JP2022524798A - 可塑剤組成物及びこれを含む樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、可塑剤組成物に関し、イソフタレートとして、2つのエステル基に結合されたアルキル基の炭素数が互いに同一である炭素数同一タイプ;を2種以上含み、イソフタレートとして、2つのエステル基に結合されたアルキル基の炭素数が互いに異なる炭素数相異タイプ;を1種以上含み、前記炭素数相異タイプは、高級アルキル及び低級アルキルを全て含み、前記高級アルキルの炭素数は8から10であるものであり、前記低級アルキルの炭素数は5から7から選択されたことを特徴とし、前記可塑剤組成物は、樹脂への適用時に粘度安定性、耐移行性、そして耐ストレス性のような効果を改善することができ、可塑化効率と機械的物性もまた同等以上の水準に維持及び改善することができる。

Description

[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年5月2日付韓国特許出願第10-2019-0051717号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
本発明は、イソフタレートとして炭素数同一タイプを2種以上、そして炭素数相異タイプを1種以上含む可塑剤組成物及びこれを含む樹脂組成物に関する。
通常、可塑剤は、アルコールがフタル酸及びアジピン酸のようなポリカルボン酸と反応して、これに相応するエステルを形成する。また、人体に有害なフタレート系可塑剤の国内外の規制を考慮して、イソフタレート系、アジぺート系、その他の高分子系等のフタレート系可塑剤を代替可能な可塑剤組成物に対する研究が続けられている。
一方、床材、壁紙、軟質及び硬質シート等のプラスチゾル業種、カレンダリング業種、押出/射出コンパウンド業種を問わず、かかる環境にやさしい製品に対する要求が増大しており、これに対する完成品別の品質特性、加工性及び生産性を強化するために変色及び移行性、機械的物性などを考慮して適切な可塑剤を使用しなければならない。
このような多様な使用領域において、業種別に要求される特性である引張強度、伸び率、耐光性、移行性、ゲル化特性あるいは吸収速度などによってPVC樹脂に可塑剤、充填剤、安定剤、粘度低下剤、分散剤、消泡剤、発泡剤等の副原料を配合するようになる。
一例として、PVCに適用可能な可塑剤組成物のうち、価格が相対的に安価でありながらも、最も汎用的に使用されるジ(2-エチルヘキシル)イソフタレート(DEHIP)を適用する場合、硬度あるいはゾル粘度が高く、可塑剤の吸収速度が相対的に遅く、移行性及びストレス移行性も良好ではなかった。
これを改善するために、DEHIPを含む組成物として、ブタノールとのトランスエステル化反応の生成物を可塑剤として適用することを考慮できるが、可塑化効率は改善される一方、加熱減量及び比重等が劣悪であり、機械的物性が多少低下するなど、物性の改善が要求されるため、一般的に他の2次可塑剤との混用を介してこれを補完する方式を採用する以外には、現在のところ解決策がない状況である。
しかし、2次可塑剤を適用する場合には、物性変化に対する予測が難しく、製品単価が上昇する要因として作用することがあり、特定の場合以外には物性が明らかに改善されない等、研究の進捗が遅れているのが実情である。
本発明は、イソフタレートとして、炭素数同一タイプが2種以上含まれ、炭素数相異タイプが1種以上含まれる可塑剤組成物であって、前記炭素数相異タイプの2つのエステル基に結合されるアルキル基の炭素数の差が3であるものを適用することにより、既存の可塑剤に比べて可塑化効率、加熱減量及び機械的物性を同等以上の水準に維持及び改善するとともに、粘度安定性、移行損失と耐ストレス性を改善することができる可塑剤組成物を提供するものである。
前記課題を解決するために、本発明の一実施形態によると、イソフタレートとして、2つのエステル基に結合されたアルキル基の炭素数が互いに同一である炭素数同一タイプ;を2種以上含み、イソフタレートとして、2つのエステル基に結合されたアルキル基の炭素数が互いに異なる炭素数相異タイプ;を1種以上含み、前記炭素数相異タイプは、高級アルキル及び低級アルキルを全て含み、前記高級アルキルの炭素数は8から10であるものであり、前記低級アルキルの炭素数は5から7から選択され、前記高級アルキル及び低級アルキルの炭素数の差は3以下である可塑剤組成物が提供される。
前記課題を解決するために、本発明のまた他の一実施形態によると、樹脂100重量部;及び、前述の可塑剤組成物5から150重量部;を含む樹脂組成物が提供される。
前記樹脂は、ストレート塩化ビニル重合体、ペースト塩化ビニル重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン重合体、プロピレン重合体、ポリケトン、ポリスチレン、ポリウレタン、天然ゴム、合成ゴム及び熱可塑性エラストマーよりなる群から選択された1種以上のものであってよい。
本発明の一実施形態による可塑剤組成物は、樹脂組成物に使用する場合、既存の可塑剤に比べて可塑化効率、加熱減量及び機械的物性を同等以上の水準に維持及び改善するとともに、粘度安定性、移行損失と耐ストレス性を改善することができる。
本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は、自身の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されるべきである。
用語の定義
本明細書で用いられるような「組成物」という用語は、当該組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物のみならず、当該組成物を含む材料の混合物を含む。
本明細書で用いられるような「重合体」という用語は、同一あるいは異なる種類であろうと、単量体を重合することにより製造された重合体化合物を称する。このようにして、一般用語の重合体は、単に1種の単量体から製造された重合体を称するのに通常用いられる単独重合体という用語、及び以下に規定されたとおりの混成重合体(interpolymer)という用語を網羅する。
本明細書で用いられるような「混成重合体」という用語は、少なくとも2種の異なる単量体の重合により製造された重合体を称する。このようにして、一般用語の混成重合体は、2種の異なる単量体から製造された重合体を称するのに通常用いられる共重合体、及び2種以上の異なる単量体から製造された重合体を含む。
本明細書で用いられるような接頭語「イソ-」は、アルキル基の主鎖にメチル基またはエチル基が分岐鎖で結合されたアルキル基を通称する意味であり、本明細書で異なる別称のアルキル基がない限り、末端に結合されたものを含み、分岐鎖でメチル基またはエチル基が主鎖に結合されたアルキル基を総称するものとして用いられ得る。
本明細書で用いられるような「炭素数同一タイプ」及び「炭素数相異タイプ」は、イソフタレートを区分する用語であって、「炭素数同一タイプ」とは、対称及び非対称とは関係なく、イソフタレートの2つのエステル基に結合されたアルキル基の炭素個数が互いに同一であることを意味し、「炭素数相異タイプ」は、イソフタレートの2つのエステル基に結合されたアルキル基の炭素数が互いに異なることを意味する。
本明細書で用いられるような「ストレート塩化ビニル重合体」という用語は、塩化ビニル重合体の種類中の1つであって、懸濁重合またはバルク重合などを介して重合されたものを意味してよく、数十から数百マイクロメートルサイズを有する多量の気孔が分布された多孔性粒子の形態を有し、凝集性がなく、流れ性に優れた重合体を称する。
本明細書で用いられるような「ペースト塩化ビニル重合体」という用語は、塩化ビニル重合体の種類中の1つであって、微細懸濁重合、微細シード重合、または乳化重合等を介して重合されたものを意味してよく、数十から数千ナノメートルサイズを有する微細かつ緻密な空隙のない粒子であって、凝集性を有し、流れ性が劣悪な重合体を称する。
「含む」、「有する」という用語及びこれらの派生語は、これらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の成分、段階あるいは手続の存在を排除するように意図されたものではない。如何なる不確実性も避けるために、「含む」という用語の使用を介して請求された全ての組成物は、反対に記述されない限り、重合体であろうと、あるいはその他のものであろうと、任意の追加の添加剤、補助剤、あるいは化合物を含むことができる。これと対照的に、「で本質的に構成される」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、任意のその他の成分、段階あるいは手続を任意の連続する説明の範囲から排除する。「で構成される」という用語は、具体的に記述されるか列挙されていない任意の成分、段階あるいは手続を排除する。
測定方法
本明細書において、組成物内の成分の含量の分析は、ガスクロマトグラフィー測定を介して行い、Agilent社製のガスクロマトグラフィー機器(製品名:Agilent 7890GC、カラム:HP-5、キャリアガス:ヘリウム(flow rate 2.4mL/min)、ディテクター:F.I.D、インジェクションボリューム:1μL、初期値:70℃/4、2min、終期値:280℃/7.8min、program rate:15℃/min)で分析する。
本明細書において、「硬度(hardness)」は、ASTM D2240を用いて、25℃におけるショア硬度(Shore「A」及び/またはShore「D」)を意味し、3T 10sの条件で測定し、可塑化効率を評価する指標となり得、低いほど可塑化効率に優れることを意味する。
本明細書において、「引張強度(tensile strength)」は、ASTM D638方法により、テスト機器であるU.T.M(製造社;Instron、モデル名;4466)を用いてクロスヘッドスピード(cross head speed)を200mm/min(1T)で引っ張った後、試片が切断される地点を測定し、下記数式1で計算する。
[数式1]
引張強度(kgf/cm)=ロード(load)値(kgf)/厚さ(cm)×幅(cm)
本明細書において、「伸び率(elongation rate)」は、ASTM D638方法により、前記U.T.Mを用いてクロスヘッドスピード(cross head speed)を200mm/min(1T)で引っ張った後、試片が切断される地点を測定し、下記数式2で計算する。
[数式2]
伸び率(%)=伸張後の長さ/初期長さ×100
本明細書において、「移行損失(migration loss)」は、KSM-3156によって厚さ2mm以上の試験片を得て、試験片の両面にガラスプレート(Glass Plate)を付着した後、1kgf/cmの荷重を加える。試験片を熱風循環式オーブン(80℃)で72時間放置した後、取り出して常温で4時間冷却させる。その後、試験片の両面に付着されたガラスプレートを除去した後、ガラスプレートと試験片プレート(Specimen Plate)をオーブンに放置する前後の重量を測定し、移行損失量を下記数式3により計算する。
[数式3]
移行損失量(%)={[(初期試片の重量)-(オーブン放置後の試片の重量)]/(初期試片の重量)}× 100
本明細書において、「加熱減量(volatile loss)」は、試片を80℃で72時間作業した後、試片の重量を測定する。
[数式4]
加熱減量(%)={[(初期試片の重量)-(作業後の試片の重量)]/(初期試片の重量)}× 100
本明細書において、「吸収速度」は、77℃、60rpmの条件下で、遊星型ミキサー(Planatary mixer(Brabender、P600))を用いて、樹脂と可塑剤が互いに混合され、ミキサーのトルクが安定化する状態になるまでかかった時間を測定して評価する。
前記多様な測定条件の場合、温度、回転速度、時間等の詳細条件は、場合に応じて多少異なることがあり、異なる場合には別にその測定方法及び条件を明示した。
以下、本発明に対する理解を助けるために、本発明をより詳細に説明する。
本発明の一実施形態によると、可塑剤組成物は、イソフタレートとして、2つのエステル基に結合されたアルキル基の炭素数が互いに同一である炭素数同一タイプ;を2種以上含み、イソフタレートとして、2つのエステル基に結合されたアルキル基の炭素数が互いに異なる炭素数相異タイプ;を1種以上含み、前記炭素数相異タイプは、高級アルキル及び低級アルキルを全て含み、前記高級アルキルの炭素数は8から10であるものであり、前記低級アルキルの炭素数は5から7から選択されたものである。
本発明の一実施形態によると、前記可塑剤組成物は、2つのエステル基に結合されたアルキル基の炭素数が互いに同一である炭素数同一タイプを含み、この炭素数同一タイプのイソフタレートは2種以上含む。
前記炭素数同一タイプの場合、イソフタレートに存在する2つのエステル基に結合されたアルキル基が互いに同一であり、ベンゼン環を中心に互いに同一の炭素数を有するアルキル基を有するという意味であり、ここで、前記2種の炭素数同一タイプイソフタレートは、炭素数が大きい高級アルキルイソフタレートと低級アルキルイソフタレートにそれぞれ分類されて同時に含まれてよい。
前記炭素数同一タイプは、2つのエステル基に結合されるアルキル基であって、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、2-エチルヘキシル、イソノニル、イソデシルまたは2-プロピルヘプチルであってよく、ここで、低級アルキルに分類され得るものは、炭素数が5から7つであるn-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-ヘプチル及びイソヘプチルであってよい。また、高級アルキルに分類され得るものは、炭素数が8から10つである2-エチルヘキシル、イソノニル、イソデシル及び2-プロピルヘプチルであってよい。ここで、高級アルキル炭素数が8より小さくなると、機械的物性が低下するのと同時に加熱減量と耐ストレス性が悪化する可能性がある。炭素数が10より大きい高級アルキルを適用する場合には、吸収速度が非常に遅く、加工が不可能な水準まで至ることがあるため、生産性の低下に大きな影響を与え、可塑化効率も劣悪となることがあり、耐移行性と耐ストレス性においても劣悪な水準の物性が現れ得る。
より具体的に、前記イソペンチル、イソヘキシル及びイソヘプチルは、主鎖にメチル基またはエチル基が分岐鎖で結合された置換基であって、例えば、イソペンチルは、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル及び3-メチルブチルなどのC5の分岐状構造の異性体のうちいずれか1つ以上を含んでよく、イソヘキシルは、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-エチルブチル、2,2-ジメチルブチル及び2,3-ジメチルブチルなどのC6の分岐状構造の異性体のうちいずれか1つ以上を含んでよく、イソヘプチルは、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、4-エチルペンチル、2,3-ジメチルペンチルなどのC7の分岐状構造の異性体のうちいずれか1つ以上を含んでよい。ここで、低級アルキル炭素数が5より小さい場合、機械的物性の低下とともに加熱減量が劣悪となる虞があり、炭素数が7より大きいものが適用されると、可塑化効率、吸収速度、そして耐移行性が悪化するという問題があり得る。
前記低級アルキルイソフタレートに結合され得るアルキル基と高級アルキルイソフタレートに結合され得るアルキル基との炭素数の差は3以下であるものから、高級アルキル及び低級アルキルのそれぞれが選択される。このように、低級及び高級アルキル間の炭素数の差が3以下である場合、炭素数の差が4であるものに比べて、樹脂への適用時の可塑化効率は同等以上に維持及び改善される一方、移行性と耐ストレス性において卓越した効果を奏する。
また、他の側面から、炭素数の差が4以上であるものに比べて、樹脂への適用時の粘度安定性に非常に優れることができ、移行性はもちろん引張強度と伸び率の改善効果も卓越することができる。
前記のような炭素数同一タイプの炭素数の特徴に加えて、前記効果を達成するためには、炭素数相異タイプのイソフタレートも共に含まれなければならず、このとき、炭素数相異タイプのイソフタレートの2つのエステル基に結合されるアルキルの炭素数の差は3以下であってよい。
ここで、炭素数相異タイプのイソフタレートのエステル基に結合される2つのアルキル基は、それぞれ炭素数同一タイプの低級アルキルイソフタレート及び高級アルキルイソフタレートのアルキル基と同一のものであってよく、このように炭素数同一タイプのアルキル基と同一のアルキル基を全て有する炭素数相異タイプのイソフタレートが含まれる場合、前述の効果を具現することができる。
具体的に、前記炭素数同一タイプのイソフタレートは、例えば、ジ(2-プロピルヘプチル)イソフタレート、ジイソデシルイソフタレート、イソデシル(2-プロピルヘプチル)イソフタレート、ジイソノニルイソフタレート、ジ(2-エチルヘキシル)イソフタレート、ジ(n-ペンチル)イソフタレート、ジイソペンチルイソフタレート、(n-ペンチル)(イソペンチル)イソフタレート、ジ(n-ヘキシル)イソフタレート、ジイソヘキシルイソフタレート、イソヘキシル(n-ヘキシル)イソフタレート、ジ(n-ヘプチル)イソフタレート、ジイソヘプチルイソフタレート及びイソヘプチル(n-ヘプチル)イソフタレートよりなる群から選択されるものであってよい。
また、炭素数同一タイプの場合、相互アルキル基の炭素数が同一であるだけでなく、構造も同一のものであってよいが、場合に応じて炭素数は同一であるが構造は異なる、すなわち、構造異性体の関係にあるアルキル基が結合されたイソフタレートも含まれてよい。
このような炭素数同一タイプのイソフタレートは、例えば、イソデシル(2-プロピルヘプチル)イソフタレート、イソヘキシル(n-ヘキシル)イソフタレート、イソヘプチル(n-ヘプチル)イソフタレート、(n-ペンチル)(イソペンチル)イソフタレートであってよい。
また、炭素数相異タイプのイソフタレートは、例えば、(n-ペンチル)(2-エチルヘキシル)イソフタレート、(イソペンチル)(2-エチルヘキシル)イソフタレート、(2-メチルブチル)(2-エチルヘキシル)イソフタレート、(n-ヘキシル)(2-エチルヘキシル)イソフタレート、イソヘキシル(2-エチルヘキシル)イソフタレート、(n-ヘプチル)(2-エチルヘキシル)イソフタレート、イソヘプチル(2-エチルヘキシル)イソフタレート、(n-ペンチル)(イソノニル)イソフタレート、(イソペンチル)(イソノニル)イソフタレート、(n-ヘキシル)(イソノニル)イソフタレート、イソヘキシル(イソノニル)イソフタレート、(n-ヘプチル)(イソノニル)イソフタレート、イソヘプチル(イソノニル)イソフタレート、(n-ペンチル)(イソデシル)イソフタレート、(イソペンチル)(イソデシル)イソフタレート、(n-ヘキシル)(イソデシル)イソフタレート、イソヘキシル(イソデシル)イソフタレート、(n-ヘプチル)(イソノニル)イソフタレート、イソヘプチル(イソデシル)イソフタレート、(n-ペンチル)(2-プロピルヘプチル)イソフタレート、(イソペンチル)(2-プロピルヘプチル)イソフタレート、(n-ヘキシル)(2-プロピルヘプチル)イソフタレート、イソヘキシル(2-プロピルヘプチル)イソフタレート、(n-ヘプチル)(2-プロピルヘプチル)イソフタレート、イソヘプチル(2-プロピルヘプチル)イソフタレートよりなる群から選択されるものであってよい。
本発明の一実施形態による可塑剤組成物は、前述のように、イソフタレートとして炭素数同一タイプと炭素数相異タイプを含み、この際、各タイプのイソフタレートの個数、結合されたアルキル基の種類、結合されたアルキル基間の炭素数の差のような要因により、耐移行性、耐ストレス性のような物性の改善が可能であり、さらには樹脂の粘度安定性まで向上させることができ、可塑化効率や機械的物性もまた既存の製品に比べてその水準が上回る程度に維持及び改善することができる。
本発明の一実施形態によれば、前記可塑剤組成物は、組成物の総重量に対して水分の含量が重量基準として500ppm以下であってよく、好ましくは300ppm以下、より好ましくは100ppm以下であってよい。可塑剤内の水分の含量が高い場合、周辺の環境的な要因によって可塑剤が変質する可能性が高く、加工時に問題を引き起こす可能性が高いため、可塑剤内の水分の含量は小さいほど優れる。
本発明の一実施形態によれば、前記可塑剤組成物に含まれる炭素数同一タイプのイソフタレート及び炭素数相異タイプのイソフタレートは、重量比で95:5から30:70の比率で含まれてよい。前記範囲で含まれる場合には、前述の耐移行性、耐ストレス性及び粘度安定性等を改善する効果を達成できることはもちろん、機械的物性と可塑化効率の改善も期待することができる。
より具体的に、可塑剤組成物に含まれるイソフタレートを低級アルキルイソフタレート、炭素数相異タイプのイソフタレート及び高級アルキルイソフタレートの3種としてみると、可塑剤組成物の総重量に対して、それぞれが0.5から50重量%、3.0から70重量%、及び0.5から85重量%で含まれてよく、これらの含量は、前記3種のイソフタレートの総和を100重量%としてみたときの値であり、前記可塑剤組成物に他の物質が含まれている場合まで考慮した含量ではない。
前記のような含量を有する場合には、前述のように、炭素数相異タイプのイソフタレートに結合されるアルキル基炭素数の差が3以下であるものから具現可能な効果がより好適に具現され、その効果の再現性もまた優れることができる。
さらに、このような効果の最適化の側面から、前記3種のイソフタレートの含量は、好ましくは0.5から50重量%、10から50重量%、及び35から80重量%であってよい。
本発明の一実施形態による可塑剤組成物を製造する方法は、当業界に既知の方法として、前述の可塑剤組成物を製造可能な場合であれば、特に制限されずに適用されてよい。
特に、前記可塑剤組成物の場合、3種のイソフタレートを含むことが基本であって、エステル化反応が用いられてよく、直接エステル化反応だけでなくトランスエステル化反応が全て適用されてよい。
一例として、前記直接エステル化反応は、イソフタル酸と2種以上のアルコールを投入した後、触媒を添加して窒素雰囲気下で反応させる段階;未反応アルコールを除去し、未反応酸を中和させる段階;及び、減圧蒸溜により脱水及び濾過する段階;で行われてよい。
前記アルコールは、n-ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、n-ヘキシルアルコール、イソヘキシルアルコール、n-ヘプチルアルコール及びイソヘプチルアルコールよりなる群から選択された1以上の低級アルキルアルコールが含まれてよく、高級アルキルアルコールとしては、2-エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、イソデシルアルコール及び2-プロピルヘプチルアルコールから選択された1以上が適用されてよい。前記アルコールは、イソフタル酸100モル%を基準に150から500モル%、200から400モル%、200から350モル%、250から400モル%、あるいは270から330モル%の範囲内で用いられてよい。
前記触媒は、一例として、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、アルキル硫酸等の酸触媒、乳酸アルミニウム、フッ化リチウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化カルシウム、塩化鉄、リン酸アルミニウム等の金属塩、ヘテロポリ酸等の金属酸化物、天然/合成ゼオライト、カチオン及びアニオンの交換樹脂、テトラアルキルチタネート(tetra alkyl titanate)及びそのポリマー等の有機金属の中から選択された1種以上であってよい。具体的な例として、前記触媒はテトラアルキルチタネートを用いることができる。
触媒の使用量は、種類に応じて異なってよく、一例として、均一触媒の場合には、反応物の総100重量%に対して0.01から5重量%、0.01から3重量%、1から5重量%、あるいは2から4重量%の範囲内、そして不均一触媒の場合には、反応物総量の5から200重量%、5から100重量%、20から200重量%、あるいは20から150重量%の範囲内であってよい。
このとき、前記反応温度は180から280℃、200から250℃、あるいは210から230℃の範囲内であってよい。
他の一例として、前記トランスエステル化反応は、ジ(2-エチルヘキシル)イソフタレートのような炭素数同一タイプのうち高級アルキルイソフタレートと、低級アルキルに対応されるアルキル基を有するアルコールであって、低級アルキルアルコールが反応するトランスエステル化反応;を介してイソフタレート化合物を製造することができる。ここで、イソフタレートとアルコールが有するアルキル基は互いに交差しても構わず、トランスエステル化反応においてアルコールが2種以上用いられる場合、その反応生成物は総6種のイソフタレートとなってよく、例えば、炭素数同一タイプが4種、炭素数相異タイプが2種形成されてよく、前記炭素数同一タイプは低級アルキルイソフタレートが3種、高級アルキルイソフタレートが1種であるものであってよい。
本発明で用いられる「トランスエステル化反応」は、下記反応式1のようにアルコールとエステルが反応して、下記反応式1で示されるように、エステルのR''がアルコールのR'と相互交換される反応を意味する:
[反応式1]
Figure 2022524798000001
本発明の一実施形態によれば、前記トランスエステル化反応が行われると、アルコールのアルコキシドがエステル系化合物に存在する2つのエステル(RCOOR'')基の炭素を攻撃する場合;エステル系化合物に存在する1つのエステル(RCOOR'')基の炭素を攻撃する場合;反応が行われていない未反応の場合;のように、3種類の場合の数によって3種のエステル組成物が生成され得る。
また、前記トランスエステル化反応は、酸-アルコール間のエステル化反応に比べて廃水の問題を招かないという長所があり、無触媒下で進行することができるため、酸触媒の使用時の問題点を解決することができる。
前記トランスエステル化反応により製造された混合物は、アルコールの添加量に応じて前記混合物の組成比率を制御することができる。前記アルコールの添加量は、イソフタレート化合物100重量部に対して0.1から89.9重量部、具体的には3から50重量部、より具体的には5から40重量部であってよい。
前記イソフタレート化合物は、アルコールの添加量が多いほど、トランスエステル化反応に参加するイソフタレートのモル分率(mole fraction)が大きくなるため、前記混合物において生成物である2つのイソフタレートの含量が増加することがあり、これに相応して未反応で存在するイソフタレートの含量は減少する傾向を示し得る。
本発明の一実施形態によれば、反応物であるイソフタレートとアルコールのモル比は、一例として、1:0.005から5.0、1:0.05から2.5、あるいは1:0.1から1.0であり、この範囲内では工程性及び経済性に優れており、前述の効果を具現することができる可塑剤組成物を得るという効果がある。
本発明の一実施形態によれば、前記トランスエステル化反応は、120℃から190℃、好ましくは135℃から180℃、より好ましくは141℃から179℃の反応温度下で10分から10時間、好ましくは30分から8時間、より好ましくは1から6時間で行われることが好ましい。前記温度及び時間の範囲内では、最終の可塑剤組成物の成分比を効率的に制御することができる。このとき、前記反応時間は、反応物を昇温させた後、反応温度に到達した時点から計算されてよい。
前記トランスエステル化反応は、酸触媒または金属触媒下で実施されてよく、この場合、反応時間が短縮されるという効果がある。
前記酸触媒は、一例として、硫酸、メタンスルホン酸またはp-トルエンスルホン酸などであってよく、前記金属触媒は、一例として、有機金属触媒、金属酸化物触媒、金属塩触媒または金属自体であってよい。
前記金属成分は、一例として、錫、チタン及びジルコニウムよりなる群から選択されたいずれか1つ又はこれらのうち2種以上の混合物であってよい。
また、前記トランスエステル化反応後、未反応アルコールと反応副産物等を蒸溜させて除去する段階をさらに含むことができる。前記蒸溜は、一例として、前記アルコールと反応副産物の沸点の差を用いて別に分離する2段階蒸溜であってよい。また他の一例として、前記蒸溜は混合蒸溜であってよい。この場合、エステル系可塑剤組成物を所望の組成比で比較的に安定的に確保できるという効果がある。前記混合蒸溜は、未反応アルコールと反応副産物を同時に蒸溜することを意味する。
本発明の他の一実施形態によれば、前述の可塑剤組成物及び樹脂を含む樹脂組成物が提供される。
前記樹脂は、当分野に既知の樹脂を用いてよい。例えば、ストレート塩化ビニル重合体、ペースト塩化ビニル重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン重合体、プロピレン重合体、ポリケトン、ポリスチレン、ポリウレタン、天然ゴム、合成ゴム及び熱可塑性エラストマーよりなる群から選択された1種以上の混合物等を用いることができるが、これらに制限されるものではない。
前記可塑剤組成物は、前記樹脂100重量部を基準として5から150重量部、好ましくは5から130重量部、または10から120重量部で含まれてよい。
一般的に、可塑剤組成物が用いられる樹脂は、溶融加工またはプラスチゾル加工を介して樹脂製品として製造されてよく、溶融加工樹脂とプラスチゾル加工樹脂は、各重合方法に応じて異なって生産されるものであってよい。
例えば、塩化ビニル重合体は、溶融加工に用いられる場合、懸濁重合等により製造されて平均粒径が大きい固相の樹脂粒子が用いられ、このような塩化ビニル重合体はストレート塩化ビニル重合体と呼ばれる。プラスチゾル加工に用いられる場合、乳化重合等により製造されて微細な樹脂粒子としてゾル状態の樹脂が用いられ、このような塩化ビニル重合体はペースト塩化ビニル樹脂と呼ばれる。
このとき、前記ストレート塩化ビニル重合体の場合、可塑剤は、重合体100重量部に対して5から80重量部の範囲内で含まれることが好ましく、ペースト塩化ビニル重合体の場合、重合体100重量部に対して40から120重量部の範囲内で含まれることが好ましい。
前記樹脂組成物は充填剤をさらに含むことができる。前記充填剤は、前記樹脂100重量部を基準として0から300重量部、好ましくは50から200重量部、より好ましくは100から200重量部であってよい。
前記充填剤は、当分野に既知の充填剤を用いてよく、特に制限されない。例えば、シリカ、マグネシウムカーボネート、カルシウムカーボネート、硬炭、タルク、水酸化マグネシウム、チタンジオキシド、マグネシウムオキシド、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミニウムシリケート、マグネシウムシリケート及び硫酸バリウムの中から選択された1種以上の混合物であってよい。
また、前記樹脂組成物は、必要に応じて安定化剤等のその他の添加剤をさらに含むことができる。前記安定化剤等のその他の添加剤は、一例として、それぞれ前記樹脂100重量部を基準として0から20重量部、好ましくは1から15重量部であってよい。
前記安定化剤は、例えば、カルシウム-亜鉛の複合ステアリン酸塩等のカルシウム-亜鉛系(Ca-Zn系)安定化剤またはバリウム-亜鉛系(Ba-Zn系)安定化剤を用いることができるが、これらに特に制限されるものではない。
前記樹脂組成物は、前述のように、溶融加工及びプラスチゾル加工に全て適用されてよく、例えば、溶融加工は、カレンダリング加工、押出加工、または射出加工が適用されてよく、プラスチゾル加工はコーティング加工等が適用されてよい。
実施例
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は様々な異なる形態に変形されてよく、本発明の範囲が以下で詳述する実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
実施例1
撹拌機、凝縮器及びデカンタが設置された反応器に、ジ(2-エチルヘキシル)イソフタレート(GL300、(株)LG化学)2000g及びn-ペンチルアルコール340g(DEHIP 100重量部を基準として17重量部)を投入した後、窒素雰囲気下160℃の反応温度で2時間トランス-エステル化反応させて、ジ(n-ペンチル)イソフタレート(DnPIP)、(n-ペンチル)(2-エチルヘキシル)イソフタレート(nPEHIP)及びジ(2-エチルヘキシル)イソフタレート(DEHIP)をそれぞれ3.6重量%、31.7重量%及び64.7重量%で含む組成物を得た。
実施例2から7
n-ペンチルアルコールの代わりに、下記表1に記載された低級アルキルに該当するアルコールを適用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法で反応させて下記表1に記載された重量比を有する3成分の組成物を得た。
実施例8
n-ペンチルアルコールの代わりにn-ヘキシルアルコールを使用し、ジ(2-エチルヘキシル)テレフタレートの代わりにジイソノニルテレフタレートを使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法で反応させて下記表1に記載された重量比を有する3成分の組成物を得た。
比較例1
LG化学社の製品として、ジイソノニルフタレート(DINP)を可塑剤組成物とした。
比較例2
LG化学社の製品として、ジ(2-エチルヘキシル)テレフタレート(DEHTP、LGflex GL300)を可塑剤組成物とした。
比較例3から7
n-ペンチルアルコールの代わりに、表1に記載された低級アルキルに該当するアルコールを使用し、ジ(2-エチルヘキシル)テレフタレートの代わりに、表1に記載された高級アルキルに該当するアルキルが結合されたジアルキルテレフタレートを使用したことを除いては、前記実施例1と同一の方法で反応させて下記表1に記載された重量比を有する3成分の組成物を得た。
Figure 2022524798000002
*前記含量はいずれも重量%である。
実験例:性能の評価
実施例及び比較例の可塑剤を使用して、ASTM D638に従って次のような処方及び製作条件で試片を作製した。
(1)処方:ストレート塩化ビニル重合体(LS100S)100重量部、可塑剤30重量部及び安定剤(BZ-153T)3重量部
(2)配合:98℃において700rpmでミキシング
(3)試片の作製:ロールミル(Roll mill)で160℃で4分、プレス(press)で180℃で2.5分(低圧)及び2分(高圧)作業して1T及び3Tシートを作製
(4)評価項目
1)硬度(hardness):ASTM D2240を用いて、25℃におけるショア硬度(Shore「A」及び「D」)を3T試片で10秒間測定した。数値が小さいほど可塑化効率に優れていると評価される。
2)引張強度(tensile strength):ASTM D638方法により、テスト機器であるU.T.M(製造社;Instron、モデル;4466)を用いてクロスヘッドスピード(cross head speed)を200mm/minで引っ張った後、1T試片が切断される地点を測定した。引張強度は、次のように計算した:
引張強度(kgf/cm)=ロード(load)値(kgf)/厚さ(cm)×幅(cm)
3)伸び率(elongation rate)測定:ASTM D638方法により、前記U.T.Mを用いてクロスヘッドスピード(cross head speed)を200mm/minで引っ張った後、1T試片が切断される地点を測定し、伸び率を次のように計算した:
伸び率(%)=伸張後の長さ/初期長さ×100
4)移行損失(migration loss)測定:1T試片の両面にガラスプレートを付着した後、1kgf/cmの荷重を加えた。試片を熱風循環式オーブン(80℃)で72時間放置した後、取り出して常温で4時間冷却させた。その後、試験片の両面に付着したガラスプレートを除去した後、ガラスプレートと試験片プレートをオーブンに放置する前後の重量を測定し、移行損失量を以下のような式によって計算した:
移行損失量(%)={[(初期試片の重量)-(オーブン放置後の試片の重量)]/(初期試片の重量)}×100
5)加熱減量(volatile loss)測定:前記作製された試片を80℃で72時間作業した後、試片の重量を測定した。
加熱減量(%)={[(初期試片の重量)-(作業後の試片の重量)]/(初期試片の重量)}×100で計算した。
6)ストレステスト(耐ストレス性):厚さ2mmの試片を曲げた状態で23℃で72時間放置した後、移行程度(滲み出す程度)を観察し、その結果を数値(0から3.0まで0.5単位)で評価し、0に近いほど優れた特性を示す。
7)吸収速度の測定
吸収速度は、77℃、60rpmの条件下で、遊星型ミキサー(Brabender、P600)を用いて、樹脂とエステル化合物が互いに混合され、ミキサーのトルクが安定化する状態になるまでの所要時間を測定して評価した。
8)耐光性の測定
ASTM 4329-13の方法によって、前記試片をQUV(QUV/se、Q-LAB)に据え置きさせ、200時間UV(340nm)を照射した後、リフレクトメータ(Tintometer、LoviBond)を用いて色相の変化(△E)を確認した。
(5)評価の結果
前記項目の評価の結果を下記表2及び表3に示した。
Figure 2022524798000003
Figure 2022524798000004
前記表2及び表3の結果を参照すると、実施例1から8の可塑剤を適用した場合が、比較例1から7の可塑剤を適用した場合に比べて大部分の物性で優れた効果を示し、物性間のバランスが優れていることを確認することができ、特に、引張強度と伸び率、耐ストレス性、そして可塑化効率で優れた効果を示すことが分かる。さらに、吸収速度が4分から6分間と早過ぎないため排出される虞がなく、7分を超過しないという点で、加工性も優れていることを確認することができる。具体的に、既存の可塑剤商用品として性能は優れるが環境的な問題が存在する比較例1に比べても、機械的物性において大きな改善があることを確認することができ、既存の環境にやさしい製品である比較例2に比べては、可塑化効率と、移行損失、そして耐ストレス性と耐光性に非常に優れ、吸収速度を適正水準に改善し得ることを確認した。
また、本発明による可塑剤組成物とは異なり、高級アルキルと低級アルキルの炭素数の差が3以下でないうえに低級アルキルの炭素数が5に達しない比較例3の場合、伸び率と加熱減量で特に劣勢を示しており、低級アルキルと高級アルキルの炭素数を本発明と同様にしたが、炭素数の差が依然として3を超過する比較例4は、可塑化効率が劣悪となるにつれて引張強度も共に劣悪となり、移行損失が劣勢を示していることが確認される。
さらに、炭素数の差は満たしても低級アルキルの炭素数が大き過ぎるものが適用された比較例5は、可塑化効率で相当な損害があることが確認され、吸収速度もまた遅過ぎるため加工性が非常に低調であることを類推することができ、耐移行性だけでなく耐ストレス性もまた悪化することが確認される。さらに高級アルキルの炭素数と低級アルキルの炭素数がいずれも小さいものが適用されると、引張強度と伸び率、加熱減量と耐ストレス性が非常に劣悪となることを比較例6によって確認することができ、これは、高級アルキルの炭素数が小さい場合である比較例7においても同様に現れていることが確認される。

Claims (8)

  1. イソフタレートとして、2つのエステル基に結合されたアルキル基の炭素数が互いに同一である炭素数同一タイプ;を2種以上含み、
    イソフタレートとして、2つのエステル基に結合されたアルキル基の炭素数が互いに異なる炭素数相異タイプ;を1種以上含み、
    前記炭素数相異タイプは、高級アルキル及び低級アルキルを全て含み、前記高級アルキルの炭素数は8から10であるものであり、前記低級アルキルの炭素数は5から7から選択され、
    前記高級アルキル及び低級アルキルの炭素数の差は3以下のものである、
    可塑剤組成物。
  2. 前記炭素数同一タイプは、炭素数が8から10の高級アルキルイソフタレート及び炭素数が5から7から選択された低級アルキルイソフタレートを含むものである、
    請求項1に記載の可塑剤組成物。
  3. 前記炭素数相異タイプは、(n-ペンチル)(2-エチルヘキシル)イソフタレート、(イソペンチル)(2-エチルヘキシル)イソフタレート、(n-ヘキシル)(2-エチルヘキシル)イソフタレート、イソヘキシル(2-エチルヘキシル)イソフタレート、(n-ヘプチル)(2-エチルヘキシル)イソフタレート、イソヘプチル(2-エチルヘキシル)イソフタレート、(n-ペンチル)(イソノニル)イソフタレート、(イソペンチル)(イソノニル)イソフタレート、(n-ヘキシル)(イソノニル)イソフタレート、イソヘキシル(イソノニル)イソフタレート、(n-ヘプチル)(イソノニル)イソフタレート、イソヘプチル(イソノニル)イソフタレート、(n-ペンチル)(イソデシル)イソフタレート、(イソペンチル)(イソデシル)イソフタレート、(n-ヘキシル)(イソデシル)イソフタレート、イソヘキシル(イソデシル)イソフタレート、(n-ヘプチル)(イソノニル)イソフタレート、イソヘプチル(イソデシル)イソフタレート、(n-ペンチル)(2-プロピルヘプチル)イソフタレート、(イソペンチル)(2-プロピルヘプチル)イソフタレート、(n-ヘキシル)(2-プロピルヘプチル)イソフタレート、イソヘキシル(2-プロピルヘプチル)イソフタレート、(n-ヘプチル)(2-プロピルヘプチル)イソフタレート、イソヘプチル(2-プロピルヘプチル)イソフタレートよりなる群から選択された1種以上のものである、
    請求項1に記載の可塑剤組成物。
  4. 前記炭素数同一タイプは、ジ(2-プロピルヘプチル)イソフタレート、ジイソデシルイソフタレート、イソデシル(2-プロピルヘプチル)イソフタレート、ジイソノニルイソフタレート、ジ(2-エチルヘキシル)イソフタレート、ジ(n-ペンチル)イソフタレート、ジイソペンチルイソフタレート、(n-ペンチル)(イソペンチル)イソフタレート、ジ(n-ヘキシル)イソフタレート、ジイソヘキシルイソフタレート、イソヘキシル(n-ヘキシル)イソフタレート、ジ(n-ヘプチル)イソフタレート、ジイソヘプチルイソフタレート及びイソヘプチル(n-ヘプチル)イソフタレートよりなる群から選択された2種以上のものである、
    請求項1に記載の可塑剤組成物。
  5. 前記炭素数同一タイプ及び炭素数相異タイプは、重量比が95:5から30:70のものである、
    請求項1に記載の可塑剤組成物。
  6. 可塑剤組成物の総重量に対して、
    低級アルキルイソフタレート0.5から50重量%;
    炭素数相異タイプのイソフタレート3.0から70重量%;及び
    高級アルキルイソフタレート0.5から85重量%;で含まれるものである、
    請求項2に記載の可塑剤組成物。
  7. 樹脂100重量部;及び、
    請求項1に記載の可塑剤組成物5から150重量部;
    を含む、
    樹脂組成物。
  8. 前記樹脂は、ストレート塩化ビニル重合体、ペースト塩化ビニル重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン重合体、プロピレン重合体、ポリケトン、ポリスチレン、ポリウレタン、天然ゴム、合成ゴム及び熱可塑性エラストマーよりなる群から選択された1種以上のものである、
    請求項7に記載の樹脂組成物。
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