JP2023006420A - 発泡シート、発泡シート成形体およびその製造方法 - Google Patents

発泡シート、発泡シート成形体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来と比べて、例えば青果物の輸送に適するように深絞りされた凹部を備える成形体を熱成形しやすい発泡シート、発泡シート成形体およびその製造方法を提供する。【解決手段】ポリエチレン系樹脂組成物で構成された発泡層2を有し、前記ポリエチレン系樹脂組成物では、MFRが1.0g/10min以上4.0g/10min以下であり、190℃での溶融張力が3.4cN以上5.0cN以下である、発泡シート1aである。前記ポリエチレン系樹脂組成物で構成された発泡層を有し、絞り比が0.40以上である少なくとも1つの凹部を備える発泡シート成形体である。前記発泡シートから、絞り比が0.40以上である少なくとも1つの凹部を備える成形体を熱成形する工程を含む、発泡シート成形体の製造方法である。【選択図】 図1

Description

本発明は、発泡シート、前記発泡シートから成形された発泡シート成形体、及び前記発泡シート成形体の製造方法に関する。
2007年に公開された特許文献1には、熱成形して成形品を製造するために用いる、無架橋ポリエチレン系樹脂発泡シートが開示されている。この発泡シートは、メルトインデックスが0.5g/10min以上2.0g/10min以下であり、結晶化温度が98℃以下であるポリエチレン系樹脂によって形成されている。この発泡シートは、密度が0.04g/cm以上0.08g/cm以下であり、厚み1.5mm以上5.0mm以下である。このように構成された発泡シートでは、十分な熱成形性や成形品の強度を保持しやすく、柔軟性や緩衝性が優れたものになりやすく、外観が美麗になりやすく、イチゴなどの柔らかい青果用の容器に好適に用いやすい旨、特許文献1で説明されている。例えば、イチゴトレイの成形について深さ15mmまでの成形性と緩衝性とがあった旨、特許文献1に実験結果が記載されている。
特開2007-246776号公報 特開2004-43813号公報
しかし、近年、イチゴの品種改良が進み、2007年頃と比べて、サイズの大きなイチゴ果実が市場で流通するようになってきている。深さ15mmの凹部では、凹部の深さが足りないため、近年のサイズの大きなイチゴ果実であると凹部に十分に収容しきれない場合があり得る。イチゴ果実に限らず、近い将来、品種改良により青果物のサイズが益々大きくなり続ける可能性があると考えられる。この可能性を考慮すると、更にサイズの大きな青果物でも傷つけないように安全に輸送可能にするためには、従来よりも更に深絞りされた凹部を備える発泡シート成形体や、そのような成形体の熱成形に適した発泡シートを開発できれば望ましいと、本願に係る発明者らは考えた。
そこで、本発明の課題は、従来と比べて、例えば青果物の輸送に適するように深絞りされた凹部を備える成形体を熱成形しやすい発泡シート、発泡シート成形体およびその製造方法を提供することにある。
上記した課題を解決するために、本発明に係る発泡シートは、ポリエチレン系樹脂組成物で構成された発泡層を有する発泡シートであって、前記ポリエチレン系樹脂組成物では、メルトマスフローレイト(MFR)が1.0g/10min以上4.0g/10min以下であり、190℃での溶融張力が3.4cN以上5.0cN以下である、発泡シートである。斯かる構成によれば、MFRと190℃での溶融張力とを所定の範囲内に収めたポリエチレン系樹脂組成物で構成されていることにより、発泡シートから成形品を熱成形させるときに、発泡シートが適度に引き延ばされやすい。このため、発泡シートは引き延ばされても破れにくく、発泡シートの発泡層に含まれる気泡も破れにくい。したがって、発泡シートは、成形品を熱成形させるときに、成形型の形状を精度よく反映させることが可能なため、例えば青果物の輸送に適するように深絞りされた凹部を備える成形体を、熱成形しやすい性状のものになっている。
本発明に係る発泡シートでは、前記ポリエチレン系樹脂組成物の曲げ弾性率が300MPa未満であり得る。斯かる構成によれば、ポリエチレン系樹脂組成物で構成されている発泡層が、適度な柔軟性を有する。このため、発泡シートは、例えば青果物の輸送に適する柔軟性を有する成形体を、熱成形しやすい性状のものになっている。
本発明に係る発泡シートにおいて、前記ポリエチレン系樹脂組成物は植物に由来するポリエチレンを含んでなるものであり得る。斯かる構成によれば、植物に由来するポリエチレンを含むことにより、発泡シートが環境負荷の低減に貢献可能な製品となり得る。
本発明に係る発泡シートにおいて、前記ポリエチレン系樹脂組成物では、MFRが1.9g/10min以上3.2g/10min以下であり、190℃での溶融張力が3.8cN以上4.9cN以下であり得る。斯かる構成によれば、ポリエチレン系樹脂組成物が更に適度に引き延ばされやすいため、発泡シートは、深絞りされた凹部を備える成形体を、更に熱成形しやすい性状のものになっている。
本発明に係る発泡シートにおいて、前記ポリエチレン系樹脂組成物の70℃での引張応力が1.0MPa以上10MPa以下であり得る。斯かる構成によれば、ポリエチレン系樹脂組成物の70℃での引張応力を所定の範囲内とすることにより、発泡シートから成形体を熱形成する際に、発泡シートが適度に引き延ばされやすくなるため熱形成しやすくなり、また、発泡シートから熱成形される成形体が、応力に対して壊れにくくなる。このため、発泡シートから熱成形される成形体は、例えば青果物の輸送に適する柔軟性と剛性とを有する成形体として、壊れにくいため、取り扱いやすいものとなる。
本発明に係る発泡シートは、絞り比が0.40以上である少なくとも1つの凹部を備える成形体を熱成形するためのものであり得る。斯かる構成によれば、発泡シートから成形体を熱成形させる際、凹部を形成させるために、発泡シートが引き延ばされる。また、発泡シートを構成しているポリエチレン系樹脂組成物は、前述したように引き延ばされやすい性状のものである。このため、発泡シートは、絞り比が0.40以上である少なくとも1つの凹部を備える成形体であっても、破れることなく熱成形させやすくなっている。
本発明に係る発泡シート成形体は、ポリエチレン系樹脂組成物で構成された発泡層を有する発泡シート成形体であって、前記ポリエチレン系樹脂組成物では、MFRが1.0g/10min以上4.0g/10min以下であり、190℃での溶融張力が3.4cN以上5.0cN以下であり、絞り比が0.40以上である少なくとも1つの凹部を備える発泡シート成形体である。斯かる構成によれば、MFRと190℃での溶融張力とを所定の範囲内に収めたポリエチレン系樹脂組成物で構成されていることにより、発泡シート成形体は、その熱成形の過程で破れが生じにくい。このため、発泡シート成形体は、例えば青果物用の柔軟性を有する成形体として適した性状のものとなっている。
本発明に係る発泡シート成形体の製造方法は、ポリエチレン系樹脂組成物で構成された発泡層を有する発泡シートから、絞り比が0.40以上である少なくとも1つの凹部を備える成形体を熱成形する工程を含み、前記ポリエチレン系樹脂組成物では、MFRが1.0g/10min以上4.0g/10min以下であり、190℃での溶融張力が3.4cN以上5.0cN以下である、発泡シート成形体の製造方法である。斯かる構成によれば、MFRと190℃での溶融張力とを所定の範囲内に収めたポリエチレン系樹脂組成物で構成された発泡シートから、発泡シート成形体を熱成形させることにより、熱成形された発泡シート成形体に破れが生じにくい。このため、例えば青果物の輸送に適するように深絞りされた凹部を備える成形体を、製造しやすい。
本発明によれば、従来と比べて、例えば青果物の輸送に適するように深絞りされた凹部を備える成形体を熱成形しやすい発泡シート、発泡シート成形体およびその製造方法を提供することができる。
一実施形態に係る発泡シートの構造を示す概略断面図。 他の実施形態に係る発泡シートの構造を示す概略断面図。 他の実施形態に係る発泡シートの構造を示す概略断面図。 一実施形態に係る発泡シート成形体を示す斜視図。 一実施形態に係る発泡シート成形体を示す正面図。 一実施形態に係る発泡シート成形体を示す側面図。 一実施形態に係る発泡シート成形体に備えられた、少なくとも1つの凹部を写した写真。 一実施形態に係る発泡シート成形体において、絞り比の算出方法を説明する図であって、(a)は凹部の輪郭が明確な場合の正面図、(b)は凹部の断面の側面図、(c)は凹部の輪郭が不明確である場合の正面図。 一実施形態の係る発泡シート成形体について、その製造方法の一例を説明するフローチャート。
以下、本発明の一実施形態に係る発泡シートについて説明する。
図1に示すように、一実施形態に係る発泡シート1aは、ポリエチレン系樹脂組成物から押出発泡法により作製される単一の発泡層2のみを有する、単層構造の押出発泡シートである。このため、発泡層2の気泡膜は、ポリエチレン系樹脂組成物で構成されている。図2に示すように、本発明の他の実施形態に係る発泡シート1bは、発泡層2の片面に非発泡層3を有する押出発泡シートであっても良い。図3に示すように、本発明の他の実施形態に係る発泡シート1cは、発泡層2の両面に非発泡層3を有する押出発泡シートであっても良い。本発明の実施形態に係る発泡シートは、必ずしも押出発泡シートでなくても良い。以下、図1に示す発泡シート1aを例に挙げて説明する。
ポリエチレン系樹脂組成物は、低密度ポリエチレンを多く含む組成物である。ポリエチレン系樹脂組成物は、原料調達が容易な観点では、化石燃料に由来するポリエチレンからなるものでも良い。または、ポリエチレン系樹脂組成物は、環境負荷を低減させる観点では、植物に由来するポリエチレンを含んでなるものでも良く、植物に由来するポリエチレンの含有量が、例えば、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、又は25質量%以上でも良い。
ポリエチレン系樹脂組成物は、ポリエチレンの含有量が90質量%以上でも良く、95質量%以上でも良い。ポリエチレン系樹脂組成物に含まれる低密度ポリエチレンは、高圧法低密度ポリエチレンであっても、触媒法によって製造される直鎖低密度ポリエチレンであっても良い。高圧法低密度ポリエチレンは、通常、炭素数6を超える長さの長鎖分岐を一分子中に1又は2以上有する。そのため、高圧法低密度ポリエチレンは、ポリエチレン系樹脂組成物に高い溶融張力を付与するのに有用である。ポリエチレンが長鎖分岐を有していることは、NMR法などによって確かめることができる。ポリエチレン系樹脂組成物に含まれるポリエチレンのうち、高圧法低密度ポリエチレンの含有量は、例えば、90質量%以上であっても良い。高圧法低密度ポリエチレンの含有量は、95質量%以上であっても、98質量%以上であっても良い。ポリエチレン系樹脂組成物には、2種以上の高圧法低密度ポリエチレンが含まれても良い。2種以上の高圧法低密度ポリエチレンが含まれることで、ポリエチレン系樹脂組成物では、ポリエチレンの分子量分布がブロードになり、温度変化によって溶融張力が大きく変化することを抑制できる。
ポリエチレン系樹脂組成物の密度(kg/m)は、発泡シート1aに適度な剛性を付与する観点では910kg/m以上でも良く、920kg/mより大きくても良い。ポリエチレン系樹脂組成物の密度は、発泡シート1aに柔軟性を付与する観点では、930kg/m以下でも良く、923kg/mよりも小さいのが好ましい。ポリエチレン系樹脂組成物の密度は、測定試料樹脂の質量と体積とから求めることができる。
密度の測定に供するポリエチレン系樹脂組成物の測定試料樹脂として、発泡シート1aを熱プレスにより脱泡して非発泡の樹脂フィルムとし、この非発泡の樹脂フィルムを複数重ね合わせて、熱プレスにより厚み2mmの非発泡の樹脂シートを作製する。このとき、熱プレスによる加熱温度は180℃とし、完全に脱泡するまで加圧除圧を繰り返す。作製した非発泡の樹脂シートを一辺が10cmの正方形の形状に切り出した後、JIS K 7100:1999「プラスチック-状態調節及び試験のための標準雰囲気」の記号「23/50」2級の標準雰囲気(空気温度23℃±2℃、相対湿度50%±10%)下で24時間かけて状態調整したものを、測定試料樹脂として使用する。
密度の測定に供するポリエチレン系樹脂組成物の測定試料樹脂は、上記した方法により、発泡シート1aから作製しても良いし、または、上記した方法により、発泡シート1aを熱成形した発泡シート成形体から作製しても良い。図2や図3に示すように、発泡層2の少なくとも片面に非発泡層3を有する発泡シート(1b、1c)については、非発泡層3を除去し、発泡層2のみから上記した方法により測定試料樹脂を作製すれば良い。ここで挙げたいずれの方法で作製する測定試料樹脂を用いても、ポリエチレン系樹脂組成物の密度は同等の値となる。
図1に示す発泡シート1aから、深絞りされた少なくとも1つの凹部を備える成形体に熱成形させる際、発泡シート1aが伸びやすければ、得られる成形体で裂け目が生じるのを避けやすい。この観点から、ポリエチレン系樹脂組成物のメルトマスフローレイト(MFR)は、1.0g/10min以上であり、好ましくは1.9g/10min以上、更に好ましくは2.2g/10min以上である。また、熱成形の際、発泡層2が破泡しにくければ、得られる成形体で、収容物(例えばイチゴ果実のような青果物)を保護する緩衝作用を発揮させやすい。この観点から、ポリエチレン系樹脂組成物のMFRは、4.0g/10min以下であり、好ましくは3.2g/10min以下、更に好ましくは2.5g/10min以下である。
ポリエチレン系樹脂組成物のMFR(g/10min)は、JIS K 7210:1999「プラスチック-熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のB法に基づいて、測定試料樹脂をシリンダ内に投入し、温度190℃、荷重21.18N(公称荷重2.16kg)の条件にて測定可能である。より詳しくは、ポリエチレン系樹脂組成物のMFRは、株式会社東洋精機製作所製のセミオートメルト・インデックサを用いて、下記条件にて求めることができる。
試験数:3
ピストン移動距離(インターバル):4mm
予熱時間:5min
MFRの測定に供するポリエチレン系樹脂組成物の測定試料樹脂として、発泡シート1aを熱プレスにより脱泡して非発泡の樹脂フィルムとし、この非発泡の樹脂フィルムを複数重ね合わせて、熱プレスにより厚み2mmの非発泡の樹脂シートを作製する。このとき、熱プレスによる加熱温度は180℃とし、完全に脱泡するまで加圧除圧を繰り返す。作製した非発泡の樹脂シートを裁断してシート片とした後、JIS K 7100:1999「プラスチック-状態調節及び試験のための標準雰囲気」の記号「23/50」2級の標準雰囲気(空気温度23℃±2℃、相対湿度50%±10%)下で24時間かけて状態調整したものを、測定試料樹脂として使用する。
MFRの測定に供するポリエチレン系樹脂組成物の測定試料樹脂は、上記した方法により、発泡シート1aから作製しても良いし、または、上記した方法により、発泡シート1aを熱成形した発泡シート成形体から作製しても良い。図2や図3に示すように、発泡層2の少なくとも片面に非発泡層3を有する発泡シート(1b、1c)については、非発泡層3を除去し、発泡層2のみから上記した方法により測定試料樹脂を作製すれば良い。ここで挙げたいずれの方法で作製する測定試料樹脂を用いても、ポリエチレン系樹脂組成物のMFRは同等の値となる。
図1に示す発泡シート1aを伸びやすくして、発泡シート1aから熱成形された成形体で裂け目が生じるのを避けやすい観点から、ポリエチレン系樹脂組成物では、温度190℃での溶融張力測定における破断点での溶融張力が、3.4cN以上であり、好ましくは3.8cN以上、更に好ましくは4.2cN以上である。発泡シート1aから成形体を熱成形させる際、発泡層2の気泡膜を破泡しにくくする観点から、ポリエチレン系樹脂組成物では、温度190℃での溶融張力測定における破断点での溶融張力が、5.0cN以下であり、好ましくは4.9cN以下、更に好ましくは4.7cN以下である。
ポリエチレン系樹脂組成物の190℃での溶融張力(cN)は、ツインボアキャピラリーレオメーターRheologic5000T(イタリア チアスト社製)を用いて測定可能である。つまり、試験温度190℃に加熱された径15mmのバレルに測定試料樹脂を充填後、5分間予熱したのち、上記測定装置のキャピラリーダイ(ダイ径2.095mm、ダイ長さ8mm、流入角度90度(コニカル))から溶融したポリエチレン系樹脂組成物を紐状に押出し、この紐状物を上記キャピラリーダイの下方27cmに位置する張力検出のプーリーに通過させた後、巻取りロールを用いて巻き取り、且つ、その巻取り速度を紐状物が切断するまで徐々に増加させつつ巻き取って測定することができる。破断点に近付くと、溶融張力に極大値と極小値とが繰り返して現れる場合があるが、その場合、破断点での溶融張力とは、破断直前の極大値と極小値の平均として求められる。なお、破断直前に極大値が1つのみしか現れない場合は、その極大値を破断点での溶融張力として求める。紐状物の押出条件や巻き取り条件は、原則的に下記の通りとする。
押出速度:0.0773mm/s(4.6mm/min)
巻取速度:初速4mm/sからで12mm/s加速
溶融張力の測定に供するポリエチレン系樹脂組成物の測定試料樹脂として、発泡シート1aを熱プレスにより脱泡して非発泡の樹脂フィルムとし、この非発泡の樹脂フィルムを複数重ね合わせて、熱プレスにより厚み2mmの非発泡の樹脂シートを作製する。このとき、熱プレスによる加熱温度は180℃とし、完全に脱泡するまで加圧除圧を繰り返す。作製した非発泡の樹脂シートを裁断してシート片とした後、JIS K 7100:1999「プラスチック-状態調節及び試験のための標準雰囲気」の記号「23/50」2級の標準雰囲気(空気温度23℃±2℃、相対湿度50%±10%)下で24時間かけて状態調整したものを、測定試料樹脂として使用する。
溶融張力の測定に供するポリエチレン系樹脂組成物の測定試料樹脂は、上記した方法により、発泡シート1aから作製しても良いし、または、上記した方法により、発泡シート1aを熱成形した発泡シート成形体から作製しても良い。図2や図3に示すように、発泡層2の少なくとも片面に非発泡層3を有する発泡シート(1b、1c)については、非発泡層3を除去し、発泡層2のみから上記した方法により測定試料樹脂を作製すれば良い。ここで挙げたいずれの方法で作製する測定試料樹脂を用いても、ポリエチレン系樹脂組成物の溶融張力は同等の値となる。
例えば、青果物を収容して傷つけないように輸送しやすい柔軟性を有する成形体を、熱成形しやすい発泡シート1aとなる観点から、ポリエチレン系樹脂組成物の曲げ弾性率は、300MPa未満でも良く、好ましくは285MPa以下、更に好ましくは220MPa以下である。使用時に意図せず折れ曲がらない程度の剛性の高さを成形体に付与する観点から、発泡シート1aにおいてポリエチレン系樹脂組成物の曲げ弾性率は、150MPa以上でも良く、好ましくは175MPa以上である。
ポリエチレン系樹脂組成物の曲げ弾性率(MPa)は、JIS K 7171:1994に準拠し、株式会社島津製作所製「オートグラフ AG-Xplus 100kN」万能試験機を用い、同社製ソフトウェア「TRAPEZIUM X」で万能試験機のデータ処理した測定値である。
曲げ弾性率を測定に供するポリエチレン系樹脂組成物の試験片として、発泡シート1aを熱プレスにより脱泡して非発泡の樹脂フィルムとし、この非発泡の樹脂フィルムを複数重ね合わせて、熱プレスにより厚み2mmの非発泡の樹脂シートを作製する。このとき、熱プレスによる加熱温度は180℃とし、完全に脱泡するまで加圧除圧を繰り返す。作製した非発泡の樹脂シートから幅25mm×長さ40mmの寸法に切り出した後、JIS K 7100:1999「プラスチック-状態調節及び試験のための標準雰囲気」の記号「23/50」2級の標準雰囲気(空気温度23℃±2℃、相対湿度50%±10%)下で24時間かけて状態調整したものを試験片として使用する。スパン間距離を30mm、圧子の半径R1を5.0mm、支持台の半径R2を2.0mm、試験速度を2mm/minの条件で測定し、測定値から算出された曲げ弾性率(MPa)の値を採用する。
曲げ弾性率の測定に供するポリエチレン系樹脂組成物の試験片は、上記した方法により、発泡シート1aから作製しても良いし、または、上記した方法により、発泡シート1aを熱成形した発泡シート成形体から作製しても良い。図2や図3に示すように、発泡層2の少なくとも片面に非発泡層3を有する発泡シート(1b、1c)については、非発泡層3を除去し、発泡層2のみから上記した方法により試験片を作製すれば良い。ここで挙げたいずれの方法で作製する試験片を用いても、ポリエチレン系樹脂組成物の曲げ弾性率は同等の値となる。
押出発泡シート(例えば図1に示す発泡シート1a)が応力に対して壊れにくい場合には、この押出発泡シートから熱成形される成形体も、壊れにくくなり、取り扱いやすい。また、押出発泡シート(例えば発泡シート1a)には、適度に引き延ばされやすく熱成形しやすい物性が求められる。この観点から、ポリエチレン系樹脂組成物の70℃での引張応力が、1.0MPa以上でも良く、好ましくは3.0MPa以上、更に好ましくは4.0MPa以上である。一方、この引張応力が強すぎると、熱成形される成形体で幾らか剛性が高くなり、例えば収容する青果物が傷つかないように保護するのが難しい場合があり得る。また、この引張応力が強すぎると、押出発泡シート(例えば発泡シート1a)が引き延ばされにくくなり熱成形しにくくなる。そのような事態を避ける観点から、ポリエチレン系樹脂組成物の70℃での引張応力が、8.0MPa以下でも良く、好ましくは6.0MPa以下、更に好ましくは5.0MPa以下である。
ポリエチレン系樹脂組成物の70℃での引張応力(MPa)は、JIS K 7127:1999「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準拠して、株式会社島津製作所製「オートグラフ AG-X plus 100kN」万能試験機と、付帯の恒温槽「TCR2A型」とを用いて測定し、同社製ソフトウェア「TRAPEZIUM X」を用いてデータ処理した測定値である。
引張応力の測定に供するポリエチレン系樹脂組成物の試験片として、発泡シート1aを熱プレスにより脱泡して非発泡の樹脂フィルムとし、この非発泡の樹脂フィルムを複数重ね合わせて、熱プレスにより厚み0.5mmの非発泡の樹脂シートを作製する。このとき、熱プレスによる加熱温度は180℃とし、完全に脱泡するまで加圧除圧を繰り返す。作製した非発泡の樹脂シートからダンベル形の試験片タイプ5に切り出した後、JIS K 7100:1999「プラスチック-状態調節及び試験のための標準雰囲気」の記号「23/50」2級の標準雰囲気(空気温度23℃±2℃、相対湿度50%±10%)下で24時間かけて状態調整したものを試験片として使用する。試験速度は500mm/min、チャック間隔は80mm、たわみとり設定ありとし、70℃設定にした恒温槽内の引張治具に試験片を挟み、1分間にわたり保持した後に測定する。試験開始点を変位原点として、得られた応力-変位曲線から30mm変位時の引張応力値(MPa)を採用する。
引張応力の測定に供するポリエチレン系樹脂組成物の試験片は、上記した方法により、発泡シート1aから作製しても良いし、または、上記した方法により、発泡シート1aを熱成形した発泡シート成形体から作製しても良い。図2や図3に示すように、発泡層2の少なくとも片面に非発泡層3を有する発泡シート(1b、1c)については、非発泡層3を除去し、発泡層2のみから上記した方法により試験片を作製すれば良い。ここで挙げたいずれの方法で作製する試験片を用いても、ポリエチレン系樹脂組成物の引張応力は同等の値となる。
深絞りされた少なくとも1つの凹部を備える成形体を熱成形しやすい観点から、図1に示す発泡シート1aの厚みは、1.0mm以上5.0mm以下でも良く、好ましくは2.0mm以上4.0mm以下であり、より好ましくは2.5mm以上3.5mm以下である。発泡シート1aの厚みは、Teclock社製の定圧厚み測定機(型式SCM-627)を用いて測定可能である。具体的には、円筒状の重りを用いて、半径4.4cmの円形状の面(面積60.8cm)に、発泡シート1aの自重も含めて95gfの荷重を発泡シート1aにかけたときの厚みを、定圧厚み測定機械で測定して求めること可能である。発泡シート1aの厚みは、通常、その幅方向5cmごとに50点観測し、得られた測定値の平均値とする。発泡シート1aの幅が狭く50点分の測定箇所を確保できない場合、可能な限り多くの測定箇所を確保した上で得られた全ての測定値の平均値を厚みとする。
深絞りされた少なくとも1つの凹部を備える成形体を熱成形しやすい観点から、発泡シート1aの坪量(単位面積あたりの質量)は、上記した厚みが3mm前後である場合、80g/m以上110g/m以下でも良く、好ましくは90g/m以上105g/m以下、更に好ましくは100g/m以上103g/m未満である。押出発泡法により作製された発泡シート1aの坪量(単位面積あたりの質量)は、次の方法により算出可能である。発泡シート1aの押出方向と直交する方向に沿った第1の線と、この第1の線と平行であり第1の線に対して押出方向に20cmの距離を隔てた第2の線とを想定し、この2本の線に沿って発泡シート1aを切断することにより、坪量の測定用試料を得る。この測定用試料において、質量をW(g)とし、面積をS(cm)とするときに、下記の計算式から坪量を算出可能である。
坪量(g/m)=W/S×10
なお、発泡シート1aが20cm幅で測定用試料を切り取れるほど大きくない場合、可能な限り大きく矩形状に切り取った切片を得て、その切片の質量W(g)と面積S(cm)とから、上記した計算式により発泡シート1aの坪量を算出可能である。
ポリエチレン系樹脂組成物に含まれる樹脂以外の成分としては、発泡剤や添加剤などといった一般的な発泡シートの作製に用いられているものが挙げられる。発泡剤として例えば、プロパン、n-ブタン、i-ブタン、n-ペンタン、i-ペンタン、シクロペンタン等の炭化水素、これら炭化水素のハロゲン化物、炭酸ガス、及び窒素からなる群より選ばれた1種以上の化合物が挙げられる。添加剤として例えば、耐候性安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、消臭剤、光安定剤、顔料、滑材、すべり性の付与又はアンチブロッキング性の付与を目的とした界面活性剤、又は無機充填剤などが挙げられる。
発泡シート1aに良好な発泡状態を備えさせるべく、ポリエチレン系樹脂組成物には、気泡調整剤を含有させるのが好ましい。気泡調整剤として例えば、タルク、マイカ、シリカ、珪藻土、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、若しくはガラスビーズ等の無機化合物粒子、又はポリテトラフルオロエチレン等の有機化合物粒子が挙げられる。さらに、加熱分解型の発泡剤としても機能するアゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、または、炭酸水素ナトリウムとクエン酸との混合物なども、気泡調整剤として用いることができる。
ポリエチレン系樹脂組成物に含まれる樹脂以外の成分は、通常、20質量%以下とされ、好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
発泡シート1aは、上記したようなポリエチレン系樹脂組成物を、押出機で溶融混練し、押出機の出口に装着されたサーキュラーダイ又はフラットダイから押出しつつ発泡させることで、押出発泡シートとして作製可能である。本実施形態では発泡シート1aが前述したポリエチレン系樹脂組成物で構成されるため、押出発泡法などの簡便な方法を採用して製造しても、低密度でありながら引張強度などの機械的特性に優れ、しかも、独立気泡性が高く外観美麗な製品(ポリエチレン系樹脂発泡シート)を容易に得やすい。
なお、押出発泡シートに非発泡層を備えさせる場合、共押出ラミネート法や熱ラミネート法を採用することができる。非発泡層を設ける場合、非発泡層には、植物に由来する低密度ポリエチレンを含有させることが好ましい。本実施形態における発泡シートは、押出発泡法によらず各種の方法で作製可能なため、押出発泡シートに限定されない。
以上に説明した本実施形態に係る発泡シート(例えば図1に示す発泡シート1a)によれば、MFRと190℃での溶融張力とを所定の範囲内に収めたポリエチレン系樹脂組成物で構成されていることにより、発泡シートから成形品を熱成形させるときに、発泡シートが適度に引き延ばされやすい。このため、発泡シートは引き延ばされても破れにくく、発泡シートの発泡層に含まれる気泡も破れにくい。したがって、発泡シートは、成形品を熱成形させるときに、成形型の形状を精度よく反映させることが可能なため、例えば青果物の輸送に適するように深絞りされた凹部を備える成形体を、熱成形しやすい性状のものになっている。この観点から、本実施形態に係る発泡シートは、後述するように、絞り比が0.40以上である少なくとも1つの凹部を備える成形体を熱成形するためのものであるのが、好ましい。
以下、図4乃至8を用いて、本発明の一実施形態に係る発泡シート成形体10について説明する。
発泡シート成形体10は、複数の凹部12を備えるように、前述した発泡シート1a(図1)から熱成形されたものである。つまり、複数の凹部12は、熱成形の過程で、扁平な発泡シート1aが成形型の立体的な形状に沿って引き延ばされて形成された陥没形状である。また、発泡シート成形体10は、図1に示す発泡シート1aから熱成形されたため、発泡シート1aと同様に前述したポリエチレン系樹脂組成物で構成されており、このポリエチレン系樹脂組成物を気泡膜としている発泡層2(図4乃至8で不図示)を有する。
複数の凹部12に含まれる各々の凹部13は、例えば近年のサイズの大きな青果物でも収容しやすいように、絞り比が0.40以上、好ましくは0.42以上、更に好ましくは0.45以上、更により好ましくは0.47以上となるように、深絞りされた陥没形状になっている。発泡シート成形体10を更に安定して量産しやすい観点では、各々の凹部13における絞り比は、例えば、0.80以下、0.70以下、0.60以下、又は0.50以下でも良い。
本明細書における絞り比は、次に説明する方法により算出可能である。例えば図5や図8(a)に示すように、各々の凹部13が開口している方向(発泡シート成形体10の正面)を見て、陥没していない平坦部分19と比べて、個々の陥没した部分の外縁、つまり、各々の凹部13の輪郭16を把握する。図7や図8(b)に示すように、平坦部分19の平坦な上面がそのまま同じ高さで輪郭16内の空間を塞ぐように延長されていると仮想する場合に、この上面が輪郭16内の空間を塞ぐように延長されていると仮想可能な範囲部分の面を、各々の凹部13の開口面14とする。また、各々の凹部13(例えば一の凹部13a)内で、開口面14に対して最も離れた最深部15を見出す。開口面14と直交する方向で、開口面14から最深部15までの距離として、各々の凹部13の深さDを計測する。また、輪郭16に基づいて、各々の凹部13における開口面14の面積(開口面積)を計測する。計測した開口面積と同じ面積を有する円(開口面積と等価な円)を仮想し、この仮想の円の直径Dを算出する。この仮想の円の直径Dは、「円の面積=(直径D/2)×π」との計算式で「円の面積」を「凹部の開口面積」に置き換えて整理した「直径D=√(4×(凹部の開口面積)/π)」との計算式により算出可能である。その上で、下記の計算式により各々の凹部13の絞り比は算出される。
絞り比=(凹部の深さD)/(凹部の開口面積と等価な円の直径D
上記した絞り比の算出方法において、例えば図7や図8(c)に示すように、一の凹部13aとこれに隣接する他の凹部13bとで部分的に連通している箇所がある等の理由により、一の凹部13aに輪郭16が明確でない領域17が形成されている場合には、この領域17の始点17aと終点17bとを結ぶことにより、各々の凹部13の開口面14で仮想の輪郭部分18を想定する。輪郭16が明確でない領域17については、輪郭16を仮想の輪郭部分18で補完する形で、一の凹部13aの開口面積を計測する。
以上に説明した発泡シート成形体10によれば、MFRと190℃での溶融張力とを所定の範囲内に収めたポリエチレン系樹脂組成物で構成された発泡シートから熱成形されているため、成形型の形状を反映して深絞りされた複数の凹部12を備えたものになっている。例えば、各々の凹部13に青果物(例えば、近年のサイズの大きなイチゴ果実)を収容した状態で、輸送時に青果物が傷つかないように緩衝作用を発揮して保護する青果物用トレイとして、好適な性状を有する発泡シート成形体10となっている。
図9に示すように、本発明の一実施形態に係る発泡シート成形体の製造方法は、前述した発泡シートを準備する準備工程S1と、この発泡シートから前述した発泡シート成形体を熱成形させる成形工程S2と、を含む。
本発明は、以上に説明した実施形態などに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施することができる。本発明は、同一の作用または効果を生じる範囲内で、いずれかの特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
次の表1に示す、市販のポリエチレン樹脂を準備した。
Figure 2023006420000002
(実施例1)
表1に示した低密度ポリエチレン樹脂のうち、LD400を65質量部と、LF580を10質量部と、SEB853を25質量部とで、合計100質量部とした。この3種類の合計100質量部の低密度ポリエチレン樹脂と、三協化成株式会社製の気泡調整剤マスターバッチ(アゾジカルボンアミド含有マスターバッチ、商品名「セルマイク(登録商標)MB1023」)を0.15質量部との配合にて、タンデム押出機の第一押出機(上流側、口径φ90mm)に供給し、第一押出機内で加熱溶融させた後、第一押出機の途中から、発泡剤としてイソブタンとノルマルブタンとを70:30のmol比で18質量部を圧入し、溶融混合させた。得られた溶融混合物を、タンデム押出機の第二押出機(下流側、口径φ150mm)内へ移送し、第二押出機内で発泡に適した110℃まで均一に冷却し、出口口径φ145mmの環状ダイスから、ポリエチレン系樹脂組成物を大気中に押出発泡させた。押出発泡された筒状の発泡体を、引き取って、内部が約20℃の水で冷却されている直径515mmのマンドレル上に沿って通過させる過程で冷却した。冷却された筒状の発泡体を、その円周上の一点において押出方向に沿ってカッターで切り開くことにより、帯状の発泡シートを作製した。この実施例1に係る発泡シートの作製に要した配合を、次の表2に示す。
Figure 2023006420000003
(実施例2乃至6および比較例1乃至4)
実施例2乃至6および比較例1乃至4の各々については、前述した実施例1と比べて、表2に示すようにポリエチレン樹脂の配合を変更した他は、同様にして発泡シートを作製した。なお、比較例1と比較例2との各々に係る発泡シートは、特許文献1に記載された成形用無架橋ポリエチレン系樹脂発泡シートをなるべく再現した例である。比較例3と比較例4との各々に係る発泡シートは、特許文献2に記載されたポリエチレン系樹脂押出発泡シートをなるべく再現した例である。比較例4では、共押出法により発泡シートの両面にそれぞれ厚み200μmの非発泡層(ポリエチレン系樹脂層)を備える、積層構造の発泡シートとした。
(評価方法)
実施例1乃至6および比較例1乃至4の各々に係る発泡シートに関して、発泡シートを構成しているポリエチレン系樹脂組成物(前述した表2を参照)について、樹脂組成物の密度、樹脂組成物のMFR、樹脂組成物の190℃での溶融張力、樹脂組成物の曲げ弾性率、及び、樹脂組成物の70℃での引張応力を、発泡シート1aに関して前述した測定方法でそれぞれ計測した。また、実施例1乃至6および比較例1乃至4の各々に係る発泡シートついて、シート厚み、及びシート坪量を、発泡シート1aに関して前述した測定方法でそれぞれ計測した。
実施例1乃至6および比較例1乃至4の各々について、発泡シートの全幅にわたりMD方向(流れ方向)に長さ50cmの切片(160cm×50cm)を10枚切り取り、各切片を目視で観察し、次の基準により、発泡シートでの表面の外観を評価した。
◎ 10枚の切片のいずれにおいても、表面に亀裂がみられない。
〇 10枚の切片のうち1枚または2枚の切片において、表面に亀裂が見られる。
× 10枚の切片のうち3枚以上の切片において、表面に亀裂が見られる。
なお、ここでの「亀裂」とは、発泡シート作製時に、発泡シートの一部が十分に引き延ばされなかったために破泡が生じた結果、一部の発泡層が目立って潰れており裂けている様に見える箇所である。
また、実施例1で試作した発泡シートのうち一部については、1ショットで10個の成形体を作製可能な成形型を用いて、成形サイクル7.5秒、成形ヒーター温度230℃の設定にて、図4乃至8に示すように、近年のサイズの大きなイチゴ果実を収容するのに適した形状の発泡シート成形体を熱成形させた。この実施例1に係る発泡シート成形体は、押出方向に4列の凹部を備え、押出方向に直交する方向に5列の凹部を備えており、もとの発泡シートに由来する発泡層が全体的に満遍なく残存している。各々の凹部は、イチゴ果実の略三角錐の形状に沿うように、深さDが20mm、開口面積と等価な円の直径Dが41mmという深絞りされた陥没形状である。つまり、実施例1に係る発泡シート成形体は、絞り比が(20mm/41mm)≒0.49という深絞りされた20個の凹部を備えている。この実施例1で使用したものと同じ成形型を用いて、実施例2乃至6および比較例1乃至4の各々についても、同様の条件で発泡シート成形体を熱成形させた。
発泡シート成形体を試作後、100ショット分の発泡シート成形体1,000個を目視で観察し、次の基準にて、発泡シート成形体の成形性を評価した。
◎ 発泡シート成形体1,000個全てに破れや裂けが見られない。
〇 発泡シート成形体1,000個全てに破れは見られないが、1,000個のうち1個に裂けが見られる。
× 発泡シート成形体1,000個のうち1個以上に破れが見られる、又は、1,000個のうち2個以上に裂けが見られる。
なお、ここでの「裂け」とは、発泡シート成形体を熱成形させる際、発泡シートが成形型に沿って引き延ばされるときに、発泡シートが十分に引き延ばされなかったために破泡が生じた結果、得られた発泡シート成形体において、意図しない貫通孔は生じていないものの、一部の発泡層が目立って潰れており裂けている様に見える箇所である。ここでの「破れ」とは、発泡シートが成形型に沿って引き延ばされるときに、発泡シートの一部が引き延ばしに追従しきれなかった結果、発泡シート成形体において、意図せず成形体を貫通している割れ目が生じている箇所である。
評価結果を、次の表3に示す。
Figure 2023006420000004
表3に示すように、比較例3と比較例4とでは、ポリエチレン系樹脂組成物のMFRが4.0g/10minを超えて高い範囲内にあった。このポリエチレン系樹脂組成物で構成された発泡シートで、ポリエチレン系樹脂組成物の70℃での引張応力を測定しようとすると、試験片を30mm引き延ばす前に試験片が破断したため、剛性により引張応力を測定できなかった。この比較例3と比較例4との各々に係る発泡シートから、絞り比0.49という深絞りされた凹部を備える成形体を熱成形させると、成形体で破れが生じてしまった。比較例1と比較例2とでは、ポリエチレン系樹脂組成物の190℃での溶融張力が5.0cNを超えて高い範囲内にあり、このようなポリエチレン系樹脂組成物で構成された発泡シートから、深絞りされた凹部(絞り比0.49)を備える成形体を熱成形させると、成形体で裂けが生じてしまった。
なお、特許文献2の記載からすれば、特許文献2に記載された成形体(部品トレイ)は、内径サイズ深さ20mm×幅55mm×長さ270mmの金型を用いて熱成形されている。つまり、この成形体に備えられた凹部(部品トレイ内側)は、深さDが20mmで、開口面積が45,900mmである。この開口面積と等価な円の直径Dは、D=√(4×45,900mm/π)≒242mmと算出される。このため、特許文献2の成形体(部品トレイ)に備えられた凹部の絞り比は、(20mm/242mm)≒0.08と算出される。また、特許文献1の記載からすれば、特許文献1に記載された成形体(イチゴトレイ)に備えられた凹部では、深さDが15mmで、長径50mm且つ短径35mmである。長径や短径との記載から凹部の開口面を楕円形と考えると、凹部の開口面積は((50mm/2)×(35mm/2)×π)≒1,374mmと算出され、この開口面積と等価な円の直径Dは、D=√(4×1,374mm/π)≒42mmと算出される。このため、特許文献1の成形体(イチゴトレイ)に備えられた凹部の絞り比は、(15mm/42mm)≒0.36と算出される。
これに対して、表3に示すように、実施例1乃至実施例6では、MFRが1.0g/10min以上4.0g/10min以下の範囲内に含まれており、且つ、190℃での溶融張力が3.4cN以上5.0cN以下の範囲内に含まれており、深絞りされた凹部(絞り比0.49)を備える発泡シート成形体を試作しても、発泡シート成形体に破れや裂けは見当たらなかった。この実験結果から、MFRや190℃での溶融張力が所定の範囲内に含まれるポリエチレン系樹脂組成物で構成された発泡シートを用いれば、例えば絞り比0.40以上という深絞りされた凹部を備える発泡シート成形体を熱成形させやすいことを、本願に係る発明者らは見出した。
1a,1b,1c:発泡シート、2:発泡層、3:非発泡層、10:発泡シート成形体、12:複数の凹部、13:各々の凹部、13a:一の凹部、13b:他の凹部、14:凹部の開口面、15:凹部の最深部、16:凹部の輪郭、17:凹部の輪郭が不明確な領域、17a:凹部の輪郭が明確でない領域の始点、17b:凹部の輪郭が明確でない領域の終点、18:仮想の輪郭部分、19:平坦部分、D:凹部の深さ

Claims (8)

  1. ポリエチレン系樹脂組成物で構成された発泡層を有する発泡シートであって、
    前記ポリエチレン系樹脂組成物では、メルトマスフローレイト(MFR)が1.0g/10min以上4.0g/10min以下であり、190℃での溶融張力が3.4cN以上5.0cN以下である、発泡シート。
  2. 前記ポリエチレン系樹脂組成物の曲げ弾性率が300MPa未満である、請求項1に記載された発泡シート。
  3. 前記ポリエチレン系樹脂組成物は植物に由来するポリエチレンを含んでなる、請求項1又は請求項2に記載された発泡シート。
  4. 前記ポリエチレン系樹脂組成物では、MFRが1.9g/10min以上3.2g/10min以下であり、190℃での溶融張力が3.8cN以上4.9cN以下である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された発泡シート。
  5. 前記ポリエチレン系樹脂組成物の70℃での引張応力が1.0MPa以上10MPa以下である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された発泡シート。
  6. 絞り比が0.40以上である少なくとも1つの凹部を備える成形体を熱成形するためのものである、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された発泡シート。
  7. ポリエチレン系樹脂組成物で構成された発泡層を有する発泡シート成形体であって、
    前記ポリエチレン系樹脂組成物では、MFRが1.0g/10min以上4.0g/10min以下であり、190℃での溶融張力が3.4cN以上5.0cN以下であり、
    絞り比が0.40以上である少なくとも1つの凹部を備える発泡シート成形体。
  8. ポリエチレン系樹脂組成物で構成された発泡層を有する発泡シートから、絞り比が0.40以上である少なくとも1つの凹部を備える成形体を熱成形する工程を含み、
    前記ポリエチレン系樹脂組成物では、MFRが1.0g/10min以上4.0g/10min以下であり、190℃での溶融張力が3.4cN以上5.0cN以下である、
    発泡シート成形体の製造方法。
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