JP2022531920A - 薬剤性肺炎の治療に使用するための血管作動性腸管ペプチド(vip) - Google Patents

薬剤性肺炎の治療に使用するための血管作動性腸管ペプチド(vip) Download PDF

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Abstract

チェックポイント阻害剤誘発性肺炎(CIP)は、呼吸困難、咳及び頻呼吸によって臨床的に特徴付けられる。低酸素症は、CTスキャンによって観察されるすりガラス陰影及び硬変をもたらすリンパ球優位の肺胞炎に起因する。組織学的所見には、リンパ球浸潤、肉芽腫形成及び好酸球蓄積が含まれる。CIPの管理において、メチルプレドニゾロンなどのステロイドの全身投与が標準治療である。更に、CIPは、ほとんどの場合、チェックポイント阻害療法の中断につながり、ステロイドは、チェックポイント阻害剤の治療効果を制限し、その結果、潜在する悪性疾患の進行をもたらす。したがって、免疫系に対する全身効果に影響を及ぼすことなく、チェックポイント阻害剤によって誘発される肺胞炎症を理想的に抑止することができるCIPにおける他の治療選択肢が必要とされている。本発明の焦点は、VIP(血管作動性腸管ペプチド、28アミノ酸のペプチド)の局所投与によってその問題に対する解決策を提供することである。吸入VIP療法用の薬物は、Aviptadilという名称で市販されている。

Description

本発明は、一般に、薬剤性肺炎の治療に使用するための血管作動性腸管ペプチド(VIP)に関する。具体的には、本発明は、チェックポイント阻害剤関連肺炎(CIP)及びメトトレキサート誘発性肺炎の治療に使用するためのVIPに関する。
血管作動性腸管ペプチド(VIP)は、28アミノ酸ポリペプチドである。VIPは、広範囲の組織に広く分布し、心血管系、膵臓、消化管、呼吸器系及び泌尿器系に多様な作用を及ぼす神経伝達物質である。このポリペプチドは、腸管血流を変化させるその血管拡張作用からその名前が付けられた。28アミノ酸を有する血管作動性腸管ペプチド(VIP)のINNは「アビプタジル」である。吸入VIP療法のための医薬組成物は、Advita Lifescience GmbH(デンツリンゲン、ドイツ)からAviptadilという名称で市販されている。VIPは、Bachem AG(ブベンドルフ、スイス)から入手可能である。VIPのアミノ酸配列は、UniProtKBデータベースからP01282(https://www.uniprot.org/uniprot/P01282)で入手可能である。
国際公開第2015/104596号は、自己免疫疾患及びアトピー性疾患における有害で継続的な炎症のスイッチをオフにする、かつ/又はそれを予防するための血管作動性腸管ペプチド及びその使用に関する。
欧州特許第2 152 741(B1)号は、血管作動性腸管ペプチドの生物学的活性を有する改善された特性を有するペプチド、並びに、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、及びアレルギー性肺疾患の治療のためのそれらの使用を開示する。
国際公開第03/061680号は、慢性閉塞性肺疾患の治療のための血管作動性腸管ペプチドの生物学的活性を有する化合物の使用を教示している。
欧州特許第1 515 745(B1)号は、サルコイドーシスの治療のためのVIP及びVIP様ペプチドの使用に関する。サルコイドーシスは、トリガー因子が知られておらず、類上皮細胞肉芽腫によって組織学的に定義される全身性疾患であり、その形成はCIPの一般的な特徴とは見なされない。サルコイドーシスでは、エアロゾル化されたVIPの吸入がTNF放出の減少及び制御性T細胞の増加をもたらし、それが症状軽減をもたらすことが示されている(PrasseAら;Inhaled vasoactive intestinal peptide exerts immunoregulatory effects in sarcoidosis;American journal of respiratory and critical care medicine 2010;182:540-548)。
間質性肺炎/線維症は、薬剤性肺損傷に関連する最も一般的な臨床症状である。がんに対する多くの化学療法薬は、間質性肺炎/線維症を引き起こす場合があるが、いくつかの非細胞傷害性薬も関与している。臨床症状は通常潜行的に始まり、数週間から数ヶ月にわたり、乾性咳嗽、労作性呼吸困難、疲労、倦怠感及び体重減少を伴って進行する。両肺底部の吸気終末のラ音が検査時に一般的に観察される。この症候群にはより急性の形態があり、それは、病原体への曝露後数時間から数日以内に起こる。
急性肺炎のこの症候群は、典型的には、ニトロソ尿素、シクロホスファミド及びマイトマイシン/ビンカアルカロイドの組み合わせに関連する。メトトレキサート、アミオダロン及び生物製剤についても説明されている。胸部X線検査では、間質性肺炎は、両側性の両肺底部網様体又は結節性浸潤物として現れることが多い。胸水は、ないことが多いが、マイトマイシン、ニトロフラントイン、アミオダロン及び金塩に関連して説明されている。
時折、有意な症状又は肺の生理学的障害が存在する場合であっても、胸部X線写真が正常な場合がある。間質性肺炎を有する患者は、一般に、肺機能検査で拡散能の低下を示す拘束性欠陥を有する。診断は、気管支鏡検査及び経気管支生検で確認されることが多い。
免疫チェックポイント阻害剤は、様々な疾患、特に、黒色腫及び非小細胞肺がんの治療に使用される発展途上にある薬物の一種である。それらの作用様式は、T細胞活性化の共阻害経路、すなわち、PD-1(プログラム死-1)受容体とリガンドPD-L1及びPD-L2(プログラム死リガンド1及び2)軸、並びにCTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球抗原-4)分子を妨害することによるT細胞の活性化である。
CTLA-4は、主にT細胞によって発現され、そのリガンドCD80及びCD86についてT細胞活性化CD28と競合する。したがって、CD80/CD86へのCTLA-4の結合は、CD28がその活性化リガンドを欠くので、T細胞活性化の減衰をもたらす。CTLA-4は、過剰な抗腫瘍応答をもたらすイピリムマブ及びトレメリムマブによって標的化され得る。
PD-1は、Tリンパ球及びBリンパ球、ナチュラルキラー細胞及び樹状細胞上で発現される。そのリガンドPD-L1及びPD-L2によるPD-1結合は、T細胞活性化及びエフェクター機能の低下をもたらす。ニボルマブ及びペンブロリズマブは、所与の悪性組織に対する免疫応答を増強するためにPD-1を標的とするモノクローナル抗体である。
しかしながら、抗CTLA-4抗体及び抗PD-1抗体のT細胞刺激効果は、一般的なT細胞活性化をもたらし、それによってT細胞活性化の副作用としての自己免疫疾患、いわゆる免疫関連有害事象を伝播する非特異的な効果である。免疫関連有害事象は、患者の約10~15%において、3~6%のグレード3以上の発生率で発生する。多くの場合自己限定的であり、対症療法で処置することができる免疫関連肝炎又は内分泌性副作用とは対照的に、チェックポイント阻害剤誘発性肺症状は、しばしば高用量ステロイド療法を必要とする。肺免疫関連有害事象(irAE)は、治療された患者の約5%で発生し、10%の死亡率を示す。
チェックポイント阻害剤誘発性肺炎(CIP)は、呼吸困難、咳及び頻呼吸によって臨床的に特徴付けられる。低酸素症は、CTスキャンによって観察されるすりガラス陰影及び硬変をもたらすリンパ球優位の肺胞炎に起因する。組織学的所見には、リンパ球浸潤及び好酸球蓄積が含まれる。したがって、CIPは、肺に限定され、主にびまん性肺胞損傷を示すリンパ球優位の間質性疾患として定義することができる。
CIP及び他の薬剤性肺炎の管理においては、メチルプレドニゾロンなどのステロイドの全身投与が標準治療である。更に、CIPは、ほとんどの場合、チェックポイント阻害療法の中断につながり、ステロイドは、チェックポイント阻害剤の治療効果を制限し、その結果、潜在する悪性疾患の進行をもたらす。
したがって、免疫系に対する全身効果に影響を及ぼすことなく、チェックポイント阻害剤及び他の薬物によって誘発される肺胞炎症を理想的に抑止することができるCIP及び他の薬剤性肺炎における他の治療の選択肢が必要とされている。したがって、本発明の目的は、VIPの局所投与によって具現化されるその問題に対する解決策を提供することである。
ステロイドの局所投与(吸入)は、CIP及び他の薬剤性肺炎を処置するのに十分ではないが、驚くべきことに、VIPによる局所処置がこれらの患者の苦痛を緩和し得ることが観察された。エアロゾルによる治療は、通常、吸入されたノックスが肺の欠陥の原因である場合にのみ効率的であると見なされているので、これは特に予想外なことである。しかしながら、本発明の文脈では、全身性物質は、薬剤性肺炎(CIPなど)の原因であり、したがって、局所投与が大きな効果を有するとは期待されない。特に、VIPのエアロゾル投与は、VIPの血中レベルの上昇をもたらさず、ひいては全身効果を示さないためである。
したがって、本発明は、薬剤性肺炎の治療に使用するためのVIP、特にチェックポイント阻害剤誘発性肺炎(CIP)の治療に使用するためのVIP及びメトトレキサート誘発性肺炎の治療に使用するためのVIPに関する。
好ましい実施形態は、薬剤性肺炎の治療に使用するための医薬組成物における、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤と並ぶ、有効成分としてのVIPを指す。
かかる医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤、希釈剤、潤滑剤、着色剤、甘味剤、香味剤、保存剤などと共に、有効成分としてVIPを含む。本発明に従って使用されることが示唆される医薬組成物は、従来の固体若しくは液体担体又は希釈剤及び薬学的に作製された従来のアジュバント中、当技術分野で知られている適切な投与量レベルで調製することができる。
VIPは、有機酸及び無機酸と薬学的に許容される塩を形成し得るペプチドである。このような酸付加塩の形成に適した酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、スルホン酸、ホスホン酸、過塩素酸、硝酸、ギ酸、プロピオン酸、グルコン酸、乳酸、酒石酸、ヒドロキシマレイン酸、ピルビン酸、フェニル酢酸、安息香酸、p-アミノ安息香酸、p-ヒドロキシ安息香酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、亜硝酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、エチレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフチルスルホン酸、スルホン酸、カンファースルホン酸、チナ酸、マンデル酸、o-メチルマンデル酸、水素-ベンゼンスルホン酸、ピクリン酸、アジピン酸、D-o-トリル酒石酸、タルトロン酸、a-トルイル酸、(o、m、p)-トルイル酸、ナフチルアミンスルホン酸、及び当業者に周知の他の無機酸又はカルボン酸である。塩は、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させて従来の方法で塩を生成することによって調製される。
別の好ましい実施形態では、VIPは、吸入に投与可能な医薬組成物で提供される。
吸入のために、医薬組成物はエアロゾル形態で提供される。
本発明の好ましい一実施形態では、エアロゾル化のための医薬組成物は液体である。液体医薬組成物中のVIPの適切な濃度は、約20μg/mlから200μg/mlの範囲である。好ましくは、液体医薬組成物は、組成物1ml当たり、35μg/mlから140μg/ml、特に、好ましくは、60μg/mlから80μg/mlのVIPを含む。VIPが、塩溶液、特に、NaCl溶液、より具体的には、生理的NaCl溶液に含まれる液体が好ましい。
薬剤性肺炎の治療のために本発明に従って使用されるエアロゾルは、好ましくは、容易に吸入されるのに十分小さい液滴を含み、そのような液滴は、約0.5から約10μm、好ましくは、約2.0から約6.0μm、特に好ましくは、約2.8~4.5μmの範囲の特定の直径を有する。
本発明の別の好ましい実施形態では、エアロゾル化のための医薬組成物は、固体医薬組成物であり、粉末として提供され、VIPは、約2.0から4.0mmの直径を有する乾燥粒子の形態で使用される。固体医薬組成物中のVIPの適切な濃度は、約20μg/mgから200μg/mgの範囲である。好ましくは、固体医薬組成物は、組成物1ml当たり、35μg/mgから140μg/mg、特に好ましくは、60μg/mgから80μg/mgのVIPを含む。VIPが、不活性担体、特に、ラクトース、より具体的には、ラクトース水和物(例えば、Meggle Group GmbH(ヴァッサーブルク、ドイツ)製のInhaLac 230)を含む組成物に含まれる粒子が好ましい。粒子はまた、塩化ナトリウム又はリン酸ナトリウムなどの塩を含有してもよい。
通常、エアロゾル化により、液滴又は乾燥粒子は、キャリアガス内に微細に分散される。適切なキャリアガスとして、ヘリウム、ネオン若しくはアルゴン又はそれらの混合物などの不活性ガスを使用することができる。しかしながら、好ましくは、窒素(N2)又は二酸化炭素(CO2)のような容易に入手可能な不活性ガスが使用される。周囲空気を使用することも可能であり、それによって酸素含有量を減少させることができる。
液滴又は粒径及びVIPの含有量に関するエアロゾルのキャラクタリゼーションは、当業者に公知の測定装置によって容易に行うことができる。
好ましい実施形態では、エアロゾルは、超音波メッシュネブライザに入れた液体医薬組成物のエアロゾル化によって生成される。特に好ましいネブライザは、Nebu-Tec(エルゼンフェルト、ドイツ)によって提供されるM-neb(登録商標)dose+MN-300/8である。しかしながら、別法として、エアロゾルは、規定サイズの液滴を有するエアロゾルを提供するという要件を満たす市販の吸入器を用いて生成することができる。あるいは、VIPは、乾燥粉末吸入器又は定量吸入器、例えば、アストラゼネカのTurbohalerを用いて粉末形態で投与することができる。
一実施形態では、エアロゾル化VIPは、1日当たり約140μgから560μgの範囲の用量で患者に投与される。1日用量は、単回用量として投与してもよく、合計すると1日用量になる複数回用量として投与してもよい。好ましくは、1日用量は、3回から4回に分けた用量で投与される。より好ましくは、1日用量は、一晩の中断を伴って、1日3回から4回与えられる。好ましい実施形態では、エアロゾル化VIPは、280μg/日の用量で投与され、適切な用量は、好ましくは、一晩の中断を伴って、1日4回投与される。例えば、280μgの1日用量を70μg/日の4回の用量として投与した後に、一晩の休止期間をおくことができる。
本発明はまた、患者を治療するための対応する方法に関する。したがって、本発明の別の目的は、薬剤性肺炎、特に、チェックポイント阻害剤誘発性肺炎(CIP)又はメトトレキサート誘発性肺炎を有する患者を治療する方法であって、血管作動性腸管ペプチド(VIP)を患者に投与することを含む方法を提供することである。
好ましい実施形態では、血管作動性腸管ペプチドは、エアロゾル化医薬組成物として吸入によって患者に投与される。好ましくは、液体医薬組成物は、投与のためにエアロゾル化される。液体医薬組成物中の血管作動性腸管ペプチドの適切な濃度は、20μg/mlから200μg/mlの範囲である。好ましくは、血管作動性腸管ペプチドの濃度は、35μg/mlから140μg/ml、特に好ましくは、60μg/mlから80μg/mlの範囲である。
別の好ましい実施形態では、投与のためのエアロゾルを提供するために粉末がエアロゾル化される。血管作動性腸管ペプチドの適切な濃度は、20μg/mgから200μg/mgの範囲である。好ましくは、血管作動性腸管ペプチドの濃度は、35μg/mgから140μg/mg、特に好ましくは、60μg/mgから80μg/mgの範囲である。
好ましくは、140μgから560μgの血管作動性腸管ペプチドの1日用量が患者に投与される。
ある先行技術研究では、例えば、患者は、50μgの合成VIP(アビプタジル;Bachem、バーゼル、スイス)を、超音波ネブライザ(Optineb;Nebu-Tec、エルゼンフェルト、ドイツ)で1日4回、28日間受けた。患者に吸入方法の詳細を説明した後、吸入器の技術的使用及びVIPのp.i.投与は、全ての患者にとって実行可能であり、重篤な有害事象なしに十分に忍容された(欧州特許第1 515 745(B1)号参照)。
本発明をもたらした実験及び研究は、提案されたVIP吸入の治療が、CIPにおける肺胞炎症を首尾よく弱める一方で、患者の免疫系に対する重篤な副作用に見舞われることがないことを明確に示している。したがって、この療法は、また、チェックポイント阻害療法によって誘発される肺胞炎症を軽減又は安定化するために、追加の免疫抑制ステロイド療法と組み合わせて使用することができ、その後にでも使用することができる。
本発明は、以下の実施例においてより詳細に説明される。
実施例1
M-neb(登録商標)dose+メッシュネブライザMN-300/8及びそれぞれのマウスピースを使用して、VIPをCOPLEY次世代インパクタ(NGI)で試験した。0.9%NaCIに溶解したVIPの空気動力学的中央粒子径(MMD)は、放出された粒子当たり3.3~3.5μmであった。粒子の85.7%は5μg未満の直径を有し、マウスピースで送達された用量は試験された用量の90.2%であった。
実施例2
VIPを、異なる薬物濃度(20μg/ml、35μg/ml、50μg/ml、70μg/ml、140μg/ml、200μg/ml、250μg/ml、400μg/ml)で0.9%NaCI溶液中で試験した。結果は、それぞれの生物学的活性が35μg/ml~140μg/mlの間で最良であることを示す。
実施例3
VIPは、0.9%NaCI溶液中、呼吸サイクル数の増加に対して異なる時点で試験した。肺実質の疾患は、吸入粒子の沈着を最小化し得る肺周辺の幾何学的変化をもたらす。ゆっくりとした深い吸気を用いることによる特定の呼吸は、エアロゾル粒子が上気道を迂回することを可能にし、その結果、それらを下気道での沈着に供されるようにする。長時間の吸気は、肺の所望の位置にエアロゾルを適切に沈降させることを可能にする。吸気時間の延長及び高度な沈降は、エアロゾル中のその粒子が吐き出される前の吸気沈着を促進する。これらの条件下では、送達された粒子のほぼ100%を呼気が始まる前に沈着させることが可能である。10分から15分の間の吸入時間は、患者がより長い呼吸サイクルをとることができるので、治療当たり2~4分の間の短い吸入時間よりも好ましい。
実施例4
チェックポイント阻害剤で治療された患者はCIPを発症し、ステロイド治療では十分に抑制できなかった。他の承認された治療選択肢がないため、患者は、1日当たり4×70μg/mlの投与量(1日当たり、一晩の中断を伴って280μg)で開始される吸入VIP療法により適用外で治療した。この治療により、患者の全般的な健康が改善し、治療の6ヶ月以内に肺機能が正常化し、放射線学的変化(例えば、硬変)が減少した。気管支肺胞洗浄によって測定される肺胞炎症は、制御性T細胞の増加によって抑えられた。
実施例5
72歳女性が現在のガイドラインに従って関節リウマチと診断され、コルチコステロイド(15mgプレドニゾロン/日)及びメトトレキサート(15mg/週)による免疫抑制療法が開始された。
関節病変は1ヶ月以内に改善し、ステロイド用量を漸減した。ステロイド投与終了直後に、患者は息切れ及び咳を訴えた。肺機能は、拘束性換気欠損を示した。実施されたCTスキャンは、心尖部優位性を有する広範囲のすりガラス陰影を示した。
気管支鏡検査を行い、潜在的な感染を排除した(細菌培養、インフルエンザ、パラインフルエンザ、ヒトメタニューモニア・ビリア、呼吸器多核体ウイルス、ニューモシスチス・ジロベシ(pneumocystis jirovecii)、結核のPCRを含む)。気管支肺胞洗浄は、リンパ球優位性を示し、エクスビボの肺胞リンパ球は、メトトレキサートと共に培養した場合、増殖の増加を示した。
これらの所見は、メトトレキサート誘発性肺炎の診断を可能にする。患者は以前のステロイド治療の副作用を経験したため、患者は吸入VIPで治療された(上記の実施例4でより詳細に示されるように)。VIPの吸入は、メトトレキサートによって引き起こされる炎症促進性カスケードを妨害することによって臨床的改善をもたらす可能性が最も高い。

Claims (18)

  1. 薬剤性肺炎の治療に使用するための血管作動性腸管ペプチド(VIP)。
  2. 前記薬剤性肺炎が、チェックポイント阻害剤誘発性肺炎である、請求項1に記載の使用のための血管作動性腸管ペプチド。
  3. 前記薬剤性肺炎が、メトトレキサート誘発肺炎である、請求項1に記載の使用のための血管作動性腸管ペプチド。
  4. 吸入に適用可能な医薬組成物の形で提供される、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用のための血管作動性腸管ペプチド。
  5. 前記医薬組成物が液体形態で提供される、請求項4に記載の使用のための血管作動性腸管ペプチド。
  6. 前記医薬組成物中の血管作動性腸管ペプチドの濃度が、20μg/mlから200μg/ml、好ましくは、35μg/mlから140μg/ml、特に好ましくは、60μg/mlから80μg/mlである、請求項5に記載の使用のための血管作動性腸管ペプチド。
  7. 前記医薬組成物が固体形態で提供される、請求項4に記載の使用のための血管作動性腸管ペプチド。
  8. 前記医薬組成物中の血管作動性腸管ペプチドの濃度が、20μg/mgから200μg/mg、好ましくは、35μg/mgから140μg/mg、特に好ましくは、60μg/mgから80μg/mgである、請求項7に記載の使用のための血管作動性腸管ペプチド。
  9. 1日用量が、140μgから560μgの血管作動性腸管ペプチドの範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用のための血管作動性腸管ペプチド。
  10. 薬剤性肺炎を有する患者を治療するための方法であって、前記患者に血管作動性腸管ペプチド(VIP)を投与することを含む方法。
  11. 前記薬剤性肺炎が、チェックポイント阻害剤誘発性肺炎である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記薬剤性肺炎が、メトトレキサート誘発性肺炎である、請求項10に記載の方法。
  13. 血管作動性腸管ペプチドが、エアロゾル化医薬組成物として前記患者に吸入によって投与される、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 液体医薬組成物が、投与のためにエアロゾル化される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記液体医薬組成物中の血管作動性腸管ペプチドの濃度が、20μg/mlから200μg/ml、好ましくは、35μg/mlから140μg/ml、特に好ましくは、60μg/mlから80μg/mlである、請求項14に記載の方法。
  16. 固体医薬組成物が、投与のためにエアロゾル化される、請求項13に記載の方法。
  17. 前記固体医薬組成物中の血管作動性腸管ペプチドの濃度が、20μg/mgから200μg/mg、好ましくは、35μg/mgから140μg/mg、特に好ましくは、60μg/mgから80μg/mgである、請求項16に記載の方法。
  18. 140μgから560μgの1日用量の血管作動性腸管ペプチドを投与する、請求項10から17のいずれか一項に記載の方法。
JP2021566293A 2019-05-07 2020-05-05 薬剤性肺炎の治療に使用するための血管作動性腸管ペプチド(vip) Withdrawn JP2022531920A (ja)

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