロジー改質効果を発現するものである。
一般式(1A)中、R1aは、高次構造体を形成する観点から、炭素数10以上、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上、そして、26以下、好ましくは24以下、より好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下のアルキル基又アルケニル基、好ましくはアルキル基である。
一般式(1A)中、R2aは、高次構造体を形成する観点から、炭素数1以上、そして、22以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは10以下、より更に好ましくは4以下、より更に好ましくは2以下のアルキル基、アルケニル基、又ヒドロキシアルキル基、好ましくはヒドロキシアルキル基である。
一般式(1A)中、Yはエチレン基又はプロピレン基、nは0又は1、好ましくは0の数である。
一般式(1A)中、Xはアニオン性芳香族化合物に由来するアニオン基である。アニオン性芳香族化合物に由来するアニオン基としては、芳香環を有するカルボン酸、芳香環を有するホスホン酸、及び芳香環を有するスルホン酸から選ばれる1種以上のアニオン性芳香族化合物に由来するアニオン基が挙げられる。Xは、具体的には、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸、安息香酸、m-スルホ安息香酸、p-スルホ安息香酸、4-スルホフタル酸、5-スルホイソフタル酸、p-フェノールスルホン酸、m-キシレン-4-スルホン酸、クメンスルホン酸、メチルサリチル酸、スチレンスルホン酸、及びクロロ安息香酸から選ばれる1種以上のアニオン性芳香族化合物に由来するアニオン基が挙げられ、セメントへの凝結の影響の観点から、p-トルエンスルホン酸、p-フェノールスルホン酸、m―キシレン-4-スルホン酸、クメンスルホン酸及びスチレンスルホン酸から選ばれる1種以上のアニオン性芳香族化合物に由来するアニオン基が好ましく、p-トルエンスルホン酸、及び―キシレン-4-スルホン酸から選ばれる1種以上のアニオン性芳香族化合物に由来するアニオン基がより好ましく、p-トルエンスルホン酸に由来するアニオン基が更に好ましい。
(B)成分は、前記一般式(1B)で示される2種以上の化合物(以下、化合物(B)ともいう)であって、前記2種以上の化合物は、一般式(1B)中のR1bが異なっており、前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1B)中のR1bのR11b又はR12bがアルケニル基である化合物である。
本発明の(B)成分は、レオロジー改質対象物の組成物中で紐状ミセル等の高次構造体を形成し、その構造形成によりレオロジー改質効果を発現するものである。
化合物(B)について、一般式(1B)中のR1bが異なるとは、化合物(B)が2種である場合を例に考えると、例えば、以下のような態様が挙げられる。なお、以下の態様において、2種の化合物(B)のうち、少なくとも一方の化合物(B)のR11b又はR12bはアルケニル基である。
(i)一方のR11b又はR12bがアルキル基であり、他方のR11b又はR12bがアルケニル基である。
(ii)一方のR11b又はR12bの炭素数と、他方R11b又はR12bの炭素数が異なっている。
(iii)一方のR1bがR11bであり、他方のR1bがR12b-[CONH-CHCHCH-である。
(iv)R1bが共にR12b-[CONH-CHCHCH-であり、一方のmと他方のmが異なっている。
(v)前記(i)~(iv)の組み合わせ。
一般式(1B)中、R1bは、R11b又はR12b-[CONH-CHCHCH-で表される基である。
11bは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。
11bがアルケニル基の場合、炭素数は、好ましくは18以上、そして、好ましくは22以下である。
11bがアルキル基の場合、炭素数は、好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下である。
12bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
12bがアルケニル基の場合、炭素数は、好ましくは17以上、そして、好ましくは21以下である。
12bがアルキル基の場合、炭素数は、好ましくは15以上、そして、好ましくは21以下である。
mは、好ましくは0又は1である。
2b及びR3bは、それぞれ独立に、好ましくは炭素数1以上2以下のアルキル基または-(CO)Hで表される基である。
pは、好ましくは0以上3以下の数である。
本発明の水硬性組成物は、一般式(1B)中のR1bが異なる化合物(B)を2種以上、好ましくは5種以下、より好ましくは2種含有する。そして、水硬性組成物が含有する2種以上の化合物(B)は、少なくとも1つが一般式(1B)中のR1bのR11b又はR12bが炭素数14以上22以下のアルケニル基の化合物、つまり、一般式(1B)中のR1bにおけるR11bとして炭素数14以上22以下のアルケニル基又はR12bとして炭素数13以上21以下のアルケニル基を含む化合物である。
本発明では、化合物(B)が2種であり、上記(i)~(v)を含め、2種の化合物(B)のうち、一方が、一般式(1B)中のR1bがR11bで且つ炭素数14以上22以下のアルケニル基の化合物であることが好ましい。すなわち、本発明の水硬性組成物として、前記一般式(1B)で表される化合物を2種含有する水硬性組成物であって、前記2種の化合物は、一般式(1B)中のR1bが異なっており、前記2種の化合物のうち、一方は、一般式(1B)中のR1bがR11bであり且つR11bがアルケニル基の化合物である、水硬性組成物が挙げられる。
本発明の水硬性組成物としては、一般式(1B)中のR1bがR11b又はR12b-[CONH-CHCHCH-で表される基(ただし、R11bは炭素数14以上22以下のアルケニル基であり、R12bは炭素数13以上21以下のアルケニル基である)である化合物(11B)と、化合物(11B)とは一般式(1B)中のR1bが異なる化合物(12B)とを含有するレオロジー改質剤が挙げられる。
具体的には、下記一般式(11B)で表される化合物(11B)と、下記一般式(12B)で表される化合物(12B)とを含有するレオロジー改質剤が挙げられる。
Figure 2023009801000003
〔式中、
m1、m2は、それぞれ、独立に0以上3以下の整数である。
11bは、m1が0のときは炭素数14以上22以下のアルケニル基であり、m1が1~3のときは炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
12bは、m2が0のときは炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基であり、m2が1~3のときは炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
ただし、m1とm2が同じ数である場合、R12bのアルケニル基はR11bとは異なるアルケニル基である。
21b及びR31bは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は-(CO)p1Hで表される基である。p1は、平均付加モル数であり、R21b及びR31bの合計で0以上5以下の数である。
22b及びR32bは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は-(CO)p2Hで表される基である。p2は、平均付加モル数であり、R22b及びR32bの合計で0以上5以下の数である。〕
一般式(11B)中、R11bの炭素数は、好ましくは17以上、そして、好ましくは22以下である。
一般式(11B)中、m1は、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。
一般式(12B)中、m2が0でR12bがアルキル基の場合、R12bの炭素数は、好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下である。
一般式(12B)中、m2が0でR12bがアルケニル基の場合、R12bの炭素数は、好ましくは18以上、そして、好ましくは22以下である。
一般式(12B)中、m2が1~3でR12bがアルキル基の場合、R12bの炭素数は、好ましくは15以上、そして、好ましくは21以下である。
一般式(11B)中、m2が1~3でR12bがアルケニル基の場合、R12bの炭素数は、好ましくは17以上、そして、好ましくは21以下である。
一般式(11B)中、R12bは、アルキル基が好ましい。
一般式(11B)中、m2は、好ましくは0又は1である。
一般式(11B)中、R21b、及びR31bは、それぞれ独立に、好ましくは炭素数1もしくは2のアルキル基又は-(CO)p1Hで表される基であり、より好ましくは炭素数1又は2のアルキル基である。
一般式(11B)中、p1は、好ましくは0以上3以下の数である。
一般式(12B)中、R22b、及びR32bは、それぞれ独立に、好ましくは炭素数1もしくは2のアルキル基又は-(CO)p2Hで表される基であり、より好ましくは炭素数1又は2のアルキル基である。
一般式(12B)中、p2は、好ましくは0以上3以下の数である。
m1とm2が同じ数である場合、R12bのアルケニル基はR11bとは異なるアルケニル基である。
本発明の好ましい化合物(B)として、下記一般式(13B)で表される化合物(13B)と、下記一般式(12B)で表される化合物(12B)が挙げられる。
Figure 2023009801000004
〔式中、
m2は、0以上3以下の整数である。
13bは、炭素数14以上22以下のアルケニル基である。
12bは、m2が0のときは炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基であり、m2が1~3のときは炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。
22b及びR32bは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は-(CO)p2Hで表される基である。p2は、平均付加モル数であり、R22b及びR32bの合計で0以上5以下の数である。
23b及びR33bは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は-(CO)p3Hで表される基である。p3は、平均付加モル数であり、R23b及びR33bの合計で0以上5以下の数である。〕
一般式(13B)で表される化合物(13B)は、前記一般式(11B)中、m1が0の化合物に相当する。一般式(13B)中のR13b、R23b及びR33bの好ましい態様は、一般式(11B)と同じである。この組み合わせにおいても、化合物(12B)の好ましい態様は前記と同じである。
本発明の水硬性組成物では、化合物(12B)/化合物(11B)の質量比は、より広い温度領域でレオロジー改質効果、例えば高い粘弾性が得られる観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは25/75以上、更に好ましくは40/60以上、そして、好ましくは95/5以下、より好ましくは75/25以下、更に好ましくは60/40以下である。
本発明の水硬性組成物では、化合物(12B)/化合物(13B)の質量比は、より広い温度領域でレオロジー改質効果、例えば高い粘弾性が得られる観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは25/75以上、更に好ましくは40/60以上、そして、好ましくは95/5以下、より好ましくは75/25以下、更に好ましくは60/40以下である。
本発明の水硬性組成物は、水硬性粉体及び水を含有する。水硬性粉体とは、水和反応により硬化する物性を有する粉体のことであり、セメント、石膏等が挙げられる。
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、エコセメント(例えばJIS R5214等)が挙げられる。これらの中でも、普通ポルトランドセメント、耐硫酸性ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントから選ばれるセメントが好ましく、普通ポルトランドセメントがより好ましい。
また、セメント等の水硬性粉体には、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフュームなどのポゾラン作用及び/又は潜在水硬性を有する粉体や、石粉(炭酸カルシウム粉末)等が含まれていてもよい。例えば、高炉スラグセメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等を用いてもよい。
本発明の水硬性組成物は、強度発現性の観点から、水/水硬性粉体比〔スラリー中の水と水硬性粉体の質量比(水の質量/水硬性粉体の質量×100)、通常W/Cと略記される。〕が、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上、そして、好ましくは150質量%以下、より好ましくは100質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、より更に好ましくは70質量%以下、より更に好ましくは55質量%以下のものを用いることができる。
なお、水硬性粉体が、セメントなどの水和反応により硬化する物性を有する粉体の他、ポゾラン作用を有する粉体、潜在水硬性を有する粉体、及び石粉(炭酸カルシウム粉末)から選ばれる粉体を含む場合、本発明では、それらの量も水硬性粉体の量に算入する。また、水和反応により硬化する物性を有する粉体が、高強度混和材を含有する場合、高強度混和材の量も水硬性粉体の量に算入する。これは、水硬性粉体の質量が関係する他の質量部などにおいても同様である。
本発明の水硬性組成物が(A)成分を含有する場合、(A)成分の含有量は、水硬性粉体100質量部に対して、十分な粘弾性を発現させる観点から、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1.5質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下、より更に好ましくは0.8質量部以下である。
本発明の水硬性組成物が(B)成分を含有する場合、(B)成分の含有量は、水硬性粉体100質量部に対して、十分な粘弾性を発現させる観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1.5質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下、より更に好ましくは0.8質量部以下である。
本発明の水硬性組成物は、骨材を含有してもよい。骨材としては、細骨材及び粗骨材から選ばれる骨材が挙げられる。細骨材として、JISA0203-2014中の番号2311で規定されるものが挙げられる。細骨材としては、川砂、陸砂、山砂、海砂、石灰砂、珪砂及びこれらの砕砂、高炉スラグ細骨材、フェロニッケルスラグ細骨材、軽量細骨材(人工及び天然)及び再生細骨材等が挙げられる。また、粗骨材として、JIS A 0203-2014中の番号2312で規定されるものが挙げられる。例えば粗骨材としては、川砂利、陸砂利、山砂利、海砂利、石灰砂利、これらの砕石、高炉スラグ粗骨材、フェロニッケルスラグ粗骨材、軽量粗骨材(人工及び天然)及び再生粗骨材等が挙げられる。細骨材、粗骨材は種類の違うものを混合して使用しても良く、単一の種類のものを使用しても良い。
本発明の水硬性組成物がコンクリートの場合、すなわち、(A)成分又は(B)成分、水硬性粉体、粗骨材、細骨材及び水を配合する水硬性組成物の場合、粗骨材の使用量は、水硬性組成物の強度の発現とセメント等の水硬性粉体の使用量を低減し、型枠等への充填性を向上する観点から、嵩容積が、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上であり、そして、好ましくは100%以下、より好ましくは90%以下、更に好ましくは80%以下である。嵩容積は、コンクリート1m中の粗骨材の容積(空隙を含む)の割合である。
また、本発明の水硬性組成物がコンクリートの場合、すなわち、(A)成分又は(B)成分、水硬性粉体、粗骨材、細骨材及び水を配合する水硬性組成物の場合、細骨材の使用量は、型枠等への充填性を向上する観点から、好ましくは500kg/m以上、より好ましくは600kg/m以上、更に好ましくは700kg/m以上であり、そして、好ましくは1000kg/m以下、より好ましくは900kg/m以下である。
本発明の水硬性組成物がモルタルの場合、すなわち、(A)成分又は(B)成分、水硬性粉体、細骨材及び水を配合する水硬性組成物の場合、細骨材の使用量は、好ましくは800kg/m以上、より好ましくは900kg/m以上、更に好ましくは1000kg/m以上であり、そして、好ましくは2000kg/m以下、より好ましくは1800kg/m以下、更に好ましくは1700kg/m以下である。
本発明の水硬性組成物は、分散剤を含有することができる。
分散剤は、リグニンスルホン酸系重合体、ポリカルボン酸系重合体、ナフタレンスルホン酸系重合体、メラミン系重合体、及びフェノール系重合体から選ばれる1種以上の分散剤が挙げられ、分散性の観点から、好ましくはポリカルボン酸系重合体、リグニンスルホン酸系重合体、及びナフタレンスルホン酸系重合体から選ばれる1種以上の分散剤であり、より好ましくはリグニンスルホン酸系重合体、及びポリカルボン酸系重合体から選ばれる1種以上の分散剤である。
ナフタレンスルホン酸系重合体としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(花王株式会社製マイテイ150等)、メラミン系重合体としてはメラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物(例えば花王株式会社製マイテイ150-V2)、フェノール系重合体としては、フェノールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(特開昭49-104919号公報に記載の化合物等)、リグニンスルホン酸系重合体としてはリグニンスルホン酸塩(BASF社製ポゾリスNo.70、ボレガード社製ウルトラジンNA、日本製紙ケミカル株式会社製サンエキス、バニレックス、パールレックス等)等を用いることができる。
ポリカルボン酸系重合体としては、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体(例えば特開平8-12397号公報に記載の化合物等)、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールとマレイン酸等のジカルボン酸との共重合体等を用いることができる。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるカルボン酸の意味である。
本発明の水硬性組成物が分散剤を含有する場合、分散剤の含有量は、水硬性粉体100質量部に対して、高い流動性を得る観点から、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上、そして、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.5質量部以下、更に好ましくは1質量部以下である。
本発明の水硬性組成物は、上記成分以外に更にその他の成分を含有することもできる。例えば、消泡剤、AE剤、遅延剤、起泡剤、増粘剤、発泡剤、防水剤、流動化剤、早強剤等が挙げられる。早強剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩、ギ酸塩から選ばれる化合物、又はアルカノールアミン、グリセリン誘導体、ホルムアルデヒド誘導体、カテコール誘導体から選ばれる有機化合物、ポルトランドセメントの水和生成物(C-S-H、および水酸化カルシウム)のナノ粒子が挙げられる。
本発明の水硬性組成物は、水中分離抵抗性に優れるため、ポンプ圧送性と材料分離抵抗性を必要とする用途において効果がある。
従って、本発明の水硬性組成物は、高流動コンクリート用、水中不分離コンクリート用、軽量高流動コンクリート用、透水性コンクリート用、場所打ちライニング工法(ECL工法)用、SENS工法用として好適である。
[水硬性組成物の打設方法]
本発明は、芳香族炭化水素の含有量が5.0質量%以下である、水硬性組成物用型枠離型剤を塗布した型枠に、水硬性粉体、骨材、水、及び上記(A)成分又は上記(B)成分を含有する水硬性組成物を充填して硬化させる、水硬性組成物の打設方法に関する。
前記水硬性組成物用型枠離型剤は、上記した本発明の水硬性組成物用型枠離型剤であり、本発明の水硬性組成物用型枠離型剤で記載した態様を適宜適用することができる。
前記水硬性組成物は、上記した本発明の水硬性組成物であり、本発明の水硬性組成物で記載した態様を適宜適用することができる。
本発明の水硬性組成物の打設方法は、次の工程1~工程4を含むことが好ましい。
工程1:(A)成分又は(B)成分と、水と、水硬性粉体とを混練して本発明の水硬性組成物を得る工程。
工程2:工程1で得られた水硬性組成物を、芳香族炭化水素の含有量が5.0質量%以下である、本発明の水硬性組成物用型枠離型剤を塗布した型枠に充填する工程。
工程3:工程2で得られた型枠に充填された水硬性組成物を硬化させる工程。
工程4:工程3で得られた硬化体を型枠から脱型する工程。
工程1は、(A)成分又は(B)成分と、任意に分散剤と、水硬性粉体と、水と、任意に骨材とを混合して水硬性組成物を調製する工程であってよい。また、工程1では、前記した本発明の水硬性組成物における各成分の含有量を混合量に読み替えて適用できる。
工程2において、本発明の水硬性組成物用型枠離型剤は、刷毛やモップによる塗布の他に、スプレーによる噴霧により型枠に塗布しても良い。これらの離型剤は、潤滑油としても使用することが出来る。
また本発明の水硬性組成物用型枠離型剤の型枠への塗布量は、離型性および表面美観の観点から、好ましくは0.5g/m以上、より好ましくは1g/m以上、更に好ましくは3g/m以上、より更に好ましくは5g/m2以上、そして、好ましくは500g/m2以下、より好ましくは100g/m2以下、更に好ましくは50g/m2以下、より更に好ましくは25g/m2以下、より更に好ましくは15g/m2以下である。
また型枠への充填方法としては、ミキサーから直接投入する方法、水硬性組成物をポンプで圧送して型枠に導入する方法等が挙げられる。
工程3では、工程2で得られた型枠に充填された水硬性組成物を硬化させる。
工程3では、例えば、養生条件として水硬性組成物が養生温度50℃以上に保持される時間を好ましくは1時間以上、そして、好ましくは24時間以下、より好ましくは20時間以下とする。なお、型枠に充填された水硬性組成物を50℃以上に保持して養生を行う場合、オートクレーブ養生、蒸気等の加熱養生により行うことができる。
また工程3では、蒸気養生をせずに、水硬性組成物を硬化させてもよい。蒸気養生をしないでモルタル又はコンクリート製品を製造する場合の水硬性組成物の調製でセメントに水を接触させてから脱型するまでの時間は、生産性および強度の観点から、4時間以上48時間以下が好ましい。この場合、温度は0℃以上、更に5℃以上が好ましく、そして、45℃以下、更に40℃以下が好ましい。この温度範囲での加熱及び/又は冷却は適宜行うことができる。
工程4では、工程3で得られた硬化体を型枠から脱型する。工程3と工程4は一連の温度制御のもとに連続して行うことができる。硬化体の脱型は、公知の方法に準ずることができる。
本発明では、水硬性組成物の調製を開始してから脱型するまでの時間、すなわち、水硬性粉体に水を接触させてから脱型を開始するまでの時間は、生産性および強度の観点から、4時間以上、更に5時間以上が好ましく、そして、48時間以下、更に40時間以下が好ましい。
本発明の水硬性組成物の打設方法により得られた水硬性組成物硬化体は、高流動コンクリート用、水中不分離コンクリート用、軽量高流動コンクリート用、透水性コンクリート用、場所打ちライニング工法(ECL工法)用、SENS工法用として好適である。
水硬性組成物用型枠離型剤、(A)成分、及び(B)成分は以下のものを用いた。
<水硬性組成物用型枠離型剤の調製>
下記の離型剤1~4に、表1、2、4、5に記載の芳香族炭化水素を、表1、2、4、5に記載の含有量となるように添加して、水硬性組成物用型枠離型剤を調製した。なお離型剤1~4の元々の芳香族炭化水素の含有量は0質量%である。
離型剤1:シリコーン系離型剤、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製「TSM6822」
離型剤2:フッ素系離型剤、(株)ネオス製「フリリース310」
離型剤3:鉱物油系離型剤、コスモ石油ルブリカンツ(株)製「ハイドロHV56」
離型剤4:鉱物油系離型剤、ENEOS(株)製「スーパーハイランドSE」
<(A)成分>
A-1:ジメチルヒドロキシエチルアルキル(C16~C18)アンモニウムp-トルエンスルホネート、花王(株)製
<(B)成分>
・化合物(11B)
11B-1:オレイルジメチルアミンオキシド(一般式(11B)中、R11b:炭素数18のアルケニル基(オレイル基)、m1:0、R21b:メチル基、R31b:メチル基)
・化合物(12B)
12B-1:オレイルアミドプロピルジメチルアミンオキシド(一般式(12B)中、R12b:炭素数18のアルケニル基(オレイル基)、m2:1、R22b:メチル基、R32b:メチル基)
[粘性変化の評価]
水/水硬性粉体比(W/C)が45質量%となるようにセメントに水、分散剤(CAD-90:花王(株)製)を加えて30秒練り混ぜ、その後(A)成分又は(B)成分を加えて60秒練り混ぜてセメントペーストを調製した。
調製直後のセメントペーストの粘度を、B型粘度計(RION株式会社製、VISCOTESTER VT-04E、ローターNo.1、回転数:62.5rpm)により測定した。また表1に記載の型枠離型剤を10g/m2の量で塗布したディスポカップ容器400mLに調製直後のセメントペースト400mlを加え、ハンドミキサーで30秒高速攪拌した。離型剤と混合したセメントペーストの粘度をB型粘度計(RION株式会社製、VISCOTESTER VT-04E、ローターNo.1、回転数:62.5rpm)により測定した。この評価では、粘度が7000mPa・s以上で維持されることが好ましい。結果を表1、2に示す。
Figure 2023009801000005
Figure 2023009801000006
表1、2中、(A)成分、(B)成分の含有量は、水硬性粉体100質量部に対する含有量(質量部)である。
[コンクリートの調製]
コンクリート配合を表3に示した。コンクリートは、セメント(C)、細骨材、粗骨材を混合したものに、水(W)、分散剤、必要に応じて消泡剤を加えて90秒練り混ぜ、その後(A)成分又は(B)成分を加えて60秒練り混ぜて調製した。この方法で調整したコンクリートは、5分後のスランプフロー650±50mm、エアー量4.5±1.5%の粘性の高い高流動コンクリートであった。
[コンクリートの打設]
このコンクリートを、表4、5の型枠離型剤を10g/m2の量で塗布した10cm×10cm×40cmの鋼製型枠に充填、硬化させ、30時間後に脱型した。
Figure 2023009801000007
・セメント:太平洋セメント(株)製 普通ポルトランドセメント
・細骨材:揖斐川産新細砂:揖斐川産粗砂:家島産砕砂=39%:21%:40%
・粗骨材:鳥形産石灰砕石
・分散剤:花王(株)製「マイテイ21EG」
型枠に充填したコンクリートについて、下記の通り、硬化コンクリートの表面美観を評価した。結果を表4、5に示す。
[表面美観の評価]
硬化コンクリートの表面美観は、硬化後に型枠から脱型したコンクリート表面を目視により観察し、以下の基準で判定した。結果を表4、5に示す。
Aランク:コンクリート表面10×40cmの範囲で直径3mm以上の欠陥もしくは斑点が10個未満存在する
Bランク:コンクリート表面10×40cmの範囲で直径3mm以上の欠陥もしくは斑点が10個以上20個未満存在する。
Cランク:コンクリート表面10×40cmの範囲で直径3mm以上の欠陥もしくは斑点が20個以上30個未満存在する。
Dランク:コンクリート表面10×40cmの範囲で直径3mm以上の欠陥もしくは斑点が30個以上40個未満存在する。
Eランク:コンクリート表面10×40cmの範囲で直径3mm以上の欠陥もしくは斑点が40個以上存在する。
Figure 2023009801000008
Figure 2023009801000009
表4、5中、(A)成分、(B)成分の含有量は、水硬性粉体100質量部に対する含有量(質量部)である。
表1、2、4、5の実施例のように、芳香族炭化水素の含有量が5.0質量%以下である型枠離型剤を塗布した場合は、粘性低下も見られず、コンクリート表面は平滑で美観の良いものが得られた。一方、比較例のように、芳香族炭化水素の含有量が5.0質量%を超える型枠離型剤を塗布した場合は、ペースト分の粘性が低下し、また硬化コンクリートの表面はざらついており、美観の悪いコンクリートとなった。

Claims (6)

  1. 下記(A)成分又は下記(B)成分を含有する水硬性組成物用の型枠に使用される離型剤であって、
    芳香族炭化水素の含有量が5.0質量%以下である、水硬性組成物用型枠離型剤。
    (A)成分:下記一般式(1A)で示される化合物
    Figure 2023009801000010

    (式中、R1aは炭素数10以上26以下のアルキル基又は炭素数10以上26以下のアルケニル基、R2aは炭素数1以上22以下のアルキル基、炭素数1以上22以下のアルケニル基、又は炭素数1以上22以下のヒドロキシアルキル基、R3a、R4aは、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、Yはエチレン基又はプロピレン基、nは0又は1の数、Xはアニオン性芳香族化合物に由来するアニオン基を表す。)
    (B)成分:下記一般式(1B)で示される2種以上の化合物であって、前記2種以上の化合物は、一般式(1B)中のR1bが異なっており、前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1B)中のR1bのR11b又はR12bがアルケニル基である化合物
    Figure 2023009801000011

    〔式中、R1bは、R11b又はR12b-[CONH-CHCHCH-で表される基である。R11bは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。R12bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。mは1以上3以下の整数である。R2b及びR3bは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は-(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R2b及びR3bの合計で0以上5以下の数である。〕
  2. 鉱油系、水系、シリコーン系、又はフッ素系の離型剤である、請求項1に記載の水硬性組成物用型枠離型剤。
  3. 芳香族炭化水素の含有量が5.0質量%以下である、水硬性組成物用型枠離型剤を塗布した型枠に、水硬性粉体、骨材、水、及び下記(A)成分又は下記(B)成分を含有する水硬性組成物を充填して硬化させる、水硬性組成物の打設方法。
    (A)成分:下記一般式(1A)で示される化合物
    Figure 2023009801000012

    (式中、R1aは炭素数10以上26以下のアルキル基又は炭素数10以上26以下のアルケニル基、R2aは炭素数1以上22以下のアルキル基、炭素数1以上22以下のアルケニル基、又は炭素数1以上22以下のヒドロキシアルキル基、R3a、R4aは、それぞれ、炭素数1以上3以下のアルキル基又は炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基、Yはエチレン基又はプロピレン基、nは0又は1の数、Xはアニオン性芳香族化合物に由来するアニオン基を表す。)
    (B)成分:下記一般式(1B)で示される2種以上の化合物であって、前記2種以上の化合物は、一般式(1B)中のR1bが異なっており、前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1B)中のR1bのR11b又はR12bがアルケニル基である化合物
    Figure 2023009801000013

    〔式中、R1bは、R11b又はR12b-[CONH-CHCHCH-で表される基である。R11bは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。R12bは、炭素数13以上21以下のアルキル基又は炭素数13以上21以下のアルケニル基である。mは1以上3以下の整数である。R2b及びR3bは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は-(CO)Hで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R2b及びR3bの合計で0以上5以下の数である。〕
  4. 前記水硬性組成物用型枠離型剤が、鉱油系、水系、シリコーン系、又はフッ素系の離型剤である、請求項3に記載の水硬性組成物の打設方法。
  5. 前記水硬性組成物用型枠離型剤の型枠への塗布量が、0.1g/m以上500g/m以下である、請求項3又は4に記載の水硬性組成物の打設方法。
  6. 前記水硬性組成物が、高流動コンクリート用、水中不分離コンクリート用、軽量高流動コンクリート用、透水性コンクリート用、場所打ちライニング工法(ECL工法)用、又はSENS工法用である、請求項3~5の何れか1項に記載の水硬性組成物の打設方法。
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CN117142794A (zh) * 2023-07-12 2023-12-01 江苏万斯特新材料技术有限公司 一种高效混凝土防粘剂及其制备方法

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