JP2023009789A - 磁気エンコーダの着磁方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複列トラックのうちの一列を着磁する際に磁束が他列のトラックに洩れにくくし、かつ、効率的な着磁が行える磁気エンコーダの着磁方法を提供する。【解決手段】相隣接して並列に配置された複列トラック10a、10bを有する磁気エンコーダ10の着磁方法であって、未着磁の磁性部材に対し着磁ヨークを用いて、トラック10a、10b毎に着磁する着磁工程を有する。着磁ヨークは、相近接して対向する一対の先端部30a、31aを備える。一対の先端部は、トラックの列方向に並んで配置され、磁性部材の被着磁面に近接した状態でトラックの列方向に沿って相対移動しながらトラックを着磁する。先端部の幅寸法D2は、複列トラックのいずれのトラックの幅寸法D10、D11よりも大とし、先端部の幅方向の一方の端面位置を複列トラックの境界部5に合わせるようにして、着磁ヨークを配置する。【選択図】図3

Description

本発明は、磁気エンコーダの着磁方法に関する。
従来の磁気エンコーダには、隣り合って並ぶ複列トラックを有するものがある。この種の磁気エンコーダのトラックは個別に着磁されており、その着磁方法として、トラックごとに、未着磁の磁性部材を着磁ヨークの一対の先端部間に挟みこんで着磁する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このようなトラックごとの着磁処理によれば、一方のトラックを着磁する際に他方のトラックへ磁束洩れによる悪影響が及ぶおそれがあるが、特許文献1の発明では、磁束洩れによる悪影響がないように、他方のトラックを強磁性体よりなるマスク材で磁気シールドする方法が採られている。
国際公開第2010/92799号
しかしながら、特許文献1の着磁方法では、マスク材をトラックに配設するための配設工程が必要とされ、しかもマスク材をトラックごとに付け替えなければならず、決して効率的な着磁方法とはいえない。
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、複列トラックのうちの一列を着磁する際に磁束が他列のトラックに洩れにくくし、かつ効率的な着磁が行える磁気エンコーダの着磁方法を提供することにある。
上述の目的を達成するために、相隣接して並列に配置された複列トラックを有する磁気エンコーダの着磁方法であって、未着磁の磁性部材に対し着磁ヨークを用いて、トラックごとに着磁する着磁工程を有し、前記着磁ヨークは相近接して対向する一対の先端部を備え、該一対の先端部が前記トラックの列方向に並ぶように配置され、前記磁性部材の被着磁面に近接した状態で前記トラックの列方向に沿って相対移動しながら前記トラックを着磁する構成とされており、前記先端部の幅寸法は前記複列トラックのいずれのトラックの幅寸法よりも大とされ、前記先端部の幅方向の一方の端面位置を前記複列トラックの境界部に合わせるようにして、前記着磁ヨークを配置することを特徴とする。
上記構成によれば、複列トラックの磁気エンコーダをトラックごとに着磁することができるので、隣接する他列のトラックをマスク材等で覆うことなく、効率的な着磁が行える。また着磁ヨークの先端部をトラックの表面に近接した状態で着磁するので、磁束の洩れが発生しにくく、隣接する他列のトラックへの意図しない着磁を回避することができる。さらに着磁ヨークの先端部の幅寸法は、いずれのトラックの幅よりも大きいため、トラックの全幅に対し確実に着磁することができる。また境界部に一端を合わせるため隣接トラックへの影響を減らすことができる。
本発明の磁気エンコーダの着磁方法によれば、複列トラックのうちの一列を着磁する際に磁束が他列のトラックに洩れにくくし、かつ効率的な着磁が行える。
本発明の第1実施形態に係る円盤タイプの磁気エンコーダの着磁方法を説明するための模式的斜視図であり、着磁工程を示している。 (a)は同磁気エンコーダの着磁方法において、着磁対象となる磁性部材を着磁装置にセットした状態を説明するための模式的側面図であり、(b)は同磁性部材と着磁ヨークの相対関係を説明するための模式的正面図である。 (a)及び(b)は、同磁気エンコーダの着磁方法を説明するための図であって、磁性部材に対する着磁ヨークの先端部の配置例を示す模式的平面図である。(c)は図3(b)の変形例を説明するための模式的平面図である。 (a)及び(b)は、図2(b)と同様図であり、着磁ヨークの先端部の変形例を示す模式的概略正面図である。 (a)は本発明の第1実施形態の変形例として円筒タイプの磁気エンコーダの着磁方法を説明するための模式的正面図であり、(b)は磁気エンコーダの着磁状態を説明するための模式的平面図である。 (a)及び(b)は、本発明の第2実施形態に係る磁気エンコーダの着磁方法を説明するための図であり、磁性部材に対する着磁ヨークの先端部の配置例を説明するための模式的平面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。図中に示す実線矢印Xは磁力線の方向、白抜矢印Y,Y1方向は、スピンドル装置6の基台6aの回転方向(着磁方向)、点線は磁力線の流れを模式的に示したものである。
本実施形態に係る磁気エンコーダの着磁方法は、相隣接して並列に配置された複列トラック10a,10b・・・を有する磁気エンコーダ10の着磁方法であって、未着磁の磁性部材100に対し着磁ヨーク3を用いて、トラック10a,10b・・・ごとに着磁する着磁工程を有する。着磁ヨーク3は、相近接して対向する一対の先端部30a,31aを備え、一対の先端部30a,31aが、トラック10a,10bの列方向に並ぶように配置されて、磁性部材100の被着磁面100aに近接した状態で、トラック10a,10bの列方向に沿って相対移動しながらトラック10a,10bを着磁する構成とされており、先端部30a,31aの幅寸法D2(図2(a)、図3(a)等参照)は複列トラック10a,10bのいずれのトラック10a,10bの幅寸法D10,D11(図2(a)、図3(a)等参照)よりも大とされ、先端部30a,31aの幅方向の端面30b,31bを複列トラック10a,10bの境界部5に合わせるようにして、着磁ヨーク3を配置する。以下、詳述する。
まずは図1~図3を参照しながら、円盤タイプ(アキシャルタイプ)の磁気エンコーダ10の着磁方法を説明する。磁気エンコーダ10は、一つの磁性部材100に相隣接して極対数が異なる2列のトラック10a,10bが周方向に並んで一体に設けられ、トラックごとにN極とS極とが交互に並ぶ着磁パターンが着磁される。以下では内周側のトラックを第1トラック10a、外周側のトラックを第2トラック10bという。磁気エンコーダ10は、モータ、ロボットアーム、ABS(Anti‐lock Brake System)の回転角検出に用いられ、磁気エンコーダ10の被着磁面100aから出力される磁力を対向配備される磁気センサ(不図示)で検出し、絶対角が検出される。第1トラック10aと第2トラック10bとは、極対数を異ならせて着磁されており、磁気センサによる検出磁界を1回転で相対的に位相が1周ずれるように構成することで、位相差から絶対角の検出を行うことができる。
磁性部材100は、所定の周長を有する円環状からなり、磁性粉末を含有させたゴム成型物を着磁しゴム磁石とした例を示している。磁性部材100としてはこの他、硬質磁性体の焼結物、樹脂成型物等であってもよく、着磁されることで、焼結磁石、プラスチック磁石となる。ゴムの材質は特に限定されないが、例えば、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、アクリルゴム、エチレンアクリルゴム、フッ素ゴム等のゴムや、熱可塑性エラストマー等を使用することができる。樹脂の場合も、材質は特に限定されないが、熱可塑性樹脂を使用することができる。例えば、であって、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン6T、ナイロン9T、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等が挙げられる。磁性材料には、例えば、フェライト、アルニコ、希土類等を使用することができる。磁性部材100は、図1に示すように芯金2に固着されており、芯金2を回転部材等に取り付けられ固定される。芯金2は金属材からなり、断面L字状に板金加工されている。芯金2は円筒部21と円板部22とを有し、円板部22の外面22aに磁性部材100が固着一体とされている。
磁性部材100は、着磁装置1によって着磁される。図2(a)に示す着磁装置1は、磁性部材100を回動移動させるスピンドル装置6と磁界を生じさせる着磁ヨーク3とで構成される機械部分と、電源部8と制御部9とで構成される回路部分とを有する。スピンドル装置6は、例えばステッピングモータ(不図示)等を駆動源とし、その動力を装置内に設けられた動力伝達機構(不図示)によって伝達して基台6aを回転させる。基台6aには芯金2に固着された磁性部材100を保持するチャック6bが設けられている。チャック6bは円柱を4等分割したような形状の複数の可動片からなり、それらの可動片を拡径又は縮径方向に移動させることで、芯金2の円筒部21を内側から保持又は解放するようになっている。なお、駆動源はステッピングモータに限定されず、回転速度が正確に制御、測定できるものであればよい。
着磁ヨーク3は、例えば鉄、パーマロイ、パーメンジュール、SS400等の磁性金属からなり、その途中に空隙部G1を有する概ねC字形状とされ、空隙部G1を隔たてて一対のヘッド部30,31を備えている。空隙部G1の隙間寸法は特に限定されるものではない。一対のヘッド部30,31は、先端部30a,31aに向けて正面視において図2(b)に示すように略逆三角形状の頂点部の様に突出して形成されており、鉄芯からなる先端部30a,31aの被着磁面100aに対する近接部位は、刃形状に形成されている。先端部30a,31aの被着磁面100aに対する近接部位は、被着磁面100aに向けて正面視において若干ハの字形状となっている。これにより、先端部30a,30bから生成される磁束を被着磁面100aに向けて局部的に集中させることができ、磁束の洩れを発生しにくくすることができる。着磁ヨーク3は、チャック6bに保持された磁性部材100の被着磁面100aに対し、所定の隙間G2を空けて近接させ、その状態で、第1トラック10a,第2トラック10bとトラックごとに着磁するための位置決め手段7を備えている。第1トラック10aと第2トラック10bとは磁性部材100の幅寸法の略中央を境界部5とし、一対のヘッド部30,31の先端部30a,31aの幅寸法D2((図2(a)等参照)は、それぞれのトラック(10a,10b)の幅寸法D10,D11(図2(a)等参照)よりも大とされる。そして着磁ヨーク3によって着磁する際には、図3(a)等に示すように先端部30a,31aの幅方向の端面30b,31bを境界部5に合わせるようにして、着磁ヨーク3を配置する。着磁ヨーク3には、銅線等からなるコイル4が巻設されており、コンデンサ式電源等で構成された電源部8よりコイル4へ電源供給がなされると、着磁ヨーク3の空隙部G1,隙間G2に磁界を生成され、被着磁面100aに磁束を通す(図2(b)参照)。そしてスピンドル装置6の基台6aを回転させることで、磁気シールドすることなく、第1トラック10a及び第2トラック10bの周方向にN極とS極を交互に着磁することができる。
制御部9は、電源部8及びスピンドル装置6の駆動源を制御し、着磁設定部と、位置情報生成部とを有する。着磁設定部は、磁性部材100の被着磁面100aに対してトラックの数に応じて着磁ヨーク3を配置位置の制御、極対数の変更等を受け付ける。本実施形態では第1トラック10aと第2トラック10bとの極対数が異なるように着磁設定部で設定される。位置情報生成部は、各トラック(10a,10b)の列方向に沿って一定速度で移動させている磁性部材100の位置情報を判別し出力する。これにより制御部9は、位置情報生成部の出力している位置情報に基づいて、トラック毎に磁性部材100の被着磁面100aの各々がそれぞれ対応する正又は逆方向の磁界を受けるように電源部8を制御する。
図3には、磁性部材100に対する着磁ヨーク3の先端部30a,31aの配置例と着磁パターンの一例を模式的にいずれも平面図で示している。
図3(a)は、第1トラック10aに着磁していく過程を示している。ここに示すように先端部30a,31aの幅寸法D2は第1トラック10aの幅寸法D10よりも大とされているので、先端部30a,31aの幅方向の端面30b,31bを境界部5に合わせるようにして、着磁ヨーク3を配置すると、他方の端面30c,31cが第1トラック10aの端面10aaより突出した状態となる。またここに示すようにスピンドル装置6の基台6aが白抜矢印Y方向に回転する場合、先端部31aに対応した磁極が着磁される。図例の場合は、先端部30aから正方向の磁束が通じN極が着磁されるので、先端部31aに対応する磁極はS極となる。
図3(b)は、第2トラック10bに着磁していく過程を示している。ここでも、第1トラック10aで使用した着磁ヨーク3と同じものを使用し、図3(a)と同様に先端部30a,31aの幅寸法D2は第2トラック10bの幅寸法D11よりも大とされる。よって、先端部30a,31aの幅方向の他方の端面30c,31cを境界部5に合わせるようにして、着磁ヨーク3を配置するので、一方の端面30b,31bが第2トラック10bの端面10baより突出した状態となる。図中、D3は先端部30a,30bの突出寸法を示している。またここに示すようにスピンドル装置6の基台6aが白抜矢印Y方向に回転する場合、先端部31aに対応した磁極が着磁される。図例の場合は、先端部30aから正方向の磁束が通じN極が着磁されるので、先端部31aに対応する磁極はS極となる。
図3(c)は、第2トラック10bに着磁していく過程の変形例を示している。図1、図3(a)及び図3(b)では、第1トラック10aを着磁した後、外側の第2トラック10bを着磁している過程を示しているがこれに限定されず、第2トラック10bから着磁し、その後、内側の第1トラック10aを着磁してもよい。またスピンドル装置6の基台6aの回転方向や磁力線の向きも図例に限定されず、図3(c)に示すように図3(a)とは逆向きの白抜矢印Y1方向に基台6aを回転させてもよい。この場合は先端部30aから正方向の磁束が通じN極が着磁されるので、先端部30aに対応する磁極はN極となる。
次に磁性部材100への着磁方法の一例を説明する。ここで説明する着磁方法は、設置工程、配備工程、着磁工程を有し、着磁を行う順番は特に限定されないがここでは第1トラック10aを着磁した後、第2トラック10bを着磁する場合について説明する。
<設置工程>
まず、未着磁の磁性部材100が固着された芯金2の円筒部21をチャック6bに取り付け固定する。
<配備工程>
位置決め手段7によって、一対のヘッド部30,31の先端部30a,31aを磁性部材100の第1トラック10aの被着磁面100aに近接配備する。具体的には図3(a)に示すように先端部30a,31aの幅方向の一方の端面30b,31b位置を境界部5に合わせるようにして、着磁ヨーク3を配置する。このとき、先端部30a,31aと被着磁面100aとの隙間G2は特に限定されないが、例えば0.1mm~2.0mm程度に設定される。隙間G2が0.1mmより小さいと、近接させすぎて、回動により先端部30a,31aと被着磁面100aとが接触するおそれがある。隙間G2が2.0mmより大きいと被着磁面100aの所望する位置への着磁がし難い傾向となり、磁束の漏れも生じやすい傾向となる。
<着磁工程>
制御部9はスピンドル装置6の駆動源を制御して基台6aを一定の回転速度に回動させ、コイル4へ電源部8より電源供給して着磁処理を実行する。制御部9は、位置情報生成部から刻々と出力される位置情報より、その時点で着磁ヨーク3の空隙部G1を通過している磁性部材100の部位が、着磁パターン情報におけるどの着磁領域に含まれているかを判断し、電源部8を制御し、着磁ヨーク3に磁束を生じさせる。電源部8によって着磁ヨーク3に電源供給されると空隙部G1に磁界を生成され、第1トラック10aの被着磁面100aに磁束を通し、N極そしてS極の着磁がなされる。この着磁処理は、磁性部材100が少なくとも1回転させて終了させるが、それを超えて、1回転以上回動させてから終了させてもよい。
第1トラック10aの着磁が完了したら、第2トラック10bの着磁を同様の要領で行う。位置決め手段7によって、先端部30a,31aを磁性部材100の第2トラック10bの被着磁面100aに近接配備する。具体的には図3(b)に示すように先端部30a,31aの幅方向の他方の端面30c,31c位置を境界部5に合わせるようにして、着磁ヨーク3を配置する。そして電源部8によって着磁ヨーク3に電源供給されると空隙部G1,隙間G2に磁界を生成され、第2トラック10bの被着磁面100aに磁束を通し、N極そしてS極の着磁がなされる。磁性部材100が、1回転すると相隣接して並列に配置された複列トラック10a,10bを有する磁気エンコーダ10を得ることができる。
以上の構成によれば、複列トラック10a,10bを有する磁気エンコーダ10をトラック10a,10bごとに着磁することができるので、隣接する他列のトラックをマスク材等で覆って磁気シールドすることなく、効率的な着磁が行える。また着磁ヨーク3の先端部30a,30bを被着磁面100aに近接させた状態で着磁するので、磁束の洩れが発生しにくく、隣接する他列のトラックへの意図しない着磁を回避することができる。さらに先端部30a,31aの幅寸法D2は、いずれのトラック10a,10bの幅寸法D10,D11よりも大きいため、トラック10a,10bの全幅に対し確実に着磁することができる。また未着磁の磁性部材を着磁ヨークの一対の先端部間に挟みこんで着磁する従来タイプの方法とは異なり、被着磁面100a側のみから、先端部30a,30bを近接配備して着磁するので、着磁装置1のコンパクト化を図ることができ、位置決め手段7によって先端部30a,30bを一方向にスライドすればよいので、位置決め手段7の構造が複雑になることもない。
続いて図4(a)及び図4(b)を参照しながら着磁ヨーク3の先端部30a,30bの変形例について説明する。先端部30a,31aの形状は、図2(b)に示すものに限定されず、図4(a)及び図4(b)に示すようにトラック10a,10bに対する近接部位が略平坦面とされたものであってもよく、着磁対象となる磁気エンコーダ10の大きさ、形状、着磁パターン等に応じて選択できる。一対のヘッド部30,31は先端部30a,31aに向かって正面視において略逆三角形状の頂点部様に突出して形成されている。図4(a)の一対のヘッド部30,31は、先端部30a,30bに向けて先細り形状に形成され、図4(b)の一対のヘッド部30,31は、基部30d,31dから先端部30a,31aまで略同寸に形成されている。鉄芯からなる先端部30a,31aの平坦面は、被着磁面100aに相対して略平行且つ近接するように設けられる。また図4(a)及び図4(b)のいずれの場合も先端部30a,31aの幅寸法D2は複列トラック10a,10bのいずれのトラック10a,10bの幅寸法D10,D11よりも大とされ、先端部30a,31aの幅方向の端面30b,31bを複列トラック10a,10bの境界部5に合わせるようにして、着磁ヨーク3を配置して着磁する点は図2(b)等を示しながら説明した上記実施形態と同様である。さらに一対のヘッド部30,31間の空隙部G1の隙間寸法、先端部30a,31aと被着磁面100aとの隙間G2の隙間寸法も上記実施形態と同様であり、着磁ヨーク3の先端部30a,31aを被着磁面100aに近接させた状態で着磁するので、磁束の洩れが発生しにくく、隣接する他列のトラックへの意図しない着磁を回避することができるという同様の効果を奏する。図2(b)の実施形態のものに比べて図4(a)及び図4(b)に被着磁面100aに対向する面が平坦であるので、被着磁面100aが図2(b)に示す例よりも広い場合に好適といえる。また図4(a)及び図4(b)に示す形状の場合も被着磁面を上下から挟み込む従来のものと比べても、磁束密度を集中させやすく隣接するトラックへの着磁漏れを低減することができる。
図5(a)及び図5(b)を参照しながら、上記実施形態に係る他の形状として円筒タイプ(ラジアルタイプ)の磁気エンコーダ10’への着磁方法を説明する。この実施形態においても、円盤タイプの磁気エンコーダ10と同様に、トラック10a,10b・・・ごとに着磁する。着磁装置1の構成自体は上記実施形態と同様であるが、磁性部材100が固着された芯金2は円筒部21のみで構成され、円筒部21が嵌合されるチャック(不図示)とこれに対向配備される着磁ヨーク3の配置関係が図2(a)と異なる。また第1トラック10aと第2トラック10bとが、同一の径寸法、同一面上に設けられる。この実施形態においても、一対のヘッド部30,31は、先端部30a,31bに向けて正面視において略逆三角形状の頂点部様に突出して形成され、鉄芯からなる先端部30a,31aが被着磁面100aに近接するよう設けられる。また先端部30a,31aの幅寸法D2は複列トラック10a,10bのいずれのトラック10a,10bの幅寸法D10,D11よりも大とされ、先端部30a,31aの幅方向の端面30b,31bを複列トラック10a,10bの境界部5に合わせるようにして、着磁ヨーク3を配置して着磁する点は上記第1実施形態と同様である。さらに一対のヘッド部30,31間の空隙部G1の隙間寸法、先端部30a,31aと被着磁面100aとの隙間G2の隙間寸法も上記実施形態と同様であり、着磁ヨーク3の先端部30a,30bを被着磁面100aに近接させた状態で着磁するので、磁束の洩れが発生しにくく、隣接する他列のトラックへの意図しない着磁を回避することができるという同様の効果を奏する。
図6(a)及び図6(b)を参照しながら、第2実施形態に係る磁気エンコーダ10Aの着磁方法についてさらに説明する。ここで説明する磁気エンコーダは円盤タイプ(アキシャルタイプ)のものを想定しているが、図5に示す円筒タイプのものも同様に適用できる。第1実施形態では2列の複列トラック10a,10bを有する磁気エンコーダ10について説明したが、上記着磁方法は3列以上の複列エンコーダに適用可能であり、ここでは一例として、3列の複列トラック10a,10bを有する磁気エンコーダ10Aの着磁方法について説明する。以下においても図2(a)及び図2(b)等に示す着磁装置1を使用することができるため、以下では第1実施形態と主に異なる事項を説明し、共通する事項については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図6(a)には、第1トラック10aから第2トラック10b、第3トラック10cと順に着磁する例を示している。この場合は、まず先端部30a,31aの幅方向の端面30c,31cを第1トラック10aの端面10aaに合わせて着磁ヨーク3を配置する。すると一方の端面30b,31bが第3トラック10cの端面10caより突出した状態となる。そして、先端部30a,31aを磁性部材100の第1トラック10aの被着磁面100aに近接配備した状態で上記実施形態と同様にスピンドル装置6の基台6aを回転させ、被着磁面100aを着磁していく。このとき、第2トラック10b及び第3トラック10cにも磁束が通じ着磁されるが、のちに第2トラック10b及び第3トラック10cもそれぞれのトラックに応じた着磁を行うため、マスク材等で覆う必要はない。第1トラック10aの着磁が完了したら、着磁ヨーク3を位置決め手段7によって、先端部30a,31aの幅方向の端面30c,31cを第1トラック10aと第2トラック10bとの境界部5に合わせるように移動させる。そして先端部30a,31aを磁性部材100の第2トラック10bの被着磁面100aに近接配備した状態で同様にスピンドル装置6の基台6aを回転させ、被着磁面100aを着磁していく。第2トラック10bの着磁が完了したら、着磁ヨーク3を位置決め手段7によって、先端部30a,31aの幅方向の他方の端面30c,31cを第2トラック10bと第3トラック10cとの境界部5に合わせるように移動させる。そして先端部30a,31aを磁性部材100の第3トラック10cの被着磁面100aに近接配備した状態で同様にスピンドル装置6の基台6aを回転させ、被着磁面100aを着磁すれば、一つの磁性部材に相隣接して極対数が異なる3列のトラック10a,10b,10cを有する磁気エンコーダ10Aを得ることができる。
図6(b)には第2トラック10bから着磁を開始し、第3トラック10cを着磁した後、第1トラック10aを着磁する例を示している。この場合は、まず先端部30a,31aの幅方向の端面30c,31cを第1トラック10aと第2トラック10bとの境界部5に合わせて着磁ヨーク3を配置する。するとこの場合も、先端部30a,30bの一方の端面30b,31bが第3トラック10cの端面10caより突出した状態となる。先端部30a,31aを磁性部材100の第2トラック10bの被着磁面100aに近接配備した状態で上記実施形態と同様にスピンドル装置6の基台6aを回転させ、被着磁面100aを着磁していく。このときも、第3トラック10cに磁束が通じ着磁されるが、のちに第3トラック10cの着磁を行うため、マスク材等で覆う必要はない。第2トラック10bの着磁が完了したら、着磁ヨーク3を位置決め手段7によって、先端部30a,31aの幅方向の端面30c,31cを第2トラック10bと第3トラック10cとの境界部5に合わせるように移動させる。そして先端部30a,31aを磁性部材100の第3トラック10cの被着磁面100aに近接配備した状態で同様にスピンドル装置6の基台6aを回転させ、被着磁面100aを着磁していく。第3トラック10cの着磁が完了したら、着磁ヨーク3を位置決め手段7によって、先端部30a,31aの幅方向の他方の端面30b,31bを第1トラック10aと第2トラック10bとの境界部5に合わせるように移動させる。そして先端部30a,31aを磁性部材100の第1トラック10aの被着磁面100aに近接配備した状態で同様にスピンドル装置6の基台6aを回転させ、被着磁面100aを着磁すれば、一つの磁性部材に相隣接して極対数が異なる3列のトラック10a,10b,10cを有する磁気エンコーダ10Aを得ることができる。
以上の構成によれば、周方向に3列のトラック10a,10b,10cを有する磁気エンコーダ10Aを隣接する他列のトラックにマスク材等を覆ったり、マスク材をトラックごとに付け替えることなく、効率的な着磁が行える。また着磁ヨーク3の先端部30a,30bを被着磁面100aに近接させた状態で着磁するので、被着磁面100aに磁束密度を集中させることができ、磁束密度の高い着磁を行うことができる。また先端部30a,31aの幅寸法D2は、いずれのトラック10a,10b,10cの幅寸法D10,D11,D12よりも大きいため、トラック10a,10b,10cの全幅に対し確実に着磁することができる。
なお、上述の実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、着磁装置1の構成は図例に限定されず、固定配備された着磁ヨーク3に対して基台6aが移動し位置合わせする構成であってもよいし、コイル4は模式的に示したものであって、コイル4の巻き数等は適宜設定される。着磁ヨーク3、一対のヘッド部30,31、先端部30a,30b、芯金2、磁性部材100の形状、構成も図例に限定れない。また被着磁面100aの境界部5は、磁性部材100の幅寸法の略中央に限定されるものではなく、トラックの幅寸法D10,D11、先端部30a,31aの幅寸法D2、先端部30a,30bの突出寸法D3も図例に限定されない。例えば上述の実施形態では、各トラック10a,10bの幅寸法D10,D11が同じものを用いたが、それぞれのトラック10a,10bの幅寸法D10,D11が異なる複数のトラック10a,10bからなる磁気エンコーダでもよいし、トラック10a,10bの個数も図例に限定されない。さらに図中に示す実線矢印Xの磁力線の方向、白抜矢印Y,Y1方向、スピンドル装置6の基台6aの回転方向(着磁方向)等も図例に限定されず、逆方向であってもよい。
10,10’,10A 磁気エンコーダ
10a 第1トラック
10b 第2トラック
10c 第3トラック
3 着磁ヨーク
30,31 一対のヘッド部
30a,31a 先端部
5 境界部
D10,D11,D12 トラックの幅寸法
D2 先端部の幅寸法
100 磁性部材
100a 被着磁面
1 着磁装置

Claims (4)

  1. 相隣接して並列に配置された複列トラックを有する磁気エンコーダの着磁方法であって、
    未着磁の磁性部材に対し着磁ヨークを用いて、トラックごとに着磁する着磁工程を有し、
    前記着磁ヨークは、相近接して対向する一対の先端部を備え、該一対の先端部が、前記トラックの列方向に並ぶように配置され、前記磁性部材の被着磁面に近接した状態で前記トラックの列方向に沿って相対移動しながら前記トラックを着磁する構成とされており、
    前記先端部の幅寸法は前記複列トラックのいずれのトラックの幅寸法よりも大とされ、
    前記先端部の幅方向の一方の端面位置を前記複列トラックの境界部に合わせるようにして、前記着磁ヨークを配置することを特徴とする、磁気エンコーダの着磁方法。
  2. 請求項1において、
    前記先端部の前記トラックに対する近接部位が刃形状とされることを特徴とする磁気エンコーダの着磁方法。
  3. 請求項1において、
    前記先端部の前記トラックに対する近接部位が略平坦面とされることを特徴とする磁気エンコーダの着磁方法。
  4. 請求項1~3のいずれか1項において、
    前記複列トラックは3列以上とされることを特徴とする磁気エンコーダの着磁方法。
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