JP2022533786A - 商用車のステアリングナックル - Google Patents

Abstract

商用車の、鋳造材料から成るステアリングナックル（１）が、基体（２）と、ステアリングナックル支持部（３）と、転がり軸受（２３）と車軸ジャーナル（２２）とを収容するための、車両ホイールのリムに向かって開放しているポット形状のハブ状の収容部（４）と、ブレーキパッド（２７）を収容するための、載置部（６）と、車両ホイールの回転方向で相前後して配置された２つの支持要素（７）とを有するパッド収容部（５）とを備え、基体（２）に、車軸アームを連結するためのアーム連結部（８）が一体成形されている。

Description

本発明は、請求項１の前提部に記載した、商用車の、鋳造材料から成るステアリングナックルに関する。

商用車用のステアリングナックルは、一般的に、特に様々な変化する大きな負荷に基づいて、鋼から製造される。鍛造部材の構成時には、形状付与と精密構造とは一般的に強く制限されている。

このような鍛造ステアリングナックルは、通常、単純な基体から成っていて、この基体には、一般的に直線的に形成されているピンとアームとが取り付けられている。それというのは、例えば円筒状のロッドまたは方形のビームのような、鍛造基体（ブランク）から、可能な限り僅かな行程で形状を製作するためには、所望の幾何学形状を変形加工によって得なくてはならないからである。

鋼は、合金要素および変形加工プロセスによってその高い負荷容量を得るが、しかしながら、形状付与に関しては制限されていて、鍛造時に必要な、材料内への入熱と製造プロセスとに基づいて、極めて高価である。

高い負荷容量は、車両ホイールが走行方向に対して横方向に、例えば縁石のような縁部に衝突する、サイドクラッシュ時における負荷を吸収するために必要である。このような負荷は、特に、商用車の、走行方向に対して垂直な方向での滑りと縁石への衝突とをシミュレーションする、いわゆる縁石衝撃試験（Curb-Impact Test）時に検査される。

上に述べた欠点を回避するために、独国特許出願公開第１０２００４０３４５６５号明細書に基づいて、鋳造材料から製造されたステアリングナックルが公知であり、このステアリングナックルは、部分的にプレート状に形成された基体と、ステアリングナックル支持部と、転がり軸受および車軸ジャーナルを収容するためのハブ状の収容部とを有している。さらに、ステアリングナックルには、ブレーキディスクの両側に配置されたブレーキパッドを収容するためのブレーキキャリアブリッジが一体成形されている。

本発明の課題は、商用車の、鋳造材料から成るステアリングナックルを、特にその重量および安定性に関して、ステアリングナックルが、０℃未満の温度、特に－４０℃未満の温度時でも、側方での衝突の負荷に耐えられるように改善することである。

この課題は、請求項１の特徴を備えた、鋳鉄から成るステアリングナックルによって解決される。

本発明に係るステアリングナックルは、基体と、ステアリングナックル支持部と、転がり軸受と車軸ジャーナルとを収容するための、車両ホイールのリムに向かって開放しているポット形状のハブ状の収容部とを有している。

ステアリングナックルは、さらに、ブレーキパッドを収容するための、載置部と、車両ホイールの回転方向で相前後して配置された２つの支持要素とを有するパッド収容部を備えている。

ステアリングナックルの基体には、さらに、車軸アームを連結するためのアーム連結部が一体成形されている。

このようなステアリングナックルは、鋳造材料に基づくその大きな形状付与可変性の点で優れている。パッド収容部とアーム連結部とが一体成形されていることによって、簡単な組付けが可能となる。それというのは、アーム連結部と、パッド収容部として働くブレーキキャリアの少なくとも一部とを、別々に組み付ける必要がないからである。

さらに、特にパッド収容部とアーム連結部との領域における材料重複を節約することができる。

本発明の有利な実施バリエーションは、従属請求項の対象である。

本発明の１つの有利な実施バリエーションによれば、アーム連結部は、ステアリングナックル支持部の側方に、基体から延在するように一体成形されている。

１つの有利な発展形態によれば、アーム連結部は、ステアリングナックルの基体から突出しているアームとして形成されており、このアームの自由端部に孔が設けられている。

別の有利な実施バリエーションによれば、基体は、少なくとも１つの貫通孔を有している。このように構成されていると、ステアリングナックルの重量をさらに最適化することができる。

別の有利な実施バリエーションによれば、基体においてステアリングナックル支持部の領域に、リブを備えた凹部が一体成形されている。

凹部が一体成形されていることによって、１つには、重量の更なる最適化が可能である。

リブを備えた構成は、ステアリングナックルの必要な安定性を保証する。

別の有利な実施バリエーションによれば、基体においてパッド収容部の領域で載置部同士の間に凹部が一体成形されている。

この凹部もまた、ステアリングナックルの重量をさらに最適化することを可能にする。

別の有利な実施バリエーションによれば、基体は、ブレーキディスクに被せるための被せ領域を有している。

別の実施形態では、アーム連結部は、ディスク被せ部の領域に設けられている。

有利な発展形態によれば、この被せ領域の、車両ホイールに向けられた端面が、ブレーキキャリアの一部を取り付けるためのフランジとして形成されている。

この構成は、ディスクブレーキの両側に取り付けるべきブレーキパッドのためにも、このようなブレーキパッドの単に片側での配置形態のためにも、このようなステアリングナックルの可変の使用を可能にする。

次に本発明の好適な実施例について、添付の図面を参照しながら詳説する。

本発明に係るステアリングナックルの第１の実施バリエーションを、１つの方向から見て概略的に示す斜視図である。 本発明に係るステアリングナックルの第１の実施バリエーションを、別の方向から見て概略的に示す斜視図である。 本発明に係るステアリングナックルの第２の実施バリエーションを概略的に示す、図１に相当する斜視図である。 本発明に係るステアリングナックルの第２の実施バリエーションを概略的に示す、図２に相当する斜視図である。 図３および図４に示したステアリングナックルを、ステアリングナックルに配置されたディスクブレーキと共に概略的に示す斜視図である。

以下の図面の説明において、上、下、左、右、前、後ろなどのような概念は、もっぱらステアリングナックル、基体、ステアリングナックル支持部、収容部、パッド収容部、アーム連結部、およびこれに類したものの、それぞれの図において選択された例としての図示および位置に関する。これらの概念は、限定的に理解すべきものではなく、すなわち、種々異なる作業位置または鏡面対称の設計、またはこれに類したことによって、これらの関係は変化することがある。

図１～図５には、商用車の、鋳造材料から成るステアリングナックル全体が符号１で示してある。

図１および図２には、このようなステアリングナックル１の第１の実施バリエーションが示してあり、これに対して図３および図４には、本発明に係るステアリングナックル１の代替的な実施バリエーションが示してある。

このようなステアリングナックル１の両実施バリエーションは、基体２を有しており、この基体２からは、上側の突出部１２および下側の突出部１２を備えたステアリングナックル支持部３が延在しており、両突出部１２には、車軸に回転可能に連結するためのピンを収容するための孔１１が設けられている。

基体２からホイールリム（図示せず）に向かって、車両ホイールのリムに向かって開放しているポット形状のハブ状の収容部４が延在している。収容部４は、転がり軸受および車軸ジャーナルを収容するために働き、車軸ジャーナルは、ねじを介してホイールリムに、好ましくはブレーキディスクにも連結されている。

図１～図４からさらに看取できるように、基体２には、車軸を固定するためのピンを収容するために働く一方の突出部１２よりも上に、ブレーキパッドを収容するための、載置部６と車両ホイールの回転方向に相前後して配置された２つの支持要素７とを備えたパッド収容部５が一体成形されている。

支持要素７は、好ましくは支持突起の形態で成形されている。載置部６は、支持要素７の、互いに向かい合ったそれぞれの内面の手前に、平らな面の形態で基体２に一体成形されており、支持要素７にはブレーキパッドが、車両ホイールの回転軸線に対して支持可能である。

図１および図２に示すように、両載置部６の間には、主としてステアリングナックル１の重量低減のために働く切欠き１７が一体成形されている。

図３および図４に示した実施バリエーションでは、基体２は、載置部６の間に直線的な結合ウェブが一体成形されているように成形されており、この結合ウェブは、段部によって載置部６に対して相対的に僅かに下げられている。

図１および図３からさらに看取できるように、基体２には、車軸アーム、例えばコントロールアームまたはステアリングロッドを連結するためのアーム連結部８が一体成形されている。アーム連結部８は、基体２からステアリングナックル支持部３のほぼ側方で、ステアリングナックル支持部３を形成する突出部１２に対して所定の角度を成して延在している。

アーム連結部８は、ステアリングナックル１の基体２から突出しているアーム９から成っており、このアーム９の自由端部には孔１０が設けられていて、この孔１０には、車軸アームに連結するためのピンが収容可能である。

図１～図４がさらに示すように、基体２は少なくとも１つの貫通孔１３を有している。図面に示した実施例では、それぞれの基体２は、複数のこのような貫通孔１３を有している。

貫通孔１３は、ステアリングナックル１の重量低減のために働く。

同時に基体２の、これによって形成された骨組構造は、ブレーキディスクとブレーキパッドとの摩擦対偶によって生じる、ブレーキ作動時に発生する熱の良好な排出のために役立つ。

特に図３に記載した実施バリエーションに示すように、基体２にはステアリングナックル支持部３の領域に、リブを備えた凹部１４が一体成形されており、この凹部１４は、ステアリングナックル１の、車軸に向いている部分を、ステアリングナックル１の、車両ホイールに向けられた部分から切り離している。

この凹部１４の、リブが設けられた壁は、同時に転がり軸受および車軸ジャーナルを収容するための収容部４の底部を形成している。

基体２において、収容部４に対して半径方向で支持要素７に対してさらに外側に、ブレーキディスク（図示せず）に被せるための被せ領域１５が一体成形されている。

この被せ領域１５は、図２および図４に示すように、車両ホイールに向けられたその端面１６において、ブレーキキャリアの一部を連結するためのフランジとして形成されている。

鋳造材料から成るステアリングナックル１はその成形構造、特に転がり軸受と、ホイールリムに向かって好ましくは半径方向に拡大している車軸ジャーナルとを収容するための、車両ホイールのリムに向かって開放しているポット形状のハブ状の収容部４によって、車両ホイールが走行方向に対して横方向に例えば縁石のような縁部に衝突するサイドクラッシュの負荷をも吸収するために十分に安定している。このような負荷は、特に、商用車を走行方向に対して垂直に滑らせて、縁石に衝突させることをシミュレーションする、いわゆる縁石衝撃試験（Curb-Impact Test）で検査される。

図５には、商用車の、図３および図４に示したステアリングナックル１に配置されたディスクブレーキと、軸ジャーナル２２およびホイールキャリア２１とが示してある。

好ましくはダクタイル鋳鉄から製造されたステアリングナックル１は、ステアリングナックル支持部３を介して車軸キャリア１８に、鉛直な回転軸線を中心として枢動自在に結合されている。ブレーキディスク２０が、ステアリングナックル１のハブ状の収容部４に被さっている。

図５には、さらにブレーキシリンダ２５と、ブレーキディスク２０に跨がっているブレーキキャリパ２６と、ブレーキディスク２０の両側でブレーキキャリパ２６に配置されたブレーキパッド２７とが示してある。ステアリングナックル支持部３には、キングピン１９が収容されていて、このキングピン１９は、ステアリングナックル支持部３の切欠き内に回転可能に支持されている。

車両ホイールを連結するために、ホイールキャリア２１が設けられており、このホイールキャリア２１には、複数のホイールねじ２４によって車両ホイール（図示せず）のリムが組付け可能である。

ホイールキャリア２１とブレーキディスク２０とは、図５に示すように、転がり軸受２３を介してステアリングナックル１に対して相対的に、ホイール回転軸線を中心として回転可能に支持されている。そのために、転がり軸受２３は、ステアリングナックル１のハブ状の収容部４内に収容されている。

図５にさらに示すように、転がり軸受２３は、転がり軸受２３の軸受内輪に摩擦接続的に接触している軸ジャーナル２２を支持するために働く。好ましくは鋳鉄から製造された軸ジャーナル２２は、ホイールキャリア２１に回動不能に結合されている。

ブレーキディスク２０自体は、摩擦リングと、摩擦リングの摩擦面に対して垂直に延在しているポットとを有しており、ポットの自由端部は、ホイールキャリア２１のスロート部分と軸ジャーナル２２のフランジ領域との間に配置されている。ブレーキディスク２０は、さらにブレーキディスク２０のポットの内周部に一体成形されたフランジ領域を有しており、このフランジ領域には複数の貫通孔が設けられていて、これらの貫通孔を貫いて、ホイールキャリア２１のフランジ内にねじ込まれているねじ２８が延びている。

１ ステアリングナックル
２ 基体
３ ステアリングナックル支持部
４ 収容部
５ パッド収容部
６ 載置部
７ 支持要素
８ アーム連結部
９ アーム
１０ 孔
１１ 孔
１２ 突出部
１３ 貫通孔
１４ 凹部
１５ 被せ領域
１６ 端面
１７ 切欠き
１８ 車軸キャリア
１９ キングピン
２０ ブレーキディスク
２１ ホイールキャリア
２２ 車軸ジャーナル
２３ 転がり軸受
２４ ホイールねじ
２５ ブレーキシリンダ
２６ ブレーキキャリパ
２７ ブレーキパッド
２８ ねじ

Claims (8)

1. 商用車の、鋳造材料から成るステアリングナックル（１）であって、
   － 基体（２）と、
   － ステアリングナックル支持部（３）と、
   － 転がり軸受（２３）と車軸ジャーナル（２２）とを収容するための、車両ホイールのリムに向かって開放しているポット形状のハブ状の収容部（４）と、
   － ブレーキパッド（２７）を収容するための、載置部（６）と、前記車両ホイールの回転方向で相前後して配置された２つの支持要素（７）とを有するパッド収容部（５）と
   を備える、ステアリングナックル（１）において、
   前記基体（２）に、車軸アームを連結するためのアーム連結部（８）が一体成形されていることを特徴とする、ステアリングナックル（１）。
2. 前記アーム連結部（８）は、ステアリングナックル支持部（３）の側方に、前記基体（２）から延在するように一体成形されていることを特徴とする、請求項１記載のステアリングナックル（１）。
3. 前記アーム連結部（８）は、前記ステアリングナックル（１）の基体（２）から突出しているアーム（９）として形成されており、該アーム（９）の自由端部に孔（１０）が設けられていることを特徴とする、請求項１または２記載のステアリングナックル（１）。
4. 前記基体（２）は、少なくとも１つの貫通孔（１３）を有することを特徴とする、請求項１から３までのいずれか１項記載のステアリングナックル（１）。
5. 前記基体（２）において前記ステアリングナックル支持部（３）の領域に、リブを備える凹部（１４）が一体成形されていることを特徴とする、請求項１から４までのいずれか１項記載のステアリングナックル（１）。
6. 前記基体（２）において前記パッド収容部（５）の領域で前記載置部（６）同士の間に凹部（１７）が一体成形されていることを特徴とする、請求項１から５までのいずれか１項記載のステアリングナックル（１）。
7. 前記基体（２）は、ブレーキディスク（２０）に被せるための被せ領域（１５）を有していることを特徴とする、請求項１から６までのいずれか１項記載のステアリングナックル（１）。
8. 前記被せ領域（１５）の、前記車両ホイールに向けられた端面（１６）が、ブレーキキャリアの一部を取り付けるためのフランジとして形成されていることを特徴とする、請求項７記載のステアリングナックル（１）。

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