JP2024520912A - 1日1回(qd)の吸入による投与のためのタクロリムスの乾燥粉末製剤 - Google Patents

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Abstract

本開示は、1日1回吸入により投与され得るタクロリムスの薬学的組成物を使用する方法および前記薬学的組成物を提供する。1日1用量のみを用いて、治療的に有効な範囲の、タクロリムスの血漿濃度をもたらすために、前記方法および組成物は使用され得る。1日1回の投与は、患者の服薬遵守を増大させながら、少ない有害事象、および副作用の減少をもたらし得る。

Description

本出願は、2021年5月12日提出の米国特許仮出願第63/187,774号に対する優先権の恩典を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
1. 分野
本開示は全体として薬剤および薬剤製造の分野に関する。特に、1日1回の製剤の状態でタクロリムスを投与する組成物および方法に関する。
2. 関連技術の説明
免疫抑制薬であるタクロリムスは移植医学で使用される。ISHLTのデータに基づき、タクロリムスは現在、肺移植患者の80%よりも多くで使用されている。同様に、心臓、腎、および肝移植患者でもタクロリムスの使用率が高い。長期間使用する場合に患者および医師にとって多くの課題があるにもかかわらず、免疫抑制療法のためのタクロリムスの使用率は高い。タクロリムスは、特に高用量で使用する場合、腎臓に毒性を引き起こし得る。
タクロリムス(Prograf(登録商標))は現在、注射液、懸濁剤用顆粒またはゼラチンコーティングカプセル剤として入手可能である。現在の製剤はどれも吸入には適さない。Prografは、他の免疫抑制剤との併用で、同種肝、腎または心臓移植を受ける成人および小児患者における臓器拒絶反応の予防のために指示される。肺、心肺または両肺移植の予防のためには指示されない。しかし、肺移植では広く処方されており、心臓および肺移植に基づく治療薬モニタリング推奨濃度は、移植後最初の数週間はCmin(トラフ濃度)で15~20ng/mLであり(Brunet et al. 2019)、その後はより低濃度である。
Prograf(登録商標)のラベルによれば、タクロリムスは、経口投与される場合、0.1~0.3mg/kg/日の用量範囲で1日2回投与される。これは体重70kgのヒトで約7~21mg/日である。タクロリムスの吸収は不完全(<25%)で、試験に応じて変動する(28~58%の%CV範囲)。さらに、吸収は食物によって影響され得、食物の存在は吸収の速度および程度を低下させ、これは高脂肪食の後に最も顕著である。タクロリムスはまた、肝臓および腸壁でCYP3A4/5によって大々的に代謝され(Chen and Prasad, 2018)、したがってケトコナゾール、シクロスポリンA、ジルチアゼム、エリスロマイシンおよびフルコナゾールなどの、このCYPアイソザイムによって同様に代謝される薬物は、タクロリムスの代謝と相互作用することが公知である(Iwasaki, 2007)。リファンピシンはCYP3A4の誘導物質であるため、腎および肝移植患者のタクロリムス濃度を低下させ得る。患者のCYP3A4およびCYP3A5多型の遺伝子型を同定することは、初回用量の目標設定および将来の用量調節を改善するのに役立つが、適切な治療薬モニタリングはなお課題である。
タクロリムスに対して医学界が直面する最大の課題の一つは、患者の服薬遵守と有害事象のモニタリングのバランスをとることである。Prograf(登録商標)(経口タクロリムス)の使用には、リンパ腫、重篤な感染症、移植後の新規発症糖尿病、腎毒性、神経毒性、高カリウム血症、高血圧およびQTc延長などの、かなりの数の警告および注意事項がある。しかし、1日複数回の経口投与に関連する有害反応は、より大きな懸念であり得る。観察された有害反応の割合は、移植手術および併用薬物療法に応じて変動し得る。一貫して、複数の試験にわたって、下痢は、試験にもよるが発生率が25%~72%である、主要な消化器有害反応であり、悪心、嘔吐および便秘がこれに続く(Prograf(登録商標)のラベル)。肺移植の場合、消化器を迂回し、タクロリムスを標的組織に直接送達することができれば、この発生率を低下させ、患者の服薬遵守を改善し得る。タクロリムスの治療的有効濃度を維持しながら、投与回数を減らす目標を達成するような組成物が強く求められている。
概要
本開示は、24時間を通して治療的有効濃度を達成しながら1日1回の製剤の状態で投与され得る、タクロリムスの方法および組成物を提供する。いくつかの局面において、本開示は、その必要のある患者の免疫応答を調節する方法であって、タクロリムスを含む薬物粒子の乾燥粉末組成物の適切な量を患者の肺に吸入により投与する段階を含み、1用量を患者が連続3日間投与されると投与後24時間の時点で患者において少なくとも3ng/mLのタクロリムスの血中濃度をもたらすのに十分である前記1用量を、前記患者が24時間の間に1回投与される、方法を提供する。
いくつかの態様において、患者は前記用量を連続7日間投与されている。いくつかの態様において、患者は前記用量以外にいかなる追加のタクロリムスも投与されていない。いくつかの態様において、前記用量は単一の吸入器カプセルを用いて投与される。他の態様において、前記用量は、適切な量の複数の吸入器カプセルを用いて1回で投与される。
いくつかの態様において、タクロリムスの血中濃度は、投与後24時間の時点で少なくとも5ng/mLである。いくつかの態様において、タクロリムスの血中濃度は、投与後24時間の時点で約3ng/mL~約15ng/mLである。いくつかの態様において、タクロリムスの血中濃度は、投与後24時間の時点で約3ng/mL~約12ng/mLである。いくつかの態様において、タクロリムスの血中濃度は、投与後24時間の時点で約3ng/mL~約7.5ng/mLである。
いくつかの態様において、組成物はラクトースなどの糖を含む。いくつかの態様において、薬物粒子は、5:1~約1:20の重量比のタクロリムスおよび糖を含む。いくつかの態様において、重量比は約1:1~約1:10である。いくつかの態様において、重量比は約1:2.5~約1:10である。
いくつかの態様において、組成物は、約0.05mg~約3.5mgの用量のタクロリムスを含む。いくつかの態様において、タクロリムスの用量は約0.1mg~約3.0mgである。いくつかの態様において、タクロリムスの用量は約0.25mg~約2.5mgである。いくつかの態様において、タクロリムスの用量は約1.5mgである。
いくつかの態様において、タクロリムスは非晶質形態である。いくつかの態様において、タクロリムスの少なくとも90%は非晶質形態である。いくつかの態様において、タクロリムスの少なくとも95%は非晶質形態である。いくつかの態様において、タクロリムスの少なくとも98%は非晶質形態である。いくつかの態様において、タクロリムスの少なくとも99%は非晶質形態である。
いくつかの態様において、薬物粒子は約0.5μm~約5.0μmの空気力学的質量中央径(MMAD)を有する。いくつかの態様において、MMADは約1.0μm~約3.5μmである。いくつかの態様において、MMADは約1.5μm~約2.5μmである。いくつかの態様において、薬物粒子は約0.5~約8の幾何学的標準偏差(GSD)を有する。いくつかの態様において、GSDは約1~約6である。いくつかの態様において、GSDは約2~約5である。
いくつかの態様において、タクロリムスの組成物はカプセルに装填される。いくつかの態様において、カプセルは吸入器で使用するために構成される。いくつかの態様において、組成物は吸入器に装填される。いくつかの態様において、吸入器は高抵抗吸入器である。いくつかの態様において、吸入器は乾燥粉末吸入器である。
いくつかの態様において、薬物粒子は、吸入器から放出される場合、少なくとも70%の放出用量を有する。いくつかの態様において、放出用量は少なくとも80%である。いくつかの態様において、放出用量は少なくとも90%である。
いくつかの態様において、薬物粒子は、吸入器から放出される場合、回収用量のパーセンテージとして少なくとも40%の微粉末画分を有する。いくつかの態様において、回収用量のパーセンテージとしての微粉末画分は少なくとも45%である。いくつかの態様において、回収用量のパーセンテージとしての微粉末画分は少なくとも50%である。いくつかの態様において、薬物粒子は、吸入器から放出される場合、回収用量のパーセンテージとして約40%~約95%である微粉末画分を有する。いくつかの態様において、回収用量のパーセンテージとしての微粉末画分は約45%~約90%である。いくつかの態様において、回収用量のパーセンテージとしての微粉末画分は約50%~約85%である。
いくつかの態様において、薬物粒子は、吸入器から放出される場合、送達用量のパーセンテージとして少なくとも50%の微粉末画分を有する。いくつかの態様において、送達用量のパーセンテージとしての微粉末画分は少なくとも55%である。いくつかの態様において、送達用量のパーセンテージとしての微粉末画分は少なくとも60%である。いくつかの態様において、薬物粒子は、吸入器から放出される場合、送達用量のパーセンテージとして約50%~約98%である微粉末画分を有する。いくつかの態様において、送達用量のパーセンテージとしての微粉末画分は約55%~約95%である。いくつかの態様において、送達用量のパーセンテージとしての微粉末画分は約60%~約90%である。
いくつかの態様において、タクロリムスの組成物は、吸入器で使用するためのカプセルに装填された約0.1mg~約2.5mgの用量のタクロリムスを含む、タクロリムスおよびラクトース組成物である。いくつかの態様において、免疫系の調節は、移植された腎臓、心臓、肝臓、または肺の拒絶反応などの移植臓器の拒絶反応を予防または遅延させるのに十分である。いくつかの態様において、免疫系の調節は、カルシニューリンの阻害などの、患者の免疫系を抑制するのに十分である。
いくつかの態様において、患者はヒトである。いくつかの態様において、患者は、タクロリムスの高速代謝群として同定されており、方法は、患者に投与される用量を増加させる段階をさらに含む。他の態様において、患者は、タクロリムスの低速代謝群として同定されており、方法は、患者に投与される用量を減少させる段階をさらに含む。
別の局面において、本開示は、患者の免疫応答を調節する際に使用するための組成物であって、
(A)1用量のタクロリムス;および
(B)糖
を含む1つまたは複数の薬物粒子を有する、組成物を提供し、ここで、組成物は吸入を介した肺への投与のために製剤化されており、前記用量は、前記用量を患者が連続3日間投与されると、前記用量が投与された後24時間で患者において3ng/mLを超えるタクロリムスの血中濃度をもたらす。
いくつかの態様において、患者は前記用量を連続7日間投与されている。いくつかの態様において、患者は前記投与以降にタクロリムスを投与されていない。いくつかの態様において、糖はラクトースである。
いくつかの態様において、タクロリムスの血中濃度は、投与後24時間の時点で少なくとも5ng/mLである。いくつかの態様において、タクロリムスの血中濃度は、投与後24時間の時点で約3ng/mL~約15ng/mLである。いくつかの態様において、タクロリムスの血中濃度は、投与後24時間の時点で約3ng/mL~約12ng/mLである。いくつかの態様において、タクロリムスの血中濃度は、投与後24時間の時点で約3ng/mL~約7.5ng/mLである。
いくつかの態様において、組成物はラクトースなどの糖を含む。いくつかの態様において、薬物粒子は、5:1~約1:20の重量比のタクロリムスおよび糖を含む。いくつかの態様において、重量比は約1:1~約1:10である。いくつかの態様において、重量比は約1:2.5~約1:10である。
いくつかの態様において、組成物は、約0.05mg~約3.5mgの用量のタクロリムスを含む。いくつかの態様において、タクロリムスの用量は約0.1mg~約3.0mgである。いくつかの態様において、タクロリムスの用量は約0.25mg~約2.5mgである。いくつかの態様において、タクロリムスの用量は約1.5mgである。
いくつかの態様において、タクロリムスは非晶質形態である。いくつかの態様において、タクロリムスの少なくとも90%は非晶質形態である。いくつかの態様において、タクロリムスの少なくとも95%は非晶質形態である。いくつかの態様において、タクロリムスの少なくとも98%は非晶質形態である。いくつかの態様において、タクロリムスの少なくとも99%は非晶質形態である。
いくつかの態様において、薬物粒子は約0.5μm~約5.0μmの空気力学的質量中央径(MMAD)を有する。いくつかの態様において、MMADは約1.0μm~約3.5μmである。いくつかの態様において、MMADは約1.5μm~約2.5μmである。いくつかの態様において、薬物粒子は約0.5~約8の幾何学的標準偏差(GSD)を有する。いくつかの態様において、GSDは約1~約6である。いくつかの態様において、GSDは約2~約5である。
いくつかの態様において、タクロリムスの組成物はカプセルに装填される。いくつかの態様において、カプセルは吸入器で使用するために構成される。いくつかの態様において、組成物は吸入器に装填される。いくつかの態様において、吸入器は高抵抗吸入器である。いくつかの態様において、吸入器は乾燥粉末吸入器である。
いくつかの態様において、薬物粒子は、吸入器から放出される場合、少なくとも70%の放出用量を有する。いくつかの態様において、放出用量は少なくとも80%である。いくつかの態様において、放出用量は少なくとも90%である。
いくつかの態様において、薬物粒子は、吸入器から放出される場合、回収用量のパーセンテージとして少なくとも40%の微粉末画分を有する。いくつかの態様において、回収用量のパーセンテージとしての微粉末画分は少なくとも45%である。いくつかの態様において、回収用量のパーセンテージとしての微粉末画分は少なくとも50%である。いくつかの態様において、薬物粒子は、吸入器から放出される場合、回収用量のパーセンテージとして約40%~約95%である微粉末画分を有する。いくつかの態様において、回収用量のパーセンテージとしての微粉末画分は約45%~約90%である。いくつかの態様において、回収用量のパーセンテージとしての微粉末画分は約50%~約85%である。
いくつかの態様において、薬物粒子は、吸入器から放出される場合、送達用量のパーセンテージとして少なくとも50%の微粉末画分を有する。いくつかの態様において、送達用量のパーセンテージとしての微粉末画分は少なくとも55%である。いくつかの態様において、送達用量のパーセンテージとしての微粉末画分は少なくとも60%である。いくつかの態様において、薬物粒子は、吸入器から放出される場合、送達用量のパーセンテージとして約50%~約98%である微粉末画分を有する。いくつかの態様において、送達用量のパーセンテージとしての微粉末画分は約55%~約95%である。いくつかの態様において、送達用量のパーセンテージとしての微粉末画分は約60%~約90%である。
いくつかの態様において、タクロリムスの組成物は、吸入器で使用するためのカプセルに装填された約0.1mg~約2.5mgの用量のタクロリムスを含む、タクロリムスおよびラクトース組成物である。いくつかの態様において、免疫系の調節は、移植された腎臓、心臓、肝臓、または肺の拒絶反応などの移植臓器の拒絶反応を予防または遅延させるのに十分である。いくつかの態様において、免疫系の調節は、カルシニューリンの阻害などの、患者の免疫系を抑制するのに十分である。
いくつかの態様において、患者はヒトである。いくつかの態様において、患者は、タクロリムスの高速代謝群として同定されており、方法は、患者に投与される用量を増加させる段階をさらに含む。他の態様において、患者は、タクロリムスの低速代謝群として同定されており、方法は、患者に投与される用量を減少させる段階をさらに含む。
さらに別の局面において、本開示は、患者の臓器拒絶反応を予防する方法であって、その必要のある患者に本明細書に記載の組成物の治療的有効量を投与する段階を含む、方法を提供する。
いくつかの態様において、臓器拒絶反応は移植された肺の拒絶反応である。他の態様において、臓器拒絶反応は移植された心臓の拒絶反応である。他の態様において、臓器拒絶反応は移植された腎臓の拒絶反応である。他の態様において、臓器拒絶反応は移植された肝臓の拒絶反応である。いくつかの態様において、方法は、組成物を24時間の間に1回投与する段階を含む。
いくつかの態様において、方法は、組成物を単一用量として投与する段階を含む。他の態様において、方法は、組成物を一度に複数用量として投与する段階を含む。
さらに別の局面において、本開示は、その必要のある患者の免疫系応答を調節する方法であって、患者に本明細書に記載の組成物の治療的有効量を投与する段階を含む、方法を提供する。
いくつかの態様において、方法は、組成物を24時間の間に1回投与する段階を含む。いくつかの態様において、方法は、組成物を単一用量として投与する段階を含む。他の態様において、方法は、組成物を一度に複数用量として投与する段階を含む。
さらに別の局面において、本開示は、
(A)1用量のタクロリムスであって、前記用量が約0.1mg~約2.5mgである、タクロリムス;および
(B)ラクトース
を含む組成物を提供し、ここで、組成物は吸入を介した投与のために製剤化されており、前記用量は、前記用量が投与された後24時間で患者において2ng/mLを超えるタクロリムスの血中濃度をもたらし、かつ組成物は、約8:1~約12:1のラクトース対前記用量のタクロリムスの重量比を含む。いくつかの態様において、組成物は、吸入器で使用するためのカプセル中に製剤化されているか、または吸入器中に製剤化されている。
本開示の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および具体的な実施例は、本発明の具体的態様を示しているが、本発明の精神および範囲内での様々な変更および改変はこの詳細な説明から当業者には明らかになるため、例示のために提示するにすぎないことが理解されるべきである。
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示のある特定の局面をさらに示すために含まれる。本開示は、これらの図面の1つまたは複数を本明細書に提示する特定の態様の詳細な説明と組み合わせて参照することによって、よりよく理解されるであろう。
1mg BID、7日間の吸入後のタクロリムス血漿暴露を示す。 1.0mg BIDについて時間の関数としてプロットした第1日後および第7日後のタクロリムスの血漿濃度を示す。 1.0mg BIDについて時間の関数としてプロットした第1日後および第7日後のタクロリムスの血漿濃度を示す。 1.0mg BIDについて時間の関数としてプロットした第1日後および第7日後のタクロリムスの血漿濃度を、1.0mgおよび1.5mg SIMについてシミュレートしたタクロリムスの血漿濃度とともに示す。 1.0mg BIDについて時間の関数としてプロットした第1日後および第7日後のタクロリムスの血漿濃度を、1.0mgおよび1.5mg SIMについてシミュレートしたタクロリムスの血漿濃度とともに示す。 1.0mgおよび1.5mg SIMについてシミュレートしたタクロリムスの血漿濃度を示す。
例示的態様の説明
本開示のいくつかの局面において、本明細書において提供する薬学的組成物は、薬物の治療的有効血中濃度を達成しながら1日1回投与され得る、タクロリムスの製剤を含み得る。これらの組成物は、24時間にわたって十分な血中濃度をもたらし得、患者が1用量を1回投与される必要があるだけである。投与回数の低減は、副作用の低減、有害事象の低減、および患者の服薬遵守の増大をもたらし得る。例えば、組成物は、腎毒性、血中クレアチニンレベル、もしくは血中尿素窒素レベルの低減、または糸球体濾過率の増大をもたらし得る。
同様に、本明細書において提供するのは、これらの組成物を調製する方法および使用する方法である。これらの組成物の詳細を以下に提供する。
I. 薬学的組成物
いくつかの局面において、本開示は、タクロリムスなどの活性物質を含み、賦形剤を含み得る、薬学的組成物を提供する。これらの組成物は、吸入による投与のために製剤化されてもよく、このような吸入は肺へのものであってもよい。タクロリムスの投与は、単一のカプセルとして1日1回の単回投与であってもよいか、または一度に投与する複数のカプセルとして投与されてもよい。さらに、これらの薬学的組成物は、吸入器を通して肺に送達することを可能にする、1つまたは複数の特性を含んでもよい。これらの粒子は、より小さな成分に分解する増強した能力を示す。粒子は、高い表面積、低いタップ密度、または低いかさ密度を示し得る。粒子の表面積は、10m2/g超、25m2/g超、または50m2/g超であり得る。粒子のかさ密度は、1g/mL未満、0.5g/mL未満、または0.25g/mL未満であり得る。最後に、粒子のタップ密度は、0.1g/cm3未満、0.05g/cm3未満、または0.025g/cm3未満であり得る。さらに、これらの組成物は、20未満、15未満、または10未満などの低いカーの指数などの、改善された流動性または圧縮性を示し得る。
これらの組成物は、少なくとも18時間、20時間、22時間、24時間、または26時間の期間、治療的有効血漿濃度をまたは単に血中濃度を達成するために使用し得る。いくつかの態様において、本明細書において投与される組成物は、ヒトにおいてその期間、少なくとも2ng/mLの血中濃度を達成し得る。血中濃度は、少なくとも2ng/mL、少なくとも3ng/mL、少なくとも4ng/mL、または少なくとも5ng/mLであり得る。組成物は、約2ng/mL~約15ng/mL、約3ng/mL~約12ng/mL、または約3ng/mL~約7.5ng/mLの血中濃度を達成し得る。タクロリムスの血中濃度は、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7.5ng/mL、約8ng/mL、約10ng/mL、約12ng/mL、約12.5ng/mL、約14ng/mL、約16ng/mL、約18ng/mL、約20ng/mL、約22ng/mL、約24ng/mLから、約25ng/mL、またはそこから導出し得る任意の範囲であり得る。血漿濃度は、LCMSまたはELISAによって判定する。この血中濃度は、組成物を患者に2、3、4、5、6、7、または14日間投与した後に得られる。
A. タクロリムス
本明細書に記載の薬学的組成物は、活性物質としてタクロリムスを含む。本明細書に記載の薬学的組成物は、タクロリムスを全組成物の約1重量%~約25重量%、約2重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、または約7.5重量%~約12.5重量%の間の量で含む。いくつかの態様において、タクロリムスの量は、約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7.5重量%、8重量%、10重量%、12重量%、12.5重量%、14重量%、15重量%、20重量%から、約25重量%まで、またはそこから導出し得る範囲である。いくつかの態様において、薬学的組成物は、約0.05mg~約3.5mg、約0.1mg~約3.0mg、または約0.25mg~約2.5mgの用量のタクロリムスを有する。タクロリムスの用量は、約0.05mg、約0.1mg、約0.25mg、約0.5mg、約0.75mg、約1.0mg、約1.25mg、約1.5mg、約1.75mg、約2.0mg、約2.25mg、約2.5mg、約2.75mg、約3.0mg、約3.25mgから、約3.5mgまで、またはその任意の範囲であり得る。
いくつかの局面において、様々な異なる形態のタクロリムスを使用してもよい。タクロリムスは、化学名(1R,9S,12S,13R,14S,17R,18E,21S,23S,24R,25S,27R)-1,14-ジヒドロキシ-12-[(E)-1-[(1R,3R,4R)-4-ヒドロキシ-3-メトキシシクロヘキシル]プロパ-1-エン-2-イル]-23,25-ジメトキシ-13,19,21,27-テトラメチル-17-プロパ-2-エニル-11,28-ジオキサ-4-アザトリシクロ[22.3.1.04,9]オクタコス-18-エン-2,3,10,16-テトロンの活性物質である。タクロリムスはPrograf(登録商標)、Protopic(登録商標)、Advagraf(登録商標)、Envarsus XR(登録商標)、およびChiesi(登録商標)の商品名で販売されているが、CAS番号104987-11-3のフジマイシンとしても公知である。タクロリムスは、臓器拒絶反応のリスクを軽減するために使用される免疫抑制薬である。さらに、タクロリムスは、免疫調節が必要であり得る他の適応症にも使用し得る。マクロライドラクトンであるこの化合物は、カルシニューリンの阻害を通して作用し、インターロイキン-2の産生を調節する。タクロリムスはチトクロムP450によって代謝され、したがってこの酵素の改変または酵素活性を調節する他の化合物はタクロリムスの代謝に変化を引き起こすことが公知である。したがって、CYP3A4/5酵素に変異を有する患者は、タクロリムス投与に対する影響を調べるために遺伝子型を同定すべきである。患者が高速代謝群であれば、用量を増やす必要があるであろう。逆に、患者が低速代謝群であれば、用量を減らす必要があるであろう。同様に、患者がCYP3A4/5を調節する別のAPIを服用しているか、またはこの酵素を調節する食品を多く含む食事を摂っている場合、タクロリムスの用量を調節する必要があるであろう。
いくつかの態様において、粒子は、非晶質相中に少なくとも80%のタクロリムスを含む。いくつかの態様において、非晶質相中のタクロリムスの量は、約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%から、約99.9%まで、またはそこから導出し得る任意の範囲である。
いくつかの態様において、薬物粒子は、約0.5μm~約5.0μm、約1.0μm~約3.5μm、または約1.5μm~約2.5μmの空気力学的質量中央径を有する。いくつかの態様において、薬物粒子は、約0.5μm、0.6μm、0.8μm、1.0μm、1.2μm、1.4μm、1.5μm、1.6μm、1.8μm、2.0μm、2.2μm、2.4μm、2.5μm、2.6μm、2.8μm、3.0μm、3.2μm、3.4μm、3.5μm、4.0μm、4.5μmから、約5.0μmまで、またはそこから導出し得る任意の範囲の空気力学的質量中央径を有する。Copley Inhaler Testing Data Analysis Software(CITDAS)バージョン3.10(Copley Scientific, Nottingham, UK)を使用して、空気力学的質量中央径(MMAD)、微粒子画分(FPF)、幾何学的標準偏差(GSD)および放出画分(EF)を含む、空気力学的粒度分布を算出した。空気力学的質量中央値(MMAD)および幾何学的標準偏差(GSD)を、質量および空気力学的直径の累積パーセンテージで評価した。
いくつかの態様において、薬物粒子は、約0.5~約8、約1~約6、または約2~約5の幾何学的標準偏差(GSD)を有する。いくつかの態様において、タクロリムスを含む粒子は、約0.5、0.6、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、5.0、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8から、約8.0まで、またはそこから導出し得る任意の範囲の幾何学的標準偏差(GSD)を有する。
いくつかの態様において、吸入器に装填された場合の薬物粒子は、40%より大きい、45%より大きい、または50%より大きい回収用量の微粒子画分を有する。いくつかの態様において、薬物粒子の回収用量の微粒子画分は40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%より大きい。いくつかの態様において、薬物粒子は、約40%~約95%、約45%~約90%、または約50%~約85%の回収用量の微粉画分を有する。いくつかの態様において、送達用量の微粉画分は、約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%から、約99.5%まで、またはそこから導出し得る任意の範囲である。回収用量の微粒子画分は、微粒子用量を全質量(回収用量)で除して算出し、送達用量の微粒子画分は、微粒子用量を送達用量で除して算出した。微粒子用量および画分は5μmカットオフで計算した。さらに、回収パーセンテージは、NGIによって回収された全質量(回収用量)を装填用量で除したパーセンテージで計算した。
いくつかの態様において、吸入器に装填された場合の薬物粒子は、50%より大きい、55%より大きい、または60%より大きい送達用量の微粒子画分を有する。いくつかの態様において、薬物粒子は、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%より大きい送達用量の微粒子画分を有する。いくつかの態様において、薬物粒子は、約50%~約98%、約55%~約95%、または約60%~約90%の送達用量の微粉画分を有する。いくつかの態様において、送達用量の微粉画分は、約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%から、約99.5%まで、またはそこから導出し得る任意の範囲である。
いくつかの態様において、吸入器に装填された場合の薬物粒子は、70%より大きい、80%より大きい、または90%より大きいNGIによって測定した放出画分を有する。いくつかの態様において、薬学的組成物は、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、または95%より大きいNGIによって測定したタクロリムスを含む粒子の放出画分を有する。放出画分(EF)は、NGIによって回収された全量のパーセンテージとしての装置からの放出用量の全量として計算した。
1. 吸入
いくつかの態様において、本開示は、空気力学的直径が約0.5~5マイクロメートルまたは0.5~3マイクロメートルの空気力学的サイズ範囲でなければならない呼吸可能粒子に関する。このサイズ範囲の粒子を得るための典型的なアプローチは、エアジェット粉砕、噴霧乾燥、薄膜凍結、および当技術分野において公知の他の方法による。薬物粒子を、通常の混合を用いて適切な担体粒子と混ぜることにより混和するか、または薬物および担体を、噴霧乾燥もしくは薄膜凍結工程などにより溶液もしくは懸濁液製剤から同時に調製することができる。
いくつかの態様において、本開示は、本明細書において提供する吸入可能なタクロリムス組成物の、装置を用いる投与のための方法を提供する。投与は、吸入器を用いたタクロリムスの吸入であってもよいが、それに限定されるわけではない。いくつかの態様において、吸入器は、Plastiape RSO1単一用量DPIなどの単純受動型乾燥粉末吸入器(DPI)である。単純乾燥粉末吸入器では、乾燥粉末をカプセルまたはリザーバーに貯蔵し、噴射剤を使用せずに吸入によって肺に送達する。
いくつかの態様において、吸入器は、DoseOne(商標)、Spinhaler、Rotohaler(登録商標)、Aerolizer(登録商標)、またはHandihalerなどの単一用量DPIである。いくつかの態様において、吸入器は、Plastiape RS02、Turbuhaler(登録商標)、Twisthaler(商標)、Diskhaler(登録商標)、Diskus(登録商標)、またはEllipta(商標)などの多用量DPIである。いくつかの態様において、吸入器は、Twincer(登録商標)、Orbital(登録商標)、TwinCaps(登録商標)、Powdair、Cipla Rotahaler、DP Haler、Revolizer、Multi-haler、Twister、Starhaler、またはFlexhaler(登録商標)である。いくつかの態様において、吸入器は、Plastiape RS04複数単一用量DPIなどの、複数の薬物の単一用量を同時送達するための複数単一用量DPIである。乾燥粉末吸入器は、内部リザーバーに貯蔵された薬物を有し、薬物を、噴射剤を使用して、または使用せずに、吸入によって送達する。乾燥粉末吸入器は、有効な送達のために約30~120L/分などの30L/分を超える吸入流量を必要とし得る。
いくつかの態様において、吸入可能なタクロリムスを、HFA噴射剤などの噴射製剤として送達する。
いくつかの態様において、吸入器は定量吸入器であってもよい。定量吸入器は、噴射剤の使用によって補助されたエアロゾル化薬物の短い噴出で、規定量の薬物を肺に送達する。定量吸入器は、キャニスタ、計量バルブ、およびアクチュエータの3つの主要部分を含む。噴射剤および任意の必要な賦形剤を含む薬物製剤は、キャニスタに貯蔵される。計量バルブは、規定量の薬物製剤を分配することを可能にする。定量吸入器のアクチュエータ、すなわちマウスピースは、接合する排出ノズルを含み、典型的には汚染を防止するためのダストキャップを含む。
いくつかの態様において、組成物は、日常的スケジュールで投与されてもよい。本明細書において用いられる、日常的スケジュールとは、あらかじめ決められた指定期間を指す。日常的スケジュールは、スケジュールがあらかじめ決められている限り、同一の期間、または長さが異なる期間を含み得る。例えば、日常的スケジュールは、毎日、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、週単位、月単位またはその間の任意の設定された日数もしくは週数の投与を含み得る。または、あらかじめ決められた日常的スケジュールは、最初の1週間は1日2回ベース、続いて数ヶ月間は1日1回ベースでの投与などを含み得る。いくつかの態様において、タクロリムスを1日1回投与する。いくつかの態様において、タクロリムスの全用量は0.05~5mg、例えば0.1~2.5、0.25~2、0.5~1.5、または1~1.5mgの間である。
いくつかの態様において、タクロリムスは、カプセル、ブリスターまたはカートリッジなどの単位剤形で提供されてもよく、ここで単位用量は少なくとも0.1mgのタクロリムス、例えば1用量当たり少なくとも0.1mg、1.5mg、または2.5mgのタクロリムスを含む。特定の局面において、単位剤形は、いかなる賦形剤の投与または添加も含まず、単に吸入のために粉末を保持するために使用する(すなわち、カプセルもブリスターもカートリッジも投与されない)。いくつかの態様において、タクロリムスは、少なくとも0.1mg、好ましくは少なくとも1.5mg、より好ましくは2.5mgなどの高い放出用量で投与されてもよい。いくつかの態様において、タクロリムスの投与は、0.25mg超などの肺深部への高い微粒子用量をもたらす。好ましくは、肺深部への微粒子用量は少なくとも0.5mg、より好ましくは少なくとも1.5mgである。
いくつかの態様において、装置全体の圧力低下の変化は、放出用量の変化をもたらす。いくつかの態様において、3kPa、例えば4kPa~1kPaの装置全体の圧力低下の変化は、35%未満、例えば34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、またはそれ未満の放出用量の減少をもたらす。いくつかの態様において、装置全体の吸入圧力低下の変化は、微粒子用量の変化をもたらす。いくつかの態様において、3kPa、例えば4kPa~1kPaの装置全体の吸入圧力低下の変化は、35%未満、例えば34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、またはそれ未満の微粒子用量の減少をもたらす。
2. 組成物の使用
タクロリムス(TAC)は、ストレプトマイセス・ツクバエンシス(Streptomyces tsukubaensis)から単離された、広く使用される免疫抑制剤である。タクロリムスは、臓器拒絶反応ならびに肺線維症および気管支喘息などの異なる免疫疾患の処置のための、移植医学における強力な免疫抑制剤であることが証明されている。TACは、シクロスポリンA(CsA)療法が移植片拒絶反応の防止に失敗した場合の救援療法として初めて導入された。その作用機序はCsAと類似しているが、免疫抑制活性はCsAの10倍から100倍強力である。TACは現在、静脈内および経口剤形の両方で入手可能である(Prograf(登録商標)として商業的に公知)。しかし、これらの現在入手可能な剤形は耐容性が低く、バイオアベイラビリティも変動し、かつ/または低い。TACの経口製剤は、実質的に水不溶性で、腸の上皮内でCYP3A4代謝およびp-糖タンパク質排出輸送の両方から大々的に代謝されるため、この薬物は、かなりの課題を提示する。TACの経口バイオアベイラビリティは4%~93%まで変動する。非効率的または一貫性のない薬物吸収は、主に消化管からの不完全な吸収および初回通過代謝の結果であり、これは個人間でかなりのばらつきがある。
A. 肺移植
肺疾患は増加し続け、現在、主要な死因の一つである。1980年代に導入された肺移植は、末期肺疾患を有する選択された患者に対する治療法として成功してきた。免疫抑制は臓器移植の成功にとって重要な因子であり、シクロスポリンの出現は患者の生存率に著しい改善をもたらした(Calne et al., 1978)。最初に成功した肺移植では、気管吻合を伴うen bloc法を使用し、これは(必要であれば)心肺バイパスを回避する、より自然な移植方法へと発展した(Patterson et al., 1988)。この技術は今日では両肺移植の標準法である。
肺移植の適応症は、以下の末期肺疾患の主な範疇に広く分類することができる:閉塞性肺疾患、敗血症性肺疾患、線維性肺疾患、および血管性肺疾患。これらの範疇のうち、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、間質性肺線維症(IPF)、および原発性肺動脈性肺高血圧症は、それぞれの範疇で最も一般的な適応症である(Christie et al., 2012)。肺悪性腫瘍に対する肺移植も、高度に選択された患者において有効であることが示されている(Machuca et al., 2012)。
現在の国際心肺移植学会(ISHLT)および米国胸部学会(ATS)の選択基準には、適切な年齢、臨床的および生理学的に重症の疾患、内科療法が無効または利用不可、日常生活の活動における実質的制限、限られた余命、重大な冠疾患がなく十分な心機能、リハビリテーション可能で外来通院、許容可能な栄養状態、ならびに満足のいく心理社会的特性および精神的支援システムが含まれる(表1)。肺移植を受ける患者は、生涯にわたり免疫抑制および監視下に置かれる。したがって、喫煙もしくは薬物依存、術後ケアの遵守に影響を及ぼす精神医学的問題を有するか、または信頼できる社会的支援ネットワークがない肺移植候補者は、一般には肺移植の対象にならない。過去の悪性腫瘍、特に移植を受けるまでの2年間の悪性腫瘍も、生涯にわたる免疫抑制の必要性ゆえに禁忌である。事実、免疫抑制は感染を増強するが、慢性感染は敗血症性肺疾患の本質的な部分であり、これらの患者で課題を生じる。嚢胞性線維症患者において、非結核性マイコバクテリア、多剤耐性菌、およびアスペルギルス属(Aspergillus)の種が一般に単離される(Helmi et al., 2003; Gilljam et al., 2010)。移植前および移植後に、感染を根絶するか、または少なくともこれらの微生物のコロニー形成を最小限に抑える努力がなされ;免疫抑制剤の使用は既存の感染を悪化させるだけである。
肺移植を必要とする患者は、移植待機リストに登録される。肺移植は需要が供給を上回るため、肺移植の必要性および移植後の生存確率に基づいて患者を選択する戦略が開発された(Egan et al., 2006)。肺割当てスコア(Lung Allocation Score:LAS)は、患者の臨床的および生理学的特徴に基づく統計モデルを、緊急性の指標(待機リストのさらなる1年間に移植を受けずに生存すると予想される日数)および移植後の生存の指標(移植後1年間に生存すると予想される日数)と共に用いて計算する。緊急性の指標を有益性の指標から差し引き、次いで標準化してLASを得る。スコアの高い患者ほど早く肺が割り当てられる。LASシステムの導入以来、待機時間は低減し、移植数は増加した。さらに、LASスコアは徐々に上昇し、リスト上の患者の緊急性が高まっていることを表している。
肺移植は、末期肺疾患患者の生存率を高めることが明らかにされているものの、肺移植後の生存率は1年では約80%であるが、5年ではまだ50%にすぎない(Christie et al., 2010)。肺移植後の主な死因は移植後の時間によって異なる。30日死亡率は一般には、主に外科的問題、ドナー肺の保存の問題、および原発性移植片機能不全(PGD)に関連している(Studer et al., 2004)。その後の移植後期間には感染性の原因、悪性腫瘍、および慢性肺移植片機能不全(CLAD)が非常に多い。ドナー臓器の保存および手術技術の改善により、短期的な結果は著しく改善されたが、ほとんどがCLADの発生により、肺移植後の長期生存率は5年生存率で50%前後のままである(Christie et al., 2010)。
肺移植の免疫抑制は一般には、3剤療法からなるが、正確な組成は施設によって異なる。カルシニューリン阻害剤(シクロスポリンまたはタクロリムス)、ヌクレオチド遮断薬(アザチオプリンまたはミコフェノール酸モフェチル)、およびコルチコステロイドがその3剤を構成する。導入療法は、抗IL2R抗体、抗CD52抗体、または抗胸腺細胞グロブリンなどのT細胞を枯渇させる強力な免疫抑制剤の使用であるが、肺移植においては議論の余地がある。免疫抑制療法は生涯必要である。
2012年のISHLTレジストリ報告によると、タクロリムスは最も高頻度で使用されるカルシニューリン阻害剤であり、移植後1年で83%の患者がタクロリムスを投与されており、移植後5年で77%がタクロリムスを投与されている(Christie et al., 2012)。
B. 賦形剤
いくつかの局面において、本開示は、薬学的組成物の状態に製剤化された1つまたは複数の賦形剤を含む。「賦形剤」とは、対象への薬学的有効成分(API)の投与もしくは送達を容易にするために使用される、または対象の作用部位への送達のために薬学的に使用され得る薬物製剤へのAPIの処理を容易にするために使用される、比較的不活性な物質である、薬学的に許容される担体を指す。賦形剤の非限定例には、安定化剤、界面活性剤、表面改質剤、溶解性増強剤、緩衝剤、カプセル化剤、抗酸化剤、保存剤、非イオン性湿潤剤または清澄化剤、粘性増加剤、および吸収増強剤が含まれる。
いくつかの局面において、薬学的組成物中の賦形剤の量は、約40重量%~約99重量%、約50重量%~約98重量%、約60重量%~約96重量%、または約75重量%~約95重量%である。薬学的組成物中の賦形剤の量は、全薬学的組成物の約40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、92.5重量%、95重量%、96重量%、98重量%から、約99重量%まで、またはそこから導出し得る任意の範囲を構成する。1つの態様において、薬学的組成物中の賦形剤の量は、薬学的組成物の全重量の75重量%~95重量%である。組成物中のタクロリムスと糖との重量比は、5:1~約1:20、約1:1~約1:10、または約1:2.5~約1:10である。
いくつかの局面において、本開示は、糖類またはアミノ酸などの1つまたは複数の賦形剤をさらに含み得る。いくつかの組成物は、複数の糖類またはアミノ酸を含む複数の賦形剤の混合物をさらに含み得る。
1. 糖類およびアミノ酸
いくつかの局面において、本開示は、薬学的組成物の状態に製剤化された1つまたは複数の賦形剤を含む。いくつかの態様において、本明細書において用いられる賦形剤は水溶性賦形剤である。これらの水溶性賦形剤には、炭水化物または糖類、例えばスクロース、トレハロース、もしくはラクトースなどの二糖類、ラフィノースを構成するフルクトース、グルコース、ガラクトースなどの三糖類、デンプンもしくはセルロースなどの多糖類、またはキシリトール、ソルビトール、もしくはマンニトールなどの糖アルコールが含まれる。いくつかの態様において、これらの賦形剤は室温で固体である。糖アルコールのいくつかの非限定例には、エリスリトール、スレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ボレミトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、マルトテトライトール、またはポリグリシトールが含まれる。他の局面において、ロイシン、トリロイシン、ヒスチジンなどを含む、アミノ酸、ペプチドおよびタンパク質などの大きい分子が、吸入送達を容易にするために組み込まれる。
II. 製造方法
A. 薄膜凍結
したがって、1つの局面において、本開示は、薄膜凍結工程を使用して調製し得る薬学的組成物を提供する。薄膜凍結を用いて薬学的組成物を調製する方法は、米国特許出願第2010/0221343号、Watts, et al., 2013、Engstrom et al. 2008、Wang et al. 2014、Thakkar at el. 2017、O'Donnell et al. 2013、Lang et al. 2014a、Lang et al. 2014b、Carvalho et al. 2014、Beinborn et al. 2012a、Beinborn et al. 2012b、Zhang et al. 2012、Overhoff et al. 2009、Overhoff et al. 2008、Overhoff et al. 2007a、Overhoff et al. 2007b、Watts et al. 2010、Yang et al. 2010、DiNunzio et al. 2008、Purvis et al. 2007、Liu et al. 2015、Sinswat et al. 2008、および米国特許第8,968,786号に記載されており、これらはすべて参照により本明細書に組み入れられる。いくつかの態様において、これらの方法は、薬学的組成物の成分を溶媒に溶解して薬学的混合物を形成する段階を含む。溶媒は、水または有機溶媒のいずれであってもよい。使用し得る有機溶媒のいくつかの非限定例には、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、tert-ブチルアルコール、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、またはその組み合わせなどの揮発性有機溶媒が含まれる。いくつかの態様において、薬学的混合物は、100mg/mL未満の治療用物質および賦形剤を含み得る。薬学的混合物は、100、90、80、70、60、50、40、30、20、17.5、15、12.5、10、7.5、5、2.5、もしくは1mg/mL未満、またはそこから導出し得る任意の範囲を含んでもよい。
この薬学的混合物は、薬学的混合物を凍結させる温度の表面上に沈着させてもよい。いくつかの態様において、この温度は、周囲圧で溶液の凍結点未満であってもよい。他の態様において、減圧を表面に適用して、周囲圧での凍結点未満の温度で溶液を凍結させてもよい。表面はまた、回転または移動コンベアタイプのシステム上を移動して、薬学的混合物を表面上に均等に分布させてもよい。または、薬学的混合物を均一な表面を生成するような様式で表面に塗布してもよい。
薬学的混合物を表面に塗布した後、溶媒を除去して薬学的組成物を得てもよい。減圧下もしくは高温下での蒸発または凍結乾燥を含む、溶媒を除去する任意の適切な方法を適用してもよい。いくつかの態様において、凍結乾燥は、減圧および/または低温を含み得る。このような低温は、25℃~約-200℃、20℃~約-175℃、約20℃~約-150℃、0℃~約-125℃、-20℃~約-100℃、-75℃~約-175℃、または-100℃~約-160℃であり得る。温度は、約-20℃、-30℃、-35℃、-40℃、-45℃、-50℃、-55℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、-100℃、-110℃、-120℃、-130℃、-140℃、-150℃、-160℃、-170℃、-180℃、-190℃から、約-200℃、またはそこから導出し得る範囲である。加えて、溶媒は、500mTorr、450mTorr、400mTorr、375mTorr、350mTorr、325mTorr、300mTorr、275mTorr、250mTorr、225mTorr、200mTorr、175mTorr、150mTorr、125mTorr、100mTorr、75mTorr、50mTorr、もしくは25mTorr未満の減圧で除去してもよいか、またはそこから導出し得る任意の範囲の圧の減圧で除去してもよい。
これらの方法を用いて調製した組成物などは、装置を通して処理する際に組成物が容易に剪断されて小さい粒子になるような脆性を示し得る。これらの組成物は、高い骨格密度および高い表面積を有し、かつ組成物の改善された流動性を示す。このような流動性は、例えば、カーの指数または他の類似の測定法によって測定し得る。特に、カーの指数は、粉末のかさ密度を粉末のタップ密度と比較することによって測定し得る。このような化合物は、好ましいカーの指数を示し、薬物を送達するために二次装置により組成物を処理する際に、粒子が良好にせん断されてより小さい粒子を得る結果となり得る。
III. 定義
特許請求の範囲および/または明細書において用語「含む(comprising)」と共に用いられる場合、単語「1つの(a)」または「1つの(an)」の使用は「1つ」を意味し得るが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」、および「1つまたはそれ以上」の意味とも一致する。本明細書において用いられる「別の」は、少なくとも2つ目以上を意味し得る。
本明細書において用いられる「薬物」、「薬剤」、「活性物質」、「治療用物質」、および「治療的活性物質」なる用語は、ヒトまたは動物において治療効果または薬理効果を誘発し、疾患、障害、または他の状態を処置するために使用される化合物を表すために交換可能に使用される。いくつかの態様において、これらの化合物は、生物への投与に対して規制上の承認を経て、承認を受けている。
特許請求の範囲における「または」なる用語の使用は、代替物のみを指すと明示的に示されない限り、または代替物が相互に排他的でない限り、「および/または」を意味するために使用される。本明細書において用いられる「別の」は、少なくとも2つ目以上を意味し得る。
「組成物」、「薬学的組成物」、「製剤」、「薬学的製剤」、「調製物」、および「薬学的調製物」なる用語は、本明細書において同義かつ交換可能に使用される。
疾患または状態を「処置すること」またはその処置とは、疾患の徴候または症状を軽減するために、患者に1つまたは複数の薬物を投与することを含み得る、プロトコルを実行することを指す。処置の所望の効果には、疾患の進行速度の低減、疾患状態の改善または緩和、および寛解または予後の改善が含まれる。軽減は、疾患または状態の徴候または症状が現れる前、ならびにそれらの出現後に起こり得る。したがって、「処置すること」または「処置」は、疾患または望ましくない状態のを「予防すること」またはその「予防」を含み得る。加えて、「処置すること」または「処置」は、徴候または症状の完全な軽減を必要とせず、治癒を必要とせず、かつ患者にわずかな効果しかないプロトコルを特に含む。
本出願を通じて用いられる「治療的利益」または「治療的に有効」なる用語は、この状態の医学的処置に関して対象の幸福を促進または増強するものを指す。これには、疾患の徴候または症状の頻度または重症度の低減が含まれるが、それに限定されるわけではない。例えば、がんの処置は、例えば、腫瘍サイズの減少、腫瘍の侵襲性の減少、がんの成長速度の減少、または転移の予防を含み得る。がんの処置とは、がんを有する対象の生存期間を延長することを指すこともある。
「対象」および「患者」とは、ヒトまたは霊長類、哺乳動物、および脊椎動物などの非ヒトのいずれかを指す。特定の態様において、対象はヒトである。
本明細書において全体として用いられる「薬学的に許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内で、妥当な損益比に応じて過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、ヒトおよび動物の組織、器官、および/または体液と接触して使用するのに適した、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
「薬学的に許容される塩」とは、前述の定義のとおり、薬学的に許容され、かつ所望の薬理活性を有する、本明細書に開示する化合物の塩を意味する。このような塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と形成される酸付加塩;または1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、3-フェニルプロピオン酸、4,4'-メチレンビス(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、4-メチルビシクロ[2.2.2]オクタ-2-エン-1-カルボン酸、酢酸、脂肪族モノおよびジカルボン酸、脂肪族硫酸、芳香族硫酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヒドロキシナフトエ酸、乳酸、ラウリル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、o-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、シュウ酸、p-クロロベンゼンスルホン酸、フェニル置換アルカン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、t-ブチル酢酸、トリメチル酢酸などの有機酸と形成される酸付加塩が含まれる。薬学的に許容される塩には、存在する酸性プロトンが無機または有機塩基と反応できる場合に形成され得る塩基付加塩も含まれる。許容される無機塩基には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウムおよび水酸化カルシウムが含まれる。許容される有機塩基には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミンなどが含まれる。本発明の任意の塩の一部を形成する特定のアニオンまたはカチオンは、塩が全体として薬理学的に許容される限り、重要ではないことが理解されるべきである。薬学的に許容される塩ならびにその調製方法および使用方法のさらなる例は、Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, and Use(P. H. Stahl & C. G. Wermuth eds., Verlag Helvetica Chimica Acta, 2002)に示されている。
「その誘導体」なる用語は、モノマー糖単位の少なくとも1つが原子または分子基または結合の置換によって修飾されている、化学的に修飾された多糖を指す。1つの態様において、その誘導体はその塩である。塩は、例えば、ハロゲン化水素酸、硫酸またはリン酸などの適切な鉱酸との塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩またはリン酸塩、適切なカルボン酸、例えば任意にヒドロキシル化された低級アルカン酸、例えば、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、乳酸またはピバル酸、任意にヒドロキシル化および/またはオキソ置換された低級アルカンジカルボン酸、例えば、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、ピルビン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸との、そしてさらに安息香酸、ニコチン酸またはマンデル酸などの芳香族、ヘテロ芳香族または芳香脂肪族カルボン酸との塩、ならびに適切な脂肪族または芳香族スルホン酸またはN-置換スルファミン酸との塩、例えばメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩またはN-シクロヘキシルスルファミン酸塩(シクラミン酸塩)である。
本明細書において用いられる「溶解」なる用語は、固体物質、ここでは有効成分が媒質中に分子形態で分散される工程を指す。本発明の薬学的用量の有効成分の溶解速度は、液体/固体界面、温度および溶媒組成の標準化された条件下で、単位時間当たりに溶液中に行く薬物物質の量によって定義される。
本明細書において用いられる「エアロゾル」なる用語は、粒径が十分に細かく、その結果沈降速度が低いため、空気中で安定である、固体または液体粒子の空気中の分散体を指す(Knight, V., Viral and Mycoplasmal Infections of the Respiratory Tract. 1973, Lea and Febiger, Phila. Pa.、pp.2参照)。
本明細書において用いられる「吸入」または「肺吸入」は、肺、特定の態様において、肺の肺胞領域に到達するような、吸入による薬学的調製物の投与を指すために使用される。典型的には、吸入は口からであるが、別の態様において鼻からの吸入を必要とすることもある。
本明細書において用いられる「乾燥粉末」とは、水性液体に懸濁または溶解していない微粒子組成物を指す。
「単純乾燥粉末吸入器」とは、医薬の気道への送達のための装置であって、医薬を乾燥粉末として1回使用、単一用量様式で送達する、装置を指す。特定の局面において、単純乾燥粉末吸入器は10未満の作動部品を有する。いくつかの局面において、単純乾燥粉末吸入器は、外部エネルギー源の適用ではなく、患者の吸入力によって分散エネルギーが提供されるような、受動型吸入器である。
「中央粒径」とは、レーザー回折または画像分析によって測定した幾何学的直径を指す。いくつかの局面において、粒子の少なくとも50体積%または80体積%のいずれかが中央粒径範囲にある。
「空気力学的質量中央径(MMAD)」とは、空気力学的直径(幾何学的直径とは異なる)を指し、レーザー回折によって測定される。
「非晶質」なる用語は、分子が明確な格子パターンで組織化されていない非結晶性固体を指す。または、「結晶質」なる用語は、固体中の分子が明確な格子パターンを有する固体を指す。組成物中の活性物質の結晶度は、粉末X線回折によって測定される。
本明細書および特許請求の範囲において用いられる「含む(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などの含む(comprising)の任意の形態)、「有する(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」などの有する(having)の任意の形態)、「含む(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)」などの含む(including)の任意の形態)、または「含む(containing)」(ならびに「含む(contains)」および「含む(contain)」などの含む(containing)の任意の形態)なる語は、包括的またはオープンエンドであり、追加の、列挙されていない要素または方法段階を除外するものではない。
本明細書において用いられる「有意な」(および「有意に」などの「有意な」の任意の形態)なる用語は、2つの値の統計学的な差を意味するものではなく、パラメータの重要性または差の範囲を意味するにすぎない。
本明細書において用いられる「患者」または「対象」なる用語は、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、またはそのトランスジェニック種などの、生きている哺乳類生物を指す。ある特定の態様において、患者または対象は霊長類である。ヒト患者の非限定例は、成人、青少年、乳幼児および胎児である。
本出願を通じて、「約」なる用語は、値が、装置の誤差、値を決定するために使用している方法の固有の変動、または試験対象もしくは実験的試験の間に存在する変動を含むことを示すために用いられる。別の定義が適用可能でない限り、「約」なる用語は示した値の±5%を指す。
本明細書において用いられる、特定の成分に関して「実質的に含まない(substantially free of)」または「実質的に含まない(substantially free)」なる用語は、本明細書において、特定の成分のいずれも組成物中に意図的に配合されていないこと、および/または汚染物質としてもしくは痕跡量でのみ存在することを意味するために用いられる。すべての含有物(containment)、副生成物、および他の材料の総量が、その組成物中に2%未満の量で存在する。「本質的に含まない(essentially free of)」または「本質的に含まない(essentially free)」なる用語は、その組成物が1%未満の特定の成分を含むことを表すために用いられる。「全く含まない(entirely free of)」または「全く含まない(entirely free)」なる用語は、0.1%未満の特定の成分を含む。
本発明の広範な範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例に示す数値は可能な限り正確に報告する。しかし、いかなる数値も、それぞれの試験測定およびパラメータにおいて見られる標準偏差から必然的に生じるある特定の誤差を本質的に含む。
本開示の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本開示の精神および範囲内での様々な変更および改変は、この詳細な説明から当業者には明らかになるため、詳細な説明および具体的な実施例は、本開示の好ましい態様を示す一方で、例示のために示すにすぎないことが理解されるべきである。
IV. 本開示の態様
1. その必要のある患者の免疫応答を調節する方法であって、
タクロリムスを含む薬物粒子の乾燥粉末組成物の適切な量を前記患者の肺に吸入により投与する段階を含み、
1用量を前記患者が連続3日間投与されると投与後24時間の時点で前記患者において少なくとも3ng/mLのタクロリムスの血中濃度をもたらすのに十分である前記1用量を、前記患者が24時間の間に1回投与される、
前記方法。
2. 前記患者が、前記用量を連続7日間投与されている、態様1の方法。
3. 前記患者が、前記用量以外にいかなる追加のタクロリムスも投与されていない、態様1または態様2の方法。
4. 前記用量が、単一の吸入器カプセルを用いて投与される、態様1~3のいずれか1つの方法。
5. 前記用量が、適切な量の複数の吸入器カプセルを用いて1回で投与される、態様1~3のいずれか1つの方法。
6. タクロリムスの前記血中濃度が、前記投与後24時間の時点で少なくとも5ng/mLである、態様1~5のいずれか1つの方法。
7. タクロリムスの前記血中濃度が、前記投与後24時間の時点で約3ng/mL~約15ng/mLである、態様1~6のいずれか1つの方法。
8. タクロリムスの前記血中濃度が、前記投与後24時間の時点で約3ng/mL~約12ng/mLである、態様1~7のいずれか1つの方法。
9. タクロリムスの前記血中濃度が、前記投与後24時間の時点で約3ng/mL~約7.5ng/mLである、態様1~8のいずれか1つの方法。
10. 前記組成物が糖を含む、態様1~9のいずれか1つの方法。
11. 前記糖がラクトースである、態様10の方法。
12. 前記薬物粒子が、5:1~約1:20の重量比のタクロリムスおよび糖を含む、態様1~11のいずれか1つの方法。
13. 前記重量比が約1:1~約1:10である、態様12の方法。
14. 前記重量比が約1:2.5~約1:10である、態様12または態様13の方法。
15. 前記組成物が、約0.05mg~約3.5mgの用量のタクロリムスを含む、態様1~14のいずれか1つの方法。
16. タクロリムスの前記用量が約0.1mg~約3.0mgである、態様15の方法。
17. タクロリムスの前記用量が約0.25mg~約2.5mgである、態様16の方法。
18. タクロリムスの前記用量が約1.5mgである、態様17の方法。
19. 前記タクロリムスが非晶質形態である、態様1~18のいずれか1つの方法。
20. 前記タクロリムスの少なくとも90%が非晶質形態である、態様1~19のいずれか1つの方法。
21. 前記タクロリムスの少なくとも95%が非晶質形態である、態様1~20のいずれか1つの方法。
22. 前記タクロリムスの少なくとも98%が非晶質形態である、態様1~21のいずれか1つの方法。
23. 前記タクロリムスの少なくとも99%が非晶質形態である、態様1~22のいずれか1つの方法。
24. 前記薬物粒子が、約0.5μm~約5.0μmの空気力学的質量中央径(MMAD)を有する、態様1~23のいずれか1つの方法。
25. 前記MMADが約1.0μm~約3.5μmである、態様24の方法。
26. 前記MMADが約1.5μm~約2.5μmである、態様24または態様25の方法。
27. 前記薬物粒子が、約0.5~約8の幾何学的標準偏差(GSD)を有する、態様1~26のいずれか1つの方法。
28. 前記GSDが約1~約6である、態様27の方法。
29. 前記GSDが約2~約5である、態様27または態様28の方法。
30. タクロリムスの前記組成物がカプセルに装填されている、態様1~29のいずれか1つの方法。
31. 前記カプセルが、吸入器で使用するために構成されている、態様30の方法。
32. 前記組成物が吸入器に装填されている、態様1~31のいずれか1つの方法。
33. 前記吸入器が高抵抗吸入器である、態様32の方法。
34. 前記吸入器が乾燥粉末吸入器である、態様32または態様33のいずれかの方法。
35. 前記薬物粒子が、吸入器から放出される場合、少なくとも70%の放出用量を有する、態様1~34のいずれか1つの方法。
36. 前記放出用量が少なくとも80%である、態様35の方法。
37. 前記放出用量が少なくとも90%である、態様35または態様36のいずれかの方法。
38. 前記薬物粒子が、吸入器から放出される場合、回収用量のパーセンテージとして少なくとも40%の微粉末画分を有する、態様1~37のいずれか1つの方法。
39. 前記回収用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が少なくとも45%である、態様38の方法。
40. 前記回収用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が少なくとも50%である、態様38または態様39のいずれかの方法。
41. 前記薬物粒子が、吸入器から放出される場合、前記回収用量のパーセンテージとして約40%~約95%である微粉末画分を有する、態様1~40のいずれか1つの方法。
42. 前記回収用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が約45%~約90%である、態様41の方法。
43. 前記回収用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が約50%~約85%である、態様41または態様42のいずれかの方法。
44. 前記薬物粒子が、吸入器から放出される場合、送達用量のパーセンテージとして少なくとも50%の微粉末画分を有する、態様1~43のいずれか1つの方法。
45. 前記送達用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が少なくとも55%である、態様44の方法。
46. 前記送達用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が少なくとも60%である、態様44または態様45のいずれかの方法。
47. 前記薬物粒子が、吸入器から放出される場合、送達用量のパーセンテージとして約50%~約98%である微粉末画分を有する、態様1~46のいずれか1つの方法。
48. 前記送達用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が約55%~約95%である、態様47の方法。
49. 前記送達用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が約60%~約90%である、態様47または態様48のいずれかの方法。
50. タクロリムスの前記組成物が、
吸入器で使用するためのカプセルに装填された約0.1mg~約2.5mgの用量のタクロリムスを含む、タクロリムスおよびラクトース組成物
である、態様1~49のいずれか1つの方法。
51. 免疫系の調節が、移植臓器の拒絶反応を予防または遅延させるのに十分である、態様1~50のいずれか1つの方法。
52. 移植臓器の前記拒絶反応が、移植された腎臓、心臓、肝臓、または肺の拒絶反応である、態様51の方法。
53. 前記免疫系の調節が、前記患者の免疫系を抑制するのに十分である、態様1~52のいずれか1つの方法。
54. 前記免疫系の調節が、カルシニューリンの阻害である、態様1~53のいずれか1つの方法。
55. 前記患者がヒトである、態様1~54のいずれか1つの方法。
56. 前記患者が、タクロリムスの高速代謝群として同定されている、態様1~55のいずれか1つの方法。
57. 前記患者に投与される前記用量を増加させる段階をさらに含む、態様56の方法。
58. 前記患者が、タクロリムスの低速代謝群として同定されている、態様1~55のいずれか1つの方法。
59. 前記患者に投与される前記用量を減少させる段階をさらに含む、態様58の方法。
60. 患者の免疫応答を調節する際に使用するための組成物であって、前記組成物が、
(A)1用量のタクロリムス;および
(B)糖
を含む1つまたは複数の薬物粒子を有し、ここで、前記組成物が、吸入を介した肺への投与のために製剤化されており、前記用量が、前記用量を患者が連続3日間投与されると前記用量が投与された後24時間で前記患者において3ng/mLを超えるタクロリムスの血中濃度をもたらす、前記組成物。
61. 前記患者が、前記用量を連続7日間投与されている、態様60の組成物。
62. 前記患者が、前記投与以降にタクロリムスを投与されていない、態様60または態様61のいずれかの組成物。
63. 前記糖がラクトースである、態様60~62のいずれか1つの組成物。
64. タクロリムスの前記血中濃度が、前記投与後24時間の時点で少なくとも5ng/mLである、態様60~63のいずれか1つの組成物。
65. タクロリムスの前記血中濃度が、前記投与後24時間の時点で約3ng/mL~約25ng/mLである、態様60~64のいずれか1つの組成物。
66. タクロリムスの前記血中濃度が、前記投与後24時間の時点で約3ng/mL~約15ng/mLである、態様60~65のいずれか1つの組成物。
67. タクロリムスの前記血中濃度が、前記投与後24時間の時点で約3ng/mL~約7.5ng/mLである、態様60~66のいずれか1つの組成物。
68. 投与後15分の第2の時点で少なくとも10ng/mLのタクロリムスの血中濃度を生じさせる、態様60~67のいずれか1つの組成物。
69. 投与後15分の第2の時点で少なくとも20ng/mLのタクロリムスの血中濃度を生じさせる、態様60~68のいずれか1つの組成物。
70. 投与後15分の第2の時点で少なくとも25ng/mLのタクロリムスの血中濃度を生じさせる、態様60~69のいずれか1つの組成物。
71. 約10ng/mL~約50ng/mLのタクロリムスの血中濃度を生じさせる、態様60~70のいずれか1つの組成物。
72. 前記方法が、約20ng/mL~約40ng/mLのタクロリムスの血中濃度を生じさせる、態様60~71のいずれか1つの組成物。
73. 約25ng/mL~約35ng/mLのタクロリムスの血中濃度を生じさせる、態様60~72のいずれか1つの組成物。
74. 前記薬物粒子が、5:1~約1:20の重量比のタクロリムスおよび前記糖を含む、態様60~73のいずれか1つの組成物。
75. 前記重量比が約1:1~約1:10である、態様74の組成物。
76. 前記重量比が約1:2.5~約1:10である、態様74または態様75の組成物。
77. 約0.05mg~約3.5mgの用量のタクロリムスを含む、態様60~76のいずれか1つの組成物。
78. タクロリムスの前記用量が約0.1mg~約3.0mgである、態様60~77のいずれか1つの組成物。
79. タクロリムスの前記用量が約0.25mg~約2.5mgである、態様60~78のいずれか1つの組成物。
80. タクロリムスの前記用量が約1.5mgである、態様60~79のいずれか1つの組成物。
81. タクロリムスの前記用量が非晶質形態である、態様60~80のいずれか1つの組成物。
82. 前記タクロリムスの少なくとも90%が非晶質形態である、態様60~81のいずれか1つの組成物。
83. 前記タクロリムスの少なくとも95%が非晶質形態である、態様60~82のいずれか1つの組成物。
84. 前記タクロリムスの少なくとも98%が非晶質形態である、態様60~83のいずれか1つの組成物。
85. 前記タクロリムスの少なくとも99%が非晶質形態である、態様60~84のいずれか1つの組成物。
86. 前記薬物粒子が、約0.5μm~約5.0μmの空気力学的質量中央径(MMAD)を有する、態様60~85のいずれか1つの組成物。
87. 前記MMADが約1.0μm~約3.5μmである、態様86の組成物。
88. 前記MMADが約1.5μm~約2.5μmである、態様86または態様87のいずれかの組成物。
89. 前記薬物粒子が、約0.5~約8の幾何学的標準偏差(GSD)を有する、態様60~88のいずれか1つの組成物。
90. 前記GSDが約1~約6である、態様89の組成物。
91. 前記GSDが約2~約5である、態様89または態様90のいずれかの組成物。
92. カプセルに装填されている、態様60~91のいずれか1つの組成物。
93. 前記カプセルが吸入器で使用するために構成されている、態様92の組成物。
94. 吸入器に装填されている、態様60~93のいずれか1つの組成物。
95. 前記吸入器が高抵抗吸入器である、態様94の組成物。
96. 前記吸入器が乾燥粉末吸入器である、態様94または態様95のいずれかの組成物。
97. 前記薬物粒子が、吸入器から放出される場合、少なくとも70%の放出用量を有する、態様60~96のいずれか1つの組成物。
98. 前記放出用量が少なくとも80%である、態様97の組成物。
99. 前記放出用量が少なくとも90%である、態様97または態様98のいずれかの組成物。
100. 前記薬物粒子が、吸入器から放出される場合、回収用量のパーセンテージとして少なくとも40%の微粉末画分を有する、態様60~99のいずれか1つの組成物。
101. 前記回収用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が少なくとも45%である、態様100の組成物。
102. 前記回収用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が少なくとも50%である、態様100または態様101のいずれかの組成物。
103. 前記薬物粒子が、吸入器から放出される場合、前記回収用量のパーセンテージとして約40%~約95%である微粉末画分を有する、態様60~102のいずれか1つの組成物。
104. 前記回収用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が約45%~約90%である、態様103の組成物。
105. 前記回収用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が約50%~約85%である、態様103または態様104のいずれかの組成物。
106. 前記薬物粒子が、吸入器から放出される場合、送達用量のパーセンテージとして少なくとも50%の微粉末画分を有する、態様60~105のいずれか1つの組成物。
107. 前記送達用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が少なくとも55%である、態様106の組成物。
108. 前記送達用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が少なくとも60%である、態様106または態様107のいずれかの組成物。
109. 前記薬物粒子が、吸入器から放出される場合、前記送達用量のパーセンテージとして約50%~約98%である微粉末画分を有する、態様60~108のいずれか1つの組成物。
110. 前記送達用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が約55%~約95%である、態様109の組成物。
111. 前記送達用量のパーセンテージとしての前記微粉末画分が約60%~約90%である、態様109または態様110のいずれかの組成物。
112. 吸入器で使用するためのカプセルに装填された約0.1mg~約2.5mgの用量のタクロリムスを含む、態様60~111のいずれか1つの組成物。
113. 免疫系の調節が、移植臓器の拒絶反応を予防または遅延させるのに十分である、態様60~112のいずれか1つの組成物。
114. 移植臓器の前記拒絶反応が、移植された腎臓、心臓、肝臓、または肺の拒絶反応である、態様113の組成物。
115. 前記免疫系の調節が、前記患者の免疫系を抑制するのに十分である、態様60~114のいずれか1つの組成物。
116. 前記免疫系の調節が、カルシニューリンの阻害である、態様60~115のいずれか1つの組成物。
117. 前記患者がヒトである、態様60~116のいずれか1つの組成物。
118. 前記患者が、タクロリムスの高速代謝群として同定されている、態様1~117のいずれか1つの組成物。
119. 前記患者に投与される前記用量を増加させる段階をさらに含む、態様118の組成物。
120. 前記患者が、タクロリムスの低速代謝群として同定されている、態様1~117のいずれか1つの組成物。
121. 前記患者に投与される前記用量を減少させる段階をさらに含む、態様120の組成物。
122. 患者の臓器拒絶反応を予防する方法であって、その必要のある患者に態様60~112のいずれか1つの組成物の治療的有効量を投与する段階を含む、前記方法。
123. 前記臓器拒絶反応が、移植された肺の拒絶反応である、態様122の方法。
124. 前記臓器拒絶反応が、移植された心臓の拒絶反応である、態様122の方法。
125. 前記臓器拒絶反応が、移植された腎臓の拒絶反応である、態様122の方法。
126. 前記臓器拒絶反応が、移植された肝臓の拒絶反応である、態様122の方法。
127. 前記組成物を24時間の間に1回投与する段階を含む、態様122~126のいずれか1つの方法。
128. 前記組成物を単一用量として投与する段階を含む、態様122~127のいずれか1つの方法。
129. 前記組成物を一度に複数用量として投与する段階を含む、態様122~127のいずれか1つの方法。
130. その必要のある患者の免疫系応答を調節する方法であって、前記患者に態様60~112のいずれか1つの組成物の治療的有効量を投与する段階を含む、前記方法。
131. 前記組成物を24時間の間に1回投与する段階を含む、態様130の方法。
132. 前記組成物を単一用量として投与する段階を含む、態様130または態様131のいずれかの方法。
133. 前記組成物を一度に複数用量として投与する段階を含む、態様130または態様131のいずれかの方法。
134. (A)1用量のタクロリムスであって、前記用量が約0.1mg~約2.5mgである、前記タクロリムス;および
(B)ラクトース
を含む組成物であって、前記組成物が、吸入を介した投与のために製剤化されており、前記用量が、前記用量が投与された後24時間で患者において2ng/mLを超えるタクロリムスの血中濃度をもたらし、かつ前記組成物が、約8:1~約12:1のラクトース対前記用量のタクロリムスの重量比を含む、前記組成物。
135. 吸入器で使用するためのカプセル中に製剤化されているか、または吸入器中に製剤化されている、態様134の組成物。
V. 実施例
本開示のより良い理解を促進するために、以下の特定の態様の実施例を示す。当業者であれば、以下の実施例において開示される技術は、本開示の実施において良好に機能するように本発明者によって発見された技術を表し、したがって、その実施のための好ましい様式を構成すると考え得ることを、理解すべきである。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、開示される特定の態様において多くの変更を加えることができ、なお、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、同様または類似の結果を得られることを理解すべきである。決して、以下の実施例は、本開示の全範囲を限定または規定するものと読むべきではない。
実施例1-タクロリムスの投与
A. 試験デザイン
i. パートA
本試験は、盲検、無作為化、プラセボ対照、単一用量、用量漸増試験であった。32名の健常成人男女(妊娠の可能性のない女性のみ)の対象が登録された。8名の対象を4つの用量レベルそれぞれに割り付けた。対象のスクリーニングは初回投与前28日以内に行った。
試験対象を、プラセボ(各群2名)またはタクロリムス吸入粉末(各群6名)を吸入投与するよう無作為化した。対象の割り付けは、治験責任医師、試験コーディネーター、および試験対象に対して盲検とした。対象が投与前に試験を中止した場合は自動的に入れ替えた。用量レベルは0.5、1.0、2.5、5.0mgであった。投与量はSAD部分でのみセンチネル方式で漸増した。第1日に、最低用量コホートに割り付けた2名の対象に、タクロリムスまたはプラセボの単一用量をPlastiape(登録商標)吸入器で投与した。血液試料および安全性測定値を薬物投与後48時間(第3日まで)にわたって採取した。安全性情報を検討した後にTFFメディカルモニターおよび治験責任医師が薬物を安全であるとみなした場合、コホート内の残りの対象を翌日の投与のために第4日にすぐにCRUに集めた。血液試料および安全性測定値を48時間にわたって再度採取した。
全投与コホートについて十分な安全性が確認されない限り、漸増は進めなかった。安全性データは、用量漸増を進めてよいかどうかを、推奨するSMCによって評価した。最高用量の次のコホートは、先行コホートの最後の対象からの採取および安全性評価の完了後、最低3日間は投与しなかった。投与は、すべてのコホートが完了するか、または薬物もしくは吸入器に関連すると考えられる重大な有害事象(グレード3もしくは3超)が2人もしくはそれ以上の対象で観察されるか、かつ/または中止基準が満たされるまで、センチネル方式で継続した。中止基準を満たす任意のAEが報告された場合、および/またはSMCが用量漸増に反対するよう推奨する場合、次の用量コホートは有害事象が見られたレベルの前の用量レベル(すなわち、有害事象が見られたものより低い用量レベル)を繰り返した。パートAはそのレベルが完了した時点で終了した。
2.5mg吸入用量の投与に無作為化した対象は、食事ありと食事なしの2回の投与に参加した。このコホートでは、対象に2.5mg吸入用量を少なくとも7日間の間隔をおいて2回に分けて投与した。投与は無作為化せず、1回目の投与ではすべての対象に絶食状態で投与を行い、2回目の投与では標準化した高脂肪の朝食摂取後に投与を行った。2回目の投与は、SMCが1回目の安全性データを検討し、2回目の投与に対する対象の安全性を確認するまで開始しなかった。2回目の投与では、朝食摂取後5分以内に吸入用量を投与した。血液試料を、各投与後48時間にわたってPK測定のために採取した。タクロリムスまたは吸入器に関する安全上の理由で投与を中止した場合、対象の入れ替えは行わなかった。
ii. パートB
本試験は、盲検、無作為化、プラセボ対照、複数用量、用量漸増試験である。パートBは、パートAの最初の3コホートが完了し、安全性データを検討した後すぐに開始する。24名の健常成人男女(妊娠の可能性のない女性のみ)の対象が登録された。8名の対象を3つの用量レベル(1.0mg BID、0.5mg BID、または1.0、1.5、もしくは2.0mgのいずれかのQD用量、コホート2の完了時およびそのコホートの安全性およびTDMデータを調べた後にSMCが決定)それぞれに割り付け、コホートごとに6名の対象にタクロリムス吸入、2名の対象にプラセボを投与した。
対象のスクリーニングは初回投与前28日以内に行った。試験対象を、プラセボまたはタクロリムス吸入粉末を吸入投与するよう無作為化した。対象の割り付けは、治験責任医師、試験コーディネーターおよび試験対象に対して盲検とした。対象が投与前に試験を中止した場合は自動的に入れ替えた。第1日に、各コホートの対象に、コホート1および2ではタクロリムスまたはプラセボを1日2回(12時間ごと)、コホート3ではタクロリムスまたはプラセボを1日1回(24時間ごと)、Plastiape(登録商標)吸入器による投与を始める。血液試料および安全性測定値を予定通り1週間にわたって行った。
全投与コホートについて安全性がSMCにより確認されない限り、次のコホートへの漸増は進めなかった。次のコホートは、先行コホートの最後の対象の退院後最低3日間は投与を開始しなかった。投与は、すべてのコホートが完了するか、または薬物もしくは吸入器に関連すると考えられる重大な有害事象(グレード3もしくは)が2人もしくはそれ以上の対象で観察されるか、または中止基準が満たされるまで継続した。SMCは、次の投与コホートが、重大な有害事象が認められたレベルの前に使用した用量レベル(すなわち、有害事象があったレベルより低い用量レベル)を繰り返すことを推奨することができた。パートBの用量レベルは、以前の試験で観察された安全性に応じて変更してもよい。
iii. 選択基準
対象は、試験への参加に適格であるために、以下の選択基準をすべて満たしていた。
1. スクリーニング時に18~65歳の健常成人男女(妊娠の可能性のない女性のみ)。女性/男性の比率=1:1で登録するよう試みる。
2. 対象の自己申告ならびにスクリーニング時およびチェックイン時の尿中コチニン濃度に基づき、初回投与前の少なくとも3ヶ月間および試験期間中ニコチン含有製品(電子タバコを含む)を使用していない継続的非喫煙者。
3. スクリーニング時の肥満指数(BMI)≧18.0かつ≦32.0kg/m2、ならびにスクリーニング時の最低体重が少なくとも50.0kgおよび最高体重120.0kg。
4. 主席治験医師(PI)および被指名者の判断により、病歴、身体検査、神経学的検査、臨床検査値、バイタルサインまたは心電図に臨床的に重大な異常がなく、医学的に健康。
5. 妊娠の可能性のない女性は、初回投与の少なくとも6カ月前に、以下の不妊手順のうちの1つを経験している(かつ正式な文書がある)必要がある:
a. 子宮鏡下不妊手術;
b. 両側卵管結紮または両側卵管摘除;
c. 子宮摘出;

d. 両側卵巣摘出;
e. または、初回投与前の少なくとも1年間無月経の閉経後であり、閉経後状態に一致する卵胞刺激ホルモン(FSH)血清レベルが40mIU/mLより高いこと。
6. 精管切除していない男性対象は、試験期間中および投与後90日間は、妊娠の可能性のある女性パートナーと有効性の高い避妊法を使用することに同意しなければならない。有効性の高い避妊法とは、正しく一貫して使用した場合、失敗率が<1%である方法と定義される。例えば、
a. 男性対象がコンドームを使用する必要があり;かつその女性パートナーが以下の有効性の高い避妊法を使用すること:
i. 排卵阻害に関連するホルモン避妊法、または
ii. 子宮内避妊具、
b. 参加者の通常のライフスタイルに合致する場合は、禁欲。
精管切除した男性対象については、精管切除が試験第1日の4ヶ月またはそれ以上前に実施され(かつ正式な文書がある)ていれば、制限は必要ない。試験第1日の前4ヶ月未満で精管切除したか、または精管切除の正式な文書がない対象は、精管切除していない対象と同じ制限に従わなければならない。
7. 男性の場合、初回投与から最終投与の90日後まで精子を供与しないことに同意しなければならない。
8. スクリーニングから追跡調査までの試験期間中、娯楽用薬物の使用を控えることに同意すること。
9. 同位説明文書(ICF)中の試験手順を理解し、自発的にプロトコルを遵守し、その能力があること。
10. コッククロフト・ゴールト式による推定クレアチニンクリアランスが≧80mL/分であること。
11. 空カプセルを2回まで吸入する、装置の使用訓練に合格すること。
12. 対象はFEV1≧80%でなければならない。
iv. 除外基準
対象は、以下の基準のいずれかに該当する場合は、試験に登録しなかった。
1. PIまたは被指名者の見解において、スクリーニング受診時に精神的もしくは法的に無能力であるか、または重大な情緒的問題を有する、あるいは試験実施中にそれらが予期される。
2. PIまたは被指名者の見解において、臨床的に重大な医学的または精神医学的状態または疾病の既往歴または存在。
3. PIまたは被指名者の見解において、試験の結果を混乱させ得る、または試験への参加により対象に追加のリスクをもたらす、任意の疾患の病歴。
4. PIまたは被指名者の見解において、試験の結果を混乱させ得る、または試験への参加により対象に追加のリスクをもたらす、任意の疾病の病歴。
5. 肺疾患、喘息または反応性気道疾患の病歴。
6. 初回投与前2年以内にアルコール依存症または薬物乱用の病歴または存在。
7. タクロリムス、シクロスポリン、または任意の化学的に関連する化合物(エベロリムス、シロリムス)に対する過敏症または特異体質反応の病歴または存在。
8. ラクターゼ欠乏症の病歴。
9. PIまたは被指名者の見解において、初回投与前6ヶ月以内に、試験薬の吸収、分布、代謝、または排出に影響を及ぼし得る手術を受けたことがある、または任意の医学的状態がある。
10. 妊娠の可能性のある女性対象。
11. 妊娠検査で陽性または授乳中の女性対象。
12. スクリーニングまたは初回チェックイン時に尿中薬物またはアルコール検査で陽性。
13. スクリーニングでコチニンの結果が陽性。
14. 結核のスクリーニングで陽性(すなわち、QuantiFERON TB-Goldで陽性結果)。
15. ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)またはC型肝炎ウイルス(HCV)のスクリーニングで陽性結果。
16. スクリーニング時または第1日の投与前に、QTcF間隔が>450msec(男性)もしくは>470msec(女性)であるか、またはPIもしくは被指名者により臨床的に重大な異常とみなされた心電図所見がある。
17. スクリーニング時の座位血圧が90/60mmHg未満または140/90mmHgより高い。
18. スクリーニング時の座位心拍数が40bpm(beats per minute)未満または99bpmより高い。
19. 下記の使用を控えることができない、または使用が予期される。
a. 初回投与の14日前から試験期間中の、処方薬および非処方薬、薬草療法、またはビタミン補助剤を含む任意の薬物。初回投与後、PIまたは被指名者の判断によりアセトアミノフェン(24時間あたり2gまで)を投与してもよい。ホルモン補充療法は許可されない。
b. 初回投与前28日間および試験期間中の、CYP3A4/5の強力な阻害剤および/または誘導剤であることが公知の任意の薬物。タクロリムスとのPK/PD相互作用がないことを確認するために、適切な情報源(例えば、Flockhart Table)を参照する。
20. 初回投与前30日以内の50~499mLの全血の献血もしくは失血、または56日以内の499mLを超える全血の献血もしくは失血。
21. 初回投与前7日以内の血漿供与。
22. スクリーニングまたは初回チェックイン時に凝固検査が正常範囲外である(結果の確認を1回行ってもよい)。
23. スクリーニングまたは初回チェックイン時に血小板、ヘモグロビン、およびヘマトクリットが正常下限未満である(結果の確認を1回行ってもよい)。
24. スクリーニングおよび初回チェックイン時に、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、ALPおよび総ビリルビンを含む肝機能検査が正常上限より高い(結果の確認を1回行ってもよい)。
25. スクリーニング時の推定コッククロフト・ゴールトクレアチニンクリアランスが<80mL/分。
26. 初回投与前30日以内の別の臨床試験への参加。この30日の期間は、以前の試験における最終採血日または投与日のいずれか遅い日から、現行の試験の第1期間の第1日より導出する。
27. 試験第1日の投与前に、他の治験薬による処置を、公知の場合(市販薬など)は排出半減期の5倍以内、または30日以内(排出半減期が不明の場合)のいずれか長い方で受けた。
28. 本試験前6週間以内に任意の生ウイルスワクチンを接種したことがあるか、または試験完了後6ヵ月以内に生ウイルスワクチンを接種することが予想される。
29. 訓練後に吸入装置の操作不能を示す。
30. COVID-19感染の証拠。
v. 試験評価
この試験では、タクロリムス濃度測定のための採血は重要なパラメータと考えられる。したがって、これらの試料はできるだけ予定時刻の近くで採取した。他のすべての手順も、規定/予定の時刻の近くで完了すべきであるが、必要であれば互い違いにすることもできる。いかなる手順または採取も、正確な時刻を文書に記載すべきである。
各コホートのチェックイン日に、試験評価に関連するすべての登録基準(例えば、肺活量測定、臨床検査値、吸入装置の使用訓練など)を再確認した。安全性の懸念の緊急評価のために必要であれば、いかなる予定外の手順も、すべての日常的な予定手順よりも優先した。
初回投与前28日以内に、性別、年齢、人種、民族、体重(kg)、身長(cm)、BMI(kg/m2)および喫煙歴を含む病歴および人口統計学的データが報告された。各対象は、身体検査、完全な神経学的検査、バイタルサイン測定(心拍数、血圧、体温、および呼吸数)、12誘導心電図、ならびに血液学的検査、凝固検査、肝機能検査、腎機能検査、および追加検査の臨床検査を受けた。
スクリーニング中に、対象には装置の作業模型および使用説明書を提供した。対象は吸入装置の使い方について適切な訓練を受けた。対象が装置の適切な使用を示すことができない場合、試験への登録は許可されなかった。
完全な神経学的検査を含む、完全な身体検査を実施した。PIまたは被指名者により必要とみなされた場合、症状駆動型身体検査を他の時点で実施した。
体温、呼吸数、血圧および心拍数を1回測定した。その他のバイタルサインは、必要とみなされた場合、任意の他の時点で測定した。バイタルサインは、可能な限り対象を仰臥位にして実施した。
血圧、心拍数、呼吸数、および体温を、投与前時点の各期間において、第1日の投与前24時間以内に測定した。試験のパートBの期間中、すべての夜の投与前バイタルサインおよび第2~6日の朝の投与前バイタルサインを、次の投与の45分以内に測定した。投与後に予定された場合、バイタルサインを第1日、12時間の時点の約25分以内、および残りの予定された時点の15分以内に実施した。
第1日の投与開始前に行う投与前心電図以外は、1回の12誘導心電図を実施した。第1日の投与前の心電図については、15分以内に2回の心電図を実施しなければならず、QTcF値を平均して投与前のベースライン値とした。対象が投与に適格であるためには、このベースラインの投与前平均QTcFが除外基準16の閾値未満でなければならない。これらの第1日投与前心電図は投与の90分以内に実施した。PIまたは被指名者により必要とみなされた場合、追加の心電図を任意の他の時点で行ってもよい。
心電図は、対象が約5分間仰臥位のままでいた後、予定された時点(±15分)で実施した。すべての心電図記録は、PIまたは被指名者が検討した。すべての心電図には、収集日時、体位、心拍数、QT間隔、PR間隔、QRS間隔、RR間隔、QTcBおよびQTcF、ならびに臨床的解釈が含まれなければならない。
対象に、投与後最初の2時間は遠隔モニタリングを行い(パートA)、パートBでは1回目の投与後最初の2時間(第1日)、および第7日の13回目の投与後(MADコホート1および2)または7回目の投与後(MADコホート3)に遠隔モニタリングを行った。遠隔測定中に不整脈が観察された場合、予定外の心電図を延長リズムストリップと共に収集し、委員会認定の循環器専門医が解読し、CRFに記録した。このような事が起こった場合、メディカルモニターに通知した。QTc値を詳細に検討する。QT間隔のFridericiaの補正値(QTcF)は、検討の主要エンドポイントである。
さらに、体重(kg)を報告する。
1秒間の努力呼気量(FEV1)、予測FEV1パーセント、努力肺活量(FVC)、予測FVCパーセント、努力肺活量の25%~75%での努力呼気流量(FEF25-75%)および予測FEF25-75%パーセントを含む肺活量測定を、指定の時点(±30分)で実施した。パルスオキシメトリーを指定の時点(±30分)でモニタリングした。
vi. 有害事象
AEとは、薬物関連と考えられるかどうかにかかわらず、ヒトにおける薬物の使用に関連する任意の不都合な医学的出来事を意味する。
機器による有害作用(ADE)とは、医療機器に対するすべての不都合で意図されない反応を意味する。「医療機器に対する反応」なる語句は、調査対象機器とAEとの因果関係が少なくとも合理的な可能性であること、すなわち関係を除外できないことを意味する。
報告する医療資格のある専門家または治験依頼者のいずれかが、装置との因果関係が合理的に疑われると判断した全ての症例は、機器作用として認定される。これには、装置の使用または配置に関する説明書における不足または不適当に起因する任意の事象も含まれ、また、使用者の過誤に起因する任意の事象も含まれる。
薬物有害反応(ADR)の疑いとは、薬物がそのAEを引き起こしたという合理的な可能性がある任意のAEを意味する。合理的な可能性とは、薬物とAEとの因果関係を示唆する証拠があることを意味する。ADRは、薬物がその事象を引き起こしたと結論づける理由がある、すべての疑われる有害反応のサブセットである。これには、任意の用量に関連する、薬用製品に対するすべての有害で意図されない反応が含まれる。したがって、AEは、薬用(治験薬)製品と関連するかどうかにかかわらず、薬用(治験薬)製品の使用に一時的に関連する、任意の好ましくなく、意図されない徴候(異常な臨床検査所見を含む)、症状、または疾患であり得る。予想外のADRは、性質または重症度が該当する製品情報と一致しないものである。
重篤な機器による有害作用(SADE):重篤な機器による有害作用(SADE)は、重篤な有害事象の特徴のいずれかを引き起こした、または特徴につながった機器に、全体的または部分的に起因し得る、患者で見られる任意の不都合な医学的事象である。SADEはまた、適切な行動が取られなかったか、もしくは介入が行われなかった場合、または状況があまり好都合でなかった場合に、これらの結果につながった可能性のある任意の事象でもある。すべての症例は報告する医療資格のある専門家または治験依頼者のいずれかが判断する。
予期せぬ機器による有害作用(UADE):治験実施計画書または申請書(補足的な計画書または申請書を含む)において、その作用、問題または死亡が、性質、重症度または発生程度において、事前に特定されていなかった場合の、健康もしくは安全に対する任意の重篤な機器による有害作用、または機器に起因する、もしくは機器に関連する、任意の生命を脅かす問題もしくは死亡、あるいは対象の権利、安全または福祉に関する、機器に関連する任意の他の予期せぬ重篤な問題。
IFU RS01-乾燥粉末吸入装置の使用説明書により、「予期される」と評価された機器関連事象はなかった。
vii. 中止基準
安全性モニタリング委員会(SMC)がタクロリムスの安全性および耐容性をモニタリングした。SMCは、安全性およびPKデータならびにデータの完全性、および治験の全体的な実施について検討した。任意の個々の対象に緊急の医学的懸念が生じた場合、TFFメディカルモニターは主席治験医師と共に、所与の対象の治験薬処置を中止するかしないかの決定を含む、任意の必要な決定を行い、SMCにこれらの行動について適宜通知した。任意の試験または評価の繰り返しは、治験責任医師および/またはTFFメディカルモニターの判断に基づき行われた。
SMCは、パートAおよびパートB試験両方の用量漸増の前、ならびにSAE事象に基づき、TFF Pharmaceutical, Inc.のメディカルモニター、主席治験医師およびSMC委員長が必要とみなした場合に開かれた。いかなる用量漸増も、SMCメンバー、治験依頼者および主席治験医師の全会一致に基づき実施した。SMCは、特に以下の基準のいずれかが満たされた場合、用量漸増の予定より低い量への変更、またはコホートもしくは試験全体の中止をいつでも勧告する権利を有していた。
1. 努力の問題による低値と考えられない、ベースラインから≧20%の絶対FEV1低下。ベースライン値は以下のとおりに比較した:
a. パートAおよびB両方で、第1日の投与前FEV1(0時間)と任意の投与後FEV1の比較、
b. パートBで、第1日および第7日の投与前FEV1(0時間)と、同じ日の他の個々の時点の投与後FEV1、または任意の他の予定外のFEV1との比較。
2. 対象が試験薬による処置中にQT/QTcF間隔の顕著な延長を示す。QTcF間隔による処置中止には2つのルールがある。
a. いかなる時点でも絶対QTcF値≧500msec。TFFメディカルモニターに直ちに通知し、対象はさらなる処置を中止した。
b. 15分間隔で実施した連続2回の心電図で、男性で450msec超、女性で470msec超のQTcFの増加。TFFメディカルモニターに直ちに通知し、対象はさらなる処置を中止した。
注意:QTcFがベースラインから≧60msec増加した対象は、処置から除外してもしなくてもよい。主席治験医師はTFFメディカルモニターと相談の上、この決定をし、SMCに伝達する。
ベースラインQTcF値を以下のとおりに比較する。
a. パートAおよびB両方で、第1日の投与前平均QTcF(0時間)と全投与後心電図の比較。
b. パートBで、第1日の投与前平均QTcFおよび第7日のQTcF(0時間、MADコホート1および2については投与前13、MADコホート3については投与前7)と、同じ日の他の個々の時点の投与後心電図、または任意の他の予定外の心電図との比較。
3. 対象が試験中にASTおよび/もしくはALTの上昇≧3×正常上限(ULN)ならびに/または総ビリルビンの上昇≧2×ULNを示す。注:この場合、対象にはいかなる追加投与も行わず、ASTまたはALTレベルが<3×ULNおよび/または総ビリルビンが<2×ULNになるまで毎日臨床試験を繰り返して追跡すべきで、その後は最低週1回の間隔で追跡調査を行う。このモニタリングは、レベルが正常レベルまで低下するか、または異常値が治験責任医師により臨床的に重大でないと判断されるまで続ける。
すべての対象について、血漿タクロリムス濃度測定のため、予定された時点でK2EDTAを含む採血管に静脈血試料を採取する。PK採血は、投与前採血では投与前15分以内に行う。投与後採血は、予定された時点の以下のウィンドウ内で行う(表1)。
(表1)タイミングウィンドウ
Figure 2024520912000001
試料を検査室マニュアルに従って処理し、施設の標準操作手順および治験依頼者または生物分析研究室の指示に従って輸送した。採血、採取、処理、および試料輸送に関する指示は別途提供された。
血漿タクロリムスのPKパラメータは、適宜以下のとおりに算出する。
AUC0-24: 線形台形法により算出した、時間0~24時間の時点までの、濃度-時間曲線下面積。24時間血漿濃度がない、定量限界未満、または報告不可能である場合、このパラメータは算出しない。
AUC0-t: 線形台形法により算出した、時間0~最後に観察された非ゼロ濃度までの、濃度-時間曲線下面積。
AUC0-τ: 時間0~投与間隔の最後までの、濃度-時間曲線下面積。
AUC0-inf: 時間0~外挿した無限大までの、濃度-時間曲線下面積。AUC0-infはAUC0-tプラス最後の測定可能な血漿濃度の排出速度定数に対する比の合計として算出する。
AUC%extrap: (1 - AUC0-t/AUC0-inf)*100で表される、外挿したAUC0-infのパーセント
Cmax: 観察された最高濃度。
CL/F: 用量/AUC0-infとして算出した、経口投与後の見かけの全身クリアランス。
Tmax: Cmaxに達する時間。最高値が、複数の時点で出現する場合は、Tmaxはこの値の最初の時点と定義する。
Kel: 血漿濃度対時間曲線のセミログプロットから算出した、見かけの一次最終排出率定数。パラメータは、最終対数線形相の点の最大数(例えば、3つまたはそれ以上の非ゼロ血漿濃度)を用いる線形最小二乗回帰分析により算出する。
t1/2: 見かけの一次最終排出半減期を0.693/Kelとして算出する。
Vz/F: (用量/AUC0-inf)×Kelとして算出した、経口投与後の最終排出相における見かけの分布量。
濃度-時間プロファイルにおいて最終対数線形相を示さない症例については、Kel、AUC0-inf、AUC%extrap、t1/2、CL/F、またはVz/Fの値は報告しない。濃度が検出可能な2つのまたはそれより少ない連続する時点を有する対象については、PKパラメータは算出しない。個別および平均の血漿濃度時間曲線(線形および対数線形の両方)を最終報告に含める。用量比例性は、標準のべき乗回帰法を用いて、パートAおよびパートBで使用した全用量で試験する。Tmaxはノンパラメトリック解析(ウォルシュ平均およびウィルコクソン符号順位検定統計量の適切な四分位値)を用いて解析する。Tmaxはln変換しない。
viii. 試験で使用したタクロリムス組成
タクロリムス薬物製品は経口吸入使用のためのタクロリムス吸入粉末である。タクロリムス薬物製品は、経口吸入用のタクロリムス粉末を含むカプセル、およびPlastiape Monodoseドライパウダー吸入装置(RS01)の使用からなる。ヒト試験では、タクロリムスカプセルは0.5mgまたは2.5mgのタクロリムスならびにカプセル充填および送達を容易にするのに必要な濃度のラクトース一水和物およびロイシンを含み、白色不透明キャップおよび白色不透明ボディのヒプロメロースカプセルに充填する。プラセボ薬物製品は、ラクトース一水和物のみを含むカプセル、および同じPlastiape Monodoseドライパウダー吸入装置(RS01)の使用からなる。タクロリムス吸入粉末0.5mgおよび2.5mgの組成をそれぞれ表2および表3に示す。
(表2)タクロリムス吸入粉末0.5mgの組成
Figure 2024520912000002
1白色の空のヒプロメロース硬カプセルシェルは二酸化チタンおよびヒプロメロースによって構成される。カプセルシェルは公定書記載の項目ではないが、現行の公定書に対して試験する公定書記載の材料によって構成される。
(表3)タクロリムス吸入粉末2.5mgの組成
Figure 2024520912000003
1白色の空のヒプロメロース硬カプセルシェルは二酸化チタンおよびヒプロメロースによって構成される。カプセルシェルは公定書記載の項目ではないが、現行の公定書に対して試験する公定書記載の材料によって構成される。
プラセボ吸入粉末の組成を表4に示す。
(表4)プラセボ吸入粉末の組成
Figure 2024520912000004
1白色の空のヒプロメロース硬カプセルシェルは二酸化チタンおよびヒプロメロースによって構成される。カプセルシェルは公定書記載の項目ではないが、現行の公定書に対して試験する公定書記載の材料によって構成される。
タクロリムス吸入粉末の2.5mgカプセルの製造工程は、薄膜凍結を用いた50:50(w/w)タクロリムス/ラクトース一水和物粉末の調製から開始した。薄膜凍結工程は、必要量のタクロリムスおよびラクトース一水和物をアセトニトリルおよび水の共溶媒混合物に溶解することから開始する。次いで溶液を液体窒素で冷却した回転ドラムの表面に滴下することにより凍結させる。凍結した溶液を回収し、凍結乾燥により乾燥してアセトニトリルおよび水を除去する。アセトニトリルのレベルはICH Q3Cに従って410ppm(parts per million)以下に制御する。吸入用50%タクロリムス粉末は、X線回折によって特徴決定される場合に非晶質である。
タクロリムス吸入粉末0.5mg薬物製品は、36°F~46°F(2℃~8℃)での貯蔵のために、シリカゲル乾燥剤を含むポリプロピレン(PP)キャップ付きの白色高密度ポリエチレン(HDPE)ボトルに臨床用に包装した。
タクロリムス吸入粉末2.5mg薬物製品およびプラセボ薬物製品は、68°F~77°F(20℃~25℃);変動許容域59°F~86°F(15℃~30℃)の乾燥した場所での貯蔵のために、シリカゲル乾燥剤を含むポリプロピレン(PP)キャップ付きの白色高密度ポリエチレン(HDPE)ボトルに臨床用に包装した。
タクロリムス吸入粉末およびプラセボ吸入粉末は、Plastiape Monodose吸入器で使用した。この薬物製品吸入(DPI)装置は、イタリアのオスナゴにあるPlastiape S.p.A.によって製造されている。Plastiape社はRS01装置に対し米国DMF第17864号を申請している。RS01装置デバイスの高抵抗型をタクロリムス吸入粉末と共に使用した。Plastiape Monodose DPI装置は、いずれも現在オーストラリアで承認されているBronchitol(登録商標)(吸入用マンニトール粉末)およびAridol(登録商標)(マンニトール)に使用した。Plastiape吸入器は、白い保護キャップ、ならびにマウスピース、カプセルチャンバー、および2つのプッシュボタンを備えたベースからなる。
タクロリムス吸入粉末0.5mgおよび2.5mgのインビトロエアロゾル性能を、c.6.1 - Apparatus 5に対するUSP<601>に従って次世代インパクター(NGI)を用いて特徴づけた。吸入粉末カプセルと共に使用するRS01高抵抗装置では、4kPaの圧力低下を達成するために、流量は約60L/分であった。表5は、薬物製品の代表的な開発バッチからのタクロリムス吸入粉末0.5mgおよび2.5mgの空気力学的特性を比較している。
(表5)Plastiape Monodose RS01高抵抗乾燥粉末吸入器装置製品を使用した60 L/分でのタクロリムス吸入粉末の空気力学的特性
Figure 2024520912000005
MMAD=空気力学的質量中央径
GSD=幾何学的標準偏差
FPF=微粒子画分
1平均値(標準偏差)
B. 薬物動態解析
1mg BID反復投与群からの健常志願者の最近のデータ(図1)は概して、肺吸入後のタクロリムスの全身曝露を模擬するために開発された、75%F(吸収)の経口PKモデルから予測した。図2Aおよび2B参照。45ng/mLという実際の算術平均値は、45ng/mLよりわずかに大きい模擬幾何平均曝露と一致していた。第1日および第7日の投与後12時間の実際のトラフ値は、模擬曝露の90%信頼区間上限に近かった。この予備的薬物動態データは、低mg用量のタクロリムスを吸入送達し、より低い1日総用量で10~15ng/mLのTDM濃度範囲内のトラフで同様の濃度値を達成することが可能であることを示唆している。図3~4参照。より重要なことに、12時間のCmin(トラフ)濃度は経口PKモデルから予測された値よりわずかに高く、同様に重要なことに、観察されたCmaxは予測値より低い。ピーク濃度が低く、トラフ濃度が高いというこの逆相関は、より一貫した曝露(変動の減少)を提供し、かつ、1)投与経路によりGI AEが減少し、患者の服薬遵守が改善され得、2)より低mg用量でより高いTDM Cminトラフ濃度を提供し、かつ3)薬物負担の少ない実行可能な投与戦略として1日1回投与を示し得る。
本明細書において開示しかつ特許請求するすべての組成物および方法は、本開示に照らして過度の実験を行うことなく作製および実行することができる。本開示の組成物および方法を好ましい態様に関して記載してきたが、当業者には、本開示の概念、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法および方法の段階または一連の段階に変動を適用し得ることが明らかであろう。より具体的には、化学的および生理学的のいずれでも関連するある特定の作用物質を、本明細書に記載の作用物質の代わりに用いても、同じまたは類似の結果が得られることは明らかであろう。当業者には明らかなすべてのこのような類似の代替物および改変は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神、範囲および概念の範囲内であるとみなされる。
参考文献
以下の参考文献は、それらが本明細書に記載のものを補足する例示的手順または他の詳細を提供する程度に、参照により本明細書に特に組み込まれる。
Figure 2024520912000006
Figure 2024520912000007

Claims (29)

  1. その必要のある患者の免疫応答を調節する方法であって、
    タクロリムスを含む薬物粒子の乾燥粉末組成物の適切な量を前記患者の肺に吸入により投与する段階を含み、
    1用量を前記患者が連続3日間投与されると投与後24時間の時点で前記患者において少なくとも3ng/mLのタクロリムスの血中濃度をもたらすのに十分である前記1用量を、前記患者が24時間の間に1回投与される、
    前記方法。
  2. 前記患者が、前記用量を連続7日間投与されている、請求項1記載の方法。
  3. 前記患者が、前記用量以外にいかなる追加のタクロリムスも投与されていない、請求項1または請求項2記載の方法。
  4. 前記用量が、単一の吸入器カプセルを用いて投与される、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
  5. 前記用量が、適切な量の複数の吸入器カプセルを用いて1回で投与される、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
  6. タクロリムスの前記血中濃度が、前記投与後24時間の時点で少なくとも5ng/mLである、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
  7. タクロリムスの前記血中濃度が、前記投与後24時間の時点で約3ng/mL~約15ng/mLである、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
  8. タクロリムスの前記血中濃度が、前記投与後24時間の時点で約3ng/mL~約12ng/mLである、請求項1~7のいずれか一項記載の方法。
  9. タクロリムスの前記血中濃度が、前記投与後24時間の時点で約3ng/mL~約7.5ng/mLである、請求項1~8のいずれか一項記載の方法。
  10. 前記組成物が糖を含む、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
  11. 前記糖がラクトースである、請求項10記載の方法。
  12. 前記薬物粒子が、5:1~約1:20の重量比のタクロリムスおよび糖を含む、請求項1~11のいずれか一項記載の方法。
  13. 前記重量比が約1:1~約1:10である、請求項12記載の方法。
  14. 前記重量比が約1:2.5~約1:10である、請求項12または請求項13記載の方法。
  15. 前記組成物が、約0.05mg~約3.5mgの用量のタクロリムスを含む、請求項1~14のいずれか一項記載の方法。
  16. タクロリムスの前記用量が約0.1mg~約3.0mgである、請求項15記載の方法。
  17. タクロリムスの前記用量が約0.25mg~約2.5mgである、請求項16記載の方法。
  18. タクロリムスの前記用量が約1.5mgである、請求項17記載の方法。
  19. 前記タクロリムスが非晶質形態である、請求項1~18のいずれか一項記載の方法。
  20. 前記タクロリムスの少なくとも90%が非晶質形態である、請求項1~19のいずれか一項記載の方法。
  21. 前記タクロリムスの少なくとも95%が非晶質形態である、請求項1~20のいずれか一項記載の方法。
  22. 前記タクロリムスの少なくとも98%が非晶質形態である、請求項1~21のいずれか一項記載の方法。
  23. 前記タクロリムスの少なくとも99%が非晶質形態である、請求項1~22のいずれか一項記載の方法。
  24. 前記薬物粒子が、約0.5μm~約5.0μmの空気力学的質量中央径(MMAD)を有する、請求項1~23のいずれか一項記載の方法。
  25. 前記MMADが約1.0μm~約3.5μmである、請求項24記載の方法。
  26. 前記MMADが約1.5μm~約2.5μmである、請求項24または請求項25記載の方法。
  27. 前記薬物粒子が、約0.5~約8の幾何学的標準偏差(GSD)を有する、請求項1~26のいずれか一項記載の方法。
  28. 前記GSDが約1~約6である、請求項27記載の方法。
  29. 前記GSDが約2~約5である、請求項27または請求項28記載の方法。
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