JP7251031B2 - シトレート系可塑剤組成物およびそれを含む樹脂組成物 - Google Patents

シトレート系可塑剤組成物およびそれを含む樹脂組成物 Download PDF

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Description

本出願は、2019年7月30日付けの韓国特許出願第10-2019-0092609号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
本発明は、組成物中における成分のアルキルラジカルの炭素数が同一であるシトレートが含まれたシトレート系可塑剤組成物、およびそれを含む樹脂組成物に関する。
通常、可塑剤は、アルコールと、フタル酸およびアジピン酸のようなポリカルボン酸とが反応し、それに相応するエステルを形成する。また、人体に有害なフタレート系可塑剤の国内外規制を考慮し、テレフタレート系、アジペート系、その他の高分子系などのフタレート系可塑剤に代替可能な可塑剤組成物に関する研究が続けられている。
一方、床材、壁紙、軟質および硬質シートなどのプラスチゾル業種、カレンダリング業種、押出/射出コンパウンド業種を問わず、このような環境にやさしい製品に対する要求が増大しており、その最終製品毎の品質特性、加工性、および生産性を強化するために、変色や移行性、機械的物性などを考慮して適当な可塑剤を使用しなければならない。
かかる様々な使用領域で業種毎に求められる特性である引張強度、伸び率、耐光性、移行性、ゲル化性、もしくは吸収速度などに応じて、PVC樹脂に、可塑剤、充填剤、安定剤、粘度低下剤、分散剤、消泡剤、発泡剤などの副原料などを配合している。
一例として、PVCに適用可能な可塑剤組成物のうち、価格が相対的に安価で、最も汎用的に用いられているジ(2-エチルヘキシル)テレフタレート(DEHTP)を適用する場合、硬度もしくはゾル粘度が高く、可塑剤の吸収速度が相対的に遅いだけでなく、移行性およびストレス移行性も良好ではなかった。
その改善策として、DEHTPを含む組成物として、ブタノールとのトランスエステル化反応の生成物を可塑剤として適用することが考えられるが、可塑化効率は改善されるものの、加熱減量や熱安定性などに劣り、機械的物性がやや低下するなど、物性の改善が求められるため、一般に、他の二次可塑剤との混用によりそれを補う方式を採用すること以外は、現在解決策がない状況である。
しかし、二次可塑剤を適用する場合には、物性の変化に対する予測が難しく、製品コストが上昇する要因として作用し得るだけでなく、特定の場合以外には、物性の改善が明らかでなく、樹脂との相溶性において問題を引き起こすなど、不測の問題が発生するという欠点がある。
また、前記DEHTP製品の劣悪な移行性と減量特性、および耐光性を改善するために、トリメリテート系の製品として、トリ(2-エチルヘキシル)トリメリテートやトリイソノニルトリメリテートのような物質を適用する場合、移行性や減量特性は改善されるものの、可塑化効率が低下するため、樹脂に適切な可塑化効果を与えるためには、相当な量を投入しなければならないという問題がある。そのため、コストが比較的高い製品である点から、商用化が不可能な状況である。
そこで、従来の製品として、フタレート系製品の環境的な問題を解決するための製品、またはフタレート系製品の環境的な問題を改善するための環境にやさしい製品の劣悪な物性を改善した製品などの開発が求められている状況である。
本発明は、可塑剤組成物として、成分のアルキルラジカル炭素数が同一である異性ラジカルが結合されたシトレートを含むことで、従来の可塑剤に比べて機械的物性と耐ストレス性を同等以上のレベルに維持および改善するとともに、移行性および減量特性と可塑化効率のバランスが好適であり、かつ耐光性を著しく改善できる可塑剤組成物を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態によると、下記化学式1のシトレートが1以上含まれているシトレート系組成物を含み、前記シトレートのアルキル基は、分岐化度が2.0以下であるヘキシルアルコールの異性体混合物に由来のものである、シトレート系可塑剤組成物が提供される。
[化学式1]
Figure 0007251031000001
前記化学式1中、R~Rは、それぞれ独立して、n-ヘキシル基、分岐状ヘキシル基、またはシクロペンチルメチル基であり、Rは、水素またはアセチル基である。
上記の課題を解決するために、本発明の他の実施形態によると、樹脂100重量部と、前述の可塑剤組成物5~150重量部と、を含む、樹脂組成物が提供される。
前記樹脂は、ストレート塩化ビニル重合体、ペースト塩化ビニル重合体、エチレンビニルアセテート共重合体、エチレン重合体、プロピレン重合体、ポリケトン、ポリスチレン、ポリウレタン、天然ゴム、および合成ゴムからなる群から選択される1種以上であってもよい。
本発明の一実施形態に係る可塑剤組成物は、樹脂組成物に用いる場合、従来の可塑剤に比べて機械的物性と耐ストレス性を同等以上のレベルに維持および改善するとともに、移行性および減量特性と可塑化効率のバランスが好適であり、かつ耐光性を著しく改善することができる。
本明細書および特許請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
用語の定義
本明細書で用いられるような「組成物」という用語は、当該組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物だけでなく、該当組成物を含む材料らの混合物を含む。
本明細書で用いられるような「ストレート塩化ビニル重合体」という用語は、塩化ビニル重合体の一種類であって、懸濁重合またはバルク重合などにより重合されたものを意味し得て、数十~数百マイクロメータのサイズを有する多量の気孔が分布されている多孔性粒子の形態を有し、凝集性がなく、且つ流れ性に優れた重合体を指す。
本明細書で用いられるような「ペースト塩化ビニル重合体」という用語は、塩化ビニル重合体の一種類であって、微細懸濁重合、微細シード重合、または乳化重合などにより重合されたものを意味し得て、数十~数千ナノメートルのサイズを有する、微細で緻密な空隙のない粒子であって、凝集性を有し、且つ流れ性に劣る重合体を指す。
「含む」、「有する」という用語、およびそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているかいないかを問わず、任意の追加の成分、ステップもしくは手順の存在を排除することを意図しない。如何なる不確実性も避けるために、「含む」という用語の使用により請求された全ての組成物は、反対に述べられない限り、重合体であるかもしくはその他のものであるかを問わず、任意の追加の添加剤、補助剤、もしくは化合物を含み得る。これと対照的に、「から本質的に構成される」という用語は、操作性において必須ではないものを除き、任意のその他の成分、ステップもしくは手順を任意の連続する説明の範囲から排除する。「から構成される」という用語は、具体的に述べられるか挙げられない任意の成分、ステップもしくは手順を排除する。
測定方法
本明細書において、組成物中の成分の含量分析は、ガスクロマトグラフィー測定により行い、Agilent社のガスクロマトグラフィー機器(製品名:Agilent 7890 GC、カラム:HP-5、キャリアガス:ヘリウム(flow rate 2.4mL/min)、デテクタ:F.I.D、インジェクションボリューム:1uL、初期値:70℃/4,2min、終期値:280℃/7.8min、program rate:15℃/min)により分析する。
本明細書において、「硬度(hardness)」は、ASTM D2240に準じた、25℃でのショア硬度(Shore「A」および/またはShore「D」)を意味するものであって、3T 10sの条件で測定し、可塑化効率を評価する指標となることができる。その値が低いほど、可塑化効率が優れることを意味する。
本明細書において、「引張強度(tensile strength)」は、ASTM D638方法に準じて、テスト機器であるU.T.M(製造社;Instron、モデル名;4466)を用いて、クロスヘッド速度(cross head speed)を200mm/min(1T)として引っ張った後、試験片が切断される地点を測定し、下記数学式1により計算する。
[数学式1]
引張強度(kgf/cm)=ロード(load)値(kgf)/厚さ(cm)×幅(cm)
本明細書において、「伸び率(elongation rate)」は、ASTM D638方法に準じて、前記U.T.Mを用いてクロスヘッド速度(cross head speed)を200mm/min(1T)として引っ張った後、試験片が切断される地点を測定し、下記数学式2により計算する。
[数学式2]
伸び率(%)=伸びた後の長さ/初期長さ×100
本明細書において、「移行損失(migration loss)」は、KSM-3156に準じて厚さ2mm以上の試験片を得て、試験片の両面にガラス板(Glass Plate)を付着した後、1kgf/cmの荷重を加える。試験片を熱風循環式オーブン(80℃)で72時間放置してから取り出し、常温で4時間冷却させる。次いで、試験片の両面に付着されているガラス板を除去した後、ガラス板とSpecimen Plateをオーブンに放置する前と放置した後の重量を測定し、移行損失量を下記数学式3により計算する。
[数学式3]
移行損失量(%)={[(初期試験片の重量)-(オーブン放置後の試験片の重量)]/(初期試験片の重量)}×100
本明細書において、「加熱減量(volatile loss)」は、試験片を80℃で72時間作業した後、試験片の重量を測定する。
[数学式4]
加熱減量(%)={[(初期試験片の重量)-(作業後の試験片の重量)]/(初期試験片の重量)}×100
上記の様々な測定条件において、温度、回転速度、時間などの詳細な条件は、場合によってやや異なり得て、異なる場合には別にその測定方法および条件を明示する。
以下、本発明の理解のために、本発明をより詳細に説明する。
本発明の一実施形態によると、可塑剤組成物は、下記化学式1のシトレートが1以上含まれているシトレート系組成物を含み、前記シトレートのアルキル基は、分岐化度が2.0以下であるヘキシルアルコールの異性体混合物に由来のものである。
[化学式1]
Figure 0007251031000002
前記化学式1中、R~Rは、それぞれ独立して、n-ヘキシル基、分岐状ヘキシル基、またはシクロペンチルメチル基であり、Rは、水素またはアセチル基である。
本発明の一実施形態によると、前記可塑剤組成物の前記ヘキシルアルコールの異性体混合物は、1-ヘキサノール、1-メチルペンタノール、2-メチルペンタノール、3-メチルペンタノール、4-メチルペンタノール、1,1-ジメチルブタノール、1,2-ジメチルブタノール、1,3-ジメチルブタノール、2,2-ジメチルブタノール、2,3-ジメチルブタノール、3,3-ジメチルブタノール、1-エチルブタノール、2-エチルブタノール、3-エチルブタノール、およびシクロペンチルメタノールからなる群から選択される2以上を含む。
かかるヘキシルアルコール異性体中に含まれているアルコールによって、前記化学式1のR~Rのアルキル基が決定され、最終組成物には、前記3個のアルキル基にヘキシルアルコールの異性体アルキル基がそれぞれ3個、2個、または1個結合された多様な組成物が含まれることができる。最終組成物中における成分の割合は、反応するアルコールの成分の割合によって決定されることができる。
このように、シトレート系可塑剤を適用するに際し、炭素数が6であるアルコールを用いる場合には、炭素数が6に達しない場合に比べて適正レベルの吸収速度を確保することにより加工性の改善を達成することができ、引張強度、伸び率、および加熱減量が大きく改善されることができる。また、炭素数が6を超える場合に比べて、可塑化効率に優れるとともに、耐移行性および耐ストレス性を大きく期待することができる。
本発明の一実施形態に係る可塑剤組成物のヘキシルアルコール異性体混合物は、分岐化度が2.0以下であり、好ましくは1.5以下であってもよい。具体的に、前記分岐化度は1.5以下であり、1.3以下、より好ましくは1.1以下であってもよい。また、0.1以上であり、0.2以上、0.3以上、最も好ましくは0.7以上であってもよい。このヘキシルアルコールの異性体混合物の分岐化度は、シトレート系可塑剤組成物に転換された場合にも維持されることができる。分岐化度が2.0を超える場合には、物性間のバランスが崩れ、製品が何れか一つ以上の評価基準を満たさないという問題が発生する恐れがある。好ましい範囲として、1.5以下である場合には、機械的物性だけでなく、移行損失と加熱減量の改善がより最適化されることができ、物性間のバランスに優れることができる。
ここで、分岐化度とは、組成物中に含まれている物質に結合されたアルキル基が、いくつの分岐炭素を有するかを意味し得て、該当物質の重量比によってその程度が決定されることができる。例えば、アルコール混合物にn-ヘキシルアルコールが60重量%、メチルペンチルアルコールが30重量%、そしてエチルブチルアルコールが10重量%含まれていると仮定すると、前記各アルコールの分岐炭素数は、それぞれ0、1、および2であるため、分岐化度は[(60×0)+(30×1)+(10×2)]/100により計算され、0.5になる。ここで、シクロペンチルメタノールの場合、分岐炭素数が0であるとみなす。
本発明の一実施形態に係る可塑剤組成物は、ヘキシルアルコール異性体混合物中に1-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、および3-メチルペンタノールを含んでもよい。2-メチルペンタノールと3-メチルペンタノールをともに含む場合に、物性間のバランスを維持することができ、加熱減量の点から優れた効果を得ることができる。
前記2-メチルペンタノールと3-メチルペンタノールを含む分岐状ヘキシルアルコールは、異性体混合物100重量部に対して40重量部以上含まれてもよく、50重量部以上、60重量部以上含まれてもよく、好ましくは65重量部以上、70重量部以上含まれてもよい。最大量としては、全部が分岐状であってもよく、99重量部以下、98重量部含まれてもよく、好ましくは95重量部以下、または90重量部以下含まれてもよい。この範囲で分岐状ヘキシルアルコールが含まれる場合、機械的物性の改善を期待することができる。
また、前記1-ヘキサノールの直鎖状アルコールは、異性体混合物100重量部に対して50重量部以下含まれてもよく、40重量部以下、好ましくは30重量部以下であってもよい。前記1-ヘキサノールは、成分中に存在しなくてもよいが、少なくとも2重量部以上含まれることができ、この場合、物性間のバランスを維持するとともに、機械的物性が改善される利点を奏することができる。直鎖状アルコールは、理論上優れた効果を奏すると知られているが、本発明では、このような理論上結果と異なる結果を得ており、分岐状アルコールが含まれた異性体混合物が適用される場合に、より優れた物性間のバランスが得られることを確認した。
本発明の一実施形態に係る可塑剤組成物は、前記ヘキシルアルコールの異性体混合物中に1-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、3-メチルペンタノール、およびシクロペンチルメタノールを含んでもよい。好ましくは、シクロペンチルメタノールをさらに含むことで、物性間のバランスを維持するとともに、加熱減量をより改善することができる。
この場合、前記シクロペンチルメタノールは、異性体混合物100重量部に対して20重量部以下であってもよく、好ましくは15重量部以下、より好ましくは10重量部以下であってもよく、存在しないか、これによる効果を得るための最小量は2重量部である。
具体的に、最終組成物中において、分岐状アルキル基が全アルキルラジカル中にどれ位の割合で存在するか、さらには、分岐状アルキル基のうち特定分岐のアルキルラジカルがどれ位の割合で存在するかなどの特徴により、可塑化効率と移行性/減量特性の物性のバランスを取ることができ、引張強度と伸び率のような機械的物性および耐ストレス性も同等以上のレベルを維持することができ、組成物中に含まれている4タイプのシクロヘキサントリエステルの相互作用により、耐光性において著しい改善を達成することができるが、これは、前述のヘキシルアルコールの異性体の成分およびその成分比から達成できる。
これにより、従来のフタレート系製品の環境的な問題を解消しながらも、減量特性をより改善した製品が実現可能であり、従来のテレフタレート系製品の移行性および減量特性を著しく改善することができ、従来の商用製品に比べて耐光性が著しく改善された製品が実現可能である。
本発明の一実施形態によると、前記シトレート系可塑剤組成物中に含まれるシトレートとして、化学式1のRは、水素またはアセチル基が結合される。Rが水素である場合には、一般に、可塑化効率、耐移行性、耐光性において優れた効果を実現することができ、吸収速度が適正レベルによく維持されて優れると評価されることができる。ただし、熱的特性が他の物性の改善に比べて相対的に低いが、加工時に熱変色を防止するための加工条件を制御することが補完可能である。
他の補完策として、前記Rにアセチル基が結合されたシトレートを適用することが考えられる。この場合、シトレートの熱的特性が改善され、熱抵抗性が強化されることにより、変色および炭化特性が改善されるため、加工時にまたは最終製品における熱影響から相対的に自由になるという利点がある。さらに、熱的特性の改善により、加熱減量と、高温露出後の引張強度および伸び率の維持率(残率特性)に優れることができる。
但し、シトレートにアセチル基を結合させる場合、分子量の増加と構造変化による立体障害効果の変化により、基本的な可塑化効率、機械的物性、耐移行性と吸収速度において少し劣化し得る。
したがって、シート処方、コンパウンド処方などのように、配合される物質が何であるか、適用される用途が何であるか、溶融加工方法としてどのような方法が適用されるかによって、その加工条件を制御すべきか、Rの構造を変化させるかを適宜選択すればよいため、非常に多様な範囲に拡張適用されることができるという利点がある。
本発明の一実施形態によると、前記可塑剤組成物は、ジ(2-エチルヘキシル)テレフタレートの吸収速度が6分55秒~7分5秒である場合、吸収速度が4分30秒~6分50秒であることができる。前記吸収速度は、77℃、60rpmの条件下で、プラネタリーミキサー(Brabender、P600)を用いて、樹脂とエステル化合物が互いに混合されてミキサーのトルクが安定な状態になるまでかかった時間を測定したものである。
前記範囲の吸収速度は可塑剤が樹脂に吸収される時間であり、吸収速度が短すぎると、加工時にさらに排出されて出る移行性能に悪化要因として作用する恐れがあり、移行された物質が加工中に揮発され、可塑化効率が悪化するとともに、大気環境に悪影響を与える可能性があるという点から好ましくない。また、吸収速度が長すぎる場合には、従来の汎用製品、例えば、ジ(2-エチルヘキシル)テレフタレートに比べても加工時間が長くなり、生産性が悪化するという問題が発生する恐れがある。
本発明の一実施形態に係る可塑剤組成物を製造する方法は、当業界に知られた方法であって、前述の可塑剤組成物を製造できる場合であれば特に制限されずに適用可能である。
例えば、クエン酸またはその無水物とヘキシルアルコールの異性体混合物を直接エステル化反応させることで前記組成物を製造することができ、トリヘキシルシトレートとヘキシルアルコールの異性体混合物をトランスエステル化反応させることで組成物を製造することもできる。
本発明の一実施形態に係る可塑剤組成物は、前記エステル化反応を適切に行って製造された物質であり、前述の条件に適合するもの、特に、異性体混合物のアルコール中における分岐状アルコールの割合が制御され、かつ特定成分が含まれたものであれば、その製造方法は特に制限されない。
一例として、前記直接エステル化反応は、クエン酸またはその誘導体と2種以上の混合アルコールを投入した後、触媒を添加し、窒素雰囲気下で反応させるステップと、未反応原料を除去するステップと、未反応原料および触媒を中和(または非活性化)させるステップと、不純物を除去(例えば、減圧蒸留など)濾過するステップと、により行われることができる。ここで、シトレート系物質にアセチル基を結合させようとする場合には、前記未反応原料を除去した後、アシル化(Acylation)反応を行うステップをさらに含んで行ってもよい。
前記ヘキシルアルコールの異性体混合物の成分および成分の重量比は、前述のとおりである。前記アルコールの異性体混合物は、酸100モル%を基準として200~900モル%、200~700モル%、200~600モル%、250~500モル%、もしくは270~400モル%の範囲内で用いられてもよく、このアルコールの含量を制御することで、最終組成物中の成分比を制御することができる。
前記触媒は、一例として、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、アルキル硫酸などの酸触媒、硫酸アルミニウム、フッ化リチウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化カルシウム、塩化鉄、リン酸アルミニウムなどの金属塩、ヘテロポリ酸などの金属酸化物、天然/合成ゼオライト、カチオンおよびアニオン交換樹脂、テトラアルキルチタネート(tetra alkyl titanate)、およびそのポリマーなどの有機金属から選択される1種以上であってもよい。具体的な例として、前記触媒としては、テトラアルキルチタネートが使用できる。好ましくは、活性温度の低い酸触媒として、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などが好適である。
触媒の使用量は種類によって異なるが、一例として、均一触媒の場合には、反応物の総100重量%に対して0.01~5重量%、0.01~3重量%、1~5重量%、もしくは2~4重量%内であり、そして、不均一触媒の場合には、反応物の総量の5~200重量%、5~100重量%、20~200重量%、もしくは20~150重量%の範囲内であってもよい。
この際、前記反応温度は100℃~280℃、100℃~250℃、もしくは120℃~230℃の範囲内であってもよい。
他の一例として、前記トランスエステル化反応は、シトレートと、前記シトレートのアルキルラジカルとは異なるアルキルラジカルを有するアルコール(分岐状アルキル基が結合されたシトレートである場合には直鎖状アルコール、直鎖状アルキル基が結合されたシトレートである場合には分岐状アルコール)とが反応することである。ここで、シトレートとアルコールが有するアルキル基は互いに交差されてもよい。
本発明で用いられる「トランスエステル化反応」は、下記反応式1のようにアルコールとエステルが反応し、以下反応式1に示されたように、エステルのR''がアルコールのR'と互いに相互交換される反応を意味する:
[反応式1]
Figure 0007251031000003
一般に、前記トランスエステル化反応がなされると、アルキル基が2種である場合には、アルコールのアルコキシドがエステル化合物に存在する3個のエステル(RCOOR'')基の炭素を攻撃する場合;エステル化合物に存在する2個のエステル(RCOOR'')基の炭素を攻撃する場合;エステル化合物に存在する1個のエステル(RCOOR'')基の炭素を攻撃する場合;反応がなされない未反応である場合;のように、4つの場合に数によって、4タイプのエステル組成物が生成されることができる。
但し、本発明に係る可塑剤組成物に含まれるシトレートは、エステル基の結合位置によって、2個のエステル基が交換される場合、および1個のエステル基が交換される場合においてはそれぞれ3種ずつ形成されることができ、これにより、最終組成物中には最大8種の化合物が混合されていることができる。しかし、本発明に係るヘキシルアルコールの異性体混合物は、存在するアルキル基が2種以上であるため、その種類はさらに多様になることができる。
前記トランスエステル化反応により製造された混合物は、アルコールの添加量により前記混合物の組成の割合を制御することができる。前記アルコールの添加量は、トリアルキルシトレート100重量部に対して、0.1~200重量部、具体的には1~150重量部、より具体的には5~100重量部であってもよい。参照に、最終組成物中の成分比を決定することは、前記直接エステル化反応のように、アルコールの添加量である。
本発明の一実施形態によると、前記トランスエステル化反応は、120℃~190℃、好ましくは135℃~180℃、より好ましくは141℃~179℃の反応温度下で、10分~10時間、好ましくは30分~8時間、より好ましくは1~6時間行われることが好ましい。前記温度および時間範囲内で、最終可塑剤組成物の成分比を効率的に制御することができる。この際、前記反応時間は、反応物を昇温後に反応温度に到逹した時点から計算されることができる。
前記トランスエステル化反応は、酸触媒または金属触媒下で行われることができ、この場合、反応時間が短縮される効果がある。
前記酸触媒は、一例として、硫酸、メタンスルホン酸、またはp-トルエンスルホン酸などであってもよく、前記金属触媒は、一例として、有機金属触媒、金属酸化物触媒、金属塩触媒、または金属自体であってもよい。
前記金属成分は、一例として、スズ、チタン、およびジルコニウムからなる群から選択される何れか一つ、またはこれらの2種以上の混合物であってもよい。
また、前記トランスエステル化反応後に、未反応アルコールと反応副産物などを蒸留させて除去するステップをさらに含んでもよい。前記蒸留は、一例として、前記アルコールと反応副産物の沸点差を利用して別に分離する2ステップの蒸留であってもよい。他の一例として、前記蒸留は混合蒸留であってもよい。この場合、エステル系可塑剤組成物を所望の組成比で比較的安定して確保できる効果がある。前記混合蒸留は、未反応アルコールと反応副産物を同時に蒸留することを意味する。
本発明の他の実施形態によると、前述の可塑剤組成物および樹脂を含む樹脂組成物が提供される。
前記樹脂としては、当分野で公知の樹脂を用いることができる。例えば、ストレート塩化ビニル重合体、ペースト塩化ビニル重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン重合体、プロピレン重合体、ポリケトン、ポリスチレン、ポリウレタン、天然ゴム、合成ゴム、および熱可塑性エラストマーからなる群から選択される1種以上の混合物などが使用できるが、これらに制限されるものではない。
前記可塑剤組成物は、前記樹脂100重量部を基準として5~150重量部、好ましくは5~130重量部、または10~120重量部で含まれてもよい。
一般に、可塑剤組成物が用いられる樹脂は、溶融加工またはプラスチゾル加工により樹脂製品として製造可能であり、溶融加工樹脂とプラスチゾル加工樹脂は、各重合方法によって異なって生産されることができる。
例えば、塩化ビニル重合体が溶融加工に用いられる場合、懸濁重合などにより製造され、平均粒径の大きい固体状の樹脂粒子が使用されるが、かかる塩化ビニル重合体は、ストレート塩化ビニル重合体と呼ばれる。塩化ビニル重合体がプラスチゾル加工に用いられる場合、乳化重合などにより製造され、微細な樹脂粒子としてゾル状の樹脂が使用されるが、かかる塩化ビニル重合体はペースト塩化ビニル樹脂と呼ばれる。
この際、可塑剤は、前記ストレート塩化ビニル重合体の場合は、重合体100重量部に対して5~80重量部の範囲内で含まれることが好ましく、ペースト塩化ビニル重合体の場合は、重合体100重量部に対して40~120重量部の範囲内で含まれることが好ましい。
前記樹脂組成物は充填剤をさらに含んでもよい。前記充填剤は、前記樹脂100重量部を基準として、0~300重量部、好ましくは50~200重量部、より好ましくは100~200重量部であってもよい。
前記充填剤としては、当分野で知られている充填剤が使用可能であり、特に制限されない。例えば、シリカ、マグネシウムカーボネート、カルシウムカーボネート、硬質炭、タルク、水酸化マグネシウム、チタンジオキシド、マグネシウムオキシド、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミニウムシリケート、マグネシウムシリケート、および硫酸バリウムから選択される1種以上の混合物であってもよい。
また、前記樹脂組成物は、必要に応じて、安定化剤などのその他の添加剤をさらに含んでもよい。前記安定化剤などのその他の添加剤は、一例として、それぞれ前記樹脂100重量部を基準として、0~20重量部、好ましくは1~15重量部で含まれてもよい。
前記安定化剤としては、例えば、カルシウム-亜鉛の複合ステアリン酸塩などのカルシウム-亜鉛系(Ca-Zn系)安定化剤またはバリウム-亜鉛系(Ba-Zn系)安定化剤が使用できるが、特にこれらに制限されるものではない。
前記樹脂組成物は、上述のように、溶融加工およびプラスチゾル加工の何れにも適用可能であり、例えば、溶融加工として、カレンダリング加工、押出加工、または射出加工が適用可能であり、プラスチゾル加工として、コーティング加工などが適用可能である。
実施例
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は、様々な他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記で詳述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
実施例1
攪拌機、コンデンサ、およびデカンタ付きの反応器に、クエン酸396.4g、ヘキシルアルコールの異性体混合物797.2g、およびテトラブチルチタネート(TnBT)2gを投入した後、窒素雰囲気下でエステル化反応させて反応を終了し、触媒および製品をアルカリ水溶液で中和し、未反応アルコールおよび水分を精製することで最終的に可塑剤組成物を得た。
ここで使用したヘキシルアルコールの異性体混合物のアルコール組成は、下記表1に記載のとおりである。
実施例2~12
前記実施例1において、ヘキシルアルコールの異性体混合物のアルコール組成を下記表1に記載のように変更したことを除き、実施例1と同様の方法により可塑剤組成物を得た。
Figure 0007251031000004
*前記アルコールの含量は、何れも重量部である。
前記ヘキシルアルコールの異性体混合物中の成分の含量は、ガスクロマトグラフィーにより測定し、Agilent社のガスクロマトグラフィー機器(製品名:Agilent 7890 GC、カラム:HP-5、キャリアガス:ヘリウム(flow rate 2.4mL/min)、デテクタ:F.I.D、インジェクションボリューム:1uL、初期値:70℃/4.2min、終期値:280℃/7.8min、program rate:15℃/min)により分析した。
比較例1
LG化学社製のジイソノニルフタレート(DINP)を可塑剤組成物とした。
比較例2
LG化学社製のジ(2-エチルヘキシル)テレフタレート(DEHTP、LGflex GL300)を可塑剤組成物とした。
比較例3
前記実施例1において、ヘキシルアルコールの異性体混合物の代わりにノルマルブタノールを使用したことを除き、実施例1と同様の方法により可塑剤組成物を得た。
比較例4
前記実施例1において、ヘキシルアルコールの異性体混合物の代わりにノルマルペンタノールを使用したことを除き、実施例1と同様の方法により可塑剤組成物を得た。
比較例5
前記実施例1において、ヘキシルアルコールの異性体混合物の代わりに2-メチルブタノールを使用したことを除き、実施例1と同様の方法により可塑剤組成物を得た。
比較例6
前記実施例1において、ヘキシルアルコールの異性体混合物の代わりにノルマルヘプタノールを使用したことを除き、実施例1と同様の方法により可塑剤組成物を得た。
比較例7
前記実施例1において、ヘキシルアルコールの異性体混合物の代わりにイソヘプタノール(2-メチルヘキサノール)を使用したことを除き、実施例1と同様の方法により可塑剤組成物を得た。
比較例8
前記実施例1において、ヘキシルアルコールの異性体混合物の代わりに2-エチルヘキサノールを使用したことを除き、実施例1と同様の方法により可塑剤組成物を得た。
比較例9
前記実施例1において、ヘキシルアルコールの異性体混合物の代わりにイソノナノールを使用したことを除き、実施例1と同様の方法により可塑剤組成物を得た。
実験例1:シートの性能評価
実施例および比較例の可塑剤を用いて、ASTM D638により、次の処方および製作条件で試験片を製作した。
(1)処方:ストレート塩化ビニル重合体(LS100S)100重量部、可塑剤40重量部、および安定剤(BZ-153T)3重量部
(2)配合:98℃で700rpmでミキシング
(3)試験片の製作:ロールミル(Roll mill)にて160℃で4分、プレス(press)にて180℃で2.5分(低圧)および2分(高圧)作業して1Tおよび3Tのシートを製作
(4)評価項目
1)硬度(hardness):ASTM D2240により、25℃でのショア硬度(Shore「A」および「D」)を3T試験片を用いて10秒間測定した。数値が小さいほど、可塑化効率に優れると評価される。
2)引張強度(tensile strength):ASTM D638方法により、テスト機器であるU.T.M(製造社;Instron、モデル名;4466)を用いてクロスヘッド速度(cross head speed)200mm/minで引っ張った後、1T試験片が切断される地点を測定した。引張強度は次のように計算した:
引張強度(kgf/cm)=ロード(load)値(kgf)/厚さ(cm)×幅(cm)
3)伸び率(elongation rate)の測定:ASTM D638方法により、前記U.T.Mを用いてクロスヘッド速度(cross head speed)200mm/minで引っ張った後、1T試験片が切断される地点を測定し、伸び率を次のように計算した:
伸び率(%)=伸びた後の長さ/初期長さ×100により計算した。
4)移行損失(migration loss)の測定:KSM-3156により、厚さ2mm以上の試験片を得て、1T試験片の両面にガラス板を付着した後、1kgf/cmの荷重を加えた。試験片を熱風循環式オーブン(80℃)で72時間放置してから取り出し、常温で4時間冷却させた。次いで、試験片の両面に付着されているガラス板を除去した後、ガラス板とSpecimen Plateをオーブンに放置する前と放置した後の重量を測定し、移行損失量を下記の式により計算した。
移行損失量(%)={(常温での試験片の初期重量-オーブン放置後の試験片の重量)/常温での試験片の初期重量}×100
前記式から導出された値を比較例2のDEHTPの移行損失値を基準に指数化して示し、低いほど優れることを示す。
5)加熱減量(volatile loss)の測定:前記製作された試験片を80℃で72時間作業した後、試験片の重量を測定した。
加熱減量(重量%)=初期試験片の重量-(80℃、72時間作業後の試験片の重量)/初期試験片の重量×100により計算した。
6)ストレステスト(耐ストレス性):厚さ2mmの試験片を曲げた状態で、23℃で168時間放置した後、移行の程度(染み出る程度)を観察し、その結果を数値で記載した。0に近いほど優れる特性を示す。
7)吸収速度の測定
吸収速度は、77℃、60rpmの条件下で、プラネタリーミキサー(Brabender、P600)を用いて、樹脂とエステル化合物が互いに混合されてミキサーのトルクが安定化する状態になるまでにかかる時間を測定して評価した。
8)耐光性の測定
ASTM 4329-13の方法により、前記試験片をQUV(QUV/se、Q-LAB)に載置し、UV(340nm)を一定時間照射した後、リフレクトメータ(Tintometer、LoviBond)を用いて色相変化を計算した。
(5)評価結果
前記項目の評価結果を下記表2および3に示した。
Figure 0007251031000005
Figure 0007251031000006
前記表2および3の結果を参照すると、実施例1~12の可塑剤を適用した場合に、比較例1~9の可塑剤を適用した場合に比べて、殆どの物性に優れる効果を示し、物性間のバランスに優れることが確認できる。特に、引張強度と加熱減量、移行損失および耐光性に優れる効果を示すことが分かる。さらに、吸収速度が5分台であって速すぎないため、排出される恐れがなく、7分を超えないという点から、加工性にも優れていることが確認できる。
具体的に、従来の可塑剤商用品を適用した比較例1と2に比べて、移行損失と加熱減量が大きく改善されていることが確認でき、吸収速度も改善され、加工性の改善も期待できる。特に、従来の環境にやさしい製品である比較例2に比べて、耐ストレス性と耐光性に非常に優れていることが確認できる。
また、比較例3のように、アルコールとして炭素数が4のものを適用した場合には、吸収速度が2分と非常に速かったが、配合時に可塑剤が短時間内に吸収されてからさらに排出される現象が観察され、加工性に非常に劣っていることが予想でき、機械的物性と加熱減量は、需要者の基本要求条件さえ満たさないレベルであることが確認できる。比較例4と5は、炭素数が5のアルコールが適用されたものであって、炭素数が4である場合と同様に、引張強度と伸び率の機械的物性が非常に劣るレベルであることが確認され、加熱減量にも非常に劣っていることが分かる。
尚、炭素数が7のものが適用された比較例6と7は、可塑化効率が極めて劣ることが確認され、移行性にも劣っており、耐ストレス性にも劣るとともに、吸収速度も急激に遅くなることが観察された。このような現象は、炭素数が8のものが適用された比較例8と、炭素数が9のものが適用された比較例9では、さらに極めて悪くなることが確認される。
このことから、実施例の可塑剤を適用した場合に、全ての物性のバランスが好適にとられており、何れか一つの物性も劣ることなく、製品充足基準を満たすレベルの可塑剤を提供することができるが、本発明に属しない可塑剤を適用した場合には、一部の物性が高く評価されるものの、極めて劣る物性が2つ以上ずつ存在するという点から、製品充足基準を満たさないことが分かる。

Claims (10)

  1. 下記化学式1のシトレートが1以上含まれているシトレート系組成物を含み、
    前記シトレートのアルキル基は、分岐化度が2.0以下であるヘキシルアルコールの異性体混合物に由来のものであり、
    前記ヘキシルアルコールの異性体混合物は、1-ヘキサノール、1-メチルペンタノール、2-メチルペンタノール、3-メチルペンタノール、4-メチルペンタノール1-エチルブタノール、2-エチルブタノール、3-エチルブタノール、およびシクロペンチルメタノールからなる群から選択される2以上を含む、
    シトレート系可塑剤組成物。
    [化学式1]
    Figure 0007251031000007
    (前記化学式1中、
    ~Rは、それぞれ独立して、n-ヘキシル基、分岐状ヘキシル基、またはシクロペンチルメチル基であり、
    は、水素またはアセチル基である。)
  2. 前記ヘキシルアルコールの異性体混合物は、分岐化度が1.5以下である、
    請求項1に記載の可塑剤組成物。
  3. 前記ヘキシルアルコールの異性体混合物は、1-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、および3-メチルペンタノールを含む、
    請求項1または2に記載の可塑剤組成物。
  4. 前記ヘキシルアルコールの異性体混合物は、異性体混合物100重量部に対して、分岐状アルコールが40重量部以上含まれる、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の可塑剤組成物。
  5. 前記ヘキシルアルコールの異性体混合物は、異性体混合物100重量部に対して、分岐状アルコールが50~95重量部含まれる、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の可塑剤組成物。
  6. 前記ヘキシルアルコールの異性体混合物は、異性体混合物100重量部に対して、1-ヘキサノールが40重量部以下含まれる、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の可塑剤組成物。
  7. 前記ヘキシルアルコールの異性体混合物は、1-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、3-メチルペンタノール、およびシクロペンチルメタノールを含む、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の可塑剤組成物。
  8. 前記ヘキシルアルコールの異性体混合物は、異性体混合物100重量部に対して、シクロメチルペンタノールが20重量部以下含まれる、
    請求項7に記載の可塑剤組成物。
  9. 樹脂100重量部と、
    請求項1から8のいずれか1項に記載の可塑剤組成物5~150重量部と、
    を含む
    樹脂組成物。
  10. 前記樹脂は、ストレート塩化ビニル重合体、ペースト塩化ビニル重合体、エチレンビニルアセテート共重合体、エチレン重合体、プロピレン重合体、ポリケトン、ポリスチレン、ポリウレタン、天然ゴム、および合成ゴムからなる群から選択される1種以上である、
    請求項9に記載の樹脂組成物。
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