JP2022545834A - 抗cd20抗体、抗cd37抗体、およびこれらの混合物 - Google Patents

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Abstract

本明細書で記載されるのは、抗CD20抗体、抗CD37抗体、およびこれらの混合物、ならびにこれらの抗体および混合物をコードする核酸、これらの核酸を含むベクター、およびこれらの核酸および/またはベクターを含む宿主細胞である。さらに、本明細書で記載されるのは、これらの抗体、抗体混合物、核酸、およびベクターを製造するおよび使用するための方法である。使用は、癌を含む種々の状態を治療するための治療的使用を含む。【選択図】図27

Description

発明の分野
本明細書で記載の本発明は、組み換え体抗体、それらをコードするポリヌクレオチド、およびこのような分子の製造および使用方法の分野に関する。
抗CD20および抗CD37抗体は、当該技術分野において報告され、興味深い特性を有することが明らかになっている。例えば、Heider et al.,A novel Fc-engineered monoclonal antibody to CD37 with enhanced ADCC and high proapoptotic activity for treatment of B-cell malignancies,2011,Blood 118(15):4159-4168;Manches et al.,In vitro mechanisms of action of rituximab on primary non-Hodgkin lymphomas,2003,Blood 101:949-954を参照されたい。いくつかの抗CD20抗体は臨床で使用されている。Payandeh et al.(2019),Biomed Pharmacother.109:2415-2426;2019。しかし、様々な癌を治療するために抗CD20抗体を用いた現在の臨床的経験は、多くの患者が、治療に対する初期の応答にも関わらず、抗CD20抗体治療に抵抗性になることを示している。Small G.W.et al.,Analysis of innate and acquired resistance to anti-CD20 antibodies in malignant and nonmalignant B cells,2013,Peerj.1:e31;DOI 10.7717/peerj.31。米国で臨床使用のために認可された抗CD37抗体は、現時点では存在しない。従って、改善された抗CD20および/または抗CD37抗体および/または抗CD20抗体および/または抗CD37抗体を含む、改善された治療薬が当該技術分野において求められている。
本明細書で提供されるのは、抗CD20および抗CD37抗体および少なくとも1種の抗ヒトCD20(抗hCD20)抗体および1種の抗hCD37抗体を含む抗体の混合物などの組み合わせである。一態様では、このような混合物は、単一細胞株により産生でき、その細胞株により産生された種々の抗体種の精製は、その細胞株により産生される抗体種の数を制限し得る片方または両方の抗体中の改変に起因して、不必要であり得る。両方の抗体は、霊長類、ヒト、またはヒト化IgG抗体であってよい。このような混合物は、単一宿主細胞株により産生され得る。一態様では、本明細書で記載の抗hCD20および/または抗CD37抗体は、それぞれ、ヒトCD20(hCD20)および/またはヒトCD37(hCD37)に結合できる。これらの抗体は、ヒト、霊長類、および/またはヒト化抗体であってよい。いくつかの実施形態では、これらの抗体はまた、カニクイザルCD20(カニクイザルCD20(cynoCD20))および/またはカニクイザルCD37にも結合できる。当該技術分野で知られているように、ヒト化抗体は、非ヒト生物、例えばマウスまたはキメラ抗体由来のフレームワーク領域を有する抗体に比較して、ヒトで低減された免疫原性を有し得る。しかし、ヒト化抗体はまた、非ヒト生物由来の元の抗体に比べて、低減された生物活性を有する場合がある。ヒト化抗hCD20または抗hCD37抗体、またはこれらの混合物は、例えば、抗原結合、架橋抗体の存在下および/または非存在下での直接殺細胞作用、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞障害(CDC)、B細胞の枯渇、および/またはインビトロおよび/またはインビボで腫瘍細胞殺作用などの、強い生物活性を有し得る。さらに、本明細書で記載の抗hCD20および抗hCD37抗体の混合物を含む製剤による患者の治療は、抗hCD20または抗hCD37抗体単独の製剤に比較して、高められた生物活性を有し得る。癌を治療するためにこれらの抗体混合物またはこれらの混合物をコードするポリヌクレオチドを用いる場合、抗hCD20または抗hCD37抗体を単独で使用する場合に観察される値よりも、癌の低減または除去における有効率は高くなり、および/または癌の再発率は低くなり得る。
より具体的には、本明細書で記載されるのは、抗hCD20抗体、抗hCD37抗体、およびこれらの混合物、ならびに、このような抗体および混合物をコードするポリヌクレオチドまたはこのようなポリヌクレオチドを含むベクター、ならびにこれらの抗体、抗体混合物、ポリヌクレオチド、およびベクターの製造および使用方法である。以下の番号を振った項目は、これらの組成物および方法をより詳細に説明する。
1.重鎖(HC)可変ドメイン(V)を含む重鎖(HC)および軽鎖(LC)可変ドメイン(V)を含む軽鎖(LC)を含む抗ヒトCD20(抗hCD20)抗体であって、
が、配列番号12に対して、12、11、10、9、8、7、6、または5個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、
が、配列番号8に対して、7、6、または5個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
10μg/mlの濃度の抗hCD20抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも40%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させ得る、
抗hCD20抗体。
2.VおよびVがそれぞれ、相補性決定領域1(CDR1)、CDR2、およびCDR3を含み、および
CDR1、V CDR2、V CDR3、V CDR1、V CDR2、およびV CDR3が、(a)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6のアミノ酸配列を含み、および/または(b)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目1に記載の抗hCD20抗体。
3.Vが、配列番号12に対して、4個または3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
が、配列番号8に対して、4個または3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目1または2に記載の抗hCD20抗体。
4.Vが、配列番号12に対して、2個または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
が、配列番号8に対して、2個または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目3に記載の抗hCD20抗体。
5.(a)Vが、(1)配列番号12のアミノ酸配列および/または(2)配列番号12をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)Vが、(1)配列番号8のアミノ酸配列および/または(2)配列番号8をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目4に記載の抗hCD20抗体。
6.抗hCD20抗体が、HCおよびLCを含むヒトまたはヒト化IgG抗体である、項目1~5のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体。
7.HCが、(a)配列番号24のアミノ酸配列および/または(b)配列番号24をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目6に記載の抗hCD20抗体。
8.HCが、配列番号18に対して、7個または6個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目7に記載の抗hCD20抗体。
9.HCが、配列番号18に対して、5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目8に記載の抗hCD20抗体。
10.HCが、配列番号18に対して、3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目9に記載の抗hCD20抗体。
11.HCが、配列番号18に対して、2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目10に記載の抗hCD20抗体。
12.HCが、配列番号18に対して、1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目11に記載の抗hCD20抗体。
13.HCが、(a)配列番号18のアミノ酸配列および/または(b)配列番号18をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目12に記載の抗hCD20抗体。
14.HCが、(a)配列番号36のアミノ酸配列および/または(b)配列番号36をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目7に記載の抗hCD20抗体。
15.HCが、(a)配列番号45のアミノ酸配列および/または(b)配列番号45をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目7に記載の抗hCD20抗体。
16.HCが、配列番号23に対して、12、11、10または9個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号10に対して、7個または6個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目1~7のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体。
17.HCが、配列番号23に対して、8個または7個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号10に対して、5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目16に記載の抗hCD20抗体。
18.HCが、配列番号23に対して、6、5、または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号10に対して、3個または2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目17に記載の抗hCD20抗体。
19.(a)HCが、(1)配列番号23に対し、3、2、1個以下、またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号23をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)LCが、(1)配列番号10に対して、1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号10をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目18に記載の抗hCD20抗体。
20.抗hCD20抗体のHCが、239Dおよび298Aを含み、および
HCが、配列番号35に対して、7個または6個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目6または7に記載の抗hCD20抗体。
21.HCが、配列番号35に対して、5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号10に対して、5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目20に記載の抗hCD20抗体。
22.HCが、配列番号35に対して、3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号10に対して、3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目21に記載の抗hCD20抗体。
23.HCが、配列番号35に対して、2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号10に対して、2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目22に記載の抗hCD20抗体。
24.HCが、配列番号35に対して、1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号10に対して、1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目23に記載の抗hCD20抗体。
25.(a)HCが、(1)配列番号35のアミノ酸配列および/または(2)配列番号35をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)LCが、(1)配列番号10のアミノ酸配列および/または(2)配列番号10をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目24に記載の抗hCD20抗体。
26.(a)HCが、(1)配列番号44のアミノ酸配列および/または(2)配列番号44をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)LCが、(1)配列番号10のアミノ酸配列および/または(2)配列番号10をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目20に記載の抗hCD20抗体。
27.10μg/mlの濃度の抗hCD20抗体を用いる直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも50%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させ得る、項目1~26のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体。
28.Vを含むHCおよびVを含むLCを含む抗ヒトCD37(抗hCD37)抗体であって、
が、配列番号57に対して、8、7、6、または5個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、
が、配列番号53に対して、8、7、6、5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
10μg/mlの濃度の抗hCD37抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも50%のラモス細胞を直接死滅させ得る、
抗hCD37抗体。
29.VおよびVがそれぞれ、CDR1、CDR2、およびCDR3を含み、および
CDR1、V CDR2、V CDR3、V CDR1、V CDR2、およびV CDR3が、(a)それぞれ、配列番号46、47、48、49、50および51のアミノ酸配列を含み、および/または(b)それぞれ、配列番号46、47、48、49、50および51をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目28に記載の抗hCD37抗体。
30.Vが、配列番号57に対して、4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
が、配列番号53に対して、3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目28または29に記載の抗hCD37抗体。
31.Vが、配列番号57に対して、3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
が、配列番号53に対して、2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目30に記載の抗hCD37抗体。
32.Vが、配列番号57に対して、2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
が、配列番号53に対して、1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目31に記載の抗hCD37抗体。
33.(a)Vが、(1)配列番号57に対し、1個以下、またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号57をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)Vが、(1)配列番号53のアミノ酸配列および/または(2)配列番号53をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目32に記載の抗hCD37抗体。
34.HCが、配列番号59に対して、10、9または8個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号55に対して、8個または7個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目28~33のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体。
35.HCが、配列番号59に対して、7個または6個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号55に対して、5個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目34に記載の抗hCD37抗体。
36.HCが、配列番号59に対して、5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号55に対して、4個または3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目35に記載の抗hCD37抗体。
37.HCが、配列番号59に対して、3個または2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号55に対して、2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目36に記載の抗hCD37抗体。
38.HCが、配列番号59に対して、1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号55に対して、1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目37に記載の抗hCD37抗体。
39.(a)HCが、(1)配列番号59のアミノ酸配列および/または(2)配列番号59をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)LCが、(1)配列番号55のアミノ酸配列および/または(2)配列番号55をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目38に記載の抗hCD37抗体。
40.HCが34Vを含み、LCが31Nを含む、項目28または34に記載の抗hCD37抗体。
41.HCが147D、170C、173C、220G、および399Rを含み、LCが131K、160C、162C、および214Sを含む、項目28、34または40に記載の抗hCD37抗体。
42.(a)HCが、(1)配列番号65に対し、4、3、2、1個以下、またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号65をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)LCが、(1)配列番号61に対して、4、3、2、1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号61をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目40または41に記載の抗hCD37抗体。
43.(a)HCが、(1)配列番号67または71に対し、4、3、2、1個以下、またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号67または71をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)LCが、(1)配列番号63または69に対して、4、3、2、1個以下の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号63または69をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目42に記載の抗hCD37抗体。
44.HCが34Lおよび64Qを含み、LCが53Sおよび93Eを含む、
項目28または34に記載の抗hCD37抗体。
45.(a)Vが、(1)配列番号77に対し、4、3、2、1個以下、またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号77をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)Vが、(1)配列番号73に対して、4、3、2、1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号73をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目44に記載の抗hCD37抗体。
46.(a)HCが、(1)配列番号79または83に対し、4、3、2、1個以下、またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号79または83をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)LCが、(1)配列番号75または81に対して、4、3、2、1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号75または81をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目45に記載の抗hCD37抗体。
47.項目1~27のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体および項目28~46のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体を含む、抗体の混合物。
48.抗hCD20抗体および抗hCD37抗体以外の主要抗体種を含まない、項目47に記載の混合物。
49.項目1~27のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体および項目28~46のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体、または項目47または48に記載の抗体の混合物を製造するための方法であって、
抗hCD20抗体、抗hCD37抗体、または抗体の混合物をコードする1種または複数のDNAを宿主細胞中に導入するステップ、
宿主細胞を培養するステップ、および
抗体または抗体の混合物を細胞集団からまたは細胞培養上清から回収するステップ、
を含む、方法。
50.宿主細胞が、CHO細胞またはマウス骨髄腫細胞である、項目49に記載の方法。
51.項目1~27のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体および項目28~46のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体、または項目47または48に記載の抗体の混合物をコードする1種または複数のポリヌクレオチド。
52.項目51に記載のポリヌクレオチドを含む1種または複数のベクター。
53.ウイルスベクターである、項目52に記載のベクター。
54.腫瘍溶解性ウイルスベクターである、項目53に記載のベクター。
55.レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ワクシニアウイルス、改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、麻疹ウイルス、コクサッキーウイルス、ニューカッスル病ウイルス、レオウイルス、および/またはポックスウイルスベクターである、項目54に記載のベクター。
56.項目51に記載のポリヌクレオチドまたは項目52に記載のベクターを含む宿主細胞。
57.哺乳動物細胞である、項目56に記載の宿主細胞。
58.CHO細胞またはマウス骨髄腫細胞である、項目57に記載の宿主細胞。
59.項目1~27のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体、項目28~46のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体、項目47または48に記載の抗体の混合物、項目51に記載のポリヌクレオチド、または項目52~55のいずれか1項に記載のベクターを含む、医薬組成物。
60.IgG抗体のHCが、配列番号24のアミノ酸配列および/または配列番号24をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、ヒトまたはヒト化IgG抗体。
61.IgG抗体のHCが、配列番号36のアミノ酸配列に対して、6、5、4、または3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目60に記載のIgG抗体。
62.IgG抗体のHCが、配列番号36のアミノ酸配列に対して、3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目61に記載のIgG抗体。
63.IgG抗体のHCが、配列番号36のアミノ酸配列に対して、2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目62に記載のIgG抗体。
64.IgG抗体のHCが、配列番号36のアミノ酸配列に対して、1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目63に記載のIgG抗体。
65.IgG抗体のHCが、配列番号36のアミノ酸配列および/または配列番号36をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目64に記載のIgG抗体。
66.IgG抗体のHCが、配列番号45のアミノ酸配列および/または配列番号45をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目60または61に記載のIgG抗体。
67.項目1~27のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体、項目28~46のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体、項目47または48に記載の抗体の混合物、項目51に記載のポリヌクレオチド、または項目52~55のいずれか1項に記載のベクターを患者に投与するステップを含む、癌またはB細胞媒介疾患を有する患者を治療するための方法。
68.患者が、癌を有する、項目67に記載の方法。
69.癌が、B細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)または慢性リンパ性白血病(CLL)である、項目68に記載の方法。
70.癌が、B-NHLであり、B-NHLが、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、粘膜関連リンパ組織のリンパ腫(MALTリンパ腫)、バーキットリンパ腫、またはマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される、項目69に記載の方法。
71.患者が、B細胞媒介疾患を有する、項目67に記載の方法。
72.B細胞媒介疾患が、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、および多発性硬化症からなる群より選択される、項目71に記載の方法。
73.Vを含むHC、およびVを含むLCを含む抗hCD20抗体であって、
が、配列番号12に対して、12、11、10、9、8、7、6、または5個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、
が、配列番号8に対して、7、6、または5個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
5、4、3、2、または1.5nM以下の最大応答の50%(EC50)を与える濃度で、架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイにおいてWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができ、および/またはアッセイで10μg/mlの濃度の抗hCD20抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも20%、30%、または40%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる、
抗hCD20抗体。
74.1.0nM以下のEC50で、架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイにおいてWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができ、および/またはアッセイで10μg/mlの濃度の抗hCD20抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも30%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる、項目73に記載の抗hCD20抗体。
75.0.6nM以下のEC50で、架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイにおいてWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができ、および/またはアッセイで10μg/mlの濃度の抗hCD20抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも40%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる、項目74に記載の抗hCD20抗体。
76.0.45nM以下のEC50で、架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイにおいてWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができ、および/またはアッセイで10μg/mlの濃度の抗hCD20抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも40%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる、項目75に記載の抗hCD20抗体。
77.VおよびVがそれぞれ、CDR1、CDR2、およびCDR3を含み、および
CDR1、V CDR2、V CDR3、V CDR1、V CDR2、およびV CDR3が、(a)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6のアミノ酸配列を含み、および/または(b)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目73~76のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体。
78.Vが、配列番号12に対して、4個または3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
が、配列番号8に対して、4個または3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目73~77のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体。
79.Vが、配列番号12に対して、2個または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
が、配列番号8に対して、2個または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目78に記載の抗hCD20抗体。
80.(a)Vが、(1)配列番号12のアミノ酸配列および/または(2)配列番号12をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)Vが、(1)配列番号8のアミノ酸配列および/または(2)配列番号8をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目79に記載の抗hCD20抗体。
81.抗hCD20抗体が、ヒトまたはヒト化IgG抗体である、項目73~80のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体。
82.HCが、(a)配列番号24のアミノ酸配列および/または(b)配列番号24をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目81に記載の抗hCD20抗体。
83.HCが、配列番号18に対して、7個または6個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目82に記載の抗hCD20抗体。
84.HCが、配列番号18に対して、5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目83に記載の抗hCD20抗体。
85.HCが、配列番号18に対して、3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目84に記載の抗hCD20抗体。
86.HCが、配列番号18に対して、2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目85に記載の抗hCD20抗体。
87.HCが、配列番号18に対して、1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目86に記載の抗hCD20抗体。
88.HCが、(a)配列番号18のアミノ酸配列および/または(b)配列番号18をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目73~76のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体。
89.HCが、(a)配列番号36のアミノ酸配列および/または(b)配列番号36をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目82に記載の抗hCD20抗体。
90.HCが、(a)配列番号45のアミノ酸配列および/または(b)配列番号45をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目82に記載の抗hCD20抗体。
91.HCが、配列番号23に対して、12、11、10または9個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号10に対して、7個または6個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目73~82のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体。
92.HCが、配列番号23に対して、8個または7個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号10に対して、5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目91に記載の抗hCD20抗体。
93.HCが、配列番号23に対して、6、5、または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号10に対して、3個または2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目92に記載の抗hCD20抗体。
94.(a)HCが、(1)配列番号23に対し、3、2、1個以下、またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号23をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)LCが、(1)配列番号10に対して、1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号10をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目93に記載の抗hCD20抗体。
95.抗hCD20抗体のHCが、239Dおよび298Aを含み、および
HCが、配列番号35に対して、7個または6個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目81または82に記載の抗hCD20抗体。
96.HCが、配列番号35に対して、5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号10に対して、5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目95に記載の抗hCD20抗体。
97.HCが、配列番号35に対して、3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号10に対して、3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目96に記載の抗hCD20抗体。
98.HCが、配列番号35に対して、2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号10に対して、2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目97に記載の抗hCD20抗体。
99.HCが、配列番号35に対して、1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号10に対して、1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目98に記載の抗hCD20抗体。
100.(a)HCが、(1)配列番号35のアミノ酸配列および/または(2)配列番号35をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)LCが、(1)配列番号10のアミノ酸配列および/または(2)配列番号10をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目99に記載の抗hCD20抗体。
101.(a)HCが、(1)配列番号44のアミノ酸配列および/または(2)配列番号44をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)LCが、(1)配列番号10のアミノ酸配列および/または(2)配列番号10をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目95に記載の抗hCD20抗体。
102.0.40nM以下のEC50で、架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイにおいてWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる、項目73~101のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体。
103.Vを含むHCおよびVを含むLCを含む抗hCD37抗体であって、
が、配列番号57に対して、8、7、6、または5個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、
が、配列番号53に対して、8、7、6、5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
5、4、または3nM以下のEC50で、架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイにおいてラモス細胞を直接死滅させることができ、および/または10μg/mlの濃度の抗hCD37抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも40%、または50%のラモス細胞を直接死滅させることができる、
抗hCD37抗体。
104.2nM以下のEC50で、架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイにおいてラモス細胞を直接死滅させることができ、および/または10μg/mlの濃度の抗hCD37抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも50%のラモス細胞を直接死滅させることができる、項目103に記載の抗hCD37抗体。
105.1nM以下のEC50で、架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイにおいてラモス細胞を直接死滅させることができ、および/または10μg/mlの濃度の抗hCD37抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも60%のラモス細胞を直接死滅させることができる、項目104に記載の抗hCD37抗体。
106.VおよびVがそれぞれ、CDR1、CDR2、およびCDR3を含み、および
CDR1、V CDR2、V CDR3、V CDR1、V CDR2、およびV CDR3が、(a)それぞれ、配列番号46、47、48、49、50および51のアミノ酸配列を含み、および/または(b)それぞれ、配列番号46、47、48、49、50および51をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目103~105のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体。
107.Vが、配列番号57に対して、4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
が、配列番号53に対して、3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目103~106のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体。
108.Vが、配列番号57に対して、3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
が、配列番号53に対して、2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目107に記載の抗hCD37抗体。
109.Vが、配列番号57に対して、2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
が、配列番号53に対して、1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目108に記載の抗hCD37抗体。
110.(a)Vが、(1)配列番号57に対し、1個以下、またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号57をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)Vが、(1)配列番号53のアミノ酸配列および/または(2)配列番号53をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目109に記載の抗hCD37抗体。
111.HCが、配列番号59に対して、10、9または8個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号55に対して、8個または7個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目103~110のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体。
112.HCが、配列番号59に対して、7個または6個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号55に対して、5個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目111に記載の抗hCD37抗体。
113.HCが、配列番号59に対して、5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号55に対して、4個または3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目112に記載の抗hCD37抗体。
114.HCが、配列番号59に対して、3個または2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号55に対して、2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目113に記載の抗hCD37抗体。
115.HCが、配列番号59に対して、1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
LCが、配列番号55に対して、1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
項目114に記載の抗hCD37抗体。
116.(a)HCが、(1)配列番号59のアミノ酸配列および/または(2)配列番号59をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)LCが、(1)配列番号55のアミノ酸配列および/または(2)配列番号55をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目115に記載の抗hCD37抗体。
117.HCが34Vを含み、LCが31Nを含む、項目103または111に記載の抗hCD37抗体。
118.HCが、147D、170C、173C、220G、および409Rを含み、LCが、131K、160C、162C、および214Sを含む、項目103、111または117に記載の抗hCD37抗体。
119.(a)HCが、(1)配列番号65に対し、4、3、2、1個以下、またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号65をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)LCが、(1)配列番号61に対して、4、3、2、1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号61をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目117または118に記載の抗hCD37抗体。
120.(a)HCが、(1)配列番号67または71に対し、4、3、2、1個以下、またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号67または71をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)LCが、(1)配列番号63または69に対して、4、3、2、1個以下の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号63または69をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目119に記載の抗hCD37抗体。
121.HCが、34Lおよび64Qを含み、LCが、53Sおよび93Eを含む、項目103または111に記載の抗hCD37抗体。
122.(a)Vが、(1)配列番号77に対し、4、3、2、1個以下、またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号77をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)Vが、(1)配列番号73に対して、4、3、2、1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号73をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目121に記載の抗hCD37抗体。
123.(a)HCが、(1)配列番号79または83に対し、4、3、2、1個以下、またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号79または83をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
(b)LCが、(1)配列番号75または81に対して、4、3、2、1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号75または81をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
項目122に記載の抗hCD37抗体。
124.項目73~102のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体および項目103~123のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体を含む抗体の混合物。
125.抗hCD20抗体および抗hCD37抗体以外の主要抗体種を含まない、項目124に記載の混合物。
126.抗hCD20抗体が、項目100または101の抗CD20抗体であり、
抗hCD37抗体が、項目120または123の抗CD37抗体である、
項目124または125に記載の混合物。
127.項目73~102のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体、項目103~123のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体、または項目124~126のいずれか1項に記載の抗体の混合物を製造するための方法であって、
抗hCD20抗体、抗hCD37抗体、または抗体の混合物をコードする1種または複数のDNAを含む宿主細胞を培養するステップ、および
抗hCD20抗体、抗hCD37抗体、または抗体の混合物を細胞集団からまたは細胞培養上清から回収するステップ、
を含む、方法。
128.宿主細胞が、CHO細胞またはマウス骨髄腫細胞である、項目127に記載の方法。
129.項目73~102のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体、項目103~123のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体、または項目124~126のいずれか1項に記載の抗体の混合物をコードする1種または複数のポリヌクレオチド。
130.項目129に記載のポリヌクレオチドを含む1種または複数のベクター。
131.ウイルスベクターである、項目130に記載のベクター。
132.腫瘍溶解性ウイルスベクターである、項目131に記載のベクター。
133.レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ワクシニアウイルス、改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、麻疹ウイルス、コクサッキーウイルス、ニューカッスル病ウイルス、レオウイルス、および/またはポックスウイルスベクターである、項目132に記載のベクター。
134.項目129に記載のポリヌクレオチドまたは項目130に記載のベクターを含む宿主細胞。
135.哺乳動物細胞である、項目134に記載の宿主細胞。
136.CHO細胞またはマウス骨髄腫細胞である、項目135に記載の宿主細胞。
137.項目73~102のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体、項目103~123のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体、項目124~126のいずれか1項に記載の抗体の混合物、項目129に記載のポリヌクレオチド、または項目130~133のいずれか1項に記載のベクターを含む医薬組成物。
138.IgG抗体のHCが、配列番号24のアミノ酸配列および/または配列番号24をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、ヒトまたはヒト化IgG抗体。
139.IgG抗体のHCが、配列番号36のアミノ酸配列に対して、6、5、4、または3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目138に記載のIgG抗体。
140.IgG抗体のHCが、配列番号36のアミノ酸配列に対して、3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目139に記載のIgG抗体。
141.IgG抗体のHCが、配列番号36のアミノ酸配列に対して、2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目140に記載のIgG抗体。
142.IgG抗体のHCが、配列番号36のアミノ酸配列に対して、1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、項目141に記載のIgG抗体。
143.IgG抗体のHCが、配列番号36のアミノ酸配列および/または配列番号36をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目142に記載のIgG抗体。
144.IgG抗体のHCが、配列番号45のアミノ酸配列および/または配列番号45をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、項目138または139に記載のIgG抗体。
145.項目73~102のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体、項目103~123のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体、項目124~126のいずれか1項に記載の抗体の混合物、項目129に記載のポリヌクレオチド、または項目130~133のいずれか1項に記載のベクターを患者に投与するステップを含む、癌またはB細胞媒介疾患を有する患者を治療するための方法。
146.患者が、癌を有する、項目145に記載の方法。
147.患者が、抗hCD20抗体、抗hCD37抗体、抗体の混合物、ポリヌクレオチド、またはベクターの投与の前に、その後に、またはそれと同時に放射線または化学療法剤により治療される、項目146に記載の方法。
148.癌が、B細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)または慢性リンパ性白血病(CLL)である、項目146または147に記載の方法。
149.癌が、B-NHLであり、B-NHLが、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、粘膜関連リンパ組織のリンパ腫(MALTリンパ腫)、バーキットリンパ腫、またはマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される、項目148に記載の方法。
150.患者が、B細胞媒介疾患を有する、項目145に記載の方法。
151.B細胞媒介疾患が、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、および多発性硬化症からなる群より選択される、項目150に記載の方法。
抗CD20抗体の可変ドメインのアミノ酸配列アラインメント。パネルA、トシツモマブ(キメラ抗hCD20抗体;最上行)、抗hCD20 Ab1(「aCD20 Ab1」と標識される、本明細書で記載のヒト化抗hCD20抗体;2行目)、トシツモマブのCDRおよび以下に記載のヒト生殖系列のフレームワーク領域を有するCDRグラフト化抗CD20抗体(「CDRグラフト」と標識される、3行目)、およびIGHV1-4601およびIGHD1-101およびIGHJ301によりコードされるアミノ酸配列を含むアセンブルされたヒト生殖系列(「生殖系列」と標識、最下行)のVのアミノ酸配列アラインメント。パネルB、トシツモマブ(最上行)、抗hCD20 Ab1(2行目)、トシツモマブのCDRおよび以下に記載のヒト生殖系列のフレームワーク領域を有するCDRグラフト化抗CD20抗体(3行目)、およびIGKV6-2102およびIGKJ201によりコードされるアミノ酸配列を含むアセンブルされたヒト生殖系列(最下行)のVのアミノ酸配列アラインメント。抗体は、パネルAでのように特定される。両方のパネルのナンバリングは、Kabatらに従う。Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,Public Health Service,National Institutes of Health,NIH Publication No.91-3242,1991。「#」で標識される位置は、全可変領域中でその位置がアミノ酸で満たされていないために、追加の番号が割り付けられていない位置である。例えば、V中の次の位置82は、それらの上に「#」が付けられている3個のアミノ酸である。これらは、本明細書では、82a、82b、および82cと呼ばれる。他の追加のアミノ酸は、同様にして番号が付けられる。CDRは、両方のパネルで、標識され、太字で示される。示されるCDRは、重鎖(HC)CDR1がアミノ酸31~35(Kabatら(前出)、により定義されている)に加えてアミノ酸26~30を含むこと以外は、Kabatら(前出)の定義と一致する。両パネルの2行目で、太字、下線で示される残基は、実施例1で説明されるように、CDRグラフト化配列中に存在するものからトシツモマブのマウス配列中に存在するものに変更された抗hCD20 Ab1 VまたはV配列中の位置である。パネルA中のaCD20 Ab1 Vの位置16のイタリックの太字のセリン残基は、予測される立体障害を減らすために導入された。パネルA中のaCD20 Ab1 VのCDR2中の太字、下線、イタリックのグルタミン残基(Q)は、この残基の予測される突出を減らすために導入された。両方のパネルで、整列された配列の下の記号の行は、次記を表す:アスタリスク(*)は、残基が全ての配列で同じであることを意味する;ドット(.)またはコロン(:)は、配列がこの位置で保存的に変化することを示し、コロンは、ドットより類似性が大きいことを示す;記号なし(または空白)は、この位置のアミノ酸が非保存的に異なることを示す。ヒト化工程の詳細は、実施例1に記載される。 パネルA。抗hCD20 Ab1のラージ腫瘍細胞への結合。実施例2で記載のように、細胞および試験抗体または対照抗体が、混合され、細胞に対する結合が、蛍光活性化細胞分取(FACS)分析により検出された。x軸は、幾何平均蛍光強度(Geo MFI、これは結合強度の尺度である)を示し、y軸は、細胞数を示し、所与のGeo MFIで結合する細胞の数を示す。実線で輪郭が描かれ、濃い灰色で塗りつぶされた左側のピークは、細胞へのヒトIgG1アイソタイプ対照(これは陰性対照である)の結合を示す。実線で輪郭が描かれ、濃い灰色で塗りつぶされた右側のピークは、細胞へのリツキシマブ(IgG1 抗hCD20抗体:陽性対照)の結合を示す。点線で輪郭が描かれたピークは、オビヌツズマブ(IgG1 抗hCD20抗体:陽性対照)の結合を示す。薄灰色で塗りつぶされたピークは、細胞への抗hCD20 Ab1(本明細書で記載のヒト化IgG1 抗hCD20抗体)の結合を示す。パネルB.抗CD20抗体によるラージ細胞の直接殺作用。方法は、実施例2で記載される。x軸は、次記の試験抗体を意味する:1、リツキシマブ;2、オビヌツズマブ;3、抗hCD20 Ab1;および4、ヒトIgG1抗体(細胞を死滅させると予測されない、陰性対照抗体)。各群の2本のバーの縦線の左側のバーは、96ウェルマイクロタイタープレートからのデータを示し、各群の2本のバーの横線の右側のバーは、48ウェルマイクロタイタープレートからのデータを示す。y軸は、検出された芽球細胞の数(芽球細胞#)を示し、これは、細胞死滅の程度を示す(より小さい数字は、より多くの細胞死滅を示す)。このアッセイは、架橋抗体の非存在下で実施された。 抗hCD20 Ab1のバリアントの種々のヒト腫瘍細胞株への結合。パネルA、B、CおよびDは、それぞれ、WSU-DLCL2腫瘍細胞、ラージ細胞、ラモス細胞、およびラモス細胞からのデータを示す。x軸は、試験した(10マイクログラム/ミリリットル(μg/mL)で)次の抗体を示す:T1、抗hCD20 Ab1-T1;T2、抗hCD20 Ab1-T2;T3、抗hCD20 Ab1-T3;T4、抗hCD20 Ab1-T4;T5、抗hCD20 Ab1-T5;T6、抗hCD20 Ab1-T6;T7、抗hCD20 Ab1-T7;T8、抗hCD20 Ab1-T8;TS(トシツモマブの可変ドメインを含むキメラ抗CD20、これは以下でさらに詳細に定義される);OB、オビヌツズマブ;G1、ヒトIgG1(陰性対照);-、抗体なし;およびRX、リツキシマブ。パネルDは、このアッセイの種々のベンチマーク抗体の活性を比較するために提供される。方法は、実施例1および3で記載される。Geo MFI(結合強度の指標)は、y軸に示される。パネルA~Cでは、バーを塗りつぶしたチェッカーボードパターンには特に意味はない。パネルDでは、各群の2本のバーは、1μg/mlの抗体を含む試料(左側の縦線のバー)または10μg/mlの抗体を含む試料(右側の横線のバー)からのデータを示す。 架橋抗体の存在または非存在下での抗hCD20 Ab1バリアントによる腫瘍細胞株の直接殺細胞作用。方法は、実施例2および3で記載される。全パネルにおいて、各群の2本のバーは、ポリクローナルヤギ抗ヒト抗体で架橋された試料、すなわち、「架橋抗体」(チェッカーボードパターンで塗りつぶした左側のバー)または架橋されていない試料(右側の横線のバー)からのデータを示す。各試料で使用される抗体は、パネルA~Cに対し、パネルCのx軸上で、次のように特定される:T1、抗hCD20 Ab1-T1;T2、抗hCD20 Ab1-T2;T3、抗hCD20 Ab1-T3;T4、抗hCD20 Ab1-T4;T5、抗hCD20 Ab1-T5;T6、抗hCD20 Ab1-T6;T7、抗hCD20 Ab1-T7;T8、抗hCD20 Ab1-T8;TS;OB、オビヌツズマブ;G1、ヒトIgG1(陰性対照);および-、抗体なし。y軸は、芽球細胞数(芽球細胞#)を示し、これは、細胞死滅を示し、より小さい数字は、より多くの細胞死滅を示す。パネルA、B、およびCでは、使用細胞は、それぞれ、WSU-DLCL2腫瘍細胞、ラージ細胞、およびラモス細胞であった。 改変された定常ドメインを有する抗hCD20 Ab1のバリアントの結合および直接殺細胞作用。パネルAは、WSU-DLCL2細胞に対する結合に関するデータを示し、パネルBは、架橋抗体の非存在下で実施される直接WSU-DLCL2細胞死滅アッセイの結果を示す。方法は、実施例2および4で記載される。両パネルにおいて、試料に使用された抗体は、x軸に沿って次のように示される:TS;T7、抗hCD20 Ab-T7;1.1、抗hCD20 Ab1.1;1.2、抗hCD20 Ab1.2;1.3、抗hCD20 Ab1.3;1.4、抗hCD20 Ab1.4;および-、抗体なし。y軸は、パネルAでは、Geo MFIを示し、パネルBでは、芽球細胞数(芽球細胞#)を示す。 漸増濃度での改変定常ドメインを有する抗hCD20 Ab1バリアントの架橋抗体なしでの直接殺細胞作用活性。濃度(nM)は、x軸に示され、芽球細胞数(芽球細胞#)は、y軸に示される。試料中の抗体の識別は、G1が陰性対照としてし使用されるヒトIgG1抗体を示すこと以外は、図5と同様に示される。パネルAおよびBは、それぞれ、WSU-DLCL2細胞およびラモス細胞由来のデータを示す。方法および実験は、実施例2および4で記載される。 抗hCD20 Ab1.2のバリアントのエフェクター機能。パネルAは、WSU-DLCL2を標的細胞として、およびNK細胞をエフェクター細胞として使用する抗体依存性細胞傷害(ADCC)のアッセイ結果を示す。抗体濃度(nM)を、x軸に、パーセント特異的細胞障害性(%特異的細胞障害性)を、y軸に示す。抗体名は、パネルAでは凡例中で次のように略記される:RX、リツキシマブ;1.2、抗hCD20 Ab1.2;1.2.1、抗hCD20 Ab1.2.1;1.2.2、抗hCD20 Ab1.2.2;1.2.3、抗hCD20 Ab1.2.3;1.2.4、抗hCD20 Ab1.2.4;およびG1、陰性アイソタイプ対照として使われるヒトIgG1。アイソタイプ対照は、最高濃度(10nM)でのみ試験された。パネルBは、WSU-DLCL2細胞を標的細胞としておよびウサギ血清により供給された補体を使用する補体依存性細胞障害(CDC)アッセイの結果を示す。抗体濃度(nM)は、x軸に沿って示され、y軸は、死細胞のパーセンテージ(%死細胞)を示し、これは、細胞傷害性の指標である。抗体名は、抗体なしの加熱不活性化したウサギ補体を含む試料がHI(30nMでのみ試験された)で示され、オビヌツズマブがOBとして略記されること以外は、パネルAで示すように略記される。実験は、実施例5で記載される。 抗CD37抗体可変ドメイン配列のアライメント。パネルA、G28.1(「G28.1」と標識される、マウス抗hCD37抗体;最上行)、抗hCD37 Ab1(「aCD37 Ab1」と標識される、本明細書で記載のヒト化抗hCD37抗体;2行目)、G28.1のCDRおよび以下に記載のヒト生殖系列のフレームワーク領域を有するCDRグラフト化抗CD37抗体(「CDRグラフト」と標識される、3行目)、およびIGHV1-301およびIGHD1-2601およびIGHJ401によりコードされるアミノ酸配列を含むアセンブルされたヒト生殖系列(「生殖系列」と標識される、最下行)のVのアミノ酸配列アラインメント。パネルB、G28.1(最上行)、抗hCD37 Ab1(2行目)、G28.1のCDRおよび以下に記載のヒト生殖系列のフレームワーク領域を有するCDRグラフト化抗CD37抗体(3行目)、およびIGKV1-2701およびIGKJ401によりコードされるアミノ酸配列を含むアセンブルされたヒト生殖系列(最下行)のVのアミノ酸配列アラインメント。抗体は、パネルAでのように特定される。両方のパネルのナンバリングは、Kabatらに従う。Kabat et al.,同上。「#」は図1と同じ意味を有する。太字は、CDRの位置を示す。太字、下線は、そこで抗CD37 Ab1のアミノ酸配列がCDRグラフト化抗CD37抗体のものとは異なり、G28.1のものと同じである、位置を示す。イタリック、太字は、立体障害を最少化すると予測される置換が抗CD37 Ab1中に導入された位置を示す。太字、下線、イタリックは、抗体の表面をよりスムーズにするための導入置換が抗CD37 Ab1中に導入された位置を示す。両パネルにおいて、整列配列の下の略号の行は、図1の簡単な説明で説明されたものと同じ意味を有する。ヒト化工程の詳細は、実施例6に記載される。 抗CD37抗体の腫瘍細胞株への結合。方法は、実施例2および7で記載される。パネルCのx軸は、次のように、全パネル中で試験される抗体を示す:OB、オビヌツズマブ、ヒト化抗hCD20抗体;G28.1、キメラ抗hCD37抗体;H37、G28.1由来ヒト化抗hCD37抗体;Ab1、本明細書の実施例6で記載のヒト化抗hCD37 Ab1;およびG1、アイソタイプ対照として使用されるヒトIgG1抗体。y軸は、図にあるように、Geo MFIを示す。パネルA、B、およびCは、それぞれ、WSU-DLCL2腫瘍細胞、ラージ細胞、およびラモス細胞からのデータを示す。 抗hCD37 Ab1のバリアントによる直接殺細胞作用。方法は、実施例2および7で記載される。両パネルの試験抗体の識別は、パネルBのx軸の下に、図9に記載の説明と同様に示される。図に示すように、y軸は、芽球細胞数(芽球細胞#)を示し、これは、細胞死滅を示す(より小さい数字は、より多くの細胞死滅を示す)。両パネルにおいて、各群の2本のバーは、ポリクローナルヤギ抗ヒトFc抗体で架橋された試料、すなわち、「架橋抗体」(左側の縦線のバー)または架橋されていない試料(右側の横線のバー)からのデータを示す。パネルAおよびBは、それぞれ、WSU-DLCL2細胞およびラージ細胞由来のデータを示す。 ラモス細胞における抗hCD20および抗hCD37抗体による直接殺細胞作用。方法は、実施例2および7で記載される。両パネルで示される結果は、ラモス細胞由来である。使用した抗体は、抗体添加なしの試料がダッシュ(-)により特定されること以外は、図9の記載で説明されたように識別される。架橋抗体有りおよびなしの試料は、図10の記載で説明されたように識別される。パネルAは、抗体の添加の24時間後の結果を示す。パネルBは、抗体の添加の72時間後の結果を示す。 FACS分析によるカニクイザルCD37(cynoCD37)への結合についての抗hCD37 Ab1 IgG1変異体のバリアントの試験。方法は、実施例8で記載され、これは、抗hCD37 Ab1のバリアントについても記載する。手短に説明すると、カニクイザル末梢血単核球(PBMC)を、(1)APC標識マウス抗hCD20抗体(これは、カニクイザルCD20にも結合し得る)、(2)抗hCD37 Ab1またはそのバリアント、および(3)フルオレセインイソチオシアネート標識(FITC標識)マウス抗ヒトIgG Fc特異的抗体、と混合した。処理後、これらの細胞をFACSで分析した。CD20細胞を、ボックス領域で示されるように、ゲートアウトし、このサブセットの細胞への抗CD37抗体の結合を、評価した。x軸は、FITC蛍光強度を示し、FITCのより高い強度は、細胞への抗CD37抗体のより強力な結合を示す。y軸は、APC蛍光強度を示し、そのより高い強度は、細胞への抗CD20抗体のより強力な結合を示す。示されるように、パネルで分析した抗体は次の通りであった:パネルA、抗hCD37 Ab1;パネルB、抗hCD37 Ab1.A1;パネルC、抗hCD37 Ab1.D11;パネルD、抗hCD37 Ab1.H7;パネルE、抗hCD37 Ab1.N12;およびパネルF、抗hCD37 Ab1.N19。 抗hCD37 Ab1.A1のヒトおよびカニクイザルCD19細胞への結合。方法は、実施例8で記載される。手短に説明すると、抗hCD37 Ab1.A1のAPC標識バージョンまたはIgG1アイソタイプ対照抗体を、ヒトまたはカニクイザルPBMCおよびFITC標識抗CD19抗体と、種々の濃度で混合した。処理後、FACS分析を、ゲート制御CD19細胞集団に対し実施して、これらの細胞への抗hCD37 Ab1.A1またはアイソタイプ対照の結合強度を測定した。x軸は、抗hCD37 Ab1.A1またはアイソタイプ対照IgG1抗体の濃度を示す。y軸は、CD19細胞、すなわち、B細胞中のAPC蛍光による幾何学的MFIを示す。略号は、次記を意味する:実線で連結された中実円、抗hCD37 Ab1.A1+カニクイザルPBMC;実線で連結された中実四角、アイソタイプ対照IgG1抗体+カニクイザルPBMC;実線で連結された中実上向き三角形、抗hCD37 Ab1.A1+ヒトPBMC;および実線で連結された中実下向き三角形、アイソタイプ対照IgG1抗体+ヒトPBMC。 抗hCD37 Ab1のバリアントの直接殺細胞作用活性。使用抗体は、各パネルの凡例中に記載され、これらの抗体は、実施例8で記載される。アッセイは、架橋抗体なしで実施された。図に示すように、x軸は、抗体濃度(nM)を示し、y軸は、芽球細胞数を示す。パネルAは、WSU-DLCL2細胞を用いたデータを示し、パネルBは、ラモス細胞を用いたデータを示す。 抗hCD20 Ab1.2.2のヒトおよびカニクイザルB細胞への結合。方法は、実施例9で記載される。手短に説明すると、APC標識抗hCD20 Ab1.2.2またはアイソタイプ対照抗体を、FITC標識抗CD19抗体と共に、ヒトまたはカニクイザルPBMCと混合し、FACSにより分析してゲート制御CD19細胞(すなわち、B細胞)集団中のAPC蛍光(抗hCD20 Ab1.2.2またはアイソタイプ対照の結合に起因する)を検出した。50μg/ml(パネルA)または10μg/ml(パネルB)の抗hCD20 Ab1.2.2またはアイソタイプ対照抗体のいずれかを使用した。両パネル中のx軸は、APC蛍光のGeo MFIを示す(APC-Aと標識)。y軸は、細胞数を示す。両パネル中の点線は、抗hCD20 Ab1.2.2と混合されたヒトCD19細胞からのデータを示す。両パネル中の実線は、抗hCD20 Ab1.2.2と混合されたカニクイザルCD19細胞からのデータを示す。両パネル中の破線で確定され、灰色で塗られたピークは、アイソタイプ対照抗体と混合されたヒトCD19細胞からのデータを示す。 抗hCD20 Ab1.2.2および抗hCD37 Ab1.A1のキャラクタリゼーション。実験は、実施例10で記載される。パネルAは、ラージ細胞への抗hCD20 Ab1.2.2 IgG、オビヌツズマブ(ガザイバ(登録商標)、IgG1 抗hCD20抗体)、リツキシマブ(リツキサン(登録商標)、IgG1 抗hCD20抗体)、およびIgG1 アイソタイプ対照抗体(huIgG1と標識)の結合を示す。x軸は、抗体濃度(nM)を示し、y軸は、結合能力(Geo MFI)を示す。パネルBは、抗hCD20 Ab1.2.2、抗hCD37 Ab1.A1、またはIgG1アイソタイプ対照抗体(huIgG1と標識)の存在下で、NK細胞によるラージ細胞の死滅を評価するADCCアッセイの結果を示す。抗体濃度(nM)を、x軸に、パーセント特異的細胞障害性をy軸に示す。実験は、実施例10で記載される。 抗hCD20 Ab1.2.2および抗hCD37 Ab1.A1の間で、非同族LC/HC対形成の程度を評価するための、一過的に遺伝子導入したEXPI293(商標)細胞由来の上清のウェスタンブロット。実験は、実施例11で記載される。左のブロットおよび右のブロットは、並行してに実験した二重の試料(1は1’の重複物である、等々)を含む。レーン1および1’の遺伝子導入細胞上清は、抗hCD20 Ab1.2.2のLCおよびHC(LC1およびHC1)をコードするプラスミドDNAを含む細胞に由来した。レーン4および4’の遺伝子導入細胞上清は、抗hCD37 Ab1.A1のLCおよびHC(LC2およびHC2)をコードするプラスミドDNAを含む細胞に由来した。レーン2および2’の遺伝子導入細胞上清は、HC1およびLC2をコードするプラスミドDNAを含む細胞に由来した。レーン3および3’の遺伝子導入細胞上清は、LC1およびHC2をコードするプラスミドDNAを含む細胞に由来した。レーン5および5’の遺伝子導入細胞上清は、抗Her2抗体トラスツズマブのLCおよびHCをコードするプラスミドDNAを含む細胞に由来した。HCおよびLCまたはトラスツズマブのアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号89および87で見つけることができる。 抗hCD20 Ab1.2.2.1、抗hCD37 Ab1.A1.1、抗hCD37 Ab1.N12.1、およびこれらの混合物の非還元および還元試料のSDS-PAGE分析。この実験は、実施例12で記載される。非還元(パネルAおよびC)および還元(パネルBおよびD)試料を、4~15%Criterion(商標)TGX Stain-Free(商標)Precast SDS-PAGEゲルで泳動し、実施例12に記載のように可視化した。タンパク質分子量基準を左端レーンで泳動し、サイズをキロダルトン(kDa)で示す。パネルAおよびBでは、レーンは、次の試料を含む:レーン1および1’、トラスツズマブ、IgG1抗Her2抗体;レーン2および2’、抗hCD20 Ab1.2.2.1;レーン3および3’、抗hCD37 Ab1.A1.1;およびレーン4および4’、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1のMabPair、すなわち、単一宿主細胞中で作製された抗体の対。パネルCおよびDでは、レーンは、次の試料を含む:レーン5および5’、トラスツズマブ;レーン6および6’、抗hCD20 Ab1.2.2.1;レーン7および7’、抗hCD37 Ab1.N12.1;およびレーン8および8’、抗hCD20 Ab1.2.2.1 IgGおよび抗hCD37 Ab1.N12.1 IgG1のMabPair。 低pHカチオン交換クロマトグラフィー(CEX)による非還元抗hCD20および抗hCD37 MabPair混合物の分析。パネルは、実施例12に記載のように低pHで実行したCEXカラムからの出力を示す。水平軸は、カラム溶出の開始からの時間(分)を示し、垂直軸は、カラム流出物で検出される214ナノメートルでの吸光度(「AU」と示され、これは、タンパク質濃度を反映する)を示す。パネルAは、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1からなるMabPairからの出力、およびパネルBは、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.N12.1からなるMabPairからの出力を示す。両方のMabPairは、これらの抗体をコードするDNAを遺伝子導入されたEXPICHO(商標)宿主細胞中で産生された。パネルAは、分析されたMabPair混合物中の抗体の43%が抗hCD20 Ab1.2.2.1であり、57%が抗hCD37 Ab1.A1.1であることを示す。パネルBは、MabPair混合物中の抗体の49%が抗hCD20 Ab1.2.2.1であり、51%が抗hCD37 Ab1.N12.1であることを示す。 未処理のMabPair抗体混合物の質量分析(MS)。手順は、実施例12で記載される。x軸は、デコンボリューション質量を示し、y軸は、所与の質量のタンパク質の存在量を反映するカウント数を示す。パネルAは、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1から基本的になるMabPair由来のデータを示す。パネルBは、抗hCD20 Ab1.2.2.1 IgGおよび抗hCD37 Ab1.N12.1 IgG1から基本的になるMabPair由来のデータを示す。それぞれ個別の抗体の抗体名および検出質量は、各ピークの上部に示され、質量誤差(理論的質量からの差異、百万分率(ppm))は、各ピークの脇に示される。パネルA中の145,075.35Daの位置での小さいピピークは、O-グリコシル化抗hCD37 Ab1.A1.1(2.1%の総タンパク質からなる)であり、パネルB中の中央部の145,058.90Daでの小さいピークは、O-グリコシル化抗hCD37 Ab1.N12.1(1.8%の総タンパク質からなる)である。 抗hCD37 Ab1.N12.1中のO-グリコシル化の分析。パネルAは、逆相HPLCカラムからのUV出力を示し、実施例12で説明されるように、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.N12.1 MabPair混合物の脱グリコシル化(PNGase Fで)および還元から得られた種を示す。x軸は、データ採取時間(分)を示し、y軸は応答を示し、これは、所与の時間でのタンパク質の量を反映する。矢印で示された領域は、ベースラインより高く、いくつかの追加の微量のタンパク質種が存在する可能性を示す。そのため、この領域は、MSによりさらに分析された。パネルBは、このMS分析を示し、x軸は、デコンボリューション質量を示し、y軸は、タンパク質を反映するカウント数を示す。y軸は、この試料中の比較的小さい量で存在する種を示すために、拡大されている。実施例12で説明されるように、検出された種のサイズは、これらがHC抗hCD37 Ab1.N12.1のO-グリコシル化種であることを示す。パネルCは、パネルAで示される抗hCD37抗体の主HCピークのMS分析を示す。 抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1からなる脱グリコシル化および還元MabPair試料のMS分析。これらの実験は、実施例12で記載される。パネルAは、抗hCD20 Ab1.2.2.1のLCの分析を示す。パネルBは、抗hCD37 Ab1.A1.1のLCの分析を示す。パネルCは、抗hCD20 Ab1.2.2.1のHCの分析を示す。パネルDは、抗hCD37 Ab1.A1.1のHCの分析を示す。x軸は、デコンボリューション質量を示し、y軸は、所与の質量のタンパク質の量を反映するカウント数を示す。各ピークは、その測定されたデコンボリューション質量で標識される。分析される分子の予測質量は、各ピークに隣接して示される。 抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.N12.1からなる脱グリコシル化および還元MabPair試料のMS分析。これらの実験は、実施例12で記載される。パネルAは、抗hCD20 Ab1.2.2.1のLCの分析を示す。パネルBは、抗hCD37 Ab1.N12.1のLCの分析を示す。パネルCは、抗hCD20 Ab1.2.2.1のHCの分析を示す。パネルDは、抗hCD37 Ab1.N12.1のHCの分析を示す。x軸は、デコンボリューション質量を示し、y軸は、所与の質量のタンパク質の量を反映する、カウント数を示す。 抗hCD20/抗hCD37 MabPair抗体混合物から生成したFab’フラグメントのMS分析。この実験は、実施例12で記載される。パネルAは、IdeSプロテアーゼ消化および2-MEA/EDTA処理により生成された、抗hCD20 Ab1.2.2.1/抗hCD37 Ab1.A1.1 MabPair由来のFab’フラグメントのMS分析を示す。パネルBは、IdeSプロテアーゼ消化および2-MEA/EDTA処理により生成された、抗hCD20 Ab1.2.2.1/抗hCD37 Ab1.N12.1 MabPair由来のFab’フラグメントのMS分析を示す。両パネルで示されるように、x軸は、デコンボリューション質量を示し、y軸は、所与の質量のタンパク質の量を反映する、カウント数を示す。測定されたピークの質量は、各ピークの上部に示され、同族HC同族HC/LC対を含む2つのFab’フラグメントの予測質量は、ピークの脇に示される。 架橋抗体の存在下での抗hCD20/抗hCD37 MabPair混合物によるWSU-DLCL2細胞(パネルA)およびラモス細胞(パネルB)の直接殺細胞作用。この実験は、実施例14で記載される。両パネルにおいて、x軸は、抗体濃度(nM)を示し、y軸は、芽球細胞の数(芽球細胞#)を示す。両パネルにおいて、記号は、次記のように試料で使用された抗体を示す:実線で連結された下向き中実三角形、抗hCD20 Ab1.2.2.1;実線で連結された中実円、抗hCD37 Ab1.A1.1;破線で連結された中空円、CD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1を含むMabPair混合物;実線で連結された下向き中実三角形、抗hCD37 Ab1.N12.1;点線で連結された下向き中空三角形、CD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.N12.1を含むMabPair混合物;および中実四角形(パネルAでは単一試料のみ、およびパネルBでは、実線で連結される)、ヒトIgG1/κアイソタイプ対照抗体。 抗CD20および抗CD37抗体およびこれらの混合物およびこれらの混合物のB細胞枯渇活性。これらの実験は、実施例15で記載される。パネルA、B、およびCで示すデータは、ドナー1198、1056、および2004と呼ばれる3人の異なるヒトドナーからのPBMCを用いた実験に由来した。示されるように、x軸は、抗体濃度(nM)を示し、y軸は、パーセントB細胞枯渇を示す。使用した抗体は、次に示す通りである:点線で連結された半中実、上向き三角形、オビヌツズマブ(ガザイバ(登録商標)、抗hCD20 IgG1抗体);交互点およびダッシュで連結された半中実菱形、リツキシマブ(リツキサン(登録商標)、抗hCD20 IgG1抗体); 実線で連結された上向き中実三角形、抗hCD20 Ab1.2.2.1;実線で連結された上向き中実三角形、抗hCD37 Ab1.A1.1;および実線で連結された中実円、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1から基本的になるMabPair混合物。 ラモス異種移植マウスモデルにおける抗hCD20抗体、抗hCD37抗体、および抗hCD20/抗hCD37 MabPair抗体混合物による腫瘍増殖抑制のインビボ試験。この実験は、実施例16で記載される。示されるように、y軸は、個別の動物の立方ミリメートル(mm)による腫瘍体積を示し、x軸は、腫瘍開始後の日数を示す。マウスを治療するために使用した抗体の識別は、各パネル上の凡例中に示される。「HuIgG1」は、アイソタイプ陰性対照抗体を示す。
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抗CD20抗体で現在治療される癌の種類は、癌細胞の表面上でCD20を発現する。Payandeh et al.,The applications of anti-CD20 antibodies to treat various B cells disorders,2019,Biomed Pharmacother.109:2415-2426。いくつかのこのような癌は、それらの細胞表面上でCD37も発現する。いくつかの抗CD20抗体は、特定の癌に対する治療薬としてある程度の有効性を有し、米国では販売が認可されているが、抗CD20抗体で治療された多くの患者は、薬剤耐性を発生し、それは有効性を低下させる。Smallらは、癌細胞上のCD20レベルの下方制御、補体依存性細胞溶解(CDC)および宿主免疫細胞により媒介される抗体依存性細胞傷害(ADCC)のレベルの低下、ならびにアポトーシスに対する感受性の低下を含む、複数の機序を示唆している。Small et al.,Analysis of innate and acquired resistance to anti-CD20 antibodies in malignant and nonmalignant B cells,2013,Peerj.1:e31。抗CD37抗体は、初期段階臨床試験で活性を示したが、米国において臨床使用のために認可されたものは現時点で存在しない。従って、改善された抗CD20および/または抗CD37抗体および/または抗CD20抗体および/または抗CD37抗体を含む改善された治療薬が、当該技術分野において求められている。
いくつかの態様では、このような改善された抗CD20および/または抗CD37抗体は、既存の抗CD20および/または抗CD37抗体に比べて、細胞を死滅させる異なるモードなどの、異なる生物活性を有する可能性があり、販売されている抗CD20抗体に抵抗性または難治性の患者を治療するために使用される可能性がある。他の態様では、このような改善された抗CD20および/または抗CD37抗体は、免疫原性、異種間結合活性、安定性、および/または宿主細胞中の発現に関連する、改善された治療特性および/または実用的特性を有するであろう。他の改善は、抗CD20および/または抗CD37抗体相互のまたは他の治療分子との組み合わせを含む可能性がある。以下で記載の種々の組成物および方法は、当該技術分野において既知の抗体に比べて、有用な特性を有する抗CD20および抗CD37抗体ならびにこれらの組み合わせである。
多くの非ホジキンリンパ腫(NHL)および慢性リンパ性白血病(CLL)細胞は、それらの細胞表面上でCD20とCD37の両方を発現する。Deckert et al.,A novel anti-CD37 antibody-drug conjugate with multiple anti-tumor mechanisms for the treatment of B-cell malignancies,2013,Blood 122(20):3500-3510;Dahle et al.,Evaluating antigen targeting and anti-tumor activity of a new anti-CD37 radioimmunoconjugate against non-Hodgkin’s lymphoma,2013,Anticancer Research 33:85-96。このような癌に対し、抗CD20および抗CD37抗体を含む混合物による治療は、薬剤耐性を生じる患者の数を減らし、それにより抗CD20抗体単独で観察されるものより治療効力を高め、現在認可されている治療法より効果的である長期維持療法を提供し得る。さらに、このような抗体混合物は、例えば、米国特許出願公開第2019/0248899号に記載の技術を用いて単一宿主細胞株中で作製でき、それにより抗体混合物を、2つの別々のプロセスではなく、単一の生産プロセスで作製する。このプロセスを用いて作製した抗体対は、本明細書では、MabPairと称する。このプロセスを記載する米国特許出願公開第2019/0248899号の一部(すなわち、実施例1~12およびそこで言及される図)は、参照により本明細書に組み込まれる。従って、この製造方法は、付随する製造コストの低減は言うまでもなく、抗体混合物の製造効率を劇的に高める。
定義
本明細書で意図される「改変」は、アミノ酸配列中またはヌクレオチド配列中の変化である。改変は、挿入、欠失、または置換であり得る。「改変」は、単一アミノ酸またはヌクレオチドの挿入、欠失、または置換である。例えば、欠失が3個のアミノ酸または3個のヌクレオチドをアミノ酸またはヌクレオチド配列から除去する場合、3個の改変(この場合は、欠失)が起こっている。アミノ酸置換である改変は、元の配列中に存在するアミノ酸から始まり、それに続いて、元の配列中のアミノ酸の位置、それに続いて、元のアミノ酸を置換するアミノ酸を提示することにより表現される。例えば、G133Mは、元の配列中の位置133に元々存在するグリシンが、メチオニンにより置換されることを意味する。さらに、133Mは、位置133のアミノ酸がメチオニンであることを意味するが、元のアミノ酸の素性を指定せず、これはメチオニンを含む任意のアミノ酸であり得る。最後に、G133は、グリシンが元の配列中の位置133のアミノ酸であることを意味する。加えて、G133M/Aは、元の配列中の位置133に元々存在するグリシンが、メチオニンまたはアラニンにより置換されることを意味する。
本明細書で意図される「ヘテロダイマーに適さない改変」は、第3の重鎖定常ドメイン(C3)アミノ酸配列、任意選択でヒトまたは霊長類C3アミノ酸配列内の単一アミノ酸の置換、挿入、または欠失であり、置換、挿入、または欠失は、抗体の混合物の観点から、ヘテロダイマーHC/HC対の形成に適さない。抗体は、ヘテロダイマーに適さない2個以上の改変を含む場合があり、ヘテロダイマーに適さない複数の改変は、抗体の混合物の1種または複数の抗体中の複数の部位で起こり得る。いくつかの事例では、ヘテロダイマーに適さない改変は、単独ではほとんどまたは全く効果を示さない可能性があるが、ヘテロダイマー形成に適さない1種または複数の他の改変が抗体の混合物中の同じ抗体中または他の抗体中に存在する場合、ヘテロダイマー形成を抑制し得る。改変は、野生型配列中に存在する、荷電していてもしていなくてもよい残基に対する荷電残基の置換を含み得る。あるいは、置換は、別の「突出部」に対し接している「突出部」、または別の「孔」に対し接している「孔」などの適切な重鎖/重鎖(HC/HC)対形成を妨害する、ヘテロダイマーHC/HC対中の立体障害を作成し得る。突出部(またはノブ)および孔は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,679,785号、欄12、行12~欄13、行2に記載される。一緒にある場合に、ヘテロダイマー形成に適さない可能性があるIgG重鎖中の対改変の例は、D399K/R+K409D/Eである。
本明細書で意図される「抗体」は、少なくとも1種のVまたはVを含むタンパク質である。抗体は多くの場合、VおよびVの両方を含有する。VおよびVは、例えば、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,Public Health Service,National Institutes of Health,NIH Publication No.91-3242,1991,pp.xvi-xix and pp.103-533に極めて詳細に記載される。この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。「抗体」は、多くの他の可能なフォーマットの中で特に、単鎖Fv抗体(scFv、これは、リンカーにより連結されたVHおよびVLを含む)、Fab、F(ab’)、Fab’、scFv:Fc抗体(Carayannopoulos and Capra,Ch.9 in FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY,3rd ed.,Paul,ed.,Raven Press,New York,1993,pp.284-286に記載のような、本文献は、参照により本明細書に組み込まれる)、および以下で定義のIgG抗体などの異なるフォーマットを有する分子を含む。いくつかの実施形態では、「抗体」は、キメラ抗原受容体(CAR)を包含し、これは、重鎖および軽鎖可変ドメイン、これに加えてT細胞受容体の部分を含む。
「抗CD20」または「抗CD37」抗体は、それぞれ、CD20またはCD37、任意選択でヒトまたはカニクイザルCD20またはCD37に特異的に「結合する」。CD20およびCD37の両方は、細胞膜を複数回またぐ細胞表面タンパク質であるので、結合を試験するために可溶型のCD20またはCD37を産生するのが困難である。従って、例えば、実施例2および7では、それらの標的への抗CD20および抗CD37の結合を、CD20およびCD37を発現することがわかっている細胞へのそれらの結合により評価した。試験抗体のCDRがCD20またはCD37に結合することがわかっている抗体由来であったことを考えれば、検出された結合は、CD20またはCD37への結合に起因する可能性があった。しかし、この種の結合アッセイは特異性を明確に示さないので、本明細書で意図される結合特異性は、実施例13で提示されるデータでさらに明確にされ、この実施例では、結合特異性は、hCD20を遺伝子導入したCHO細胞への抗hCD20抗体の特異的結合およびhCD37を遺伝子導入したCHO細胞への抗hCD37抗体の特異的結合により実証された。従って、抗原への「特異的結合」は、実施例13に記載の結合アッセイにより決定できる。
「化学療法剤」は、分裂細胞を標的にし、細胞分裂に関係するプロセス、例えば、DNA複製、RNA合成、タンパク質合成、集合、分解、または紡錘体の機能、および/またはこれらのプロセスで一定の役割を果たす、ヌクレオチドまたはアミノ酸などの分子の合成または安定性、を妨害する。従って、化学療法剤は、癌細胞および他の分裂細胞の両方を死滅させ得る。化学療法剤は、当該技術分野で周知である。それらは例えば、次の薬剤を含む:アルキル化剤(例えば、ブスルファン、テモゾロミド、シクロホスファミド、ロムスチン(CCNU)、ストレプトゾトシン、メチルロムスチン、cis-ジアンミンジクロロ白金、チオテパ、およびアジリジニルベンゾキノン);無機イオン(例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン);ナイトロジェンマスタード(例えば、メルファラン塩酸塩、クロラムブシル、イホスファミド、およびメクロレタミンHCl);ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU));抗悪性腫瘍薬抗生物質(例えば、アドリアマイシン(ドキソルビシン)、ダウノマイシン、ミトラマイシン、ダウノルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、およびブレオマイシン);植物誘導体(例えば、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、VP-16、およびVM-26);代謝拮抗薬(例えば、ロイコボリン含有または非含有メトトレキサート、ロイコボリン含有または非含有5-フルオロウラシル、5-フルオロデオキシウリジン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、ゲムシタビン、シタラビン、5-アザシチジン、ヒドロキシ尿素、デオキシコホルマイシン、およびフルダラビン);ポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、イリノテカン、およびトポテカン);ならびにアクチノマイシンD、ダカルバジン(DTIC)、mAMSA、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、L-アスパラギナーゼ、およびミトキサントロン。例えば、Cancer:Principles and Practice of Oncology,4.sup.th Edition,DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,Pa.(1993)、を参照されたい。この文献の関連部分は、参照により本明細書に組み込まれる。
他の化学療法剤は、上で列挙したものと同じ一般的機序で作用するものを含む。例えば、DNAをアルキル化することにより、例えば、アルキル化剤およびナイトロジェンマスタードが行うように、作用する薬剤は、化学療法剤とみなされる。ヌクレオチド合成を妨害する、例えば、メトトレキサート、シタラビン、6-メルカプトプリン、5-フルオロウラシル、およびゲムシタビンのような薬剤は、化学療法剤と見なされる。紡錘体毒物は、例えば、パクリタキセルおよびビンブラスチンのように、化学療法剤と見なされる。DNA複製を妨害する、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、ポドフィロトキシン)は、化学療法剤と見なされる。種々の機序によりDNA合成を妨害する抗生物質、例えば、ドキソルビシン、ブレオマイシン、およびマイトマイシン、は化学療法剤と見なされる。アミノ酸をカルバモイル化する薬剤(例えば、ロムスチン、カルムスチン)またはアスパラギンプールを枯渇させる薬剤(例えば、アスパラギナーゼ)も、化学療法剤と見なされる。Merck Manual of Diagnosis and Therapy,17.sup.th Edition,Section 11,Hematology and Oncology,144.Principles of Cancer Therapy,Table 144-2(1999)。化学療法剤中に特に含まれるのは、上記化学療法剤により影響を受ける同じ細胞プロセスに直接影響を与えるものである。
抗体の混合物の観点で本明細書で意図される「同族」HCは、特定のLCが対形成して特定の抗原のための結合部位を形成することが既知である、HCである。例えば、既知の完全長IgG抗体Xが抗原Xに結合する場合、抗体X HCは、抗体X LCの同族HCである、および逆もまた同じである。さらに、混合物が、抗原Yに結合する抗体Yも含む場合、抗体Y HCは、抗体X LCに対して「非同族」である、および逆もまた同じであり、および抗体Y LCは、抗体X HCに対して「非同族」である、および逆もまた同じである。
「相補性決定領域」(CDR)は、VまたはV内の高頻度可変領域である。各VおよびVは、CDR1、CDR2、およびCDR3と呼ばれる3個のCDRを含む。CDRは、抗体の表面上にループを形成し、抗体の結合特異性の決定に主として関与する。CDRは、4個のより保存されたフレームワーク領域(FR1、FR2、FR3、およびFR4と呼ばれる)の間に次のように挿入される:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4。CDRの位置は、例えば、図1、パネルA(Vに対し)および図1、パネルB(Vに対し)に示される。Kabatらの位置V CDRは、次の通り:CDR1は位置31~35(可能な挿入番号35aおよび35b)であり;CDR2は位置50~65(可能な挿入番号52a~52c)であり;およびCDR3は位置95~102(可能な挿入番号100A~100K)である。Kabat et al.,前出、xvii。V CDR2およびCDR3のためのこれらの位置が、本明細書で使用される。本明細書で、我々は、VH CDR1を、残基26~35(可能な挿入番号35aおよび35b)を含むと定義し、これは、Kabatらの定義とは異なる。その理由は、それが、アミノ酸31~35に加えて、アミノ酸26~30を含むためである。Kabatらの位置V CDRは、次の通り:CDR1は位置24~34(可能な挿入番号27a~27f)であり;CDR2は位置50~56であり;およびCDR3は位置89~97(可能な挿入番号95a~95f)である。Kabat et al.,supra,at xvii,これは参照により本明細書に組み込まれる。これらのV CDRの定義が、本明細書で使用される。
治療または薬物は、2種の治療/薬物が、例えば同じ日に、同じ小さな時間枠内で、または同じさらに延長された時間枠内で投与される場合、別の治療または薬物と「同時に」投与されると見なされる。このようなより延長された時間枠は、例えば、1種の治療/薬物が週1回投与され、他の治療/薬物が4日毎に投与される状況を含み得る。2種の治療/薬物は同じ日に投与されなくても、またはめったに投与されなくてもよいが、2種の治療/薬物は、週、月、またはそれより長い期間の共通の期間にわたり継続的に投与される。同様に、1種の薬物が年1回投与されもう一方の薬物が毎週投与される場合、それらは、毎週投与される薬物が、年1回投与される薬物の投与の前の年および/または後の年の間に投与される場合、「同時に」投与されると見なされる。従って、本明細書で意図される、2種の治療/薬物の「同時」投与は、共通の時間帯に進行する2種の異なる治療/薬物による進行中の治療を含む。
本明細書で意図される「保存的」アミノ酸置換は、類似の極性、疎水性、または体積などの、類似の特性を有する異なるアミノ酸によるアミノ酸の置換である。保存的置換は、アミノ酸の同じグループ内の別のアミノ酸による置換を含み、アミノ酸のグループは、次記を含む:(1)疎水性アミノ酸、これは、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンを含む;(2)非荷電極性アミノ酸、これは、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンを含む;(3)塩基性アミノ酸、これは、アルギニン、リジン、およびヒスチジンを含む;および(4)酸性アミノ酸、これは、アスパラギン酸およびグルタミン酸を含む。保存的置換はまた、次記の置換も含む:(1)AのV、L、またはIによる置換、(2)RのK、Q、またはNによる置換、(3)NのQ、H、K、Rによる置換、(4)DのEによる置換、(5)CのSまたはAによる置換、(6)QのNによる置換、(7)EのDによる置換、(8)、GのPまたはAによる置換、(9)HのN、Q、K、またはRによる置換、(10)IのL、V、M、A、またはFによる置換、(11)LのI、V、M、A、またはFによる置換、(12)KのR、Q、またはNによる置換、(13)MのL、F、またはIによる置換、(14)FのL、V、I、A、またはYによる置換、(15)PのAによる置換、(16)SのT、A、またはGによる置換、(17)TのSによる置換、(18)WのYまたはFによる置換、(19)YのW、F、T、またはSによる置換、および(20)VのI、M、L、F、またはAによる置換。
本明細書で意図される「システイン置換」は、システインが別のアミノ酸を置換する、アミノ酸置換である。
本明細書で意図される、1種または複数の指定濃度での抗体による種々の細胞型のいずれかにおける「直接殺細胞作用」は、実施例2で記載のように基本的に評価され、例えば、図2(パネルB)で示される。使用される細胞型、使用される抗体濃度、抗体添加後にアッセイがインキュベートされる時間の長さ、使用されるマイクロタイタープレートのタイプ(96または48ウェルマイクロタイタープレート)、および架橋抗体の使用または不使用(以下の実施例2で定義のように)を含む詳細なパラメーターは、変更されてよく、このような変化は結果に影響を与え得る。しかし、別に定める場合を除き、「直接殺細胞作用」は、(1)アッセイは、抗体添加後37℃で24時間インキュベートされる、および(2)96ウェルマイクロタイタープレートが、アッセイを実施するために使用される、アッセイを意味する。「架橋抗体」の意味を含む、このアッセイ実施の詳細は、実施例2に記載される。アッセイで死滅された細胞のパーセンテージは、次のように評価される。最初に、細胞培養物中の細胞総数が、試験抗体を添加しない並行の試料中で検出された細胞の数により評価され得る。従って、抗体は、抗体含有試料が、抗体を含まない平行処理試料中に存在する芽球細胞の数の90%以下を含む場合、細胞培養物中の細胞の少なくとも10%の細胞を「直接死滅させる」。同様に、抗体は、抗体含有試料が、抗体を含まない並行の試料中に存在する芽球細胞の数の50%以下を含む場合、培養物中の細胞の少なくとも50%の細胞を「直接死滅させる」。直接殺細胞作用について抗CD20または抗CD37抗体を試験するために使用できる細胞型は、例えば、特に、ラージ細胞、ラモス細胞、またはWSU-DLCL2細胞を含む。
異なる濃度の抗体が異なる試料中で使用される場合、最大応答の50%を与える濃度(「EC50」)は、GraphPad Prism Software(例えば、バージョン6.0;GraphPad Software,San Diego,California)を用いて所与の実験で生成されたデータを分析することにより決定できる。このソフトウェアでは、非線形回帰カーブフィットを用いてEC50を計算する。さらに、EC50は、上記直接殺細胞作用アッセイのために、ならびに種々の量の試薬を使用して用量/反応曲線を生成するアッセイ、例えば、実施例13に記載の結合アッセイまたは実施例5に記載のADCCまたはCDCアッセイなどの多くの他のアッセイのために決定できる。
アミノ酸配列は、アミノ酸配列が、既知の遺伝子コードで与えられる、ヌクレオチド配列により理論的にコードされ得る場合、本明細書で意図されるように、「ヌクレオチド配列によりコードされる」。このようなポリペプチド鎖は、本明細書で意図されるように、ヌクレオチド配列により「コードされる」べきこのような核酸から実際に作製される必要はなく、およびヌクレオチド配列は、アミノ酸配列を「コードする」ための転写のおよび/または翻訳の停止および開始に必要な全ての補助配列を含む必要はない。当該技術分野において知られるように、所与のアミノ酸配列は、遺伝子コードの縮退のために所定の一群の核酸配列により「コードされる」。さらに、上述のように、ヌクレオチド配列により「コードされる」アミノ酸配列は、それが翻訳後修飾によりそのアミノ酸配列が変化するように改変される場合、その核酸配列により「コードされる」(本明細書で意図されるように)と本明細書で依然として見なされる。従って、例えば、アミノ酸配列が、配列中のあるアミノ酸が改変されるまたは欠失されることを除いて、ヌクレオチド配列により「コードされ」得るならば、その改変または欠失が翻訳後修飾による場合、そのヌクレオチド配列により「コードされる」と本明細書では見なされる。例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中で産生された組み換えヒト化IgG抗体は、このような抗体をコードするヌクレオチド配列がC末端リジンをコードし得る場合であっても、HCのカルボキシ末端(C末端)リジンを通常欠いている。このリジンは通常、翻訳後除去される。このようなHCは、C末端リジンを有するHCをコードするヌクレオチド配列により「コードされる」と本明細書では見なされる。
本明細書で意図される、IgG抗体の「Fcフラグメント」、「Fc領域」、または「Fc部分」は、HC由来のヒンジ領域(ヒンジ)、第2の重鎖定常ドメイン(C2)、およびC3から本質的になるが、それは、IgAまたはIgMなどのいくつかのアイソタイプにおいてC3から下流の領域をさらに含み得る。
本明細書で意図される「重鎖(HC)」は、少なくともV、C1、ヒンジ、C2、およびC3を含む。これらのドメインの全てを含むHCはまた、「完全長HC」または「IgG HC」とも呼ばれ得る。IgAまたはIgMなどのいくつかのアイソタイプは、例えば、IgM C4ドメインなどの、追加の配列を含み得る。Kabat et al.,前出、のナンバリングシステムが、Vに対し使用され(図1(パネルA)および8(パネルA)参照)、およびEUシステム(Edelman et al.(1969),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 63:78-85、この文献は、参照により本明細書に組み込まれる)が、C1、C2、およびC3に対し使用される。これらのよく知られたナンバリングシステムの使用は、本明細書で開示される配列中の実際のアミノ酸位置と、KabatまたはEdelmanナンバリングシステムを用いてその位置に割り付けられた番号の間の差異をもたらす場合がある。しかし、当業者は、Kabat et al.,前出およびEdelman et al.,前出に含まれる情報を用いて、および/またはどのようにして下記のKabatまたはEdelman番号が、開示配列中で見つけ得る抗体配列の保存された特徴を基準にして割り付けられ得るかを示す本明細書で以下に開示の表を基準にして、KabatまたはEdelman番号を、開示抗体配列中の任意の特定の位置に割り付けることができる。下表1~4は、一般化HC配列に対するこのナンバリングを示す。
Figure 2022545834000006
表1:この表は、Kabat et al.,(前出)中のヒトVアミノ酸配列(サブグループI~III)に基づく「不変の」(Kabat et al.,前出、による)アミノ酸を示す。ナンバリングは、Kabat et al.,前出、による。CDR内の位置番号は、太字イタリックで書かれている。後ろに文字を有する位置番号、例えば、100Aは、82A~82Cを除き、CDRの可変長のためアミノ酸により埋められても、埋められなくてもよい。フレームワーク領域中の、位置82A~82Cは、ほとんどの場合、サブグループI~IIIのヒトV中のアミノ酸により埋められる。特定の位置での単一太字アミノ酸は、Kabat et al.,(前出)により記載のヒトVの3つ全てのサブグループI~III中の「不変の」アミノ酸を示す。アミノ酸が指定されていない位置は、この基準に適合しない。
表1は、任意のV配列のアライメントを可能にし得る保存された間隔を有する多数の保存アミノ酸が存在することを示し、上記に示すように保存アミノ酸を目測で間隔をあけて配置した。あるいは、新規配列は、アライメントソフトウェア、例えば、International ImMunoGeneTics(IMGT)Information system(登録商標)で入手可能なアライメントソフトウェア(例えば、IMGT/DomainGapAlign、これは、http://www.imgt.orgで入手可能である、またはCLUSTAL Omega(Sievers et al.,Fast,scalable generation of high quality protein multiple sequence alignments using Clastal Omega,2011,Molecular Systems Biology 7(1):539)を用いて、既知のV配列と整列されてよい。
下表2は、C1のコンセンサスアミノ酸配列を示す。
Figure 2022545834000007
表2:ナンバリングは、Edelman et al.,(前出)による。以下の太字で示す単一アミノ酸は、様々な種からのC1のアライメントからのKabat et al.,(前出)による「不変の」残基である。本明細書で記載の改変のために選択された位置または米国特許出願公開第2019/0248899号の位置(131、133、147、168、170、173、176、181、および183)は、下線付き太線で示される。これらの位置で、Kabat et al.,(前出)で報告された63霊長類C1配列中の最もよくある1個または2個のアミノ酸は、プレーンテキストで示される。アミノ酸が指定されていない位置は、「不変」ではなく、改変用に選択されなかった。
種および/またはアイソタイプ内のC1は、配列中で表2から明らかな状態より密接に関係している。下表3は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4アイソタイプのヒトC1のアライメントを示す。このアライメントは、これらの密接に関係したC1中で配列の極めて強い保存を強調する。
Figure 2022545834000008
表3:ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4抗体の代表的C1のアミノ酸配列を、IMGTウエブページのそれぞれ、受入番号J00228、J00230、X03604、およびK01316から入手し、CLUSTALWソフトウェアで整列させた。残基は、Edelman et al.,前出のEUシステムに従ってナンバリングされる。Kabat et al.,前出、による「不変の」残基は、太字で示される。これらの残基は、高度に保存されているが、完全に不変ではない。下線付き太線でイタリックの残基は、米国特許出願公開第2019/0248899号で報告されるようにそこで置換が行われ試験された位置である。
下表4は、4つのIgGサブクラス、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4のヒトIgG Fc領域のアライメントを示す。このアライメントは、これらのサブクラス間の差異、ならびに高い配列保存を示す。
Figure 2022545834000009
「ヒト」ヌクレオチドまたはアミノ酸配列、タンパク質、または抗体は、天然においてヒトで発生するものであるか、または以下で説明する少数の改変を除きこのような配列またはタンパク質と同一であるものである。多くのヒトヌクレオチドおよびアミノ酸配列が、例えば、Kabat et al.,前出、で報告されており、それは、当該技術分野における用語「ヒト」の使用を示す。本明細書で意図される「ヒト」アミノ酸配列または抗体は、天然起源の配列に対して、1種または複数の挿入、欠失、または置換を含み得るが、但し、「ヒト」アミノ酸配列が、100個毎のアミノ酸当り、10個を超える単一アミノ酸の挿入、欠失、および/または置換を含まないことが前提である。同様に、ヒトヌクレオチド配列は、300個のヌクレオチド毎に30個を超える一塩基の挿入、欠失、および/または置換を含まない。特殊なVまたはV配列の例では、CDRは、極端に可変であることが予測され、特定のVまたはVアミノ酸配列(またはそれをコードするヌクレオチド配列)が「ヒト」配列であるかどうかを決定するために、CDR(またはそれらをコードするヌクレオチド配列)は配列の一部と見なされない。
本明細書で意図される「ヒト化」抗体は、非ヒト起源であるが、可能な限りヒトであるように遺伝子改変され、それにより願わくはヒト中での免疫原性を低減し、同時に、抗体安定性および結合などの機能特性を保持している抗体である。通常、これは、ほとんどの、または全ての可変ドメインの定常ドメインおよびフレームワーク領域がヒトまたはほぼヒト配列であり、同時に、CDRは、異なる生物に由来することを意味する。しかし、例えば、マウス抗体からヒトフレームワークへの単なるCDRのグラフト化は、望ましい特性を有する抗体を生成し得ず、さらなる改変が必要とされることがある。近年、ヒト化の結果を簡略化および改善するための種々の手法が開発されている。例えば、Choi et al.,Antibody humanization by structure-based computational protein design,2015,mAbs 7(6):1045-1057、およびそこで引用されている参考文献を参照されたい。しかし、抗体の1種または複数の特性を改善するために実施された変更の結果は、主にCDR3ループの大きなフレキシビリティに起因して、完全に予測可能ではない。例えば、dos Santos et al.,Advances and challenges in therapeutic monoclonal antibodies drug development,2018,Braz.J.Pharm.Sci.54(Special):e01007、を参照のこと。
本明細書で意図される「IgG抗体」は、(1)それぞれがV、C1、ヒンジドメイン、C2、およびC3を含む、2つのHC、および(2)それぞれがVおよびLC定常ドメイン(C)を含む、2つの軽鎖(LC)、を含む。IgG抗体の重鎖定常ドメインは、IgGアイソタイプ、例えば、IgGのIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラスのものである。これらのドメインは、例えば、Kabat et al.,前出、pp.xv-xixおよび647-699に記載され、これらのページは、参照により本明細書に組み込まれる。Kabat et al.,前出のナンバリングシステムが、VおよびVに対し使用される(図1および8ならびに表1および5を参照)。EUシステム(Edelman et al.(1969),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 63:78-85、この文献はその全体が本明細書に組み込まれる)が、C、C1、ヒンジ、C2、およびC3に対し使用される。表2~4および6を参照されたい。いくつかの実施形態では、IgG抗体の定常ドメインのいくつかの部分は、1つのサブクラス、例えば、IgG4のものであってよく、同じ抗体の別の部分は、別のサブクラス、例えば、IgG1のものであってよい。このような抗体は、本明細書で意図されるように依然としてIgG抗体である。このような混合サブクラスアミノ酸配列を有するC1~C3抗体フラグメントのアミノ酸配列の例としては、配列番号33、36、39、および42が挙げられる。さらに、本明細書で意図されるIgG抗体の定常ドメインのアミノ酸配列は、本明細書で意図されるように、IgG抗体以外の何かに抗体を変えることなく、限られた程度に天然起源配列とは異なり得る。例えば、IgG抗体は、天然起源IgGアミノ酸配列に対して、24、20、16、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個のアミノ酸置換、欠失、または挿入を含むC1~C3フラグメントを含み得る。しかし、IgG抗体のIgGサブクラスは、抗体が本明細書で意図されるIgG抗体であるかどうかを決定するために、C1~C3フラグメントのアミノ酸配列の一部が、例えば、IgG1抗体配列と比較でき、アミノ酸配列の他の部分が、例えば、IgG4抗体配列と比較できるように、C1~C3フラグメントの長さにわたり変わっても変わらなくてもよい。
本明細書で意図される「軽鎖(LC)」は、VおよびCを含み、これらは、カッパ(VκおよびCκ)またはラムダ(VλおよびCλ)であり得る。それらの典型的アミノ酸配列を含むこれらのドメインは、例えば、Kabat et al.,前出、pp.xiii-iix、103-309、および647-660に記載され、これらのページは、参照により本明細書に組み込まれる。Vに対して本明細書で使用されるナンバリングシステムは、Kabat et al.,前出で記載のものであり、Cに対して使用されるEUナンバリングシステムは、Edelman et al.,前出で記載のものである。下表5および6は、これらのシステムの種々の軽鎖配列への適用を示す。当業者は、このような方法を使用してKabatまたはEdelman番号を本明細書で開示される配列中の特定の位置に割り付けることができる。
Figure 2022545834000010
表5:ナンバリングは、Kabat et al.,(前出)による。太字の番号は、CDRの位置を示す。後ろに文字を有する位置番号、例えば、27Aは、CDRの可変長のため、アミノ酸により埋められても、埋められなくてもよい。Kabat et al.,(前出)のヒトカッパV(グループI~IV)に対する「不変の」残基は、太字として示され、その位置で見つけられるアミノ酸を示す。位置73では、2個の保存的可変アミノ酸(ロイシンまたはバリン)のいずれかが、この位置で「不変」である。さらに、多くの他のアミノ酸は、特定のアミノ酸配列をVとして分類するのに役立ち得るカッパまたはラムダVのいくつかのサブグループ内で不変であるか、または高度に保存されている。アミノ酸が指定されていない位置は、不変ではない。
Figure 2022545834000011
表6:ナンバリングは、Edelman et al.,(前述)に従い、これは、Kabat et al.,(前出)のCのナンバリングと同じである。数字の下部に太字で示すアミノ酸は、種々の種由来のカッパまたはラムダCのアライメントからのKabat et al.,(前出)による「不変の」残基である。選択位置(131、160、162、174、176、および178)で示されるように、10個のヒトカッパ鎖(上段の行)またはKabat et al.,(前出)で報告された28個のヒトラムダ鎖(下段の行)中の高度に保存されたアミノ酸は、プレーンテキストで示される。2個の異なるアミノ酸のいずれかがこれらの位置の1つで見つけられる場合には、より多い共通アミノ酸が、より少ない共通の、例えば、A/Mの前に示される。さらに、多くの他のアミノ酸が、CκまたはCλドメインのいくつかのサブグループ内で不変であるか、または高度に保存されており、これは、Cとして特定のアミノ酸配列を分類するのに役立ち得る。アミノ酸が指定されていない位置は、不変ではない。
本明細書で使用される場合、「MabPair」または「MabPair混合物」は、その中に抗体コードDNAが導入されている単一宿主細胞株の培養で産生される1対の、すなわち、2個の抗体を意味する。宿主細胞は、抗体の2種の主要種のみを産生する。どのようにしてMabPairが産生されるかに関するさらなる説明については、米国特許出願公開第2019/0248899号、実施例1、2、3、4、5、6、および7、ならびにその中に記載の図を参照されたい。
本明細書で意図される、抗体の混合物の観点で抗体の「主要な種」は、混合物内の抗体の総量の少なくとも10%を占める、特定の抗体である。抗体の混合物中にどのくらい多くの主要な種が存在するかを決定するために、米国特許出願公開第2019/0248899号の実施例5で記載され、図14(米国特許出願公開第2019/0248899号のこの部分は、参照により本明細書に組み込まれる)で示される低pHカチオン交換(CEX)クロマトグラフィーを、実施し得る。この方法は、Chen et al.,The use of native cation-exchange chromatography to study aggregation and phase separation of monoclonal antibodies,2010,Protein Science,19:1191-1204により記載され、この文献は、その全体が本明細書に組み込まれる。手短に説明すると、それは、Waters Alliance 2695高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを使用する、前段に50mmのガードカラム(ProPac(商標)WCX-10G)を備えたThermo ProPac(商標)WCX-10弱CEXカラム、4x250mmを採用する。クロマトグラフィーは、30分間にわたる100%緩衝液A(20mMの酢酸ナトリウム、pH5.2)から100%緩衝液B(250mMの塩化ナトリウムを加えた20mMの酢酸ナトリウム、pH5.2)までの直線勾配で実行できる。カラムを、高塩(1Mの塩化ナトリウム)で洗浄し、緩衝液Aの開始条件に再平衡化できる。抗体を、214nmの吸光度によりカラム流出物中で検出できる。検出ピークの相対量を、EMPOWER(商標)ソフトウェア(Waters Corp.,Milford,MA,USA)を用いて決定できる。低pHCEXを、異なる完全長抗体種間で識別でき、混合物中の特定の抗体種の相対量を定量するために使用できる。
本明細書で意図される、抗体の混合物内の「微量種」は、混合物中の抗体の総量の10%未満を含む。これは、「主要種」の定義で記載の低pH CEXクロマトグラフィーにより決定できる。
用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書では同義に使用され、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、または「ポリヌクレオチド配列」の場合と同様である。
本明細書で意図される「相手指向改変」は、V、C1、V、またはCアミノ酸配列内のHC/LC境界での単一アミノ酸の置換、挿入、または欠失、任意選択で、荷電アミノ酸またはシステインによる天然起源アミノ酸の置換であり、これは、HCおよびLC、任意選択でヒトおよび/または霊長類HCおよびLCがより強力に結合することを可能にする。より具体的には、「HC相手指向改変」は、ときにはVまたはC1中の「接触」残基での「LC相手指向改変」の存在下でのみに、HCおよびLCをより強力に結合させる、VまたはC中の改変である。同様に、「LC相手指向改変」は、ときにはVまたはC中の「接触」残基での「HC相手指向改変」の存在下でのみに、HCおよびLCをより強力に結合させる、VまたはC1中の改変である。いくつかの実施形態では、HCおよびLC相手指向改変の接触対は、反対電荷を有する荷電アミノ酸の置換であり得る。他の実施形態では、荷電アミノ酸が、同族HC/LC対、すなわち電荷対中の接触位置で逆帯電した残基の対を形成するために1個のみの改変が必要とされるように、HCまたはLCの接触位置の1つに既に存在する。他の実施形態では、システイン残基が、同族HC/LC対中のジスルフィド架橋が形成できるように、接触位置で導入されてよい。さらなる実施形態では、米国特許第8,679,785号(この関連部分は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のように、ノブおよびホール(または突出部および空洞)を接触残基の位置に作成するアミノ酸を、相手指向改変により得ることができる。HCは、IgG、IgA、IgD、IgM、またはIgEアイソタイプ、任意選択で、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のものであってよい。HCおよびLC相手指向改変は、HC/LC境界の一部を形成する接触アミノ酸位置で起こる。CSおよびC1中の界面残基は、米国特許第8,592,562号、表4および5および付随する本文の欄10および11(これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる)で説明されているように、4.5Å以内の残基を含む。ヒトC1およびCS中のこれらの位置は、下表7に整理されている。
Figure 2022545834000012
とVの間の境界上の接触残基の特定の例では、改変に好適な残基の対、V中の1個とV中の1個は、次の基準を使用して選択できる:(1)残基は埋め込まれているまたは部分的に埋め込まれている、すなわち、三次構造の完全長抗体中で隔絶されている、(2)残基は空間的に近接している、すなわち、既知の構造モデルにより、2個のアミノ酸のCα(Cαは、アミノ酸の中心炭素であり、これにアミノ基、カルボキシル基、および側鎖が付着される)が約12Å以内にある、または1個のアミノ酸の側鎖重原子(水素以外の任意の原子)と他のアミノ酸の任意の重原子の間が最大で5.5Åである、(3)残基は高度に保存されているが、それらは完全に不変である必要はない、および(4)残基はCDR内に存在しない、またはCDRと相互作用している。このような接触残基の例としては、限定されないが、次記が挙げられる:位置44(V)および位置100(V);位置39(V)および位置38(V);ならびに位置105(V)および位置43(V)。
1次近似のため、HCおよび/またはLC相手指向改変によるHC/LC結合の強度における変化が、米国特許出願公開第2019/0276542号の実施例11およびその中で言及された図、ならびに米国特許出願公開第2019/0248899号の実施例3およびその中で言及された図に記載のように、「チェインドロップアウト」実験により測定できる。これらの特許の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。
チェインドロップアウト実験からの結果を確認または明確化するために、第1の抗体(Mab1)のHCおよびLC、および第2の抗体(Mab2)をコードするDNAを含む形質移入体で生じる種々のサイズのFabフラグメントを、本明細書の実施例12および図24で、Thompson et al.,Complex mixtures of antibodies generated from a single production qualitatively and quantitatively evaluated by native Orbitrap mass spectrometry,2014,mAbs 6:1:197-203(この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)で、および米国特許出願公開第2019/0248899号の図15および実施例5で記載の質量分析により決定できる。ほとんどの場合、同族および非同族対は、このような技術を用いて質量により区別できる。非同族対が、未改変Mab1 HCおよびLCならびに未改変Mab2 HCおよびLCをコードするDNAを遺伝子導入した細胞中で主要な種であり、Mab1 HCおよびLCならびにMab2 HCおよびLCをコードするDNAを遺伝子導入した細胞中で主要な種でなく、これらの抗体の少なくとも1種が相手指向改変を含む場合、改変の少なくとも1個は、好ましい相手指向改変であると、本明細書では見なされる。
相手指向改変の例としては、部分的にまたは完全に、次の電荷対を作成する改変が挙げられる:44D/E(V)および100R/K(V);44R/K(V)および100D/E(V);105R/K(V)および43D/E(V);105D/E(V)および43R/K(V);147D/E(C1)および131R/K(C);147R/K(C1)および131D/E(C);168D/E(C1)および174R/K(C);168R/K(C1)および174D/E(C);181R/K(C1)および178E/D(C);ならびに181E/D(C1)および178R/K(C)。加えて、相手指向改変は、システインが別のアミノ酸を置換し、それによりシステインの接触対が抗体のHCおよびLC中、例えば次記のいずれかの対中に存在する、置換を含む:126C(C1)および121C(C);126C(C1)および124C(C);127C(C1)および121C(C);128C(C1)および118C(C);133C(C1)および117C(C);133C(C1)および209C(C);123C(C1)および116C(C);141C(C1)および116C(C);168C(C1)および174C(C);170C(C1)および162C(C);183C(C1)および176C(C);173C(C1)および160C(C);170C(C1)および176C(C);ならびに173C(C1)および162C(C)。
「霊長類」ヌクレオチドまたはアミノ酸配列またはタンパク質は、霊長類で見つかる核酸またはタンパク質中で天然に発生するものであるか、またはこのような配列またはタンパク質と、以下で説明する少数の改変を除き同一であるものである。霊長類は、限定されないが、原猿類(キツネザルを含む)、新世界ザル、チンパンジー、ヒト、ゴリラ、オランウータン、テナガザル、および旧世界ザルを含む多数の科由来の動物を含む。特定の霊長類種は、限定されないが、特に、ホモサピエンス、アカゲザル(Macaca mulata)(アカゲザル(rhesus macaque))、カニクイザル(Macaca fascicularis)(カニクイザル(cynomolgus monkey))、およびチンパンジー(Pan troglodytes)(チンパンジー(chimpanzee))を含む。多くの霊長類ヒトヌクレオチドおよびアミノ酸配列が、当技術分野において既知であり、例えば、Kabat et al.,前出、で報告されている。一般に、本明細書で意図される「霊長類」アミノ酸配列は、天然起源の霊長類配列に対して、1種または複数の挿入、欠失、または置換を含み得るが、但し「霊長類」アミノ酸配列が、100個毎のアミノ酸当り、10個を超える単一アミノ酸の挿入、欠失、および/または置換を含まないことが前提である。同様に、霊長類ヌクレオチド配列は、天然起源の霊長類配列に対して、300個のヌクレオチド毎に30個を超える一塩基の挿入、欠失、および/または置換を含まない。特殊なVまたはV配列の例では、CDRは、極端に可変であることが予測され、特定のVまたはVアミノ酸配列(またはそれをコードするヌクレオチド配列)が「霊長類」配列であるかどうかを決定するために、CDR(またはそれらをコードするヌクレオチド配列)は配列の一部と見なされない。
本明細書で意図される、特定の疾患または状態に対する「治療」は、一連の手順を指し、これは、ヒト患者、疾患または状態を反映すると考えられる動物モデル系、または疾患または状態を反映すると考えられるインビトロ細胞ベースアッセイにおける1種または複数の症状の軽減または予測された疾患または状態の進行の低減または中断をもたらす、1種または複数の抗体またはポリヌクレオチドまたは1種または複数の抗体をコードするポリヌクレオチドの投与を含み得る。これは、ヒトまたは動物の症状の客観的測定値により、または細胞ベースアッセイの種々のパラメーター、例えば、1種または複数のサイトカイン(例えば、IFNγ)の産生、細胞増殖、または細胞死、などの測定により確認できる。例えば、癌「治療」の場合、治療は、腫瘍体積の減少、ヒトまたは動物モデル系における予測腫瘍転移の非存在、生存時間の延長、または癌を罹患しているヒトまたは動物における無増悪生存期間または無病生存期間の増加をもたらし得る。癌治療はまた、細胞ベースアッセイで免疫系の活性化を示す指数の増大、例えば、免疫応答を媒介するT細胞または他の細胞の増殖および/または免疫応答を媒介するT細胞または他の細胞によるサイトカイン産生の増大をもたらし得る。
本明細書で意図される「TS」は、キメラ抗CD20抗体トシツモマブとアミノ酸配列がほとんど同一である、キメラ抗CD20抗体である。TSは、トシツモマブの可変ドメイン+ヒト定常ドメインを有する。トラスツズマブのHCおよびLCのアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号100および101で提供される。TSのHCのアミノ酸配列は、トシツモマブのものと次のように異なる:(1)それは、配列番号100の位置121と122の間に挿入された配列ASTKを有する;(2)配列番号100の位置215のアラニンは、TS HC中の対応する位置(TS HC中の位置219)でバリンに変更される。理由は、それが、この位置の上流で挿入された4個の追加のアミノ酸を有するためである。TSのLCのアミノ酸配列は、それが、追加の3個のアミノ酸、すなわち、配列番号101のアミノ酸配列のカルボキシ末端に付加されたGECを有するという点で、配列番号101とは異なる。
抗CD20抗体
本明細書で記載されるのは、多数の抗ヒトCD20(抗hCD20)抗体である。これらの抗体は、ヒトまたはヒト化抗体、任意選択でIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4抗体などのIgG抗体であり得る。これらの抗体は、Vを含むHC、およびVを含むLCを含み得る。いくつかの実施形態では、抗hCD20抗体のVは、配列番号12に対して12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含んでよく、抗hCD20抗体のVは、配列番号8に対して7、6、5、4、3、2または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含んでよい。このような抗体は、hCD20、任意選択でカニクイザルCD20(cynoCD20)に特異的に結合でき、10μg/mlの濃度の試験抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイで、少なくとも20%、30%、40%、または50%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗体は、10、8、6、4、3、2、1.5、1、0.8、0.6、0.5、または0.4nM以下のEC50で、架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイで、WSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。
いくつかの実施形態では、Vは、(1)配列番号12のアミノ酸配列および/または(2)配列番号12をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号11によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。いくつかの実施形態では、Vは、(1)配列番号8のアミノ酸配列および/または(2)配列番号8をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号7によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。別の態様では、抗hCD20抗体は、それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6のアミノ酸配列を含む、V CDR1、V CDR2、V CDR3、V CDR1、V CDR2、およびV CDR3を含み得る。さらにV CDR1、V CDR2、V CDR3、V CDR1、V CDR2、およびV CDR3は、それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、Vは、配列番号11によりコードされ、Vは、配列番号7によりコードされ得る。このような抗体は、hCD20、任意選択で、cynoCD20に特異的に結合でき、10μg/mlの濃度の試験抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイで、少なくとも20%、30%、40%、または50%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗体は、10、8、6、4、3、2、1.5、1、0.8、0.6、0.5、または0.4nM以下のEC50で、架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイにおいてWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。
これらの抗hCD20抗体は、IgG抗体、いくつかの実施形態では、ヒトまたはヒト化IgG抗体であり得る。このようなIgG抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラスのものであり得る。他の実施形態では、このようなIgG抗体は、2つ以上のIgGサブクラス由来のアミノ酸配列を含み得る。例えば、さもなければIgG1抗体である抗体は、IgG4ヒンジ、またはIgG1ヒンジまたはその一部を置換されたIgG4ヒンジの一部のみを有し得、それは依然として本明細書で意図されるIgG抗体と見なされ得る。他の例では、CH1ドメインまたはその一部は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 C1ドメインのアミノ酸配列を有し得、ヒンジまたはその一部は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4ヒンジのアミノ酸配列を有し得、およびC2ドメインまたはその一部は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 C2ドメインのアミノ酸配列を有し得る。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、IgG3またはIgG4 C1ドメインのアミノ酸配列を有し、ヒンジは、部分的IgG4配列および部分的IgG1配列であるアミノ酸配列を有し、C2およびC3ドメインは、IgG1アミノ酸配列を有する。代わりに、または追加して、定常ドメインの配列は、天然起源のIgG抗体の配列から、特にヒンジドメインで幾分異なり得る。いくつかの実施形態では、抗hCD20抗体のHCは、(1)配列番号24のアミノ酸配列および/または(2)配列番号24をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。さらなる実施形態では、抗hCD20のHCは、配列番号18に対して8、7、6、5、4、3、2、または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み得る。さらに、抗hCD20抗体のHCは、(1)配列番号18のアミノ酸配列および/または(2)配列番号18をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。このような抗体は、hCD20、任意選択でcynoCD20に特異的に結合でき、10μg/mlの濃度の抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも20%、30%、40%、または50%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗体は、5、4、3、2、1、0.8、0.6、0.5、または0.4nM以下のEC50で、架橋抗体なしで、WSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。
さらなる実施形態では、抗hCD20のHCは、配列番号23に対して12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、抗hCD20抗体のHCは、(1)配列番号23のアミノ酸配列および/または(2)配列番号23をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号22のヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。このような抗体は、hCD20、任意選択でcynoCD20に特異的に結合でき、10μg/mlの濃度の試験抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも20%、30%、40%、または50%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗体は、10、8、6、4、3、2、1.5、1、0.8、0.6、0.5、または0.4nM以下のEC50で、架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイにおいてWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。
いくつかの実施形態では、抗hCD20抗体のHCは、239Dおよび298Aを含み得る。さらなる態様では、抗hCD20のHCは、配列番号35に対して7、6、5、4、3、2、または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み得る。別の態様では、抗hCD20抗体のHCは、(1)配列番号35のアミノ酸配列および/または(2)配列番号35をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号34によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。このような抗体は、hCD20、任意選択でcynoCD20に特異的に結合でき、10μg/mlの濃度の試験抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも20%、30%、40%、または50%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗体は、10、8、6、4、3、2、1.5、1、0.8、0.6、0.5、または0.4nM以下のEC50で、架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイにおいてWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。
いくつかの実施形態では、改変を、抗hCD20 IgG抗体中に導入して、抗体のエフェクター機能、例えば、ADCCおよび/またはCDCを高めることができる。このような改変は、例えば、HC中の次の改変の1個または複数を含み得る:239D、330F、334V、298A、290Y、296W、および330M。いくつかの実施形態では、HCは、改変239Dおよび298Aを含み得る。表16に記載のものなどの、他の組み合わせも可能である。これらの抗体のC1~C3部分は、配列番号33、36、39、または42のアミノ酸配列、または配列番号33、36、39、または42をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、これらの抗体のCH1~CH3部分は、配列番号33、36、39、または42に対して、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を有し得る。さらなる実施形態では、このような抗体のHCは、例えば、配列番号32、35、38、または41のアミノ酸配列および/または配列番号32、35、38、または41をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、これらの抗体のHCは、配列番号32、35、38、または41に対して9、8、7、6、5、4、3、2、または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を有し得る。他の実施形態では、このような抗体のHCは、配列番号31、34、37、または40の核酸配列によりコードされるアミノ酸配列を含み得る。このような抗体は、hCD20、任意選択でcynoCD20に特異的に結合でき、10μg/mlの濃度の試験抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも20%、30%、40%、または50%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗体は、10、8、6、4、3、2、1.5、1、0.8、0.6、0.5、または0.4nM以下のEC50で、架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイにおいてWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。
さらに他の実施形態では、IgG 抗hCD20抗体は、IgGアミノ酸配列に対する改変であり得る、アミノ酸399K/Rおよび409E/Dを含んでよい。これらのアミノ酸は、異なるHCを有する少なくとも2種の異なるIgG抗体を含む抗体の混合物の観点から、ヘテロダイマーHC/HC対の形成を阻害する効果を有し得る。このような抗体は、例えば、配列番号45のアミノ酸配列または配列番号45に対して7、6、5、4、3、2、または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含むC1~C3アミノ酸配列を有し得る。さらなる実施形態では、このような抗体は、配列番号44のアミノ酸配列、配列番号44をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸、および/または配列番号44に対して7、6、5、4、3、2、または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含むHCアミノ酸配列を有し得る。いくつかの実施形態では、このような抗体は、配列番号43のヌクレオチド配列によりコードされるHCアミノ酸配列を有し得る。このような抗体は、hCD20、任意選択でcynoCD20に特異的に結合でき、10μg/mlの濃度の試験抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも20%、30%、40%、または50%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗体は、10、8、6、4、3、2、1.5、1、0.8、0.6、0.5、または0.4nM以下のEC50で、架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイにおいてWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の抗hCD20 VおよびVを含む抗hCD20抗体は、キメラ抗原受容体(CAR)の一部であってよく、これはまた、T細胞受容体の一部を含んでよく、CAR-T細胞療法に使用できる。CAR-T細胞療法は、例えば、Yu et al.,Next generation chimeric antigen receptor T cells:safety strategies to overcome toxicity,2019,Molecular Cancer 18:125(https://doi.org/10.1186/s12943-019-1057-4);およびLemal and Tournilhac,State-of-the-art for CAR T-cell therapy for chronic lymphocytic leukemia in 2019,2019),J.ImmunoTher.Cancer 7:202(https://doi.org/10.1186/s40425-019-0686-x)で説明される。これらの参考文献の両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書で前におよび以下で記載の抗hCD20抗体は、有利な性質を有し得る。例えば、これらの抗hCD20抗体は、hCD20が細胞の表面上に提示されている場合、それに結合でき、cynoCD20が細胞の表面上に提示されている場合、それに結合でき、および/または架橋抗体を有して、または架橋抗体なしで、CD20発現細胞を直接死滅させることができる。このような抗体は、hCD20、任意選択でcynoCD20に特異的に結合でき、10μg/mlの濃度の試験抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも20%、30%、40%、または50%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗体は、10、8、6、4、3、2、1.5、1、0.8、0.6、0.5、または0.4nM以下のEC50で、架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイにおいてWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる。本明細書で記載の抗hCD20抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)をインビトロで媒介でき、実施例5に記載のWSU-DLCL2が標的細胞として使われるアッセイで2、1、0.5、0.2、0.1、0.05、0.03、または0.02nM未満のEC50を有し得る(データは図7、パネルAに示される)。本明細書で記載の抗hCD20抗体は、インビトロで補体依存性細胞溶解(CDC)を媒介でき、実施例5に記載のWSU-DLCL2が標的細胞として使われるCDCアッセイで20、15、10、9、8、7、6、または5nM未満のEC50を有し得る(データは、図7、パネルBに示される)。
抗CD37抗体
本明細書で記載されるのは、多数の抗ヒトCD37(抗hCD37)抗体である。これらの抗体は、ヒトまたはヒト化抗体、任意選択でIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4抗体などのIgG抗体であり得る。これらの抗体は、Vを含むHC、およびVを含むLCを含み得る。いくつかの実施形態では、抗hCD37抗体のVは、配列番号57に対して8、7、6、5、4、3、2または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含んでよく、抗hCD37抗体のVは、配列番号53に対して8、7、6、5、4、3、2または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み得る。抗hCD37抗体のVは、(1)配列番号57のアミノ酸配列および/または(2)配列番号57をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号56によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。抗hCD37抗体のVは、(1)配列番号53のアミノ酸配列および/または(2)配列番号53をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号52によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。抗hCD37抗体は、配列番号46、47、48、49、50および51のアミノ酸配列をそれぞれ含む、または配列番号46、47、48、49、50および51をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列をそれぞれ含む、V CDR1、V CDR2、V CDR3、V CDR1、V CDR2、およびV CDR3を含み得る。このような抗hCD37抗体は、10μg/mlの濃度の抗hCD37抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも20%、30%、40%、50%、または60%のラモス細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗hCD37抗体は、10、7、5、4、3、2、1、0.8、0.7、0.6、または0.5nM以下のEC50で、架橋抗体なしで、ラモス細胞を直接死滅させることができる。
本明細書で記載の抗hCD37抗体は、(1)配列番号59のアミノ酸配列に対して10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含むHC、および(2)配列番号55に対して8、7、6、5、4、3、2または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含むLC、を含み得る。いくつかの実施形態では、このような抗hCD37抗体のHCは、(1)配列番号59のアミノ酸配列および/または(2)配列番号59をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号58によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。さらに、本明細書で記載の抗hCD37抗体は、(1)配列番号55のアミノ酸配列および/または(2)配列番号55をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号54によりコードされるアミノ酸配列、を含むLCを含み得る。このような抗hCD37抗体は、10μg/mlの濃度の抗hCD37抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも20%、30%、40%、50%、または60%のラモス細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗hCD37抗体は、10、7、5、4、3、2、1、0.8、0.7、0.6、または0.5nM以下のEC50で、架橋抗体なしで、ラモス細胞を直接死滅させることができる。
いくつかの実施形態では、このような抗hCD37抗体のHCおよび/またはLCは、改変から生じ得る特定の位置で、1個または複数の特定のアミノ酸を含み得る。例えば、一態様では、抗CD37は、特定の位置に次記のアミノ酸セットの1つを含み得る:(a)34V(HC)および31N(LC);(b)99L(HC)および54I(LC);(c)64Q(HC)および94D(LCL);(d)34L(HC)、64Q(HC)、53S(LC)、および93E(LC);(e)34L(HC)、64Q(HC)、99L(HC)、31N(LC)、53S(LC)、および92G(LC)。さらなる態様では、抗hCD37抗体のHCは、1種または複数の次記のアミノ酸を含み得る:147D、170C、173C、220G、および399R。LCは、1種または複数の次記のアミノ酸を含み得る:131K、160C、162C、および214S。このような抗hCD37抗体は、10μg/mlの濃度の抗hCD37抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも20%、30%、40%、50%、または60%のラモス細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗hCD37抗体は、10、7、5、4、3、2、1、0.8、0.7、0.6、または0.5nM以下のEC50で、架橋抗体なしで、ラモス細胞を直接死滅させることができる。
いくつかの実施形態では、抗hCD37抗体のVは、配列番号65に対して10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含んでよく、Vは、配列番号61に対して10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、抗hCD37抗体のVは、(1)配列番号65のアミノ酸配列および/または(2)配列番号65をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号64によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。別の態様では、抗hCD37抗体のVは、(1)配列番号61のアミノ酸配列および/または(2)配列番号61をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号60によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。このような抗hCD37抗体は、10μg/mlの濃度の抗hCD37抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにより、少なくとも20%、30%、40%、50%、または60%のラモス細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗hCD37抗体は、10、7、5、4、3、2、1、0.8、0.7、0.6、または0.5nM以下のEC50で、架橋抗体なしで、ラモス細胞を直接死滅させることができる。
別の態様では、抗hCD37抗体のHCは、配列番号67に対して18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含んでよく、LCは、配列番号63に対して18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、HCは、(1)配列番号67のアミノ酸配列および/または(2)配列番号67をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号66によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。別の態様では、LCは、(1)配列番号63のアミノ酸配列および/または(2)配列番号63をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号62によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。このような抗hCD37抗体は、10μg/mlの濃度の抗hCD37抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも20%、30%、40%、50%、または60%のラモス細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗hCD37抗体は、10、7、5、4、3、2、1、0.8、0.7、0.6、または0.5nM以下のEC50で、架橋抗体なしで、ラモス細胞を直接死滅させることができる。
他の実施形態では、抗hCD37抗体のHCは、配列番号71に対して18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含んでよく、LCは、配列番号69に対して18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、HCは、(1)配列番号71のアミノ酸配列および/または(2)配列番号71をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号70によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。別の態様では、LCは、(1)配列番号69のアミノ酸配列および/または(2)配列番号69をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号68によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。このような抗hCD37抗体は、10μg/mlの濃度の抗hCD37抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも20%、30%、40%、50%、または60%のラモス細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗hCD37抗体は、10、7、5、4、3、2、1、0.8、0.7、0.6、または0.5nM以下のEC50で、架橋抗体なしで、ラモス細胞を直接死滅させることができる。
さらなる実施形態では、抗hCD37抗体のHCは、配列番号79または83に対して18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含んでよく、LCは、配列番号75または81に対して18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、HCは、(1)配列番号79または83のアミノ酸配列および/または(2)配列番号79または83をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号78または82によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。別の態様では、LCは、(1)配列番号75または81のアミノ酸配列および/または(2)配列番号75または81をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列および/または(3)配列番号74または80によりコードされるアミノ酸配列、を含み得る。このような抗hCD37抗体は、10μg/mlの濃度の抗hCD37抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも20%、30%、40%、50%、または60%のラモス細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗hCD37抗体は、10、7、5、4、3、2、1、0.8、0.7、0.6、または0.5nM以下のEC50で、架橋抗体なしで、ラモス細胞を直接死滅させることができる。
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の抗hCD37 VおよびVを含む抗hCD37抗体は、キメラ抗原受容体(CAR)の一部であってよく、これはまた、T細胞受容体の一部を含んでよく、CAR-T細胞療法に使用できる。CAR-T細胞療法は、例えば、Yu et al.,前出;およびLemal and Tournilhac,前出、で説明される。
本明細書で前におよび以下で記載の抗hCD37抗体は、種々の有利な性質を有し得る。例えば、抗hCD37抗体は、細胞の表面上に提示されるhCD37に結合でき、細胞の表面上に提示されるカニクイザルCD37(cynoCD37)に結合でき、および/または架橋抗体と共に、または架橋抗体なしで、CD37発現細胞を死滅させることができる。このような抗hCD37抗体は、10μg/mlの濃度の抗hCD37抗体を用いる、架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイにおいて、少なくとも20%、30%、40%、50%、または60%のラモス細胞を直接死滅させることができる。別の態様では、このような抗hCD37抗体は、10、7、5、4、3、2、1、0.8、0.7、0.6、または0.5nM以下のEC50で、架橋抗体なしで、ラモス細胞を直接死滅させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書で記載の抗hCD37抗体は、標的細胞がWSU-DLCL2細胞ではなくラージ細胞であることを除き実施例5で記載されるようなアッセイを使用する場合、30、20、10、9、8、7、6、5、1、0.1、または0.01nM未満のEC50で、ラージ細胞に対しNK細胞媒介ADCCを開始させるように働き得る。図16、パネルBおよび下記の実施例10の最後の段落。
抗hCD20および抗hCD37抗体の混合物
本明細書で提供されるのは、本明細書で記載の抗hCD20および抗hCD37抗体を含む抗体の混合物である。いくつかの実施形態では、このような抗体の混合物は、2種の抗体をコードする1種または複数のDNAが導入されている単一宿主細胞株中で作製される。単一細胞株から抗体の対を製造するこの方法は、米国特許出願公開第2019/0248899号で詳細に記載されている。この方法を記載する米国特許出願公開第2019/0248899号の一部(すなわち、実施例1~12、ページ34~52、およびそこで言及される図)は、参照により本明細書に組み込まれる。この方法を用いて作製された2種の抗体の混合物を、本明細書では、MabPairと称する。抗hCD20および抗hCD37抗体の混合物はまた、例えば、別々の細胞株中で産生された2種の抗体の混合などの他の方法によっても作製できる。
より詳細には、これらの混合物は、本明細書で上記したいずれかの抗hCD20抗体を含んでよく、これは、本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2019/0248899号の一部、すなわち、実施例1~12、ページ34~52、およびその中で言及されている図中に記載されるように、改変できる。いくつかの実施形態では、抗hCD20または抗hCD37抗体は、そのHC中にD399RおよびK409Eを含む。これらの改変を有するHCのアミノ酸配列の例は、配列番号44(抗hCD20 Ab1.2.2.1 HC)中で、または配列番号43の核酸配列によりコードされるアミノ酸配列中で見つけることができる。混合物は、本明細書で記載のいずれかの抗hCD37をさらに含み得る。これらの抗hCD37抗体、あるいは、抗hCD20抗体のいずれかは、例えば、それらのHC中に147D、170C、173C、220G、および409R、ならびにLC中に131K、160C、162Cおよび214Sを含み得る。これらの変化を有するHCアミノ酸配列の例は、配列番号71(抗hCD37 Ab1.A1.1 HC)および配列番号83(抗hCD37 Ab1.N12.1 HC)であり、これらの変化を含むLCアミノ酸配列の例は、配列番号69(抗hCD37 Ab1.A1.1 LC)および配列番号81(抗hCD37 Ab1.N12.1 LC)を含む。本明細書で記載のHCおよびLCに対し、他の改変を有する(WO2017/205014に記載のような)抗hCD20および抗hCD37抗体を含む他のMabPairもまた、本明細書で提供の抗体の混合物中に含まれる。さらに、いくつかの実施形態では、抗hCD20抗体は、そのHC中に147D、170C、173C、220G、および409Rを含んでよく、およびそのLC中に131K、160C、162Cおよび214Sを含んでよく、さらに抗hCD37抗体は、そのHC中に399Rおよび409Eを含んでよい。いくつかの実施形態では、抗hCD37抗体は、そのHC中に147D、170C、173C、220G、および409Rを含んでよく、およびそのLC中に131K、160C、162Cおよび214Sを含んでよく、さらに抗hCD20抗体は、そのHC中に399Rおよび409Eを含んでよい。いくつかの実施形態では、抗hCD20抗体は、そのHC中に147D、170C、173C、220G、D399R、およびK409Eを含んでよく、およびそのLC中に131K、160C、162Cおよび214Sを含んでよく、さらに抗hCD37抗体は、そのHC中に409Rを含んでよい。いくつかの実施形態では、抗hCD37抗体は、そのHC中に147D、170C、173C、220G、D399R、およびK409Eを含んでよく、およびそのLC中に131K、160C、162Cおよび214Sを含んでよく、さらに抗hCD20抗体は、そのHC中に409Rを含んでよい。
代表的相手指向改変が、下表8に列挙される。この内の1種または複数を、抗体混合物中の抗hCD20および/または抗hCD37抗体中に含めることができる。
Figure 2022545834000013
ヘテロダイマーに適しない改変は、それらが抗体混合物の一部である場合、両方の抗体がIgG抗体であると仮定して、抗hCD20および/または抗hCD37抗体中に含まれてよい。一実施形態では、片方の抗体は、IgG4抗体(天然起源アルギニンを位置409に有する)または位置409にアルギニンを有する、すなわち、改変K409Rを有するように改変されているIgG1抗体であり得、および他方の抗体は、アミノ酸399K/Rおよび409D/Eを有する。
いくつかの実施形態では、本明細書で記載の抗hCD20 VおよびVならびに抗hCD37 VおよびVを含む、抗hCD20抗体および抗hCD37抗体は、キメラ抗原受容体(CAR)の一部であってよく、これはまた、T細胞受容体の一部を含んでよく、CAR-T細胞療法に使用できる。CAR-T細胞療法は、例えば、Yu et al.,前出;およびLemal and Tournilhac,前出、で説明されている。
ポリヌクレオチド、ベクターおよび宿主細胞
提供されるのは、本明細書で記載の抗体および/または抗体の混合物をコードするポリヌクレオチド、例えば、DNAまたは他の核酸である。本明細書で提供されるガイダンスを用いて、当業者は、抗体をコードする既知または新規の核酸配列を組み合わせ、本明細書で記載のVおよびVアミノ酸配列を含む、本明細書で記載の抗体および抗体混合物をコードするポリヌクレオチドを生成し得る。V、V、HC、もしくはLC、またはこのような配列の一部をコードするこのようなヌクレオチド配列は、例えば、配列番号7、9、11、13、19、22、25、28、31、34、37、40、43、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、110、111、および112で、ならびに本明細書全体を通して開示される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、図1および8で開示されるアミノ酸配列に対する相手指向改変などの改変を含むHCおよび/またはLCをコードできる。このような改変は、アミノ酸置換であり得る。加えて、このようなポリヌクレオチドは、可変ドメインの外の1個または複数の相手指向改変および/またはヘテロダイマーに適さない1個または複数の改変を含むHCおよび/またはLCをコードできる。ヒト、哺乳動物、および霊長類の免疫グロブリン定常ドメイン、例えば、C、C1、ヒンジ、C2、およびC3をコードする多数の核酸配列は、当技術分野において既知である。例えば、Kabat et al.,前述、を参照されたい。任意選択で、本明細書で記載の可変ドメインをコードするポリヌクレオチド配列は、このような定常ドメインをコードするポリヌクレオチド配列と、種々のフォーマット、例えば、IgG、IgM、IgD、IgE、IgA、二重特異的フォーマット、scFv、scFv-Fc、Fab、BiTE(scFc-リンカーscFv)、Fab-scFv、IgG-scFvなどのいずれかとして組み合わされてよい。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、HCをコードでき、そのHC中で、ヒンジ、またはヒンジの一部は、1種または複数の定常ドメインとは異なるアイソタイプまたはアイソタイプサブクラスから取り込まれてよい、および/またはヒンジ領域は、天然起源ヒンジドメインに対し改変されたアミノ酸配列を有し得る。いくつかの実施形態では、これらの抗体は、相手指向改変および/またはヘテロダイマーに適さない改変を含み得る。さらなる実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、補体依存性細胞障害(CDC)および抗体依存性細胞傷害(ADCC)などのエフェクター機能を高めるように改変されているHCをコードできる。実施例5および表16を参照。いくつかの実施形態では、これらの抗体は、哺乳動物の抗体、任意選択でヒトの、ヒト化された、または霊長類の抗体であり得る。
ポリヌクレオチドを改変する方法は、当該技術分野において周知である。おそらく、改変ポリヌクレオチドを生成するための最も直接的な方法は、所望配列を有するポリヌクレオチドを合成することである。例えば、DNA 2.0(Menlo Park,Calif.,USA)、BlueHeron(Bothell,Washington)、Genewiz(South Plainfield,New Jersey)、Gen9(Cambridge,Massachusetts)、およびIntegrated DNA Technologies(IDT;Coralville,Iowa)などの多くの会社がこのサービスを提供している。変異を導入する他の既知の方法、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いる部位特異的変異誘発法も採用できる。例えば、Zoller,New molecular biology methods for protein engineering,1991,Curr.Opin.Biotechnol.2(4):526-531;Reikofski and Tao,Polymerase chain reaction(PCR)techniques for site-directed mutagenesis,1992,Biotechnol.Adv.10(4):535-547を参照されたい。
本明細書で記載の抗体およびこれらの混合物をコードするポリヌクレオチド、任意選択でDNAを含むベクターは、選択した宿主細胞中での抗体の発現に適するいずれのベクターであってもよい。ベクターは、ベクターを含む宿主細胞の選択のためのおよび/または宿主細胞中でベクターの維持および/または増幅のための、選択可能マーカーを含み得る。このようなマーカーは、例えば、(1)原核生物宿主細胞のために、抗生物質または他の毒素、例えば、アンピシリン、テトラサイクリン、またはカナマイシンに対する耐性を付与する遺伝子、(2)細胞の栄養素要求性欠陥を補完する遺伝子、または(3)複合培地または限定培地から入手できない不可欠の栄養素を供給するように動作する遺伝子、を含む。特異的な選択可能マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、およびテトラサイクリン耐性遺伝子であり得る。ゼオシン耐性またはネオマイシン耐性遺伝子はまた、原核生物および真核生物の宿主細胞の両方で選択のために使用され得る。ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子および/またはプロモーターを持たないチミジンキナーゼ遺伝子は、当該技術分野において知られているように、哺乳動物細胞中で使用できる。例えば、Kingston et al.2002,Amplification Using CHO Cell Expression Vectors,Current Protocols in Molecular Biology,Ch.16,Unit 16.23,Wiley 2002を参照されたい。
加えて、ベクターは、ベクターの維持および/または本明細書で記載の抗体または抗体混合物をコードする挿入配列の発現のために必要な、1種または複数の他の配列要素を含み得る。このような要素としては、例えば、複製起点、プロモーター、1種または複数のエンハンサー、転写終結配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、外来性配列(本明細書で記載の抗体または抗体混合物をコードするDNAなど)のためのポリリンカー挿入部位、および2つの挿入配列、例えば、HCおよびLCコードDNA、の間の介在配列が挙げられる。これらの配列要素は、ベクターの複製および/または増幅、ならびにベクターに挿入された異種配列の発現を促進するように所望の宿主細胞中で機能するように選択できる。このような配列要素は、当該技術分野において周知であり、多数の市販のベクターで利用できる。
いくつかの実施形態では、抗体または抗体混合物をコードするポリヌクレオチドは、1種または複数のウイルスベクター、任意選択で腫瘍溶解性ウイルスベクター上に担持される得る。このようなウイルスベクターの例としては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、修正ワクシニアウイルスAnkara(MVA)、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、ニューカッスル病ウイルス、麻疹ウイルス、コクサッキーウイルス、レオウイルス、およびポックスウイルスベクターが挙げられる。このような実施形態では、本明細書で記載の抗体または抗体混合物をコードするポリヌクレオチドを含むこれらのウイルスベクターは、疾患を治療するために患者に投与できる。癌患者では、例えば、抗体または抗体混合物をコードするポリヌクレオチドを含むこのようなウイルスベクターは、患者中の腫瘍または癌細胞の主要部位に、例えば、注射、吸入(例えば、肺癌のために)、局所投与(例えば、皮膚癌のために)、および/または粘膜への投与(これを通して核酸が吸収され得る)により、直接投与されてよい。あるいは、このようなウイルスベクターは、全身に、例えば、経口で、局所に粘膜経由で、または皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、または腹膜注射により本明細書に記載のように投与されてよい。同様に、本明細書に記載の抗体の混合物をコードするポリヌクレオチドは、リポソームに包み込まれてよく、疾患を患っている患者に投与できる。
本明細書で記載のポリヌクレオチドおよび/またはベクターは、例えば1種または複数の抗体を産生するために、宿主細胞中に導入できる。1種または複数の抗体をコードする1種または複数のポリヌクレオチドおよび/またはベクターを含む宿主細胞は、組換えタンパク質の発現に適する種々の細胞のいずれでもよい。これらは、例えば、グラム陰性またはグラム陽性原核生物、例えば、大腸菌、枯草菌、またはネズミチフス菌などの細菌を含む。他の実施形態では、宿主細胞は、出芽酵母、分裂酵母などの種を含む真核細胞、または属クリベロマイセス、カンジダ、スポドプテラの真核生物、または異種ポリペプチドを発現できる任意の細胞であり得る。さらなる実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞であり得る。異種ポリペプチドの発現に適する多くの哺乳動物細胞株は、当技術分野において既知であり、例えば、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)を含む種々の購入業者から得ることができる。好適な哺乳動物宿主細胞株としては、例えば、COS-7株(ATCC CRL1651)(Gluzman et al.,1981,Cell 23:175)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはそれらの誘導体、例えば、無血清培地中で増殖するVeggie-CHOおよび関連細胞株(Rasmussen et al.,Isolation,characterization and recombinant protein expression in Veggie-CHO:A serum-free CHO host cell line,1998,Cytotechnology 28:31-42)、CHO-K1およびCHO pro-3細胞株ならびにこれらの誘導体、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)活性が不足しているDUKX-X11およびDG44細胞株、HeLa細胞、仔ハムスター腎臓(BHK)細胞(例えば、ATCC CRL 10)、McMahan et al.,A novel IL-1 receptor,cloned from B cells by mammalian expression,is expressed in many cell types,1991,EMBO J.10:2821-2832に記載のアフリカミドリザル腎臓細胞株CVI由来CVI/EBNA細胞株(ATCC CCL 70)、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞、例えば、293、293EBNAまたはMSR293、ヒト表皮A431細胞、ヒトColo205細胞、HL-60細胞、U937細胞、HaK細胞、Jurkat細胞、HepG2/3B細胞、KB細胞、NIH 3T3細胞、S49細胞、ならびにNS0およびSp2/0細胞を含むマウス骨髄腫細胞が挙げられる。異種ポリペプチドの発現が可能な他の原核生物、真核生物、または哺乳動物細胞型も、使用し得る。
抗体または抗体の混合物の製造方法
本明細書で記載の抗体および抗体の混合物は、当該技術分野において既知の方法により製造できる。例えば、1種または複数の抗体をコードするDNAを、例えば、遺伝子導入、形質導入、リポフェクション、形質転換、微粒子銃、微量注入、または電気穿孔を含む任意の適切な方法を用いて上記の宿主細胞中に導入できる。いくつかの実施形態では、2種の完全長抗体をコードするDNAを、宿主細胞中に導入できる。このような方法は、当技術分野において既知であり、例えば、Kaestner et al.,Conceptual and technical aspects of transfection and gene delivery,2015,Bioorg.Med.Chem.Lett.25:1171-1176に記載されている。この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
その中に1種または複数の抗体をコードするDNAが導入されている宿主細胞は、培養でき、抗体または複数の抗体は、細胞培養上清または細胞集団から回収できる。抗体または複数の抗体は、例えば、多くの可能な精製ステップの中で特に、様々な種類の遠心沈降、沈殿、透析、および/またはプロテインAクロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、およびサイズ排除クロマトグラフィーなどの親和性クロマトグラフィーを含むカラムクロマトグラフィーなどのさらなる精製ステップに供され得る。
治療の方法
抗hCD20抗体、抗hCD37抗体、これらの混合物、および/またはこのような本明細書で記載の抗体または抗体混合物をコードするポリヌクレオチド、任意選択で1種または複数のベクター、例えば、発現ベクターまたは腫瘍溶解性ウイルスベクター中に含まれるポリヌクレオチドは、種々の癌、例えば、特に、非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、B細胞CLL(B-CLL)、マントル細胞リンパ腫、B細胞NHL(B-B-NHL)、小リンパ性白血病(SLL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、黒色腫、およびバーキットリンパ腫を治療するために使用できる。いくつかの実施形態では、抗hCD20抗体、抗hCD37抗体、これらの混合物、および/またはこのような本明細書で記載の抗体または抗体混合物をコードするポリヌクレオチド、任意選択で1種または複数のベクターに含まれるポリヌクレオチドは、B細胞により少なくとも部分的に媒介される種々の疾患、例えば、特に、多発性硬化症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスを治療するために使用できる。例えば、Hampe,B cells in autoimmune diseases,2012,Scientifica,Article ID 215308(http://dx.doi.org/10.6064/2012/215308)を参照されたい。いくつかの実施形態では、抗hCD20および/または抗hCD37可変ドメインは、任意選択で、1種または2種の異なるscFvを含む、キメラ抗原受容体(CAR)の一部として前述の疾患の1つの治療に使用され得る。
抗hCD20抗体、抗hCD37抗体、これらの混合物、および/またはこのような抗体または混合物をコードするポリヌクレオチドは、追加の療法と共に投与でき、追加の療法は、抗体、抗体混合物、またはポリヌクレオチドの前に、後に、および/または同時に投与できる。追加の療法は、放射線、化学療法、またはキメラ抗原受容体-T細胞(CAR-T細胞)療法からなる群より選択できる。CAR-T細胞療法は、例えば、Yu et al.,前出、で説明される。他の追加の療法は、どの状態が治療されるのかに応じて、実施可能である。
追加の療法が化学療法剤の場合、それは、例えば、次記であり得る:ブスルファン、テモゾロミド、シクロホスファミド、ロムスチン(CCNU)、ストレプトゾトシン、メチルロムスチン、cis-ジアンミンジクロロ白金、チオテパ、アジリジニルベンゾキノン、シスプラチン、カルボプラチン、メルファラン塩酸塩、クロラムブシル、イホスファミド、メクロレタミンHCl、カルムスチン(BCNU)、 アドリアマイシン(ドキソルビシン)、ダウノマイシン、ミトラマイシン、ダウノルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンブラスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、VP-16、およびVM-26、ロイコボリン含有または非含有メトトレキサート、ロイコボリン含有または非含有5-フルオロウラシル、5-フルオロデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、ゲムシタビン、シタラビン、5-アザシチジン、ヒドロキシ尿素、デオキシコホルマイシン、フルダラビン、エトポシド、イリノテカン、トポテカン、アクチノマイシンD、ダカルバジン(DTIC)、mAMSA、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、L-アスパラギナーゼ、ミトキサントロン。例えば、その関連部分が参照により本明細書に組み込まれる、Cancer:Principles and Practice of Oncology,4.sup.th Edition,DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,Pa.(1993)を参照のこと。
追加の療法が放射線の場合、放射線治療は、例えば、光子、プロトン、または電子線などを用いた体外照射療法、および/または体内放射線法を含み得る。3D原体照射法、強度変調放射線治療(IMRT)、画像誘導放射線治療(IGRT)、トモセラピー(登録商標)、定位放射線照射、および体幹部定位放射線治療を含む、多くの種類の体外放射線療法が存在する。体内放射線法は、例えば、ブラキセラピーまたは放射性物質、例えば、放射性ヨウ素の全身投与を含む。
抗体またはこれらの混合物に関して、それらは、適切な間隔をあけて治療有効量で患者に投与できる。例えば、単一抗体または抗体混合物の単回投与は、約0.01ミリグラム/キログラム体重(mg/kg)~約50mg/kg、約0.05mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、または約0.5mg/kg~約7mg/kgであり得る。単回投与は、約0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5、mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、または10mg/kgの投与量であり得る。同様に、抗体または抗体混合物の単回投与は、約0.37ミリグラム/平方メートルの皮膚表面積(mg/m)~約1850mg/m、約0.5mg/m~約370mg/m、約3.7mg/m~約370mg/m、または約18.5mg/m~約259mg/mであり得る。単回投与は、約10mg/m、20mg/m、37mg/m、74mg/m、111mg/m、148mg/m、185mg/m、222mg/m、259mg/m、296mg/m、333、mg/m、370mg/m、407mg/m、または440mg/mであり得る。同様に、抗体または抗体混合物の単回投与は、約0.62mg~約3100mg、約1mg~約620mg、約6.2mg~約620mg、または約10mg~約434mgの投与量で投与できる。単回投与は、約0.5 1、3、6、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100mgであり得る。
本明細書で記載の抗体または抗体混合物をコードする1種または複数のポリヌクレオチドの場合、投与量は、例えば、約5x10コピーのポリヌクレオチド/キログラム体重(コピー/kg)~約1015コピー/kg、約1010コピー/kg~約1014コピー/kg、または約5x1010コピー/kg~約5x1013コピー/kgであり得る。あるいは、投与量は、約1010、1011、1012、1013、5x1013、1014、2x1014、3x1014、4x1014、5x1014、6x1014、7x1014、8x1014、9x1014、または1015コピーのポリヌクレオチドであり得る。投与頻度は、必要に応じ調節でき、上述の通りであってよく、または、例えば、毎日、1日置き、週2回、週1回、10日毎に1回、2週毎に1回、3週毎に1回、月1回、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月毎に1回であり得る。
抗体、抗体混合物、またはそれらをコードするポリヌクレオチドの用量は、一定の期間にわたり、1回または2回または一定の間隔で投与できる。例えば、用量は、毎日、1日置き、週2回、週1回、10日毎に1回、2週毎に1回、3週毎に1回、月1回、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月毎に1回投与できる。投与は、例えば、約1~4週、約1~6ヶ月、約6ヶ月~1年、約1~2年、または最大5年間にわたり継続できる。いくつかの事例では、投与は、中断され、および再開されてよい。いくつかの実施形態では、抗hCD20および抗hCD37抗体を含む混合物は、両方の抗体が同時に投与されるように投与されてよい。混合物の1回または複数回の投与後に、1種の抗体を単独で投与できる。いくつかの実施形態では、この抗体の投与は、一定期間にわたり継続できる。いくつかの実施形態では、抗体または抗体混合物の投与は、中断され、および1回または複数回再開されてよい。
本発明を一般的用語で記載してきたが、以下の具体的実施例は、本発明の範囲を限定するためでなく、例示するために提供される。本明細書で記載の発明の趣旨から逸脱することなく、本発明に対し様々な変更や修正をなし得ること、およびこれらの変更や修正は当業者には明らかであることは理解されよう。このような変更や修正は、添付の特許請求の範囲を含む本明細書で記載の本発明の範囲内に入る。
実施例
実施例1:抗CD20 II型IgG1抗体のヒト化および産生
以下に記載されるのは、キメラ抗hCD20抗体トシツモマブのヒト化およびさらなる最適化である。第1ステップでは、既存のマウスVおよびV配列を、最も類似したヒト生殖系列VおよびV配列とそれぞれ整列させた。
抗CD20クローンB1のアミノ酸配列を、https://www.drugbank.ca/biotech_drugsのDrug Bankウェブサイトから、キーワード「トシツモマブ」を検索することにより取り出した。取り出したアミノ酸配列は、Kabatらによる可変ドメインのナンバリング(Kabat et al.,(前出)を参照)と共に以下に示す。Kabat et al.,で定義されたCDRを、太字で示し、Kabat(前出)による定義のアミノ酸31~35に加えて、V CDR1中にアミノ酸26~30を含めたことが例外であった。理由は、最近、これらのアミノ酸も抗原結合に関与しているといういくつかの示唆があるためである。これらは、これらの配列を抗体アミノ酸配列をアノテートするためのAntigen receptor Numbering And Classification program(ANARCI)で処理することにより定義されたCDRである。Dunbar and Deane,ANARCI,antigen receptor numbering and receptor classification,2016,Bioinformatics 32(2):298-300を参照されたい。
Figure 2022545834000014
Figure 2022545834000015
トシツモマブのVおよびVアミノ酸配列を、DNA配列に逆翻訳し、それを用いてhttp://www.imgt.org/のIMGTウェブサイトで検索して、高度に相同なヒトVおよびV生殖系列配列を見つけた。ヒト生殖系列配列IGHV1-4601およびIGHD1-101およびIGHJ301を、IgVH-D-J_Germlineとしてアセンブルし、抗CD20トシツモマブV配列と整列させた。図1、パネルA。同様に、ヒト生殖系列配列IGKV6-2102およびIGKJ201を、IgVL-J_Germlineとしてアセンブルし、トシツモマブV配列と整列させた。図1、パネルB。
ヒト化プロセスの第2ステップでは、マウス配列であるトシツモマブのCDRを、図1に示される、アセンブルされた相同ヒトVおよびV生殖系列配列に個別にグラフト化した。このステップは多くの場合、「CDRグラフト化」と呼ばれ、これらのCDRグラフト化配列は、図1の両パネルAおよびBの3番目の行に示される(「CDRグラフト」と標識される)。
マウス抗体のCDRループの、ヒト生殖系列フレームワーク中への単純なグラフト化は通常、抗原に対する結合親和性の低減、または場合によっては、完全な喪失に繋がる。さらなる最適化が、ヒト化抗体の結合および他の機能特性を改善しそれによりこれらの特性が元のマウス抗体のものに近づくようにするために必要とされ得る。CDRグラフト化抗体を最適化する1つの方法は、CDRグラフト化抗体の三次構造の予測および、フォールディングまたは三次構造の全体の安定性を妨げる可能性のある構造の特徴の特定を含む。この分析に基づき、必要があれば、抗体のアミノ酸配列を、それが正確に折り畳まれ安定な三次構造を形成するように改変してよい。この手法は、Kurella and Gali,Structure guided homology model based design and engineering of mouse antibodies for humanization,2014,Bioinformation 10(4):180-186、に記載される。この文献は、参照により本明細書に組み込まれる。抗体の三次構造のこのような安定化は、改善された発現および結合特性をもたらし得るが、これは、完全に予測可能な結果ではない。
上記CDRグラフト化抗体の特性を改善するために、CDRグラフト化VおよびVのアミノ酸配列を、Rosetta Online Server that Includes Everyone(ROSIE)抗体モデリングサーバーに送った。Sivasubramanian et al.,Toward high-resolution homology modeling of antibody Fv regions and application to antibody-antigen docking,2009,Proteins 74(2):497-514.doi:10.1002/prot.22309;Marze et al.,Improved Prediction of Antibody VL-VH Orientation,2016,Protein Eng.Des.& Sel.29(10):409-418;Weitzner and Gray,Accurate structure prediction of CDR H3 loops enabled by a novel structure-based C-terminal constraint,2017,J.Immunology 198(1):505-515;Weitzner et al.,Modeling and docking antibody structures with Rosetta,2017,Nature Protocols 12(2):401-416;Lyskov et al.,Serverification of Molecular Modeling Applications:The Rosetta Online Server That Includes Everyone(ROSIE),2013 PLOS ONE 8(5):e63906.doi:10.1371/journal.pone.0063906、を参照されたい。
第1の抗体の三次構造モデルを、エネルギー最小化スコアに基づき上位10位の得点の抗体モデルの中から選択した。平均二乗偏差(RMSD)スコアを、妥当性およびモデル予測特性を計測するために、組み込み型の組合せ拡張法(CE)モジュールアライメントツールを備えたPyMOL(シュレーディンガーによる、詳細な立体視的画像を生成できる、分子モデリングプログラムであり、これは、https://pymol.org/またはhttps://www.schrodinger.com/pymolでダウンロードにより入手可能である)を使って計算した。加えて、PDBsum(Protein Data Baseからの3次元構造物の画像データベース)構造分析を、PROCHECK(残基の形状寸法および全体構造の形状寸法により残基を分析することにより3次元タンパク質構造の立体化学的品質を分析するソフトウェア)、およびVerify3D(タンパク質構造の3次元プロファイル(3Dプロファイル)を作成するソフトウェアであり、これは、三次タンパク質構造由来の原子座標がタンパク質のアミノ酸配列と適合性がある構造を規定するかどうかを表す)プログラムを用いて、ホモロジーベース三次構造モデルを検証した。
これらの分析に基づいて、我々は、V/V、V/C1、およびV/C境界での構造の立体障害を検討した。7個の問題となる可能性がある残基を、CDRグラフト化Vアミノ酸配列中で特定し、4個を、CDRグラフト化Vアミノ酸配列中で特定した。結果として、CDRグラフト化Vアミノ酸配列に次の改変を行った:M69L、R71V、T73K、T75S、V78A、Y91F、およびQ105T。CDRグラフト化Vアミノ酸配列に次の改変が作製された:L46P、K49Y、F71Y、およびQ100A。これらの改変は、マウスフレームワーク領域中に存在する残基を、ヒトフレームワーク領域に導入し、図1のパネルAおよびB両方の2つ目の行(「aCD20 Ab1」と標識)中で太字および下線で示される。改変された抗体アミノ酸配列は、以下に記載の追加のコンピューター分析に供されて、その特性を改善するための追加の方法を見つけることを試みた。
Swiss-PdbViewer(DeepView)ソフトウェアを、ダウンロードし、エネルギー最小化(シミュレーテッドアニーリング)のためにローカルで実行した。上記段落で述べたVおよびVアミノ酸配列中の改変を含むCDRグラフト化HCおよびLCアミノ酸配列を、エネルギー最小化のGroningen Molecular Simulation(GROMOS)力場解析に供した。デフォルト設定を用い、出力モデルを、種々の予測力場エラーを有する残基についてさらに試験し、それを、エネルギー最小化モデル、すなわち、入力アミノ酸配列に対して最も安定であると予測される三次構造モデルで表示した。これらの残基は、PyMOLにより個別に試験された。改変を次に導入して、このシミュレーテッドアニーリング、すなわち、抗体のシミュレートされたフォールディングにより予測される全ての立体障害を修正した。このような追加の改変を含むVおよびVアミノ酸配列を、力場シミュレーテッドアニーリングに供して、選択した改変が三次構造を安定化したかどうかを決定した。このエネルギー最小化プロセスにより、V中のA16Sの置換が、Vに接触している境界で予測された立体障害を防ぐことが明らかになった。この追加の改変を含むVおよびVアミノ酸配列を次に、PyMOLを用いる追加の試験に供して個別のアミノ酸の表面のアクセスし易さを評価した。この分析は、V(CDR2中の)の位置64のリジンが付き出ている可能性があることを示唆した。タンパク質表面からの残基の突出は、免疫原性と相関することが知られている。例えば、Novotny(1986),Proc.Natl.Acad.Sci.83:226-230を参照されたい。従って、この残基は、グルタミンであるように変更され(K64Q)、これは、このアミノ酸の突出を小さくし、免疫原性を減らすことが期待される。最終的なヒト化抗体(その三次構造を安定化し、フォールディングを促進し、および免疫原性残基の可能性を除去するためのCDRグラフト化バージョンの改変を含む)を、抗hCD20 Ab1と命名した。抗hCD20 Ab1のVおよびVの配列(パネルAおよびBの2行目)は、抗hCD20抗体トシツモマブのマウスVおよびV(パネルAおよびBの1行目)、アセンブルされた相同ヒト生殖系列配列のVおよびV(パネルAおよびBの最下行)、およびCDRグラフト化配列のVおよびV(パネルAおよびBの3行目)とのアライメントで図1に示される。
抗hCD20 Ab1のVおよびVアミノ酸配列を、IDTウェブサイト(https://www.idtdna.com/CodonOpt)のCodon Optimizationプログラムを、モンゴルキヌゲネズミ(ハムスター)を発現生物として選択し、実施することによりDNA配列に逆翻訳した。抗hCD20 Ab1のLCをコードするプラスミドを作成するために、シグナルペプチド(SP)、続いて抗hCD20 Ab1 VをコードするDNAフラグメントを、Integrated DNA Technologies(IDT),Inc.(Iowa,USA)で、いわゆるgBlock(登録商標)として合成した。これは、通常約300~1、000塩基対長の既知の配列の二本鎖DNAフラグメントであるが、幾分短いまたは長い長さも可能である。抗hCD20 Ab1 VをコードするDNA配列および抗hCD20 Ab1 Vのアミノ酸配列を、配列番号7および8にそれぞれ示す。このDNAを、ギブソン反応(例えば、Gibson Assembly(登録商標)マスターミックス取扱説明書、New England Biolabs Inc.(NEB)、バージョン3.3,NEBカタログ番号E2611S/L,NEB Inc.Ipswich,MA,USA)により、一過性発現ベクターpSB01中でヒトカッパ定常領域をコードする下流DNAフラグメントと融合した。反応混合物を、電気穿孔法により、コンピテント大腸菌XL1 Blue中に形質転換し、抗生物質カルベニシリン含有LB寒天プレート上に播種した。得られたコロニーを、採取し、培養した。プラスミド挿入断片配列を、Genewiz Inc.でのDNA塩基配列決定法により確認した。抗hCD20 Ab1のLCのアミノ酸配列およびそれをコードするDNA配列を、配列番号10および9にそれぞれ示す。
抗hCD20 Ab1のHCをコードするプラスミドを作成するために、シグナルペプチド(SP)、続いて抗hCD20 Ab1 VをコードするDNAフラグメントを、Integrated DNA Technologies(IDT),Inc.により合成した。抗hCD20 Ab1 VのLCのアミノ酸配列およびそれをコードするDNA配列を、配列番号12および11にそれぞれ示す。このDNAを、ギブソン反応により、一過性発現ベクターpSB01中でヒトIgG1抗体のC1、ヒンジ、C2、およびC3領域をコードする下流DNAフラグメントと融合した。反応混合物を、電気穿孔法により、コンピテント大腸菌XL1 Blue中に形質転換し、抗生物質カルベニシリン含有LB寒天プレート上に播種した。得られたコロニーを、採取、培養し、コロニー中のプラスミド挿入断片配列を、DNA塩基配列決定法により確認した。抗hCD20 Ab1のHCのアミノ酸配列およびそれをコードするDNA配列を、配列番号14および13にそれぞれ示す。このHCは、IgG1 HCであった。
抗hCD20 Ab1抗体のLCおよびHCをコードするプラスミドDNAを、それらを含む培養細菌から抽出し、Qiagen(登録商標)Midi-プレップキット(Qiagen N.V.,the Netherlands)を用いて精製した。30ミリリットル(mL)体積中の哺乳動物EXPI293(商標)細胞に、125mL振盪フラスコ中で、リポフェクタミン(登録商標)2000(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA,USA)を用いて、プラスミドDNAを遺伝子導入した。細胞を、37℃で5日間、150回転/分で連続的に振盪した。上清を、1500rpm、4℃で20分間、細胞を遠心沈降することにより採取し、上清中の抗体を、標準プロテインAカラムを用いて精製した。
実施例2:インビトロ細胞ベースアッセイによるヒト化抗hCD20 Ab.1抗体のキャラクタリゼーション
次の実験を実施して、他の対照抗CD20抗体と比べて、抗hCD20 Ab1が細胞表面上に発現されるヒトCD20にどのようにうまく結合し得るかを決定した。
ラージ細胞(ATCC、カタログ番号CCL-86;バーキットB細胞リンパ腫細胞株)は、ヒトCD20(hCD20)を発現することが知られている。例えば、Li et al.,Characterization of a rituximab variant with potent anti-tumor activity against rituximab-resistant B-cell lymphoma,2009,Blood 114(24):5007-5015、を参照されたい。ラージ細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)、2mMのL-グルタミン、100単位/mLのペニシリン、100マイクログラム/ミリリットル(μg/mL)ストレプトマイシン(Life Technologies、カタログ番号15140-122)の存在下で、RPMI培地1640(Life Technologies、カタログ番号21870)中で増殖させた。各5mLのチューブ中の百万個の細胞を、3mLのFACS緩衝液(1xリン酸緩衝食塩水(PBS、これは、1.37M NaCl、27mM KCl、100mM NaHPO、および18mM KHPOである)pH7.4、2%FBS、0.02%NaN)で1回洗浄し、室温(RT)で3分間、1500回転/分(rpm)で遠心沈降させ、その後100μlのFACSブロッキング緩衝液(FACS緩衝液+10%正常ヤギ血清(NGS)+2%正常ウサギ血清(NRabS))中に懸濁した。チューブを、振盪しながら室温で1時間にわたりインキュベートし、3mLのFACS緩衝液で1回洗浄し、100μlの5μg/mLの試験される種々の抗CD20抗体を含むFACSブロッキング緩衝液中に懸濁した。細胞を、室温で30分間抗体と共にインキュベートした。細胞を、FACS緩衝液で2回洗浄し、5μg/mLの二次抗体(FITC標識マウス抗ヒトIgG、Fc特異的、Jackson ImmunoResearch、カタログ番号209-095-098)を含むFACSブロッキング緩衝液中に再懸濁した。チューブを、室温で30分間、200rpmで震盪した後、FACS緩衝液で2回洗浄した。細胞をその後、2%ウシ胎仔血清含有リン酸緩衝食塩水(PBS)中の2%ホルムアルデヒド中で固定し、FACSCalibur(商標)卓上型分析装置(BD Biosciences)によるFACS分析に供した。
図2、パネルAに示すように、IgG1抗hCD20抗体リツキシマブ含有試料は、310の幾何平均蛍光強度(Geo MFI)を有し(実線の輪郭で濃い灰色で塗りつぶした右端のピーク)、IgG1抗hCD20抗体オビヌツズマブ含有試料は、220のGeo MFIを有し(点線で輪郭を描いたピーク)、ヒト化抗hCD20 Ab1 IgG1含有試料は、240の幾何学的MFIを有した(薄い灰色で塗りつぶしたピーク)。図2、パネルA中の、実線で輪郭が描かれ濃い灰色で塗りつぶされた左端のピークは、ヒトIgG1アイソタイプ対照を含む試料である。これらの結果は、抗hCD20 Ab1が、2種のベンチマーク抗体、すなわち、リツキシマブおよびオビヌツズマブと同等のレベルで、ラージ細胞上に発現したhCD20に結合することを示唆した。これらのデータは抗hCD20 Ab1の結合特異性を明確に示してはいないが、それらは、抗hCD20 Ab1がCD20を介してラージ細胞に結合することを強く示唆する。理由は、この抗体が、単一アミノ酸置換を除いて既知の抗CD20抗体(トシツモマブ)と同じCDRを有するためである。図1を参照されたい。
いくつかの抗CD20抗体は、細胞死滅のために必要とされる追加の成分を必要とすることなく、例えば、補体依存性細胞障害(CDC)または抗体介在性細胞傷害(ADCC)を介して直接に細胞を死滅させることができる。 次のアッセイを行って、直接殺細胞作用アッセイにおける抗hCD20 Ab1の活性を評価した。アッセイを次のように実施した。
ラージ腫瘍細胞を、平底96ウェルマイクロタイタープレートの10%FBS含有RPMI 1640培地中に、200μl/ウェルの体積中の1x10細胞の細胞密度で播種した。
各抗CD20抗体を、アッセイ培地(10%FSB含有RPMI 1640)中で30μg/mLに希釈した。これらの試験抗体は、この実験では「架橋され」ていないが、「架橋」が上記および下記で直接殺細胞作用実験と関連して言及される場合、それは、ポリクローナルヤギ抗ヒトIgG(Jackson ImmunoResearch Laboratories(West Grove,PA)、カタログ番号109-005-098;本明細書では、「架橋抗体」と呼ばれる)の配合物が希釈抗体と60μg/mLの濃度で混合され、腫瘍細胞への抗体の添加の前に、室温で30分間インキュベートされたことを意味する。その後、100μl/ウェル(各ウェル中の300μlの総体積に対し)で抗体(この場合、これは、「架橋抗体」なしの抗CD20抗体)が、10μg/mLの試験抗体の最終濃度に添加される。「架橋抗体」が含まれる場合、ヤギ抗ヒトIgG、すなわち、架橋抗体の最終濃度は、20μg/mLとなるあろう。マイクロプレートを次に、5%COにて37℃で24時間インキュベートした。インキュベーション後、10μl/ウェルの37%ホルムアルデヒドを、緩やかに混合しながら加えた。同じアッセイをまた、平底48ウェルプレート中で、全ての体積を2倍にして実施した。試料を、オートサンプラーを備えたFACSCalibur(商標)フローサイトメーターで分析した。試料体積を、60μl/ウェルに設定した。フローのデータを、FlowJo(登録商標)ソフトウェアで分析して、芽球細胞(健康な生細胞と見なされる)の数を測定した。この細胞は、サイズにより死細胞から容易に区別でき、かつゲート制御細胞集団中でカウントできる。データを、「芽球細胞#」としてy軸上にプロットする。図2、パネルBに示すように、96ウェルプレート中で、リツキシマブおよび抗hCD20 Ab1は、アイソタイプ対照抗体に比べて、弱い死滅活性(20~25%死滅)を示した。対照的に、オビヌツズマブは、50%の細胞死滅を超える、強力な死滅活性を示した。48ウェルプレートからの結果は、96ウェルプレートでの結果で観察された傾向と一致した。これらのデータは、抗hCD20 Ab1がラージ腫瘍細胞に対して弱い直接殺作用活性を有することを示した。
実施例3:ヒト化抗hCD20 Ab1抗体の設計
直接殺細胞作用における強力な活性が所望特性であったので、抗hCD20 Ab1を、この活性を高めるように設計した。実施例2に示すように、抗hCD20抗体オビヌツズマブは、抗hCD20 Ab1およびリツキシマブに比べて、直接殺細胞作用アッセイで強力な活性を示す。オビヌツズマブおよび抗hCD20 Ab1は、それらのVアミノ酸配列中で極めて高い相同性を共有することが明らかになり、一方、それらのV配列は、より異なっていた。下表11および12を参照されたい。
Figure 2022545834000016
Figure 2022545834000017
CDRはV CDRより抗原結合に重要であることが多いので、我々は、抗hCD20 Ab1のV CDR中のオビヌツズマブのものとは異なるいくつかのアミノ酸残基(表11の太字で示される)を、オビヌツズマブ中のこれらの位置に存在するアミノ酸で、または他のアミノ酸で置換することにより、抗hCD20 Ab1の死滅活性を改善することを試みた。
下表13に示す23個の異なる改変および改変の組み合わせを、QuikChange II Site-Directed Mutagenesis キット(Agilent、カタログ番号200524)を用いる抗hCD20 Ab1 VをコードするDNAの部位特異的変異誘発により抗hCD20 Ab1 Vのアミノ酸配列中で作製した。抗hCD20 Ab1 LCおよび表13で記載のように改変された抗hCD20 Ab1 HCの1つをコードするプラスミドDNAを、24ウェルマイクロタイタープレート中で、EXPI293(商標)細胞中に一過的に同時遺伝子導入した。上清を、遺伝子導入の5日後に採取し、実施例2で記載の結合および死滅アッセイに直接使用した。
Figure 2022545834000018
実施例2で記載のFACS分析を実施して、これらの23種のバリアントのラージ細胞への結合を評価した。バリアント#3、#7、#8は、かなりの結合を示したが、他のバリアントは、ラージ細胞上のCD20に結合しなかった。データは示されない。直接殺細胞作用アッセイ(実施例2で記載のように実施)は、バリアント#3、#7、#8は、架橋抗体、すなわち、ヤギ抗ヒトFcポリクローナル抗体が存在する場合ラージ細胞を死滅させることができることを示した。データは示されない。
このアッセイで使用した粗製細胞上清は不確定の抗体濃度および多くの混入物を含んだので、より大きな規模(30mL)の一過的遺伝子導入を、バリアント#3、#7、#8をコードするDNAで実施した。得られた形質移入体からの細胞上清を、5日後に採取し、各上清中の抗体を、標準プロテインAアフィニティカラムで精製した。精製されたバリアント抗体#3、#7、#8は、それぞれ、抗hCD20-Ab1-T6、抗hCD20-Ab1-T7、抗hCD20-Ab1-T8と命名された。加えて、改変N33Qを有する抗hCD20 Ab1 Vの別のバリアントを、同時に同じ方法で作製した。この精製された抗体は、抗hCD20-AB1-T5と命名された。この選択は、VのN33が多くの抗体で抗原結合に関与するという事実に基づいた。従って、我々は、N33が抗hCD20 Ab1の機能にとって重要である可能性があると推測した。我々は、この位置での類似であるが、わずかにより大きなアミノ酸への切り替えが、抗原結合および/または細胞死滅などの抗原結合に関連する特性を改善する可能性があると仮定した。加えて、A50R、N54E、およびS58Dから選択される2個または3個の改変を含むバリアント抗hCD20 Ab1抗体も同じ方法で作製した。全てのこれらのバリアントおよびそれら中の改変の名称は、下表14に列挙される。
Figure 2022545834000019
表14に列挙される抗hCD20 Ab1バリアントのタンパク質濃度を、280nM(OD280)での光学密度から計算した。これらのバリアントを、ラージ細胞のみに対してではなく、3種の異なる細胞型(ラージ、ラモス、およびWSU-DLCL2細胞)に対する結合を試験したことを除いて、実施例2に記載のように実施した結合アッセイにおいて、陽性および陰性の対照抗体と共に試験した。ラージ細胞は、極めて高いレベルのCD20を発現する。ラモス細胞は、より低いレベルであるが、依然として比較的高いレベルのCD20を発現する。WSU-DLCL2細胞は、極めて低いレベルのCD20を発現する。結果を図3に示す。
陽性対照抗体抗hCD20トシツモマブおよびオビヌツズマブは、これらの腫瘍細胞に結合し、一方でアイソタイプ対照抗体huIgG1は、全く結合を示さなかった。図3、パネルA~D。8種の試験した抗hCD20 Ab1バリアントの中で、抗hCD20-Ab1-T7のみが、オビヌツズマブと同等のWSU-DLCL2細胞およびラージ細胞に対する結合を示した。しかし、この結合のレベルは、別の陽性対照、トシツモマブで観察されたものより低かった。図3、それぞれパネルAおよびB。トシツモマブはまた、抗hCD20-Ab1-T7よりも高いレベルのラモス細胞に対する結合を示し、オビヌツズマブは、ラモス細胞では試験されなかった。図3、パネルC。対照抗体は、ラモス細胞中で2種の異なる濃度、すなわち、10μg/mL(他の実験と同様に)および1μg/mL、で試験された。2種の異なる濃度で観察された差異は小さい。図3、パネルD。オビヌツズマブを含む試料についてより高い濃度で観察されたわずかにより低いレベルの結合は、この抗体は細胞死滅に極めて効果的であるという理由で、より高い濃度でのこの抗体による細胞死滅が原因である可能性がある。図4を参照されたい。
直接殺細胞作用アッセイを、結合抗体を架橋するためにヤギ抗ヒトIgGポリクローナル抗体、すなわち、架橋抗体を加えて、WSU-DLCL2、ラージ、およびラモス細胞中で実施例2に記載のように実施した。結果を図4に示す。陽性対照抗hCD20抗体オビヌツズマブは、架橋抗体と共に、またはなしで、WSU-DLCL2、ラージ、およびラモス細胞中で、極めて強力な死滅を誘発し、一方でアイソタイプ対照huIgG1は、もしあるとしても、試験抗体の非存在下で観察されるものを超える直接殺細胞作用をほとんど示さなかった。キメラIgG1抗hCD20抗体TS(これは、トシツモマブの可変ドメインを含む)は、WSU-DLCL2細胞を含む試料中で強力な死滅を示したが、ラージまたはラモス細胞を含む試料中ではそうではなかった。図4、パネルAを図4、パネルBおよびCと比較されたい。試験した8種の抗hCD20 Ab1バリアントの中で、抗hCD20-Ab1-T7のみが、架橋抗体の存在下で、WSU-DLCL2細胞を含む試料中のトシツモマブで観察された死滅レベルに対し類似のレベルを示した。図4、パネルA。架橋抗体の非存在下では、8種の試験した抗hCD20 Ab1バリアント中のいずれも、WSU-DLCL2、ラモス、またはラージ細胞中で、説得力のある直接殺細胞作用を示さなかった。
まとめると、結果は、抗hCD20 Ab1のV中の1個または複数のアミノ酸の、抗hCD20抗体オビヌツズマブ中の同じ位置に存在するアミノ酸との(または他のアミノ酸との)置換は、親キメラIgG1抗hCD20抗体TSと比較した場合、結合および/または細胞死滅を十分に改善しなかったことを示した。従って、ヒト化抗hCD20 Ab1 IgG1抗体の直接殺作用活性を高めるために、異なる手法を探究した。
実施例4:抗原結合および直接殺細胞作用を高めるための定常ドメインの改変
I型およびII型抗CD20抗体は、CD20内の同じ3アミノ酸モチーフに結合する。しかし、II型抗体は、そのモチーフのC末端側に主に結合し、I型抗体はそのモチーフのアミノ末端側により多く結合する。Mark S.Cragg,CD20 antibodies:doing the time warp,2011,Blood,118(2):219-220。CD20分子は、細胞表面上で四量体を形成する。例えば、Niederfellner et al.,Epitope characterization and crystal structure of GA101 provide insights into the molecular basis for type I/II distinction of CD20 antibodies,2011,Blood 118(2):358-367を参照されたい。このわずかな差異は、異なる機能特性と相関する。I型抗hCD20抗体リツキシマブは、異なる四量体中の2つのCD20分子に結合し、II型抗hCD20抗体オビヌツズマブは、同じ四量体中の2つのCD20分子に結合すると仮定した。この仮定は、リツキシマブなどのI型抗hCD20抗体は、細胞表面上で大量のCD20四量体の形成をもたらし、一方、II型抗hCD20抗体はそうではないという観察と一致する。I型およびII型抗hCD20抗体の三次構造は、CD20が、抗体に対し異なる方向でI型およびII型抗hCD20抗体に結合することを明らかにする。さらに、II型抗hCD20抗体は、I型抗hCD20抗体より広い「肘角度」を有し、これは、II型抗体のアームがI型抗体のものより広く広がることを基本的に意味する。例えば、Cragg、前出;Niederfellner et al.,前出、を参照されたい。従って、我々は、II型抗CD20抗体のオビヌツズマブが、I型抗CD20抗体のリツキシマブより強力な細胞死滅を示したことから、アームの柔軟性に影響を与える可能性があるヒンジおよび隣接する領域での変化が、直接殺細胞作用にも影響を与える可能性があると仮定した。図4を参照されたい。
ヒトIgG1抗体のFabアームは、ヒトIgG4抗体のものより、より柔軟である(またはより広い「肘角度」を有する)。例えば、Vidarsson et al.,IgG subclasses and allotypes:from structure to effector functions,2014,Front Immunol Vol.5,Article 520を参照されたい。Kaiらは、IgG1、IgG3、およびIgG4抗体中のCH1と上部ヒンジ部の交換が、インビボおよびインビトロでトロンボポエチン受容体に特異的な2種のアゴニスト抗体の活性を高め得ることを報告した。Kai et al.,Switching constant domains enhances agonist activities of antibodies to a thrombopoietin receptor,2008,Nature Biotechnology 26(2):209-211。我々は従って、これらの領域で変化を作ることにより、抗hCD20 Ab1(ヒト化IgG1抗体)の活性を変えることを試みた。具体的には、(1)全体C1ドメインを、IgG4 C1と類似になるように置換した、および(2)ヒンジを、ヒトIgG2、IgG3、またはIgG4抗体のヒンジに少なくとも部分的に類似するように、変更した。
4種の新規抗hCD20 Ab1バリアント HC(下表15を参照)のアミノ酸配列を、DNA配列に逆翻訳した。DNAフラグメントを、Integrated DNA Technologiesにより合成し、本明細書の実施例1に記載のギブソン反応により、一過的哺乳動物発現ベクターpSB01中にサブクローニングした。バリアントHCをコードするプラスミドDNAを、大腸菌中に導入し、選択コロニー由来のプラスミドDNAを、Genewiz Inc.により配列決定した。塩基配列決定後、プラスミドDNAを、個別に作成し、EXPICHO(商標)細胞中への同時遺伝子導入のために、抗hCD20 Ab1 LCをコードするベクターと組み合わせて、新規組み換えヒトIgG抗体バリアントを産生した。
Figure 2022545834000020
上記4種の抗hCD20 Ab1バリアントを含むこれらの回収した細胞上清を、プロテインAアフィニティカラムを通して精製した。精製抗体の濃度を、OD260を読み取ることにより計算した。精製した抗体を、WSU-DLCL2細胞に対する結合(ラージ細胞について実施例2で記載のように実施した)およびWSU-DLCL2細胞を用いる架橋抗体なしでの直接殺細胞作用(実施例2および「直接殺細胞作用」の定義で上記のように)について10μg/mLでアッセイした。これらの実験からの結果を、図5に示す。
バリアント抗hCD20 Ab1.1、抗hCD20 Ab1.2、および抗hCD20 Ab1.3は、対照キメラ抗体TSより低いレベルのWSU-DLCL2細胞に対する結合を示し、一方で抗hCD20 Ab1.4は、より高いレベルを示した。図5、パネルA。これらの結果は、抗hCD20 Ab1.4 IgG中に存在するIgG3から上部および下部ヒンジ領域は、長く、柔軟性であるという事実を反映し得る。これは、両方のFabアームが同時にCD20と結合するのを可能にし、細胞表面上で発現されるCD20へのより強力な結合をもたらし得る。しかし、抗hCD20 Ab1.2(この中のC1および一部のヒンジはIgG4サブクラスのものである)は、最強の死滅を誘導し、一方で抗hCD20 Ab1.1、抗hCD20 Ab1.3および抗hCD20 Ab1.4 IgGは、トシツモマブで観察されたものを超えて、死滅活性を改善しなかった。図5、パネルB。
これらの差異に関するさらなる定量的情報を得るために、これらの抗hCD20 Ab1バリアントの死滅活性を、WSU-DLCL2およびラモス細胞中で異なる濃度で評価した。図6、それぞれパネルAおよびB。細胞を、種々の濃度で異なる抗体とインキュベートした。アイソタイプ対照huIgG1は、試験した最高濃度、すなわち、30μg/mLで、いずれの細胞型の死滅も示さなかったが、一方でオビヌツズマブは、強力な、WSU-DLCL2細胞の用量依存性細胞死滅(EC50=0.1048nM)を示した。トシツモマブは、遙かに弱いWSU-DLCL2細胞の細胞死滅(EC50=2.841nM)を示した。抗hCD20 Ab1 IgGバリアントは、用量依存的な死滅を示し、Ab1.2は、WSU-DLCL2細胞中で最も強力なバリアントであった(EC50=0.3767nM)。Ab1.1、Ab1.3、およびAb1.4は、それぞれ、2.955nM、0.5137nM、1.289nMのEC50を有した。WSU-DLCL2細胞より遙かに高いレベルのCD20を発現するラモス細胞は、全ての試験した抗hCD20抗体に対し感受性が低かったが、いくつかの類似の傾向が観察された。図6、パネルB。
実施例5:抗hCD20 Ab1.2の抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性
抗体依存性細胞傷害(ADCC)は、ナチュラルキラー(NK)細胞および単球/マクロファージ、NK T細胞、またはγδ T細胞などの他のCD16サブセットを含む、FcγRIIIA(CD16A)を発現している免疫細胞により実行される細胞溶解のための適切なサブクラスのIgG抗体(ヒトのIgG1およびIgG3)でコートした細胞を標的にする、一連の機序である。ADCCは、免疫監視の1つの機序であり、ADCCの強化は従って、治療抗体薬効を改善するための1つの戦略である。
ADCC強化のための2つのタイプの技術、すなわち、FcγRIIIAに対する抗体の親和性を高めるための、抗体グリコシル化の改変および抗体のアミノ酸配列の改変がある。例えば、Pereira et al.,The “less-is-more” in therapeutic antibodies:afucosylated anti-cancer antibodies with enhanced antibody-dependent cellular cytotoxicity,2018,MAbs 10(5):693-711;Kellner et al.,Modulating cytotoxic effector functions by Fc engineering to improve cancer therapy,2017,Tranfus.Med.Hemother.44:327-336を参照されたい。第1の戦略に関しては、ヒトIgG重鎖のN297でN結合型グリカンに付着されたフコースは、FcγRIIIAとの抗体のFc領域の相互作用を立体的に障害する。糖鎖工学によるこのフコースの除去は、FcγRIIIAに対する抗体の親和性を高め、これは、野生型IgG1抗体対照に比べて、脱フコシル化IgG1抗体における実質的により高いADCC活性をもたらす。1つの戦略では、β-1,4-N-アセチルトランスフェラーゼIII(GnT-III)およびゴルジαマンノシダーゼII(αManII)が過剰発現され、IgG抗体上により高い比率の二分したおよび非フコシル化グリカンを生じる。例えば、Ferrara et al.,Modulation of therapeutic antibody effector functions by glycosylation engineering:influence of Golgi enzyme localization domain and co-expression of heterologous beta1,4-N-acetylglucosaminyltransferase III and Golgi alpha-mannosidase II,2006,Biotechnol.Bioeng.93(5):851-861を参照されたい。別の戦略では、FUT8遺伝子が、抗体が発現される細胞株中で効果的に不活化されるまたは除去される。FUT8は、コア部フコシル化のために、N-グリカン上の最内側のGlcNAcにα1,6結合を介してフコースを移送する、唯一のα1,6-フコシルトランスフェラーゼである。FUT8ヌル細胞株は、完全に脱フコシル化された組み換えIgG1を発現し、これは、フコシル化IgG1に比べて、実質的に高められたADCC活性を有し得る。例えば、Yuan et al.,Bioprocess development of a stable FUT8-/--CHO cell line to produce defucosylated anti-HER2 antibody,2019,Bioprocess Biosyst.Eng.42(8):1263-1271(Doi:10.1007/s00449-019-02124-7)を参照されたい。別の戦略では、抗体は、2-フルオロフコースなどのFUT8の化学的阻害剤を含む培地を用いてCHO細胞中で産生され、それらのコア部グリカン中に少ないフコースを有するまたはフコースのないIgG抗体の産生をもたらす。Okeley et al.,Development of orally active inhibitors of protein and cellular fucosylation,2013,Proc.Natl.Acad.Sci.110(14):5404-5409,DOI:10.1073/pnas.1222263110)を参照されたい。
上述のように、第2の戦略は、抗体に対する結合のためにFcγRIIIAの親和性を高め、強化されたADCC活性に繋がる、IgG1抗体中のアミノ酸改変を含む。この戦略の探求において、我々は、実施例3で記載の部位特異的変異誘発により、4種の抗hCD20 Ab1.2のバリアントを作製した。Ab1.2に対する改変を下表16に示す。
Figure 2022545834000021
ADCCアッセイを実施して、これらの抗hCD20 Ab1.2バリアントの細胞傷害性活性を評価した。WSU-DLCL2細胞を、培養、洗浄し、約2x10細胞を、50mLのチューブ中の1%FBSを含むMedium199(例えば、ThermoFisher、カタログ番号11150059を参照)に再懸濁した。カルセイン-AM(Sigma Aldrich、カタログ番号C1359)を、25nMの最終濃度に加えた。細胞を、5%COにて37℃で30分間インキュベートし、1xPBSで2回洗浄して遊離カルセイン-AMを除去し、1%FBSを含む培地199中に1x10細胞/mLで再懸濁した。抗CD20抗体またはアイソタイプ対照IgG1抗体を、培地199+1%FBS中の1:2系列希釈により1μg/mL~0.0156μg/mLで調製し、100μl/ウェルで96ウェルのU底プレート(Berkman Dickson、カタログ番号353077)に加えた。WSU-DLCL2細胞を、ウェルに加えた(50μl/ウェル中の5x10個のWSU-DLCL2細胞)。プレートを、37℃で20分間インキュベートした。ヒトPBMCを、50:1のエフェクター/標的細胞比率、すなわち、50μl中の2.5x10PBMC/ウェルで、ウェルに加えた。対照ウェルでは、自然発生的蛍光放出を測定するために、PBMCではなく、50μlの1%FBS含有培地199を加えた。各ウェルの最終体積は、200μlであった。プレートを、5%COにて37℃で4時間インキュベートした。ウェルからの上清(150μl/ウェル)を、回収し、蛍光をEnvision2013 Multilabel Readerで、485-535nmで測定することにより、カルセイン放出についてアッセイした。100%溶解に相当する値を、4つのウェルのカルセイン標識標的細胞を20μl/ウェルのイゲパル(登録商標)CA-630洗浄剤(Sigma Aldrich、カタログ番号56741)で溶解することにより測定した。パーセント特異的溶解を、次のように定義した:(試料蛍光)-(自然発生的溶解蛍光)/(100%溶解-自然発生的溶解蛍光)100。パーセント特異的溶解値を変換し、シグモイド型用量反応カーブフィットを、GraphPad Prism5.0ソフトウェア(GraphPad Software,San Diego,CA)を用いて実施した。
図7、パネルAで示すように、アイソタイプ対照huIgG1抗体は、最大濃度(10nM)で約30%の溶解を示した。抗hCD20抗体リツキシマブは、0.261nMのEC50で、用量依存性応答を示し、10nMの最高濃度で約50%の最大特異的溶解であった。抗hCD20 Ab1.2は、0.1416nMのEC50で、用量依存性応答を示した。Ab1.2.1、Ab1.2.2、Ab1.2.3、およびAb1.2.4は全て、Ab1.2より高い効力を示し、それぞれ、0.01526nM、0.01134nM、0.02512nM、および0.02418nMのEC50を有した。これらのヒト化抗CD20抗体は、80%を超える最大特異的溶解を示した。抗hCD20 Ab1.2.2は、最も効力の高い抗体であった。
補体依存性細胞障害(CDC)は、IgG1抗CD20抗体に対する別の重要な作用機序である。例えば、リツキシマブは、強力CDC活性を有することが報告されている。Manches et al.,In vitro mechanisms of action of rituximab on primary non-Hodgkin lymphomas,2003,Blood 101:949-954。4種の抗hCD20 Ab1.2バリアントを、それらのCDC活性を評価するために、ウサギ血清(高いレベルの補体を含む)の存在下で、インビトロCDCアッセイにより試験した。1%FBS含有RPMI1640培地中のWSU-DLCL2腫瘍細胞を、U底96ウェルマイクロタイタープレート中に、50μl中の5x10個の細胞/ウェルで、播種した。その後、ウサギ血清(50μl/ウェル)および種々の濃度の抗CD20または対照抗体(50μl/ウェル)を加えた。ウサギ補体の最終濃度は、3%であった。ウェル当たりの総体積は、50μlであった。マイクロプレートを、5%COにて37℃で24時間インキュベートした。インキュベーション後に、PBS(50μl/ウェル)中のヨウ化プロピジウム(PI)を、4μg/mLの最終濃度に加えて、死細胞を検出した。FACSを、FACSCalibur(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences)を用いて実施した。データを、FlowJo(登録商標)ソフトウェアで解析した。細胞傷害性活性を、パーセンテージとして表し、これは、PI陽性細胞を細胞総数で除算した数値である(パーセント死細胞)。
予想通り、IgG1 抗hCD20抗体リツキシマブは、強力な活性を示し(EC50=0.30nM)、一方でIgG1 抗hCD20抗体オビヌツズマブは、遙かに弱いCDC活性を有した(EC50=8.90nM)。図7、パネルB。最大濃度(30nM)の加熱不活化ウサギ血清単独は、約10%のみの死細胞を示し、アイソタイプ対照huIgG1は、実質的にこのレベルを超える細胞死滅を誘発しなかった。抗hCD20 Ab1.2は、オビヌツズマブよりもわずかに強力なCDC活性(EC50=4.85nM)を示し、一方でAb1.2.2は、オビヌツズマブと同等のCDC活性(EC50=7.33nM)を示した。しかし、他のバリアントは、このアッセイで、大幅に低減されたCDC活性を有した(Ab1.2.3;EC50=54.32nM)か、または実質的にCDC活性を有しなかった(Ab1.2.1およびAb1.2.4)。図7、パネルB。
実施例6:マウス抗ヒトCD37抗体クローンG28.1のヒト化および産生
G28.1と呼ばれるマウス抗ヒトCD37ハイブリドーマクローンは、1991年に報告された。Braslawsky et al.,Adriamycin(hydrazone)-antibody conjugates require internalization and intracellular acid hydrolysis for antitumor activity,1991,Cancer Immunol Immunother.33(6):367-374。我々は、このハイブリドーマにより産生された抗体を以降でG28.1と呼ぶ。遺伝子改変キメラバージョンのG28.1は、G28.1抗体由来のマウス可変領域および遺伝子改変ヒト定常領域を含み、架橋抗体の存在下で慢性リンパ性白血病(CLL)の強力な直接殺作用を誘導するが、架橋抗体がない場合は、これを誘導しないことが示された。Zhao et al.,Targeting CD37-positive lymphoid malignancies with a novel engineered small modular immunopharmaceutical,2007,Blood.110(7):2569-2577。Heiderら(Heider et al.,A novel Fc-engineered monoclonal antibody to CD37 with enhanced ADCC and high proapoptotic activity for treatment of B-cell malignancies,2011,Blood 118(15):4159-4168)は、G28.1可変領域を含むキメラ抗体がホモサピエンス以外の試験したいずれの種由来のCD37にも結合しないことを見出したので、これらの研究者は、サロゲート抗体、すなわち、カニクイザルカニクイザルCD37に結合する異なる抗体を毒性試験のために作製した。これは、ヒト治療薬の開発における重要なステップである。Heider et al.,前出。下で、我々は、G28.1のヒト化バージョンの構築を記載する。これは、架橋抗体の非存在下での腫瘍細胞の強力な直接殺作用およびカニクイザルCD37抗原に対する異種間結合を達成するように最適化された。
G28.1のVおよびVアミノ酸配列(それぞれ、配列番号96および97)を、DNA配列に逆翻訳し、これを使って、IMGTデータベース(http://www.imgt.org/で利用可能)を検索して、高度に相同なヒトVおよびV生殖系列配列を見つけた。IgVH-D-J生殖系列としてアセンブルされる場合、ヒト生殖系列配列IGHV1-301、IGHD1-2601F、およびIGHJ401は、G28.1のVにほぼ類似のヒトVをコードすることが見出された。同様に、アセンブルされたヒト生殖系列配列IGKV1-2701およびIGKJ401を含むIgVL-Jヒト生殖系列は、G28.1のものにほぼ類似のヒトVアミノ酸配列をコードすることが見出された。G28.1 VおよびVのCDR配列を、これらのヒトVおよびV生殖系列配列のフレームワーク中にそれぞれグラフト化した。
ヒト化抗hCD20抗体について実施例1で説明されたように、CDRグラフト化VおよびVのアミノ酸配列を、Rosetta Online Server that Includes Everyone(ROSIE)抗体モデリングサーバー、続けて、PyMOL組み込み型CEモジュールアライメントツールおよびPROCHECKおよびVerify3Dプログラムを有するPDBsum構造解析に供した。これらの解析に基づいて、改変を、V/V、V/C1、および/またはV/C境界を安定化するためにCDRグラフト化抗CD37抗体のVおよびV中に導入し、抗体がCDRに抗原結合部位を形成するように折り畳まれることを可能にした。Vでは、これらの改変は、A40N、P41N、R71V、S82aKであり(図8、パネルAで下線付き太字の残基として示される)、それらのそれぞれは、ヒトフレームワーク領域中に存在するアミノ酸を元のマウス抗体中の同じ位置のアミノ酸で置換した。加えて、5個の改変を、V中で行った。これらは、D70Q、V83S、T85S、K103E、V104Lであった(図8、パネルBで下線付き太字残基として示される)。上述したV改変と同様に、それらのそれぞれは、ヒトフレームワーク領域中に存在するアミノ酸を元のマウス抗体中の同じ位置のアミノ酸で置換した。
Swiss-PdbViewer(DeepView)ソフトウェアに続いて、PyMOLを、上記の改変されたCDRグラフト化VおよびV配列に対し実施して、抗体のこれらのVおよびVアミノ酸配列を含む予測された三次構造中の立体障害を修正した。このエネルギー最小化プロセスにより、V中の改変V43Aが、V/V境界での立体障害を防ぐと予測された。この改変は、図8のパネルBで太字のイタリック体で示される。この追加で改変されたV配列+以前に使用された改変されたV配列を、PyMOLを使用して評価して、個別のアミノ酸が、三次構造の表面から突出しているかどうかを決定した。この解析は、Vの位置28(CDR1中)のセリンのトレオニンでの置換(S28T)が、抗体表面中の小さい溝を埋める可能性があることを示唆した。この改変は、図8、パネルAの下線付き太字のイタリック体で示される。このような「リサーフェイシング」は、抗体をより低い免疫原性にする可能性がある。前述の全ての改変を含むヒト化抗体を、抗hCD37 Ab1と命名した。この抗体のVおよびVと、G28.1、G28.1のCDRグラフト化バージョン、およびヒト生殖系列配列によりコードされる抗体のVおよびVとのアライメントを、図8に示す。
抗CD20抗体についての実施例1で記載のように、抗hCD37 Ab1のVおよびVアミノ酸配列を、Integrated DNA Technologies(IDT),Inc.(Iowa,USA)によるgBlock(登録商標)合成のために、DNA配列に逆翻訳した。抗hCD37 Ab1のVのアミノ酸配列およびそれをコードするDNA配列は、配列番号53および52でそれぞれ提供される。抗hCD37 Ab1のVのアミノ酸配列およびそれをコードするDNA配列は、配列番号57および56でそれぞれ提供される。V gBlock(登録商標)を、ギブソン反応により、一過的発現ベクター中でヒトカッパ定常ドメインをコードする下流DNAフラグメントと融合した。同様に、V gBlock(登録商標)を合成し、ギブソン反応により、同じベクター中でヒトIgG1抗体のC1、ヒンジ、C2、およびC3領域をコードする下流DNAフラグメントと融合した。これらの反応混合物を、電気穿孔法により、コンピテント大腸菌XL1 Blue細胞中に別々に導入し、抗生物質カルベニシリン含有LB寒天プレート上に播種した。得られたコロニーを、採取し、培養した。プラスミド挿入断片配列を、DNA塩基配列決定法により確認した。抗hCD37 Ab1のLCのアミノ酸配列およびそれをコードするDNA配列を、配列番号55および54でそれぞれ示す。抗hCD37 Ab1のHCのアミノ酸配列およびそれをコードするDNA配列を、配列番号59および58でそれぞれ示す。
ヒト化抗hCD37 Ab1 IgG1抗体のLCおよびHCをコードするプラスミドDNAを、それらを含む培養細菌から抽出し、Qiagen(登録商標)Midi-プレップキット(Qiagen N.V.,the Netherlands)を用いて精製した。哺乳動物EXPI293(商標)細胞(30mLの体積)に、125mL振盪フラスコ中で、リポフェクタミン(登録商標)2000(ThermoFisher Scientific,Waltham,MA,USA)を用いて、プラスミドDNAを遺伝子導入した。細胞を、37℃で5日間、150rpmで連続的に振盪した。上清を、1500rpm、4℃で20分間、細胞を遠心沈降により採取し、上清中の抗体を、標準プロテインAカラムを用いて精製した。精製された抗体を、試験し、その結合および死滅活性を下記に記載のように評価した。
実施例7:抗hCD37抗体Ab1のインビトロ細胞ベースアッセイによる評価
FACS分析を実施して、抗hCD37 Ab1が、CD20およびCD37の両方を発現している細胞にどのようにうまく結合するかを試験した。実験プロセスは、実施例2で記載される。全ての試料で使用される抗体の濃度は、10μg/mLであった。WSU-DLCL2、ラージ、およびラモス細胞を使用し、これらの結果を図9、パネルA、B、およびCに示す。アイソタイプ対照huIgG1抗体に比較して、抗hCD20抗体オビヌツズマブは、WSU-DLCL2、ラージ、およびラモス細胞に強力に結合する。G28.1のキメラバージョンに比較して、対照ヒト化抗hCD37抗体(H37と命名、これはG28.1から誘導された)は、わずかに低減した結合を示した。抗hCD37 Ab1は、これらの抗hCD37抗体の両方に比べて、3種全ての細胞株で、低下された結合を示した。
実施例2および「直接殺細胞作用」の定義で上記したように実施される、直接殺細胞作用アッセイを行って、架橋抗体の存在下または非存在下での抗hCD37 Ab1の直接殺細胞作用活性を評価した。全ての試料中の試験抗体濃度は、10μg/mLであった。アッセイを、WSU-DLCL2およびラージ細胞を使用して実施し、これらの結果を、図10、パネルAおよびBでそれぞれ示す。アイソタイプ対照huIgG1抗体に比べて、オビヌツズマブ(IgG1 抗hCD20抗体)は、架橋抗体の存在または非存在に関係なく、WSU-DLCL2およびラージ細胞両方の強力な細胞死滅を示した。G28.1のキメラバージョン(図10でG28.1と標識)は、架橋抗体の非存在下と比べて、架橋抗体の存在下で、わずかに高い細胞死滅を示した。架橋抗体の非存在下では、H37抗体は、アイソタイプ対照抗体(huIgG1)よりも多くのWSU-DLCL2細胞を死滅させなかった。しかし、架橋抗体の存在下では、H37は、キメラG28.1抗体と同等レベルでWSU-DLCL2細胞を死滅させた。図10,パネルA。H37抗体は、架橋抗体の非存在下で低レベルのラージ細胞の細胞死滅を示し、架橋抗体の存在下では、わずかに多い死滅を示した。しかしながら、これらのレベルは、キメラG28.1抗体のレベルより遙かに低かった。図10、パネルB。抗hCD37 Ab1は、WSU-DLCL2およびラージ細胞の両方において、架橋抗体の非存在下または存在下でキメラG28.1抗体により示されるものと同等の細胞死滅を示した。従って、抗hCD37 Ab1は、このアッセイでキメラG28.1と同等の死滅活性を有した。
類似の実験を、細胞死滅、すなわち、芽球細胞数を抗体添加後24時間および72時間の両方で、架橋のある場合とない場合について評価したことを除いて、ラモス細胞で実施した。結果を図11に示す。24時間で、キメラG28.1抗体および抗hCD37 Ab1は、架橋抗体のある場合とない場合で、強力な細胞死滅を示したが、架橋抗体は、効果を強化した。オビヌツズマブは、架橋抗体なしで、ある程度の細胞死滅を示し、H37抗体は、架橋抗体なしでは、ほとんどまたは全く細胞死滅を示さなかった。架橋抗体は、これらの抗体の両方による直接殺細胞作用を大きく高めたが、それらは依然として、キメラG28.1および抗hCD37 Ab1よりも効果が小さかった。図11、パネルA。
72時間で、いくつかの試料は、24時間で観察されたものと類似の結果を与えたが、他の試料はそうではなかった。H37抗体含有試料は、24時間で観察されたものと類似の結果を与えた。しかし、オビヌツズマブ、キメラG28.1および抗hCD37 Ab1は全て、極めて強力な細胞死滅を示し、もしあるにしても、架橋抗体の存在に対するわずかな依存性しかなかった。実際に、架橋抗体の存在下で試験したオビヌツズマブ含有試料は、架橋抗体の非存在下で試験した試料より少ない細胞死滅という、オビヌツズマブの極めて急速な死滅動力学に起因すると思われる結果を示した。
実施例8:カニクイザルCD37への結合を獲得するための抗hCD37 Ab1の遺伝子改変
ヒト治療抗体の開発では、異種間抗原結合は極めて好都合である。理由は、それが、非ヒト霊長類抗原に結合する完全に異なるサロゲート抗体ではなく、提案された治療抗体それ自体を用いて非ヒト霊長類で起こる毒性試験を可能にするためである。カニクイザルは、毒性試験に通常用いられる種である。G28.1はカニクイザルCD37に結合できないことが知られている(Heider et al.,前出、を参照)ので、我々は、カニクイザルCD37に結合し得る抗hCD37 Ab1のバリアントを見つけるために次の実験を実施した。
ヒトとカニクイザルCD37アミノ酸配列の間の差異は、下表17で明らかなように、わずかである。
Figure 2022545834000022
我々は、CDR中の保存的置換が、安定性などの抗体生物物理学的特性に大きな影響を与えることなく、結合特異性および/または親和性を微調整し得ると仮定した。従って、抗hCD37 Ab1のCDRの置換を、実施例3に記載のように実施される部位特異的変異誘発により導入した。抗hCD37 Ab1のV中の12個の保存的置換(M34V、M34I、M34L、T58S、T58G、N60A、K64Q、V96I、M99I、M99V、M99L、D101E)を作製し、抗hCD37 Ab1のV中の8個の保存的置換(S31N、F50Y、T53S、L54I、S92G、S92T、D93E、N94D)も、作製した。単一置換を含むVまたはVをコードするプラスミドDNAの配列を全て、DNA配列決定法により確認した。その後、各組み合わせが異なるV/V対をコードする、これらのDNAの96種の組み合わせを作製し、4つの24ウェルプレート中のEXPI293(商標)細胞の一過性遺伝子導入に使用した。遺伝子導入の5日後に、プレートを、1200rpm、4℃で15分間、遠心沈降して細胞をペレット化した。これらの細胞上清(PBS中の)の1:2または1:6希釈物を、実施例2に記載のように死滅試験を実施するために、WSU-DLCL2細胞を含むウェルに二つ組にして加えた。結果は、10種の抗hCD37 Ab1バリアントが、元のマウス抗ヒトCD37 G28.1抗体と同等の直接殺細胞作用活性を有し、残りのバリアントは、より低い直接殺細胞作用活性を有することを示した(データは示さず)。これらの10種のバリアント抗体は、次の名称および改変を有した:抗hCD37 Ab1.A1(V-M34V + V-S31N);抗hCD37 Ab1.C1(V-M34V + V-T53S);抗hCD37 Ab1.D1(V-M34V + V-L54I);抗hCD37 Ab1.F3(V-M34L + V-S92T);抗hCD37 Ab1.G3(V-M34L + V-D93E);抗hCD37 Ab1.F7(V-K64Q + V-S92T);抗hCD37 Ab1.G7(V-K64Q + V-D93E);抗hCD37 Ab1.H7(V-K64Q + V-N94D);抗hCD37 Ab1.C11(V-M99L + V-T52S);および抗hCD37 Ab1.D11(V-M99L + V-L54I)。
この一次選別から得られた結果は、いくつかの置換は細胞死滅に対し、ほとんどまたは全く効果を有しないことを示唆した。しかし、このような置換は、それらがCDR中にあったために、カニクイザルCD37に対する結合に影響を与え得たかもしれない。細胞死滅を有し、かつカニクイザルCD37に対する結合能力も有する他の組み合わせを見つけるために、これらの置換の組み合わせを作製した。合計22種の新規バリアントを、実施例3で説明したように、部位特異的変異誘発により作製した。これらのバリアント中の改変を、下表18に示す。
Figure 2022545834000023
上記22種の抗hCD37 Ab1バリアントを、それらをコードするHCおよびLCプラスミドDNAの24ウェルプレート中でのEXPI293(商標)細胞への同時遺伝子導入により作製した。キメラG28.1抗体およびアイソタイプ対照huIgG1を、同じプレート中でEXPI293(商標)細胞に、これらの抗体をコードするDNAを遺伝子導入することにより作製した。細胞上清を、遺伝子導入の5日後に回収し、1xPBS、pH7.4中で1:2または1:6で希釈し、WSU-DLCL2およびラモス細胞中で死滅活性について試験した。3種のバリアントN12、N18、およびN19は、一貫して強力な両細胞型の直接殺作用を示した。データは示されない。しかし、上清中の抗体の正確な量は既知ではないので、これらのデータは、他のデータと直接比較可能ではなかった。
死滅活性およびカニクイザルCD37抗原への異種間結合を正確に比較するために、13種の抗hCD37 Ab1バリアント、すなわち、抗hCD37 Ab1.A1、抗hCD37 Ab1.D1、抗hCD37 Ab1.F3、抗hCD37 Ab1.G3、抗hCD37 Ab1.F7、抗hCD37 Ab1.G7、抗hCD37 Ab1.H7、抗hCD37 Ab1.C11、抗hCD37 Ab1.D11、抗hCD37 Ab1.N12、抗hCD37 Ab1.N18、および抗hCD37 Ab1.N19を、EXPI293(商標)細胞の同時遺伝子導入により30mL規模で作製した。抗体を、プロテインAアフィニティカラムを通して精製し、各精製抗体の濃度を、定量した。抗体を、下記の、結合カニクイザルCD37および細胞死滅アッセイのFACSアッセイのために使用した。
AllCells(Alameda,CA)から購入したカニクイザルPBMC(ロット番号:NHP-PB170621 霊長類ID番号:G511を、100,000細胞/ウェルで96ウェル丸底マイクロタイタープレートに分注した。その後PBMCを、遠心沈降し、1xPBSで1回洗浄し、FACSブロッキング緩衝液でブロックした(上記実施例2参照)。その後、PBMCを再度、遠心沈降し、50μlの1xPBS/ウェルで再懸濁した。上記した抗hCD37 Ab1バリアントを加えた(1xPBS中の100μg/mLの濃度で、50μl/ウェル)。プレートを、4℃で1時間震盪し、続いて1500rpmで15分間、遠心分離した。液体を、ウェルからフリックして取り出した。マウス抗ヒトCD20 APC標識抗体(クローン2H7、BD Biosciencesから、カタログ番号BDB560900)およびマウス抗ヒトIgG Fc特異的FITC標識抗体(Jackson Immuno Researchから、カタログ番号209-095-098)を、両方とも10μg/mLで、100μlの1xPBS中で各ウェルに加えた。プレートを、室温で震盪を加えながら、30分インキュベートし、200μl/ウェルの1xPBSで1回洗浄した。PBMCを、1xPBS中の200μl/ウェルの2%パラホルムアルデヒドを加えることにより、FACS分析のために最終的に固定した。CD20細胞を、PBMC内のこの細胞サブセット中のCD37抗原結合のみを調べるために、ゲートアウトした。
図12は、抗hCD37 Ab1およびカニクイザルCD37への結合で最も大きな改善を示す5種のバリアント由来のデータを示す。試験した他のバリアントは、ほとんどまたは全く改善を示さなかった。図12、パネルAおよびBに示すように、それぞれ、カニクイザルPBMC中の67%のCD20細胞が抗hCD37 Ab1で強く染色され、および91.7%のCD20細胞が抗hCD37 Ab1.A1で強く染色された。これらのデータは、抗hCD37 Ab1.A1が、抗hCD37 Ab1に比べてカニクイザルCD37への改善された結合を有することを示す。抗hCD37 Ab1.D11、抗hCD37 Ab1.H7、抗hCD37 Ab1.N12、および抗hCD37 Ab1.N19を含む、他のバリアントは、抗hCD37 Ab1に比べてカニクイザルCD37への結合における、いくつかの事例では依然としてかなりであるが、より少ない改善を示した。
上記で特定された最良の5種のバリアント、すなわち、抗hCD37 Ab1.A1、抗hCD37 Ab1.D11、抗hCD37 Ab1.H7、抗hCD37 Ab1.N12、および抗hCD37 Ab1.N19、ならびに、アイソタイプ対照IgG1を、製造業者のプロトコルに従いZenon(商標)Allophycocyanin Human IgG Labeling Kit(ThermoFisher、カタログ番号Z25451)を用いてフルオロフォアアロフィコシアニン(APC)で個別に標識した。カニクイザルおよび健康なヒトドナー由来の単離PBMCを、室温にて1500rpmで3分間遠心分離し、FACSブロッキング緩衝液(FACS緩衝液+10%NGS+2%NRabS)中に再懸濁した。これらの洗浄PBMCを、96ウェル丸底マイクロタイタープレートのウェルに入れた(1x10細胞/ウェル)。プレートを、室温で30分間、150rpmで震盪させ、続いてFACS緩衝液で洗浄した。その後、細胞を、ペレット化し、10μg/mLのFITC標識抗CD19抗体およびAPC標識抗CD37 IgG1バリアント抗体を含むFACSブロッキング緩衝液(100μl/ウェル)またはアイソタイプhuIgG1対照抗体で染色した。抗体濃度は、80μg/mL(カニクイザルPBMCの場合)または10μg/mL(ヒトPBMCの場合)で開始し、1:2希釈系列でさらに希釈した。プレートを、4℃で30分間、150rpmで震盪させ、FACS緩衝液で2回洗浄した。PBMCを、ペレット化し、PBS+2%FBS(200μl/ウェル)中で再懸濁し、本明細書の実施例2に記載のようにFACSに供した。CD19B細胞を、ゲートアウトした後、それらのCD37結合について分析した。
バリアント抗hCD37 Ab1.A1抗体は、上位5種の抗hCD37 Ab1バリアントの中で、最も高い異種間カニクイザルCD37結合を示した。データを、抗hCD37 Ab1.A1およびアイソタイプ対照に対してのみ図13で示す。抗hCD37 Ab1.A1は、ヒトB細胞上のヒトCD37に、4.05nMのEC50で結合し、およびカニクイザルB細胞に、254.1nMのEC50で結合し、これは、ヒトB細胞のその結合に比べて、62.7倍効力が低い。アイソタイプhuIgG1対照抗体は、ヒトB細胞またはカニクイザルB細胞のいずれかへのいかなる結合も示さなかった。これらの結果は、遺伝子改変抗hCD37 Ab1.A1は、カニクイザルCD37へ結合しない元のマウスG28.1抗体に比べて、弱いが、しかし改善されたカニクイザルCD37への結合を獲得したことを示した。
抗hCD37バリアントである、抗hCD37 Ab1.A1、抗hCD37 Ab1.D11、抗hCD37 Ab1.H7、抗hCD37 Ab1.N12、および抗hCD37 Ab1.N19を、アイソタイプ対照huIgG1と共に、架橋抗体の非存在下で、WSU-DLCL2細胞(図14、パネルA)およびラモス細胞(図14、パネルB)の直接殺細胞作用に関し試験した。実験手順を、実施例2で記載する。各バリアントのEC50値を、下表19に記載する。
Figure 2022545834000024
バリアントの中で、抗hCD37 Ab1.A1は、カニクイザルCD37への最も高い異種間結合およびWSU-DLCL2およびラモス細胞の最も高い死滅効力を示した。従って、これを、さらなる試験の最上位候補として選択した。バリアント抗hCD37 Ab1.N12は、異種間結合および死滅効力の観点から第二位であり、従って、これを予備候補分子として選択した。抗CD37 Ab1.A1 Vのアミノ酸配列およびそれをコードするヌクレオチド配列を、配列番号61および60にそれぞれ示す。抗CD37 Ab1.A1 Vのアミノ酸配列およびそれをコードするヌクレオチド配列を、配列番号65および64にそれぞれ示す。抗CD37 Ab1.N12 Vのアミノ酸配列およびそれをコードするヌクレオチド配列を、配列番号73および72にそれぞれ示す。抗CD37 Ab1.N12 Vのアミノ酸配列およびそれをコードするヌクレオチド配列を、配列番号77および76にそれぞれ示す。
実施例9:カニクイザルCD20への結合についての抗hCD20 Ab1の試験
I型抗hCD20抗体リツキシマブおよびII型抗hCD20抗体GA101(オビヌツズマブ)は、CD20上の重なり合うエピトープを結合し、GA101エピトープは、リツキシマブエピトープに対しC末端側にわずかにシフトしている。Niederfellner et al.,前出。両エピトープは、ヒトCD20の残基170~172を含むが、GA101エピトープは、これらのアミノ酸から、リツキシマブエピトープよりもさらに下流に延びる。トシツモマブは、GA101により結合されるエピトープに類似のエピトープに結合する。Klein et al.,Epitope interactions of monoclonal antibodies targeting CD20 and their relationship to functional properties,2013,mAbs 5:22-33。下記(表20)のアライメントに示されるように、CD20のループ2中の170Ala~188Serの配列は、ヒトおよびカニクイザルCD20中で同一である。従って、抗hCD20抗体トシツモマブ、ならびにその誘導体は、カニクイザルCD20に結合するはずである。
Figure 2022545834000025
ヒトおよびカニクイザル由来のPBMCを、実施例8に記載のようにFACSで分析して、抗hCD20 Ab1.2.2が50μg/mLおよび10μg/mLでCD19B細胞に結合し得るかどうかを試験した。50μg/mLでは、抗hCD20 Ab1.2.2は、18.7%のヒトCD19B細胞(MFI=817;図15、パネルAの点線)において、および5.53%のカニクイザルCD19B細胞(MFI=1285;図15、パネルAの実線)において、強力な結合を示した。10μg/mLでは、抗hCD20 Ab1.2.2は、18.9%のヒトCD19B細胞(MFI=768;図15、パネルBの点線)において、および3.62%のカニクイザルCD19B細胞(MFI=1142;図15、パネルB)において、強力な結合を示した。これらの結果は、B細胞がヒト血液中よりもカニクイザル血液中で遙かに少ない存在量であるという事実と相関し得る。これらの結果は、抗hCD20 Ab1.2.2は、ヒトCD20に結合するほど強力ではないが、カニクイザルCD20に結合できることを示す。
実施例10:抗hCD20 Ab1.2.2および抗hCD37 Ab1.A1 IgG抗体に対する細胞結合およびADCCアッセイ
CD20およびCD37は、B細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)および慢性リンパ性白血病(CLL)における最も悪性のB細胞上で共発現されるので(例えば、Deckert J.et al.,A novel anti-CD37 antibody-drug conjugate with multiple anti-tumor mechanisms for the treatment of B-cell malignancies,2013,Blood 122:3500-3510)、B-NHLまたはCLL、または少なくとも部分的にB細胞により媒介される他の疾患の患者の治療のために、CD20およびCD37の両方を標的化することが望ましい場合がある。このような併用療法は、治療効力を高める、および/または薬剤耐性の発生を減らす可能性がある。2種の異なる抗体を単一宿主細胞株中で作製する技術(米国特許出願公開第2019/0248899号を参照)は、2種の異なる抗体を含む治療のコストを低減し得る。疾患細胞に対する効果のための抗CD20および抗CD37抗体の組み合わせ試験の前に、個別の抗体を、ラージ細胞に対する結合、および種々の他のアッセイにおける活性について試験した。
具体的には、オビヌツズマブ(ガザイバ(登録商標))、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、およびアイソタイプ対照huIgG1に加えて、上記の遺伝子改変抗hCD20 Ab1.2.2を、実施例2に記載の方法を用いてラージ細胞への結合について試験した。最高投与量でのアイソタイプ対照huIgG1は、結合を示さなかったが、一方でリツキシマブは、EC50=18.21nMで強力な結合を示した(最高投与量でGeo MFI≒250)。オビヌツズマブもまた、EC50=9.846nMで強力な結合を示した(最高投与量でGeo MFI≒150)。遺伝子改変抗hCD20 Ab1.2.2は、EC50=26.27nMで強力な結合を示し(最高投与量でGeo MFI≒200)、この抗体が細胞表面上のCD20分子に良好に結合することを示した。図16、パネルA。
さらなる実験では、抗hCD20 Ab1.2.2および抗hCD37 Ab1.A1を、本明細書の実施例5で記載のように、ラージ細胞中で実施されるADCCアッセイでそれらのの活性について試験した。図16、パネルBに示すように、アイソタイプ対照huIgG1は、ADCCを媒介せず、一方で抗hCD20 Ab1.2.2は、強力な活性を有し(EC50=0.008195nM)、これは、おそらく、ADCC強化のためのS239DおよびS298Aの置換がこの抗体に組み込まれたためであろう。抗hCD37 Ab1.A1は、中等度の活性(EC50=6.045nM)を有した。
実施例11:抗hCD20および抗hCD37 MabPairカクテルの生成
次の実験は、どの非同族HC/LC対が、その中に抗hCD20 Ab1.2.2および抗hCD37 Ab1.A1抗体由来の非同族HC/LC対をコードするDNAが導入されている遺伝子導入細胞中で、容易に形成したかを決定するために実施された。抗hCD20 Ab1.2.2および抗hCD37 Ab1.A1のLCおよびHCをコードするプラスミドDNAを、Qiagen(登録商標)Midi-プレップキット(Qiagen N.V.,the Netherlands)を用いて個別に精製した。得られたDNAを、水中で希釈し、EPPENDORF TUBES(登録商標))中で混合した。一連の4個のチューブの混合DNAを、EXPI293(商標)細胞中に一過的に遺伝子導入して、非同族HC/LCが発生するかどうかを評価した。チューブ1は、抗hCD20 Ab1.2.2抗体HC(HC1)およびその同族LC(LC1)をコードするDNAを含んだ。チューブ2は、HC1および抗hCD37 Ab1.A1 LC(LC2)からなる非同族HC/LC対をコードするDNAを含んだ。チューブ3は、LC1および抗hCD37 Ab1.A1 HC(HC2)からなる非同族HC/LC対をコードするDNAを含んだ。チューブ4は、HC2およびLC2をコードするDNAを含んだ。抗Her2トラスツズマブHCおよびLCをコードするDNAを含む追加のチューブ5を、遺伝子導入効率を評価するために並行して遺伝子導入した。
より詳細には、EXPI293(商標)細胞に、24ウェルディープウェルブロックでリポフェクタミン(登録商標)2000を用いて、試験抗体をコードするプラスミドDNAを二通りに遺伝子導入した。細胞を、37℃で5日間、150rpmで連続的に振盪した。上清を、1500rpmで20分間、細胞を遠心沈降することにより採取した。全ての試料(これらの全ては還元されなかった)について、5マイクロリットル(μl)の上清および5μlの2xレムリ試料緩衝液(65.8mMトリス塩酸、pH6.8、2.1%ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、26.3%(w/v)グリセロール、0.01%ブロモフェノールブルー)を、70℃で10分間加熱した。処理試料を、4~15%Criterion(商標)TGX Stain-Free(商標)Precast SDS-PAGEゲル(Bio-Rad Laboratories,Inc.,Hercules,CA、カタログ番号567-8085)にロードした。電気泳動を、200Vで45分間実施した。タンパク質を、Trans-Blot(登録商標)Turbo(商標)Transfer System(Bio-Rad Laboratories,Inc.)を用いてニトロセルロース膜に転写し、0.05%ツイーン(登録商標)20(PBST)を含む1xPBS中の3%脱脂乳中でブロックした。ニトロセルロース膜を洗浄し、抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識(HRP標識)ポリクローナルヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的)(Sigma-Aldrich Corporation,St.Louis,MO、カタログ番号A0170)で検出した。画像を、Bio-Rad Laboratories,Inc.のChemiDoc(商標)XRS+撮像装置で可視化した。
結果を、図17に示す。1、2、3、4、および5の標識の試料は、1’、2’、3’、4’および5’の標識の重複試料である。抗hCD20 Ab1.2.2(レーン1および1’)および抗hCD37 Ab1.A1(レーン4および4’)抗体は、十分に発現されるが、これらの発現は、抗Her2抗体トラスツズマブの発現よりわずかに低い(レーン5および5’)。抗hCD20 Ab1.2.2の同族HC1/LC1対から得られた抗体(レーン1および1’)は、HC1(抗hCD20 Ab1.2.2から)およびLC2(抗hCD37 Ab1.A1から)の非同族対から得られた抗体とほぼ同じレベルで発現された。図17、レーン1および1’を、レーン2および2’と比較されたい。これは、抗hCD20 Ab1.2.2のHC1は、それ自体のLC1または抗hCD37 Ab1.A1からの非同族LC2と同様に良好に発現できることを示唆する。興味深いことに、LC1(抗hCD20 Ab1.2.2からの)と抗hCD37 Ab1.A1からのHC2の非同族の対は、同族HC2/LC2対よりも遙かに低いレベルで発現される。図17、レーン3および3’を、レーン4および4’と比較されたい。これらのデータは、抗hCD37 Ab1.A1のHC2は発現のために、非同族LC1と比べて、それ自体のLC2を好むことを示唆する。従って、同じ宿主細胞中で発現される場合同族HC/LC対のみを発現するようにこれらの特定の抗体を改変することにおいて対処するべき主要な課題は、抗hCD20 Ab1.2.2由来のHC1と抗hCD37 Ab1.A1由来のLC2の誤対合である。
次の実験では、抗体を、同族HC/LC対を強化し、非同族HC/LC対を弱め、およびHC/HCヘテロダイマーを弱めるように改変した。米国特許出願公開第2019/0248899号(参照により本明細書に組み込まれる)の実施例2および3に記載のように、抗hCD20 Ab1.2.2および抗hCD37 Ab1.A1(+予備としての抗hCD37 Ab1.N12)MabPair抗体の改変バージョンを、以下のように作成する。置換D399RおよびK409Eを、IDTにより合成された2種のgBlocks(登録商標)を使用して、抗hCD20 Ab1.2.2のHCをコードするDNA中に適切な変異を導入することにより、抗hCD20 Ab1.2.2のC3領域に導入し、続いてギブソン反応により2種のgBlocksを、完全長HCをコードするDNA中にアセンブルした。この改変バージョンの抗hCD20 Ab1.2.2 HCを、抗hCD20 Ab1.2.2.1 HCと呼んだ。配列番号44および43は、抗hCD20 Ab1.2.2.1 HCおよびそれをコードする核酸配列のアミノ酸配列を、それぞれ示す。置換K147D、F170C、V173C、C220G、およびK409Rを、抗hCD20 Ab1.2.2 HCを改変するための上記方法により、これらのHCをコードするDNA中に適切な変異を導入することにより、抗hCD37 Ab1.A1および抗hCD37 Ab1.N12のHC中に導入した。これらのHCを、抗hCD37 Ab1.A1.1 HCおよび抗hCD37 Ab1.N12.1 HCと呼んだ。配列番号71および70は、抗hCD37 Ab1.A1.1 HCのアミノ酸配列およびそれをコードする核酸配列を、それぞれ示す。配列番号83および82は、抗hCD37 Ab1.N12.1 HCのアミノ酸配列およびそれをコードする核酸配列を、それぞれ示す。置換S131K、Q160C、S162C、C214Sを、上記方法により、抗hCD37 Ab1.A1および抗hCD37 Ab1.N12のLC中に導入した。これらのバリアントを、抗hCD37 Ab1.A1.1 LCおよび抗hCD37 Ab1.N12.1 LCと命名した。配列番号69および68は、抗hCD37 Ab1.A1.1 LCのアミノ酸配列およびそれをコードする核酸配列を、それぞれ示す。配列番号81および80は、抗hCD37 Ab1.N12.1 LCおよび核酸配列それをコードする核酸配列を、それぞれ示す。
1個の抗体または2個の異なる抗体から構成されるHCおよびLCをコードするプラスミドDNAを、一連のEPPENDORF TUBE(登録商標)試験チューブ中に入れた。チューブは、次の抗体をコードするDNAを含んだ:(1)トラスツズマブ(遺伝子導入効率を監視するために対照として使用される抗HER2抗体);(2)抗hCD20 Ab1.2.2.1;(3)抗hCD37 Ab1.A1.1;(4)抗hCD37 Ab1.N12.1;(5)抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1;ならびに(6)抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.N12.1。混合プラスミドDNAを用いて、30mLのEXPICHO(商標)細胞に遺伝子導入した。遺伝子導入EXPICHO(商標)細胞を含むフラスコを、10%COにて37℃で12日間震盪した。抗体を、培養上清から回収し、プロテインA親和性クロマトグラフィーにより精製した。
実施例12:抗hCD20および抗hCD37抗体を含むMabPairのキャラクタリゼーション
直前に記載の抗体配合物のサイズを大まかに測定するために、精製された抗体配合物を、SDS-PAGEゲルによる電気泳動に供した。各試料は、100mMのジチオトレイトール(DTT)の非存在下(非還元試料の場合)またはDTTの存在下(還元試料の場合)で、10μlの2xレムリ試料緩衝液(65.8mMのトリス塩酸、pH6.8、2.1%のラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、26.3%(w/v)グリセロール、0.01%ブロモフェノールブルー)を含む総体積20μl中のそれぞれ2μgの抗体を含んだ。還元した試料を、70℃で10分間加熱した。次に、試料を、4~15%Criterion(商標)TGX Stain-Free(商標)Precast SDS-PAGEゲル(Bio-Rad Laboratories,Inc.,Hercules,CA、カタログ番号567-8085)にロードした。電気泳動を、200Vで45分間実施した。画像を、光活性化後にBio-Rad Laboratories,Inc.のChemiDoc(商標)XRS+撮像装置で可視化した。
図18Aに示すように、モノクローナル抗体トラスツズマブ(レーン1)、抗hCD20 Ab1.2.2.1(レーン2)、および抗hCD37 IgG1 Ab1.A1.1(レーン3)は、非還元状態下で150KDa付近に移動した。抗hCD20 Ab1.2.2.1由来のHC1およびLC1および抗hCD37 Ab1.A1.1由来のHC2およびLC2をコードするプラスミドDNAを用いて細胞に遺伝子導入した場合、約150KDa(レーン4)の2つのバンドが、SDS-PAGEゲル上に観察された。下側バンドは、抗hCD20 Ab1.2.2.1と同じ位置に移動し、上側バンドは、抗hCD37 Ab1.A1.1と同じ位置に移動し、2つのみの異なる抗体、すなわち、抗hCD20および抗hCD37抗体(MabPair)が、4種の異なるプラスミドDNAの共遺伝子導入により哺乳動物細胞から産生されたことを示唆する。還元条件下では(図18、パネルB)、約50KDaのサイズのHCバンドおよび25KDaのサイズのLCバンドが、トラスツズマブ(レーン1’)、抗hCD20 Ab1.2.2.1(レーン2’)、および抗hCD37 Ab1.A1.1(レーン3’)について観察され、一方で2つのHCバンドおよび2つのLCバンドが、抗hCD20および抗hCD37 MabPair(レーン4’)について観察された。図18、パネルBのレーン4’中の下側HCバンドおよび上側LCバンドは、レーン2’中の抗hCD20 Ab1.2.2.1単独のものと同様に移動し、上側HCバンドおよび下側LCバンド(レーン4’)は、レーン3’中の抗hCD37 Ab1.A1.1単独のものと同様に移動した。これらの結果は、異なるHCおよびLCを含む少なくとも2種の異なるIgG抗体が、抗hCD37 Ab1.A1.1および抗hCD20 Ab1.2.2.1をコードするDNAを含む宿主細胞中で産生されることを示す。さらに、これらのデータは、2種のHCおよび2種のLCバンドのみが観察されたので、2種の異なる抗体のみが、これらの宿主細胞中で産生されることを示唆する。類似の観察が、抗hCD20 IgG1 Ab1.2.2.1および抗hCD37 IgG1 Ab1.N12.1をコードするDNAを含む宿主細胞から回収された抗体についてもなされた。図18、パネルCおよびDを参照されたい。
これらの抗体のサイズをより正確に測定するために、図18で分析された抗体を、低pHカチオン交換(CEX)分析に供した。この技術は、米国特許出願公開第2019/0248899号、ページ92、行9~30および図17に記載される。この特許文献は、参照により本明細書に組み込まれる。この方法は、Chen et al.,The use of native cation-exchange chromatography to study aggregation and separation of monoclonal antibodies,2010,Protein Science,19:1191-1204にも記載される。この文献は、その全体が本明細書に組み込まれる。手短に説明すると、Waters Alliance2695高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを用いる、前段に50mmのガードカラム(ProPac(商標)WCX-10G)を備えたThermo ProPac(商標)WCX-10弱CEXカラム、4x250mmを、使用する。クロマトグラフィーを、30分間にわたる100%緩衝液A(20mMの酢酸ナトリウム、pH5.2)から100%緩衝液B(250mMの塩化ナトリウムを加えた20mMの酢酸ナトリウム、pH5.2)までの直線勾配で実行した。カラムを、高塩(1Mの塩化ナトリウム)で洗浄し、緩衝液Aの開始条件に再平衡化した。抗体を、214nmの吸光度によりカラム流出物中で検出した。検出ピークの相対量を、EMPOWER(商標)ソフトウェア(Waters Corp.,Milford,MA,USA)を用いて決定した。低pH CEXは、異なる完全長抗体種を識別でき、混合物中の特定の抗体種の相対量を定量するために使用できる。図19、パネルAおよびBに示すように、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1または抗hCD37 Ab1.N12.1のいずれかをコードするDNAを含む宿主細胞により産生された抗体の低pH CEX分析は、2種の十分に分解された主要バンドを示す。2種のピークのそれぞれの中の抗体の特定は、個別の抗体を並行してロードしてカラムを実行することにより決定された。データは示されない。曲線下面積(AUC)を計算することにより、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1をコードするDNAを含む宿主細胞は、43%の抗hCD20 Ab1.2.2.1および57%の抗hCD37 Ab1.A1.1を産生し、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.N12.1をコードするDNAを含む宿主細胞は、49%の抗hCD20 Ab1.2.2.1および51%の抗hCD37 Ab1.N12.1を産生したことが明らかになった。図19、パネルAおよびB。従って、これらの実験は、2種の異なる主要抗体種が、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1または抗hCD37 Ab1.N12.1をコードするDNAを含む宿主細胞により産生されたことを示す。
質量分析を実施して、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1または抗hCD37 Ab1.N12.1をコードするDNAを含む宿主細胞により産生された抗体が、同族HC/LC対およびホモダイマーHC/HC対形成を有したかどうかを決定した。使用した質量分析法は、Thompson et al.,Complex mixtures of antibodies generated from a single production qualitatively and quantitatively evaluated by native Orbitrap mass spectrometry,2014,mAbs 6(1):197-203(この文献は、その全体が本明細書に組み込まれる)により、および米国特許出願公開第2019/0248899号、ページ92、行31~ページ94、行10および図18に記載される。この米国特許出願公開第2019/0248899号の部分は、参照により本明細書に組み込まれる。質量分析による分析の前に、抗体配合物を、ペプチド N-グリコシダーゼF(PNGase F)で脱グリコシル化した。抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1または抗hCD37 Ab1.N12.1をコードするDNAを含む細胞中で形成される可能性のある全ての脱グリコシル化抗体種の理論的サイズを、下表21に示す。
Figure 2022545834000026
図20、パネルAは、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1をコードするDNAを含む宿主細胞により産生された脱グリコシル化抗体由来のデータを示す。図に示すように、検出された主ピークの実質量は、145474.68ダルトン(Da)および144421.81Daであり、これは、それぞれ、抗hCD20 Ab1.2.2.1の理論的質量(145473.36)から、わずかに9百万分率(ppm)であり、抗hCD37 Ab1.A1.1の理論的質量(144420.18)からわずかに11ppmである。図20、パネルBは、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.N12.1をコードするDNAを含む宿主細胞により産生された脱グリコシル化抗体由来のデータを示す。検出された実質量は、145476.18Da、および144400.26Daであり、これは、それぞれ、抗hCD20 Ab1.2.2.1の部分は理論的サイズ(145473.36)から、わずかに19(ppm)であり、抗hCD37 Ab1.N12.1の理論的サイズ(144394.18)からわずかに42ppmである。全ての理論的サイズからのサイズの変化は100ppm未満であるので、これらの実験的に決定した質量は、観察された主ピークが同族HC/LC対およびホモダイマーHC/HC対形成を有する抗体からのみ得られたことを示す。従って、これらの配合物中の抗体の唯一の主要種は、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1または抗hCD37 Ab1.N12.1であった。
図20の両パネルの2種の大きなピーク間に、1つの極めて小さいピークが、図20、パネルAの145,075.35Da、および図20、パネルBの145,058.90Daで観察された。これらのピークは、LC2/HC1/HC2/LC2を含む誤対合抗体の予測質量(パネルAの1145064.00Daおよび図20、パネルBの145023.92Da)に極めて近接していた。従って、上記の抗CD20および抗CD37抗体混合物を、高速液体クロマトグラフ-質量分析(HPLC-MS)によりさらに分析してこの成分を特定した。
この分析を行うために、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1または抗hCD37 Ab1.N12.1をコードするDNAを含む宿主細胞から精製された20μgの抗体配合物を、20μlの50mMトリスpH7.5中で、1μlのPNGase Fエンドペプチダーゼ(New England BioLabs)と37℃で16時間インキュベートした。PNGase Fによる脱グリコシル化後に、試料の半分を、30分間50mMのDTTとの、4Mの塩酸グアニジンを含む、50mMトリスpH8.0緩衝液中の55℃でのインキュベーションにより還元した。還元された試料のHPLC-MS分析を、ESI源を備えAgilent1200 HPLCに連結されたAgilent6224精密質量TOF質量分析計を用いて実施した。Agilent Pursuit Diphenylカラム(2.0x150mm、3μm)を、カラム温度80℃および流速0.4μl/分で用いた。移動相Aは、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)含有水からなり、移動相Bは、0.9%TFAを加えたイソプロピルアルコール(IPA):アセトニトリル(ACN):水(70:30:10)からなる。移動相Bを10%で最初に保持した後、5分間かけて32%Bに増加させ、その後、35分かけて42%に高めた。溶媒をその後、90%Bに変更し、4分間保持してカラムを洗浄した。最終的に、溶媒を、10%Bに戻し、カラムの再平衡化のために4分間保持した。MS装置パラメーターは次の通りであった:乾燥ガス温度、乾燥ガス流および噴霧器を、それぞれ、300℃、12L/分および40psigに設定した。毛細管、フラグメンター、スキマー1およびOct RF Vppをそれぞれ、4500V、250V、60Vおよび750Vに設定した。装置を、4GHz高解像度で、100~3000のm/zの範囲で較正した。HPLC-MSからのデータを、Agilent MassHunter QualitativeおよびBioConfirmソフトウェアを用いて解析した。
図21、パネルAは、4つの十分に分離された鎖を示すカラムのUVクロマトグラムを示す。抗CD37 HCおよびLCピーク間の矢印により示される領域は、それがベースラインより高いために、MSにより解析された。MS解析は、この領域が、48949.63Da、49112.22Da、49403.92Daおよび49694.61Daの質量を有する複数の種を含み、これらは、それぞれ、主要種の抗CD37 HC種より202.76Da、365.35Da、657.05Daおよび947.74Da大きい。図21、パネルBおよびCを参照。これらの4つのピークの質量増加は、それぞれ、セリンまたはトレオニン残基の、n-アセチル-D-ヘキソサミン(HexNAc)、n-アセチル-D-ヘキソサミンに添加されたヘキソース(HexHexNAc)、n-アセチル-D-ヘキソサミンに添加されたヘキソースに添加されたn-アセチルノイラミン酸(NeuAcHexHexNAc)またはNeuAc2HexHexNAcによる改変から予測される質量増加に正確に一致する。NeuAcHexHexNAcにより改変された抗CD37重鎖は、改変種中で最も豊富であった。これらの改変は、共通のムチン型O-グリコシル化コア-1グリカンプロファイルである。例えば、Tran and Ten Hagen,Mucin-type O-glycosylation during development,2013,J.Biol.Chem.288(10):6921-6929を参照されたい。従って、これらのデータは、図20、パネルA中の145,075.35Daおよび図20、パネルB中の145,058.90Da近辺の小さいピークが、抗CD37 HCのO-グリコシル化種であることを示唆する。従って、MSは、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1をコードするDNAを遺伝子導入した宿主細胞由来の抗体配合物中の抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1以外のかなり量のいずれの抗体種も検出しなかった。
この抗体混合物を還元し、その後さらなるHPLC-MS分析に供して、個別の重鎖および軽鎖を明確に特定した。検出された第1のピークは、23378.22Daの質量を有し、これは、抗hCD20 Ab1.2.2.1 LCの理論的に決定された質量(23377.97Da)と11ppmの誤差で一致する。図22、パネルA。検出された第2のピークは、23495.32Daの質量を有し、これは、抗hCD37 Ab1.A1.1 LCの理論的に決定された質量(23495.15Da)と7ppmの誤差で一致する。図22、パネルB。検出された第3のピークは、48732.94Daの質量を有し、これは、抗hCD37 Ab1.A1.1 HCの理論的に決定された質量(48732.99Da)と1ppmの誤差で一致する。図22、パネルD。検出された第4のピークは、49374.44Daの質量を有し、これは、抗hCD20 Ab1.2.2.1 HCの理論的に決定された質量(49374.71Da)と5ppmの誤差で一致する。図22、パネルC。これらの結果は、この抗体混合物中の抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1由来のLCおよびHCの存在を明確に示す。
同様に、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.N12.1をコードするDNAを含む宿主細胞から回収された抗体混合物を、脱グリコシル化し、還元し、HPLC-MS分析に供して、この混合物中のHCおよびLCを明確に特定した。この混合物中で検出されたピークの1つは、23378.24Daの質量を有し、これは、抗hCD20 Ab1.2.2.1 LCの理論的に決定された質量(23377.97Da)と11ppmの誤差で一致する。図23、パネルA。検出された別のピークは、49374.47Daの質量を有し、これは、抗hCD20 Ab1.2.2.1 HCの理論的に決定された質量(49374.71Da)と5ppmの誤差で一致する。図23、パネルC。検出された第3のピークは、23468.34Daの質量を有し、これは、抗hCD37 Ab1.N12.1 LCの理論的に決定された質量(23468.12Da)と9ppmの誤差で一致する。図23、パネルB。検出された第4のピークは、48746.70Daの質量を有し、これは、抗hCD37 Ab1.N12.1 HCの理論的に決定された質量(48746.97Da)と5ppmの誤差で一致する。図23、パネルD。これらの結果は、このMabPair混合物中の抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.N12.1抗体のLCおよびHCの存在を明確に示した。
抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1をコードするDNAを含む細胞由来の抗体混合物を、IgG分解酵素の化膿性連鎖球菌(IdeSプロテアーゼ;Promegaカタログ番号V7511、これは、ヒンジ領域以降の単一部位でIgG抗体を切断し、F(ab’)フラグメントおよびC2およびC3ドメインを含むフラグメントを生じる)、続いて、2-メルカプトエチルアミン(2-MEA)およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の存在下で部分還元した。2-MEAおよびEDTAによる処理は、HC/LCジスルフィド架橋に実質的に影響を与えることなく、ヒンジ領域ジスルフィド架橋を還元する。従って、この処理は、Fab’フラグメントおよびC2およびC3ドメインを含むフラグメントを産生し、おそらく、少量のFdフラグメント(VおよびC1を含む)が付随することが予測され得る。
下表22は、同族および非同族対を含む、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1を含む抗体混合物からの4種の可能なFd/LC対形成から生じたFab’フラグメントの計算質量を示す。
Figure 2022545834000027
抗体のIdeSプロテアーゼ消化および2-MEA+EDTA処理対のMSによる分析は、48,413.25および48,913.90Daにピークを生じ、これは、それぞれ、計算されたFd2/LC2質量およびFd1/LC1 Fab質量と22ppmおよび24ppmの誤差で一致した。図24、パネルA。他のピークは、非同族のFd/LC対を有するFab’フラグメントの計算質量を含む、Fab’フラグメントの計算質量の周辺のサイズ範囲中では観察されなかった。従って、これらのデータは、両方の観察されたHC/LC対が同族対であったことを示した。
下表23は、同族および非同族対を含む、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.N12.1を含む抗体混合物からの4種の可能なFd/LC対形成から生じたFabフラグメントの計算質量を示す。
Figure 2022545834000028
MSによる、抗体のIdeSプロテアーゼ消化および2-MEA+EDTA処理された対の分析は、48,400.11および48,913.84Daにピークを生じ、これは、それぞれ、計算されたFd2/LC2 Fab質量およびFd1/LC1Fab質量と19ppmおよび23ppmの誤差で一致した。図24、パネルB。他の主要なピークは、非同族のFd/LC対を有するFab’フラグメントの計算質量を含む、Fabフラグメントの計算質量の周辺のサイズ範囲中では観察されなかった。従って、これらのデータは、両方の観察されたHC/LC対が同族対であったことを示した。
まとめると、MS分析の結果は、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1またはAb1.N12.1を含む単一宿主細胞株由来の抗体混合物のHCおよびLCは、ほとんど同族HC/LC対形成のみを有し、ヘテロダイマー対形成またはHCはほとんどまたは全くなかった。
実施例13:抗hCD20および抗hCD37抗体の結合特異性
以下に記載の実験は、本明細書で記載の抗hCD20および抗hCD37抗体がhCD20およびhCD37にそれぞれ特異的に結合することを確認するために設計された。
CHO細胞に、hCD20、およびhCD37を別々に、遺伝子導入した。1種はhCD20を安定に発現しており(CD20/CHO)およびもう一方はhCD37を安定に発現している(CD37/CHO)2種の細胞株を、これらの形質移入体から誘導した。抗hCD20 Ab1.2.2.1、抗hCD37 Ab1.A1.1、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1を含むMabPair(表24では「MabPair」と呼ばれる)、アイソタイプ対照抗体(表24ではhuIgG1を呼ばれる)を、約0.0002nM~約30nMの範囲の種々の抗体濃度でこれらの細胞株のそれぞれへの結合について、試験した。実施例2で基本的に記載のFACSベース検出システムを用いて、これらの細胞株への抗体の結合を検出した。方法は、次のように実施例2で用いたものと異なった。使用した細胞株は、ラージ細胞細胞ではなく、上で説明されたCD20/CHOおよびCD37/CHOであった。細胞を、洗浄のために、1500rpmで3分間ではなく、1500rpmで5分間遠心分離した。洗浄後に、細胞および一次抗体を一緒に、100μLではなく、50μLの体積でインキュベートした。一次抗体を、全ての抗体に対し5μg/mLの濃度ではなく、種々の濃度で添加して、用量/反応曲線を生成した。それぞれの抗体の各濃度について記録されたGeo MFI値のEC50を、下表24に報告する。
Figure 2022545834000029
表24のデータは、MabPairおよび抗hCD20 Ab1.2.2.1の両方がCD20/CHOに結合し、一方で抗hCD37 Ab1.A1.1およびhuIgG1はそうではないことを示す。さらに、これらのデータは、MabPairおよび抗hCD37 Ab1.A1.1が、CD37/CHOに結合し、一方で抗hCD20 Ab1.2.2.1およびhuIgG1はそうではないことを示す。従って、これらのデータは、抗hCD20 Ab1.2.2.1のhCD20に対する結合特異性を示す。理由は、この抗体が、hCD20を発現しているCHO細胞に結合するが、hCD37を遺伝子導入したCHO細胞には結合しないためである。同様に、抗hCD37 Ab1.A1.1は、hCD37に対し特異性を示す。理由は、それがCD37/CHO細胞に結合するが、CD20/CHO細胞には結合しないためである。従って、このアッセイは、抗hCD20 Ab1.2.2.1が、本明細書で意図されるように、hCD20に特定的に結合すること、および抗hCD37 Ab1.A1.1が、本明細書で意図されるように、hCD37に特異的に結合することを示す。
機能的観点でのこの結合特異性のさらなる確認として、ADCC活性を、3種の細胞株、すなわち、CD20/CHO、CD37/CHO、およびラージ腫瘍細胞株でインビトロで評価した。ADCCレポーターアッセイを、この場合のエフェクター細胞がFcγRIII遺伝子導入ジャーカットNFATルシフェラーゼレポーター細胞株であったことを除いて、基本的に実施例5で記載のようにして実施した。例えば、Hsieh et al.,Characterization of FcγRIIIA effector cells used in in vitro ADCC bioassay:Comparison of primary NK cells with engineered NK-92 and Jurkat T cells,2017,J.Immunol.Methods 441:56-66を参照されたい。ラージ細胞は、hCD20およびhCD37の両方を発現することが既知である。CHO細胞は、hCD20またはhCD37をコードする遺伝子導入DNAの非存在下では、これらのたんぱく質を発現しない。各細胞株で、次の抗体を、ADCC活性について試験した:ヒトIgG1アイソタイプ対照抗体(ジニトロフェニル(抗DNP)抗体);リツキシマブ(IgG1抗hCD20抗体);抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1。4:1および8:1のエフェクター:標的比を、各細胞株で試験した。結果を、図7、パネルAのようなパーセント特異的溶解としてではなく、平均相対発光強度(RLU(n=2))として二通りの試料について報告した。これらの結果を、下の表25に示す。
Figure 2022545834000030
ADCCは試験抗体の標的細胞上に発現される抗原への結合に依存するので、これらのデータは、抗hCD20 Ab1.2.2.1がCD20/CHOおよびラージ細胞に結合するが、CD37/CHOに対してはそうではないことを強く示唆する。これらのデータは、抗hCD37 Ab1.A1.1がCD37/CHOおよびラージ細胞に結合するが、CD20/CHOに対してはそうではないことを、さらに強く示唆する。従って、これらのデータは、表24に示す結合データと完全に一致する。
実施例14:直接殺細胞作用アッセイにおける抗hCD20/抗hCD37抗体混合物の活性
種々の濃度の抗hCD20および抗hCD37抗体を、単独でまたは混合物として、実施例2および「直接殺細胞作用」の定義で上記したように、架橋抗体の非存在下で実施される直接殺細胞作用アッセイに供した。WSU-DLCL2およびラモス細胞を試験し、これらの結果を、図25、パネルAおよびBにそれぞれ示す。試料は、IgG1/κアイソタイプ対照抗体(huIgG1)抗hCD20 Ab1.2.2.1、抗hCD37 Ab1.A1.1、抗hCD20 Ab1.2.2.1+抗hCD37 Ab1.A1.1、抗hCD37 Ab1.N12.1、および抗hCD20 Ab1.2.2.1+抗hCD37 Ab1.N12.1を含んだ。試料を、5μg/mL(34nM)から開始する1:2希釈系列で調製した。このアッセイでのそれらの活性を、表26にまとめる。
Figure 2022545834000031
WSU-DLCL2細胞で試験した場合、抗hCD20 Ab1.2.2.1は、高い効力を示したが、各抗CD37抗体は、単独では、ほとんど効果的でなかった。しかし、抗hCD20 Ab1.2.2.1と、どちらかの抗CD37抗体の混合物は、個別の成分に比べてある程度、効力を高めた。ラモス細胞で試験した場合、抗hCD20 Ab1.2.2.1 IgG処理は、ほとんど効力を示さず、これは、WSU-DLCL2細胞における結果とは明確に異なった。両方の抗CD37抗体は、ラモス細胞中では効力が高く、この結果もまた、WSU-DLCL2細胞においてい得られた結果とは異なった。両方の抗体混合物は、ラモス細胞の場合では、混合物のどちらか単独の成分よりも高い効力を有した。従って、これらの結果は、両方の抗CD20/抗CD37抗体混合物は、両方がB細胞リンパ腫由来の細胞株である試験細胞型における、どちらかの単独の成分よりも、増大した直接殺細胞作用を有したことを示した。従って、これらのデータは、これらの抗体混合物が、B細胞媒介癌などの疾患において、どちらかの抗体単独に比べて、増大した効力を有し得ることを示唆する。
実施例15:抗hCD20/抗hCD37抗体混合物による全血中のB細胞枯渇
以下に記載の実験は、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1を含む抗体混合物による全血中のB細胞枯渇を試験する。健康なヒトドナー由来の全血の230μlの分取量を、ディープウェル96ウェルマイクロタイタープレートのウェル中に二通りで加えた。対照抗体または20μlの体積中で50μg/mL(333.3nM)から開始する1:10希釈系列で調製した種々の濃度の抗体混合物を含む溶液を、ウェルに加え、数回の上下のピペッティングにより混合した。プレートを、37℃で4時間インキュベートした。二次抗体、すなわち、APC標識マウス抗ヒトCD19抗体(BD Biosciences、クローンHIB19、カタログ番号555415)およびFITC標識マウス抗ヒトCD45抗体(BD Biosciences、クローンHI30、カタログ番号561865)を、それぞれ、1:25および1:125の希釈で添加した。プレートを、アルミニウム箔で包んで光から保護し、室温でさらに45分間インキュベートした。溶解溶液(Becton Dickinson(BD)、カタログ番号349202)を、ディープウェル96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに添加した(1mL/ウェル)。プレートを、室温で10分間インキュベートした後、1500rpmで5分間遠心分離した。上清を、細胞ペレットを掻き乱すことなく吸引した。プレートを、1mLのPBSを各ウェルに添加することにより洗浄し、混合し、プレートを、1500rpmで5分間遠心分離した。さらに1ラウンドの溶解、遠心分離、および洗浄を上述のように反復して、溶解した赤血球(RBC)を可能な限り除去した。プレートを、500μlのFACS緩衝液を各ウェルにもう1回添加することにより洗浄し、混合し、プレートを、1500rpmで5分間遠心分離した。上清を吸引し、細胞を、200μl/ウェルのFACS緩衝液中に再懸濁し、ヨウ化プロピジウム溶液(Promokine、カタログ番号PK-CA707-40017)を、最終濃度の5μg/mLに加えた。フローサイトメトリー分析を、Becton-Dickinson蛍光励起セルソーター(LSR II)で実施した。B細胞の減少を、抗CD19二次抗体(これは、B細胞に特異的である)を介して追跡し、一方で試料中の白血球の全数を、抗CD45二次抗体(これは、白血球を特定する)を介して追跡し得る。アッセイを、3人の健康なドナー由来のPBMCを用いて、別々に実施した。結果を図26に示す。試験した抗体のEC50を、表27にまとめる。
Figure 2022545834000032
ドナー1198の場合、オビヌツズマブ(ベンチマーク抗CD20抗体)は、急速に(4時間のインキュベーション期間で)B細胞を高い効力で枯渇させ、一方でリツキシマブ(別のベンチマーク抗CD20抗体)は、効果が小さかった。図26、パネルA。これらのデータは、オビヌツズマブおよびリツキシマブが細胞を死滅させ得る異なる作用機序を反映しているのかもしれない。抗hCD20 Ab1.2.2.1単独は、リツキシマブに類似の効力を有し、抗hCD37 Ab1.A1.1は、より小さい効力を有した。しかし、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1を含む混合物は、全てのドナーで、いずれかの抗体単独に比べて、増大した効力を有した。図26、パネルA~C。ドナー1056由来の血液含有試料では、B細胞はいずれかの単一抗体での処理により、効果的に死滅させられなかった。抗体混合物は、最高の効力を有した。図26、パネルB。ドナー2004由来の血液含有試料では、B細胞は、リツキシマブでの処理により枯渇されなかった。オビヌツズマブおよび抗hCD20 Ab1.2.2.1は両方とも、比較的非効果的なB細胞枯渇を示し、一方で抗hCD37 Ab1.A1.1は、ほぼ完全に効果がなかった。しかし、抗体混合物は、いずれかの個別の成分よりも、顕著により高い活性を有した。図26、パネルC。従って、全てのこれらの結果は、抗hCD20 Ab1.2.2.1抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1を含む抗体混合物が、いずれかの抗体単独より効果的に全血中のB細胞を枯渇させ得ることを示唆した。従って、これらのデータは、抗hCD20および抗hCD37抗体の組み合わせが、いずれかの抗体単独より、B細胞媒介疾患の治療において、より効果的である可能性があることを示唆する。
実施例16:マウスにおける腫瘍増殖に対する抗CD20および抗CD37抗体の効果
リツキシマブ(リツキサン(登録商標))で治療されたB-NHL患者は、再発する場合があり、この再発は、薬剤耐性の発生に起因して発生することが多い。従って、薬剤耐性を回避するための新規治療薬の開発に対する未充足のニーズが存在する。
以下に記載の実験では、確立されたラモス細胞異種移植片を有するCB-17/SCIDマウスを、種々の抗体およびこれらの組み合わせで治療して、確立された腫瘍に対する抗体の効果をインビボで試験した。ラモス細胞は、ヒトB細胞リンパ腫から誘導される。図25、パネルBに示されるように、抗hCD20 Ab1.2.2.1は、インビトロでラモス細胞の直接殺細胞作用に関し、比較的非効果であった。同様に、ラモス細胞は、抗hCD20抗体であるリツキシマブ(リツキサン(登録商標))により誘導されたアポトーシスに対し、比較的耐性であることが示されている。例えば、Konitzer et al.(2015),PLOS ONE 10(12):e0145633(doi:10:1371/journal.pone.0145633)を参照されたい。従って、ラモス細胞腫瘍が抗hCD20抗体に感受性でない可能性があるという予測に対するいくつかの根拠が存在した。
我々の実験では、抗hCD20抗体オビヌツズマブ(ガザイバ(登録商標))、抗hCD37 Ab1.A1.1、および抗hCD20 Ab1.2.2.1/抗hCD37 Ab1.A1.1 MabPairを含む抗体を、確立されたラモス細胞異種移植片を有するCB-17/SCIDマウスで試験した。ラモス腫瘍細胞の埋め込み後に、腫瘍を、それらが平均100立方ミリメートル(mm)のサイズに達するまで、7日間増殖させた。担腫瘍マウスを、各群の10匹のマウスが類似の中央値腫瘍体積を有するように、治療群に配置した。それぞれの試験抗体による治療を、腹腔内注射により7日目に開始し、図27に記載の投与レベルで、週2回、3週間継続した。腫瘍体積および体重を、各個別のマウスについて週2回測定し、腫瘍体積の結果を、mmで表した。図27、パネルAの結果は、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1の組み合わせによる治療が、確立されたラモス細胞腫瘍の増殖を効果的に抑制したことを示す。実際に、腫瘍退縮が、この治療を受けたほとんど全ての担腫瘍マウスで観察され、10匹のマウスのうちの9匹が、試験終了時点で無腫瘍であった。対照的に、アイソタイプ対照抗体(hIgG1)で治療された全ての10匹のマウスは、試験期間中に腫瘍増殖を経験する。図27、パネルBの結果は、抗抗hCD37 Ab1.A1.1による治療はまた、ラモス細胞腫瘍の増殖を抑制したが、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1を含むMabPairほど効果的ではなかったことを示す。この治療群では、10匹のマウス中の6匹が、試験終了時点で無腫瘍であった。
これらの知見は、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1を含むMabPairが、抗hCD37 Ab1.A1.1単独で観察されたものより優れたインビボ抗腫瘍活性を有することを示し、この抗hCD20抗体は、あったとしても、限られたインビトロのラモス細胞の直接殺細胞作用しか示さないにもかかわらず、抗ラモス細胞腫瘍活性を有し得ることを示唆する。この実験でのさらなるデータは、抗hCD20抗体オビヌツズマブ(ガザイバ(登録商標))単独が、抗hCD20 Ab1.2.2.1および抗hCD37 Ab1.A1.1を含むMabPairのものと同等のインビボ抗腫瘍活性を有することを示した。データは示されない。この結果は、図25、パネルBのデータにより示されるラモス細胞中の抗hCD20 Ab1.2.2.1の非常に限定的なインビトロ細胞死滅活性およびラモス細胞のリツキシマブ(別の抗hCD20抗体)に対する限定的なインビトロ感受性を考慮すると、少々意外かもしれない。しかし、インビボアッセイは、インビトロアッセイとは大きく異なるので、これらの結果は、まったく矛盾するものではない。

Claims (79)

  1. 重鎖(HC)可変ドメイン(V)を含む重鎖(HC)および軽鎖(LC)可変ドメイン(V)を含む軽鎖(LC)を含む抗ヒトCD20(抗hCD20)抗体であって、
    前記Vが、配列番号12に対して12、11、10、9、8、7、6、または5個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、
    前記Vが、配列番号8に対して7、6、または5個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    1.5nM以下の最大応答の50%(EC50)を与える濃度を用いて架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイでWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができ、および/または10μg/mlの濃度の前記抗hCD20抗体を用いて架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイで少なくとも40%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる、
    抗hCD20抗体。
  2. 1.0nM以下のEC50で架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイでWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができおよび/またはアッセイにおいて10μg/mlの濃度の前記抗hCD20抗体を用いる架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイで少なくとも40%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる、請求項1に記載の抗hCD20抗体。
  3. 0.6nM以下のEC50で架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイでWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができおよび/またはアッセイにおいて10μg/mlの濃度の前記抗hCD20抗体を用いる架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイで少なくとも40%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる、請求項2に記載の抗hCD20抗体。
  4. 0.45nM以下のEC50で架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイでWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができおよび/またはアッセイにおいて10μg/mlの濃度の前記抗hCD20抗体を用いる架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイで少なくとも40%のWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる、請求項3に記載の抗hCD20抗体。
  5. 前記VおよびVがそれぞれ、相補性決定領域1(CDR1)、CDR2、およびCDR3を含み、および
    前記V CDR1、V CDR2、V CDR3、V CDR1、V CDR2、およびV CDR3が、(a)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6のアミノ酸配列を含みおよび/または(b)それぞれ、配列番号1、2、3、4、5、および6をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体。
  6. 前記Vが、配列番号12に対して4個または3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記Vが、配列番号8に対して4個または3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体。
  7. 前記Vが、配列番号12に対して2個または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記Vが、配列番号8に対して2個または1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項6に記載の抗hCD20抗体。
  8. (a)前記Vが、(1)配列番号12のアミノ酸配列および/または(2)配列番号12をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
    (b)前記Vが、(1)配列番号8のアミノ酸配列および/または(2)配列番号8をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
    請求項7に記載の抗hCD20抗体。
  9. ヒトのまたはヒト化されたIgG抗体である、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体。
  10. 前記HCが、(a)配列番号24のアミノ酸配列および/または(b)配列番号24をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、請求項9に記載の抗hCD20抗体。
  11. 前記HCが、配列番号18に対して7個または6個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の抗hCD20抗体。
  12. 前記HCが、配列番号18に対して5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の抗hCD20抗体。
  13. 前記HCが、配列番号18に対して3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、請求項12に記載の抗hCD20抗体。
  14. 前記HCが、配列番号18に対して2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の抗hCD20抗体。
  15. 前記HCが、配列番号18に対して1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の抗hCD20抗体。
  16. 前記HCが、(a)配列番号18のアミノ酸配列および/または(b)配列番号18をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体。
  17. 前記HCが、(a)配列番号36のアミノ酸配列および/または(b)配列番号36をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の抗hCD20抗体。
  18. 前記HCが、(a)配列番号45のアミノ酸配列および/または(b)配列番号45をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、請求項10に記載の抗hCD20抗体。
  19. 前記HCが、配列番号23に対して12、11、10または9個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記LCが、配列番号10に対して7個または6個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項1~10のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体。
  20. 前記HCが、配列番号23に対して8個または7個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記LCが、配列番号10に対して5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項19に記載の抗hCD20抗体。
  21. 前記HCが、配列番号23に対して6、5または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記LCが、配列番号10に対して3個または2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項20に記載の抗hCD20抗体。
  22. (a)前記HCが、(1)配列番号23に対して3、2、1個以下、またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号23をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
    (b)前記LCが、(1)配列番号10に対して1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号10をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
    請求項21に記載の抗hCD20抗体。
  23. 抗hCD20抗体の前記HCが、239Dおよび298Aを含み、および
    前記HCが、配列番号35に対して7個または6個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項9または10に記載の抗hCD20抗体。
  24. 前記HCが、配列番号35に対して5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記LCが、配列番号10に対して5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項23に記載の抗hCD20抗体。
  25. 前記HCが、配列番号35に対して3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記LCが、配列番号10に対して3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項24に記載の抗hCD20抗体。
  26. 前記HCが、配列番号35に対して2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記LCが、配列番号10に対して2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項25に記載の抗hCD20抗体。
  27. 前記HCが、配列番号35に対して1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記LCが、配列番号10に対して1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項26に記載の抗hCD20抗体。
  28. (a)前記HCが、(1)配列番号35のアミノ酸配列および/または(2)配列番号35をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
    (b)前記LCが、(1)配列番号10のアミノ酸配列および/または(2)配列番号10をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
    請求項27に記載の抗hCD20抗体。
  29. (a)前記HCが、(1)配列番号44のアミノ酸配列および/または(2)配列番号44をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
    (b)前記LCが、(1)配列番号10のアミノ酸配列および/または(2)配列番号10をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
    請求項23に記載の抗hCD20抗体。
  30. 0.40nM以下のEC50で架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイでWSU-DLCL2細胞を直接死滅させることができる、請求項1~29のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体。
  31. を含むHCおよびVを含むLCを含む抗ヒトCD37(抗hCD37)抗体であって、
    前記Vが、配列番号57に対して8、7、6、または5個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、
    前記Vが、配列番号53に対して8、7、6、5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    5、4、または3nM以下のEC50で架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイでラモス細胞を直接死滅させることができおよび/または10μg/mlの濃度の前記抗hCD37抗体を用いて架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイで少なくとも40%、または50%のラモス細胞を直接死滅させることができる、
    抗hCD37抗体。
  32. 2nM以下のEC50で架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイでラモス細胞を直接死滅させることができおよび/または10μg/mlの濃度の前記抗hCD37抗体を用いて架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイで少なくとも50%のラモス細胞を直接死滅させることができる、請求項31に記載の抗hCD37抗体。
  33. 1nM以下のEC50で架橋抗体なしに実施される直接殺細胞作用アッセイでラモス細胞を直接死滅させることができおよび/または10μg/mlの濃度の前記抗hCD37抗体を用いて架橋抗体なしで実施される直接殺細胞作用アッセイで少なくとも60%のラモス細胞を直接死滅させることができる、請求項32に記載の抗hCD37抗体。
  34. 前記VおよびVがそれぞれ、CDR1、CDR2、およびCDR3を含み、および
    前記V CDR1、V CDR2、V CDR3、V CDR1、V CDR2、およびV CDR3が、(a)それぞれ、配列番号46、47、48、49、50および51のアミノ酸配列を含みおよび/または(b)それぞれ、配列番号46、47、48、49、50および51をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
    請求項31~33のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体。
  35. 前記Vが、配列番号57に対して4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記Vが、配列番号53に対して3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項31~34のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体。
  36. 前記Vが、配列番号57に対して3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記Vが、配列番号53に対して2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項35に記載の抗hCD37抗体。
  37. 前記Vが、配列番号57に対して2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記Vが、配列番号53に対して1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項36に記載の抗hCD37抗体。
  38. (a)前記Vが、(1)配列番号57に対し1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号57をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
    (b)前記Vが、(1)配列番号53のアミノ酸配列および/または(2)配列番号53をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
    請求項37に記載の抗hCD37抗体。
  39. 前記HCが、配列番号59に対して10、9または8個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記LCが、配列番号55に対して8個または7個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項31~38のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体。
  40. 前記HCが、配列番号59に対して7個または6個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記LCが、配列番号55に対して5個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項39に記載の抗hCD37抗体。
  41. 前記HCが、配列番号59に対して5個または4個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記LCが、配列番号55に対して4個または3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項40に記載の抗hCD37抗体。
  42. 前記HCが、配列番号59に対して3個または2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記LCが、配列番号55に対して2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項41に記載の抗hCD37抗体。
  43. 前記HCが、配列番号59に対して1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含み、および
    前記LCが、配列番号55に対して1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、
    請求項42に記載の抗hCD37抗体。
  44. (a)前記HCが、(1)配列番号59のアミノ酸配列および/または(2)配列番号59をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
    (b)前記LCが、(1)配列番号55のアミノ酸配列および/または(2)配列番号55をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
    請求項43に記載の抗hCD37抗体。
  45. 前記HCが、34Vを含み、かつ前記LCが、31Nを含む、請求項31または39に記載の抗hCD37抗体。
  46. 前記HCが、147D、170C、173C、220G、および409Rを含み、かつ前記LCが、131K、160C、162C、および214Sを含む、請求項31、39または45に記載の抗hCD37抗体。
  47. (a)前記HCが、(1)配列番号65に対し4、3、2、1個以下、またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号65をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
    (b)前記LCが、(1)配列番号61に対して4、3、2、1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号61をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
    請求項45または46に記載の抗hCD37抗体。
  48. (a)前記HCが、(1)配列番号67または71に対し4、3、2、1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号67または71をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
    (b)前記LCが、(1)配列番号63または69に対して4、3、2、1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号63または69をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
    請求項47に記載の抗hCD37抗体。
  49. 前記HCが、34Lおよび64Qを含み、かつ前記LCが、53Sおよび93Eを含む、請求項31または39に記載の抗hCD37抗体。
  50. (a)前記Vが、(1)配列番号77に対し4、3、2、1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号77をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
    (b)Vが、(1)配列番号73に対して4、3、2、1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号73をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
    請求項49に記載の抗hCD37抗体。
  51. (a)前記HCが、(1)配列番号79または83に対し4、3、2、1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号79または83をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含み、および
    (b)前記LCが、(1)配列番号75または81に対して4、3、2、1個以下またはゼロ個の改変を含むアミノ酸配列および/または(2)配列番号75または81をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、
    請求項50に記載の抗hCD37抗体。
  52. 請求項1~30のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体および請求項31~51のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体を含む抗体の混合物。
  53. 前記抗hCD20抗体および前記抗hCD37抗体以外の抗体の主要な種を含まない、請求項52に記載の混合物。
  54. 前記抗hCD20抗体が、請求項28または29に記載の抗CD20抗体であり、および
    前記抗hCD37抗体が、請求項48または51に記載の抗CD37抗体である、
    請求項52または53に記載の混合物。
  55. 請求項1~30のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体、請求項31~51のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体、または請求項52~54のいずれか1項に記載の抗体の混合物を製造するための方法であって、次の:
    前記抗hCD20抗体、前記抗hCD37抗体、または抗体の前記混合物をコードする1種または複数のDNAを含む宿主細胞を培養するステップ、および
    前記細胞集団からまたは前記細胞培養上清から前記抗hCD20抗体、前記抗hCD37抗体、または抗体の前記混合物を回収するステップ、
    を含む、方法。
  56. 前記宿主細胞が、CHO細胞またはマウス骨髄腫細胞である、請求項55に記載の方法。
  57. 請求項1~30のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体、請求項31~51のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体、または請求項52~54のいずれか1項に記載の抗体の混合物をコードする1種または複数のポリヌクレオチド。
  58. 請求項57に記載のポリヌクレオチドを含む1種または複数のベクター。
  59. ウイルスベクターである、請求項58に記載のベクター。
  60. 腫瘍溶解性ウイルスベクターである、請求項59に記載のベクター。
  61. レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ワクシニアウイルス、改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、麻疹ウイルス、コクサッキーウイルス、ニューカッスル病ウイルス、レオウイルス、および/またはポックスウイルスベクターである、請求項60に記載のベクター。
  62. 請求項57に記載のポリヌクレオチドまたは請求項58に記載のベクターを含む宿主細胞。
  63. 哺乳動物細胞である、請求項62に記載の宿主細胞。
  64. CHO細胞またはマウス骨髄腫細胞である、請求項63に記載の宿主細胞。
  65. 請求項1~30のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体、請求項31~51のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体、または請求項52~54のいずれか1項に記載の抗体の混合物、請求項57に記載のポリヌクレオチド、または請求項58~61のいずれか1項に記載のベクターを含む医薬組成物。
  66. 前記IgG抗体のHCが、配列番号24のアミノ酸配列および/または配列番号24をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、ヒトのまたはヒト化されたIgG抗体。
  67. 前記IgG抗体のHCが、配列番号36のアミノ酸配列に対して6、5、4、または3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、請求項66に記載のIgG抗体。
  68. 前記IgG抗体のHCが、配列番号36のアミノ酸配列に対して3個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、請求項67に記載のIgG抗体。
  69. 前記IgG抗体のHCが、配列番号36のアミノ酸配列に対して2個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、請求項68に記載のIgG抗体。
  70. 前記IgG抗体のHCが、配列番号36のアミノ酸配列に対して1個以下の改変を含むアミノ酸配列を含む、請求項69に記載のIgG抗体。
  71. 前記IgG抗体のHCが、配列番号36のアミノ酸配列および/または配列番号36をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、請求項70に記載のIgG抗体。
  72. 前記IgG抗体のHCが、配列番号45のアミノ酸配列および/または配列番号45をコードするヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、請求項66または67に記載のIgG抗体。
  73. 請求項1~30のいずれか1項に記載の抗hCD20抗体、請求項31~51のいずれか1項に記載の抗hCD37抗体、または請求項52~54のいずれか1項に記載の抗体の混合物、請求項57に記載のポリヌクレオチド、または請求項58~61のいずれか1項に記載のベクターを患者に投与するステップを含む癌またはB細胞媒介疾患を有する患者を治療するための方法。
  74. 前記患者が、癌を有する、請求項73に記載の方法。
  75. 前記患者が、前記抗hCD20抗体、前記抗hCD37抗体、前記抗体の混合物、前記ポリヌクレオチド、または前記ベクターの投与の前に、その後に、またはそれと同時に放射線または化学療法剤により治療される、請求項74に記載の方法。
  76. 前記癌が、B細胞非ホジキンリンパ腫(B-NHL)または慢性リンパ性白血病(CLL)である、請求項74または75に記載の方法。
  77. 前記癌が、B-NHLであり、かつ前記B-NHLが、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、粘膜関連リンパ組織のリンパ腫(MALTリンパ腫)、バーキットリンパ腫、またはマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される、請求項76に記載の方法。
  78. 前記患者が、B細胞媒介疾患を有する、請求項73に記載の方法。
  79. 前記B細胞媒介疾患が、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、および多発性硬化症からなる群より選択される、請求項78に記載の方法。

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