JP2023006768A - アンカー吊り下げ治具及び基礎施工方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この鉄骨構造の建物の柱脚部は、基礎コンクリート内に埋設されるアンカーボルトにより固定されている。
このアンカー吊り下げ治具は、基礎用型枠の上面に架設され、アンカーボルトの水平方向における位置決めを行うアンカー定規と、上下方向に長尺に延びておりアンカー定規とアンカーボルトを連結し、アンカー定規に対してアンカーボルトの高さ位置を変更可能な状態で取り付けられるアンカー高さ調整部材と、から主に構成されている(例えば、特許文献1、2参照)。
アンカー吊り下げ治具を用いてアンカーボルトを設置する際に、アンカーボルトの高さ位置の確認は、例えば、所定の基準面からアンカーボルト上端部までの距離を巻尺等のスケールを用いて計測して行われている。
しかし、巻尺等のスケールを用いてアンカーボルトの高さ位置を計測するときには、アンカーボルトの上端部の位置がアンカー吊り下げ治具によって隠れてしまい視認できない場合がある。そのため、計測誤差が大きくなり、アンカーボルトの高さ位置を精度よく確認することができない虞がある。
そこで、アンカーボルト(アンカーボルトの上端部)の高さ位置を精度よく確認することが可能な技術が求められていた。
また、アンカーボルトの高さ位置が設計上の許容範囲を満たさない場合に、アンカーボルトの上端部の高さ位置を確認しながら、アンカーボルトの高さ位置を簡易に調整することが可能な技術が求められていた。
また、本発明の他の目的は、アンカーボルトの高さ位置を確認しながら、アンカーボルトの高さ位置を簡易に調整することが可能なアンカー吊り下げ治具及び基礎施工方法を提供することにある。
上記構成により、建物の基礎を施工するにあたって、アンカーボルトの高さ位置を精度よく確認することが可能なアンカー吊り下げ治具を実現できる。
詳しく述べると、上記位置確認穴を利用して、例えば、高さ確認ゲージやレーザー光を用いることによって、アンカーボルト(アンカーボルトの上端部)の高さ位置を精度よく確認することができる。
上記構成により、アンカー高さ調整部材を利用して、アンカーボルトの高さ位置を確認しながら、アンカーボルトの高さ位置を簡易に調整することができる。
上記のように、アンカー高さ調整部材が有するボルト又はナットの組み付け位置を調整することで、アンカーボルトの高さ位置を確認しながら、アンカーボルトの高さ位置を一層簡易に調整することができる。
上記構成により、確認棒をスムーズに位置確認穴に挿入できると共に、例えば、目盛りが刻まれた確認棒を位置確認穴に挿入することによって、アンカーボルトの高さ位置を一層精度よく確認することが可能となる。
また、アンカーボルトの高さ位置を確認しながら、アンカーボルトの高さ位置を簡易に調整することが可能となる。
本実施形態は、基礎用型枠の上部に取り付けられ、基礎コンクリートにアンカーボルトを一部突出させた状態で埋設するために用いられる「アンカー吊り下げ治具」の発明に関するものである。
また、アンカー吊り下げ治具を用いた「基礎施工方法」の発明に関するものである。
本実施形態の基礎施工治具1は、図1、図2に示すように、鉄筋コンクリート製の建物の基礎Fを施工する際に用いられる治具であって、例えば、ハイベース工法(露出型固定柱脚工法)による基礎の施工の際に用いられる治具である。
具体的には、基礎施工治具1は、基礎コンクリートを打設する際に用いられ、基礎の形状に合わせて組まれた基礎用型枠10(10A、10B)と、基礎用型枠10の上部に架設され基礎コンクリートに複数のアンカーボルトF2を一部突出させた状態で埋設するためのアンカー吊り下げ治具20と、アンカーボルトF2の上端部の高さ位置を確認するための確認棒30と、アンカー吊り下げ治具20の上部に取り付けられ、柱(柱脚)の芯位置を確認するための位置確認治具40と、から主に構成されている。
なお、アンカー支持部材F1bの上端部には、アンカーボルトF2の下端部に設けられた被係合部に脱着可能に係合する係合部が形成されている。
アンカー支持部材F1b、鉄筋支持部材F1cは、それぞれベース部材F1aの外縁部分に所定の間隔を空けて設けられている。詳しく述べると、アンカー支持部材F1bと鉄筋支持部材F1cが交互に並ぶように配置されている。
組み立てられた基礎用型枠10の上面には、基礎の延出方向に沿ってアンカー吊り下げ治具20(アンカー定規21)が組み付けられる。
なお、図1において基礎用型枠10が一部省略されている。
具体的には、アンカー定規21は、基礎用型枠10の上面に固定される枠状の型枠固定部21aと、型枠固定部21aよりも内側位置に配置され、複数のアンカー高さ調整部材22を支持する枠状のアンカー支持部21bと、型枠固定部21a及びアンカー支持部21bを連結する複数の連結部21cと、を有している。
アンカー支持部21bは、矩形枠状からなり、アンカー支持部21bの四隅には、アンカー高さ調整部材22を組み付けるための組み付け穴21dがそれぞれ形成されている。
ボルト22aがナット22dの螺合穴に所定位置まで螺入された後、ナット22dの螺合穴上端部においてボルト22a及びナット22dは溶接22fによって固定され、ボルト22a及びナット22dが一体化されている。
また、ナット22dの下部には、アンカーボルトF2のアンカーネジ部F2b全体が螺合されており、アンカーネジ部F2bのネジ山全体が養生された状態となっている(図6参照)。そして、ナット22d及びアンカーボルトF2が連結されている。
そうすると、アンカーボルトF2の位置精度が高まるものの、例えば基礎コンクリートF4の打設時に、当該コンクリートの側圧によってアンカーボルトF2が流されてしまい、アンカーボルトF2が傾くことで、アンカー定規21からボルト22aが抜けなくなる。
そこで、アンカー支持部材F1bによってアンカーボルトF2を同軸で立設するように支持させて、アンカーボルトF2が傾かないように工夫している。
また、アンカーボルトF2及びナット22dの螺合によって若干の遊びを作ることで、アンカーボルトF2が幾分傾いた場合であっても、アンカー定規21からボルト22aが抜けやすくなるように工夫している。
位置確認穴22eは、ボルト22aの上端部から下端部に至るまでボルト22aの軸方向に沿って鉛直にボルト22aを貫通している貫通穴である。厳密に言えば、位置確認穴22eは、図6に示すように、ボルト22aに形成された貫通穴と、ナット22dの螺合穴とが連通して形成される穴である。
また換言すれば、位置確認穴22eは、アンカー吊り下げ治具20のうち、アンカーボルトF2の真上位置に対応する位置に形成されている貫通穴である。
位置確認穴22eの大きさは、図5、図6に示すように、確認棒30が挿入可能な大きさに形成されている。例えば、位置確認穴22eの直径は、確認棒30の直径よりも若干大きな直径となるように形成されている。
確認棒30の外周面には、その上端部から下端部に至るまで軸方向の全体に亘って目盛り31が刻まれている。
確認棒30の太さは、位置確認穴22eに挿入可能な太さに形成されている。
また、確認棒30は、目盛り31が視認できるように、ボルト22aの長さとナット22dの長さを合算した長さよりも若干長く形成されている。
そして、ボルト22aに形成された位置確認穴22eが、アンカーボルトF2の鉛直方向の上方に延びていることで、ボルト22aの上方から確認棒30を挿入し、確認棒30をアンカーボルトF2の上端部に当接させ、アンカーボルトF2の上端部の高さ位置を確認することが可能である。
具体的には、位置確認治具40は、平板上の位置確認プレートと、当該位置確認プレートのうち柱の芯位置となる部分から鉛直方向の下方に延びている下げ振りと、を備えている。
上記構成において、位置確認治具40は、アンカー吊り下げ治具20(ボルト22a)の上端よりも下方位置に配置されている。すなわち、位置確認治具40が位置確認穴22eを塞がないように配置されている。そのため、位置確認穴22eに上方から確認棒30を挿入したときに、確認棒30と位置確認治具40が干渉してしまうことを避けることができる。
次に、アンカー吊り下げ治具20を用いた基礎施工方法について、図7に基づいて説明する。
まずは、図1に示すように、基礎工の作業者が、基礎地盤F3上にアンカーボルト支持具F1を設置し、不図示の固定部材(例えば、コンクリート釘)を用いて固定する「アンカー支持具設置工程」(ステップS1)から始まる。
このとき、基礎地盤F3上に予め描かれた墨だし線を目印とすることで、アンカーボルト支持具F1を基礎地盤F3上の所定位置(柱の立設位置)に精度よく設置できる。
このとき、設置された複数のアンカーボルトF2を側方から保持するように不図示の鉄筋ユニットを組み立てると良い。なお、上記ステップS2とステップS3の順番を入れ替えても良い。その場合には、鉄筋ユニットを設置し、当該鉄筋ユニットによって囲まれた領域に上方からアンカーボルトF2を設置すると良い。
このとき、ボルト22a及びナット22dとアンカーボルトF2とは一体となって連結され、アンカー定規21に対してボルト22a又はナット22dの組み付け位置を調整することで、アンカーボルトF2の高さ位置を変更することが可能である。
具体的には、アンカー吊り下げ治具20に形成された位置確認穴22eに、アンカーボルトF2の高さ位置を確認するための確認棒30を挿入し、アンカーボルトF2の上端部に当接させる。そうすることで、アンカーボルトF2の高さ位置を精度よく確認することが可能である。
なお、アンカーボルトF2の高さ位置が設計上の許容範囲を満たさない場合には、ステップS6に戻り、アンカーボルトF2の高さ位置を調整することになる。
上記ステップS1~S7の工程を行うことで、アンカーボルトF2が精度良く位置決めされる。
具体的には、アンカーボルト支持具F1及びアンカー定規21によってアンカーボルトF2の水平方向における位置決めを行うことができる。また、アンカー高さ調整部材22によってアンカーボルトF2の高さ方向における位置決めを行うことができる。
なお、アンカーボルト支持具F1のアンカー支持部材F1bを、例えば、ボルトナット機構を用いて高さ調整可能となるように構成しても良い。そうすれば、アンカー支持部材F1bに係合するアンカーボルトF2自体を回転させることで、アンカーボルトF2の高さ位置を変更することができる。
例えば、S1の「アンカー支持具設置工程」、S2の「アンカー設置工程」、S3の「鉄筋組み立て工程」の前に、S4の「型枠組み立て工程」、S5の「治具架設工程」を先に行っても良い。
そのとき、S2の「アンカー設置工程」及びS6の「アンカー組み付け工程」を同時に行うこととしても良い。
また、例えば、アンカーボルト支持具F1を不要としても良い。その場合には、S1の「アンカー支持具設置工程」を省くことができる。
上記実施形態では、アンカー吊り下げ治具20のうち、アンカー高さ調整部材22(ボルト22a)に位置確認穴22eが形成されているが、特に限定されることなく変更可能である。
具体的には、アンカー吊り下げ治具20のうち、アンカーボルトF2の真上位置に対応する部分に位置確認穴22eが形成されていれば良い。例えば、アンカーボルトF2の真上位置にアンカー定規21が配置されている場合には、アンカー定規21に位置確認穴22eが形成されていると良い。
また例えば、アンカーボルトF2の真上位置にアンカー定規21及びアンカー高さ調整部材22が配置されている場合には、アンカー定規21及びアンカー高さ調整部材22の両方に位置確認穴22eが形成されていると良い。
具体的には、位置確認穴22eは、所定形状に形成された部材を挿入可能な大きさに形成しても良い。
例えば、L字形状に形成された棒状体や板状体などを位置確認穴22eの上端部から挿入し、アンカーボルトF2の上端部に当接させてアンカーボルトの高さ位置を確認しても良い。
また、位置確認穴22eは、レーザー距離計などレーザー測定器のレーザー光が通過可能な大きさに形成しても良い。
例えば、位置確認穴22eの上端部にレーザー距離計を配置し、レーザー光を使用して位置確認穴22eの上端部からアンカーボルトの上端部までの距離を確認しても良い。
具体的には、機械的構造による公知な高さ調整手段を採用しても良い。
例えば、アンカーボルトの下端部にジャッキなどを用いた「高さ調整手段」を採用しても良い。
ただし、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
F1 アンカーボルト支持具
F1a ベース部材
F1b アンカー支持部材
F1c 鉄筋支持部材
F2 アンカーボルト
F2a アンカー本体部
F2b アンカーネジ部
F2c アンカー定着部
F3 基礎地盤(捨てコンクリート)
1 基礎施工治具
10(10A、10B) 基礎用型枠
20 アンカー吊り下げ治具
21 アンカー定規
21a 型枠固定部
21b アンカー支持部
21c 連結部
21d 組み付け穴
22 アンカー高さ調整部材
22a ボルト(長尺ボルト)
22b、22c 挟持ナット
22d ナット(高さ調整ナット)
22e 位置確認穴
22f 溶接
30 確認棒
31 目盛り
40 位置確認治具
Claims (6)
- 基礎用型枠の上部に取り付けられ、基礎コンクリートにアンカーボルトを一部突出させた状態で埋設するために用いられるアンカー吊り下げ治具であって、
前記アンカー吊り下げ治具には、前記アンカーボルトが吊り下げられたときに前記アンカーボルトの高さ位置を確認するために、前記アンカー吊り下げ治具の上端部から前記アンカーボルトの上端部に至るまで鉛直方向に貫通した位置確認穴が形成されていることを特徴とするアンカー吊り下げ治具。 - 前記アンカー吊り下げ治具は、
前記基礎用型枠の上部に架設され、前記アンカーボルトの水平方向における位置決めを行うためのアンカー定規と、
上下方向に長尺に延びており、前記アンカー定規を上下方向に貫通するように前記アンカー定規と連結され、前記アンカー定規に対して前記アンカーボルトの高さ位置を変更可能な状態で取り付けられるアンカー高さ調整部材と、を有し、
前記アンカー高さ調整部材には、前記位置確認穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアンカー吊り下げ治具。 - 前記アンカー高さ調整部材は、
前記アンカー定規に設けられた組み付け穴を通じて組み付けられ、上下方向に長尺なボルトと、前記ボルトの軸部分に対して螺合されるナットと、を有し、
前記アンカー定規に対して前記ボルト又は前記ナットの組み付け位置を調整することで、前記アンカーボルトの高さ位置を変更可能となるように構成され、
前記ボルトには、前記位置確認穴が形成され、
前記位置確認穴が、前記ボルトの上端部から下端部に至るまで前記ボルトの軸方向に沿って貫通していることを特徴とする請求項2に記載のアンカー吊り下げ治具。 - 前記位置確認穴は、前記アンカーボルトの高さ位置を確認するための確認棒を挿入可能な大きさに形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアンカー吊り下げ治具。
- アンカーボルトを一部突出させた状態で埋設するために用いられるアンカー吊り下げ治具を用いた基礎施工方法であって、
基礎用型枠を組み立てる型枠組み立て工程と、
前記基礎用型枠の上部に前記アンカー吊り下げ治具を架設する治具架設工程と、
前記アンカー吊り下げ治具に前記アンカーボルトを吊り下げるように組み付けるアンカー組み付け工程と、
組み付けた前記アンカーボルトの高さ位置を確認するアンカー確認工程と、を含み、
前記アンカー確認工程では、前記アンカーボルトが吊り下げられたときに前記アンカーボルトの高さ位置を確認するために、前記アンカー吊り下げ治具の上端部から前記アンカーボルトの上端部に至るまで鉛直方向に貫通した位置確認穴によって前記アンカーボルトの上端部の高さ位置を確認することを特徴とする基礎施工方法。 - 前記アンカー確認工程では、
前記アンカー吊り下げ治具の上方から、前記アンカーボルトの高さ位置を確認するための確認棒を前記位置確認穴に挿入し、
挿入した前記確認棒を前記アンカーボルトの上端部に当接させることを特徴とする請求項5に記載の基礎施工方法。
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