JP2023002190A - 卵殻粉末含有樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

卵殻粉末含有樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱時、冷却後の臭気を改善することができる、卵殻粉末含有樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本技術は、レーザ回折散乱法によって測定される体積基準の粒度分布において、累積度数が50体積%の粒子径D50が10μm以上50μm以下である卵殻粉末と、熱可塑性樹脂と、を含有する、卵殻粉末含有樹脂組成物を提供する。前記卵殻粉末含有樹脂組成物は、さらに、吸着型消臭成分を含有する。前記吸着型消臭成分は、酸化亜鉛、二酸化ケイ素と酸化亜鉛の混合物、及びゼオライト系消臭剤からなる群から選ばれた1種以上である。前記卵殻粉末含有樹脂組成物は、さらに、化学反応型消臭成分を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、卵殻粉末含有樹脂組成物及び成形体に関する。
近年、資源の枯渇が問題となっており、環境保護及び省資源の観点から、産業廃棄物の再利用が検討されている。このような産業廃棄物には、廃棄物系バイオマス(食物廃棄物、家畜排泄物、建築廃材、及び古紙など)が含まれる。このような廃棄物系バイオマスの例として、液卵工場等で廃棄される卵殻が挙げられる。卵殻は、生物由来の物質であり、産業廃棄物として焼却処理や廃棄処理されても、環境負荷がカーボンニュートラルとなり、環境への影響は少ない。また、卵殻にはカルシウムが含まれることから様々な用途への展開が検討されている。卵殻は、粉末化して利用に供され、このような卵殻粉末として、卵殻を水で洗浄した後、乾燥し、粉砕した卵殻粉末が使用されている(特許文献1)。また、卵殻を焼成した後、微粉末とした卵殻粉末が使用されている(特許文献2)。このような卵殻粉末は、熱可塑性樹脂と配合して樹脂組成物を製造するのに使用されている(特許文献3)。
特開平11-46726号公報 特開2019-6660号公報 特許第6764210号公報
しかしながら、卵殻をそのまま粉砕したものは独特の卵殻由来の臭気を有し、特に加熱処理時に臭気がひどくなるという問題があった。また、卵殻粉末を使用して樹脂組成物を製造し、樹脂組成物から成形品を成形した場合も成形品が臭気を有するという問題があった。焼成した卵殻粉末は臭気をほとんど有さないが、卵殻を焼成して卵殻粉末を得るには焼成工程が必要となり、製造コストの上昇がもたらされる。
本技術は、加熱時、冷却後の臭気を改善することができる、卵殻粉末含有樹脂組成物を提供することを主目的とする。
本発明者らは、特定の構成を有する卵殻含有樹脂組成物が、臭気を抑制することを見出した。
すなわち、本技術は、レーザ回折散乱法によって測定される体積基準の粒度分布において、累積度数が50体積%の粒子径D50が10μm以上50μm以下である卵殻粉末と、熱可塑性樹脂と、を含有する、卵殻粉末含有樹脂組成物を提供する。
当該卵殻粉末含有樹脂組成物は、さらに、吸着型消臭成分を含有しうる。
当該吸着型消臭成分は、酸化亜鉛、二酸化ケイ素と酸化亜鉛の混合物、及びゼオライト系消臭剤からなる群から選ばれた1種以上でありうる。
本技術は、卵殻粉末と、熱可塑性樹脂と、吸着型消臭成分と、を含有する、卵殻粉末含有樹脂組成物を提供する。
前記吸着型消臭成分は、酸化亜鉛、二酸化ケイ素と酸化亜鉛の混合物、及びゼオライト系消臭剤からなる群から選ばれた1種以上でありうる。
前記卵殻粉末含有樹脂組成物は、さらに、化学反応型消臭成分を含有しうる。
本技術は、前記卵殻粉末含有樹脂組成物から形成された成形体を提供する。
本技術は、シートの形状に成形された前記成形体を提供する。
本技術は、前記成形体の表面が膜によって被覆された積層体を提供する。
本技術により、臭気のない卵殻粉末含有樹脂組成物を提供することができる。
なお、本技術の効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態を示したものであり、本技術の範囲がこれらの実施形態のみに限定されることはない。
本技術について、以下の順序で説明を行う。
1.本技術の説明
2.第1の実施形態(卵殻粉末含有樹脂組成物の例)
(1)卵殻粉末含有樹脂組成物の構成
(2)各成分の説明
(3)物性
(4)卵殻粉末含有樹脂組成物の製造方法
3.第2の実施形態(卵殻粉末含有樹脂組成物の他の例)
(1)卵殻粉末含有樹脂組成物の構成
(2)各成分の説明
(3)物性
(4)卵殻粉末含有樹脂組成物の製造方法
4.第3の実施形態(成形体の例)
(1)成形体の構成
(2)各成分の説明
(3)成形体の製造方法
5.第4の実施形態(積層体の例)
6.実施例
1.本技術の説明
本発明者は、レーザ回折散乱法によって測定される体積基準の粒度分布において、累積度数が50体積%の粒子径D50が10μm以上50μm以下である卵殻粉末と、熱可塑性樹脂と、を含有することにより、卵殻粉末含有樹脂組成物の臭気を抑制できることを見出した。また、本発明者は、さらに、吸着型消臭成分を含有することにより卵殻粉末含有樹脂組成物の臭気をより抑制できることを見出した。さらに、本発明者は、前記吸着型消臭成分が、酸化亜鉛、二酸化ケイ素と酸化亜鉛の混合物、及びゼオライト系消臭剤からなる群から選ばれた1種以上であることにより卵殻粉末含有樹脂組成物の臭気をさらに抑制できることを見出した。
2.第1の実施形態(卵殻粉末含有樹脂組成物の例)
(1)卵殻粉末含有樹脂組成物の構成
本実施形態の卵殻粉末含有樹脂組成物は、レーザ回折散乱法によって測定される体積基準の粒度分布において、累積度数が50体積%の粒子径D50が10μm以上50μm以下である卵殻粉末と、熱可塑性樹脂と、を含有する。また、本実施形態の卵殻粉末含有樹脂組成物は、前記卵殻粉末と、前記熱可塑性樹脂とに加えて、さらに吸着型消臭成分を含有してもよい。
(2)各成分の説明
[卵殻粉末]
卵殻粉末とは、卵殻を粉末化したものをいう。卵殻粉末の原料となる卵殻とは、鳥類などの卵生生物が卵の外殻として形成する材料をいう。卵殻としては、家畜として飼育されている鶏の卵の卵殻が、その卵白、卵黄等の液卵が菓子やドレッシング用原料として、液卵工場で採取された後、大量に廃棄されるので、入手のし易さの点から好ましい。卵殻から卵殻粉末を得るには、卵白と卵黄が採取された卵殻から卵殻膜を除去し、次いで粉砕する。具体的には、卵白と卵黄が採取された卵殻を熱水で洗浄し、付着した卵白、卵黄、卵殻膜、ごみなどを除去し、卵殻を乾燥し、粉砕して粉末化して得ることができる。卵殻膜の除去や洗浄時にアルカリ処理等を行ってもよい。このようなアルカリ処理により、タンパク質等の不純物を除去できる。卵殻の乾燥方法としては、例えば、通気乾燥法、回転乾燥法、真空乾燥法、流動層乾燥法、凍結乾燥法等が挙げられる。卵殻の粉砕方法には、乾式法と湿式法が挙げられる。粉砕に際しては、例えば、衝撃式粉砕機、ボールミル等の粉砕メディアを使用した粉砕機、ローラーミル等を使用してもよい。なお、先ず、卵殻を粗粉砕機で粗砕きした後、微粉砕機でさらに細かく粉砕してもよい。卵殻粉末は、炭酸カルシウムが主成分であり、その他、少量の炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、タンパク質類を含有する。
卵殻粉末は、卵殻粉末含有樹脂組成物の臭気と茶変色の抑制、及び卵殻粉末含有樹脂組成物から得た成形体の表面粗さを平滑にする観点から、レーザ回折散乱法によって測定される体積基準の粒度分布において、累積度数が50体積%の粒子径D50が好ましくは10μm以上50μm以下、より好ましくは15μm以上45μm以下、さらに好ましくは20μm以上40μm以下、さらにより好ましくは25μm以上35μm以下であってよい。卵殻粉末の前記粒子径D50が好ましくは10μm以上50μm以下とする方法として、各種分級方法を採用することができる。なお、分級とは、分級の対象である卵殻粉末を、粒子径が特定値より大きいものとそれ以下のものとを篩い分けする処理を意味する。分級を行うには、各種方法、例えば、乾式分級機、湿式分級機を用いる方法を採用すればよい。乾式分級機としては、例えば、振動ふるい式分級機、エアーセパレータ、DSセパレーター、サイクロン式分級機、ターボクラシフィア、ミクロセパレータ等が挙げられる。一方湿式分級機としては、遠心沈降機、液体サイクロン方式の分級機、ハイドロッシレーター等が挙げられる。粒子径D50の測定方法は、後述する2.(3)で説明する。
卵殻粉末は、卵殻含有樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、さらにより好ましくは40質量%以上であってよい。
[熱可塑性樹脂]
本実施形態に係る卵殻粉末含有樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、好ましくはポリオレフィン系樹脂若しくはポリエステル系樹脂、又は、これらの樹脂の混合物であってよい。前記熱可塑性樹脂は、ポリスチレン系樹脂であってもよい。
ポリオレフィン系樹脂は、オレフィン類(例えば、α-オレフィン類)を主要なモノマーとする重合により得られる高分子である。当該ポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポリエチレン(PE)樹脂若しくはポリプロピレン(PP)樹脂又はこれらの組み合わせであってよい。
ポリエチレン樹脂は、例えば、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE: Low Density Polyethylene)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE: High Density Polyethylene)、超低密度ポリエチレン樹脂(VLDPE:Very Low Density Polyethylene)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE: Linear Low Density Polyethylene)、又は超高分子量ポリエチレン樹脂(UHMW-PE: Ultra High Molecular Weight-Polyethylene)又はこれらの組み合わせであってよい。
ポリプロピレン樹脂は、例えば、ホモポリマーのポリプロピレン樹脂、又は、ランダムコポリマー若しくはブロックコポリマーのポリプロピレン樹脂(例えば、エチレン-プロピレン共重合体など)又はこれらの組み合わせであってよい。
ポリオレフィン系樹脂は、好ましくはバイオマス由来のポリオレフィン系樹脂(例えばバイオマス由来ポリエチレン樹脂など)であってよく、例えば、バイオマスポリエチレン樹脂でありうる。バイオマスポリエチレン樹脂は、例えば、LDPE、LLDPE、又はHDPEでありうる。これによりCO2排出量を削減することができる。
前記ポリオレフィン系樹脂は、メタロセン触媒を用いて製造されたポリオレフィン系樹脂であってもよい。すなわち、前記熱可塑性樹脂は、例えば、メタロセン触媒系のポリエチレン樹脂若しくはポリプロピレン樹脂であってよく、又は、これらの組み合わせであってもよい。
前記ポリスチレン系樹脂も、メタロセン触媒系のポリスチレン系樹脂であってもよい。
ポリエステル系樹脂は、エステル結合によりモノマーが重合した高分子である。当該ポリエステル系樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリ乳酸樹脂(PLA)、若しくはポリカーボネート樹脂(PC)、ポリブチレンアジペートテレフタレート樹脂(PBAT)、ポリブチレンサクシネート樹脂(PBS)、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(PHA)、又はこれらのうちの2以上の組み合わせであってよい。
ポリスチレン系樹脂は、スチレン系モノマーが重合した高分子である。当該ポリスチレン系樹脂は、例えば、ポリスチレン樹脂、ゴム強化ポリスチレン樹脂(耐衝撃性ポリスチレン樹脂、HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、メタクリル酸エステル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体、並びにアクリロニトリル・エチレンプロピレン・スチレン共重合体等又はこれらのうちの2以上の組み合わせであってよい。
本実施形態に係る卵殻粉末含有樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂の種類は、例えば、前記卵殻粉末含有樹脂組成物から形成される成形品の種類に応じて当業者により適宜選択されてよいが、加工温度が低い熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、前記卵殻粉末含有樹脂組成物からフィルム又はシートを形成する場合、熱可塑性樹脂は、例えば、好ましくはポリオレフィン系樹脂であり、より好ましくはポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂であり、さらに好ましくはLLDPE又はLDPEでありうる。
本実施形態に係る卵殻粉末含有樹脂組成物に含まれる前記熱可塑性樹脂は、好ましくは90℃~180℃の融点を有するものであり、より好ましくは95℃~170℃の融点を有するものでありうる。より低い融点を有する熱可塑性樹脂を採用することによって、成形時の温度を低くすることができ、卵殻粉末の加熱に起因する臭気をより抑制することができる。
本実施形態の一つの実施態様に従い、前記熱可塑性樹脂は、生分解性樹脂であってよい。
前記熱可塑性樹脂は、ペレット状でも粉体状でもよく、押出機やインジェクション成形等で成形時に混合、混練され、均一に分散される。
熱可塑性樹脂は、卵殻含有樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは90質量%未満、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、さらにより好ましくは65質量%以下であってよい。
[吸着型消臭成分]
本実施形態で用いられる吸着型消臭成分は、臭気の原因となる物質を化学吸着又は物理吸着により消臭する消臭成分をいい、その形態として、粉末、顆粒、粉状が挙げられる。本実施形態において、吸着型消臭成分は、加熱時の臭気、及び冷却後の臭気を改善させる機能を有する。卵殻粉末を熱可塑性樹脂と混合させ、加熱して卵殻粉末含有樹脂組成物を調製する際に残留タンパク質に由来する臭気が問題となり、このような臭気を抑制するために吸着型消臭成分を含有させるのが好ましい。吸着型消臭成分として、例えば、酸化亜鉛、二酸化ケイ素と酸化亜鉛の混合物、ゼオライト系消臭剤等が挙げられる。二酸化ケイ素と酸化亜鉛の混合物の市販品として、商品名「シュークレンズ(登録商標)KD-211」(ラサ工業社製)等が挙げられる。酸化亜鉛の市販品として、商品名「ケスモン(登録商標)NS-30N」(東亜合成社製)等が挙げられる。二酸化ケイ素と酸化亜鉛の混合物は、卵殻粉末含有樹脂組成物の質量に対して、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であってよい。酸化亜鉛は、卵殻粉末含有樹脂組成物の質量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であってよい。ゼオライト系消臭剤の市販品として、商品名「SP#2300」(日東粉化工業株式会社製)等が挙げられる。ゼオライト系消臭剤は、卵殻粉末含有樹脂組成物の質量に対して、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上であってよい。
また、前記吸着型消臭成分に加えて、化学反応型消臭成分を含有させてもよい。化学反応型消臭成分とは、化学反応により臭気物質の臭気を消臭する消臭成分をいい、例えば、ベタイン化合物等の水溶液が挙げられる。このような化学反応型消臭成分は、卵殻粉末を加熱する際に発生する臭気の抑制に有効であり、吸着型消臭成分と化学反応型消臭成分とを併用することにより、加熱時及び冷却後の臭気を改善させることが可能となる。化学反応型消臭成分として、例えば、ベタイン化合物等が挙げられる。化学反応型消臭成分の市販品として、商品名「エポリオン AL-152C」(共立製薬株式会社製)等が挙げられる。化学反応型消臭成分は、卵殻粉末含有樹脂組成物の質量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.04質量%以上であってよい。
[その他の添加剤]
本実施形態に係る卵殻粉末含有樹脂組成物は、吸着型消臭成分、化学反応型消臭成分以外の添加剤を含有してもよい。このような添加剤として、熱可塑性樹脂の溶融温度より低い融点温度を有し、比較的低温度で溶融する低融点添加剤を用いてもよい。このような低融点添加剤として、好ましくは100℃以下で溶融するもの、より好ましくは60~100℃で溶融するものである。前記低融点添加剤は、好ましくは50℃~100℃、より好ましくは55℃~90℃、さらに好ましくは60℃~80℃の融点を有しうる。具体的には、前記低融点添加剤として、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、特殊脂肪酸エステル、及び高級アルコール脂肪酸エステルを挙げることができる。前記グリセリン脂肪酸エステルは、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、アセチル化モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、及び中鎖脂肪酸モノグリセリドを包含する。
本実施形態に従い、前記低融点添加剤は、より好ましくはグリセリン脂肪酸エステルを含み、さらに好ましくはグリセリンモノステアレートを含む。前記低融点添加剤は、好ましくはグリセリン脂肪酸エステルのみであってもよい、より好ましくはグリセリンモノステアレートのみであってもよい。前記低融点添加剤は、比較的低温度で溶融し、粘性を有し、卵殻粉末に絡み粘着させるように機能しうる。
前記低融点添加剤は、卵殻粉末含有樹脂組成物の質量に対し、例えば、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.5~0.8質量%の含有割合で、卵殻樹脂粉末含有樹脂組成物に含まれうる。
(3)物性
[卵殻粉末の粒子径D50]
本実施形態に係る卵殻粉末含有樹脂組成物に含まれる卵殻粉末の粒子径D50は、好ましくは10μm以上50μm以下、より好ましくは15μm以上45μm以下、さらに好ましくは20μm以上40μm以下、さらにより好ましくは25μm以上35μm以下であってよい。以下、粒子径D50の測定方法について説明する。
レーザー散乱回折式粒度分布測定装置として、CILAS 1090 Liquid(CILAS社製)を使用し、測定レンジ(0.04~500.00μm/100Classes)、分散媒として水を使用して、卵殻粉末の粒子径D50を測定する。
[水分率の測定]
ラボプラストミル「形式:4C150」(東洋精機製作所社製)を用い、卵殻粉末、熱可塑性樹脂及び添加剤を185℃、80rpmで4分間、溶融混練してサンプルを調製する。得られたサンプルを加熱乾燥式水分計「製品名:MS-70」(株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて、105℃で水分率を測定する。
[臭気]
ラボプラストミル「形式:4C150」(東洋精機製作所社製)を用い、卵殻粉末、熱可塑性樹脂及び添加剤を185℃、80rpmで4分間、溶融混練し、半溶融状態の樹脂を密閉容器に入れて密閉する。
[加熱時の臭気]
溶融混練を開始してから4分後に密閉容器に蓋をする前の臭気を確認する。なお、臭気の確認を7名のパネラーにより行った。
[冷却後の臭気]
10分間、半溶融状態の樹脂を冷却した後、密閉容器の蓋を開け、臭気を確認する。なお、臭気の確認を7名のパネラーにより行った。
臭気の評価は下記3段階の基準で行った。
〇:許容
△:少しにおう
×:臭い
(4)卵殻粉末含有樹脂組成物の製造方法
本実施形態に係る卵殻粉末含有樹脂組成物の製造方法は、各種方法を採用することができ、卵殻粉末含有樹脂組成物から成形される成形体の成形方法に応じて選択され得る。例えば、本実施形態に係る卵殻粉末含有樹脂組成物の製造方法は、乾燥工程と、混練工程と、押出工程と、を含みうる。以下、各工程について説明する。
<乾燥工程>
乾燥工程において、先ず、配合する各成分を計量し、必要な配合量の成分を準備する。加熱ミキサー等に卵殻粉末と、低融点添加剤と、化学反応型消臭成分とを投入し、乾燥させる。加熱ミキサーの油温は、好ましくは100~200℃、より好ましくは120~180℃、さらに好ましくは140~160℃に設定するのがよい。その他の添加剤と、熱可塑性樹脂とを、前記加熱ミキサーに投入し、混合する。混合時間は適宜設定する。混合後、混合物を冷却ミキサーに移送し、混合物の粗熱を除きつつ、吸着型消臭剤を投入し、混合する。混合後、冷却ミキサー内の混合物をストックタンクに移送する。
<混練工程>
混練工程において、ストックタンク内の混合物を2軸押出機又は単軸押出機等の押出機に移送する。押出機内で前記混合物を加熱溶融し、混練し、各成分を均一に分散させる。溶融混練温度は、好ましくは、130~220℃、より好ましくは140~210℃、さらに好ましくは150~200℃であってよい。
<押出工程>
押出工程において、溶融状態の混合物を前記押出機から連続に押出し、シート又はペレットの形状の一次加工品を得る。
本実施形態において、卵殻粉末と熱可塑性樹脂とを溶融混錬し、成形機に移送してもよく、卵殻粉末と熱可塑性樹脂とを成形機に移送し、成形と同時に溶融混練してもよい。溶融混練は、一軸混練機、二軸混練機等により行ってもよい。
本実施形態において、卵殻粉末含有樹脂組成物はペレットの形態でもよく、ペレットの形状として、円柱、楕円球状、球形等が挙げられる。ペレットの大きさは特に限定されないが移送される押出機、成形機に応じて適宜設定され得る。
3.第2の実施形態(卵殻粉末含有樹脂組成物の他の例)
(1)卵殻粉末含有樹脂組成物の構成
本実施形態に係る卵殻粉末含有樹脂組成物は、卵殻粉末と、熱可塑性樹脂と、吸着型消臭成分と、を含有する。前記吸着型消臭成分は、酸化亜鉛、二酸化ケイ素と酸化亜鉛の混合物、及びゼオライト系消臭剤からなる群から選ばれた1種以上であってもよい。また、本実施形態に係る卵殻粉末含有樹脂組成物は、前記卵殻粉末と、前記熱可塑性樹脂と、前記吸着型消臭成分とに加えて、さらに化学反応型消臭成分とを含有させてもよい。
(2)各成分の説明
各成分については、第1の実施形態における各成分に関する説明が当てはまるので、各成分についての説明は省略する。
(3)物性
物性については、第1の実施形態における物性に関する説明が当てはまるので、物性についての説明は省略する。
(4)卵殻粉末含有樹脂組成物の製造方法
卵殻粉末含有樹脂組成物の製造方法については、第1の実施形態における卵殻粉末含有樹脂組成物の製造方法に関する説明が当てはまるので、卵殻粉末含有樹脂組成物の製造方法についての説明は省略する。
4.第3の実施形態(成形体の例)
本実施形態に係る成形体は、前記卵殻粉末含有樹脂組成物から形成された成形体である。
(1)成形体の構成
本実施形態に係る成形体は、前記卵殻粉末含有樹脂組成物から形成されたものである。卵殻粉末含有樹脂組成物については、第1の実施形態における卵殻粉末含有樹脂組成物に関する説明が当てはまるので、卵殻粉末含有樹脂組成物についての説明は省略する。本実施形態に係る成形体の形状は特に限定されないが、例えば、シート、食品容器等の形状が挙げられる。前記シートは、例えば、300μm以上の厚みを有し、特には300μm以上1.5mm以下の厚みを有しうる。前記食品容器等は、例えば、肉厚が100μm以上1.4mm以下の厚みを有しうる。
本発明の一つの実施態様に従い、前記シートは、JIS B0031に従い測定された平均粗さ(Ra)が、好ましくは10μm以下である面を表面に有し、より好ましくは7μm以下である面を表面に有し、さらにより好ましくは4μm以下である面を表面に有し、且つ、当該面は、卵殻含有樹脂組成物から形成された層の面である。平均粗さの測定は、JIS B0031に従う表面粗さ計により測定されてよい。本技術に係る卵殻含有樹脂組成物により、このように平滑な面を有するシートを提供することができる。このようなシートは、カード類、包装、容器、セパレータ、カバー、仕切り、ラミネート、袋類用として好適に使用されうる。
(2)各成分の説明
本実施形態に係る成形体を形成する卵殻粉末含有樹脂組成物の各成分については、第1の実施形態における卵殻粉末含有樹脂組成物の各成分に関する説明が当てはまるので、卵殻粉末含有樹脂組成物の各成分についての説明は省略する。
(3)成形体の製造方法
本実施形態に係る成形体は、第1の実施形態における卵殻粉末含有樹脂組成物の製造方法の押出工程で得られたシート又はペレットの形状の一次加工品を用いて、さらに容器等の成形品を形成してもよい。また、本実施形態に係る成形体の製造には、通常の石油系プラスチックの成形技術を採用できる。例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラー型混合機、バーバリミキサー、ニーダーミキサー等の混合機にて卵殻粉末及び熱可塑性樹脂等を混合し、T-ダイ押出機やカレンダー成形機によってシートを成形してもよい。また、原料となる卵殻粉末及び熱可塑性樹脂等をそのまま直接、混練、混合し成形してもよく、又は、原料を、混合機にて混合した後、一軸又は二軸の押出機によりストランドを押し出し、カッティングしてペレットを製造し、そのペレットをマスターバッチとして用いて、シートを成形してもよい。
シートを製造する際に、採用される成形温度域は、原料を直接、混練、混合して成形する場合、原料のヤケの発生や分解、シリンダー内の焼き付きを抑制する観点及び卵殻粉末が未溶融状態で吐出されて、圧力上昇とともにトラブルの原因となることを抑制する観点から、150~200℃の範囲であるのが好ましく、また、マスターペレットを製造して成形する場合、150~200℃の範囲であるのが好ましい。
また、原料のヤケの発生や分解を防止する観点から、シリンダー内の滞留時間は最大でも10分以内が好ましい。
T-ダイ押出機により押し出し成形されたシートは、引取りロールの温度を95℃以下に設定し、所定の厚さに成形したシートを冷却し、引取り、巻き取られてもよい。
他の成形体として、例えば、容器(例えば、ボトル容器)、ボトルキャップ、及びプラダンボールなどを挙げることができるがこれらに限定されない。例えば、本技術に係る卵殻粉末含有樹脂組成物は、ブロー成形、射出成形、異形押出成形のために用いられてよい。当該ブロー成形によって、例えば、ボトル容器が成形されうる。当該射出成形によって、例えば、ボトルキャップ又は容器が製造されうる。当該異形押出成形によって、例えば、プラダンボールが成形されうる。
5.第4の実施形態(積層体の例)
本実施形態に係る積層体は、前記成形体の表面が膜によって被覆されたものである。
[積層体]
本実施形態は、成形体がシートの場合、当該シートの表面が膜によって被覆された積層体も提供する。当該積層体は、前記シートの片面側の表面が膜によって被覆されたものであってもよく、又は、前記シートの両面側の表面が膜によって被覆されたものであってもよい。前記シートの表面が膜によって被覆されることにより、被覆された側の表面からのブリードアウトを抑制できる。膜としては、例えば、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等、又はこれらうちの2以上の組み合わせのポリオレフィン系樹脂であってよく、また、例えば、ポリ乳酸樹脂(PLA)、若しくはポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリブチレンアジペートテレフタレート樹脂(PBAT)、ポリブチレンサクシネート樹脂(PBS)、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(PHA)等、又はこれらのうちの2以上の組み合わせたポリエステル系樹脂であってもよい。前記シートと膜との間には接着層が設けられていてもよい。このような接着層として、前記シートを形成する樹脂組成物の融点よりも低い融点を有する樹脂等が用いられてもよい。このような接着層に用いられる樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
積層体において、前記シートは、例えば、300μm以上の厚みを有し、特には300μm以上且つ1.5mm以下の厚みを有しうる。また、膜は、例えば、60μm未満の厚みを有し、特には5μm以上50μm未満の厚みを有しうる。本実施形態に係る積層体はカード類、カバー、包装、容器、セパレータ、仕切り、袋類、ラミネート用として好適に使用されうる。
本技術は、以下のような構成を採用することもできる。
[1]
レーザ回折散乱法によって測定される体積基準の粒度分布において、累積度数が50体積%の粒子径D50が10μm以上50μm以下である卵殻粉末と、
熱可塑性樹脂と、
を含有する、卵殻粉末含有樹脂組成物。
[2]
さらに、吸着型消臭成分を含有する、[1]に記載の卵殻粉末含有樹脂組成物。
[3]
前記吸着型消臭成分は、酸化亜鉛、二酸化ケイ素と酸化亜鉛の混合物、及びゼオライト系消臭剤からなる群から選ばれた1種以上である、[2]に記載の卵殻粉末含有樹脂組成物。
[4]
卵殻粉末と、
熱可塑性樹脂と、
吸着型消臭成分と、
を含有する、卵殻粉末含有樹脂組成物。
[5]
前記吸着型消臭成分は、酸化亜鉛、二酸化ケイ素と酸化亜鉛の混合物、及びゼオライト系消臭剤からなる群から選ばれた1種以上である、[4]に記載の卵殻粉末含有樹脂組成物。
[6]
さらに、化学反応型消臭成分を含有する、[1]又は[4]に記載の卵殻粉末含有樹脂組成物。
[7]
[1]~[6]のいずれか一つに記載の卵殻粉末含有樹脂組成物から形成された成形体。
[8]
シートの形状に成形された[7]に記載の成形体。
[9]
[8]に記載の成形体の表面が膜によって被覆された積層体。
6.実施例
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、本発明の範囲はこれらの実施例のみに限定されるものでない。
本実施例において、卵殻粉末のD50粒子径、臭気は、上述の一実施形態にて説明した測定方法により求められたものである。
[実施例1]
ラボプラストミル「形式:4C150」(東洋精機製作所社製)を用い、卵殻粉末含有樹脂組成物100質量%に対し、卵殻粉末(D50粒子径26μm)51質量%、ポリプロピレン樹脂「PM900C(登録商標) MFR:30」(サンアロマー社製)48.7質量%及び製品名「シュークレンズ(登録商標)KD-211」(ラサ工業社製)0.3質量%となるように配合し、185℃、80rpmで4分間、溶融混練し、半溶融状態の卵殻粉末含有樹脂組成物を調製した。得られた卵殻粉末含有樹脂組成物を密閉容器に入れて密閉した。
表1に示されるとおりの物性(臭気抑制効果)を有した。
[実施例2]
実施例1とは、ポリプロピレン樹脂「PM900C(登録商標) MFR:30」(サンアロマー社製)48.5質量%及び製品名「シュークレンズ(登録商標)KD-211」(ラサ工業社製)0.5質量%となるように配合した点で相違するが、その他の条件及び方法は、実施例1と同一にして卵殻粉末含有樹脂組成物を得た。得られた卵殻粉末含有樹脂組成物の構成及び物性は、表1に示されるとおりの値を有した。
[実施例3]
実施例1とは、ポリプロピレン樹脂「PM900C(登録商標) MFR:30」(サンアロマー社製)48質量%及び製品名「シュークレンズ(登録商標)KD-211」(ラサ工業社製)1質量%となるように配合した点で相違するが、その他の条件及び方法は、実施例1と同一にして卵殻粉末含有樹脂組成物を得た。得られた卵殻粉末含有樹脂組成物の構成及び物性は、表1に示されるとおりの値を有した。
[実施例4]
実施例1とは、ポリプロピレン樹脂「PM900C(登録商標) MFR:30」(サンアロマー社製)46質量%及び製品名「シュークレンズ(登録商標)KD-211」(ラサ工業社製)3質量%となるように配合した点で相違するが、その他の条件及び方法は、実施例1と同一にして卵殻粉末含有樹脂組成物を得た。得られた卵殻粉末含有樹脂組成物の構成及び物性は、表1に示されるとおりの値を有した。
[実施例5]
実施例1とは、ポリプロピレン樹脂「PM900C(登録商標) MFR:30」(サンアロマー社製)44質量%及び製品名「シュークレンズ(登録商標)KD-211」(ラサ工業社製)5質量%となるように配合した点で相違するが、その他の条件及び方法は、実施例1と同一にして卵殻粉末含有樹脂組成物を得た。得られた卵殻粉末含有樹脂組成物の構成及び物性は、表1に示されるとおりの値を有した。
[実施例6]
実施例1とは、ポリプロピレン樹脂「PM900C(登録商標) MFR:30」(サンアロマー社製)46質量%及び製品名「ケスモン(登録商標)NS―30N」(東亜合成社製)3質量%となるように配合した点で相違するが、その他の条件及び方法は、実施例1と同一にして卵殻粉末含有樹脂組成物を得た。得られた卵殻粉末含有樹脂組成物の構成及び物性は、表1に示されるとおりの値を有した。
[実施例7]
実施例1とは、ポリプロピレン樹脂「PM900C(登録商標) MFR:30」(サンアロマー社製)44質量%及び製品名「ケスモン(登録商標)NS―30N」(東亜合成社製)5質量%となるように配合した点で相違するが、その他の条件及び方法は、実施例1と同一にして卵殻粉末含有樹脂組成物を得た。得られた卵殻粉末含有樹脂組成物の構成及び物性は、表1に示されるとおりの値を有した。
[実施例8]
実施例1とは、ポリプロピレン樹脂「PM900C(登録商標) MFR:30」(サンアロマー社製)47.98質量%、製品名「シュークレンズ(登録商標)KD-211」(ラサ工業社製)1質量%、及び化学反応型消臭成分として、商品名「エポリオン AL-152C」(共立製薬株式会社製)0.02質量%となるように配合した点で相違するが、その他の条件及び方法は、実施例1と同一にして卵殻粉末含有樹脂組成物を得た。得られた卵殻粉末含有樹脂組成物の構成及び物性は、表1に示されるとおりの値を有した。
[実施例9]
実施例1とは、ポリプロピレン樹脂「PM900C(登録商標) MFR:30」(サンアロマー社製)48質量%、商品名「SP#2300」(日東粉化工業株式会社製)1質量%となるように配合した点で相違するが、その他の条件及び方法は、実施例1と同一にして卵殻粉末含有樹脂組成物を得た。得られた卵殻粉末含有樹脂組成物の構成及び物性は、表1に示されるとおりの値を有した。
[比較例1]
実施例1とは、実施例1では分級により除去されたD50が135μmの粒子径を有する卵殻粉末が含まれる点で相違するが、その他の条件及び方法は、実施例1と同一にして卵殻粉末含有樹脂組成物を得た。得られた卵殻粉末含有樹脂組成物の構成及び物性は、表1に示されるとおりの値を有した。
試験結果を表1に示す。
Figure 2023002190000001
表1から、以下のことが分かる。
実施例1~9の卵殻粉末含有樹脂組成物はいずれも、卵殻粉末のD50粒子径が10μm以上50μm以下であった。そのため、実施例1~9の卵殻粉末含有樹脂組成物はいずれも、加熱時及び冷却後の臭気改善効果に優れていた。
D50粒子径が50μmよりも大きい卵殻粉末を使用する比較例1は、加熱時及び冷却後の臭気がひどく、臭気改善効果に劣ったものとなることが分かる。
[実施例10]
2軸押出機「形式:PCM30」(池貝社製)を用い、卵殻粉末含有樹脂組成物100質量%に対し、卵殻粉末(D50粒子径26μm)53.5質量%、ポリプロピレン樹脂「住友ノーブレンFL6632G」(住友化学株式会社製)44.48質量%、製品名「シュークレンズ(登録商標)KD-211」(ラサ工業社製)1質量%、商品名「エポリオン AL-152C」(共立製薬株式会社製)0.02質量%となるように配合し、190℃で、溶融混練し、卵殻粉末含有樹脂組成物(以下、実施例10の卵殻粉末含有樹脂組成物と称す)ペレットを作製した。
実施例10の卵殻粉末含有樹脂組成物ペレットをTダイ単軸押出機内「形式:LE-25-30/CV、LCR-300」(Labtech Engineering社製)に移し、連続的に押し出して、厚み460μmのシートを形成した。得られたシートの両表面を厚み20μmの高密度ポリエチレンフィルム(HDPE)「HD フィルム」(住化積水フィルム社製)で被覆したものを真空ラミネータ(LM-50X50-S 株式会社エヌ・シー・ピー)で熱ラミネート処理した。当該ラミネート処理は、120℃で行われた。当該ラミネート処理によって、厚み500μmの積層体を得た。得られた積層体を、真空成形機を用いてさらに肉厚230mmの容器を成形した。容器内側のRaは3.6であった。
[比較例2]
D50が135μmの粒子径を有する卵殻粉末を用いる点以外は実施例10と同じ組成の卵殻粉末含有樹脂組成物をTダイ単軸押出機内に移し、連続的に押し出して、厚み460μmのシートを形成した。実施例10と同じ条件及び方法で得られたシートの両表面を厚み20μmの高密度ポリエチレンフィルム(HDPE)「HD フィルム」(住化積水フィルム社製)で被覆したものを熱ラミネート処理した。当該ラミネート処理は、120℃で行われた。当該ラミネート処理によって、厚み500μmの積層体を得た。得られた積層体を、真空成形機を用いてさらに肉厚230mmの容器を成形した。容器内側のRaは6.7であった。
実施例10と比較例2を比べると卵殻粉末のD50粒子径が10μm以上50μm以下である実施例10の卵殻粉末含有樹脂組成物から成形された容器は、D50粒子径が50μmよりも大きい卵殻粉末を使用する比較例2の卵殻粉末含有樹脂組成物から成形された容器よりもRaが小さく平滑であった。
以上、本技術の実施形態及び実施例について具体的に説明したが、本技術は、上述の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態及び実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料、及び数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料、及び数値等を用いてもよい。
また、上述の実施形態及び実施例の構成、方法、工程、形状、材料、及び数値等は、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値または下限値は、他の段階の数値範囲の上限値または下限値に置き換えてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。

Claims (9)

  1. レーザ回折散乱法によって測定される体積基準の粒度分布において、累積度数が50体積%の粒子径D50が10μm以上50μm以下である卵殻粉末と、
    熱可塑性樹脂と、
    を含有する、卵殻粉末含有樹脂組成物。
  2. さらに、吸着型消臭成分を含有する、請求項1に記載の卵殻粉末含有樹脂組成物。
  3. 前記吸着型消臭成分は、酸化亜鉛、二酸化ケイ素と酸化亜鉛の混合物、及びゼオライト系消臭剤からなる群から選ばれた1種以上である、請求項2に記載の卵殻粉末含有樹脂組成物。
  4. 卵殻粉末と、
    熱可塑性樹脂と、
    吸着型消臭成分と、
    を含有する、卵殻粉末含有樹脂組成物。
  5. 前記吸着型消臭成分は、酸化亜鉛、二酸化ケイ素と酸化亜鉛の混合物、及びゼオライト系消臭剤からなる群から選ばれた1種以上である、請求項4に記載の卵殻粉末含有樹脂組成物。
  6. さらに、化学反応型消臭成分を含有する、請求項1又は4に記載の卵殻粉末含有樹脂組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一つに記載の卵殻粉末含有樹脂組成物から形成された成形体。
  8. シートの形状に成形された請求項7に記載の成形体。
  9. 請求項8に記載の成形体の表面が膜によって被覆された積層体。
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