JP2022533394A - 肺動脈性肺高血圧症の治療を受けている患者のセレキシパグへの移行方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、非セレキシパグプロスタサイクリン経路薬剤(PPA)で肺動脈性肺高血圧症の治療を受けている患者をセレキシパグに移行させる方法を提供する。【選択図】図3A

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年5月21日に出願された米国仮特許出願第62/850,792号の優先権を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
(発明の分野)
本発明は、肺動脈性肺高血圧症の治療を受けている患者をセレキシパグに移行させる方法に関する。
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、患者は肺の血圧が高い、広範な状態の肺高血圧症の一種である。しかし、PAHでは、血圧上昇は肺の小動脈の閉塞によって引き起こされる。多くの場合、PAH病因は不明である。しかし、PAHの病因には、薬物使用、HIV感染、結合組織病、自己免疫疾患などがある。病因に関係なく、PAHは典型的に、心臓の損傷を引き起こし、治療しないと死に至ることがよくある。
多くの場合、PAHの現在の治療には、当初はPAH固有の薬剤が最初に含まれる。しかし、治療は、他の要因の中でもとりわけ、患者と症状の重症度に基づく。一部の患者では、治療にもかかわらず病気が進行し、唯一の治療選択肢として肺移植が行われる。
必要なのはPAHの代替治療である。
いくつかの態様では、本開示は、非セレキシパグプロスタサイクリン経路薬剤(PPA)で肺動脈性肺高血圧症の治療を受けている患者をセレキシパグに移行させる方法を提供する。方法は、セレキシパグを開始用量で患者に投与するステップと、変更又は中断することなく約14日間を超えて維持される最大耐用維持用量に増加させるステップとを含む。いくつかの実施形態では、患者は、セレキシパグ開始時に非セレキシパグPPAを約30日間以上使用しており、セレキシパグ開始前の約7日未満に非セレキシパグPPAを中止した。他の実施形態では、患者は、セレキシパグ開始時に非セレキシパグPPAを使用し続け、その後、非セレキシパグPPAを中止した。
ベースラインから6か月までのWHO機能クラスの変化を示す棒グラフである。 以前のPPAの投与経路によるベースラインから12か月までのWHO機能クラスの変化を示す棒グラフである。 以前のプロスタサイクリン経路薬剤の投与経路による、6か月及び12か月での6分間歩行距離の中央値のベースラインからの変化を示す棒グラフである。 吸入/経口プロスタサイクリン経路薬剤から移行した患者における6か月及び12か月での評価されたリスク(改善、維持、又は悪化)のベースラインからの変化を示す棒グラフである。 非経口プロスタサイクリン経路薬剤から移行した患者における6か月及び12か月での評価されたリスク(改善、維持、又は悪化)のベースラインからの変化を示す棒グラフである。
本開示では、特に明示しない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は、複数形への言及を包含し、特定の数値への言及は、少なくともその特定の値を包含する。したがって、例えば、「材料(a material)」への言及は、少なくとも1つのこのような材料、及び当業者に公知のその等価物、及び類似のものへの言及である。
値が、記述語「約」又は「実質的に」の使用によって近似値として表現されるとき、その特定の値は、別の実施形態を形成することが理解される。一般的に、用語「約」又は「実質的に」の使用は、開示する発明主題によって得ようとしている所望の特性に依存して変動し得る近似値を示し、その機能に基づいて、それが使用される特定の文脈において解釈されるべきである。当業者は、これを日常的なこととして解釈することができる。一部の場合、特定の値に対して用いられる有効数字の数は、用語「約」又は「実質的に」の程度を決定する1つの非限定的な方法であり得る。他の場合、一連の値において用いられる漸次的変化を用いて、それぞれの値について用語「約」又は「実質的に」に利用可能な意図する範囲を決定することができる。存在する場合、全ての範囲は、包括的かつ組み合わせ可能である。すなわち、範囲で記述される値への言及は、その範囲内の全ての値を含む。
リストが提示される場合、特に指定しない限り、そのリストの各個々の要素及びそのリストの全ての組み合わせを別々の実施形態として解釈すべきであることを理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」を含むと解釈されるべきである。
別個の実施形態の文脈において明確性のために本明細書に記載される、本発明のある特定の特徴はまた、単一の実施形態内に組み合わされて提供されてもよいことが理解される。すなわち、明白に不適合であるか又は除外されない限り、それぞれ個別の実施形態は、任意の他の実施形態に適合すると見なされ、このような組み合わせは、別の実施形態であると考えられる。逆に、説明を簡単にするために単一の実施形態との関連において述べられる本発明の異なる特徴が、別々に又は任意の部分的組み合わせとして提供される場合もある。特許請求の範囲は、いずれかの任意要素を除外するように起案される場合もあることに更に留意されたい。したがって、この記載は、特許請求要素の列挙に関連する「だけ」、「のみ」などの排他的な用語の使用、又は「否定的」限定の使用に対する先行的限定の根拠として機能することを意図する。最後に、実施形態は、一連の工程の一部として又はより一般的な構造の一部として記載し得るが、各工程をそれ自体が独立する実施形態であると考えてもよい。
方法
本開示は、非セレキシパグプロスタサイクリン経路薬剤(PPA)で肺動脈性肺高血圧症の治療を受けている患者をセレキシパグに移行させる方法を提供する。用語「肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension)」及び「PAH」は交換可能であり、患者が肺に高血圧を患う肺高血圧症の状態を定義する。PAHは、肺全体の非常に小さな動脈の直径が狭くなると発症し、それにより、肺を通る血流に対する抵抗が増加する。いくつかの実施形態では、狭窄の根本的な病因、即ち特発性肺高血圧症は知られない。PAHはまた、(i)家族性又は遺伝性PAH、(ii)薬物又は毒素によって引き起こされるPAH、(iii)結合組織病(強皮症又は狼瘡)、先天性心臓病、肝臓の高血圧、HIV、感染症(住血吸虫症)、及び鎌状赤血球貧血などの他の状態に関連するPAH、(iv)まれな血液状態(肺静脈閉塞性疾患又は肺毛細血
管腫症)によって引き起こされるPAH、又は(v)乳児のPAH(新生児の持続性肺高血圧症)を含むサブグループに分類される。
本明細書に記載の方法はまた、患者がPAHを患っていることの判定を含み得る。典型的には、その判定は主治医によって行われる。PAHの診断又は判定は、当業者に知られる技術を使用して実施され得る。例えば、患者の肺動脈性肺高血圧症を確認するために、右心カテーテル検査を実施し得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、セレキシパグの開始後約12か月後に、患者の世界保健機関の機能クラスを有利に改善する。他の実施形態では、この方法は、セレキシパグ開始後約12か月後の患者の6分間歩行距離を改善する。更なる実施形態では、本明細書に記載の方法は、セレキシパグ開始後約12か月後の、患者の世界保健機関の機能クラス及び6分間歩行距離を有利に改善する。
セレキシパグによる治療を開始する前は、患者は典型的に、世界保健機関(WHO)の機能クラスII、III、又はIVに属する。当業者に知られるように、WHOは肺高血圧症をクラスI~IVに分類している。表Aを参照されたい。いくつかの実施形態では、患者は、セレキシパグによる治療の前に、WHO機能クラスIIにある。他の実施形態では、患者は、セレキシパグによる治療の前に、WHO機能クラスIIIにある。更なる実施形態では、患者は、セレキシパグによる治療の前に、WHO機能クラスIVにある。
Figure 2022533394000001
セレキシパグによる治療を開始する前に、患者は非セレキシパグPPAを使用することになる。いくつかの実施形態では、患者は、セレキシパグ開始時に約30日間以上非セレキシパグPPAを使用することになる。他の実施形態では、患者は非セレキシパグを少なくとも約30日間、約60日間、約90日間、約180日間、約210日間、約240日間、約270日間、約300日間、約330日間、約360日間、約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、又は約5年間使用することになる。
患者は、セレキシパグによる治療を開始すると、非セレキシパグPPAの使用を中止することになる。いくつかの実施形態では、患者は、セレキシパグ開始の約7日未満前に非セレキシパグの使用を中止することになる。他の実施形態では、患者は、セレキシパグ開始時に非セレキシパグPPAを使用し続け、その後、非セレキシパグPPAを中止した。したがって、セレキシパグと非セレキシパグPPAの投与が重複する可能性がある。
本明細書で使用される用語「非セレキシパグプロスタサイクリン経路薬剤(non-selexipag prostacyclin pathway agent)」又は「非セレキシパグPPA(non-selexipag PPA)」は、プロスタサイクリン経路薬剤として作用するが、本明細書で定義されるセレキシパグ又はその代謝産物ではない任意の医薬品を指す。非セレキシパグPPAは、吸入PPA、経口PPA(服用)、又は非経口PPAであり得る。いくつかの実施形態では、非セレキシパグPPAは、吸入
又は経口PPAである。他の実施形態では、非セレキシパグPPAは吸入PPAである。更なる実施形態では、非セレキシパグPPAは、経口PPAである。更なる実施形態では、非セレキシパグPPAは、皮下又は静脈内PPAなどの非経口PPAである。いくつかの態様では、非セレキシパグ非経口PPAは皮下PPAである。他の態様では、非セレキシパグ非経口PPAは静脈内PPAである。非セレキシパグPPAの非限定的な例は、エポプロステノール(Flolan(登録商標)、Veletri(登録商標))、トレプロスチニル(Remodulin(登録商標)、Tyvaso(登録商標)、Orenitram(登録商標))、又はイロプロスト(Ilomedin(商標)、Ventavis(登録商標))を含む。いくつかの実施形態では、非セレキシパグPPAは、静脈内エポプロステノール、トレプロスチニル、又はイロプロストである。他の実施形態では、非セレキシパグPPAは皮下トレプロスチニルである。更なる実施形態では、非セレキシパグPPAは、吸入トレプロチニル又はイロプロストである。更に他の実施形態では、非セレキシパグPPAは経口トレプロスチニルである。
この方法は、セレキシパグの開始用量を患者に投与するステップと、変更又は中断することなく約14日間を超えて維持される最大耐用維持用量に増加させるステップとを含む。
セレキシパグは開始用量で投与され、維持用量を決定するために増加される。本明細書で使用される用語「維持用量」は、有害な身体的及び/又は薬理学的効果をもたらすことなく、1日あたりに患者に投与され得るセレキシパグの量を指す。したがって、維持用量は典型的に、患者ごとに個別に評価される。いくつかの態様では、セレキシパグの開始用量は維持用量と同じである。更なる態様では、セレキシパグの開始用量は、維持用量よりも低い。
開始用量又は維持用量は、毎日、少なくとも約10μgである。いくつかの実施形態では、開始用量又は維持用量は、毎日、少なくとも約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、約2000、約2100、約2200、約2300、約2400、約2500、約2600、約2700、約2800、約2900、約3000、約3100、約3200、約3300、約3400、又は約3500μgである。いくつかの実施形態では、開始用量は、約200μgであり、1日2回である。1日用量は、1日1回、1日2回、又は1日3回、好ましくは1日2回投与し得る。
望ましくは、維持用量は、1日2回約1600μgを超えない、即ち、1日あたり3200μgを超えない。いくつかの実施形態では、維持用量は、1日2回、約100~約3500μg、約200~約3200、約200~約3000、約200~約2800、約200~約2600、約200~約2400、約200~約2200、約200~約2000、約200~約1800、約200~約1600、約200~約1400、約200~約1200、約200~約1000、約200~約800、約200~約600、約200~約400、約400~約3200、約400~約3000、約400~約2800、約400~約2600、約400~約2400、約400~約2200、約400~約2000、約400~約1800、約400~約1600、約400~約1400、約400~約1200、約400~約1000、約400~約800、約400~約600、約600~約3200、約600~約3000、約600~約2800、約600~約2600、約600~約2400、約600~約2200、約600~約2000、約600~約1800、約600~約1600、約600~約1400、約600~約1200、約600~約1000、約600~約800、約800~約3200、約800~約3000、約800~約2800、約800~約2600、約800~約2400、約80
0~約2200、約800~約2000、約800~約1800、約800~約1600、約800~約1400、約800~約1200、約800~約1000、約1000~約3200、約1000~約3000、約1000~約2800、約1000~約2600、約1000~約2400、約1000~約2200、約1000~約2000、約1000~約1800、約1000~約1600、約1000~約1400、約1000~約1200、約1200~約3200、約1200~約3000、約1200~約2800、約1200~約2600、約1200~約2400、約1200~約2200、約1200~約2000、約1200~約1800、約1200~約1600、約1200~約1400、約1400~約3200、約1400~約3000、約1400~約2800、約1400~約2600、約1400~約2400、約1400~約2200、約1400~約2000、約1400~約1800、約1400~約1600、約1600~約3200、約1600~約3000、約1600~約2800、約1600~約2600、約1600~約2400、約1600~約2200、約1600~約2000、約1600~約1800、約1800~約3200、約1800~約3000、約1800~約2800、約1800~約2600、約1800~約2400、約1800~約2200、約1800~約2000、約2000~約3200、約2000~約3000、約2000~約2800、約2000~約2600、約2000~約2400、約2000~約2200、約2200~約3200、約2200~約3000、約2200~約2800、約2200~約2600、約2200~約2400、約2400~約3200、約2400~約3000、約2400~約2800、約2400~約2600、約2600~約3200、約2600~約3000、約2600~約2800、約2800~約3200、約2800~約3000、又は約3000~約3200μgである。更なる実施形態では、維持用量は、1日2回、約200~約1600μgである。他の実施形態では、維持用量は、1日2回、約1000μg~約1600μgである。更に別の実施形態では、維持用量は、1日2回、約1400~約1600μgである。
望ましくは、開始用量は、維持用量に達するまで増加される。用量を増加させるこの期間は、当業者によって決定され得る。典型的には、維持用量に達するまでの期間は少なくとも約1週間である。いくつかの実施形態では、維持用量に達する期間は、少なくとも約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、又は約16週間である。他の実施形態では、維持用量に達するまでの期間は、約2~約16週間、約2~約14週間、約2~約12週間、約2~約10週間、約2~約8週間、約2~約6週間、約2~約4週間、約4~約16週間、約4~約14週間、約4~約12週間、約4~約10週間、約4~約8週間、約4~約6週間、約5~約15週間、約5~約10週間、約6~約16週間、約6~約14週間、約6~約12週間、約6~約10週間、約6~約8週間、約8~約16週間、約8~約14週間、約8~約12週間、約8~約10週間、約10~約16週間、約12~約16週間、約12~約14週間、又は約14週間~約16週間である。更なる実施形態では、維持用量に達する期間は、約5~約10週間である。
維持用量に達する期間の間に、維持用量が決定されるまで、当業者によって決定されるように、セレキシパグ用量が増加される。いくつかの実施形態では、セレキシパグの用量は毎日増加される。他の実施形態では、セレキシパグの用量は毎週増加される。更なる実施形態では、セレキシパグの用量は毎月増加される。好ましくは、セレキシパグの用量は毎週増加される(7日の週に基づく)。セレキシパグの用量を毎週増加させる場合は、毎週同じ日に、又は予定された投与日の1日間以内に投与することができる。例えば、セレキシパグの用量が月曜日に投与される場合、次のセレキシパグの用量は、次の週の日曜日、月曜日、又は火曜日に投与され得る。毎月増量する場合、セレキシパグの投与量は、毎月同じ日に、又は次の予定された投与日から3日間以内に投与することができる。例えば、セレキシパグの用量が1月7日に投与される場合、次のセレキシパグの用量は、2月4
日、5日、6日、7日、8日、9日、又は10日に投与され得る。
維持用量に達すると、維持段階の間、維持される。この維持段階の期間の長さは、当業者によって決定されてよく、典型的には、少なくとも約14週間であり、患者が治療を必要とする限り継続され得る。いくつかの実施形態では、維持段階は約14、約16、約18、約20、約22、約24、約26、約28、約30、約32、約34、約36、約38、約40、約42、約44、約46、約48、約50、又は約52週間である。他の実施形態では、維持段階は少なくとも約14週間である。更なる実施形態では、維持段階は少なくとも約26週間である。
当業者によって決定されるように、維持段階の後に追加の用量増加があってもよい。しかし、このような増量は、望ましくは1日2回1600μgを超えないようにする。
この方法は、治療上有効量のセレキシパグを投与するステップを含む。本明細書で使用される用語「治療上有効量(therapeutically effective amount)」は、治療されている疾患若しくは障害の症状の緩和を含む、研究者、医師、又は他の臨床医により求められているヒトにおける生体学的反応又は医薬反応を引き出す活性化合物又は薬学的作用物質の量を意味する。セレキシパグは、治療上有効量を達成するために、1日1回、1日2回、又は1日3回投与され得る。いくつかの態様では、セレキシパグは1日1回投与される。他の態様では、セレキシパグは1日2回投与される。更なる態様では、セレキシパグは1日3回投与される。好ましくは、セレキシパグは、治療上有効量を達成するために1日2回投与される。
本明細書で使用される場合、特に断りのない限り、用語「セレキシパグ」は、式(I)の2-{4-[(5,6-ジフェニルピラジン-2-イル)(プロパン-2-イル)アミノ]ブトキシ}-N-(メタンスルホニル)アセトアミドを指す。
Figure 2022533394000002
本明細書で使用される場合、「セレキシパグ」はまた、セレキシパグの非晶形又は結晶形、例えばその多形体を指す。いくつかの実施形態では、セレキシパグは、結晶形、例えばその多形体である。他の実施形態では、セレキシパグは非晶形である。他の実施形態では、セレキシパグは、米国特許第8,791,122号及び同第9,284,280号に記載される様式I、米国特許第9,340,516号に記載される様式II、又は米国特許第9,440,931号に記載される様式IIIであり、それらは全て参照により本明細書に組み込まれる。結晶化度は、例えば、中でも単一結晶X線回折、粉末X線回折、示差走査熱量測定、融点などの1つ以上の技術を使用して、当業者によって決定され得る。
本明細書で使用される「セレキシパグ」は、その無水物又は水和物を含む。特定の実施形態では、セレキシパグは無水形である。他の実施形態では、セレキシパグはその水和物である。
本明細書で使用される「セレキシパグ」は更に、その溶媒和物を指す。そのような溶媒
和物は、分子間力又は化学結合を介してセレキシパグ分子の1つ以上の位置に結合した溶媒の分子を含む。
用語「セレキシパグ」はまた、その薬学的に許容される塩を含んでもよく、それは、当業者によって容易に選択され得る。「薬学的に許容される塩」は、非毒性、生物学的に許容可能、又は別様に対象への投与に生物学的に適するセレキシパグの塩を意味することを意図する。例えば、Berge,「Pharmaceutical Salts」,J.Pharm.Sci.,1977,66:1-19、及びHandbook of Pharmaceutical Salts,Properties,Selection,and Use,Stahl and Wermuth,Eds.,Wiley-VCH
and VHCA,Zurich,2002(これらは参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。セレキシパグは、遊離塩基又は酸の形態で使用することができるが、既知の方法によって薬学的に許容される塩に形成した後に使用することもできる。セレキシパグが塩基性である場合、「塩」の例は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ化水素酸、臭化水素酸などの無機酸の塩、並びに酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸及びカンファースルホン酸などの有機酸の塩を含む。セレキシパグが酸性である場合、「塩」の例は、ナトリウム塩及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、並びにカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩を含む。
セレキシパグ又はそれらの混合物の幾何異性体(Z体及びE体)も企図される。
セレキシパグは、当業者に理解されるように、市販されている。例えば、米国特許第7,205,302号(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。例えば、セレキシパグはUptravi(登録商標)として入手可能であり、ACT-293987又はNS-304としても知られる。セレキシパグはプロスタサイクリン受容体のアゴニストであり、米国特許第7,205,302号に開示されるプロセスに従って調製され得る。
本開示はまた、セレキシパグ代謝産物の投与を企図する。望ましくは、セレキシパグ代謝産物は代謝活性化合物である。したがって、特定の実施形態では、セレキシパグ代謝産物は式M1のものである。M1は、コード名ACT-333679又はMRE-269でも知られる。
Figure 2022533394000003
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「治療すること」、「治療」などは、疾患、状態、又は障害と闘う目的での、患者の管理及びケアを含むものとする。用語「治療すること」及び「治療」はまた、(a)疾患、状態若しくは障害の1つ以上の症状若しくは合併症を緩和するため、(b)疾患、状態若しくは障害の1つ以上の症状若しくは合併症の発病を予防するため、及び/又は(c)疾患、状態若しくは障害の1つ以上の症状若しくは合併症を排除するための、本明細書に記載される化合物又は医薬組成物の投与を含む。
本明細書で使用されるとき、特に断りがない限り、用語「予防すること」及び「予防」は、(a)1つ以上の症状の頻度を低減すること、(b)1つ以上の症状の重大度を低減すること、(c)更なる症状の発症を遅延させる、緩徐化する若しくは回避すること、及び/又は(d)障害若しくは状態の後期若しくはより重篤な形態への発症を緩徐化する若しくは回避すること、を含むものとする。
当業者は、本開示が予防方法に関するものである場合、それを必要とする患者は、任意の患者、又は予防されるべき障害、疾患若しくは状態の少なくとも1つの症状を経験又は示した患者を含まなければならないことを認識する。更に、それを必要とする患者は、加えて、予防すべき障害、疾患若しくは状態の症状を全く呈したことがないものの、医師、臨床医若しくは他の医療専門家により、このような障害、疾患若しくは状態を発症するリスクがあると見なされた患者とすることができる。例えば、患者の家族歴、素因、併発(重複)疾患又は併発(重複)状態、遺伝子検査などを含むがこれらに限定されない患者の医療歴の結果として、患者を、障害、疾患、又は状態の発症のリスクがある(それ故に予防又は予防的治療の必要がある)とみなし得る。
本明細書では、用語「対象(subject)」及び「患者(patient)」は、治療、観察又は実験の対象であったヒトを指すために交換可能に使用される。好ましくは、患者は、治療すべき及び/又は予防すべき疾患又は障害の少なくとも1つの症状を経験する及び/又は示す。
本明細書に記載の方法では、治療上有効量のセレキシパグが安全である。本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「安全」は、過度の有害な副作用(毒性、刺激、若しくはアレルギー反応など)がないことを意味するものとし、本発明の様式で使用されるとき、妥当な利益/リスク比に相応する。
処方/組成物
セレキシパグを有効成分として含む医薬組成物は、従来の医薬配合技術に従って、1つの化合物又は複数の化合物を医薬担体とよく混合することによって調製され得る。本明細書で使用するとき、用語「組成物」及び「処方」は、互換的に使用され、指定の量の指定の成分を含む生成物に加えて、指定の量の指定の成分の組み合わせから直接的又は間接的に生じる、医薬製品などの任意の生成物を包含する。医薬組成物の概要は、かかる開示に関して参照により本明細書に組み込まれている、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995)、Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975、Liberman,H.A.and
Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980、及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins 1999)に記載されている。
セレキシパグは、組成物の総重量に基づき、例えば、0.1%~99.5重量%、好ましくは0.5%~90%のレベルで化合物を含む医薬組成物として、それ自体で、又は薬学的に許容される非毒性の不活性担体との混合物で患者に投与され得る。担体として、固体、半固体及び液体の希釈剤、充填剤、並びに薬物製剤のための他の補助剤などの、製剤のための1つ以上の補助剤を使用し得る。医薬組成物は、単位剤形として投与されること
が望ましい。医薬組成物は、組織内に、又は静脈内、経口、局所(経皮)若しくは直腸に投与することができる。上記の投与様式のいずれかに適した剤形が使用されることは当然のことである。例えば、経口投与が好ましい。
医薬組成物は、当業者によって決定されるいくつかの経路によって投与され得る。好ましくは、医薬組成物は、セレキシパグに適した経路によって投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口、非経口、又はそれらの任意の組み合わせで投与される。他の実施形態では、医薬組成物は経口投与される。更なる実施形態では、医薬組成物は、非経口投与される。
医薬組成物は、選択された投与経路に適した形態で投与され得る。したがって、医薬組成物は、懸濁液、エリキシル剤、溶液、散剤、カプセル剤、錠剤、又はカプレットなどの丸薬、トローチ、顆粒、シロップ、薄膜、薬用キャンディー、スプレー、ペースト、又は注射剤として投与され得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、骨内注射、腹腔内注射、又は静脈内注射などの注射として投与される。他の実施形態では、医薬組成物は、懸濁液、エリキシル剤、溶液、散剤、カプセル剤(ハード又はソフト)、錠剤、又はカプレットなどの丸薬、トローチ、顆粒、シロップ、薄膜、薬用キャンディー、スプレー、又はペーストとして投与される。更なる実施形態では、医薬組成物は、例えば、携帯型ポンプ又は埋め込み型ポンプを使用し、中心静脈カテーテルを介した持続注入により投与される。更に他の実施形態では、医薬組成物は、皮下カテーテルを使用する持続注入により投与される。
丸薬は、嚥下、チュアブル、舌下使用、若しくは口腔内使用のために処方されてもよく、又は投与前に水に溶解若しくは分散させるために発泡性であってもよい。いくつかの実施形態では、医薬品は、丸薬、錠剤、散剤、滅菌非経口溶液、又は液体スプレーを含む。望ましくは、医薬品は錠剤を含む。
担体は、望ましい投与経路(例えば、経口、非経口)に応じて、様々な形態をとることができる。それゆえに、例えば懸濁液、エリキシル剤、及び溶液などの経口液体製剤の場合、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、安定剤、着色剤などが挙げられ、散剤、カプセル剤、及び錠剤などの経口固形製剤の場合、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。固形経口製剤はまた、主要な吸収部位を調節するために、糖などの物質でコーティングし、又は腸溶コーティングすることができる。非経口投与では、担体は通常、滅菌水から構成され、溶解度の向上又は保存のために他の成分を添加されてもよい。したがって、非経口投与の場合、医薬組成物又は医薬製剤は、滅菌非経口溶液である。注射用の懸濁液又は溶液はまた、水性担体を適切な添加剤と共に用いて調製してもよい。
そのような医薬組成物を調製するために、有効成分としてのセレキシパグは、従来の医薬配合技術に従って医薬担体とよく混合され、この担体は、投与に所望される製剤の形態、例えば、経口又は筋肉内等の非経口に応じて様々な形態をとることができる。組成物を経口剤形で調製する際、任意の通常の医薬媒体を用いることができる。それゆえに、例えば、懸濁液、エリキシル剤及び溶液などの経口液体製剤の場合、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、着色剤などが挙げられる。例えば、散剤、カプセル剤、カプレット、ゲルキャップ、及び錠剤などの経口固形製剤の場合、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。投与が容易であるため、錠剤及びカプセル剤は最も有利な経口投薬単位形態であり、この場合、固体医薬担体が使用されることは明らかである。所望される場合には、標準的な技術により錠剤に糖衣又は腸溶剤コーティングしてもよい。
非経口用の担体は、通常、滅菌水を含むが、例えば溶解性の補助などを目的として又は保存のために他の成分を含んでもよい。注射用懸濁液を調製してもよく、その場合、適切な液体担体、懸濁化剤などを用いてよい。本明細書の医薬組成物は、投薬単位、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、注射液、小さじ1杯などごとに、上記の有効用量を送達するのに必要な有効成分の量を含有することになる。
本明細書の医薬組成物は、単位投与単位、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、注射、坐剤、ティースプーン1杯など、好ましくは錠剤ごとに、少なくとも約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、約2000、約2100、約2200、約2300、約2400、約2500、約2600、約2700、約2800、約2900、約3000、約3100、約3200、約3300、約3400、又は約3500μgを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約100~約3500μg、約200~約3200、約200~約3000、約200~約2800、約200~約2600、約200~約2400、約200~約2200、約200~約2000、約200~約1800、約200~約1600、約200~約1400、約200~約1200、約200~約1000、約200~約800、約200~約600、約200~約400、約400~約3200、約400~約3000、約400~約2800、約400~約2600、約400~約2400、約400~約2200、約400~約2000、約400~約1800、約400~約1600、約400~約1400、約400~約1200、約400~約1000、約400~約800、約400~約600、約600~約3200、約600~約3000、約600~約2800、約600~約2600、約600~約2400、約600~約2200、約600~約2000、約600~約1800、約600~約1600、約600~約1400、約600~約1200、約600~約1000、約600~約800、約800~約3200、約800~約3000、約800~約2800、約800~約2600、約800~約2400、約800~約2200、約800~約2000、約800~約1800、約800~約1600、約800~約1400、約800~約1200、約800~約1000、約1000~約3200、約1000~約3000、約1000~約2800、約1000~約2600、約1000~約2400、約1000~約2200、約1000~約2000、約1000~約1800、約1000~約1600、約1000~約1400、約1000~約1200、約1200~約3200、約1200~約3000、約1200~約2800、約1200~約2600、約1200~約2400、約1200~約2200、約1200~約2000、約1200~約1800、約1200~約1600、約1200~約1400、約1400~約3200、約1400~約3000、約1400~約2800、約1400~約2600、約1400~約2400、約1400~約2200、約1400~約2000、約1400~約1800、約1400~約1600、約1600~約3200、約1600~約3000、約1600~約2800、約1600~約2600、約1600~約2400、約1600~約2200、約1600~約2000、約1600~約1800、約1800~約3200、約1800~約3000、約1800~約2800、約1800~約2600、約1800~約2400、約1800~約2200、約1800~約2000、約2000~約3200、約2000~約3000、約2000~約2800、約2000~約2600、約2000~約2400、約2000~約2200、約2200~約3200、約2200~約3000、約2200~約2800、約2200~約2600、約2200~約2400、約2400~約3200、約2400~約3000、約2400~約2800、約2400~約2600、約2600~約3200、約2600~約3000、約2600~約2800、約2800~約3200、約2800~約3000、又は約3000~約3200μgのセレキシパグを含む。更なる実施形態では、医薬組成物は、約200~約1600μgのセレキシパグを含む。更に他の実施形態では、医薬組成物
は、約200μgのセレキシパグを含む。更に別の実施形態では、医薬組成物は、約400μgのセレキシパグを含む。他の実施形態では、医薬組成物は、約800μgのセレキシパグを含む。更なる実施形態では、医薬組成物は、約1000μgのセレキシパグを含む。更に他の実施形態では、医薬組成物は、約1200μgのセレキシパグを含む。更に別の実施形態では、医薬組成物は、約1400μgのセレキシパグを含む。他の実施形態では、医薬組成物は、約1600μgのセレキシパグを含む。しかし、患者の要求、治療する状態の重症度、及び用いる化合物に応じて投薬量を変えてもよい。
好ましくは、医薬組成物は、錠剤、丸薬、カプセル剤、散剤、顆粒、滅菌非経口溶液又は懸濁液、計量エアゾール又は液体スプレー、液滴、アンプル、自己注射器デバイス又は坐剤などの単位剤形であり、経口非経口、鼻腔内、舌下若しくは直腸投与、又は吸入若しくは吹送による投与用である。錠剤のような固体組成物の製造に関しては、主要な有効成分(例えばセレキシパグ)を、医薬担体、例えば、トウモロコシデンプン、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、又はガムのような従来の錠剤化成分、及びその他の医薬希釈剤、例えば水と混合し、本発明の化合物の均質混合物又はその薬学的に許容される塩を含有する固体の事前処方組成物を形成する。特定の実施形態では、2つの有効成分が、例えば二相錠剤製剤のように一緒に配合され得る。これらの事前処方組成物を均質と呼ぶ場合、組成物を錠剤、丸剤及びカプセル剤のような同等に有効な剤形に容易に細分することができるように、有効成分が組成物の全体にわたって均一に分散していることを意味する。組成物の錠剤若しくは丸剤は、コーティングされ、又は他の方法により調合され、持続的作用の利点を付与する剤形を提供し得る。例えば、錠剤又は丸剤は、内殻投与成分及び外殻投与成分を含むことができ、後者は前者を封入する形態のものである。
本開示の組成物を経口投与又は注射により組み込み得る液剤の剤形としては、水性液剤、好適に香味付けされたシロップ剤、水性若しくは油性懸濁剤、及び、綿実油、ゴマ油、ヤシ油若しくはピーナッツ油などの食用油による、香味付けされたエマルジョン、並びにエリキシル剤及び同様の製薬用賦形剤が挙げられる。水性懸濁剤用の好適な分散剤又は懸濁化剤としては、合成及び天然ガム、例えばトラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニル-ピロリドン、又はゼラチンが挙げられる。
本明細書に記載される方法はまた、セレキシパグ、及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を使用して実施され得る。担体は、結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、着香剤、甘味剤、保存剤、染料、及びコーティングが挙げられるがこれらに限定されない、必要とされ不活性な医薬賦形剤を含む。経口投与用に好適な組成物としては、固形剤形、例えば、丸剤、錠剤、カプレット、カプセル剤(各々、即時放出、時限放出及び徐放用処方物が挙げられる)、顆粒剤、及び散剤など、並びに液体剤形、例えば、液剤、シロップ剤、エリキシル剤、エマルジョン、及び懸濁剤などが挙げられる。非経口投与に有用な形態としては、滅菌液剤、エマルジョン及び懸濁液が挙げられる。
有利なことに、セレキシパグは、1回1日の用量で投与されてもよく、又は1日の総用量が1日2回、3回若しくは4回の分割用量で投与されてもよい。
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態の経口投与の際には、活性薬剤成分(例えば、セレキシパグ)をエタノール、グリセロール、水などのような経口用の無毒の薬学的に許容される不活性担体と組み合わせることができる。更に、望ましい又は必要な場合、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤及び着色剤もまた、その混合物に組み込まれ得る。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、グルコース又はβ-ラクトースなどの天然の糖、コーン甘味料、アカシア、トラガカントなどの天然及び合成ガム、又はオレイン酸ナトリウム、ス
テアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
液体は、例えばトラガカント、アカシア、メチルセルロースなどの合成及び天然ガムのような、好適に香味付けされた懸濁化剤又は分散剤の形態をとる。非経口投与には、滅菌懸濁液及び溶液が望ましい。静脈内投与が所望される場合、好適な保存剤を一般に含有する等張製剤を用いる。
本開示の医薬組成物を調製するために、有効成分としてのセレキシパグは、従来の医薬配合技術に従って医薬担体とよく混合することができ、その担体は、投与に望まれる調製物の形態(例えば、経口又は非経口)に応じて様々な形態をとることができる。医薬的に許容される好適な担体は、当該技術分野において周知である。これらの医薬的に許容される担体のいくつかの説明は、米国薬剤師会及び英国薬剤師会により出版されたThe Handbook of Pharmaceutical Excipientsに見出すことができ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
薬学的組成物を製剤化する方法は、Marcel Dekker,Inc.によって発行されたPharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Second Edition,Revised and Expanded,Volumes 1-3,edited by Lieberman et al、Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications,Volumes 1-2,edited by Avis et al、及びPharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems,Volumes 1-2,edited by Lieberman et alなどの多くの発行物に記載されている。それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
略語:IQR=四分位範囲、PAH=肺動脈性肺高血圧症、CH=肺毛細血管腫症、PPA=プロスタサイクリン経路薬剤、PVOD=肺静脈閉塞性疾患、mPAP=平均肺動脈圧、YHA=ニューヨーク心臓協会、PCWP=肺毛細血管楔入圧、PVR=肺血管抵抗、RAP=右房圧、WHO=世界保健機関、AE=有害事象。
(実施例1)
セレキシパグは、200、400、600、800、1000、1200、1400、及び1600μgの強度の様々な強度の丸いフィルムコーティング錠として提供される。
組成物を表A及び表Bに示す。
Figure 2022533394000004
Figure 2022533394000005
(実施例2)
この例では、患者を非セレキシパグPPAからセレキシパグに移行することの有効性を調査した。患者は最大18か月追跡され、データは開始時、登録時、及び登録後約四半期ごとに収集された。適格な患者は18歳以上であり、登録時にセレキシパグを新たに開始したか、既にセレキシパグを投与されたかのいずれかであり、滴定レジメンが文書化されていた。このデータは、別のPPAから移行した最初の250人の患者のサブグループから取得された。
「移行患者」とは、(i)セレキシパグ開始時に非セレキシパグPPAを30日間以上使用し、セレキシパグ開始の7日前以内に初期薬剤を中止した、又は(ii)セレキシパグを開始し、徐々にその薬剤から移行したとき、最初の非セレキシパグPPAを継続して使用した患者と定義された。
維持用量は、変更及び/又は中断なしに14日間以上維持された滴定後の第1用量とし
て定義された。収集された患者データは、(i)人口統計、病歴、疾患の特徴、及びバックグラウンド療法、(ii)非セレキシパグPAH治療からセレキシパグへの移行プロセス及びセレキシパグから非セレキシパグPPAへの移行プロセス、(iii)セレキシパグ投与レジメン、(iv)臨床経過と転帰、(v)有害事事象を含んだ。
セレキシパグ開始に最も近い方法で実施された評価は、「ベースライン」と見なされた。ベースライン後6か月及び12か月のデータは次のとおり:(i)6か月の測定期間は0か月超~9か月未満であった、(ii)12か月の測定期間は、9か月以上~16か月未満であった、及び(iii)それぞれ6か月又は12か月の時点に最も近い評価が使用された。
セレキシパグの作用機序に関連することが知られるAEは、それらが深刻であり、セレキシパグの中止につながり、又は異常な重症度のパターンを反映する場合にのみ報告された。
A.リスクカテゴリの判定
リスクカテゴリが割り当てられた。世界保健機関又はニューヨーク心臓協会の機能クラス(FC)、6分間歩行距離(6MWD)、脳性ナトリウム利尿ペプチドのN末端プロホルモン(NT-proBNP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、並びに右房圧、心係数、及び混合静脈酸素飽和度などの血行力学的パラメータという7つの変数が使用された。NT-proBNPとBNPの両方が利用可能な場合、各値のリスク分類が共に平均化され、その平均がリスクカテゴリ化に使用された。2015年欧州心臓病学会/欧州呼吸器学会ガイドラインの閾値を適用し、利用可能な各変数にリスクスコアを割り当てた:1=低リスク、2=中リスク、3=高リスク。次に、利用可能な全ての変数からのリスクスコアを平均化した。結果の数値は、患者の個々のリスクカテゴリを生成するために最も近い整数に四捨五入された:1=低リスク、2=中リスク、3=高リスク。
B.患者と病気の特徴
250人の患者のうち、56人(22.4%)が非セレキシパグPPAから移行し、194人(77.6%)が非移行であった。移行患者と非移行患者は、診断時に移行患者のほうが若かったことを除き、同様のベースライン特徴を示し(中央値、52歳[IQR:38.5~62.0歳]対57歳[IQR:43.0~65.0歳])、PAH診断からセレキシパグ開始までの期間の中央値が長く(5.6[IQR 2.0~10.0]対3.1[IQR:1.2~6.9]年)、特発性PAHを発症する可能性が高く(64%対49%)、セレキシパグ開始時のPVRが低かった(中央値4.8[IQR 3.6~7.0]対7.2[IQR 4.6~9.8]ウッド単位)。移行患者は非移行患者よりも維持用量が多かった(用量中央値、1400[IQR 1000~1600]対1200[IQR 800~1600]μg1日2回[BID])。
56人の移行患者のうち、8人は経口の非セレキシパグPPAから移行し、28人は吸入の非セレキシパグPPAから移行し、3人は皮下投与(SC)の非セレキシパグPPAから移行し、17人は静脈内投与(IV)の非セレキシパグPPAから移行した。21人(37.5%)の患者が30日間以内にセレキシパグに移行し、16人(28.6%)が31~60日間で移行し、19人(33.9%)が60日間以上で移行した。後者のグループでは、8人の患者が吸入の非セレキシパグPPAから、3人が経口の非セレキシパグPPAから、6人がIVの非セレキシパグPPAから、2人がSCの非セレキシパグPPAから移行した。
合計で、56人のうち16人の移行患者(28.6%)がセレキシパグを中止したのに対し、非移行患者は194人中65人(33.5%)であった。56人の移行患者の選択
された患者の人口統計と疾患の特徴を表1に示し、疾患の重症度データを表2に示す。患者の人口統計は、非経口の非セレキシパグPPAから移行した患者と経口/吸入の非セレキシパグPPAから移行した患者との間で概ね類似していたが、非経口の非セレキシパグPPAから移行した患者は若く、診断からセレキシパグ開始までの期間が短く、セレキシパグの開始から試験登録までの期間が短かった。中央値6MWD、FC分布、及び血行力学的データは、非経口PPAから移行した患者は、経口/吸入の非セレキシパグPPAから移行した患者よりも健康であったことを示唆した。
Figure 2022533394000006
Figure 2022533394000007
C.セレキシパグ投与
全ての移行患者におけるセレキシパグの維持用量の中央値は1400μg BID(IQR:1000~1600μgBID)であり、この用量に達するまでの期間の中央値は8.1週間(IQR:6.7~8.7週間)であった。非経口の非セレキシパグPPA(1600μg[IQR:1400-1600μg])から移行した患者の維持用量の中央値は、吸入/経口の非セレキシパグPPA(1300μg[IQR:1000~1600μg])から移行した患者よりも高かった。これらの用量に達するまでの期間の中央値は、両方のグループで8.1週間である(IQR:吸入/経口及び非経口グループでそれぞれ5.6~8.4週間及び7.7~9.0週間)。
D.臨床経過
6か月及び12か月で、FC(図1A及び図1B)は、移行患者の大多数で維持されていた。6か月の時点で、27%でFCが改善し、FCが悪化した者はなかった。12か月の時点で、21%でFCが改善し、10%でFCが悪化した。しかし、データは6か月の患者の46%と、12か月の患者の70%でのみ利用可能であった。FCの結果は、経口/吸入の非セレキシパグPPA又は非経口の非セレキシパグPPAから移行した患者間で概ね類似していた。
6か月の時点で、6MWDは移行した集団全体のベースラインと類似していた。しかし、非経口の非セレキシパグPPAから移行した患者は、ベースラインから中央値6MWDが減少し、経口/吸入PPAから移行した患者は6MWDが増加した(図2)。
12か月までに、全ての患者が6MWDのわずかな増加を示した。データは、6か月の患者の57%と、12か月の患者の52%でのみ利用可能であった。ベースラインでは、経口/吸入の非セレキシパグPPAから移行した患者の7人(19.4%)は低リスクにカテゴリ化され、27人(75.0%)は中リスクにカテゴリ化され、2人(5.6%)は高リスクにカテゴリ化された。6か月及び12か月で(図3A)、リスク状態は大多数の患者(それぞれ63%及び61%)で維持されていた。6か月の時点で、21%でリスク状態を改善し、17%でリスク状態が悪化した。12か月の時点で、24%でFCが改
善し、15%でFCが悪化した。
ベースラインでは、非経口の非セレキシパグPPAから移行した患者の6人(30.0%)は低リスクにカテゴリ化され、13人(65.0%)は中リスクにカテゴリ化され、1人(5.0%)は高リスクにカテゴリ化された。6か月で、67%がリスク状態を維持(40%)又は改善(27%)していたが、33%はリスク状態が悪化した(図3B)。12か月の時点で、86%がリスク状態を維持(57%)又は改善(29%)していたが、14%はリスク状態が悪化した。
E.安全性
安全性データは、患者が登録された期間のみ収集された。研究におけるセレキシパグ治療の合計期間の中央値は、全ての患者で13.7か月(IQR:9.1~17.8か月)であり、吸入/経口群の患者で13.8か月(IQR:9.2~17.8か月)であり、非経口群の患者で13.4か月(IQR:6.8~15.9か月)であった。
合計で、患者の19.6%がAEのためにセレキシパグを永久に中止し、患者の16.7%が吸入/経口療法から移行し、患者の25.0%が非経口療法から移行した。セレキシパグを中止した残りの5人の患者のうち、1人は死亡の場合の理由で(because if death)中止し、1人はAE以外の不特定の理由で、3人の患者は理由が報告されなかった。
セレキシパグの中止をもたらした最も一般的に報告されたAEは、肺高血圧症の悪化であり(n=3)、これらの患者は全て、非経口の非セレキシパグPPAから移行していた(表3)。注目すべきことに、非経口の非セレキシパグPPAから移行した1人の患者は、右心室収縮圧の上昇のために中止した。
Figure 2022533394000008
F.結論
患者が非セレキシパグPPAのどの種類から移行してきたかに関係なく、FC、6MWD、及びリスク状態によって示されるように、大多数はセレキシパグに移行してから12か月後に疾患が変化しないか改善したことを示した。
本明細書に記載の実施例及び実施形態は単に例示を目的とするものであって、様々な修
正又は変更が当業者に提示され、本出願の趣旨及び範囲、並びに添付の特許請求の範囲内に含まれる。

Claims (24)

  1. 非セレキシパグプロスタサイクリン経路薬剤(PPA)で肺動脈性肺高血圧症の治療を受けている患者をセレキシパグに移行させる方法で使用するためのセレキシパグであって、前記方法は、セレキシパグを開始用量で前記患者に投与するステップと、変更又は中断することなく約14日間を超えて維持される最大耐用維持用量に増加させるステップとを含み、前記患者は、セレキシパグ開始時に前記非セレキシパグPPAを約30日間以上使用しており、前記セレキシパグ開始前の約7日未満に前記非セレキシパグPPAを中止した、又は、前記患者は、前記セレキシパグ開始時に前記非セレキシパグPPAを使用し続け、その後、前記非セレキシパグPPAを中止した、セレキシパグ。
  2. 前記非セレキシパグPPAは、吸入、経口、又は非経口PPAである、請求項1に記載のセレキシパグ。
  3. 前記非セレキシパグPPAは、吸入又は経口PPAである、請求項2に記載のセレキシパグ。
  4. 前記非セレキシパグPPAは、非経口PPAである、請求項2に記載のセレキシパグ。
  5. 前記非経口PPAは、皮下又は静脈内PPAである、請求項4に記載のセレキシパグ。
  6. 前記セレキシパグは経口セレキシパグである、請求項1~5のいずれか一項に記載のセレキシパグ。
  7. 前記開始用量は1日2回約200μgである、請求項1~6のいずれか一項に記載のセレキシパグ。
  8. 前記維持用量は1日2回約1000μg~約1600μgである、請求項1~7のいずれか一項に記載のセレキシパグ。
  9. 前記維持用量に達するまでの時間は約5~約10週間である、請求項1~8のいずれか一項に記載のセレキシパグ。
  10. 前記維持用量は1日2回約1400μg~約1600μgである、請求項4又は5に記載のセレキシパグ。
  11. 前記セレキシパグ開始時の前記患者の世界保健機関機能クラスは、前記セレキシパグ開始後約12か月後に改善する、請求項1~10のいずれか一項に記載のセレキシパグ。
  12. 前記セレキシパグ開始時の前記患者の6分間歩行距離は、前記セレキシパグ開始後約12か月後に改善する、請求項1~11のいずれか一項に記載のセレキシパグ。
  13. 非セレキシパグプロスタサイクリン経路薬剤(PPA)で肺動脈性肺高血圧症の治療を受けている患者をセレキシパグに移行させる方法であって、セレキシパグを開始用量で前記患者に投与するステップと、変更又は中断することなく約14日間を超えて維持される最大耐用維持用量に増加させるステップとを含み、前記患者は、セレキシパグ開始時に前記非セレキシパグPPAを約30日間以上使用しており、前記セレキシパグ開始前の約7日未満に前記非セレキシパグPPAを中止した、又は、前記患者は、前記セレキシパグ開始時に前記非セレキシパグPPAを使用し続け、その後、前記非セレキシパグPPAを中止した、方法。
  14. 前記非セレキシパグPPAは、吸入、経口、又は非経口PPAである請求項13に記載の方法。
  15. 前記非セレキシパグPPAは、吸入又は経口PPAである、請求項14に記載の方法。
  16. 前記非セレキシパグPPAは非経口PPAである、請求項14に記載の方法。
  17. 前記非経口PPAは、皮下又は静脈内PPAである、請求項16に記載の方法。
  18. 前記セレキシパグは経口セレキシパグである、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記開始用量は1日2回約200μgである、請求項13~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記維持用量は1日2回約1000μg~約1600μgである、請求項13~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記維持用量に達するまでの時間は約5~約10週間である、請求項13~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記維持用量は1日2回約1400μg~約1600μgである、請求項16又は17に記載の方法。
  23. 前記セレキシパグ開始時の前記患者の世界保健機関機能クラスは、前記セレキシパグ開始後約12か月後に改善する、請求項13~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記セレキシパグ開始時の前記患者の6分間歩行距離は、前記セレキシパグ開始後約12か月後に改善する、請求項13~23のいずれか一項に記載の方法。
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