JP2023008824A - エッチング方法及びプラズマ処理装置 - Google Patents

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Fumiya Takata
正太 吉村
Shota Yoshimura
信也 森北
Shinya Morikita
弘太 及川
Kota Oikawa
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Abstract

【課題】優れたエッチング耐性を有するタングステン含有堆積物を形成できるエッチング方法及びプラズマ処理装置を提供する。【解決手段】エッチング方法は、(a)基板を準備する工程であり、基板は、シリコン及び窒素を含む第1領域と、シリコン及び酸素を含む第2領域とを含む、工程と、(b)炭素及び水素のうち少なくとも1つと、フッ素と、タングステンとを含む第1処理ガスから生成される第1プラズマを用いて、第1領域上にタングステン含有堆積物を形成する工程と、(c)(b)の後、第1処理ガスとは異なる第2処理ガスから生成される第2プラズマを用いて、第2領域をエッチングする工程と、を含む。【選択図】図3

Description

本開示の例示的実施形態は、エッチング方法及びプラズマ処理装置に関するものである。
特許文献1は、プラズマを用いて絶縁膜をエッチングする方法を開示する。この方法では、エッチング中に絶縁膜表面に導電層を形成しながらエッチングを行う。エッチングでは、WFとCとの混合ガスから生成されるプラズマが用いられる。
特開平9-50984号公報
本開示は、優れたエッチング耐性を有するタングステン含有堆積物を形成できるエッチング方法及びプラズマ処理装置を提供する。
一つの例示的実施形態において、エッチング方法は、(a)基板を準備する工程であり、前記基板は、シリコン及び窒素を含む第1領域と、シリコン及び酸素を含む第2領域とを含む、工程と、(b)炭素及び水素のうち少なくとも1つと、フッ素と、タングステンとを含む第1処理ガスから生成される第1プラズマを用いて、前記第1領域上にタングステン含有堆積物を形成する工程と、(c)前記(b)の後、前記第1処理ガスとは異なる第2処理ガスから生成される第2プラズマを用いて、前記第2領域をエッチングする工程と、を含む。
一つの例示的実施形態によれば、優れたエッチング耐性を有するタングステン含有堆積物を形成できるエッチング方法及びプラズマ処理装置が提供される。
図1は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。 図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。 図3は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。 図4は、図3の方法が適用され得る一例の基板の部分拡大断面図である。 図5は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。 図6は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。 図7は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。 図8は、本体部中の電極に与えられるRF電力及び対向電極に与えられるRF電力の時間変化を示すタイミングチャートの一例である。 図9は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。 図10は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。 図11は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。 図12は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。 図13は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。 図14は、図13の方法が適用され得る一例の基板の部分拡大断面図である。 図15は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。 図16は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。 図17は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。 図18は、第1実験及び第2実験においてエッチング方法を実行することによって得られる基板の断面のTEM画像を示す図である。 図19は、第3実験及び第4実験においてエッチング方法を実行することによって得られる基板の断面のTEM画像を示す図である。 図20は、第5実験においてエッチング方法を実行することによって得られる基板の断面のTEM画像を示す図である。
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
一つの例示的実施形態において、エッチング方法は、(a)基板を準備する工程であり、前記基板は、シリコン及び窒素を含む第1領域と、シリコン及び酸素を含む第2領域とを含む、工程と、(b)炭素及び水素のうち少なくとも1つと、フッ素と、タングステンとを含む第1処理ガスから生成される第1プラズマを用いて、前記第1領域上にタングステン含有堆積物を形成する工程と、(c)前記(b)の後、前記第1処理ガスとは異なる第2処理ガスから生成される第2プラズマを用いて、前記第2領域をエッチングする工程と、を含む。
上記エッチング方法によれば、第2領域をエッチングする際に優れたエッチング耐性を有するタングステン含有堆積物を形成できる。
前記第1処理ガスが、炭素含有ガス及び水素含有ガスのうち少なくとも1つと、タングステン含有ガスとを含んでもよい。
前記タングステン含有ガスが、六フッ化タングステンガスを含んでもよい。
前記炭素含有ガスが、CHガス、Cガス、Cガス、CHFガス、CHガス、CHFガス及びCOガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。
前記水素含有ガスが、Hガス、SiHガス及びNHガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。
前記(a)において、前記第2領域は前記第1領域を覆うように設けられ、前記エッチング方法は、(d)前記(a)の後、前記(b)の前に、前記第1領域が露出するように前記第2領域をエッチングする工程を更に含んでもよい。
前記(b)において、前記基板を支持する基板支持器の温度は100℃超であってもよい。この場合、タングステン含有堆積物のエッチング耐性が更に向上する。
前記(b)又は前記(b)の後において、前記基板を支持する基板支持器に対向しシリコンを含む対向電極をスパッタリングしてもよい。この場合、タングステン含有堆積物のエッチング耐性が更に向上する。
前記第1領域は凹部を有し、前記第2領域は前記凹部内に埋め込まれてもよい。この場合、第2領域をエッチングすることにより、凹部を形成できる。
前記(c)は、セルフアラインコンタクト工程において行われてもよい。
前記(b)~(c)を含むサイクルが2回以上繰り返して実施されてもよい。
一つの例示的実施形態において、エッチング方法は、(a)露出した上面を有するシリコン窒化物と、露出した上面を有するシリコン酸化物とを含む基板を準備する工程と、(b)炭素含有ガス及び水素含有ガスのうち少なくとも1つと六フッ化タングステンガスとを含む第1処理ガスから生成される第1プラズマを用いて、前記シリコン窒化物上にタングステン含有堆積物を形成する工程と、(c)前記(b)の後、前記第1処理ガスとは異なる第2処理ガスから生成される第2プラズマを用いて前記シリコン酸化物をエッチングする工程と、を含む。
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理装置は、チャンバと、前記チャンバ内において基板を支持するための基板支持器であり、前記基板は、シリコン及び窒素を含む第1領域と、シリコン及び酸素を含む第2領域とを含む、基板支持器と、第1処理ガス及び前記第1処理ガスとは異なる第2処理ガスを前記チャンバ内に供給するように構成されたガス供給部であり、前記第1処理ガスは、炭素及び水素のうち少なくとも1つと、フッ素と、タングステンとを含む、ガス供給部と、前記チャンバ内で前記第1処理ガスから第1プラズマを生成し、前記チャンバ内で前記第2処理ガスから第2プラズマを生成するように構成されたプラズマ生成部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1プラズマを用いて前記第1領域上にタングステン含有堆積物を形成するように、前記ガス供給部及び前記プラズマ生成部を制御するように構成され、前記制御部は、前記第2プラズマを用いて前記第2領域をエッチングするように、前記ガス供給部及び前記プラズマ生成部を制御するように構成される。
一つの例示的実施形態において、エッチング方法は、(a)基板を準備する工程であり、前記基板は、シリコン及び窒素を含む第1領域と、シリコン及び酸素を含む第2領域とを含む、工程と、(b)前記第1領域上に炭素含有堆積物を形成する工程と、(c)フッ素とタングステンとを含む処理ガスから生成されるプラズマを用いて、前記炭素含有堆積物上にタングステン含有堆積物を形成する工程と、(d)前記(c)の後、前記第2領域をエッチングする工程と、を含む。
上記エッチング方法によれば、炭素含有堆積物及びタングステン含有堆積物の合計厚みを大きくできる。よって、優れたエッチング耐性を有する堆積物を形成できる。
前記処理ガスが、タングステン含有ガスを含み、不活性ガスを除く前記処理ガスに含まれる全てのガスのうち前記タングステン含有ガスの流量比が最も大きくてもよい。
前記(c)において、前記プラズマを生成するための電力が、前記基板を支持する基板支持器に対向する対向電極に印加されてもよい。この場合、プラズマを生成するための電力が基板支持器に印加される場合に比べて、プラズマ中のイオンの基板への衝突を抑制できる。よって、炭素含有堆積物及びタングステン含有堆積物の合計厚みの減少を抑制できる。
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
図1及び図2は、一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置を概略的に示す図である。
一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;CapacitivelyCoupledPlasma)、誘導結合プラズマ(ICP;InductivelyCoupledPlasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:HeliconWavePlasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:SurfaceWave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(DirectCurrent)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(RadioFrequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、200kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。
プラズマ処理システムは、容量結合プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。容量結合プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。側壁10aは接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10筐体とは電気的に絶縁される。
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板(ウェハ)Wを支持するための中央領域(基板支持面)111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域(リング支持面)111bとを有する。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。一実施形態において、本体部111は、基台及び静電チャックを含む。本体部111は、導電性部材を含む。本体部111の導電性部材は電極として機能する。静電チャックは、基台の上に配置される。静電チャックの上面は、基板支持面111aを有する。リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。1又は複数の環状部材のうち少なくとも1つはエッジリングである。また、図示は省略するが、基板支持部11は、静電チャック、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、導電性部材を含む。シャワーヘッド13の導電性部材は、基板支持部11と対向し、電極(以下、対向電極と称する場合がある)として機能する。シャワーヘッド13の導電性部材は、例えばシリコン等のシリコン含有物質を含んでもよい。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を基板支持部11の導電性部材に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、13MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給される。第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、基板支持部11の導電性部材に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、基板支持部11の導電性部材に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、基板支持部11の導電性部材に印加される。一実施形態において、第1のDC信号が、静電チャック内の電極のような他の電極に印加されてもよい。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、シャワーヘッド13の導電性部材に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、シャワーヘッド13の導電性部材に印加される。種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
図3は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。図3に示されるエッチング方法MT(以下、「方法MT」という)は、上記実施形態のプラズマ処理装置1により実行され得る。方法MTは、基板Wに適用され得る。
図4は、図3の方法が適用され得る一例の基板の部分拡大断面図である。図4に示されるように、一実施形態において、基板Wは、第1領域R1と第2領域R2とを含む。第1領域R1は少なくとも1つの凹部R1aを有してもよい。第1領域R1は複数の凹部R1aを有してもよい。各凹部R1aは、コンタクトホールを形成するための凹部であってもよい。第2領域R2は凹部R1a内に埋め込まれてもよい。第2領域R2は第1領域R1を覆うように設けられてもよい。
第1領域R1は、シリコン及び窒素を含む。第1領域R1は、シリコン窒化物(SiN)を含んでもよい。第1領域R1は、例えばCVD等により成膜された領域であってもよいし、シリコンを窒化することにより得られる領域であってもよい。第1領域R1は、シリコン窒化物(SiN)を含む第1部分と、シリコンカーバイド(SiC)を含む第2部分とを含んでもよい。この場合、第1部分が凹部R1aを有する。
第2領域R2は、シリコン及び酸素を含む。第2領域R2は、シリコン酸化物(SiO)を含んでもよい。第2領域R2は、例えばCVD等により成膜された領域であってもよいし、シリコンを酸化することにより得られる領域であってもよい。第2領域R2は、凹部R2aを有してもよい。凹部R2aは、凹部R1aの幅よりも大きい幅を有する。
基板Wは、下地領域URと、下地領域UR上に設けられた少なくとも1つの隆起領域RAとを含んでもよい。下地領域UR及び少なくとも1つの隆起領域RAは、第1領域R1によって覆われる。下地領域URはシリコンを含んでもよい。下地領域UR上には複数の隆起領域RAが位置する。複数の隆起領域RA間に第1領域R1の凹部R1aが位置する。各隆起領域RAは、トランジスタのゲート領域を形成してもよい。
基板Wは、マスクMKを含んでもよい。マスクMKは、第2領域R2上に設けられる。マスクMKは金属、又はシリコンを含んでもよい。マスクMKは開口OPを有してもよい。開口OPは、第2領域R2の凹部R2aに対応する。
以下、方法MTについて、方法MTが上記実施形態のプラズマ処理装置1を用いて基板Wに適用される場合を例にとって、図3~図7を参照しながら説明する。図5~図7は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。プラズマ処理装置1が用いられる場合には、制御部2によるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において方法MTが実行され得る。方法MTでは、図2に示されるように、プラズマ処理チャンバ10内に配置された基板支持部11(基板支持器)上の基板Wを処理する。
図3に示されるように、方法MTは、工程ST1、工程ST2、工程ST3、工程ST4、工程ST5及び工程ST6を含み得る。工程ST1~工程ST6は順に実行され得る。方法MTは、工程ST2、工程ST5及び工程ST6のうち少なくとも1つを含まなくてもよい。工程ST2は工程ST1に含まれてもよい。
工程ST1では、図4に示される基板Wを準備する。基板Wは、プラズマ処理チャンバ10内において基板支持部11により支持され得る。基板Wは、プラズマエッチングの結果として図4に示される形状となっていてもよいし、プラズマ処理チャンバ10に提供した当初から図4に示される形状であってもよい。工程ST1において、第2領域R2は第1領域R1を覆うように設けられ得る。工程ST1において、第1領域R1の上面及び第2領域R2の上面が露出してもよい。すなわち、工程ST1において、シリコン窒化物の上面及びシリコン酸化物の上面が露出してもよい。
工程ST2では、図5に示されるように、第1領域R1が露出するように第2領域R2をエッチングする。工程ST2において、第1領域R1もエッチングされ得る。特に、第1領域R1の凹部R1aにおける肩部分SHがエッチングされ得る。エッチングは、例えば、処理ガスから生成されるプラズマPLを用いて行われる。一例では、処理ガスは、フッ素含有ガスを含み、タングステンを含んでもよい。また、一例では、処理ガスは、第1領域R1が露出する直前にタングステンを含んでいてもよい。エッチングではマスクMKが用いられる。エッチングは以下のように行われてもよい。まず、ガス供給部20により、処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給する。次に、プラズマ生成部12により、プラズマ処理チャンバ10内で処理ガスからプラズマPLを生成する。制御部2は、第1領域R1が露出するように第2領域R2がエッチングされるように、ガス供給部20及びプラズマ生成部12を制御する。工程ST2では、基板支持部11の本体部111中の電極にバイアス電力が与えられてもよいし、与えられなくてもよい。特に、第1領域R1が露出する直前から直後は、バイアス電力が与えられなくてもよい。その結果、堆積物が形成されやすくなり、凹部R1aにおける肩部分SHのエッチングが抑制される。
フッ素含有ガスは炭素を含んでもよい。フッ素含有ガスは、フルオロカーボンガス及びハイドロフルオロカーボンガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。フルオロカーボン(C)ガスは、CFガス、Cガス、Cガス、Cガス及びCガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。ハイドロフルオロカーボン(C)ガスは、CHガス、CHFガス及びCHFガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。
工程ST2では、プラズマPL中のフッ素を含む活性種によって、シリコン酸化物を含む第2領域R2がエッチングされる。
工程ST3では、図6に示されるように、第1処理ガスから生成される第1プラズマPL1を用いて、第1領域R1上にタングステン含有堆積物DPを形成する。タングステン含有堆積物DPはタングステン含有膜であってもよい。第1プラズマPL1に第1領域R1及び第2領域R2を晒す場合、タングステン含有堆積物DPは、第2領域R2に比べて第1領域R1上に優先的に形成され得る。ここで、「タングステン含有堆積物DPは、第2領域R2に比べて第1領域R1上に優先的に形成され得る」とは、例えば、第1領域R1上のタングステン含有堆積物DPの厚みが、第2領域R2上のタングステン含有堆積物DPの厚みよりも大きいことを意味し、より具体的には、第2領域R2上のタングステン含有堆積物DPの厚みが、第1領域R1上のタングステン含有堆積物DPの厚みの50%以下であることを意味する。堆積は以下のように行われてもよい。まず、ガス供給部20により、第1処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給する。次に、プラズマ生成部12により、プラズマ処理チャンバ10内で第1処理ガスから第1プラズマPL1を生成する。制御部2は、第1領域R1上にタングステン含有堆積物DPが形成されるように、ガス供給部20及びプラズマ生成部12を制御する。
第1処理ガスは、炭素及び水素のうち少なくとも1つと、フッ素と、タングステンとを含む。第1処理ガスは、炭素含有ガス及び水素含有ガスのうち少なくとも1つと、タングステン含有ガスとを含んでもよい。フッ素は、炭素含有ガスに含まれてもよいし、水素含有ガスに含まれてもよいし、タングステン含有ガスに含まれてもよい。
炭素含有ガスは、CHガス、Cガス、Cガス、CHFガス、CHガス、CHFガス及びCOガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。
水素含有ガスは、Hガス、SiHガス及びNHガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。
タングステン含有ガスは、ハロゲン化タングステンガスを含んでもよい。ハロゲン化タングステンガスは、六フッ化タングステン(WF)ガス、六臭化タングステン(WBr)ガス、六塩化タングステン(WCl)ガス及びWFClガスの少なくとも1つを含んでもよい。タングステン含有ガスは、ヘキサカルボニルタングステン(W(CO))ガスを含んでもよい。
第1処理ガスは、例えばアルゴンガス、ヘリウムガス、キセノンガス又はネオンガス等の貴ガスを含んでもよい。第1処理ガスは、例えば窒素(N)ガスを含んでもよい。
タングステン含有ガスの流量比は、炭素含有ガス及び水素含有ガスのうち少なくとも1つの流量比より小さくてもよい。貴ガスの流量比は、炭素含有ガス及び水素含有ガスのうち少なくとも1つの流量比より大きくてもよい。本開示において、各ガスの流量比は、処理ガスの全流量に対する各ガスの流量の比率(体積%)である。
工程ST3の持続時間は1秒以上であってもよいし、10秒以上であってもよい。工程ST3の持続時間は、1000秒以下であってもよいし、100秒以下であってもよい。
工程ST3において、基板支持部11の温度は、50℃以上であってもよく、100℃以上であってもよく、100℃超であってもよく、120℃以上であってもよく、130℃以上であってもよく、130℃超であってもよく、140℃以上であってもよく、150℃以上であってもよい。また、基板支持部11の温度は250℃以下であってもよく、220℃以下であってもよく、200℃以下であってもよい。
工程ST3において、プラズマ処理チャンバ10内の圧力は10mTorr(1.3Pa)以上であってもよい。また、プラズマ処理チャンバ10内の圧力は、100mTorr(13Pa)以下であってもよく、50mTorr(6.7Pa)以下であってもよい。
工程ST3において、基板支持部11に対向する対向電極にはRF電力が与えられ得る。RF電力は100W以上、1000W以下であってもよく、200W以上、800W以下であってもよく、300W以上、500W以下であってもよい。RF電力の周波数は、27MHz以上、100MHz以下であってもよい。
工程ST3において、基板支持部11の本体部111中の電極にバイアス電力が与えられてもよいし、与えられなくてもよい。工程ST3において本体部111中の電極に与えられるバイアス電力は、工程ST4において本体部111中の電極に与えられるバイアス電力よりも小さく、100W未満であってもよい。
工程ST3又は工程ST3の後において、基板支持部11に対向する対向電極をスパッタリングしてもよい。対向電極はシリコンを含む。対向電極には、第2のDC生成部32bによって負のDC電圧が印加され得る。対向電極に印加されるDC電圧の絶対値は、100V以上であってもよいし、1000V以下であってもよい。例えば、第1プラズマPL1中の貴ガスイオンが、対向電極に衝突することにより、第1プラズマPL1中にシリコンが放出される。対向電極は、内側の第1電極と、外側の第2電極とを含んでもよい。第1電極に印加されるDC電圧の絶対値は、第2電極に印加されるDC電圧の絶対値より大きくてもよい。スパッタリングが工程ST3の後に行われる場合、貴ガスを含む処理ガスから生成されるプラズマを用いてスパッタリングが行われ得る。
タングステン含有堆積物DPは炭素を含んでもよい。タングステン含有堆積物DPはタングステン炭化物(WC)を含んでもよい。工程ST3の後において、タングステン含有堆積物DPの厚みの最大値は5nm以上であってもよい。
理論に拘束されないが、タングステン含有堆積物DPは以下のように形成され得る。第1処理ガスに炭素が含まれる場合、第1プラズマPL1中のタングステンを含む活性種は、第1プラズマPL1中の炭素を含む活性種と反応して、第1領域R1の上面にタングステン炭化物(WC)を含むタングステン含有堆積物DPが堆積する。あるいは、第1処理ガスに水素が含まれる場合、第1プラズマPL1中のフッ素を含む活性種が第1プラズマPL1中の水素を含む活性種によりスカベンジされる。その結果、第1プラズマPL1中に残ったタングステンを含む活性種に由来するタングステン含有堆積物DPが、第1領域R1の上面に堆積する。第1処理ガスに炭素及び水素が両方含まれる場合、タングステンと炭素との反応と、水素によるフッ素のスカベンジが共に進行する。
工程ST3では、タングステン含有堆積物DPを形成する前に、第1領域R1上に炭素含有堆積物を形成してもよい。この場合、タングステン含有堆積物DPは炭素含有堆積物上に形成される。炭素含有堆積物は、炭素を含む処理ガスから生成されるプラズマを用いて、第1領域R1上に形成される。プラズマに第1領域R1及び第2領域R2を晒す場合、炭素含有堆積物は、第2領域R2に比べて第1領域R1上に優先的に形成され得る。炭素を含む処理ガスは、炭素含有ガスを含んでもよい。炭素含有ガスは、CHガス、Cガス、Cガス、CHFガス、CHガス、CHFガス及びCOガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。処理ガスは、例えばアルゴンガス、ヘリウムガス、キセノンガス又はネオンガス等の貴ガスを含んでもよい。
工程ST4では、図7に示されるように、第2処理ガスから生成される第2プラズマPL2を用いて、第2領域R2をエッチングする。エッチングは以下のように行われてもよい。まず、ガス供給部20により、第2処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給する。次に、プラズマ生成部12により、プラズマ処理チャンバ10内で第2処理ガスから第2プラズマPL2を生成する。制御部2は、第2プラズマPL2を用いて第2領域R2をエッチングするように、ガス供給部20及びプラズマ生成部12を制御する。
第2処理ガスは第1処理ガスとは異なる。一例では、第2処理ガスは、タングステンを含んでもよい。その結果、堆積物が形成されやすくなり、凹部R1aにおける肩部分SHのエッチングが抑制される。他の例では、第2処理ガスは、タングステンを含まなくてもよい。第2処理ガスは、フッ素含有ガスを含んでもよい。第2処理ガスの例は、工程ST2における処理ガスの例と同じである。
工程ST4において、第1領域R1は、タングステン含有堆積物DPによって覆われているので、エッチングされ難い。第2領域R2は、第1領域R1よりもエッチングされ易い。第2領域R2をエッチングすることにより、図7に示されるように、コンタクトホールHLが形成される。コンタクトホールHLは第1領域R1の凹部R1aに対応する。このように、工程ST4は、セルフアラインコンタクト(SAC)工程において行われてもよい。凹部R1a内の第2領域R2が除去された後において、第1領域R1上にタングステン含有堆積物DPが残存する。そのため、工程ST4における第1領域R1のエッチングが抑制される。タングステン含有堆積物DPは、工程ST4の後、洗浄によって除去され得る。
工程ST5では、タングステン含有堆積物DPが十分に残っているかを判定する。判定は制御部2により行われ得る。タングステン含有堆積物DPが十分に残っていると判定される場合、工程ST6に進む。タングステン含有堆積物DPが十分に残っていないと判定される場合、工程ST3に戻る。判定は、エッチング時間に基づいて行われてもよい。例えば、工程ST4におけるエッチング時間とタングステン含有堆積物DPの減少量との関係を予め算出する。当該関係を用いて、コンタクトホールHLを形成するために必要な残りのエッチング時間からタングステン含有堆積物DPの減少量を推定する。推定されるタングステン含有堆積物DPの減少量をタングステン含有堆積物DPの初期量から減じた値が閾値以上の場合、タングステン含有堆積物DPが十分に残っていると判定する。あるいは、判定は、タングステン含有堆積物DPに光を照射して得られる反射光に基づいて行われてもよい。例えば、工程ST4において、タングステン含有堆積物DPに光を照射して得られる反射光を測定する。反射光のうちタングステン含有堆積物DPに対応する波長の光の強度が閾値以上の場合、タングステン含有堆積物DPが十分に残っていると判定する。
工程ST6では、工程ST4のエッチングの停止条件を満たすかを判定する。判定は制御部2により行われ得る。停止条件を満たすと判定される場合、方法MTを終了する。停止条件を満たさないと判定される場合、工程ST3に戻る。
上述のように、工程ST3及び工程ST4を含むサイクルが2回以上繰り返して実施されてもよい。
上記方法MTによれば、優れたエッチング耐性を有するタングステン含有堆積物DPを形成できる。理論に拘束されないが、その理由は以下のように考えられる。工程ST3において、第1処理ガスが水素を含む場合、第1プラズマPL1中の水素を含む活性種はフッ素のスカベンジャーとして機能する。その結果、タングステン含有堆積物DP中のフッ素濃度が低減するので、工程ST4におけるタングステン含有堆積物DPのエッチング耐性が向上する。工程ST3において、第1処理ガスが炭素を含む場合、タングステン含有堆積物DP中に炭素-タングステン結合が形成される。その結果、工程ST4におけるタングステン含有堆積物DPのエッチング耐性が向上する。
さらに、上記方法MTによれば、炭素含有堆積物に比べて、マスクMKの開口OPの幅に依存するタングステン含有堆積物DPの厚みの変化(ローディング効果)を抑制できる。そのため、タングステン含有堆積物DPにより第1領域R1のエッチングを抑制しながら、タングステン含有堆積物DPによるコンタクトホールHLの閉塞を抑制できる。
工程ST3において基板支持部11の温度が100℃超であると、タングステン含有堆積物DPのエッチング耐性が更に向上する。理論に拘束されないが、その理由は以下のように考えられる。基板支持部11の温度が高いと、基板Wの温度が上昇するので、タングステン含有堆積物DP中からフッ素が除去される。その結果、タングステン含有堆積物DP中のフッ素濃度が低減するので、工程ST4におけるタングステン含有堆積物DPのエッチング耐性が向上する。
工程ST3又は工程ST3の後において基板支持部11に対向する対向電極をスパッタリングすると、タングステン含有堆積物DPのエッチング耐性が更に向上する。理論に拘束されないが、その理由は以下のように考えられる。対向電極がスパッタリングされると、対向電極からシリコンが放出される。シリコンは、フッ素のスカベンジャーとして機能する。その結果、タングステン含有堆積物DP中のフッ素濃度が低減するので、工程ST4におけるタングステン含有堆積物DPのエッチング耐性が向上する。
工程ST3において、基板支持部11の本体部111中の電極にバイアス電力が与えられないか、又は与えられるバイアス電力が100W未満であってもよい。この場合、タングステン含有堆積物DPを形成する際に、第1プラズマPL1により第1領域R1がエッチングされることを抑制できる。
図8は、基板支持部11の本体部111中の電極に与えられるバイアス電力及び対向電極に与えられるRF電力の時間変化を示すタイミングチャートの一例である。このタイミングチャートは、方法MTにおける工程ST4に関連する。工程ST4では、本体部111中の電極にバイアス電力が与えられてもよい。バイアス電力は、例えばRF電力LFであってもよい。以下の記載は、直径300ミリメートルの基板Wに用いられる電力の例である。RF電力LFは10W以上、300W以下であってもよく、30W以上、200W以下であってもよく、50W以上、100W以下であってもよい。RF電力LFの周波数は、100kHz以上、40.68MHz以下であってもよい。工程ST4では、対向電極にRF電力HFが与えられてもよい。RF電力HFは50W以上、1000W以下であってもよく、80W以上、800W以下であってもよく、100W以上、500W以下であってもよい。RF電力HFの周波数は、27MHz以上、100MHz以下であってもよい。RF電力LF及びRF電力HFは、周期CYで周期的に印加されてもよい。なお、バイアス電力は、基板支持部11の導電性部材に供給されてもよい。また、RF電力HFは、1又は複数のコイルを含むアンテナに供給されてもよい。
周期CYは、第1期間PA、第2期間PB及び第3期間PCを含み得る。第1期間PAにおいて、RF電力LFは低電力L1(例えば100W未満)に維持され、RF電力HFは高電力H2(例えば100W超)に維持される。第1期間PAでは、タングステン含有堆積物DP上の炭素含有膜の堆積が促進される。第2期間PBにおいて、RF電力LFは低電力L1に維持され、RF電力HFは低電力L2(例えば200W未満)に維持される。低電力L2は、高電力H2よりも小さく、低電力L1よりも大きい。第3期間PCにおいて、RF電力LFは高電力H1(例えば50W超)に維持され、RF電力HFは低電力L2に維持される。高電力H1は、低電力L1よりも大きく、高電力H2よりも小さい。第3期間PCでは、第2領域R2のエッチングが促進される。第2期間PBは、第1期間PAから第3期間PCへの遷移期間である。工程ST4では、第1期間PA、第2期間PB及び第3期間PCを含む周期CYに対応する1サイクルが2回以上繰り返して実施されてもよい。
周期CYにおいて第1期間PAが占める割合は、周期CYにおいて第3期間PCが占める割合よりも小さい。周期CYにおいて第1期間PAが占める割合は、10%以上であってもよいし、50%未満であってもよい。第1期間PAが占める割合が大きいと、タングステン含有堆積物DPのエッチング量が小さくなる。第1期間PAが占める割合が小さいと、コンタクトホールHLの閉塞が抑制される。周期CYにおいて第3期間PCが占める割合は、50%以上であってもよい。第3期間PCが占める割合が大きいと、第2領域R2のエッチングレートが大きくなる。周期CYを規定する周波数は、1kHz以上1MHz以下であり得る。周期CYの時間長は、周期CYを規定する周波数の逆数である。
工程ST4は、必ずしも図8に示されるタイミングチャートに従って行われる工程に限定されない。工程ST4において、例えば、基板支持部11の本体部111中の電極に与えられるバイアス電力及び対向電極に与えられるRF電力が一定であってもよい。
図9は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。図9に示されるエッチング方法MT1(以下、「方法MT1」という)は、上記実施形態のプラズマ処理装置1により実行され得る。方法MT1は、基板Wに適用され得る。
以下、方法MT1について、方法MT1が上記実施形態のプラズマ処理装置1を用いて基板Wに適用される場合を例にとって、図10~図12を参照しながら説明する。図10~図12は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。プラズマ処理装置1が用いられる場合には、制御部2によるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において方法MT1が実行され得る。方法MT1では、図2に示されるように、プラズマ処理チャンバ10内に配置された基板支持部11(基板支持器)上の基板Wを処理する。
図9に示されるように、方法MT1は、図3の方法MTの工程ST3に代えて工程ST31及び工程ST32を含む。工程ST31は工程S2の後に実行され得る。工程ST32は工程ST31の後に実行され得る。工程ST4は工程ST32の後に実行され得る。工程ST1~工程ST2及び工程ST4~工程ST6は、方法MTと同様に実行され得る。
工程ST31では、図10に示されるように、第1領域R1上に炭素含有堆積物CDPを形成する。炭素含有堆積物CDPは、第3処理ガスから生成される第3プラズマP3を用いて形成され得る。炭素含有堆積物CDPはポリマーを含有し得る。炭素含有堆積物CDPは、フッ素、酸素及び水素のうち少なくとも1つを含有してもよい。炭素含有堆積物CDPは、炭素含有膜であってもよい。炭素含有堆積物CDPは、第1領域R1の凹部R1aにおける肩部分SHを覆うオーバーハング部OHGを有し得る。オーバーハング部OHGは、凹部R1aの寸法を小さくする。第3プラズマPL3に第1領域R1及び第2領域R2を晒す場合、炭素含有堆積物CDPは、第2領域R2に比べて第1領域R1上に優先的に形成され得る。ここで、「炭素含有堆積物CDPは、第2領域R2に比べて第1領域R1上に優先的に形成され得る」とは、例えば、第1領域R1上の炭素含有堆積物CDPの厚みが、第2領域R2上の炭素含有堆積物CDPの厚みよりも大きいことを意味し、より具体的には、第2領域R2上の炭素含有堆積物CDPの厚みが、第1領域R1上の炭素含有堆積物CDPの厚みの50%以下であることを意味する。堆積は以下のように行われてもよい。まず、ガス供給部20により、第3処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給する。次に、プラズマ生成部12により、プラズマ処理チャンバ10内で第3処理ガスから第3プラズマPL3を生成する。制御部2は、第1領域R1上に炭素含有堆積物CDPが形成されるように、ガス供給部20及びプラズマ生成部12を制御する。
第3処理ガスは、炭素含有ガスを含んでもよい。炭素含有ガスは、ハイドロカーボン(C)ガス、フルオロカーボン(C)ガス及び一酸化炭素(CO)ガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。x及びyは自然数である。第3処理ガスは貴ガスを含んでもよい。
工程ST32では、図11に示されるように、第4処理ガスから生成される第4プラズマPL4を用いて、炭素含有堆積物CDP上にタングステン含有堆積物DPを形成する。工程ST32は、第1処理ガスに代えて第4処理ガスが用いられること以外は工程ST3と同様に実行され得る。第4プラズマPL4に炭素含有堆積物CDP及び第2領域R2を晒す場合、タングステン含有堆積物DPは、第2領域R2に比べて炭素含有堆積物CDP上に優先的に形成され得る。ここで、「タングステン含有堆積物DPは、第2領域R2に比べて炭素含有堆積物CDP上に優先的に形成され得る」とは、例えば、炭素含有堆積物CDP上のタングステン含有堆積物DPの厚みが、第2領域R2上のタングステン含有堆積物DPの厚みよりも大きいことを意味し、より具体的には、第2領域R2上のタングステン含有堆積物DPの厚みが、炭素含有堆積物CDP上のタングステン含有堆積物DPの厚みの50%以下であることを意味する。堆積は以下のように行われてもよい。まず、ガス供給部20により、第4処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に供給する。次に、プラズマ生成部12により、プラズマ処理チャンバ10内で第4処理ガスから第4プラズマPL4を生成する。制御部2は、炭素含有堆積物CDP上にタングステン含有堆積物DPが形成されるように、ガス供給部20及びプラズマ生成部12を制御する。工程ST31と工程ST32の順番は、図9に示すものに限られない。例えば、工程ST32の後に工程ST31を行って、その後に工程ST4を行ってもよい。工程ST31~工程ST4を含むサイクルごとに工程ST31と工程ST32の順番を変えてもよい。
第4処理ガスは、フッ素とタングステンとを含む。第4処理ガスはタングステン含有ガスを含んでもよい。タングステン含有ガスの例は、六フッ化タングステンを含む。
第4処理ガスは、例えば貴ガス等の不活性ガスを含んでもよい。第4処理ガスは、炭素含有ガス及び水素含有ガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。炭素含有ガス及び水素含有ガスの例は、第1処理ガスに含まれる炭素含有ガス及び水素含有ガスの例と同じである。不活性ガスを除く第4処理ガスに含まれる全てのガスのうちタングステン含有ガスの流量比は最も大きくてもよい。第4処理ガスは、不活性ガスを除いてタングステン含有ガスのみを含有してもよい。第4処理ガスは、酸素ガスを含んでいてもよい。
第4プラズマPL4を生成するための電力は、基板支持部11に対向する対向電極に印加され得る。
工程ST32又は工程ST32の後において、基板支持部11に対向する対向電極をスパッタリングしてもよい。対向電極はシリコンを含む。スパッタリングにより、タングステン含有堆積物DPのエッチング耐性が向上する。
方法MT1の工程ST5では、第1領域R1上に堆積物が十分に残っているかを判定する。堆積物は、炭素含有堆積物CDPを含む。堆積物は、炭素含有堆積物CDP及びタングステン含有堆積物DPを含んでもよい。
上記方法MT1によれば、工程ST32において、炭素含有堆積物CDP及びタングステン含有堆積物DPの合計厚みを大きくできる。よって、優れたエッチング耐性を有する堆積物を形成できる。
さらに、上記方法MT1によれば、工程ST32において、第1領域R1上の炭素含有堆積物CDPの厚みの減少を抑制しながら、炭素含有堆積物CDPのオーバーハング部OHGを除去できる。そのため、オーバーハング部OHGに起因する凹部R1aの寸法の減少を抑制できる。
工程ST32において、第4処理ガスが炭素及び水素をいずれも含まないと、タングステン含有堆積物DPにオーバーハング部が形成され難い。そのため、タングステン含有堆積物DPのオーバーハング部に起因する凹部R1aの寸法の減少を抑制できる。タングステン含有堆積物DPのオーバーハング部の形成は、炭素含有ガス及び水素含有ガスの少なくとも1つによって促進され得る。
工程ST32において、第4プラズマPL4を生成するための電力が対向電極に印加されると、当該電力が基板支持部11に印加される場合に比べて、第4プラズマPL4中のイオンの基板Wへの衝突を抑制できる。よって、炭素含有堆積物CDP及びタングステン含有堆積物DPの合計厚みの減少を抑制できる。
上記方法MT及び方法MT1は、第2領域R2と、第2領域R2上に設けられ開口を有する第1領域R1とを備える基板Wに適用されてもよい。この場合、第1領域R1をマスクとして第2領域R2をエッチングすることによって、コンタクトホールが形成される。コンタクトホールの寸法は、20nm以上100nm以下であってもよい。コンタクトホールは、HARC(High Aspect Ratio Contact)であってもよい。コンタクトホールのアスペクト比は2以上であってもよい。
タングステン含有堆積物DPは、デクロッキング(開口の閉塞の抑制)を目的として堆積されてもよい。例えば、エッチング中に開口のクロッキング(閉塞)が起こる場合、第1領域R1上の堆積物の有無に関係なく、デクロッキングを目的としてタングステン含有堆積物DPが堆積されてもよい。
図13は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。図13に示されるエッチング方法MT2(以下、「方法MT2」という)は、上記実施形態のプラズマ処理装置1により実行され得る。方法MT2は、図14の基板Wに適用され得る。
図14は、図13の方法が適用され得る一例の基板の部分拡大断面図である。図14に示されるように、一実施形態において、基板Wは、第1領域R1と第2領域R2とを含む。第1領域R1は少なくとも1つの開口OP1を有してもよい。第1領域R1は、複数の開口OP1を有してもよい。第2領域R2は、第1領域R1の下にあってもよい。基板Wは、下地領域URを更に含んでもよい。下地領域URは、第2領域R2の下にあってもよい。
第1領域R1は、シリコン及び窒素を含まなくてもよい。第1領域R1はレジストであってもよい。レジストはEUV用レジストであってもよい。
第2領域R2は、シリコン及び酸素を含む。第2領域R2は、シリコン酸化物(SiO)を含んでもよい。第2領域R2は、SOG(Spin on Glass)膜であってもよい。
下地領域URは、第1下地領域UR1、第2下地領域UR2及び第3下地領域UR3を含んでもよい。第1下地領域UR1、第2下地領域UR2及び第3下地領域UR3は順に配列される。第3下地領域UR3は、第2領域R2と第2下地領域UR2との間に設けられる。第1下地領域UR1、第2下地領域UR2及び第3下地領域UR3は積層膜であってもよい。
第1下地領域UR1はシリコン及び窒素を含んでもよい。第1下地領域UR1は、シリコン窒化物(SiN)を含んでもよい。第2下地領域UR2は、シリコン及び酸素を含んでもよい。第2下地領域UR2は、シリコン酸化物(SiO)を含んでもよい。第3下地領域UR3は、SOC(Spin on Carbon)膜であってもよいし、炭素含有膜であってもよい。
以下、方法MT2について、方法MT2が上記実施形態のプラズマ処理装置1を用いて基板Wに適用される場合を例にとって、図13~図17を参照しながら説明する。図15~図17は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法の一工程を示す断面図である。プラズマ処理装置1が用いられる場合には、制御部2によるプラズマ処理装置1の各部の制御により、プラズマ処理装置1において方法MT2が実行され得る。方法MT2では、図2に示されるように、プラズマ処理チャンバ10内に配置された基板支持部11(基板支持器)上の基板Wを処理する。
図13に示されるように、方法MT2は、工程ST1、工程ST3及び工程ST4を含む。方法MT2は、工程ST3の後、工程ST4の前に工程ST33を更に含んでもよい。方法MT2において、方法MT及び方法MT1における各工程が行われてもよい。方法MT2の工程ST1は方法MTと同様に実行され得る。方法MT2の工程ST3及び工程ST4は、以下の点を除き方法MTの工程ST3及び工程ST4と同様に実行され得る。
工程ST3では、図15に示されるように、第1処理ガスから生成される第1プラズマPL11を用いて、第1領域R1上にタングステン含有堆積物DPを形成する。第1プラズマPL11に第1領域R1及び第2領域R2を晒す場合、タングステン含有堆積物DPは、第2領域R2に比べて第1領域R1上に優先的に形成され得る。
第1処理ガスは炭素及び水素を含まなくてもよい。第1処理ガスは、貴ガスと、フッ素と、タングステンとを含む。第1処理ガスは、貴ガスと、タングステン含有ガスとを含んでもよい。フッ素は、タングステン含有ガスに含まれてもよい。第1処理ガスは、水素含有ガスを更に含んでもよい。水素含有ガスは、Hガス、SiHガス及びCHガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。第1処理ガスは、貴ガスを含まなくてもよい。第1処理ガスは、水素含有ガスと、フッ素と、タングステンとを含んでもよい。第1処理ガスに含まれるガスの例は、方法MTの工程ST3における第1処理ガスに含まれるガスの例と同じである。方法MT2の工程ST3における他のプロセス条件(各ガスの流量比、処理時間、温度、圧力及び印加電力等)は、方法MTの工程ST3におけるプロセス条件と同じであってもよい。ただし、方法MT2の工程ST3において、基板支持部11の温度は、0℃以上であってもよいし、20℃以上であってもよい。
工程ST33では、図16に示されるように、水素含有ガスを含む処理ガスから生成されるプラズマHPLにタングステン含有堆積物DPを晒してもよい(水素プラズマ処理)。これにより、タングステン含有堆積物DPはタングステン含有堆積物HDPに改質され得る。タングステン含有堆積物HDPは、水素プラズマにより酸化タングステンが還元された生成される金属タングステンを含んでもよい。水素含有ガスを含む処理ガスは、工程ST3の第1処理ガスと異なってもよい。
工程ST4では、図17に示されるように、第2処理ガスから生成される第2プラズマPL12を用いて、開口OP1を通じて第2領域R2をエッチングする。これにより、第2領域R2に凹部RSが形成される。凹部RSは第1領域R1の開口OP1に対応する。第2処理ガスは、工程ST33の処理ガスと異なってもよい。方法MT2の工程ST4におけるプロセス条件(第2処理ガスの種類、各ガスの流量比、処理時間、温度、圧力及び印加電力等)は、方法MTの工程ST4におけるプロセス条件と同じであってもよい。
上記方法MT2によれば、優れたエッチング耐性を有するタングステン含有堆積物DPを形成できる。その結果、工程ST4後において第1領域R1の残り厚みが大きくなるので、第1領域R1に対する第2領域R2のエッチング選択比が大きくなる。さらに、第2領域R2に形成される凹部RSの側壁の垂直性も向上する。
工程ST33を行うと、工程ST4後における第1領域R1の残り厚みが更に大きくなる。これは、水素プラズマ処理により酸化タングステンが還元されて金属タングステンが生成することによって、第1領域R1のエッチング耐性が更に向上するからと推測される。
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
例えば、タングステン含有ガスの代わりに、あるいはタングステン含有ガスに加えて、モリブデン含有ガスを用いてもよい。モリブデン含有ガスは、ハロゲン化モリブデンガスを含んでもよい。ハロゲン化モリブデンガスは、六フッ化モリブデン(MoF)ガス、及び六塩化モリブデン(MoCl)ガスのうち少なくとも1つを含んでもよい。
以下、方法MTの評価のために行った種々の実験について説明する。以下に説明する実験は、本開示を限定するものではない。
(第1実験)
第1実験では、シリコン窒化物(SiN)を含む第1領域R1と、シリコン酸化物(SiO)を含む第2領域R2とを含む基板Wを準備した。第1領域R1の上面及び第2領域R2の上面は露出していた。その後、プラズマ処理装置1を用いて基板Wに対して工程ST3及び工程ST4を実施した。
工程ST3では、第1処理ガスから第1プラズマPL1を生成し、第1領域R1及び第2領域R2を第1プラズマPL1に晒した。第1処理ガスは、六フッ化タングステン(WF)ガスとメタン(CH)ガスとアルゴン(Ar)ガスとの混合ガスである。六フッ化タングステンガスの流量比は、メタンガスの流量比よりも小さい。アルゴンガスの流量比は、メタンガスの流量比よりも大きい。
工程ST3において、基板支持部11の温度は150℃である。基板支持部11に対向する対向電極に負のDC電圧は印加されていない。
工程ST4では、第2処理ガスから第2プラズマPL2を生成し、第2領域R2をエッチングした。第2処理ガスは、Cガスとアルゴンガスと酸素(O)ガスとの混合ガスである。
(第2実験)
第2実験では、工程ST3において、基板支持部11に対向する対向電極をスパッタリングしたこと以外は第1実験の方法と同じ方法を実行した。対向電極は、内側の第1電極と、外側の第2電極とを含む。第1電極に印加されるDC電圧の絶対値は、800Vである。第2電極に印加されるDC電圧の絶対値は400Vである。
(第3実験)
第3実験では、工程ST3において、第1処理ガスとして、メタン(CH)ガスと一酸化炭素(CO)ガスとアルゴン(Ar)ガスとの混合ガスを用いたこと以外は第1実験の方法と同じ方法を実行した。
(第4実験)
第4実験では、工程ST3において、第1処理ガスとして、六フッ化タングステン(WF)ガスとアルゴン(Ar)ガスとの混合ガスを用いたこと以外は第1実験の方法と同じ方法を実行した。
(実験結果)
第1実験~第4実験において方法が実行された基板Wの断面のTEM画像を観察した。図18は、第1実験及び第2実験においてエッチング方法を実行することによって得られる基板の断面のTEM画像を示す図である。図18の(a)は、第1実験において、工程ST3の後、工程ST4の前における基板Wの断面を示す。図18の(b)は、第1実験において、工程ST4の後における基板Wの断面を示す。図18の(a)及び(b)では、第1領域R1上に形成された膜(図中の黒色部分)が確認された。TEM-EDXの結果から、図18の(a)中の膜に対応する部分がタングステンを含有することが確認された。すなわち、図18の(a)中の膜は、タングステン含有堆積物DPであることが確認された。図18の(a)及び(b)のそれぞれにおいてタングステン含有堆積物DPの厚みを測定し、工程ST4によるタングステン含有堆積物DPの減少量を算出した。第1実験におけるタングステン含有堆積物DPの減少量は4.0nmであった。また、図18の(b)の堆積物全体(タングステン含有堆積物DPとタングステン含有堆積物DP上の堆積物との合計)の厚みを測定し、当該厚みから図18の(a)のタングステン含有堆積物DPの厚みを減じて、堆積物全体の減少量を算出した。第1実験における堆積物全体の減少量は0.4nmであった。
図18の(c)は、第2実験において、工程ST3の後、工程ST4の前における基板Wの断面を示す。図18の(d)は、第2実験において、工程ST4の後における基板Wの断面を示す。図18の(c)及び(d)では、第1実験と同様に、第1領域R1上に形成されたタングステン含有堆積物DPが確認された。第2実験においても第1実験と同様に、工程ST4によるタングステン含有堆積物DPの減少量を算出した。第2実験におけるタングステン含有堆積物DPの減少量は1.4nmであった。また、図18の(d)の堆積物全体の厚みを測定し、当該厚みから図18の(c)のタングステン含有堆積物DPの厚みを減じて、堆積物全体の減少量を算出した。第2実験における堆積物全体の減少量は-2.6nmであり、すなわち堆積物全体の厚みは2.6nm増加した。
図19は、第3実験及び第4実験においてエッチング方法を実行することによって得られる基板の断面のTEM画像を示す図である。図19の(a)は、第3実験において、堆積工程の後、エッチング工程の前における基板Wの断面を示す。図19の(b)は、第3実験において、堆積工程の後における基板Wの断面を示す。図19の(a)及び(b)では、第1領域R1上に形成された炭素含有膜DP1が確認された。第3実験においても第1実験と同様に、図19の(b)の堆積物全体の厚みを測定し、当該厚みから図19の(a)の炭素含有膜DP1の厚みを減じて、堆積物全体の減少量を算出した。第3実験における堆積物全体の減少量は1.9nmであった。
図19の(c)は、第4実験において、堆積工程の後、エッチング工程の前における基板Wの断面を示す。図19の(d)は、第4実験において、エッチング工程の後における基板Wの断面を示す。図19の(c)では、第1領域R1上に形成されたタングステン含有膜DP2が確認された。一方、図19の(d)では、タングステン含有膜DP2が確認されなかった。第4実験では、エッチング工程により、タングステン含有膜DP2が消失していることが分かる。
第1実験~第4実験の結果から、第1処理ガスが、炭素及び水素のうち少なくとも1つと、フッ素と、タングステンとを含む場合に、優れたエッチング耐性を有するタングステン含有堆積物DPを形成できることが分かる。また、第1実験及び第2実験の結果から、基板支持部11に対向する対向電極をスパッタリングすると、工程ST4におけるタングステン含有堆積物DPのエッチング耐性が更に向上することが分かる。
(第5実験)
第5実験では、シリコン窒化物(SiN)を含む第1領域R1と、シリコン酸化物(SiO)を含む第2領域R2とを含む基板Wを準備した。第1領域R1の上面及び第2領域R2の上面は露出していた。その後、プラズマ処理装置1を用いて基板Wに対して工程ST3及び工程ST4を実施した。
工程ST3では、まず、一酸化炭素(CO)ガスとアルゴン(Ar)ガスとの混合ガスである処理ガスからプラズマを生成し、当該プラズマを用いて第1領域R1上に炭素含有堆積物を形成した。次に、第1処理ガスから第1プラズマPL1を生成し、第1プラズマPL1を用いて、炭素含有堆積物上にタングステン含有堆積物DPを形成した。第1処理ガスは、六フッ化タングステン(WF)ガスと水素(H)ガスとアルゴン(Ar)ガスとの混合ガスである。六フッ化タングステンガスの流量比は、水素ガスの流量比よりも小さい。アルゴンガスの流量比は、水素ガスの流量比よりも大きい。
工程ST3において、基板支持部11の温度は150℃である。対向電極は、内側の第1電極と、外側の第2電極とを含む。第1電極に印加されるDC電圧の絶対値は、800Vである。第2電極に印加されるDC電圧の絶対値は400Vである。
工程ST4では、第2処理ガスから第2プラズマPL2を生成し、第2領域R2をエッチングした。第2処理ガスは、Cガスとアルゴンガスと酸素(O)ガスとの混合ガスである。
(実験結果)
第5実験において方法が実行された基板Wの断面のTEM画像を観察した。図20は、第5実験においてエッチング方法を実行することによって得られる基板の断面のTEM画像を示す図である。図20の(a)は、第5実験において、工程ST3の後、工程ST4の前における基板Wの断面を示す。図20の(b)は、第5実験において、工程ST4の後における基板Wの断面を示す。図20の(a)及び(b)では、第1実験と同様に、第1領域R1上に形成されたタングステン含有堆積物DPが確認された。第5実験においても第1実験と同様に、工程ST4によるタングステン含有堆積物DPの減少量を算出した。第5実験におけるタングステン含有堆積物DPの減少量は1.2nmであった。図20の(b)の堆積物全体の厚みを測定し、当該厚みから図20の(a)のタングステン含有堆積物DPの厚みを減じて、堆積物全体の減少量を算出した。第5実験における堆積物全体の減少量は0.9nmであった。
第5実験の結果から、第1処理ガスが水素含有ガスを含む場合に、優れたエッチング耐性を有するタングステン含有堆積物DPを形成できることが分かる。
(第6実験)
第6実験では、工程ST3において、第1処理ガスに一酸化炭素(CO)ガスを追加したこと以外は第1実験の方法と同じ方法を実行した。一酸化炭素ガスの流量比は、メタンガスの流量比よりも大きい。
(第7実験)
第7実験では、工程ST3において、第1処理ガスに水素(H)ガスを追加したこと以外は第1実験の方法と同じ方法を実行した。水素ガスの流量比は、メタンガスの流量比よりも大きい。
(第8実験)
第8実験では、工程ST3において、第1処理ガスに一酸化炭素(CO)ガスを追加したこと以外は第2実験の方法と同じ方法を実行した。一酸化炭素ガスの流量比は、メタンガスの流量比よりも大きい。
(第9実験)
第9実験では、工程ST3において、第1処理ガスに水素(H)ガスを追加したこと以外は第2実験の方法と同じ方法を実行した。水素ガスの流量比は、メタンガスの流量比よりも大きい。
(実験結果)
第6実験~第9実験において方法が実行された基板Wの断面のTEM画像を観察した。第6実験~第9実験においても第1実験と同様に、工程ST4によるタングステン含有堆積物DPの減少量を算出した。第6実験におけるタングステン含有堆積物DPの減少量は3.8nmであった。第7実験におけるタングステン含有堆積物DPの減少量は2.3nmであった。第8実験におけるタングステン含有堆積物DPの減少量は3.7nmであった。第9実験におけるタングステン含有堆積物DPの減少量は1.7nmであった。また、第6実験~第9実験においても第1実験と同様に、堆積物全体の減少量を算出した。第6実験における堆積物全体の減少量は1.2nmであった。第7実験における堆積物全体の減少量は-0.7nmであり、すなわち堆積物全体の厚みは0.7nm増加した。第8実験における堆積物全体の減少量は0.7nmであった。第9実験における堆積物全体の減少量は-1.4nmであり、すなわち堆積物全体の厚みは1.4nm増加した。
第6実験~第9実験の結果から、第1処理ガスのガス種が異なっていても、優れたエッチング耐性を有するタングステン含有堆積物DPを形成できることが分かる。さらに、第1処理ガスのガス種を変更することによって、タングステン含有堆積物DPの堆積速度を制御できることが分かる。また、第6実験~第9実験の結果から、基板支持部11に対向する対向電極に負のDC電圧を印加すると、工程ST4におけるタングステン含有堆積物DPのエッチング耐性が更に向上することが分かる。
(第10実験)
第10実験では、工程ST3に対応する堆積工程において、基板支持部11の温度が100℃であること以外は第4実験の方法と同じ方法を実行した。
(実験結果)
第4実験及び第10実験において方法が実行された基板Wの断面のTEM画像を観察した。第10実験では、図19の(c)に示されるタングステン含有膜DP2よりも厚いタングステン含有膜DP2が確認された。しかし、第10実験では、エッチング工程により、タングステン含有膜DP2が消失し、第1領域R1の上面がエッチングされていることが確認された。
第4実験及び第10実験の結果から、基板支持部11の温度が100℃超であると、エッチング工程におけるタングステン含有膜DP2のエッチング耐性が向上することが分かる。
以下、方法MT1の評価のために行った種々の実験について説明する。以下に説明する実験は、本開示を限定するものではない。
(第11実験)
第11実験では、シリコン窒化物(SiN)を含む第1領域R1と、シリコン酸化物(SiO)を含む第2領域R2とを含む基板Wを準備した。第1領域R1の上面及び第2領域R2の上面は露出していた。その後、プラズマ処理装置1を用いて基板Wに対して工程ST31、工程ST32及び工程ST4を実施した。
工程ST31では、第3処理ガスから第3プラズマPL3を生成し、第1領域R1及び第2領域R2を第3プラズマPL3に晒した。第3処理ガスは、Cガスとアルゴン(Ar)ガスと酸素(O)ガスとの混合ガスである。工程ST31により、第1領域R1上に炭素含有堆積物CDPが形成された。
工程ST32では、第4処理ガスから第4プラズマPL4を生成し、炭素含有堆積物CDP及び第2領域R2を第4プラズマPL4に晒した。第4処理ガスは、六フッ化タングステン(WF)ガスとアルゴン(Ar)ガスとの混合ガスである。工程ST32により、炭素含有堆積物CDP上にタングステン含有堆積物DPが形成された。
工程ST4では、第2処理ガスから第2プラズマPL2を生成し、第2領域R2をエッチングした。第2処理ガスは、Cガスとアルゴンガスと酸素(O)ガスとの混合ガスである。
(第12実験)
第12実験では、工程ST31において、第3処理ガスとして一酸化炭素(CO)ガスとアルゴン(Ar)ガスとの混合ガスを用いたこと以外は第11実験の方法と同じ方法を実行した。
(第13実験)
第13実験では、工程ST31において、第3処理ガスとしてメタン(CH)ガスとアルゴン(Ar)ガスとの混合ガスを用いたこと以外は第11実験の方法と同じ方法を実行した。
(第14実験)
第14実験では、工程ST31を行わなかったこと以外は第11実験の方法と同じ方法を実行した。
(実験結果)
第11実験~第14実験において、工程ST31の後及び工程ST32の後における基板Wの断面のTEM画像を観察した。
第11実験では、工程ST31の後において、第1領域R1の上面上の炭素含有堆積物CDPの厚さは6.7nmであった。工程ST32の後において、第1領域R1の上面上の炭素含有堆積物CDP及びタングステン含有堆積物DPの厚さの和は20.4nmであった。また、工程ST32の後において、炭素含有堆積物CDPはオーバーハング部を有していなかった。
第12実験では、工程ST31の後において、第1領域R1の上面上の炭素含有堆積物CDPの厚さは4.5nmであった。工程ST32の後において、第1領域R1の上面上の炭素含有堆積物CDPの厚さは3.8nmであり、タングステン含有堆積物DPの厚さは10.7nmであった。また、工程ST32の後において、炭素含有堆積物CDPはオーバーハング部を有していなかった。
第13実験では、工程ST31の後において、第1領域R1の上面上の炭素含有堆積物CDPの厚さは7.8nmであった。工程ST32の後において、第1領域R1の上面上の炭素含有堆積物CDPの厚さは7.8nmであり、タングステン含有堆積物DPの厚さは5.9nmであった。また、工程ST32の後において、炭素含有堆積物CDPはオーバーハング部を有していなかった。
第14実験では、工程ST32の後において、タングステン含有堆積物DPの厚さは4.4nmであった。第1領域R1の上面上に炭素含有堆積物は形成されていない。
第11実験~第14実験の結果から、方法MT1によれば、炭素含有堆積物CDP及びタングステン含有堆積物DPの合計厚みを大きくできることが分かる。また、方法MT1によれば、炭素含有堆積物CDPのオーバーハング部を除去できることが分かる。
(第15実験)
第15実験では、工程ST32において、異なる種類の第4処理ガスを用い、基板支持部11に対向する対向電極をスパッタリングしたこと以外は第12実験の方法と同じ方法を実行した。第4処理ガスは、六フッ化タングステン(WF)ガスとアルゴン(Ar)ガスとメタン(CH)ガスと一酸化炭素(CO)ガスとの混合ガスである。六フッ化タングステンガスの流量比は、メタン(CH)ガスの流量比よりも小さく、一酸化炭素(CO)ガスの流量比よりも小さい。
(第16実験)
第16実験では、工程ST32において、異なる種類の第4処理ガスを用い、基板支持部11に対向する対向電極をスパッタリングしたこと以外は第12実験の方法と同じ方法を実行した。第4処理ガスは、六フッ化タングステン(WF)ガスとメタン(CH)ガスと水素(H)ガスとの混合ガスである。六フッ化タングステンガスの流量比は、メタン(CH)ガスの流量比よりも小さく、水素(H)ガスの流量比よりも小さい。
(第17実験)
第17実験では、工程ST32において、異なる種類の第4処理ガスを用い、基板支持部11に対向する対向電極をスパッタリングしたこと以外は第12実験の方法と同じ方法を実行した。第4処理ガスは、六フッ化タングステン(WF)ガスとアルゴン(Ar)ガスと水素(H)ガスとの混合ガスである。六フッ化タングステンガスの流量比は、水素(H)ガスの流量比よりも小さい。
(実験結果)
第12実験及び第15実験~第17実験において、工程ST32の後における基板Wの断面のTEM画像を観察した。
第12実験では、工程ST32の後において、炭素含有堆積物CDP及びタングステン含有堆積物DPの合計厚さは14.5nmであった。タングステン含有堆積物DPは、オーバーハング部を有していなかった。
第15実験では、工程ST32の後において、炭素含有堆積物CDP及びタングステン含有堆積物DPの合計厚さは11.0nmであった。炭素含有堆積物CDPはオーバーハング部を有していなかった。一方、タングステン含有堆積物DPは、オーバーハング部を有していた。
第16実験では、工程ST32の後において、炭素含有堆積物CDP及びタングステン含有堆積物DPの合計厚さは10.0nmであった。炭素含有堆積物CDPはオーバーハング部を有していなかった。一方、タングステン含有堆積物DPは、オーバーハング部を有していた。
第17実験では、工程ST32の後において、炭素含有堆積物CDP及びタングステン含有堆積物DPの合計厚さは10.0nmであった。炭素含有堆積物CDPはオーバーハング部を有していなかった。一方、タングステン含有堆積物DPは、オーバーハング部を有していた。
第12実験及び第15実験~第17実験の結果から、工程ST32において、第4処理ガスが炭素及び水素をいずれも含まないと、タングステン含有堆積物DPにオーバーハング部が形成され難いことが分かる。
(第18実験)
第18実験では、第13実験の方法と同じ方法を実行した。
(第19実験)
第19実験では、工程ST32と工程ST4との間において、基板支持部11に対向する対向電極をスパッタリングしたこと以外は第18実験の方法と同じ方法を実行した。
(実験結果)
第18実験及び第19実験において、工程ST4の前後における基板Wの断面のTEM画像を観察した。
第18実験では、工程ST4の前において、炭素含有堆積物CDP及びタングステン含有堆積物DPの合計厚さは12.3nmであった。工程ST4の後において、炭素含有堆積物CDPの厚さは5.6nmであった。
第19実験では、工程ST4の前において、炭素含有堆積物CDP及びタングステン含有堆積物DPの合計厚さは12.0nmであった。工程ST4の後において、炭素含有堆積物CDP及びタングステン含有堆積物DPの合計厚さは11.6nmであった。
第18実験及び第19実験の結果から、基板支持部11に対向する対向電極をスパッタリングすることによって、タングステン含有堆積物DPのエッチング耐性が向上することが分かる。
以下、方法MT2の評価のために行った種々の実験について説明する。以下に説明する実験は、本開示を限定するものではない。
(第20実験)
第20実験では、図14に示される構造を有する基板Wを準備した。第1領域R1はレジストである。第2領域R2はシリコン酸化膜である。その後、プラズマ処理装置1を用いて基板Wに対して工程ST3及び工程ST4を実施した(図13参照)。
工程ST3では、第1処理ガスから第1プラズマPL11を生成し、第1領域R1及び第2領域R2を第1プラズマPL11に晒した(図15参照)。第1処理ガスは、六フッ化タングステン(WF)ガスとアルゴン(Ar)ガスとの混合ガスである。六フッ化タングステンガスの流量比は、アルゴンガスの流量比よりも小さい。
工程ST3において、基板支持部11の温度は20℃である。基板支持部11に対向する対向電極に与えられるRF電力は100Wである。基板支持部11の本体部111中の電極にバイアス電力は与えられない。
工程ST4では、第2処理ガスから第2プラズマPL12を生成し、第2領域R2をエッチングした(図17参照)。第2処理ガスは、CFガスと窒素(N)ガスとの混合ガスである。
(第21実験)
第21実験では、工程ST3と工程ST4との間に工程ST33を行ったこと以外は第20実験の方法と同じ方法を実行した。
工程ST33では、水素(H)ガスから生成されるプラズマHPLにタングステン含有堆積物DPを晒した(図16参照)。
工程ST33において、基板支持部11に対向する対向電極に与えられるRF電力は100Wである。基板支持部11の本体部111中の電極にバイアス電力は与えられない。
(第22実験)
第22実験では、工程ST3を行わなかったこと以外は第20実験の方法と同じ方法を実行した。
(実験結果)
第20実験において工程ST3後の基板Wの断面のTEM画像を観察した。第1領域R1上に、約7nmの厚さを有するタングステン含有堆積物DPが形成されていることが分かった。また、TEM-EDXの結果から、タングステン含有堆積物DPがタングステンを含有することが確認された。一方、開口OP1において第2領域R2上にタングステン含有堆積物は確認されなかった。
第20実験~第22実験において方法が実行された基板Wの断面のTEM画像を観察した。第20実験において、エッチング後の第1領域R1の残りの厚さは17.2nmであった。第21実験において、エッチング後の第1領域R1の残りの厚さは20.8nmであった。第22実験において、エッチング後の第1領域R1の残りの厚さは9.3nmであった。さらに、第20実験及び第21実験では、第22実験に比べて、第2領域R2に形成される凹部RSの側壁の垂直性が向上した。第20実験~第22実験では、比較的大きい寸法を有する凹部RS及び比較的小さい寸法を有する凹部RSのそれぞれにおいて、局所的な凹部RSの寸法の均一性(LCDU)は同等であった。
(付記1)
(a)基板を準備する工程であり、前記基板は、シリコン及び窒素を含む第1領域と、シリコン及び酸素を含む第2領域とを含む、工程と、
(b)炭素及び水素のうち少なくとも1つと、フッ素と、タングステンとを含む第1処理ガスから生成される第1プラズマを用いて、前記第1領域上にタングステン含有堆積物を形成する工程と、
(c)前記(b)の後、前記第1処理ガスとは異なる第2処理ガスから生成される第2プラズマを用いて、前記第2領域をエッチングする工程と、
を含む、エッチング方法。
(付記2)
前記第1処理ガスが、炭素含有ガス及び水素含有ガスのうち少なくとも1つと、タングステン含有ガスとを含む、付記1に記載のエッチング方法。
(付記3)
前記タングステン含有ガスが、六フッ化タングステンガスを含む、付記2に記載のエッチング方法。
(付記4)
前記炭素含有ガスが、CHガス、Cガス、Cガス、CHFガス、CHガス、CHFガス及びCOガスのうち少なくとも1つを含む、付記2又は3に記載のエッチング方法。
(付記5)
前記水素含有ガスが、Hガス、SiHガス及びNHガスのうち少なくとも1つを含む、付記2~4のいずれか一項に記載のエッチング方法。
(付記6)
前記(a)において、前記第2領域は前記第1領域を覆うように設けられ、
前記エッチング方法は、
(d)前記(a)の後、前記(b)の前に、前記第1領域が露出するように前記第2領域をエッチングする工程
を更に含む、付記1~5のいずれか一項に記載のエッチング方法。
(付記7)
前記(b)において、前記基板を支持する基板支持器の温度は100℃超である、付記1~6のいずれか一項に記載のエッチング方法。
(付記8)
前記(b)又は前記(b)の後において、前記基板を支持する基板支持器に対向しシリコンを含む対向電極をスパッタリングする、付記1~7のいずれか一項に記載のエッチング方法。
(付記9)
前記第1領域は凹部を有し、前記第2領域は前記凹部内に埋め込まれる、付記1~8のいずれか一項に記載のエッチング方法。
(付記10)
前記(c)は、セルフアラインコンタクト工程において行われる、付記9に記載のエッチング方法。
(付記11)
前記(b)~(c)を含むサイクルが2回以上繰り返して実施される、付記1~10のいずれか一項に記載のエッチング方法。
(付記12)
(a)露出した上面を有するシリコン窒化物と、露出した上面を有するシリコン酸化物とを含む基板を準備する工程と、
(b)炭素含有ガス及び水素含有ガスのうち少なくとも1つと六フッ化タングステンガスとを含む第1処理ガスから生成される第1プラズマを用いて、前記シリコン窒化物上にタングステン含有堆積物を形成する工程と、
(c)前記(b)の後、前記第1処理ガスとは異なる第2処理ガスから生成される第2プラズマを用いて前記シリコン酸化物をエッチングする工程と、
を含む、エッチング方法。
(付記13)
チャンバと、
前記チャンバ内において基板を支持するための基板支持器であり、前記基板は、シリコン及び窒素を含む第1領域と、シリコン及び酸素を含む第2領域とを含む、基板支持器と、
第1処理ガス及び前記第1処理ガスとは異なる第2処理ガスを前記チャンバ内に供給するように構成されたガス供給部であり、前記第1処理ガスは、炭素及び水素のうち少なくとも1つと、フッ素と、タングステンとを含む、ガス供給部と、
前記チャンバ内で前記第1処理ガスから第1プラズマを生成し、前記チャンバ内で前記第2処理ガスから第2プラズマを生成するように構成されたプラズマ生成部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1プラズマを用いて前記第1領域上にタングステン含有堆積物を形成するように、前記ガス供給部及び前記プラズマ生成部を制御するように構成され、
前記制御部は、前記第2プラズマを用いて前記第2領域をエッチングするように、前記ガス供給部及び前記プラズマ生成部を制御するように構成される、プラズマ処理装置。
(付記14)
(a)基板を準備する工程であり、前記基板は、シリコン及び窒素を含む第1領域と、シリコン及び酸素を含む第2領域とを含む、工程と、
(b)前記第1領域上に炭素含有堆積物を形成する工程と、
(c)フッ素とタングステンとを含む処理ガスから生成されるプラズマを用いて、前記炭素含有堆積物上にタングステン含有堆積物を形成する工程と、
(d)前記(c)の後、前記第2領域をエッチングする工程と、
を含む、エッチング方法。
(付記15)
前記(c)において、前記プラズマを生成するための電力が、前記基板を支持する基板支持器に対向する対向電極に印加される、付記14に記載のエッチング方法。
(付記16)
(a)基板を準備する工程であり、前記基板は、開口を有する第1領域と、前記第1領域の下にあるシリコン及び酸素を含む第2領域とを含む、工程と、
(b)貴ガスと、フッ素と、タングステンとを含む第1処理ガスから生成される第1プラズマを用いて、前記第1領域上にタングステン含有堆積物を形成する工程と、
(c)前記(b)の後、前記第1処理ガスとは異なる第2処理ガスから生成される第2プラズマを用いて、前記開口を通じて前記第2領域をエッチングする工程と、
を含む、エッチング方法。
(付記17)
(d)前記(b)の後、前記(c)の前に、水素含有ガスを含む第3処理ガスから生成される第3プラズマに前記タングステン含有堆積物を晒す工程を更に含む、付記16に記載のエッチング方法。
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
1…プラズマ処理装置、2…制御部、10…プラズマ処理チャンバ、11…基板支持部、12…プラズマ生成部、20…ガス供給部、DP…タングステン含有堆積物、R1…第1領域、R2…第2領域、W…基板。

Claims (15)

  1. (a)基板を準備する工程であり、前記基板は、シリコン及び窒素を含む第1領域と、シリコン及び酸素を含む第2領域とを含む、工程と、
    (b)炭素及び水素のうち少なくとも1つと、フッ素と、タングステンとを含む第1処理ガスから生成される第1プラズマを用いて、前記第1領域上にタングステン含有堆積物を形成する工程と、
    (c)前記(b)の後、前記第1処理ガスとは異なる第2処理ガスから生成される第2プラズマを用いて、前記第2領域をエッチングする工程と、
    を含む、エッチング方法。
  2. 前記第1処理ガスが、炭素含有ガス及び水素含有ガスのうち少なくとも1つと、タングステン含有ガスとを含む、請求項1に記載のエッチング方法。
  3. 前記タングステン含有ガスが、六フッ化タングステンガスを含む、請求項2に記載のエッチング方法。
  4. 前記炭素含有ガスが、CHガス、Cガス、Cガス、CHFガス、CHガス、CHFガス及びCOガスのうち少なくとも1つを含む、請求項2又は3に記載のエッチング方法。
  5. 前記水素含有ガスが、Hガス、SiHガス及びNHガスのうち少なくとも1つを含む、請求項2又は3に記載のエッチング方法。
  6. 前記(a)において、前記第2領域は前記第1領域を覆うように設けられ、
    前記エッチング方法は、
    (d)前記(a)の後、前記(b)の前に、前記第1領域が露出するように前記第2領域をエッチングする工程
    を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
  7. 前記(b)において、前記基板を支持する基板支持器の温度は100℃超である、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
  8. 前記(b)又は前記(b)の後において、前記基板を支持する基板支持器に対向しシリコンを含む対向電極をスパッタリングする、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
  9. 前記第1領域は凹部を有し、前記第2領域は前記凹部内に埋め込まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
  10. 前記(c)は、セルフアラインコンタクト工程において行われる、請求項9に記載のエッチング方法。
  11. 前記(b)~(c)を含むサイクルが2回以上繰り返して実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエッチング方法。
  12. (a)露出した上面を有するシリコン窒化物と、露出した上面を有するシリコン酸化物とを含む基板を準備する工程と、
    (b)炭素含有ガス及び水素含有ガスのうち少なくとも1つと六フッ化タングステンガスとを含む第1処理ガスから生成される第1プラズマを用いて、前記シリコン窒化物上にタングステン含有堆積物を形成する工程と、
    (c)前記(b)の後、前記第1処理ガスとは異なる第2処理ガスから生成される第2プラズマを用いて前記シリコン酸化物をエッチングする工程と、
    を含む、エッチング方法。
  13. チャンバと、
    前記チャンバ内において基板を支持するための基板支持器であり、前記基板は、シリコン及び窒素を含む第1領域と、シリコン及び酸素を含む第2領域とを含む、基板支持器と、
    第1処理ガス及び前記第1処理ガスとは異なる第2処理ガスを前記チャンバ内に供給するように構成されたガス供給部であり、前記第1処理ガスは、炭素及び水素のうち少なくとも1つと、フッ素と、タングステンとを含む、ガス供給部と、
    前記チャンバ内で前記第1処理ガスから第1プラズマを生成し、前記チャンバ内で前記第2処理ガスから第2プラズマを生成するように構成されたプラズマ生成部と、
    制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記第1プラズマを用いて前記第1領域上にタングステン含有堆積物を形成するように、前記ガス供給部及び前記プラズマ生成部を制御するように構成され、
    前記制御部は、前記第2プラズマを用いて前記第2領域をエッチングするように、前記ガス供給部及び前記プラズマ生成部を制御するように構成される、プラズマ処理装置。
  14. (a)基板を準備する工程であり、前記基板は、シリコン及び窒素を含む第1領域と、シリコン及び酸素を含む第2領域とを含む、工程と、
    (b)前記第1領域上に炭素含有堆積物を形成する工程と、
    (c)フッ素とタングステンとを含む処理ガスから生成されるプラズマを用いて、前記炭素含有堆積物上にタングステン含有堆積物を形成する工程と、
    (d)前記(c)の後、前記第2領域をエッチングする工程と、
    を含む、エッチング方法。
  15. 前記(c)において、前記プラズマを生成するための電力が、前記基板を支持する基板支持器に対向する対向電極に印加される、請求項14に記載のエッチング方法。

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